(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024089223
(43)【公開日】2024-07-03
(54)【発明の名称】スペーサ金型、竪型型締装置、射出成形機、および金型取付方法
(51)【国際特許分類】
B22D 17/22 20060101AFI20240626BHJP
B29C 33/30 20060101ALI20240626BHJP
B29C 45/26 20060101ALI20240626BHJP
B29C 45/06 20060101ALI20240626BHJP
B29C 45/80 20060101ALI20240626BHJP
【FI】
B22D17/22 A
B29C33/30
B29C45/26
B29C45/06
B29C45/80
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022204457
(22)【出願日】2022-12-21
(71)【出願人】
【識別番号】000004215
【氏名又は名称】株式会社日本製鋼所
(74)【代理人】
【識別番号】100097696
【弁理士】
【氏名又は名称】杉谷 嘉昭
(74)【代理人】
【識別番号】100147072
【弁理士】
【氏名又は名称】杉谷 裕通
(72)【発明者】
【氏名】中山 清貴
【テーマコード(参考)】
4F202
4F206
【Fターム(参考)】
4F202AM04
4F202AM16
4F202CA11
4F202CK90
4F202CL32
4F202CL37
4F202CR01
4F202CR03
4F206AM04
4F206JA07
4F206JC02
4F206JC07
4F206JL03
4F206JQ06
4F206JQ81
4F206JQ82
(57)【要約】
【課題】最小型厚より型厚が薄い金型であっても竪型型締装置に取り付けることができるスペーサ金型を提供する。
【解決手段】下側金型(21)が取り付けられるようになっている固定盤(9)と、上側金型(20)が取り付けられるようになっている上可動盤(10)と、を備える竪型型締装置(2)に設けられる金型を対象とする。本開示は、スペーサ金型(23)として構成する。スペーサ金型(23)は、上側金型(20)の上可動盤(10)への取り付けにあたり予め上側金型(20)の上面に取り付けられるようにする。そして、上側金型(20)と上可動盤(10)の間に設けられて、上側金型(20)の型厚を厚くするように構成する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下側金型が取り付けられるようになっている下側型盤と、前記下側型盤に対して型開閉され上側金型が取り付けられるようになっている上可動盤と、を備える竪型型締装置において、
前記上側金型の前記上可動盤への取り付けにあたり予め前記上側金型の上面に取り付けられて前記上側金型と前記上可動盤の間に設けられ、前記上側金型の型厚を厚くする、スペーサ金型。
【請求項2】
前記スペーサ金型は記上側金型より上面面積が大きい、請求項1に記載のスペーサ金型。
【請求項3】
前記スペーサ金型は吊り下げ用アイボルトの着脱用ボルト穴が形成されている、請求項1または2に記載のスペーサ金型。
【請求項4】
前記スペーサ金型は、着脱可能な複数本の倒れ防止棒を備え、前記倒れ防止棒は前記スペーサ金型が取り付けられた前上側金型と前記下側金型の前記竪型型締装置への取り付け作業において、前記下側型盤と前記スペーサ金型とを連結し、取り付け完了後に取り外されるようになっている、請求項1または2に記載のスペーサ金型。
【請求項5】
前記倒れ防止棒は長さ方向に分割可能な複数本の分割倒れ防止棒からなる、請求項4に記載のスペーサ金型。
【請求項6】
前記スペーサ金型には、前記上側金型の上面に形成されているロケート凸部が挿入されるスペーサ金型側ロケート凹部と、前記上可動盤に形成されているロケート凹部に挿入されるスペーサ金型側ロケート凸部とが形成されている、請求項1または2に記載のスペーサ金型。
【請求項7】
前記スペーサ金型には貫通孔が空けられており、前記上側金型がその上面にスプルが形成されているとき前記貫通孔と前記スプルとが整合するようになっている、請求項1または2に記載のスペーサ金型。
【請求項8】
下側型盤と、
前記下側型盤の上方に設けられている上可動盤と、
前記下側型盤に対して前記上可動盤を型開閉する型締機構と、
前記下側型盤に設けられている下側金型と、
前記上可動盤の側に設けられている上側金型と、を備え、
前記上側金型の上面には型厚を厚くするスペーサ金型が設けられ、前記上側金型は前記スペーサ金型を介して前記上可動盤に設けられており、
前記スペーサ金型は着脱可能な複数本の倒れ防止棒を備えていると共に、前記下側型盤には前記倒れ防止棒が連結される連結部が形成され、前記上側金型と前記下側金型の取り付け作業において前記倒れ防止棒が前記スペーサ金型と前記下側型盤とを連結するようになっている、竪型型締装置。
【請求項9】
前記倒れ防止棒は長さ方向に分割可能な複数本の分割倒れ防止棒からなる、請求項8に記載の竪型型締装置。
【請求項10】
