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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024089402
(43)【公開日】2024-07-03
(54)【発明の名称】竪型型締装置、および竪型射出成形機
(51)【国際特許分類】
   B22D 17/22 20060101AFI20240626BHJP
   B29C 45/06 20060101ALI20240626BHJP
【FI】
B22D17/22 A
B29C45/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022204746
(22)【出願日】2022-12-21
(71)【出願人】
【識別番号】000004215
【氏名又は名称】株式会社日本製鋼所
(74)【代理人】
【識別番号】100097696
【弁理士】
【氏名又は名称】杉谷 嘉昭
(74)【代理人】
【識別番号】100147072
【弁理士】
【氏名又は名称】杉谷 裕通
(72)【発明者】
【氏名】中山 清貴
(72)【発明者】
【氏名】竹中 勇介
(72)【発明者】
【氏名】森崎 基裕
【テーマコード(参考)】
4F206
【Fターム(参考)】
4F206AP06
4F206AR07
4F206JA07
4F206JC02
4F206JC08
4F206JL02
4F206JM02
4F206JN31
4F206JP11
4F206JQ81
4F206JQ82
4F206JQ83
(57)【要約】
【課題】ターンテーブルの回転方式を容易に切り換えることができる竪型型締装置を提供する。
【解決手段】ターンテーブル(15)に回転範囲規制手段と回転位置決め手段とを備える。ターンテーブル(15)にはターンテーブル側ストッパ部付きピース(30)と、Vノッチ付きピース(37)とを交換可能に取り付けられるようにする。固定盤(9)には2カ所に固定側ストッパ部(35)を設けると共に、突き出し部(41)を備えた係合機構(40)を着脱可能に設ける。ターンテーブル側ストッパ部付きピース(30)を取り付けると、ターンテーブル側ストッパ部(33)が固定側ストッパ部(35)に接触してターンテーブル(15)は反転式になる。Vノッチ付きピース(37)と係合機構(40)とを取り付けると、ターンテーブル(15)は一方向回転式になる。
【選択図】図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定盤と、
前記固定盤の上方に設けられ前記固定盤に対して型開閉する上可動盤と、
前記固定盤の上で回転自在に設けられているターンテーブルと、を備え、
前記ターンテーブルは、回転範囲規制手段と、回転位置決め手段と、を備え、
前記回転範囲規制手段は、前記ターンテーブル側に着脱自在に設けられ前記ターンテーブルの裏面において突出するようになっている1個のターンテーブル側ストッパ部と、前記固定盤側に2カ所に設けられている固定側ストッパ部と、からなり、
前記ターンテーブル側ストッパ部が前記ターンテーブルの裏面側に突出した状態で取り付けられると、前記ターンテーブルは反転式になり前記ターンテーブル側ストッパ部がそれぞれの前記固定側ストッパ部に接触する回転位置で位置決めされるようになっており、
前記ターンテーブル側ストッパ部が前記ターンテーブルから取り外され、あるいは前記ターンテーブルの裏面側からの突出した状態が解除されると、前記ターンテーブルは一方向に回転される一方向回転式になり、前記回転位置決め手段によって回転位置が位置決めされるようになっている、竪型型締装置。
【請求項2】
前記回転位置決め手段は、前記ターンテーブルの外周部において複数箇所に設けられているVノッチと、前記固定盤側に設けられている係合機構と、からなり、
前記係合機構は、突き出し部と、前記突き出し部を進退自在に駆動する駆動手段と、を備え、前記駆動手段により前記突き出し部を突き出して前記Vノッチに係合すると前記ターンテーブルの回転位置が位置決めされる、請求項1に記載の竪型型締装置。
【請求項3】
前記Vノッチは前記ターンテーブルに対して着脱自在になっている、請求項2に記載の竪型型締装置。
【請求項4】
前記係合機構は前記固定盤に対して着脱自在になっている、請求項2または3に記載の竪型型締装置。
【請求項5】
前記ターンテーブルには前記Vノッチの着脱状体を検出するVノッチ検出センサが設けられている、請求項3に記載の竪型型締装置。
【請求項6】
