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特開2024-89239スーパージャンクション構造を有する半導体装置およびその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024089239
(43)【公開日】2024-07-03
(54)【発明の名称】スーパージャンクション構造を有する半導体装置およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 29/78 20060101AFI20240626BHJP
   H01L 29/12 20060101ALI20240626BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20240626BHJP
   H01L 21/265 20060101ALI20240626BHJP
【FI】
H01L29/78 652H
H01L29/78 652T
H01L29/78 652D
H01L29/78 658G
H01L29/78 658A
H01L21/265 F
H01L21/265 R
H01L29/78 653A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022204488
(22)【出願日】2022-12-21
(71)【出願人】
【識別番号】518453730
【氏名又は名称】三安ジャパンテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100171077
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々木 健
(72)【発明者】
【氏名】綾 淳
(72)【発明者】
【氏名】中村 浩
(72)【発明者】
【氏名】塩井 伸一
(57)【要約】
【課題】安定した性能を得ることができるスーパージャンクション構造を有する半導体装置を提供する。
【解決手段】半導体装置は、第1導電型の半導体で形成されたドレイン層と、前記ドレイン層の第1面において第1導電型の半導体で形成されたドリフト層と、前記ドリフト層において複数の第1導電型のカラムと複数の第2導電型のカラムとが交互に並んだカラム構造と、を備え、前記第2導電型のカラムは、断面視において多段ののこぎり状の外側部を有した。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1導電型の半導体で形成されたドレイン層と、
前記ドレイン層の一面において第1導電型の半導体で形成されたドリフト層と、
前記ドリフト層において複数の第1導電型のカラムと複数の第2導電型のカラムとが交互に並んだカラム構造と、
を備え、
前記第2導電型のカラムは、断面視において多段ののこぎり状の外側部を有したスーパージャンクション構造を有する半導体装置。
【請求項2】
前記第2導電型のカラムは、
第2導電型の不純物層と、
前記不純物層の内部に形成された充填層と、
を備えた請求項1に記載のスーパージャンクション構造を有する半導体装置。
【請求項3】
前記充填層は、絶縁体または半導体で形成された請求項2に記載のスーパージャンクション構造を有する半導体装置。
【請求項4】
前記不純物層の不純物濃度は、1.0×1017cm-3以上1.0×1020cm-3以下である請求項2または請求項3に記載のスーパージャンクション構造を有する半導体装置。
【請求項5】
前記第1導電型のカラムは、第1導電型の炭化珪素で形成され、
前記不純物層は、第2導電型の炭化珪素で形成された請求項2または請求項3に記載のスーパージャンクション構造を有する半導体装置。
【請求項6】
第1導電型の半導体で形成されたドレイン層にエピタキシャル成長により第1導電型のドリフト層を形成するドリフト層形成工程と、
前記ドリフト層において、断面視が多段ののこぎり状の外側部となるように複数の第2導電型のカラムを形成する第2導電型カラム形成工程と、
を備えたスーパージャンクション構造を有する半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記第2導電型カラム形成工程は、
前記複数の第2導電型のカラムが形成される領域に対応する位置に開口部が形成されたマスクを用いて、不純物をイオン注入するイオン注入工程と、
前記マスクをそのまま用いて前記イオン注入された領域の一部をエッチングするエッチング工程と、
を繰り返すことで、断面視が多段ののこぎり状の外側部となるように複数の第2導電型のカラムを形成する請求項6に記載のスーパージャンクション構造を有する半導体装置の製造方法。
【請求項8】
前記イオン注入工程は、上面視において、前記不純物が存在する領域の一部が前記マスクの開口部よりも外側に広がるようにイオン注入する請求項7に記載のスーパージャンクション構造を有する半導体装置の製造方法。
【請求項9】
前記イオン注入工程と前記エッチング工程とが繰り返された後、前記エッチング工程により形成された溝を絶縁体または半導体で充填する充填工程、
