(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024000893
(43)【公開日】2024-01-09
(54)【発明の名称】基板生産システムおよび基板生産方法
(51)【国際特許分類】
H05K 13/04 20060101AFI20231226BHJP
【FI】
H05K13/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022099871
(22)【出願日】2022-06-21
(71)【出願人】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(72)【発明者】
【氏名】松下 直樹
(72)【発明者】
【氏名】安間 公久
【テーマコード(参考)】
5E353
【Fターム(参考)】
5E353AA01
5E353CC01
5E353CC03
5E353CC21
5E353CC22
5E353DD19
5E353EE41
5E353EE89
5E353GG01
5E353HH11
5E353JJ21
5E353JJ48
5E353KK01
5E353LL03
5E353MM04
5E353MM08
5E353QQ01
5E353QQ22
(57)【要約】
【課題】無駄に使用する部品が増加するのを抑制することが可能な基板生産システムを提供する。
【解決手段】この基板生産システム100は、部品実装装置15と、基板Sに半田を印刷または塗布する印刷機12およびディスペンサ装置14と、半田が印刷または塗布された基板Sについて、部品実装装置15において基板Sへの部品Eの実装が完了するまで、または、基板Sを加熱するリフロー装置18に基板Sが搬入されるまで、の推定時間を取得する制御装置30と、を備える。制御装置30は、半田が印刷または塗布された基板Sについて、半田が基板Sに配置されてからの経過時間と、取得した推定時間と、に基づいて、基板Sに印刷または塗布された半田の品質が時間経過により不良になるおそれがあるか否かを判断するように構成されている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に部品を実装する実装部を含む部品実装装置と、
前記部品実装装置の上流側に設けられ、基板に部品を接合するための接合材を基板に印刷または塗布する接合材配置装置と、
前記接合材配置装置により接合材が印刷または塗布された基板について、前記部品実装装置において基板への部品の実装が完了するまで、または、基板を加熱する装置に基板が搬入されるまで、の推定時間を取得する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記接合材配置装置により接合材が印刷または塗布された基板について、接合材が基板に配置されてからの経過時間と、取得した前記推定時間と、に基づいて、基板に印刷または塗布された接合材の品質が時間経過により不良になるおそれがあるか否かを判断するように構成されている、基板生産システム。
【請求項2】
前記制御部は、接合材が基板に配置されてからの経過時間と前記推定時間との合計が接合材の品質が不良となるおそれがある第1しきい値以上の場合に、時間経過により品質が不良となるおそれがあると予測される接合材が印刷または塗布された基板に対して、以降の部品の実装を停止する制御を行うように構成されている、請求項1に記載の基板生産システム。
【請求項3】
前記制御部は、接合材が基板に配置されてからの経過時間と前記推定時間との合計が第2しきい値以上で、かつ、前記第1しきい値よりも小さい場合に、警告を通知する制御を行うように構成されている、請求項2に記載の基板生産システム。
【請求項4】
前記制御部は、時間経過により品質が不良となるおそれがあると予測される接合材が印刷または塗布されて以降の部品の実装を停止した基板を、前記部品実装装置を含む生産ラインから排出する制御を行うように構成されている、請求項2に記載の基板生産システム。
【請求項5】
前記部品実装装置の下流側に設けられ、基板を加熱するリフロー装置をさらに備え、
前記制御部は、時間経過により品質が不良となるおそれがあると予測される接合材が印刷または塗布されて以降の部品の実装を停止した基板を、前記リフロー装置よりも上流側において前記生産ラインから取り出せるように排出する制御を行うように構成されている、請求項4に記載の基板生産システム。
【請求項6】
前記部品実装装置の下流側かつ前記リフロー装置の上流側に設けられ、基板を保持可能なバッファ装置をさらに備え、
前記制御部は、時間経過により品質が不良となるおそれがあると予測される接合材が印刷または塗布されて以降の部品の実装を停止した基板を、前記バッファ装置において前記生産ラインから取り出せるように排出する制御を行うように構成されている、請求項5に記載の基板生産システム。
【請求項7】
前記接合材配置装置は、基板に半田を印刷する印刷装置を含み、
前記制御部は、基板に印刷された半田の品質が時間経過により不良になるおそれがあるか否かを判断するように構成されている、請求項1に記載の基板生産システム。
【請求項8】
前記制御部は、前記部品実装装置、または、前記部品実装装置を含む生産ラインとは別個の装置に、設けられている、請求項1に記載の基板生産システム。
【請求項9】
基板に部品を実装する部品実装装置の上流側に設けられて基板に部品を接合するための接合材を基板に印刷または塗布する接合材配置装置により接合材が印刷または塗布された基板について、前記部品実装装置において基板への部品の実装が完了するまで、または、基板を加熱する装置に基板が搬入されるまで、の推定時間を取得する工程と、
前記接合材配置装置により接合材が印刷または塗布された基板について、接合材が基板に配置されてからの経過時間と、取得した前記推定時間と、に基づいて、基板に印刷または塗布された接合材の品質が時間経過により不良になるおそれがあるか否かを判断する工程と、を備える、基板生産方法。
【請求項10】
