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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024089395
(43)【公開日】2024-07-03
(54)【発明の名称】スイッチドリラクタンスモータ装置
(51)【国際特許分類】
   H02P 25/08 20160101AFI20240626BHJP
   H02K 19/06 20060101ALI20240626BHJP
【FI】
H02P25/08
H02K19/06 Z
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022204735
(22)【出願日】2022-12-21
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-08-14
(71)【出願人】
【識別番号】392029742
【氏名又は名称】田中 正一
(72)【発明者】
【氏名】田中 正一
【テーマコード(参考)】
5H501
5H619
【Fターム(参考)】
5H501CC04
5H501DD09
5H619AA01
5H619BB01
5H619BB05
5H619BB24
5H619PP01
5H619PP02
5H619PP04
5H619PP08
5H619PP14
(57)【要約】      (修正有)
【課題】高性能なPMSM(永久磁石同期モータ)と競争可能なスイッチドリラクタンスモータ(SRM)装置を提供する。
【解決手段】単相SRM1のロータコアは、ロータポールの間に配置されたマグネットポールをもつ。軸方向に隣接する第1-第3のマグネットポールは、N極をもち、軸方向に隣接する第4-第6のマグネットポールは、S極をもつ。単相SRMは、単相モードと3相モードとをもつ。単相モードにおいて、従来の単相SRMと同様に、単相リラクタンストルクを発生する。単相モードはさらに、マグネットトルクを発生する。3相モードにおいて、第1-第3のマグネットポールからなる磁石セットは一つの仮想磁石極(N極)と見なされ、第4-第6のマグネットポールからなるもう一つの磁石セットはもう一つの仮想磁石極(S極)と見なされる。3相交流電流が6つのステータポールに順番に巻かれた6種類の相巻線に供給される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軟磁性突極であるステータポールをもつステータコアと、軟磁性突極であるロータポールをもつロータコアと、前記ステータポールに巻かれたステータ巻線とを備える単相スイッチドリラクタンスモータと、
前記ステータ巻線に駆動電圧を印加するパワーコンバータと、
前記パワーコンバータを制御するコントローラと、
を備えるスイッチドリラクタンスモータ装置において、
前記ロータコアは、前記ロータポールの間のロータスロットに固定された永久磁石からなるマグネットポールを有し、
前記ロータポールの数は、前記ステータポールの数と等しく形成され、
前記パワーコンバータは、前記ステータ巻線に交流電流を供給することを特徴とするスイッチドリラクタンスモータ装置。
【請求項2】
前記パワーコンバータは、それぞれ電気角120度離れた3相交流電流を形成するための3つのHブリッジからなる請求項1記載のスイッチドリラクタンスモータ装置。
【請求項3】
前記コントローラは、前記ステータポールの全てを同時に励磁することにより単相トルクを発生する単相モードを有し、
前記ステータポールはそれぞれ、前記単相モードにおいて最も近い前記マグネットポールと同一極性をもち、
前記最も近いマグネットポールは、前記ステータポールの前方に位置する請求項1記載のスイッチドリラクタンスモータ装置。
【請求項4】
前記コントローラは、前記ステータポールの全てを同時に励磁することにより発電を行う単相発電モードを有し、
前記単相発電モードにおいて、前記ステータポールは、最も近い前記マグネットポールと同一極性をもち、
前記最も近いマグネットポールは、前記ステータポールの後方に位置する請求項1記載のスイッチドリラクタンスモータ装置。
【請求項5】
前記ステータポールの数は、6の整数倍に等しくされ、
連続配置された前記マグネットポールの3つは、N極を有してN極磁石セットを形成し、
連続配置された前記マグネットポールの他の3つは、S極を有してS極磁石セットを形成し、
前記N極磁石セット及び前記S極磁石セットは、周方向交互に配置されている請求項1記載のスイッチドリラクタンスモータ装置。
【請求項6】
前記ステータ巻線は、互いに隣接する6個の前記ステータポールに別々に巻かれた6種類の相巻線からなり、
前記コントローラは、3相交流電流を前記6種類の相巻線に供給する3相モードを有し、
前記3相モードは、最も近接する前記マグネットポールと同一の極性を前記ステータポールに与える請求項5記載のスイッチドリラクタンスモータ装置。
【請求項7】
前記コントローラは、前記3相モードにより前記ロータコアの回転を始動する請求項5記載のスイッチドリラクタンスモータ装置。
【請求項8】
前記ロータコアは、静止軸に固定された前記ステータコアの径方向外側に配置され、
前記ロータコアは、前記静止軸に回転可能に支持されるロータハウジングに支持されている請求項1記載のスイッチドリラクタンスモータ装置。
【請求項9】
前記ステータコアは、回転軸に固定された前記ロータコアの径方向外側に配置され、
前記ステータコアは、前記回転軸を回転可能に支持するステータハウジングの円筒部に支持され、
前記ステータハウジングは、前記円筒部の外周面からその全周にわたって径方向外側へ突出する多数の輪状板部をもち、
