(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024089278
(43)【公開日】2024-07-03
(54)【発明の名称】副燃焼室付内燃機関
(51)【国際特許分類】
F02B 19/18 20060101AFI20240626BHJP
【FI】
F02B19/18 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022204544
(22)【出願日】2022-12-21
(71)【出願人】
【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002664
【氏名又は名称】弁理士法人相原国際知財事務所
(72)【発明者】
【氏名】柳川 健介
(72)【発明者】
【氏名】廣江 健太
(72)【発明者】
【氏名】細野 清隆
(72)【発明者】
【氏名】村上 隆
(72)【発明者】
【氏名】川辺 敬
【テーマコード(参考)】
3G023
【Fターム(参考)】
3G023AA06
3G023AB03
3G023AC03
3G023AD03
3G023AD04
3G023AD28
(57)【要約】
【課題】燃焼時の衝撃を抑制する副燃焼室内燃機関を提供することを目的とする。
【解決手段】シリンダヘッド34とシリンダブロック36とピストン37とによって形成される主燃焼室41と、シリンダヘッド34に設けられ区画壁42によって主燃焼室41と区画される副燃焼室43と、を有し、区画壁42に設けられ副燃焼室43と主燃焼室41とを連通する吸気側連通孔44a及び排気側連通孔44bが周方向に並んで設けられた副燃焼室付内燃機関であって、吸気側連通孔44a及び排気側連通孔44bの周方向の幅は、吸気側連通孔44aと排気側連通孔44bとの間の区画壁42の部位42aの幅より大きく形成される。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンダヘッドとシリンダブロックとピストンとによって形成される主燃焼室と、前記シリンダヘッドに設けられ区画壁によって前記主燃焼室と区画される副燃焼室と、を有し、前記区画壁に設けられ、前記副燃焼室と前記主燃焼室とを連通する複数の第1噴射孔が当該区画壁の周方向に並んで設けられた副燃焼室付内燃機関であって、
前記第1噴射孔の前記周方向の幅は、隣り合う前記第1噴射孔の間の前記区画壁の幅より大きく形成される
ことを特徴とする副燃焼室付内燃機関。
【請求項2】
隣り合う前記第1噴射孔の間の前記区画壁の少なくとも1つは、前記主燃焼室における吸排気方向と直交する方向に位置する
ことを特徴とする請求項1に記載の副燃焼室付内燃機関。
【請求項3】
前記シリンダヘッドは、吸気バルブ及び排気バルブを有し、
複数の前記第1噴射孔の1つは当該第1噴射孔から噴射された火炎が前記吸気バルブを覆うような幅で形成され、
複数の前記第1噴射孔のその他の1つは当該第1噴射孔から噴射された火炎が前記排気バルブを覆うような幅で形成される
ことを特徴とする請求項1に記載の副燃焼室付内燃機関。
【請求項4】
前記第1噴射孔は、前記ピストンの頂面の端部を向くように設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載の副燃焼室付内燃機関。
【請求項5】
前記区画壁に、前記第1噴射孔から前記ピストン側に延びる第2噴射孔が、前記第1噴射孔と連結して形成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の副燃焼室付内燃機関。
【請求項6】
前記第2噴射孔の開口面積は、前記第1噴射孔の開口面積より小さい
ことを特徴とする請求項5に記載の副燃焼室付内燃機関。
【請求項7】
前記第2噴射孔は、前記ピストンに向かうにつれて前記周方向の幅が小さくなるように形成されている
ことを特徴とする請求項5または6に記載の副燃焼室付内燃機関。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主燃焼室内に副燃焼室を有する内燃機関に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車に使用されるガソリンエンジン等の内燃機関の多くは、吸気通路や燃焼室内に燃料を噴射するインジェクタ(燃料噴射弁)と、筒内の燃焼室に臨んで配置される点火装置(点火プラグ)を有している。