前記竪型型締装置は、固定盤と、
前記固定盤の下方に設けられている下可動盤と、
前記上可動盤と前記下可動盤とを連結している複数本のタイバーと、を備え、
前記型締機構は前記固定盤と前記下可動盤の間に設けられているトグル機構からなり、
前記下側型盤は前記固定盤である、請求項8または9に記載の竪型型締装置。
【請求項11】
前記竪型型締装置は、固定盤と、
前記固定盤の下方に設けられている下可動盤と、
前記上可動盤と前記下可動盤とを連結している複数本のタイバーと、
前記固定盤の上で回転自在に設けられているターンテーブルと、を備え、
前記型締機構は前記固定盤と前記下可動盤の間に設けられているトグル機構からなり、
前記下側型盤は前記ターンテーブルである、請求項8または9に記載の竪型型締装置。
【請求項12】
竪型型締装置と、
射出装置と、を備え、
前記竪型型締装置は、下側型盤と、
前記下側型盤の上方に設けられている上可動盤と、
前記下側型盤に対して前記上可動盤を型開閉する型締機構と、
前記下側型盤に設けられている下側金型と、
前記上可動盤の側に設けられている上側金型と、を備え、
前記上側金型の上面には型厚を厚くするスペーサ金型が設けられ、前記上側金型は前記スペーサ金型を介して前記上可動盤に設けられており、
前記スペーサ金型は着脱可能な複数本の倒れ防止棒を備えていると共に、前記下側型盤には前記倒れ防止棒が連結される連結部が形成され、前記上側金型と前記下側金型の取り付け作業において前記倒れ防止棒が前記スペーサ金型と前記下側型盤とを連結するようになっている、射出成形機。
【請求項13】
前記竪型型締装置は、固定盤と、
前記固定盤の下方に設けられている下可動盤と、
前記上可動盤と前記下可動盤とを連結している複数本のタイバーと、を備え、
前記型締機構は前記固定盤と前記下可動盤の間に設けられているトグル機構からなり、
前記下側型盤は前記固定盤である、請求項12に記載の射出成形機。
【請求項14】
前記竪型型締装置は、固定盤と、
前記固定盤の下方に設けられている下可動盤と、
前記上可動盤と前記下可動盤とを連結している複数本のタイバーと、
前記固定盤の上で回転自在に設けられているターンテーブルと、を備え、
前記型締機構は前記固定盤と前記下可動盤の間に設けられているトグル機構からなり、
前記下側型盤は前記ターンテーブルである、請求項12に記載の射出成形機。
【請求項15】
前記射出装置は、加熱シリンダが水平に設けられている横型射出装置からなり、
前記スペーサ金型には、前記上側金型の上面に形成されているロケート凸部が挿入されるスペーサ金型側ロケート凹部と、前記上可動盤に形成されているロケート凹部に挿入されるスペーサ金型側ロケート凸部とが形成されている、請求項12または13に記載の射出成形機。
【請求項16】
前記射出装置は、前記上可動盤の上に設けられ加熱シリンダが垂直に設けられている竪型射出装置からなり、
前記スペーサ金型には貫通孔が空けられており、前記貫通孔は前記上側金型の上面に形成されているスプルに整合している、請求項12または13に記載の射出成形機。
【請求項17】
竪型型締装置に、上側金型と下側金型とを取り付ける金型取付方法であって、
前記竪型型締装置は、下側型盤と、
前記下側型盤の上方に設けられている上可動盤と、
前記下側型盤に対して前記上可動盤を型開閉する型締機構と、を備え、
前記金型取付方法は、前記上側金型の上面に型厚を厚くするスペーサ金型を取り付けるスペーサ金型取付工程と、
吊り下げ手段により前記スペーサ金型を吊り下げて前記スペーサ金型と前記上側金型と前記下側金型とを一体的に前記下側型盤に搬送する搬送工程と、
前記下側金型を前記下側型盤の上でスライドさせて前記下側型盤の中央近傍に移動させる移動工程と、
前記上可動盤を型閉じ方向に駆動して前記スペーサ金型の上面と前記上可動盤とを位置合わせする位置合わせ工程と、
前記上可動盤に前記スペーサ金型をクランプすると共に前記下側金型を前記下側型盤にクランプするクランプ工程と、を備えている、金型取付方法。
【請求項18】
前記スペーサ金型は着脱可能な複数本の倒れ防止棒を備えていると共に、前記下側型盤には前記倒れ防止棒が連結される連結部が形成されており、
前記金型取付方法は、前記移動工程の後で前記位置合わせ工程の前に実施する倒れ防止棒取付工程と、前記クランプ工程の後で実施する倒れ防止棒取外し工程と、を備え、
前記倒れ防止棒取付工程は、複数本の前記倒れ防止棒を前記スペーサ金型と前記下側型盤の間で連結する工程であり、
前記倒れ防止棒取外し工程は、複数本の前記倒れ防止棒を前記スペーサ金型と前記下側型盤とから取り外す工程である、請求項17に記載の金型取付方法。
【請求項19】
前記竪型型締装置は、固定盤と、
前記固定盤の下方に設けられている下可動盤と、
前記上可動盤と前記下可動盤とを連結している複数本のタイバーと、を備え、
前記型締機構は前記固定盤と前記下可動盤の間に設けられているトグル機構からなり、
前記下側型盤は前記固定盤である、請求項17または18に記載の金型取付方法。
【請求項20】
前記竪型型締装置は、固定盤と、
前記固定盤の下方に設けられている下可動盤と、
前記上可動盤と前記下可動盤とを連結している複数本のタイバーと、
