(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024089333
(43)【公開日】2024-07-03
(54)【発明の名称】底カバー及び洗濯機
(51)【国際特許分類】
D06F 39/12 20060101AFI20240626BHJP
【FI】
D06F39/12 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022204625
(22)【出願日】2022-12-21
(71)【出願人】
【識別番号】512128645
【氏名又は名称】青島海爾洗衣机有限公司
【氏名又は名称原語表記】QINGDAO HAIER WASHING MACHINE CO.,LTD.
(71)【出願人】
【識別番号】307036856
【氏名又は名称】アクア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100176658
【弁理士】
【氏名又は名称】和田 謙一郎
(72)【発明者】
【氏名】宮地 成佳
(72)【発明者】
【氏名】直野 浩樹
【テーマコード(参考)】
3B165
【Fターム(参考)】
3B165AA11
3B165AA15
3B165AE02
3B165BA23
3B165BA87
3B165CA02
3B165CA03
3B165CA04
3B165CA05
3B165CA11
3B165CA21
3B165CA24
3B165CB01
3B165CB28
3B165CB31
3B165CB68
3B165CD05
3B165CD15
3B165CE01
3B165GA02
3B165GA22
3B165GA25
3B165GH02
(57)【要約】
【課題】洗濯機の安全性の確保を図ることが可能であるとともに、洗濯機の効率的な輸送に資する底カバー及び洗濯機を提供する。
【解決手段】 一実施形態に係る底カバーは、洗濯槽、洗濯槽の底部に配置された回転翼及び回転翼を回転させるための駆動ユニットを備える洗濯機本体の底部に着脱自在であると共に、底部に形成された開口部を塞ぐための底カバーであって、複数の板部を有し、複数の板部それぞれのサイズは、洗濯槽内に収容可能なサイズであり、第1形態と第2形態との間で変形可能に構成されており、第1形態は、複数の板部によって一つの平板が構成されるように複数の板部が配置された形態であり、第2形態は、複数の板部が重なるように第1形態の状態から折り曲げられた形態又は第1形態の状態から複数の板部が互いに分離された形態である。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗濯槽、前記洗濯槽の底部に配置された回転翼及び前記回転翼を回転させるための駆動ユニットを備える洗濯機本体の底部に着脱自在であると共に、前記底部に形成された開口部を塞ぐための底カバーであって、
複数の板部を有し、
前記複数の板部それぞれのサイズは、前記洗濯槽内に収容可能なサイズであり、
第1形態と第2形態との間で変形可能に構成されており、
前記第1形態は、前記複数の板部によって一つの平板が構成されるように前記複数の板部が配置された形態であり、
前記第2形態は、前記複数の板部が重なるように前記第1形態の状態から折り曲げられた形態又は前記第1形態の状態から前記複数の板部が互いに分離された形態である、
底カバー。
【請求項2】
前記複数の板部は、第1板部と第2板部を有し、
前記第1板部と前記第2板部は、前記第1板部及び前記第2板部の境界部において一方が他方に重なるように折れ曲がり可能に且つ連続的に繋がっている、
請求項1に記載の底カバー。
【請求項3】
前記第2板部において前記境界部の延在方向である第1方向と交差する第2方向に沿った側縁部には前記第1形態の形状を維持するための形状維持片が設けられており、
前記形状維持片は、前記第2板部の外側及び内側に向けて折り曲げ可能に前記側縁部に設けられており、
前記形状維持片は、前記形状維持片の第1端部が前記第1板部側に位置するとともに、前記形状維持片の第2端部が前記第2板部側に位置するように、前記第2板部から前記第1板部に向けて延びており、
前記第1板部及び前記第2板部の少なくとも一方には、前記形状維持片が前記第1板部の内側に折り曲げられた状態で前記形状維持片を固定する固定部が設けられている、
請求項2に記載の底カバー。
【請求項4】
前記複数の板部は、第1板部と第2板部を有し、
前記第1板部と前記第2板部とは着脱自在に構成されている、
請求項1に記載の底カバー。
【請求項5】
前記第1形態では、前記第1板部及び前記第2板部は、互いに嵌め合わされることによって連結されている、
請求項4に記載の底カバー。
【請求項6】
洗濯機本体と、
前記洗濯機本体に着脱自在である底カバーであって請求項1~請求項5のいずれか一項に記載の前記底カバーと、
を備え、
前記洗濯機本体は、
洗濯槽と、
前記洗濯槽の底部に配置された回転翼と、
前記回転翼を回転させるための駆動ユニットと、
前記洗濯機本体、前記回転翼及び前記駆動ユニットを内部に収容する筐体であって、下部が開放された前記筐体と、
前記筐体の下部に取り付けられる脚台であって、開口部を有するとともに、前記底カバーが着脱される前記脚台と、
を有する、
洗濯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、底カバー及び洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
洗濯機の外郭を構成する筐体内には、内槽(洗濯槽)が配置されている。内槽の底部に配置された回転翼を回転駆動するため、筐体内にはモータを含む駆動ユニットも配置されている。洗濯機を輸送する場合、洗濯機は梱包材(例えば段ボール)に梱包される。この際、洗濯機内部の駆動ユニット、内槽等が輸送中の振動によって破損しないように、それらは台座(例えば発泡材によって構成された台座)によって固定される。台座によって筐体内の駆動ユニット等を固定するために、洗濯機の底部には開口部が形成されている。
【0003】
洗濯機を設置した場合、洗濯機における開口部の位置と洗濯機の設置面との間には、手を入れることが可能な程度の隙間(例えば60mm程度の隙間)が存在する。洗濯機の真下に排水ホースを接続するための排水口がある場合、洗濯機を床面から嵩上げする場合もある。この場合、洗濯機の下側に存在する上記隙間は更に大きくなる。前述したように洗濯機の底部には開口部が形成されている。そのため、洗濯機の下側に上記隙間が生じている場合、その隙間から駆動ユニットを手で触ることが可能である。洗濯機の稼働中において駆動ユニットに手が触れることを防止するため、近年、洗濯機の底部に形成された上記開口部を底板(底カバー)で塞ぐことが推奨されている。このような洗濯機に取り付けられる底カバーとして特許文献1に開示されている底板が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示された底板(底カバー)は一枚の板状部材である。この底板は、洗濯機に着脱可能である。したがって、洗濯機を輸送する場合は、底板を洗濯機から取り外すことによって、底板で塞いでいた開口部を開放できる。したがって、洗濯機を輸送する場合に、開口部を利用して洗濯機内部の駆動ユニット等を台座で固定できる。
【0006】
