IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社竹中工務店の特許一覧

<>
  • 特開-情報処理装置及び情報処理プログラム 図1
  • 特開-情報処理装置及び情報処理プログラム 図2
  • 特開-情報処理装置及び情報処理プログラム 図3
  • 特開-情報処理装置及び情報処理プログラム 図4
  • 特開-情報処理装置及び情報処理プログラム 図5
  • 特開-情報処理装置及び情報処理プログラム 図6
  • 特開-情報処理装置及び情報処理プログラム 図7
  • 特開-情報処理装置及び情報処理プログラム 図8
  • 特開-情報処理装置及び情報処理プログラム 図9
  • 特開-情報処理装置及び情報処理プログラム 図10
  • 特開-情報処理装置及び情報処理プログラム 図11
  • 特開-情報処理装置及び情報処理プログラム 図12
  • 特開-情報処理装置及び情報処理プログラム 図13
  • 特開-情報処理装置及び情報処理プログラム 図14
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024089396
(43)【公開日】2024-07-03
(54)【発明の名称】情報処理装置及び情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G05B 23/02 20060101AFI20240626BHJP
【FI】
G05B23/02 301Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022204736
(22)【出願日】2022-12-21
(71)【出願人】
【識別番号】000003621
【氏名又は名称】株式会社竹中工務店
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】綿谷 聡
(72)【発明者】
【氏名】出口 明
(72)【発明者】
【氏名】高崎 英人
(72)【発明者】
【氏名】内藤 陽
(72)【発明者】
【氏名】永田 幸平
(72)【発明者】
【氏名】大石 章史
【テーマコード(参考)】
3C223
【Fターム(参考)】
3C223AA22
3C223BA03
3C223CC02
3C223DD03
3C223EB02
3C223FF15
3C223FF16
3C223FF17
3C223FF22
3C223FF26
3C223GG01
3C223HH02
3C223HH08
3C223HH23
3C223HH28
(57)【要約】
【課題】より効果的に、二酸化炭素の排出量に関する情報を把握することができる情報処理装置及び情報処理プログラムを得る。
【解決手段】情報処理装置10は、同一の建設現場で用いられる複数の建設機械による二酸化炭素の排出量の算定に用いる算定情報を取得する取得部11Aと、取得部11Aによって取得された算定情報を用いて、上記複数の建設機械によって排出される二酸化炭素の総量に関する総量情報を導出する導出部11Bと、導出部11Bによって導出された総量情報を提示する提示部11Dと、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
同一の建設現場で用いられる複数の建設機械による二酸化炭素の排出量の算定に用いる算定情報を取得する取得部と、
前記取得部によって取得された前記算定情報を用いて、前記複数の建設機械によって排出される前記二酸化炭素の総量に関する総量情報を導出する導出部と、
前記導出部によって導出された前記総量情報を提示する提示部と、
を備えた情報処理装置。
【請求項2】
前記算定情報は、対応する前記建設機械における、稼働によって二酸化炭素が排出される部位の稼働期間を示す情報である、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記部位の不要な稼働を検出する検出部を更に備え、
前記提示部は、前記検出部による検出結果を更に提示する、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記取得部は、異なる複数の建設現場から前記算定情報を取得し、
前記導出部は、前記取得部によって取得された前記建設現場の各々毎の前記算定情報を用いて、当該建設現場の各々毎の前記総量情報を導出し、
前記提示部は、前記建設現場の各々毎の前記総量情報を比較可能に提示する、
請求項1から請求項3の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記導出部は、前記算定情報を含む情報を入力情報とし、前記総量情報を出力情報として予め機械学習された人工知能によるモデルを用いて、前記総量情報を導出する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記入力情報は、前記建設現場における建設物に関する情報を含む前記算定情報であり、
前記出力情報は、新たな建設現場における建設に伴う前記総量情報、又は建設が終了した建設現場における前記総量情報である、
請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
同一の建設現場で用いられる複数の建設機械による二酸化炭素の排出量の算定に用いる算定情報を取得し、
取得した前記算定情報を用いて、前記複数の建設機械によって排出される前記二酸化炭素の総量に関する総量情報を導出し、
導出した前記総量情報を提示する、
処理をコンピュータに実行させるための情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置及び情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、建築生産における脱炭素に向けた活動は社会的責務とされており、建設現場におけるCO排出量の把握及び具体的な削減活動が強く求められている。
【0003】
従来、建設現場におけるCO排出量の把握は、サンプリングした建設現場を対象として調査シートを配付し、手作業で入力を行っている。そのため、入力及び集計作業に多大な労力がかかる割には、精度が非常に粗いものとなっており、現状把握ができてないことから、CO削減活動に繋げられていない。
【0004】
従来、この問題を解決するために適用することができる技術として、以下の技術があった。
【0005】
特許文献1には、各事業者の排出する二酸化炭素量をタイムラグなしに容易に算出することを目的とした二酸化炭素排出量算出方法が開示されている。
【0006】
この二酸化炭素排出量算出方法は、二酸化炭素排出を伴う事業を実施する一又は複数の事業者の排出する二酸化炭素量を算出する二酸化炭素排出量算出方法において、前記一又は複数の事業者それぞれの二酸化炭素排出に係わる少なくとも一つのエネルギーの使用量又はそれに対応する量を計測するステップと、前記使用量又はそれに対応する量を通信回線を介してサーバに定期的に送信するステップと、前記サーバにおいて、前記使用量又はそれに対応する量に基づいて二酸化炭素排出量を算出するステップと、を備える。
【0007】
また、特許文献2には、工事の二酸化炭素排出量を簡便に推定することを目的とした二酸化炭素排出量推定システムが開示されている。
【0008】
