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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024089369
(43)【公開日】2024-07-03
(54)【発明の名称】コイル装置
(51)【国際特許分類】
   H01F 17/04 20060101AFI20240626BHJP
   H01F 27/24 20060101ALI20240626BHJP
   H01F 27/28 20060101ALI20240626BHJP
【FI】
H01F17/04 A
H01F17/04 F
H01F27/24 H
H01F27/28 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022204695
(22)【出願日】2022-12-21
(71)【出願人】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001494
【氏名又は名称】前田・鈴木国際特許弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】梅木 陸
(72)【発明者】
【氏名】杉本 聡
【テーマコード(参考)】
5E043
5E070
【Fターム(参考)】
5E043BA01
5E070AA01
(57)【要約】
【課題】搭載される製品を小型化可能なコイル装置を提供すること。
【解決手段】コア2と、コア2の底面2bに垂直な方向に延びる一対の主面40a,40bを有する屈曲金属板状材6からなるコイル部40と、を有するコイル装置1である。コイル部40は、第1導体41と、第2導体42と、第3導体43と、を有する。第1導体41は、コア2の内部に配置される第1本体部411と、第1本体部411と繋がり、一部が底面2b側から下方に突出する第1端子部412と、を有する。第2導体42は、コア2の内部であって第1本体部411よりも底面2bの遠くに配置される第2本体部421と、第2本体部421と繋がり、一部が底面2b側から突出する第2端子部422と、を有する。第3導体43は、第1導体41と第2導体42とを繋ぐ連結部430と、一部が底面2b側から突出する設置部436と、を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コアと、前記コアの底面に垂直な方向に延びる一対の主面を有する屈曲金属板状材からなるコイル部と、を有するコイル装置であって、
前記コイル部は、第1導体と、第2導体と、第3導体と、を有し、
前記第1導体は、前記コアの内部に配置される第1本体部と、前記第1本体部と繋がり、一部が前記底面側から下方に突出する第1端子部と、を有し、
前記第2導体は、前記コアの内部であって前記第1本体部よりも前記底面の遠くに配置される第2本体部と、前記第2本体部と繋がり、一部が前記底面側から突出する第2端子部と、を有し、
前記第3導体は、前記第1導体と前記第2導体とを繋ぐ連結部と、一部が前記底面側から突出する設置部と、を有するコイル装置。
【請求項2】
前記第1本体部は、前記底面に垂直な方向に、前記第2本体部と少なくとも一部が重なるように配置してある請求項1に記載のコイル装置。
【請求項3】
前記第1端子部および前記第2端子部は、前記コアの外側面の一方側に配置してあり、
設置部は、前記コアの前記外側面の他方側に配置してある請求項1に記載のコイル装置。
【請求項4】
前記連結部は、前記第1本体部から前記主面が前記コアの外側面に沿うように湾曲した第1接続端部と、前記第2本体部から前記主面が前記外側面に沿うように湾曲した第2接続端部と、前記第1接続端部と前記第2接続端部とを繋ぐ接続部と、を有し、
前記接続部は、前記コアの底面に平行な方向に延在する中間部を有し、
前記接続部は、前記中間部と前記第1接続端部との間に形成される第1の隙間と、前記中間部と前記第2接続端部との間に形成される第2の隙間と、を有し、
前記第1の隙間および前記第2の隙間の幅は、前記コイル部の板厚以上である請求項1に記載のコイル装置。
【請求項5】
前記コアは、前記コアの底面に平行な方向に関して互いに向き合う第1分割部と、第2分割部とを有し、
