(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024008930
(43)【公開日】2024-01-19
(54)【発明の名称】再封性ヒートシール積層体、並びに再封性包装容器
(51)【国際特許分類】
B32B 27/32 20060101AFI20240112BHJP
C09J 7/38 20180101ALI20240112BHJP
C09J 133/04 20060101ALI20240112BHJP
C09K 3/10 20060101ALI20240112BHJP
B32B 27/30 20060101ALI20240112BHJP
B65D 65/40 20060101ALN20240112BHJP
【FI】
B32B27/32 C
C09J7/38
C09J133/04
C09K3/10 Z
B32B27/30 A
B65D65/40 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023123140
(22)【出願日】2023-07-28
(62)【分割の表示】P 2022110531の分割
【原出願日】2022-07-08
(71)【出願人】
【識別番号】000222118
【氏名又は名称】東洋インキSCホールディングス株式会社
(72)【発明者】
【氏名】赤木 太亮
(72)【発明者】
【氏名】加藤 悠太郎
(72)【発明者】
【氏名】窪田 育夫
【テーマコード(参考)】
3E086
4F100
4H017
4J004
4J040
【Fターム(参考)】
3E086AB01
3E086AD06
3E086AD24
3E086BA04
3E086BA15
3E086BB51
3E086BB52
3E086CA01
4F100AJ02B
4F100AK04C
4F100AK07C
4F100AK09C
4F100AK25B
4F100AK42A
4F100AK62C
4F100AK66C
4F100AL01B
4F100AT00A
4F100BA03
4F100CA02B
4F100CA16B
4F100CB03C
4F100CB05B
4F100JL13B
4H017AB07
4H017AC02
4H017AD01
4H017AE05
4J004AA10
4J004AB01
4J004CA01
4J040DF021
4J040JB09
4J040KA16
4J040KA26
4J040NA06
(57)【要約】
【課題】
本発明が解決しようとする課題は、容器から蓋材を剥がす際にヒートシール樹脂層の一部が蓋材側のヒートシールされていた部分に残ったり糸状に引き出されたり(糸曳き)しにくく十分な初期開封強度を発現すると共に、開封後も蓋材と容器を押さえることで実用上十分な強度で再封でき、さらには経時で積層体表面に液状成分のブリードが無く、再開封強度低下のない再封性ヒートシール積層体、並びに再封性包装容器を提供することである。
【解決手段】
前記課題は基材(A)、粘着剤層(B)、およびヒートシール樹脂層(C)がこの順に配置されてなる積層体であって、 粘着剤層(B)がアクリル系共重合体(D)を含有し、 ヒートシール樹脂層(C)がポリエチレン系樹脂を含み、さらにポリプロピレン系樹脂およびポリブテン系樹脂の少なくともいずれか一方を含有する、再封性ヒートシール積層体によって解決される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材(A)、粘着剤層(B)、およびヒートシール樹脂層(C)がこの順に配置されてなる積層体であって、
粘着剤層(B)がアクリル系共重合体(D)を含有し、
ヒートシール樹脂層(C)がポリエチレン系樹脂を含み、さらにポリプロピレン系樹脂およびポリブテン系樹脂の少なくともいずれか一方を含有する、
再封性ヒートシール積層体。
【請求項2】
粘着剤層(B)が硬化剤(E)をさらに含む、請求項1に記載の再封性ヒートシール積層体。
【請求項3】
粘着剤層(B)が粘着付与剤(F)をさらに含む、請求項1に記載の再封性ヒートシール積層体。
【請求項4】
粘着付与剤(F)がロジン系粘着付与剤(F1)またはテルペン系粘着付与剤(F2)を含む、請求項3に記載の再封性ヒートシール積層体。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の再封性ヒートシール積層体と容器本体とを備えた再封性包装容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、再封性ヒートシール積層体に関する。さらに、前記再封性ヒートシール積層体を備えた再封性包装容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、カップ麺やカップスープ、スナック菓子、ヨーグルトやゼリー等の冷菓などの包装容器として、ポリエチレン製容器、ポリプロピレン製容器、ポリスチレン製容器などのプラスチック製容器、ポリエチレン系樹脂で被覆された紙製容器、鉄やアルミニウムなどの金属製容器が使用されている。これらの容器の蓋材には、通常、容器本体と接着する面にヒートシールにより接着性が発現する接着性樹脂層(ヒートシール樹脂層)を用いた積層体が使用されている。この積層体の構成例としては、紙/ポリエチレンフィルム/アルミニウム箔/ポリエチレンフィルム/ヒートシール樹脂層、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム/アルミニウム箔/ポリエチレンフィルム/ヒートシール樹脂層などといったものが挙げられる。上記構成例の蓋材は、ヒートシール樹脂層がヒートシール(熱融着)によって容器本体と接着されるため、一度剥離すると再び容器本体と接着することができなかった。
【0003】
市場においては、食べ残した食品を再び保存するために、一旦開封した蓋材を再び貼り合わせできる特性(以下、再封性ともいう)を有する蓋材や包装容器が求められており、精力的に検討が行われてきた。蓋材においては再封性を有する層を設けた多層フィルムにより、再封可能な蓋材が開示されている。
【0004】
具体的には、特許文献1には、基材/ホットメルト粘着剤/ホットメルト接着剤からなる多層フィルムの蓋材が開示されている。これをポリエチレン系樹脂で被覆された紙製容器にヒートシールすることにより密封性が得られ、蓋材を剥離する際に破断や糸曳きが発生せず、ホットメルト粘着剤層が露出して再封可能となる蓋材が提案されている。
【0005】
特許文献2には、基材に対しスチレンモノマー、スチレンブロック共重合体、粘着付与剤からなる粘着剤層、シーラント層の順に共押出ラミネートすることにより、生産性に優れた高い再開封強度の蓋材が提案されている。
【0006】
しかしながら、特許文献1及び特許文献2に記載の蓋材は、鉱物油やスチレンモノマーのような液状成分を含むため、保管する環境によって経時でホットメルト接着剤層及びシーラント層へのブリードが起こり、再開封強度が低下してしまうという課題があった。
【0007】
【特許文献1】特開2013-082914号公報
【特許文献2】特開2018-051926号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、容器から蓋材を剥がす際にヒートシール樹脂層の一部が蓋材側のヒートシールされていた部分に残ったり糸状に引き出されたり(糸曳き)しにくく十分な初期開封強度を発現すると共に、開封後も蓋材と容器を押さえることで実用上十分な強度で再封でき、さらには経時で積層体表面に液状成分のブリードが無く、再開封強度低下のない再封性ヒートシール積層体、並びに再封性包装容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意検討を行った結果、