前記固定盤には前記係合機構の着脱状体を検出する係合機構検出センサが設けられている、請求項4に記載の竪型型締装置。
【請求項7】
前記ターンテーブルには前記ターンテーブル側ストッパ部を検出するターンテーブル側ストッパ部センサが設けられている、請求項3に記載の竪型型締装置。
【請求項8】
前記ターンテーブルは、フレキシブルピースを備え、
前記フレキシブルピースは1個の前記Vノッチと前記ターンテーブル側ストッパ部とを一体的に形成したピースからなり、前記フレキシブルピースが前記ターンテーブルに対して第1の方式で取り付けられると、前記ターンテーブル側ストッパ部が前記ターンテーブルの裏面側に突出した状態になり、第2の方式で取り付けられると前記ターンテーブル側ストッパ部が前記ターンテーブルの裏面側から退避して表面側に位置するようになっている、請求項2または3に記載の竪型型締装置。
【請求項9】
竪型型締装置と、
射出装置と、を備え、
前記竪型型締装置は、固定盤と、
前記固定盤の上方に設けられ前記固定盤に対して型開閉する上可動盤と、
前記固定盤の上で回転自在に設けられているターンテーブルと、を備え、
前記ターンテーブルは、回転範囲規制手段と、回転位置決め手段と、を備え、
前記回転範囲規制手段は、前記ターンテーブル側に着脱自在に設けられ前記ターンテーブルの裏面において突出するようになっている1個のターンテーブル側ストッパ部と、前記固定盤側に2カ所に設けられている固定側ストッパ部と、からなり、
前記ターンテーブル側ストッパ部が前記ターンテーブルの裏面側に突出した状態で取り付けられると、前記ターンテーブルは反転式になり前記ターンテーブル側ストッパ部がそれぞれの前記固定側ストッパ部に接触する回転位置で位置決めされるようになっており、
前記ターンテーブル側ストッパ部が前記ターンテーブルから取り外され、あるいは前記ターンテーブルの裏面側からの突出した状態が解除されると、前記ターンテーブルは回転範囲に制約がなく一方向に回転される一方向回転式になり、前記回転位置決め手段によって回転位置が位置決めされるようになっている、竪型射出成形機。
【請求項10】
前記回転位置決め手段は、前記ターンテーブルの外周部において複数箇所に設けられているVノッチと、前記固定盤側に設けられている係合機構と、からなり、
前記係合機構は、突き出し部と、前記突き出し部を進退自在に駆動する駆動手段と、を備え、前記駆動手段により前記突き出し部を突き出して前記Vノッチに係合すると前記ターンテーブルの回転位置が位置決めされる、請求項9に記載の竪型射出成形機。
【請求項11】
前記Vノッチは前記ターンテーブルに対して着脱自在になっている、請求項10に記載の竪型射出成形機。
【請求項12】
前記係合機構は前記固定盤に対して着脱自在になっている、請求項10または11に記載の竪型射出成形機。
【請求項13】
前記ターンテーブルには前記Vノッチの着脱状体を検出するVノッチ検出センサが設けられている、請求項11に記載の竪型射出成形機。
【請求項14】
前記固定盤には前記係合機構の着脱状体を検出する係合機構検出センサが設けられている、請求項12に記載の竪型射出成形機。
【請求項15】
前記ターンテーブルには前記ターンテーブル側ストッパ部を検出するターンテーブル側ストッパ部センサが設けられている、請求項11に記載の竪型射出成形機。
【請求項16】
前記ターンテーブルは、フレキシブルピースを備え、
前記フレキシブルピースは1個の前記Vノッチと前記ターンテーブル側ストッパ部とを一体的に形成したピースからなり、前記フレキシブルピースが前記ターンテーブルに対して第1の方式で取り付けられると、前記ターンテーブル側ストッパ部が前記ターンテーブルの裏面側に突出した状態になり、第2の方式で取り付けられると前記ターンテーブル側ストッパ部が前記ターンテーブルの裏面側から退避して表面側に位置するようになっている、請求項10または11に記載の竪型射出成形機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ターンテーブルを備えた竪型型締装置、および竪型射出成形機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
竪型射出成形機は、金型を型締めする竪型型締装置と射出材料を射出する射出装置とを備えている。竪型型締装置は、フレームに固定されている固定盤と、この固定盤の上方に設けられている上可動盤と、下方に設けられている下可動盤とを備えている。上可動盤と下可動盤は複数本のタイバーで連結され、下可動盤と固定盤の間に型締機構が、例えばトグル機構が設けられている。
