(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024089347
(43)【公開日】2024-07-03
(54)【発明の名称】ヒートポンプ式乾燥機
(51)【国際特許分類】
D06F 58/02 20060101AFI20240626BHJP
【FI】
D06F58/02 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022204646
(22)【出願日】2022-12-21
(71)【出願人】
【識別番号】512128645
【氏名又は名称】青島海爾洗衣机有限公司
【氏名又は名称原語表記】QINGDAO HAIER WASHING MACHINE CO.,LTD.
(71)【出願人】
【識別番号】307036856
【氏名又は名称】アクア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137486
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 雅直
(74)【代理人】
【識別番号】100129377
【弁理士】
【氏名又は名称】瀬川 耕司
(72)【発明者】
【氏名】西野 雅文
【テーマコード(参考)】
3B166
【Fターム(参考)】
3B166AA02
3B166AA24
3B166AB23
3B166AB29
3B166AB30
3B166AB32
3B166AC21
3B166AE04
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3B166EE02
3B166EE04
3B166EE07
3B166GA02
3B166GA06
3B166GA12
3B166JM02
3B166JM03
(57)【要約】
【課題】高効率乾燥と高速乾燥を可能とする。
【解決手段】本発明に係る洗濯乾燥機は、圧縮機、第1熱交換器、膨張手段及び第2熱交換器を有する冷媒回路と、被乾燥物を収容するドラム内の空気を吸引して、第1熱交換器により加熱された空気をドラム内に吹き出して循環させる空気循環経路を有する乾燥機本体とを備え、筐体が屋内に配置されるとともに、第2熱交換器が屋外に配置される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機、第1熱交換器、膨張手段及び第2熱交換器を有する冷媒回路と、
被乾燥物を収容するドラム内の空気を吸引して、前記第1熱交換器により加熱された空気を前記ドラム内に吹き出して循環させる空気循環経路を有する乾燥機本体とを備え、
前記乾燥機本体が屋内に配置されるとともに、前記第2熱交換器が屋外に配置されることを特徴とするヒートポンプ式乾燥機。
【請求項2】
前記冷媒回路は、前記圧縮機から吐出された冷媒を前記第1熱交換器、前記膨張手段及び前記第2熱交換器の順に流す乾燥運転回路と、前記圧縮機から吐出された冷媒を前記第2熱交換器、前記膨張手段、前記第1熱交換器の順に流すクールダウン運転回路とを切り替える四方弁を有していることを特徴とする請求項1に記載のヒートポンプ式乾燥機。
【請求項3】
前記空気循環経路は、排気ダクトを介して屋外と連通していることを特徴とする請求項1または2に記載のヒートポンプ式乾燥機。
【請求項4】
前記空気循環経路には、前記乾燥機本体内と連通する吸気開口を開閉する吸気弁と、前記排気ダクトと連通する排気開口を開閉する排気弁とが設けられることを特徴とする請求項3に記載のヒートポンプ式乾燥機。
【請求項5】
前記冷媒回路は、前記膨張手段と前記第2熱交換器との間に接続される除湿用熱交換器を有し、
前記除湿用熱交換器は、前記乾燥機本体内に配置されることを特徴とする請求項1または2に記載のヒートポンプ式乾燥機。
【請求項6】
コインランドリ店舗に設置されることを特徴とする請求項1または2に記載のヒートポンプ式乾燥機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒートポンプ式乾燥機に関する。
【背景技術】
【0002】
衣類などの被乾燥物を乾燥させる乾燥機として、ヒートポンプ式乾燥機がある。特許文献1に記載されたヒートポンプ式乾燥機501は、
