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  • 特開-EGRシステム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024089370
(43)【公開日】2024-07-03
(54)【発明の名称】EGRシステム
(51)【国際特許分類】
   F02M 26/09 20160101AFI20240626BHJP
   F02M 26/30 20160101ALI20240626BHJP
   F02M 26/34 20160101ALI20240626BHJP
【FI】
F02M26/09
F02M26/30
F02M26/34
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022204696
(22)【出願日】2022-12-21
(71)【出願人】
【識別番号】000005463
【氏名又は名称】日野自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100130052
【弁理士】
【氏名又は名称】大阪 弘一
(72)【発明者】
【氏名】横川 和弘
【テーマコード(参考)】
3G062
【Fターム(参考)】
3G062EB13
3G062ED08
3G062ED11
(57)【要約】
【課題】EGRガスを安定的に還流可能なEGRシステムを提供する。
【解決手段】EGRシステム20は、エンジン100の排気通路102と吸気通路101とに接続され、排気通路102から排気ガスの少なくとも一部が流入させられると共に、当該排気ガスの一部をEGRガスとして吸気通路101に還流させるためのEGR配管21と、EGR配管21に設けれ、EGRガスを圧縮して吸気通路101に送出するためのEGR圧縮機23と、吸気通路101から分岐すると共にEGR圧縮機23の上流側においてEGR配管21に合流するバイパス通路30と、バイパス通路30に設けられ、吸気通路101側からEGR配管21側に向けて一方向にガスを流通させる第1逆止弁31と、を備える。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンの排気通路と吸気通路とに接続され、前記排気通路から排気ガスの少なくとも一部が流入させられると共に、当該排気ガスの一部をEGRガスとして前記吸気通路に還流させるためのEGR配管と、
前記EGR配管に設けれ、前記EGRガスを圧縮して前記吸気通路に送出するためのEGR圧縮機と、
前記吸気通路から分岐すると共に前記EGR圧縮機の上流側において前記EGR配管に合流するバイパス通路と、
前記バイパス通路に設けられ、前記吸気通路側から前記EGR配管側に向けて一方向にガスを流通させる第1逆止弁と、
を備えるEGRシステム。
【請求項2】
前記EGR配管における前記バイパス通路との接続部よりも上流側に設けられ、前記EGR配管の上流側から下流側に向けて一方向にガスを流通させる第2逆止弁を備える、
請求項1に記載のEGRシステム。
【請求項3】
前記EGR配管に設けられ、前記EGRガスを冷却するためのEGRクーラを備え、
前記第2逆止弁は、前記EGRクーラの下流側に設けられている、
請求項2に記載のEGRシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、EGRシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、吸気装置が記載されている。この吸気装置は、内燃機関からの排気ガスによって回転するタービンとタービンが回転することにより吸入空気を圧縮する第1の圧縮機と第1の圧縮機により圧縮された吸入空気を更に圧縮する第2の圧縮機とを有し、吸入空気を内燃機関に過給する過給機を備えている。また、この吸気装置は、内燃機関からの排気ガスを内燃機関に再循環させる電動ポンプを備える排気再循環装置を備えている。電動ポンプは、排気ガスの圧力を上昇させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-050684号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、一般的な圧縮機は、圧縮機入口の圧力・流量がほとんど変動しない状態、いわゆる定常流を想定して設計されている。一方で、エンジンでは排気の脈動が存在する。したがって、上記特許文献1に記載された吸気装置では、排気の脈動に応じて、排気ガス(EGRガス)を圧縮するための電動ポンプ入口の圧力・流量が大きく変動するため、電動ポンプの安定的な動作、及びEGRガスの安定的な還流が困難となるおそれがある。
【0005】