基材(A)、粘着剤層(B)、およびヒートシール樹脂層(C)がこの順に配置されてなる積層体であって、粘着剤層(B)がアクリル系共重合体(D)を含有し、
ヒートシール樹脂層(C)がポリエチレン系樹脂を含み、さらにポリプロピレン系樹脂およびポリブテン系樹脂の少なくともいずれか一方を含有する、
再封性ヒートシール積層体とすることで上記課題を解決することを見出した。
【0010】
すなわち本発明は基材(A)、粘着剤層(B)、およびヒートシール樹脂層(C)が順次積層されてなる積層体であって、
粘着剤層(B)がアクリル系共重合体(D)を含有し、
ヒートシール樹脂層(C)がポリエチレン系樹脂を含み、さらにポリプロピレン系樹脂およびポリブテン系樹脂の少なくともいずれか一方を含有する、
再封性ヒートシール積層体に関する。
【0011】
本発明は、前記粘着剤層(B)が硬化剤(E)をさらに含む、再封性ヒートシール積層体に関する。
【0012】
本発明は、前記粘着剤層(B)が粘着付与剤(F)をさらに含む、再封性ヒートシール積層体に関する。
【0013】
本発明は、前記粘着付与剤(F)がロジン系粘着付与剤(F1)またはテルペン系粘着付与剤(F2)を含む、再封性ヒートシール積層体に関する。
【0014】
本発明は、前記再封性ヒートシール積層体と容器本体とを備えた再封性包装容器に関する。
【発明の効果】
【0015】
本発明の積層体により、容器から蓋材を剥がす際にヒートシール樹脂層の一部が蓋材側のヒートシールされていた部分に残ったり糸状に引き出されたり(糸曳き)しにくく十分な初期開封強度を発現すると共に、開封後も蓋材と容器を押さえることで実用上十分な強度で再封でき、さらには経時で積層体表面に液状成分のブリードが無く、再封強度低下のない再封性ヒートシール積層体、並びに再封性包装容器を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明を詳細に説明する前に用語を定義する。シート、フィルムおよびテープは同義語である。(メタ)アクリル酸は、アクリル酸およびメタクリル酸を含む。(メタ)アクリレートは、アクリレートおよびメタクリレートを含む。モノマーはエチレン性不飽和二重結合含有単量体である。
また、本明細書において「~」を用いて特定される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値及び上限値の範囲として含むものとする。
【0017】
本発明の再封性ヒートシール積層体は基材(A)、粘着剤層(B)、およびヒートシール樹脂層(C)がこの順に配置されてなる。ヒートシール樹脂層(C)は熱を加える事で接着性が発現し、容器本体と接着させることができる。その後、本発明の積層体を容器から引き剥がすことによって開封できる。このとき、ヒートシール樹脂層(C)の加熱・接着した部分については容器側に転着し、粘着層(B)との層間で剥離するように設計されている。そのため、引き剥がした積層体は粘着層(B)が露出しており(ただし、容器とヒートシールされた部分に限る)、容器にはヒートシール樹脂層(C)が転着している。再び容器に封をするとき、この露出した粘着層(B)と容器に転着したヒートシール樹脂
層(C)が接触し、粘着層(B)とヒートシール樹脂層(C)との層間に適度な接着力が発現する。本発明の積層体はこのような機構によって再封性の機能を有する。
【0018】
<基材(A)>
本発明における基材(A)は粘着剤層(B)、およびヒートシール樹脂層(C)を担持できるものであれば何でも良く、紙やプラスチックフィルム、金属箔などを用いる事が出来る。プラスチックフィルムとしては、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂フィルム;ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデンフィルム、ポリテトラフルオロエチレンフィルム、エチレン‐テトラフルオロエチレン共重合体フィルム等のフッ素系フィルム;アクリルフィルム;トリアセチルセルロースフィルム等のセルロース系フィルムが挙げられる。これらのなかでもフィルム剛性、水蒸気や酸素のバリア性、コストの観点からポリエステル系樹脂フィルムが好ましく、ポリエチレンテレフタレート(「PET」とも称する)フィルムがより好ましい。金属箔としては、例えばアルミニウム箔などが挙げられる。これらの基材は単層で用いても良いし、接着剤などを用いて2層以上に積層したものを用いても良い。また、基材は、金属酸化物や非金属無機酸化物が蒸着ないしスパッタリングされた無機層を備える構成であってもよい。
【0019】
基材(A)の厚みは蓋材として使用できる範囲であれば特に制限は無いが、10~1000μmである事が好ましい。
【0020】
<粘着剤層(B)>
本発明の粘着剤層(B)はアクリル系共重合体(D)を含有する粘着剤を基材(A)に塗布し、必要に応じて水や溶剤などの溶媒を乾燥する事によって形成する事ができる。粘着剤およびアクリル系共重合体(D)は溶媒として水や溶剤を含んでいても良いし、含んでいなくても良い。
【0021】
[アクリル系共重合体(D)]
アクリル系共重合体(D)は常法に従ってラジカル重合開始剤を用いてモノマーを重合する事で得ることが出来る。重合方法は特に制限されないが、溶媒として溶剤を用いる場合は溶液重合を用いる事が好ましい。溶媒として水を用いる場合は、高分子量且つ低粘度、高固形分の樹脂分散体を容易に得られる点から乳化重合を用いることが好ましい。モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリレートモノマー、水酸基含有モノマー、カルボキシ基含有モノマー、アミド基含有モノマー、アミノ基含有モノマー、エポキシ基含有モノマー、芳香環含有モノマー、脂環式炭化水素基含有モノマー、ビニルエステルなどが挙げられる。
【0022】
(メタ)アクリレートモノマーは、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2 - エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、n-ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、n-デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、n-ドデシル(メタ)アクリレート、n-トリデシル(メタ)アクリレート、n-テトラデシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの中でも、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-ブチルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレートが好ましい。
【0023】
水酸基含有モノマーは、例えば2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等が
挙げられる。
【0024】