ところで、工場からの洗濯機の出荷の場合等のように複数の洗濯機を輸送する場合、輸送車両などの格納庫(例えばコンテナ)に複数の洗濯機を格納する。格納庫内により多くの洗濯機を格納することによって洗濯機の輸送効率は向上する。そのため、より多くの洗濯機を格納庫に格納する観点から、通常、洗濯機を梱包する梱包材のサイズは格納庫のサイズに応じたサイズである。底板を備えない従来の洗濯機の梱包材には、このように輸送効率を考慮したサイズの梱包材が使用されている。
【0007】
安全性の観点から洗濯機が上記底板を更に備える場合、洗濯機を輸送するために洗濯機から底板を取り外し、その底板も洗濯機(洗濯機本体)と一緒に輸送する必要がある。梱包材で洗濯機を梱包する場合、輸送中の振動等によって洗濯機が破損すること防止するため、発泡材によって洗濯機の角部などを保護するとともに、上記発泡材によって梱包材内の洗濯機及び梱包材の隙間を埋めている。したがって、底板を備えていない従来の洗濯機用に準備された梱包材には、上記底板を更に収容する充分なスペースはない。そのため、底板を備えた洗濯機を輸送するためには、従来の洗濯機用の梱包材より大きな梱包材を準備しなければならないが、その場合、格納庫に収容できる洗濯機の数が減る。その結果、洗濯機の輸送効率が低減する。
【0008】
そこで、本発明は、洗濯機の安全性の確保を図ることが可能であるとともに、洗濯機の効率的な輸送に資する底カバー及び洗濯機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一側面に係る底カバーは、洗濯槽、上記洗濯槽の底部に配置された回転翼及び上記回転翼を回転させるための駆動ユニットを備える洗濯機本体の底部に着脱自在であると共に、上記底部に形成された開口部を塞ぐための底カバーであって、複数の板部を有し、 上記複数の板部それぞれのサイズは、上記洗濯槽内に収容可能なサイズであり、第1形態と第2形態との間で変形可能に構成されており、上記第1形態は、上記複数の板部によって一つの平板が構成されるように上記複数の板部が配置された形態であり、上記第2形態は、上記複数の板部が重なるように上記第1形態の状態から折り曲げられた形態又は上記第1形態の状態から上記複数の板部が互いに分離された形態である。
【0010】
上記底カバーは、上記第1形態と上記第2形態との間で変形可能である。第1形態の底カバーでは、上記複数の板部によって一つの平板が構成されている。そのため、第1形態の底カバーを洗濯機本体の底部に取り付けることによって、底部に形成された開口部を塞ぐことができる。このように開口部が底カバーで塞がれている場合、底カバーが取り付けられた洗濯機本体の稼働中に、上記駆動ユニット等に触ることはできない。よって、上記底カバーによって、上記底カバーが取り付けられた洗濯機本体の安全性を確保できる。底カバーの第2形態は、上記複数の板部が重なるように上記第1形態の状態から折り曲げられた形態又は上記第1形態の状態から上記複数の板部が互いに分離された形態である。上記底カバーが有する複数の板部それぞれのサイズは洗濯槽に収容可能なサイズである。そのため、洗濯機本体から底カバーを取り外した場合、底カバーを第2形態に変形することによって、第2形態の底カバーを洗濯槽に収容可能である。洗濯機本体のサイズ自体は、底カバーを備えない従来の洗濯機と同じサイズを採用できる。よって、洗濯槽に底カバーを収容した状態の洗濯機本体に対しては、上記従来の洗濯機用の梱包材を適用できる。上記従来の洗濯機用の梱包材は、通常、洗濯機を効率的に輸送可能なサイズであることから、上記底カバーの構成では、底カバーと洗濯機本体を備える洗濯機の効率的な輸送を実現可能である。
【0011】
上記複数の板部は、第1板部と第2板部を有し、上記第1板部と上記第2板部は、上記第1板部及び上記第2板部の境界部において一方が他方に重なるように折れ曲がり可能に且つ連続的に繋がっていてもよい。この場合、上記境界部において底カバーを折り曲げることによって第2形態の底カバーが得ることができる。一方、第2形態の底カバーを展開することで第1形態の底カバーを得ることができる。
【0012】
上記第2板部において上記境界部の延在方向である第1方向と交差する第2方向に沿った側縁部には上記第1形態の形状を維持するための形状維持片が設けられており、上記形状維持片は、上記第2板部の外側及び内側に向けて折り曲げ可能に上記側縁部に設けれており、上記形状維持片は、上記形状維持片の第1端部が上記第1板部側に位置するとともに、上記形状維持片の第2端部が上記第2板部側に位置するように、上記第2板部から上記第1板部に向けて延びており、上記第1板部及び上記第2板部の少なくとも一方には、上記形状維持片が上記第1板部の内側に折り曲げられた状態で上記形状維持片を固定する固定部が設けられていてもよい。
【0013】
この場合、第1板部及び第2板部を一つの平板を構成するように配置した状態で、上記形状維持片を第2板部の内側に向けて折り曲げるとともに、上記固定部で形状維持片を固定可能である。上記形状維持片を第2板部の内側に向けて折り曲げた場合、形状維持片は、上記境界部の延在方向と交差するように第1板部及び第2板部上に配置される。よって、第1板部及び第2板部の折れ曲がりが抑制されるから、底カバーは、第1形態の形状(平板状)を維持できる。
【0014】
上記複数の板部は、第1板部と第2板部を有し、上記第1板部と上記第2板部とは着脱自在に構成されていてもよい。この場合、第1板部及び第2板部を連結することによって第1形態の底カバーを得ることができる。一方、第1板部及び第2板部の連結を解除することによって、第2形態の底カバーを得ることができる。
【0015】
上記第1形態では、上記第1板部及び上記第2板部は、互いに嵌め合わされることによって連結されていてもよい。この場合、第1板部及び第2板部を容易に連結できるとともに、上記連結を容易に解除できる。
【0016】
本発明の他の側面に係る洗濯機は、洗濯機本体と、上記洗濯機本体に着脱自在である上記底カバーとを備え、上記洗濯機本体は、洗濯槽と、上記洗濯槽の底部に配置された回転翼と、上記回転翼を回転させるための駆動ユニットと、上記洗濯機本体、上記回転翼及び上記駆動ユニットを内部に収容する筐体であって、下部が開放された上記筐体と、上記筐体の下部に取り付けられる脚台であって、開口部を有するとともに、前記底カバーが着脱される上記脚台とを有する。
【0017】
上記洗濯機は、第1形態と第2形態の間で変形可能な上記底カバーを備える。第1形態の底カバーでは、上記複数の板部によって一つの平板が構成されている。そのため、第1形態の底カバーを上記脚台に取り付けることによって、脚部に形成された開口部を塞ぐことができる。このように開口部が底カバーで塞がれている場合、底カバーが取り付けられた洗濯機本体の稼働中に、上記駆動ユニット等に触ることはできない。よって、上記底カバーによって、上記洗濯機の安全性を確保できる。底カバーの第2形態は、上記複数の板部が重なるように上記第1形態の状態から折り曲げられた形態又は上記第1形態の状態から上記複数の板部が互いに分離された形態である。上記底カバーが有する複数の板部それぞれのサイズは洗濯槽に収容可能なサイズである。そのため、洗濯機本体から底カバーを取り外した場合、底カバーを第2形態に変形することによって、第2形態の底カバーを洗濯槽に収容可能である。このように底カバーが洗濯槽に収容された状態の洗濯機のサイズには、底カバーを備えない従来の洗濯機と同じサイズを採用可能である。よって、洗濯槽に底カバーを収容した状態の洗濯機に対しては、上記従来の洗濯機用の梱包材を適用できる。上記従来の洗濯機用の梱包材は、通常、洗濯機を効率的に輸送可能なサイズであることから、上記底カバーの構成では、底カバーを備える洗濯機の効率的な輸送を実現可能である。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、洗濯機の安全性の確保を図ることが可能であるとともに、洗濯機の効率的な輸送に資する底カバー及び洗濯機を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る底カバーを適用した洗濯機の斜視図である。
