(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024089404
(43)【公開日】2024-07-03
(54)【発明の名称】洗濯機
(51)【国際特許分類】
D06F 33/36 20200101AFI20240626BHJP
D06F 33/37 20200101ALI20240626BHJP
D06F 33/38 20200101ALI20240626BHJP
D06F 34/00 20200101ALI20240626BHJP
D06F 34/06 20200101ALI20240626BHJP
D06F 34/08 20200101ALI20240626BHJP
D06F 34/10 20200101ALI20240626BHJP
D06F 34/14 20200101ALI20240626BHJP
D06F 34/18 20200101ALI20240626BHJP
D06F 34/24 20200101ALI20240626BHJP
D06F 34/28 20200101ALI20240626BHJP
D06F 103/14 20200101ALN20240626BHJP
D06F 103/16 20200101ALN20240626BHJP
D06F 103/18 20200101ALN20240626BHJP
D06F 103/24 20200101ALN20240626BHJP
D06F 103/38 20200101ALN20240626BHJP
D06F 103/46 20200101ALN20240626BHJP
D06F 103/52 20200101ALN20240626BHJP
D06F 105/28 20200101ALN20240626BHJP
【FI】
D06F33/36
D06F33/37
D06F33/38
D06F34/00
D06F34/06
D06F34/08
D06F34/10
D06F34/14
D06F34/18
D06F34/24
D06F34/28
D06F103:14
D06F103:16
D06F103:18
D06F103:24
D06F103:38
D06F103:46
D06F103:52
D06F105:28
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022204750
(22)【出願日】2022-12-21
(71)【出願人】
【識別番号】512128645
【氏名又は名称】青島海爾洗衣机有限公司
【氏名又は名称原語表記】QINGDAO HAIER WASHING MACHINE CO.,LTD.
(71)【出願人】
【識別番号】307036856
【氏名又は名称】アクア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111383
【弁理士】
【氏名又は名称】芝野 正雅
(74)【代理人】
【識別番号】100170922
【弁理士】
【氏名又は名称】大橋 誠
(72)【発明者】
【氏名】大槻 太郎
【テーマコード(参考)】
3B167
【Fターム(参考)】
3B167AA01
3B167AE04
3B167AE05
3B167BA52
3B167FB01
3B167FB02
3B167HA11
3B167JA03
3B167JA11
3B167JA31
3B167JA52
3B167JA56
3B167JA57
3B167JA65
3B167KA02
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3B167KA18
3B167KA52
3B167KB01
3B167KB02
3B167KB16
3B167LA08
3B167LA23
3B167LA32
3B167LA38
3B167LC14
3B167LD02
3B167LD03
3B167LD12
3B167LD13
3B167LF01
3B167LF06
(57)【要約】
【課題】加熱の目標とする水温において洗剤の洗浄力が十分に発揮されることにより、洗濯物の洗浄効果が高まりやすい洗濯機を提供する。
【解決手段】ドラム式洗濯機1は、ドラムと駆動モータ30とを含み、ドラム内の洗濯物に駆動モータ30が発生するトルクに基づく機械力を加える洗濯ユニットと、外槽内に洗剤を投入する洗剤投入装置と、外槽内に溜められた水を加熱するヒータ60と、外槽内に溜められた水の温度を検出する水温センサ106と、駆動モータ30、洗剤投入装置およびヒータ60の動作を制御する制御部101と、を備える。制御部101は、洗い工程において、ヒータ60を動作させて外槽内の水を加熱し、外槽内の水温が規定水温に到達したことに基づいて、洗剤投入装置を動作させ、外槽内に洗剤を投入し、外槽内の水温が規定水温に到達する前の期間と到達した後の期間とにおいて、駆動モータを動作させ、ドラム内の洗濯物に機械力を加える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体内に配置され、水が溜められる外槽と、
前記外槽内に配置された内槽と、駆動モータとを含み、前記内槽内に収容された洗濯物に、前記駆動モータが発生するトルクに基づく機械力を加える洗濯ユニットと、
前記外槽内に洗剤を投入する洗剤投入装置と、
前記外槽内に溜められた水を加熱するヒータと、
前記外槽内に溜められた水の温度を検出する水温センサと、
前記駆動モータ、前記洗剤投入装置および前記ヒータの動作を制御し、洗い工程、すすぎ工程および脱水工程を含む洗濯運転を実行する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記洗い工程において、
前記ヒータを動作させて前記外槽内の水を加熱し、
前記水温センサにより検出された前記外槽内の水温が規定水温に到達したことに基づいて、前記洗剤投入装置を動作させ、前記外槽内に洗剤を投入し、
前記外槽内の水温が前記規定水温に到達する前の期間と到達した後の期間とにおいて、前記駆動モータを動作させ、前記内槽内の洗濯物に機械力を加える、
