IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 富士重工業株式会社の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024089393
(43)【公開日】2024-07-03
(54)【発明の名称】電池セルの接続構造
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/503 20210101AFI20240626BHJP
   H01M 50/509 20210101ALI20240626BHJP
   H01M 50/548 20210101ALI20240626BHJP
【FI】
H01M50/503
H01M50/509
H01M50/548 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022204733
(22)【出願日】2022-12-21
(71)【出願人】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】100147913
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 義敬
(74)【代理人】
【識別番号】100165423
【弁理士】
【氏名又は名称】大竹 雅久
(74)【代理人】
【識別番号】100091605
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100197284
【弁理士】
【氏名又は名称】下茂 力
(72)【発明者】
【氏名】横山 裕
【テーマコード(参考)】
5H043
【Fターム(参考)】
5H043AA19
5H043BA11
5H043CA04
5H043FA04
(57)【要約】
【課題】従来の電池パックでは、電池セルの配置状況に応じてバスバの構造が異なり、製造コストが増大するという課題がある。
【解決手段】
本発明の電池セル11の接続構造10では、平置き状態の複数の電池セル11が整列方向に配列されると共に、電池セル11の厚み方向へと1段以上にて積層して配置される。電極接続板31は、第1接続端子33、第2接続端子34、第3接続端子35、第4接続端子36の配置または非配置の組み合わせにより、複数パターン準備される。この構造により、電池セル11の接続構造10が、1種類の電池セル11と複数種類の電極接続板31により形成されることで、電池セル11の製造コストが低減され、上記接続構造10を備えた組電池14の製造コストも大幅に低減される。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電池セルが平置き状態にて第1方向に配列されると共に前記第1方向と直交する前記電池セルの厚み方向に少なくとも1層以上配列され、電極接続板を介して前記電池セルを電気的に接続する電池セルの接続構造であって、
前記電池セルは、前記第1方向と直交する第2方向の第1端部側に形成される第1電極と、前記第2方向の第2端部側に形成される第2電極と、を有し、
前記電極接続板は、絶縁基材と、前記厚み方向における前記絶縁基材の第1主面の少なくとも前記第1端部側または前記第2端部側に形成される第1接続端子と、前記第1主面と反対側の前記絶縁基材の第2主面の少なくとも前記第1端部側または前記第2端部側に形成される第2接続端子と、前記第1端部側あるいは前記第2端部側のどちらか一方の前記絶縁基材の前記厚み方向に形成され、前記第1接続端子と前記第2接続端子とを電気的に接続し、あるいは、前記絶縁基材を貫通して前記第1主面と前記第2主面から露出する第3接続端子と、前記第3接続端子の反対側の前記第2端部側あるいは前記第1端部側のどちらか一方の前記絶縁基材の前記厚み方向に形成され、前記第1接続端子と前記第2接続端子とを電気的に接続し、あるいは、前記絶縁基材を貫通して前記第1主面と前記第2主面から露出する第4接続端子と、を有し、
少なくとも前記電極接続板の前記第1接続端子または前記第2接続端子は、前記第1方向に隣り合う前記電池セルの境界を跨ぐように配設され、
前記電極接続板は、前記第1接続端子、前記第2接続端子、前記第3接続端子及び前記第4接続端子の配置または非配置の組み合わせにより前記第1方向に隣り合う前記電池セル同士を電気的接続状態あるいは電気的非接続状態とすることで、前記電池セルは、直列接続、並列接続あるいは直並列接続されることを特徴とする電池セルの接続構造。
【請求項2】
前記電池セルが、前記厚み方向に2層以上積層して配列される場合には、前記電極接続板は各階層の前記電池セル間に挟まれて配置され、
前記第3接続端子及び前記第4接続端子は、前記第1方向に隣り合う前記電池セルの境界を跨がないように配設されると共に、前記厚み方向に隣り合う前記電池セル同士を前記電気的接続状態とすることを特徴とする請求項1に記載の電池セルの接続構造。
【請求項3】
前記電極接続板の前記絶縁基材は、前記第1端部側にて前記第1方向に隣り合う前記電池セルの境界を跨ぐように配設されると共に、前記第2端部側にて前記第1方向に隣り合う前記電池セルの境界を跨がないように配設されることを特徴とする請求項1に記載の電池セルの接続構造。
【請求項4】
複数の電池セルが平置き状態にて第1方向に配列されると共に前記第1方向と直交する前記電池セルの厚み方向に少なくとも1層以上配列され、電極接続板を介して前記電池セルを電気的に接続する電池セルの接続構造であって、
前記電池セルは、前記第1方向の第1端部側に形成される第1電極と、前記第1方向の第2端部側に形成される第2電極と、を有し、
前記電極接続板は、絶縁基材と、前記厚み方向における前記絶縁基材の第1主面側に形成される第1接続端子と、前記第1主面と反対側の前記絶縁基材の第2主面側に形成される第2接続端子と、前記絶縁基材の前記厚み方向に形成され、前記第1接続端子と前記第2接続端子とを電気的に接続し、あるいは、前記絶縁基材を貫通し前記第1主面と前記第2主面から露出する第3接続端子と、前記絶縁基材の前記厚み方向に形成され、前記第1接続端子と前記第2接続端子とを電気的に接続し、あるいは、前記絶縁基材を貫通し前記第1主面と前記第2主面から露出する第4接続端子と、を有し、
前記電極接続板の前記第1接続端子及び前記第2の接続端子は、少なくとも前記第1方向に隣り合い、前記第1電極と前記第2電極とが対向して配置される前記電池セルの境界を跨ぐように配設され、
前記電極接続板は、前記第1接続端子、前記第2接続端子、前記第3接続端子及び第4接続端子の配置または非配置の組み合わせにより前記第1方向に隣り合う前記電池セル同士を電気的接続状態あるいは電気的非接続状態とすることで、前記電池セルは、直列接続、並列接続あるいは直並列接続されることを特徴とする電池セルの接続構造。
【請求項5】
前記電池セルが、前記厚み方向に2層以上積層して配列される場合には、前記電極接続板は、各階層の前記電池セル間に挟まれて配置され、
前記第3接続端子及び前記第4接続端子は、前記厚み方向に隣り合う前記電池セル同士を前記電気的接続状態とすることを特徴とする請求項4に記載の電池セルの接続構造。
【請求項6】
前記電極接続板は、前記第1方向に配列された複数の前記電池セルに対して1枚の前記絶縁基材にて形成され、
少なくとも前記第1接続端子、前記第2接続端子、前記第3接続端子または前記第4接続端子のいずれかが、前記第1方向に隣り合う前記電池セルの境界を跨ぐように配設されることを特徴とする請求項1に記載の電池セルの接続構造。