前記輪状板部はそれぞれ、互いに軸方向に所定間隔を隔てて配置されている請求項1記載のスイッチドリラクタンスモータ装置。
【請求項10】
前記スイッチドリラクタンスモータは、それぞれスイッチドリラクタンスモータからなる第1SRM及び第2SRMからなり、
前記第1SRM及び第2SRMの前記ステータコアは、ハウジングの円筒部の内周面に固定され。
前記第1SRM及び第2SRMの前記ロータコアは、共通の回転軸に固定され、
前記パワーコンバータは、互いに軸方向に隣接する第1SRM及び第2SRMに反対位相の前記交流電流を別々に供給することを特徴とする請求項1記載のスイッチドリラクタンスモータ装置。
【請求項11】
軟磁性突極であるステータポールをもつステータコアと、軟磁性突極であるロータポールをもつロータコアと、前記ステータポールに巻かれたステータ巻線とを備える単相スイッチドリラクタンスモータと、
前記ステータ巻線に駆動電圧を印加するパワーコンバータと、
前記パワーコンバータを制御するコントローラと、
を備えるスイッチドリラクタンスモータ装置において、
前記ステータコアは、回転軸に固定された前記ロータコアの径方向外側に配置され、
前記ステータコアは、前記回転軸を回転可能に支持するステータハウジングの円筒部に支持され、
前記ステータハウジングは、前記円筒部の外周面からその全周にわたって径方向外側へ突出する多数の輪状板部をもち、
前記輪状板部はそれぞれ、互いに軸方向に所定間隔を隔てて配置されていることを特徴とするハイブリッドスイッチドリラクタンスモータ装置。
【請求項12】
軟磁性突極であるステータポールをもつステータコアと、軟磁性突極であるロータポールをもつロータコアと、前記ステータポールに巻かれたステータ巻線とを備える単相スイッチドリラクタンスモータと、
前記ステータ巻線に駆動電圧を印加するパワーコンバータと、
前記パワーコンバータを制御するコントローラと、
を備えるスイッチドリラクタンスモータ装置において、
前記単相スイッチドリラクタンスモータは、それぞれスイッチドリラクタンスモータからなる第1SRM及び第2SRMからなり、
前記第1SRM及び第2SRMの前記ステータコアは、ハウジングの円筒部の内周面に固定され。
前記第1SRM及び第2SRMの前記ロータコアは、共通の回転軸に固定され、
前記パワーコンバータは、互いに軸方向に隣接する第1SRM及び第2SRMに反対位相の前記交流電流を別々に供給することを特徴とするスイッチドリラクタンスモータ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スイッチドリラクタンスモータ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
モータのトルク重量比は、重量増加を嫌う航空機用途などにおいて重要である。スイッチドリラクタンスモータ(SRM)は、永久磁石同期モータ(PMSM)よりも低いトルク重量比(T/kg)をもつ。従来のSRMのこの問題を改善するために、永久磁石が追加されたSRMが提案されている。ハイブリッドSRMと呼ばれるこのSRMは、周方向に隣接する2つのロータポールの間の間隙(ロータスロットと呼ばれる)に配置されたマグネットポールをもつ。ロータポールは軟磁性の突極であり、マグネットポールは永久磁石磁束を発生する突極である。
【0003】
特許文献1は、マグネットポールが3相SRMのロータスロットに配置された3相ハイブリッドSRMを提案している。各マグネットポールはそれぞれ、各ロータスロットの周方向中央位置に配置される。さらに、ロータポールを挟んで周方向に隣接する2つのマグネットポールは互いに異なる極性をもつ。
【0004】
本発明者により出願された特許文献2もマグネットポールが3相SRMのロータスロットに配置された3相ハイブリッドSRMを提案している。各マグネットポールは、ロータスロットの周方向一方端に近接する位置に配置される。
【0005】
従来提案されている3相ハイブリッドSRMは、マグネットポールが3相SRMのロータスロットに追加されたロータ構造をもつ。良く知られているように、3相SRMは、ステータポール数はロータポール数と異なる。
【0006】
ステータポール数とロータポール数とが等しい単相SRMが他の形式のSRMとして提案されている。この単相SRMは、3相SRMよりも優れたトルク発生効率をもつことができる。しかし、単相SRMは、高い振動及び騒音をもつ。さらに、単相SRMの起動は容易ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004-248730号公報
【特許文献2】特開2010-193700号公報
【発明の概要】
【0008】
従来の3相ハイブリッドSRMは、特殊用途を除いてPMSMとの市場競争において勝てなかった。しかしながら、高性能PMSM(永久磁石同期モータ)に使用されるレアアース材料は潜在的に供給が不安定であり、近未来において需要爆発が生じる時、製造コストの大幅な高騰が懸念される。
【0009】
本発明は、高性能なPMSMと競争可能なスイッチドリラクタンスモータ装置を提供することを一つの目的としている。
【0010】
本発明の第1の様相において、ロータポール数と等しいステータポール数をもつ単相SRMはさらに、永久磁石極であるマグネットポールをもつ。マグネットポールをもつ単相SRMは、単相ハイブリッドSRMと呼ばれることができる。マグネットポールはそれぞれ、周方向に隣接する2つのロータポールの間の凹部であるロータスロットに配置される。言い換えれば、この単相ハイブリッドSRMのロータは、軟磁性突極であるロータポール、及び、永久磁石極であるマグネットポールが、周方向交互に配置されたポール構造をもつ。