接合材が基板に配置されてからの経過時間と前記推定時間との合計が接合材の品質が不良となるおそれがある第1しきい値以上の場合に、時間経過により品質が不良となるおそれがあると予測される接合材が印刷または塗布された基板に対して、以降の部品の実装を停止する工程をさらに備える、請求項9に記載の基板生産方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、基板生産システムおよび基板生産方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、基板生産システムが知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、基板に部品を実装する部品実装装置と、基板に半田を印刷する半田印刷機と、制御装置とを備える基板生産システムが開示されている。この特許文献1の基板生産システムでは、制御装置は、部品実装装置において基板に部品を実装する作業を始める時点において、基板に半田を印刷してからの時間が半田の使用限界時間を超えている場合に、部品実装装置における部品の実装作業を中止する制御を行うように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1では、部品実装装置において基板に部品を実装する作業を始める時点において、基板に半田を印刷してからの時間が半田の使用限界時間を超えた時点で、部品実装装置における部品の実装作業が中止される。このため、実装作業を中止した部品実装装置よりも上流側において部品を実装している場合には、実装した部品を無駄に使用することになる。このため、無駄に使用する部品が増加するのを抑制することが望まれている。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、無駄に使用する部品が増加するのを抑制することが可能な基板生産システムおよび基板生産方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、この発明の第1の局面による基板生産システムは、基板に部品を実装する実装部を含む部品実装装置と、部品実装装置の上流側に設けられ、基板に部品を接合するための接合材を基板に印刷または塗布する接合材配置装置と、接合材配置装置により接合材が印刷または塗布された基板について、部品実装装置において基板への部品の実装が完了するまで、または、基板を加熱する装置に基板が搬入されるまで、の推定時間を取得する制御部と、を備え、制御部は、接合材配置装置により接合材が印刷または塗布された基板について、接合材が基板に配置されてからの経過時間と、取得した前記推定時間と、に基づいて、基板に印刷または塗布された接合材の品質が時間経過により不良になるおそれがあるか否かを判断するように構成されている。
【0008】
この発明の第1の局面による基板生産システムでは、上記のように、制御部は、接合材配置装置により接合材が印刷または塗布された基板について、接合材が基板に配置されてからの経過時間と、部品実装装置において基板への部品の実装が完了するまで、または、基板を加熱する装置に基板が搬入されるまで、の推定時間と、に基づいて、基板に印刷または塗布された接合材の品質が時間経過により不良になるおそれがあるか否かを判断するように構成されている。これにより、半田や接着剤などの接合材が使用期限を超えることにより品質が不良になるおそれがある前において、基板への部品の実装完了または基板の加熱を開始するまでに接合材の品質が不良になるおそれがあると予測される場合に、基板への部品の実装を予め停止することができる。その結果、無駄に使用する部品が増加するのを抑制することができる。また、接合材の品質が不良となるおそれがある基板に対して部品を実装して基板を生産することがないので、接合材の品質の低下に起因して、部品の接合不良が生じる基板を生産することを抑制することができる。
【0009】
上記第1の局面による基板生産システムにおいて、好ましくは、制御部は、接合材が基板に配置されてからの経過時間と推定時間との合計が接合材の品質が不良となるおそれがある第1しきい値以上の場合に、時間経過により品質が不良となるおそれがあると予測される接合材が印刷または塗布された基板に対して、以降の部品の実装を停止する制御を行うように構成されている。このように構成すれば、接合材が基板に配置されてから基板への部品の実装完了または基板の加熱を開始するまでに接合材の品質が不良になるおそれがあると予測した場合に、予測された時点以降に基板に対して部品が実装されないので、部品を無駄に使用するのを効果的に抑制することができる。
【0010】
上記時間経過により品質が不良となるおそれがあると予測される接合材が印刷または塗布された基板に対して以降の部品の実装を停止する構成の基板生産システムにおいて、好ましくは、制御部は、接合材が基板に配置されてからの経過時間と推定時間との合計が第2しきい値以上で、かつ、第1しきい値よりも小さい場合に、警告を通知する制御を行うように構成されている。このように構成すれば、基板への作業に今後遅れが生じた場合には、接合材の品質が不良となるおそれがある基板が生じていることを作業者に認識させることができる。その結果、作業遅れの抑制や優先して作業を行うなど、作業者に対して適切な対応を行うように促すことができる。
【0011】
上記時間経過により品質が不良となるおそれがあると予測される接合材が印刷または塗布された基板に対して以降の部品の実装を停止する構成の基板生産システムにおいて、好ましくは、制御部は、時間経過により品質が不良となるおそれがあると予測される接合材が印刷または塗布されて以降の部品の実装を停止した基板を、部品実装装置を含む生産ラインから排出する制御を行うように構成されている。このように構成すれば、部品の実装が完了して生産が完了した基板に対して、生産を停止した基板を分けて取り出すことができる。その結果、部品の実装が完了した基板に対して、検査工程およびリフロー工程などのその後の作業工程を支障なく行うことができる。
【0012】
この場合、好ましくは、部品実装装置の下流側に設けられ、基板を加熱するリフロー装置をさらに備え、制御部は、時間経過により品質が不良となるおそれがあると予測される接合材が印刷または塗布されて以降の部品の実装を停止した基板を、リフロー装置よりも上流側において生産ラインから取り出せるように排出する制御を行うように構成されている。このように構成すれば、生産を停止した基板がリフロー装置により加熱されることがないので、基板に印刷または塗布された接合材がリフロー装置により硬化する前に、基板を取り出すことができる。これにより、不要なリフロー工程が行われるのを抑制することができる。
【0013】
