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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024089392
(43)【公開日】2024-07-03
(54)【発明の名称】電池セルの接続構造
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/503 20210101AFI20240626BHJP
   H01M 50/509 20210101ALI20240626BHJP
   H01M 50/548 20210101ALN20240626BHJP
【FI】
H01M50/503
H01M50/509
H01M50/548 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022204732
(22)【出願日】2022-12-21
(71)【出願人】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】100147913
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 義敬
(74)【代理人】
【識別番号】100165423
【弁理士】
【氏名又は名称】大竹 雅久
(74)【代理人】
【識別番号】100091605
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100197284
【弁理士】
【氏名又は名称】下茂 力
(72)【発明者】
【氏名】横山 裕
【テーマコード(参考)】
5H043
【Fターム(参考)】
5H043AA19
5H043BA11
5H043BA16
5H043BA19
5H043CA04
5H043FA04
(57)【要約】
【課題】従来の電池パックでは、電池セルの配置状況に応じてバスバの構造が異なり、製造コストが増大するという課題がある。
【解決手段】
本発明の電池セル11の接続構造10では、第1接続端子33を有する第1電極接続板31と、第1接続端子33及び第2接続端子35を有する第2電極接続板34と、を備える。そして、複数の電池セル11の整列方向において、隣り合う電池セル11同士が直列接続される場合には、第1電極接続板31が用いられる。隣り合う電池セル11同士が並列接続される場合には、第2電極接続板34が用いられる。また、整列方向に配列された複数の電池セル11同士が直並列接続される場合には、第1電極接続板31及び第2電極接続板34が用いられる。この構造により、2種類の第1及び第2電極接続板31,34により、複数の電池セル11の電気的な接続が可能となり、製造コストが大幅に低減される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電池セルが第1方向に積層して配列され、前記第1方向に配列された前記電池セル同士を電気的に接続する電池セルの接続構造であって、
絶縁基材と、前記第1方向と直交する第2方向の前記絶縁基材の第1端部側に形成される第1接続端子と、を有する第1電極接続板と、
前記絶縁基材と、前記第1接続端子と、前記第2方向の前記絶縁基材の第2端部側に形成される第2接続端子と、を有する第2電極接続板と、を備え、
前記電池セルは、前記第2方向の第1端部側に形成される第1電極と、前記第2方向の第2端部側に形成される第2電極と、を有し、
前記第1電極接続板は、前記第1方向に隣り合う前記電池セル間に配設され、隣り合う前記電池セル同士を直列接続し、
前記第2電極接続板は、前記第1方向に隣り合う前記電池セル間に配設され、隣り合う前記電池セル同士を並列接続し、
前記電池セルは、少なくとも前記第1電極接続板または前記第2電極接続板のどちらか一方を用いることで、前記直列接続、前記並列接続あるいは直並列接続されることを特徴とする電池セルの接続構造。
【請求項2】
前記第1電極及び前記第2電極は、それぞれ前記第1方向の前記電池セルの両側面に形成されることを特徴とする請求項1に記載の電池セルの接続構造。
【請求項3】
前記第1電極及び前記第2電極は、それぞれ前記第2方向の前記電池セルの外側へと突出して形成されることを特徴とする請求項1に記載の電池セルの接続構造。
【請求項4】
前記第2電極接続板では、前記第1接続端子と前記第2接続端子との離間距離は、前記第1接続端子が前記第1電極に対して接触状態時に前記第2接続端子が前記第2電極に対して接触状態となる距離であることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の電池セルの接続構造。
【請求項5】