この二酸化炭素排出量推定システムは、工事の二酸化炭素排出量推定システムであって、要素と二酸化炭素排出係数とを関連付けた二酸化炭素排出係数マスターテーブルと、工事および工事に関連する各要素の単位数量あたりの標準数値からなる積算マスターテーブルとを格納する記憶部と、少なくとも1つの工事名称およびその数値を含む対象工事情報を取得する取得部と、を備える。また、この二酸化炭素排出量推定システムは、前記対象工事情報に基づき、前記積算マスターテーブルを参照して、少なくとも1つの要素およびその数量を含む工事詳細データを作成する作成部と、前記作成した工事詳細データに含まれる少なくとも1つの要素およびその数量に基づき、前記記憶部に格納される二酸化炭素排出係数マスターテーブルを参照して、二酸化炭素排出推定値を算出する算出部と、を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2001-183186号公報
【特許文献2】特開2010-204740号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上記特許文献1及び特許文献2に開示されている技術は、同一の建設現場における二酸化炭素の排出量の総量に関する総量情報を得るものではないため、必ずしも効果的に、二酸化炭素の排出量に関する情報を把握することができるとは限らない、という問題点があった。
【0011】
本開示は、以上の事情を鑑みて成されたものであり、より効果的に、二酸化炭素の排出量に関する情報を把握することができる情報処理装置及び情報処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1に記載の本発明に係る情報処理装置は、同一の建設現場で用いられる複数の建設機械による二酸化炭素の排出量の算定に用いる算定情報を取得する取得部と、前記取得部によって取得された前記算定情報を用いて、前記複数の建設機械によって排出される前記二酸化炭素の総量に関する総量情報を導出する導出部と、前記導出部によって導出された前記総量情報を提示する提示部と、を備えている。
【0013】
請求項1に記載の本発明に係る情報処理装置によれば、同一の建設現場で用いられる複数の建設機械による二酸化炭素の排出量の算定に用いる算定情報を取得し、取得した算定情報を用いて、上記複数の建設機械によって排出される二酸化炭素の総量に関する総量情報を導出し、導出した総量情報を提示することで、総量情報を提示しない場合に比較して、より効果的に、二酸化炭素の排出量に関する情報を把握することができる。
【0014】
請求項2に記載の本発明に係る情報処理装置は、請求項1に記載の情報処理装置であって、前記算定情報が、対応する前記建設機械における、稼働によって二酸化炭素が排出される部位の稼働期間を示す情報であるものである。
【0015】
請求項2に記載の本発明に係る情報処理装置によれば、算定情報を、対応する建設機械における、稼働によって二酸化炭素が排出される部位の稼働期間を示す情報とすることで、当該稼働期間を示す情報を算定情報としない場合に比較して、より高精度に総量情報を得ることができる。
【0016】
請求項3に記載の本発明に係る情報処理装置は、請求項2に記載の情報処理装置であって、前記部位の不要な稼働を検出する検出部を更に備え、前記提示部が、前記検出部による検出結果を更に提示するものである。
【0017】
請求項3に記載の本発明に係る情報処理装置によれば、上記部位の不要な稼働を検出し、検出結果を更に提示することで、より効果的に二酸化炭素の排出量に関する情報を利用することができる。
【0018】
請求項4に記載の本発明に係る情報処理装置は、請求項1から請求項3の何れか1項に記載の情報処理装置であって、前記取得部が、異なる複数の建設現場から前記算定情報を取得し、前記導出部が、前記取得部によって取得された前記建設現場の各々毎の前記算定情報を用いて、当該建設現場の各々毎の前記総量情報を導出し、前記提示部が、前記建設現場の各々毎の前記総量情報を比較可能に提示するものである。
【0019】
請求項4に記載の本発明に係る情報処理装置によれば、異なる複数の建設現場から算定情報を取得し、取得した建設現場の各々毎の算定情報を用いて、当該建設現場の各々毎の総量情報を導出し、建設現場の各々毎の総量情報を比較可能に提示することで、1つの建設現場の総量情報のみを提示する場合に比較して、より効果的に、二酸化炭素の排出量に関する情報を把握することができる。
【0020】
請求項5に記載の本発明に係る情報処理装置は、請求項1に記載の情報処理装置であって、前記導出部が、前記算定情報を含む情報を入力情報とし、前記総量情報を出力情報として予め機械学習された人工知能によるモデルを用いて、前記総量情報を導出するものである。
【0021】
請求項5に記載の本発明に係る情報処理装置によれば、算定情報を含む情報を入力情報とし、総量情報を出力情報として予め機械学習された人工知能によるモデルを用いて、総量情報を導出することで、総量情報を予測することができる。
【0022】
請求項6に記載の本発明に係る情報処理装置は、請求項5に記載の情報処理装置であって、前記入力情報が、前記建設現場における建設物に関する情報を含む前記算定情報であり、前記出力情報が、新たな建設現場における建設に伴う前記総量情報、又は建設が終了した建設現場における前記総量情報であるものである。
【0023】
請求項6に記載の本発明に係る情報処理装置によれば、適用した算定情報を用いて、適用した出力情報を予測することができる。
【0024】
請求項7に記載の本発明に係る情報処理プログラムは、同一の建設現場で用いられる複数の建設機械による二酸化炭素の排出量の算定に用いる算定情報を取得し、取得した前記算定情報を用いて、前記複数の建設機械によって排出される前記二酸化炭素の総量に関する総量情報を導出し、導出した前記総量情報を提示する、処理をコンピュータに実行させる。
【0025】
請求項7に記載の本発明に係る情報処理プログラムによれば、同一の建設現場で用いられる複数の建設機械による二酸化炭素の排出量の算定に用いる算定情報を取得し、取得した算定情報を用いて、上記複数の建設機械によって排出される二酸化炭素の総量に関する総量情報を導出し、導出した総量情報を提示することで、総量情報を提示しない場合に比較して、より効果的に、二酸化炭素の排出量に関する情報を把握することができる。
【発明の効果】
【0026】
以上説明したように、本発明によれば、より効果的に、二酸化炭素の排出量に関する情報を把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】第1実施形態に係る情報処理システムのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図2】第1実施形態に係る情報処理装置の機能的な構成の一例を示すブロック図である。
図3】第1実施形態に係る排出量関連情報データベースの構成の一例を示す模式図である。
図4】第1実施形態に係る第1情報処理の一例を示すフローチャートである。
図5】第1実施形態に係る第2情報処理の一例を示すフローチャートである。
図6】第1実施形態に係る現場間比較画面の一例を示す概略図である。
図7】第2実施形態に係る情報処理システムのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図8】第2実施形態に係る情報処理装置の学習フェーズにおける機能的な構成の一例を示すブロック図である。
図9】第2実施形態に係る情報処理装置の運用フェーズにおける機能的な構成の一例を示すブロック図である。