本開示は、EGRガスを安定的に還流可能なEGRシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係るEGRシステムは、エンジンの排気通路と吸気通路とに接続され、排気通路から排気ガスの少なくとも一部が流入させられると共に、当該排気ガスの一部をEGRガスとして吸気通路に還流させるためのEGR配管と、EGR配管に設けれ、EGRガスを圧縮して吸気通路に送出するためのEGR圧縮機と、吸気通路から分岐すると共にEGR圧縮機の上流側においてEGR配管に合流するバイパス通路と、バイパス通路に設けられ、吸気通路側からEGR配管側に向けて一方向にガスを流通させる第1逆止弁と、を備える。
【0007】
このEGRシステムでは、エンジンの排気通路と吸気通路とに接続され、エンジンからの排気ガスの一部をEGRガスとして吸気通路に還流するためのEGR配管を備えている。EGR配管には、EGRガスを圧縮して吸気通路に送出するためのEGR圧縮機が設けられている。そして、EGR配管におけるEGR圧縮機の上流側には、吸気通路から分岐されたバイパス通路が接続され、当該バイパス通路にはEGR配管側に一方向にガスを流通させる第1逆止弁が設けられている。このため、EGR圧縮機入口におけるEGRガスの圧力及び流量が低下した場合に、バイパス通路及び第1逆止弁を介して吸気通路からEGR配管にガスが導入される。これにより、エンジンの排気に脈動が生じていても、EGR圧縮機入口におけるガスの圧力及び流量の変化が抑制される。この結果、EGR圧縮機の安定的な動作を可能とし、EGRガスの安定した還流が可能となる。
【0008】
本開示に係るEGRシステムは、EGR配管におけるバイパス通路との接続部よりも上流側に設けられ、EGR配管の上流側から下流側に向けて一方向にガスを流通させる第2逆止弁を備えてもよい。この場合、EGR圧縮機側からのガスの逆流が確実に抑制される。
【0009】
本開示に係るEGRシステムは、EGR配管に設けられ、EGRガスを冷却するためのEGRクーラを備え、第2逆止弁は、EGRクーラの下流側に設けられていてもよい。この場合、EGR圧縮機側からEGRクーラ側へのガスの逆流が確実に抑制される。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、EGRガスを安定的に還流可能なEGRシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、一実施形態に係るEGRシステムを備えるエンジンシステムを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、一実施形態に係るエンジンシステムについて、図面を参照して詳細に説明する。図1は、一実施形態に係るEGRシステムを備えるエンジンシステムを示す模式図である。図1に示されるエンジンシステム1は、例えば、トラック等の車両に搭載されている。
【0013】
エンジンシステム1は、エンジン100と、ターボシステム10と、EGR(Exhaust Gas Recirculation)システム20と、を備えている。エンジン100は、一例として、複数のシリンダ100aを備えるレシプロエンジンであり、軽油やガソリン等の燃料が用いられ得る。エンジン100には、エンジン100には、各シリンダ100aに空気を供給するための吸気通路101と、各シリンダ100aの燃焼室で発生した排気ガスを排出するための排気通路102と、が接続されている。
【0014】
ターボシステム10は、タービン11とコンプレッサ12とインタークーラ13とを有している。タービン11は、排気通路102に設けられ、排気通路102を流通する排気ガスの流れによって回転させられる。コンプレッサ12は、吸気通路101に設けられ、連結軸を介してタービン11に接続されている。これにより、コンプレッサ12は、タービン11の回転に伴って回転することにより、空気を圧縮して吸気通路101に送出する。インタークーラ13は、コンプレッサ12の下流側において吸気通路101に設けられ、吸気通路101を流通する空気を外気との熱交換により冷却する。
【0015】
EGRシステム20は、EGR配管21、EGRクーラ22、EGR圧縮機23、バイパス通路30、第1逆止弁31、及び、第2逆止弁32を有している。EGR配管21は、吸気通路101と排気通路102とに接続されている。より具体的には、EGR配管21は、タービン11の上流側において排気通路102に接続されると共に、インタークーラ13の下流側において吸気通路101に接続されている。これにより、EGR配管21は、排気通路102から排気ガスの少なくとも一部が流入させられると共に、当該排気ガスの一部をEGRガスとして吸気通路101に還流させる。
【0016】
