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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024089407
(43)【公開日】2024-07-03
(54)【発明の名称】削孔方法
(51)【国際特許分類】
   E21B 7/10 20060101AFI20240626BHJP
【FI】
E21B7/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022204753
(22)【出願日】2022-12-21
(71)【出願人】
【識別番号】000003621
【氏名又は名称】株式会社竹中工務店
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 博人
(72)【発明者】
【氏名】河野 貴穂
(72)【発明者】
【氏名】澤原 拡
【テーマコード(参考)】
2D129
【Fターム(参考)】
2D129BA10
2D129BB04
2D129CB12
2D129DA12
2D129DC01
2D129EB05
2D129EB11
2D129EB22
2D129GA27
2D129GA31
(57)【要約】
【課題】地盤の孔を削孔する際に、孔の曲がりを効率的に修正する。
【解決手段】削孔方法は、ロッド12の先端部に設けられた回転ヘッド(掘削翼16)によって地盤Gに孔(掘削孔H)を削孔する削孔方法において、孔の削孔に伴ってロッド12が傾いた場合、回転ヘッドから径方向外側に拡径ビット30を突出させた状態で回転ヘッドを引き上げ、拡径ビット30によってロッド12の傾き方向とは反対側の孔の孔壁を掘削する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロッドの先端部に設けられた回転ヘッドによって地盤に孔を削孔する削孔方法において、
前記孔の削孔に伴って前記ロッドが傾いた場合、前記回転ヘッドから径方向外側に拡径ビットを突出させた状態で前記回転ヘッドを引き上げ、前記拡径ビットによって前記ロッドの傾き方向とは反対側の前記孔の孔壁を掘削する、
削孔方法。
【請求項2】
前記回転ヘッドを正回転及び逆回転させながら、前記拡径ビットによって前記ロッドの傾き方向とは反対側の前記孔の前記孔壁を掘削する、
請求項1に記載の削孔方法。
【請求項3】
前記回転ヘッドの削孔軌道に対する前記ロッドの傾きが所定値以上の場合に、該傾きが前記所定値未満になるまで、前記拡径ビットによって前記ロッドの傾き方向とは反対側の前記孔の孔壁を掘削する、
請求項1又は請求項2に記載の削孔方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、削孔方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、山留め壁や杭の施工時に、地盤に孔を削孔するアースオーガ等の削孔機が知られている(例えば、特許文献1~3参照)。
【0003】
特許文献1に開示された削孔機は、ロッドと、ロッドの先端部に設けられた掘削ヘッド(削孔機械)とを備えている。また、掘削ヘッドの外周部には、孔の曲がりを修正する突起が設けられている。そして、削孔中に孔が曲がった場合、先ず、孔が曲がり始めた位置まで掘削ヘッドを引き上げる。次に、孔の曲がり方向とは反対側の孔壁に、掘削ヘッドの突起を突入させた状態で掘削ヘッドを正回転及び逆回転させ、孔壁を掘削することにより、孔の曲がりを修正する。
【特許文献1】特開2021-063396号公報
【特許文献2】特開2000-073396号公報
【特許文献3】特開2012-107444号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された技術では、前述したように、孔の曲がりを修正することができるものの、孔の曲がりを効率的に修正するためには、さらなる改善の余地がある。
【0005】