前記第1本体部および前記第2本体部は、前記第1分割部と前記第2分割部で挟まれている請求項1に記載のコイル装置。
【請求項6】
前記第1分割部は、略平板状のベース部と、前記ベース部から第2分割部に向けて突出する脚部と、を有し、
前記脚部の端面は、前記第2分割部とギャップを設けて配置されている請求項5に記載のコイル装置。
【請求項7】
前記第1分割部は、接着部材を介して前記第2分割部と繋がっている請求項5に記載のコイル装置。
【請求項8】
前記脚部の前記ベース部からの突出長さは、前記コイル部の前記底面に平行な方向の厚みより長い請求項5に記載のコイル装置。
【請求項9】
前記第1端子部は、前記第1分割部の外側面の一方側に配置してあり、前記第2端子部は、前記第2分割部の外側面の一方側に、前記第1端子部と並んで配置してある請求項5に記載のコイル装置。
【請求項10】
前記第1本体部の幅は、前記第2本体部の幅とは異なっている請求項1に記載のコイル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、たとえばインダクタとして用いられるコイル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
故障リスクを低減したパワーインダクタとして、板状の導体で巻回部と端子部を構成するコイル装置が知られている(特許文献1)。このようなコイル装置は、PCBなどの基板に実装するときに広い実装面積を要し、コイル装置を搭載する製品の小型化を阻む要因となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000-68129号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、上記の実情を鑑みてなされ、その目的は、搭載される製品を小型化可能なコイル装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本開示に係るコイル装置は、
コアと、前記コアの底面に垂直な方向に延びる一対の主面を有する屈曲金属板状材からなるコイル部と、を有するコイル装置であって、
前記コイル部は、第1導体と、第2導体と、第3導体と、を有し、
前記第1導体は、前記コアの内部に配置される第1本体部と、前記第1本体部と繋がり、一部が前記底面側から下方に突出する第1端子部と、を有し、
前記第2導体は、前記コアの内部であって前記第1本体部よりも前記底面の遠くに配置される第2本体部と、前記第2本体部と繋がり、一部が前記底面側から突出する第2端子部と、を有し、
前記第3導体は、前記第1導体と前記第2導体とを繋ぐ連結部と、一部が前記底面側から突出する設置部と、を有する。
【0006】
このように構成することで、コイル装置は、面積が小さい底面を、製品の実装基板などに向けて搭載することが可能になる。そのため、実装面積を低減することが可能になり、搭載製品の小型化を実現することができる。
【0007】
さらに、コイル装置は、底上げ構造になっており、実装基板などに実装すると、コアの底面と、実装基板との間に、他の電子部品などを搭載するスペースを作り出すことができる。そのため、コイル装置を搭載する製品を小型化することが可能になる。
【0008】
また、このようなコイル部は、所望のインダクタンスを確保するように成形することができる。さらに、このようなコイル装置では、大電流にも対応可能であり、故障リスクを低減することができる。
【0009】
前記第1本体部は、前記底面に垂直な方向に、前記第2本体部と少なくとも一部が重なるように配置してあってもよい。
【0010】
このように構成することで、コアの底面の面積を小さくすることができ、実装面積を低減することが可能になる。
【0011】
前記第1端子部および前記第2端子部は、前記コアの外側面の一方側に配置してあり、設置部は、前記コアの前記外側面の他方側に配置してあってもよい。
【0012】
このように構成することで、1ターンの巻き数を確保することができ、また、実装基板などへの実装が安定する。
【0013】
前記連結部は、前記第1本体部から前記主面が前記コアの外側面に沿うように湾曲した第1接続端部と、前記第2本体部から前記主面が前記外側面に沿うように湾曲した第2接続端部と、前記第1接続端部と前記第2接続端部とを繋ぐ接続部と、を有し、