前記固定盤の上で回転自在に設けられているターンテーブルと、を備え、
前記型締機構は前記固定盤と前記下可動盤の間に設けられているトグル機構からなり、
前記下側型盤は前記ターンテーブルである、請求項17または18に記載の金型取付方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、型盤が上下に開閉される竪型型締装置に設けられる金型に関するもの、および竪型型締装置、射出成形機、ならびに金型取付方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
射出成形機は射出装置と型締装置とから構成されている。型締装置には、型盤が上下に型開閉されるタイプがあり竪型型締装置と呼ぶことができる。竪型型締装置は、例えば特許文献1に記載されているように、ベッドに設けられている固定盤と、この固定盤の上方に設けられている上可動盤と、固定盤の下方に設けられている下可動盤と、を備えている。上可動盤と下可動盤はタイバーによって連結され、固定盤と下可動盤の間にはトグル機構が設けられている。したがって、トグル機構を駆動すると上可動盤に設けられている上側金型と固定盤に設けられている下側金型とが型開閉される。なお、固定盤にターンテーブルが設けられている場合には、下側金型はターンテーブルに設けられることになる。
【0003】
ところで、下可動盤とタイバーとは型厚調整機構を介して接続されている。具体的にはタイバーには所定範囲で雄ネジが形成され、この雄ネジにタイバーナットが設けられている。そしてタイバーナットは下可動盤に回転自在に収納されている。したがって、タイバーナットを回転すると、タイバー有効長、つまり上可動盤と下可動盤の距離を調整することができる。タイバー有効長を調整することにより金型の型厚に適した調整、すなわち型厚調整を行うようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
タイバー有効長を調整することにより、色々な型厚の金型に適合するように竪型型締装置を調整することができる。しかしながら、竪型型締装置には調整可能な型厚の範囲に制約があり、その機種によって取り付け可能な金型の最大型厚と最小型厚とが定められている。調整できる型厚の範囲はタイバーの雄ネジの長さに依存しているからである。そうすると最小型厚より型厚が薄い金型を取り付けることはできない。
【0006】
本開示において、最小型厚より薄い金型であっても竪型型締装置に取り付けることができるスペーサ金型を提供する。
【0007】
その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述及び添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示は、下側金型が取り付けられるようになっている下側型盤と、下側型盤に対して型開閉され上側金型が取り付けられるようになっている上可動盤と、を備える竪型型締装置に設けられる金型を対象とする。本開示は、スペーサ金型として構成する。スペーサ金型は、上側金型の上可動盤への取り付けにあたり予め上側金型の上面に取り付けられるようにする。そして、上側金型と上可動盤の間に設けられて、上側金型の型厚を厚くするように構成する。
【発明の効果】
【0009】
本開示は、最小型厚より薄い金型を竪型型締装置に取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】第1の実施形態に係る射出成形機の正面図である。
【
図2A】第1の実施形態に係るスペーサ金型の上面図である。
【
図2B】
図2AにおけるX-X断面で切断した、第1の実施形態に係るスペーサ金型の側面断面図である。
【
図2C】第1の実施形態に係るスペーサ金型の底面図である。
【
図3】第1の実施形態に係る射出成形機において実施される金型取付方法を示すフローチャートである。
【
図4A】第1の実施形態に係るスペーサ金型と金型とを示す正面図である。
【
図4B】第1の実施形態に係るスペーサ金型が取り付けられた金型を示す正面図である。
【
図4C】第1の実施形態に係る竪型型締装置の一部と、第1の実施形態に係るスペーサ金型が取り付けられた金型とを示す正面図である。
【
図4D】第1の実施形態に係る竪型型締装置の一部と、第1の実施形態に係るスペーサ金型が取り付けられた金型とを示す正面図である。
【
図4E】第1の実施形態に係る竪型型締装置の一部と、第1の実施形態に係るスペーサ金型が取り付けられた金型とを示す正面図である。
【
図4F】第1の実施形態に係る竪型型締装置の一部と、第1の実施形態に係るスペーサ金型が取り付けられた金型とを示す正面図である。
【
図4G】第1の実施形態に係る竪型型締装置の一部と、第1の実施形態に係るスペーサ金型が取り付けられた金型とを示す正面図である。
【
図4H】第1の実施形態に係る竪型型締装置の一部と、第1の実施形態に係るスペーサ金型が取り付けられた金型とを示す正面図である。
【
図4I】第1の実施形態に係る竪型型締装置の一部と、第1の実施形態に係るスペーサ金型が取り付けられた金型とを示す正面図である。
【
