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特開2024-89326画像処理装置、画像処理方法およびプログラム
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  • 特開-画像処理装置、画像処理方法およびプログラム 図1
  • 特開-画像処理装置、画像処理方法およびプログラム 図2A
  • 特開-画像処理装置、画像処理方法およびプログラム 図2B
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  • 特開-画像処理装置、画像処理方法およびプログラム 図6
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024089326
(43)【公開日】2024-07-03
(54)【発明の名称】画像処理装置、画像処理方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   A63B 69/36 20060101AFI20240626BHJP
【FI】
A63B69/36 541W
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022204615
(22)【出願日】2022-12-21
(71)【出願人】
【識別番号】592014104
【氏名又は名称】ブリヂストンスポーツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100186015
【弁理士】
【氏名又は名称】小松 靖之
(74)【代理人】
【識別番号】100163511
【弁理士】
【氏名又は名称】辻 啓太
(72)【発明者】
【氏名】石原 知高
(72)【発明者】
【氏名】高木 啓雄
(57)【要約】
【課題】より簡便に、スイング動作における対象者の身体のねじれを評価する。
【解決手段】
画像処理装置10は、クラブのスイング動作を行う対象者4を撮像した動画像における、対象者4の身体の少なくとも上下2か所の所定部位それぞれの位置情報を取得する位置情報取得部131と、位置情報に示される少なくとも2か所の所定部位それぞれの位置を鉛直な平面に投影し、所定部位それぞれが平面上の水平方向の基準位置を通過する通過タイミングを検出するタイミング検出部133と、所定部位それぞれについて検出された通過タイミングに基づき、対象者4の身体のねじれを評価する評価部134と、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
クラブのスイング動作を行う対象者を撮像した動画像から、前記対象者の身体のねじれを評価する画像処理装置であって、
前記動画像における、前記対象者の身体の少なくとも上下2か所の所定部位それぞれの位置情報を取得する位置情報取得部と、
前記位置情報に示される前記少なくとも上下2か所の所定部位それぞれの位置を鉛直な平面に投影し、前記所定部位それぞれが前記平面上の水平方向の基準位置を通過する通過タイミングを検出する検出部と、
前記所定部位それぞれについて検出された通過タイミングに基づき、前記対象者の身体のねじれを評価する評価部と、を備える画像処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像処理装置において、
前記検出部は、前記所定部位それぞれに対して前記基準位置を設定する、画像処理装置。
【請求項3】
請求項1に記載の画像処理装置において、
前記検出部は、前記対象者のダウンスイング開始前の画像に基づき、前記基準位置を設定する、画像処理装置。
【請求項4】
請求項1に記載の画像処理装置において、
前記平面は、飛球線方向に対して平行であり、かつ、鉛直な平面、または、前記飛球線方向に対して垂直であり、かつ、鉛直な平面である、画像処理装置。
【請求項5】
請求項1に記載の画像処理装置において、
前記評価部は、前記対象者の上半身における所定部位について検出された通過タイミングと、前記対象者の下半身における所定部位について検出された通過タイミングとの時間差に基づき、前記対象者の上半身と下半身とのねじれを評価する、画像処理装置。
【請求項6】
請求項1に記載の画像処理装置において、