前記接続部は、前記コアの底面に平行な方向に延在する中間部を有し、
前記接続部は、前記中間部と前記第1接続端部との間に形成される第1の隙間と、前記中間部と前記第2接続端部との間に形成される第2の隙間と、を有し、
前記第1の隙間および前記第2の隙間の幅は、前記コイル部の板厚以上であってもよい。
【0014】
このように構成することで、金属板状部材を折り曲げることで、コイル部を容易に成形することができる。
【0015】
前記コアは、前記コアの底面に平行な方向に関して互いに向き合う第1分割部と、第2分割部とを有し、
前記第1本体部および前記第2本体部は、前記第1分割部と前記第2分割部で挟まれているように構成してもよい。
【0016】
このような別途成形された分割されたコア同士を組み合わせることで、容易にコイル装置を製造することができる。
【0017】
前記第1分割部は、略平板状のベース部と、前記ベース部から第2分割部に向けて突出する脚部と、を有し、
前記脚部の端面は、前記第2分割部とギャップを設けて配置されていてもよい。
【0018】
コイル装置は、ギャップを設けることで、リーケージを調節することもできる。
【0019】
前記第1分割部は、接着部材を介して前記第2分割部と繋がっていてもよい。
【0020】
コアは、第1分割部と第2分割部とを接着部材で繋ぐことで容易に成形することができる。また、接着部材によって各分割部間のギャップを調節することができる。
【0021】
前記脚部の前記ベース部からの突出長さは、前記コイル部の前記底面に平行な方向の厚みより長く構成してもよい。
【0022】
このように構成することで、分割部の間にギャップを形成する場合には、ギャップが第1本体部および第2本体部の側面に配置されず、リーケージの調節をより効率的に行うことが可能になる。
【0023】
前記第1端子部は、前記第1分割部の外側面の一方側に配置してあり、前記第2端子部は、前記第2分割部の外側面の一方側に、前記第1端子部と並んで配置してあってもよい。
【0024】
このように構成することで、コイル装置のインダクタンスを高めることができる。
【0025】
前記第1本体部の幅は、前記第2本体部の幅とは異なっていてもよい。
【0026】
コイル装置は、本体部の幅を変更することでも、インダクタンスを調節することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1図1は一実施形態に係るコイル装置の斜視図である。
図2図2図1に示すコイル装置の一方側の側面図である。
図3図3図1に示すコイル装置の他方側の側面図である。
図4図4図1に示すコイル装置のコイル部の斜視図である。
図5図5図4に示すコイル部の製造工程の模式図である。
図6図6図1に示すコイル装置のコアの斜視図である。
図7図7図1に示すVII-VII線での断面図である。
図8図8図1に示すコイル装置の実装状態を示す側面図である。
図9図9は他の実施形態に係るコイル装置の斜視図である。
図10図10図9に示すコイル装置のコアの斜視図である。
図11図11図9に示すXI-XI線での断面図である。
図12図12はさらに他の実施形態に係るコイル装置の斜視図である。
図13図13図12に示すコイル装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本開示の実施形態を、図面を用いて説明する。必要に応じて図面を参照して説明を行うものの、図示する内容は、本実施形態の理解のために模式的かつ例示的に示したにすぎず、外観や寸法比などは実物と異なり得る。また、以下、実施形態により具体的に説明するが、これらの実施形態に限定されるものではない。
【0029】
第1実施形態
本実施形態に係る図1に示すコイル装置1は、たとえば電源系インダクタなどとして用いられる。
【0030】
図1に示すように、コイル装置1は、コア2と、コイル部40と、を有する。コア2は、頂面2a、底面2b、外側面2c,2d、ベース面2e,2fを有し、Z軸方向の高さH0、X軸方向の奥行L1、Y軸方向の幅L2の略直方体の外形を有するが、形状は特に限定されない。頂面2aと底面2bとはそれぞれZ軸方向に対向しており、外側面2c,2dはそれぞれY軸方向に対向しており、ベース面2e,2fはそれぞれX軸方向に対向している。なお、図面において、X軸方向とY軸方向とZ軸方向とは相互に直交している。