カルボキシ基含有モノマーは、例えばマレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、または、これらのアルキルもしくはアルケニルモノエステル、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ケイ皮酸等が挙げられる。
【0025】
アミド基含有モノマーは、例えば、(メタ)アクリルアミド、N-メチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N'-メチレンビスアクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリル
アミド、N-エチロール(メタ)アクリルアミド、N-メトキシエチル(メタ)アクリルアミド、N-ビニルピロリドン、ジアセトンアクリルアミド、N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン等が挙げられる。
【0026】
アミノ基含有モノマーは、例えば、N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0027】
エポキシ基含有モノマーは、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル等が挙げられる。
【0028】
芳香環含有モノマーは、例えば、フェニルアクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ビフェニル(メタ)アクリレート、スチレン、ビニルトルエン、α-メチルスチレン等が挙げられる。
【0029】
脂環式炭化水素基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、(メタ)アクリル酸イソボルニル等が挙げられる。
【0030】
ビニルエステルは、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ラウリン酸ビニル等が挙げられる。
【0031】
アクリル系共重合体(D)を構成するモノマーは1種類であっても良いし、2種類以上を併用しても良い。中でも、(メタ)アクリレートモノマーを含み、さらに水酸基含有モノマーおよびカルボキシ基含有モノマーの少なくともいずれか一方を含む事が好ましい。(メタ)アクリレートモノマーを含む場合、モノマーの全質量100質量部のうち、30~99質量部含む事が好ましい。水酸基含有モノマーおよびカルボキシ基含有モノマーの少なくともいずれか一方を含む場合、これらのモノマーの合計量はモノマーの全質量100質量部のうち、0.1~10質量部である事が好ましい。
【0032】
重合反応に用いられるラジカル重合開始剤としては、公知の油溶性重合開始剤や水溶性重合開始剤を使用することができ、これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
【0033】
油溶性重合開始剤としては特に限定されず、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、tert-ブチルパーオキシベンゾエート、tert-ブチルハイドロパーオキサイド、tert-ブチルパーオキシ(2-エチルヘキサノエート)、tert-ブチルパーオキシ-3,5,5-トリメチルヘキサノエート、ジ-tert-ブチルパーオキサイド、ジラウロイルパーオキサイド等の有機過酸化物;
2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス-2,4-ジメチルバレロニトリル、2,2’-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)、1,1’-アゾビス-シクロヘキサン-1-カルボニトリル等のアゾビス化合物;等を挙げ
ることができる。
【0034】
乳化重合においては水溶性重合開始剤を使用することが好ましく、水溶性重合開始剤としては、例えば、過硫酸アンモニウム(APS)、過硫酸ナトリウム(NPS)、過硫酸カリウム(KPS)、過酸化水素、2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオンアミジン)ジハイドロクロライドのような従来既知のものを好適に使用することができる。
【0035】
[還元剤]
また、乳化重合では、重合開始剤とともに還元剤を併用してもよい。還元剤を併用することにより、乳化重合速度の促進や、低温での乳化重合が容易になる。還元剤としては、例えば、アスコルビン酸、エルソルビン酸、酒石酸、クエン酸、ブドウ糖、ホルムアルデヒドスルホキシラート、ロンガリット、二酸化チオ尿素等の金属塩等の還元性有機化合物;
チオ硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、塩化第一鉄等の還元性無機化合物;
が挙げられる。
【0036】
[塩基性化合物]
モノマーの重合の際、アクリル系共重合体(D)の安定性を高めるために、中和剤として塩基性化合物を使用してもよい。塩基性化合物としては、例えば、アンモニア水;
ジメチルアミノエタノール、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の各種有機アミン;
水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウムといったアルカリ金属の水酸化物等の無機アルカリ剤;
等が挙げられるが、耐水性の観点で、アンモニア水が好ましい。
【0037】
アクリル系共重合体(D)のガラス転移温度(Tg)は、-80~-10℃が好ましく、-75~-20℃がより好ましく、-70~-30℃がさらに好ましい。ガラス転移温度がこの範囲であると、粘着剤の粘着力を高く出来る。ガラス転移温度は二つ以上有していても良いが、少なくとも一つ以上が上述の範囲内にある事が好ましい。
なお、本発明におけるガラス転移温度とは、乾燥させて不揮発分100質量%にした樹脂について、示差走査熱量分析(DSC)によって計測したガラス転移温度のことをいう。
例えば、ガラス転移温度は、試料約10mgを秤量したサンプルを入れたアルミニウムパンと、試料を入れていないアルミニウムパンとをDSC装置にセットし、これを窒素気流中で、液体窒素を用いて-100℃まで急冷処理し、その後、20℃/分で200℃まで昇温し、DSC曲線をプロットする。このDSC曲線の低温側のベースライン(試験片に転移および反応を生じない温度領域のDSC曲線部分)を高温側に延長した直線と、ガラス転移の階段状変化部分の曲線の勾配が最大になるような点で引いた接線との交点から、補外ガラス転移開始温度(Tig)を求め、これをガラス転移温度として求めることができる。
【0038】
アクリル系共重合体(D)の重量平均分子量(Mw)は、50,000~2,000,000が好ましく、100,000~1,500,000がより好ましく、300,000~1,000,000がさらに好ましい。重量平均分子量がこの範囲であることにより、粘着剤の粘着力がより高くなる。
なお、重量平均分子量は、樹脂のゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)によるポリスチレン換算の値である。例えば、カラム(昭和電工(株)製KF-805L、KF-803L、及びKF-802)の温度を40℃として、溶離液としてTHF(テトラヒドロフラン)を用い、流速を0.2ml/minとし、検出をRI、試料濃度を0.