【
図3】
図3は、
図1に示した洗濯機本体を下側から見た場合の図面である。
【
図4】
図4は、
図3に示した脚台に底カバーが取り付けられた状態を示す図面である。
【
図5】
図5は、底カバーを、
図4に例示した状態から脚台に対してスライドさせた状態を示した図面である。
【
図6】
図6は、折り曲げられた状態の底カバー(第2形態の底カバー)の斜視図である。
【
図8】
図8は、
図7に示した底カバーを反対からみた場合の底カバーの斜視図である。
【
図10】
図10は、
図9に示した形態維持片の状態から形状維持片を内側に折り曲げた状態を示す図面である。
【
図11】
図11は、底カバーを内槽(洗濯槽)に収容した状態を示す模式図である。
【
図12】
図12は、第2実施形態に係る底カバーの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。図面の寸法比率は、説明のものと必ずしも一致していない。
【0021】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る底カバーを適用した洗濯機の斜視図である。
図2は、
図1に示した洗濯機の側面図である。
図1及び
図2に示した洗濯機1は縦型洗濯機である。洗濯機は、洗濯機本体10と、底カバー30(
図2参照)とを備える。
【0022】
以下では、
図1に示した互いに直交するX方向(第1方向)、Y方向(第2方向)及びZ方向(第3方向)を洗濯機1の説明に使用する場合もある。X方向、Y方向及びZ方向は、
図1に示した洗濯機1の設置状態における前後方向、左右方向及び高さ方向(又は上下方向若しくは鉛直方向)に対応する。以下の説明では、「前」、「後」、「上」、「下」、「左」、「右」等の方向を示す用語は、
図1及び
図2に示した洗濯機1の設置状態に基づいた用語である。
【0023】
図1及び
図2を利用して洗濯機本体10の概略構成を説明する。洗濯機本体10は、筐体11を備える。筐体11は、洗濯機本体10の外郭を構成する。筐体11は、例えば金属製である。筐体11は、上面及び下面が開放された中空の胴体部111と、胴体部111の上面を覆う上面板112とを有する。Z方向からみた場合において、胴体部111の形状は方形(矩形又は正方形)である。胴体部111の下部には、脚台12が取り付けられている。
【0024】
上面板112には、洗濯物の投入口が形成されている。投入口は、上蓋13によって覆われている。上蓋13は、上面板112に開閉自在に取り付けられている。上面板112の前部には、操作パネル部14が設けられている。操作パネル部14には、洗濯機1を操作するための複数のボタンなどが配置されている。
【0025】
図2に示したように、筐体11内には、外槽15及び内槽(洗濯槽)16が収容されている。
【0026】
外槽15は有底円筒状を呈する。外槽15は例えば樹脂製の槽である。外槽15は、防振装置を有する複数(例えば4本)の吊棒によって筐体11から弾性的に吊り下げられている。外槽15は、外槽15に洗濯液が供給されるとともに、外槽15から上記洗濯液を排出可能に構成されている。本明細書において、「洗濯液」は、洗濯物の洗い工程及びすすぎ工程等の各工程に応じた液体を意味する。したがって、洗い工程では、洗濯液は洗剤などを含む液体でよいし、すすぎ工程では、洗濯液は水でよい。
【0027】
内槽16は有底円筒状を呈する。内槽16は、外槽15より小さく、外槽15の内側に外槽15と同軸で配置されている。内槽16は、Z方向に延びる回転軸を中心に回転可能に外槽15の内側に配置されている。内槽16は例えば金属製の槽である。内槽16は、内槽16内に投入された洗濯物を洗濯又は脱水するための槽である。内槽16の内周面には複数の貫通孔が形成されている。これによって、外槽15と内槽16との間で洗濯液が行き来できる。内槽16の底部には、回転翼(パルセータ)17が回転可能に配置されている。
【0028】
上記内槽16及び回転翼17を回転駆動するために、筐体11内には駆動ユニット18も収容されている。駆動ユニット18は外槽15の下部に配置されている。駆動ユニット18は、駆動モータ181、動力分配機構182及び動力伝達機構183を有する。
【0029】
駆動モータ181は、内槽16及び回転翼17を駆動する動力(トルク)を発生させる。動力伝達機構183は、駆動モータ181で発生した動力を動力分配機構182に伝達する。動力伝達機構183は、例えば、駆動モータ181及び動力分配機構182それぞれの回転軸に取り付けられたプーリ及びそれらプーリに掛け渡された無端ベルトを含んでよい。動力分配機構182はクラッチ機構を有する。動力分配機構182は、上記クラッチ機構による切替操作により、洗い工程及びすすぎ工程では、駆動モータ181の動力を回転翼17のみに伝達して回転翼17のみを回転させ、脱水工程では、駆動モータ181のトルクを回転翼17及び内槽16に伝達して回転翼17及び内槽16を一体的に回転させる。
【0030】
胴体部111の下部には脚台12が配置されている。
図3~
図5を利用して脚台12を説明する。
図3は、洗濯機本体10を下側から見た場合の図面である。
図4は、
図3に示した脚台12に底カバー30が取り付けられた状態を示す図面である。
図5は、底カバー30を、
図4に例示した状態から脚台12に対してスライドさせた状態を示した図面である。
【0031】
Z方向からみた場合において、脚台12の形状及びサイズは、胴体部111の形状及びサイズと実質的に同じでよい。脚台12は、胴体部111の下部に例えばネジ止めによって固定されている。
【0032】
脚台12の四隅には、洗濯機本体10を支持するための2つの調節脚19,19と、2つの固定脚20,20が取り付けられている。調節脚19は、洗濯機1の高さ(又は水平に対する傾き状態)を調整する機構を有する脚である。固定脚20は、洗濯機1の高さを調整する機構を有しない脚である。
図3~
図5では、脚台12の四隅のうち、前側の2つの隅に調節脚19が配置され、後側の2つの隅に固定脚20が配置されている形態を例示している。調節脚19及び固定脚20の数及び配置形態は例示した数に限定されない。
【0033】
脚台12は樹脂製の枠体である。脚台12には、排出ホースを保持する保持部121(
図3及び
図5参照)が設けられている。
図3及び
図5において、排出ホース、排出ホースと外槽15との接合部などの図示は省略されている。脚台12には、洗濯機1を稼働させた場合に生じる熱を放出するための複数の貫通孔122が形成されている。
【0034】
脚台12は開口部123を有する。本実施形態では、