上記リフロー装置を備える構成の基板生産システムにおいて、好ましくは、部品実装装置の下流側かつリフロー装置の上流側に設けられ、基板を保持可能なバッファ装置をさらに備え、制御部は、時間経過により品質が不良となるおそれがあると予測される接合材が印刷または塗布されて以降の部品の実装を停止した基板を、バッファ装置において生産ラインから取り出せるように排出する制御を行うように構成されている。このように構成すれば、生産を停止した基板をリフロー装置よりも上流側に配置されたバッファ装置において容易に取り出すことができる。
【0014】
上記第1の局面による基板生産システムにおいて、好ましくは、接合材配置装置は、基板に半田を印刷する印刷装置を含み、制御部は、基板に印刷された半田の品質が時間経過により不良になるおそれがあるか否かを判断するように構成されている。このように構成すれば、基板への部品の実装完了または基板の加熱を開始するまでに半田の品質が不良になるおそれがあると予測した場合に、基板への部品の実装を停止して、無駄に使用する部品が増加するのを抑制することができる。
【0015】
上記第1の局面による基板生産システムにおいて、好ましくは、制御部は、部品実装装置、または、部品実装装置を含む生産ラインとは別個の装置に、設けられている。このように構成すれば、制御部を部品実装装置に設けた場合、部品実装装置において、装置内にある基板について、基板に印刷または塗布された接合材の品質が時間経過により不良になるおそれがあるか否かを予測することができる。また、制御部を生産ラインに含まれる装置とは別個に設けた場合に、制御部により生産ラインの基板生産を管理する制御を一括して行うことができる。
【0016】
この発明の第2の局面による基板生産方法は、基板に部品を実装する部品実装装置の上流側に設けられて基板に部品を接合するための接合材を基板に印刷または塗布する接合材配置装置により接合材が印刷または塗布された基板について、部品実装装置において基板への部品の実装が完了するまで、または、基板を加熱する装置に基板が搬入されるまで、の推定時間を取得する工程と、接合材配置装置により接合材が印刷または塗布された基板について、接合材が基板に配置されてからの経過時間と、取得した推定時間と、に基づいて、基板に印刷または塗布された接合材の品質が時間経過により不良になるおそれがあるか否かを判断する工程と、を備える。
【0017】
この発明の第2の局面による基板生産方法は、上記のように、接合材配置装置により接合材が印刷または塗布された基板について、接合材が基板に配置されてからの経過時間と、部品実装装置において基板への部品の実装が完了するまで、または、基板を加熱する装置に基板が搬入されるまで、の推定時間と、に基づいて、基板に印刷または塗布された接合材の品質が時間経過により不良になるおそれがあるか否かを判断する工程を備える。これにより、半田や接着剤などの接合材が使用期限を超えることにより品質が不良になるおそれがある前において、基板への部品の実装完了または基板の加熱を開始するまでに接合材の品質が不良になるおそれがあると予測される場合に、基板への部品の実装を予め停止することができる。その結果、無駄に使用する部品が増加するのを抑制することが可能な基板生産方法を提供することができる。また、接合材の品質が不良となるおそれがある基板に対して部品を実装して基板を生産することがないので、接合材の品質の低下に起因して、部品の接合不良が生じる基板を生産することを抑制することができる。
【0018】
上記第2の局面による基板生産方法において、好ましくは、接合材が基板に配置されてからの経過時間と推定時間との合計が接合材の品質が不良となるおそれがある第1しきい値以上の場合に、時間経過により品質が不良となるおそれがあると予測される接合材が印刷または塗布された基板に対して、以降の部品の実装を停止する工程をさらに備える。このように構成すれば、接合材が基板に配置されてから基板への部品の実装完了または基板の加熱を開始するまでに接合材の品質が不良になるおそれがあると予測した場合に、予測された時点以降に基板に対して部品が実装されないので、部品を無駄に使用するのを効果的に抑制することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、上記のように、無駄に使用する部品が増加するのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の実施形態による基板生産システムの概略を示したブロック図である。
【
図2】本発明の実施形態による部品実装装置の構成を示した平面図である。
【
図3】本発明の実施形態による基板生産システムの通常時の大型基板の生産の例を説明するための図である。
【
図4】本発明の実施形態による基板生産システムの遅延発生時の大型基板の生産の例を説明するための図である。
【
図5】本発明の実施形態による基板生産システムの通常時の小型基板の生産の例を説明するための図である。
【
図6】本発明の実施形態による基板生産システムの遅延発生時の小型基板の生産の例を説明するための図である。
【
図7】本発明の実施形態による基板生産システムの基板生産処理を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0022】
(基板生産システムの構成)
図1~
図10を参照して、本発明の実施形態による基板生産システム100の構成について説明する。
【0023】
本実施形態による基板生産システム100は、基板Sに部品Eを実装して、部品Eが実装された基板Sを生産するように構成されている。基板生産システム100は、
図1に示すように、生産ライン10と、制御装置30と、を備えている。なお、制御装置30は、特許請求の範囲の「制御部」の一例である。
【0024】
生産ライン10は、複数設けられている。また、生産ライン10は、ローダ11と、印刷機12と、印刷検査機13と、ディスペンサ装置14と、複数の部品実装装置15と、外観検査装置16と、バッファ装置17と、リフロー装置18と、外観検査装置19と、アンローダ20と、を含んでいる。また、生産ライン10では、生産ライン10に沿って上流側(左側)から下流側(右側)に向かって基板Sが搬送されるように構成されている。なお、印刷機12は、特許請求の範囲の「接合材配置装置」および「印刷装置」の一例である。また、ディスペンサ装置14は、特許請求の範囲の「接合材配置装置」の一例である。
【0025】
(生産ラインの構成)
次に、生産ライン10を構成する各装置の構成について説明する。
【0026】