【0031】
コア2の寸法は特に限定されないが、奥行L1はたとえば2.0~8.0mmであり、幅L2はたとえば7.0~15.0mmであり、高さH0はたとえば7.0~20.0mmである。
【0032】
図1に示すように、コア2は、X軸方向に関して互いに向き合う第1分割部10と、第2分割部20とを有する。例示的な実施形態では、第1分割部10と、第2分割部20が組み合わされて、コア2の頂面2a、底面2b、外側面2c,2d、ベース面2e,2fを構成している。なお、明細書において、Z軸に沿って、底面2bが配置してある方向を「下」と称し、頂面2aが配置される方向を「上」と称することがある。また、明細書において、ベース面2e,2fに近い方向を「外」と称し、遠い方向を「内」と称することがある。
【0033】
第1分割部10および第2分割部20は、それぞれX軸方向に対向するように配置されている。第1分割部10と、第2分割部20は、互いに接着部材3等を用いて接合されていてもよい。第1分割部10および第2分割部20は、フェライトあるいは金属磁性体で構成された磁性粉体を、成型および焼結することにより作製されていてもよい。フェライトとしては、特に限定されないが、Ni-Zn系フェライト、Mn-Zn系フェライト等が例示される。金属磁性体としては、特に限定されないが、Fe-Ni合金、Fe-Si合金、Fe-Si-Cr合金、Fe-Co合金、Fe-Si-Al合金などが例示される。
【0034】
図6に示すように、第1分割部10および第2分割部20は、いわゆるE字形状からなるが、形状はこれに限定されない。図6に示すように、第1分割部10は、略平板形状(略直方体形状)のベース部14と、ベース部14から突出する脚部とを有する。脚部は、第1外脚部11と、第2外脚部12と、中脚部13と、を有する。中脚部13は、第1外脚部11と第2外脚部12の間に配置されている。ベース部14のX軸方向の外側の面がベース面2eを構成している。
【0035】
図6に示すように、第1外脚部11、第2外脚部12および中脚部13は、ベース部14の内側からX軸に沿って突出している。第1外脚部11と中脚部13との間には、第1凹部15が形成してある。第1凹部15には、後述するコイル部40の第1導体41の一部が配置される。第2外脚部12と中脚部13との間には、第2凹部16が形成してある。第2凹部16には、後述するコイル部40の第2導体42の一部が配置される。
【0036】
また、第1分割部10と同様に、第2分割部20は、ベース部24と、第1外脚部21と、第2外脚部22と、中脚部23と、を有する。中脚部23は、第1外脚部21と第2外脚部22の間に配置されている。ベース部24のX軸方向の外側の面がベース面2fを構成している。第1外脚部21と中脚部23との間には、第1凹部25が形成してある。第2外脚部22と中脚部23との間には、第2凹部25が形成してある。本実施形態では、第1分割部10および第2分割部20は、X軸方向の両側に向き合って対称な形状を有するが、これに限定されず、寸法等が異なっていてもよい。第1分割部10についての説明は、第2分割部20にも適用される。
【0037】
図4に示すように、コイル部40は、Z軸方向に延びる一対の主面40a,40bを有する板厚Tの屈曲金属板状材からなる。コイル部40を構成する金属板状材は、特に限定されないが、たとえば銅、銅合金、銀、金などの良導体が用いられ得る。板厚Tは特に限定されないが、たとえば、0.2~3mmであってもよい。なお、主面は、板厚方向に垂直な面であり、コイル部40の主面40a,40bは、後述する第1~第2導体では、Z軸方向に延びている。ただし、コイル部40は、主面がX軸方向またはY軸方向に延びるその他の部分を有してもよい。
【0038】
図4に示すように、コイル部40は、第1導体41と、第2導体42と、第3導体43と、を有する。図1に示すように、第1導体41は、コア2の内部に配置される第1本体部411と、第1本体部411と繋がり、一部が底面2b側から下方に突出する第1端子部412と、を有する。
【0039】
第1本体部411は、第1分割部10と第2分割部20との間に配置されている。図3に示すように、第1端子部412は、第1分割部10の外側面2cに配置してある。
【0040】
