(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024089259
(43)【公開日】2024-07-03
(54)【発明の名称】情報処理装置及び情報処理方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 20/12 20120101AFI20240626BHJP
【FI】
G06Q20/12 300
【審査請求】有
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022204519
(22)【出願日】2022-12-21
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-08-09
(71)【出願人】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【弁理士】
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【弁理士】
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(72)【発明者】
【氏名】江田 哲平
(72)【発明者】
【氏名】下平 正人
【テーマコード(参考)】
5L020
5L055
【Fターム(参考)】
5L020AA27
5L055AA27
(57)【要約】
【課題】非代替性トークンの価値に基づいてユーザの与信を実行する。
【解決手段】情報処理装置1は、ユーザに関する第1のコンテンツに関連付けられ、ブロックチェーンに登録されている非代替性トークンであって、価値を特定する対象の非代替性トークンである対象トークンを特定するとともに、ユーザに関する第2のコンテンツに関連付けられ、ブロックチェーンに登録されている非代替性トークンであって、過去に販売された前記非代替性トークンである販売済トークンを特定するトークン特定部132と、情報処理装置1は、販売済トークンの取引履歴を示す取引履歴情報を取得する取得部133と、取得した販売済トークンの取引履歴情報に基づいて対象トークンの価値を特定する価値特定部134と、特定した価値に基づいてユーザの与信を実行する与信実行部135と、実行した与信結果を出力する出力部136と、を有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザに関する第1のコンテンツに関連付けられ、ブロックチェーンに登録されている非代替性トークンであって、価値を特定する対象の非代替性トークンである対象トークンを特定するとともに、前記ユーザに関する第2のコンテンツに関連付けられ、前記ブロックチェーンに登録されている非代替性トークンであって、過去に販売された前記非代替性トークンである販売済トークンを特定するトークン特定部と、
前記トークン特定部が特定した前記販売済トークンの取引履歴を示す取引履歴情報を取得する取得部と、
前記取得部が取得した前記販売済トークンの取引履歴情報に基づいて前記対象トークンの価値を特定する価値特定部と、
前記価値特定部が特定した前記価値に基づいて前記ユーザの与信を実行する与信実行部と、
前記与信実行部が実行した与信結果を出力する出力部と、
を有する情報処理装置。
【請求項2】
前記第1のコンテンツは前記ユーザが少なくとも一部を作成したコンテンツであり、
前記トークン特定部は、前記ユーザが過去に少なくとも一部を作成した前記第2のコンテンツに関連付けられている前記販売済トークンを特定する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記第1のコンテンツは前記ユーザを題材としたコンテンツであり、
前記トークン特定部は、前記ユーザが題材とされた前記第2のコンテンツに関連付けられている前記販売済トークンを特定する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記トークン特定部は、前記ユーザが販売した前記販売済トークンを特定する、
請求項1から3のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記取引履歴情報には、前記非代替性トークンの取引金額が含まれており、
前記価値特定部は、前記取得部が取得した前記販売済トークンの取引履歴情報に含まれる前記販売済トークンの取引金額に基づいて前記対象トークンの価値を特定する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記取得部は、前記販売済トークンを前記ユーザが販売したときの取引履歴を含み、前記販売済トークンを前記ユーザと異なる他のユーザが販売したときの取引履歴を含まないように前記販売済トークンの取引履歴情報を取得し、
前記価値特定部は、前記取得部が取得した取引履歴情報が示す、前記販売済トークンを前記ユーザが販売したときの取引金額に基づいて前記価値を特定する、
請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記取得部は、非代替性トークンの取引履歴を示す取引履歴情報を記憶する前記ブロックチェーンから、前記販売済トークンの取引履歴を示す取引履歴情報を取得する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記与信実行部は、前記ユーザが後払い方式の決済手段を用いて非代替性トークンを購入する場合における前記ユーザの与信を実行する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記トークン特定部は、少なくとも一部を前記ユーザが新たに作成したコンテンツに関連付けられ、取引履歴がない非代替性トークンを前記対象トークンとして特定する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記トークン特定部は、前記対象トークンに関連付けられている前記第1のコンテンツの種別を特定し、特定した種別と同じ種別の前記第2のコンテンツに関連付けられている前記販売済トークンを特定する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記価値特定部が特定した前記対象トークンの価値に基づいて、前記対象トークンの販売額を決定する決定部を有する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項12】
前記トークン特定部は、前記ユーザが売買した前記非代替性トークンである売買トークンを特定し、
前記取得部は、前記ブロックチェーンから、前記トークン特定部が特定した一以上の前記売買トークンそれぞれに対応する前記ユーザの取引履歴を示す取引履歴情報を取得し、
前記与信実行部は、前記取得部が取得した一以上の前記売買トークンそれぞれに対応する前記ユーザの取引履歴に基づいて前記ユーザの前記売買トークンの売買実績を特定し、特定した売買実績に基づいて前記ユーザの与信を実行する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項13】