前記第1電極接続板の前記第1接続端子の配置領域は、前記第1電極接続板の前記第1方向へと突出して形成され、
前記第2電極接続板の前記第1接続端子及び前記第2接続端子の配置領域は、それぞれ前記第2電極接続板の前記第1方向へと突出して形成されることを特徴とする請求項3に記載の電池セルの接続構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池セルの接続構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電池パックの構造として、例えば、特許文献1に記載の構造が知られている。
【0003】
複数の電池セルをケース内に収納し、所定の電圧及び容量を出力できるようにした電池パックは、種々の機器や車両等の電源として広く使用される。そして、電池パックを構成する電池モジュールのケース内には複数の電池セルが収納され、上記ケースの第1の側面には、正極端子及び負極端子が形成される。上記ケース内では、複数の電池セルがバスバを介して、直列接続、並列接続、あるいは直並列接続される。
【0004】
上記電池モジュールは、例えば、3段に積層された状態にてブラケットを介して連結して固定され、各正極端子や負極端子は、バスバを介して電気的に接続される。上述したように、電池パックの所定の電圧等に応じて、種々の形状のバスバが準備されると共に、それらのバスバを介して各電池モジュールは、電気的に接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2014-199716号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の電池パックでは、電池パック内に収納する電池モジュール数、電池モジュールのレイアウトや電池モジュール同士の接続方法等を変更する度にバスバの形状も変更する必要がある。そのため、バスバを製作するための型費等、製造コストを低減し難いという課題がある。
【0007】
また、従来の電池パックでは、電気自動車の様に大量の電池モジュールを使用する場合には、バスバの接続箇所が多くなる。そのため、バスバと上記正極端子や負極端子とは、溶接接合等により接続されるが、その接続作業が多くなり、作業が煩雑化するという課題がある。同様に、電池パック内の電池モジュール同士を連結固定する作業も発生し、作業が煩雑化するという課題がある。
【0008】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、少なくとも一方向に整列された複数の電池セルを2種類の電極接続板を用いて、直列接続、並列接続、あるいは直並列接続することが可能な電池セルの接続構造に関する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一実施形態である電池セルの接続構造では、複数の電池セルが第1方向に積層して配列され、前記第1方向に配列された前記電池セル同士を電気的に接続する電池セルの接続構造であって、絶縁基材と、前記第1方向と直交する第2方向の前記絶縁基材の第1端部側に形成される第1接続端子と、を有する第1電極接続板と、前記絶縁基材と、前記第1接続端子と、前記第2方向の前記絶縁基材の第2端部側に形成される第2接続端子と、を有する第2電極接続板と、を備え、前記電池セルは、前記第2方向の第1端部側に形成される第1電極と、前記第2方向の第2端部側に形成される第2電極と、を有し、前記第1電極接続板は、前記第1方向に隣り合う前記電池セル間に配設され、隣り合う前記電池セル同士を直列接続し、前記第2電極接続板は、前記第1方向に隣り合う前記電池セル間に配設され、隣り合う前記電池セル同士を並列接続し、前記電池セルは、少なくとも前記第1電極接続板または前記第2電極接続板のどちらか一方を用いることで、前記直列接続、前記並列接続あるいは直並列接続されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一実施形態である電池セルの接続構造では、第1接続端子を有する第1電極接続板と、第1接続端子及び第2接続端子とを有する第2電極接続板と、を備える。そして、複数の電池セルの整列方向において、隣り合う電池セル同士が直列接続される場合には、第1電極接続板が用いられる。隣り合う電池セル同士が並列接続される場合には、第2電極接続板が用いられる。また、整列方向に配列される複数の電池セル同士が直並列接続される場合には、第1電極接続板及び第2電極接続板が用いられる。この構造により、少なくとも整列方向に配列される複数の電池セルは、2種類の第1電極接続板及び第2電極接続板を用いて、上記直列接続、並列接続、直並列接続に接続可能となる。そして、電池セルは、製造設備が高く、その製造コストも高くなるが、電池セルの構造は1種類とし、上記第1電極接続板及び第2電極接続板により上記3種類の接続構造が実現されることで、製造コストが大幅に低減される。更には、電池セルと上記第1電極接続板や第2電極接続板を積層することで組電池が構成されるため、組電池の製造が簡素化され、その製造コストが低減される。また、組電池のリサイクル時には、電極の固定方法として溶接接合やボルト締結が用いられないことで、その分解性にも優れる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態である電池セルの接続構造を備えた電池パックを説明する斜視図である。