図8に示すように、被乾燥物を収容するドラム502と、圧縮機505、放熱器509、膨張手段510及び蒸発器511を含む冷媒回路504を備えている。ヒートポンプ式乾燥機501では、圧縮機505から吐出された冷媒を放熱器509、膨張手段510、蒸発器511へと流すとともに、空気循環経路518を介して放熱器509、ドラム502、蒸発器511の順に空気を循環させることにより、ドラム502内の被乾燥物を乾燥させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のヒートポンプ式乾燥機501では、空気循環経路518を循環する空気を放熱器509で加熱しても、蒸発器511で冷却されてしまうため、空気循環経路518の全体の空気温度を上昇させるのに長時間がかかり、結果として、高効率な乾燥運転を達成することができない。特に、コインランドリ店舗に設置される乾燥機の場合、乾燥運転を短時間で終了しなければ、稼働効率が著しく低下する。
【0005】
そのため、コインランドリ店舗では、ガスバーナ式の乾燥機が設置されるのが一般的である。しかしながら、ガスバーナ式の乾燥機では、ガスを燃焼させた熱で乾燥を行うため、大気中に大量の二酸化炭素を排出してしまう。近年、環境問題を抑制するために二酸化炭素の排出量が厳しく規制されており、大気中への二酸化炭素の排出を無くす必要がある。
【0006】
そこで、本発明は、大気中に二酸化炭素を排出することなく、高効率な乾燥運転を達成するヒートポンプ式乾燥機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面に係るヒートポンプ式乾燥機は、圧縮機、第1熱交換器、膨張手段及び第2熱交換器を有する冷媒回路と、被乾燥物を収容するドラム内の空気を吸引して、前記第1熱交換器により加熱された空気を前記ドラム内に吹き出して循環させる空気循環経路を有する乾燥機本体とを備え、前記乾燥機本体が屋内に配置されるとともに、前記第2熱交換器が屋外に配置される。
【0008】
乾燥運転時に蒸発器となる第2熱交換器が屋外に配置されており、屋内に配置された乾燥機内の空気循環経路を循環する空気から冷媒の蒸発潜熱によりエネルギーを吸収するのではなく、屋外に配置された第2熱交換器において屋外の大気から冷媒の蒸発潜熱によりエネルギーを吸収して乾燥するため、高効率乾燥と高速乾燥が可能となる。
【0009】
前記冷媒回路は、前記圧縮機から吐出された冷媒を前記第1熱交換器、前記膨張手段及び前記第2熱交換器の順に流す乾燥運転回路と、前記圧縮機から吐出された冷媒を前記第2熱交換器、前記膨張手段、前記第1熱交換器の順に流すクールダウン運転回路とを切り替える四方弁を有してもよい。
【0010】
この場合、冷媒回路の切り替えにより、ドラム内の被乾燥物の温度を低下させるクールダウン運転を行うことができる。そのため、乾燥運転が終了した後、被乾燥物のクールダウンが短時間で終了することができる。
【0011】
前記空気循環経路は、排気ダクトを介して屋外と連通してもよい。
【0012】
この場合、空気循環経路が排気ダクトを介して屋外に接続されるため、空気循環経路内の高湿度の空気を確実に屋外に排気することができる。
【0013】
前記空気循環経路には、前記乾燥機本体内と連通する吸気開口を開閉する吸気弁と、前記排気ダクトと連通する排気開口を開閉する排気弁とが設けられてもよい。
【0014】
この場合、空気循環経路が屋外に接続される状態と屋外に接続されない状態とを切り替えることにより、さらに高効率乾燥と高速乾燥が可能となる。
【0015】
前記冷媒回路は、前記膨張手段と前記第2熱交換器との間に接続される除湿用熱交換器を有し、前記除湿用熱交換器は、前記乾燥機本体内に配置されてもよい。
【0016】
この場合、空気循環経路内の高湿度の空気の湿度を、乾燥機本体内において低下させることができる。そのため、空気循環経路内の空気を屋内に排気することができる。よって、空気循環経路内の高湿度の空気を屋外に排気するために、空気循環経路を屋外に接続する排気ダクトを設けるダクト工事が必要でなくなる。
【0017】
ヒートポンプ式乾燥機は、コインランドリ店舗に設置されてもよい。
【0018】