図5】第1の実施形態に係るスペーサ金型を備えた金型が取り付けられている竪型型締装置の一部と、射出装置の一部とを示す正面図である。
【
図6】比較例1に係るスペーサ金型を備えた竪型型締装置の一部と、金型と、射出装置の一部とを示す正面図である。
【
図7A】比較例2に係るスペーサ型盤と、竪型型締装置の一部とを示す正面図である。
【
図7B】比較例2に係るスペーサ型盤と、竪型型締装置の一部とを示す正面図である。
【
図8】第2の実施形態に係る射出成形機を示す正面図である。
【
図9A】第2の実施形態に係るスペーサ金型の上面図である。
【
図9B】
図9AにおけるX-X断面で切断した、第2の実施形態に係るスペーサ金型の側面断面図である。
【
図9C】第2の実施形態に係るスペーサ金型の底面図である。
【
図10】第2の実施形態に係るスペーサ金型を備えた金型が取り付けられている第2の実施形態に係る竪型型締装置の一部を示す正面図である。
【
図11】第2の実施形態に係る射出成形機において実施される金型取付方法を示すフローチャートである。
【
図12A】第2の実施形態に係るスペーサ金型を備えた金型と、第2の実施形態に係る型締装置の一部を示す正面図である。
【
図12B】第2の実施形態に係るスペーサ金型を備えた金型と、第2の実施形態に係る型締装置の一部を示す正面図である。
【
図12C】第2の実施形態に係るスペーサ金型を備えた金型と、第2の実施形態に係る型締装置の一部を示す正面図である。
【
図12D】第2の実施形態に係るスペーサ金型を備えた金型と、第2の実施形態に係る型締装置の一部を示す正面図である。
【
図12E】第2の実施形態に係るスペーサ金型を備えた金型と、第2の実施形態に係る型締装置の一部を示す正面図である。
【
図12F】第2の実施形態に係るスペーサ金型を備えた金型と、第2の実施形態に係る型締装置の一部を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。ただし、以下の実施の形態に限定される訳ではない。説明を明確にするため、以下の記載及び図面は、適宜簡略化されている。各図面において、同一の要素には同一の符号が付されており、必要に応じて重複説明は省略されている。また、図面が煩雑にならないように、ハッチングが省略されている部分がある。
【0012】
[第1の実施形態]
<射出成形機>
第1の実施形態に係る射出成形機1は、
図1に示されているように、竪型型締装置2、射出装置3、等を備えている。竪型型締装置2は次に詳しく説明するように、型盤が上下に駆動されて型開閉するようになっている。これに対して射出装置3は後で説明するように横置き型になっている。射出成形機1には、これら装置を制御する制御装置4が設けられている。
【0013】
<竪型型締装置>
第1の実施形態において竪型型締装置2は、ベッド7に固定されている固定盤9と、この固定盤9の上方に設けられている上可動盤10と、ベッド7内に設けられている下可動盤11とを備えている。上可動盤10と下可動盤11は複数本のタイバー12、12、…により連結されている。下可動盤11と固定盤9の間にはトグル機構14が設けられている。
【0014】
竪型型締装置2は次のような型厚調整機構16を備えている。すなわちタイバー12、12、…には、所定の範囲で雄ネジが形成されており、この雄ネジにタイバーナット17、…が設けられている。タイバーナット17、…は下可動盤11に回転可能に収納されており、スプロケット18、…を介して回転するようになっている。図示されていない駆動機構によってスプロケット18、…を介してタイバーナット17、…を回転すると、タイバー有効長、つまり上可動盤10と下可動盤11の距離を調整することができる。これによって型厚調整を行うようになっている。
【0015】
調整可能な型厚の範囲はタイバー12、12、…に形成されている雄ネジの長さによって制約を受ける。つまり竪型型締装置2に取り付け可能な金型は、この竪型型締装置2において規定されている最小型厚から最大型厚までの型厚の金型に制限されることになる。ところで竪型型締装置2において規定されている最小型厚より型厚が薄い金型を取り付けたい場合もある。タイバー12、12、…において雄ネジの長さを長くすれば最小型厚よりも薄い型厚の金型を取り付けることはできる。しかしながら、雄ネジの長さを長くして型厚が薄い金型に適合するように型厚調整すると、タイバー12、12、…の下端部の、下可動盤11より下方に突き出る長さが長くなる。そうするとタイバー12、12、…が床面に接触しないように固定盤9の高さを高くしなければならない。竪型型締装置2における作業効率に悪影響を及ぼすという問題がある。
【0016】
図1に示されている上側金型20と下側金型21は、その型厚が最小型厚より小さい。第1の実施形態に係る竪型型締装置2は、作業効率に悪影響を及ぼさないようにして、これら金型20、21が取り付けられている。具体的には、第1の実施形態に係るスペーサ金型23が上側金型20に設けられている。スペーサ金型23は後で詳しく説明する。このような上側金型20はスペーサ金型23を介して上側型盤つまり上可動盤10に、そして下側金型21は下側型盤つまり固定盤9に設けられている。
【0017】