【請求項7】
前記電極接続板は、前記第1方向に配列された複数の前記電池セルに対して1枚の前記絶縁基材にて形成され、
前記第1接続端子及び前記第2接続端子は、前記第1方向に隣り合う前記電池セルの境界を跨ぐように配設されることを特徴とする請求項4に記載の電池セルの接続構造。
【請求項8】
前記第1電極及び前記第2電極は、それぞれ前記電池セルの外側へと突出して形成されることを特徴とする請求項1または請求項4に記載の電池セルの接続構造。
【請求項9】
前記電極接続板の前記第1接続端子と前記第2接続端子との配置領域は、前記絶縁基材の前記厚み方向へと突出して形成されることを特徴とする請求項1、請求項4、請求項6または請求項7に記載の電池セルの接続構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池セルの接続構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電池パックの構造として、例えば、特許文献1に記載の構造が知られている。
【0003】
複数の電池セルをケース内に収納し、所定の電圧及び容量を出力できるようにした電池パックは、種々の機器や車両等の電源として広く使用される。そして、電池パックを構成する電池モジュールのケース内には複数の電池セルが収納され、上記ケースの第1の側面には、正極端子及び負極端子が形成される。上記ケース内では、複数の電池セルがバスバを介して、直列接続、並列接続、あるいは直並列接続される。
【0004】
上記電池モジュールは、例えば、3段に積層された状態にてブラケットを介して連結して固定され、各正極端子や負極端子は、バスバを介して電気的に接続される。上述したように、電池パックの所定の電圧等に応じて、種々の形状のバスバが準備されると共に、それらのバスバを介して各電池モジュールは、電気的に接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2014-199716号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の電池パックでは、電池パック内に収納する電池モジュール数、電池モジュールのレイアウトや電池モジュール同士の接続方法等を変更する度にバスバの形状も変更する必要がある。そのため、バスバを製作するための型費等、製造コストを低減し難いという課題がある。
【0007】
また、従来の電池パックでは、電気自動車の様に大量の電池モジュールを使用する場合には、バスバの接続箇所が多くなる。そのため、バスバと上記正極端子や負極端子とは、溶接接合等により接続されるが、その接続作業が多くなり、作業が煩雑化するという課題がある。同様に、電池パック内の電池モジュール同士を連結固定する作業も発生し、作業が煩雑化するという課題がある。
【0008】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、少なくとも一方向に整列された複数の電池セルを複数パターンの接続端子から成る電極接続板を用いて、直列接続、並列接続、あるいは直並列接続することが可能な電池セルの接続構造に関する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一実施形態である電池セルの接続構造では、複数の電池セルが平置き状態にて第1方向に配列されると共に前記第1方向と直交する前記電池セルの厚み方向に少なくとも1層以上配列され、電極接続板を介して前記電池セルを電気的に接続する電池セルの接続構造であって、前記電池セルは、前記第1方向と直交する第2方向の第1端部側に形成される第1電極と、前記第2方向の第2端部側に形成される第2電極と、を有し、前記電極接続板は、絶縁基材と、前記厚み方向における前記絶縁基材の第1主面の少なくとも前記第1端部側または前記第2端部側に形成される第1接続端子と、前記第1主面と反対側の前記絶縁基材の第2主面の少なくとも前記第1端部側または前記第2端部側に形成される第2接続端子と、前記第1端部側あるいは前記第2端部側のどちらか一方の前記絶縁基材の前記厚み方向に形成され、前記第1接続端子と前記第2接続端子とを電気的に接続し、あるいは、前記絶縁基材を貫通して前記第1主面と前記第2主面から露出する第3接続端子と、前記第3接続端子の反対側の前記第2端部側あるいは前記第1端部側のどちらか一方の前記絶縁基材の前記厚み方向に形成され、前記第1接続端子と前記第2接続端子とを電気的に接続し、あるいは、前記絶縁基材を貫通して前記第1主面と前記第2主面から露出する第4接続端子と、を有し、少なくとも前記電極接続板の前記第1接続端子または前記第2接続端子は、前記第1方向に隣り合う前記電池セルの境界を跨ぐように配設され、前記電極接続板は、前記第1接続端子、前記第2接続端子、前記第3接続端子及び前記第4接続端子の配置または非配置の組み合わせにより前記第1方向に隣り合う前記電池セル同士を電気的接続状態あるいは電気的非接続状態とすることで、前記電池セルは、直列接続、並列接続あるいは直並列接続されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一実施形態である電池セルの接続構造では、複数の電池セルが平置き状態にて第1方向に配列される。電池セルは、電極接続板により電気的に接続されることで、直列接続、並列接続あるいは直並列接続される。そして、電極接続板は、第1接続端子、第2接続端子、第3接続端子及び第4接続端子の配置または非配置の組み合わせにより、複数パターン準備される。この構造により、電池セルの接続構造が、1種類の電池セルと複数種類の電極接続板により形成される。そして、通常、電池セルを製造するための製造設備は高額であり、電池セルの製造コストも高くなるが、電池セルの構造が1種類にて対応可能となり、製造コストが大幅に低減される。更には、電池セルと電極接続板とを積層して組電池が形成されることで、組電池の製造が簡素化され、その製造コストが低減される。また、組電池のリサイクル時には、電極の固定方法として溶接接合やボルト締結が用いられることがなく、その分解性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態である電池セルの接続構造を備えた電池パックを説明する斜視図である。
図2】本発明の一実施形態である電池セルの接続構造に用いられる電池セルを説明する斜視図である。
図3A】本発明の一実施形態である電池セルの接続構造に用いられる電極接続板を説明する斜視図である。
図3B】本発明の一実施形態である電池セルの接続構造に用いられる電極接続板を説明する断面図である。
図3C】本発明の一実施形態である電池セルの接続構造に用いられる電極接続板を説明する断面図である。
図4A】本発明の一実施形態である電池セルの接続構造を用いた組電池を説明する側面図である。
図4B】本発明の一実施形態である電池セルの接続構造を用いた組電池を説明する側面図である。
図5】本発明の一実施形態である電池セルの接続構造を用いた組電池を説明する斜視図である。
図6A】本発明の一実施形態である電池セルの接続構造を用いた組電池を説明する側面図である。
図6B】本発明の一実施形態である電池セルの接続構造を用いた組電池を説明する側面図である。
図7】本発明の一実施形態である電池セルの接続構造を用いた組電池を説明する斜視図である。