ことを特徴とする洗濯機。
【請求項2】
請求項1に記載の洗濯機において、
前記内槽は、前記外槽内に水平な回転軸周りまたは水平方向に対して傾斜する回転軸周りに回転可能に配置されたドラムであり、
前記洗濯ユニットは、前記ドラム内の洗濯物がタンブリングする回転数で前記駆動モータが前記ドラムを回転させることにより、洗濯物に機械力を加える、
ことを特徴とする洗濯機。
【請求項3】
請求項1または2に記載の洗濯機において、
前記制御部は、前記外槽内の水温が前記規定水温に到達した後の期間おける単位時間当たりの機械力が前記外槽内の水温が前記規定水温に到達する前の期間における単位時間当たりの機械力よりも強くなるように、前記駆動モータの動作を制御する、
ことを特徴とする洗濯機。
【請求項4】
請求項1または2に記載の洗濯機において、
前記内槽内の洗濯物の負荷量を検出する負荷量検出部を、さらに備え、
前記制御部は、
前記負荷量に基づいて前記外槽内への洗剤の投入量を決定し、
前記決定した投入量を、第1投入量と、当該第1投入量よりも多い第2投入量とに分け、
前記外槽内の水温が前記規定水温に到達する前に前記第1投入量の洗剤を前記外槽内に投入し、
前記外槽内の水温が前記規定水温に到達したことに基づいて、前記第2投入量の洗剤を前記外槽内に投入する、
ことを特徴とする洗濯機。
【請求項5】
請求項4に記載の洗濯機において、
前記制御部は、前記決定した投入量を、予め定めた比率で前記第1投入量と前記第2投入量とに分ける、
ことを特徴とする洗濯機。
【請求項6】
請求項1または2に記載の洗濯機において、
前記内槽内の洗濯物の負荷量を検出する負荷量検出部を、さらに備え、
前記制御部は、
前記負荷量に基づいて前記外槽内への洗剤の投入量を決定し、
前記外槽内の水温が前記規定水温に到達する前には、洗剤を前記外槽内に投入せず、
前記外槽内の水温が前記規定水温に到達したことに基づいて、前記決定された投入量の洗剤を前記外槽内に投入する、
ことを特徴とする洗濯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、温水を用いて洗濯物の洗浄を行う洗濯機が知られている。このような洗濯機の一例であるドラム式洗濯機が、特許文献1に記載されている。
【0003】
特許文献1のドラム式洗濯機は、貯水可能なタブと、タブの内部に配置されるドラムとを有する。タブの下部には貯水部が設けられ、当該貯水部にヒータが配置される。洗い工程が開始されると、タブ内に給水が行われ、当該給水とともに薬剤投入装置からタブ内に洗剤が投入される。タブの下部に、所定量の洗い水(水および洗剤の混合水)が溜まり、貯水部が洗い水で満たされる。貯水部が洗い水で満たされると、ヒータがONして洗い水を加熱する。タブ内への給水が完了してから所定時間が経過すると、ドラムが回転を開始する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のドラム洗濯機では、洗い工程において、タブ内への給水時に、当該洗い工程で使用される全ての量の洗剤がタブ内に投入される。このため、ドラムの回転により洗濯物に機械力が加えられ、洗濯物の洗浄が行われたときに、タブ内が給水直後の低い水温の状態のときから洗剤の洗浄力が発揮されてしまい、タブ内が加熱の目標とする水温に到達したときに当該水温で本来発揮されるべき洗剤の洗浄力が十分に発揮されない虞がある。
【0006】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、加熱の目標とする水温において洗剤の洗浄力が十分に発揮されることにより、洗濯物の洗浄効果が高まりやすい洗濯機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の主たる態様に係る洗濯機は、筐体内に配置され、水が溜められる外槽と、前記外槽内に配置された内槽と、駆動モータとを含み、前記内槽内に収容された洗濯物に、前記駆動モータが発生するトルクに基づく機械力を加える洗濯ユニットと、前記外槽内に洗剤を投入する洗剤投入装置と、前記外槽内に溜められた水を加熱するヒータと、前記外槽内に溜められた水の温度を検出する水温センサと、前記駆動モータ、前記洗剤投入装置および前記ヒータの動作を制御し、洗い工程、すすぎ工程および脱水工程を含む洗濯運転を実行する制御部と、を備える。ここで、前記制御部は、前記洗い工程において、前記ヒータを動作させて前記外槽内の水を加熱し、前記水温センサにより検出された前記外槽内の水温が規定水温に到達したことに基づいて、前記洗剤投入装置を動作させ、前記外槽内に洗剤を投入し、前記外槽内の水温が前記規定水温に到達する前の期間と到達した後の期間とにおいて、前記駆動モータを動作させ、前記内槽内の洗濯物に機械力を加える。
【0008】
たとえば、前記内槽は、前記外槽内に水平な回転軸周りまたは水平方向に対して傾斜する回転軸周りに回転可能に配置されたドラムとされ得る。この場合、前記洗濯ユニットは、前記ドラム内の洗濯物がタンブリングする回転数で前記駆動モータが前記ドラムを回転させることにより、洗濯物に機械力を加える。
【0009】
本態様に係る洗濯機によれば、外槽内の水温が規定水温に到達した後に外槽内に洗剤が投入され、当該洗剤が規定水温の水に溶け込み、外槽内に溜められたときの水温の水に溶け込むよりも高い洗浄力を発揮する状態となる。よって、このような状態において洗濯物に機械力が加えられることにより、洗濯物の洗浄効果を高めることができる。
【0010】
本態様に係る洗濯機において、前記制御部は、前記外槽内の水温が前記規定水温に到達した後の期間おける単位時間当たりの機械力が前記外槽内の水温が前記規定水温に到達する前の期間における単位時間当たりの機械力よりも強くなるように、前記駆動モータの動作を制御するような構成とされ得る。
【0011】