前記所定部位は、前記スイング動作に伴って前記対象者の体幹軸周りに回転する部位である、画像処理装置。
【請求項7】
クラブのスイング動作を行う対象者を撮像した動画像から、前記対象者の身体の体幹軸周りのねじれを評価する画像処理装置による画像処理方法であって、
前記動画像における、前記対象者の身体の少なくとも上下2か所の所定部位それぞれの位置情報を取得することと、
前記位置情報に示される前記少なくとも上下2か所の所定部位それぞれの位置を鉛直な平面に投影し、前記所定部位それぞれが前記平面上の水平方向の基準位置を通過する通過タイミングを検出することと、
前記所定部位それぞれについて検出された通過タイミングに基づき、前記対象者の身体のねじれを評価することと、を含む画像処理方法。
【請求項8】
コンピュータを、請求項1に記載の画像処理装置として動作させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、画像処理装置、画像処理方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ゴルフのスイングは、ボールを打撃するためにゴルファーの身体とクラブとを回転させて行う運動である。スイング動作では、ダウンスイングの際に上半身に対して下半身を先行させ、身体の上半身と下半身とに回転差(捻転差)を維持したままダウンスイングし、インパクト付近で捻転差を開放することで、効率的に高いヘッドスピードを得られると言われている。そのため、スイング動作における対象者の身体のねじれは、スイング動作の評価における重要な項目の1つである。
【0003】
対象者によるスイング動作を評価する手法の1つとして、モーションキャプチャを用いる手法がある。この手法では、対象者の身体の複数の所定部位にマーカを取り付けた状態で対象者のスイング動作を撮像し、撮像した動画像からマーカの位置、すなわち、対象者の身体の所定部位の位置を特定して、スイング動作が評価される。
【0004】
また、特許文献1には、スイング動作を行う対象者の腰にモーションセンサを取り付け、モーションセンサの検出結果に基づき、対象者の腰の回転速度を解析する手法が記載されている。
【0005】
また、特許文献2には、スイング動作を行う対象者を撮像し、アドレス時の画像から特定された対象者の身体の所定部位の位置に基づき決定された基準角度と、クラブの振り下ろし角度との比較により、スイング動作を評価する手法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第7069662号
【特許文献2】特許第7011030号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
モーションキャプチャを用いる手法および特許文献1に記載の手法では、専用の設備を用意する必要がある、対象者の身体の所定部位へのマーカあるいはモーションセンサの取り付けが事前に必要となる、といった手間がかかる。
【0008】
また、特許文献2に記載の手法では、スイング動作における対象者の身体のねじれの評価については考慮されていない。
【0009】
上記のような問題点に鑑みてなされた本開示の目的は、より簡便に、スイング動作における対象者の身体のねじれを評価することができる、画像処理装置、画像処理方法およびプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(1) 本開示の一態様としての画像処理装置は、クラブのスイング動作を行う対象者を撮像した動画像から、前記対象者の身体のねじれを評価する画像処理装置であって、前記動画像における、前記対象者の身体の少なくとも上下2か所の所定部位それぞれの位置情報を取得する位置情報取得部と、前記位置情報に示される前記少なくとも上下2か所の所定部位それぞれの位置を鉛直な平面に投影し、前記所定部位それぞれが前記平面上の水平方向の基準位置を通過する通過タイミングを検出する検出部と、前記所定部位それぞれについて検出された通過タイミングに基づき、前記対象者の身体のねじれを評価する評価部と、を備える。
このような構成によれば、特別の設備を用意する必要がなく、また、対象者の身体にマーカあるいはセンサなどを取り付ける必要もなく、撮像装置により撮像した動画像から、スイング動作における対象者の身体の上下2か所の間のねじれを評価することができる。そのため、本開示に係る画像処理装置によれば、より簡便に、スイング動作における対象者の身体のねじれを評価することができる。