【0003】
竪型射出成形機の多くの機種では、竪型型締装置にターンテーブルが設けられている。竪型型締装置は、特許文献1に記載されているように、固定盤の上にターンテーブルが設けられている。タイバーが3本からなる場合、1本のタイバーがターンテーブルの中心を貫通しており、ターンテーブルはこの1本のタイバーを中心に回転するようになっている。上可動盤には1個の上側金型が、そしてターンテーブルには複数個、例えば2個の下側金型が設けられている。ターンテーブルを回転すると、所望の下側金型を上側金型と整合させて型締めすることができるようになっている。例えば、成形サイクル毎にターンテーブルによって下側金型を切り換えるようにすると、効率良く成形することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-205877号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところでターンテーブルは、その回転方式において2方式のタイプが存在する。一方のタイプは反転式である。反転式のターンテーブルは裏面にストッパ突起部が固着され、固定盤側に2カ所のストッパ固定部が設けられている。ターンテーブルはストッパ突起部が一方のストッパ固定部に接触する回転位置、例えば0度と、他方のストッパ固定部に接触する回転位置、例えば180度の、それぞれで位置決めされて反転するようになっている。他方のタイプは一方向回転式である。一方向回転式のターンテーブルにはターンテーブルの縁部において円周方向に間隔を開けて複数箇所にVノッチが設けられ、固定盤には進退自在な突き出し部を備えた係合機構が設けられている。ターンテーブルを所望の回転位置に回転して係合機構にVノッチを近接させる。突き出し部を前進させると突き出し部がVノッチに係合する。つまりターンテーブルの回転位置が精度良く位置決めされる。
【0006】
反転式は、金型の温調配管、電力供給用の配線等の取り回しが容易であるという優れた長所があるが、位置決めできる回転位置が2位置なので下側金型は2個に限定されるという欠点がある。これに対して一方向回転式は3個以上の回転位置で位置決めできるので、3個以上の金型を設けることができるし、例えば90度等の小さな回転角度でターンテーブルを回転して効率良く成形することもでき優れている。しかしながら、温調配管において回転を許容する特殊な継手が必要であり、電力供給用の配線においてスリップリング等の特殊な機構を必要とするという欠点がある。このように反転式と一方向回転式にはいずれも長所と短所とがある。
【0007】
生産現場においては、これら2方式の中から長短を考慮して予めターンテーブルの回転方式を選択して竪型射出成形機を導入している。しかしながら、生産方法の変更等により異なる回転方式のターンテーブルに変更したいという要求もある。つまり反転式から一方向回転式に変更したい、一方向回転式から反転式に反転したい、という要求がある。しかしながら、異なる回転方式のターンテーブルに変更するには、多大な工数を要する。具体的には、射出装置を取り外し、上可動盤を取外し、そしてターンテーブルを取り外す。次いで、異なる回転方式のターンテーブルを取り付け、上可動盤を取り付け、射出装置を取り付ける必要がある。このように多大な工数を必要とするので、回転方式の変更が困難であるという課題がある。
【0008】
本開示において、ターンテーブルの回転方式を容易に切り換えることができる竪型型締装置を提供する。
【0009】
その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述及び添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示は、固定盤の上にターンテーブルを備えた竪型型締装置を対象とする。ターンテーブルは回転範囲規制手段と回転位置決め手段とを備える。回転範囲規制手段は、ターンテーブルの裏面において突出している着脱自在な1個のターンテーブル側ストッパ部と、固定盤側に2カ所に設けられている固定側ストッパ部とから構成する。ターンテーブル側ストッパ部がターンテーブルの裏面側に突出した状態で取り付けられると、ターンテーブルは反転式になりターンテーブル側ストッパ部がそれぞれの固定側ストッパ部に接触する回転位置で位置決めされるようになる。ターンテーブル側ストッパ部がターンテーブルから取り外され、あるいはターンテーブルの裏面側からの突出した状態が解除されると、ターンテーブルは一方向に回転される一方向回転式になり、回転位置決め手段によって回転位置が位置決めされる。