この場合、コインランドリ店舗においてヒートポンプ式乾燥機の稼働率を高くすることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、高効率な乾燥運転を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の第1実施形態の洗濯乾燥機1の構成を示す模式図である。
【
図2】
図1の洗濯乾燥機1の吸気弁51及び排気弁52の構成を示す模式図である。
【
図3】
図1の洗濯乾燥機1の制御ブロック図である。
【
図4】
図1の洗濯乾燥機1で乾燥行程を行う際の手順を示すフローチャートである。
【
図5】本発明の第2実施形態の洗濯乾燥機1の構成を示す模式図である。
【
図6】本発明の第3実施形態の洗濯乾燥機1の構成を示す模式図である。
【
図7】本発明の第4実施形態の洗濯乾燥機1の構成を示す模式図である。
【
図8】従来のヒートポンプ式乾燥機501の構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態であるヒートポンプ式乾燥機について図面を参照して説明する。
【0022】
(第1実施形態)
本実施形態の洗濯乾燥機1は、例えばコインランドリ店舗に設置されるものである。洗濯乾燥機1は、洗い工程、濯ぎ工程、脱水工程及び乾燥行程の順に、洗濯から乾燥までを実施可能である。後で説明するように、乾燥行程は、乾燥運転が行われる期間と、クールダウン運転が行われる期間とを含んでいる。洗濯乾燥機1は、乾燥行程を実施する場合、ヒートポンプ式乾燥機として機能する。なお、本発明は、主に乾燥運転に関する発明であるため、本実施形態では、洗い工程、濯ぎ工程及び脱水工程の構成や動作についての説明を省略する。
【0023】
洗濯乾燥機1は、
図1に示すように、屋内に配置される筐体2と、屋外に配置される室外機3とを有している。筐体2と室外機3とは、冷媒配管と制御信号線で接続される。冷媒配管が接続された冷媒回路10は、ヒートポンプ装置を構成する。
【0024】
筐体2の内部には、衣類(被乾燥物)を収容するドラム5が配置されるとともに、空気循環経路6が形成される。ドラム5は、有底の円筒形状の部材であり、その周壁に多数の孔を形成したものである。筐体2の前面には、ドラム5の前端に形成された開口と対向する衣類投入口2aが形成される。筐体2には、衣類投入口2aを開閉するドア2bが設けられ、衣類投入口2aは、ドア2bにより開閉される。ドラム5は、ドラム駆動モータ5a(
図3参照)によって回転駆動される。
【0025】
冷媒回路10は,圧縮機11と、四方弁12と、第1熱交換器13と、電子膨張弁14と、第2熱交換器15とを冷媒配管により接続するように設けられる。第2熱交換器15と対向する位置には、室外ファン16が配置される。圧縮機11、四方弁12及び第2熱交換器15は、室外機3内に配置され、第1熱交換器13及び電子膨張弁14は、筐体2内に配置される。圧縮機11は、冷凍サイクル内の冷媒を圧縮するロータリコンプレッサである。冷媒回路10内には、二酸化炭素(CO2)冷媒またはHFC冷媒またはHFO冷媒等が封入されている。
【0026】
筐体2の内部に形成される空気循環経路6は、ドラム5内に乾燥用の空気を循環させるためのものである。空気循環経路6の内部には、第1熱交換器13が配置される。また、空気循環経路6の内部には、ドラム5の出口部に配置されたリントフィルタ31と、リントフィルタ31と第1熱交換器13との間に配置された乾燥用ファン32とが設けられる。
【0027】
空気循環経路6には、ドラム5に流入する空気入口温度を検出するドラム入口温度サーミスタ33と、ドラム5から流出する空気出口温度を検出するドラム出口温度サーミスタ34と、ドラム5から流出する空気出口湿度を検出するドラム出口湿度センサ35とが配置される。
【0028】
また、空気循環経路6において、乾燥用ファン32の下流側には、吸気弁51と、排気弁52とが設けられる。吸気弁51は、
図2に示すように、空気循環経路6に形成された吸気開口51aの周縁部51nに対して回動可能に取り付けられる。同様に、排気弁52は、空気循環経路6に形成された排気開口52aの周縁部52nに対して回動可能に取り付けられる。
【0029】
筐体2において、空気循環経路6の排気開口52aは、排気ダクト53を介して屋外と連通している。そのため、排気弁52を開くことで、空気循環経路6内の空気を開口52a及び排気ダクト53を介して屋外に排気することができる。
【0030】
