(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024089357
(43)【公開日】2024-07-03
(54)【発明の名称】空中表示装置
(51)【国際特許分類】
G02B 30/56 20200101AFI20240626BHJP
H10K 59/10 20230101ALI20240626BHJP
【FI】
G02B30/56
H10K59/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022204670
(22)【出願日】2022-12-21
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100209048
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 元嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100212705
【弁理士】
【氏名又は名称】矢頭 尚之
(74)【代理人】
【識別番号】100219542
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 郁治
(72)【発明者】
【氏名】代工 康宏
【テーマコード(参考)】
2H199
3K107
【Fターム(参考)】
2H199BA32
2H199BB08
2H199BB20
2H199BB27
2H199BB51
2H199BB53
3K107AA01
3K107BB01
3K107CC41
3K107CC43
3K107EE01
3K107EE21
3K107EE33
(57)【要約】
【課題】 小型化が可能な空中表示装置を提供する。
【解決手段】 空中表示装置は、画像を表示し、光を透過することが可能なように構成された表示素子10と、表示素子10からの表示光を受けるように配置され、表示素子10からの表示光を再帰反射する反射素子30と、表示素子10を透過した光を受けるように配置され、表示素子10を透過した光を、表示素子10と反対側に反射し、空中に空中像を結像する光学素子40とを含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を表示し、光を透過することが可能なように構成された表示素子と、
前記表示素子からの表示光を受けるように配置され、前記表示素子からの表示光を再帰反射する反射素子と、
前記表示素子を透過した光を受けるように配置され、前記表示素子を透過した光を、前記表示素子と反対側に反射し、空中に空中像を結像する光学素子と、
を具備する空中表示装置。
【請求項2】
前記反射素子は、それぞれが第1方向に延び、前記第1方向に直交する第2方向に並んだ複数の反射面を有し、
前記複数の反射面の各々は、前記第1方向及び前記第2方向を含む水平面に対して傾いている
請求項1に記載の空中表示装置。
【請求項3】
前記反射素子は、複数の第1反射面アレイと、複数の第2反射面アレイとを有し、
前記複数の第1反射面アレイと前記複数の第2反射面アレイとは、第1方向に沿って交互に配置され、
前記複数の第1反射面アレイの各々は、前記第1方向に直交する第2方向に並んだ複数の第1反射面を有し、
前記複数の第2反射面アレイの各々は、前記第2方向に並んだ複数の第2反射面を有し、
前記複数の第1反射面と前記複数の第2反射面とは、前記第1方向及び前記第2方向を含む水平面の法線に対して互いに異なる側に傾いている
請求項1に記載の空中表示装置。
【請求項4】
前記光学素子は、平面状の基材と、前記基材の下に設けられ、それぞれが第1方向に延び、前記第1方向に直交する第2方向に並んだ複数の光学要素とを含み、
前記複数の光学要素の各々は、前記基材の法線に対してそれぞれが傾き、互いに接する入射面及び反射面を有する
請求項1に記載の空中表示装置。
【請求項5】
前記表示素子と前記反射素子との間に配置され、前記表示素子からの光のうち斜め方向の光成分を透過する光制御素子をさらに具備する
請求項1に記載の空中表示装置。
【請求項6】
前記光制御素子は、交互に配置された複数の透明部材及び複数の遮光部材を含み、
前記複数の遮光部材は、前記光制御素子の法線に対して傾いている
請求項5に記載の空中表示装置。
【請求項7】
前記表示素子、前記反射素子、及び前記光学素子は、互いに平行に配置される
請求項1に記載の空中表示装置。
【請求項8】
前記表示素子は、透明有機EL表示素子で構成される
請求項1に記載の空中表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空中表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像や動画などを空中像として表示可能な空中表示装置が研究され、新しいヒューマン・マシン・インターフェースとして期待されている。空中表示装置は、例えば、2面コーナーリフレクタがアレイ状に配列された2面コーナーリフレクタアレイを備え、表示素子の表示面から出射される光を反射し、空中に実像を結像する。2面コーナーリフレクタアレイによる表示方法は、収差が無く、面対称位置に実像(空中像)を表示することができる。
【0003】
