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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024089372
(43)【公開日】2024-07-03
(54)【発明の名称】端子付き導電部材
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/24 20060101AFI20240626BHJP
   H01R 4/18 20060101ALI20240626BHJP
【FI】
H01R13/24
H01R4/18 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022204700
(22)【出願日】2022-12-21
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001966
【氏名又は名称】弁理士法人笠井中根国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100147717
【弁理士】
【氏名又は名称】中根 美枝
(74)【代理人】
【識別番号】100103252
【弁理士】
【氏名又は名称】笠井 美孝
(72)【発明者】
【氏名】川田 祐司
(72)【発明者】
【氏名】宮本 賢次
【テーマコード(参考)】
5E085
【Fターム(参考)】
5E085BB02
5E085BB06
5E085CC03
5E085CC09
5E085DD07
5E085DD20
5E085EE11
5E085EE13
5E085HH06
5E085HH13
5E085JJ03
5E085JJ12
5E085JJ38
(57)【要約】
【課題】配索自由度の向上や導電部材から端子への振動の伝達を抑制できる、端子付き導電部材を開示する。
【解決手段】端子付き導電部材10が、端子12と、導電部材18と、端子12と導電部材18を導通接続する金属製の中継部品34と、を備え、中継部品34は、端子12に固着される第1固着部20と、導電部材18に固着される第2固着部22と、第1固着部20と第2固着部22を連結する筒状の中間連結部24を有し、中間連結部24は、中間連結部24の軸方向に沿って複数の山部26と谷部28が交互に連接されてなる湾曲自在な蛇腹状部30を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
端子と、
導電部材と、
前記端子と前記導電部材を導通接続する金属製の中継部品と、を備え、
前記中継部品は、前記端子に固着される第1固着部と、前記導電部材に固着される第2固着部と、前記第1固着部と前記第2固着部を連結する筒状の中間連結部を有し、
前記中間連結部は、前記中間連結部の軸方向に沿って複数の山部と谷部が交互に連接されてなる湾曲自在な蛇腹状部を含む、端子付き導電部材。
【請求項2】
前記中継部品が、中空状の円筒体の周壁に前記蛇腹状部が設けられてなる金属製のフレキシブルパイプを用いて構成されており、
前記フレキシブルパイプの両端部によって筒状の前記第1固着部と前記第2固着部が構成され、前記第1固着部と前記第2固着部の間に位置する部位によって前記中間連結部が構成され、前記中間連結部の前記軸方向の全長において前記蛇腹状部が設けられている、請求項1に記載の端子付き導電部材。
【請求項3】
前記導電部材が、金属製の単芯線が絶縁被覆されてなる電線によって構成されており、前記電線の端末で前記絶縁被覆から露出した前記単芯線に対して、前記第2固着部が固着されている、請求項1または請求項2に記載の端子付き導電部材。
【請求項4】
前記中継部品の前記第1固着部と前記第2固着部とが、それぞれ筒形状を有し、
前記第1固着部は、前記端子に設けられた筒状の端子側固着部に内嵌または外嵌されて電磁圧接されており、
前記第2固着部は、前記導電部材に設けられた柱状の導電部材側固着部に外嵌されて電磁圧接されている、請求項1又は請求項2に記載の端子付き導電部材。
【請求項5】
前記中継部品が、前記軸方向に相互に離隔して配置された複数の前記蛇腹状部と、隣接する前記蛇腹状部間に配置された径寸法が一定の筒状部を有する、請求項1に記載の端子付き導電部材。
【請求項6】
前記中継部品の前記蛇腹状部の内径寸法および外径寸法が前記軸方向で変化している、請求項1または請求項2に記載の端子付き導電部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、端子付き導電部材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、車載機器間の通電用部材として、被覆電線やバスバー等の導電部材の端末に端子が取り付けられた、端子付き導電部材が広く用いられている。例えば、特許文献1には、被覆電線の端末に露出した芯線が、端子のバレル部に圧着された端子付き電線が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-17345号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年の車載機器の大電流化等に対応するため、端子付き導電部材における端子や導電部材も大型化して、それらの剛性が高くなる傾向にある。その結果、相手方端子に接続された端子から延び出す電線等の導電部材を配索経路に合わせて湾曲させることが難しくなり、端子付き導電部材の配索自由度の低下を招いていた。加えて、端子と電線端末の圧着部位等、端子と導電部材の取付部位の剛性が高い場合には、導電部材に伝達された車両振動等が端子側に伝わりやすくなり、端子が接続される相手方の機器等に破損が生じるおそれもあった。
【0005】