洗濯乾燥機1では、吸気弁51及び排気弁52の位置を、
図2(a)に示すように、吸気弁51により吸気開口51aが閉鎖され且つ排気弁52により排気開口52aが閉鎖された全閉状態とすることができる。そのとき、ドラム5から流出した空気の全てが第1熱交換器13に向かって流れる。
【0031】
また、吸気弁51及び排気弁52の位置を、
図2(b)に示すように、吸気弁51により吸気開口51aが開放され且つ排気弁52により排気開口52aが開放された全開状態とすることができる。そのとき、吸気弁51と排気弁52とは接触しており、ドラム5から流出した空気の全てが、排気開口52a及び排気ダクト53を介して屋外に排気される。
【0032】
冷媒回路10は、四方弁12を切り替えることにより、
図1に示すように、乾燥運転を行うための乾燥運転回路と、クールダウン運転を行うためのクールダウン運転回路とに切り替え可能である。
【0033】
冷媒回路10が乾燥運転回路に切り替えられた場合について説明する。
【0034】
圧縮機11の吐出側は、四方弁12を介して第1熱交換器13の入口に接続される。第1熱交換器13の出口は、電子膨張弁14を介して第2熱交換器15の入口に接続される。第2熱交換器15の出口は、四方弁12及びアキュムレータ11aを介して、圧縮機11の吸込側に接続される。このとき、第1熱交換器13は、凝縮器となり、第2熱交換器15は、蒸発器となる。
【0035】
そのため、洗濯乾燥機1が乾燥運転を行う際に、筐体2内において乾燥用ファン32が運転されると、空気循環経路6において、ドラム5内の空気が吸引されて第1熱交換器13に至り、その空気が第1熱交換器13で加熱されてドラム5内に吹き出される循環が繰り返される。よって、ドラム5内には、第1熱交換器13で加熱された高温の空気が連続的に供給されるため、その高温の空気によってドラム5内の衣類から水分が蒸発される。
【0036】
冷媒回路10がクールダウン運転回路に切り替えられた場合について説明する。
【0037】
圧縮機11の吐出側は、四方弁12を介して第2熱交換器15の入口に接続される。第2熱交換器15の出口は、電子膨張弁14を介して第1熱交換器13の入口に接続される。第1熱交換器13の出口は、四方弁12及びアキュムレータ11aを介して、圧縮機11の吸込側に接続される。このとき、第1熱交換器13は、蒸発器となり、第2熱交換器15は、凝縮器となる。
【0038】
そのため、洗濯乾燥機1がクールダウン運転を行う際に、筐体2内において乾燥用ファン32が運転されると、空気循環経路6において、ドラム5内の空気が吸引されて第1熱交換器13に至り、その空気が第1熱交換器13で冷却されてドラム5内に吹き出される循環が繰り返される。よって、ドラム5内には、第1熱交換器13で冷却された低温の空気が連続的に供給されるため、その低温の空気によってドラム5内の衣類の温度が低下する。
【0039】
クールダウン運転とは、乾燥運転が終了した後で、ドラム5内の衣類の温度を低下させるための運転である。すなわち、洗濯乾燥機1において、乾燥運転が終了すると、ドラム5内の衣類は高温になっている。その状態でドラム5の回転を停止すると、衣類は、ドラム5の下端部に重なるように配置される。このような状態で長時間放置すると、特にドラム5の最下部近傍に配置された衣類には、上方から下方に向かう圧力が作用して皺が付いてしまう。そのため、洗濯乾燥機1では、乾燥運転が終了した後で、クールダウン運転を行うことで、衣類に皺が付かないようにしている。
【0040】
図3は、本実施形態の洗濯乾燥機1の制御ブロック図である。洗濯乾燥機1の制御部60は、
図3に示すように、例えば、マイクロコンピュータなどで構成されており、CPUと、洗濯乾燥機1の動作を制御するプログラムが格納されたROMと、上記プログラムを実行する際に用いられるデータ等が一時的に記憶されるRAMとを備えている。洗濯乾燥機1の運転動作は、制御部60によって制御される。
【0041】
制御部60には、圧縮機11と、四方弁12と、ドラム駆動モータ5aと、乾燥用ファン32と、ドラム入口温度サーミスタ33と、ドラム出口温度サーミスタ34と、ドラム出口湿度センサ35と、吸気弁51と、排気弁52とが接続される。
【0042】