02質量%とし、標準試料としてポリスチレンを用い、測定することができる。
【0039】
なお、アクリル系共重合体(D)の重量平均分子量が大きいと溶離液であるTHFに溶解しない事がある。このような場合は測定できないため、重量平均分子量は2,000,000より大きいと判断する。
【0040】
粘着剤やアクリル系共重合体(D)に溶剤を使用する場合、溶剤としては例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエーテル等のアルコール;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン;テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル;ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン、クメン等の芳香族;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル;等が挙げられる。
【0041】
なお、アクリル系共重合体(D)は水や溶剤を含まないものでも使用できるが、その場合アクリル系共重合体(D)はブロック共重合体である事が好ましい。ブロック共重合体は、例えばアルキル基の炭素数が1~3のメタクリル酸アルキルエステルに由来する構造単位を含む重合体ブロックとアルキル基の炭素数が1~8のアクリル酸アルキルエステルに由来する構造単位を含む重合体ブロックを有するアクリル系共重合体などを使用する事が出来る。このようなブロック共重合体を用いる事で、アクリル系共重合体(D)内の凝集力が高くなり、粘着力が向上する効果が期待できる。
【0042】
ブロック共重合体は、前記アルキル基の炭素数が1~3のメタクリル酸アルキルエステルから形成されるハードセグメント(AH)と、前記アルキル基の炭素数が1~8のアクリル酸アルキルエステルから形成されるソフトセグメント(AS)とが、-AH-AS-AH-と結合したトリブロック重合体、-AS-AH-と結合したジブロック重合体などが挙げられる。トリブロック重合体とジブロック重合体を併用しても良い。
【0043】
ブロック共重合体のハードセグメントを形成するための、アルキル基の炭素数が1~3のメタクリル酸アルキルエステルとしては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n-プロピル、メタクリル酸イソプロピルが好ましい。
ブロック共重合体のソフトセグメントを形成するための、アルキル基の炭素数が1~8のアクリル酸アルキルエステルとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n-プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n-ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸イソアミル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸2エチルヘキシレートが挙げられる。
【0044】
ブロック共重合体としては、具体的には、クラリティLA2140E(、クラリティLA2250、クラリティLA2330、クラリティLA3320、クラリティLA3170、クラリティLA2270、クラリティLA4285、クラリティLA1892、クラリティLK9243、クラリティKL-LK9333等が挙げられる。
【0045】
粘着剤層(B)はアクリル系共重合体(D)を含み、必要に応じて硬化剤(E)、粘着付与剤(F)を含んでも良い。
【0046】
[硬化剤(E)]
硬化剤(E)としては例えばイソシアネート硬化剤、エポキシ硬化剤、アジリジン硬化剤、キレート型硬化剤などが挙げられる。
【0047】
イソシアネート硬化剤としては、ジイソシアネートやジイソシアネートを変性した3官
能以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネートが好ましい。
ジイソシアネートとしては、芳香族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネートが挙げられる。
芳香族ジイソシアネートは、例えば1,5-ナフチレンジイソシアネート、4,4'-
ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4'-ジフェニルジメチルメタンジイソシアネ
ート、4,4'-ジベンジルイソシアネート、ジアルキルジフェニルメタンジイソシアネ
ート、テトラアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、1,3-フェニレンジイソシアネート、1,4-フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート等が挙げられる。
脂肪族ジイソシアネートは、例えばブタン-1,4-ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソプロピレンジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、m-テトラメチルキシリレンジイソシアネート等が挙げられる。
脂環族ジイソシアネートは、例えばシクロヘキサン-1,4-ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン-4、4 '-ジイソシアネート、1,3-ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート等が挙げられる。
【0048】
ポリイソシアネートは、ジイソシアネートを3官能ポリオール成分で変性したいわゆるアダクト体、ジイソシアネートが水と反応したビュレット体、ジイソシアネートの3分子から形成されるイソシアヌレート環を有する3量体(イソシアヌレート体)が好ましい。ポリイソシアネートは、例えば、キシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、ヘキサメチレンジイソシアネートのビュレット体、ヘキサメチレンジイソシアネートのアロファネート体、イソホロンジイソシアネートのイソシアヌレート体等が挙げられる。
【0049】
エポキシ硬化剤は、例えば1,3-ビス(N,N'-ジグリシジジルアミノメチル)シ
クロヘキサン、N,N,N',N'-テトラグリシジル-m-キシリレンジアミン、エチレングリコールジグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンジグリシジルエーテル、ジグリシジルアニリン、ジグリシジルアミン等が挙げられる。
【0050】
アジリジン硬化剤は、例えばジフェニルメタン-4,4'-ビス(1-アジリジンカー
ボキサミド)、トリメチロールプロパントリ-β-アジリジニルプロピオネート、テトラメチロールメタントリ-β-アジリジニルプロピオネート、トルエン-2,4-ビス(1-アジリジンカーボキサミド)、トリエチレンメラミン、ビスイソフタロイル-1-(2-メチルアジリジン)、トリス-1-(2-メチルアジリジン)フォスフィン、トリメチロールプロパントリ-β-(2-メチルアジリジン)プロピオネート等が挙げられる。
【0051】