そこで、配索自由度の向上や、導電部材から端子への振動伝達の抑制を図ることができる、端子付き導電部材を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の端子付き導電部材は、端子と、導電部材と、前記端子と前記導電部材を導通接続する金属製の中継部品と、を備え、前記中継部品は、前記端子に固着される第1固着部と、前記導電部材に固着される第2固着部と、前記第1固着部と前記第2固着部を連結する筒状の中間連結部を有し、前記中間連結部は、前記中間連結部の軸方向に沿って複数の山部と谷部が交互に連接されてなる湾曲自在な蛇腹状部を含む、ものである。
【発明の効果】
【0007】
本開示の端子付き導電部材によれば、配索自由度の向上や、導電部材から端子への振動伝達の抑制を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態1に係る端子付き導電部材を示す斜視図である。
図2図2は、図1に示された端子付き導電部材における分解斜視図である。
図3図3は、図1におけるIII-III断面図である。
図4図4は、実施形態2に係る端子付き導電部材を示す斜視図である。
図5図5は、実施形態3に係る端子付き導電部材を示す斜視図である。
図6図6は、実施形態4に係る端子付き導電部材を示す斜視図である。
図7図7は、図6におけるVII-VII断面を拡大して示す横断面図である。
図8図8は、別の態様に係る端子付き導電部材における縦断面図であって、図3に対応する図である。
図9図9は、更に別の態様に係る端子付き導電部材における要部を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<本開示の実施形態の説明>
最初に、本開示の実施態様を列記して説明する。
本開示の端子付き導電部材は、
(1)端子と、導電部材と、前記端子と前記導電部材を導通接続する金属製の中継部品と、を備え、前記中継部品は、前記端子に固着される第1固着部と、前記導電部材に固着される第2固着部と、前記第1固着部と前記第2固着部を連結する筒状の中間連結部を有し、前記中間連結部は、前記中間連結部の軸方向に沿って複数の山部と谷部が交互に連接されてなる湾曲自在な蛇腹状部を含む、ものである。
【0010】
本開示の端子付き導電部材によれば、端子と導電部材とが、金属製の中継部品を介して導通接続されている。さらに、中継部品には、端子に固着される第1固着部と導電部材に固着される第2固着部とを連結する筒状の中間連結部において、湾曲自在な蛇腹状部が設けられている。それゆえ、端子と導電部材の間に配置された中継部品の蛇腹状部を任意の方向に湾曲させることにより、導電部材の延び出し方向を任意の方向に設定することが可能となる。その結果、電線の大径化や単芯線を用いる場合など、導電部材の剛性が高く屈曲が困難な場合でも、中継部品の蛇腹状部を湾曲させることで、端子から延び出す導電部材の方向を配索経路に合わせて配向させることができ、端子付き導電部材の配索自由度の向上を図ることができる。特に、中継部品は金属製であることから、蛇腹状部で湾曲自在であるものの、湾曲した形状の保持性にも優れており、配索経路に合わせた配向状態を有利に保持することができる。
【0011】
加えて、導電部材に車両振動等が伝達される場合でも、中継部品の蛇腹状部の変形により振動を吸収することができる。その結果、導電部材から端子への振動の伝達を抑制することができ、端子が接続される相手方の機器等に破損が生じるおそれを低減または解消することができる。また、中継部品の蛇腹状部により公差吸収性の向上も図ることができる。さらに、端子と導電部材をその間に介在する中継部品で導通接続する構造であることから、端子とバレル部が一体である特許文献1の如き従来構造に比して、第2固着部の形状が端子により制限されることを抑制できる。そのため、端子や導電部材の形状、さらには固着方法に応じて、最適な第1固着部や第2固着部の形状を設定することができ、中継部品を介した端子と導電部材の導電性の向上を有利に図ることができる。
【0012】
なお、導電部材は、被覆電線やバスバー等の導電性を有する部材であれば、いずれも採用可能である。また、中継部品の蛇腹状部は、中間連結部の軸方向全長に亘って設けられていてもよいし、中間連結部の軸方向の一部に、あるいは相互に離隔した複数箇所に設けられていてもよい。
【0013】
(2)上記(1)において、前記中継部品が、中空状の円筒体の周壁に前記蛇腹状部が設けられてなる金属製のフレキシブルパイプを用いて構成されており、前記フレキシブルパイプの両端部によって筒状の前記第1固着部と前記第2固着部が構成され、前記第1固着部と前記第2固着部の間に位置する部位によって前記中間連結部が構成され、前記中間連結部の前記軸方向の全長において前記蛇腹状部が設けられている、ことが好ましい。フレキシブルパイプを用いることで、中間連結部に蛇腹状部を備えた中継部品を有利に構成することができる。特に、中間連結部の軸方向の全長が蛇腹状部であるため、湾曲性を有する部位を長く確保することができ、配索自由度の更なる向上を図ることができる。
【0014】
(3)上記(1)または(2)において、前記導電部材が、金属製の単芯線が絶縁被覆されてなる電線によって構成されており、前記電線の端末で前記絶縁被覆から露出した前記単芯線に対して、前記第2固着部が固着されている、ことが好ましい。導電部材が、単芯線が絶縁被覆されてなる電線である場合、電線の屈曲が難しくなり易い。そのため、上記(1)の構成と組み合わせて採用することにより、単芯線を用いた場合でも、配索自由度の向上や車両振動の伝達抑制が可能な端子付き導電部材を有利に提供することができる。さらに、上記(2)の構成と組み合わせて採用する場合には、単芯線の外周面に筒状の第2固着部を外嵌して、全周にわたって安定して固着させることができ、端子付き導電部材の導通安定性の向上を図ることができる。例えば、電磁圧接による周方向で均一な圧接状態を有利に確保することができる。
【0015】
(4)上記(1)から(3)のいずれか1つにおいて、前記中継部品の前記第1固着部と前記第2固着部とが、それぞれ筒形状を有し、前記第1固着部は、前記端子に設けられた筒状の端子側固着部に内嵌または外嵌されて電磁圧接されており、前記第2固着部は、前記導電部材に設けられた柱状の導電部材側固着部に外嵌されて電磁圧接されている、ことが好ましい。筒状の第1固着部が筒状の端子側固着部に内嵌または外嵌されて電磁圧接され、筒状の第2固着部が柱状の導電部材側固着部に外嵌されて電磁圧接されていることから、電磁圧接による周方向で均一な圧接状態を確保することができ、中継部品を介した端子と導電部材の導電性の向上を有利に図ることができる。