図10】第2実施形態に係る学習用情報データベースの構成の一例を示す模式図である。
図11】第2実施形態に係る学習処理の一例を示すフローチャートである。
図12】第2実施形態に係る情報処理の一例を示すフローチャートである。
図13】第2実施形態に係る対象情報入力画面の一例を示す概略図である。
図14】第2実施形態に係る総排出量提示画面の一例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を参照して、本発明を実施するための形態例を詳細に説明する。なお、本実施形態では、本発明を、処理の対象とする建設現場が複数とされた情報処理システムに適用した場合について説明する。
【0029】
[第1実施形態]
まず、図1及び図2を参照して、本実施形態に係る情報処理システム90Aの構成を説明する。図1は、本実施形態に係る情報処理システム90Aのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【0030】
図1に示すように、本実施形態に係る情報処理システム90Aは、ネットワーク80に各々アクセス可能とされた、情報処理装置10と、複数の通信装置34と、を含む。なお、情報処理装置10の例としては、パーソナルコンピュータ及びサーバコンピュータ等の各種コンピュータが挙げられる。
【0031】
本実施形態に係る通信装置34は、情報処理システム90Aが対応する建設現場30A、30B、・・・の各々に設けられたものであり、ネットワーク80を介して情報処理装置10と無線で通信可能とされたものである。以下では、建設現場30A、30B、・・・の各々を区別することなく説明する場合は、「建設現場30」と総称する。
【0032】
本実施形態に係る通信装置34は、自身が設けられている建設現場30で用いられる建設機械32A、32B、・・・の各々との間で、無線で通信ができるものとされており、詳細を後述する算定情報を各建設機械32A、32B、・・・から受信し、受信した算定情報を情報処理装置10に送信する。以下では、建設機械32A、32B、・・・の各々を区別することなく説明する場合は、「建設機械32」と総称する。
【0033】
本実施形態では、建設機械32として、ダンプカー等の建設車両、掘削機等の建設重機、発電機、キュービクル等といった、稼働時に二酸化炭素を排出する建設機械32が適用されている。
【0034】
また、本実施形態に係る建設機械32には、自身における、稼働に伴って二酸化炭素を排出する内燃機関や電動機等の部位がオン状態とされたこと及びオフ状態とされたことを検知するオンオフ検知部(図示省略。)が設けられている。また、本実施形態に係る建設機械32には、内燃機関や電動機等の部位が稼働はしているが、実際には目的とする動作が行われていないアイドリング状態であるか否かを検知するアイドリング検知部(図示省略。)が設けられている。
【0035】
一方、本実施形態に係る通信装置34は、これらのオンオフ検知部及びアイドリング検知部と通信可能とされており、通信装置34は、オンオフ検知部による検知結果を示す情報(以下、「オンオフ検知結果情報」という。)、及びアイドリング検知部による検知結果を示す情報(以下、「アイドリング検知結果情報」という。)の各々を受信する。そして、本実施形態に係る通信装置34は、オンオフ検知部及びアイドリング検知部から受信したオンオフ検知結果情報及びアイドリング検知結果情報を、上述した算定情報として情報処理装置10に送信する。
【0036】
本実施形態に係る建設機械32は、オンオフ検知部及びアイドリング検知部の双方ともに、対応する内燃機関や電動機等がオフ状態とされたタイミングで、オンオフ検知結果情報及びアイドリング検知結果情報を通信装置34に送信する。通信装置34は、オンオフ検知結果情報及びアイドリング検知結果情報を何れかの建設機械32から受信すると、その時点で、当該オンオフ検知結果情報及びアイドリング検知結果情報を上記算定情報として、対応する建設機械32を特定するための特定情報と共に情報処理装置10に送信する。
【0037】
本実施形態では、オンオフ検知結果情報として、対応する内燃機関や電動機等がオン状態とされた時刻及びオフ状態とされた時刻を示すオンオフ時刻情報を適用しているが、これに限るものではない。例えば、対応する内燃機関や電動機等がオン状態とされた時点からオフ状態とされた時点までの期間を直接示す情報を、オンオフ検知結果情報として適用する形態としてもよい。また、本実施形態では、アイドリング検知結果情報として、対応する内燃機関や電動機等がアイドリング状態となっている期間を示すアイドリング期間情報を適用しているが、これに限るものではない。例えば、対応する内燃機関や電動機等がアイドリング状態となっていない期間、即ち、実際に機能している期間を示す情報を、アイドリング検知結果情報として適用する形態としてもよい。
【0038】
このように、本実施形態では、通信装置34を介して算定情報を情報処理装置10に送信する場合について説明するが、これに限るものではない。例えば、通信装置34を介することなく、オンオフ検知部及びアイドリング検知部から直接、情報処理装置10に算定情報を送信する形態としてもよい。また、本実施形態では、上述したように、通信装置34と情報処理装置10との間の通信を無線通信で行っているが、これに限るものではない。例えば、通信装置34と情報処理装置10との間の通信を有線通信で行う形態としてもよい。
【0039】
一方、本実施形態に係る情報処理装置10は、CPU(Central Processing Unit)11、一時記憶領域としてのメモリ12、不揮発性の記憶部13、キーボードとマウス等の入力部14、液晶ディスプレイ等の表示部15、媒体読み書き装置(R/W)16、及び通信インタフェース(I/F)部18を備えている。CPU11、メモリ12、記憶部13、入力部14、表示部15、媒体読み書き装置16、及び通信I/F部18はバスBを介して互いに接続されている。媒体読み書き装置16は、記録媒体17に書き込まれている情報の読み出し及び記録媒体17への情報の書き込みを行う。
【0040】
記憶部13は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリ等によって実現される。記憶媒体としての記憶部13には、第1情報処理プログラム13A及び第2情報処理プログラム13Bが記憶されている。第1情報処理プログラム13A及び第2情報処理プログラム13Bの各プログラムは、当該各プログラムが書き込まれた記録媒体17が媒体読み書き装置16にセットされ、媒体読み書き装置16が記録媒体17からの当該各プログラムの読み出しを行うことで、記憶部13へ記憶(インストール)される。CPU11は、第1情報処理プログラム13A及び第2情報処理プログラム13Bの各プログラムを記憶部13から適宜読み出してメモリ12に展開し、当該各プログラムが有するプロセスを順次実行する。
【0041】
また、記憶部13には、排出量関連情報データベース13Cが記憶される。排出量関連情報データベース13Cについては、詳細を後述する。
【0042】
なお、本実施形態では、ネットワーク80として、インターネット、電話回線網等の公共の通信回線を適用しているが、この形態に限定されるものではない。例えば、ネットワーク80として、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)等の企業内の通信回線を適用してもよく、これらの企業内の通信回線及び公共の通信回線を組み合わせて適用してもよい。
【0043】