特許文献1は、透明平板の表面から突出した透明な四角柱を2面コーナーリフレクタとして使用し、複数の四角柱を平面上にアレイ状に配置した光学素子を開示している。また、特許文献2は、第1及び第2光制御パネルの各々を、透明平板の内部に垂直に複数の平面光反射部を並べて形成し、第1及び第2光制御パネルを、互いの平面光反射部が直交するように配置した光学素子を開示している。特許文献1、2の光学素子は、表示素子から出射された光を直交する反射面で2回反射させ、空中像を生成している。
【0004】
このような空中表示装置では、空中表示装置を構成する素子を収容する筐体のサイズが大きくなる。よって、既に設置されている表示装置を空中表示装置に置き換えることは難しい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011-191404号公報
【特許文献2】特開2011-175297号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、小型化が可能な空中表示装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1態様によると、画像を表示し、光を透過することが可能なように構成された表示素子と、前記表示素子からの表示光を受けるように配置され、前記表示素子からの表示光を再帰反射する反射素子と、前記表示素子を透過した光を受けるように配置され、前記表示素子を透過した光を、前記表示素子と反対側に反射し、空中に空中像を結像する光学素子とを具備する空中表示装置が提供される。
【0008】
本発明の第2態様によると、前記反射素子は、それぞれが第1方向に延び、前記第1方向に直交する第2方向に並んだ複数の反射面を有し、前記複数の反射面の各々は、前記第1方向及び前記第2方向を含む水平面に対して傾いている、第1態様に係る空中表示装置が提供される。
【0009】
本発明の第3態様によると、前記反射素子は、複数の第1反射面アレイと、複数の第2反射面アレイとを有し、前記複数の第1反射面アレイと前記複数の第2反射面アレイとは、第1方向に沿って交互に配置され、前記複数の第1反射面アレイの各々は、前記第1方向に直交する第2方向に並んだ複数の第1反射面を有し、前記複数の第2反射面アレイの各々は、前記第2方向に並んだ複数の第2反射面を有し、前記複数の第1反射面と前記複数の第2反射面とは、前記第1方向及び前記第2方向を含む水平面の法線に対して互いに異なる側に傾いている、第1態様に係る空中表示装置が提供される。
【0010】
本発明の第4態様によると、前記光学素子は、平面状の基材と、前記基材の下に設けられ、それぞれが第1方向に延び、前記第1方向に直交する第2方向に並んだ複数の光学要素とを含み、前記複数の光学要素の各々は、前記基材の法線に対してそれぞれが傾き、互いに接する入射面及び反射面を有する、第1態様に係る空中表示装置が提供される。
【0011】
本発明の第5態様によると、前記表示素子と前記反射素子との間に配置され、前記表示素子からの光のうち斜め方向の光成分を透過する光制御素子をさらに具備する、第1態様に係る空中表示装置が提供される。
【0012】
本発明の第6態様によると、前記光制御素子は、交互に配置された複数の透明部材及び複数の遮光部材を含み、前記複数の遮光部材は、前記光制御素子の法線に対して傾いている、第5態様に係る空中表示装置が提供される。
【0013】
本発明の第7態様によると、前記表示素子、前記反射素子、及び前記光学素子は、互いに平行に配置される、第1態様に係る空中表示装置が提供される。
【0014】
本発明の第8態様によると、前記表示素子は、透明有機EL表示素子で構成される、第1態様に係る空中表示装置が提供される。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、小型化が可能な空中表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、本発明の第1実施形態に係る空中表示装置の斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1に示した空中表示装置のXZ面における側面図である。
【
図3】
図3は、
図1に示した表示素子の一部領域の断面図である。
【
図8】
図8は、光学素子における光の反射の様子を説明する斜視図である。
【
図9】
図9は、光学素子における光の反射の様子を説明するXZ面の側面図である。
【
図10】
図10は、光学素子における光の反射の様子を説明するYZ面の側面図である。
【
図11】
図11は、光学素子における入射面及び反射面の角度条件を説明する図である。
【
図13】
図13は、本発明の第2実施形態に係る空中表示装置1のXZ面における側面図である。
【
図14】
図14は、本発明の第3実施形態に係る空中表示装置の斜視図である。
【
図16】
図16は、反射素子による光の反射の様子を説明する斜視図である。
【
図17】
図17は、反射素子による光の反射の様子を説明する平面図である。
【
図18】
図18は、反射素子による光の反射の様子を説明するXZ面における側面図である。
【
図19】
図19は、反射素子による光の反射の様子を説明するYZ面における側面図である。
【
図20】
図20は、空中表示装置の表示動作を説明するYZ面における側面図である。
【
図21】