【0011】
この単相ハイブリッドSRMの単相モードによれば、全てのステータポールはステータ巻線のインダクタンス増加期間において一斉に励磁される。これにより、全てのステータポールは、全てのロータポールを吸引する。
【0012】
さらに、この単相モードによれば、全てのステータポールは、リラクタンストルクを発生する時に、最も近接しているマグネットポールと同一極性に励磁される。これにより、全てのステータポールは、上記したリラクタンストルクに加えて、マグネットトルクも発生する。マグネットトルクは、ステータポールがマグネットポールを吸引する吸引力成分と、ステータポールがマグネットポールを反発する反発力成分とを含むが、この単相モードによれば、マグネットトルクの反発力成分だけが本質的に利用される。
【0013】
ロータポールが回転する時、ステータポールに巻かれたステータ巻線は、そのインダクタンスが増加するインダクタンス増加期間と、インダクタンスが減少するインダクタンス減少期間とを交互にもつ。従来の単相SRMと同様に、モータトルクを発生するための単相電流は、実質的にインダクタンス増加期間にだけステータ巻線に供給される。
【0014】
結局、この単相ハイブリッドSRMの単相モードは、リラクタンストルクとマグネットトルクの反発力成分との両方をインダクタンス増加期間に同時に発生することができるため、従来の単相SRMよりも高いトルク/重量比及びトルク/電流比をもつことができる。優れたトルク/電流比の実現により、銅損低減による効率改善を実現することができる。さらに、単相モードは、平均磁路長を短縮するため、鉄量及び鉄損の低減に有利である。ステータポールは、最も近いマグネットポールの磁気極性の変更に応じて磁気極性を変更するために、交流電流により励磁される必要がある。
【0015】
さらに、この単相ハイブリッドSRMによれば、永久磁石の支持が格段に容易となる。この効果がさらに説明される。単相SRMでは、ロータポールの周方向幅はロータスロットの周方向幅と等しい。さらに、マグネットポールの周方向幅は、ロータスロットの周方向幅と等しい。したがって、マグネットポールを形成する永久磁石は、周方向に隣接する2つのロータポールにより良好に支持されることができる。
【0016】
好適には、インナーロータ形式の単相ハイブリッドSRMにおいて、ロータポールの径方向外側部分は、その径方向内側部分に比べて広い周方向幅をもつ。その結果、遠心力によるロータスロットからの永久磁石の離脱は、隣接する2つのロータポールにより良好に阻止されることができる。
【0017】
単相SRMは、リラクタンストルクを同時に発生するアクティブなステータポール数が多いため、一般的な3相SRMと比べて有利である。さらに、単相ハイブリッドSRMは、従来の単相SRMよりも高いトルク/重量比をもつ。しかし、従来の単相SRMは、安定した起動トルクを発生できなかった。この問題は、3相モードにより解決されることができる。
【0018】
本発明の好適態様において、この単相ハイブリッドSRMは、3相永久磁石同期モータ(3相PMSM)として動作可能なモータ構造をもつ。このモータ構造は、互いに等しい数のステータポール、ロータポール、及びマグネットポールをもつ。この等しい数は、6の整数倍に等しい。周方向に順番に配置された3つのマグネットポールはN極磁石群を形成し、周方向に順番に配置されたもう一つの3つのマグネットポールはS極磁石群を形成する。N極をもつ隣接する3つのマグネットポールは一つの仮想N極と見なすことができ、S極をもつ隣接する3つのマグネットポールは一つの仮想S極と見なすことができる。これらの仮想N極及び仮想S極は周方向交互に配置される。
【0019】
3相モードで運転される単相ハイブリッドSRMは実質的に永久磁石同期モータである。3相モードは安定な起動トルクを発生する。
【0020】
好適な態様において、ステータポールに集中巻きされたステータ巻線は6種類の相巻線からなる。この6種類の相巻線は、互いに隣接する6個のステータポールに別々に巻かれている。この3相モードによれば、互いに電気角60度離れた位相をもつ6種類の相電流が6種類の相巻線に別々に供給される。さらに、この3相モードによれば、ステータポールは、最も近接している前記マグネットポールと同一極性に励磁される。これにより、この永久磁石3相同期モータは、少なくともマグネットトルクの反発力成分を利用することができる。
【0021】
好適な態様において、このハイブリッドSRMを駆動するパワーコンバータは、それぞれ電気角120度離れた3つの相電流を形成する3つのHブリッジからなる。3つの相電流の通電方向は、回転するロータポールの位置と同期して切り替えられる。この3相モードによれば、3つの相電流の通電方向切替により、ステータポールは、近接するマグネットポールを吸引し、遠ざかるマグネットポールと反発する向きに励磁される。各相電流は、正弦波、矩形波、及び台形波のような種々の波形をもつことができる。これにより、この3相PMSMは安定した同期トルクを発生することができる。
【0022】
好適な態様によれば、3相モードは、モータ起動時に実施される。これにより、単相ハイブリッドSRMを確実に始動することができる。好適な態様において、3相モードは、高速回転時に実施される。3相モードにおけるステータ電流は、単相モードにおけるステータ電流よりも低い周波数成分をもつため、高速回転時における鉄損を低減することができる。
【0023】
好適な態様において、このハイブリッドSRMはアウターロータ構造をもつ。これにより、永久磁石が高速回転するロータコアから離脱する事故を良好に防止することができる。
【0024】