図8A】本発明の一実施形態である電池セルの接続構造を用いた組電池を説明する側面図である。
図8B】本発明の一実施形態である電池セルの接続構造を用いた組電池を説明する側面図である。
図9】本発明の一実施形態である電池セルの接続構造に用いられる電極接続板を説明する斜視図である。
図10A】本発明の他の実施形態である電池セルの接続構造に用いられる電極接続板を説明する斜視図である。
図10B】本発明の他の実施形態である電池セルの接続構造に用いられる電極接続板を説明する断面図である。
図10C】本発明の他の実施形態である電池セルの接続構造に用いられる電極接続板を説明する断面図である。
図11A】本発明の他の実施形態である電池セルの接続構造に用いられる電極接続板を説明する斜視図である。
図11B】本発明の他の実施形態である電池セルの接続構造に用いられる電極接続板を説明する斜視図である。
図12A】本発明の他の実施形態である電池セルの接続構造を用いた組電池を説明する斜視図である。
図12B】本発明の他の実施形態である電池セルの接続構造を用いた組電池を説明する側面図である。
図13A】本発明の他の実施形態である電池セルの接続構造を用いた組電池を説明する斜視図である。
図13B】本発明の他の実施形態である電池セルの接続構造を用いた組電池を説明する側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態に係る電池セル11の接続構造10を図面に基づき詳細に説明する。尚、本実施形態の説明の際には、同一の部材には原則として同一の符番を用い、繰り返しの説明は省略する。また、紙面上下方向は、電池セル11の厚み方向を示す。紙面左右方向は、電池セル11の短手方向であり、電池セル11の横幅方向を示す。紙面前後方向は、電池セル11の長手方向であり、電池セル11の縦幅方向を示す。そして、紙面左右方向は、電池セル11の整列方向であると共に本発明の第1方向に対応する。紙面前後方向は、本発明の第2方向に対応する。
【0013】
図1は、本実施形態の電池セル11の接続構造10を用いた電池パック13を説明する斜視図である。図2は、本実施形態の電池セル11の接続構造10に用いられる電池セル11を説明する斜視図である。図3Aは、本実施形態の電池セル11の接続構造10に用いられる電極接続板31を説明する斜視図である。図3Bは、図3Aに示す電極接続板31を説明する断面図であり、図3AのA-A線方向の断面を示す。図3Cは、図3Aに示す電極接続板31を説明する断面図であり、図3Bに示す電極接続板31の変形例である。図4Aは、本実施形態の電池セル11の接続構造10を用いた組電池14を正面側から見た状態を説明する側面図である。図4Bは、本実施形態の電池セル11の接続構造10を用いた組電池14を背面側から見た状態を説明する側面図である。
【0014】
図1では、複数の電池セル11が収納された電池パック13を示し、例えば、16個の電池セル11が、2行8列に配列されて電池ケース12内に収納される。図示したように、8個の電池セル11は、平置き状態にて紙面左右方向である整列方向に配列されると共に、第1電極接続板31を用いて直列接続される。そして、16個の電池セル11は、電池パック13の高さ方向(紙面上下方向)にて1段にて配設される。
【0015】
図示したように、電池パック13内には、8個の電池セル11が直列接続された組電池14が2セット収納される。この場合、組電池14では、7枚の電極接続板31が準備され、電極接続板31が隣り合う電池セル11間の境界を跨ぐように配置されることで、組電池14の直列接続構造が実現される。一方、組電池14同士は、バスバ15を介して直列接続され、高電圧化された電池パック13が形成される。また、図示していないが、組電池14は、電子機器であるBCU(Battery Control Unit)やジャンクションボックスと電気的に接続する。尚、電池パック13の電圧規格に応じて、組電池14同士は、バスバ15を介して並列接続される場合や直並列接続される場合でも良い。
【0016】
本実施形態では、電池セル11及び電極接続板31は、電池ケース12内に収納される際に圧入される。そして、電池セル11の正極電極板21及び負極電極板22と電極接続板31の第1接続端子33(図4A参照)とは、所望の接触圧を確保した状態にて電気的に接続した状態となる。詳細は後述するが、電極接続板31は、水平方向に180度回転させて用いられることで、第1接続端子33は紙面前後方向に交互に配置される。
【0017】
この構造により、電池セル11の接続構造10では、電池セル11と電極接続板31とを電気的に接続する際に、溶接固定やボルト締結を用いることが省略される。その結果、組電池14の製造工程が簡素化され、部品点数や材料が減ることで、製造コストが低減される。また、組電池14のリサイクル時には、溶接箇所やボルト締結箇所を取り外す作業が不要であり、電池セル11等を引き抜くことで分解可能となり、作業時間も大幅に短縮される。
【0018】
尚、電池セル11の接続構造10では、上記接触圧が確保され、良好な電気的な接続状態が維持されれば良く、上記圧入構造に限定するものではない。例えば、電池ケース12の上方開口部を塞ぐ蓋部を準備し、電池ケース12の上方側から下方側へと電池セル11等を押圧する構造でも良い。
【0019】
また、電池パック13は、例えば、自動車や電車等の車両のフロアの下方に配置され、モータや様々な電装部品に電力を供給する。そして、車両として自動車の場合には、近年、EV(Electrical Vehicle)、HEV(Hybrid Electrical Vehicle)やPHEV(Plug-in Hybrid Electrical Vehicle)等が普及している。
【0020】
尚、本実施形態の電池セル11の接続構造10は、組電池14を構成する複数の電池セル11同士を電気的に接続する際に用いられる場合に限定するものではない。例えば、電池パック13の電池ケース12内に個々の電池セル11が直接配列される際に、それらの電池セル11同士を電気的に接続する際に用いる場合でも良い。その他、本実施形態の電池セル11の接続構造10は、少なくとも複数の電池セル11の整列方向に配列された複数の電池セル11同士を連続して電気的に接続する場合に用いることが出来る。
【0021】
図2に示す如く、電池セル11は、例えば、ニッケル水素電池やリチウムイオン電池等の2次電池である。個々の電池セル11は、例えば、角型平板形状である。そして、電池セル11の長手方向(紙面前後方向)の両端部には、正極電極板21及び負極電極板22が形成される。尚、電池セル11としては、上記ニッケル水素電池やリチウムイオン電池に限定されるものではなく、その他、全固体電池等、正極電極板21及び負極電極板22を備える電池が用いられる。また、正極電極板21は、本発明の第1電極に対応し、負極電極板22は、本発明の第2電極に対応する。
【0022】
図示したように、正極電極板21及び負極電極板22は、それぞれ電池セル11の筐体23の側面23A,23Bから外側へと突出して形成される。正極電極板21及び負極電極板22は、それぞれ矩形形状であり、紙面左右方向に延在して形成される。一方、正極電極板21及び負極電極板22は、筐体23の側面23A,23Bの外周端部よりも内側へと窪んだ状態となる。つまり、電池セル11の長手方向の両端部には、筐体23と正極電極板21及び負極電極板22による段差部24が形成される。