図4に示したように、開口部123の形状は実質的に方形である。開口部123の角部は丸められていてもよい。
【0035】
上記脚台12が洗濯機本体10の下部に配置されていることから、洗濯機本体10の下部は開口している。この場合、
図3に例示したように、駆動ユニット18は露出している。洗濯機1の稼働中における安全性確保の観点から、洗濯機1が設置された場合には、開口部123は、
図4に示したように、底カバー30で塞がれる。
【0036】
第1実施形態では、
図5に示したように、X方向(前後方向)に沿って、底カバー30を脚台12に対してスライドさせることによって底カバー30が脚台12に取り付けられている。逆に、X方向に沿って底カバー30を脚台12から引き抜くことによって底カバー30を脚台12から取り外すことができる。この場合、X方向は、底カバー30を脚台12に着脱する際の底カバー30のスライド方向に相当する。
【0037】
底カバー30を脚台12に対してスライドさせるために、開口部123の一対の側縁部123a,123aそれぞれには、
図3に示したように、2つのガイド片124a,124a及び2つのガイド片124b,124bが設けられている。側縁部123aは、X方向に延びている縁部である。各側縁部123aに対する2つのガイド片124a,124a及び2つのガイド片124b,124bの配置形態は同じであるため、一つの側縁部123aに対して設けられている2つのガイド片124a,124a及び2つのガイド片124b,124bを説明する。
【0038】
ガイド片124a及びガイド片124bは、底カバー30を脚台12に対してスライドさせる場合に底カバー30をガイドする部材である。ガイド片124a及びガイド片124bは、側縁部123aから開口部123内に向けて突出している。
【0039】
2つのガイド片124a,124aは、X方向に離間して配置されている。2つのガイド片124a,124aは、Z方向において同じ位置に配置されている。第1実施形態において、ガイド片124aのZ方向の位置は、それらに沿って底カバー30が脚台12に挿入された場合、底カバー30の後縁部が開口部123の後縁部123bに接する位置である。これにより、底カバー30が脚台12に挿入された場合、後縁部123bによって底カバー30の停止位置が規定される。
【0040】
2つのガイド片124b,124bは、X方向に離間して配置されている。X方向において、前側のガイド片124bは前側のガイド片124a寄りに配置されている。後側のガイド片124bは後側のガイド片124a寄りに配置されている。
【0041】
2つのガイド片124b,124bは、Z方向において同じ位置に配置されている。ガイド片124bは、
図5に示されているように、Z方向において、ガイド片124aよりも上方に配置されている。Z方向におけるガイド片124aとガイド片124bとの間の隙間が底カバー30の通路である。Z方向における上記隙間の長さは、底カバー30が通過可能な長さである。Z方向における上記隙間の長さは、底カバー30のうち隙間を通過する部分(縁部)の厚さと実質的に同じでよい。
【0042】
上記ガイド片124a,124bの数及び配置関係は例示した数及び配置関係に限定されない。
【0043】
開口部123の後側角部には、底カバー30の後側角部を支持する支持片125が設けられていてもよい。開口部123の後縁部123bには、脚台12に取り付けられた底カバー30を固定するための突片126が設けられていてもよい。突片126は、底カバー30が脚台12に取り付けられた際に、底カバー30の後縁部に対して上方に向けた押圧力が作用するように配置されている。具立的には、突片126は、Z方向において、ガイド片124aの位置より若干上方に配置されている。これにより、底カバー30が脚台12に取り付けられた際、突片126上に底カバー30を配置することで、突片126によって底カバー30が上方に押される。その結果、底カバー30が固定される。
【0044】
洗濯工程、脱水工程などにおいて生じる振動で底カバー30に起因する異音の発生を防止するため、底カバー30は、脚台12にネジ止めによって固定されてもよい。この場合、脚台12にはネジを受けるネジ受け部が形成される。前述したように、脚台12が突片126を有する場合、底カバー30の後縁部には上方に向けた押圧力が作用するので、底カバー30の前側と脚台12との間に隙間が生じやすい。このような隙間が生じると異音発生の原因になるため、脚台12が突片126を有する場合、底カバー30の前縁部をネジ止めすることが好ましい。
【0045】
次に、底カバー30を説明する。まず、
図4及び
図5を利用して底カバー30の概略を説明する。
【0046】
底カバー30は樹脂性の部材である。底カバー30を構成する樹脂は、脚台12を構成する樹脂と同じでよい。上記樹脂の例は、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレートなどである。底カバー30は、前述したように、開口部123を塞ぐために脚台12に取り付けられる。底カバー30の平面視形状(Z方向又は底カバー30の厚さ方向からみた形状)及びサイズは、実質的に開口部123と同じである。第1実施形態では、Z方向から見た場合の底カバー30の形状は方形である。開口部123の角部が丸められている場合、底カバー30の角部も丸められていてもよい。底カバー30には、洗濯機1の稼働中における熱を放出するために、複数の貫通孔31が形成されている。
【0047】
底カバー30の前縁部には、底カバー30を脚台12に取り付ける場合等に底カバー30を持つための持手部32が形成されていてもよい。持手部32は、例えばトレー状を呈する。
図4及び
図5に例示した形態では、持手部32は、上方(胴体部111側)に窪んだトレー状を呈している。底カバー30の後縁部には、脚台12の突片126を受ける受け部33が形成されていてもよい。
図4及び
図5に例示した形態では、受け部33は、上方(胴体部111側)に窪んでいる。受け部33が上方に窪んでいることによって、ガイド片124aより上方に配置された突片126を受け部33で受けやすい。底カバー30は、ネジ孔34を有してもよい。これにより、底カバー30を脚台12に取り付けた際に、前述したように、底カバー30を脚台12にネジ止め可能である。ネジ孔34の数は限定されない。
【0048】
底カバー30は、
図4及び
図5に示したように底カバー30が平板状である取付形態(第1形態)と、
図6に示したように取付形態の状態から折り曲げられた収容形態(第2形態)との間で変形可能に構成されている。このように変形可能な底カバー30の一例を
図7及び
図8を利用して説明する。ここでは、
図7及び
図8に示したように底カバー30が折り曲げられていない状態に基づいて底カバー30を説明する。
【0049】
図7は、底カバー30を第1面30a側からみた場合の底カバー30の斜視図である。
図8は、底カバー30を第2面30b側からみた場合の底カバー30の斜視図である。第1実施形態において、底カバー30の第1面30aは、底カバー30を脚台12に取り付けた状態で、筐体11の内部に位置する面である。底カバー30の第2面30bは、第1面30aと反対の面である。第1面30a及び第2面30bは、底カバー30を脚台12に取り付けた状態において、底カバー30の上面及び下面に相当する。