図2】本発明の一実施形態である電池セルの接続構造に用いられる電池セルを説明する斜視図である。
図3A】本発明の一実施形態である電池セルの接続構造に用いられる電極接続板を説明する斜視図である。
図3B】本発明の一実施形態である電池セルの接続構造に用いられる電極接続板を説明する斜視図である。
図4】本発明の一実施形態である電池セルの接続構造を説明する上面図である。
図5】本発明の一実施形態である電池セルの接続構造を説明する上面図である。
図6】本発明の一実施形態である電池セルの接続構造を説明する上面図である。
図7】本発明の他の実施形態である電池セルの接続構造に用いられる電池セルを説明する斜視図である。
図8A】本発明の他の実施形態である電池セルの接続構造に用いられる電極接続板を説明する斜視図である。
図8B】本発明の他の実施形態である電池セルの接続構造を説明する上面図である。
図9A】本発明の他の実施形態である電池セルの接続構造に用いられる電極接続板を説明する斜視図である。
図9B】本発明の他の実施形態である電池セルの接続構造を説明する上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態に係る電池セル11の接続構造10を図面に基づき詳細に説明する。尚、本実施形態の説明の際には、同一の部材には原則として同一の符番を用い、繰り返しの説明は省略する。また、紙面前後方向は電池セル11の厚み幅方向を示し、紙面左右方向は電池セル11の横幅方向を示し、紙面上下方向は電池セル11の高さ方向を示す。そして、紙面前後方向は、電池セル11の整列方向であると共に本発明の第1方向に対応する。紙面左右方向は、本発明の第2方向に対応する。
【0013】
図1は、本実施形態の電池セル11の接続構造10を用いた電池パック13を説明する斜視図である。図2は、本実施形態の電池セル11の接続構造10に用いられる電池セル11を説明する斜視図である。図3Aは、本実施形態の電池セル11の接続構造10に用いられる第1電極接続板31を説明する斜視図である。図3Bは、本実施形態の電池セル11の接続構造10に用いられる第2電極接続板34を説明する斜視図である。図4から図6は、本実施形態の電池セル11の接続構造10を説明する上面図である。
【0014】
図1では、複数の電池セル11が収納された電池パック13を示し、例えば、40個の電池セル11が、4行10列に配列されて電池ケース12内に収納される。図示したように、10個の電池セル11は、縦置き状態にて紙面前後方向である整列方向に配列されると共に、第1電極接続板31を用いて直列接続される。
【0015】
詳細は後述するが、本実施形態の電池セル11の接続構造10では、少なくとも2種類の第1電極接続板31及び第2電極接続板34(図3B参照)を準備する。そして、第1電極接続板31または第2電極接続板34が、少なくとも整列方向に隣り合う電池セル11間にそれぞれ配置されることで、複数の電池セル11が、直列接続、並列接続あるいは直並列接続される。
【0016】
図示したように、電池パック13内には、10個の電池セル11が直列接続された組電池14が4セット収納される。この場合、組電池14では、9枚の第1電極接続板31が準備され、第1電極接続板31が隣り合う電池セル11間にそれぞれ配置されることで、組電池14の直列接続構造が実現される。一方、組電池14同士は、バスバ15を介して直列接続され、高電圧化された電池パック13が形成される。また、図示していないが、組電池14は、電子機器であるBCU(Battery Control Unit)やジャンクションボックスと電気的に接続する。尚、電池パック13の電圧規格に応じて、組電池14同士は、バスバ15を介して並列接続される場合や直並列接続される場合でも良い。
【0017】
本実施形態では、電池セル11及び第1電極接続板31は、電池ケース12内に収納される際に圧入されることで、電池セル11の正極電極板21及び負極電極板22と第1電極接続板34の第1接続端子33とは、所望の接触圧を確保した状態にて電気的に接続した状態となる。尚、第2の電極接続板34の場合も同様に、電池ケース12内へと圧入されることで、所望の接触圧を確保した状態にて電池セル11と電気的に接続する。