本発明は、上記の事実を考慮し、地盤の孔を削孔する際に、孔の曲がりを効率的に修正することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の削孔方法は、ロッドの先端部に設けられた回転ヘッドによって地盤に孔を削孔する削孔方法において、前記孔の削孔に伴って前記ロッドが傾いた場合、前記回転ヘッドから径方向外側に拡径ビットを突出させた状態で前記回転ヘッドを引き上げ、前記拡径ビットによって前記ロッドの傾き方向とは反対側の前記孔の孔壁を掘削する。
【0007】
請求項1に係る削孔方法によれば、孔の削孔に伴ってロッドが傾いた場合、回転ヘッドから径方向外側に拡径ビットを突出させた状態で回転ヘッドを引き上げ、当該拡径ビットによって、ロッドの傾き方向とは反対側の孔の孔壁を掘削する。
【0008】
このように、拡径ビットによってロッドの傾き方向とは反対側の孔の孔壁(以下、「反対側孔壁」という)を掘削することにより、削孔の曲がりが修正される。
【0009】
また、ロッドが傾いた状態で、回転ヘッドから径方向外側に拡径ビットを突出させることにより、拡径ビットによって反対側孔壁を掘削する際に、ロッドの軸剛性によって拡径ビットが反対側孔壁に押し付けられる。これにより、拡径ビットによって、反対側孔壁を効率的に掘削することができる。したがって、本発明では、孔の曲がりを効率的に修正することができる。
【0010】
請求項2の削孔方法は、請求項1に記載の削孔方法において、前記回転ヘッドを正回転及び逆回転させながら、前記拡径ビットによって前記ロッドの傾き方向とは反対側の前記孔の前記孔壁を掘削する。
【0011】
請求項2に係る削孔方法によれば、回転ヘッドを正回転及び逆回転させながら、拡径ビットによって反対側孔壁を掘削する。これにより、拡径ビットによって、反対側孔壁を効率的に掘削することができる。したがって、本発明では、孔の曲がりをさらに効率的に修正することができる。
【0012】
請求項3の削孔方法は、請求項1又は請求項2に記載の削孔方法において、前記回転ヘッドの削孔軌道に対する前記ロッドの傾きが所定値以上の場合に、該傾きが前記所定値未満になるまで、前記拡径ビットによって前記ロッドの傾き方向とは反対側の前記孔の孔壁を掘削する。
【0013】
請求項3に係る削孔方法によれば、回転ヘッドの削孔軌道に対するロッドの傾きが所定値以上の場合に、ロッドの傾きが所定値未満になるまで、拡径ビットによって反対側孔壁を掘削する。
【0014】
このように、回転ヘッドの削孔軌道に対するロッドの傾きに基づいて、反対側孔壁を掘削することにより、孔の曲がりの修正精度を高めることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、地盤の孔を削孔する際に、孔の曲がりを効率的に修正できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施形態に係る削孔方法を実施する削孔装置の概要を示す立面図である。
図2】(A)はロッドが傾いた状態を示す立面図であり、(B)は掘削翼の概略を示す上面図である。
図3】(A)は掘削翼を逆回転させて拡径ビットを突出させた状態を示す立面図であり、(B)は拡径ビットを突出させた状態における掘削翼の上面図である。
図4】(A)は拡径ビットを突出させた状態でロッドを引き上げた状態を示す立面図であり、(B)は上面図である。
図5】(A)は拡径ビットによって掘削孔の孔壁を掘削している状態を示す立面図であり、(B)は上面図である。
図6】(A)は拡径ビットによって掘削孔の孔壁を掘削している別の状態を示す立面図であり、(B)は上面図である。
図7】(A)はロッドの傾き及び孔の曲がりを修正した状態を示す立面図であり、(B)は平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態に係る削孔方法について、図面を参照しながら説明する。各図面において同一の符号を用いて示される構成要素は、同一の構成要素であることを意味する。但し、明細書中に特段の断りが無い限り、各構成要素は一つに限定されず、複数存在してもよい。
【0018】
また、各図面において重複する構成及び符号については、説明を省略する場合がある。なお、本開示は以下の実施形態に限定されるものではなく、本開示の目的の範囲内において構成を省略する、異なる構成と入れ替える、一実施形態及び各種の変形例を組み合わせて用いる等、適宜変更を加えて実施することができる。