キレート型硬化剤としては、多価金属および配位子からなる化合物が挙げられ、多価金属は、例えばニッケル、アルミニウム、クロム、鉄、チタン、亜鉛、コバルト、マンガン、ジルコニウム等が挙げられる。配位子は、例えばアセチルアセトン、アセト酢酸エステル等が挙げられる。
【0052】
硬化剤を使用する場合、その含有量は粘着剤層の不揮発分100質量部に対して0.01~10質量部が好ましく、0.1~7.5質量部がより好ましく、0.5~5質量部がさらに好ましい。硬化剤がこれらの範囲にあることで、粘着力の向上、耐久性の向上などの効果が期待できる。
【0053】
[粘着付与剤(F)]
粘着付与剤(F)としては、例えば、ロジン系粘着付与剤(F1)、テルペン系粘着付与剤(F2)、クマロン系粘着付与剤、スチレン系粘着付与剤、石油系粘着付与剤等が挙げられる。
【0054】
ロジン系粘着付与剤(F1)としては、ロジン系樹脂、重合ロジン系樹脂、ロジンエステル系樹脂、重合ロジンエステル系樹脂などが挙げられる。テルペン系粘着付与剤(F2)としてはテルペン系樹脂、テルペンフェノール系樹脂などが挙げられる。粘着付与剤(F)を使用する場合、ロジン系粘着付与剤(F1)またはテルペン系粘着付与剤(F2)を含む事が好ましく、ロジン系粘着付与剤(F1)を含む事がより好ましい。これらの粘着付与剤(F)を使用する事で粘着力向上の効果が期待できる。
【0055】
粘着付与剤(F)を使用する場合、その含有量は粘着剤層の不揮発分100質量部に対して1~40質量部が好ましく、5~40質量部がより好ましく、15~30質量部がさらに好ましい。これらの範囲にある事でより粘着力が向上しやすく再封性に優れる積層体とする事が出来る。
【0056】
本発明の粘着剤層は、さらに任意成分として難燃剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、レベリング剤、帯電防止剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、滑剤、染料、ワックスなどを含むことができる。
【0057】
<ヒートシール樹脂層(C)>
ヒートシール樹脂層(C)はポリエチレン系樹脂を含み、さらにポリプロピレン系樹脂およびポリブテン系樹脂の少なくともいずれか一方を含む。ポリエチレン系樹脂はポリプロピレン系樹脂やポリブテン系樹脂と相溶しないため、ヒートシール樹脂層(C)中で相溶しない樹脂同士が共存する。
ところで、上述したようにヒートシール樹脂層(C)は加熱圧着によって容器と接着された後、ヒートシールされた部分については積層体を開封後に容器に転着する。すなわち、開封時にヒートシール樹脂層(C)がヒートシールされた部分とそれ以外の部分で引き裂かれる事となり、層の引き裂き性が十分でないと積層体側または容器側のいずれか一方にヒートシール樹脂層(C)が部分的に残ったり、糸状に引き伸ばされる糸曳きが発生したりする。ポリエチレン樹脂と、ポリエチレン樹脂と非相溶のポリプロピレン系樹脂およびポリブテン系樹脂の少なくともいずれか一方を含む事で引き裂き性が向上し、このような現象が発生しにくくなる。
【0058】
ポリエチレン系樹脂は、例えば低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、およびエチレンとプロピレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、又はそれ以上の炭素鎖のアルケンの中からなる群より選ばれる少なくとも1種とを任意の比率で混合した単量体からなる共重合体を用いることができる。なお、エチレンとプロピレンの共重合体およびエチレンとブテンの共重合体については、単量体の合計100質量%中のプロピレンまたはブテンの含有量が50質量%未満のものはポリエチレン系樹脂に含まれるものとする。その中でも押出ラミネート加工性の面から低密度ポリエチレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)が好ましく、低密度ポリエチレンがより好ましい。特に高圧法で製造される低密度ポリエチレンが好ましい。
【0059】
ポリプロピレン系樹脂は、プロピレンの単独重合、またはプロピレンとエチレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、又はそれ以上の炭素鎖のアルケンの中からなる群より選ばれる少なくとも1種とを混合した単量体からなる共重合体を用いることができる。なお、エチレンとプロピレンの共重合体の共重合体については、単量体の合計100質量%中のプロピレンの含有量が50質量%以上のものはポリプロピレン系樹脂に含まれるものとする。その中でも押出ラミネートによる塗工性からポリプロピレン-エチレン共重合体が好まし
い。
【0060】
ポリブテン系樹脂は、1-ブテン、2-ブテン、イソブチレンの単独重合または共重合により得られる重合体が挙げられる。加えて、これらの単量体とエチレン、プロピレン、ペンテン、ヘキセン、又はそれ以上の炭素鎖のアルケンの中からなる群より選ばれる少なくとも1種とを任意の比率で混合した単量体からなる共重合体を用いることができる。なお、エチレンとブテンの共重合体については、単量体の合計100質量%中のブテンの含有量が50質量%以上のものはポリブテン系樹脂に含まれるものとする。
その中でも押出ラミネートによる塗工性から1-ブテン-エチレン共重合体が好ましい。
【0061】
ポリエチレン系樹脂のメルトフローレイト(以下、MFR)は、0.1~30g/10分が好ましく、0.1~20g/10分がより好ましく、0.1~10g/10分がさらに好ましい。上記の範囲内であると、押出ラミネートによる塗工をより安定化できる。なお、ポリエチレン系樹脂のMFRはJIS.K7210に準じて190℃、21.168Nの条件で測定した値である。
【0062】
ポリプロピレン系樹脂、ポリブテン系樹脂のMFRは0.1~10g/10分が好ましく、より好ましくは0.5~8g/10分である。上記の範囲内であると、押出ラミネートによる塗工をより安定化できる。なお、ポリプロピレン系樹脂、ポリブテン系樹脂のMFRはJIS.K7210に準じて230℃、21.168Nの条件で測定した値である。
【0063】
ポリエチレン系樹脂の含有量は、ヒートシール樹脂層(C)100質量%中、35~70質量%である事が好ましく、40~65質量%であることがより好ましく、45~60質量%である事が更に好ましい。ポリエチレン系樹脂が35質量%以上であることにより、押出ラミネートによる塗工をより安定化できる。また、70質量%以下であることにより、ヒートシール樹脂層(C)の引き裂き性と接着性を保持しやすい。
【0064】
ポリプロピレン系樹脂およびポリブテン系樹脂の合計の含有量は、ヒートシール樹脂層(C)100質量%中、15~40質量%である事が好ましく、18~35質量%である事がより好ましく、20~30質量%であることが更に好ましい。上記の範囲内であるとヒートシール樹脂層(C)の引き裂き性の点で好ましい。
【0065】
ヒートシール樹脂層(C)はその性能を損なわない範囲でその他の樹脂や粘着付与剤を含有していても良い。その他の樹脂として、具体的には、マレイン酸変性物、エチレン-アクリル酸共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸共重合体等のエチレン-不飽和モノカルボン酸共重合体及びその金属塩、スチレン-ブタジエン共重合エラストマー及びその水素付加物等の各種エラストマーが挙げられる。粘着付与剤は、粘着剤層(B)が含んでも良い粘着付与剤(F)と同じものを使用することができる。その他の樹脂および粘着付与剤の含有量はヒートシール樹脂層(C)100質量%中に15質量%以下である事が好ましく、10質量%以下であることがより好ましく、5質量%以下であることがさらに好ましい。