【0050】
図7及び
図8に示した方向を示す用語(「前」、「後」、「上」、「下」、「右」及び「左」)は、前述したように、
図1に示した洗濯機1の設置状態に基づいた用語である。
図9以降の図面においても上記用語の意味は同じである。
【0051】
底カバー30は、第1板部35及び第2板部36を有する。第1板部35と第2板部36それぞれは内槽16に収容可能なサイズを有する。本実施形態において、第1板部35及び第2板部36のY方向の長さは内槽16のZ方向の長さより短く、第1板部35及び第2板部36のX方向の長さは、内槽16の直径より短い。第1板部35及び第2板部36の最大厚さの例は、内槽16の直径より十分小さい。
【0052】
第1板部35と第2板部36は連続的に繋がっている。すなわち、底カバー30を2つの部分(第1板部35と第2板部36)に分けて説明しているが、本実施形態における底カバー30は単一の部材である。
【0053】
第1板部35は、底カバー30が洗濯機本体10(具体的には脚台12)に取り付けられた状態において、第2板部36より前側に位置する部分である。この場合、第1板部35及び第2板部36の境界部Bの延在方向はY方向に対応する。
【0054】
境界部Bは、境界部Bで底カバー30を折り曲げ可能に構成されている。第1実施形態では、境界部Bは、第1面30aからみて溝部を有する。溝部の底は薄肉であることから、第1板部35及び第2板部36それぞれの第2面30bが対向するように、第2板部36を第1板部35側に向けて(又は第1板部35を第2板部36に向けて)折り曲げることが可能である。換言すれば、第2面30b側からみて、底カバー30を谷折りできる。
【0055】
底カバー30は一対の形状維持片37を有してもよい。以下では、断らない限り、底カバー30が一対の形状維持片37を有する形態を説明する。底カバー30が一対の形状維持片37を有する形態では、
図7及び
図8に示した底カバー30の形態は、取付形態(第1形態)と収容形態(第2形態)の間の中間形態である。
図9及び
図10を更に利用して、形状維持片37を説明する。
図9は、
図8における領域Aの拡大図である。
図10は、
図9に示した形状維持片37を第2面30bに向けて折り曲げた状態を示す図面である。
【0056】
一対の形状維持片37は、底カバー30を脚台12に取り付けた状態において、取付形態の形状を維持するための部材である。形状維持片37は、X方向に延在している矩形状の部材である。
【0057】
一対の形状維持片37は、第2板部36が有する一対の側縁部36a,36aに設けられている。各側縁部36aは、X方向に延びる側縁部である。一対の形状維持片37の構成及び機能は同じである。そのため、一対の形状維持片37のうち一方の形状維持片37を例にして形状維持片37を説明する。
【0058】
形状維持片37は、側縁部36aに連続的に繋がっている。Z方向からみて形状維持片37の一部は第1板部35側に位置する。具体的には、
図9に示したように、形状維持片37の前端部(第1端部)37aは第1板部35側に位置しており、形状維持片37の後端部(第2端部)37bは第2板部36側に位置している。
【0059】
形状維持片37は、
図9に示したように、側縁部36aから外側に張り出した状態と、
図10に示したように、底カバー30における第2面30bに折り曲げられた状態との間で変形可能に側縁部36aに設けられている。換言すれば、形状維持片37は、第2面30bに向けて折り曲げ可能に側縁部36aに接続されている。例えば、境界部Bの場合と同様に側縁部36aと形状維持片37の境界部も第1面30a側からみて溝部を有してよい。
【0060】
第1板部35及び第2板部36の第2面30bには、形状維持片37を固定するための爪部(固定部)38a及び爪部(固定部)38bが形成されている。
【0061】
図10に示したように、形状維持片37が第2面30bに向けて折り曲げられた状態において、爪部38a及び爪部38bは、形状維持片37の前端部37a及び後端部37bと重なる位置に配置されている。爪部38a及び爪部38bは、Z方向において第2面30bから離間している。爪部38aと第2面30bとの間の距離は前端部37aの厚さと同じか又は若干短い。同様に、爪部38bと第2面30bとの間の距離は後端部37bの厚さと同じか又は若干短い。
【0062】
一実施形態において、爪部38a及び爪部38bは、略L字状の支持片39a及び略L字状の支持片39bによって支持されている。
【0063】
支持片39aの一端は、第1板部35に形成された開口351の前縁部に固定されている。爪部38aは、支持片39aの自由端に設けられている。具体的には、支持片39aは、その固定端からX方向に延在した延在部と延在部において固定端と反対の端から立ち上がる立上部と有する。爪部38aは上記立上部の上端部に設けられている。
【0064】
同様に、支持片39bの一端は、第2板部36に形成された開口361の後縁部に固定されている。爪部38bは、支持片39bの自由端に設けられている。具体的には、支持片39bはその固定端からスライド方向に延在した延在部と延在部において固定端と反対の端から立ち上がる立上部と有する。爪部38bは上記立上部の上端部に設けられている。
【0065】
上記形状維持片37を有する形態では、
図9の白抜き矢印で示したように、形状維持片37を第2面30b側に折り曲げながら、爪部38a及び爪部38bと第2面30bとの間に前端部37a及び後端部37bを滑り込ませる。これにより、形状維持片37が、爪部38a及び爪部38bによって固定(ロック)される。この状態では、
図10に示したように、形状維持片37は、第2板部36から第1板部35に渡って第2面30b上に配置されている。換言すれば、形状維持片37は、境界部Bの延在方向(Y方向)と交差した状態で、第1板部35及び第2板部36に添えられている。そのため、爪部38a及び爪部38bによって形状維持片37が固定された状態では、底カバー30が境界部B周りに折れ曲がり難い。すなわち、形状維持片37によって底カバー30が取付形態の形状(平板状)を維持できる。
【0066】
逆に、爪部38a及び爪部38bによる形状維持片37の固定(ロック)を解除し、
図9に示したように、側縁部36aの外側に形状維持片37を配置した状態では、第1板部35を第2板部36に向けて折り曲げることができる。
【0067】
形状維持片37にネジ孔34を設ける場合には、形状維持片37を第2面30b側に折り曲げた状態で、形状維持片37に形成されたネジ孔34に対応するように、第1板部35(又は第2板部36)にもネジ孔34を形成しておけばよい。
【0068】
上述した第1板部35、第2板部36及び一対の形状維持片37を備えた底カバー30は、例えば、射出成型によって製造可能である。
【0069】
次に、底カバー30の変形方法を説明する。ここでは、
図4に示したように、取付形態の底カバー30が脚台12に取り付けられた状態から底カバー30を取り外した後、底カバー30を
図6に示した収容形態に変形する方法を説明する。
【0070】
底カバー30が脚台12にネジ止めされている場合には、ネジ止めを解除する。脚台12が突片126を有し、突片126によって底カバー30が固定されている場合は、その固定も解除する。その後、底カバー30を脚台12から引き抜く。次に、爪部38a及び爪部38bによる形状維持片37の固定(ロック)を解除し、