次に、図2を参照して、本実施形態に係る情報処理装置10の機能的な構成について説明する。図2は、本実施形態に係る情報処理装置10の機能的な構成の一例を示すブロック図である。
【0044】
図2に示すように、本実施形態に係る情報処理装置10は、取得部11A、導出部11B、提示部11C、及び検出部11Dを含む。情報処理装置10のCPU11が第1情報処理プログラム13A及び第2情報処理プログラム13Bを実行することで、取得部11A、導出部11B、提示部11C、及び検出部11Dとして機能する。
【0045】
本実施形態に係る取得部11Aは、同一の建設現場30で用いられる複数の建設機械32による二酸化炭素の排出量の算定に用いる算定情報を取得する。なお、本実施形態では、算定情報を、通信装置34を介して取得することは上述した通りである。また、本実施形態では、算定情報として、稼働によって二酸化炭素を排出する部位の稼働期間を示す情報であるオンオフ検知結果情報(オンオフ時刻情報)を適用していることも上述した通りである。
【0046】
また、本実施形態に係る導出部11Bは、取得部11Aによって取得された算定情報を用いて、上記複数の建設機械32によって排出される二酸化炭素の総量に関する総量情報を導出する。
【0047】
本実施形態では、建設機械32の各々毎に、以下に示すように二酸化炭素の排出量を導出する。なお、以下では、二酸化炭素を排出する部位が内燃機関である場合と電動機である場合について説明する。
【0048】
建設機械32における二酸化炭素を排出する部位が内燃機関である場合、まず、算定情報が示す稼働期間(h)を当該内燃機関の1時間当たりの燃料消費量(L/h)に乗じることで燃料使用量(L)を算出する。そして、算出した燃料使用量(L)に対して、対応する燃料に対応して予め定められたCO排出係数(kg-CO/L)を乗じることで、当該内燃機関における二酸化炭素の排出量(kg-CO)を算出する。なお、上記1時間当たりの燃料消費量(L/h)は、定格出力(kW)に、建設機械の種類毎に予め定められた燃料消費率(L/kWh)を乗じることで得ることができる。
【0049】
これに対し、建設機械32における二酸化炭素を排出する部位が電動機である場合、まず、算定情報が示す稼働期間(h)を当該電動機の実負荷出力(kW)に乗じることで使用電力量(kWh)を算出する。そして、算出した使用電力量(kWh)に対して、対応する電力について予め定められたCO排出係数(kg-CO/kWh)を乗じることで、当該電動機における二酸化炭素の排出量(kg-CO)を算出する。なお、上記実負荷出力(kW)は、定格出力(kW)に負荷率を乗じることで得ることができる。
【0050】
しかしながら、建設機械毎の二酸化炭素の排出量の導出方法は以上の方法に限るものでなく、上記稼働期間を用いて導出する方法であれば、如何なる方法も適用可能である。また、建設機械毎の二酸化炭素の排出量の導出に用いるパラメータも上述したものに限るものではなく、例えば、軽油、都市ガス、液化石油ガス、灯油等といった使用する燃料の種類毎に二酸化炭素の排出量を導出する形態としてもよい。更に、各パラメータに付した単位も一例であり、他の単位を適用してもよいことは言うまでもない。
【0051】
本実施形態に係る導出部11Bは、以上のように得た建設機械32の各々毎の二酸化炭素の排出量を合算することで、建設現場30全体の二酸化炭素の排出量の総量を示す総量情報を導出する。
【0052】
そして、本実施形態に係る提示部11Cは、導出部11Bによって導出された総量情報を提示する。なお、本実施形態では、提示部11Cによる総量情報の提示として、表示部15による表示による提示を適用しているが、これに限るものではない。例えば、プリンタ等の画像形成装置による印刷による提示や、音声生成装置による音声による提示を、提示部11Cによる総量情報の提示として適用する形態としてもよい。
【0053】
一方、本実施形態に係る検出部11Dは、上述した稼働によって二酸化炭素が排出される部位の不要な稼働を検出し、提示部11Cは、検出部11Dによる検出結果を更に提示する。なお、本実施形態に係る検出部11Dでは、算定情報に含まれる、上述したアイドリング検知結果情報(アイドリング期間情報)を用いて上記部位の不要な稼働を検出している。
【0054】
特に、本実施形態に係る取得部11Aは、異なる複数の建設現場30から算定情報を取得する。そして、本実施形態に係る導出部11Bは、取得部11Aによって取得された建設現場30の各々毎の算定情報を用いて、当該建設現場30の各々毎の総量情報を導出し、提示部11Cは、建設現場30の各々毎の総量情報を比較可能に提示する。
【0055】
次に、図3を参照して、本実施形態に係る排出量関連情報データベース13Cについて説明する。図3は、本実施形態に係る排出量関連情報データベース13Cの構成の一例を示す模式図である。
【0056】
本実施形態に係る排出量関連情報データベース13Cは、上述した算定情報や、当該算定情報を用いて算定される二酸化炭素の排出量に関する情報を登録するためのデータベースである。図3に示すように、本実施形態に係る排出量関連情報データベース13Cは、現場ID(Identification)、機械名、稼働期間、機能指数、及び排出量の各情報が記憶される。
【0057】
上記現場IDは、情報処理システム90Aが対象としている建設現場30を個別に識別するために建設現場30毎に異なるものとして予め割り振られた情報である。また、上記機械名は、対応する建設現場30で用いられる建設機械32の名称を示す情報であり、上記稼働期間は、対応する建設機械32の稼働期間を示す情報である。
【0058】
ところで、上述したように、本実施形態に係る検出部11Dでは、稼働によって二酸化炭素が排出される部位の不要な稼働を検出する。上記機能指数は、この不要な稼働を検出するための指標であり、本実施形態では、上述したアイドリング検知結果情報を用いて導出する。本実施形態では、機能指数として、対応する稼働期間に対する、アイドリング検知結果情報が示すアイドリング状態の期間を除く、実際に機能している期間の割合を10段階で表す情報を適用しているが、これに限るものではない。機能指数として、対応する稼働期間に対する、アイドリング状態の期間の割合を10段階で表す情報を適用する形態としてもよい。更に、機能指数の段階数も10段階に限るものでないことは言うまでもない。
【0059】
更に、上記排出量は、二酸化炭素の排出量を示す情報であり、対応する建設機械32から、対応する稼働期間において排出された二酸化炭素の排出量(図3では「個別」と表記。)と、対応する建設現場30において、対応する建設機械32の各々から排出された二酸化炭素の総量(図3では、「総量」と表記。)と、の2種類の排出量を示す情報が含まれている。
【0060】
次に、図4図6を参照して、本実施形態に係る情報処理システム90Aの作用を説明する。まず、図4を参照して、第1情報処理を実行する場合の本実施形態に係る情報処理装置10の作用を説明する。図4は、本実施形態に係る第1情報処理の一例を示すフローチャートである。
【0061】
本実施形態では、予め定められた開始タイミング(本実施形態では、平日の8時)で、情報処理装置10のCPU11が第1情報処理プログラム13Aを実行することで、図4に示す第1情報処理が実行される。
【0062】