【0019】
<削孔装置>
図1には、本発明の一実施形態に係る削孔方法を実行するための削孔装置10が示されている。削孔装置10は、ロッド12、ロッド12の外周面に設けられたスクリュー14、ロッド12の先端に設けられた掘削翼16、掘削翼16の上方に設けられた掘削翼18を備えて形成されている。
【0020】
掘削翼16は、本発明における回転ヘッドの一例であり、オーガヘッド等とも称される。掘削翼16を回転させることで、掘削翼16のビット16Aが地盤Gを削り取り、地盤Gに掘削孔Hが形成される。ビット16Aは、下向きに刃が形成されている。
【0021】
一方、掘削翼18は、掘削翼16による掘削性能を補完するために設けられた補助翼であり、掘削翼16と同様に下向きに刃が形成されたビット18Aを備えている。このように、本実施形態において、掘削翼は多段に配置されている。
【0022】
スクリュー14は、掘削翼16及び18によって掘削された地盤Gからの排出土を地上に送る排出機構である。
【0023】
図1において掘削孔Hは略鉛直に形成されているが、地盤Gの土質が不均一で、掘削方向に硬質な部分がある場合などには、掘削孔Hの削孔に伴って、ロッド12が傾く場合がある。
【0024】
ロッド12が傾いた状態で削孔を進めると、掘削孔Hには曲がりが生じる。例えば図2(A)に示した例においては、ロッド12の中心線CLが、破線で示す掘削翼16の設計上の削孔軌道H1(一例として鉛直方向)に対して、角度θだけ傾いている。このため、傾いたロッド12で削孔された掘削孔Hも、角度θだけ曲がって形成される。
【0025】
このような掘削孔Hの曲がりを修正するために、ロッド12には傾斜検知装置20が取り付けられている。また、掘削翼16には、図2(B)に示す拡径ビット30が形成されている。
【0026】
拡径ビット30は、ビット16Aと同様に下向きに刃が形成されているものとすることができるが、上向きに刃が形成されているものとすることが好適である。また、上側と下側の双方に刃がついた両刃の構成としてもよい。
【0027】
なお、掘削翼18にも拡径ビット30が形成されている。掘削翼18に備えられた拡径ビット30も掘削翼16に備えられた拡径ビット30と同様の構成を有しており、詳細な説明は省略する。
【0028】
傾斜検知装置20は、ロッド12の先端部かつ外周面に固定され、ロッド12の鉛直方向に対する角度θを検知する装置である。削孔装置10を操作する作業員は、モニタなどを通じて、傾斜検知装置20が検知した角度θを地上で把握できる。
【0029】
なお、傾斜検知装置20は、ロッド12の回転角に応じて、ロッド12の周方向において異なる位置に配置される。このため、角度θはロッド12の回転角に応じて異なる値となるが、傾斜検知装置20は、当該回転角も検知することができる。これにより、作業者は、ロッド12がどの方向にどれだけ傾いているかを3次元的に把握できる。
【0030】
なお、ロッド12の回転角は、必ずしも傾斜検知装置20で検知する必要はない。例えばロッド12の上端部に印をつけておけばよい。当該印は、傾斜検知装置20が固定された位置(ロッド12の周方向における位置)と同位置につけることが好ましい。当該印を作業員が目視で確認することにより、ロッド12の回転角を把握することができる。
【0031】
拡径ビット30は、回転ヒンジ32を中心に回動可能な拡大翼であり、掘削翼16が図2(B)に矢印N1で示す方向に回転(以下、正回転と称す)している間は、掘削翼16に収容されている。
【0032】
一方、掘削翼16が図3(B)に矢印N2で示す方向に回転(以下、逆回転と称す)すると、拡径ビット30の先端が掘削孔Hの孔壁に引っ掛かり、拡径ビット30は回転ヒンジ32を中心に回動して、掘削翼16の径方向に突出する。
【0033】
<削孔方法>
掘削孔Hを削孔する際には、掘削翼16及び18を図2(A)、(B)に矢印N1で示す方向に正回転させる。上述したように、掘削翼16の正回転時には、拡径ビット30が掘削翼16に収容された状態で、地盤Gが掘り進められる。
【0034】