たとえば、制御部は、所定時間のオンと所定時間のオフとを繰り返すように、駆動モータによりドラムを回転させる場合、1周期におけるオン時間の比率を、水温が規定水温に到達した後の期間では到達する前の期間よりも長くする。
【0012】
上記の構成によれば、規定水温到達後の期間では、単位時間当たりの機械力が相対的に強くなるように駆動モータが動作するので、洗浄力の高まった洗剤を用いて洗濯物を強く洗浄でき、大きな洗浄効果を発揮できる。
【0013】
さらに、規定水温到達前の期間では、単位時間当たりの機械力が相対的に弱くなるように駆動モータが動作するので、駆動モータに供給される単位時間当たりの電力が少なくなり、駆動モータの発熱による温度上昇が小さくなる。このため、規定水温到達後の期間に、単位時間当たりの機械力が強くなることにより駆動モータの温度上昇が大きくなっても、総合的には、駆動モータの温度上昇が抑えられる。よって、規定水温到達後の期間において、洗濯物に加わる機械力を十分に強くすることができ、一層、大きな洗浄効果を発揮できる。
【0014】
本態様に係る洗濯機において、前記内槽内の洗濯物の負荷量を検出する負荷量検出部を、さらに備えるような構成が採られ得る。この場合、前記制御部は、前記負荷量に基づいて前記外槽内への洗剤の投入量を決定し、前記決定した投入量を、第1投入量と、当該第1投入量よりも多い第2投入量とに分け、前記外槽内の水温が前記規定水温に到達する前に前記第1投入量の洗剤を前記外槽内に投入し、前記外槽内の水温が前記規定水温に到達したことに基づいて、前記第2投入量の洗剤を前記外槽内に投入するような構成とされ得る。
【0015】
上記の構成によれば、洗い工程で外槽内に投入されるべき投入量のうち、主要な第2投入量の洗剤が規定水温到達後に外槽内に投入されるが、規定水温到達前にも、第2投入量より少ない第1投入量の洗剤が外槽内に投入される。これにより、規定水温到達前にも洗剤の洗浄力を発揮させることができ、規定水温到達前における洗濯物の洗浄効果を高めることができる。
【0016】
上記の構成とされた場合、さらに、前記制御部は、前記決定した投入量を、予め定めた比率で前記第1投入量と前記第2投入量とに分けるような構成とされ得る。
【0017】
上記の構成によれば、洗濯物の負荷量に応じて投入量が変化しても、第1投入量と第2投入量との割合が変化しない。このため、洗濯物の負荷量が変化しても、規定水温の到達前および到達後の洗浄効果にばらつきが生じにくい。
【0018】
本態様に係る洗濯機において、前記内槽内の洗濯物の負荷量を検出する負荷量検出部を、さらに備えるような構成が採られ得る。この場合、前記制御部は、前記負荷量に基づいて前記外槽内への洗剤の投入量を決定し、前記外槽内の水温が前記規定水温に到達する前には、洗剤を前記外槽内に投入せず、前記外槽内の水温が前記規定水温に到達したことに基づいて、前記決定された投入量の洗剤を前記外槽内に投入するような構成とされ得る。
【0019】
上記の構成によれば、洗い工程で外槽内に投入されるべき全ての投入量の洗剤が、規定水温の水の中で使用されることにより、高い洗浄力を発揮することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、加熱の目標とする水温において洗剤の洗浄力が十分に発揮されることにより、洗濯物の洗浄効果が高まりやすい洗濯機を提供できる。
【0021】
本発明の効果ないし意義は、以下に示す実施形態の説明によりさらに明らかとなろう。ただし、以下の実施形態は、あくまでも、本発明を実施化する際の一つの例示であって、本発明は、以下の実施形態に記載されたものに何ら制限されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】
図1は、実施の形態に係る、ドラム式洗濯機の構成を示す側面断面図である。
【
図2】
図2は、実施の形態に係る、ドラム式洗濯機の構成を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、実施の形態に係る、負荷量検出工程において実行される制御部の制御動作を示すフローチャートである。
【
図4】
図4は、実施の形態に係る、給水工程において実行される制御部の制御動作を示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、実施の形態に係る、温水洗浄工程において実行される制御部の制御動作を示すフローチャートである。
【
図6】
図6(a)は、変更例1に係る、給水工程において実行される制御部の制御動作を示すフローチャートである。
図6(b)は、変更例1に係る、温水洗浄工程において実行される制御部の制御動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の洗濯機の一実施形態について、図面を参照して説明する。
【0024】
図1は、ドラム式洗濯機1の構成を示す側面断面図である。
【0025】
ドラム式洗濯機1は、方形状の筐体10を備える。筐体10の前面には、洗濯物が投入される円形の投入口11が形成される。投入口11は、ほぼ円盤状を有する開閉自在なドア12により覆われる。
【0026】
筐体10内には、外槽20が配置される。外槽20は、複数のダンパー21とスプリング22とにより弾性的に支持される。外槽20内には、横軸型のドラム23が回転自在に配置される。ドラム23は、水平な回転軸周りに回転する。ドラム23は、前面に円形の開口部23aを有する。ドラム23は、水平方向に対して傾斜する回転軸周りに回転してもよい。ドラム23は、本発明の内槽に相当する。
【0027】
外槽20は、その前面であってドラム23の開口部23aの前方に、円形の開口部20aを有する。外槽20の開口部20aの周縁部と筐体10の投入口11の周縁部が、弾性材料からなる環状のドアパッキン24により連結される。閉じられたドア12の周面がドアパッキン24に接触し、投入口11とドア12との間が水封される。
【0028】
ドラム23の内周面には、多数の脱水孔23bが形成される。また、ドラム23の内周面には、周方向に等しい間隔で、ほぼ三角柱形状を有する3つのバッフル25が設けられる。