更に特許文献1には、燃焼室(主燃焼室)内に、副燃焼室を備えた内燃機関が開示されている。特許文献1に記載された内燃機関では、副燃焼室内に比較的燃料濃度の高い混合気を供給し、点火装置によって副燃焼室内の混合気に着火することで、副燃焼室から火炎が主燃焼室に噴射(噴出)して主燃焼室内の混合気を燃焼させる構成になっている。これにより、主燃焼室内の混合気の着火性を向上させて内燃機関の出力を向上させることができ、あるいは主燃焼室内の燃料濃度を低くして燃費を向上させることが可能である。
【0003】
更に、特許文献1には、副燃焼室から火炎を噴射させる噴孔を複数備え、火炎がシリンダ壁面に向かって放射状に噴射されるように構成されている内燃機関が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1のように副燃焼室から火炎を噴射させる噴孔を複数備えると、各噴孔から噴射した複数の火炎が互いに衝突し、ノッキングのような振動を発生する可能性がある。
本発明はこのような問題を解決するためになされたもので、副燃焼室から複数の噴射孔より火炎を主燃焼室に噴射して主燃焼室内の混合気を燃焼させる内燃機関において、燃焼時の衝撃を抑制する副燃焼室内燃機関を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の副燃焼室付内燃機関は、
シリンダヘッドとシリンダブロックとピストンとによって形成される主燃焼室と、前記シリンダヘッドに設けられ区画壁によって前記主燃焼室と区画される副燃焼室と、を有し、前記区画壁に設けられ、前記副燃焼室と前記主燃焼室とを連通する複数の第1噴射孔が当該区画壁の周方向に並んで設けられた副燃焼室付内燃機関であって、前記第1噴射孔の前記周方向の幅は、隣り合う前記第1噴射孔の間の前記区画壁の幅より大きく形成されることを特徴とする。
【0007】
これにより、副燃焼室と主燃焼室とを連通する第1噴射孔の周方向幅を大きくし、隣り合う第1噴射孔の間の区画壁の幅を小さくすることができるので、複数の第1噴射孔から噴射する火炎同士の衝突までの距離を小さくして、火炎同士の衝突により発生する衝撃を減少させることができる。また、第1噴射孔の周方向幅を大きくすることで主燃焼室に火炎を広く噴射するとともに、第1噴射孔の数を減らし、第1噴射孔から噴射する火炎の衝突数を減少させることができる。
【0008】
好ましくは、隣り合う前記第1噴射孔の間の前記区画壁の少なくとも1つは、前記主燃焼室における吸排気方向と直交する方向に位置するとよい。
これにより、主燃焼室において、隣り合う第1噴射孔の間の区画壁によって火炎の噴射が抑制される方向と吸気(混合気)が滞留しにくい方向とを一致させて火炎同士の衝突により発生する衝撃を減少させる一方、混合気が滞留し易い方向に火炎を多く噴射させることで主燃焼室での燃焼を促すことができる。
【0009】
好ましくは、前記シリンダヘッドは、吸気バルブ及び排気バルブを有し、複数の前記第1噴射孔の1つは当該第1噴射孔から噴射された火炎が前記吸気バルブを覆うような幅で形成され、複数の前記第1噴射孔のその他の1つは当該第1噴射孔から噴射された火炎が前記排気バルブを覆うような幅で形成されるとよい。
これにより、主燃焼室において混合気の滞留し易い吸気バルブ付近及び排気バルブ付近で火炎が分割されないので、火炎同士の衝突により発生する衝撃を抑制することができる。
【0010】
好ましくは、前記第1噴射孔は、前記ピストンの頂面の端部を向くように設けられているとよい。
これにより、主燃焼室において混合気の滞留し易いピストンの頂面の端部付近に向けて第1噴射孔から火炎が噴射され、未燃ガスの燃焼を促すことができる。
好ましくは、前記区画壁に、前記第1噴射孔から前記ピストン側に延びる第2噴射孔が、前記第1噴射孔と連結して形成されているとよい。
【0011】
これにより、第2噴射孔からピストン側に向けても火炎を広範囲に噴射し主燃焼室における燃焼を促すことができる。また、第1噴射孔と第2噴射孔とが連結しているので、第1噴射孔からの火炎と第2噴射孔からの火炎との衝突を抑え衝撃を抑制することができる。
好ましくは、前記第2噴射孔の開口面積は、前記第1噴射孔の開口面積より小さいとよい。
【0012】