図21は、比較例に係る空中表示装置を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、実施形態について図面を参照して説明する。ただし、図面は模式的または概念的なものであり、各図面の寸法および比率等は必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、図面の相互間で同じ部分を表す場合においても、互いの寸法の関係や比率が異なって表される場合もある。特に、以下に示す幾つかの実施形態は、本発明の技術思想を具体化するための装置および方法を例示したものであって、構成部品の形状、構造、配置等によって、本発明の技術思想が特定されるものではない。なお、以下の説明において、同一の機能及び構成を有する要素については同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0018】
[1] 第1実施形態
[1-1] 空中表示装置1の構成
図1は、本発明の第1実施形態に係る空中表示装置1の斜視図である。
図1において、X方向は、空中表示装置1のある1辺に沿った方向であり、Y方向は、水平面内においてX方向に直交する方向であり、Z方向は、XY面に直交する方向(法線方向ともいう)である。
図2は、
図1に示した空中表示装置1のXZ面における側面図である。
【0019】
空中表示装置1は、画像(動画を含む)を表示する装置である。空中表示装置1は、自身の光出射面の上方の空中に、空中像を表示する。空中表示装置1の光出射面とは、空中表示装置1を構成しかつ光路上に配置された複数の部材のうち最上層に配置された部材の上面を意味する。空中像とは、空中に結像する実像である。
【0020】
空中表示装置1は、表示素子10、光制御素子20、反射素子30、及び光学素子40を備える。反射素子30、光制御素子20、表示素子10、及び光学素子40は、この順にZ方向に沿って配置され、互いに平行に配置される。反射素子30、光制御素子20、表示素子10、及び光学素子40は、互いに特定の間隔を空けるようにして、図示せぬ固定部材で特定の位置に固定される。反射素子30、光制御素子20、表示素子10、及び光学素子40は、図示せぬ筐体に収容される。
【0021】
表示素子10は、自発光型かつ透過型の表示素子から構成される。表示素子10は、自ら発光する光を用いて画像又は動画を表示するとともに、自身の下側から入射する光を透過することが可能なように構成される。表示素子10には、様々な透過型表示素子、例えば、透明有機EL(electroluminescence)表示素子、透明無機EL表示素子、又はサイドライト型のバックライトを備えた透過型液晶表示素子を用いることができる。本実施形態では、自発光型かつ透過型の表示素子の一例として、透明有機EL表示素子について説明する。
【0022】
表示素子10は、自身の画面に特定の画像を表示する。表示素子10は、下方向に向けて(光制御素子20及び反射素子30側に向けて)、表示光を出射するように配置される。また、表示素子10は、下側から入射する光を透過する。表示素子10の詳細な構成については後述する。
【0023】
光制御素子20は、不要光を低減する機能を有する。不要光とは、空中像を生成するのに寄与しない光成分であり、法線方向に光学素子40を透過する光成分を含む。光制御素子20は、法線方向に対して角度θ1の斜め方向を中心として所定の角度範囲の光成分を透過するとともに、上記角度範囲以外の光成分を遮光するように構成される。光制御素子20の面積は、表示素子10の面積以上に設定される。光制御素子20の詳細な構成については後述する。
【0024】
反射素子30は、表示素子10から出射されかつ光制御素子20を透過した光を、再帰反射、すなわち再度光制御素子20に向けて反射する機能を有する。反射素子30は、光制御素子20から斜めに入射した光を、入射方向と逆向きの斜め方向に反射する。反射素子30の面積は、表示素子10の面積以上に設定される。反射素子30の詳細な構成については後述する。
【0025】
光学素子40は、底面側から入射した光を上面側に反射する。また、光学素子40は、底面側から斜めに入射した入射光を、例えば正面方向(法線方向)に反射する。光学素子40の面積は、表示素子10の面積以上に設定される。光学素子40の詳細な構成については後述する。光学素子40は、空中に空中像2を結像する。空中像2は、光学素子40の素子面に平行であり、2次元の画像である。素子面とは、光学素子40が面内方向に広がる仮想的な平面を言う。素子面は、面内と同じ意味である。その他の素子の素子面についても同様の意味である。光学素子40の正面にいる観察者3は、空中像2を視認することができる。
【0026】
[1-1-1] 表示素子10の構成
図3は、
図1に示した表示素子10の一部領域の断面図である。表示素子10は、透明有機EL表示素子で構成される。前述したように、表示素子10は、下方向に向けて表示光を出射するように配置される。
【0027】
表示素子10は、マトリクス状に配置された複数の画素を有する。表示素子10は、2個の基板11、12、複数のスイッチング素子13、絶縁層14、複数の画素電極15、複数の有機層16、共通電極17、樹脂層18、及び複数のカラーフィルタ19を備える。
【0028】
基板11及び基板12の各々は、透明かつ絶縁性を有する基板(例えば、ガラス基板、又はプラスチック基板)で構成される。
【0029】
