(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024089292
(43)【公開日】2024-07-03
(54)【発明の名称】画像読取システム
(51)【国際特許分類】
H04N 1/00 20060101AFI20240626BHJP
H04N 1/04 20060101ALI20240626BHJP
【FI】
H04N1/00 350
H04N1/00 567J
H04N1/12 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022204565
(22)【出願日】2022-12-21
(71)【出願人】
【識別番号】000104652
【氏名又は名称】キヤノン電子株式会社
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 万紗子
【テーマコード(参考)】
5C062
5C072
【Fターム(参考)】
5C062AA05
5C062AB17
5C062AB20
5C062AB23
5C062AB30
5C062AB31
5C062AB32
5C062AB33
5C062AB35
5C062AB40
5C062AC05
5C062AC69
5C072AA01
5C072BA05
5C072DA25
5C072EA07
5C072NA01
5C072RA04
5C072UA13
(57)【要約】 (修正有)
【課題】原稿を読み取る画像読取装置とそれに接続される情報処理装置を含む画像読取システムを提供する。
【解決手段】画像読取装置Aは、原稿Sを搬送する搬送部10と、搬送部10が搬送した原稿Sを読み取る読取部70と、搬送部10が搬送した原稿Sのジャムを検知するジャム検知部及び搬送部によって搬送された原稿の位置を検知する原稿検知部を含む制御部8と、を備える。ジャム検知部は、原稿Sのジャムを検出したときに、原稿検知部が検知した原稿Sの位置に応じてジャムの種類を検出し、ジャムの種類に応じた通知を、画像読取装置Aと接続している情報処理装置の表示部に表示させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿を搬送する搬送部と、
前記搬送部によって搬送された原稿を読み取る読取部と、
前記搬送部によって搬送された原稿のジャムを検知するジャム検知部と、
前記搬送部によって搬送された原稿の位置を検知する原稿検知部と、
表示部と
を備え、
前記ジャム検知部において原稿のジャムを検出したときに、前記原稿検知部にて検知された原稿の位置に応じてジャムの種類を検出し、前記ジャムの種類に応じた通知を前記表示部に表示することを特徴とする画像読取システム。
【請求項2】
通常原稿よりも大きい駆動力で搬送する特殊搬送モードを設定可能であり、
前記ジャム検知部において原稿のジャムが検知された場合、前記特殊搬送モードが設定されていない場合に、前記表示部に前記特殊搬送モードへの変更入力が可能であることを通知するための特殊搬送モード推奨通知表示を行うことを特徴とする請求項1に記載の画像読取システム。
【請求項3】
前記搬送部によって搬送された原稿の重送を検知する重送検知部を備え、
前記特殊搬送モードが設定されていない場合に、前記重送検知部によって前記原稿の重送を検知した場合には、前記特殊搬送モード推奨通知表示に替えて、前記重送検知部による重送検知機能を無効にすることが可能であることを通知するための重送検知無効推奨通知表示を行うことを特徴とする請求項2に記載の画像読取システム。
【請求項4】
通常原稿よりも大きい駆動力で搬送する特殊搬送モードを設定可能であり、