【0016】
(5)上記(1),(3)または(4)のいずれか1つにおいて、前記中継部品が、前記軸方向に相互に離隔して配置された複数の前記蛇腹状部と、隣接する前記蛇腹状部間に配置された径寸法が一定の筒状部を有する、ことが好ましい。隣接する蛇腹状部間に径寸法が一定の筒状部が設けられていることから、中継部品の屈曲方向の自由度を確保しつつ、全体の変形量を規制することができ、他部材との干渉のリスクを抑制することができる。
【0017】
(6)上記(1)から(5)のいずれか1つにおいて、前記中継部品の前記蛇腹状部の内径寸法および外径寸法が前記軸方向で変化している、ことが好ましい。蛇腹状部の内外径寸法が軸方向で変化することにより、中継部品の軸方向で異なる部位に蛇腹状の大径部および小径部を設けることができ、中継部品の屈曲性に軸方向で変化を持たせることができる。これにより、配索自由度の更なる向上を図ることができる。
【0018】
<本開示の実施形態の詳細>
本開示の端子付き導電部材の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本開示は、これらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0019】
<実施形態1>
以下、本開示の実施形態1の端子付き導電部材10について、図1から図3を用いて説明する。端子付き導電部材10は、端子12と、導電部材(後述する電線18)と、端子12と導電部材(電線18)を導通接続する金属製の中継部品(後述するフレキシブルパイプ34)と、を備えている。実施形態1では、導電部材が、金属製の単芯線14が合成樹脂製の絶縁被覆16により被覆された電線18によって構成されており、端子付き導電部材10は、例えば自動車等の車両に配索されてワイヤハーネスを構成するものである。なお、端子付き導電部材10は任意の向きで配置することができるが、以下の説明では、前方または先端側とは図3中の左方をいい、後方または基端側とは図3中の右方をいう。また、軸方向とは、端子付き導電部材10の延びる方向である図3中の左右方向をいう。さらに、複数の同一部材については、一部の部材にのみ符号を付し、他の部材については符号を省略する場合がある。
【0020】
<端子付き導電部材10>
端子付き導電部材10において、中継部品(後述するフレキシブルパイプ34)は、端子12に固着される第1固着部20と、導電部材(電線18)に固着される第2固着部22と、第1固着部20と第2固着部22とを連結する筒状の中間連結部24を有している。また、中間連結部24は、中間連結部24の軸方向に沿って複数の山部26と谷部28とが交互に連接されてなる湾曲自在な蛇腹状部30を含んでいる。実施形態1では、中継部品が、中空状の円筒体32の周壁に蛇腹状部30が設けられてなる金属製のフレキシブルパイプ34を用いて構成されており、中間連結部24の軸方向の全長において蛇腹状部30が設けられている。
【0021】
<端子12>
端子12は、全体として前後方向(軸方向)に延びる略円筒状であり、導電性に優れる金属、例えば銅(銅合金を含む)やアルミニウム(アルミニウム合金を含む)により形成される。端子12の前方部分には、図示しない相手方端子が挿入される略筒状の接続部36が設けられており、接続部36に前方から相手方端子が挿入されることで、端子12(端子付き導電部材10)と相手方端子とが電気的に導通されるようになっている。なお、端子12の形成方法は限定されるものではないが、実施形態1では、金属平板を所定の形状にプレス加工等により折り曲げることで形成されている。
【0022】
具体的には、接続部36の後端部(端子12の前後方向中央部分)には略円筒状の筒状部38が設けられており、筒状部38における周上の3箇所において、前方に突出する弾性接触片40が設けられている。実施形態1では、各弾性接触片40が、周上の3箇所において、略等間隔に設けられている。各弾性接触片40は、それぞれ所定の前後方向寸法および周方向寸法を有しており、相互に独立している。これにより、各弾性接触片40は、径方向で弾性変形が可能とされている。また、各弾性接触片40は、前方に向かうにつれて次第に径方向内方に傾斜しており、接続部36は、全体として前方に向かって次第に小径となるテーパ筒形状として形成されている。この結果、各弾性接触片40の前端部により構成される略円形の挿入口42に対して相手方端子が挿入されることで、各弾性接触片40が径方向外方に弾性変形するとともに、各弾性接触片40の弾性的な復元力により、各弾性接触片40が相手方端子の外周面に圧接されるようになっている。
【0023】
また、端子12の後端部分には、中継部品(フレキシブルパイプ34)における第1固着部20に固着される端子側固着部44が設けられている。端子側固着部44は、金属平板の後端部分を折り曲げることで略円筒形状に形成されており、端子側固着部44における周上の一部(図3中の上方)には、前後方向の全長に延びるスリット46が形成されている。なお、スリット46を挟んだ周方向両側部分を相互に接近させて端子側固着部44を縮径させることができる。これにより、後述するように略円筒形状とされた第1固着部20の前方開口部50に端子12における端子側固着部44を挿入させやすくすることができる。
【0024】
<導電部材(電線18)>
前述のように、実施形態1では、導電部材が、単芯線14が絶縁被覆16により覆われた電線18により構成されている。すなわち、電線18は、比較的大径な1本の芯線(単芯線14)を有しており、実施形態1では、単芯線14が円形断面を有している。そして、電線18の端末(先端部)では絶縁被覆16が軸方向で所定の領域にわたって剥がされており、単芯線14が露出している。この単芯線14において絶縁被覆16が剥がされて外部に露出する部分により、中継部品(フレキシブルパイプ34)における第2固着部22に固着される導電部材側固着部48が構成されている。したがって、導電部材側固着部48は、所定の外径寸法と軸寸法を有する略円柱状とされている。なお、単芯線14は導電性に優れる金属により形成され得て、例えば銅(銅合金を含む)やアルミニウム(アルミニウム合金を含む)により形成され得る。