また、制御部60は、洗濯乾燥機1において乾燥運転が行われる場合に、乾燥運転開始時からの経過時間を計測するタイマー60aを有している。なお、洗濯乾燥機1において乾燥運転が行われる乾燥時間は、例えば、ユーザにより選択された運転モードごとにあらかじめ設定されていたり、ユーザにより乾燥運転開始時に設定される。
【0043】
洗濯乾燥機1の乾燥行程の動作について、
図4に基づいて説明する。
【0044】
<ステップS1>
ステップS1において、制御部60は、乾燥運転を開始する。すなわち、制御部60は、筐体2においてドラム5の回転を開始するとともに、乾燥用ファン32の回転を開始する。また、制御部60は、室外機3において圧縮機11の駆動を開始するとともに、冷媒回路10が乾燥運転回路となるように四方弁12を切り替える。その後、ステップS2に進む。
【0045】
<ステップS2>
ステップS2において、制御部60は、筐体2内において吸気弁51及び排気弁52を全閉にする。すなわち、空気循環経路6において、ドラム5内から吸引した空気の全てを第1熱交換器13に向かって流して、その空気を第1熱交換器13で加熱してドラム5内に吹き出す循環が繰り返される。これにより、ドラム5内の空気の温度が上昇する。その後、ステップS3に進む。
【0046】
<ステップS3>
ステップS3において、制御部60は、ドラム出口温度サーミスタ34により検出された温度に基づいて、ドラム出口温度は70℃以上か否かを判定する。すなわち、ドラム5内の温度が高くなりすぎると、衣類が縮んでしまう等の問題があるため、制御部60は、ドラム5内の温度が高くなりすぎていないかを判定している。本実施形態では、ドラム5内の温度が高くなりすぎていないかを判定するための閾値として、例えば70℃が設定されている。制御部60によりドラム出口温度は70℃以上でないと判定された場合、ステップS4に進む。制御部60によりドラム出口温度は70℃以上であると判定された場合、ステップS6に進む。
【0047】
<ステップS4>
ステップS4において、制御部60は、ドラム出口湿度センサ35により検出された湿度に基づいて、ドラム出口湿度は85%以上か否かを判定する。すなわち、ドラム5内の湿度が高くなりすぎると、ドラム5内の衣類を乾燥させるのが困難であるため、制御部60は、ドラム5内の湿度が高くなりすぎていないかを判定している。本実施形態では、ドラム5内の湿度が高くなりすぎていないかを判定するための閾値として、例えば85%が設定されている。制御部60によりドラム出口湿度は85%以上でないと判定された場合、ステップS5に進む。制御部60によりドラム出口湿度は85%以上であると判定された場合、ステップS9に進む。
【0048】
<ステップS5>
ステップS5において、制御部60は、タイマー60aで測定された乾燥運転開始時からの経過時間が、あらかじめ設定された乾燥時間に到達したか否かを判定する。制御部60により乾燥時間が経過していないと判定された場合、ステップS2に進む。制御部60により乾燥時間が経過したと判定された場合、ステップS12に進む。
【0049】
<ステップS6>
ステップS6において、制御部60は、筐体2内において吸気弁51及び排気弁52を全開にする。すなわち、ステップS3において、ドラム5内の温度が高くなりすぎていると判定されたため、空気循環経路6において、ドラム5内から吸引した空気の全てを屋外に排気して、屋内の空気を吸気して第1熱交換器13に向かって流して、その空気を第1熱交換器13で加熱してドラム5内に吹き出す循環が繰り返される。これにより、ドラム5内の温度が低下する。その後、ステップS7に進む。
【0050】
<ステップS7>
ステップS7において、制御部60は、ドラム出口温度サーミスタ34により検出された温度に基づいて、ドラム出口温度は60℃以下か否かを判定する。すなわち、制御部60は、ドラム5内の温度が高くなりすぎた状態が解消されたかを判定している。本実施形態では、ドラム5内の温度が高くなりすぎた状態が解消されたかを判定するための閾値として、例えば60℃設定されている。制御部60によりドラム出口温度は60℃以下でないと判定された場合、ステップS8に進む。制御部60によりドラム出口温度は60℃以下であると判定された場合、ステップS2に進む。
【0051】
<ステップS8>