前記与信実行部は、前記取得部が取得した一以上の前記売買トークンそれぞれに対応する前記ユーザの取引履歴に基づいて、前記売買実績として、ユーザの前記非代替性トークンの取引回数を特定し、特定した取引回数が多ければ多いほど前記ユーザの与信限度額が高くなるように与信限度額を設定する、
請求項12に記載の情報処理装置。
【請求項14】
前記与信実行部は、前記ユーザの与信限度額を特定し、
前記ユーザが購入する非代替性トークンの購入金額が、前記与信実行部が特定した前記ユーザの与信限度額以下であることを条件として、後払い方式の決済手段を用いて前記ユーザによる当該購入金額に係る決済を行う決済処理部と、
前記決済処理部による決済に対応する前記購入金額の前記ユーザからの入金がない場合に、前記ユーザが保有している非代替性トークンの保有者を前記決済に係るサービスを提供する事業者に変更する変更部と、
を有する請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項15】
前記決済処理部は、前記決済に対応する前記購入金額の前記ユーザからの入金がない場合、非代替性トークンの購入に係る新たに決済を停止する、
請求項14に記載の情報処理装置。
【請求項16】
前記トークン特定部は、前記第1のコンテンツに関連付けられている前記対象トークンを特定するとともに、前記第1のコンテンツとは異なる前記第2のコンテンツに関連付けられている前記販売済トークンを特定する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項17】
前記トークン特定部は、前記第1のコンテンツに関連付けられている前記対象トークンを特定するとともに、前記第1のコンテンツと同一の前記第2のコンテンツに関連付けられている前記販売済トークンを特定する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項18】
前記トークン特定部は、前記第1のコンテンツに関連付けられている前記対象トークンを特定するとともに、当該対象トークンを前記販売済トークンとして特定する、
請求項17に記載の情報処理装置。
【請求項19】
コンピュータが実行する、
ユーザに関する第1のコンテンツに関連付けられ、ブロックチェーンに登録されている非代替性トークンであって、価値を特定する対象の非代替性トークンである対象トークンを特定するとともに、前記ユーザに関する第2のコンテンツに関連付けられ、前記ブロックチェーンに登録されている非代替性トークンであって、過去に販売された前記非代替性トークンである販売済トークンを特定するステップと、
特定した前記販売済トークンの取引履歴を示す取引履歴情報を取得するステップと、
取得した前記販売済トークンの取引履歴情報に基づいて前記対象トークンの価値を特定するステップと、
特定した前記価値に基づいて前記ユーザの与信を実行するステップと、
実行した与信の結果を示す情報を出力するステップと、
を有する情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置及び情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタルアートやゲームアイテムやトレーディングカード等のデジタルコンテンツに関連付けられ、デジタルコンテンツの唯一性や保有者を証明する非代替性トークン(NFT:Non-Fungible Token)を売買することが行われている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の技術では、ユーザが作成したデジタルコンテンツ等のデジタルコンテンツに関連付けられている非代替性トークンをユーザが保有している場合に、当該非代替性トークンの価値に基づいてユーザの与信が実行されていないという問題があった。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、非代替性トークンの価値に基づいてユーザの与信を実行可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様に係る情報処理装置は、ユーザに関する第1のコンテンツに関連付けられ、ブロックチェーンに登録されている非代替性トークンであって、価値を特定する対象の非代替性トークンである対象トークンを特定するとともに、前記ユーザに関する第2のコンテンツに関連付けられ、前記ブロックチェーンに登録されている非代替性トークンであって、過去に販売された前記非代替性トークンである販売済トークンを特定するトークン特定部と、前記トークン特定部が特定した前記販売済トークンの取引履歴を示す取引履歴情報を取得する取得部と、前記取得部が取得した前記販売済トークンの取引履歴情報に基づいて前記対象トークンの価値を特定する価値特定部と、前記価値特定部が特定した前記価値に基づいて前記ユーザの与信を実行する与信実行部と、前記与信実行部が実行した与信結果を出力する出力部と、を有する。
【0007】
前記第1のコンテンツは前記ユーザが少なくとも一部を作成したコンテンツであり、前記トークン特定部は、前記ユーザが過去に少なくとも一部を作成した前記第2のコンテンツに関連付けられている前記販売済トークンを特定してもよい。
【0008】
前記第1のコンテンツは前記ユーザを題材としたコンテンツであり、前記トークン特定部は、前記ユーザが題材とされた前記第2のコンテンツに関連付けられている前記販売済トークンを特定してもよい。
前記トークン特定部は、前記ユーザが販売した前記販売済トークンを特定してもよい。
【0009】
前記取引履歴情報には、前記非代替性トークンの取引金額が含まれており、前記価値特定部は、前記取得部が取得した前記販売済トークンの取引履歴情報に含まれる前記販売済トークンの取引金額に基づいて前記対象トークンの価値を特定してもよい。
【0010】
前記取得部は、前記販売済トークンを前記ユーザが販売したときの取引履歴を含み、前記販売済トークンを前記ユーザと異なる他のユーザが販売したときの取引履歴を含まないように前記販売済トークンの取引履歴情報を取得し、前記価値特定部は、前記取得部が取得した取引履歴情報が示す、前記販売済トークンを前記ユーザが販売したときの取引金額に基づいて前記価値を特定してもよい。
【0011】
前記取得部は、非代替性トークンの取引履歴を示す取引履歴情報を記憶する前記ブロックチェーンから、前記販売済トークンの取引履歴を示す取引履歴情報を取得してもよい。
前記与信実行部は、前記ユーザが後払い方式の決済手段を用いて非代替性トークンを購入する場合における前記ユーザの与信を実行してもよい。
【0012】
前記トークン特定部は、少なくとも一部を前記ユーザが新たに作成したコンテンツに関連付けられ、取引履歴がない非代替性トークンを前記対象トークンとして特定してもよい。