【0025】
<中継部品(フレキシブルパイプ34)>
前述のように、実施形態1では、中継部品が、中空状の円筒体32の周壁に蛇腹状部30が設けられてなるフレキシブルパイプ34により構成されている。このフレキシブルパイプ34は、導電性に優れる金属により形成され得て、例えば銅(銅合金を含む)やアルミニウム(アルミニウム合金を含む)により形成され得る。また、フレキシブルパイプ34は、前端部において円形の前方開口部50が形成されているとともに、後端部において円形の後方開口部52が形成されている。特に、実施形態1において、円筒体32の前方部分における所定の軸方向寸法にわたる領域は、山部26または谷部28が設けられずに軸方向に略ストレートに延びる領域であり、前方部分において略ストレートに延びる領域により筒状の第1固着部20が構成されている。同様に、円筒体32の後方部分における所定の軸方向寸法にわたる領域は略ストレートに延びており、後方部分において略ストレートに延びる領域により筒状の第2固着部22が構成されている。すなわち、フレキシブルパイプ34の両端部によって、それぞれ筒状とされた第1固着部20および第2固着部22が構成されている。
【0026】
なお、実施形態1において、端子側固着部44に固着される以前の第1固着部20における内径寸法は、端子12における端子側固着部44の外径寸法と等しいか僅かに大きくされている。また、導電部材側固着部48に固着される以前の第2固着部22における内径寸法は、導電部材(電線18)における導電部材側固着部48(単芯線14)の外径寸法と等しいか僅かに大きくされている。
【0027】
そして、これら第1固着部20と第2固着部22との間に位置する部位によって中間連結部24が構成されており、前述のように、実施形態1では、中間連結部24の全長において蛇腹状部30が設けられている。蛇腹状部30の形成方法は限定されるものではないが、例えば略ストレートに延びる金属製の素管(円筒体32)における軸方向中間部分(中間連結部24に相当)の周壁を、軸方向において略一定のピッチで径方向外方へ膨出変形させる、および/または径方向内方へ押込変形させる。これにより、円筒体32における軸方向中間部分において、山部26および谷部28を軸方向において略一定のピッチで交互に連続して設けることができて、この結果、蛇腹状部30が設けられた中間連結部24が形成され得る。そして、蛇腹状部30は、山部26および/または谷部28の変形により、任意の形状に湾曲変形させることができる。特に、実施形態1では、山部26および谷部28がそれぞれ略一定の径方向外方および径方向内方への突出高さをもって周方向の全周にわたって環状に設けられており、蛇腹状部30を何れの方向にも略等しく湾曲変形させることができる。なお、それぞれ略ストレートに延びる第1および第2固着部20,22は変形剛性が大きく、湾曲変形させることが困難である。
【0028】
このようなフレキシブルパイプ34において、第1固着部20における前方開口部50から端子12における端子側固着部44を挿入し、第1固着部20を端子側固着部44に外嵌した状態で、第1固着部20と端子側固着部44とを固着する。また、第2固着部22における後方開口部52から導電部材(電線18)における柱状の導電部材側固着部48を挿入し、第2固着部22を導電部材側固着部48に外嵌した状態で、第2固着部22と導電部材側固着部48とを固着する。これにより、端子12と導電部材(電線18)とが中継部品(フレキシブルパイプ34)により導通接続された端子付き導電部材10が形成される。なお、第1固着部20と第2固着部22とは、略等しい内径寸法、外径寸法および軸方向寸法を有することが好ましい。これにより、フレキシブルパイプ34において、端子12に接続される側である前方と導電部材(電線18)に接続される側である後方とを判別する必要がなく、端子付き導電部材10の製造に際して作業効率の向上が図られる。
【0029】
ここで、第1固着部20と端子側固着部44との固着方法、および第2固着部22と導電部材側固着部48との固着方法は限定されるものではなく、超音波溶接や抵抗溶接等の溶接により固着されてもよいが、実施形態1では、何れも電磁圧接により固着されている。これにより、第1固着部20と端子側固着部44、および第2固着部22と導電部材側固着部48とが、周方向の全周にわたって略均一に固着され得る。特に、実施形態1では、導電部材側固着部48が単芯線14によって構成されていることから、撚線で構成されている場合に比して、第2固着部22との剛性の相違が大きくない。それゆえ、単芯線14と第2固着部22(フレキシブルパイプ34)が異種金属であっても、有効な電磁圧接を行うことができ、各部材の材料の選択自由度の向上も図ることができる。
【0030】
<端子付き導電部材10の製造方法>
以下、フレキシブルパイプ34に対して端子12および導電部材(電線18)を固着して端子付き導電部材10を製造する方法の具体的な一例を説明する。なお、端子付き導電部材10の製造方法は、以下に記載の態様に限定されるものではない。
【0031】
先ず、銅製やアルミニウム製の金属平板をプレス加工等により所定の形状に折り曲げて、端子12を形成する。また、電線18における端末において、絶縁被覆16を剥いで単芯線14を露出させ、柱状の導電部材側固着部48を設ける。さらに、金属製の素管等からなる円筒体32の軸方向中間部分において、軸方向で交互に連続して山部26および谷部28を設けてフレキシブルパイプ34を形成する。
【0032】