を備えた請求項7または請求項8に記載のスーパージャンクション構造を有する半導体装置の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、スーパージャンクション構造を有する半導体装置およびその製造方法に関連する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、スーパージャンクション構造を有する半導体装置を開示する。当該半導体装置においては、第1導電型の半導体に対し、エッチングにより溝が形成される。当該溝に対し、第2導電型の層がエピタキシャル成長により形成される。その結果、スーパージャンクション構造が得られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-102087号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の半導体装置においては、当該溝に対し、第2導電型の層がエピタキシャル成長により形成される際、当該溝の開口部が塞がりやすい。このため、溝の内部にボイドが残留しやすく、安定した性能を得ることができない。
【0005】
本開示は、上述の課題を解決するためになされた。本開示の目的は、安定した性能を得ることができるスーパージャンクション構造を有する半導体装置およびその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係るスーパージャンクション構造を有する半導体装置は、
第1導電型の半導体で形成されたドレイン層と、
前記ドレイン層の一面において第1導電型の半導体で形成されたドリフト層と、
前記ドリフト層において複数の第1導電型のカラムと複数の第2導電型のカラムとが交互に並んだカラム構造と、
を備え、
前記第2導電型のカラムは、断面視において多段ののこぎり状の外側部を有したスーパージャンクション構造を有する半導体装置とした。
【0007】
前記第2導電型のカラムは、
第2導電型の不純物層と、
前記不純物層の内部に形成された充填層と、
を備えたことが、本開示の一形態とされる。
【0008】
前記充填層は、絶縁体または半導体で形成されたことが、本開示の一形態とされる。
【0009】
前記不純物層の不純物濃度は、1.0×1017cm-3以上1.0×1020cm-3以下であることが、本開示の一形態とされる。
【0010】
前記第1導電型のカラムは、第1導電型の炭化珪素で形成され、
前記不純物層は、第2導電型の炭化珪素で形成されたことが、本発明の一形態とされる。
【0011】
本開示に係るスーパージャンクション構造を有する半導体装置の製造方法は、
第1導電型の半導体で形成されたドレイン層にエピタキシャル成長により第1導電型のドリフト層を形成するドリフト層形成工程と、
前記ドリフト層において、断面視が多段ののこぎり状の外側部となるように複数の第2導電型のカラムを形成する第2導電型カラム形成工程と、
を備えたスーパージャンクション構造を有する半導体装置の製造方法とした。
【0012】
前記第2導電型カラム形成工程は、
前記複数の第2導電型のカラムが形成される領域に対応する位置に開口部が形成されたマスクを用いて、不純物をイオン注入するイオン注入工程と、
前記マスクをそのまま用いて前記イオン注入された領域の一部をエッチングするエッチング工程と、
を繰り返すことで、断面視が多段ののこぎり状の外側部となるように複数の第2導電型のカラムを形成することが、本開示の一形態とされる。
【0013】
前記イオン注入工程は、上面視において、前記不純物が存在する領域の一部が前記マスクの開口部よりも外側に広がるようにイオン注入することが、本開示の一形態とされる。
【0014】
前記イオン注入工程と前記エッチング工程とが繰り返された後、前記エッチング工程により形成された溝を絶縁体または半導体で充填する充填工程、
を備えたことが、本開示の一形態とされる。
【発明の効果】
【0015】
本開示によれば、安定した性能を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施の形態1における半導体装置の断面図である。
図2】実施の形態1における半導体装置の製造方法を説明するための断面図である。
図3】実施の形態1における半導体装置の製造方法を説明するための断面図である。
図4】実施の形態1における半導体装置の製造方法を説明するための断面図である。
図5】実施の形態1における半導体装置の第2導電型の不純物層の形成方法を説明するための図である。
図6】実施の形態2における半導体装置の断面図である。
図7】実施の形態2における半導体装置の製造方法を説明するための断面図である。
図8】実施の形態2における半導体装置の製造方法を説明するための断面図である。
図9】実施の形態2における半導体装置の製造方法を説明するための断面図である。
図10】実施の形態2における半導体装置の製造方法を説明するための断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
実施の形態について添付の図面に従って説明する。なお、各図中、同一または相当する部分には同一の符号が付される。当該部分の重複説明は適宜に簡略化ないし省略される。
【0018】
実施の形態1.