前記トークン特定部は、前記対象トークンに関連付けられている前記第1のコンテンツの種別を特定し、特定した種別と同じ種別の前記第2のコンテンツに関連付けられている前記販売済トークンを特定してもよい。
【0013】
前記情報処理装置は、前記価値特定部が特定した前記対象トークンの価値に基づいて、前記対象トークンの販売額を決定する決定部を有してもよい。
前記トークン特定部は、前記ユーザが売買した前記非代替性トークンである売買トークンを特定し、前記取得部は、前記ブロックチェーンから、前記トークン特定部が特定した一以上の前記売買トークンそれぞれに対応する前記ユーザの取引履歴を示す取引履歴情報を取得し、前記与信実行部は、前記取得部が取得した一以上の前記売買トークンそれぞれに対応する前記ユーザの取引履歴に基づいて前記ユーザの前記売買トークンの売買実績を特定し、特定した売買実績に基づいて前記ユーザの与信を実行してもよい。
【0014】
前記与信実行部は、前記取得部が取得した一以上の前記売買トークンそれぞれに対応する前記ユーザの取引履歴に基づいて、前記売買実績として、ユーザの前記非代替性トークンの取引回数を特定し、特定した取引回数が多ければ多いほど前記ユーザの与信限度額が高くなるように与信限度額を設定してもよい。
【0015】
前記与信実行部は、前記ユーザの与信限度額を特定し、前記情報処理装置は、前記ユーザが購入する非代替性トークンの購入金額が、前記与信実行部が特定した前記ユーザの与信限度額以下であることを条件として、後払い方式の決済手段を用いて前記ユーザによる当該購入金額に係る決済を行う決済処理部と、前記決済処理部による決済に対応する前記購入金額の前記ユーザからの入金がない場合に、前記ユーザが保有している非代替性トークンの保有者を前記決済に係るサービスを提供する事業者に変更する変更部と、を有してもよい。
【0016】
前記決済処理部は、前記決済に対応する前記購入金額の前記ユーザからの入金がない場合、非代替性トークンの購入に係る新たに決済を停止してもよい。
前記トークン特定部は、前記第1のコンテンツに関連付けられている前記対象トークンを特定するとともに、前記第1のコンテンツとは異なる前記第2のコンテンツに関連付けられている前記販売済トークンを特定してもよい。
【0017】
前記トークン特定部は、前記第1のコンテンツに関連付けられている前記対象トークンを特定するとともに、前記第1のコンテンツと同一の前記第2のコンテンツに関連付けられている前記販売済トークンを特定してもよい。
前記トークン特定部は、前記第1のコンテンツに関連付けられている前記対象トークンを特定するとともに、当該対象トークンを前記販売済トークンとして特定してもよい。
【0018】
本発明の第2の態様に係る情報処理方法は、コンピュータが実行する、ユーザに関する第1のコンテンツに関連付けられ、ブロックチェーンに登録されている非代替性トークンであって、価値を特定する対象の非代替性トークンである対象トークンを特定するとともに、前記ユーザに関する第2のコンテンツに関連付けられ、前記ブロックチェーンに登録されている非代替性トークンであって、過去に販売された前記非代替性トークンである販売済トークンを特定するステップと、特定した前記販売済トークンの取引履歴を示す取引履歴情報を取得するステップと、取得した前記販売済トークンの取引履歴情報に基づいて前記対象トークンの価値を特定するステップと、特定した前記価値に基づいて前記ユーザの与信を実行するステップと、実行した与信の結果を示す情報を出力するステップと、を有する。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、非代替性トークンの価値に基づいてユーザの与信を実行することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図5】情報処理装置によるユーザの与信の実行に係る処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
[情報処理装置1の概要]
図1は、情報処理装置1の概要を示す図である。情報処理装置1は、例えば、デジタルアートやゲームアイテムやトレーディングカード等のデジタルコンテンツに関連付けられているとともに所定のブロックチェーンに登録されている非代替性トークンの取引を仲介する所定の取引サイトを提供するサーバである。情報処理装置1は、所定の取引サイトにおいてユーザによる後払い方式の決済手段を用いた非代替性トークンの購入を可能とするために、非代替性トークンを保有するユーザの与信を実行する。情報処理装置1は、ユーザが使用するスマートフォンやパソコン等のユーザ端末2に通信可能に接続されている。なお、以下の説明において、所定のブロックチェーンを単にブロックチェーンという。
【0022】
情報処理装置1は、ユーザに関する第1のコンテンツに関連付けられ、ブロックチェーンに登録されている非代替性トークンであって、価値を特定する対象の非代替性トークンである対象トークンを特定する(
図1における(1))。ユーザに関する第1のコンテンツは、例えばユーザが新たに作成したコンテンツであり、対象トークンは、例えば新たにブロックチェーンに登録され、販売実績のない非代替性トークンである。
【0023】
情報処理装置1は、ユーザに関する第2のコンテンツに関連付けられ、ブロックチェーンに登録されている非代替性トークンであって、過去に販売された非代替性トークンである販売済トークンを特定する(
図1における(2))。ユーザに関する第2のコンテンツは、例えばユーザが過去に作成したコンテンツである。
【0024】
ブロックチェーンには、登録されている複数の非代替性トークンそれぞれの取引履歴を示す取引履歴情報が記憶されている。情報処理装置1は、ブロックチェーンに記憶されている、販売済トークンの取引履歴を示す取引履歴情報を取得する(
図1における(3))。
【0025】
情報処理装置1は、取得した販売済トークンの取引履歴情報に基づいて対象トークンの価値を特定する(
図1における(4))。情報処理装置1は、特定した対象トークンの価値に基づいてユーザの与信を実行し、与信結果を出力する(
図1における(5)、(6))。例えば、情報処理装置1は、対象トークンの価値に基づいてユーザの与信限度額を算出し、算出した与信限度額を示す情報をユーザ端末2に通知する。このようにすることで、情報処理装置1は、ユーザが保有する対象トークンの価値に基づいてユーザの与信を実行することができる。
【0026】
[情報処理装置1の機能構成]
続いて、情報処理装置1の構成の詳細を説明する。
図2は、情報処理装置1の機能構成を示す図である。情報処理装置1は、通信部11と、記憶部12と、制御部13とを有する。
【0027】
通信部11は、インターネット等のネットワークを介してユーザ端末2とデータを送受信するための通信インターフェースである。