第1の実施形態に係る竪型型締装置2において、固定盤9にはスペーサ金型23と金型20、21とを取り付けるときに必要となる特有の構造が形成されている。具体的には、連結部24、24、…である。連結部24、24、…は凹部になっており、後で説明するように、スペーサ金型23と金型20、21とを安全に取り付けるために使用する倒れ防止棒を、その下端部において連結するために利用される。
【0018】
<射出装置>
射出装置3は、横置き型からなり、ベッド7に対してスライド可能に設けられている。射出装置3は、水平に設けられている加熱シリンダ25と、この加熱シリンダ25に入れられているスクリュ26と、加熱シリンダ25を支持すると共にスクリュ26を駆動するスクリュ駆動装置27と、を備えている。加熱シリンダ25の先端には射出ノズル28が設けられている。射出装置3は、金型20、21方向にスライドさせて射出ノズル28を金型20、21にタッチさせ、射出材料を射出するようになっている。ところで上下に型開閉される金型20、21に側方から射出材料を射出する場合、スプルはパーティングラインに設けられることが多い。パーティングラインの高さに合わせて射出ノズル28の高さを調整することができるように、射出装置3は次に説明する昇降装置30で高さを調整するようになっている。
【0019】
昇降装置30は、ベッド7上をスライドされる台車31に対して昇降される昇降台33と、台車31と昇降台33とを連結しているボールねじ機構34、34、…とを備えている。図示されない駆動機構によりボールねじ機構34、34、…を駆動すると昇降台33が昇降する。つまり射出ノズル28の高さを調整できる。なお、昇降装置30によって調整可能な射出ノズル28の高さは、最小型厚から最大型厚までの金型20、21に対応できるように設計されている。つまり、高さの調整可能な範囲には制約がある。
【0020】
<スペーサ金型>
第1の実施形態に係る竪型型締装置2において、最小型厚より薄い金型20、21を取り付けるために、第1の実施形態に係るスペーサ金型23を使用する。
図2A、
図2B、
図2Cによって、スペーサ金型23について説明する。
【0021】
スペーサ金型23は、比較的厚さが厚く上面形状が長方形の板状になっている。スペーサ金型23には
図2A、
図2Bに示されているように、上面の中央に低い円柱状の凸部37が形成されている。この凸部37は上可動盤10(
図1参照)側に形成されているロケート凹部36に整合させるためのスペーサ金型側ロケート凸部37である。一方、スペーサ金型23の下面の中央には、
図2B、
図2Cに示されているように、浅い円柱穴からなる凹部40が形成されている。この凹部40は上側金型20(
図1参照)の上面に形成されているロケート凸部39に整合させるためのスペーサ金型側ロケート凹部40である。なお、
図2A、
図2Cにおいて底がある穴には作図上それぞれ穴の中に×印を描いて、貫通孔と区別できるようにしている。
【0022】
スペーサ金型23には、いくつかの底がある穴、そしていくつかの貫通孔が空けられている。まず、
図2A、
図2Bに示されているように、その表面側に2個の底がある穴であるアイボルト着脱用ボルト穴42、42が形成されている。後で説明するようにアイボルトを取り付けて吊り下げることができるようになっている。次にスペーサ金型23には
図2A、
図2Cに示されているように、8個の比較的大径の貫通孔であるボルト穴43、43、…が空けられている。これらボルト穴43、43、…にボルトを挿入してスペーサ金型23を上可動盤10(
図1参照)に締結することができるようになっている。
【0023】
スペーサ金型23には、その4隅において比較的小径の4個の貫通孔であるガイド孔45、45、…が空けられている。これらガイド孔45、45、…は後で説明するように、倒れ防止棒が挿入されるようになっている。スペーサ金型23の下面側には底がある穴で比較的小径の多数のボルト穴47、47、…が開けられている。これらは上側金型20(
図1参照)をクランプするためのものである。
【0024】
<金型取付方法>
第1の実施形態に係る竪型型締装置2(
図1参照)において最小型厚以下の金型20、21を取り付ける、第1の実施形態に係る金型取付方法を説明する。
図3に示されているように、オペレータはスペーサ金型取付工程(ステップS01)を実施する。
図4Aに示されているように、作業台あるいは床面に下側金型21と上側金型20とを型閉じ状態で置き、図示されないロック機構により型閉じ状態が維持されるようにする。そしてスペーサ金型23にアイボルト50、50を取り付けてホイストクレーン等によって吊り下げ、上側金型20の上に搬送する。
【0025】
スペーサ金型23のスペーサ金型側ロケート凹部40を、上側金型20のロケート凸部39に整合させ、スペーサ金型23を上側金型20に載せる。そうすると、スペーサ金型側ロケート凹部40にロケート凸部39が嵌合する。ロケート凸部39の上面は図には示されていないが面取りされており、スペーサ金型側ロケート凹部40への嵌合の際に面取りによって滑らかにガイドされるようになっている。
図4Bに示されているように、ボルト51、51、…によりスペーサ金型23と上側金型20とを締結する。なお、