【0029】
外槽20の後方には、ドラム23を回転させるためのトルクを発生させる駆動モータ30が配置される。駆動モータ30は、たとえば、アウターロータ型のDCブラシレスモータである。駆動モータ30は、洗い工程およびすすぎ工程時には、ドラム23内の洗濯物に加わる遠心力が重力より小さく、洗濯物がタンブリングする回転数でドラム23を回転させる。一方、駆動モータ30は、脱水工程時には、ドラム23内の洗濯物に加わる遠心力が重力よりはるかに大きく、洗濯物がドラム23の内周面に張り付く回転数でドラム23を回転させる。
【0030】
ドラム23と駆動モータ30とにより、洗濯ユニットWUが構成される。洗濯ユニットWUは、ドラム23内の洗濯物がタンブリングする回転数で駆動モータ30がドラム23を回転させることにより、ドラム23内に収容された洗濯物に、駆動モータ30が発生するトルクに基づく機械力を加える。
【0031】
外槽20の底部には、排水口部20bが形成される。排水口部20bには、外槽20内から排水を行う排水部40が接続される。排水部40は、排水バルブ41、排水ホース42および排水フィルタ43により構成される。排水口部20bに、排水バルブ41が接続される。排水バルブ41は、たとえば、バルブと、バルブを開閉させるトルクモータとを含む。排水フィルタ43は、排水バルブ41の下流に設けられる。排水フィルタ43に、排水ホース42が接続される。排水バルブ41が開放されると、外槽20内に溜められた水が排水口部20b、排水フィルタ43および排水ホース42を通じて機外に排出される。リント等の異物が排水フィルタ43により捕獲される。
【0032】
筐体10内の上部には、給水装置50が配置される。給水装置50は、外槽20内に給水を行う。また、給水装置50は、外槽20内に洗剤を自動投入する機能を有する。即ち、給水装置50は、洗剤投入装置でもある。
【0033】
給水装置50は、給水バルブ51と、給水ホース52と、注水口部材53と、洗剤タンク54と、水路形成部材55と、洗剤ポンプ56と、注水パイプ57と、を備える。
【0034】
給水バルブ51は、その入口が図示しない接続ホースを介して水道栓に接続される。給水バルブ51の出口には、給水ホース52の入口が接続される。
【0035】
注水口部材53は、前面および上面が開口する箱状を有する。注水口部材53の底部には、注水口53aが設けられる。注水口53aには、注水パイプ57の上端が接続される。注水パイプ57の下端は、外槽20に接続される。
【0036】
洗剤タンク54は、注水口部材53内に収容される。洗剤タンク54内には、液体の洗剤が原液の状態で貯められる。ユーザは、洗剤タンク54内に洗剤を補充する際、筐体10の前方へ洗剤タンク54を引き出すことができる。
【0037】
水路形成部材55は、注水口部材53の上面に配置される。水路形成部材55の内部には、水路形成部材55の後端部から前方へ延びる給水路55aと、当該給水路55aに繋がる注水室55bとが形成される。給水路55aの入口には、給水ホース52の出口が接続される。注水室55bの底面には、注水口部材53の内部に繋がる多数の注水孔が形成される。
【0038】
注水口部材53の内部には洗剤タンク54の下方に隙間が形成され、当該隙間が水路形成部材55の注水室55bから排出された水の流路53bとなる。
【0039】
洗剤ポンプ56は、その吸込口が吸込パイプ56aを介して洗剤タンク54に接続され、その吐出口が吐出パイプ56bを開始して、水路形成部材55の給水路55aに接続される。
【0040】
洗い工程またはすすぎ工程において、外槽20内に給水する際には、給水バルブ51が開放される。水道栓からの水が、給水バルブ51および給水ホース52を介し水路形成部材55の給水路55aへ流入する。給水路55aに流入した水は、注水室55bへと流れて注水室55bから注水口部材53の内部へ排出される。注水口部材53内に排出された水は、流路53bを流れ、注水口53aおよび注水パイプ57を介して外槽20内に供給される。外槽20内に洗い水位またはすすぎ水位まで水が溜まると、給水バルブ51が閉鎖される。
【0041】
洗い工程において、給水と同時に外槽20内に洗剤が投入される場合、給水バルブ51が開放される前に、洗剤ポンプ56の動作により、洗剤タンク54内の洗剤が給水路55aに送られる。その後、給水バルブ51が開放されると、給水路55a内の洗剤は、給水路55aを流れる水に押し流され、水とともに外槽20内に投入される。
【0042】
洗い工程において、給水とは別に外槽20内に洗剤が投入される場合、洗剤ポンプ56が動作し、洗剤タンク54内の洗剤が給水路55aに送られる。その後、給水バルブ51が開放され、給水路55a内の洗剤が、給水路55aを流れる水に押し流されて外槽20内に投入される。全ての洗剤を外槽20内まで押し流せるような量の水が流されると、給水バルブ51が閉鎖される。
【0043】
なお、給水装置50には、注水口部材53内の洗剤タンク54の隣に、液体の柔軟剤が貯められる柔軟剤タンク(図示せず)を配置できる。この場合、すすぎ工程において、柔軟剤タンク内の柔軟剤が、柔軟剤ポンプ(図示せず)により水路形成部材55の給水路55aに送られる。その後、給水バルブ51が開放されると、給水路55a内の柔軟剤が、給水路55aを流れる水に押し流され、水とともに外槽20内に投入される。
【0044】
外槽20内の底部には、ヒータ60が配置される。ヒータ60は、外槽20内に溜められた水を加熱する。
【0045】
図2は、ドラム式洗濯機1の構成を示すブロック図である。
【0046】
ドラム式洗濯機1は、上述した構成に加え、制御部101と、記憶部102と、操作部103と、表示部104と、水位センサ105と、水温センサ106と、モータ駆動部107と、給水駆動部108と、排水駆動部109と、ポンプ駆動部110と、ヒータ駆動部111と、を備える。
【0047】