【0066】
ヒートシール樹脂層(C)は粘着剤層(B)への接着性の向上や糸曳きの改善のために、さらにワックスを添加する事ができる。ワックスとしてはポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、エチレン-酢酸ビニル共重合体ワックス、フィッシャートロプシュワックス、パラフィンワックス、酸化ワックス、マレイン酸変性ワックスなどが挙げられる。これらの中でもポリエチレンワックスが好ましい。ワックスを含有する場合、その含有量はヒートシール樹脂層(C)100質量%中、8~40質量%である事が好ましく、12~30質量%である事がより好ましく、15~25質量%であることが更に好ましい
。ワックスの140℃における粘度は、50~10000mPa・sであることが好ましく、より好ましくは60~8000mPa・sである。なお粘度は、B型粘度計(測定条件は、140℃、ローターNo.3、12rpm、30秒間)を使用し、測定した値である。
【0067】
ヒートシール樹脂層(C)はその性能を損なわない範囲で、熱劣化や熱分解、ブロッキングの防止やフィルム加工、押出ラミネート加工適正の付与のために、さらに添加剤を使用してもよい。添加剤としては、例えばエルカ酸アミド等の有機滑剤、炭酸カルシウム等の無機滑剤、ヒンダードフェノール等の酸化防止剤、その他ブロッキング防止剤、帯電防止剤、充填剤、顔料などが挙げられる。添加剤の配合は、例えばヒートシール樹脂層(C)に使用する各成分をヘンシェルミキサー、タンブラーミキサーなどの混合装置に投入し、ブレンド時間5~20分間で混合した後、押出機に入れ、加熱混練した後押し出すことにより行われる。押出物は通常ペレット形状とされて、後の工程で利用される。押出機としては、例えば二軸押出機などが好ましいものとして挙げられるが、これに限られるものではない。また、押出は、通常140~200℃で行われる。
【0068】
≪再封性ヒートシール積層体≫
本発明の再封性ヒートシール積層体は、例えば、粘着剤層(B)が積層された基材(A)の該粘着剤層(B)上にヒートシール樹脂層(C)を積層する事などによって得る事ができる。
粘着剤層(B)は、粘着剤を従来公知の塗工方法によって基材(A)上に塗工し、水や溶剤を含む場合はさらに乾燥工程を経る事によって形成できる。塗工方法としては、例えばスピンコート法、スプレーコート法、バーコート法、ナイフコート法、ロールコート法、ロールナイフコート法、ブレードコート法、ダイコート法、グラビアコート法等の公知の塗工方法を使用できる。乾燥工程は、熱風オーブン、電気オーブン、赤外線ヒーター等の公知の装置を使用できる。粘着剤が水や溶剤を含まない場合は、例えば粘着剤を加熱することで粘度を低下させ、ダイコート法などの塗工方法で基材(A)上に塗工した後、冷却工程を経る事で粘着剤層(B)を形成する方法が挙げられる。粘着剤層(B)を形成後、そのまま同じライン上で次の工程に移行しても良いし、粘着剤層(B)上に剥離紙や剥離フィルムを積層して巻き取り、別のラインで剥離紙や剥離フィルムを剥がして粘着剤層(B)を露出させるようにして次の工程に移行しても良い。
ヒートシール樹脂層(C)を粘着剤層(B)上に積層する方法としては、例えばヒートシール樹脂層(C)に使用する各成分を混合し、押出機で加熱混錬し押し出されたものを細かく刻んでペレット化し、このペレットを用いてインフレーション法あるいはキャスト法などにより単層のフィルムにする。次いでこの単層のフィルムを粘着剤層(B)上に貼り合わせて積層する方法が挙げられる。もしくは、上述のペレットを溶融し、Tダイ押出装置を使用して粘着剤層(B)上に直接被覆させても良い。
【0069】
≪再封性包装容器≫
本発明の再封性包装容器は、蓋材として本発明の再封性ヒートシール積層体を用い、こ
れを容器本体の開口形状に合わせて裁断し、容器本体の開口部に加熱圧着して封緘がなされたものである。即ち、本発明の再封性ヒートシール積層体のヒートシール樹脂層(C)と、密封容器の開口部の接着面(フランジとも言われる)とを接触させ加熱する(ヒートシールする)ことによって、両者を接着する。接着条件は、130~170℃であることが好ましい。
【0070】
容器本体としては、ポリエチレン系樹脂製の容器本体、および内面がポリエチレン系樹脂で覆われた容器本体が好ましい。
【0071】
容器本体がPET容器の場合、容器本体と蓋材とを熱接着温度130~170℃で熱接
着を行うことが好ましく、常温での開封強度が10~20Nの範囲であることが好ましい。本発明の再封性包装容器は、例えばゼリー、プリン、ヨーグルトや冷菓、乾燥菓子、カップ麺等を包装することができる。
【実施例0072】
以下に、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。なお、実施例中、「部」及び「%」は、「質量部」及び「質量%」をそれぞれ表す。
【0073】
アクリル系共重合体(D)のガラス転移温度、重量平均分子量は次のようにして測定した。
【0074】
<ガラス転移温度(Tg)の測定>
ガラス転移温度の測定は、前述した示差走査熱量測定(DSC)法により求めた。
なお、Tg測定用の試料は、測定する樹脂溶液を150℃で約15分、加熱し、乾固させたものを用いた。
【0075】
<重量平均分子量の測定>
重量平均分子量は前述した方法で測定し、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)によるポリスチレン換算の値を用いた。
【0076】
<アクリル系共重合体(D1)の合成>
モノマーとしてメチルメタクリレート3.15部、2-エチルヘキシルアクリレート32部、ブチルアクリレート64部、アクリル酸0.85部にアニオン系反応性乳化剤として「アクアロンKH-10」(ポリオキシエチレン-1-(アリルオキシメチル)アルキルエーテル硫酸エステルアンモニウム塩 第一工業製薬社製)1.0部、および脱イオン水25.1部を加えて攪拌し乳化物を得た。得られた乳化物を滴下ロートに入れた。
別途、撹拌機、冷却管、温度計および上記滴下ロートを取り付けた4つ口フラスコに、脱イオン水を45.6部、上記乳化物のうちの1.0部を仕込み、フラスコ内部を窒素ガスで置換し、撹拌しながら内温を70℃まで加熱した。その後濃度10%過硫酸アンモニウムを添加して、反応を開始した。内温を70℃に保持したまま、上記乳化物を180分かけて滴下した後に、さらに撹拌しながら内温を70℃に保持したまま1時間反応を継続した。その後内温を65℃に冷却し、酸化剤の「パーブチルH-69」(日本油脂社製)の濃度10%水溶液1.0部、還元剤の「エルビットN」(扶桑化学工業社製)の濃度10%水溶液1.0部をそれぞれ10分おきに3回添加し、さらに1時間反応を継続した。その後、冷却し、30℃で25%アンモニア水を添加して中和することで不揮発分濃度50%、Tgが-45℃のアクリル系共重合体(D1)溶液を得た。アクリル系共重合体(D1)はTHFに溶解しなかったため、重量平均分子量は2,000,000より大きいと判断した。
【0077】
<アクリル系共重合体(D2)の合成>