ステップS8において、制御部60は、タイマー60aで測定された乾燥運転開始時からの経過時間が、あらかじめ設定された乾燥時間に到達したか否かを判定する。制御部60により乾燥時間が経過していないと判定された場合、ステップS6に進む。制御部60により乾燥時間が経過したと判定された場合、ステップS12に進む。
【0052】
<ステップS9>
ステップS4で制御部60により湿度は85%以上であると判定されたため、ステップS9において、制御部60は、筐体2内において吸気弁51及び排気弁52を全開にする。すなわち、ステップS4において、ドラム5内の湿度が高くなりすぎていると判定されたため、空気循環経路6において、ドラム5内から吸引した空気の全てを屋外に排気して、屋内の空気を吸気して第1熱交換器13に向かって流して、その空気を第1熱交換器13で加熱してドラム5内に吹き出す循環が繰り返される。これにより、ドラム5内の湿度が低下する。その後、ステップS10に進む。
【0053】
<ステップS10>
ステップS10において、制御部60は、ドラム出口湿度センサ35により検出された湿度に基づいて、湿度は70%以下か否かを判定する。すなわち、制御部60は、ドラム5内の湿度が高くなりすぎた状態が解消されたかを判定している。本実施形態では、ドラム5内の湿度が高くなりすぎた状態が解消されたかを判定するための閾値のとして、例えば70%が設定されている。制御部60によりドラム出口湿度は70%以下でないと判定された場合、ステップS11に進む。制御部60によりドラム出口湿度は70%以下であると判定された場合、ステップS2に進む。
【0054】
<ステップS11>
ステップS11において、制御部60は、タイマー60aで測定された乾燥運転開始時からの経過時間が、あらかじめ設定された乾燥時間に到達したか否かを判定する。制御部60により乾燥時間が経過していないと判定された場合、ステップS9に進む。制御部60により乾燥時間が経過したと判定された場合、乾燥運転を終了して、ステップS12に進む。
【0055】
<ステップS12>
ステップS12において、制御部60は、クールダウン運転を開始する。すなわち、制御部60は、冷媒回路10がクールダウン運転回路となるように、四方弁12を切り替える。
【0056】
<ステップS13>
ステップS13において、制御部60は、筐体2内において吸気弁51及び排気弁52を全開にする。すなわち、空気循環経路6において、ドラム5内から吸引した空気の全てを屋外に排気して、屋内の空気を吸気して第1熱交換器13に向かって流して、その空気を第1熱交換器13で加熱してドラム5内に吹き出す循環が繰り返される。これにより、ドラム5内の温度が低下する。その後、ステップS14に進む。
【0057】
<ステップS14>
ステップS14おいて、制御部60は、ドラム出口温度サーミスタ34により検出された温度に基づいて、ドラム出口温度は50℃以下か否かを判定する。すなわち、制御部60は、ドラム5内の衣類に皺が付く問題が発生しない程度まで、ドラム5内の温度が十分に低下したかを判定している。本実施形態では、ドラム5内の温度が十分に低下したかを判定するための閾値として、例えば50℃が設定されている。制御部60によりドラム出口温度は50℃以下でないと判定された場合、その判定を繰り返す。制御部60によりドラム出口温度は50℃以下であると判定された場合、クールダウン運転を終了して、乾燥行程を終了する。
【0058】
以上説明したように本実施形態の洗濯乾燥機1は、圧縮機11、第1熱交換器13、電子膨張弁14(膨張手段)及び第2熱交換器15を有する冷媒回路10と、被乾燥物を収容するドラム5内の空気を吸引して、第1熱交換器13により加熱された空気をドラム5内に吹き出して循環させる空気循環経路6を有する筐体2(乾燥機本体)とを備え、筐体2が屋内に配置されるとともに、第2熱交換器15が屋外に配置される。
【0059】
このようにすれば、乾燥運転時に蒸発器となる第2熱交換器15が屋外に配置されており、屋内に配置された乾燥機内の空気循環経路を循環する空気から冷媒の蒸発潜熱によりエネルギーを吸収するのではなく、屋外に配置された第2熱交換器15において屋外の大気から冷媒の蒸発潜熱によりエネルギーを吸収して乾燥するため、高効率乾燥と高速乾燥が可能となる。
【0060】
本実施形態の洗濯乾燥機1において、冷媒回路10は、圧縮機11から吐出された冷媒を第1熱交換器13、電子膨張弁14及び第2熱交換器15の順に流す乾燥運転回路と、圧縮機11から吐出された冷媒を第2熱交換器15、電子膨張弁14、第1熱交換器13の順に流すクールダウン運転回路とを切り替える四方弁12を有している。