【0023】
図3Aに示すように、電極接続板31は、絶縁基材32と、絶縁基材32の第1主面である側面32Aに形成される第1接続端子33と、絶縁基材32の第2主面である側面32Bに形成される第2接続端子34と、第1接続端子33と第2接続端子34とを電気的に接続状態とする第3接続端子35(図3B参照)及び第4接続端子36(図3B参照)と、を備える。そして、電極接続板31は、原則として、複数の電池セル11の整列方向(紙面左右方向)において、隣り合う電池セル11間の境界41(図4A参照)を跨ぐように配置される。
【0024】
尚、複数の電池セル11が、電池パック13の高さ方向(紙面上下方向)にて2段以上の複数段に渡り積層して配設される場合には、電極接続板31は、上記高さ方向に隣り合う電池セル11の間に配設され、セパレータとしての機能も果たす。
【0025】
絶縁基材32は、例えば、熱硬化性樹脂等の樹脂材料から形成される絶縁性の板状体である。上述したように、電極接続板31は、セパレータとしての機能も果たすため、絶縁基材32は、その平面視において電池セル11と略同形状の角型となる。そして、第1接続端子33及び第2接続端子34としては、例えば、角柱形状のバスバが用いられる。上記バスバは、絶縁基材32の短手方向(紙面左右方向)の長さと略同一程度の長さに切断され、樹脂モールドにより絶縁基材32と一体に形成される。図示したように、第1接続端子33は、絶縁基材32の側面32A側に露出する。一方、第2接続端子34は、絶縁基材32の側面32B側に露出する。そして、第1接続端子33と第2接続端子34とは、絶縁基材32により隔てて配設され、電気的非接続状態となる。
【0026】
この構造により、電極接続板31の第1接続端子33や第2接続端子34の配置領域W1は、電極接続板31のその他の領域W2よりも肉厚に形成され、突出部37,38となる。そして、電極接続板31が、隣り合う電池セル11間の境界を跨ぐように配設される場合には、突出部37,38が、電池セル11の段差部24(図2参照)に係合する。そして、電池セル11が、突出部37,38間に嵌り込むことで、電池セル11が、その長手方向(紙面前後方向)にずれることを防止する。
【0027】
図3Bに示すように、第3接続端子35及び第4接続端子36が、それぞれ突出部37,38の短手方向(紙面左右方向)の中央部に形成される。第3接続端子35及び第4接続端子36としては、角柱形状のバスバが用いられる。そして、第3接続端子35及び第4接続端子36は、第1接続端子33及び第2接続端子34と接続することで、第1接続端子33と第2接続端子34とを電気的接続状態とする。つまり、この構造の場合には、第3接続端子35及び第4接続端子36は、第1接続端子33と第2接続端子34とを電気的に接続するための配線として用いられる。尚、第3接続端子35及び第4接続端子36の配置位置は、突出部37,38の中央部に限定されるものではなく、突出部37,38のいずれかの位置に配置される場合でも良い。
【0028】
図3Cに示すように、電極接続板31の変形例として、第3接続端子35及び第4接続端子36が、突出部37,38の側面32A,32B側から直接露出し、端子として用いられる場合でも良い。そして、第3接続端子35及び第4接続端子36は、高さ方向に隣り合う電池セル11を電気的接続状態とするために用いられる。尚、第3接続端子35及び第4接続端子36の配置位置は、突出部37,38の中央部に限定されるものではなく、突出部37,38のいずれかの位置に配置される場合でも良い。
【0029】
詳細は後述するが、本実施形態の電池セル11の接続構造10では、複数パターンの電極接続板31の構造が、第1接続端子33、第2接続端子34、第3接続端子35及び第4接続端子36の突出部37,38に対する配置または非配置の組み合わせにより形成される。そして、電池セル11の接続構造10では、複数パターンの電極接続板31が適宜用いられることで、複数の電池セル11が、直列接続、並列接続あるいは直並列接続される。
【0030】
図4A及び図4Bは、図1に示す組電池14における電池セル11の接続構造10を示す。そして、電極接続板31としては、例えば、電池セル11よりも幅広の第1電極接続板31Aと、電池セル11と略同一幅の第2電極接続板31Bと、を用いる。尚、図4A及び図4Bでは、説明の都合上、電池セル11と第1電極接続板31A及び第2電極接続板31Bとを離間して図示しているが、実際には、第1電極接続板31A及び第2電極接続板31Bの突出部37,38は、電池セル11の段差部24(図2参照)に係合した状態となる。また、説明の都合上、第1接続端子33は、突出部37,38の端面から見えるように図示している。
【0031】
図4A及び図4Bに示すように、本実施形態の電池セル11の接続構造10では、電池セル11は、紙面左右方向に整列して配置される。そして、直列接続の場合には、電池セル11の正極電極板21と負極電極板22とは、隣り合う電池セル11同士にて互い違いとなるように配置される。つまり、組電池14を正面側または背面側から見た場合には、電池セル11の正極電極板21と負極電極板22とは、電池セル11の整列方向(紙面左右方向)に互い違いに配置される。
【0032】
ここで、第1電極接続板31Aは、突出部37の側面32A側に第1接続端子33が形成される構造である。また、第2電極接続板31Bは、突出部37の側面32A側に第1接続端子33が形成される構造である。
【0033】
電池セル11の直列接続の場合には、第1電極接続板31Aは、整列方向の両端側の電池セル11の下面に配置される。そして、第1電極接続板31Aは、隣り合う電池セル11間の境界41を跨ぐように配置される。一方、第2電極接続板31Bは、整列方向の中間部に位置する電池セル11の下面に配置される。そして、第2電極接続板31Bは、隣り合う電池セル11間の境界41を跨ぐように配置される。
【0034】
このとき、第2電極接続板31Bでは、第1接続端子33が形成される突出部37が、紙面前側、紙面後側、紙面前側、紙面後側へと順次互い違いに位置する。そして、第2電極接続板31Bは、水平方向へと180度回転させることで、第1接続端子33の位置を入れ替え、上記直列接続に対応可能となる。
【0035】
図4Aに示すように、組電池14の紙面左側の電池セル11の正極電極板21は、出力用の総正極端子42と接続する。一方、組電池14の紙面右側の電池セル11の負極電極板22は、出力用の総負極端子43と接続する。一点鎖線44は、電流の流れを模式的に示すが、組電池14では、上述した電池セル11の接続構造10により直列接続構造が実現される。尚、電池セル11は、整列方向において、各境界41に隙間を有して配列されることで、その隙間を冷却用空気の通路として用いることが出来る。また、組電池14は、1層構造に限定するものではなく、電池セル11を2層以上に積層した多層構造とする場合でも良い。
【0036】
次に、図5から図6Bを用いて、本実施形態の電池セル11の接続構造10を用いた直列接続構造の組電池51であり、電池パック(図示せず)の高さ方向に複数の電池セル11を3段に渡り積層した構造を説明する。図5は、本実施形態の電池セル11の接続構造10の組電池51を説明する斜視図である。図6Aは、本実施形態の電池セル11の接続構造10の組電池51を正面側から見た状態を説明する側面図である。図6Bは、本実施形態の電池セル11の接続構造10の組電池51を背面側から見た状態を説明する側面図である。尚、本実施形態の組電池51は、上述した組電池14とは異なる電極接続板31を用いて電池セル11の多層構造が実現される。