【0011】
(2) (1)の画像処理装置において、前記検出部は、前記所定部位それぞれに対して前記基準位置を設定する。
このような構成によれば、所定部位それぞれに適した位置に基準位置を設定することができるので、スイング動作に伴う身体のねじれをより正確に評価することができる。
【0012】
(3) (1)または(2)の画像処理装置において、前記検出部は、前記対象者のダウンスイング開始前の画像に基づき、前記基準位置を設定する。
このような構成によれば、身体のねじれが生じる前の対象者の身体の部位それぞれの位置に基づき基準位置を設定することが出来るので、ねじれをより正確に評価することが出来る。
【0013】
(4) (1)から(3)のいずれかに記載の画像処理装置において、前記平面は、飛球線方向に対して平行であり、かつ、鉛直な平面、または、前記飛球線方向に対して垂直であり、かつ、鉛直な平面である。
このような構成によれば、対象者を正面から撮影した場合にも、対象者を飛球線方向後方から撮影した場合にも、対象者の身体のねじれを評価することができる。
【0014】
(5) (1)から(4)のいずれかに記載の画像処理装置において、前記評価部は、前記対象者の上半身における所定部位について検出された通過タイミングと、前記対象者の下半身における所定部位について検出された通過タイミングとの時間差に基づき、前記対象者の上半身と下半身とのねじれを評価する。
このような構成によれば、高いヘッドスピードを得るために必要な、対象者の上半身と下半身とのねじれ(捻転差)を求めることができ、スイング動作をより適切に評価することができる。
【0015】
(6) (1)から(5)のいずれか一項に記載の画像処理装置において、前記所定部位は、前記スイング動作に伴って前記対象者の体幹軸周りに回転する部位である。
このような構成によれば、スイング動作に伴い対象者の体幹軸周りに回転する部位の位置情報を取得し、スイング動作に伴う対象者の身体のねじれを評価することができる。
【0016】
(7) 本開示の一態様としての画像処理方法は、クラブのスイング動作を行う対象者を撮像した動画像から、前記対象者の身体の体幹軸周りのねじれを評価する画像処理装置による画像処理方法であって、前記動画像における、前記対象者の身体の少なくとも上下2か所の所定部位それぞれの位置情報を取得することと、前記位置情報に示される前記少なくとも上下2か所の所定部位それぞれの位置を鉛直な平面に投影し、前記所定部位それぞれが前記平面上の水平方向の基準位置を通過する通過タイミングを検出することと、前記所定部位それぞれについて検出された通過タイミングに基づき、前記対象者の身体のねじれを評価することと、を含む。
このような構成によれば、特別の設備を用意する必要がなく、また、対象者の身体にマーカあるいはセンサなどを取り付ける必要もなく、撮像装置により撮像した動画像から、スイング動作における対象者の身体の上下2か所の間のねじれを評価することができる。そのため、本開示に係る画像処理装置によれば、より簡便に、スイング動作における対象者の身体のねじれを評価することができる。
【0017】
(8) 本開示の一態様としてのプログラムは、コンピュータを(1)から(6)のいずれかの画像処理装置として動作させる。
【発明の効果】
【0018】
本開示に係る画像処理装置、画像処理方法およびプログラムによれば、より簡便に、スイング動作における対象者の身体のねじれを評価することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本開示の一実施形態に係る画像処理装置を含む画像処理システムの構成例を示す図である。
図2A】スイング動作を行う対象者を正面から撮像した状態を示す図である。
図2B】スイング動作を行う対象者を飛球線方向後方から撮像した状態を示す図である。
図3】本開示の一実施形態に係る画像処理装置の構成例を示す図である。
図4図3に示す画像処理装置の動作の一例を示すフローチャートである。
図5A図3に示す位置情報取得部が位置情報を取得する対象者の身体の所定部位の一例を示す図である。
図5B図3に示すタイミング検出部による基準位置の設定の一例を示す図である。
図5C】対象者のスイング動作による身体の所定部位それぞれの位置の変化の一例を示す図である。