図7~
図9に示したように、側縁部36aの外側に形状維持片37を配置する。続いて、
図8の白抜き矢印で示したように、第1板部35を第2板部36に向けて折り曲げる。これにより、
図6に示した収容形態の底カバー30が得られる。収容形態では、第1板部35の前縁部と第2板部36の縁部とは例えばテープによって固定されてもよい。
【0071】
底カバー30を収容形態から取付形態に変形するとともに、取付形態の底カバー30を脚台12に取り付ける場合、上記底カバー30を脚台12に取り付けた状態から収容形態に変形するまでの複数の工程を反対に実施すればよい。すなわち、収容形態の底カバー30を、第1板部35及び第2板部36が一つの平板を構成するように展開する。続いて、形状維持片37を、
図9の白抜き矢印で示したように、第2面30b側に折り曲げた後、折り曲げられた形状維持片37を爪部38a,38bで固定する。これにより、取付形態の底カバー30が得られる。次に、ガイド片124a,124bを利用して底カバー30を脚台12に挿入する。脚台12が突片126を有する場合、突片126によって底カバー30を固定する。必要に応じて、底カバー30を脚台12に対してネジ止めする。
【0072】
底カバー30は、上記のように、取付形態と収容形態の間で変形可能である。取付形態の底カバー30では、第1板部35及び第2板部36は一つの平板(底板)を構成するように配置されている。このような取付形態の底カバ-30を脚台12に取り付けることによって、開口部123を底カバー30で塞ぐことが可能である。開口部123が底カバー30で塞がれた状態では、駆動ユニット18に手で触ることができないため、洗濯機1の安全性が向上する。
【0073】
収容形態の底カバー30では、
図6に示したように、第1板部35及び第2板部36は折り重なっている。第1板部35及び第2板部36のサイズは、内槽16に収容可能なサイズである。したがって、脚台12に底カバー30が取り付けられていない場合、底カバー30を収容形態に変形することによって、
図11に示したように、収容形態の底カバー30を内槽16に収容できる。
【0074】
洗濯機1を輸送する場合(例えば,工場から洗濯機1を出荷する場合など)では、筐体11内の駆動ユニット18等が輸送中に破損しないように、駆動ユニット18等を台座で固定する。駆動ユニット18等を台座で固定するため、脚台12が有する開口部123を利用して筐体11内に台座の一部を挿入する。したがって、洗濯機1を輸送する場合、取付形態の底カバー30を脚台12から取り外して、開口部123を露出させる必要がある。
【0075】
第1実施形態に係る底カバー30では、底カバー30を収容形態に変形できることから、脚台12から取り外された底カバー30を内槽16に収容できる。したがって、底カバー30を内槽16に収容した状態で洗濯機1を輸送できる。この場合、底カバー30を有しない従来の洗濯機を輸送するための梱包材(段ボールなど)をそのまま使用できる。工場から洗濯機を出荷する場合などでは、複数の洗濯機をまとめて輸送する。洗濯機を輸送する際に使用する梱包材のサイズは、通常、輸送効率を考慮したサイズである。すなわち、上記梱包材のサイズは、輸送中に複数の洗濯機を格納する格納庫(コンテナ等)において、より多くの洗濯機を格納可能なように設定されている。底カバー30を備えた洗濯機1においても上記のように従来の洗濯機用の梱包材をそのまま使用できることから、底カバー30を備えた洗濯機1を効率的に輸送可能である。
【0076】
したがって、底カバー30及び底カバー30を備えた洗濯機1では、洗濯機1の安全性の確保を図ることができるとともに、洗濯機1の効率的な輸送が可能である。
【0077】
従来の洗濯機用の梱包材を使用できることから、洗濯機1専用の梱包材を準備しなくてよい。そのため、洗濯機1の輸送コストを低減(或いは輸送コストの増加を抑制)できる。
【0078】
底カバー30が複数のネジ孔を有する場合、底カバー30を脚台12にネジ止めによって、強固に固定できる。この場合、洗濯機1の稼働中において、底カバー30が脚台12に対して振動し難いので、振動に起因する異音の発生を抑制できる。
【0079】
底カバー30が形状維持片37を備える場合、形状維持片37によって、取付形態の底カバー30が意図せずに折れ曲がることを防止できる。そのため、底カバー30を取付形態の形状を維持し易い。この場合、例えば、脚台12に取り付けられた底カバー30が折れ曲がって脚台12から脱落することを防止できるので、洗濯機1の安全性を更に確保できる。一対の形状維持片37によって底カバー30の折れ曲がりが抑制されることから、洗濯機1の稼働中に底カバー30の境界部B近傍が振動し難い。その結果、折れ曲げ可能に構成された底カバー30であっても、洗濯機1を稼働中において異音が発生しにくい。
【0080】
形状維持片37の位置で底カバー30を脚台12にネジ止めしている場合、洗濯機1の稼働中における振動に起因した異音の発生を更に抑制できる。この点を、底カバー30において形状維持片37以外の部分を「カバー本体」と称して説明する。
【0081】
形状維持片37の位置で底カバー30を脚台12にネジ止めしている場合、形状維持片37とカバー本体との間の隙間を低減できる。そのため、洗濯機1の稼働中における上記隙間に起因した異音が発生し難い。形状維持片37の位置で底カバー30を脚台12にネジ止めしている場合、底カバー30のX方向に延在する側縁部のうち境界部B近傍が脚台12にネジ止めされている。そのため、洗濯機1の稼働中に底カバー30の境界部B近傍の振動が一層抑制されるので、異音が生じにくい。
【0082】
第1実施形態において、取付形態から収容形態に変形する場合に谷折りされる面である第2面30bは、底カバー30が脚台12に設置された状態では洗濯機1の下面を構成する。第2面30bは谷折されるように底カバー30が構成されている場合、底カバー30が脚台12に設置された状態では、底カバー30は、下側に向けて折れ曲がることが抑制されている。そのため、底カバー30が脚台12から抜け落ちたり、底カバー30と脚台12との間に隙間が生じにくい。その結果、洗濯機1の稼働中の安全性がより確保できる。
【0083】
(第2実施形態)
図12~
図15を利用して底カバーの第2実施形態を説明する。
図12は、第2実施形態に係る底カバー40の斜視図である。
図12は、
図7の場合と同様に底カバー40の第1面側からみた斜視図である。
図13は、
図12に示した底カバー40の分解斜視図である。
図14は、
図13に示した第1板部41の斜視図である。
図15は、
図13に示した第2板部42の斜視図である。
【0084】
底カバー40は、第1板部41及び第2板部42を有する。底カバー40は、第1板部41と第2板部42が着脱自在に構成されている点で、第1実施形態に係る底カバー40と主に相違する。この相違点を中心にして底カバー40を説明する。
【0085】
第2実施形態では、第1板部41と第2板部42とが連結された形態が、底カバー40の取付形態(第1形態)であり、第1板部41と第2板部36とが分離された形態が、底カバー40の収容形態(第2形態)である。
【0086】
取付形態における底カバー40の形状(