【0037】
図5から図6Bに示すように、電極接続板31としては、例えば、電池セル11と略同一幅の第3電極接続板31C及び第4電極接続板31Dと、片側が電池セル11よりも幅広であり、もう一方の片側が電池セル11と略同一幅の第5電極接続板31E,第6電極接続板31F及び第7電極接続板31Gと、を用いる。尚、図5から図6Bでは、説明の都合上、電池セル11と第3電極接続板31Cから第7電極接続板31Gとを離間して図示しているが、実際には、第3電極接続板31Cから第7電極接続板31Gの突出部37,38は、電池セル11の段差部24(図2参照)に係合した状態となる。また、図6A及び図6Bでは、説明の都合上、第1接続端子33から第4接続端子36は、突出部37,38の端面から見えるように図示している。
【0038】
図5は、電池パック(図示せず)内に収納される1組の組電池51を示す。そして、組電池51では、例えば、整列方向(紙面左右方向)に6個の電池セル11が配置されると共に、各段6個の電池セル11が、電池パックの高さ方向(紙面上下方向)に3段積層して構成される。尚、電池パック内には、図1に示すように、複数の組電池51が、複数セット収納され、バスバ(図示せず)を介して直列接続され、高電圧化される場合でも良い。また、電池パックの電圧規格に応じて、組電池51同士は、バスバを介して並列接続される場合や直並列接続される場合でも良い。
【0039】
図5に示すように、各段の整列方向において、電池セル11の正極電極板21と負極電極板22とは、隣り合う電池セル11同士にて互い違いとなるように配置される。更には、電池セル11の高さ方向においても、電池セル11の正極電極板21と負極電極板22とは、隣り合う電池セル11同士にて互い違いとなるように配置される。
【0040】
つまり、図6A及び図6Bに示すように、組電池51を正面側または背面側から見た場合には、組電池51の整列方向及び高さ方向においても、電池セル11の正極電極板21と負極電極板22とは、互い違いに配置される。
【0041】
ここで、第3電極接続板31Cは、突出部38に第1接続端子33、第2接続端子34及び第4接続端子36が形成される構造である。第4電極接続板31Dは、突出部38に第1接続端子33及び第2接続端子34が形成される構造である。第5電極接続板31Eは、突出部37に第1接続端子33、第2接続端子34及び第3接続端子35が形成されると共に、突出部38に第2接続端子34が形成される構造である。第6電極接続板31Fは、突出部37に第1接続端子33及び第2接続端子34が形成される構造である。第7電極接続板31Gは、突出部37に第1接続端子33、第2接続端子34及び第3接続端子35が形成されると共に、突出部38に第1接続端子33及び第2接続端子34が形成される構造である。尚、第6電極接続板31F及び第7電極接続板31Gは、適宜、水平方向に180度回転して用いられる。
【0042】
図示したように、組電池51に用いられる第3電極接続板31Cから第7電極接続板31Gは、1段目の電池セル11と2段目の電池セル11との間及び2段目の電池セル11と3段目の電池セル11との間に配設される。そして、第4電極接続板31Dから第7電極接続板31Gは、少なくともその一部が整列方向に隣り合う電池セル11間の境界55を跨ぐように配置される。一方、第3電極接続板31Cは、高さ方向に隣り合う電池セル11同士を電気的に接続し、整列方向に隣り合う電池セル11間の境界55を跨がないように配置される。
【0043】
また、組電池51の3段目の紙面左側の電池セル11の正極電極板21は、出力用の総正極端子52と接続する。一方、組電池51の3段目の紙面右側の電池セル11の負極電極板22は、出力用の総負極端子53と接続する。一点鎖線54は、電流の流れを模式的に示すが、組電池51では、上述した電池セル11の接続構造10により直列接続構造が実現される。尚、電池セル11は、整列方向(紙面左右方向)において、各境界55に隙間を有して配列されることで、その隙間を冷却用空気の通路として用いることが出来る。
【0044】
次に、図7から図8Bを用いて、本実施形態の電池セル11の接続構造10を用いた直並列接続構造の組電池61であり、電池パック(図示せず)の高さ方向に複数の電池セル11を3段に渡り積層した構造を説明する。図7は、本実施形態の電池セル11の接続構造10の組電池61を説明する斜視図である。図8Aは、本実施形態の電池セル11の接続構造10の組電池61を正面側から見た状態を説明する側面図である。図8Bは、本実施形態の電池セル11の接続構造10の組電池61を背面側から見た状態を説明する側面図である。
【0045】
図7から図8Bに示すように、電極接続板31としては、例えば、片側が電池セル11よりも幅広であり、もう一方の片側が電池セル11と略同一幅の第8電極接続板31Hと,両側が電池セル11よりも幅広である第9電極接続板31Iと、片側に電池セル11と略同一幅の突出部37のみが形成される第10電極接続板31Jと、を用いる。尚、図7から図8Bでは、説明の都合上、電池セル11と第8電極接続板31Hから第10電極接続板31Jとを離間して図示しているが、第8電極接続板31Hから第10電極接続板31Jの突出部37,38は、電池セル11の段差部24(図2参照)に係合した状態となる。
【0046】
図7は、電池パック(図示せず)内に収納される1組の組電池61を示す。そして、組電池61では、例えば、整列方向(紙面左右方向)に6個の電池セル11が配置されると共に、各段6個の電池セル11が、電池パックの高さ方向(紙面上下方向)に3段積層して構成される。尚、電池パック内には、図1に示すように、複数の組電池61が、複数セット収納され、バスバ(図示せず)を介して直列接続され、高電圧化される場合でも良い。また、電池パックの電圧規格に応じて、組電池61同士は、バスバを介して並列接続される場合や直並列接続される場合でも良い。
【0047】
図7に示すように、各段の整列方向において、電池セル11の正極電極板21と負極電極板22とは、隣り合う電池セル11同士にて互い違いとなるように配置される。一方、電池セル11の高さ方向においては、電池セル11の正極電極板21と負極電極板22とは、揃って配置される。つまり、図8A及び図8Bに示すように、組電池61では、高さ方向の電池セル11同士は並列接続され、その並列接続された電池セル11群が、整列方向にて直列接続される。
【0048】
ここで、第8電極接続板31H及び第9電極接続板31Iは、突出部37に第1接続端子33、第2接続端子34及び第3接続端子35が形成されると共に、突出部38に第1接続端子33、第2接続端子34及び第4接続端子36が形成される構造である。第10電極接続板31Jは、突出部37に第1接続端子33、第2接続端子34及び第3接続端子35が形成される構造である。尚、第10電極接続板31Jは、その長手方向(紙面前後方向)に約半分程度の絶縁基材32から形成され、組電池61の背面側からは見えない状態となる。
【0049】
図示したように、組電池61に用いられる第8電極接続板31Hから第10電極接続板31Jは、1段目の電池セル11と2段目の電池セル11との間及び2段目の電池セル11と3段目の電池セル11との間に配設される。そして、第8電極接続板31H及び第9電極接続板31Iは、少なくともその一部が整列方向に隣り合う電池セル11間の境界65を跨ぐように配置される。一方、第10電極接続板31Jは、高さ方向に隣り合う電池セル11同士を電気的に接続し、整列方向に隣り合う電池セル11間の境界65を跨がないように配置される。