図4Bに示されているように、スペーサ金型23の上面面積は、スペーサ金型23が取り付けられる金型20、21の上面面積より大きい。つまり、スペーサ金型23は上面面積が若干小さい金型20、21であっても取り付けられるようになっている。
【0026】
次にオペレータは
図3に示されているように搬送工程(ステップS02)を実施する。ホイストクレーン等によってスペーサ金型23と金型20、21とを吊り下げて、
図4Cに示されているように、竪型型締装置2の固定盤9の上に搬送する。固定盤9の上に載せたらアイボルト50、50(
図4B参照)は取り外す。続いてオペレータは移動工程(ステップS03)を実施する。すなわちスペーサ金型23と金型20、21とを固定盤9上でスライドさせて、
図4Dに示されているように、固定盤9の中央近傍に移動させる。
【0027】
図3に示されているように、倒れ防止棒取付工程(ステップS04)を実施する。倒れ防止棒53、53、…により、
図4Eに示されているように、固定盤9とスペーサ金型23とを連結する。倒れ防止棒53、53、…は、この実施形態において長さ方向に分割可能な分割倒れ防止棒54、54、54、…からなる。まず、分割倒れ防止棒54、54、…の一端を固定盤9の連結部24、24、…に入れ、固定盤9に対して連結する。次いで、他の分割倒れ防止棒54、54、…をスペーサ金型23のガイド孔45、45、…に挿入し、下方にスライドする。そうすると上下2本の分割倒れ防止棒54、54、…同士が互いに連結される。
【0028】
オペレータは位置合わせ工程(ステップS05)を実行する。具体的には、
図4Fに示されているように竪型型締装置2において型閉じする。そうすると、上可動盤10のロケート凹部36に、スペーサ金型23のスペーサ金型側ロケート凸部37が嵌合する。スペーサ金型側ロケート凸部37の上面は面取りされているので、面取りによってガイドされて滑らかに嵌合することになる。このとき下側金型21がわずかに固定盤9上でスライドする。嵌合によってスペーサ金型23と上側金型20と下側金型21とが精度良く位置合わせされるからである。このとき金型20、21の倒れが発生する心配もある。下側金型21に比してスペーサ金型23の上面面積が大きく重心が高いからであり、下側金型21の底面積が比較的小さいからである。しかしながら、倒れ防止棒53、53、…によって固定盤9とスペーサ金型23とが連結されているので金型20、21の倒れが防止される。
【0029】
オペレータはクランプ工程(ステップS06)を実施する。
図4Gに示されているように、スペーサ金型23をボルト56、56、…によって上可動盤10に締結する。同様に下側金型21をボルト57、57、…によって固定盤9に締結する。クランプ工程を完了する。最後に、オペレータは倒れ防止棒取外し工程(ステップS07)を実施する。具体的には
図4Hに示されているように、竪型型締装置2を型開きする。そうすると倒れ防止棒53、53、…がスペーサ金型23のガイド孔45から抜ける。倒れ防止棒53、53、…を取り外す。この状態が
図4Iに示されている。金型取付を完了する。
【0030】
<作用>
第1の実施形態に係るスペーサ金型23が取り付けられた金型20、21が竪型型締装置2に取り付けられると、
図5に示されているように金型20、21のパーティングラインの高さは低い状態で維持される。前記したように射出装置3の射出ノズル28は昇降装置30(
図1参照)によって昇降させることができるが、パーティングラインの高さが低いので昇降可能な範囲で対応することができる。
【0031】
第1の実施形態に係るスペーサ金型23は上可動盤10とタイバー12、12、…に作用する曲げモーメントも緩和する。竪型型締装置2において型締めするとき、上可動盤10にはタイバー12、12、…から張力59、59、…が作用する。そしてスペーサ金型23から押力60が作用する。スペーサ金型23の上面面積は比較的大きいので押力60は、広い範囲で作用することになる。比較的上面面積が小さい上側金型20が直接に上可動盤10に取り付けられている場合に比して、押力60が作用する面積が広い。したがって上可動盤10とタイバー12、12、…とに作用する曲げモーメントを抑制することができる。
【0032】
[比較例1]
第1の実施形態に係る竪型型締装置2に、第1の実施形態に係るスペーサ金型23(
図5参照)とは異なる、比較例1に係るスペーサ金型101を取り付けた金型20、21を設ける場合について、
図6によって説明する。比較例1に係るスペーサ金型101は、下側金型21の下面に取り付けられるようになっており、第1の実施形態に係るスペーサ金型23(
図5参照)と同様に型厚の小さい金型20、21を竪型型締装置2に取り付けられるようになっている。しかしながら、比較例1に係るスペーサ金型101が設けられていると、金型20、21のパーティングラインの高さが高くなってしまう。そうすると射出装置3を昇降しても射出ノズル28の高さをパーティングラインの高さに調整できない、という問題が発生する。
【0033】