【0018】
この構造により、電池セル11の接続構造10では、電池セル11と第1電極接続板31及び第2電極接続板34とを電気的に接続する際に、溶接固定やボルト締結を用いることを省略できる。その結果、組電池14の製造工程が簡素化され、部品点数や材料が減ることで、製造コストが低減される。また、組電池14のリサイクル時には、溶接箇所やボルト締結箇所を取り外す作業が不要であり、電池セル11等を引き抜くことで分解可能となり、作業時間も大幅に短縮される。
【0019】
尚、電池セル11の接続構造10では、上記接触圧が確保され、良好な電気的な接続状態が維持されれば良く、上記圧入構造に限定するものではない。例えば、組電池14の整列方向の両端部の電池セル11と電池ケース12との間に突っ張り部材(図示せず)を配置し、整列方向の両側から電池セル11等を押圧する構造でも良い。
【0020】
また、電池パック13は、例えば、自動車や電車等の車両のフロアの下方に配置され、モータや様々な電装部品に電力を供給する。そして、車両として自動車の場合には、近年、EV(Electrical Vehicle)、HEV(Hybrid Electrical Vehicle)やPHEV(Plug-in Hybrid Electrical Vehicle)等が普及している。
【0021】
尚、本実施形態の電池セル11の接続構造10は、組電池14を構成する複数の電池セル11同士を電気的に接続する際に用いられる場合に限定するものではない。例えば、電池パック13の電池ケース12内に個々の電池セル11が直接配列される際に、それらの電池セル11同士を電気的に接続する際に用いる場合でも良い。その他、本実施形態の電池セル11の接続構造10は、少なくとも複数の電池セル11の整列方向に配列された複数の電池セル11同士を連続して電気的に接続する場合に用いることが出来る。
【0022】
図2に示す如く、電池セル11は、例えば、ニッケル水素電池やリチウムイオン電池等の2次電池である。個々の電池セル11は、例えば、角型平板形状である。そして、電池セル11の長手方向(紙面左右方向)両端部には、正極電極板21及び負極電極板22が形成される。尚、電池セル11としては、上記ニッケル水素電池やリチウムイオン電池に限定されるものではなく、その他、全固体電池等、正極電極板21及び負極電極板22を備える電池が用いられる。また、正極電極板21は、本発明の第1電極に対応し、負極電極板22は、本発明の第2電極に対応する。
【0023】
図示したように、正極電極板21及び負極電極板22は、それぞれ電池セル11の筐体23の側面23A,23Bから外側へと突出して形成される。正極電極板21及び負極電極板22は、それぞれ矩形形状であり、紙面上下方向に延在して形成される。一方、正極電極板21及び負極電極板22は、筐体23の側面23A,23Bの外周端部よりも内側へと窪んだ状態となる。つまり、電池セル11の長手方向の両端部には、筐体23と正極電極板21及び負極電極板22による段差部24が形成される。
【0024】
この構造により、複数の電池セル11の整列方向(紙面前後方向)では、電池セル11の正極電極板21及び負極電極板22は、整列方向の両側から第1電極接続板31または第2電極接続板34の接続端子と電気的に接続することが可能となる。
【0025】
図3Aに示す如く、第1電極接続板31は、絶縁基材32と、絶縁基材32の長手方向(紙面左右方向)の第1端部側に形成される第1接続端子33と、を備える。そして、第1電極接続板31は、複数の電池セル11の整列方向において、隣り合う電池セル11間に配置され、電池セル11同士を直列接続するための部材である。また、第1電極接続板31は、縦置き状態に整列して配列される電池セル11を位置固定し、セパレータとしての機能も果たす。
【0026】
絶縁基材32は、例えば、熱硬化性樹脂等の樹脂材料から形成される絶縁性の板状体である。上述したように、第1電極接続板31は、セパレータとしての機能も果たすため、絶縁基材32は、その平面視において電池セル11と略同形状の角型となる。そして、第1接続端子33としては、例えば、角柱形状のバスバが用いられる。バスバは、絶縁基材32の短手方向(紙面上下方向)の長さと略同一程度の長さに切断され、樹脂モールドにより絶縁基材32と一体に形成される。
【0027】
図示したように、バスバは、整列方向(紙面前後方向)の少なくとも絶縁基材32の側面32A,32B側に露出する。そして、第1電極接続板31では、1本のバスバが絶縁基材32の内部に埋設され、そのバスバの一部が、絶縁基材32の側面32A,32B側の2箇所に露出し、第1接続端子33として用いられる。
【0028】