記憶部12は、各種のデータを記憶する記憶媒体であり、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、及びハードディスク等を有する。記憶部12は、制御部13が実行するプログラムを記憶する。記憶部12は、制御部13を、登録部131、トークン特定部132、取得部133、価値特定部134、与信実行部135、出力部136、決済要求受信部137、決済処理部138、及び変更部139として機能させるプログラムを記憶する。
【0028】
記憶部12は、ユーザを識別するためのユーザ識別情報としてのユーザIDと、ユーザがブロックチェーンにおいて現時点において保有者として登録されている非代替性トークンと、非代替性トークンを識別するためのトークンIDとを少なくとも関連付けた保有トークン情報を記憶する。
図3は、保有トークン情報の一例を示す図である。
図3に示すように、保有トークン情報は、ユーザのユーザIDと、非代替性トークンのトークンIDと、非代替性トークンと、非代替性トークンの売買回数と、コンテンツ情報とを少なくとも関連付けた情報である。コンテンツ情報は、非代替性トークンに関連付けられているコンテンツに関する情報であり、例えば、コンテンツを識別するためのコンテンツID、コンテンツを作成した作成者としてのユーザのユーザID、コンテンツの種別、コンテンツの題材、及びコンテンツの所在を示すアドレスが含まれている。
【0029】
また、記憶部12は、所定の取引サイトにおいて販売されている非代替性トークンのトークンIDと、当該非代替性トークンを販売するユーザである販売ユーザのユーザIDと、コンテンツ情報と、当該非代替性トークンの販売金額とを関連付けた販売リスト情報を記憶する。
図4は、販売リスト情報の一例を示す図である。
図4に示すように、販売リスト情報において、トークンIDと、販売ユーザのユーザIDと、コンテンツ情報と、販売金額とが関連付けられていることが確認できる。
【0030】
制御部13は、例えばCPU(Central Processing Unit)である。制御部13は、記憶部12に記憶されたプログラムを実行することにより、登録部131、トークン特定部132、取得部133、価値特定部134、与信実行部135、出力部136、決済要求受信部137、決済処理部138、及び変更部139として機能する。
【0031】
[非代替性トークンの登録]
まず、情報処理装置1が有する機能のうち、非代替性トークンを登録する機能について説明する。
登録部131は、ユーザ端末2から、コンテンツに係る情報を受け付けることにより、ブロックチェーンに、当該コンテンツに関連付ける非代替性トークンを登録する。例えば、登録部131は、ユーザ端末2から、コンテンツ情報と、ユーザIDとを含み、当該コンテンツに関連付ける非代替性トークンの生成要求を受け付ける。登録部131は、非代替性トークンの生成要求を受け付けると非代替性トークンと、当該非代替性トークンのトークンIDとを生成し、当該非代替性トークンをブロックチェーンに記憶させる。登録部131は、非代替性トークンの生成要求を受け付けると、非代替性トークンをブロックチェーンに生成させ、当該非代替性トークンをブロックチェーンに記憶させてもよい。
【0032】
また、登録部131は、ユーザ端末2から、生成した非代替性トークンのトークンIDと、非代替性トークンと、非代替性トークンの生成要求に含まれるユーザID及びコンテンツ情報とを関連付けて保有トークン情報として記憶部12に記憶させる。ここで、登録部131により生成された非代替性トークンは登録時点で売買されていないことから、保有トークン情報において当該非代替性トークンのトークンIDに関連付けられている売買回数は0回であるものとする。
【0033】
[与信の実行に係る処理]
続いて、情報処理装置1が有する与信の実行に係る機能について説明する。
トークン特定部132は、コンテンツに関連付けられており、ブロックチェーンに登録されている非代替性トークンであって、ユーザがブロックチェーンに保有者として登録されている非代替性トークンを特定する。
【0034】
具体的には、まずトークン特定部132は、ユーザ端末2から、ユーザIDを含む与信の実行を要求する与信実行要求を受け付ける。ここで、与信の実行とは、例えば、後払い方式の決済手段を利用してユーザが非代替性トークンを購入するときの与信限度額を算出することである。トークン特定部132は、与信実行要求を受け付けると、記憶部12に記憶されている保有トークン情報を参照し、与信実行要求に含まれるユーザIDに関連付けられている非代替性トークンを特定する。
【0035】
トークン特定部132は、ユーザが保有する非代替性トークンの中から、ユーザに関する第1のコンテンツに関連付けられ、ブロックチェーンに登録されている非代替性トークンであって、自身とは異なる非代替性トークンに基づいて価値を特定する対象の非代替性トークンである第1対象トークンを一以上特定する。第1のコンテンツは、ユーザが少なくとも一部を作成したコンテンツである。トークン特定部132は、保有トークン情報を参照し、少なくとも一部をユーザが新たに作成した第1のコンテンツに関連付けられ、売買回数が0回であり取引履歴がない非代替性トークンを第1対象トークンとして特定する。ここで、トークン特定部132は、ユーザが作成しておらず、他のユーザが作成したコンテンツに関連付けられ、取引履歴がない非代替性トークンについても第1対象トークンとして特定してもよい。
【0036】
また、トークン特定部132は、ユーザが保有する非代替性トークンの中から、ブロックチェーンに登録されている非代替性トークンであって、自身の取引履歴に基づいて価値を特定する対象の非代替性トークンである第2対象トークンを一以上特定する。トークン特定部132は、保有トークン情報を参照し、売買回数が1回以上であり取引履歴を有する非代替性トークンを第2対象トークンとして特定する。
【0037】
また、トークン特定部132は、ユーザに関する第2のコンテンツに関連付けられ、ブロックチェーンに登録されている非代替性トークンであって、過去に販売された非代替性トークンである販売済トークンを一以上特定する。第2のコンテンツは、ユーザが少なくとも一部を作成したコンテンツである。
【0038】
例えば、トークン特定部132は、ユーザのユーザID、又は他のユーザのユーザIDを含む保有トークン情報を参照し、コンテンツ情報の作成者にユーザのユーザIDを含み、少なくとも一部をユーザが過去に作成した第2のコンテンツに関連付けられている非代替性トークンを特定する。そして、トークン特定部132は、特定した非代替性トークンのうち、売買回数が1回以上であり取引履歴を有する非代替性トークンを販売済トークンとして特定する。ここで、販売済トークンと、第2対象トークンとは同じであってもよい。すなわち、トークン特定部132は、第1のコンテンツに関連付けられている第2対象トークンを特定するとともに、当該第2対象トークンそのものを、当該第2対象トークンに対応する販売済トークンとして特定してもよい。
【0039】