好適な態様並びに本発明の第2の様相において、インナーロータ構造をもつ単相スイッチドリラクタンスモータのハウジングは、ステータコアが固定される円筒部をもつ。この円筒部の外周面は、径方向外側へ突出する多数の輪状板部をもつ。これにより、ハイブリッドSRMの音響ノイズ及び放熱の両方を改善することができる。
【0025】
従来のインナーロータタイプのスイッチドリラクタンスモータは、ステータコアが固定されたハウジングの円筒部が強力な音響ノイズ源となるという欠点をもっていた。この態様によれば、ハウジングは、それぞれ円筒部から径方向外側へ突出する多数の輪状板部をもつ。これにより、モータの重量増加を回避し、かつ、音響ノイズを抑制することができる。さらに、モータは良好に冷却されることができる。
【0026】
好適な態様並びに本発明の第3の様相において、インナーロータ構造をもつ単相スイッチドリラクタンスモータは、第1SRM及び第2SRMのステータコアをもつ。これらのステータコアは、ハウジングの円筒部に固定される。軸方向に隣接する第1SRM及び第2SRMのロータコアは共通の回転軸に固定される。パワーコンバータは、第1SRM及び第2SRMのステータ巻線に、互いに反対位相の2種類の電流を供給する。これにより、ハウジングの円筒部の径方向振動を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明のスイッチドリラクタンスモータ装置を模式的に示すブロック回路図である。
図2】3相モードを説明するための模式展開図である。
図3】3相モードを説明するための模式展開図である。
図4】3相モードにおけるインダクタンス及び3相交流電流通電期間を示すタイミングチャートである。
図5】3相モードにおけるステータポールの極性変更パターンを示すタイミングチャートである。
図6】単相モードを説明するための模式展開図である。
図7】単相モードを説明するための模式展開図である。
図8】単相モードにおけるインダクタンス及び3相交流電流通電期間を示すタイミングチャートである。
図9】単相モードにおけるステータポールの極性変更パターンを示すタイミングチャートである。
図10】パワーコンバータの一例を示す回路図である。
図11】3相モードと単相モードとの切替動作を示すフローチャートである。
図12】アウターロータタイプのハイブリッドSRMを示す軸方向模式断面図である。
図13】インナーロータタイプのハイブリッドSRMを示す軸方向模式断面図である。
図14】単相発電モードを説明するための模式展開図である。
図15】単相発電モードを説明するための模式展開図である。
図16】単相発電モードにおけるインダクタンス及び3相交流電流通電期間を示すタイミングチャートである。
図17】単相発電モードにおけるステータポールの極性変更パターンを示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明のハイブリッドSRM装置の好適な実施形態が図面を参照して説明される。図面において、&rsquo;AX&rsquo;は軸方向を示し、&rsquo;RA&rsquo;は径方向を示し、&rsquo;PH&rsquo;は周方向を示す。
【0029】
図1は、この実施例のハイブリッドSRM装置を示す模式ブロック図である。ハイブリッドSRM1は6本の電力ケーブルを通じてパワーコンバータ2に接続されている。バッテリ3に接続されたパワーコンバータ2は、コントローラ4により制御される。平滑キャパシタ5はバッテリ3と並列接続されている。
【0030】
図12は、この実施例のアウターロータタイプのハイブリッドSRM1を示す。ハイブリッドSRM1は、固定ベース14から上方へ突出するシャフト13に固定されたステータコア11をもつ。ステータ巻線7が電気鋼板製のステータコア11に巻かれている。電気鋼板製のロータコア12が狭い電磁ギャップを挟んでステータコア11の径方向外側に配置されている。
【0031】
ロータコア12は、ハウジング15及び16により上下方向に挟持されている。アルミ合金製のハウジング15及び16は図略のボルトにより締結されて、一体となっている。ハウジング15及び16は、軸受け18及び19を通じてシャフト13により回転可能に支持されている。ロータハウジング15及び16の外周部(図示せず)は、所定枚数の回転翼を形成している。
【0032】
ロータコア12は、径方向内側へ突出する軟磁性突極であるロータポールをもつ。ステータコア11は、径方向外側へ突出する軟磁性突極であるステータポールをもつ。ロータコア12は、隣接する2つのロータポールの間の間隙を意味するロータスロットをもつ。永久磁石からなるマグネットポールがそれぞれ、ロータスロットに収容されている。
【0033】
ステータポール数、ロータポール数Nr、及びマグネットポール数は互いに等しい6の倍数値である。ステータポール数、ロータポール数、及びマグネットポール数は、それぞれ18である。ステータポールの周方向幅、ロータポールの周方向幅、及びマグネットポールの周方向幅は、ほぼ等しい。コントローラ4は、運転モードとして3相モード及び単相モードをもつ。コントローラ4は、3相モード及び単相モードを必要に応じて切り替える。
【0034】
この3相モードは、ハイブリッドSRM1を3相永久磁石同期モータ(3相PMSM)として動作させる動作モードである。この3相モードが図2-図5を参照して説明される。ステータコア11及びロータコア12の部分的な周方向模式展開図である図2及び図3はそれぞれ、1セットのステータポール61-66、1セットのロータポール91-96、1セットのマグネットポール81-86、及び1セットの相巻線71-76を示す。
【0035】