そして、掘削孔Hの削孔に伴ってロッド12が傾いた場合、図3(A)、(B)に矢印N2で示すように、掘削翼16及び18を逆回転させて、掘削翼16及び18から径方向外側に拡径ビット30を突出させる。拡径ビット30は、掘削孔Hの孔壁に引っ掛かって、かつ、孔壁に食い込む。
【0035】
ここで、「ロッド12が傾いた場合」とは、削孔軌道H1に対するロッド12の傾きが所定値以上になったことを、傾斜検知装置20が検知した場合である。あるいは、傾斜検知装置20が検知したロッド12の傾きを作業員が確認し、当該傾きが所定値以上であると、作業員が判断した場合である。
【0036】
そして、拡径ビット30を突出させて食い込ませる孔壁は、ロッド12の傾き方向(すなわち、傾きが所定値以上である方向)と反対側の孔壁(反対側孔壁)である。
【0037】
図3(B)においては、ロッド12の中心Oから見て矢印Mで示す方向(平面視における方向)がロッド12の傾き方向である。また、ロッド12の中心Oから見て矢印Mを180°回転させた方向にある孔壁とその周囲の孔壁が、反対側孔壁である。
【0038】
この図においては、拡径ビット30は、ロッド12の中心Oから見て矢印Mを180°回転させた方向にある孔壁に食い込んでいる。拡径ビット30が食い込んだ平面上の位置を、以下の説明では位置K1と称す。
【0039】
次に、図4(A)、(B)に矢印N4で示すように、拡径ビット30が掘削孔Hの孔壁に食い込んだ状態で、掘削翼16及び18を引き上げる。この際、掘削翼16及び18は回転させないで引き上げる。これにより、矢印N5で示すように拡径ビット30も引き上げられて掘削孔Hの孔壁が掘削される。
【0040】
なお、ロッド12の先端は削孔軌道H1に対して傾斜しているものの、地表面近くではロッド12が鉛直方向に沿うように角度を調整している。このため、ロッド12には曲げ力が作用しており、先端部においては、ロッド12の軸剛性により、傾き方向と反対側へ曲げ戻し力Pが作用している。
【0041】
このような曲げ戻し力Pによって、拡径ビット30は、掘削孔Hの孔壁に押し付けられた状態で、掘削孔Hの孔壁を掘削する。位置K1は、ロッド12の傾き方向と180°の位置であるため、位置K1には、最も大きな曲げ戻し力Pが作用している。
【0042】
次に、図5(A)、(B)に矢印N6で示すように、掘削翼16及び18を再度押し下げる。そして掘削翼16及び18を矢印N7で示すように逆回転させた後、図4(A)で説明した手順と同様に、拡径ビット30が掘削孔Hの孔壁に食い込んだ状態で、掘削翼16及び18を引き上げる。
【0043】
このように、図3図5に示した作業を繰り返すことで、拡径ビット30を最初に食い込ませた位置K1から掘削翼16及び18の「逆回転」方向における掘削孔Hの孔壁(位置K1からK2までの領域)が掘削される。ロッド12は、掘削された領域V1に向かって移動して、傾きが修正される。
【0044】
一方、拡径ビット30を最初に食い込ませた位置K1から、掘削翼16及び18の「正回転」方向における掘削孔Hの孔壁を掘削することもできる。
【0045】
この場合は、図6(A)、(B)に示すように、掘削翼16及び18を矢印N8で示すように「正回転」させた後、図4(A)で説明した手順と同様に、拡径ビット30が掘削孔Hの孔壁に食い込んだ状態で、掘削翼16及び18を引き上げる。これにより、掘削された領域V2(位置K1からK3までの領域)を形成できる。ロッド12は、掘削された領域V1及びV2に向かって移動して、傾きが修正される。
【0046】
以上説明したように、掘削翼16及び18の正回転、逆回転、当該逆回転に伴う拡径ビット30の孔壁への食い込み、掘削翼16及び18の下移動、上移動、当該上移動に伴う拡径ビット30の孔壁の掘削を適宜組み合わせて複数回実施する。
【0047】
これにより、図7(A)、(B)に示すように、ロッド12の傾き方向に対する反対側孔壁が段階的に掘削され、当該掘削された領域にロッド12が移動して、傾きが修正される。この結果、ロッド12の曲げが修正される。
【0048】
<作用及び効果>
本発明の実施形態に係る削孔方法によれば、図2(A)に示すように、掘削孔Hの削孔に伴ってロッド12が傾いた場合、図3(A)、(B)に示すように、回転ヘッドとしての掘削翼16及び18から径方向外側に拡径ビット30を突出させる。そして図4(A)に示すように、掘削翼16及び18を引き上げながら、当該拡径ビット30によってロッド12の傾き方向とは反対側の掘削孔Hの孔壁を掘削する。