基板11上には、複数のスイッチング素子13が設けられる。複数のスイッチング素子13はそれぞれ、複数の画素に対応して設けられる。スイッチング素子13は、例えばTFT(Thin Film Transistor)で構成され、またnチャネルTFTで構成される。なお、トランジスタのソース及びドレインは、トランジスタに流れる電流の向きによって変化するが、以下の説明では、トランジスタの接続状態の一例を説明する。しかし、ソース及びドレインが名称通りに固定されるものでないことは勿論である。
【0030】
TFT13は、走査線として機能するゲート電極13Aと、ゲート電極13A上に設けられたゲート絶縁膜13Bと、ゲート絶縁膜13B上に設けられた半導体層13Cと、半導体層13Cを保護する保護膜13Dと、半導体層13C上に互いに離間して設けられたソース電極13E及びドレイン電極13Fとを備える。ドレイン電極13Fは、信号線(図示せず)に電気的に接続される。
【0031】
TFT13上には、絶縁層14が設けられる。絶縁層14上には、複数の画素電極15が設けられる。複数の画素電極15はそれぞれ、複数の画素に対応して設けられる。画素電極15は、コンタクトプラグを介して、TFT13のソース電極13Eに電気的に接続される。
【0032】
複数の画素電極15上にはそれぞれ、複数の有機層16が設けられる。複数の有機層16はそれぞれ、複数の画素に対応して設けられる。有機層16は、光を発光する層である。複数の有機層16上には、共通電極17が設けられる。共通電極17は、複数の画素に共通に設けられる。
【0033】
基板12上には、複数のカラーフィルタ19が設けられる。複数のカラーフィルタ19は、複数の有機層16に対応して設けられる。平面視において、カラーフィルタ19は、対応する有機層16に重なるように配置される。
【0034】
共通電極17と複数のカラーフィルタ19との間には、樹脂層18が設けられる。樹脂層18は、封止層として機能し、透明樹脂で構成される。樹脂層18は、封止された空気層であってもよい。
【0035】
複数の画素は、赤色光を発光する赤画素と、緑色光を発光する緑画素と、青色光を発光する青画素とを含む。複数の有機層16は、赤色光を発光する有機層と、緑色光を発光する有機層と、青色光を発光する有機層とを含む。複数のカラーフィルタは、赤フィルタ、緑フィルタ、及び青フィルタを含む。赤フィルタ、緑フィルタ、及び青フィルタはそれぞれ、赤画素、緑画素、及び青画素に配置される。赤画素、緑画素、及び青画素の配列は、任意に設定可能である。
【0036】
表示素子10は、表示光を発光する複数の発光領域10Aと、透過光を透過する複数の透過領域10Bとを有する。発光領域10Aは、画素を構成する領域である。発光領域10Aは、TFT13、画素電極15、有機層16、共通電極17の一部、及びカラーフィルタ19を含む。複数の発光領域10Aは、表示光(赤色光、緑色光、及び青色光を含む)を発光することが可能である。
【0037】
透過領域10Bは、隣接する画素の間に配置される。透過領域10Bは、光を遮光する部材を含まない。透過領域10Bは、例えば表示素子10の下側から入射する光を透過することが可能である。
【0038】
(材料の例示)
ゲート電極(走査線)13A、ソース電極13E、ドレイン電極13F、及び信号線としては、例えば、アルミニウム(Al)、モリブデン(Mo)、クロム(Cr)、及びタングステン(W)のいずれか、又はこれらの1種類以上を含む合金等が用いられる。画素電極15、及び共通電極17は、透明電極で構成され、例えばITO(インジウム錫酸化物)が用いられる。ゲート絶縁膜13B、保護膜13D、及び絶縁層14としては、透明な絶縁材料が用いられ、例えばシリコン窒化物(SiN)が用いられる。半導体層13Cとしては、例えばアモルファスシリコンが用いられる。
【0039】
[1-1-2] 光制御素子20の構成
図4Aは、
図1に示した光制御素子20の平面図である。
図4Bは、
図4AのA-A´線に沿った光制御素子20の断面図である。
【0040】
基材21は、XY面において平面状に構成され、直方体を有する。基材21は、光を透過する。
【0041】
基材21上には、それぞれがY方向に延び、X方向に並んだ複数の透明部材23が設けられる。また、基材21上には、それぞれがY方向に延び、X方向に並んだ複数の遮光部材24が設けられる。複数の透明部材23と複数の遮光部材24とは、隣接するもの同士が接するようにして交互に配置される。
【0042】
複数の透明部材23及び複数の遮光部材24上には、基材22が設けられる。基材22は、XY面において平面状に構成され、直方体を有する。基材22は、光を透過する。
【0043】
透明部材23は、XZ面において、基材21の法線方向に対して角度θ1の斜め方向に延びる。透明部材23は、XZ面において、側面が角度θ1だけ傾いた平行四辺形である。透明部材23は、光を透過する。
【0044】
遮光部材24は、XZ面において、基材21の法線方向に対して角度θ1の斜め方向に延びる。遮光部材24は、XZ面において、側面が角度θ1だけ傾いた平行四辺形である。遮光部材24は、光を遮光する。遮光部材24の厚みは、透明部材23の厚みより薄く設定される。
【0045】
隣接する2個の遮光部材24は、Z方向において互いの端部が若干重なるように配置される。
【0046】
基材21、22、及び透明部材23としては、ガラス、又は透明な樹脂(アクリル樹脂を含む)が用いられる。遮光部材24としては、例えば、黒色の染料又は顔料が混入された樹脂が用いられる。