【発明の効果】
【0011】
本開示は、ターンテーブルの回転方式を容易に切り換えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】第1の実施形態に係る竪型射出成形機の正面図である。
図2A】第1の実施形態に係る竪型型締装置の一部を示す上面図である。
図2B図2Aにおいて矢印X方向から見た第1の実施形態に係る竪型型締装置の一部を示す側面図である。
図2C】第1の実施形態に係る竪型型締装置に設けられる、ターンテーブル側ストッパ部付きピースを示す斜視図である。
図3A】第1の実施形態に係る竪型型締装置の一部を示す上面図である。
図3B図3Aにおいて矢印Y方向から見た第1の実施形態に係る竪型型締装置の一部を示す側面図である。
図3C】第1の実施形態に係る竪型型締装置に設けられる、Vノッチ付きピースを示す斜視図である。
図4A】第2の実施形態に係る竪型型締装置の一部を示す上面図である。
図4B】第2の実施形態に係る竪型型締装置の一部を示す上面図である。
図5】第2の実施形態に係る竪型型締装置において、ターンテーブルの回転方式を判別する方法を示すフローチャートである。
図6A】第3の実施形態に係る竪型型締装置に設けられるフレキシブルピースを示す斜視図である。
図6B】第3の実施形態に係る竪型型締装置のターンテーブルの一部と、フレキシブルピースとを示す側面図である。
図6C】第3の実施形態に係る竪型型締装置のターンテーブルの一部と、フレキシブルピースとを示す側面図である。
図7】第2の実施形態の変形例に係る竪型型締装置の一部を示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。ただし、以下の実施の形態に限定される訳ではない。説明を明確にするため、以下の記載及び図面は、適宜簡略化されている。各図面において、同一の要素には同一の符号が付されており、必要に応じて重複説明は省略されている。また、図面が煩雑にならないように、ハッチングが省略されている部分がある。
【0014】
[第1の実施形態]
<竪型射出成形機>
第1の実施形態に係る竪型射出成形機1は、図1に示されているように、竪型型締装置2と、この竪型型締装置2の上部に設けられている射出装置3と、これらを制御する制御装置4と、を備えている。
【0015】
<型締装置>
竪型型締装置2は、ベッド7に固定されている固定盤9と、この固定盤9の上方に設けられている上可動盤10と、ベッド7内に設けられている下可動盤11とを備えている。上可動盤10と下可動盤11は3本のタイバー12、12、…で連結されている。これら3本のタイバー12、12、…は図2Aに示されているように、三角形に配置されている。図1に示されているように、下可動盤11と固定盤9の間には型締機構としてクロスヘッド16を備えたトグル機構14が設けられている。ボールねじ機構17と、このボールねじ機構17を駆動する型開閉モータ18とによってクロスヘッド16を駆動するとトグル機構14が屈伸し、竪型型締装置2が型開閉されるようになっている。
【0016】
固定盤9の上には、第1の実施形態に係るターンテーブル15が設けられている。ターンテーブル15は、図2Aに示されているように1本のタイバー12を中心に固定盤9上において回転するようになっている。本開示においてターンテーブル15は、その回転方法において反転式と一方向回転式とを選択でき、方式を容易に変更できるようになっているが、これについては後で詳しく説明する。上可動盤10には1個の上側金型19が、そしてターンテーブル15には、複数個の例えば2個の下側金型20、20が設けられている。2個の下側金型20、20は図1において重なって示されているが、図2Aにおいて2個が示されている。ターンテーブル15の回転位置に応じて、いずれかの下側金型20、20が上側金型19と整合し、型開閉されることになる。
【0017】
<射出装置>
射出装置3は、図1に示されているように、竪型型締装置2の上可動盤10の上に設けられている。射出装置3は、加熱シリンダ22と、加熱シリンダ22内に設けられているスクリュ23と、スクリュ23を駆動するスクリュ駆動機構24と、射出装置3全体を昇降する昇降装置25と、を備えている。射出装置3は、スクリュ23を回転して射出材料を溶融し、スクリュ23を軸方向に駆動して射出材料を射出するようになっている。
【0018】
<ターンテーブル(反転式)>