【0061】
このようにすれば、冷媒回路10の切り替えにより、ドラム5内の衣類の温度を低下させるクールダウン運転を行うことができる。そのため、乾燥運転が終了した後、衣類のクールダウンを短時間で終了することができる。
【0062】
本実施形態の洗濯乾燥機1において、空気循環経路6は、排気ダクト53を介して屋外と連通している。
【0063】
このようにすれば、空気循環経路6が排気ダクト55を介して屋外に接続されるため、空気循環経路6内の高湿度の空気を確実に屋外に排気することができる。
【0064】
本実施形態の洗濯乾燥機1において、空気循環経路6には、筐体2内と連通する吸気開口51aを開閉する吸気弁51と、排気ダクトと連通する排気開口52aを開閉する排気弁52とが設けられる。
【0065】
このようにすれば、空気循環経路6が屋外に接続される状態と屋外に接続されない状態とを切り替えることにより、さらに高効率乾燥と高速乾燥が可能となる。
【0066】
本実施形態の洗濯乾燥機1は、コインランドリ店舗に設置される。
【0067】
このようにすれば、コインランドリ店舗においてヒートポンプ式乾燥機の稼働率を高くすることができる。本発明は、稼働率を高くする必要があるコインランドリという特殊な事業形態で、特に有用である。
【0068】
(第2実施形態)
本実施形態の洗濯乾燥機101が、第1実施形態の洗濯乾燥機1と主に異なる点は、洗濯乾燥機1では、空気循環経路6が排気ダクト53を介して屋外に連通していたのに対して、洗濯乾燥機101は、空気循環経路6が排気ダクト53を介して屋外に連通していない点である。なお、洗濯乾燥機101の構成において、洗濯乾燥機1と同様の構成である部分については、詳細な説明は省略する。
【0069】
洗濯乾燥機101において、筐体2には、空気循環経路6の排気開口52aと筐体2の外周面に形成された排気口153とを接続する排気管154が設けられる。
【0070】
冷媒回路110は、圧縮機11と、四方弁12と、第1熱交換器13と、電子膨張弁14と、除湿用熱交換器113と、第2熱交換器15とを冷媒配管により接続するように設けられる。除湿用熱交換器113は、排気管154内に配置される
【0071】
第1実施形態の洗濯乾燥機1と同様に、洗濯乾燥機101が乾燥運転を行う際に、筐体2内において乾燥用ファン32が運転されると、ドラム5内の空気が吸引されて第1熱交換器13に至り、その空気が第1熱交換器13で加熱されてドラム5内に吹き出される循環が繰り返される。よって、ドラム5内には、第1熱交換器13で加熱された高温の空気が連続的に供給されるため、その高温の空気によってドラム5内の衣類から水分が蒸発される。
【0072】
乾燥運転が行われることにより、空気循環経路6内の空気の湿度が高くなった場合に、第1実施形態の洗濯乾燥機1では、吸気弁51及び排気弁52を全開にして、排気ダクト53を介して高湿度の空気を屋外に排気していたが、本実施形態の洗濯乾燥機101では、吸気弁51及び排気弁52を全開にして、空気循環経路6内の空気を排気管154へ流すと、その空気が排気管154内において除湿用熱交換器113と熱交換することにより、空気の湿度が低下する。排気管154内において湿度が低下した空気は、排気口153から屋内に排気される。
【0073】
本実施形態の洗濯乾燥機101では、第1実施形態の洗濯乾燥機1と同様の効果が得られる。
【0074】
また、本実施形態の洗濯乾燥機101において、冷媒回路110は、電子膨張弁14と第2熱交換器15との間に接続される除湿用熱交換器113を有し、除湿用熱交換器113は、筐体2内に配置される
【0075】
このようにすれば、空気循環経路6内の高湿度の空気の湿度を、筐体2内において低下させることができる。そのため、空気循環経路6内の空気を屋内に排気することができる。よって、空気循環経路6内の高湿度の空気を屋外に排気するために、空気循環経路6を屋外に接続する排気ダクト53を設けるダクト工事が必要でなくなる。
【0076】
(第3実施形態)
本実施形態の洗濯乾燥機201が、第1実施形態の洗濯乾燥機1と主に異なる点は、洗濯乾燥機1は、吸気弁51及び排気弁52を有しているのに対して、洗濯乾燥機201は、吸気弁51及び排気弁52を有していない点である。なお、洗濯乾燥機201の構成において、洗濯乾燥機1と同様の構成である部分については、詳細な説明は省略する。