【0047】
なお、基材21、22の一方又は両方を省略して、光制御素子20を構成してもよい。複数の透明部材23と複数の遮光部材24とが交互に配置されていれば、光制御素子20の機能を実現できる。
【0048】
このように構成された光制御素子20は、法線方向に対して角度θ1の斜め方向の光強度がピークになるように、表示光を透過することができる。角度θ1は、例えば10度以上60度以下に設定される。例えば、光制御素子20は、法線方向に対して30°±30°の範囲以外の光成分を遮光するように構成される。望ましくは、光制御素子20は、法線方向に対して30°±20°の範囲以外の光成分を遮光するように構成される。
【0049】
なお、変形例として、光制御素子20を省略して、空中表示装置1を構成してもよい。
【0050】
[1-1-3] 反射素子30の構成
図5は、
図1に示した反射素子30の斜視図である。
図5には、反射素子30の一部を拡大した拡大図も図示している。
図5の拡大図は、XZ面における断面図である。
【0051】
反射素子30は、基材31、及び反射膜32を備える。基材31は、樹脂、又は金属などの成形可能な材料で構成される。反射膜32は、反射率の高い材料で構成され、例えば銀(Ag)、又はアルミニウム(Al)で構成される。
【0052】
基材31は、それぞれがY方向に延び、X方向に並んだ複数の傾斜面31Aを有する。XZ面において、複数の傾斜面31Aの各々は、XY面に対して角度θ2を有する。換言すると、基材31の上部は、鋸歯状を有する。
【0053】
基材31上には、反射膜32が設けられる。反射膜32は、光を反射する。反射膜32の上面は、反射素子30の反射面を構成する。
【0054】
反射素子30は、それぞれがY方向に延び、X方向に並んだ複数の反射面33を有する。反射面33は、傾斜面31Aと同じく、XY面に対して角度θ2を有する。角度θ2は、角度θ1と同じに設定される。角度θ2は、反射面33における入射光と反射光とが平行になるように設定することが望ましい。角度θ2は、例えば10度以上60度以下に設定される。
【0055】
このように構成された反射素子30は、斜め方向から入射した光を、入射方向と逆向きの斜め方向に反射することができる。すなわち、反射素子30は、再帰反射を行うように機能する。
【0056】
[1-1-4] 光学素子40の構成
図6は、
図1に示した光学素子40の斜視図である。
図6には、光学素子40の一部を拡大した拡大図も図示している。
図6の拡大図は、XZ面における断面図である。
【0057】
光学素子40は、基材41、及び複数の光学要素42を備える。基材41は、XY面において平面状に構成され、直方体を有する。
【0058】
基材41の底面には、複数の光学要素42が設けられる。複数の光学要素42の各々は、三角柱で構成される。光学要素42は、三角柱の3個の側面がXY面と平行になるように配置され、1つの側面が基材41に接する。複数の光学要素42は、それぞれがY方向に延び、X方向に並んで配置される。換言すると、複数の光学要素42は、XZ面において鋸歯状を有する。
【0059】
複数の光学要素42の各々は、入射面43及び反射面44を有する。Y方向から見て、右側の側面が入射面43であり、左側の側面が反射面44である。入射面43は、表示素子10からの光が入射する面である。反射面44は、入射面43に外部から入射した光を、光学要素42の内部で反射する面である。入射面43と反射面44とは、角度θpを有する。
【0060】
基材41及び光学要素42は、透明材料で構成される。光学要素42は、例えば、基材41と同じ透明材料によって基材41と一体的に形成される。基材41と光学要素42とを個別に形成し、透明な接着材を用いて基材41に光学要素42を接着してもよい。基材41及び光学要素42を構成する透明材料としては、ガラス、又は透明な樹脂(アクリル樹脂を含む)が用いられる。
【0061】
このように構成された光学素子40は、入射光を内部で反射して、空中に実像を結像する。また、光学素子40は、素子面の正面の位置に、空中像2を結像する。
【0062】
[1-1-5] 空中表示装置1のブロック構成
図7は、空中表示装置1のブロック図である。空中表示装置1は、表示素子10、制御部50、記憶部51、入出力インターフェース(入出力IF)52、及び入力部53を備える。制御部50、記憶部51、及び入出力インターフェース52は、バス54を介して互いに接続される。
【0063】
入出力インターフェース52は、表示素子10、及び入力部53に接続される。入出力インターフェース52は、表示素子10、及び入力部53のそれぞれに対して、所定の規格に応じたインターフェース処理を行う。
【0064】
表示素子10は、画像を表示する。表示素子10の構成は、前述した通りである。図示は省略するが、表示素子10は、画素を駆動するドライバを備える。
【0065】
制御部50は、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等の1つ以上のプロセッサにより構成される。制御部50は、記憶部51に格納されたプログラムを実行することで各種機能を実現する。制御部50は、表示処理部50A、及び情報処理部50Bを備える。
【0066】
表示処理部50Aは、表示素子10の動作を制御する。表示処理部50Aは、表示素子10に画像信号を送信し、表示素子10に画像を表示させる。
【0067】