第1の実施形態に係るターンテーブル15は、前述したように反転式にしたり、一方向回転式にしたりすることができるようになっており、図2Aには反転式になっている状態のターンテーブル15が示されている。ターンテーブル15には、その円周部において等間隔に4カ所に切り込み部26、26、…が形成され、これら切り込み部26、26、…において、その形状に特徴がある1個のピース30と、3個のダミーピース31、31、…とが取り付けられている。
【0019】
ピース30は、図2Cに示されているように、ピン状の突起部つまりストッパ部33が形成されている点に特徴がある。ピース30には取り付け用のボルト穴34、34、…が空けられており、図2Bに示されているようにターンテーブル15の1カ所の切り込み部26に取り付けられる。取り付けられるとストッパ部33がターンテーブル15の裏面から突出した状態になる。このストッパ部33はターンテーブル15側に設けられるようになっているので、ターンテーブル側ストッパ部33と言うことができる。またピース30はターンテーブル側ストッパ部付きピース30と呼ぶことができる。
【0020】
ダミーピース31、31、…は直方体状になっていてその形状に格別特徴はない。これらダミーピース31、31、31は図2Aに示されているように、ターンテーブル15の3カ所の切り込み部26、26、…に取り付けられ、切り込み部26、26、…を埋めている。
【0021】
固定盤9には、図2Aに示されているように、2カ所において固定側ストッパ部35、35が設けられている。固定側ストッパ部35を側方から見た様子が図2Bに示されている。ターンテーブル側ストッパ部33がこの固定側ストッパ部35に接触したら、ターンテーブル15はそれ以上の回転が規制されるようになっている。ターンテーブル15を反対方向に回転したら、図2Bに図示されていない他方の固定側ストッパ部35に接触してターンテーブル15の回転が規制されることになる。
【0022】
つまり、ターンテーブル15に設けられているターンテーブル側ストッパ部33と、固定盤9において2カ所に設けられている固定側ストッパ部35、35は、ターンテーブル15の回転範囲を規制する、回転範囲規制手段になっている。そして、回転範囲は固定側ストッパ35、35の配置によって規定されることになる。例えば2個の固定側ストッパ部35、35をターンテーブル15の回転位置の0度と、180度の位置に配置するようにすれば、ターンテーブル15の回転範囲は0度~180度になる。他の回転位置、例えば固定側ストッパ部35、35を0度と120度とに配置するようにすれば、ターンテーブル15の回転範囲は0度~120度になる。
【0023】
<ターンテーブル(一方向回転式)>
図3Aには、一方向回転式になっている状態のターンテーブル15が示されている。ターンテーブル15の4カ所の切り込みには、いずれもVノッチ付きピース37、37、…が設けられている。Vノッチ付きピース37には、図3Cに示されているように、取り付け用のボルト穴34、34、…が空けられており、図3Aに示されているようにターンテーブル15の4カ所の切り込み部26に取り付けられる。Vノッチ付きピース37は、V字の切り込みつまりVノッチ38が入れられている。Vノッチ付きピース37には、図3Bに示されているように、ターンテーブル15の裏面側に突出する突起はない。したがって、ターンテーブル15が回転してもターンテーブル側ストッパ部33と接触することはなく、ターンテーブル15の回転が規制されることはない。
【0024】
固定盤9には、図3A図3Bに示されているように、係合機構40が着脱自在に設けられている。係合機構40は進退自在なピン状の突き出し部41と、この突き出し部41を駆動する駆動手段つまり駆動部42とから構成されている。ターンテーブル15を一方向に回転させて所望の回転位置にする。そうすると、いずれかのVノッチ付きピース37が係合機構40に近接する。係合機構40において突き出し部41を突き出す。そうするとVノッチ38に突き出し部41が係合する。これによってターンテーブル15の回転位置が精度良く位置決めされる。つまり、Vノッチ38、38、…と、係合機構40とから回転位置決め手段が構成されている。
【0025】
以上のように、第1の実施形態に係る竪型型締装置2は、容易にターンテーブル15の回転方式を変更することができる。つまり、ターンテーブル側ストッパ付きピース30やダミーピース31、31、…(図2A参照)をターンテーブル15に取り付け、固定盤9から係合機構40を取り外せば反転式にすることができる。また、Vノッチ付きピース37、37、…をターンテーブル15に取り付け、固定盤9に係合機構40を取り付ければ一方向回転式にすることができる。