図1は実施の形態1における半導体装置の断面図である。
【0019】
図1において、半導体装置1は、スーパージャンクション構造を有する炭化珪素のプレーナー型MOSFETである。半導体装置1は、ドレイン層2とドリフト層3と複数のボディ層4と複数のソース層5と複数のボディコンタクト層6と複数のゲート絶縁層7と複数のゲート電極層8と複数の層間絶縁層9と複数のソース電極層10と配線電極層11とドレイン電極層12と複数の不純物層13と複数の充填層14とを備える。
【0020】
ドレイン層2は、第1導電型の炭化珪素で形成される。例えば、ドレイン層2は、n型の4H-SiCで形成される。例えば、ドレイン層2は、窒素を不純物として形成される。ドリフト層3は、ドレイン層2の第1面(図1においては上面)に形成される。ドリフト層3は、ドレイン層2よりも低不純物濃度の第1導電型の炭化珪素で形成される。例えば、ドリフト層3は、n型の層である。例えば、ドリフト層3は、エピタキシャル成長によりドレイン層2の上に形成される。
【0021】
複数のボディ層4は、ドリフト層3の上に形成される。複数のボディ層4は、第2導電型の炭化珪素で形成される。例えば、複数のボディ層4は、p型の層である。例えば、複数のボディ層4は、アルミニウムを不純物としてイオン注入法により形成される。複数のソース層5は、複数のボディ層4のそれぞれの上に形成される。複数のソース層5は、ドリフト層3よりも高不純物濃度の第1導電型の炭化珪素で形成される。例えば、複数のソース層5は、n型の層である。例えば、複数のソース層5は、窒素を不純物としてイオン注入法により形成される。複数のボディコンタクト層6は、複数のボディ層4のそれぞれの上に形成される。複数のボディ層4のそれぞれにおいて、ボディコンタクト層6は、ソース層5に囲まれる。複数のボディコンタクト層6は、複数のボディ層4よりも高不純物濃度の第2導電型の炭化珪素で形成される。例えば、複数のボディコンタクト層6は、p型の層である。例えば、複数のボディコンタクト層6は、アルミニウムを不純物としてイオン注入法により形成される。
【0022】
複数のゲート絶縁層7は、隣接したボディ層4のそれぞれのソース層5と接触するように形成される。具体的には、複数のゲート絶縁層7は、ドリフト層3と隣接したボディ層4と、その内側に存在するそれぞれのソース層5にまたがるように形成される。例えば、複数のゲート絶縁層7は、熱酸化により形成される。複数のゲート電極層8は、複数のゲート絶縁層7の上にそれぞれ形成される。例えば、複数のゲート電極層8は、CVD法によりポリシリコンで形成される。
【0023】
複数の層間絶縁層9は、複数のゲート電極層8をそれぞれ覆うように形成される。例えば、複数の層間絶縁層9は、CVD法により形成される。複数のソース電極層10は、複数のボディ層4のそれぞれに対応して形成される。ソース電極層10は、ソース層5と接触するように形成される。ソース電極層10は、ボディコンタクト層6にまたがるように形成されてもよい。例えば、複数のソース電極層10は、スパッタ法によりNi、Ti等を成膜し、熱処理して形成される。配線電極層11は、複数のソース電極層10を覆うように形成される。例えば、配線電極層11は、スパッタ法によりアルミニウム合金などで形成される。
【0024】
ドレイン電極層12は、ドレイン層2の第2面(図1においては下面)に形成される。例えば、ドレイン電極層12は、スパッタ法によりNi等を成膜し、熱処理して形成される。
【0025】
本実施の形態では、カラム構造Cがドリフト層3に形成される。カラム構造Cにおいては、複数の第1導電型のカラムC1と複数の第2導電型のカラムC2とが交互に並ぶ。複数の第1導電型のカラムC1は、ドリフト層3として形成された層の一部である。複数の第2導電型のカラムC2は、ドリフト層3として形成された層と別に形成される。
【0026】