情報処理部50Bは、空中表示装置1が表示する画像を生成する。情報処理部50Bは、記憶部51に格納された画像データを用いることが可能である。情報処理部50Bは、図示せぬ通信機能を用いて外部から画像データを取得してもよい。
【0068】
記憶部51は、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、及びSSD(Solid State Drive)等の不揮発性記憶装置と、RAM(Random Access Memory)、及びレジスタ等の揮発性記憶装置とを含む。記憶部51は、制御部50が実行するプログラムを格納する。記憶部51は、制御部50の制御に必要な各種データを格納する。記憶部51は、空中表示装置1が表示する画像のデータを格納する。
【0069】
入力部53は、例えばタッチパネルやボタンなどを含み、ユーザが入力した情報を受け付ける。情報処理部50Bは、入力部53が受け付けた情報に基づいて、表示素子10に表示する画像を選択することが可能である。
【0070】
[1-2] 空中表示装置1の動作
次に、上記のように構成された空中表示装置1の動作について説明する。
【0071】
図2の矢印は、光路を示している。
図2に示すように、表示素子10は、図の下側の面に画像を表示し、下方向に向けて表示光を出射する。表示素子10の任意の点“o”からは、法線方向を中心として放射状に表示光が出射される。
【0072】
表示素子10の任意の点“o”から出射された光は、光制御素子20に入射する。表示素子10から出射された光のうち角度θ1の光成分(角度θ1を中心とした所定の角度範囲の光成分を含む)は、光制御素子20を透過する。
【0073】
光制御素子20を透過した光は、反射素子30(具体的には反射素子30の反射面33)で反射されるとともに、入射方向と逆方向に反射される。反射素子30における入射光と反射光とは平行であることが望ましい。
【0074】
反射素子30によって反射された光は、光制御素子20及び表示素子10を透過し、光学素子40に入射する。光学素子40は、入射光を、表示素子10と反対側に反射し、空中に空中像2を結像する。
【0075】
図8は、光学素子40における光の反射の様子を説明する斜視図である。
図9は、光学素子40における光の反射の様子を説明するXZ面の側面図である。
図9は、観察者3の両目(すなわち、両目を結ぶ線)がX方向に平行な状態で光学素子40を見た図である。
図10は、光学素子40における光の反射の様子を説明するYZ面の側面図である。
図10は、観察者3の両目がY方向に平行な状態で光学素子40を見た図である。
【0076】
反射素子30の任意の点“o´”から出射された光(すなわち、反射素子30の任意の点“o´”で反射された光)は、光制御素子20及び表示素子10を透過した後、光学素子40の入射面43に入射し、反射面44に到達する。反射面44の法線方向に対して臨界角よりも大きい角度で反射面44に到達した光は、反射面44で全反射され、光学素子40の光学要素42が形成されている側と反対側の平面から出射される。臨界角とは、その入射角を超えると全反射する最少の入射角である。臨界角は、入射面の垂線に対する角度である。
【0077】
図9のXZ面では、点“o´”から出射された光は、光学要素42の反射面44で全反射され、その光は空中で結像されて空中像を生成する。
【0078】
図10のYZ面では、点“o´”から出射された光は、光学要素42の反射面44で反射されず、その光は空中で結像することがないため空中像の生成に寄与しない。
【0079】
すなわち、観察者3が空中像を視認できる条件は、観察者3の両眼がX方向に平行、又はそれに近い状態(例えばX方向に対して±10度)である。また、観察者3の両眼がX方向に平行、又はそれに近い状態でY方向に沿って視点を移動した場合、空中像を常に認識することができる。
【0080】
図11は、光学素子40における入射面43及び反射面44の角度条件を説明する図である。
図11では、表示素子10の図示を省略している。
【0081】
Z方向(素子面に垂直な方向)に対する入射面43の角度をθ3、Z方向に対する反射面44の角度をθ4、入射面43と反射面44とのなす角度をθpとする。角度をθpは、以下の式(1)で表される。
θp=θ3+θ4 ・・・(1)
【0082】
光制御素子20から角度θ1で出射された光は、入射面43に入射する。光学素子40の材料の屈折率をnp、空気の屈折率を1とする。入射面43における入射角をθ5、屈折角をθ6とする。反射面44における入射角をθ7、反射角をθ8(=θ7)とする。光学素子40の上面における入射角をθ9、屈折角をθ10とする。屈折角θ10が光学素子40の出射角である。出射角θ10は、以下の式(2)で表される。
θ10=sin-1(np*sin(sin-1((1/np)*sin(90°-(θ1+θ3)))+θ3+2θ4-90°)) ・・・(2)
【0083】
反射面44における臨界角は、以下の式(3)で表される。
臨界角<θ7(=θ8)
臨界角=sin-1(1/np) ・・・(3)
【0084】
すなわち、反射面44における入射角θ7は、反射面44における臨界角より大きく設定される。換言すると、反射面44の角度θ4は、反射面44に入射する光の入射角が臨界角より大きくなるように設定される。
【0085】