例えば、トークン特定部132は、保有トークン情報を参照し、第1のコンテンツのコンテンツ情報と同じコンテンツ情報を有し、第1のコンテンツと同じコンテンツである第2のコンテンツに関連付けられている非代替性トークンを販売済トークンとして特定する。このようにすることで、情報処理装置1は、第1のコンテンツと同じコンテンツである第2のコンテンツに関連付けられている販売済トークンの価値に基づいて、第1対象トークンの価値を精度良く特定することができる。
【0040】
なお、トークン特定部132は、保有トークン情報を参照し、第1のコンテンツのコンテンツ情報と異なるコンテンツ情報を有し、第1のコンテンツと異なるコンテンツである第2のコンテンツに関連付けられている非代替性トークンを販売済トークンとして特定してもよい。例えば、トークン特定部132は、保有トークン情報を参照し、第1のコンテンツと同じコンテンツが存在しない場合に、第1のコンテンツと異なるコンテンツである第2のコンテンツに関連付けられている非代替性トークンを販売済トークンとして特定してもよい。
【0041】
この場合、トークン特定部132は、第1対象トークンに関連付けられている第1のコンテンツの種別を特定し、特定した種別と同じ種別の第2のコンテンツに関連付けられている非代替性トークンを販売済トークンとして特定してもよい。このようにすることで、情報処理装置1は、第1のコンテンツとの類似度が高い第2のコンテンツに基づいて第1対象トークンの価値を特定するので、第1のコンテンツとの類似度が低い第2のコンテンツに基づいて第1対象トークンの価値を特定する場合に比べて、第1対象トークンの価値の特定精度を高めることができる。
【0042】
また、トークン特定部132は、他のユーザが作成したコンテンツに関連付けられ、取引履歴がない非代替性トークンを第1対象トークンとして特定した場合、当該第1対象トークンに対応する販売済トークンを特定してもよい。例えば、トークン特定部132は、保有トークン情報を参照し、少なくとも一部を当該他のユーザが過去に作成したコンテンツに関連付けられ、取引履歴を有する非代替性トークンを、当該第1対象トークンに対応する販売済トークンとして特定してもよい。
【0043】
取得部133は、トークン特定部132が特定した販売済トークンの取引履歴を示す取引履歴情報を取得する。また、取得部133は、トークン特定部132が特定した第2対象トークンの取引履歴を示す取引履歴情報を取得する。例えば、ブロックチェーンには、情報処理装置1を介して取引された非代替性トークン、及び情報処理装置1とは異なる他の装置を介して取引された非代替性トークンを含む、当該ブロックチェーンに登録されている非代替性トークンに係る取引履歴情報が全て記憶されている。取引履歴情報には、取引を行ったユーザのユーザIDとして、非代替性トークンを販売したユーザのユーザIDと、当該非代替性トークンを購入したユーザのユーザIDとが含まれているとともに、非代替性トークンと取引金額とが含まれている。
【0044】
取得部133は、ブロックチェーンから、販売済トークンの一以上の取引履歴を示す取引履歴情報を取得するとともに、第2対象トークンの一以上の取引履歴を示す取引履歴情報を取得する。ここで、取得部133は、販売済トークンをユーザが販売したときの取引履歴を含み、販売済トークンをユーザとは異なる他のユーザが販売したときの販売履歴を含まないように、販売済トークンの取引履歴情報を取得してもよい。
【0045】
価値特定部134は、取得部133が取得した販売済トークンの取引履歴情報に基づいて第1対象トークンの価値を特定する。価値特定部134は、取得部133が取得した販売済トークンの取引履歴情報に含まれる販売済トークンの取引金額に基づいて第1対象トークンの価値を特定する。上述したように、取引履歴情報には、情報処理装置1における非代替トークンの取引履歴に対応する取引履歴情報だけでなく、他の装置における非代替トークンの取引履歴に対応する取引履歴情報も含まれている。このため、情報処理装置1は、他の装置に対応する取引履歴に含まれる取引金額も用いて、適正に与信を実行することができる。
【0046】
例えば、価値特定部134は、一以上の販売済トークンそれぞれの取引履歴情報に含まれている複数の取引金額の平均値、最大値、又は最小値等に基づいて、第1対象トークンの価値を特定する。
【0047】
また、価値特定部134は、取得部133が取得した第2対象トークンの取引履歴情報に含まれる第2対象トークンの取引金額に基づいて第2対象トークンの価値を特定する。例えば、価値特定部134は、一以上の第2対象トークンそれぞれの取引履歴情報に含まれている複数の取引金額の平均値、最大値、又は最小値等に基づいて、一以上の第2対象トークンそれぞれの価値を特定する。
【0048】
なお、価値特定部134は、取得部133が取得した取引履歴情報にユーザが販売したときの取引金額と、他のユーザが販売したときの取引金額が含まれている場合、販売済トークンをユーザが販売したときの取引金額のみに基づいて、第1対象トークンの価値を特定してもよい。非代替性トークンを販売するユーザにより、当該非代替性トークンの価値が変化することがあるところ、情報処理装置1は、販売済トークンをユーザが販売したときの取引金額のみを用いることにより、ユーザに対応する第1対象トークンの価値を特定することができる。
【0049】
また、第1対象トークンの保有者(ユーザ)が著名人である場合、第1対象トークンの価値は、保有者の著名度により高まることがある。そこで、価値特定部134は、取得部133が取得した第1対象トークンに対応する販売済トークンの取引履歴情報に含まれるユーザIDが示すユーザの著名度を特定し、特定した著名度に基づいて第1対象トークンの価値を特定してもよい。
【0050】
例えば、ユーザのユーザIDと、当該ユーザの著名度とを少なくとも関連付けたユーザ情報を記憶しておく。価値特定部134は、ユーザ情報を参照し、与信実行要求を行ったユーザのユーザIDが示すユーザの著名度を特定し、特定した著名度にさらに基づいて第1対象トークンの価値を特定する。このようにすることで、情報処理装置1は、ユーザの著名度を第1対象トークンの価値に反映させることができる。
【0051】
同様に、第2対象トークンの過去の保有者、又は非代替性トークンの現在の保有者(ユーザ)が著名人である場合、第2対象トークンの価値は、これらの保有者の著名度により高まることがある。そこで、価値特定部134は、取得部133が取得した第2対象トークンの取引履歴情報に含まれるユーザIDが示すユーザの著名度を特定し、特定した著名度に基づいて第2対象トークンの価値を特定してもよい。例えば、価値特定部134は、ユーザ情報を参照し、取得部133が取得した第2対象トークンの取引履歴情報に含まれるユーザIDが示すユーザの著名度を特定し、特定した著名度に基づいて第2対象トークンの価値を特定する。このようにすることで、情報処理装置1は、ユーザが保有している第2対象トークンを保有していた保有者の著名度を第2対象トークンの価値に反映させることができる。
【0052】