上可動盤10とタイバー12、12、…とに作用する曲げモーメントについても、比較例1に係るスペーサ金型101は抑制効果がない。竪型型締装置2において型締めするとき、上可動盤10にはタイバー12、12、…から張力59、59、…と上側金型20から押力60とが作用する。上側金型20は比較的小面積であるので作用する押力60は上可動盤10の中心部近傍に集中的に作用する。そうすると張力59、59、…との距離が大きくなって大きな曲げモーメントが作用する。したがってタイバー12、12、…にも大きな曲げモーメントが作用する、という問題がある。
【0034】
[比較例2]
第1の実施形態に係る竪型型締装置2において、
図7Aに示されているように、予め上可動盤10に比較例2に係るスペーサ型盤103を設けるようにすることも考えられる。スペーサ型盤103を予め上可動盤10に設けておけば、竪型型締装置2において規定されている最小型厚より薄い金型であっても取り付けられることになる。
【0035】
しかしながら、比較例2に係るスペーサ型盤103は上可動盤10への取り付けが難しい、という問題がある。スペーサ型盤103をボルト104、104、…によって上可動盤10に取り付けるためには、スペーサ型盤103を一時的に吊り下げる必要がある。例えば
図7Bに示されているようにスペーサ型盤103にアイボルト105を取り付けてホイストクレーン等によって吊り下げる場合、上可動盤10に比較的大径の貫通孔106を空ける必要がある。貫通孔106を空けることは上可動盤10の剛性に影響を与えるので好ましくない。
【0036】
[第2の実施形態]
<射出成形機>
第2の実施形態を説明する。第2の実施形態に係る射出成形機1Aは、
図8に示されているように、いわゆる竪型射出成形機になっている。第2の実施形態に係る射出成形機1Aは、第2の実施形態に係る竪型型締装置2Aと、この上に設けられている射出装置3Aとから構成されている。第1の実施形態と同様の部材については同じ参照番号を付して説明を省略し、第1の実施形態とは異なる部材について説明する。
【0037】
<竪型型締装置>
第2の実施形態に係る竪型型締装置2Aは、2点において第1の実施形態に係る竪型型締装置2(
図1参照)と相違している。第1の相違点は、第2の実施形態に係る竪型型締装置2Aにおいて固定盤9の上にターンテーブル63が設けられている点である。第2の実施形態においてタイバー12、12、…は3本設けられており、ターンテーブル63はそのうちの1本のタイバー12を中心に回転自在になっている。第2の実施形態においてターンテーブル63は下側金型21Aが取り付けられる下側型盤になっている。なお、ターンテーブル63を備えた竪型型締装置2Aにおいて下側金型21Aは2個以上の複数個設けることができる。
図8において2個の下側金型21A、21Aは作図上重なっており、手前側の1個のみ示されている。
【0038】
第2の相違点は、上可動盤10Aの形状が相違している点である。第2の実施形態において上可動盤10Aには中心にくり抜き65が形成されている。このくり抜き65は、射出装置3Aの射出ノズル28を挿入するために形成されている。このようなくり抜き65が形成されているので、後で説明する第2の実施形態に係るスペーサ金型23Aは、第1の実施形態に係るスペーサ金型23(
図2A、
図2B、
図2C参照)と一部の構造が相違している。
【0039】
<射出装置>
第2の実施形態に係る射出装置3Aは、
図8に示されているように、加熱シリンダ25が垂直に配置されており、第1の実施形態に係る射出装置3(
図1参照)と相違している。しかしながら、それぞれの部材については、概ね第1の実施形態と同様である。第2の実施形態に係る射出装置3Aは上述したように、射出ノズル28が上可動盤10Aのくり抜き65に挿入され、上側金型20Aにタッチするようになっている。
【0040】
<スペーサ金型>
第2の実施形態に係るスペーサ金型23Aは、
図9A、
図9B、
図9Cに示されているように、第1の実施形態に係るスペーサ金型23(
図2A、
図2B、
図2C参照)と類似した構造になっているが、一部だけ相違している。同じ構造に関しては第1の実施形態と同じ参照番号を付して説明を省略する。第2の実施形態に係るスペーサ金型23Aにも、その上面にスペーサ金型側ロケート凸部37Aが形成され、そして底面にスペーサ金型側ロケート凹部40Aが形成されている。しかしながら、これらスペーサ金型側ロケート凸部37Aとスペーサ金型ロケート凹部40Aとに対して同心になるように中央において大径の貫通孔67が空けられている。
【0041】
図10には、第2の実施形態に係る射出成形機1Aにおいて、第2の実施形態に係るスペーサ金型23Aが取り付けられた上側金型20Aと下側金型21Aとが第2の実施形態に係る竪型型締装置2Aに取り付けられている様子が示されている。射出ノズル28は、上可動盤10Aのくり抜き65に挿入され、そして第2の実施形態に係るスペーサ金型23Aの貫通孔67に挿入され、上側金型20Aにタッチしている。この実施形態において上側金型20Aのロケート凸部39Aには、図示されないスプルが形成されている。このスプルに射出ノズル28がタッチしている。
【0042】
<金型取付方法>
第2の実施形態に係る竪型型締装置2A(