図4のステップ100で、CPU11は、建設現場30の何れかにおける、建設機械32の何れかから算定情報が受信されるまで待機する。ステップ102で、CPU11は、受信した算定情報におけるオンオフ時刻情報が示すオン状態とされた時刻及びオフ状態とされた時刻を、対応する建設機械32に対応する稼働期間を示す情報として排出量関連情報データベース13Cに記憶(登録)する。また、ステップ102で、CPU11は、受信した算定情報におけるアイドリング期間情報を用いて上述した機能指数を導出し、導出した機能指数を、対応する建設機械32に対応する機能指数を示す情報として排出量関連情報データベース13Cに記憶(登録)する。ここで、対応する建設機械32は、算定情報と共に受信した特定情報から特定することができる。
【0063】
ステップ104で、CPU11は、本第1情報処理を終了するタイミングとして予め定められた終了タイミングが到来したか否かを判定し、否定判定となった場合はステップ100に戻る一方、肯定判定となった場合は本第1情報処理を終了する。なお、本実施形態では、上記終了タイミングとして平日の17時を適用しているが、これに限るものでないことは言うまでもない。
【0064】
以上の第1情報処理により、一例として図3に示す排出量関連情報データベース13Cのうち、排出量を除く部分が構築されることになる。
【0065】
次に、図5及び図6を参照して、第2情報処理を実行する場合の本実施形態に係る情報処理装置10の作用を説明する。図5は、本実施形態に係る第2情報処理の一例を示すフローチャートである。なお、錯綜を回避するために、ここでは、上述したCO排出係数等が情報処理装置10に予め登録されており、排出量関連情報データベース13Cが、排出量を示す情報を除いて構築されている場合について説明する。
【0066】
本実施形態では、複数の建設現場30による建設工事が終了し、かつ、情報処理装置10のユーザによって実行を開示する指示入力が入力部14を介して行われた場合に、情報処理装置10のCPU11が第2情報処理プログラム13Bを実行することで、図5に示す第2情報処理が実行される。
【0067】
図5のステップ200で、CPU11は、その時点で建設工事が終了している複数の建設現場30(以下、「対象現場群」という。)における何れか1箇所の建設現場30(以下、「対象現場」という。)の何れか1台の建設機械32に関する稼働期間を示す情報(以下、「稼働期間情報」という。)を排出量関連情報データベース13Cから読み出す。
【0068】
ステップ202で、CPU11は、読み出した稼働期間情報を用いて、上述したように二酸化炭素の排出量を導出する。ステップ204で、CPU11は、導出した二酸化炭素の排出量を排出量関連情報データベース13Cの対応する記憶領域(図3の「個別」と表記されている記憶領域)に記憶(登録)する。
【0069】
ステップ206で、CPU11は、対象現場における全ての建設機械32について二酸化炭素の排出量の導出及び登録が終了したか否かを判定し、否定判定となった場合はステップ200に戻る一方、肯定判定となった場合はステップ208に移行する。
【0070】
ステップ208で、CPU11は、対象現場に対応する、全ての建設機械32に対応する二酸化炭素の排出量を排出量関連情報データベース13Cから読み出す。ステップ210で、CPU11は、読み出した二酸化炭素の排出量を合算することで、対象現場における二酸化炭素の排出量の総量を導出する。ステップ212で、CPU11は、導出した二酸化炭素の排出量の総量を排出量関連情報データベース13Cの対応する記憶領域(図3の「総量」と表記されている記憶領域)に記憶(登録)する。
【0071】
ステップ214で、CPU11は、対象現場群における全ての建設現場30について二酸化炭素の排出量の総量の登録が終了したか否かを判定し、否定判定となった場合はステップ200に戻る一方、肯定判定となった場合はステップ216に移行する。
【0072】
以上のステップ200~ステップ214の処理により、一例として図3に示すように、建設工事が終了した全ての建設現場30について、全ての建設機械32に対応する二酸化炭素の排出量、及び対応する建設現場30毎の二酸化炭素の排出量の総量が排出量関連情報データベース13Cに登録される。
【0073】
ステップ216で、CPU11は、全ての二酸化炭素の排出量の総量を示す情報を排出量関連情報データベース13Cから読み出し、ステップ218で、CPU11は、全ての機能指数を排出量関連情報データベース13Cから読み出す。
【0074】
ステップ220で、CPU11は、読み出した総量及び機能指数の各情報を用いて、予め定められた構成とされた現場間比較画面を表示部15に表示するように制御し、ステップ222で、CPU11は、予め定められた情報が入力されるまで待機する。図6には、本実施形態に係る現場間比較画面の一例を示す概略図が示されている。
【0075】
図6に示すように、本実施形態に係る現場間比較画面では、6か月毎で、かつ、対象現場群に含まれる建設現場30の各々毎に、二酸化炭素の排出量の総量(6か月の総量)が表示されると共に、最も不効率であった建設機械32が、その使用率と共に表示される。ここで、最も不効率であった建設機械32及び使用率は、読み出した機能指数の6か月の平均値が、対応する建設現場30において最も小さな値となった建設機械32を特定すると共に、当該平均値を百分率で表すことで得ているが、これに限るものではない。例えば、上記使用率を所定値だけ大きくした場合に、対応する建設機械32の二酸化炭素の排出量が最も多くなる建設機械32を、不効率な建設機械32として提示する形態としてもよい。
【0076】
一例として図6に示す現場間比較画面が表示部15により表示されると、ユーザは、表示内容を確認した後に、入力部14を用いて終了ボタン15Eを指定する。これに応じてステップ222が肯定判定となって本第2情報処理を終了する。
【0077】
以上説明したように、本実施形態によれば、同一の建設現場で用いられる複数の建設機械による二酸化炭素の排出量の算定に用いる算定情報を取得し、取得した算定情報を用いて、上記複数の建設機械によって排出される二酸化炭素の総量に関する総量情報を導出し、導出した総量情報を提示する。従って、総量情報を提示しない場合に比較して、より効果的に、二酸化炭素の排出量に関する情報を把握することができる。
【0078】
また、本実施形態によれば、算定情報を、対応する建設機械における、稼働によって二酸化炭素が排出される部位の稼働期間を示す情報としている。従って、当該稼働期間を示す情報を算定情報としない場合に比較して、より高精度に総量情報を得ることができる。
【0079】
また、本実施形態によれば、上記部位の不要な稼働を検出し、検出結果を更に提示している。従って、より効果的に二酸化炭素の排出量に関する情報を利用することができる。
【0080】
更に、本実施形態によれば、異なる複数の建設現場から算定情報を取得し、取得した建設現場の各々毎の算定情報を用いて、当該建設現場の各々毎の総量情報を導出し、建設現場の各々毎の総量情報を比較可能に提示する。従って、1つの建設現場の総量情報のみを提示する場合に比較して、より効果的に、二酸化炭素の排出量に関する情報を把握することができる。
【0081】
なお、本実施形態では、現場間比較画面として、各建設現場に関する情報を文字情報として表示する場合について説明したが、これに限るものではない。例えば、各建設現場における二酸化炭素の排出量の総量を円グラフや棒グラフ等のグラフによって表示する形態としてもよい。
【0082】