モノマーとしてメチルメタクリレート5部、2-エチルヘキシルアクリレート90.5部、アクリル酸4.5部を使用し、乳化剤として「ハイテノールNF-08」(ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩 第一工業製薬社製)を使用した事以外は、アクリル系共重合体(D1)と同様にして合成し、不揮発分濃度50%、Tgが-46℃のアクリル系共重合体(D1)溶液を得た。アクリル系共重合体(D1)はTHFに溶解しなかったため、重量平均分子量は2,000,000より大きいと判断した。
【0078】
<アクリル系共重合体(D3)の合成>
攪拌器、温度計、滴下管、還流冷却器を備えた重合装置を用い、メチルメタクリレート1部、イソブチルメタクリレート4部、酢酸ビニル4部、ブチルアクリレート85.3部、2-メトキシエチルアクリレート5部、2-ヒドロキシエチルアクリレート0.7部、メチルエチルケトン10部、酢酸エチル60部、ベンゾイルパーオキシド0.1部を配合した原料混合物の半分を窒素雰囲気下、反応槽に仕込んだ。別途、滴下層に原料混合物の残りの半分を仕込んだ。次いで反応槽の加熱を開始した。重合反応開始を確認した後、滴下管から原料混合物を1時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに還流下で7時間溶液重合を継続した。反応終了後、冷却し、不揮発分58.8%のアクリル系共重合体(D3)溶液を得た。得られたアクリル系共重合体(D3)は、Tgが-47℃、重量平均分子量が708,000であった。
【0079】
<アクリル系共重合体(D4)、(D5)の合成>
モノマーを表1の組成に変更した事以外は、アクリル系共重合体(D3)の合成と同様にして不揮発分58.8%のアクリル系共重合体(D4)、(D5)溶液を得た。これらのTg、重量平均分子量は表1に示す。
【0080】
<アクリル系共重合体(D6)の合成>
モノマーを表1の組成に変更し、メチルエチルケトンの使用量を7部、酢酸エチルの使用量を63部に変更した事以外は、アクリル系共重合体(D3)の合成と同様にして不揮発分58.8%のアクリル系共重合体(D6)溶液を得た。Tgおよび重量平均分子量は表1に示す。
【0081】
<アクリル系共重合体(D7)、(D8)>
アクリル系共重合体(D7)、(D8)はそれぞれ以下のものを使用した。
アクリル系共重合体(D7):クラリティLK9243 (クラレ社製、メタクリル酸メチル―アクリル酸2エチルヘキシル―メタクリル酸メチルブロック共重合体、MFR93g/10min)
アクリル系共重合体(D8):クラリティLA3320 (クラレ社製、メタクリル酸メチル―アクリル酸ブチル―メタクリル酸メチルブロック共重合体、MFR6g/10min)
なお、上記MFRはいずれも190℃ 、2.16kg荷重における値である。
【0082】
【0083】
なお、表1中の略語は以下の通りである。
MMA:メチルメタクリレート
EA:エチルアクリレート
2EHA:2-エチルヘキシルアクリレート
IBMA:イソブチルメタクリレート
VAc:酢酸ビニル
BA:n-ブチルアクリレート
2MTA:2-メトキシエチルアクリレート
AA:アクリル酸
2HEA:2-ヒドロキシエチルアクリレート
【0084】
[実施例1:積層体の製造]
<粘着剤の製造>
アクリル系共重合体D3を79.1部、硬化剤E1を1.1部、粘着付与剤F1-1を19.8部配合し、粘着剤を製造した。ただし、表2の比率は固形分比率を示す。
【0085】
<ヒートシール樹脂層(C)の単層フィルムの製造>
ポリエチレン系樹脂PE1を53部、ポリプロピレン系樹脂PP1を26部、添加剤C
1を21部混合し、ヘンシェルミキサーで5分間プリブレンドした。ホッパーにプリブレンド物を投入し、スクリューフィーダーを用いて下記押出機に供給し、ヒートシール樹脂層(C)用の樹脂混合物を製造した。
≪押出機条件≫
押出機:アイ・ケー・ジー社製同方向回転二軸押出機PMT32-40.5
バレル温度:180℃(供給口160℃)
スクリュー回転速度:200rpm
供給速度:10kg/hr
【0086】
得られた混合物をLabtech製インフレーション成形機(ダイス径:40mmφ、成形温度:130℃)でインフレーション成形を行い、厚さ20μmのヒートシール樹脂層(C)の単層フィルムを製造した。
≪単層成型条件≫
インフレーション成型機:Labtech製
樹脂温度:130℃
バレル温度:180℃(供給口170℃)
スクリュー回転速度:60rpm
引張速度:5m/分
冷却ロール表面温度:20℃
【0087】
<積層体の製造>
基材(A)として12μmの2軸延伸PETフィルムのコロナ処理面に、得られた粘着剤をロールコーターで塗布し100℃のオーブンで溶剤を除去する事で、厚さ20μmの粘着剤層(B)を形成した。次に、粘着剤層(B)の表面に、ヒートシール樹脂層(C)の単層フィルムをラミネートして、基材(A)/粘着剤層(B)/ヒートシール樹脂層(C)の順に積層された実施例1の積層体を得た。
【0088】
【0089】
【0090】
なお、表2、3中の各成分は以下のものを示す。
【0091】
<スチレン系共重合体(S)>
S1:KratonG-1657 (クレイトンポリマージャパン社製、スチレン-エチレンブタジエン-スチレンブロック共重合体、MFR22g/10min)
S2:KratonG-1652 (クレイトンポリマージャパン社製、スチレン-エチ
レンブタジエン-スチレンブロック共重合体、MFR5g/10min)
なお、上記MFRはいずれも230℃ 、5kg荷重における値である。
【0092】
<硬化剤(E)>
E1:キシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体を酢酸エチルで不揮発分50%に希釈したもの:イソシアネート系硬化剤
E2:トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体を酢酸エチルで不揮発分40%に希釈したもの:イソシアネート系硬化剤
E3:TETRAD-X (三菱ガス化学社製、多官能エポキシ樹脂)をMEKで不揮発分10%に希釈したもの:エポキシ硬化剤
【0093】
<粘着付与剤(F)>
F1-1:パインクリスタルKE-359 (荒川化学社製、ロジン誘導体)
F1-2:ペンセルD-125 (荒川化学社製、ロジンエステル)
F2-1:YSレジンPX-1000(ヤスハラケミカル社製、テルペン樹脂)
F3:アルコンP-100 (荒川化学社製、水添石油樹脂)
F4:Kristalex F-100 (イーストマンケミカル社製、スチレン-αメチルスチレン共重合体)
【0094】
<液状成分(L)>
L1:ダイアナプロセスPW―32 (出光興産社製、鉱物油)
L2:スチレンモノマー (関東化学社製)
【0095】
<その他添加剤(P)>
P1:MS-P (日本タルク社製、無機物、平均粒径14μm)
【0096】
<ポリエチレン系樹脂>
PE1:ペトロセン213 (東ソー社製、低密度ポリエチレン、MFR8g/10min)
PE2:ウルトラセン526 (東ソー社製、エチレン-酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル含有率7%、MFR25g/10min)
なお、上記MFRはいずれも190℃ 、2.16kg荷重における値である。
【0097】
<ポリプロピレン系樹脂及びポリブテン系樹脂>
PP1:SB-520 (LOTTE社製、ポリプロピレン-ポリエチレン共重合体、MFR1.8g/10min)
PB1:タフマーBL-4000(三井化学社製、ブテン-エチレン共重合体、MFR1.8g/10min)
なお、上記MFRはいずれも190℃ 、2.16kg荷重における値である。
【0098】
<添加剤(C)>