そして、フレキシブルパイプ34における第1固着部20の前方開口部50から端子12における端子側固着部44を挿入して、第1固着部20と端子側固着部44とを電磁圧接により固着する。また、フレキシブルパイプ34における第2固着部22の後方開口部52から導電部材(電線18)における導電部材側固着部48を挿入して、第2固着部22と導電部材側固着部48とを電磁圧接により固着する。なお、第1固着部20と端子側固着部44との電磁圧接、および第2固着部22と導電部材側固着部48との電磁圧接は、従来公知の電磁圧接の方法が採用されることから、説明を省略する。そして、これら第1固着部20と端子側固着部44との固着、および第2固着部22と導電部材側固着部48との固着により、端子付き導電部材10が完成する。
【0033】
このような端子付き導電部材10は、端子12と導電部材(電線18)とを導通接続する金属製の中継部品(フレキシブルパイプ34)を備えており、このフレキシブルパイプ34が軸方向中間部分の中間連結部24において湾曲自在な蛇腹状部30を含んでいる。そして、蛇腹状部30を変形させることで、電線18の延出方向に拘らず端子12を所望の方向に向けることができて、端子12と相手方端子との接続をより確実に行うことができる。換言すれば、端子12に対して電線18を任意の方向に延出させることができて、端子付き導電部材10の配索自由度の向上が図られる。また、フレキシブルパイプ34は金属製であることからある程度の剛性を有しており、フレキシブルパイプ34の変形状態で形状を維持することも可能である。これにより、例えば電線18に対して端子12が上方に位置するような状態でも、重力に従って端子12が下方に下がることがなく、端子付き導電部材10を立体的に配索することも可能となる。
【0034】
また、車両の振動等により導電部材(電線18)に対して外力が及ぼされる場合にも、フレキシブルパイプ34の変形により入力された外力が吸収されて、外力が端子12と相手方端子との接続部にまで至ることが防止される。これにより、端子12と相手方端子との接点摩耗等による接続不良の発生や、相手方端子が設けられる機器等の破損が回避される。さらに、フレキシブルパイプ34の変形により公差吸収の効果を発揮することもできて、例えば各部材の公差により端子12と相手方端子の接続が不確実となるおそれが低減され得る。
【0035】
フレキシブルパイプ34の両端部によって筒状の第1固着部20と第2固着部22が構成されているとともに、第1固着部20と第2固着部22の間に位置する部位によって中間連結部24が構成されて、中間連結部24の軸方向の全長において蛇腹状部30が設けられている。第1固着部20および第2固着部22が筒状とされて比較的剛性が大きくされていることから、それぞれ端子12および導電部材(電線18)との固着を安定して実現することができる。また、中間連結部24の軸方向の全長において蛇腹状部30が設けられていることから、フレキシブルパイプ34における変形可能領域を大きく確保することができて、フレキシブルパイプ34の曲げ変形による効果を安定して享受することができる。
【0036】
電線18の端末で絶縁被覆16から露出した単芯線14に対して、第2固着部22が固着されている。電線の芯線として比較的外径寸法の大きい単芯線を採用した場合、端子と単芯線とを直接的に接続した際には、単芯線の剛性により電線の曲げが困難となる場合があるが、単芯線14と端子12とを曲げ変形が容易な蛇腹状部30を有するフレキシブルパイプ34を介して接続することで、端子付き導電部材10の曲げ変形を容易に実現することができる。これにより、電線18の芯線が単芯線14とされる場合であっても、フレキシブルパイプ34の曲げ変形に伴う効果を安定して享受することができる。
【0037】
第1固着部20が略円筒形状とされているとともに、端子側固着部44が略円筒状とされており、第1固着部20が端子側固着部44に外嵌されて電磁圧接により固着されている。また、第2固着部22が略円筒形状とされているとともに、導電部材側固着部48が略円柱状とされており、第2固着部22が導電部材側固着部48に外嵌されて電磁圧接により固着されている。第1固着部20と端子側固着部44、および第2固着部22と導電部材側固着部48とがそれぞれ略対応する形状とされて径方向で重ね合わされた状態で電磁圧接により固着されることで、周方向の全周にわたって略均一に固着することができる。それゆえ、第1固着部20と端子側固着部44、および第2固着部22と導電部材側固着部48との固着強度を十分に確保することができる。また、第1固着部20と端子側固着部44、および第2固着部22と導電部材側固着部48との接続部位における導電性能の向上を図ることができる。
【0038】
<実施形態2>
次に、本開示の実施形態2の端子付き導電部材60について、図4を用いて説明する。実施形態2の端子付き導電部材60は、実施形態1の端子付き導電部材10に対して、中継部品としてのフレキシブルパイプ62の形状が異ならされているとともに、フレキシブルパイプ62の両端に設けられる端子12および導電部材(電線18)の形状は実施形態1と同様である。したがって、以下の説明では、実施形態1と形状が異なるフレキシブルパイプ62について詳述するとともに、実施形態1と実質的に同一の部材および部位には、図中に、実施形態1と同一の符号を付すことにより詳細な説明を省略する。
【0039】
<中継部品(フレキシブルパイプ62)>
実施形態1では、軸方向両端の第1固着部20と第2固着部22とを連結する中間連結部24の全長において蛇腹状部30が設けられていたが、実施形態2では、中間連結部64において複数の蛇腹状部66が軸方向で相互に離隔して配置されているとともに、隣接する蛇腹状部66,66間に径寸法が一定の筒状部68が配置されている。特に、実施形態2では、中間連結部64において前後方向で相互に離隔する2つの蛇腹状部66(前側の第1蛇腹状部66aおよび後側の第2蛇腹状部66b)が設けられており、これら第1および第2蛇腹状部66a,66bが、筒状部68により連結されている。すなわち、中間連結部64における軸方向両端部分に、所定の軸方向寸法を有する第1および第2蛇腹状部66a,66bが設けられているとともに、中間連結部64における軸方向中間部分に筒状部68が設けられている。