図1に示すように、第2導体42は、コア2の内部であって第1本体部411よりも底面2bの遠くに配置される第2本体部421と、第2本体部421と繋がり、一部が底面2b側から突出する第2端子部422と、を有する。
【0041】
第2本体部421は、第1分割部10と第2分割部20との間に配置されている。図3に示すように、第2端子部422は、第2分割部20の外側面2cに配置してあり、第1端子部412と並んで配置してある。コア2の底面2bは、第1端子部412および第2端子部422のZ軸下方の端部から高さH1の位置になるように配置されている。
【0042】
図4に示すように、第1本体部411のZ軸方向の幅W1および第2本体部421のZ軸方向の幅W2は、特に限定されない。第1本体部411の幅W1は、第2本体部421の幅W2と、同じであってもよいが、異なっていてもよい。
【0043】
図1に示すように、第3導体43は、第1導体41と第2導体42とを繋ぐ連結部430と、一部が底面2b側から突出する設置部434と、を有する。設置部434は、コア2の外側面2dに配置してある。
【0044】
図2に示すように、連結部430は、第1本体部411から主面40aが第2分割部20の外側面2cに沿うように湾曲した第1接続端部431と、第2本体部421から主面40aが第1分割部10の外側面2cに沿うように湾曲した第2接続端部432と、第1接続端部431と第2接続端部432とをコア2の外側面2cに沿ってクランク状に繋ぐ接続部433と、を有する。
【0045】
図2に示すように、接続部433は、第1部分433aと、第2部分433bと、中間部433cを有する。第1部分433aは、第2分割部20の外側面2d側で、Z軸に沿って延びて、第1接続端部431と中間部433cとを繋いでいる。また、第2部分433bは、第1分割部10の外側面2d側で、Z軸に沿って延びて、第2接続端部432と中間部433cとを繋いでいる。中間部433cは、X軸方向に延在し、X軸方向の一端が第1部分433aに繋がり、他端が第2部分に繋がっている。中間部433cは、第1接続端部431と第2接続端部432との間に配置されている。
【0046】
図2に示すように、接続部433は、中間部433cと第1接続端部431との間に、Z軸方向の所定幅W11の第1の隙間を有する。また、接続部433は、中間部433cと第2接続端部432との間に、Z軸方向の所定幅W21の第2の隙間を有する。第1の隙間の幅W11と第2の隙間の幅W21は、それぞれ、コイル部を構成する金属板状部材の板厚T以上に構成されている。
【0047】
図2に示すように、設置部434は、支持部435と、補強部436と、を有する。支持部435は、第1接続端部431に繋がり、接続部433の第1部分433aとはZ軸方向に沿って反対側に延在する。
【0048】
補強部436は、支持部435に繋がり、X軸方向に延在する。第1接続端部431と補強部436の間に、Z軸方向の所定幅W31の第3の隙間が形成してある。第3の隙間の幅W31は、コイル部を構成する金属板状部材の板厚T以上に構成されている。
【0049】
補強部436のZ軸方向の上部は、コア2の底面2bから高さH2で、外側面2dに沿って配置されている。補強部436のZ軸方向の下部は、コア2の底面2b側から突出している。補強部436のZ軸方向の下部には、凸部441,442が形成してある。コア2の底面2bは、凸部441,442のZ軸下方の端部から高さH1の位置になるように配置されている。
【0050】
高さH1およびH2は、特に限定されないが、実装時の強度や安定性などを考慮して決定してもよい。たとえば高さH1は、コア2の高さH0の5~15%に設定してもよい。また、たとえば高さH2は、コア2の高さH0の5~15%に設定してもよい。
【0051】
コイル部40は、たとえば、図5に示すような形状の1枚の金属板状部材6を以下のように折り曲げて形成することができる。図5では、金属板状部材6は、主面40aをY軸方向の手前側に、主面40bをY軸方向の奥側に配置してある。
【0052】
金属板状部材6をコイル部40に形成するには、まず、図5に示す状態で、折り曲げ線B1において、第1端子部412の主面40aが第1本体部411側に向くように、第1端子部412を第1本体部411に対して手前側に垂直に折り曲げる。次に、折り曲げ線B2において、第2端子部422の主面40aが第2本体部421側に向くように、第2端子部422を第2本体部421に対して手前側に垂直に折り曲げる。