複数の第2導電型のカラムC2の各々は、ソース電極層10の下方に形成される。複数の第2導電型のカラムC2の各々において、上部は、ボディ層4とソース層5とボディコンタクト層6とに囲まれる。複数の第2導電型のカラムC2の各々は、断面視において多段ののこぎり状の外側部を有する。具体的には、複数の第2導電型のカラムC2の各々においては、複数の第1傾斜部A1と複数の第2傾斜部A2とがドリフト層3の厚み方向に交互に並ぶ。第1傾斜部A1は、ドレイン層2の一面(図1においては上面)から他面(図1においては下面)に向かうにつれて横方向に広がるように形成される。第2傾斜部A2は、ドレイン層2の一面から他面に向かうにつれて横方向につぼまるように形成される。この際、第2傾斜部A2は、第1傾斜部A1が広がり具合よりも急激な具合でつぼまるように形成される。
【0027】
より具体的には、複数の第2導電型のカラムC2の各々は、不純物層13と充填層14とを備える。不純物層13は、第2導電型のカラムC2の外側部を形成する。不純物層13は、第2導電型の炭化珪素で形成される。不純物層13は、p型の層である。例えば、不純物層13は、アルミニウムを不純物としてイオン注入法により形成される。不純物層13の不純物濃度は、1.0×1017cm-3以上1.0×1020cm-3以下である。充填層14は、不純物層13の内部に形成される。充填層14は、絶縁体または半導体で形成される。例えば、充填層14は、二酸化珪素で形成される。
【0028】
このように、本実施の形態では、ドリフト層3において、複数の第1導電型のカラムC1と複数の第2導電型のカラムC2とが交互に並んで、縦溝構造が形成される。この場合、電圧が印加されると、空乏層が横方向に広がる。その結果、溝の深さ分の空乏層が形成される。この際、溝の間隔の半分だけ空乏層が広がるだけで、溝の深さ分の厚みの空乏層が形成される。このように、空乏層の広がりは小さくてよく、ドリフト層3の不純物濃度は、スーパージャンクション構造でない場合に比べて5倍程度に上げ得る。このため、ON抵抗が小さくなる。
【0029】
なお、当該原理においては、溝、溝の間隔は可能な限り細くかつ深くすることが好ましい。当該原理においては、従来のMOSFETとは異なるメカニズムで耐圧が確保される。このため、いわゆるシリコンリミット、SiCのリミットを超える性能が引き出される。
【0030】
次に、図2から図4を用いて、半導体装置1の製造方法を説明する。
図2から図4は実施の形態1における半導体装置の製造方法を説明するための断面図である。
【0031】
まず、図2の最上段に示されるように、ドリフト層形成工程が行われる。ドリフト層形成工程においては、ドリフト層3がドレイン層2の上に形成される。その後、図2の上から2段目に示されるように、3種のイオン注入工程が行われる。3種のイオン注入の各々においては、まず、レジストパターンが形成される。その後、イオン注入が行われる。その後、レジストパターンが除去される。その結果、p型のイオン注入部とn型のイオン注入部とp型のイオン注入部が形成される。p型のイオン注入部は、ボディ層4となる。n型のイオン注入部は、ソース層5となる。p型のイオン注入部は、ボディコンタクト層6となる。その後、図2の上から3段目に示されるように、マスクパターン形成工程が行われる。マスクパターン形成工程においては、二酸化珪素層15が形成される。その後、レジストパターンが形成される。その後、ドライエッチングが行われる。その後、レジストパターンが除去される。その結果、二酸化珪素層15のマスクパターンが形成される。
【0032】