【0026】
[第2の実施形態]
第2の実施形態について説明する。第2の実施形態に係る竪型射出成形機は、図1で説明した第1の実施形態に係る竪型射出成形機1と同様に構成されているので、竪型射出成形機についての説明は省略する。第2の実施形態に係る竪型型締装置2Aは、図4Aに示されているように、ターンテーブル15の回転方式を検出するセンサが設けられている点において、第1の実施形態に係る竪型型締装置2(図3A参照)と相違している。他の点は同様であるので、第1の実施形態に係る竪型型締装置2と同様に構成されている部材は、同じ参照番号を付して説明を省略する。
【0027】
<センサ>
第2の実施形態に係る竪型型締装置2Aにおいて、図4Aに示されているようにターンテーブル15には、それぞれの切り込み部26、26、…に近接して第1のセンサ45や第2のセンサ46a、46b、…が設けられている。図において右方に位置している1カ所の切り込み部26に対しては、1個の第1のセンサ45と1個の第2のセンサ46aとが設けられ、他の3カ所の切り込み部26、26、…に対してはそれぞれ1個の第2のセンサ46b、46c、46dが設けられている。
【0028】
第1のセンサ45はターンテーブル側ストッパ部センサ45であり、切り込み部26、26、…にターンテーブル側ストッパ付きピース30Aが取り付けられているか否かを検出する。第2の実施形態において、図4Aに示されているように、ターンテーブル側ストッパ付きピース30Aには第1のセンサ45の検出相手であるドグ48が設けられており、これがターンテーブル側ストッパ部センサ45によって検出される。第1のセンサ45は、例えば、磁気式の非接触近接センサである。なお、第1のセンサ45は、ドグ48が近接したことを検出できるものであればどのような検出方式のものであってもよい。
【0029】
これに対して第2のセンサ46a、46b、…はVノッチ検出センサ46a、46b、…であり、切り込み部26、26、…にVノッチ付きピース37A、37A、…が取り付けられているか否かを検出する。図4Bに示されているように、Vノッチ付きピース37A、37A、…には、V字の切り込みつまりVノッチ38が入れられている。第2の実施形態においてVノッチ付きピース37A、37A、…には、第2のセンサ46a、46b、…の検出相手であるドグ49、49、…が設けられている。第2のセンサ46a、46b、…は、例えば、磁気式の非接触近接センサである。なお、第2のセンサ46a、46b、…は、ドグ49、49、…が近接したことを検出できるものであればどのような検出方式のものであってもよい。
【0030】
Vノッチ検出センサ46a、46b、…は、ドグ49、49、…の検出の有無によりVノッチ付きピース37A、37A、…が取り付けられているか否かを検出する。なお、4個のVノッチ検出センサ46a、46b、…は、後の説明において、それぞれ第1のVノッチ検出センサ46a、第2のVノッチ検出センサ46b、第3のVノッチ検出センサ46c、第4のVノッチ検出センサ46dと呼んで区別している。
【0031】
第2の実施形態において固定盤9には図4A図4Bに示されているように、係合機構検出センサ51が設けられている。第2の実施形態において係合機構40Aには係合機構検出センサ51の検出相手であるドグ53が設けられている。係合機構検出センサ51は、例えば、磁気式の非接触近接センサである。なお、係合機構検出センサ51は、ドグ53が近接したことを検出できるものであればどのような検出方式のものであってもよい。係合機構検出センサ51によってドグ53が検出されると係合機構40Aが取り付けられていることが認識される。第2の実施形態においてこれらのセンサ45、46、…、51は、制御装置4(図1参照)に接続されている。
【0032】
<回転方式の判別>
第2の実施形態においては、制御装置4がターンテーブル15の回転方式を判別するようになっている。図5のフローチャートによって判別方法を説明する。制御装置4(図1参照)は、ターンテーブル側ストッパ部センサ45(図4A図4B参照)によってターンテーブル側ストッパ部付きピース30が検出されるか否かを判断する(ステップS01)。ターンテーブル15を反転式にする場合、ターンテーブル側ストッパ部付きピース30を取り付ける必要がある。反対にターンテーブル15を一方向回転式にする場合、ターンテーブル側ストッパ部付きピース30ではなく、Vノッチノッチ付きピース37を取り付ける必要がある。ステップS01ではこれをチェックすることになる。