操作部103は、電源の投入および遮断を行う電源ボタンと、洗濯運転に係る複数の運転コースの中から任意の運転コースを選択するためのコース選択ボタンと、洗濯運転を開始および一時停止させるためのスタートボタンと、を含む。操作部103は、ユーザに操作されたボタンに応じた入力信号を制御部101に出力する。
【0048】
表示部104は、LED等の発光素子や液晶パネル等のディスプレイを含み、制御部101からの制御信号に従って、選択された運転コースの表示、洗濯運転の進行状況の表示、異常の報知などを行う。
【0049】
操作部103と表示部104とが、タッチパネル等の操作表示部により構成されてもよい。
【0050】
水位センサ105は、外槽20内の水位を検出し、水位に応じた水位信号を制御部101に出力する。水温センサ106は、外槽20内の水の温度を検出し、水温に応じた水温信号を制御部101に出力する。
【0051】
モータ駆動部107は、制御部101からの制御信号に従って、駆動モータ30を駆動する。モータ駆動部107は、駆動モータ30の回転数を検出する回転センサ、インバータ回路等を含み、制御部101により設定された回転数で駆動モータ30が回転するよう、駆動電力を調整する。さらに、モータ駆動部107は、駆動モータ30に流れる電流を検出する電流センサを含む。
【0052】
給水駆動部108は、制御部101からの制御信号に従って、給水バルブ51を駆動する。排水駆動部109は、制御部101からの制御信号に従って、排水バルブ41を駆動する。
【0053】
ポンプ駆動部110は、制御部101からの制御信号に従って、洗剤ポンプ56を駆動する。ヒータ駆動部111は、制御部101からの制御信号に従って、ヒータ60を駆動する。
【0054】
記憶部102は、EEPROM、RAM等を含む。記憶部102には、各種運転コースの洗濯運転を実行するためのプログラムが記憶される。また、記憶部102には、これらプログラムの実行に用いられる各種パラメータや各種制御フラグが記憶される。
【0055】
制御部101は、CPU等を含み、操作部103、水位センサ105、水温センサ106等からの各信号に基づいて、記憶部102に記憶されたプログラムに従い、表示部104、モータ駆動部107、給水駆動部108、排水駆動部109、ポンプ駆動部110、ヒータ駆動部111等を制御する。これにより、制御部101は、駆動モータ30、洗剤投入装置である給水装置50およびヒータ60の動作を制御する。
【0056】
さて、ドラム式洗濯機1では、ユーザによる操作部103の操作に基づき、制御部101による制御の下、各種運転コースの洗濯運転が行われる。洗濯運転では、洗い工程、中間脱水工程、すすぎ工程および最終脱水工程が順番に行われる。運転コースによっては、すすぎ工程と中間脱水工程とが2回以上行われる場合がある。
【0057】
洗い工程では、ドラム23内に収容された洗濯物の負荷量に応じた洗い水位まで、外槽20内に洗剤を含む水が溜められ、その水の中に浸された洗濯物が、ドラム23の正回転および逆回転が繰り返されることによりタンブリングする。洗剤を含む水が洗濯物の内部まで浸透し、洗剤の洗浄力とドラム23の回転、即ちタンブリングにより加わる機械力とにより洗濯物の表面や内部に付着した汚れが落とされる。
【0058】
すすぎ工程では、外槽20内にすすぎ水位まで水が溜められた状態でドラム23が正回転および逆回転を繰り返し、洗濯物がタンブリングする。これにより、洗濯物に含まれた洗剤が水とともに排出され、洗濯物がすすがれる。
【0059】
中間脱水工程および最終脱水工程では、駆動モータ30が一方向に高速回転し、ドラム23が、ドラム23内の洗濯物に作用する遠心力が重力よりはるかに大きくなる回転数で一方向に回転する。遠心力の作用により、洗濯物が、ドラム23の内周面に押し付けられ、脱水される。最終脱水工程では、中間脱水工程での回転数よりも高い回転数でドラム23が回転する。
【0060】
本実施の形態のドラム式洗濯機1で実行される運転コースには、温水を用いて洗濯物の洗浄を行う温水洗濯コースが含まれる。以下、温水洗濯コースの洗濯運転について、詳細に説明する。
【0061】
ユーザは、ドラム23内に洗濯物を投入した後、操作部103において、コース選択ボタンにより温水洗濯コースを選択し、スタートボタンを押す。これにより、温水洗濯コースの洗濯運転が開始される。
【0062】
まず、ドラム23内の洗濯物の負荷量を検出する負荷量検出工程が実行される。
【0063】
図3は、負荷量検出工程において実行される制御部101の制御動作を示すフローチャートである。
【0064】
制御部101は、負荷量検知ドラム回転を開始し、駆動モータ30により、ドラム23の内周面に洗濯物が張り付くような回転数(たとえば、180rpm)でドラム23を回転させる(S101)。
【0065】
ドラム23が回転している間に、制御部101は、ドラム23に加わる負荷に基づいて、洗濯物の負荷量を検出する(S102)。たとえば、制御部101は、電流センサにより駆動モータ30に流れる電流を検出し、電流の大きさに基づいて負荷量を判定する。洗濯物の負荷量が多いほど、ドラム23に加わる負荷が大きくなり、駆動モータ30に流れる電流が大きくなる。
【0066】
制御部101は、負荷量の検出を完了すると、負荷量検知ドラム回転を終了し、ドラム23を停止させる(S103)。
【0067】
記憶部102には、外槽20内への洗剤の投入量Dと負荷量とが対応付けられた洗剤量テーブルが保持されている。制御部101は、洗剤量テーブルを参照し、検出した負荷量に基づいて洗剤の投入量Dを決定する(S104)。こうして、負荷量検出工程が終了する。
【0068】
なお、ドラム23、駆動モータ30および制御部101により、本発明の負荷量検出部が構成される。
【0069】
次に、洗い工程が実行される。洗い工程では、給水工程と、温水洗浄工程と、排水工程とが順番に実行される。
【0070】
図4は、給水工程において実行される制御部101の制御動作を示すフローチャートである。
【0071】