【0053】
さらに、折り曲げ線B3において、第1本体部411を接続部433に対して奥側に垂直に折り曲げる。このように金属板状部材6を折り曲げると、第1端子部412の主面40aが、手前側を向くことになる。さらに、折り曲げ線B4において、第2本体部421を接続部433に対して奥側に垂直に折り曲げる。このように金属板状部材6を折り曲げると、第2端子部422の主面40aが、手前側を向くことになる。
【0054】
図5に示すように、金属板状部材6では、中間部433cと第1本体部411との間に、所定幅W11の第1の隙間が形成してある。また、中間部433cと第2本体部421との間に、所定幅W21の第2の隙間が形成してある。さらに、第1本体部411と補強部436との間に、所定幅W31の第の隙間が形成してある。幅W11、W21、W31は、図4に示す主面40a,40b間の板厚T以上である。このような構成により、コイル部40は、金属板状部材6を折り曲げ成形し易くなっている。コイル部40が、1枚の金属板状部材6から折り曲げ成形で形成されると、各部分を溶接などで接合する必要がなく、作業工程が煩雑でなく、強度の高いコイル部40を製造することができる。
【0055】
図7は、コイル装置1の断面図である。図7に示すように、第1分割部10は、X軸方向に関して第2分割部20と向き合うように配置してある。第1分割部10の脚部11,12,13のそれぞれの端面11a,12a,13aは、第2分割部20の脚部21,22,23のそれぞれの端面21a,22a,23aに対向している。端面11a,12a,13aは、接着部材3を介して、端面21a,22a,23aと固定されている。端面11a,12a,13aと端面21a,22a,23aの間には、幅W0のギャップGが形成されている。ギャップGの幅W0は、特に限定されず、たとえば300μm以下に設計することができる。また、接着部材3は、脚部の端面全体に配置されなくてもよい。さらに、端面同士が直接接触して、ギャップGを形成しないようにしてあってもよい。
【0056】
図7に示すように、第1本体部411および第2本体部421は、第1分割部10および第2分割部20に挟まれている。第1本体部411は、第1分割部10の第1凹部15と、第2分割部20の第1凹部25によって形成される空間に配置されている。第1本体部411の主面40aは、第1分割部10の第1凹部15の底面に対向するように配置され、接着部材3を介して第1凹部15に固定されている。第1本体部411の主面40bは、第2分割部20の第1凹部25の底面に対向するように配置され、接着部材3を介して第1凹部25に固定されている。
【0057】
第2本体部421は、第1分割部10の第2凹部16と、第2分割部20の第2凹部26によって形成される空間に配置されている。第2本体部421の主面40bは、第1分割部10の第2凹部16の底面に対向するように配置され、接着部材3を介して第2凹部16に固定されている。第2本体部421の主面40aは、第2分割部20の第2凹部26の底面に対向するように配置され、接着部材3を介して第2凹部26に固定されている。
【0058】
図7に示すように、脚部11,12,13のベース部14からX軸方向への突出高さH3は、第1本体部411および第2本体部421の厚みTよりも短い。ギャップGは、X軸方向に沿って、第1本体部411および第2本体部421の主面40a,40bの間に位置する。
【0059】
図8に示すように、コイル装置1をPCBなどの実装基板100に実装した場合の一例を示している。図8に示すように、コイル装置1は、実装基板100に対して、第1端子部412、第2端子部422および設置部434をハンダ4などで固定することで実装することができる。このように、コイル装置1を実装基板100などに実装する場合には、コイル部40の板厚Tは、コイル装置1を支えることができる程度の強度を有する程度の厚みに設計される。第1端子部412、第2端子部422および設置部434をY軸方向に折り曲げて実装片を形成してもよい。第1端子部412および第2端子部422に実装片を形成する場合には、必要に応じてコイル部40の板厚Tを薄くしてもよい。実装片を形成する場合には、よりコイル装置1を安定的に実装基板100などに実装することができる。