したがって、ステータコア11は、周方向に順番に配置された3セットのステータポール61-66をもつ。3セットの相巻線71-76が3セットのステータポール61-66に別々に巻かれている。ロータコア12は、周方向に順番に配置された3セットのロータポール91-96をもつ。マグネットポールと呼ばれる3セットの永久磁石81-86がロータポール91-96の間の間隙であるロータスロットに別々に固定されている。
【0036】
パワーコンバータ2は、6相の相電流(IU、-IV、IW、-IU、IV、-IW)を6つの相巻線71-76に別々に供給する。U相電流IUは相巻線71に供給され、V相電流IVは相巻線75に供給され、W相電流IWは相巻線73に供給される。U相電流IUと反対位相をもつ-U相電流-IUは相巻線74に供給される。V相電流IVと反対位相をもつ-V相電流-IVは相巻線72に供給される。W相電流IWと反対位相をもつ-W相電流-IWは相巻線76に供給される。
【0037】
実際には、相巻線74は相巻線71と逆向きに巻かれ、相巻線72は相巻線75と逆向きに巻かれ、相巻線76は相巻線73と逆向きに巻かれている。これにより、U相電流IUが相巻線74に供給され、V相電流IVが相巻線72に供給され、W相電流IWが相巻線76に供給される。3つの相電流IU、IV、及びIWは互いに電気角120度異なる位相をもつ交流電流である。これにより、1セットのステータポール61-66はそれぞれ、電気角60度離れた相磁界を形成することができる。したがって、相電流IU、IV、及びIWは、電気角度60度ずつ回転する合い回転磁界をステータコア11に形成する。
【0038】
図2は、連続する3つの位相期間P1-P3におけるロータコア12の周方向相対位置を示す。図3は、連続する3つの位相期間P4-P6におけるロータコア12の周方向相対位置を示す。図2及び図3において、ロータコア12の周方向相対位置は位相角0度における位置を示す。これらの位相期間P1-P6はそれぞれ、ロータコア12が一つのステータポールピッチだけ周方向に移動する期間に相当する。各位相期間P1-P6はそれぞれ、電気角360度に相当する。
【0039】
位相期間P1-P6において、電気角0度は、マグネットポール81-86がステータポール61-66と周方向において重なるアライン位置に存在することを示す。したがって、電気角0度において、軟磁性極であるロータポール91-96は、ステータポールの間のステータスロットと周方向において重なる。同様に、電気角180度は、ロータポール91-96がステータポール61-66と周方向において重なるアライン位置に存在することを示す。したがって、電気角180度において、マグネットポール81-86は、ステータポールの間のステータスロットと周方向において重なる。
【0040】
相巻線71及び74はインダクタンスLUをもち、相巻線75及び72はインダクタンスLVをもち、相巻線73及び76はインダクタンスLWをもつ。インダクタンスLU、LV、及びLWは、電気角0度にて最小値となり、電気角180度にて最大値となる。このため、電気角0度から電気角180度までの期間はインダクタンス増加期間と呼ばれ、電気角180度から電気角0度までの期間はインダクタンス減少期間と呼ばれる。
【0041】
ステータポール61-66、ロータポール91-96、及びマグネットポール81-86はそれぞれ、ほぼ等しい周方向幅をもつ。フエライト磁石からなる各マグネットポール81-86はそれぞれ、ロータスロットと呼ばれるスペースに固定されている。このロータスロットは、ロータポール91-96の間に存在する。電磁ギャップを隔ててステータポール61-66と対面するロータポール91-96の先端表面は、ロータポール91-96の底部と比べてより広い周方向幅をもつ。
【0042】
言い換えれば、ロータポール91-96はロータスロットの開口を狭める楔形状に形成されている。さらに、マグネットポール81-86をなす各永久磁石は、これらのロータスロットと一致する形状をもつように焼成されている。これにより、ロータポール91-96はマグネットポール81-86を強力に支持することができる。
【0043】
この実施例によれば、図2及び図3に示されるように、マグネットポール81-83はステータポール61-66に対面してN極をもち、マグネットポール84-86はステータポール61-66に対面してS極をもつ。すなわち、互いに周方向に隣接するマグネットポール81-83は同一極性をもち、互いに周方向に隣接するマグネットポール84-86は同一極性をもつ。
【0044】
ハイブリッドSRM1が3相永久磁石同期モータとして駆動されるこの3相モードにおいて、N極をもつ3つのマグネットポール81-83は、マグネットポール82の位置に設置された仮想N極により模式的に代表されることができる。同様に、S極をもつ3つのマグネットポール84-86は、マグネットポール85の位置に設置された仮想S極により模式的に代表されることができる。結局、この永久磁石ロータは、3つの仮想N極と3つの仮想S極とをもつ6極ロータと見なすことができる。
【0045】
したがって、相巻線71-76に相電流を流すことにより、電磁ギャップに回転磁界を形成することができる。この回転磁界のN極が、仮想N極の後方かつ仮想S極の前方に位置する時、回転磁界のN極は、反発力により仮想N極を前進させ、吸引力により仮想S極を前進させる。結局、この3相モードによれば、3相電流の制御により、回転磁界の回転速度及び位相はロータコア12の回転速度及び位相と同期する。これにより、ハイブリッドSRM1は、3相PMSMとして回転することができる。
【0046】