また、本実施形態では、オンオフ検知部及びアイドリング検知部を建設機械に設けた場合について説明したが、これに限るものではない。例えば、オンオフ検知部及びアイドリング検知部の少なくとも一方の機能を情報処理装置10に設ける形態としてもよい。
【0083】
また、本実施形態では言及しなかったが、オンオフ検知部及びアイドリング検知部による検知結果を用いて、昼休みの時間帯や夜間の時間帯等における、稼働によって二酸化炭素を排出する部位の付けっぱなしを警告する形態としてもよい。
【0084】
また、本実施形態では、一例として図6に示したように、現場間比較画面において6か月毎の二酸化炭素の排出量の総量を提示する場合について説明したが、これに限るものではない。例えば、全建設期間における二酸化炭素の排出量の総量を現場間比較画面において纏めて提示する形態としてもよい。また、月次(月毎)の二酸化炭素の排出量の総量を現場間比較画面において提示する形態としてもよいし、月を経る毎に順次累積された二酸化炭素の排出量の総量を現場間比較画面において提示する形態としてもよい。
【0085】
[第2実施形態]
本実施形態では、算定情報を含む情報を入力情報とし、総量情報を出力情報として予め機械学習された人工知能によるモデルを用いて総量情報を導出する場合の形態例について説明する。なお、本実施形態では、算定情報として、建設物に対する建設規模を示す情報(以下、「建設物情報」という。)、及び建設現場30で用いられる建設機械32に関する情報(以下、「建設機械情報」という。)を適用する場合について説明する。
【0086】
まず、図7図9を参照して、本実施形態に係る情報処理システム90Bの構成を説明する。図7は、本実施形態に係る情報処理システム90Bのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。なお、図7に示す情報処理システム90Bにおける、図1に示す情報処理システム90Aと同様の構成要素には図1と同一の参照符号を付して、その説明を省略する。
【0087】
図7に示すように、本実施形態に係る情報処理システム90Bは、建設現場30の各々に設けられた通信装置34に代えて、建設現場30の各々に設けられた現場端末50A、50B、・・・が含まれる点が情報処理システム90Aと相違している。以下では、現場端末50A、50B、・・・の各々を区別することなく説明する場合は、「現場端末50」と総称する。なお、本実施形態に係る現場端末50のハードウェア構成は、情報処理装置10と同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0088】
また、図7に示すように、本実施形態に係る情報処理システム90Bは、情報処理装置10の記憶部13に、第1情報処理プログラム13A、第2情報処理プログラム13B、及び排出量関連情報データベース13Cに代えて、学習プログラム13D、情報処理プログラム13E、学習用情報データベース13F、及び排出量推定モデル13Gが記憶される点が情報処理システム90Aと相違している。
【0089】
学習プログラム13Dは、学習プログラム13Dが書き込まれた記録媒体17が媒体読み書き装置16にセットされ、媒体読み書き装置16が記録媒体17からの学習プログラム13Dの読み出しを行うことで、記憶部13へ記憶(インストール)される。また、情報処理プログラム13Eも、情報処理プログラム13Eが書き込まれた記録媒体17が媒体読み書き装置16にセットされ、媒体読み書き装置16が記録媒体17からの情報処理プログラム13Eの読み出しを行うことで、記憶部13へ記憶(インストール)される。
【0090】
CPU11は、学習プログラム13Dを記憶部13から適宜読み出してメモリ12に展開し、学習プログラム13Dが有するプロセスを順次実行する。また、CPU11は、情報処理プログラム13Eを記憶部13から適宜読み出してメモリ12に展開し、情報処理プログラム13Eが有するプロセスを順次実行する。
【0091】
また、本実施形態に係る排出量推定モデル13Gは、算定情報を含む情報が入力情報とされ、総量情報が出力情報とされている。特に、本実施形態では、算定情報として建設物情報及び建設機械情報が適用されていることは上述した通りである。
【0092】
本実施形態に係る情報処理システム90Bでは、上記建設物情報として、各々対象とする建設物における、地下階数、地上階数、建物用途、工事種別、建物種別、延床面積、及び工期等が適用されている。また、本実施形態に係る情報処理システム90Bでは、上記建設機械情報として、各々対象とする建設現場で用いられる、発電機数、クレーンの台数、ダンプカーの台数、及びバックホーンの台数等が適用されている。
【0093】
また、本実施形態に係る排出量推定モデル13Gの後述する運用フェーズにおいては、出力情報として、新たな建設現場における建設に伴う二酸化炭素の排出量の総量を示す総量情報を適用しているが、これに限るものではない。例えば、既に建設が終了した後の建設現場における総量情報を出力情報として適用する形態としてもよい。この形態においても、排出量推定モデル13Gは共通に用いることができる。
【0094】
本実施形態に係る排出量推定モデル13Gは、GBDT(Gradient Boosting Decision Tree)のスタッキングによるモデルとされているが、これに限るものではない。例えば、GBDTのノンスタッキングによるモデルを排出量推定モデル13Gとして適用してもよい。また、MLP(Multilayer perceptron、多層パーセプトロン)によるモデル、RNN(Recurrent Neural Network、回帰型ニューラルネットワーク)によるモデル等といった、GBDT以外の機械学習モデルを排出量推定モデル13Gとして適用する形態としてもよい。また、排出量推定モデル13Gは、人工知能によるモデルに限らず、回帰分析等の統計的手法によるモデルを排出量推定モデル13Gとして適用する形態としてもよい。
【0095】
次に、図8を参照して、本実施形態に係る情報処理装置10の、排出量推定モデル13Gの学習時における機能的な構成について説明する。図8は、本実施形態に係る情報処理装置10の、排出量推定モデル13Gの学習フェーズにおける機能的な構成の一例を示すブロック図である。
【0096】
図8に示すように、排出量推定モデル13Gの学習時における情報処理装置10は、学習情報取得部11E及び学習部11Fを含む。情報処理装置10のCPU11が学習プログラム13Dを実行することで、学習情報取得部11E及び学習部11Fとして機能する。
【0097】
本実施形態に係る学習情報取得部11Eは、学習用の上述した建設物情報、建設機械情報、及び総量情報を取得する。なお、本実施形態では、建設物情報、建設機械情報、及び総量情報を、後述する学習用情報データベース13F(図10も参照。)から読み出すことにより取得する。但し、この形態に限るものではなく、例えば、ネットワーク80に接続された外部サーバ装置からダウンロードすることで、建設物情報、建設機械情報、及び総量情報を取得する形態としてもよい。
【0098】
そして、本実施形態に係る学習部11Fは、学習情報取得部11Eによって取得された建設物情報及び建設機械情報を入力情報とし、学習情報取得部11Eによって取得された総量情報を出力情報として排出量推定モデル13Gの機械学習を行う。
【0099】
次に、図9を参照して、本実施形態に係る情報処理装置10の、排出量推定モデル13Gの運用時における機能的な構成について説明する。図9は、本実施形態に係る情報処理装置10の、排出量推定モデル13Gの運用フェーズにおける機能的な構成の一例を示すブロック図である。