また、入射面43に入射した光は、入射面43で全反射されないように設定される。すなわち、入射面43の角度θ3は、入射面43に入射する光の入射角が臨界角より小さくなるように設定される。
【0086】
光学素子40の素子面と空中像2の面との角度、及び光学素子40の素子面と空中像2の面との距離は、光学素子40に入射する光の角度θ1、光学素子40の屈折率、光学素子40の入射面43の角度θ3、光学素子40の反射面44の角度θ4を最適に設定することで調整が可能である。
【0087】
図12は、空中表示装置1の光線追跡図である。
表示素子10の表示面における任意の点“o”から、法線方向を中心として放射状に光が出射される。表示素子10から出射された光のうち角度θ
1の斜め方向を中心とした所定の角度範囲の光成分は、光制御素子20を透過する。光制御素子20を透過した光は、反射素子30で反射され、光制御素子20及び表示素子10を透過する。表示素子10から光学素子40に斜めに入射した光は、光学素子40によって正面方向に反射される。そして、光学素子40によって反射された光は、点“o´´”で結像する。
【0088】
図12から、点“o´´”で光が結像している様子が理解できる。点“o´´”の位置は、空中像2が表示される位置である。光学素子40から空中像2までの距離は、表示素子10、光制御素子20、反射素子30、光制御素子20、表示素子10、及び光学素子40をこの順に経由する光路長に起因して決定される。
【0089】
[1-3] 第1実施形態の効果
第1実施形態では、表示素子10から出射された表示光は、光制御素子20、反射素子30、光制御素子20、表示素子10、及び光学素子40をこの順に経由した後、光学素子40の上方の空中に空中像2として結像する。
【0090】
第1実施形態によれば、表示素子10から光学素子40までの光路長を長くすることができる。これにより、空中表示装置1からより離れた位置に空中像を表示することができる。
【0091】
また、空中表示装置1内の見かけの光路長を短くすることができる。これにより、小型化が可能な空中表示装置1を実現できる。特に、空中表示装置1のZ方向の厚さを薄くすることができる。
【0092】
また、空中表示装置1は、表示素子10から出射された光を光学素子40で反射させることで、空中に空中像2を表示することができる。また、空中表示装置1は、その正面方向において、光学素子40の素子面に平行に空中像2を表示することができる。また、表示品質を向上させることが可能な空中表示装置1を実現できる。
【0093】
また、観察者3の両眼がX方向(すなわち、複数の光学要素42が並ぶ方向)に平行、又はそれに近い状態で光学素子40を見た場合に、観察者3は、空中像を視認することができる。また、観察者3の両眼がX方向に平行、又はそれに近い状態でY方向に沿って視点を移動した場合、空中像を常に視認することができる。また、観察者3の両眼がX方向に平行、又はそれに近い状態において、より広い視野角を実現できる。
【0094】
また、空中表示装置1を構成する複数の素子を平行に配置することができる。これにより、Z方向に小型化が可能な空中表示装置1を実現できる。
【0095】
[2] 第2実施形態
第2実施形態は、光制御素子20の底面における光の反射を抑制するようにしている。
【0096】
図13は、本発明の第2実施形態に係る空中表示装置1のXZ面における側面図である。空中表示装置1は、反射防止層25をさらに備える。反射防止層25は、光制御素子20の底面に設けられる。
【0097】
反射防止層25は、反射素子30から入射する光の反射を抑制するように作用する。反射防止層25は、例えば、透明なベースフィルム上に、ベースフィルムと屈折率の異なりかつ透明な膜が形成されて構成される。そして、2つの膜でそれぞれ反射する光の干渉を利用して、光の反射を低減するように作用する。
【0098】
第2実施形態によれば、光制御素子20と反射素子30との間の多重反射による不要な光を抑制することができる。これにより、空中表示装置1の表示特性を向上させることができる。その他の効果は、第1実施形態と同じである。
【0099】
[3] 第3実施形態
第3実施形態は、反射素子30の他の構成例である。第3実施形態では、反射素子30による再帰反射をより効率良く行うようにしている。
【0100】
[3-1] 空中表示装置1の構成
図14は、本発明の第3実施形態に係る空中表示装置1の斜視図である。反射素子30、光制御素子20、表示素子10、及び光学素子40の配置は、第1実施形態と同じである。
【0101】
【0102】
反射素子30は、基材31、及び反射膜32を備える。基材31は、樹脂、又は金属などの成形可能な材料で構成される。反射膜32は、反射率の高い材料で構成され、例えば銀(Ag)、又はアルミニウム(Al)で構成される。
【0103】
基材31上には、反射膜32が設けられる。反射膜32は、光を反射する。反射膜32の上面は、反射素子30の反射面を構成する。
【0104】
反射素子30は、複数の第1反射面アレイ34Aと、複数の第2反射面アレイ34Bとを有する。複数の第1反射面アレイ34AはX方向に延び、複数の第2反射面アレイ34BはX方向に延びる。複数の第1反射面アレイ34Aと、複数の第2反射面アレイ34Bとは、交互に配置される。
【0105】
複数の第1反射面アレイ34Aの各々は、X方向に並んだ複数の第1反射面33Aを有する。複数の第1反射面33Aの各々は、YZ面において角度θ11だけ傾いている。角度θ11は、おおよそ45度である。XZ面で見て、第1反射面33Aは、角度θ2だけ傾くように配置される。