【0049】
このように拡径ビット30によって、ロッド12の傾き方向に対する反対側孔壁を掘削することにより、掘削孔Hの曲がりが修正される。
【0050】
また、ロッド12が傾いた状態で、掘削翼16及び18から径方向外側に拡径ビット30を突出させることにより、拡径ビット30によって反対側孔壁を掘削する際に、ロッド12の軸剛性によって拡径ビット30が反対側孔壁に押し付けられる。これにより、拡径ビット30によって、反対側孔壁を効率的に掘削することができる。したがって、本発明では、掘削孔Hの曲がりを効率的に修正することができる。
【0051】
また、本発明の実施形態に係る削孔方法によれば、掘削翼16及び18を正回転及び逆回転させながら、拡径ビット30によって反対側孔壁を掘削する。これにより、拡径ビット30によって、反対側孔壁を効率的に掘削することができる。
【0052】
具体的には、この削孔方法によれば、ロッド12の傾き方向に対する反対側孔壁のうち、傾き方向に対して180°の位置K1を最初に掘削している。そして、位置K1から位置K2にかけて掘削したあと、掘削翼16を正回転させ、位置K3から位置K2にかけて掘削している。
【0053】
これにより、ロッド12の曲げ戻し力が最も大きい位置から掘削孔Hの孔壁を掘削できるので、掘削効率が高い。したがって、本実施形態では、掘削孔Hの曲がりをさらに効率的に修正することができる。
【0054】
<その他の実施形態>
上記実施形態においては、図7(A)に示すように、ロッド12の傾きが掘削翼16の削孔軌道H1に対して0°になるまで、すなわちロッド12が鉛直方向に沿うまで掘削孔Hの孔壁を掘削した例を示しているが、本発明の実施形態はこれに限らない。例えば掘削孔Hの孔壁は、ロッド12の傾きが削孔軌道H1に対して所定値未満の角度になるまで掘削すればよい。
【0055】
この「所定値」は、掘削孔Hの用途に応じて適宜設定できる。例えば掘削孔Hに既製杭(PHC杭など)を挿入する場合では、掘削孔Hは、挿入する既製杭にとって必要な鉛直精度を確保できる程度の傾きを有していてもよい。このため、ロッド12も、許容できる掘削孔Hの傾きに応じて傾いていてもよい。
【0056】
このように、掘削翼16の削孔軌道H1に対する、ロッド12の傾きに基づいて、反対側孔壁を掘削することにより、掘削孔Hの曲がりの修正精度を高めることができる。
【0057】
また、上記実施形態においては、回転ヘッドとしての掘削翼が、掘削翼16及び18を備えた多段の掘削翼であるが、本発明の実施形態はこれに限らない。例えば掘削翼18は省略してもよい。あるいは掘削翼18がある場合でも、この掘削翼に拡径ビット30は省略してもよい。また、掘削翼18に代えて拡散翼を配置してもよい。この拡散翼に対しても、拡径ビット30を設けてもよいし設けなくてもよい。
【0058】
すなわち、本発明においては、少なくともロッド12の先端に配置された掘削翼16に拡径ビット30を形成すればよい。掘削翼16に拡径ビット30を形成すれば、上記の削孔方法によって、掘削孔Hの曲がりを効率的に修正することができる。
【0059】
また、上記実施形態においては、ロッド12の傾き方向に対する反対側孔壁のうち、傾き方向に対して180°の位置K1から位置K2にかけて掘削したあと、掘削翼16を正回転させて、位置K3から位置K2にかけて掘削している(逆回転→正回転→逆回転)。そしてこの手順を繰り返して反対側孔壁を段階的に掘削しているが、反対側孔壁の掘削順序は特に限定されない。
【0060】
例えば位置K3から位置K2にかけて掘削したあと掘削翼16を正回転させ、この手順を繰り返すことにより反対側孔壁を段階的に掘削してもよい。このような掘削順序でも、掘削孔Hの曲がりを効率的に修正することができる。
【符号の説明】
【0061】
12 ロッド
16 掘削翼(回転ヘッド)
18 掘削翼(回転ヘッド)
30 拡径ビット
32 回転ヒンジ
H 掘削孔(孔)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7