【0033】
ステップS01においてターンテーブル側ストッパ部付きピース30が検出されれば(ON)、ステップS12に移行する。ステップS12では、係合機構検出センサ51によって係合機構40の取り付けの有無をチェックする。反転式にする場合、係合機構40は取り外す必要があるからである。係合機構40が取り付けられている場合(ON)、ステップS13に移行して、係合機構40の取外しを促すメッセージを出力する。次いでステップS12に戻る。ステップS12において係合機構40が取り外されていることが検出されたら(OFF)、制御装置4はターンテーブル15が反転式になっていると認識する。以後、反転式であるとしてターンテーブル15を制御する。
【0034】
ステップS01においてターンテーブル側ストッパ部付きピース30が検出されない場合(OFF)、ステップS02に移行する。以下、ターンテーブル15は一方向回転式になっているものと仮定し、問題のある設定がないかどうかをチェックすることになる。ステップS02では係合機構検出センサ51により係合機構40の有無をチェックする。係合機構40が検出されなければ(OFF)、ステップS03に移行して係合機構40の取り付けを促すメッセージを出力し、ステップS02に戻る。ステップS02において係合機構40が検出されれば(ON)、制御装置4はステップS04に処理を移行する。
【0035】
ステップS04において、第1のVノッチ検出センサ46aによってVノッチ付きピース37の取り付けの有無をチェックする。取り付けられていなければ(OFF)、制御装置4はステップS05に移行してVノッチ付きピース37の取り付けを促すメッセージを出力し、ステップS04に戻る。Vノッチ付きピース37が取り付けられていれば(ON)ステップS06に移行する。
【0036】
ステップS06ではステップS04と同様にする。つまり第2のVノッチ検出センサ46bによってVノッチ付きピース37の取り付けの有無をチェックし、なければ(OFF)ステップS07によって取り付けを促すメッセージを出力し、取り付けられていれば(ON)ステップS08に移行する。ステップS08も同様に第3のVノッチ検出センサ46cによってVノッチ付きピース37の取り付けの有無をチェックし、なければ(OFF)取り付けを促すメッセージを出力し(ステップS09)、取り付けられていれば(ON)ステップS08に移行する。ステップS10も同様にして第4のVノッチ検出センサ46dによりVノッチ付きピース37の取り付けの有無をチェックし、なければ(OFF)取り付けを促すメッセージを出力する(ステップS09)。
【0037】
ステップS10においてVノッチ付きピース37を検出したら(ON)、制御装置4はターンテーブル15が一方向回転式であると判断する。以後、制御装置4はターンテーブル15を一方向回転式であるとして制御する。
【0038】
[第3の実施形態]
第3の実施形態について説明する。第3の実施形態に係る竪型射出成形機は、図1で説明した第1の実施形態に係る竪型射出成形機1と同様に構成されているので、竪型射出成形機についての説明は省略する。また、第3の実施形態に係る竪型型締装置も、第1の実施形態に係る竪型型締装置2(図2A図3A参照)と同様に構成されているので説明を省略する。
【0039】
第3の実施形態については、図6Aに示されている、フレキシブルピース60を備えている点に特徴がある。フレキシブルピース60は、ターンテーブル15(図2A図3A参照)において切り込み部26、26、…に取り付けられるピースになっている。フレキシブルピース60は、切り込み部26に取り付けるためのボルト穴34、34を備えたプレート部61と、このプレート部61の一方の側に設けられているVノッチ部63と、他方の側に設けられているストッパ部64とから構成されている。Vノッチ部63にはVノッチ65が形成されている。
【0040】
フレキシブルピース60は、図6B図6Cに示されているように、ターンテーブル15に対して2種類の取り付け方法がある。ボルト70、70によりフレキシブルピース60を図6Bに示されているようにターンテーブル15に取り付けるようにすると、ストッパ部64がターンテーブル15の裏面側に突出した状態になる。そうすると、図6Bには示されていないがターンテーブル15が回転するとき固定側ストッパ部35(図2A参照)に接触する。つまりターンテーブル15の回転範囲を規制することになり、ターンテーブル15は反転式になる。
【0041】