【0106】
複数の第2反射面アレイ34Bの各々は、X方向に並んだ複数の第2反射面33Bを有する。複数の第2反射面33Bの各々は、YZ面において角度θ12だけ傾いている。第2反射面33Bは、第1反射面33Aと逆側に傾いている。角度θ12は、おおよそ45度である。角度θ12は、例えば角度θ11と同じに設定される。XZ面で見て、第2反射面33Bは、角度θ2だけ傾くように配置される。
【0107】
Y方向に隣接する一対の第1反射面33A及び第2反射面33Bは、谷形状を構成する。このように構成された反射素子30は、入射光を、例えば第1反射面33A及び第2反射面33Bの順に反射し、入射光と逆方向に反射光を出射するように機能する。すなわち、反射素子30は、再帰反射を行うように機能する。
【0108】
[3-2] 空中表示装置1の動作
次に、上記のように構成された空中表示装置1の動作について説明する。
【0109】
図16は、反射素子30による光の反射の様子を説明する斜視図である。
図17は、反射素子30による光の反射の様子を説明する平面図である。
図18は、反射素子30による光の反射の様子を説明するXZ面における側面図である。
図19は、反射素子30による光の反射の様子を説明するYZ面における側面図である。
【0110】
表示素子10の表示面における点“o”から出射された光は、光制御素子20を透過した後、反射素子30に到達する。反射素子30は、点“o”からの入射光を、例えば第1反射面33A及び第2反射面33Bの順に反射するとともに、入射光と逆方向に反射する。また、反射素子30は、再帰反射により、点“o”からの入射光を点“o”に向けて反射する。
【0111】
空中表示装置1による空中像2の表示動作は、第1実施形態と同じである。
【0112】
図20は、空中表示装置1の表示動作を説明するYZ面における側面図である。YZ面において、表示素子10の表示面における点“o”から出射された光は、反射素子30の広い領域で反射されて点“o”に戻る。観察者3がY方向に沿って視点を動かした場合、視点に合わせて空中像2も移動する。本実施形態では、反射素子30は、表示素子10の点“o”から出射された光を、点“o”に向けて反射するように機能する。よって、観察者3がY方向に沿って視点を動かした場合、空中像2が移動する量(空中像移動量という)を小さくできる。
【0113】
図21は、比較例に係る空中表示装置を説明する図である。比較例では、反射素子30を除いて空中表示装置を構成している。比較例に係る空中表示装置は、表示素子10、光制御素子20、及び光学素子40がZ方向に沿って配置される。表示素子10は、上方向に向けて表示光を出射するように配置される。
【0114】
比較例では、観察者3がY方向に沿って視点を動かした場合、視点に付いてくるように空中像2が視認される。よって、比較例では、観察者3がY方向に沿って視点を動かした場合、空中像移動量が大きくなる。
【0115】
本実施形態では、比較例に比べて、観察者3がY方向に沿って視点を動かした場合、空中像移動量を小さくできるという効果が得られる。
【0116】
[3-3] 第3実施形態の効果
第3実施形態によれば、反射素子30は、表示素子10の表示面のある点“o”から出射された光を、点“o”に向けて再帰反射することができる。また、反射素子30の広い領域で点“o”に向けて再帰反射することができる。これにより、観察者3がY方向(光学素子40の光学要素42が延びる方向)に沿って視点を動かした場合、空中像移動量を小さくできる。その他の効果は、第1実施形態と同じである。なお、第3実施形態に第2実施形態を適用してもよい。
【0117】
[4] 変形例
上記各実施形態では、光学要素42の右側の側面が入射面43、左側の側面が反射面44として定義している。しかし、これに限定されず、入射面43と反射面44とを逆に構成してもよい。この場合、実施形態で説明した空中表示装置1の作用も左右が逆になる。
【0118】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の発明が含まれており、開示される複数の構成要件から選択された組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、課題が解決でき、効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【符号の説明】
【0119】
1…空中表示装置、2…空中像、3…観察者、10…表示素子、10A…発光領域、10B…透過領域、11,12…基板、13…スイッチング素子、13A…ゲート電極、13B…ゲート絶縁膜、13C…半導体層、13D…保護膜、13E…ソース電極、13F…ドレイン電極、14…絶縁層、15…画素電極、16…有機層、17…共通電極、18…樹脂層、19…カラーフィルタ、20…光制御素子、21,22…基材、23…透明部材、24…遮光部材、25…反射防止層、30…反射素子、31…基材、31A…傾斜面、32…反射膜、33…反射面、33A…第1反射面、33B…第2反射面、34A…第1反射面アレイ、34B…第2反射面アレイ、40…光学素子、41…基材、42…光学要素、43…入射面、44…反射面、50…制御部、50A…表示処理部、50B…情報処理部、51…記憶部、52…入出力インターフェース、53…入力部、54…バス。