給水工程が開始されると、制御部101は、第1投入量の洗剤を外槽20内に投入するため、洗剤ポンプ56を動作させて、第1投入量の洗剤を洗剤タンク54から水路形成部材55の給水路55a内に送る(S201)。この洗剤投入に先立って、制御部101は、負荷量検出工程で決定された洗剤の投入量Dを、一定の比率で、第1投入量と、当該第1投入量よりも多い第2投入量とに分ける。たとえば、第1投入量と第2投入量との比率を、3対7とすることができる。
【0072】
次に、制御部101は、給水バルブ51を開放する(S202)。水道栓からの水が外槽20内に供給されるとともに、給水路55a内の洗剤が水で押し流されて外槽20内に投入される。なお、ステップS201およびS202の処理により、制御部101が、給水装置50を動作させて、外槽20内に第1投入量(たとえば、投入量Dの30%)の洗剤を投入することになる。
【0073】
制御部101は、外槽20内の水位が吸水開始水位に到達したか否かを判定する(S203)。吸水開始水位は、ドラム23の底部が水に少し浸かる程度の水位であり、洗い水位よりも低い水位である。
【0074】
制御部101は、外槽20内の水位が吸水開始水位に到達すると(S203:YES)、吸水ドラム回転を開始し、第1オン時間のオンと第1オフ時間のオフとを繰り返すように、駆動モータ30により、ドラム23を第1回転数で右方向と左方向とに交互に回転させる(S204)。第1オン時間は、たとえば、10秒に設定され、第1オフ時間は、たとえば、10秒に設定される。第1回転数は、洗濯物がドラム23内でタンブリングする回転数であり、たとえば、45rpmに設定される。
【0075】
洗濯物が攪拌されてドラム23内の水を良く吸水し、洗濯物全体に水が染み込む。
【0076】
その後、制御部101は、外槽20内の水位が洗い水位に到達すると(S205:YES)、吸水ドラム回転を終了し、ドラム23を停止させる(S206)。
【0077】
さらに、制御部101は、給水バルブ51を閉鎖する(S207)。これにより、外槽20内への給水が停止する。
【0078】
こうして、給水工程が終了する。外槽20内に溜められた水には、第1投入量の洗剤が含まれる。
【0079】
次に、温水洗浄工程が開始される。
【0080】
図5は、温水洗浄工程において実行される制御部101の制御動作を示すフローチャートである。
【0081】
制御部101は、ヒータ60を作動させる(S301)。これにより、外槽20内の水の加熱が開始される。加熱開始後、外槽20内の水温が、水温センサ106により継続的に検出される。
【0082】
次に、制御部101は、洗剤溶かしドラム回転を開始し、第2オン時間のオンと第2オフ時間のオフとを繰り返すように、駆動モータ30により、ドラム23を第2回転数で右方向と左方向とに交互に回転させる(S302)。第2オン時間は、たとえば、10秒に設定され、第2オフ時間は、たとえば、10秒に設定される。第2回転数は、たとえば、45rpmに設定される。ドラム23の回転により外槽20内の水が攪拌され、水に洗剤が良好に溶け込む。
【0083】
制御部101は、予め定められた洗剤溶かし時間(たとえば、3分)が経過すると(S303:YES)、洗剤溶かしドラム回転を終了し、ドラム23を停止させる(S304)。
【0084】
次に、制御部101は、湯沸かしドラム回転を開始し、第3オン時間のオンと第3オフ時間のオフとを繰り返すように、駆動モータ30により、ドラム23を第3回転数で右方向と左方向とに交互に回転させる(S305)。第3オン時間は、たとえば、10秒に設定され、第3オフ時間は、たとえば、290秒に設定される。第3回転数は、洗濯物がドラム23内でタンブリングする回転数であり、たとえば、30rpmに設定される。第3オフ時間は、第2オフ時間に比べて大幅に長くなる。
【0085】
ドラム23の回転により外槽20内の水が攪拌され、水温が均一になる。さらに、ドラム23内の洗濯物は、タンブリングにより加えられる機械力と洗剤が発揮する洗浄力とにより洗浄される。
【0086】
制御部101は、外槽20内の水温が規定水温に到達したか否かを判定する(S306)。
【0087】
洗剤タンク54内に収容された洗剤には、主剤である界面活性剤や添加剤である酵素などが含まれる。洗剤、即ち界面活性剤や酵素は、ある程度高い水温までは、水温が高いほど、高い洗浄力を発揮する。特に、界面活性剤や酵素は、40℃程度の温水中で使用することにより活性化し、最も高い洗浄力を発揮しやすい。
【0088】
規定水温は、たとえば、洗剤、即ち洗剤に含まれる界面活性剤や酵素が活性化して高い洗浄力を発揮しやすい温度(たとえば、40℃)に設定することができる。規定水温は、上記よりも低い水温に設定されてもよい。たとえば、長い時間をかけたくない温水洗濯コースの場合には、30℃付近の水温を規定水温に設定でき、冬場等の給水温度が非常に低いときに利用される温水洗濯コースの場合には、20℃付近水温を規定水温に設定できる。
【0089】
給水後の初期水温と規定水温との間の温度差にも影響されるが、たとえば、30分~60分程度で水温が規定水温まで上昇する。
【0090】
制御部101は、外槽20内の水温が規定水温に到達すると(S306:YES)、給水装置50を動作させて、外槽20内に第2投入量(たとえば、投入量Dの70%)の洗剤を投入する(S307)。即ち、制御部101は、洗剤ポンプ56を動作させて、第2投入量の洗剤を洗剤タンク54から水路形成部材55の給水路55a内に送った後、給水バルブ51を開放して給水路55a内に水を供給し、当該水により洗剤を外槽20まで送る。外槽20内に洗剤が投入されると、制御部101は、給水バルブ51を閉鎖する。
【0091】
なお、規定水温到達後の洗剤投入が主となるため、第2投入量は、第1投入量の2倍以上とされることが望ましい。
【0092】
外槽20内の水温が規定水温に到達しているので、外槽20内に投入された第2投入量の洗剤は、外槽20内の水に溶け込むと、規定水温に到達する前に投入されるよりも十分に高い洗浄力を発揮できる状態となる。たとえば、規定水温が40℃付近の水温に設定されている場合、洗剤は、十分に活性化して最も洗浄力を発揮しやすい状態となる。