図6】身体の上下2か所について検出された通過タイミングの差と、身体のねじれとの対応関係の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0021】
図1は、本開示の一実施形態に係る画像処理装置10を含む画像処理システム1の構成例を示す図である。画像処理システム1は、スイング動作を行う対象者における身体のねじれ、特に、身体の上半身と下半身との回転差(捻転差)を評価するものである。
【0022】
図1に示すように、画像処理システム1は、撮像装置2と、ユーザ端末3と、画像処理装置10とを備える。
【0023】
撮像装置2は、図2A,2Bに示すように、クラブ5のスイング動作を行う対象者4を撮像する。撮像装置2により撮像される動画像は、例えば、図2Aに示すような、クラブ5のスイング動作を行う対象者4を正面から撮像した動画像、あるいは、図2Bに示すような、クラブ5のスイング動作を行う対象者4を飛球線方向後方から撮像した動画像である。撮像装置2は、対象者4を撮像した動画像を、有線通信または無線通信により、ユーザ端末3に送信する。
【0024】
ユーザ端末3は、スマートフォン、タブレット端末などの、ユーザ(例えば、スイング動作を行う対象者4あるいはインストラクター)が使用する端末である。ユーザ端末3は、通信部31と、出力部32とを備える。
【0025】
通信部31は、1つ以上の通信モジュールを含んで構成される。通信部31は、例えば4G(4th Generation)、5G(5th Generation)などの移動体通信規格に対応する通信モジュールを含んでよい。通信部31は、例えば、無線LAN規格(一例としてIEEE802.11)に対応する通信モジュールを含んでよい。また、通信部31は、例えば、有線LAN規格に対応する通信モジュールを含んでよい。本実施形態においては、通信部31は、撮像装置2と有線通信および/または無線通信を行うための通信モジュールと、画像処理装置10と有線通信および/または無線通信を行うための通信モジュールと、を備える。通信部31は、撮像装置2から送信されてきた動画像を受信し、受信した動画像を画像処理装置10に送信する。また、通信部31は、画像処理装置10から対象者4のスイング動作の評価結果を受信する。
【0026】
出力部32は、通信部31が受信した、対象者4のスイング動作の評価結果を出力する。出力部32は、例えば、ディスプレイへの表示により、評価結果を出力する。また、出力部32は、例えば、スピーカからの音声出力により、評価結果を出力する。
【0027】
画像処理装置10は、例えば、ネットワーク上に設けられたサーバ装置である。画像処理装置10は、ユーザ端末3から送信されてきた動画像を受信する。画像処理装置10は、動画像から対象者4のスイング動作を評価し、評価結果をユーザ端末3に送信する。本実施形態においては、画像処理装置10は、スイング動作を行う対象者4における身体の上下2か所間のねじれ、特に、身体の上半身と下半身とに回転差(捻転差)を評価する。
【0028】
図3は、本実施形態に係る画像処理装置10の構成例を示す図である。
【0029】
図3に示すように、本実施形態に係る画像処理装置10は、通信部11と、記憶部12と、制御部13とを備える。
【0030】
通信部11は、1つ以上の通信モジュールを含んで構成される。通信部11は、例えば4G,5Gなどの移動体通信規格に対応する通信モジュールを含んでよい。通信部11は、例えば、無線LAN規格(一例としてIEEE802.11)に対応する通信モジュールを含んでよい。また、通信部11は、例えば有線LAN規格に対応する通信モジュールを含んでよい。本実施形態においては、通信部11は、ユーザ端末3と有線通信および/または無線通信を行うための通信モジュールを備える。
【0031】
記憶部12は、1つ以上のメモリである。メモリは、例えば、半導体メモリ、磁気メモリ、または光メモリなどであるが、これらに限られず任意のメモリとすることができる。記憶部12は、例えば、画像処理装置10に内蔵されるが、任意のインターフェースを介して画像処理装置10に外部からアクセスされる構成も可能である。
【0032】
記憶部12は、制御部13が実行する各種の処理において使用される各種のデータを記憶する。また、記憶部12は、制御部13が実行する各種の処理の結果および中間データを記憶してよい。