図4は、相巻線71-76に供給される3相電流(IU、IV、及びIW)、及び相巻線71-76のインダクタンス(LU、LV、及びLW)を示すタイミングチャートである。U相電流IUは相巻線71及び74に供給され、V相電流IVは相巻線75及び72に供給され、W相電流IWは相巻線73及び76に供給される。ステータポール61及び64は互いに逆の極性をもつ。ステータポール62及び65は互いに逆の極性をもつ。ステータポール63及び66は互いに逆の極性をもつ。
【0047】
相巻線71及び74はインダクタンスLUをもち、相巻線72及び75はインダクタンスLVをもち、相巻線73及び76はインダクタンスLWをもつ。互いに連続する3つの位相期間P1-P3は図2に示されている。互いに連続する3つの位相期間P4-P6は図3に示されている。6つの位相期間P1-P6の経過は、ロータコア12が6ポールピッチだけ回転することを意味する。
【0048】
この3相モードによれば、それぞれ交流電流である3つの相電流(IU、IV、IW)は、位相期間P1-P6からなる1交流サイクルをもつ。U相交流電流IUは、時点t1にて負半波期間から正半波期間にシフトし、時点t4にて正半波期間から負半波期間にシフトする。V相交流電流IVは、時点t2にて正半波期間から負半波期間にシフトし、時点t5にて負半波期間から正半波期間にシフトする。W相交流電流IWは、時点t3にて負半波期間から正半波期間にシフトし、時点t6にて正半波期間から負半波期間にシフトする。3相電流(IU、IV、IW)の波形は、正弦波、台形波、矩形波などから必要に応じて選択可能である。図5は、各位相期間P1-P6におけるステータポール61-66の極性変化を示す。この極性は、電磁ギャップに面するステータポール61-66の先端面の極性を意味する。
【0049】
この3相モードは、周方向において連続する同極性の3つのマグネットポールを一つの仮想磁極と見なす。この仮想磁極は、同じ極性をもつ3つのマグネットポールのうちの中間のマグネットポールの位置に存在すると見なされる。これにより、ロータコア12は、6個の仮想磁極をもつ。結局、3相電流(IU、IV、及びIW)によりステータポール61-66の極性が順次変更される。回転磁界のN極及びS極は、各仮想磁極に磁気吸引力及び磁気反発力を与える。言い換えれば、ロータコア12は3相PMSMのロータコアとして回転する
【0050】
この単相モードは、ハイブリッドSRM1を単相SRMとして動作させる動作モードである。この単相モードが図6-図9を参照して説明される。ステータコア11及びロータコア12の部分的な周方向模式展開図である図6及び図7はそれぞれ、1セットのステータポール61-66、1セットのロータポール91-96、1セットのマグネットポール81-86、及び1セットの相巻線71-76を示す。図6に示されるロータコア12は図2に示されるロータコア12と同じ回転位置をもつ。図7に示されるロータコア12は図3に示されるロータコア12と同じ回転位置をもつ。
【0051】
この単相モードによれば、電気角0度から電気角180度の期間であるインダクタンス増加期間において、U相電流IUが相巻線71、74に供給され、V相電流IVが相巻線75、72に供給され、W相電流IWが相巻線73、76に供給される。図6及び図7は、位相期間P1-P6におけるロータポール91-96の周方向位置を示す。図6及び図7において、ロータポール91-96は、電気角90度に相当する角度位置に存在する。
【0052】
3相電流IU、IV、及びIWにより励磁されたステータポール61-66は、軟磁性のロータポール91-96を励磁する。このインダクタンス増加期間において、ロータポール91-96は、最も近接するステータポールよりも周方向左側に存在するため、ロータポール91-96は周方向右側へ吸引される。
【0053】
図6及び図7に示されるように、3相電流IU、IV、及びIWが6つの相巻線71-76に供給される時、ステータポール61-66がマグネットポール81-86のうち最も近接するマグネットポールと同一の極性をもつ。言い換えれば、ステータポール61-66はそれぞれ励磁されて、周方向右側のマグネットポールと同一極性をもつ。これにより、電気角0-180度のインダクタンス増加期間において励磁されたステータポール61-66は、マグネットポール81-86を周方向右側へ反発する。
【0054】
その結果、ロータコア12は回転する。したがって、この単相モードによれば、相電流IU、IV、及びIWの電流方向の切替により、ステータポール61-66が周方向前方側に近接するマグネットポール81-86と同じ極性を維持する。図6及び図7において、ダブル線はマグネットポールに加えられる磁気反発力を示し、シングル線はロータポールに加えられる磁気吸引力を示す。
【0055】
結局、実質的に単相交流電流が供給されるステータポール61-66は、全てのロータポール91-96にリラクタンストルクを与え、さらに、全てのマグネットポール81-86にマグネットトルクの反発力成分を与える。これにより、この単相モードで駆動されるハイブリッドSRM1は、高いトルク/重量比をもつ。
【0056】
図8は、相巻線71-76に供給される3相電流(IU、IV、及びIW)と、相巻線71-76のインダクタンス(LU、LV、及びLW)を示すタイミングチャートである。この単相モードにおいて、3相電流(IU、IV、及びIW)は、3相モードと同様に3相交流電流となる。図8において、相巻線71及び74はインダクタンスLUをもち、相巻線72及び75はインダクタンスLVをもち、相巻線73及び76はインダクタンスLWをもつ。互いに連続する6つの位相期間P1-P6は、3相交流電流の1サイクル期間に相当する。図6は位相期間P1-P3を示し、図7は位相期間P4-P6を示す。6つの位相期間が経過する時、ロータコア12は6ポールピッチだけ回転する。
【0057】