図12に示した底カバー40の形状)及びサイズは、底カバー30の場合と同じである。底カバー40は、底カバー30の場合と同様に、貫通孔31、持手部32、受け部33及びネジ孔34を有してよい。これらの構成、機能等は底カバー30の場合と同じであるため、貫通孔31、持手部32、受け部33及びネジ孔34の説明を省略する。
【0087】
第1板部41及び第2板部42それぞれは、樹脂製の板部である。底カバー40を構成する樹脂は、脚台12を構成する樹脂と同じでよい。上記樹脂の例は、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレートなどである。また、第1板部41及び第2板部42の材料は同じでよい。第1板部41及び第2板部42のサイズは、第1板部35及び第2板部36の場合と同様に、内槽16に収容可能なサイズである。そのため、底カバー40を第1板部41と第2板部42とに分離することによって、例えば洗濯機1の輸送時に第1板部41及び第2板部42を内槽16に収容できる。
【0088】
底カバー40の取付形態を形成するための第1板部41と第2板部36との連結方法及び連結方法を実現するための連結構造は限定されない。第1板部41及び第2板部42は、取付形態において開口部123を塞ぐ機能を有するとともに、第1板部41及び第2板部42を着脱自在に構成されていればよい。
【0089】
図12及び
図13に例示した底カバー40では、第1板部41及び第2板部42を互いに嵌め合わせることによって連結している。具体的には、収容形態において第1板部41の第2板部42側の縁部と、第2板部42の第1板部41側の縁部とが互いに嵌め合わされている。この場合の第1板部41及び第2板部42の構成の一例を、
図13~
図15を利用して具体的に説明する。
【0090】
図13及び
図14に示したように、第1板部41は、X方向に延在する一対の側縁部41a,41bを有する。第1板部41は、側縁部41aから第2板部36側に突出した第1連結部411を有する。第1連結部411は、基部411aと第1連結片411bを有する。第1連結片411bは、基部411aの上部から側縁部41bに向けて張り出している。第1連結片411bの厚さは基部411aの厚さより薄い。よって、第1連結部411は、X方向からみた場合、段差を有する。第1連結片411bは、第2板部42が有する挿入口422に挿入される部分である。
【0091】
第1板部41は、側縁部41bに挿入口412を有する。X方向から見た場合、側縁部41b近傍は段差を有する。具体的には、側縁部41b近傍は、Y方向において外側より内側で下がった段差を有する。挿入口412は、上記段差の位置に形成されている。挿入口412は、第2板部42が有する第1連結片421bが挿入される部分である。挿入口412のサイズは、挿入された第1連結片421bが意図せずに抜けないサイズであればよい。例えば、挿入口412のX方向の長さは、第1連結片421bのX方向の長さと同じである。
【0092】
第1板部41は、後縁部(第2板部42側の縁部)に凹部413を有する。凹部413は、Y方向に延在している。凹部413には、Y方向において、離散的に3つの収容部414が設けられている。収容部414には、第2板部42が有する第2連結片425bが嵌め合わされる収容凹部414aが形成されている。収容凹部414aの開口は、収容部414が有する2つの側壁のうち側縁部41b寄りの側壁に位置している。よって、収容凹部414aは、開口が形成された側壁から反対の側壁(側縁部41a寄りの側壁)に向けて凹んでいる。上記収容部414の数は、1つ又は2つでもよいし、4つ以上でもよい。
【0093】
第1板部41は、各収容部414の位置から第2板部42側に突出した第2連結部415を有する。第2連結部415は、収容部414から連続的にX方向に延びている基部415aと、基部415aの下部から側縁部41bに向けて張り出した第2連結片415bとを有する。第2連結片415bの厚さは、基部415aの厚さより薄い。
【0094】
図13及び
図15に示したように、第2板部42は、X方向に延在する一対の側縁部42a,42bを有する。第2板部42は、側縁部42bから第1板部41側に突出した第1連結部421を有する。第1連結部421は、基部421aと第1連結片421bを有する。第1連結片421bは、側縁部42aに向けて基部421aの上部から張り出している。第1連結片421bの厚さは基部421aの厚さより薄い。よって、第1連結部421は、X方向からみた場合、段差を有する。第1連結片421bは、第1板部41が有する挿入口412に挿入される部分である。
【0095】
第2板部43は、側縁部42aに挿入口422を有する。X方向から見た場合、側縁部42a近傍の部分は、側縁部41b近傍の場合と同様の段差を有する。挿入口422は、上記段差の位置に形成されている。挿入口422は、第1板部41が有する第1連結片411bが挿入される部分である。挿入口422のサイズは、挿入された第1連結片411bが意図せずに抜けないサイズであればよい。例えば、挿入口422のX方向の長さは、第1連結片411bのX方向の長さと同じである。
【0096】
第2板部42は、前縁部(第1板部41側の縁部)に凹部423を有する。凹部423は、Y方向に延在している。凹部423には、離散的に3つの収容部424が設けられている。収容部424は箱状を呈する。収容部424には第1板部41が有する第2連結片415bが嵌め合わされる収容凹部424aが形成されている。収容凹部424aの開口は、収容部424が有する2つの側壁のうち側縁部42a寄りの側壁に位置している。よって、収容凹部424aは、開口が形成された側壁から反対の側壁(側縁部42b寄りの側壁)に向けて凹んでいる。上記収容部424の数は、上記収容部414の数(すなわち、第2連結部425の数)と同じであればよいため、上記収容部424の数は、1つ又は2つでもよいし、4つ以上でもよい。
【0097】
第2板部42は、各収容部424の位置から第1板部41側に突出した第2連結部425を有する。第2連結部425は、収容部424から連続的にX方向に延びている基部425aと、基部425aからY方向に張り出した第2連結片425bとを有する。第2連結片425bの厚さは、基部425aの厚さより薄い。
【0098】
上記構成では、
図13に示したように、第2連結片415b及び第2連結片425bを、対応する収容凹部424a及び収容凹部414aに嵌め込むとともに、第1連結片411b及び第1連結片421bを対応する挿入口422及ぶ挿入口412に挿入することによって、第1板部41と第2板部42を連結できる。連結方法の一例を説明する。
【0099】
第2板部42が有する第2連結部425(基部425a及び第2連結片425b)を第1板部41が有する凹部413に配置するとともに、第1板部41が有する第2連結部415(基部415a及び第2連結片415b)を第2板部42が有する凹部423に配置する。この際、第2連結片425bが、対応する収容凹部414aの開口と対向するとともに、第2連結片415bが、対応する収容凹部424aの開口と対向するように、第1板部41及び第2板部42の位置を調整する。
【0100】