【0033】
制御部13は、1つ以上のプロセッサである。プロセッサは、例えば、汎用のプロセッサ、または特定の処理に特化した専用プロセッサであるが、これらに限られず任意のプロセッサとすることができる。制御部13は、画像処理装置10の全体の動作を制御する。
【0034】
画像処理装置10は、以下のようなソフトウェア構成を有してよい。画像処理装置10の動作の制御に用いられる、本開示に係る1つ以上のプログラムが記憶部12に記憶される。記憶部12に記憶されたプログラムは、制御部13のプロセッサによって読み込まれると、制御部13を位置情報取得部131、イベント検出部132、検出部としてのタイミング検出部133および評価部134として機能させる。
【0035】
位置情報取得部131は、図2Aあるいは図2Bに示すような、クラブ5のスイング動作を行う対象者4を撮像した動画像が入力される。位置情報取得部131は、入力された動画像における、対象者4の身体の少なくとも上下2か所の所定部位それぞれの位置情報を取得する。より具体的には、位置情報取得部131は、スイング動作に伴って対象者4の体幹軸周りに回転する部位の位置情報を取得する。スイング動作に伴って対象者4の体幹軸周りに回転する部位は、上半身では、例えば、対象者4の肩、肘などの部位である。また、スイング動作に伴って対象者4の体幹軸周りに回転する部位は、下半身では、例えば、対象者4の腰などの部位である。
【0036】
位置情報取得部131は、例えば、骨格抽出エンジンを用いた画像処理により、対象者4の身体の少なくとも上下2か所の所定部位それぞれの位置情報を取得する。また、スイング動作を行う対象者4を深度カメラにより撮像し、位置情報取得部131は、深度カメラにより撮像された動画像から、対象者4の身体の少なくとも上下2か所の所定部位それぞれの位置情報を取得してもよい。
【0037】
イベント検出部132は、画像処理装置10に入力された動画像から、スイング動作における、アドレス、トップ、ハーフウェイバック、インパクトおよびフィニッシュなどのスイング動作における所定のイベントのタイミングを検出する。イベント検出部132は、例えば、位置情報取得部131により取得された対象者4の身体の複数の所定部位の位置情報に基づき、各種イベントのタイミングを検出してよい。また、対象者4の身体の所定部位の位置情報に加えて、クラブ5の所定部位(例えば、クラブ5のヘッド、グリップなど)の位置情報を取得し、イベント検出部132は、クラブ5の所定の部位の位置情報に基づき、各種イベントのタイミングを検出してよい。また、イベント検出部132は、対象者4などによる、スイング動作における各種イベントのタイミングに関する手動の入力を受け付け、当該入力に基づき、各種イベントのタイミングを検出してよい。
【0038】
タイミング検出部133は、位置情報取得部131が取得した位置情報に示される、対象者4の身体の少なくとも上下2か所の所定部位それぞれの位置を鉛直な平面に投影する。そして、タイミング検出部133は、所定部位それぞれが当該平面上の水平方向の基準位置を通過する通過タイミングを検出する。
【0039】
評価部134は、所定部位それぞれについてタイミング検出部133により検出された通過タイミングに基づき、対象者4の身体のねじれを評価する。
【0040】
次に、本実施形態に係る画像処理装置10の動作について説明する。図4は、本実施形態に係る画像処理装置10の動作の一例を示すフローチャートであり、本実施形態に係る画像処理装置10による画像処理方法を説明するための図である。
【0041】
位置情報取得部131は、クラブ5のスイング動作を行う対象者4を撮像した動画像から、対象者4の身体の少なくとも上下2か所の所定部位それぞれの位置情報を取得する(ステップS11)。動画像は、例えば、図2Aに示すような、クラブ5のスイング動作を行う対象者4を撮像装置2により正面(飛球線方向と直交する方向)から撮影した動画像であってもよいし、図2Bに示すような、クラブ5のスイング動作を行う対象者4を撮像装置2により飛球線方向後方から撮影した動画像であってもよいし、その両方であってもよい。以下では、対象者4が右利きであるとし、位置情報取得部131は、図5Aに示すように、対象者4の右肩の位置P1および右膝の位置P2それぞれの位置情報を取得するものとする。
【0042】