【0093】
外槽20内に洗剤が投入されると、さらに、制御部101は、洗剤溶かしドラム回転を終了し、ドラム23を停止させるとともに(S308)、ヒータ60を停止させる(S309)。
【0094】
次に、制御部101は、本洗いドラム回転を開始し、第4オン時間のオンと第4オフ時間のオフとを繰り返すように、駆動モータ30により、ドラム23を第4回転数で右方向と左方向とに交互に回転させる(S310)。第4オン時間は、たとえば、20秒に設定され、第4オフ時間は、たとえば、5秒に設定される。第4回転数は、洗濯物がドラム23内でタンブリングする回転数であり、たとえば、45rpmに設定される。
【0095】
第4オン時間は、第3オン時間よりも長い時間に設定され、第4オフ時間は、第3オフ時間よりも短い時間に設定される。即ち、制御部101は、1周期におけるオン時間の比率を、外槽20内の水温が規定水温に到達した後の期間では、到達する前の期間よりも長くする。さらに、第4回転数は、第3回転数よりも高い回転数に設定される。即ち、制御部101は、ドラム23の回転数を、規定水温到達後の期間では、規定水温到達前の期間よりも高くする。これにより、ドラム23の回転により洗濯物に加わる単位時間当たりの機械力は、規定水温到達前の期間よりも規定水温到達後の期間で大きくなる。
【0096】
ドラム23内の洗濯物は、本洗いドラム回転でのタンブリングにより加わる大きな機械力と、規定水温到達後に投入された洗剤が発揮する高い洗浄力とにより本格的に洗浄される。これにより、洗濯物の汚れが良好に落とされる。
【0097】
制御部101は、予め定められた本洗い時間(たとえば、15分)が経過すると(S311:YES)、本洗いドラム回転を終了し、ドラム23を停止させる(S312)。こうして、温水洗浄工程が終了する。
【0098】
次に、排水工程が実行される。排水バルブ41が開放されて、外槽20内から排水が行われる。排水が完了すると、排水バルブ41が閉鎖される。
【0099】
こうして、洗い工程が終了する。洗い工程に続いて、中間脱水工程、すすぎ工程および最終脱水工程が順番に実行され、温水洗濯コースの洗濯運転が終了する。
【0100】
<実施の形態の効果>
本実施の形態によれば、ドラム式洗濯機1は、制御部101が、洗い工程において、ヒータ60を動作させて外槽20内の水を加熱し、水温センサ106により検出された外槽20内の水温が規定水温に到達したことに基づいて、洗剤投入装置である給水装置50を動作させ、外槽20内に洗剤を投入する。さらに、制御部101が、外槽20内の水温が規定水温に到達する前の期間と到達した後の期間とにおいて、駆動モータ30を動作させ、洗濯物がタンブリングするドラム23の回転により、ドラム23内の洗濯物に機械力を加える。
【0101】
この構成によれば、外槽20内の水温が規定水温に到達した後に外槽20内に洗剤が投入され、当該洗剤が規定水温の水に溶け込み、外槽20内に溜められたときの水温の水に溶け込むよりも高い洗浄力を発揮する状態となる。よって、このような状態において洗濯物に機械力が加えられることにより、洗濯物の洗浄効果を高めることができる。
【0102】
また、洗剤に含まれる界面活性剤が洗濯物の再汚染を防止する効果を発揮するが、規定水温到達後に投入された洗剤においては、洗い工程の終了までの、当該再汚染防止効果を維持する時間が長くならない。このため、再汚染防止効果の低下による洗濯物の再汚染を懸念せずに済みやすい。
【0103】
さらに、外槽20内の水温が規定水温に到達する前にも洗濯物に機械力が加えられるので、規定水温での洗剤投入前にも、ある程度の洗濯物の洗浄効果を期待することができる。
【0104】
さらに、本実施の形態によれば、制御部101が、外槽20内の水温が規定水温に到達した後の期間おける単位時間当たりの機械力が到達する前の期間における単位時間当たりの機械力よりも強くなるように、駆動モータ30の動作を制御する。
【0105】
この構成によれば、規定水温到達後の期間では、単位時間当たりの機械力が相対的に強くなるように駆動モータ30が動作するので、洗浄力の高まった洗剤を用いて洗濯物を強く洗浄でき、大きな洗浄効果を発揮できる。
【0106】
さらに、規定水温到達前の期間では、単位時間当たりの機械力が相対的に弱くなるように駆動モータ30が動作するので、駆動モータ30に供給される単位時間当たりの電力が少なくなり、駆動モータ30の発熱による温度上昇が小さくなる。このため、規定水温到達後の期間に、単位時間当たりの機械力が強くなることにより駆動モータ30の温度上昇が大きくなっても、総合的には、駆動モータ30の温度上昇が抑えられる。よって、規定水温到達後の期間において、洗濯物に加わる機械力を十分に強くすることができ、一層、大きな洗浄効果を発揮できる。
【0107】
さらに、上記実施の形態によれば、制御部101が、負荷量に基づいて外槽20内への洗剤の投入量Dを決定し、決定した投入量Dを、第1投入量と、当該第1投入量よりも多い第2投入量とに分ける。そして、制御部101が、外槽20内の水温が規定水温に到達する前に第1投入量の洗剤を外槽20内に投入し、外槽20内の水温が規定水温に到達したことに基づいて、第2投入量の洗剤を外槽20内に投入する。
【0108】
この構成によれば、洗い工程で外槽20内に投入されるべき投入量Dのうち、主要な第2投入量の洗剤が規定水温到達後に外槽20内に投入されるが、規定水温到達前にも、第2投入量より少ない第1投入量の洗剤が外槽20内に投入される。これにより、規定水温到達前にも洗剤の洗浄力を発揮させることができ、規定水温到達前における洗濯物の洗浄効果を高めることができる。
【0109】
さらに、本実施の形態によれば、制御部101が、投入量Dを予め定めた比率で第1投入量と第2投入量とに分ける。
【0110】
この構成によれば、洗濯物の負荷量に応じて投入量が変化しても、第1投入量と第2投入量との割合が変化しない。このため、洗濯物の負荷量が変化しても、規定水温到達前および到達後の洗浄効果にばらつきが生じにくい。