ローダ11は、部品Eが実装される前の基板S(配線基板)を保持するとともに生産ライン10に基板Sを搬入する役割を有する。なお、部品Eは、LSI、IC、トランジスタ、コンデンサおよび抵抗器などの小片状の電子部品を含む。
【0027】
印刷機12は、部品実装装置15の上流側に設けられ、基板Sに部品Eを接合するための接合材(半田)を基板Sに印刷する。具体的には、印刷機12は、スクリーン印刷機であり、基板Sに部品Eを接合するためのクリーム半田を基板Sの実装面上に印刷する機能を有する。なお、半田は、特許請求の範囲の「接合材」の一例である。
【0028】
印刷検査機13は、印刷機12により印刷したクリーム半田の状態を検査する機能を有する。
【0029】
ディスペンサ装置14は、部品実装装置15の上流側に設けられ、基板Sに部品Eを接合するための接合材(半田または接着剤)を基板Sに塗布する。具体的には、ディスペンサ装置14は、基板Sに部品Eを接合するためのクリーム半田または接着剤を基板Sの実装面上に塗布する機能を有する。なお、半田および接着剤は、特許請求の範囲の「接合材」の一例である。
【0030】
部品実装装置15は、クリーム半田が印刷された基板Sの所定の実装位置に部品Eを実装(搭載)する機能を有する。また、部品実装装置15は、基板Sの搬送方向に沿って複数配置されている。
【0031】
外観検査装置16は、複数の部品実装装置15の下流に設けられている。外観検査装置16は、部品実装装置15により部品Eが実装された基板Sの外観を検査する機能を有する。
【0032】
バッファ装置17は、部品実装装置15の下流側かつリフロー装置18の上流側に設けられている。また、バッファ装置17は、基板Sを保持可能である。具体的には、バッファ装置17は、搬送される基板Sを生産ライン10の途中で取り出すことができるように設けられている。また、バッファ装置17は、基板Sを一時的に待機させるために設けられている。また、バッファ装置17は、不良の基板Sや作業者により検査が必要な基板Sを、生産ライン10から取り出すことができるように設けられている。また、バッファ装置17は、取り出される基板Sを、後続の基板Sが通過できるように、退避させる機能を有する。
【0033】
リフロー装置18は、部品実装装置15の下流側に設けられ、基板Sを加熱する。具体的には、リフロー装置18は、加熱処理を行うことにより半田を溶融させて部品Eを基板Sの電極部に接合する機能を有する。また、リフロー装置18は、加熱処理を行うことにより接着剤を乾燥または硬化させて部品Eを基板Sに接合する機能を有する。また、リフロー装置18は、レーン上の基板Sを搬送しながら、加熱処理を行うように構成されている。
【0034】
外観検査装置19は、リフロー装置18の下流に設けられている。外観検査装置19は、リフロー装置18により加熱処理が行われた後の基板Sの外観を検査する機能を有する。
【0035】
アンローダ20は、部品Eが実装された後の基板Sを生産ライン10から排出する役割を有する。
【0036】
複数の生産ライン10の間には、作業者や自律移動ロボットが通行したり作業を行うための通路が設けられている。
【0037】
制御装置30は、生産ライン10に関する情報を管理する。制御装置30は、生産ライン10により生産される基板Sの種類、枚数、実装する部品Eの種類、部品Eの在庫量、実装に関するデータを管理する。制御装置30は、生産ライン10の各装置(ローダ11、印刷機12、印刷検査機13、ディスペンサ装置14、部品実装装置15、外観検査装置16、バッファ装置17、リフロー装置18、外観検査装置19、アンローダ20)と通信可能に構成されている。制御装置30は、CPUなどの制御部、記憶部、通信部を有するコンピュータにより構成されている。
【0038】
また、制御装置30は、作業者が携帯する携帯端末と情報通信可能である。制御装置30は、作業者の携帯端末に対して通知を行うことが可能である。また、制御装置30は、作業者の携帯端末により入力された操作に基づいて、所定のプログラムを実行する。
【0039】
また、制御装置30は、部品実装装置15を含む生産ライン10とは、別個に設けられている。
【0040】
図2に示すように、部品実装装置15は、半田が印刷された基板Sの所定の実装位置に部品Eを実装(搭載)する機能を有する。部品実装装置15は、基台151と、一対のコンベア152と、部品供給部153と、ヘッドユニット154と、支持部155と、一対のレール部156と、部品認識撮像部157と、制御部158とを備えている。
【0041】
一対のコンベア152は、基台151上に設置され、基板SをX方向に搬送するように構成されている。また、一対のコンベア152は、搬送中の基板Sを実装作業位置で停止させた状態で保持するように構成されている。また、一対のコンベア152は、基板Sの寸法に合わせてY方向の間隔を調整可能に構成されている。
【0042】
部品供給部153は、ヘッドユニット154の実装ヘッド154aに部品Eを供給する。部品供給部153は、一対のコンベア152の外側(Y1側およびY2側)に配置されている。また、部品供給部153には、複数のテープフィーダ153aが配置されている。なお、実装ヘッド154aは、特許請求の範囲の「実装部」の一例である。
【0043】
テープフィーダ153aは、複数の部品Eを所定の間隔を隔てて保持したテープが巻き付けられたリールを保持している。テープフィーダ153aは、リールを回転させて部品Eを保持するテープを送出することにより、テープフィーダ153aの先端から部品Eを供給するように構成されている。
【0044】
ヘッドユニット154は、一対のコンベア152の上方と部品供給部153の上方との間を移動するように設けられている。また、ヘッドユニット154は、ノズルが下端に取り付けられた複数(5つ)の実装ヘッド154aと、基板認識撮像部154bと、を含んでいる。
【0045】
実装ヘッド154aは、基板Sに対して部品Eを実装するように構成されている。具体的には、実装ヘッド154aは、昇降可能(Z方向に移動可能)に構成され、空気圧発生部によりノズルの先端部に発生された負圧によって、テープフィーダ153aから供給される部品Eを吸着して保持し、基板Sにおける実装位置に部品Eを装着(実装)するように構成されている。
【0046】
基板認識撮像部154bは、作業対象の基板Sの位置および姿勢を認識するために、基板SのフィデューシャルマークFMを撮像するように構成されている。そして、フィデューシャルマークFMの位置を撮像して認識することにより、基板Sにおける部品Eの実装位置を正確に取得することが可能である。基板認識撮像部154bは、上方(Z1方向側)から基板Sを撮像するように構成されている。