【0100】
図9に示すように、排出量推定モデル13Gの運用時における情報処理装置10は、取得部11G、導出部11H、及び提示部11Jを含む。情報処理装置10のCPU11が情報処理プログラム13Eを実行することで、取得部11G、導出部11H、及び提示部11Jとして機能する。
【0101】
本実施形態に係る取得部11Gは、対象とする建設現場における建設物情報及び建設機械情報を算定情報として取得する。なお、本実施形態では、建設物情報及び建設機械情報を、対応する建設現場30に設けられた現場端末50の入力部を介して当該現場端末50のユーザに入力させることで取得しているが、この形態に限るものではない。例えば、情報処理装置10のユーザに対し、入力部14を介して入力させることで、建設物情報及び建設機械情報を取得する形態としてもよい。
【0102】
また、本実施形態に係る導出部11Hは、排出量推定モデル13Gに対し、取得部11Gによって取得された建設物情報及び建設機械情報を入力することで総量情報を導出(推定)する。そして、本実施形態に係る提示部11Jは、導出部11Hによって導出された総量情報に関する情報を提示する。
【0103】
なお、本実施形態では、提示部11Jによる総量情報の提示として、現場端末50の表示部による表示による提示を適用しているが、これに限るものではない。例えば、プリンタ等の画像形成装置による印刷による提示や、音声生成装置による音声による提示を、提示部11Jによる総量情報の提示として適用する形態としてもよい。
【0104】
次に、図10を参照して、本実施形態に係る学習用情報データベース13Fについて説明する。図10は、本実施形態に係る学習用情報データベース13Fの構成の一例を示す模式図である。
【0105】
本実施形態に係る学習用情報データベース13Fは、上述した学習用の各種情報が登録されるものである。図10に示すように、本実施形態に係る学習用情報データベース13Fは、現場ID、建設物、建設機械、及びCO総排出量の各情報が関連付けられて記憶される。
【0106】
上記現場IDは、排出量関連情報データベース13Cの現場IDと同一の情報である。また、上記建設物は、上述した建設物情報そのものを示す情報であり、上述したように、対応する建設物の地下階数、地上階数等を含む情報である。また、上記建設機械は、上述した建設機械情報そのものを示す情報であり、上述したように、対応する建設現場で用いられる発電機数、クレーンの台数等を含む情報である。更に、上記CO総排出量は、上述した総量情報そのものを示す情報である。
【0107】
図10に示す例では、現場IDとして「P0001」が割り振られた建設現場における建設物は、地下1階、地上10階で、建物用途が病院、工事種別が新築、建物種別がS(Steel)造(鉄骨造)、延床面積が50000m、工期が10か月等であることが登録されている。また、図10に示す例では、現場IDとして「P0001」が割り振られた建設現場では、発電機が1台、クレーンが4台、ダンプカーが1台、バックホウが1台、各々用いられることが登録されている。更に、図10に示す例では、現場IDとして「P0001」が割り振られた建設現場では、建設によって二酸化炭素が20000kg排出されたことが登録されている。
【0108】
なお、本実施形態では、学習用情報データベース13Fに登録する総量情報として、第1実施形態で例示した情報処理システム90Aによって得られた総量情報を適用しているが、これに限るものではなく、他の従来既知の技術によって得られた総量情報を、学習用情報データベース13Fに登録する形態としてもよい。
【0109】
次に、図11図14を参照して、本実施形態に係る情報処理システム90Bの作用を説明する。
【0110】
まず、図11を参照して、本実施形態に係る学習処理を実行する場合の情報処理装置10の作用を説明する。図11は、本実施形態に係る学習処理の一例を示すフローチャートである。
【0111】
情報処理装置10のCPU11が学習プログラム13Dを実行することによって、図11に示す学習処理が実行される。図11に示す学習処理は、情報処理装置10のユーザにより、学習プログラム13Dの実行を開始する指示入力が入力部14を介して行われた場合に実行される。なお、ここでは、錯綜を回避するために、学習用情報データベース13Fに、排出量推定モデル13Gを十分に学習するために必要な数の情報が登録されている場合について説明する。
【0112】
図11のステップ300で、CPU11は、学習用情報データベース13Fから全ての情報(以下、「学習用情報」という。)を読み出す。ステップ302で、CPU11は、読み出した学習用情報における建設物情報及び建設機械情報を入力情報とし、読み出した学習用情報における総量情報を出力情報(正解情報)として、排出量推定モデル13Gを機械学習し、その後に本学習処理を終了する。
【0113】
以上の学習処理により、排出量推定モデル13Gが学習されることになる。
【0114】
次に、図12図14を参照して、情報処理を実行する場合の本実施形態に係る情報処理装置10の作用を説明する。図12は、本実施形態に係る情報処理の一例を示すフローチャートである。
【0115】
本実施形態に係る情報処理システム90Bでは、新たな建設現場における建設に伴う二酸化炭素の排出量の総量を示す総量情報を推定したい場合、当該建設現場に設けられた現場端末50のユーザが当該現場端末50に対し、情報処理装置10に対して情報処理の実行開始を指示する指示入力を行う。これに応じて、情報処理装置10のCPU11が情報処理プログラム13Eを実行することで、図12に示す情報処理が実行される。なお、ここでは、錯綜を回避するために、排出量推定モデル13Gが既に学習済みとされている場合について説明する。
【0116】
図12のステップ400で、CPU11は、アクセス元の現場端末50(以下、「対象端末」という。)に対して、予め定められた構成とされた対象情報入力画面を表示させるように制御し、ステップ402で、CPU11は、対象端末から所定情報が受信されるまで待機する。
【0117】
図13には、本実施形態に係る対象情報入力画面の一例を示す概略図が示されている。図13に示すように、本実施形態に係る対象情報入力画面では、対象とする建設現場に関する情報の入力を促す旨のメッセージが表示される。また、本実施形態に係る対象情報入力画面では、上述した建設物情報を入力するための入力領域52A、及び上述した建設機械情報を入力するための入力領域52Bが表示される。
【0118】
一例として図13に示す対象情報入力画面が表示されると、対象端末のユーザは、対応する建設現場に関する情報を、対応する入力領域52A及び入力領域52Bに入力し、その後に終了ボタン52Cを指定する。対象端末のユーザによって終了ボタン52Cが指定されると、対象端末は、ユーザによって入力された建設物情報及び建設機械情報を情報処理装置10に送信する。対象端末から建設物情報及び建設機械情報を受信すると情報処理のステップ402が肯定判定となってステップ404に移行する。
【0119】
ステップ404で、CPU11は、対象端末から受信した建設物情報及び建設機械情報を排出量推定モデル13Gに入力する。
【0120】
建設物情報及び建設機械情報が入力されると、排出量推定モデル13Gから総量情報が出力されるため、ステップ406で、CPU11は、排出量推定モデル13Gから出力された総量情報を取得する。
【0121】