EGRクーラ22は、EGR配管21に設けられ、EGR配管21を流通するEGRガスを冷却する。なお、EGR配管21は、排気通路102側において複数(ここでは2つ)に分岐されており、排気通路102の複数の箇所(ここでは2箇所)に接続されている。また、EGR配管21は、EGRクーラ22の上流側において1つに合流した後に再度複数(ここでは2つ)に分岐してEGRクーラ22に接続されている。
【0017】
EGR圧縮機23は、例えば電動ポンプであり、EGRクーラ22の下流側においてEGR配管21に設けられている。EGR圧縮機23は、EGRガスを圧縮して(EGR配管21を介して)吸気通路101に送出する。
【0018】
バイパス通路30は、吸気通路101とEGR配管21とに接続されている。より具体的には、バイパス通路30は、インタークーラ13の下流側において吸気通路101から分岐すると共に、EGRクーラ22の下流側においてEGR配管21に合流するように、吸気通路101及びEGR配管21に接続されている。これにより、バイパス通路30は、吸気通路101を流通する空気の一部をEGR配管21に導入可能に構成されている。
【0019】
第1逆止弁31は、バイパス通路30に設けられている。第1逆止弁31は、吸気通路101側からEGR配管21側に向けて一方向にガス(ここではインタークーラ13を通過した圧縮空気)を流通させる。したがって、第1逆止弁31は、EGR配管21の圧力が吸気通路101の圧力よりも一定以上に低くなった場合に機械的に開状態となり、吸気通路101からEGR配管21内にガスを導入させる。第1逆止弁31を通過したガスは、EGRガスと共にEGR圧縮機23に供給される。
【0020】
第2逆止弁32は、EGR配管21に設けられている。より具体的には、第2逆止弁32は、EGR配管21におけるバイパス通路30との接続部よりも上流側であって、ここではEGRクーラ22の下流側に設けられている。第2逆止弁32は、EGR配管21の上流側から下流側に向けて一方向にガス(EGRガス)を流通させる。これにより、第2逆止弁32は、EGR圧縮機23の入口の圧力がEGRクーラ22の出口の圧力よりも一定以上高くなった場合に機械的に閉状態となり、EGRクーラ22への圧縮空気の逆流を防止する。
【0021】
以上説明したように、本実施形態に係るEGRシステム20では、エンジン100の排気通路102と吸気通路101とに接続され、エンジン100からの排気ガスの一部をEGRガスとして吸気通路101に還流するためのEGR配管21を備えている。EGR配管21には、EGRガスを圧縮して吸気通路101に送出するためのEGR圧縮機23が設けられている。そして、EGR配管21におけるEGR圧縮機23の上流側には、吸気通路101から分岐されたバイパス通路30が接続され、当該バイパス通路30にはEGR配管21側に一方向にガスを流通させる第1逆止弁31が設けられている。
【0022】
このため、EGR圧縮機23入口におけるEGRガスの圧力及び流量が低下した場合、バイパス通路30及び第1逆止弁31を介して吸気通路101からEGR配管21にガスが導入される。これにより、エンジン100の排気に脈動が生じていても、EGR圧縮機23入口におけるガスの圧力及び流量の変化が抑制される。この結果、EGR圧縮機23の安定的な動作を可能とし、EGRガスの安定した還流が可能となる。
【0023】
また、本実施形態に係るEGRシステム20では、上記効果を奏するに際して、圧力差で機械的に動作する逆止弁を利用するため、簡素且つ電子制御不要で低コスト化が図られる。よって、低コストでのEGRシステム20の安定的な運用により、燃費改善及び低Noxの両立が可能となる。
【0024】
また、本実施形態に係る本開示に係るEGRシステム20は、EGR配管21におけるバイパス通路30との接続部よりも上流側に設けられ、EGR配管21の上流側から下流側に向けて一方向にガスを流通させる第2逆止弁32を備えている。このため、EGR圧縮機23側からのガスの逆流が確実に抑制される。
【0025】
さらに、本実施形態に係るEGRシステム20は、EGR配管21に設けられ、EGRガスを冷却するためのEGRクーラ22を備え、第2逆止弁32は、EGRクーラ22の下流側に設けられている。このため、EGR圧縮機23側からEGRクーラ22へのガスの逆流が確実に抑制される。
【0026】
以上の実施形態は、本発明の一側面を説明したものである。したがって、本発明は、上記実施形態に限定されることなく、任意に変形され得る。例えば、EGRシステム20にあっては、第2逆止弁32が省略されてもよい。また、EGRシステム20におけるEGR配管21の分岐及び合流は任意に設定され得る。
【符号の説明】
【0027】
20…EGRシステム、21…EGR配管、22…EGRクーラ、23…EGR圧縮機、30…バイパス通路、31…第1逆止弁、32…第2逆止弁、100…エンジン、101…吸気通路、102…排気通路。
図1