その後、図2の上から4段目から最下段、図3の最上段に示されるように、第2導電型カラム形成工程として、イオン注入工程とエッチング工程とが繰り返される。具体的には、図2の上から4段目に示されるように、イオン注入工程においては、二酸化珪素層15の開口部に対応した位置でアルミニウム等の不純物がイオン注入される。この際、上面視において、不純物が存在する領域の一部がマスクパターンの開口部よりも外側に広がるようにイオン注入が行われる。その結果、p型のイオン注入部Dが形成される。その後、図2の上から5段目に示されるように、エッチング工程においては、二酸化珪素層15の開口部に対応した位置で、p型のイオン注入部Dがエッチングされる。この際、二酸化珪素層15も目減りする。その後、図2の最下段に示されるように、イオン注入工程においては、二酸化珪素層15の開口部に対応した位置でアルミニウム等の不純物がさらにイオン注入される。この際、上面視において、不純物が存在する領域の一部がマスクパターンの開口部よりも外側に広がるようにイオン注入が行われる。その結果、p型のイオン注入部Dがさらに形成される。その後、図3の最上段に示されるように、エッチング工程においては、二酸化珪素層15の開口部に対応した位置で、p型のイオン注入部Dがさらにエッチングされる。この際、二酸化珪素層15もさらに目減りする。
【0033】
このように、イオン注入工程とエッチング工程とが交互に複数回行われる。その結果、図3の上から2段目に示されるように、多段ののこぎり状の不純物層13が形成される。その後、図3の上から3段目に示されるように、マスクパターン除去工程が行われる。マスクパターン除去工程においては、二酸化珪素層15が除去される。その後、カーボンキャップ形成工程が行われる。カーボンキャップ形成工程においては、カーボンキャップが形成される。その後、アニール工程が行われる。アニール工程においては、イオン注入された不純物元素(ドーパント)を活性化させるために、アニール処理が高温の雰囲気の中で行われる。その後、カーボンキャップ除去工程が行われる。カーボンキャップ除去工程においては、カーボンキャップが除去される。
【0034】
その後、図3の上から4段目に示されるように、充填工程が行われる。充填工程においては、二酸化珪素層16が形成される。二酸化珪素層16は、エッチング工程により形成された溝にも充填される。その後、図3の上から5段目に示されるように、エッチバック工程が行われる。エッチバック工程においては、二酸化珪素層16がドリフト層3の上面まで除去される。その結果、充填層14が形成される。
【0035】
その後、図3の最下段に示されるように、ゲート絶縁層形成工程が行われる。ゲート絶縁層形成工程においては、ゲート絶縁膜が形成される。その後、レジストパターンが形成される。その後、ゲート絶縁膜がエッチングされる。その後、レジストパターンが除去される。その結果、ゲート絶縁層7が形成される。
【0036】
その後、図4の最上段に示されるように、ゲート電極層形成工程が行われる。ゲート電極層形成工程においては、ポリシリコン膜が形成される。その後、レジストパターンが形成される。その後、ポリシリコン膜がエッチングされる。その後、レジストパターンが除去される。その結果、ゲート電極層8が形成される。その後、図4の上から2段目に示されるように、ソース電極層形成工程が行われる。ソース電極層形成工程においては、金属膜が形成される。その後、レジストパターンが形成される。その後、金属膜がエッチングされる。その後、レジストパターンが除去される。その後、メタルシンターが行われる。その結果、ソース電極層10が形成される。
【0037】
その後、図4の上から3段目に示されるように、層間絶縁層形成工程が行われる。層間絶縁層形成工程においては、層間絶縁層9が形成される。その後、図4の上から4段目に示されるように、配線電極層形成工程が行われる。配線電極層形成工程においては、配線電極層11が形成される。その後、図4の最下段に示されるように、ドレイン電極層形成工程が行われる。ドレイン電極層形成工程においては、金属膜が形成される。その後、レーザーアニールが行われる。その結果、ドレイン電極層12が形成される。
【0038】
次に、図5を用いて、第2導電型の不純物層13の形成方法を説明する。
図5は実施の形態1における半導体装置の第2導電型の不純物層の形成方法を説明するための図である。
【0039】