言い換えれば、この単相モードは、全てのロータポール91-96に同時に磁気吸引力を与えるために、ステータポール61-66に巻かれた相巻線71-76に3相交流電流を供給する。この単相モードにより発生するトルクは、従来の単相SRMのリラクタンストルクと実質的に同じである。リラクタンストルクとマグネットトルクとがロータポール91-96に与えられるため、この単相モードは高いトルク/重量比を実現する。
【0058】
図9は、3つの相電流(IU、IV、及びIW)により励磁されたステータポール61-66の極性の変化を示す。
【0059】
図10はパワーコンバータ2の一例を示す回路図である。このパワーコンバータ2は3つのHブリッジ21-23からなる。U相Hブリッジ21は、相巻線71及び74にU相電流を供給する。V相Hブリッジ22は、相巻線72及び75にV相電流を供給する。W相Hブリッジ23は、巻線73及び76にW相電流を供給する。相巻線74は相巻線71と逆向きに巻かれ、相巻線72は相巻線75と逆向きに巻かれ、相巻線76は相巻線73と逆向きに巻かれている。
【0060】
図11は、コントローラ4によるモード選択動作を示すフローチャートである。まず、ハイブリッドSRM1の起動が指令されたかどうかを判定し(S100)、指令された場合には3相モードを実行する(S102)。次に、起動が完了したか否かを判定し(S104)、完了したら単相モードを実行する(S106)。次に、3相モードが指令されたか否かが判定され(S108)、指令された場合には3相モードを実行する(S110)。
【0061】
ステップS110により実施される3相モードは、低騒音のためのサイレントモードにおいて実施され、高速回転のためのハイスピードモードにおいて実施される。3相モードにおいて、正弦波波形の3相交流電流を採用することが好適である。
【0062】
図12に示されるアウターロータタイプのハイブリッドSRM1は、永久磁石81-86がその遠心力によりロータコア12から離脱する問題を良好に解決することができる。なぜなら、ロータスロットの周方向幅は従来の3相SRMと比べて狭いからである。
【0063】
図13は、インナーロータ構造のハイブリッドSRM1の変形態様を示す。ロータコア12A及び12Bが固定された回転軸13は、軸受け18を介してフロントハウジング100Aに回転可能に支持され、軸受け19を介してリアハウジング100Bに回転可能に支持されている。フロントハウジング100Aは、前端壁101Aの外周から軸方向に延在する円筒部102Aをもつ。リアハウジング100Bは、後端壁101Bの外周から軸方向に延在する円筒部102Bをもつ。
【0064】
円筒部102A及び円筒部102Bの各先端部103A及び103Bは、リング状のスペーサ104により互いに固定されている。スペーサ104は先端部103A及び103Bに結合するねじ面をもつことができる。ステータコア11Aが円筒部102Aの内周面に固定されている。ステータ巻線7Aがステータコア11Aに巻かれている。ステータコア11Aはロータコア12Aの径方向外側に配置されている。ステータコア11Bが円筒部102Bの内周面に固定されている。ステータ巻線7Bがステータコア11Bに巻かれている。ステータコア11Bはロータコア12Bの径方向外側に配置されている。
【0065】
ステータコア11A及びロータコア12Aは第1SRMを形成し、ステータコア11B及びロータコア12Bは第2SRMを形成している。それぞれインナーロータ形式のスイッチドリラクタンスモータである第1SRM及び第2SRMは互いに同じ構造をもつ。この変形態様によれば、第1SRM及び第2SRMはそれぞれハイブリッドSRMからなるが、従来の3相スイッチドリラクタンスモータ又は単相スイッチドリラクタンスモータでもよい。
【0066】
パワーコンバータ2は、ステータ巻線7Aに第1ステータ電流を供給し、ステータ巻線7Bに第2ステータ電流を供給する。ステータ巻線7Aのインダクタンス増加期間は、ステータ巻線7Bのインダクタンス増加期間に対して反対位相となっている。第1ステータ電流及び第2ステータ電流は、反対位相となっている。言い換えれば、第1ステータ電流と第2ステータ電流との位相差は電気角180度である。第1SRM及び第2SRMにそれぞれ3相交流電流を供給するために、図10に示されるパワーコンバータ2は、6つのHブリッジをもつ必要がある。しかし、それぞれ3つのレグをもつ3つのハイブリッドHブリッジを使用することも可能である。このハイブリッドHブリッジの3つのレグのうちの一つの共用レグとなる。これにより、パワーコンバータのレグ数を減らすことができる。
【0067】
したがって、このハイブリッドSRM1の電流リップル、トルクリップル、及び音響ノイズは、大幅に低減される。特に、ステータコア11Aの円筒部102A及びステータコア11Bの円筒部102Bは、互いに反対位相の径方向振動をもつ。その結果、円筒部102A及び102Bの径方向振動は互いに相殺される。
【0068】
さらに、円筒部102A及び102Bはそれぞれ、多数の輪状板部104A及び104Bをもつ。輪状板部104Aはそれぞれ、円筒部102Aの外周面から径方向外側へ突出している。輪状板部104Bはそれぞれ、円筒部102Bの外周面から径方向外側へ突出している。輪状板部104A及び104Bはそれぞれ、軸方向に順番に配置されている。各輪状板部104Aはそれぞれ、円筒部102Aの全周を囲んでいる。各輪状板部104Bはそれぞれ、円筒部102Bの全周を囲んでいる。
【0069】
したがって、輪状板部104A及び104Bは円筒部102A及び102Bの径方向振動を強力に抑制することができる。さらに、ハイブリッドSRM1の重量増加も抑制することができる。さらに、輪状板部104A及び104Bはそれぞれ、ステータコア11A、11Bを冷却するための冷却フィンを兼ねることができる。