この状態から、第1板部41及び第2板部42の一方を他方に向けてY方向に沿ってスライドさせることによって、第2連結片415bを収容部424に挿入するとともに、第2連結片425bを収容部414に挿入する。その結果、第2連結片425bが収容凹部414aに嵌め込まれるとともに、第2連結片415bが収容凹部424aに嵌め込まれる。上記第2連結片415b及び第2連結片425bを収容凹部424a及び収容凹部414aに嵌め込みながら、第1連結片411bを挿入口422に挿入するとともに、第1連結片421bを挿入口412に挿入する。これによって、第1板部41及び第2板部42が連結される。
【0101】
上述した連結構造及び連結方法の一例では、凹部413を利用して、第2連結片425bと収容凹部414aの位置決めが可能である。同様に、凹部423を利用して、第2連結片415bと収容凹部424aの位置決めが可能である。凹部413及び凹部423はスライドガイドとして機能する。そのため、第1板部41及び第2板部42を連結し易い。
【0102】
第2連結片425b及び第2連結片415bは、それらをY方向にスライドさせることによって収容凹部414a及び収容凹部424aに嵌め込まれている。そのため、第1板部41及び第2板部42が連結された底カバー40は平板状態(或いは水平状態)を維持し易い。
【0103】
第1連結部411は前述したように段差を有する。第1連結部411が有する第1連結片411bが挿入される挿入口422が形成された側縁部42bも前述した段差を有する。そのため、第1連結片411bを挿入口422に挿入しても、第1連結部411と側縁部42bとが干渉し難い。同様の利用から、第2連結片412bを挿入口412に挿入しても、第1連結部421と側縁部41bとが干渉し難い。この場合も、第1板部41及び第2板部42が連結された底カバー40は平板状態(或いは水平状態)を維持し易い。
【0104】
第1連結片411bが挿入口422に挿入された状態では、側縁部42aの一部は、第1連結片411b上(或いは第1連結部411上)に位置する。そのため、第1連結片411b上に位置した側縁部42aの一部の上面が側縁部41aの上面と揃うように第1連結部411の厚さ(具体的には基部411aの厚さ)は、側縁部41aの厚さより薄くてよい。同様の理由から、第1連結部421の厚さ(具体的には基部421aの厚さ)は、側縁部42bの厚さより薄くてよい。
【0105】
図13~
図15を利用して説明した第1板部41及び第2板部42の構成例では、第2連結片415bが収容凹部424aに嵌め込まれた状態において、
図12に示したように、基部415aは収容部424に接する。この場合、基部415aが、収容部424に接するまで、第2連結片415bを収容凹部424aへ挿入すればよい。同様に、第2連結片425bが収容凹部414aに嵌め込まれた状態において、基部425aは、収容部414に接する。この場合、基部425aが、収容部414に接するまで、第2連結片425bを収容凹部414aへ挿入すればよい。そのため、第1板部41及び第2板部42の着脱を繰り返したとしても、第1板部41及び第2板部42を同じように連結できる。
【0106】
更に、第2連結片415bが収容凹部424aに嵌め込まれた状態では基部415aと収容部424の間に隙間が実質的にない。そのため、洗濯機1の稼働中の振動によって第1板部41及び第2板部42の連結部が振動したとしても、基部415aと収容凹部424bに嵌め込まれた第2連結片415bが一体的に振動し易い。そのため、第2連結片415bが破損し難い。この点は第2連結片425bについても同様である。
【0107】
上記第1板部41及び第2板部42それぞれを製造することによって、第2実施形態に係る底カバー40を得ることができる。第1板部41及び第2板部42は、例えば、射出成型によって製造される。
【0108】
上記底カバー40は、第1板部41及び第2板部42を連結することによって、脚台12に取り付けるための取付形態を実現できる。更に、上記取付形態の底カバー40から第1板部41及び第2板部42を分離することによって収容形態を実現できる。第1板部41及び第2板部42のサイズは、内槽16に収容可能なサイズであることから、収容形態の底カバー40(すなわち、分離された第1板部41及び第2板部42)を内槽16に収容できる。そのため、底カバー40及び底カバー40を備えた洗濯機1は、底カバー30-及び底カバー30を備えた洗濯機1と同じ作用効果を有する。
【0109】
第1板部41及び第2板部42を、それらを互いに嵌め合わせることによって連結する形態では、第1板部41及び第2板部42を連結するための別の部品が不要である。そのため、第1板部41及び第2板部42を容易に連結できるとともに、容易に分離可能である。
【0110】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は、例示した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0111】
例えば、底カバーが脚台に取り付けられた状態で、前側の部分が第2板部でもよい。第1板部及び第2板部の配置方向は、上記第1実施形態及び第2実施形態で例示した配置形態に限定されない。第1板部及び第2板部は上記スライド方向に交差する方向(例えば直交する)方向に配置されていてもよい。
【0112】
第1実施形態に係る底カバーでは、第1板部及び第2板部において、それらの第2面が対向するように底カバーを折り曲げていた。このような底カバーにおいて、第1実施形態では、第1面が筐体内に位置するように底カバーを脚台に取り付ける例を説明した。しかしながら、第2面(すなわち、第2形態において内側に位置する面)が筐体内に位置するように底カバーを脚台に取り付けても良い。これは、第2実施形態に係る底カバーについても同様である。
【0113】
第1実施形態では、一対の形状維持片を備えた形態を例示した。しかしながら、第1板部及び第2板部を折り曲げることで第2形態を実現する底カバーは、一つの形状維持片のみを有してもよいし、形状維持片を有しなくてもよい。例えば、脚台に底カバーが取り付けられた状態で、第1板部及び第2板部の境界部近傍を挟み込むように2つのガイド片を脚台に設けてもよい。これにより、境界部での折れ曲がりが抑制される。或いは、境界部近傍において、底カバーを脚台にネジ止めなどによって固定してもよい。形状維持片を固定する固定部の形態は、例示した爪部に限定されない。上記固定部は、第1板部及び第2板部の一方に設けられていてもよい。
【0114】
底カバーの洗濯機本体への取付方法は、例示したようなスライド方式に限定されない。例えば、洗濯機本体(具体的には、脚台)に対して底カバーをスライドさせずに、直接底カバーで開口部を覆うように配置した状態で、底カバーを洗濯機本体に固定してもよい。
【0115】
これまでの説明では底カバーは2つの小部分、すなわち、第1板部と第2板部とを有していた。しかしながら、底カバーは、3つ以上の板部(小部分)を有してもよい。底カバーが3つ以上の板部を有する場合、各板部のサイズは、洗濯槽に各板部を収容可能なサイズである。
【0116】
以上説明した種々の実施形態及び変形例は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜組み合わされてもよい。
【符号の説明】
【0117】
1…洗濯機、10…洗濯機本体、11…筐体、12…脚台、16…内槽(洗濯槽)、17…回転翼、18…駆動ユニット、30…底カバー、35…第1板部、36…第2板部、37…形状維持片、38a…爪部(固定部)、38b…爪部(固定部)、B…境界部。