これに対してフレキシブルピース60を図6Cに示されているようにターンテーブル15に取り付けると、ストッパ部64がターンテーブル15の上面側に配置される。そうするとターンテーブル15が回転しても固定側ストッパ35には接触しない。そしてVノッチ65がターンテーブル15の側面に位置することになる。そうすると、図6Cには示されていないが、係合機構40(図3A参照)によって係合されることになる。つまりターンテーブル15は一方向回転式になる。
【0042】
[他の変形]
第1、第2の実施形態は他にも色々な変形が可能である。例えば第2の実施形態に係る竪型型締装置2Aを変形することができる。変形された竪型型締装置2A‘が図7Aに示されている。この竪型型締装置2A’では、ターンテーブル15の回転方式によらずに3カ所の切り込み部26、26、26には常にVノッチ付きピース37、37、37が設けられている。Vノッチ付きピース37、37、…は一方向回転式のときに使用され、反転式のとき使用されないが、反転式のときにこれらが設けられていても支障が無いからである。変形された竪型型締装置2A‘では、これら3カ所の切り込み部26、26、26にVノッチ付きピース37、37、…を検出するセンサは設けられていない。
【0043】
これに対して、ターンテーブル15の1カ所の切り込み部26においては、Vノッチ付きピース37Aとターンテーブル側ストッパ部付きピース30(図4A参照)とが交換可能になっている。したがって、この切り込み部26にはVノッチ検出センサ46aと、ターンテーブル側ストッパ部センサ45とが設けられている。この変形された竪型型締装置2A‘においても、固定盤9に係合機構検出センサ51が設けられており、係合機構40Aの着脱の有無が検出されるようになっている。
【0044】
ターンテーブル側ストッパ部センサ45においてターンテーブル側ストッパ部付きピース30(図4A参照)が検出され、そして係合機構検出センサ51によって係合機構40Aが無い状態が検出されたら制御装置4(図1参照)はターンテーブル15が反転式であると判断する。一方、Vノッチ検出センサ46aにおいてVノッチ付きピース37Aが検出され、そして係合機構検出センサ51によって係合機構40Aが検出されたら、制御装置4はターンテーブル15が一方向回転式であると判断する。
【0045】
他の変形も可能である。第1、第2の実施形態においては、ターンテーブル15に形成されている切り込み部26、26、…は4カ所になっている。つまりターンテーブル15に対して回転角度が90度毎に切り込み部26、26、…が形成されている。そうするとこれらにVノッチ付きピース37、37、…を設けていると、ターンテーブル15を0度、90度、180度、270度の回転角度に回転することができる。これに対して、例えば切り込み部26、26、…を2カ所にしたり、3カ所にしたり、5カ所以上とする変形も考えられる。これらの切り込み部26、26、…にVノッチ付きピース37、37、…を設ければ、ターンテーブル15を色々な回転角度に回転できることになる。
【0046】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は既に述べた実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能であることはいうまでもない。以上で説明した複数の例は、適宜組み合わせて実施されることもできる。
【符号の説明】
【0047】
1 竪型射出成形機 2 竪型型締装置
3 射出装置 4 制御装置
7 ベッド 9 固定盤
10 上可動盤 11 下可動盤
12 タイバー 14 トグル機構
15 ターンテーブル 16 クロスヘッド
17 ボールねじ機構 18 型開閉モータ
19 上側金型 20 下側金型
22 加熱シリンダ 23 スクリュ
24 スクリュ駆動機構 26 切り込み部
30 ターンテーブル側ストッパ部付きピース
31 ダミーピース
33 ターンテーブル側ストッパ部
34 ボルト穴 35 固定側ストッパ部
37 Vノッチ付きピース 38 Vノッチ
40 係合機構 41 突き出し部
42 駆動部
45 ターンテーブル側ストッパ部センサ
46 Vノッチ検出センサ 48 ドグ
49 ドグ 51 係合機構検出センサ
53 ドグ 60 フレキシブルピース
61 プレート部 63 Vノッチ部
64 ストッパ部 65 Vノッチ
図1
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図5
図6A
図6B
図6C
図7