これにより、第2噴射孔からピストンに向かって噴射される火炎の量を抑え、ピストンの保護を図ることができる。
好ましくは、前記第2噴射孔は、前記ピストンに向かうにつれて前記周方向の幅が小さくなるように形成されているとよい。
これにより、第2噴射孔からピストンに向かって噴射される火炎が、ピストンに近くなるにしたがって小さくなるので、効果的にピストンの保護を図ることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の副燃焼室付内燃機関によれば、区画壁に設けられた第1噴射孔より火炎を周方向に広がるように噴射して主燃焼室内での燃焼を促すとともに、第1噴射孔から噴射する火炎の衝突を抑えて衝撃を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の一実施形態の内燃機関の給排気系の構成図である。
【
図2】本実施形態の内燃機関における気筒の上面図である。
【
図3】本実施形態における気筒内の縦断面図である。
【
図4】他の実施形態の連通孔の形状を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面に基づき本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の一実施形態の内燃機関1(副燃焼室付内燃機関)の給排気系の構成図である。
図1に示すように、本実施形態の内燃機関1は、吸気ポート2に燃料であるガソリンを噴射するインジェクタ3を有するポート噴射式のガソリンエンジンである。
【0016】
本実施形態の内燃機関1の吸気通路5には、吸気の流れに沿って、エアクリーナー6、インタークーラー7、スロットルバルブ8が吸気ポート2の上流に備えられている。内燃機関1の排気通路11には、排気ポート31から排気の流れに沿って、上流側排気浄化触媒12及び下流側排気浄化触媒13が備えられている。
また、内燃機関1には、過給機(ターボチャージャ)15、EGRシステム16が備えられている。
【0017】
EGRシステム16は、内燃機関1の排気通路11と吸気通路5とを連通するEGR通路20と、EGR通路20の流路面積を変更するEGRバルブ21と、EGR通路20を通過する排気を冷却するEGRクーラー22を備えている。EGR通路20は、上流側排気浄化触媒12と下流側排気浄化触媒13との間の排気通路11と、エアクリーナー6と過給機15のコンプレッサとの間の吸気通路5とを連結している。
【0018】
図2は、本形態の内燃機関1における気筒30内の上面図である。
図3は、本実施形態における気筒30内の縦断面図である。
図2に示すように、内燃機関1は、1つの気筒30について吸気ポート2が2個及び排気ポート31が2個備えられている。また、2個の吸気ポート2に吸気バルブ32が夫々備えられるとともに、2個の排気ポート31に夫々排気バルブ33が夫々備えられている。
【0019】
インジェクタ3は、各吸気ポート2に1個ずつ、即ち1つの気筒30毎に2個ずつ備えられている。
内燃機関1の気筒30の上部(シリンダヘッド34)には、その中央部を挟んで一方側に2個の吸気ポート2が並んで配置され、他方側に2個の排気ポート31が並んで配置されている。
【0020】
図1~3に示すように、シリンダヘッド34の中心部には、点火プラグ35が備えられている。
気筒30内には、シリンダブロック36、シリンダヘッド34及びピストン37に囲まれた略円柱状の空間である主燃焼室41が設けられ、更に主燃焼室41の上部中心部には副燃焼室43が設けられている。具体的には、シリンダヘッド34には、点火プラグ35の中心電極を囲むように区画壁42が備えられており、主燃焼室41内の区画壁42に囲まれた部分が副燃焼室となる。区画壁42は、下方(ピストン37側)に突出した略半球状であり、ピストン37の移動方向に対して直交する面による断面が略円筒形になっている。区画壁42には、複数の連通孔44a、44b(噴射孔)が開いており、主燃焼室41と副燃焼室43とが連通孔44a、44b(第1噴射孔)を介して連通している。
【0021】
内燃機関1は、コントロールユニット50(制御部)によって作動制御される。コントロールユニット50は、出力装置、記憶装置(ROM、RAM、不揮発性RAM等)、中央演算処理装置(CPU)等から構成されている。コントロールユニット50は、クランク角、吸気量、排気温度、EGRガス量等を取得し、インジェクタ3、点火プラグ35、スロットルバルブ8、EGRバルブ21等を作動制御する。