【0040】
なお、前述のように、第1および第2固着部20,22は略同形状(略等しい内径寸法、外径寸法および軸方向寸法)であることが好ましく、第1蛇腹状部66aと第2蛇腹状部66bも略同形状であることが好ましい。すなわち、第1蛇腹状部66aと第2蛇腹状部66bとは、略等しい内径寸法、外径寸法および軸方向寸法であることが好ましい。これにより、フレキシブルパイプ62における前後を判別する必要がなく、端子付き導電部材60の製造に際して作業効率の向上が図られる。ここで、第1蛇腹状部66aと第2蛇腹状部66bの内径寸法とは、各谷部28における径方向内方端部を繋ぐ仮想的な円筒の内径寸法であるとともに、第1蛇腹状部66aと第2蛇腹状部66bの外径寸法とは、各山部26における径方向外方端部を繋ぐ仮想的な円筒の外径寸法である。
【0041】
また、フレキシブルパイプ62における筒状部68の内径寸法や外径寸法は限定されるものではないが、例えば第1固着部20および第2固着部22における内径寸法や外径寸法と略等しくされてもよい。すなわち、金属製の素管からフレキシブルパイプ62を形成するに際して、第1および第2蛇腹状部66a,66bの形成領域のみに拡径および/または縮径加工を施すことで、第1および第2固着部20,22と内径寸法や外径寸法が略等しくされた筒状部68が形成され得る。そして、筒状部68も第1および第2固着部20,22と同様に軸方向において略ストレートに延びることから、変形剛性が大きく、湾曲変形させることが困難である。したがって、実施形態2におけるフレキシブルパイプ62では、前後方向で相互に離隔する第1および第2蛇腹状部66a,66bにおいて容易に湾曲変形させることができるとともに、これらの間の筒状部68において湾曲変形が略不能とされている。
【0042】
上記のようなフレキシブルパイプ62を採用する実施形態2の端子付き導電部材60においても、第1固着部20と第2固着部22とを連結する中間連結部64に蛇腹状部66(第1および第2蛇腹状部66a,66b)が設けられていることから、実施形態1と同様の効果が発揮され得る。特に、実施形態2では、複数(2つ)の蛇腹状部66(第1および第2蛇腹状部66a,66b)が軸方向で相互に離隔して設けられているとともに、第1および第2蛇腹状部66a,66b間には径寸法が一定の筒状部68が設けられている。これにより、フレキシブルパイプ62を、第1および第2蛇腹状部66a,66bの形成領域において局所的に曲げることが可能となり、フレキシブルパイプ62における過度な変形を抑制しつつ、フレキシブルパイプ62を所望の形状に湾曲変形させることができる。
【0043】
<実施形態3>
次に、本開示の実施形態3の端子付き導電部材70について、図5を用いて説明する。実施形態3の端子付き導電部材70においても、基本的な構造は実施形態1や実施形態2と同様であり、端子付き導電部材70が、端子72と導電部材である電線74を導通接続する金属製の中継部品76を備えている。また、中継部品76の前端部分には、端子72に固着される第1固着部78が設けられているとともに、中継部品76の後端部分には、電線74に固着される第2固着部80が設けられており、これら第1および第2固着部78,80の間の中間連結部82において湾曲自在な蛇腹状部84が設けられている。特に、実施形態3では、中間連結部82の全長にわたって蛇腹状部84が設けられている。
【0044】
<端子72>
実施形態3では、端子72が、全体として略平板状のバスバーにより形成されており、端子72における後端部において端子側固着部86が構成されている。具体的には、端子72は、前後方向に略ストレートに延びるストレート部88を備えているとともに、ストレート部88の前端部に屈曲部90が設けられて、当該屈曲部90から、軸方向(前後方向)に対して直交する方向に延出部92が延び出している。すなわち、端子72は、全体として略L字状であり、ストレート部88の後端部において所定の軸方向寸法にわたる領域が、第1固着部78が固着される端子側固着部86である。また、延出部92における延出端部(屈曲部90と反対側の端部)には、板厚方向で貫通する貫通孔94が形成されている。
【0045】
そして、例えば端子72における延出部92と図示しない相手方端子とが重ね合わされて、貫通孔94を利用してボルト締結を行うこと等により、端子72と相手方端子とが固定され得る。ここで、端子72と相手方端子とのボルト締結による固定態様は限定されるものではなく、例えば端子72における貫通孔94と相手方端子とを重ね合わせて貫通孔94に挿通されるボルトにより共締めしてもよいし、相手方端子がスタッドボルトにより構成される場合、当該スタッドボルトを貫通孔94に挿通させてナットを締結することで端子72と相手方端子とが固定されるようになっていてもよい。なお、端子72と相手方端子との固定に際しては貫通孔94を利用しなくてもよく、端子72と相手方端子とを接着や溶接により固定してもよい。
【0046】
<導電部材(電線74)>
実施形態3の導電部材も、単芯線14と絶縁被覆16からなる電線74により構成されているが、実施形態3では、電線74の端末において絶縁被覆16が剥がされて外部に露出する単芯線14の前端部分がプレス加工等により略平板状とされている。そして、この平板状とされた単芯線14の前端部分が、導電部材側固着部96である。
【0047】
<中継部品76>
実施形態3の中継部品76は、前述のように、軸方向両端部に第1および第2固着部78,80を備えているとともに、軸方向中間部分における中間連結部82の全長にわたって蛇腹状部84が設けられている。特に、実施形態3では、第1および第2固着部78,80がそれぞれ略平板状とされている。すなわち、前述の図2におけるフレキシブルパイプ34においてそれぞれ略円筒状とされた第1および第2固着部20,22にプレス加工を施して略平板状とすることで、実施形態3における第1および第2固着部78,80が構成されている。したがって、略平板状とされた第1および第2固着部78,80は、それぞれ所定の軸方向寸法を有している。
【0048】