図8参照)において、第2の実施形態に係るスペーサ金型23Aが取り付けられた金型20A、21Aを取り付ける金型取付方法は、概ね第1の実施形態に係る金型取付方法と同様に実施することができる。
図11には、第2の実施形態に係る金型取付方法のフローチャートが示されているが、
図3に示されている第1の実施形態に係る金型取付方法と一部相違している。
図11において、スペーサ金型取付工程(ステップS01)と搬送工程(ステップS02)については第1の実施形態と同様であるので、相違している次のステップS11から説明する。
【0043】
図12Aには搬送工程(ステップS02)によって、第2の実施形態に係るスペーサ金型23Aが取り付けられた金型20A、21Aがターンテーブル63に搬送された状態が示されている。オペレータは倒れ防止棒取付工程(ステップS11)をこの状態で実施する。つまり
図12Bに示されているように、倒れ防止棒53、53をスペーサ金型23Aのガイド孔45、45から挿入し、下方の端部をターンテーブル63に形成されている連結部24、24に連結する。倒れ防止棒取付工程(ステップS11)を完了する。
【0044】
次に、オペレータは
図11に示されているように、ターンテーブル反転工程(ステップS12)を実施する。つまりターンテーブル63を反転して
図12Cに示されている状態にする。この状態にすると、上可動盤10Aのくり抜き65と、スペーサ金型23Aのスペーサ金型側ロケート凸部37Aとが整合した状態になる。オペレータは位置合わせ工程(ステップS13)を実施する。つまり
図12Dに示されているように、竪型型締装置2Aにおいて型閉じを行う。そうすると、スペーサ金型23Aが取り付けられた金型20A、21Aが位置合わせされる。
【0045】
オペレータはクランプ工程(ステップS14)を実施する。つまり
図12Dに示されているように、ボルト56、56によってスペーサ金型23Aを上可動盤10Aに締結し、ボルト57、57、…によって下側金型21Aをターンテーブル63に取り付ける。オペレータは
図11に示されているように、下側金型搬送工程(ステップS15)を実施する。つまり、
図12Dに示されているように、他の下側金型21Aを、ターンテーブル63に搬送する。
【0046】
オペレータは倒れ防止棒取外し工程(ステップS16)を実施する。竪型型締装置2Aを型開きする。そうすると容易に倒れ防止棒53、53(
図12D参照)を取り外すことができる。倒れ防止棒53、53が取り外された状態が
図12Eに示されている。次に
図11に示されているようにターンテーブル反転工程(ステップS17)を実施する。そうするとクランプしていない他の下側金型21Aが上側金型20Aと整合する。最後にオペレータは下側金型クランプ工程(ステップS18)を実施する。つまり竪型型締装置2Aを
図12Fに示されているように型閉じする。そうすると他の下側金型21Aが上側金型20Aと型閉じされ下側金型21Aが位置合わせされる。ボルト57、57によって下側金型21Aをターンテーブル63に締結する。金型取付を完了する。
【0047】
[変形例]
第1、第2の実施形態は色々な変形が可能である。例えば、固定盤9(
図1参照)やターンテーブル63(
図8参照)には本実施形態において特有の構造である連結部24、24、…が形成されているように説明した。しかしながら、連結部24、24、…として、固定盤9やターンテーブル63に形成されている下側金型21、21Aの取り付け用のボルト穴を利用することもできる。倒れ防止棒53(
図4E参照)を変形することもできる。倒れ防止棒53は、2本の分割倒れ防止棒54、54からなるように説明したが、1本から構成することもできるし、3本以上の分割倒れ防止棒から構成することもできる。さらには、倒れ防止棒53は、金型取付方法において必ずしも必須ではない。スペーサ金型23と金型20、21の竪型型締装置2への取り付けにおいて倒れの虞がなければ倒れ防止棒53を用いる必要はない。
【0048】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は既に述べた実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能であることはいうまでもない。以上で説明した複数の例は、適宜組み合わせて実施されることもできる。
【符号の説明】
【0049】
1 射出成形機 2 竪型型締装置
3 射出装置 4 制御装置
7 ベッド 9 固定盤
10 上可動盤 11 下可動盤
12 タイバー 14 トグル機構
16 型厚調整機構 17 タイバーナット
18 スプロケット 20 上側金型
21 下側金型 23 スペーサ金型
24 連結部 25 加熱シリンダ
26 スクリュ 27 スクリュ駆動装置
28 射出ノズル 30 昇降装置
31 台車 33 昇降台
34 ボールねじ機構 36 ロケート凹部
37 スペーサ金型側ロケート凸部
39 ロケート凸部 40 スペーサ金型側ロケート凹部
42 アイボルト着脱用ボルト穴
43 ボルト穴 45 ガイド孔
47 ボルト穴 50 アイボルト
51 ボルト 53 倒れ防止棒
54 分割倒れ防止棒 56 ボルト
57 ボルト 59 張力
60 押力 63 ターンテーブル
65 くり抜き 67 貫通孔