ステップ408で、CPU11は、取得した総量情報を用いて、予め定められた構成とされた総排出量提示画面を表示させるように対象端末を制御し、ステップ410で、CPU11は、対象端末から所定情報が受信されるまで待機する。
【0122】
図14には、本実施形態に係る総排出量提示画面の一例を示す概略図が示されている。図14に示すように、本実施形態に係る総排出量提示画面では、排出量推定モデル13Gによって得られた総量情報が示す二酸化炭素の排出量の総量が表示される。
【0123】
一例として図14に示す総排出量提示画面が表示されると、対象端末のユーザは、当該総排出量提示画面での表示内容を把握した後、終了ボタン52Cを指定する。対象端末のユーザによって終了ボタン52Cが指定されると、対象端末は、ユーザによって総排出量提示画面の表示の終了が指示された旨を示す指示情報を情報処理装置10に送信する。当該指示情報を受信すると情報処理のステップ410が肯定判定となって本情報処理が終了する。
【0124】
以上説明したように、本実施形態によれば、算定情報を含む情報を入力情報とし、総量情報を出力情報として予め機械学習された人工知能によるモデルを用いて、総量情報を導出する。従って、総量情報を予測することができる。
【0125】
また、本実施形態によれば、上記入力情報を、建設現場における建設物に関する情報を含む算定情報とし、上記出力情報を、新たな建設現場における建設に伴う総量情報、又は建設が終了した建設現場における総量情報としている。従って、適用した算定情報を用いて、適用した出力情報を予測することができる。
【0126】
なお、本実施形態では、排出量推定モデルとして、新たな建設現場における二酸化炭素の排出量の総量、又は建設済みの建設現場における二酸化炭素の排出量の総量を導出するモデルを適用した場合について説明したが、これに限るものではない。例えば、新たな建設現場において建設物の建設を行っている途中において、それ以降の二酸化炭素の排出量を予測する予測モデルを排出量推定モデルとして適用する形態としてもよい。
【0127】
また、本実施形態では、算定情報として建設物情報及び建設機械情報の双方を適用した場合について説明したが、これに限るものではない。例えば、建設物情報及び建設機械情報の何れか一方のみを算定情報として適用する形態としてもよい。
【0128】
また、本実施形態では、総量情報を導出する機械学習モデルとして、建設物情報及び建設機械情報の双方を入力情報とした単一の排出量推定モデルを適用した場合について説明したが、これに限るものではない。例えば、建設物情報を入力情報とし、当該建設物情報が示す建設物の建設規模に対応する建設機械情報を出力情報として機械学習された第1機械学習モデル、及び当該第1機械学習モデルによって得られた建設機械情報を入力情報とし、総量情報を出力情報として機械学習された第2機械学習モデルを予め用意し、これらの機械学習モデルを用いて、2段階で総量情報を推定する形態としてもよい。
【0129】
なお、この形態においては、一例として図13に示した対象情報入力画面において、入力領域52Bは表示する必要はない。
【0130】
また、本実施形態では、機械学習モデルとして、二酸化炭素の排出量の総量のみを推定するモデルを適用した場合について説明したが、これに限るものではない。例えば、建設物情報から、当該建設物情報が示す建設物の建設規模に対応する建設機械情報、及び二酸化炭素の排出量の総量の双方を推定する単一のモデルを機械学習モデルとして適用する形態としてもよい。この形態において適用する機械学習モデルとしては、VAE(Variational Autoencoder)等のオートエンコーダ(自己符号化器)による生成モデルを例示することができる。
【0131】
この形態において、機械学習モデルにより、建設機械情報として、使用する建設機械の各々毎の総稼働時間、総燃料消費量、総消費電力の少なくとも1つを推定する形態としてもよいし、これらの少なくとも1つの月次の値を推定する形態としてもよい。これらの形態においては、一例として図14に示した総排出量提示画面において、これらの月次の推定結果も提示する形態としてもよい。
【0132】
また、本実施形態では言及しなかったが、機械学習の結果より、過去の類似現場をランキング付けし、建設機械の台数や二酸化炭素の排出量を比較可能に提示する形態としてもよい。
【0133】
また、上記各実施形態において、例えば、取得部11A、導出部11B、提示部11C、検出部11D、学習情報取得部11E、学習部11F、取得部11G、導出部11H、及び提示部11Jの各処理を実行する処理部(processing unit)のハードウェア的な構造としては、次に示す各種のプロセッサ(processor)を用いることができる。上記各種のプロセッサには、前述したように、ソフトウェア(プログラム)を実行して処理部として機能する汎用的なプロセッサであるCPUに加えて、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等の製造後に回路構成を変更可能なプロセッサであるプログラマブルロジックデバイス(Programmable Logic Device:PLD)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路等が含まれる。
【0134】
処理部は、これらの各種のプロセッサのうちの1つで構成されてもよいし、同種又は異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせ(例えば、複数のFPGAの組み合わせや、CPUとFPGAとの組み合わせ)で構成されてもよい。また、処理部を1つのプロセッサで構成してもよい。
【0135】
処理部を1つのプロセッサで構成する例としては、第1に、クライアント及びサーバ等のコンピュータに代表されるように、1つ以上のCPUとソフトウェアの組み合わせで1つのプロセッサを構成し、このプロセッサが処理部として機能する形態がある。第2に、システムオンチップ(System On Chip:SoC)等に代表されるように、処理部を含むシステム全体の機能を1つのIC(Integrated Circuit)チップで実現するプロセッサを使用する形態がある。このように、処理部は、ハードウェア的な構造として、上記各種のプロセッサの1つ以上を用いて構成される。
【0136】
更に、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造としては、より具体的には、半導体素子などの回路素子を組み合わせた電気回路(circuitry)を用いることができる。
【符号の説明】
【0137】
10 情報処理装置
11 CPU
11A 取得部
11B 導出部
11C 提示部
11D 検出部
11E 学習情報取得部
11F 学習部
11G 取得部
11H 導出部
11J 提示部
12 メモリ
13 記憶部
13A 第1情報処理プログラム
13B 第2情報処理プログラム
13C 排出量関連情報データベース
13D 学習プログラム
13E 情報処理プログラム
13F 学習用情報データベース
13G 排出量推定モデル
14 入力部
15 表示部
16 媒体読み書き装置
17 記録媒体
18 通信I/F部
30 建設現場
32 建設機械
34 通信装置
50 現場端末
52A 入力領域
52B 入力領域
52C 終了ボタン
80 ネットワーク
90A、90B 情報処理システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14