【0070】
なお、この実施例のハイブリッドSRM1は、極数増加によるトルク増加が容易であるため、航空機や風力発電機のプロペラにダイレクトに結合することができる。このため、変速のためのギヤ機構の省略が可能となる。
【0071】
次に、単相発電モードが図14-図17を参照して説明される。この単相発電モードは、ハイブリッドSRM1を単相スイッチドリラクタンス発電機(SRG)として動作させる動作モードである。良く知られているように、モータは発電機として動作することができる。この単相発電モードは、図6-図9に示される単相モードと本質的に同じである。図14は本質的に図6と同じであり、図15は本質的に図7と同じである。図16は本質的に図8と同じであり、図17は本質的に図9と同じである。
【0072】
ただし、図14及び図15において、ステータポール61-66はそれぞれ、最も近接するマグネットポールの前方、かつ、最も近接するロータポールの後方に配置される。図14及び図15は、位相期間P1-P6における電気角270度の位置を示す。励磁されたステータポール61-66はそれぞれ、最も近接するマグネットポールと同じ極性をもつ。さらに、励磁されたステータポール61-66はそれぞれ、最も近接するロータポールを反対極性に磁化する。
【0073】
図16に示されるように、3つの相電流IU、IV、IWは、電気角180度-0度の角度範囲をもつインダクタンス減少期間に相巻線71-76を流れる。この単相発電モードにおいて、通電期間の初期に相巻線71-76に相電流IU、IV、IWが供給される。その後、この相電流の供給が停止されるが、相巻線71-76は、パワーコンバータ2に発電電流を流す。
【0074】
図16及び図17からわかるように、この単相発電モードにおいて、相巻線71-76を流れる3つの相電流IU、IV、及びIWはそれぞれ、交流電流となる。これは、ステータポール61-66の極性を変更するためである。この実施例の単相発電モードは、本質的に従来の単相SRGの発電モードと同じである。けれども、この実施例によれば、ロータスロットに配置されたマグネットポールにより、高い発電電圧を得ることができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
【手続補正書】
【提出日】2023-01-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】全図
【補正方法】変更
【補正の内容】
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
【手続補正書】
【提出日】2023-04-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対面するステータ及びロータを有する単相スイッチドリラクタンスモータを制御するための3相モード及び単相モードをもつコントローラを備えるスイッチドリラクタンスモータ装置において、
(A) 前記ステータは、周方向に順番に配置された軟磁性突極からなるステータポールを有するステータコアと、前記ステータポールに順番に巻かれた6種類の相巻線からなるステータ巻線とを有し、
(B) 前記ロータは、周方向に順番に配置された軟磁性突極からなるロータポールを有するロータコアと、前記ロータポールの間のロータスロットに固定された永久磁石からなるマグネットポールとを有し、
(C) 前記ステータポール、前記ロータポール、及び前記マグネットポールの数は、互いに等しく、かつ、6の整数倍に等しく形成され、
(D) 周方向に順番に配置された第1、第2、及び第3の前記マグネットポールは、N極の磁気極性をもち、
(E) 周方向に順番に配置された第4、第5、及び第6の前記マグネットポールは、S極の磁気極性をもち、
(F) 前記3相モードは、6つのステータポールピッチが電気角360度に相当する3相回転磁界を形成することにより、前記マグネットポールの全てが3相同期磁石トルクを発生するモードであり、
(G) 前記単相モードは、1つのステータポールピッチに相当する電気角360度の範囲内に配置された所定の電流供給期間に前記6種類の相巻線の全てに相電流を供給することにより、前記ロータポールが単相リラクタンストルクを発生し、かつ、前記マグネットポールが単相マグネットトルクを発生するモードであり、
(H) 前記単相マグネットトルクは、前記6種類の相巻線に別々に供給される6種類の相電流の各方向を前記ロータの回転に同期して順次切り替えることにより、前記単相リラクタンストルクと常に同じトルク方向をもつことを特徴とするスイッチドリラクタンスモータ装置。
【請求項2】
前記単相モードにおける前記相電流の方向切替は、全ての前記ステータポールが前方において最も近接する前記マグネットポールと同一極性をもつように実行される請求項1記載のスイッチドリラクタンスモータ装置。
【請求項3】
前記コントローラは、前記3相モードを実行することにより前記単相スイッチドリラクタンスモータの始動を実施する請求項1記載のスイッチドリラクタンスモータ装置。
【請求項4】
前記コントローラは、前記ステータポールの全てを同時に励磁することにより負の単相リラクタンストルク及び負の単相マグネットトルクの両方を発生する単相発電モードを有する請求項1記載のスイッチドリラクタンスモータ装置。
【請求項5】
前記単相発電モードは、最も近い前記マグネットポールと同一極性を前記ステータポールに与え、
前記最も近いマグネットポールは、前記ステータポールよりも後方に位置する請求項4記載のスイッチドリラクタンスモータ装置。