【0047】
支持部155は、X軸モータ155aを含んでいる。支持部155は、X軸モータ155aを駆動させることにより、支持部155に沿ってヘッドユニット154をX方向に移動させるように構成されている。支持部155は、両端部が一対のレール部156により支持されている。
【0048】
一対のレール部156は、基台151上に固定されている。X1側のレール部156は、Y軸モータ156aを含んでいる。レール部156は、Y軸モータ156aを駆動させることにより、支持部155を一対のレール部156に沿ってX方向と直交するY方向に移動させるように構成されている。ヘッドユニット154が支持部155に沿ってX方向に移動可能であるとともに、支持部155がレール部156に沿ってY方向に移動可能であることによって、ヘッドユニット154はXY方向に移動可能である。
【0049】
部品認識撮像部157は、基台151の上面上に固定されている。部品認識撮像部157は、一対のコンベア152の外側(Y1側およびY2側)に配置されている。部品認識撮像部157は、部品Eの実装に先立って部品Eの吸着状態(吸着姿勢)を認識するために、実装ヘッド154aのノズルに吸着された部品Eを下方(Z2方向側)から撮像するように構成されている。これにより、実装ヘッド154aのノズルに吸着された部品Eの吸着状態を取得することが可能である。
【0050】
制御部158は、CPUなどのプロセッサとメモリとを含んでおり、一対のコンベア152による基板Sの搬送動作、ヘッドユニット154による実装動作、部品認識撮像部157、基板認識撮像部154bによる撮像動作などの部品実装装置15の全体の動作を制御するように構成されている。また、制御部158は、制御装置30と通信可能に構成されている。制御部158は、制御装置30と、生産情報や部品情報などの情報を送受信するように構成されている。
【0051】
また、制御部158は、部品供給部153の複数のテープフィーダ153aと通信可能に構成されている。制御部158は、複数のテープフィーダ153aから部品Eの残数情報を通信により取得する。
【0052】
ここで、本実施形態では、制御装置30は、印刷機12により半田が印刷され、ディスペンサ装置14により半田または接着剤が塗布された基板Sについて、部品実装装置15において基板Sへの部品Eの実装が完了するまで、または、基板Sを加熱するリフロー装置18に基板Sが搬入されるまで、の推定時間を取得する。具体的には、制御装置30は、印刷機12により半田が印刷された基板Sについて、印刷機12から搬出されてから、最下流の部品実装装置15により部品Eの実装が完了するまでの時間を推定して推定時間として取得する。あるいは、制御装置30は、印刷機12により半田が印刷された基板Sについて、印刷機12から搬出されてから、リフロー装置18に搬入されるまでの時間を推定して推定時間として取得する。
【0053】
また、制御装置30は、印刷機12により半田が印刷され、ディスペンサ装置14により半田または接着剤が塗布された基板Sについて、半田または接着剤が基板Sに配置されてからの経過時間と、取得した推定時間と、に基づいて、基板Sに印刷または塗布された半田または接着剤の品質が時間経過により不良になるおそれがあるか否かを判断するように構成されている。
【0054】
ここで、基板Sに配置された半田および接着剤は、時間経過により乾きなどにより品質が劣化する。この場合、半田または接着剤の品質が時間経過により不良になるおそれがある。つまり、半田または接着剤の接合不良が生じるおそれがある。たとえば、時間経過により半田に含まれるフラックスが乾くと、部品Eを保持する強度が弱まり、基板Sの搬送中に、実装した部品Eの位置がずれる場合がある。また、半田が乾くと、半田上に部品Eを実装する際に、部品Eがはじかれる場合がある。また、乾いた半田をリフロー装置18により加熱した場合、ボールが発生する場合もある。また、接着剤が乾くと、その後に実装される部品Eを接着することが困難となる。そのため、半田および接着剤は、品質が不良となるおそれがあるまでの品質期限が設定されて管理される。
【0055】
また、制御装置30は、半田または接着剤が基板Sに配置されてからの経過時間と推定時間との合計が半田または接着剤の品質が不良となるおそれがある第1しきい値以上の場合に、時間経過により品質が不良となるおそれがあると予測される半田または接着剤が印刷または塗布された基板Sに対して、以降の部品Eの実装を停止する制御を行うように構成されている。なお、第1しきい値は、半田または接着剤の品質が不良となるおそれがある品質期限に設定されている。第1しきい値は、半田および接着剤の種類に応じて決定される。たとえば、半田の品質期限は、1時間以上24時間以下の間で設定される。また、接着剤の品質期限は、数分~数時間の範囲で設定される。
【0056】
また、制御装置30は、半田または接着剤が基板Sに配置されてからの経過時間と推定時間との合計が第2しきい値以上で、かつ、第1しきい値よりも小さい場合に、警告を通知する制御を行うように構成されている。第2しきい値は、第1しきい値よりも短い時間が設定される。また、第2しきい値は、第1しきい値に基づいて設定される。たとえば、第2しきい値は、第1しきい値よりも数分~数十分程度短い時間、または、第1しきい値よりも数%~数十%程度短い時間が設定される。
【0057】
たとえば、制御装置30は、制御装置30のモニタの表示により警告を通知する。また、制御装置30は、作業者の携帯端末に対して警告を通知する。また、制御装置30は、部品実装装置15のモニタまたは警告灯により警告を通知する。
【0058】
また、制御装置30は、時間経過により品質が不良となるおそれがあると予測される半田または接着剤が印刷または塗布されて以降の部品Eの実装を停止した基板Sを、部品実装装置15を含む生産ライン10から排出する制御を行うように構成されている。また、制御装置30は、時間経過により品質が不良となるおそれがあると予測される半田または接着剤が印刷または塗布されて以降の部品Eの実装を停止した基板Sを、リフロー装置18よりも上流側において生産ライン10から取り出せるように排出する制御を行うように構成されている。
【0059】