そして、これら第1および第2固着部78,80に対してそれぞれ端子72における端子側固着部86と導電部材(電線74)における導電部材側固着部96が重ね合わされて固着されることで、端子付き導電部材70が構成される。第1固着部78と端子側固着部86との固着方法、および第2固着部80と導電部材側固着部96との固着方法は限定されるものではないが、例えば超音波溶接や抵抗溶接等の従来公知の溶接方法により固着され得る。
【0049】
上記のような構造とされた実施形態3の端子付き導電部材70においても、中継部品76が軸方向両端部に第1および第2固着部78,80を備え、且つこれらを連結する中間連結部82が蛇腹状部84を有していることから、実施形態1,2と同様の効果が発揮され得る。特に、実施形態3では、第1固着部78と端子側固着部86、および第2固着部80と導電部材側固着部96とが、超音波溶接や抵抗溶接等によって溶接されており、例えば実施形態1,2のように第1固着部20と端子側固着部44、および第2固着部22と導電部材側固着部48とが電磁圧接により固着される場合に比べて、端子付き導電部材70を製造するための設備等がより簡易なものとされ得る。
【0050】
<実施形態4>
次に、本開示の実施形態4の端子付き導電部材100について、図6,7を用いて説明する。実施形態4の端子付き導電部材100においても、基本的な構造は実施形態1や実施形態2と同様であり、端子付き導電部材100が、端子12と導電部材である電線74を導通接続する金属製の中継部品102を備えている。なお、実施形態4では、実施形態1における端子12および実施形態3における導電部材(電線74)が採用されており、図中に、これらの符号を付すことにより、端子12および導電部材(電線74)の説明を省略する。そして、中継部品102における前端部分において実施形態1と同様の形状の第1固着部20が設けられているとともに、中継部品102における後端部分において実施形態1や実施形態3とは異なる形状の第2固着部104が設けられている。また、第1固着部20と第2固着部104との間の中間連結部106には蛇腹状部108が設けられているが、蛇腹状部108を構成する山部110の形状が、実施形態1から実施形態3とは異ならされている。
【0051】
<中継部品102>
図6,7に示されるように、中継部品102における第2固着部104は、電線74における導電部材側固着部96に外嵌される略矩形筒状とされている。この第2固着部104は所定の軸方向寸法を有しているとともに、導電部材側固着部96と固着される以前には、導電部材側固着部96と等しいか僅かに大きい開口幅寸法(図7中の左右方向寸法)および開口高さ寸法(図7中の上下方向寸法)を有している。なお、略矩形筒状の第2固着部104は、例えば略円筒状とされた実施形態1の第2固着部22を略矩形筒状にプレス加工等することにより形成され得る。そして、第2固着部104における後方開口部52から導電部材(電線74)における導電部材側固着部96が挿入されて、プレス加工等で第2固着部104にかしめ加工を施したり、超音波溶接や抵抗溶接等で溶接することにより、第2固着部104と導電部材側固着部96とが相互に固着される。
【0052】
また、実施形態4においても、中間連結部106の全長にわたって蛇腹状部108が設けられているが、蛇腹状部108は、周上の一部(図7中の上部)に切欠部112が設けられた山部110を含んで構成されている。すなわち、前述の実施形態1等では、山部26が略一定の径方向外方への突出高さをもって周方向の全周にわたって環状に設けられていたが、実施形態4では、山部110が略一定の径方向外方への突出高さをもって周方向において1周に満たない領域にわたって設けられている。換言すれば、実施形態4では、山部110における外径寸法が周方向で異ならされている。
【0053】
なお、切欠部112の形状は限定されるものではないが、例えば図7に示されるように、軸方向視(前後方向の投影)において略三角形状とされ得る。このような山部110は、例えば実施形態1のように環状に形成した山部26の周方向の一部を切削して切欠部112を設けることで形成されてもよいし、金属製の素管において周方向で1周に満たない領域を径方向外方に膨出変形させることで山部110が形成されるようになっていてもよい。蛇腹状部108において山部110における周上の一部に切欠部112を設けることにより、蛇腹状部108を切欠部112の形成方向(実施形態4では、図7中の上方)に折り曲げた際に隣接する山部110,110同士が当接することがなく、蛇腹状部108を所定の方向に湾曲変形させやすくすることができる。
【0054】
上記のような構造とされた実施形態4の端子付き導電部材100においても、中継部品102が軸方向両端部に第1および第2固着部20,104を備え、且つこれらを連結する中間連結部106が蛇腹状部108を有していることから、実施形態1から実施形態3と同様の効果が発揮され得る。特に、第2固着部104を略矩形筒状とすることで、略平板状とされた導電部材側固着部96の周囲を全周にわたって覆うことができて、第2固着部104と導電部材側固着部96との固着強度の向上が図られる。また、蛇腹状部108を構成する山部110において周上の一部に切欠部112を設けることで、蛇腹状部108を切欠部112の形成方向に湾曲変形させやすくすることもできる。
【0055】
<変形例>
以上、本開示の具体例として、実施形態1から実施形態4について詳述したが、本開示はこの具体的な記載によって限定されない。本開示の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本開示に含まれるものである。例えば次のような実施形態の変形例も本開示の技術的範囲に含まれる。
【0056】