【0050】
また、組電池61の3段目の紙面左側の電池セル11の正極電極板21は、出力用の総正極端子62と接続する。一方、組電池61の3段目の紙面右側の電池セル11の負極電極板22は、出力用の総負極端子63と接続する。一点鎖線64は、電流の流れを模式的に示すが、組電池61では、上述した電池セル11の接続構造10により直並列接続構造が実現される。尚、電池セル11は、整列方向(紙面左右方向)において、各境界65に隙間を有して配列されることで、その隙間を冷却用空気の通路として用いることが出来る。
【0051】
上述したように、電池セル11の接続構造10では、1種類の電池セル11と複数種類の電極接続板31により、直列接続構造、並列接続構造、あるいは直並列接続構造が可能となる。そして、通常、電池セル11を製造するための製造設備は高額であり、電池セル11の製造コストも高くなる。しかしながら、複数種類の電極接続板31を用いることで、電池セル11の構造が1種類にて対応可能となり、製造コストが大幅に低減される。
【0052】
尚、本実施形態の電池セル11の接続構造10の図5に示す構造では、1段目の電池セル11と2段目の電池セル11との間には、紙面左側から、第5電極接続板31E、第6電極接続板31F、第4電極接続板31D、第6電極接続板31F及び第7電極接続板31Gの5枚の電極接続板31が配設されるが、この場合に限定するものではない。例えば、図9に示す電極接続板39にて電池セル11の接続構造10を構成する場合でも良い。
【0053】
図9は、本実施形態の電池セル11の接続構造10に用いられる電極接続板39を説明する斜視図である。図9に示すように、電極接続板39の絶縁基材32は、整列方向(紙面左右方向)に配列された6枚の電池セル11に対して1枚にて対応可能な大きさを有する。そして、絶縁基材32の紙面前後方向の両端部には、突出部37,38が形成される。突出部37,38も、絶縁基材32と同様に、整列方向(紙面左右方向)に配列された6枚の電池セル11に対して対応可能な長さを有する。
【0054】
図示したように、電極接続板39では、第1接続端子33、第2接続端子34、第3接続端子35及び第4接続端子36が、1枚の絶縁基材32の突出部37,38に対して図5を用いて説明した箇所に配置される。この構造により、電極接続板39の絶縁基材32の構造が統一されることで、電極接続板39の成形用金型の数が削減され、製造コストが大幅に低減される。
【0055】
また、本実施形態の電池セル11の接続構造10では、組電池61の総正極端子62は、3段目の紙面左側の電池セル11と接続し、組電池61の総負極端子63は、3段目の紙面右側の電池セル11と接続する場合について説明したが、この場合に限定するものではない。例えば、電極接続板31の配列により、総正極端子62と総負極端子63とが、近い位置に配置されることも可能となる。つまり、総正極端子62と総負極端子63の配置箇所が任意に設計変更となる。そして、総正極端子62と総負極端子63とが近い位置に寄せて配置されることで、長いバスバが不要となる効果や衝突時のショート防止効果等、設計の目的に応じて様々な効果が得られる。尚、組電池14,51においても同様である。その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲にて種々の変更が可能である。
【0056】
次に、本発明の他の実施形態に係る電池セル11の接続構造70を図面に基づき詳細に説明する。尚、本実施形態の説明の際には、同一の部材には原則として同一の符番を用い、繰り返しの説明は省略する。また、紙面上下方向は、電池セル11の厚み方向を示す。紙面左右方向は、電池セル11の長手方向であり、電池セル11の縦幅方向を示す。紙面前後方向は、電池セル11の短手方向であり、電池セル11の横幅方向を示す。そして、紙面左右方向は、電池セル11の整列方向であると共に本発明の第1方向に対応する。
【0057】
本実施形態の電池セル11の接続構造70では、図1から図8Bを用いて上述した電池セル11の接続構造10とは、主に、電池セル11の配列の方向が異なることで、電極接続板71の構造や電極接続板71内での第1接続端子72から第4接続端子75の形状や配置箇所が異なる。尚、電池セル11の接続構造70の説明では、上述した電池セル11の接続構造10と異なる構造を中心に説明する。そして、上述した電池セル11の接続構造10と同一の構成部材には、同一の符番を用い、繰り返しの説明は省略する。
【0058】
図10Aは、本実施形態の電池セル11の接続構造70に用いられる電極接続板71を説明する斜視図である。図10Bは、図10Aに示す電極接続板71を説明する断面図であり、図10AのB-B線方向の断面を示す。図10Cは、図10Aに示す電極接続板71を説明する断面図であり、図10Bに示す電極接続板71の変形例である。
【0059】
図10Aに示すように、電極接続板71は、絶縁基材32と、絶縁基材32の第1主面である側面32Aに形成される第1接続端子72と、絶縁基材32の第2主面である側面32Bに形成される第2接続端子73と、第1接続端子72と第2接続端子73とを電気的に接続状態とする第3接続端子74(図10B参照)または第4接続端子75(図10C参照)と、を備える。そして、電極接続板71は、原則として、複数の電池セル11の整列方向(紙面左右方向)において、隣り合う電池セル11間の境界を跨ぐように配置される。
【0060】
尚、複数の電池セル11が、電池パック(図示せず)の高さ方向(紙面上下方向)にて2段以上の複数段に渡り積層して配設される場合には、電極接続板71は、高さ方向に隣り合う電池セル11の間に配設され、セパレータとしての機能も果たす。
【0061】
上述したように、電極接続板71は、セパレータとしての機能も果たすため、絶縁基材32は、その平面視において電池セル11と略同形状の角型となる。そして、第1接続端子72及び第2接続端子73としては、例えば、角柱形状のバスバが用いられる。上記バスバは、絶縁基材32の短手方向(紙面前後方向)の長さと略同一程度の長さに切断され、樹脂モールドにより絶縁基材32と一体に形成される。図示したように、第1接続端子72は、絶縁基材32の側面32A側に露出する。一方、第2接続端子73は、絶縁基材32の側面32B側に露出する。そして、第1接続端子72と第2接続端子73とは、絶縁基材32により隔てて配設され、電気的非接続状態となる。
【0062】
また、図示したように、電極接続板71の第1接続端子72や第2接続端子73の配置領域W3は、電極接続板71のその他の領域W2よりも肉厚に形成され、突出部76となる。そして、突出部76は、原則として、電極接続板71の長手方向(紙面左右方向)の片側にのみ形成される。詳細は後述するが、突出部76は、隣り合う電池セル11の両方の段差部24間に嵌まり込むため、突出部76の配置領域W3は、電極接続板31の突出部38の配設領域W1の略2倍の長さを有する。
【0063】
この構造により、電極接続板71だけでなく、第1接続端子72及び第2接続端子73も、整列方向(紙面左右方向)において、隣り合う電池セル11間の境界を跨ぐように配置される。
【0064】