前記ジャム検知部において原稿のジャムが検知された場合、前記特殊搬送モードが設定されている場合には、前記表示部に原稿のジャムが発生したことを通知するための表示を行うことを特徴とする請求項1に記載の画像読取システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原稿を読み取る画像読取装置とそれに接続される情報処理装置を含む画像読取システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、ユーザが設定した画像読取設定をもとにして、給紙トレイに載置された複数枚の原稿を1枚ずつ分離して搬送すると共に、搬送された原稿の画像を読み取る画像読取装置が知られている。この画像読取装置は、複数枚の原稿が重なって搬送される重送が発生したことを超音波センサ等の重送検知センサによって検知し、タッチパネルなどの表示部を介してユーザにエラー発生状況を通知する手段を有している。他にも画像読取装置は、原稿の搬送途中に発生した紙詰まり(ジャム)などを検知する手段も有している。
【0003】
また、画像読取装置は、給紙トレイに載置された原稿を分離して搬送する分離モードと、ユーザが一枚ずつ手差し給紙などを行う非分離モードを有し、非分離モードが選択された場合は、分離手段を無効化するのに加え重送検知センサによる重送検知機能を無効化する制御を行っている。封筒など、正しく1つずつに分離されていても重送だと誤検出されやすい原稿を読み取る際は非分離モードを利用することが多い。
【0004】
特許文献1には、重送検知センサによって原稿の重送を検知したことに従って、原稿の搬送を停止する画像読取装置が記載されている。また、特許文献1には、原稿の重送が発生した旨をユーザに通知し、画像読取装置の設定を変更し、重送検知設定を無効化して原稿の画像の読み取りを再開することをユーザに選択させる機能が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、画像読取装置を用いてパスポートなどの分厚い原稿を読み取る際はジャムエラーが発生する場合もある。このとき、ユーザは重送検知設定を無効化し、非分離モードを利用するだけでなく、搬送ローラのトルクを大きくする特殊な搬送モードを利用する必要がある。しかし、特殊な搬送モードは、通常、設定画面の階層深い場所に配置されている場合が多く、ユーザは設定を見つけるまで、何度も画像読取設定を変更し原稿の読み取りを行う手間が発生すると共に、複数回原稿が搬送されるため原稿を痛めてしまう恐れもある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記を鑑み、本発明に係る画像読取システムは、
原稿を搬送する搬送部と、
前記搬送部によって搬送された原稿を読み取る読取部と、
前記搬送部によって搬送された原稿のジャムを検知するジャム検知部と、
前記搬送部によって搬送された原稿の位置を検知する原稿検知部と、
表示部と
を備え、
前記ジャム検知部において原稿のジャムを検出したときに、前記原稿検知部にて検知された原稿の位置に応じてジャムの種類を検出し、
前記ジャムの種類に応じた通知を前記表示部に表示することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ユーザは、重送が発生しやすいような特殊原稿の読み取りを行う際に発生したエラーへの対処方法を簡単に知ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施形態に係る画像読取装置の概略図
【
図2】本発明の実施形態に係る画像読取装置の制御ユニットのブロック図
【
図3】本発明の実施形態に係る外部情報処理装置のブロック図
【
図4】本発明の実施形態に係るアプリケーションを示す図
【
図5】本発明の実施形態に係る情報処理装置90や画像処理装置A内の記憶部に保管される設定情報の例
【
図6】本発明の実施形態に係るジャム発生時の様子を示す模式側面図
【
図7】本発明の実施形態に係るジャム発生時における画像読取装置のエラー判定用テーブル
【
図9】本発明の実施形態に係る画像処理装置Aの動作を示すフローチャート
【
図10】本発明の実施形態に係る画像処理装置Aの表示内容の一例
【
図11】本発明の実施形態に係る画像処理装置Aの表示内容の一例
【
図12】本発明の実施形態に係る画像処理装置Aの表示内容の一例
【
図13】本発明の実施形態に係る画像処理装置Aの表示内容の一例
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の一実施形態に係る画像読取システムは、画像読取装置Aとそれに接続される情報処理装置90によって構成される。