図5は、アルミニウムを不純物として炭化珪素のドリフト層3にイオン注入した際のプロファイルを示す。図5に示されるように、各イオン注入工程においては、不純物は、放射状に広がる。この際のイオン注入の深さは、例えば0.7μm程度である。また、イオン注入の横方向の広がりは、例えば0.2μm程度である。図5においては示されないが、このようなイオン注入が深さを変えて繰り返されることで、複数の第2導電型のカラムC2の各々において、外側部は、複数の第1傾斜部A1と複数の第2傾斜部A2とがドリフト層3の厚み方向に交互に並ぶように形成される。
【0040】
以上で説明された実施の形態1によれば、複数の第2導電型のカラムC2は、断面視において多段ののこぎり状の外側部を有する。具体的には、第2導電型のカラムC2は、不純物層13と充填層14とで形成される。このため、ボイドも発生しない。その結果、安定した性能の半導体装置1を容易に製造することができる。
【0041】
なお、複数の第2導電型のカラムC2の断面視において、ボディ層4よりも上の不純物層13はなくてもよい。この場合、安定した性能の半導体装置1をより安価に製造することができる。
【0042】
また、充填層14は、絶縁体または半導体で形成される。このため、安定した性能の半導体装置1をより容易に製造することができる。
【0043】
また、不純物層13の不純物濃度は、1.0×1017cm-3以上1.0×1020cm-3以下である。このため、安定した性能をより確実に得ることができる。
【0044】
また、第1導電型のカラムC1は、第1導電型の炭化珪素で形成される。不純物層13は、第2導電型の炭化珪素で形成される。このため、炭化珪素の半導体装置1において、安定した性能を得ることができる。
【0045】
また、ドリフト層3において、断面視が多段ののこぎり状の外側部となるように複数の第2導電型のカラムC2が形成される。このため、安定した性能の半導体装置1を容易に製造することができる。
【0046】
また、イオン注入工程とエッチング工程とが繰り返されることで、断面視が多段ののこぎり状の外側部となるように複数の第2導電型のカラムC2が形成される。この際、イオン注入工程において、不純物は、マスクパターンの開口部に対応した位置で行われる。エッチング工程において、マスクパターンは、そのまま用いられる。このため、各段毎のフォトリソグラフィが不要でマスク合わせも不要となる。さらに、高アスペクト比での深い領域のイオン注入の問題もない。このため、プロセスが非常に簡素化される。その結果、安定した性能の半導体装置1を容易に製造することができる。
【0047】
例えば、SF6-0-Ar雰囲気のICP-RIEによる炭化珪素エッチングでは、選択比は8にできる。この場合、エッチング工程において二酸化珪素層15が目減りするとしても、マスクパターンを変えずにイオン注入工程とエッチング工程とを複数回繰り返すことができる。例えば、二酸化珪素層15の膜厚を2μmにした場合、炭化珪素層の膜厚16μmまでエッチング可能となる。このことは、スーパージャンクション構造を有しない耐圧1000V程度の炭化珪素半導体装置のドリフト層3の厚み(10μm前後)より深くエッチングできることを意味する。また、スーパージャンクション構造を有する場合には、スーパージャンクション構造を有しない場合より、ドリフト層3の厚みをより薄くできる。このため、二酸化珪素層15の膜厚を2μmより薄くすることができ、安定した性能の半導体装置1をより容易に製造することができる。
【0048】
また、イオン注入工程では、上面視において、不純物が存在する領域の一部がマスクパターンの開口部よりも外側に広がるようにイオン注入が行われる。このため、安定した性能の半導体装置1を容易に製造することができる。
【0049】
また、イオン注入工程とエッチング工程とが繰り返された後、エッチング工程により形成された溝は、絶縁体または半導体で充填される。このため、ボイドも発生しない。その結果、安定した性能の半導体装置1を容易に製造することができる。
【0050】
実施の形態2.