【0060】
なお、コイル装置1の実装方法は、ハンダ接続に限られない。たとえば、コイル装置1は、圧着によって、実装基板100に実装してもよく、実装基板100に形成した穴に、第1端子部412、第2端子部422および設置部434を挿入して実装してもよい。
【0061】
図8に示すように、コイル装置1は、コア2の底面2bが実装基板100から高さH1の位置にある底上げ構造になっている。そのため、実装基板100に実装すると、コア2の底面2bと、実装基板100との間に、他の電子部品5などを搭載するスペースを作り出される。このように、コイル装置1を搭載する製品では、コイル装置1の実装面に他の電子部品5を搭載することで、装置全体の小型化を実現することができる。
【0062】
図1に示すように、コイル装置1では、第1本体部411は、底面2bに垂直なZ軸方向に、第2本体部421が重なるように配置してある。そのため、コア2の底面2bの面積を小さくすることができる。コイル装置1は、面積が小さい底面2bを、製品の実装基板などに向けて搭載することが可能になる。そのため、実装面積を低減することが可能になり、搭載製品の小型化を実現することができる。なお、第1本体部411と第2本体部421は必ずしも完全に重なっていなくてもよいが、重なる位置に配置することで、インダクタンスを確保しつつ、実装面積の低減を図ることができる。
【0063】
また、コイル部40は、1枚の金属板状部材6から形成されており、所望のインダクタンスを確保するように成形することができ、故障リスクを低減することができる。このようなコイル装置1では、大電流にも対応可能である。
【0064】
また、図1に示すように、第1端子部412および第2端子部422は、コア2の外側面2cに配置してあり、設置部434は、コア2の外側面2dに配置してある。このように構成することで、コイル装置1は、第1端子部412および第2端子部422の一方を入力側、他方を出力側として、コア2の中脚部を軸に1ターンの巻き数が確保される。さらに、コイル装置1のY軸方向の一方側に第1端子部412および第2端子部422が配置され、Y軸方向の他方側に設置部434が配置されることで、実装基板に安定的に実装することができる。
【0065】
本実施形態では、第1端子部412は、第1分割部10の外側面2cに配置してある。第2端子部422は、第2分割部20の外側面2cに、第1端子部412と並んで配置してある。このように構成することで、コイル装置1のインダクタンスを高めることができる。また、インダクタンスを調節するために、第1本体部411の幅W1は、第2本体部421の幅W2とは異なるように構成してもよい。
【0066】
本実施形態では、図6に示すように、第1分割部10は、略平板状のベース部14と、ベース部14から第2分割部20に向けて突出する脚部11,12,13と、を有する。脚部11,12,13の端面11a,12a,13aは、第2分割部20と所定幅W0のギャップを設けて配置されている。このように、所定幅W0のギャップを設けることで、コイル装置1は、リーケージを調節することもできる。
【0067】
また、本実施形態では、第1分割部10は、各端面11a,12a,13aで、接着部材3を介して第2分割部20と繋がっている。このように、コア2は、別途成形された第1分割部10と第2分割部20とを接着部材3で繋ぐことで容易に成形することができる。また、接着部材3によって各分割部間のギャップの所定幅W0を調節することができる。
【0068】
第2実施形態
本実施形態に係る図9に示すコイル装置1aは、コア2の形状が第1実施形態と異なるのみであり、共通する部分の説明は省略し、以下、異なる部分について主として詳細に説明する。以下において説明しない部分は、第1実施形態の説明と同様である。
【0069】
図10に示すように、コア2は、第1分割部10aと第2分割部20aを組み合わせて構成されている。第1分割部10は、いわゆるE字形状からなり、第2分割部20aは、ベース面2fと略平行な内側面2gを有するいわゆるI字形状からなる。
【0070】
図11に示すように、第1分割部10aは、ベース部14からX軸方向に突出する脚部11,12,13を有する。脚部11,12,13の突出高さH3は、第1本体部411および第2本体部421の厚みTよりも長く構成してある。
【0071】