図1は、画像読取装置Aの概略図である。
【0011】
<装置の構成>
画像読取装置Aは、給紙トレイ1に積載された一又は複数の搬送媒体Sを1つずつ装置内に経路RTにて搬送してその画像を読み取り、排紙トレイ2に排出する装置である。読み取る搬送媒体Sは、例えば、OA紙、チェック、小切手、カード類等のシートであり、厚手のシートであっても、薄手のシートであってもよい。カード類は、例えば、保険証、免許証、クレジットカード等を挙げることができる。搬送媒体Sには、また、パスポートなどの冊子も含まれる。冊子を対象とする場合、後述するホルダ100を用いることができる。ホルダ100に見開き状態の冊子を収容して給紙トレイ1に載置することで、冊子がホルダ100と共に搬送され、その画像を読み取ることができる。給紙トレイ1に原稿が戴置されているかどうかは原稿台検知センサ13が判別を行う。原稿台検知センサ13としては種々のものが利用可能であるが、本実施形態ではPIと呼ばれる光学センサであり、片側に発光部と受光部を備え、原稿が戴置されている場合は発光部を出た光が受光部に届かないことを原理として原稿の有無を検知する。
【0012】
経路RTに沿って搬送媒体Sを給送する給送機構としての第1搬送部10が設けられている。第1搬送部10は本実施形態の場合、送りローラ11と、送りローラ11に対向配置される分離ローラ12と、を備え、給紙トレイ1上の搬送媒体Sを搬送方向D1に一つずつ順次搬送する。送りローラ11には、モータ等の駆動部3から伝達部5を介して駆動力が伝達され、図中矢印方向に回転駆動される。伝達部5は例えば電磁クラッチであり、駆動部3からの送りローラ11への駆動力を断続する。
【0013】
駆動部3の制御により、伝達部5を介して送りローラ11に伝達される駆動力を調整することができる。本実施形態では、画像読取装置Aが通常の駆動力を用いて通常原稿である搬送媒体Sを搬送する場合を通常搬送モードと呼び、例えばエンボスカードなどの分厚い媒体を通常搬送モードより大きな駆動力を用いて搬送する搬送モードを特殊搬送モードと呼び、任意の動作モードを選択可能に構成されている。
【0014】
駆動部3と送りローラ11とを接続する伝達部5は、例えば、本実施形態では、通常時において駆動力が伝達される状態とし、搬送媒体Sの逆送の場合に駆動力を遮断する。送りローラ11は伝達部5により駆動力の伝達が遮断されると、自由回転可能な状態となる。なお、このような伝達部5は、送りローラ11を一方向のみに駆動させる場合には設けなくてもよい。
【0015】
送りローラ11に対向配置される分離ローラ12は、搬送媒体Sを1枚ずつ分離するためのローラであり、送りローラ11に対して一定圧で圧接している。この圧接状態を確保するため、分離ローラ12は揺動可能に設けると共に送りローラ11へ付勢されるように構成される。分離ローラ12は、トルクリミッタ12aを介して駆動部3から駆動力が伝達され、実線矢印方向に回転駆動される。
【0016】
分離ローラ12はトルクリミッタ12aにより駆動力伝達が規制されるため、送りローラ11と当接している際は送りローラ11に連れ回りする方向(破線矢印方向)に回転する。これにより、複数の搬送媒体Sが送りローラ11と分離ローラ12との圧接部に搬送されてきた際には、一つを残して2つ以上の搬送媒体Sが下流に搬送されないようにせき止められる。
【0017】
画像読取装置Aが搬送する搬送媒体Sが、分厚い原稿である場合は付箋が貼られている場合、分離ローラ12の回転駆動により原稿が破損する可能性がある。このため、画像読取装置Aは分離ローラ12を搬送路から離すための分離レバーのような機構(不図示)を持つことが多い。分離ローラ12が送りローラ11と当接している場合の搬送状態を分離モード、離れている場合の搬送状態を非分離モードとする。
【0018】
なお、本実施形態では分離ローラ12と送りローラ11とで分離機構を構成したが、このような分離機構は必ずしも設けなくてもよく、経路RTに搬送媒体Sを1つずつ順次給送する給送機構であればよい。また、分離機構を設ける場合においては、分離ローラ121のような構成の代わりに、搬送媒体Sに摩擦力を付与する分離パッドを送りローラ11に圧接させて、同様の分離作業を持たせるようにしてもよい。