具体的には、制御装置30は、時間経過により品質が不良となるおそれがあると予測される半田または接着剤が印刷または塗布されて以降の部品Eの実装を停止した基板Sを、バッファ装置17において生産ライン10から取り出せるように排出する制御を行うように構成されている。
【0060】
図3に示す通常時の大型基板の生産の例では、基板Sが大型であるため、1枚の基板Sについての作業時間が長くなっている。このため、遅延が発生した場合に、遅延時間が短い場合でも半田の乾きが見込まれる場合がある。
図3に示す例の場合、半田の品質が不良となるおそれがある第1しきい値(品質期限)は、100分に設定されている。また、第2しきい値(警告期限)は、第1しきい値(品質期限)よりも15分短い85分に設定されている。
【0061】
図3の基板Aは、実装装置M3までの作業を通常作業時間により完了している。この時点において、基板Aは、印刷機12からの経過時間tが65分である。また、基板Aは、その後のリフロー装置18に到達するまでの推定時間Δtが10分である。そして、印刷機12からリフロー装置18までの合計の予測時間t+Δtは75分となる。この場合、合計の予測時間は、第2しきい値(85分)より小さいため、基板Aの生産は継続して行われる。
【0062】
図3の基板Bは、実装装置M2までの作業を通常作業時間により完了している。この時点において、基板Bは、印刷機12からの経過時間tが45分である。また、基板Bは、その後のリフロー装置18に到達するまでの推定時間Δtが30分である。そして、印刷機12からリフロー装置18までの合計の予測時間t+Δtは75分となる。この場合、合計の予測時間は、第2しきい値(85分)より小さいため、基板Bの生産は継続して行われる。
【0063】
図3の基板Cは、実装装置M1までの作業を通常作業時間により完了している。この時点において、基板Cは、印刷機12からの経過時間tが25分である。また、基板Cは、その後のリフロー装置18に到達するまでの推定時間Δtが50分である。そして、印刷機12からリフロー装置18までの合計の予測時間t+Δtは75分となる。この場合、合計の予測時間は、第2しきい値(85分)より小さいため、基板Cの生産は継続して行われる。
【0064】
図4に示す遅延発生時の大型基板の生産の例では、
図3に示す例と同様に、半田の品質が不良となるおそれがある第1しきい値(品質期限)は、100分に設定されている。また、第2しきい値(警告期限)は、第1しきい値(品質期限)よりも15分短い85分に設定されている。
【0065】
図4の基板Dは、実装装置M3までの作業を通常作業時間により完了している。この時点において、基板Dは、印刷機12からの経過時間tが65分である。また、基板Dは、その後のリフロー装置18に到達するまでの推定時間Δtが10分である。そして、印刷機12からリフロー装置18までの合計の予測時間t+Δtは75分となる。この場合、合計の予測時間は、第2しきい値(85分)より小さいため、基板Dの生産は継続して行われる。
【0066】
図4の基板Fについて、実装装置M2において実装作業中に部品実装装置15(実装装置M2)が停止したため、作業時間に遅延が発生している。この時点において、基板Fは、印刷機12からの経過時間tが70分である。また、基板Fは、その後のリフロー装置18に到達するまでの推定時間Δtが30分である。そして、印刷機12からリフロー装置18までの合計の予測時間t+Δtは100分となる。この場合、合計の予測時間は、第1しきい値(100分)以上であるため、今後の基板Fへの部品Eの実装作業が中止される。そして、基板Fは、外観検査装置16による作業を行わずに、バッファ装置17に搬送される。生産が停止された基板Fは、バッファ装置17において生産ライン10から取り出される。
【0067】
図4の基板Gについて、実装装置M2において基板Fの実装作業中に部品実装装置15(実装装置M2)が停止したため、基板Gについても作業時間に遅延が発生している。この時点において、基板Gは、印刷機12からの経過時間tが25分である。また、基板Gは、その後のリフロー装置18に到達するまでの推定時間Δtが、遅延を考慮して55分である。そして、印刷機12からリフロー装置18までの合計の予測時間t+Δtは80分となる。この場合、合計の予測時間は、第2しきい値(85分)以上で、かつ、第1しきい値(100分)より小さいため、基板Gについて警告が通知される。また、基板G
については、生産が中止されない。つまり、基板Gの生産は継続して行われる。
【0068】
図5に示す通常時の小型基板の生産の例では、基板Sが小型であるため、1枚の基板Sについての作業時間が短くなっている。このため、長時間の遅延が発生した場合に、半田の乾きが見込まれる場合がある。
図5に示す例の場合、半田の品質が不良となるおそれがある第1しきい値(品質期限)は、100分に設定されている。また、第2しきい値(警告期限)は、第1しきい値(品質期限)よりも15分短い85分に設定されている。
【0069】
図5の基板Hは、実装装置M3までの作業を通常作業時間により完了している。この時点において、基板Hは、印刷機12からの経過時間tが4分である。また、基板Hは、その後のリフロー装置18に到達するまでの推定時間Δtが1分である。そして、印刷機12からリフロー装置18までの合計の予測時間t+Δtは5分となる。この場合、合計の予測時間は、第2しきい値(85分)より小さいため、基板Hの生産は継続して行われる。
【0070】
図5の基板Iは、実装装置M2までの作業を通常作業時間により完了している。この時点において、基板Iは、印刷機12からの経過時間tが3分である。また、基板Iは、その後のリフロー装置18に到達するまでの推定時間Δtが2分である。そして、印刷機12からリフロー装置18までの合計の予測時間t+Δtは5分となる。この場合、合計の予測時間は、第2しきい値(85分)より小さいため、基板Iの生産は継続して行われる。
【0071】
図5の基板Jは、実装装置M1までの作業を通常作業時間により完了している。この時点において、基板Jは、印刷機12からの経過時間tが2分である。また、基板Jは、その後のリフロー装置18に到達するまでの推定時間Δtが3分である。そして、印刷機12からリフロー装置18までの合計の予測時間t+Δtは5分となる。この場合、合計の予測時間は、第2しきい値(85分)より小さいため、基板Jの生産は継続して行われる。
【0072】
図6に示す遅延発生時の小型基板の生産の例では、