また、第1対象トークン又は第2対象トークンに関連付けられているコンテンツが流行の影響を受けることにより、第1対象トークン又は第2対象トークンの取引金額が大きく変動することがある。これに対し、価値特定部134は、取得部133が取得した販売済トークンの取引履歴情報が示す最新の取引履歴又は現在の日時から所定時間前までの所定期間(例えば、直近の3カ月)の取引履歴に基づいて、第1対象トークンの価値を特定してもよい。同様に、価値特定部134は、取得部133が取得した第2対象トークンの取引履歴情報が示す最新の取引履歴に基づいて、第2対象トークンの価値を特定してもよい。このようにすることで、情報処理装置1は、過去の高すぎたり低すぎたりする第1対象トークン又は第2対象トークンの取引価格の影響を受けず、第1対象トークン又は第2対象トークンに関連付けられている現時点の評価に基づいて、第1対象トークン又は第2対象トークンの価値を特定することができる。
【0053】
また、価値特定部134が販売済トークン又は第2対象トークンに対応する最新の取引履歴に基づいて第1対象トークン又は第2対象トークンの価値を特定する場合、販売済トークン又は第2対象トークンに対応する複数の取引履歴を含む取引履歴情報を取得する必要がない。このため、取得部133は、トークン特定部132が特定した販売済トークンの最新の取引履歴を示す取引履歴情報を取得するとともに、第2対象トークンの最新の取引履歴を示す取引履歴情報を取得するようにしてもよい。このようにすることで、情報処理装置1は、非代替性トークンの取得に係る負荷を抑制することができる。
【0054】
与信実行部135は、価値特定部134が特定した第1対象トークンの価値と、第2対象トークンの価値とに基づいてユーザの与信を実行する。与信実行部135は、例えば、ユーザが後払い方式の決済手段を用いて非代替性トークンを購入する場合におけるユーザの与信を実行する。与信実行部135は、例えば、特定した一以上の第1対象トークンそれぞれの価値と、特定した一以上の第2対象トークンそれぞれの価値とを合計した合計価値に基づいて、与信限度額を特定する。
【0055】
与信実行部135は、ユーザが保有する非代替性トークンである第1対象トークン及び第2対象トークンの価値を特定し、特定した価値に基づいてユーザの与信を実行したが、これに限らない。与信実行部135は、ユーザの非代替性トークンの売買実績にさらに基づいてユーザの与信を実行してもよい。
【0056】
この場合、トークン特定部132は、ユーザが売買した非代替性トークンである売買トークンを特定する。例えば、記憶部12に、所定の取引サイトにおいてユーザが売買した非代替性トークンと、当該ユーザのユーザIDとを関連付けたサイト内取引履歴情報を記憶しておく。トークン特定部132は、当該サイト内取引履歴情報を参照して、ユーザが過去に売買した一以上の非代替性トークンを特定する。取得部133は、ブロックチェーンから、トークン特定部132が特定した一以上の売買トークンそれぞれに対応するユーザの取引履歴を示す取引履歴情報を取得する。
【0057】
与信実行部135は、取得部133が取得した一以上の売買トークンそれぞれに対応するユーザの取引履歴に基づいてユーザの非代替性トークンの売買実績を特定し、特定した売買実績に基づいてユーザの与信を実行してもよい。例えば、与信実行部135は、取得部133が取得した一以上の売買トークンそれぞれに対応するユーザの取引履歴に基づいて、売買実績として、ユーザの非代替性トークンの取引回数を特定する。そして、与信実行部135は、特定した取引回数が多ければ多いほどユーザの与信限度額が高くなるように与信限度額を設定する。
【0058】
また、与信実行部135は、取得部133が取得した取引履歴情報に基づいて、第2対象トークンが取引された回数を特定し、当該回数に基づいてユーザの与信を実行してもよい。例えば、与信実行部135は、第2対象トークンが取引された回数が多ければ多いほど、ユーザの与信限度額が高くなるようにユーザの与信限度額を設定してもよい。第2対象トークンの取引回数が多いほど、当該トークンの流動性が高く、価値が高いと考えられる。これに対し、情報処理装置1は、第2対象トークンが取引された回数に基づいてユーザの与信を実行することにより、取引回数に基づく当該トークンの価値をユーザの与信に反映させることができる。
【0059】
また、与信実行部135は、取得部133が取得した一以上の売買トークンそれぞれに対応するユーザの取引履歴に基づいて、売買実績として、ユーザの非代替性トークンの取引金額の合計額を特定してもよい。そして、与信実行部135は、特定した取引金額の合計額が多ければ多いほどユーザの与信限度額が高くなるように与信限度額を設定してもよい。
【0060】
また、与信実行部135は、ユーザが所定の取引サイトに出品していない非代替性トークンに対応するユーザの取引履歴に基づいてユーザの与信を実行してもよい。この場合、与信実行部135は、ユーザが保有する一以上の第1対象トークン及び第2対象トークンのうち、ユーザが所定の取引サイトにおいて販売していない第1対象トークン及び第2対象トークンを特定する。例えば、与信実行部135は、記憶部12に記憶されている販売リスト情報を参照し、ユーザが販売している非代替性トークンを特定する。与信実行部135は、記憶部12に記憶されている保有トークン情報に基づいて特定した第1対象トークン及び第2対象トークンと、所定の取引サイトにおいて販売されている非代替性トークンとの差分に基づいて、所定の取引サイトにおいてユーザが販売していない第1対象トークン及び第2対象トークンを特定する。
【0061】
そして、与信実行部135は、ユーザが販売していない第1対象トークン及び第2対象トークンに対して価値特定部134が特定した価値に基づいてユーザの与信を実行する。このようにすることで、情報処理装置1は、ユーザが販売しておらず自身の資産として保有している非代替性トークンとしての第1対象トークン及び第2対象トークンを担保として与信を実行することができる。
【0062】
出力部136は、与信実行部135が実行した与信結果を出力する。例えば、出力部136は、与信実行要求を送信したユーザ端末2に、与信結果として与信実行部135が設定した与信限度額を示す限度額情報を送信する。このようにすることで、ユーザ端末2のユーザは、後払い方式の決済手段を用いて非代替性トークンを購入するときの与信限度額を確認することができる。なお、出力部136は、与信実行部135が実行した与信結果を、クレジットカード会社等の他の決済事業者のサーバ等に送信し、与信結果を他の決済事業者と共有するようにしてもよい。
【0063】
また、出力部136は、与信実行部135が実行した与信結果を出力することとしたが、これに限らず、価値特定部134が特定した第1対象トークン及び第2対象トークンそれぞれの価値を示す情報を出力してもよい。例えば、出力部136は、第1対象トークン及び第2対象トークンそれぞれのトークンIDと、これらのトークンに対して価値特定部134が特定した価値とを関連付けた価値情報を、与信実行要求を送信したユーザ端末2に送信してもよい。このようにすることで、ユーザ端末2のユーザは、第1対象トークン及び第2対象トークンの価値を把握することができる。
