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  • 特開-シールドマシン位置可視化システム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024089231
(43)【公開日】2024-07-03
(54)【発明の名称】シールドマシン位置可視化システム
(51)【国際特許分類】
   G06T 19/00 20110101AFI20240626BHJP
   G01C 15/00 20060101ALI20240626BHJP
   E21D 9/093 20060101ALI20240626BHJP
【FI】
G06T19/00 600
G01C15/00 104D
E21D9/093 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022204472
(22)【出願日】2022-12-21
(71)【出願人】
【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】500051672
【氏名又は名称】株式会社菱友システムズ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】新宮 康之
(72)【発明者】
【氏名】三木 浩
(72)【発明者】
【氏名】青山 哲也
(72)【発明者】
【氏名】天野 圭介
(72)【発明者】
【氏名】飯田 真啓
(72)【発明者】
【氏名】石田 新二
(72)【発明者】
【氏名】西原 邦治
【テーマコード(参考)】
2D054
5B050
【Fターム(参考)】
2D054AC01
2D054GA17
2D054GA19
2D054GA62
2D054GA92
2D054GA94
5B050BA09
5B050BA11
5B050BA13
5B050CA08
5B050DA04
5B050EA07
5B050EA19
5B050FA02
(57)【要約】      (修正有)
【課題】リアルタイムで地中のシールドマシンの地上面の位置と地上面の周囲状態との関係を容易、かつ、確実に把握するシールドマシン位置可視化システムを提供する。
【解決手段】シールドマシン位置可視化システムにおいて、管理サーバ20は、シールドマシン管理装置30から現在の地下SDのシールドマシン1のシールドマシン位置情報Dをリアルタイムで更新する。タブレット端末10は、自己位置及び撮像の光軸方向を取得するとともに、管理サーバ20からシールドマシン位置情報Dを地上面Sに投影した地上面投影情報DSを取得し、自己位置及び光軸方向をもとに、地上面投影情報DSを撮像画像上の地上面投影画像に変換して表示する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
管理サーバに、地中のシールドマシンの位置を管理するシールドマシン管理装置と、地上作業者が携帯するタブレット端末とが接続され、前記タブレット端末の撮像画面上に現在のシールドマシンの位置を表示するシールドマシン位置可視化システムであって、
前記管理サーバは、前記シールドマシン管理装置から現在の地中のシールドマシン位置情報をリアルタイムで更新し、
前記タブレット端末は、自己位置及び撮像の光軸方向を取得するとともに、前記管理サーバから前記シールドマシン位置情報を地上面に投影した地上面投影情報を取得し、前記自己位置及び前記光軸方向をもとに前記地上面投影情報を撮像画像上の地上面投影画像に変換して表示することを特徴とするシールドマシン位置可視化システム。
【請求項2】
前記タブレット端末は、前記地上面投影画像及び周囲環境が表示された撮像画像を記録することを特徴とする請求項1に記載のシールドマシン位置可視化システム。
【請求項3】
前記タブレット端末は、前記地上面投影画像を所定の透過率をもって前記撮像画像上に重畳表示することを特徴とする請求項1又は2に記載のシールドマシン位置可視化システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リアルタイムで地中のシールドマシンの地上面の位置と地上面の周囲状態との関係を容易かつ確実に把握することができるシールドマシン位置可視化システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、シールドマシンは最大で10m/日以上、掘進するため、シールドマシンの正確な位置をリアルタイムで把握することは困難であり、地上の測点から測量してシールドマシンの位置を算出していた。そこで、特許文献1では、地上にいる作業員が、リアルタイムで、自身と地中のシールドマシンの位置を容易かつ明確に把握する地上作業員へのシールド機の切羽位置可視化システムが提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6214864号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、上記の特許文献1では、シールドマシンの位置をリアルタイムで取得し、地図データ上にシールドマシンの位置を表示するようにしているが、地上面に異変が生じた場合、地中のシールドマシンと異変が生じた地上面の周囲状態との位置関係を容易かつ確実に把握することはできない。