【0019】
第1搬送部10の搬送方向下流側にある搬送機構としての第2搬送部20は、駆動ローラ21と、駆動ローラ21に従動する従動ローラ22とを備え、第1搬送部10から搬送されてきた搬送媒体Sをその下流側へ搬送する。駆動ローラ21にはモータ等の駆動部4から駆動力が伝達され、図中矢印方向に回転駆動される。従動ローラ22は駆動ローラ21に対して一定圧で圧接し、駆動ローラ21に連れ回る。この従動ローラ22は、バネ等の付勢ユニット(不図示)によって駆動ローラ21に対して付勢された構成としてもよい。
【0020】
このような第2搬送部20よりも搬送方向下流側にある第3搬送部30は、駆動ローラ31と、駆動ローラ31に柔道する従動ローラ32とを備え、第2搬送部20から搬送されてきた搬送媒体Sを排出トレイ2へ搬送する。つまり、この第3搬送部30は排出機構として機能する。駆動ローラ31にはモータ等の駆動部4から駆動力が伝達され、図中矢印方向に回転駆動される。従動ローラ32は駆動ローラ31に対して一定圧で圧接し、駆動ローラ31に連れまわる。この従動ローラ32は、バネ等の付勢ユニット(不図示)によって駆動ローラ31に対して付勢された構成としてもよい。
【0021】
第2搬送部20と第3搬送部30との間に配置される画像読取ユニット70(読取部)によって画像の読み取りを行う。
【0022】
第1搬送部10と第2搬送部20との間に配置される重送検出センサ40は、静電気等で紙などの搬送媒体S同士が密着し、第1搬送部10を通過してきた場合(つまり重なって搬送される重送状態の場合)に、これを検出するための検出センサ(シートの挙動や状態を検出するセンサ)の一例である。重送検出センサ40としては、種々のものが利用可能であるが本実施形態の場合には超音波センサであり、超音波の発信部41とその受信部42とを備え、発信部41からの超音波が重送した二枚の搬送媒体Sの隙間で減衰する原理を利用して搬送媒体Sの重送を検出する。搬送媒体Sが複数枚重なって重送検出センサ40を通過したときの超音波の減衰割合は、一枚のみ搬送された場合よりも大きいので、減衰割合の検出値が所定の閾値を超えると、重送検出センサ40は重送を検出する。
【0023】
媒体検出センサ50は第2搬送部20よりも上流側で、第1搬送部10よりも下流側に配置された上流側の検出センサ(シートの挙動や状態を検出するセンサ)としての一例であり、第1搬送部10により搬送される搬送媒体Sの位置、詳細には、媒体検出センサ50の検出位置に搬送媒体Sの端部が到達又は通過したか否かを検出する。媒体検出センサ50としては、種々のものが利用可能であるが、本実施形態の場合には光学センサであり、発光部51とその受光部52とを備え、搬送媒体Sの到達又は通過により受光強度(受光量)が変化することを原理として搬送媒体Sを検出する。
【0024】
本実施形態の場合、搬送媒体Sの先端が媒体検出センサ50で検出されると、搬送媒体Sが重送検出センサ40により重送を検出可能な位置に到達しているように、上記の媒体検出センサ50は重送検出センサ40の近傍においてその下流側に設けられている。なお、この媒体検出センサ50は、上記の光学センサに限定されず、例えば、搬送媒体Sの端部が検知できるセンサ(イメージセンサ等)を用いてもよいし、経路RTに突出したレバー型のセンサでもよい。
【0025】
媒体検出センサ50とは別の媒体検出センサ60は画像読取ユニット70よりも上流側で、第2搬送部20よりも下流側に配置された下流側の検出センサとしての一例であり、第2搬送部20により搬送される搬送媒体Sの位置を検出する。媒体検出センサ60としては、種々のものが利用可能であるが、本実施形態の場合、媒体検出センサ50と同様に光センサであり、発光部61と受光部62とを備え、搬送媒体Sの到達又は通過により受光強度(受光量)が変化することを原理として搬送媒体Sを検出する。なお、本実施形態では、第2搬送部20の搬送方向上流側と下流側のそれぞれに媒体検出センサ50、60を配置したが、何れか一方だけでもよい。
【0026】