【0064】
また、出力部136は、決定部として機能し、価値特定部134が特定した第1対象トークンの価値に基づいて、当該第1対象トークンの販売額を決定してもよい。そして、出力部136は、決定した第1対象トークンの販売額を示す情報をユーザ端末2に送信してもよい。このようにすることで、情報処理装置1は、ユーザ端末2のユーザによる第1対象トークンの価格の決定に係る負担を軽減することができる。
【0065】
[所定の取引サイトに係る処理]
続いて、情報処理装置1が有する所定の取引サイトにおける決済に係る機能について説明する。
決済要求受信部137は、所定の取引サイトにおいて販売されている非代替性トークンを購入するユーザのユーザ端末2から、ユーザの非代替性トークンの購入に係る決済を要求する決済要求を受信する。
【0066】
決済要求受信部137は、例えば、記憶部12に記憶されている販売リスト情報を参照し、トークンIDと、販売ユーザのユーザIDと、コンテンツ情報と、販売金額とを関連付けた販売リストを生成し、ユーザ端末2に、生成した販売リストを送信する。販売リストを受信したユーザ端末2は、販売リストを介して、購入する非代替性トークンの選択をユーザから受け付けるとともに、決済に用いる決済手段と、当該決済手段におけるユーザを識別するためのユーザ識別情報である決済用ユーザIDを受け付ける。
【0067】
決済手段には、例えば、銀行口座や電子通貨又は暗号資産の口座から決済金額を即時引き落とす即時決済手段と、クレジットカードを用いて決済が完了した後に所定のタイミングで銀行口座や電子通貨の口座から決済金額を引き落とす後払い方式の決済手段とが含まれる。決済用ユーザIDは、例えば、銀行の口座番号や、クレジットカードのカード番号である。
【0068】
ユーザ端末2は、選択された非代替性トークンのトークンIDと、ユーザIDと、選択された決済手段及び決済用ユーザIDを含む決済手段情報とを含む決済要求を情報処理装置1に送信する。決済要求受信部137は、ユーザ端末2から、トークンIDと、ユーザIDと、決済手段情報とを含む決済要求を受信する。
【0069】
決済処理部138は、決済要求受信部137が決済要求を受信すると、受信した決済要求に含まれるユーザID、トークンID、決済手段情報に基づいて決済を行う。具体的には、まず、決済処理部138は、受信した決済要求に含まれるトークンIDに基づいて、当該トークンIDに対応する非代替性トークンの販売金額を特定し、当該販売金額に基づいて購入金額(決済金額)を特定する。また、決済処理部138は、受信した決済要求に含まれるトークンIDに対応する非代替性トークンを販売するユーザである販売ユーザのユーザIDを特定する。
【0070】
決済処理部138は、決済要求に含まれる決済手段情報が即時決済手段を示している場合に、決済要求に含まれる決済用ユーザIDが示すユーザの口座から決済金額を引き落とす支払処理を実行する。
【0071】
また、決済処理部138は、決済要求に含まれる決済手段情報が後払い方式の決済手段を示している場合において、ユーザが購入する非代替性トークンの購入金額が、与信実行部135が特定したユーザの与信限度額以下であることを条件として、後払い方式の決済手段を用いてユーザによる当該購入金額に係る決済を行う。例えば、決済処理部138は、支払処理として、クレジットカード会社に対して、決済金額の支払いの事前承認申請(オーソリゼーション)を行う。この場合、クレジットカード会社から決済金額の支払いの事前承認を受け付けたことを支払処理の完了としてもよい。上述したように、出力部136がクレジットカード会社に対して与信限度額を共有することから、購入金額が与信限度額以下であることを条件として事前承認が受け付けられる。
【0072】
決済処理部138は、販売ユーザのユーザIDに対して予め関連付けられている販売ユーザの口座に、非代替性トークンの販売金額に対応する金額を入金する処理を実行する。例えば、決済処理部138は、販売金額から決済サービスに対応する決済手数料を差し引いた金額を販売ユーザの受取金額として算出し、販売ユーザの口座に、算出した受取金額を入金する処理を実行する。なお、決済処理部138は、所定時間(例えば1カ月)おきに、所定期間(例えば1カ月間)において算出された販売ユーザの受取金額を合計し、受取金額の合計額を、販売ユーザの口座にまとめて入金するようにしてもよい。
【0073】
変更部139は、決済処理部138により非代替性トークンの購入金額の決済が行われた後、非代替性トークンの保有者を、販売ユーザから、非代替性トークンを購入したユーザに変更する。例えば、変更部139は、記憶部12に記憶されている保有トークン情報に記憶されている、販売された非代替性トークンに関連付けられているユーザIDを、販売ユーザのユーザIDから、非代替性トークンを購入したユーザのユーザIDに変更する。また、変更部139は、ブロックチェーンに記憶されている販売された非代替性トークンの取引履歴情報に、当該非代替性トークンの新たな取引履歴を追加することにより、当該非代替性トークンの取引履歴情報を更新する。
【0074】
変更部139は、決済処理部138により後払い方式の決済手段により決済が行われた後、非代替性トークンを購入したユーザである購入ユーザから、当該決済に対応する購入金額の入金がない場合に、当該購入ユーザが保有している非代替性トークンの保有者を、当該決済に係るサービスを提供する事業者に変更する。例えば、変更部139は、後払い方式の決済手段であるクレジットカードにより決済が行われた後、クレジットカード会社が購入ユーザから当該決済に対応する購入金額を受け取ることができない場合に、クレジットカード会社から、購入金額を受け取ることができない旨を示すエラー情報を受信する。
【0075】
変更部139は、エラー情報を受信すると、決済に対応する購入ユーザが保有している非代替性トークンの保有者を、記憶部12に記憶されている保有トークン情報に記憶されている、販売された非代替性トークンに関連付けられているユーザIDを、購入ユーザのユーザIDから、クレジットカード会社を示すユーザIDに変更する。また、変更部139は、ブロックチェーンに記憶されている販売された非代替性トークンの取引履歴情報に、当該非代替性トークンの保有者がクレジットカード会社に変更されたことを示す新たな取引履歴を追加することにより、当該非代替性トークンの取引履歴情報を更新する。
【0076】
なお、決済処理部138は、後払い方式の決済手段により決済が行われた後、当該決済に対応する購入金額のユーザからの入金がない場合、当該ユーザの非代替性トークンの購入に係る新たに決済を停止するようにしてもよい。このようにすることで、情報処理装置1は、購入金額の入金が滞っているユーザが所定の取引サイトにおいて新たに非代替性トークンを購入し、新たに入金が滞ることを防止することができる。
【0077】
[動作フロー]
続いて、情報処理装置1の処理の流れについて説明する。