【0111】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施の形態等によって何ら制限されるものではなく、また、本発明の実施の形態も、上記以外に種々の変更が可能である。
【0112】
<変更例1>
図6(a)は、変更例1に係る、給水工程において実行される制御部101の制御動作を示すフローチャートである。
図6(b)は、変更例1に係る、温水洗浄工程において実行される制御部101の制御動作を示すフローチャートである。
【0113】
上記実施の形態では、制御部101が、負荷量に基づいて外槽20内への洗剤の投入量Dを決定し、決定した投入量Dを、第1投入量と、当該第1投入量よりも多い第2投入量とに分ける。そして、制御部101が、外槽20内の水温が規定水温に到達する前に第1投入量の洗剤を外槽20内に投入し、外槽20内の水温が規定水温に到達したことに基づいて、第2投入量の洗剤を外槽20内に投入する。
【0114】
これに対し、本変更例では、制御部101は、外槽20内の水温が規定水温に到達する前には洗剤を外槽20内に投入せず、外槽20内の水温が規定水温に到達したことに基づいて、負荷量に基づいて決定された投入量Dの洗剤を外槽20内に投入する。
【0115】
即ち、本変更例では、
図6(a)に示すように、給水工程において、制御部101は、外槽20内への洗剤投入を行うことなく、給水バルブ51を開放して外槽20内への給水を開始する(S202)。さらに、
図6(b)に示すように、温水洗浄工程において、制御部101は、ヒータ60を作動させた後(S301)、洗剤とかしドラム回転を行うことなく、湯沸かしドラム回転を開始する(S305)。そして、制御部101は、外槽20内の水温が規定水温に到達すると(S306:YES)、給水装置50を動作させて、外槽20内に投入量Dの洗剤を投入する(S321)。
【0116】
本変更例の構成によれば、洗い工程で外槽20内に投入されるべき全ての投入量Dの洗剤が、規定水温の水の中で使用されることにより、高い洗浄力を発揮することができる。
【0117】
<その他の変更例>
上記実施の形態では、温水洗浄工程において、ドラム23、即ち駆動モータ30の1周期におけるオン時間の比率が、外槽20内の水温が規定水温に到達した後の期間では、到達する前の期間よりも長くなるようするため、第4オン時間が第3オン時間よりも長くされ、第4オフ時間が第3オフ時間よりも短くされている。しかしながら、、第4オン時間が第3オン時間よりも長くされ、第4オフ時間と第3オフ時間とが等しくされてもよい。あるいは、第4オン時間が第3オン時間と等しくされ、第4オフ時間が第3オフ時間よりも短くされてもよい。さらに、ドラム23の回転により洗濯物に加わる単位時間当たりの機械力が、規定水温到達前の期間よりも規定水温到達後の期間で大きくなりさえすれば、第4回転数と第3回転数とが等しい回転数とされてもよい。
【0118】
さらに、上記実施の形態では、給水工程において、第1投入量の洗剤が外槽20内に投入される。しかしながら、温水洗浄工程において、ヒータ60による水の加熱が開始される直前または直後に、第1投入量の洗剤が外槽20内に投入されてもよい。
【0119】
さらに、上記実施の形態では、外槽20内の水温が規定水温に到達すると、ヒータ60が停止されて、その後は外槽20内の水が加熱されない。しかしながら、規定水温到達に基づいてヒータ60が停止された後も、制御部101が、水温センサ106により水温の検出を継続し、規定水温が維持されるようにヒータ60のオンオフ制御を行うようにしてもよい。
【0120】
さらに、上記実施の形態では、洗剤投入装置である給水装置50は、洗剤タンク54内の液体の洗剤を、水路形成部材55の給水路55aに送り、給水路55aを流れる水で洗剤を押し流すことにより、外槽20内に洗剤を投入するような構成とされている。しかしながら、洗剤投入装置の構成は、このような構成に限られない。たとえば、給水装置50とは別に、洗剤タンク内の液体の洗剤を、ポンプや供給ホースを介して外槽20内に直接投入するような構成が採られてもよい。
【0121】
さらに、上記変更例1のように、規定水温到達後に全ての投入量Dの洗剤が供給されるような構成である場合、洗剤投入装置は、1回分の投入量Dの洗剤が投入される洗剤ケースと、当該洗剤ケースを経由して外槽20内に給水する第1給水路と、洗剤ケースを経由しないで外槽20内に給水する第2給水路と、第1給水路に水を流すための第1給水バルブと、第2給水路に水を流すための第2給水バルブと、を備える給水装置により構成されてもよい。この場合、給水工程において、第2給水バルブが開放される。さらに、温水洗浄工程において、外槽20内の水温が規定水温に到達したときに、第1給水バルブが開放される。
【0122】
さらに、上記実施の形態では、ドラム式洗濯機1が例示されている。しかしながら、本発明は、全自動洗濯機に適用に適用することもできる。全自動洗濯機では、外槽内に、内槽として、底部にパルセータを有し鉛直軸周りに回転可能な洗濯脱水槽が配置される。この場合、洗濯ユニットは、洗濯脱水槽およびパルセータと、これらを駆動するためのトルクを発生させる駆動モータと、を含む。そして、洗濯ユニットは、水が溜められた洗濯脱水槽内で駆動モータによりパルセータを回転させ、水流を発生させることにより、洗濯物に機械力を加える。
【0123】
さらに、本発明は、乾燥機能を有するドラム式洗濯乾燥機および全自動洗濯乾燥機に適用することもできる
この他、本発明の実施の形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0124】
1 ドラム式洗濯機(洗濯機)
10 筐体
20 外槽
23 ドラム(内槽,負荷量検出部)
30 駆動モータ(負荷量検出部)
50 給水装置(洗剤投入装置)
60 ヒータ
101 制御部(負荷量検出部)
105 水温センサ
WU 洗濯ユニット