画像読取ユニット70は、例えば、光学的に走査し、電気信号に変換して画像データとして読み取るものであり、内部にLED等の光源、イメージセンサ、レンズアレー等を備え、対抗位置には黒の背景板が備えられている。搬送媒体Sが存在しない場合は、画像読取ユニット70は背景板を読み取る。本実施形態の場合、画像読取ユニット70は経路RTの両側に一つずつ配置されており、搬送媒体Sの表裏面を読み取る。しかし、経路RTの片側にのみ一つ配置して、搬送媒体Sの片面のみを読み取る構成としてもよい。また、本実施形態では、画像読取ユニット70を経路RTの両側に対向配置した構造としているが、例えば、経路RTの方向に間隔をあけて配置してもよい。
【0027】
次に
図2を参照して制御部8について説明する。
図2は画像読取装置Aの制御部8のブロック図である。
【0028】
制御部8はCPU81、記憶部82、操作部83、通信部84、インターフェース部85、アクチュエータ86及びセンサ87を備える。
【0029】
CPU81は記憶部82に記憶されたプログラムを実行することにより、画像読取装置A全体の制御を行う。記憶部82は例えばRAM、ROM等から構成される。操作部83は、例えば、スイッチやタッチパネル等で構成され、操作者からの操作を受け付ける。
【0030】
通信部84は、PCや携帯電話などといった情報処理装置90との情報通信を行うインターフェースである。通信部84としては、例えば、USBインターフェースやSCSIインターフェースを挙げることができる。また、このような有線通信のインターフェースの他、通信部84は無線通信のインターフェースとしてもよく、有線通信、無線通信の双方のインターフェースを備えていてもよい。
【0031】
インターフェース部85はアクチュエータ86やセンサ87とのデータの入出力を行うI/Oインターフェースである。アクチュエータ86には、駆動部3、駆動部4、伝達部5等が含まれる。センサ87には、重送検出センサ40、媒体検出センサ50及び60、画像読取ユニット70等が含まれる。
【0032】
次に、
図3を参照して
図2の情報処理装置90を説明する。
図3は、画像読取装置Aと接続している情報処理装置90のブロック図である。
【0033】
CPU91は記憶部92に記憶されたプログラムを実行することにより、情報処理装置90全体の制御を行う。記憶部92は例えばRAM等から構成されており、コンピュータープログラムや後述の通信部94から受信したデータ等が格納されている。操作部93は、例えば、キーボードやマウス等で構成され、ユーザはこの操作部93を操作することで、各種の指示をCPU91に対して入力することができる。
【0034】
通信部94は、画像読取装置Aとの情報通信を行うインターフェースである。通信部94としては、例えば、USBインターフェースやSCSIインターフェースを挙げることができる。また、このような有線通信のインターフェースの他、通信部94は無線通信のインターフェースとしてもよく、有線通信、無線通信の双方のインターフェースを備えていてもよい。表示部95は、CRTや液晶画面などで構成されており、CPU91による処理結果を画像や文字などをもって表示することができる。
【0035】
本実施形態の動作を行うにあたり、ユーザは予め情報処理装置90へ画像処理を行うためのアプリケーションI(不図示)をインストールする。インストールされたアプリケーションIは記憶部92へ保存され、CPU91の処理によって動作するものとする。
【0036】
図4は、アプリケーションIを起動した際に情報処理装置90に表示される画面の一例である。
図4を参照してアプリケーションIの動作を説明する。
【0037】
ユーザはアプリケーションIを用いて画像読取処理の設定を任意に変更し、保存ボタン2000を押下することで、情報処理装置90内の記憶部92へ読取設定を保存する。このとき、アプリケーションIは、例えば
図9で示すような画像読取処理の設定テーブルのように、情報を保存する。
【0038】
また、ユーザが画像読取処理を開始する場合は、例えばアプリケーションI内のスキャンボタン2001を押下するものとする。終了ボタン2002が押下された際はアプリケーションIを終了する。
【0039】
図5、
図6を参照して、本実施形態における画像読取装置Aの搬送エラー検出機能について説明する。