【0022】
図2、3に示すように、本実施形態では、連通孔44a、44bがピストン37の移動方向から見た区画壁42の円周方向に延びている。連通孔44a、44bとして、吸気バルブ32側に設けられた吸気側連通孔44aと排気バルブ33側に設けられた排気側連通孔44bとの2個が、区画壁42に周方向に並ぶように備えられている。
連通孔44a、44bは区画壁42の下端部(ピストン37側端部)ではなく、区画壁42のピストン37の移動方向に対して直交する面による断面における最も径方向外側に位置する部分付近(下方に突出した略半球状部分の上端(ピストン37と反対側端部)付近)に備えられている。
【0023】
吸気側連通孔44aと排気側連通孔44bとは、吸気バルブ32と排気バルブ33との間の周方向範囲内で隔てられている。すなわち、吸気側連通孔44aと排気側連通孔44bとの間の区画壁42の部位42aは、ピストン37の移動方向から見た主燃焼室における吸排気方向と直交する方向に夫々位置する。なお、吸排気方向とは、吸気バルブ32と排気バルブ33とを結ぶ方向である。
【0024】
後述するように、吸気側連通孔44a及び排気側連通孔44bからは、副燃焼室43より火炎が主燃焼室41に噴射される。ピストン37の移動方向から見た吸気側連通孔44aから噴射する火炎の範囲47aが主燃焼室41の周方向において2個の吸気バルブ32を覆うように、吸気側連通孔44aの周方向幅等が設定されている。また、ピストン37の移動方向から見た排気側連通孔44bから噴射する火炎の範囲47bが主燃焼室41の周方向において2個の排気バルブ33を覆うように、排気側連通孔44bの周方向幅等が設定されている。具体的には、吸気側連通孔44aのピストン37の移動方向と直交する方向の2つの壁面(側壁)の延長線の間に2個の吸気バルブ32が位置するように、吸気側連通孔44aの幅を決定すればよい。排気側連通孔44bも同様である。
【0025】
更に、吸気側連通孔44a及び排気側連通孔44bから噴射する火炎が、上死点付近でのピストン37の頂面48(主燃焼室41側の面)の端部、すなわちピストン37の頂面48とシリンダブロック36のシリンダ壁面との間付近を向くように、吸気側連通孔44a及び排気側連通孔44bの開口方向(ピストン37の移動方向の壁面(上下面)の角度)が設定されている。
【0026】
以上のように、本実施形態の内燃機関1は、主燃焼室41の上部中心部に区画壁42によって区画された副燃焼室43が備えられている。区画壁42には、主燃焼室41と副燃焼室43とを連通する連通孔44a、44bが設けられ、点火プラグ35によって、副燃焼室43内の混合気に点火する。これにより、副燃焼室43内で着火して発生した火炎が連通孔44a、44bを通過して主燃焼室41に噴射され、主燃焼室41内の混合気を燃焼させる。
【0027】
更に、2個の連通孔44a、44bの周方向の幅は、隣り合う連通孔44a、44bの間の区画壁42の部位42aの幅より大きく形成されている。
これにより、連通孔44a、44bの周方向幅を大きくし、吸気側連通孔44aと排気側連通孔44bとの間の区画壁の部位42aの幅を小さくすることができるので、吸気側連通孔44aから噴射される火炎と排気側連通孔44bから噴射される火炎との衝突までの距離を小さくして、火炎同士の衝突により発生する衝撃を減少させることができる。また、吸気側連通孔44a及び排気側連通孔44bの周方向幅を夫々大きくすることで、これらの連通孔44a、44bの数を減らし、連通孔44a、44bから噴射する火炎の衝突数を減少させることができる。これにより、内燃機関1の燃焼時の衝撃を抑制することができる。
【0028】
なお、吸気側連通孔44a及び排気側連通孔44bは、区画壁42の最も径方向外側に位置する部分付近に備えられているので、吸気側連通孔44a及び排気側連通孔44bの幅を広く確保することができる。
また、吸気側連通孔44aと排気側連通孔44bとの間の区画壁42の部位42aは、主燃焼室41における吸排気方向と直交する方向に位置する。
【0029】
これにより、主燃焼室41において、火炎が直接噴射されない方向と、吸気(混合気)が滞留しにくい方向とを一致させ、火炎同士の衝突により発生する衝撃を減少させるとともに、混合気が滞留し易い方向(吸排気方向)に火炎を重点的に噴射させることができる。