図10Bに示すように、第3接続端子74及び第4接続端子75が、それぞれ突出部76の短手方向(紙面前後方向)の中央部に形成される。第3接続端子74及び第4接続端子75としては、角柱形状のバスバが用いられる。そして、第3接続端子74及び第4接続端子75は、第1接続端子72及び第2接続端子73と接続することで、第1接続端子72と第2接続端子73とを電気的接続状態とする。つまり、この構造の場合には、第3接続端子74及び第4接続端子75は、第1接続端子72と第2接続端子73とを電気的に接続するための配線として用いられる。
【0065】
尚、図示したように、第3接続端子74及び第4接続端子75が、上記配線として用いられる場合には、少なくとも第3接続端子74または第4接続端子75のどちらか一方が形成される場合でも良い。また、少なくとも第3接続端子74または第4接続端子75のどちらか一方が形成される場合には、第3接続端子74または第4接続端子75は、突出部76のいずれかの位置に配置されれば良い。
【0066】
一方、本実施形態の電池セル11の接続構造70では、図10Cに示すように、電極接続板71では、第1接続端子72及び第2接続端子73が、突出部76に形成されない。そして、第3接続端子74及び第4接続端子75が、突出部76の側面32A,32B側から直接露出し、それぞれ端子として用いられる場合もある。この場合には、第3接続端子74及び第4接続端子75は、高さ方向に隣り合う電池セル11を電気的接続状態とするために用いられる。そのため、第3接続端子74は、隣り合う電池セル11の境界の紙面右側に形成され、第4接続端子75は、隣り合う電池セル11の境界の紙面左側に形成される。
【0067】
詳細は後述するが、本実施形態の電池セル11の接続構造70では、複数パターンの電極接続板71の構造が、第1接続端子72、第2接続端子73、第3接続端子74及び第4接続端子75の突出部76に対する配置または非配置の組み合わせにより形成される。そして、電池セル11の接続構造70では、複数パターンの電極接続板71が適宜用いられることで、複数の電池セル11が、直列接続、並列接続あるいは直並列接続される。
【0068】
ここで、図11Aに示すように、電極接続板71の変形例として、電極接続板77が用いられる場合でも良い。電極接続板77は、電極接続板71の紙面右側の端部に、電極接続板31の突出部37が形成される。上述したように、突出部37には、第1接続端子33、第2接続端子34及び第3接続端子35が、配置または非配置の組み合わせにより形成される。
【0069】
また、図11Bに示すように、電極接続板71の変形例として、電極接続板78が用いられる場合でも良い。電極接続板78は、電極接続板31の突出部37が無く、突出部38を有する構造となる。上述したように、突出部38には、第1接続端子33、第2接続端子34及び第4接続端子36が、配置または非配置の組み合わせにより形成される。
【0070】
次に、図12A及び12Bを用いて、本実施形態の電池セル11の接続構造70を用いた直列接続構造の組電池81であり、電池パック(図示せず)の高さ方向に複数の電池セル11を3段に渡り積層した構造を説明する。図12Aは、本実施形態の電池セル11の接続構造70の組電池81を説明する斜視図である。図12Bは、本実施形態の電池セル11の接続構造70の組電池81を正面側から見た状態を説明する側面図である。
【0071】
図12A及び図12Bに示すように、組電池81では、例えば、電極接続板71(図10A参照)と同形状である第1電極接続板71A、第2電極接続板71B、第3電極接続板71Cと、電極接続板77(図11A参照)と同形状である第4電極接続板77A、第5電極接続板77Bと、電極接続板78(図11B参照)と同形状である第6電極接続板78A、第7電極接続板78Bと、を用いる。尚、図12A及び図12Bでは、説明の都合上、電池セル11と第1電極接続板71Aから第7電極接続板78Bとを離間して図示しているが、実際には、第1電極接続板71Aから第7電極接続板78Bの突出部37,38,76は、電池セル11の段差部24(図2参照)に係合した状態となる。
【0072】
図12Aは、電池パック(図示せず)内に収納される1組の組電池81を示す。組電池81では、例えば、各段において、整列方向(紙面左右方向)に6個の電池セル11が配置され、電池セル11の長手方向(紙面左右方向)が、上記整列方向に一致する。そして、各段6個の電池セル11が、電池パックの高さ方向(紙面上下方向)に3段積層して構成される。尚、電池パック内には、図1に示すように、複数の組電池81が、複数セット収納され、バスバ(図示せず)を介して直列接続され、高電圧化される場合でも良い。また、電池パックの電圧規格に応じて、組電池81同士は、バスバを介して並列接続される場合や直並列接続される場合でも良い。
【0073】
図示したように、各段の整列方向において、電池セル11の正極電極板21と負極電極板22とは、隣り合う電池セル11同士にて対向するように配置される。そして、高さ方向において、偶数段と奇数段では、電池セル11の正極電極板21と負極電極板22の向きが逆になることで、直列接続構造が実現される。
【0074】
ここで、第1電極接続板71Aは、突出部76に第1接続端子72及び第2接続端子73が形成される構造である。第2電極接続板71Bは、突出部76に第3接続端子74及び第4接続端子75が形成される構造である。第3電極接続板71Cは、突出部76に第2接続端子73が形成される構造である。第4電極接続板77Aは、突出部76に第1接続端子72及び第2接続端子73が形成される構造である。第5電極接続板77Bは、突出部37に第3接続端子35が形成されると共に、突出部76に第1接続端子72及び第2接続端子73が形成される構造である。第6電極接続板78Aは、接続端子が全く形成されない構造である。第7電極接続板78Bは、突出部38に第4接続端子36が形成される構造である。
【0075】
図示したように、組電池81に用いられる第1電極接続板71Aから第7電極接続板78Bは、1段目の電池セル11と2段目の電池セル11との間及び2段目の電池セル11と3段目の電池セル11との間に配設される。そして、第1電極接続板71Aから第5電極接続板77Bは、少なくともその一部が整列方向に隣り合う電池セル11間の境界85を跨ぐように配置される。一方、第6電極接続板78A及び第7電極接続板78Bは、整列方向に隣り合う電池セル11間の境界85を跨がないように配置される。
【0076】
また、組電池81の3段目の紙面左側の電池セル11の正極電極板21は、出力用の総正極端子82と接続する。一方、組電池81の3段目の紙面右側の電池セル11の負極電極板22は、出力用の総負極端子83と接続する。一点鎖線84は、電流の流れを模式的に示すが、組電池81では、上述した電池セル11の接続構造70により直列接続構造が実現される。尚、電池セル11は、整列方向(紙面左右方向)において、各境界85に隙間を有して配列されることで、その隙間を冷却用空気の通路として用いることが出来る。
【0077】
次に、図13A及び図13Bを用いて、本実施形態の電池セル11の接続構造70を用いた直並列接続構造の組電池91であり、電池パック(図示せず)の高さ方向に複数の電池セル11を3段に渡り積層した構造を説明する。図13Aは、本実施形態の電池セル11の接続構造70の組電池91を説明する斜視図である。図13Bは、本実施形態の電池セル11の接続構造70の組電池91を正面側から見た状態を説明する側面図である。