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、リアルタイムで地中のシールドマシンの地上面の位置と地上面の周囲状態との関係を容易かつ確実に把握することができるシールドマシン位置可視化システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかるシールドマシン位置可視化システムは、管理サーバに、地中のシールドマシンの位置を管理するシールドマシン管理装置と、地上作業者が携帯するタブレット端末とが接続され、前記タブレット端末の撮像画面上に現在のシールドマシンの位置を表示するシールドマシン位置可視化システムであって、前記管理サーバは、前記シールドマシン管理装置から現在の地中のシールドマシン位置情報をリアルタイムで更新し、前記タブレット端末は、自己位置及び撮像の光軸方向を取得するとともに、前記管理サーバから前記シールドマシン位置情報を地上面に投影した地上面投影情報を取得し、前記自己位置及び前記光軸方向をもとに前記地上面投影情報を撮像画像上の地上面投影画像に変換して表示することを特徴とする。
【0007】
また、本発明にかかるシールドマシン位置可視化システムは、上記の発明において、前記タブレット端末は、前記地上面投影画像及び周囲環境が表示された撮像画像を記録することを特徴とする。
【0008】
また、本発明にかかるシールドマシン位置可視化システムは、上記の発明において、前記タブレット端末は、前記地上面投影画像を所定の透過率をもって前記撮像画像上に重畳表示することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、リアルタイムで地中のシールドマシンの地上面の位置と地上面の周囲状態との関係を容易かつ確実に把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本発明の実施の形態であるシールドマシン位置可視化システムの概要構成を示す模式図である。
図2図2は、タブレット端末によるシールドマシンの地上面投影情報を撮像画像上の地上面投影画像に変換する処理を説明する説明図である。
図3図3は、地上面撮像画像を撮像画像上に表示した状態を示す図である。
図4図4は、地上面撮像画像を撮像画像上に表示した状態の一例を示す図である。
図5図5は、タブレット端末による地上面投影画像の表示処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して本発明を実施するための形態について説明する。
【0012】
<全体構成>
図1は、本発明の実施の形態であるシールドマシン位置可視化システムの概要構成を示す模式図である。また、図2は、タブレット端末10によるシールドマシン1の地上面投影情報DSを撮像画像40上の地上面投影画像41に変換する処理を説明する説明図である。さらに、図3は、地上面投影画像41を撮像画像40上に表示した状態を示す図である。
【0013】
図1に示すように、シールドマシン位置可視化システムは、管理サーバ20に、地下SDのシールドマシン1の位置を管理するシールドマシン管理装置30と、地上作業者100が携帯するタブレット端末10とがネットワークNを介して接続される。なお、管理サーバ20は、クラウド上のサーバであってもよい。
【0014】
シールドマシン1は、切羽面に向けた先端のカッターディスク2を回転させながら、切羽方向(主に-Y方向)に向けて複数のジャッキを押し出して掘り進み、後方にセグメントを連続的に構築していく。シールドマシン管理装置30は、シールドマシン1の制御を行うとともにシールドマシン1の位置を管理し、管理サーバ20に記憶されている、シールドマシン1の位置を示す3次元情報であるシールドマシン位置情報Dをリアルタイムで更新する。シールドマシン位置情報Dには、シールドマシン1を鉛直上方(+Z方向)の地上面Sに投影した地上面投影情報DSが含まれる。上記のように、シールドマシン1は、最大で10m/日以上、掘進する。なお、通常、シールドマシン1は、地下数m~数10mに位置する。なお、シールドマシン位置情報Dは、管理サーバ20側がシールドマシン管理装置30にアクセスしてシールドマシン位置情報Dを更新するようにしてもよい。
【0015】
タブレット端末10は、地上作業者が携帯する携帯端末の一例であり、自己位置及び撮像の光軸方向を取得するとともに、管理サーバ20からシールドマシン位置情報Dを地上面Sに投影した地上面投影情報DSを取得し、自己位置及び光軸方向をもとに地上面投影情報DSを撮像画像40上の地上面投影画像41に変換して撮像画像40上に表示する。
【0016】
タブレット端末10は、撮像部11、自己位置計測部12、光軸方向検出部13、入出力部14、制御部15及び記憶部17を有する。制御部15は、AR処理部16を有する。撮像部11は、撮像カメラである。自己位置計測部12は、GNSS(Global Navigation Satellite System)を用いてタブレット端末10の自己位置P0を計測する。なお、自己位置の位置検出精度を高めるためには、例えば、干渉測位方式であるRTK測位方式(Real Time Kinematic GPS)を用いるとよい。
【0017】
光軸方向検出部13は、加速度センサ及び地磁気センサを有し、撮像部11の光軸Cの向きと傾きを検出する。入出力部14は、各種情報を入出力する入出力デバイスであり、例えば、タッチパネルを用いた液晶パネルである。入出力部14は、例えば、上記の地上面投影画像41を含む撮像画像40を表示する。
【0018】