この構造により、第1電極接続板31の第1接続端子33の配置領域W1は、第1電極接続板31のその他の領域W2よりも肉厚に形成され、突出部36となる。そして、第1電極接続板31が、隣り合う電池セル11間に配設される場合には、第1接続端子33の配置領域W1である突出部36が、電池セル11の段差部24(図2参照)に係合する。そして、電池セル11が、電池セル11の長手方向(紙面左右方向)にずれることを防止する。
【0029】
尚、第1電極接続板31は、第1接続端子33のみを有する構造となるため、絶縁基材32の長手方向の第2端部側には、樹脂材料のみから成る突出部37が形成される。そして、第1電極接続板31では、突出部37は、突出部36と同形状に形成される。この構造により、第1電極接続板31の長手方向の断面視は、略Iの字形状となる。
【0030】
図3Bに示す如く、第2電極接続板34は、絶縁基材32と、絶縁基材32の長手方向(紙面左右方向)の第1端部側に形成される第1接続端子33と、絶縁基材32の長手方向の第2端部側に形成される第2接続端子35と、を備える。ここで、第2電極接続板34は、突出部37に第2接続端子35を有する以外は、第1電極接続板31と同じ構造である。そして、第2接続端子35の構造も第1接続端子33の構造と同じである。そして、第1接続端子33と第2接続端子35との離間距離は、同時に電池セル11の正極電極板21及び負極電極板22と電気的に接続可能な距離となる。
【0031】
この構造により、第2電極接続板34は、複数の電池セル11の整列方向において、隣り合う電池セル11間に配置され、電池セル11同士を並列接続するための部材となる。また、第2電極接続板34も第1電極接続板31と同様に、セパレータとしての機能を果たす。尚、第2電極接続板34の説明は、適宜、第1電極接続板31の説明を参照する。
【0032】
つまり、第1電極接続板31及び第2電極接続板34は、両構造とも突出部36,37を有するが、突出部37にバスバが配置されるか、否かの違いである。そのため、第1電極接続板31及び第2電極接続板34は、同一の金型を用いて成形することが出来るので、金型費用が低減される。
【0033】
図4は、複数の電池セル11が縦置き状態にて配置され、第1電極接続板31を介して直列接続された状態を説明する上面図である。
【0034】
図示したように、本実施形態の電池セル11の接続構造10では、直列接続の場合には、隣り合う電池セル11の正極電極板21と負極電極板22とが対向するように、複数の電池セル11は、正極電極板21と負極電極板22との位置が互い違いとなるように整列方向(紙面前後方向)に配置される。
【0035】
一方、電池セル11の直列接続の場合には、第1電極接続板31のみが用いられ、第1電極接続板31は、隣り合う電池セル11間にそれぞれ配置される。そして、第1接続端子33が紙面右側、紙面左側、紙面右側、紙面左側へと順次互い違いに位置するように、第1電極接続板31は電池セル11間に配置される。このとき、第1電極接続板31は、垂直方向へと180度回転させることで、第1接続端子33の位置を入れ替え、上記直列接続に対応可能となる。
【0036】
更には、丸印41,42にて示すように、第1電極接続板31の突出部36,37が、隣り合う電池セル11の正極電極板21と負極電極板22との間に係合する。言い換えると、電池セル11が、第1電極接続板31の突出部36,37の間に係合し、位置固定される。この構造により、電池セル11は、車両の振動等により電池セル11の長手方向(紙面左右方向)にずれ難くなる。そして、電池セル11の正極電極板21及び負極電極板22と第1電極接続板31の第1接続端子33との接触状態が維持され、電池セル11と第1電極接続板31との電気的接続状態が良好に維持される。
【0037】
尚、上述したように、電池セル11の正極電極板21及び負極電極板22と第1電極接続板31の第1接続端子33とは、電池セル11等が電池ケース12内へと圧入されることで上記整列方向へと押圧されることでも、電気的接続状態が維持される。
【0038】
図5は、複数の電池セル11が縦置き状態にて配列され、第2電極接続板34を介して並列接続された状態を説明する上面図である。
【0039】
図示したように、本実施形態の電池セル11の接続構造10では、並列接続の場合には、隣り合う電池セル11の正極電極板21同士及び負極電極板22同士がそれぞれ対向するように、複数の電池セル11は、整列方向(紙面前後方向)に配置される。
【0040】
一方、電池セル11の並列接続の場合には、第2電極接続板34のみが用いられ、第2電極接続板34は、隣り合う電池セル11間にそれぞれ配置される。図示したように、同一構造の第2電極接続板34を複数枚準備することで上記並列接続に対応可能となり、製造コストが大幅に低減される。
【0041】