図4を再び参照すると、タイミング検出部133は、位置情報に示される所定部位それぞれの位置を鉛直な平面に投影する。動画像が、図2Aに示すような、スイング動作を行う対象者4を撮像装置2により正面から撮影した動画像である場合、タイミング検出部133は、飛球線方向に対して平行であり、かつ、鉛直な平面に、位置情報に示される所定部位それぞれの位置を投影する。また、動画像が、図2Bに示すような、スイング動作を行う対象者4を撮像装置2により飛球線方向後方から撮影した動画像である場合、タイミング検出部133は、飛球線方向に対して垂直であり、かつ、鉛直な平面に、位置情報に示される所定部位それぞれの位置を投影する。このように、飛球線方向に対して垂直であり、かつ、鉛直な平面、または、飛球線方向に対して平行であり、かつ、鉛直な平面に、位置情報に示される複数の所定部位それぞれの位置を投影することで、対象者4を正面から撮影した場合にも、対象者4を飛球線方向後方から撮影した場合にも、対象者4の身体のねじれを評価することができる。
【0043】
タイミング検出部133は、鉛直な平面上に、水平方向の基準位置を設定する。具体的には、タイミング検出部133は、所定部位それぞれに対して、基準位置を設定する。上述したように、本実施形態では、対象者4の右肩の位置P1および右膝の位置P2の位置情報が取得される。この場合、タイミング検出部133は、図5Bに示すように、対象者4の右肩に対する基準位置S1と、対象者4の右膝に対する基準位置S2とを設定する。こうすることで、所定部位それぞれに適した位置に基準位置を設定することができるので、スイング動作に伴う身体のねじれをより正確に評価することができる。
【0044】
タイミング検出部133は、例えば、動画像における、対象者4のダウンスイング開始前の画像(例えば、アドレス時の画像)に基づき基準位置を設定する。以下では、ダウンスイング前の画像としてアドレス時の画像を用いるものとする。この場合、タイミング検出部133は、アドレス時の対象者4の右肩の位置P1に基づき基準位置S1を設定し、アドレス時の対象者4の右膝の位置P2に基づき基準位置S2を設定する。一般に、アドレス時の対象者4の身体状態は、ねじれが生じていない状態とみなすことができる。したがって、このような構成によれば、身体のねじれが生じる前の対象者4の身体の部位それぞれの位置に基づき基準位置を設定することができるので、ねじれをより正確に評価することができる。
【0045】
上述したように、位置情報を取得する所定部位は、スイング動作に伴って対象者4の体幹軸周りに回転する部位である。例えば、図5Bに示すように、対象者4を飛球線方向後方から見た場合、アドレスからトップにおける対象者4の右肩の位置P1および右膝の位置P2は、アドレス時の対象者4の右肩の位置P1および右膝の位置P2から、図5Bの紙面左方向に移動する。トップからインパクトにおける対象者4の右肩の位置P1および右膝の位置P2は、トップにおける対象者4の右肩の位置P1および右膝の位置P2の位置から、紙面右方向に移動する。そして、インパクトからフィニッシュにおける対象者4の右肩の位置P1および右膝の位置P2は、インパクトにおける対象者4の右肩の位置P1および右膝の位置P2の位置から、紙面右方向にさらに移動する。したがって、図5Cに示すように、スイング動作に伴う対象者4の身体の回転に伴って、対象者4の右肩の位置P1は基準位置S1を紙面左側から右側に通過し、対象者4の右膝の位置P2は基準位置S2を紙面左側から右側に通過する。
【0046】
タイミング検出部133は、所定部位それぞれ(対象者4の身体の少なくとも上下2か所の所定部位それぞれ)が平面上の水平方向の基準位置を通過する通過タイミングを検出する(ステップS12)。図5Cに示す例では、タイミング検出部133は、対象者4の右肩の位置P1が基準位置S1を紙面左側から右側に通過する通過タイミングT1と、対象者4の右膝の位置P2が基準位置S2を紙面左側から右側に通過する通過タイミングT2と、を検出する。
【0047】
図4を再び参照すると、評価部134は、対象者4の身体の少なくとも上下2か所の所定部位それぞれについて検出された通過タイミングに基づき、対象者4の身体のねじれを評価する(ステップS13)。具体的には、評価部134は、対象者4の身体の少なくとも上下2か所の所定部位それぞれについて検出された通過タイミングの差に基づき、対象者4の身体のねじれを評価する。図5Cに示す例では、評価部134は、通過タイミングT2と通過タイミングT1との時間差に基づき、対象者4の身体のねじれを評価する。