第1本体部411の主面40aは、第1分割部10aの第1凹部15の底面に対向するように配置され、接着部材3を介して第1凹部15に固定されている。第1本体部411の主面40bは、接着部材3を介して第2分割部20aの内側面2gに固定されている。
【0072】
第2本体部421の主面40bは、第1分割部10aの第2凹部16の底面に対向するように配置され、接着部材3を介して第2凹部16に固定されている。第2本体部421の主面40aは、接着部材3を介して第2分割部20aの内側面2gに固定されている。
【0073】
第2分割部20aの内側面2gと脚部11,12,13との間には、所定幅W0のギャップGが形成されている。ギャップGは、第1本体部411の主面40bおよび第2本体部421の主面40aよりもX軸方向に沿って第2分割部20a側に位置する。
【0074】
このように構成することで、ギャップが第1本体部411および第2本体部421の側面に配置されず、リーケージの調節をより効率的に行うことが可能になる。
【0075】
第3実施形態
本実施形態に係る図12に示すコイル装置1bは、コア2に関する構成が第1実施形態と異なるのみであり、共通する部分の説明は省略し、以下、異なる部分について主として詳細に説明する。以下において説明しない部分は、第1実施形態の説明と同様である。
【0076】
コイル装置1bの断面図は図13に示される。本実施形態では、コア2は、磁性材料と樹脂材料を有するモールド材で構成してある。
【0077】
モールド材に用いられる磁性材料は、特に限定されず、たとえば、フェライトあるいは金属磁性体であってもよい。フェライトとしては、特に限定されないが、Ni-Zn系フェライト、Mn-Zn系フェライト等が例示される。金属磁性体としては、特に限定されないが、Fe-Ni合金、Fe-Si合金、Fe-Si-Cr合金、Fe-Co合金、Fe-Si-Al合金などが例示される。モールド材に用いられる樹脂材料は、特に限定されず、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、その他の合成樹脂、あるいはその他の非磁性材料等が例示される。
【0078】
本実施形態のコイル装置10bの製造では、以下の方法を用いてもよい。磁性材料と樹脂材料を有するモールド材とコア2の成形に用いられる金型と図4に示すコイル部40を準備する。コイル装置1bは、コア成形用の金型にモールド材を充填すると共に、コイル部40を所定の位置に配置し、公知の方法でモールド材を圧縮し、コア2を成形することで得られる。なお、コア2の成形には、射出成形などを用いてもよい。
【0079】
図13に示すように、コイル装置1bは、接着部材などを用いなくてもよい。また、コア2は分割部に分かれておらず、分割部の間のギャップなどが形成されていなくてもよい。
【0080】
なお、上述した実施形態は、特許請求の範囲の要旨を逸脱しない範囲内での種々、設計変更した形態も技術的範囲に含むものである。
【符号の説明】
【0081】
1,1a,1b…コイル装置
2…コア
2a…頂面
2b…底面
2c,2d…外側面
2e,2f…ベース面
2g…内側面
10,10a…第1分割部
11…第1外脚部
11a…端面
12…第2外脚部
12a…端面
13…中脚部
13a…端面
14…ベース部
15…第1凹部
16…第2凹部
20,20a…第2分割部
21…第1外脚部
21a…端面
22…第2外脚部
22a…端面
23…中脚部
23a…端面
24…ベース部
25…第1凹部
26…第2凹部
40…コイル部
40a,40b…主面
41…第1導体
411…第1本体部
412…第1端子部
42…第2導体
421…第2本体部
422…第2端子部
43…第3導体
430…連結部
431…第1接続端部
432…第2接続端部
433…接続部
…433a…第1部分
…433b…第2部分
…433c…中間部
434…設置部
435…支持部
436…補強部
441,442…凸部
3…接着部材
4…ハンダ
5…電子部品
6…金属板状部材
100…実装基板
図1
図2
図3
図4
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図10
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図13