更には、丸印51,52にて示すように、第2電極接続板34の突出部36,37が、隣り合う電池セル11の正極電極板21間や負極電極板22間に係合する。言い換えると、電池セル11が、第2電極接続板34の突出部36,37の間に係合し、位置固定される。この構造により、電池セル11は、車両の振動等により電池セル11の長手方向(紙面左右方向)にずれ難くなる。そして、電池セル11と第2電極接続板34との電気的接続状態が良好に維持される。
【0042】
図6は、複数の電池セル11が縦置き状態にて配列され、第1電極接続板31及び第2電極接続板34を介して直並列接続された状態を説明する上面図である。
【0043】
図示したように、本実施形態の電池セル11の接続構造10では、直並列接続の場合には、第1電極接続板31と第2電極接続板34とを用い、図4を用いて説明した直列接続構造と図5を用いて説明した並列接続とが併用される。
【0044】
複数の電池セル11の直並列接続の場合においても、2種類の第1電極接続板31と第2電極接続板34とをそれぞれ複数枚準備することで対応可能となり、製造コストが大幅に低減される。また、電池セル11が、第1電極接続板31と第2電極接続板34とを用いて位置固定されることで、電池セル11と第1電極接続板31及び第2電極接続板34との電気的接続状態が良好に維持される。
【0045】
上述したように、本実施形態の電池セル11の接続構造10では、図2に示すように、正極電極板21及び負極電極板22がそれぞれ電池セル11の筐体23の側面23A,23Bから外側へと突出した1種類の電池セル11が用いられる。通常、電池セル11を製造するための製造設備は高額であり、電池セル11の製造コストも高くなる。しかしながら、電池セル11の接続構造10では、1種類の電池セル11と2種類の第1電極接続板31及び第2電極接続板34により、直列接続構造、並列接続構造、あるいは直並列接続構造が可能となり、製造コストが大幅に低減される。
【0046】
次に、本発明の他の実施形態に係る電池セル61の接続構造60を図面に基づき詳細に説明する。尚、本実施形態の説明の際には、同一の部材には原則として同一の符番を用い、繰り返しの説明は省略する。また、紙面前後方向は電池セル61の厚み幅方向を示し、紙面左右方向は電池セル61の横幅方向を示し、紙面上下方向は電池セル61の高さ方向を示す。そして、紙面前後方向は、電池セル61の整列方向であり、本願発明の第1方向に対応する。紙面左右方向は、本願発明の第2方向に対応する。
【0047】
本実施形態の電池セル61の接続構造60と上述した電池セル11の接続構造10とは、電池セル61の正極電極板62及び負極電極板63の位置が、電池セル61の筐体64の内側の側面に形成される構造において、電池セル11の構造と異なる。しかしながら、本実施形態の電池セル61の接続構造60においても、第1接続端子73のみを有する第1電極接続板71と、第1接続端子73及び第2接続端子74を有する第2電極接続板72との2種類の電極接続板により、複数の電池セル61の直列接続、並列接続、あるいは直並列接続を構成することは、電池セル11の接続構造10と同様である。
【0048】
そのため、以下の説明では、電池セル61、第1電極接続板71及び第2電極接続板72の構造を中心に説明し、適宜、図1から図6を用いて説明した電池セル11の接続構造10の説明を参照し、繰り返しの説明は省略する。
【0049】
図7は、本実施形態の電池セル61の接続構造60に用いられる電池セル61を説明する斜視図である。図8Aは、本実施形態の電池セル61の接続構造60に用いられる第1電極接続板71を説明する斜視図である。図8Bは、本実施形態の電池セル61の接続構造60を説明する上面図である。図9Aは、本実施形態の電池セル61の接続構造60に用いられる第2電極接続板72を説明する斜視図である。図9Bは、本実施形態の電池セル61の接続構造60を説明する上面図である。
【0050】
図7に示す如く、電池セル61としては、電池セル11と同じ電池が採用される。そして、電池セル61の正極電極板62及び負極電極板63は、それぞれ電池セル61の筐体64の側面64A,64Bに形成される。正極電極板62は、平面視略長方形形状であり、電池セル61の長手方向(紙面左右方向)の第1端部側に形成される。負極電極板63は、平面視略長方形形状であり、電池セル61の長手方向(紙面左右方向)の第2端部側に形成される。そして、図示していないが筐体64の側面64Bにも、側面64Aと同じ位置に正極電極板62及び負極電極板63が形成される。尚、正極電極板62は、本発明の第1電極に対応し、負極電極板63は、本発明の第2電極に対応する。
【0051】