また、吸気側連通孔44aから噴射する火炎が吸気バルブ32を覆うような幅で噴射され、排気側連通孔44bから噴射する火炎が排気バルブ33を覆うような幅で噴射されるように、吸気側連通孔44a及び排気側連通孔44bの周方向幅が設定されている。
【0030】
これにより、主燃焼室41において混合気の滞留し易い吸気バルブ32付近及び排気バルブ33付近を覆うように火炎が噴射され、混合気の滞留し易い箇所で火炎が分割されないので、火炎同士の衝突により発生する衝撃をより減少させることができる。
また、吸気側連通孔44aはピストン37の頂面48の吸気側端部48aを向くように、排気側連通孔44bはピストン37の頂面48の排気側端部48bを向くように設けられている。
【0031】
これにより、主燃焼室41において混合気の滞留し易い、ピストン37の頂面48の端部48a、48b付近に向けて火炎が噴射され、主燃焼室41の角部(上死点付近でのピストン37の頂面48とシリンダブロック36のシリンダ壁面との間)付近に滞留する未燃ガスの燃焼を促すことができる。
図4は、本発明の他の実施形態の噴射孔の形状を示す図である。
【0032】
図4に示すように、本発明の他の実施形態では、区画壁42に、吸気側連通孔44aの幅方向略中央部から下方(ピストン37側)に向かって伸びる吸気側縦連通孔45a(第2噴射孔)を有している。
吸気側連通孔44aと吸気側縦連通孔45aとは連結して、T字状に一体化している。
更に、吸気側縦連通孔45aの開口面積は、吸気側連通孔44aの開口面積より小さく形成されている。また、吸気側縦連通孔45aは、ピストン37に向かうにつれて幅が小さくなるように形成されている。
【0033】
排気側連通孔44bについても、吸気側縦連通孔45aと同様の形状の排気側縦連通孔45b(第2噴射孔)が備えられている。
以上のように、本実施形態の内燃機関1では、区画壁42に、吸気側連通孔44aからピストン37側に延びる吸気側縦連通孔45aが設けられるとともに、排気側連通孔44bからピストン37側に延びる排気側縦連通孔45bが設けられている。これにより、各連通孔44a、44b、45a、45cから噴射される火炎をピストン37側にも広げ主燃焼室41における燃焼を促すことができる。
【0034】
また、吸気側連通孔44aと吸気側縦連通孔45aが連結しているとともに、排気側連通孔44bと排気側縦連通孔45bとが連結しているので、吸気側連通孔44aからの火炎と吸気側縦連通孔45aからの火炎との衝突を抑えるとともに、排気側連通孔44bからの火炎と排気側縦連通孔45bからの火炎との衝突を抑えることができる。
また、吸気側縦連通孔45aや排気側縦連通孔45bの開口面積は、吸気側連通孔44aや排気側連通孔44bの開口面積より小さい。これにより、吸気側縦連通孔45aや排気側縦連通孔45bからピストン37に向かって噴射される火炎の量を抑え、ピストン37の保護を図ることができる。
【0035】
また、吸気側縦連通孔45aや排気側縦連通孔45bは、ピストン37に向かうにつれて周方向の幅が小さくなるように形成されている。これにより、吸気側縦連通孔45aや排気側縦連通孔45bからピストン37に向かって噴射される火炎が、ピストン37に近くなるにしたがって小さくなるので、効果的にピストン37の保護を図ることができる。
本発明は、上記の実施形態に限定するものではない。
【0036】
例えば、上記実施形態では、区画壁42に吸気側連通孔44a及び排気側連通孔44bが備えられているが、区画壁42に周方向に並んで連通孔を3個以上設けてもよい。
また、各連通孔44a、44b、45a、45bの位置や詳細な形状については適宜変更してもよい。また、副燃焼室43は主燃焼室41の上部中心部に設けられる必要はない。また、本発明の内燃機関は、自動車の走行駆動用等の各種内燃機関に適用することができる。
【符号の説明】
【0037】
1 内燃機関(副燃焼室付内燃機関)
32 吸気バルブ
33 排気バルブ
34 シリンダヘッド
36 シリンダブロック
37 ピストン
41 主燃焼室
43 副燃焼室
42 区画壁
44a 吸気側連通孔(第1噴射孔)
44b 排気側連通孔(第1噴射孔)
45a 吸気側縦連通孔(第2噴射孔)
45b 排気側縦連通孔(第2噴射孔)
48 頂面