【0078】
図13A及び図13Bに示すように、組電池91では、例えば、電極接続板71(図10A参照)と同形状である第8電極接続板71Dと、電極接続板77(図11A参照)と同形状である第9電極接続板77Cと、電極接続板78(図11B参照)と同形状である第7電極接続板78Bと、を用いる。尚、図13A及び図13Bでは、説明の都合上、電池セル11と第8電極接続板71D、第9電極接続板77C及び第7電極接続板78Bとを離間して図示しているが、第8電極接続板71D、第9電極接続板77C及び第7電極接続板78Bの突出部37,38,76は、電池セル11の段差部24(図2参照)に係合した状態となる。
【0079】
図13Aは、電池パック(図示せず)内に収納される1組の組電池91を示す。そして、組電池91では、例えば、各段において、整列方向(紙面左右方向)に6個の電池セル11が配置され、電池セル11の長手方向(紙面左右方向)が、上記整列方向に一致する。そして、各段6個の電池セル11が、電池パックの高さ方向(紙面上下方向)に3段積層して構成される。尚、電池パック内には、図1に示すように、複数の組電池91が、複数セット収納され、バスバ(図示せず)を介して直列接続され、高電圧化される場合でも良い。また、電池パックの電圧規格に応じて、組電池91同士は、バスバを介して並列接続される場合や直並列接続される場合でも良い。
【0080】
図示したように、各段の整列方向において、電池セル11の正極電極板21と負極電極板22とは、隣り合う電池セル11同士にて対向するように配置される。つまり、各電池セル11では、紙面左側に正極電極板21が配置され、紙面右側に負極電極板22が配置されることで、直並列接続構造が実現される。
【0081】
ここで、第8電極接続板71Dは、突出部76に第1接続端子72、第2接続端子73及び第3接続端子74が形成される構造である。第9電極接続板77Cは、突出部76に第1接続端子72、第2接続端子73及び第3接続端子74が形成されると共に、突出部37に第3接続端子35が形成される構造である。第7電極接続板78Bは、突出部38に第4接続端子36が形成される構造である。
【0082】
図示したように、組電池91に用いられる第8電極接続板71D、第9電極接続板77C及び第7電極接続板78Bは、1段目の電池セル11と2段目の電池セル11との間及び2段目の電池セル11と3段目の電池セル11との間に配設される。そして、第8電極接続板71D及び第9電極接続板77Cは、少なくともその一部が整列方向に隣り合う電池セル11間の境界95を跨ぐように配置される。一方、第7電極接続板78Bは、整列方向に隣り合う電池セル11間の境界95を跨がないように配置される。
【0083】
また、組電池91の3段目の紙面左側の電池セル11の正極電極板21は、出力用の総正極端子92と接続する。一方、組電池91の3段目の紙面右側の電池セル11の負極電極板22は、出力用の総負極端子93と接続する。一点鎖線94は、電流の流れを模式的に示すが、組電池91では、上述した電池セル11の接続構造70により直並列接続構造が実現される。尚、電池セル11は、整列方向(紙面左右方向)において、各境界95に隙間を有して配列されることで、その隙間を冷却用空気の通路として用いることが出来る。
【0084】
上述したように、電池セル11の接続構造70では、1種類の電池セル11と複数種類の電極接続板71,77,78により、直列接続構造、並列接続構造、あるいは直並列接続構造が可能となる。そして、通常、電池セル11を製造するための製造設備は高額であり、電池セル11の製造コストも高くなる。しかしながら、複数種類の電極接続板71,77,78を用いることで、電池セル11の構造が1種類にて対応可能となり、製造コストが大幅に低減される。
【0085】
尚、本実施形態の電池セル11の接続構造70では、図12Aに示すように、複数の電池セル11が高さ方向(紙面上下方向)に3段積層された場合について説明したが、この場合に限定するものではない。電池セル11の接続構造70においても、例えば、図4A及び図4Bを用いて説明した電池セル11の接続構造10と同様に、複数の電池セル11が整列方向(紙面左右方向)に配列され、更には、高さ方向には1段にて配設される場合でも良い。この場合においても、複数種類の電極接続板71,77,78が用いられ、1種類の電池セル11により直列接続構造、並列接続構造、あるいは直並列接続構造が実現されることで、上述した同様な効果が得られる。
【0086】
また、本実施形態の電池セル11の接続構造70では、図12Aに示すように、例えば、1段目の電池セル11と2段目の電池セル11との間には、紙面左側から、第7電極接続板78B、第3電極接続板71C、第1電極接続板71A、第1電極接続板71A、第1電極接続板71A及び第5電極接続板77Bが配設されるが、この場合に限定するものではない。電池セル11の接続構造70においても、例えば、図9を用いて説明した電池セル11の接続構造10と同様に、第5電極接続板77Bの絶縁基材32は、整列方向(紙面左右方向)に配列された6枚の電池セル11に対して1枚にて対応可能な大きさを有する場合でも良い。この場合においても、電極接続板77の絶縁基材32の構造が統一されることで、上述した同様な効果が得られる。
【0087】
また、本実施形態の電池セル11の接続構造70では、組電池91の総正極端子92は、3段目の紙面左側の電池セル11と接続し、組電池91の総負極端子93は、3段目の紙面右側の電池セル11と接続する場合について説明したが、この場合に限定するものではない。例えば、電極接続板71,77,78の配列により、総正極端子92と総負極端子93とが、近い位置に配置されることも可能となる。つまり、総正極端子92と総負極端子93の配置箇所が任意に設計変更となる。そして、総正極端子92と総負極端子93とが近い位置に寄せて配置されることで、長いバスバが不要となる効果や衝突時のショート防止効果等、設計の目的に応じて様々な効果が得られる。尚、組電池81においても同様である。その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲にて種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0088】
10,70 接続構造
11 電池セル
12 電池ケース
13 電池パック
14,51,61,81,91 組電池
15 バスバ
21 正極電極板
22 負極電極板
23 筐体
24 段差部
31,39,71,77,78 電極接続板
31A 第1電極接続板
31B 第2電極接続板
31C 第3電極接続板
31D 第4電極接続板
31E 第5電極接続板
31F 第6電極接続板
31G 第7電極接続板
31H 第8電極接続板
31I 第9電極接続板
31J 第10電極接続板
32 絶縁基材
32A,32B 側面
33,72 第1接続端子
34,73 第2接続端子
35,74 第3接続端子
36,75 第4接続端子
37,38,76 突出部
41 境界
42,52,62,82,92 総正極端子
43,53,63,83,93 総負極端子
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図5
図6A
図6B
図7
図8A
図8B
図9
図10A
図10B
図10C
図11A
図11B
図12A
図12B
図13A
図13B