図8Aに示す如く、第1電極接続板71は、絶縁基材75と、絶縁基材75の長手方向(紙面左右方向)の第1端部側に形成される第1接続端子73と、を備える。そして、第1電極接続板71は、複数の電池セル61の整列方向において、隣り合う電池セル61間に配置され、電池セル61同士を直列接続するための部材である。また、第1電極接続板71は、縦置き状態に整列して配列される電池セル61を位置固定し、セパレータとしての機能も果たす。
【0052】
絶縁基材75は、例えば、熱硬化性樹脂等の樹脂材料から形成される絶縁性の板状体である。上述したように、第1電極接続板71は、セパレータとしての機能も果たすため、絶縁基材75は、その平面視において電池セル61と略同形状の角型となる。そして、第1接続端子73としては、例えば、平板形状のバスバが用いられる。バスバは、絶縁基材32の短手方向(紙面上下方向)の長さと略同一程度の長さに切断され、樹脂モールドにより絶縁基材75と一体に形成される。
【0053】
図示したように、バスバは、整列方向(紙面前後方向)の少なくとも絶縁基材75の側面75A,75B側に露出する。そして、第1電極接続板71では、1本のバスバが絶縁基材75の内部に埋設され、そのバスバの一部が、第1電極接続板71の側面75A,75B側の2箇所に露出し、第1接続端子73として用いられる。
【0054】
また、第1電極接続板71では、整列方向(紙面前後方向)におけるバスバの厚みは、絶縁基材75の厚みよりも若干厚くなる。そして、第1接続端子73は、絶縁基材75の側面75A,75Bよりも数mm程度、整列方向の両側へと突出する。尚、第1電極接続板71は、第1接続端子73のみを有する構造となるため、絶縁基材75の長手方向の第2端部側には、樹脂材料が数ミリ程度突出した構造が形成される。
【0055】
図8Bは、複数の電池セル61が縦置き状態にて配置され、第1電極接続板71を介して直列接続された状態を説明する上面図である。
【0056】
図示したように、本実施形態の電池セル61の接続構造60では、直列接続の場合には、隣り合う電池セル61の正極電極板62と負極電極板63とが対向するように、複数の電池セル61は、正極電極板62と負極電極板63との位置が互い違いとなるように整列方向(紙面前後方向)に配置される。
【0057】
上述したように、第1接続端子73は、絶縁基材75の側面75A,75Bよりも整列方向へと突出することで、第1接続端子73は、電池セル61の正極電極板62及び負極電極板63と接触し易い構造となる。そして、電池セル61及び第1電極接続板71は、例えば、電池ケース12への配列時に圧入され、整列方向へと押圧されることで、電気的接続状態を維持するが、上記第1接続端子73の構造により良好な接触状態を維持し易くなる。
【0058】
また、電池セル61の接続構造60においても、電池セル11の接続構造10と同様に、第1電極接続板71のみが用いられ、複数の電池セル61の直列接続構造が実現される。この構造により、同一構造の第1電極接続板71を複数枚準備することで上記直列接続に対応可能となる。
【0059】
更には、第1電極接続板71は、その平面視において電池セル61と略同等の大きさであり、電池セル61の配置領域に一緒に配置することが可能となる。その結果、電池ケース12や組電池14の枠体(図示せず)の大きさにより、絶縁基材75の大きさ等を変更することが不要となり、製造コストが大幅に低減される。
【0060】
図9Aに示す如く、第2電極接続板72は、絶縁基材75と、絶縁基材75の長手方向(紙面左右方向)の第1端部側に形成される第1接続端子73と、絶縁基材75の長手方向の第2端部側に形成される第2接続端子74と、を備える。ここで、第2電極接続板72は、第2接続端子74を有する以外は、第1電極接続板71と同じ構造である。そして、第2接続端子74の構造も第1接続端子73の構造と同じ構造である。
【0061】
この構造により、第2電極接続板72は、複数の電池セル61の整列方向において、隣り合う電池セル61間に配置され、電池セル61同士を並列接続するための部材となる。また、第2電極接続板72も第1電極接続板71と同様に、セパレータとしての機能を果たす。また、第1電極接続板71及び第2電極接続板72は、同一の金型を用いて成形することが出来るので、金型費用が低減される。尚、第2電極接続板72の説明は、適宜、第1電極接続板71の説明を参照する。
【0062】
図9Bは、複数の電池セル61が縦置き状態にて配列され、第2電極接続板72を介して並列接続された状態を説明する上面図である。
【0063】
図示したように、本実施形態の電池セル61の接続構造60では、並列接続の場合には、隣り合う電池セル61の正極電極板62同士及び負極電極板63同士がそれぞれ対向するように、複数の電池セル11は、整列方向(紙面前後方向)に配置される。
【0064】