図6は実施の形態2における半導体装置の断面図である。なお、実施の形態1の部分と同一又は相当部分には同一符号が付される。当該部分の説明は省略される。
【0051】
図6に示されるように、半導体装置1は、トレンチ型MOSFETである。当該半導体装置1に対しても、複数の不純物層13と複数の充填層14とが付加される。
【0052】
次に、図7から図10を用いて、半導体装置1の製造方法を説明する。
図7から図10は実施の形態2における半導体装置の製造方法を説明するための断面図である。
【0053】
まず、図7の最上段に示されるように、ドリフト層形成工程が行われる。ドリフト層形成工程においては、ドリフト層3がドレイン層2の上に形成される。その後、図7の上から2段目に示されるように、ボディ層形成工程とソース層形成工程とが行われる。ボディ層形成工程においては、ボディ層4が形成される。ソース層形成工程においては、ソース層5が形成される。
【0054】
その後、図7の上から3段目に示されるように、レジストパターン形成工程が行われる。レジストパターン形成工程においては、レジストパターンが形成される。その後、図7の上から4段目に示されるように、イオン注入工程が行われる。イオン注入工程においては、レジストパターンの開口部に対応した位置でアルミニウムのイオンが注入される。その結果、p型のボディコンタクト層6が形成される。
【0055】
その後、図7の上から5段目に示されるように、レジストパターン除去工程が行われる。レジストパターン除去工程においては、レジストパターンが除去される。その後、図7の最下段に示されるように、マスクパターン形成工程が行われる。マスクパターン形成工程においては、二酸化珪素層15が形成される。その後、レジストパターンが形成される。その後、ドライエッチングが行われる。その後、レジストパターンが除去される。その結果、二酸化珪素層15のマスクパターンが形成される。
【0056】
その後、図8の最上段から上から4段目に示されるように、イオン注入工程とエッチング工程とが繰り返される。具体的には、図8の最上段に示されるように、イオン注入工程においては、二酸化珪素層15の開口部に対応した位置でアルミニウム等の不純物がイオン注入される。この際、上面視において、不純物が存在する領域の一部がマスクパターンの開口部よりも外側に広がるようにイオン注入が行われる。その結果、p型のイオン注入部Dが形成される。その後、図8の上から2段目に示されるように、エッチング工程においては、二酸化珪素層15の開口部に対応した位置で、p型のイオン注入部Dがエッチングされる。この際、二酸化珪素層15も目減りする。その後、図8の上から3段目に示されるように、イオン注入工程においては、二酸化珪素層15の開口部に対応した位置でアルミニウム等の不純物がさらにイオン注入される。この際、上面視において、不純物が存在する領域の一部がマスクパターンの開口部よりも外側に広がるようにイオン注入が行われる。その結果、p型のイオン注入部Dがさらに形成される。その後、図8の上から4段目に示されるように、二酸化珪素層15の開口部に対応した位置で、p型のイオン注入部Dがさらにエッチングされる。この際、二酸化珪素層15もさらに目減りする。
【0057】
このように、イオン注入工程とエッチング工程とが交互に複数回行われる。その結果、図8の上から5段目に示されるように、多段ののこぎり状の不純物層13が形成される。その後、図8の最下段に示されるように、マスクパターン除去工程が行われる。マスク除去工程においては、二酸化珪素層15が除去される。その後、カーボンキャップ形成工程が行われる。カーボンキャップ形成工程においては、カーボンキャップ(図示されず)が形成される。その後、アニール工程が行われる。アニール工程においては、イオン注入された不純物元素(ドーパント)を活性化させるために、アニール処理が高温の雰囲気の中で行われる。その後、カーボンキャップ除去工程が行われる。カーボンキャップ除去工程においては、カーボンキャップが除去される。
【0058】
その後、図9の最上段に示されるように、充填工程が行われる。充填工程においては、二酸化珪素層16が形成される。二酸化珪素層16は、エッチング工程により形成された溝にも充填される。その後、図9の上から2段目に示されるように、エッチバック工程が行われる。エッチバック工程においては、二酸化珪素層16がソース層5の上面まで除去される。その結果、充填層14が形成される。
【0059】