図5はジャム発生時における画像読取装置Aの断面図の一例を示す。
図6は画像読取装置Aの各媒体検出センサの状態とエラーの種類を対応させるテーブルである。
【0040】
画像読取装置Aが搬送中の搬送媒体Sに紙詰まり(ジャム)が発生した場合、画像読取装置Aは次の搬送媒体Sを搬送できず、動作を停止する。この時、ジャム検知部として機能する画像読取装置AのCPU81は、媒体検出センサ50及び60を用いて検出した搬送媒体Sの位置情報に基づき、エラーの発生した位置を特定する(
図6を参照)。CPU81は、搬送媒体Sの先端部がE1に存在する場合は給紙ジャム、E2に存在する場合は滞留ジャム、E3に存在する場合は排紙ジャムと判断する。このとき、CPU81は、原稿の位置を媒体検出センサ50及び60を用いて検出する原稿検知部として機能している。
【0041】
また、搬送媒体Sが重送だと誤検出する封筒などの原稿であった場合、重送検出センサ40が重送を検出する場合があるが、CPU81は、重送と3種類のジャムのいずれかが同時に発生している場合はジャムエラーを優先する。
【0042】
以下、
図7のシーケンス図を参照して、本実施形態における搬送エラー発生時の画像読取装置Aの動作について説明する。
【0043】
画像読取処理を開始するのにあたり、ユーザは、まず画像読取装置Aと情報処理装置90をUSBケーブルなどで接続し、情報処理装置90内のアプリケーションIを起動する。
【0044】
ステップS100において、ユーザはアプリケーションIを利用して、
図4に示した保存ボタン2000を押下し、これから行う画像処理の読取設定をジョブとして記憶部92へ保存(登録)する。
【0045】
そして、ステップS101において、例えばユーザが
図4のアプリケーションI内のスキャンボタン2001を押下し、スキャン開始の指示を出すと、アプリケーションIは画像読取装置Aに画像読取処理の開始を指示するとともに、ユーザがS100で設定したジョブ情報を画像読取装置Aに送信する(S102)。
【0046】
ステップS104において、アプリケーションIからスキャン開始指示を受けた画像読取装置Aは、搬送媒体Sの搬送を開始する。このとき、S102においてアプリケーションIから送信されたジョブ情報は画像読取装置A内の記憶部82に保存され(
図9を参照)、画像読取装置Aが画像読取処理を行う際に用いられる。次いで、このジョブ情報を用いて搬送媒体Sを搬送中の画像読取装置Aの処理動作Tが実行されるが、これについては後ほど
図8を用いて説明する。
【0047】
ステップS105において、搬送媒体Sの搬送が終了すると、画像読取装置Aは記憶部82に保存されたジョブ情報を基に読み取った画像データの画像処理を行う(S106)。
【0048】
このとき、画像読取装置Aは原稿台検知センサ13の情報を基に、給紙トレイ1に載置されている原稿がなくなるまでステップS103からステップS105の処理を繰り返す。
【0049】
ステップS107において、画像読取装置Aは処理が終わった画像データを、通信部94を介してアプリケーションIへ送信する。これにより、一連の画像読取処理が終了するため、画像読取装置Aは画像読取処理を終了する(S108)。
【0050】
次に、
図8、
図10から
図13を参照して、搬送媒体Sを搬送中の画像読取装置Aの処理動作Tについて説明する。
図8は、
図7のステップS104における処理を示したフローチャートである。
図10から
図13は、ジャムエラー発生時に画像読取装置Aの操作部83に表示される画面の一例である。
【0051】
図8のステップS200において、画像読取装置Aは操作部83へスキャン処理中である旨を表示し、搬送媒体Sの搬送を開始するS201。このとき、搬送エラーが起こらなければ(S202、S211ともにNo)、画像読取装置Aは搬送した搬送媒体Sの画像読取処理を行う(S212)。
【0052】
ステップS202にて、搬送媒体Sを搬送中の画像読取装置Aがジャムエラーを検出すると、CPU81は媒体検出センサ50の情報(出力)に基づき給紙ジャムが発生したかどうかを判断する(S203)。
【0053】