C1:L-C121N (LIONCHEMTECH社製、ポリエチレンワックス、融点109℃)
【0099】
[実施例1:再封性包装容器の製造]
ポリエチレンフィルムが内側に積層された円筒状の紙容器(外径:95mmφ)の開口部周辺のフランジ部(幅約4mm)に重ね合わせた後、MODEL2005(トーワテクノ社製)を用い、シール温度150℃、シール圧力:100kgf/カップ、シール時間:1秒の条件にて、実施例1で得られた積層体をヒートシールし、再封性包装容器を得た。
【0100】
(1)開封強度
再封性包装容器を23℃、相対湿度65%(65%RH)の環境下で、引張試験機(オートグラフAGS-X、島津製作所社製)を用い、開封角度90度、開封速度300mm/分にて、積層体を約50%剥がす際の接着強度を測定し、最大値を読み取った。
◎:12N以上20N未満:非常に良好
○:9N以上12N未満、または20N以上23N未満:良好
△:6N以上9N未満、または23N以上26N未満:使用可
×:6N未満、または26N以上:使用不可
【0101】
(2)糸曳き
再封性包装容器の開封強度測定後の積層体と容器の剥離部分を目視で観察し糸曳きの発生を確認した。
◎:糸曳きはない(剥離部の面積のうち、糸曳きの発生部分の面積が0%):非常に良好○:剥離部の面積のうち、糸曳きの発生部分の面積が0%より大きく10%以下:良好
△:剥離部の面積のうち、糸曳きの発生部分の面積が10%より大きく30%以下:使用可
×:剥離部の面積のうち、糸曳きの発生部分の面積が30%より大きい:使用不可
【0102】
(3)ジッピング
再封性包装容器の開封強度測定時にジッピングの発生を確認した
◎:ジッピングはない(剥離部の面積のうち、ジッピングの発生部分の面積が0%):非常に良好
○:剥離部の面積のうち、ジッピングの発生部分の面積が0%より大きく10%以下:良好
△:剥離部の面積のうち、ジッピングの発生部分の面積が10%より大きく30%以下:使用可
×:剥離部の面積のうち、ジッピングの発生部分の面積が30%より大きい:使用不可
【0103】
(4)リシール
再封性包装容器の開封強度測定後の積層体と容器の剥離部分を重ね合わせ、積層体の上から、指で2往復圧着して封止後に再度開封強度を測定した。これを5回繰り返し、5回目の最大値を読み取った。
◎:4N以上7N未満:非常に良好
○:2N以上4N未満、7N以上10N未満:良好
△:1N以上2N未満、10N以上13N未満:使用可
×:1N未満、または13N以上:使用不可
【0104】
(5)経時後のヒートシール樹脂層(C)表面へのブリード
積層体を40℃-24時間経時させた後、経時前の積層体と目視で比較し表面状態の変化を確認した。
○:変化はなかった:良好
×:表面が濡れ、べたつきがあった:使用不可
【0105】
(6)経時後のリシール
40℃-24時間経時させた後の積層体を用いたこと以外は、上記と同様にして積層体と、ポリエチレンフィルムが内側に積層された円筒状の紙容器をヒートシールし、再封性包装容器を得た。この再封性包装容器を23℃、相対湿度65%(65%RH)の環境下で、引張試験機(オートグラフAGS-X、島津製作所社製)を用い、開封角度90度、開封速度300mm/分にて、積層体を約50%剥がした。次いで再封性包装容器の開封後の積層体と容器の剥離部分を重ね合わせ、積層体の上から、指で2往復圧着して封止後
に再度開封強度を測定した。これを5回繰り返し、5回目の最大値を読み取った。この値と、経時させていない積層体を使用した時のリシールの評価値を用いて以下の相対比率を求め、次のように評価した。
相対比率(%)=100×(経時させていない積層体を使用した時のリシールの評価値)/(40℃-24時間経時させた後の積層体を使用した時のリシールの評価値)
○:相対比率70%以上:使用可
×:相対比率70%未満:使用不可
【0106】
[実施例2~15]
実施例2~15は、粘着剤の組成、比率を表2、3に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして積層体及び再封性包装容器を製造し、評価した。
【0107】
[実施例16:積層体の製造]
<粘着剤の製造>
ヘンシェルミキサーでアクリル系共重合体D7を65部、粘着付与剤F3を15部、粘着付与剤F4を20部混合し、5分間プリブレンドした。ホッパーにプリブレンド物を投入し、スクリューフィーダーを用いて下記押出機に供給し、粘着剤を製造した。
≪押出機条件≫
押出機:アイ・ケー・ジー社製同方向回転二軸押出機PMT32-40.5
バレル温度:180℃(供給口160℃)
スクリュー回転速度:200rpm
供給速度:10kg/hr
【0108】
<積層体の製造>
基材層として12μmの2軸延伸PETフィルムのコロナ処理した面に、厚さ20μmとなるようにTダイから粘着剤を押し出し、同時に粘着剤層(B)の面にヒートシール樹脂層(C)の単層フィルムをラミネートするサンドイッチラミネート法により基材(A)/粘着剤層(B)/ヒートシール樹脂層(C)の順に積層された積層体を得た。
【0109】
[実施例16:再封性包装容器の製造]
実施例1と同様にして再封性包装容器を製造し、評価した。
【0110】
[実施例17]
実施例17は、粘着剤を表3の組成、比率に変更した以外は、実施例16と同様にして積層体及び再封性包装容器を製造し、評価した。
【0111】
[実施例18~20]
実施例18~20は、粘着剤およびヒートシール樹脂層(C)を表3の組成、比率に変えた以外は、実施例1と同様にして積層体及び再封性包装容器を作成し、評価した。
【0112】
[比較例1:積層体の製造]
<粘着剤の製造>
攪拌機を備えたステンレスビーカーに液状成分L1(鉱物油)35部を配合し160℃になるように加熱・攪拌した。攪拌しながらスチレン系エラストマーS1 30部、粘着付与剤F3を配合し、3時間攪拌してホットメルト粘着剤を得た。
【0113】
<粘着剤層の製造>
基材(A)として12μmの2軸延伸PETフィルムのコロナ処理面に、160℃に加熱したホットメルト粘着剤をハンドコーターで塗布し、30μmの厚みの粘着剤層(B)を形成し、基材(A)/粘着剤層(B)の積層体を得た。
【0114】
<積層体の製造>
基材(A)/粘着剤層(B)の積層体の粘着剤層(B)の表面にヒートシール樹脂層(C)の単層フィルムをラミネートして、基材(A)/粘着剤層(B)/ヒートシール樹脂層(C)の順に積層された積層体を得た。
【0115】
[比較例1:再封性包装容器の製造]
実施例1と同様にしてカップシール物を製造し、評価した。
【0116】
[比較例2]
粘着剤を表3の組成、比率に変えた以外は、実施例16と同様にして積層体及びカップシール物を製造し、評価した。
【0117】
[比較例3、4]
比較例3、4は、粘着剤およびヒートシール樹脂層(C)を表3の組成、比率に変えた以外は、実施例1と同様にして積層体及びカップシール物を製造し、評価した。
【0118】
表2、3に示すように、比較例1~4に対して、粘着剤層(B)がアクリル系共重合体(D)を含み、ヒートシール樹脂層(C)がポリエチレン系樹脂を含み、さらにポリプロピレン系樹脂およびポリブテン系樹脂の少なくともいずれか一方を含有する実施例1~20は、容器から蓋材を剥がす際にヒートシール樹脂層(C)の一部が蓋材側のヒートシールされていた部分に残ったり糸状に引き出されたり(糸曳き)しにくく十分な初期開封強度を発現すると共に、開封後も蓋材と容器を押さえることで実用上十分な強度で再封でき、さらには経時で積層体表面に液状成分のブリードが無いことが示された。