図5に示す例と同様に、半田の品質が不良となるおそれがある第1しきい値(品質期限)は、100分に設定されている。また、第2しきい値(警告期限)は、第1しきい値(品質期限)よりも15分短い85分に設定されている。
【0073】
図6の基板Kは、実装装置M3までの作業を通常作業時間により完了している。この時点において、基板Kは、印刷機12からの経過時間tが4分である。また、基板Kは、その後のリフロー装置18に到達するまでの推定時間Δtが1分である。そして、印刷機12からリフロー装置18までの合計の予測時間t+Δtは5分となる。この場合、合計の予測時間は、第2しきい値(85分)より小さいため、基板Kの生産は継続して行われる。
【0074】
図6の基板Lについて、実装装置M2において実装作業中に部品実装装置15(実装装置M2)が停止したため、作業時間に遅延が発生している。この時点において、基板Lは、印刷機12からの経過時間tが98分である。また、基板Lは、その後のリフロー装置18に到達するまでの推定時間Δtが2分である。そして、印刷機12からリフロー装置18までの合計の予測時間t+Δtは100分となる。この場合、合計の予測時間は、第1しきい値(100分)以上であるため、今後の基板Lへの部品Eの実装作業が中止される。そして、基板Lは、外観検査装置16による作業を行わずに、バッファ装置17に搬送される。生産が停止された基板Lは、バッファ装置17において生産ライン10から取り出される。
【0075】
図6の基板Mについて、実装装置M2において基板Mの実装作業中に部品実装装置15(実装装置M2)が停止したため、基板Mについても作業時間に遅延が発生している。この時点において、基板Mは、印刷機12からの経過時間tが2分である。また、基板Mは、その後のリフロー装置18に到達するまでの推定時間Δtが、遅延を考慮して80分である。そして、印刷機12からリフロー装置18までの合計の予測時間t+Δtは82分となる。この場合、合計の予測時間は、第2しきい値(85分)以上で、かつ、第1しきい値(100分)より小さいため、基板Mについて警告が通知される。また、基板Mについては、生産が中止されない。つまり、基板Mの生産は継続して行われる。
【0076】
(基板生産処理)
図7を参照して、基板生産システム100による基板生産処理について説明する。
【0077】
図7のステップS1において、部品実装装置15に基板Sが搬入される。ステップS2において、制御装置30は、半田の印刷または接着剤の塗布からの経過時間を常時記録する。
【0078】
ステップS3において、制御装置30は、生産ライン10の複数の基板Sの各々について、全ての部品Eを実装完了するまでの時間を算出する。ステップS4において、制御装置30は、各々の基板Sについて、半田または接着剤を配置してからの経過時間と以降の作業にかかる推定時間との合計が、品質期限(第1しきい値)に到達しているか否かを判断する。品質期限(第1しきい値)に到達していなければ、ステップS5に進み、品質期限(第1しきい値)に到達していれば、ステップS9に進む。
【0079】
ステップS5において、制御装置30は、各々の基板Sについて、半田または接着剤を配置してからの経過時間と以降の作業にかかる推定時間との合計が、警告期限(第2しきい値)に到達しているか否かを判断する。警告期限(第2しきい値)に到達していなければ、ステップS7に進み、警告期限(第2しきい値)に到達していれば、ステップS6に進む。ステップS6において、制御装置30は、警告を通知する。
【0080】
ステップS7において、部品実装装置15の制御部158は、基板Sに部品Eを実装する制御を行う。ステップS8において、制御部158は、基板Sの全ての実装点に部品Eの実装を完了したか否かを判断する。実装が完了していなければ、ステップS4に戻る。実装が完了していれば、実装作業が終了し、基板Sが部品実装装置15から搬出される。
【0081】
ステップS9において、制御装置30は、基板Sの残りの実装点をBad情報として記録し、それ以降に基板Sに部品Eが実装されないようにする。これにより、以降の基板Sへの部品Eの実装作業が中止される。
【0082】
ステップS10において、制御装置30は、部品Eの実装を中止した基板Sを、リフロー装置18より前の取出し位置(バッファ装置17)まで空搬送する。そして、ステップS11において、部品Eの実装が中止された基板Sが取り出される。
【0083】
(本実施形態の効果)
本実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0084】
本実施形態では、上記のように、制御装置30は、印刷機12により半田が印刷され、ディスペンサ装置14により半田または接着剤が塗布された基板Sについて、半田または接着剤が基板Sに配置されてからの経過時間と、部品実装装置15において基板Sへの部品Eの実装が完了するまで、または、基板Sを加熱するリフロー装置18に基板Sが搬入されるまで、の推定時間と、に基づいて、基板Sに印刷または塗布された半田または接着剤の品質が時間経過により不良になるおそれがあるか否かを判断するように構成されている。これにより、半田や接着剤などの接合材が使用期限を超えることにより品質が不良になるおそれがある前において、基板Sへの部品Eの実装完了または基板Sの加熱を開始するまでに半田または接着剤の品質が不良になるおそれがあると予測される場合に、基板Sへの部品Eの実装を予め停止することができる。その結果、無駄に使用する部品Eが増加するのを抑制することができる。また、半田または接着剤の品質が不良となるおそれがある基板Sに対して部品Eを実装して基板Sを生産することがないので、半田または接着剤の品質の低下に起因して、部品Eの接合不良が生じる基板Sを生産することを抑制することができる。
【0085】
また、本実施形態では、上記のように、制御装置30は、半田または接着剤が基板Sに配置されてからの経過時間と推定時間との合計が半田または接着剤の品質が不良となるおそれがある第1しきい値以上の場合に、時間経過により品質が不良となるおそれがあると予測される半田または接着剤が印刷または塗布された基板Sに対して、以降の部品Eの実装を停止する制御を行うように構成されている。これにより、半田または接着剤が基板Sに配置されてから基板Sへの部品Eの実装完了または基板Sの加熱を開始するまでに半田または接着剤の品質が不良になるおそれがあると予測した場合に、予測された時点以降に基板Sに対して部品Eが実装されないので、部品Eを無駄に使用するのを効果的に抑制することができる。