制御部15は、タブレット端末10内の各構成要素を全体制御するとともに、AR処理部16を有する。AR処理部16は、自己位置計測部12により計測した自己位置及び光軸方向検出部13により求めた撮像の光軸Cの光軸方向A1を取得するとともに、管理サーバ20からシールドマシン位置情報Dを地上面Sに投影した地上面投影情報DSを取得する。そして、AR処理部16は、自己位置及び光軸方向をもとに地上面投影情報DSを撮像画像40上の地上面投影画像41に変換して撮像画像40上に表示するAR(Augmented Reality:拡張現実)処理を行う。
【0019】
記憶部17は、各種情報を記憶する記憶デバイスであり、特に、地上面投影画像41が表示された撮像画像40が記録される。この際、時間情報も付加するとよい。
【0020】
<地上面投影画像への変換>
図2の撮像画像40は、撮像部11により撮像された画像を便宜的に視野側に示したものである。AR処理部16は、自己位置P0及び光軸Cが取得されると、地上面投影情報DSを地上面投影画像41に変換する。
【0021】
例えば、自己位置P0と地上面投影情報DSの位置P1との3次元位置により、自己位置P0と位置P1を通る直線は、光軸Cに対して角度θ1をなし、位置P1は撮像画像40上の位置P2に投影される。この状態は、図3に示す位置P1(P2)として一意に決定されて表示される。同様にして、地上面投影情報PSの他の位置も地上面投影画像41として表示される。なお、撮像画像40には、光軸Cを中心にした画角内、例えば角度θの2倍の角度範囲内の画像が表示される。
【0022】
具体的には、図4に示すように、タブレット端末10の表示画面に表示された撮像画像40上の道路に、シールドマシン1の地上面投影画像41が表示される。なお、地上面投影画像41は、掘削方向を示すカッターディスク2の位置を含めて示すとよい。また、地上面投影画像41は、詳細な投影画像でなく、輪郭などを示した簡易画像とすると、シールドマシン1の位置が把握しやすくなる。
【0023】
なお、地上面投影画像41は所定の透過率、例えば50%で撮像画像40上に重畳表示するとよい。この場合、地上面投影画像41内に地形変動などの領域が含まれる場合に有効である。
【0024】
<地上面投影画像の表示処理>
図5は、タブレット端末10による地上面投影画像41の表示処理手順を示すフローチャートである。図5に示すように、タブレット端末10は、まず撮像部11による撮像を開始する(ステップS101)。その後、シールドマシン表示(地上面投影画像41の表示)の指示を受ける(ステップS102)。その後、管理サーバ20から地上面投影情報DSを取得し(ステップS103)、自己位置計測部12により自己位置P0を取得し(ステップS104)、光軸方向検出部13により光軸Cの光軸方向A1を取得する(ステップS105)。
【0025】
その後、タブレット端末10は、AR処理部16により、自己位置P0及び光軸Cの光軸方向A1をもとに、地上面投影情報DSを撮像画像40上の地上面投影画像41に変換して撮像画像40上に表示する(ステップS106)。その後、地上面投影画像41を含む撮像画像40を記憶部17に記録し(ステップS107)、本処理を終了する。
【0026】
本実施の形態では、地上面投影画像41を含む撮像画像40を表示することができるので、リアルタイムで地中のシールドマシン1の地上面Sの位置と地上面Sの周囲状態との関係を容易かつ確実に把握することができる。
【0027】
また、地上面Sに異変が確認された場合、地上面投影画像41及び異変が生じた状況画像を含む撮像画像40を記録して残すことができるため、異変発生状況の解析等を容易にかつ迅速に行うことができる。また、この地上面投影画像41及び異変が生じた状況画像を含む撮像画像40は、住民などに対する説明資料として有効活用することができる。
【0028】
なお、シールドマシン1の3次元画像を撮像画像40内に表示してもよいが、上記のように、シールドマシン1が地中深く配置されている場合には、シールドマシン1が小さく表示されるとともに、地上面Sに発生した異変等の位置関係などの把握が3次元となり、把握しにくいが、本実施の形態では、同じ地上面S上に、地上面投影画像41と異変等が発生した箇所との位置関係を2次元で表示するため、シールドマシン1と異変等との関係を容易かつ迅速に把握することができる。
【0029】
また、上記の実施の形態において、位置精度向上のため、RTK測位方式(Real Time Kinematic GPS)により測位を行う場合、受信器を別途設け、GNSSアンテナをヘルメットなどに装着したウェアラブルにするとよい。この場合、GNSSアンテナの位置が自己位置となるが、タブレット端末10の位置との誤差は小さい。
【0030】
なお、上述した実施の形態で図示した各構成は機能概略的なものであり、必ずしも物理的に図示の構成をされていることを要しない。すなわち、各装置及び構成要素の分散・統合の形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を各種の使用状況などに応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。
【符号の説明】
【0031】
1 シールドマシン
2 カッターディスク
10 タブレット端末
11 撮像部
12 自己位置計測部
13 光軸方向検出部
14 入出力部
15 制御部
16 AR処理部
17 記憶部
20 管理サーバ
30 シールドマシン管理装置
40 撮像画像
41 地上面投影画像
100 地上作業者
A1 光軸方向
C 光軸
D シールドマシン位置情報
DS 地上面投影情報
N ネットワーク
P0 自己位置
P1,P2 位置
S 地上面
SD 地下
θ,θ1 角度
図1
図2
図3
図4
図5