画像読取装置Aが搬送中に給紙ジャムを検出した場合、ステップS204にて、CPU81は記憶部82に保存しているジョブ情報を検索し、特殊搬送モードが有効になっているかどうかを判断する。このとき、特殊搬送モードが有効であった場合、CPU81は操作部83に、例えば
図10に示すような給紙ジャム発生通知を表示する(S206)。
【0054】
図10において、ユーザが「スキャンを継続」ボタン1000を選択した場合、画像読取装置AはステップS201から画像読取処理を再開し(S214でYes)、ユーザが「スキャンを中止」ボタン1001を選択した場合、画像読取装置Aはすべての動作を終了する(S214でNo)。
【0055】
一方、ステップS204で特殊搬送モードが無効であった場合、ステップS205にて、CPU81は記憶部82に保存しているジョブ情報を検索し、重送検知機能が有効になっているかどうかを判断する。このとき、重送検知モードが無効であった場合、CPU81は操作部83に、例えば
図11に示すような特殊搬送モード推奨通知を表示する(S207)。
【0056】
図11において、ユーザが「特殊搬送モードを有効にしてスキャンを継続」ボタン1002を選択した場合、画像読取装置AのCPU81は記憶部82に変更された設定を保存してスキャン処理を再開する。ユーザが設定を変更しないまま「スキャンを継続」ボタン1003を選択した場合、画像読取装置AはステップS201から画像読取処理を再開する(S214でYes)。ユーザが「スキャンを中止」ボタン1004を選択した場合、画像読取装置Aはすべての動作を終了する(S214でNo)。
【0057】
また、ステップS203で画像読取装置Aが搬送中に給紙ジャム以外のジャムを検出した場合、ステップS209にて、CPU81は記憶部82に保存しているジョブ情報を検索し、重送検知モードが有効になっているかどうかを判断する。このとき、重送検知モードが有効であった場合、CPU81は操作部83に、例えば
図12に示すような重送検知無効推奨通知を表示する(S208)。重送検知モードが無効になっている場合には、ステップS210に進み、例えば
図13に示すような重送エラー通知を表示する(S210)。
【0058】
図12において、ユーザが「重送検知モードを無効にしてスキャンを継続」ボタン1005を選択した場合、画像読取装置AのCPU81は記憶部82に変更された設定を保存して画像読取処理を再開する(S214でYes)。ユーザが設定を変更しないまま「スキャンを継続」ボタン1006を選択した場合、画像読取装置AはステップS201から画像読取処理を再開し、ユーザが「スキャンを中止」ボタン1007を選択した場合、画像読取装置Aはすべての動作を終了する(S214でNo)。なお、この動作はステップS205において、重送検知が有効であった場合と同様である。
【0059】
また、ステップS202ではジャムエラーを検出せずにステップS211にて、画像読取装置Aが重送のみを検出した場合、CPU81は操作部83に、例えば
図13に示すような重送エラー通知を表示する(S210)。
【0060】
図13において、ユーザが「スキャンを継続」ボタン1008を選択した場合、画像読取装置AはステップS201から画像読取処理を再開する(S214でYes)。ユーザが「スキャンを中止」ボタン1009を選択した場合、画像読取装置Aはすべての動作を終了する(S214でNo)。なお、この動作はステップS209において、重送検知が無効であった場合と同様である。
【0061】
本実施形態では、重送とジャムの二種類のエラーに着目したが、画像読取装置Aが搬送中に検知できるエラーには他に、搬送媒体Sが斜行して搬送されたことを検出する斜行検知や給紙時の異常を検出する給紙異常検知、ホッチキス止めされた原稿を検出するステープル検知などが存在する。このため、画像読取装置Aは、エラー発生時における搬送媒体Sの位置とこれらのエラー情報を組み合わせたエラー通知を表示部に表示させることも可能である。
【符号の説明】
【0062】
A 画像読取装置
I 画像処理アプリケーション
S 搬送媒体
8 制御部
10 第1搬送部
20 第2搬送部
30 第3搬送部
40 重送検出センサ
50 媒体検出センサ
60 媒体検出センサ
70 画像読取ユニット
81 CPU
82 記憶部
83 操作部