(1)前記実施形態では、フレキシブルパイプ34,62および中継部品76,102において、蛇腹状部30,66,84,108を構成する各山部26,110における外径寸法および各谷部28における内径寸法が軸方向で略一定とされていたが、この態様に限定されるものではない。すなわち、図8に示される端子付き導電部材120のように、中継部品としてのフレキシブルパイプ122において、蛇腹状部124を構成する各山部126における外径寸法および各谷部128における内径寸法は軸方向で異ならされてもよい。これにより、蛇腹状部124の湾曲性に軸方向で変化を持たせることができ、端子付き導電部材120の配索自由度の更なる向上を図ることができる。なお、このような中継部品(フレキシブルパイプ122)は、例えば軸方向中間部分がテーパ状とされた金属製の素管や軸方向で段階的に拡径または縮径された金属製の素管に対して径方向外方および径方向内方への略一定の突出寸法を有する山部および谷部を設けることで形成されてもよいし、ストレートに延びる金属製の素管に対して軸方向で径方向外方および径方向内方への突出寸法を異ならせた山部および谷部を設けることで形成されてもよい。
【0057】
図8に示される態様では、山部126の外径寸法および谷部128の内径寸法が前方から後方になるにつれて段階的に大きくされている。すなわち、蛇腹状部124には、外径寸法および内径寸法が段階的に大きくなる第1領域~第4領域129a~129dが設けられており、これら第1~第4領域129a~129dがそれぞれ所定の軸方向寸法を有している。別の態様として、山部の外径寸法および谷部の内径寸法は前方から後方になるにつれて次第に、要するに第1領域~第4領域129a~129dにおいて外径寸法および内径寸法が軸方向で連続的に、大きくされてもよい。フレキシブルパイプ122において後方部分に比して前方部分をより小径とすることで、後方部分においてある程度の剛性を確保しつつ、前方部分においてより良好な曲がり性を発揮することができる。また、中継部品は、前方から後方に向かって、段階的にまたは次第に、外径寸法および内径寸法が小さくなるようになっていてもよい。
【0058】
(2)前記実施形態では、導電部材が何れも電線18,74により構成されていたが、導電部材は、例えば図9に示されるように、平板状のバスバー130によって構成されてもよく、バスバー130の一方の端部により導電部材側固着部132が構成され、一方の端部と他方の端部を除く中間部位が絶縁被覆134により覆われていてもよい。図9に示される態様では、前記実施形態3に示される中継部品76が採用されており、バスバー130の一方の端部により構成される導電部材側固着部132は、第2固着部80に重ね合わされて溶接等の方法によって固着されているが、前記実施形態4のように第2固着部が外嵌された後、溶接等の方法によって第2固着部に固着されてもよい。
【0059】
(3)前記実施形態では、導電部材である電線18,74の芯線が比較的大径の単芯線14により構成されていたが、より小径な複数の芯線が撚り合わされていてもよい。
【0060】
(4)単芯線の断面形状は、例えば楕円形とされてもよいし、複数の芯線が撚り合わされる場合、全体として楕円形となるように撚り合わされてもよい。これにより、導電部材側固着部が楕円形断面を有するようにされる。同様に、端子側固着部も楕円形断面を有していてもよい。その場合、第1固着部や第2固着部は、端子側固着部や導電部材側固着部の形状に対応して楕円筒形状とされることが好適であり、例えばフレキシブルパイプを構成する円筒体が楕円筒形状であってもよい。すなわち、中間連結部を構成する蛇腹状部(山部および谷部)や、隣接する蛇腹状部間に位置する筒状部も楕円筒形状であってもよい。
【0061】
(5)前記実施形態1,2では、端子12における端子側固着部44が第1固着部20に挿入(内嵌)されるとともに、導電部材(電線18)における導電部材側固着部48が第2固着部22に挿入(内嵌)されていたが、この態様に限定されるものではない。例えば、筒状とされた端子側固着部や導電部材側固着部が第1固着部や第2固着部に外嵌されてもよく、その場合、第1固着部や第2固着部は柱状や平板状であってもよい。
【0062】
(6)前記実施形態および図8の態様に記載した端子12,72は単なる例示であり、本開示に係る端子は任意の形状・構成が採用され得る。同様に、前記実施形態および図8,9の態様に記載した導電部材(電線18,74、バスバー130)は単なる例示であり、本開示に係る導電部材は導電性を有するものであれば任意の形状・構成が採用され得る。
【0063】
(7)中継部品は形状(板厚や蛇腹状部のピッチ等)や材質を変更することで、柔軟度(曲がりやすさ)や導電率を調整することが可能である。また、中継部品や端子、絶縁被覆から露出する芯線(例えば、単芯線)には、従来公知のメッキ等の表面処理が施されてもよい。
【符号の説明】
【0064】
10 端子付き導電部材(実施形態1)
12 端子
14 単芯線
16 絶縁被覆
18 電線(導電部材)
20 第1固着部
22 第2固着部
24 中間連結部
26 山部
28 谷部
30 蛇腹状部
32 円筒体
34 フレキシブルパイプ(中継部品)
36 接続部
38 筒状部
40 弾性接触片
42 挿入口
44 端子側固着部
46 スリット
48 導電部材側固着部
50 前方開口部
52 後方開口部
60 端子付き導電部材(実施形態2)
62 フレキシブルパイプ(中継部品)
64 中間連結部
66 蛇腹状部
66a 第1蛇腹状部
66b 第2蛇腹状部
68 筒状部
70 端子付き導電部材(実施形態3)
72 端子
74 電線(導電部材)
76 中継部品
78 第1固着部
80 第2固着部
82 中間連結部
84 蛇腹状部
86 端子側固着部
88 ストレート部
90 屈曲部
92 延出部
94 貫通孔
96 導電部材側固着部
100 端子付き導電部材(実施形態4)
102 中継部品
104 第2固着部
106 中間連結部
108 蛇腹状部
110 山部
112 切欠部
120 端子付き導電部材(図8
122 フレキシブルパイプ(中継部品)
124 蛇腹状部
126 山部
128 谷部
129a~129d 第1領域~第4領域
130 バスバー(導電部材)
132 導電部材側固着部
134 絶縁被覆
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9