【0086】
また、本実施形態では、上記のように、制御装置30は、半田または接着剤が基板Sに配置されてからの経過時間と推定時間との合計が第2しきい値以上で、かつ、第1しきい値よりも小さい場合に、警告を通知する制御を行うように構成されている。これにより、基板Sへの作業に今後遅れが生じた場合には、半田または接着剤の品質が不良となるおそれがある基板Sが生じていることを作業者に認識させることができる。その結果、作業遅れの抑制や優先して作業を行うなど、作業者に対して適切な対応を行うように促すことができる。
【0087】
また、本実施形態では、上記のように、制御装置30は、時間経過により品質が不良となるおそれがあると予測される半田または接着剤が印刷または塗布されて以降の部品Eの実装を停止した基板Sを、部品実装装置15を含む生産ライン10から排出する制御を行うように構成されている。これにより、部品Eの実装が完了して生産が完了した基板Sに対して、生産を停止した基板Sを分けて取り出すことができる。その結果、部品Eの実装が完了した基板Sに対して、検査工程およびリフロー工程などのその後の作業工程を支障なく行うことができる。
【0088】
また、本実施形態では、上記のように、制御装置30は、時間経過により品質が不良となるおそれがあると予測される半田または接着剤が印刷または塗布されて以降の部品Eの実装を停止した基板Sを、リフロー装置18よりも上流側において生産ライン10から取り出せるように排出する制御を行うように構成されている。これにより、生産を停止した基板Sがリフロー装置18により加熱されることがないので、基板Sに印刷または塗布された半田または接着剤がリフロー装置18により硬化する前に、基板Sを取り出すことができる。これにより、不要なリフロー工程が行われるのを抑制することができる。
【0089】
また、本実施形態では、上記のように、制御装置30は、時間経過により品質が不良となるおそれがあると予測される半田または接着剤が印刷または塗布されて以降の部品Eの実装を停止した基板Sを、バッファ装置17において生産ライン10から取り出せるように排出する制御を行うように構成されている。これにより、生産を停止した基板Sをリフロー装置18よりも上流側に配置されたバッファ装置17において容易に取り出すことができる。
【0090】
また、本実施形態では、上記のように、制御装置30は、基板Sに印刷された半田の品質が時間経過により不良になるおそれがあるか否かを判断するように構成されている。これにより、基板Sへの部品Eの実装完了または基板Sの加熱を開始するまでに半田の品質が不良になるおそれがあると予測した場合に、基板Sへの部品Eの実装を停止して、無駄に使用する部品Eが増加するのを抑制することができる。
【0091】
また、本実施形態では、上記のように、制御装置30は、部品実装装置15を含む生産ライン10とは別個の装置に、設けられている。このように構成すれば、制御装置30により生産ライン10の基板生産を管理する制御を一括して行うことができる。
【0092】
(変形例)
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0093】
たとえば、上記実施形態では、基板生産システムに、基板に半田(接合材)を印刷する印刷装置と、基板に半田または接着剤(接合材)を塗布するディスペンサ装置と、が設けられている構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、基板生産システムに、基板に接合材を印刷する印刷装置と、基板に接合材を塗布するディスペンサ装置と、のうちいずれか一方を設ける構成であってもよい。
【0094】
また、上記実施形態では、基板生産システムが複数の部品実装装置を含む構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、基板生産システムは、単一の部品実装装置を含んでいてもよい。
【0095】
また、上記実施形態では、生産を中止した基板をバッファ装置により取り出す構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、生産を中止した基板をバッファ装置以外の装置から取り出してもよい。
【0096】
また、上記実施形態では、生産を中止した基板を取り出すバッファ装置を検査装置とリフロー装置との間に設ける構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、生産を中止した基板を取り出すバッファ装置を、部品実装装置と検査装置との間に設けてもよいし、複数の部品実装装置の間に設けてもよい。
【0097】
また、上記実施形態では、基板生産システムに複数の生産ラインが設けられている構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、基板生産システムに1つの生産ラインが設けられていてもよい。
【0098】
また、上記実施形態では、接合材が印刷または塗布された基板について、部品実装装置において基板への部品の実装が完了するまで、または、基板を加熱する装置に基板が搬入されるまで、の推定時間を取得するとともに、接合材が印刷または塗布された基板について、接合材が基板に配置されてからの経過時間と、取得した前記推定時間と、に基づいて、基板に印刷または塗布された接合材の品質が時間経過により不良になるおそれがあるか否かを判断する制御部が、部品実装装置を含む生産ラインとは別個に設けられている構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、制御部は、生産ラインの装置のいずれかに設けられていてもよい。
【0099】
また、上記実施形態では、説明の便宜上、制御処理を処理フローに沿って順番に処理を行うフロー駆動型のフローを用いて説明したが、本発明はこれに限られない。本発明では、制御処理を、イベント単位で処理を実行するイベント駆動型(イベントドリブン型)の処理により行ってもよい。この場合、完全なイベント駆動型で行ってもよいし、イベント駆動およびフロー駆動を組み合わせて行ってもよい。
【符号の説明】
【0100】
10 生産ライン
12 印刷機(接合材配置装置、印刷装置)
14 ディスペンサ装置(接合材配置装置)
15 部品実装装置
17 バッファ装置
18 リフロー装置
30 制御装置(制御部)
100 基板生産システム
154a 実装ヘッド(実装部)
E 部品
S 基板