【0048】
一般に、図6に示すように、身体の上下2か所の所定部位それぞれの通過タイミングの差が大きいほど、その2か所間でのねじれが大きい。評価部134は、図6に示すような、タイミング差と身体のねじれとの対応関係に基づき、対象者4の身体のねじれを評価する。通過タイミングを検出する対象者4の身体の上下2か所の所定部位は特に限定されない。ただし、上述したように、効率的に高いヘッドスピードを得るためには、上半身と下半身とのねじれが重要となる。したがって、図5A図5Cを参照して説明したように、対象者4の上半身における所定部位(例えば、肩)について検出された通過タイミングと、対象者4の下半身における所定部位(例えば、膝、腰など)について検出された通過タイミングとの時間差に基づき、対象者4の上半身と下半身とのねじれを評価することが好ましい。こうすることで、高いヘッドスピードを得るために必要な、対象者4の上半身と下半身とのねじれ(捻転差)を求めることができ、スイング動作をより適切に評価することができる。
【0049】
なお、本実施形態においては、画像処理装置10が、位置情報取得部131、イベント検出部132、タイミング検出部133および評価部134を備える例を用いて説明したが、本開示はこれに限られるものではない。位置情報取得部131、イベント検出部132、タイミング検出部133および評価部134の一部または全部がユーザ端末3に設けられてもよい。したがって、ユーザ端末3が本開示に係る画像処理装置10として動作してもよい。また、ユーザ端末3がスイング動作を行う対象者4を撮像する機能を備えていてもよい。
【0050】
このように本実施形態に係る画像処理装置10は、位置情報取得部131と、タイミング検出部133と、評価部134とを備える。位置情報取得部131は、クラブ5のスイング動作を行う対象者4を撮像した動画像における、対象者4の身体の少なくとも上下2か所の所定部位それぞれの位置情報を取得する。タイミング検出部133は、位置情報に示される所定部位それぞれの位置を鉛直な平面に投影し、所定部位それぞれが平面上の水平方向の基準位置を通過する通過タイミングを検出する。評価部134は、所定部位それぞれについて検出された通過タイミングに基づき、対象者4の身体のねじれを評価する。
【0051】
このような構成によれば、撮像装置2により撮像した動画像から、スイング動作における対象者4の身体のねじれを評価することができる。また、特別の設備を用意する必要がなく、また、対象者4の身体にマーカあるいはセンサなどを取り付ける必要もない。したがって、本開示によれば、より簡便に、スイング動作における対象者4の身体のねじれを評価することができる。
【0052】
実施形態では特に触れていないが、コンピュータを、画像処理装置10として動作させるプログラムが提供されてもよい。また、プログラムは、コンピュータ読取り可能媒体に記録されていてもよい。コンピュータ読取り可能媒体を用いれば、コンピュータにインストールすることが可能である。ここで、プログラムが記録されたコンピュータ読取り可能媒体は、非一過性の記録媒体であってもよい。非一過性の記録媒体は、特に限定されるものではないが、例えば、CD-ROM、DVD-ROMなどの記録媒体であってもよい。
【0053】
上述の実施形態は代表的な例として説明したが、本発明の趣旨および範囲内で、多くの変更および置換が可能であることは当業者に明らかである。したがって、本発明は、上述の実施形態によって制限するものと解するべきではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形および変更が可能である。例えば、実施形態の構成図に記載の複数の構成ブロックを1つに組み合わせたり、あるいは1つの構成ブロックを分割したりすることが可能である。
【符号の説明】
【0054】
1 画像処理システム
2 撮像装置
3 ユーザ端末
4 対象者
5 クラブ
10 画像処理装置
11 通信部
12 記憶部
13 制御部
31 通信部
32 出力部
131 位置情報取得部
132 イベント検出部
133 タイミング検出部(検出部)
134 評価部
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図6