図5は、情報処理装置1によるユーザの与信の実行に係る処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0078】
まず、トークン特定部132は、ユーザ端末2から、ユーザIDを含む与信の実行を要求する与信実行要求を受け付けると、当該ユーザIDに関連付けられている一以上の非代替性トークンを、ユーザが保有する一以上の非代替性トークンとして特定する。そして、トークン特定部132は、特定した一以上の非代替性トークンの中から、第1対象トークンと第2対象トークンとを特定する(S1)。
【0079】
続いて、トークン特定部132は、特定した第1対象トークンに対応する販売済トークンを特定する(S2)。
続いて、取得部133は、販売済トークンに対応する取引履歴情報と、第2対象トークンに対応する取引履歴情報とを取得する(S3)。
【0080】
続いて、価値特定部134は、トークン特定部132が特定した第1対象トークン及び第2対象トークンの全トークンの価値を特定したか否かを判定する(S4)。価値特定部134は、全トークンの価値を特定したと判定すると(S4のYES)、S7に処理を移し、全トークンの価値を特定していないと判定すると(S4のNO)、S5に処理を移す。
S5において、価値特定部134は、トークン特定部132が特定した第1対象トークン及び第2対象トークンのうち、未選択のトークンを選択する。
【0081】
続いて、価値特定部134は、選択したトークンに対応して取得した取引履歴情報に基づいて、当該トークンの価値を特定する(S6)。価値特定部134は、選択したトークンが第1対象トークンである場合には、販売済トークンに対応して取得した取引履歴情報に基づいて、当該第1対象トークンの価値を特定する。価値特定部134は、選択したトークンが第2対象トークンである場合には、当該第2対象トークンの取引履歴情報に基づいて、当該第2対象トークンの価値を特定する。価値特定部134は、選択したトークンの価値を特定すると、S4に処理を戻す。S4からS6の処理が繰り返されることにより、トークン特定部132が特定した全ての第1対象トークン及び第2対象トークンの価値が特定される。
【0082】
S7において、与信実行部135は、トークン特定部132が特定した全トークンの価値に基づいてユーザの与信限度額を設定する。
続いて、出力部136は、与信実行部135により設定された与信限度額を示す限度額情報を、与信実行要求を送信したユーザ端末2に出力する(S8)。
【0083】
[変形例1]
上述の説明において、トークン特定部132は、保有トークン情報を参照して販売済トークンを特定したが、これに限らず、ブロックチェーンに記憶されている取引履歴情報をさらに参照して販売済トークンを特定してもよい。例えば、トークン特定部132は、ブロックチェーンに記憶されている取引履歴情報をさらに参照し、保有トークン情報を参照して特定した販売済トークンの中から、ユーザが販売した販売済トークンを特定してもよい。
【0084】
[変形例2]
上述の説明において、第1のコンテンツは、少なくとも一部をユーザが作成したコンテンツであることとしたが、これに限らない。第1のコンテンツはユーザを題材としたコンテンツであってもよい。この場合、トークン特定部132は、第1対象トークンに関連付けられている第1のコンテンツの題材と同様に、ユーザが題材とされた第2のコンテンツに関連付けられている非代替性トークンを販売済トークンとして特定してもよい。
【0085】
[変形例3]
上述の説明において、与信の実行は、後払い方式の決済手段を利用してユーザが非代替性トークンを購入するときの与信限度額を算出することであるものとしたが、これに限らない。与信の実行は、ユーザが後払い方式の決済手段を利用してユーザが非代替性トークンを購入するときに当該購入に係る決済を許可するか否かを判定することや、非代替性トークンを担保としてユーザが借り入れた金額の返済期限を延長するか否かを判定することであってもよい。例えば、与信実行部135は、決済要求受信部137が非代替性トークンの購入に係る決済要求を受信した場合において、決済要求に含まれる決済手段情報が後払い方式の決済手段を示しているときに、与信の実行として、購入に係る決済を許可するか否かを判定するようにしてもよい。
【0086】
[変形例4]
上述の説明において、与信実行部135は、非代替性トークンの取引履歴情報に基づいて与信を実行することとしたが、これに限らない。与信実行部135は、ユーザの銀行、電子通貨、又は暗号資産の口座の残高等の、非代替性トークンとは異なる資産にさらに基づいて与信を実行してもよい。
【0087】
[変形例5]
上述の説明において、情報処理装置1は、ブロックチェーンと異なることとしたが、これに限らない。ブロックチェーンが、情報処理装置1の機能を有していてもよい。
【0088】
[変形例6]
上述の説明において、情報処理装置1は、非代替性トークンの取引を仲介する所定の取引サイトを提供するサーバであり、所定の取引サイトにおいてユーザによる後払い方式の決済手段を用いた非代替性トークンの購入を可能とするために、非代替性トークンを保有するユーザの与信を実行したが、これに限らない。所定の取引サイトでは、非代替性トークンとは異なる商品の取引を行ってもよい。そして、情報処理装置1が、所定の取引サイトにおいてユーザによる後払い方式の決済手段を用いた各種の商品の購入を可能とするために、非代替性トークンを保有するユーザの与信を実行してもよい。
【0089】
[情報処理装置1による効果]
以上説明したように、本実施形態に係る情報処理装置1は、ユーザに関する第1のコンテンツに関連付けられ、ブロックチェーンに登録されている非代替性トークンであって、価値を特定する対象の非代替性トークンである対象トークンを特定するとともに、ユーザに関する第2のコンテンツに関連付けられ、ブロックチェーンに登録されている非代替性トークンであって、過去に販売された非代替性トークンである販売済トークンを特定する。そして、情報処理装置1は、特定した販売済トークンの取引履歴に基づいて特定した対象トークンの価値に基づいてユーザの与信を実行し、実行した与信結果を出力する。このようにすることで、情報処理装置1は、ユーザが保有する非代替性トークンの価値をユーザの与信に反映させることができる。
【0090】
なお、本発明により、国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)の目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」に貢献することが可能となる。
【0091】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【符号の説明】
【0092】
1 情報処理装置
2 ユーザ端末
11 通信部
12 記憶部
13 制御部
131 登録部
132 トークン特定部
133 取得部
134 価値特定部
135 与信実行部
136 出力部
137 決済要求受信部
138 決済処理部
139 変更部