一方、電池セル61の並列接続の場合には、第2電極接続板72のみが用いられ、第2電極接続板72は、隣り合う電池セル61間にそれぞれ配置される。図示したように、同一構造の第2電極接続板72を複数枚準備することで上記並列接続に対応可能となり、製造コストが大幅に低減される。
【0065】
上述したように、第1接続端子73及び第2接続端子74は、絶縁基材75の側面75A,75Bよりも整列方向へと突出することで、第1接続端子73及び第2接続端子74は、電池セル61の正極電極板62及び負極電極板63と接触し易い構造となる。そして、電池セル61及び第2電極接続板72は、例えば、電池ケース12への配列時に圧入され、整列方向へと押圧されることで、電気的接続状態を維持するが、上記第1接続端子73及び第2接続端子74の構造により良好な接触状態を維持し易くなる。
【0066】
次に、電池セル61の接続構造60においても、電池セル11の接続構造10と同様に、第1電極接続板71及び第2電極接続板72を用いて直並列接続構造が実現される。図示していないが、整列方向へと配列された複数の電池セル61の直列接続の箇所では、図8Bを用いて説明したように、隣り合う電池セル61同士が、第1電極接続板71を用いて電気的に接続される。一方、複数の電池セル61の並列接続の箇所では、図9Bを用いて説明したように、隣り合う電池セル61同士が、第2電極接続板72を用いて電気的に接続される。
【0067】
複数の電池セル61の直並列接続の場合においても、2種類の第1電極接続板71と第2電極接続板72とをそれぞれ複数枚準備することで対応可能となり、製造コストが大幅に低減される。
【0068】
上述したように、本実施形態の電池セル61の接続構造60においても、図7に示す1種類の電池セル11と2種類の第1電極接続板71及び第2電極接続板72により、直列接続構造、並列接続構造、あるいは直並列接続構造が可能となり、製造コストが大幅に低減される。
【0069】
また、電池セル61と第1電極接続板71及び第2電極接続板72とを電気的に接続する際に、溶接固定やボルト締結を用いることを省略できる。その結果、組電池14の製造工程が簡素化され、部品点数や材料が減ることで、製造コストが低減される。また、組電池14のリサイクル時には、溶接箇所やボルト締結箇所を取り外す作業が不要であり、電池セル11等を引き抜くことで分解可能となり、作業時間も大幅に短縮される。
【0070】
尚、本実施形態では、複数の電池セル11,61が、例えば、電池ケース12の底面に対して縦置き状態に配置される。そして、少なくとも整列方向(紙面前後方向)に配列された複数の電池セル11,61が、上記接続構造10,60により、直列接続、並列接続、あるいは直並列接続される場合について説明したが、この場合に限定するものではない。例えば、複数の電池セル11,61が、例えば、電池ケース12の底面に対して平置き状態に配置され、電池ケース12の高さ方向に積層して配列される場合においても、高さ方向に隣り合う電池セル11,61間に第1電極接続板31,71や第2電極接続板34,72が配置されることで、複数の電池セル11,61が、上記接続構造10,60により、直列接続、並列接続、あるいは直並列接続される場合でも良い。
【0071】
また、電池セル11の接続構造10では、図4から図6を用いて説明したように、第1電極接続板31及び第2電極接続板34の突出部36,37の間に電池セル11の筐体23の長手方向(紙面左右方向)が係合する場合について説明したが、この場合に限定するものではない。例えば、第1電極接続板31及び第2電極接続板34が、更にその長手方向(紙面左右方向)に長くなり、突出部36,37の間に電池セル11の正極電極板21及び負極電極板22を含めて係合される場合でも良い。この場合には、第1接続端子33及び第2接続端子35が、突出部36,37の内側面36A,37A(図3A及び図3B参照)側に露出する。そして、第1接続端子33及び第2接続端子35が、突出部36,37の内側に配設される正極電極板21及び負極電極板22と電気的に接続する場合でも良い。その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲にて種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0072】
10,60 電池セルの接続構造
11,61 電池セル
12 電池ケース
13 電池パック
14 組電池
15 スペーサ
21,62 正極電極板
22,63 負極電極板
23,64 筐体
24 段差部
31,71 第1電極接続板
32,75 絶縁基材
33,73 第1接続端子
34,72 第2電極接続板
35,74 第2接続端子
36,37 突出部
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9A
図9B