その後、図9の上から3段目に示されるように、トレンチエッチング工程が行われる。トレンチエッチング工程においては、まず、レジストが塗布される。その後、露光が行われる。その後、現像が行われる。その後、エッチングが行われる。その後、レジストが除去される。その結果、溝が形成される。その後、図9の上から4段目に示されるように、ゲート絶縁層形成工程が行われる。ゲート絶縁層形成工程においては、ゲート絶縁膜が形成される。その後、レジストパターンが形成される。その後、ゲート絶縁膜がエッチングされる。その後、レジストパターンが除去される。その結果、ゲート絶縁層7が形成される。
【0060】
その後、図9の上から5段目に示されるように、ゲート電極層形成工程が行われる。ゲート電極層形成工程においては、ゲート電極層形成工程が行われる。ゲート電極層形成工程においては、ポリシリコン膜が形成される。その後、レジストパターンが形成される。その後、ポリシリコン膜がエッチングされる。その後、レジストパターンが除去される。その結果、ゲート電極層8が形成される。その後、図9の最下段に示されるように、ソース電極層形成工程が行われる。ソース電極層形成工程においては、金属膜が形成される。その後、レジストパターンが形成される。その後、金属膜がエッチングされる。その後、レジストパターンが除去される。その後、メタルシンターが行われる。その結果、ソース電極層10が形成される。
【0061】
その後、図10の上段に示されるように、層間絶縁層形成工程が行われる。層間絶縁層形成工程においては、層間絶縁層9が形成される。その後、図10の中段に示されるように、配線電極層形成工程が行われる。配線電極層形成工程においては、配線電極層11が形成される。その後、図10の下段に示されるように、ドレイン電極層形成工程が行われる。ドレイン電極層形成工程においては、金属膜が形成される。その後、レーザーアニールが行われる。その結果、ドレイン電極層12が形成される。
【0062】
以上で説明された実施の形態2によれば、トレンチ型の半導体装置1において、前記複数の第2導電型のカラムC2は、断面視において多段ののこぎり状の外側部を有する。このため、トレンチ型の半導体装置1においても、安定した性能を得ることができる。
【0063】
なお、実施の形態1または実施の形態2において、第1導電型をp型とし、第2導電型をn型としてもよい。この場合も、安定した性能を得ることができる。
【0064】
また、実施の形態1または実施の形態2の構成を珪素を主成分とする半導体装置1に適用してもよい。この場合も、安定した性能を得ることができる。
【0065】
少なくとも一つの実施形態のいくつかの側面が説明されたが、様々な改変、修正および改善が当業者にとって容易に想起されることを理解されたい。かかる改変、修正および改善は、本開示の一部となることが意図され、かつ、本開示の範囲内にあることが意図される。
【0066】
理解するべきことだが、ここで述べられた方法および装置の実施形態は、上記説明に記載され又は添付図面に例示された構成要素の構造および配列の詳細への適用に限られない。方法および装置は、他の実施形態で実装し、様々な態様で実施又は実行することができる。
【0067】
特定の実装例は、例示のみを目的としてここに与えられ、限定されることを意図しない。
【0068】
本開示で使用される表現および用語は、説明目的であって、限定としてみなすべきではない。ここでの「含む」、「備える」、「有する」、「包含する」およびこれらの変形の使用は、以降に列挙される項目およびその均等物並びに付加項目の包括を意味する。
【0069】
「又は(若しくは)」の言及は、「又は(若しくは)」を使用して記載される任意の用語が、当該記載の用語の一つの、一つを超える、およびすべてのものを示すように解釈され得る。
【0070】
前後左右、頂底上下、横縦、表裏への言及は、いずれも、記載の便宜を意図する。当該言及は、本開示の構成要素がいずれか一つの位置的又は空間的配向に限られるものではない。したがって、上記説明および図面は、例示にすぎない。
【符号の説明】
【0071】
1 半導体装置、 2 ドレイン層、 3 ドリフト層、 4 ボディ層、 5 ソース層、 6 ボディコンタクト層、 7 ゲート絶縁層、 8 ゲート電極層、 9 層間絶縁層、 10 ソース電極層、 11 配線電極層、 12 ドレイン電極層、 13 不純物層、 14 充填層、 15 二酸化珪素層、 16 二酸化珪素層

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10