【0077】
洗濯乾燥機201では、空気循環経路6において、乾燥用ファン32の下流側に、吸気開口51a、吸気弁51と、排気弁52とが設けられていない。筐体2において、空気循環経路6の排気開口52aは、常に、排気ダクト53を介して屋外と連通している。そのため、空気循環経路6内の空気を開口52a及び排気ダクト55を介して屋外に排気することができる。
【0078】
本実施形態の洗濯乾燥機201では、第1実施形態の洗濯乾燥機1と同様の効果が得られる。
【0079】
また、本実施形態の洗濯乾燥機201では、吸気弁51及び排気弁52を有していないため、部品点数と製造コストの低減が可能となる。
【0080】
(第4実施形態)
本実施形態の洗濯乾燥機301が、第1実施形態の洗濯乾燥機1と主に異なる点は、洗濯乾燥機1は、吸気弁51及び排気弁52と、四方弁12とを有しているのに対して、洗濯乾燥機301は、吸気弁51及び排気弁52、四方弁12を有していない点である。なお、洗濯乾燥機301の構成において、洗濯乾燥機1と同様の構成である部分については、詳細な説明は省略する。
【0081】
洗濯乾燥機301では、空気循環経路6において、乾燥用ファン32の下流側に、吸気開口51a、吸気弁51と、排気弁52とが設けられていない。筐体2において、空気循環経路6の排気開口52aは、常に、排気ダクト53を介して屋外と連通している。そのため、空気循環経路6内の空気を開口52a及び排気ダクト55を介して屋外に排気することができる。
【0082】
冷媒回路310は、圧縮機11と、第1熱交換器13と、電子膨張弁14と、第2熱交換器15とを冷媒配管により接続するように設けられる。冷媒回路310は、四方弁12を有していないため、常に、乾燥運転回路であり、クールダウン運転回路に切り替えることはできない。
【0083】
本実施形態の洗濯乾燥機301では、第1実施形態の洗濯乾燥機1と同様の効果が得られる。
【0084】
また、本実施形態の洗濯乾燥機201では、吸気弁51及び排気弁52と、四方弁12とを有していないため、部品点数と製造コストの低減が可能となる。
【0085】
以上、本発明の実施形態について説明したが、各部の具体的な構成は上述した実施形態のみに限定されるものではない。
【0086】
例えば上記第1~第3実施形態では、乾燥運転が終了した後でクールダウン運転が行われるが、それに限られない。本発明のヒートポンプ式乾燥機において、クールダウン運転は、必ずしも行われなくてもよい。
【0087】
上記第1及び第2実施形態では、乾燥運転を行う際に、空気循環経路6において吸気弁51及び排気弁52を全閉にして、ドラム5内から吸引した空気の全てを第1熱交換器13に向かって流して循環させているが、それに限られない。例えば、乾燥運転を行う際に、空気循環経路6において吸気弁51により吸気開口51aの一部を開放し且つ排気弁52により排気開口52aの一部を開放して、ドラム5内から吸引した空気の一部を第1熱交換器13に向かって流すとともに、ドラム5内から吸引した空気の一部を屋外に排気して、屋内の空気を吸気して第1熱交換器13に向かって流してもよい(半循環)。
【0088】
上記第1~第4実施形態では、コインランドリ店舗に設置される洗濯乾燥機について説明したが、それに限られない。本発明のヒートポンプ式乾燥機は、コインランドリ店舗に設置されるものに限られず、例えば一般家庭に設置されてもよい。
【0089】
上記第1~第4実施形態では、ヒートポンプ式乾燥機としての洗濯乾燥機について説明したが、それに限られない。本発明のヒートポンプ式乾燥機は、例えば乾燥運転のみを行う(洗濯を行わない)乾燥機でもよい。
【符号の説明】
【0090】
1 洗濯乾燥機(ヒートポンプ式乾燥機)
2 筐体(乾燥機本体)
3 室外機
5 ドラム
6 空気循環経路
10 冷媒回路
11 圧縮機
12 四方弁
13 第1熱交換器
14 電子膨張弁(膨張手段)
15 第2熱交換器
51 吸気弁
51a 吸気開口
52 排気弁
52a 排気開口
53 排気ダクト
101 洗濯乾燥機(ヒートポンプ式乾燥機)
201 洗濯乾燥機(ヒートポンプ式乾燥機)
301 洗濯乾燥機(ヒートポンプ式乾燥機)