(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024089425
(43)【公開日】2024-07-03
(54)【発明の名称】高周波モジュール
(51)【国際特許分類】
H04B 1/04 20060101AFI20240626BHJP
H04B 1/034 20060101ALI20240626BHJP
H04B 1/38 20150101ALI20240626BHJP
H03F 3/24 20060101ALI20240626BHJP
H03F 3/45 20060101ALI20240626BHJP
H03F 3/68 20060101ALI20240626BHJP
H03F 1/02 20060101ALI20240626BHJP
【FI】
H04B1/04 Z
H04B1/034 A
H04B1/38
H03F3/24
H03F3/45
H03F3/68
H03F1/02 188
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022204778
(22)【出願日】2022-12-21
(71)【出願人】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100189430
【弁理士】
【氏名又は名称】吉川 修一
(74)【代理人】
【識別番号】100190805
【弁理士】
【氏名又は名称】傍島 正朗
(72)【発明者】
【氏名】土田 茂
(72)【発明者】
【氏名】森田 恭平
(72)【発明者】
【氏名】松村 佳人
(72)【発明者】
【氏名】庄内 大貴
(72)【発明者】
【氏名】南光 健
【テーマコード(参考)】
5J500
5K011
5K060
【Fターム(参考)】
5J500AA12
5J500AA41
5J500AC52
5J500AC86
5J500AC92
5J500AH06
5J500AH12
5J500AH24
5J500AH35
5J500AH38
5J500AK29
5J500AK68
5J500AM08
5J500AQ04
5J500AQ06
5J500AS14
5J500AT01
5J500LV08
5K011AA16
5K011BA03
5K011DA01
5K011DA12
5K011DA27
5K011JA01
5K011KA18
5K060AA09
5K060AA10
5K060BB07
5K060CC04
5K060HH06
5K060HH11
5K060HH39
5K060JJ23
5K060JJ24
5K060LL16
(57)【要約】 (修正有)
【課題】複数のトランスフォーマを備える高周波モジュールにおいてトランスフォーマに関するアイソレーションを改善する高周波モジュールを提供する。
【解決手段】高周波モジュール1は、互いに対向する主面を有するモジュール基板90と、主面90aに対向する主面に配置された複数の外部接続端子と、主面90aに配置され、第1パワークラスに対応する電力増幅回路10と、主面90aに配置され、第2パワークラスに対応する電力増幅回路20と、電力増幅回路10に接続され、主面90aに配置されたトランスフォーマ41と、電力増幅回路20に接続され、主面90aに対向する主面に配置されたトランスフォーマと、を備える。第2パワークラスは、パワークラス3よりも高い最大出力電力で規定されており、第1パワークラスは、第2パワークラスよりも低い最大出力電力又は第2パワークラスと同じ最大出力電力で規定されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対向する第1主面及び第2主面を有するモジュール基板と、
前記第2主面に配置された複数の外部接続端子と、
前記第1主面に配置され、第1パワークラスに対応する第1電力増幅回路と、
前記第1主面に配置され、第2パワークラスに対応する第2電力増幅回路と、
前記第1電力増幅回路に接続され、前記第1主面に配置された第1トランスフォーマと、
前記第2電力増幅回路に接続され、前記第2主面に配置された第2トランスフォーマと、を備え、
前記第2パワークラスは、パワークラス3よりも高い最大出力電力で規定されており、
前記第1パワークラスは、前記第2パワークラスよりも低い最大出力電力又は前記第2パワークラスと同じ最大出力電力で規定されている、
高周波モジュール。
【請求項2】
前記第1電力増幅回路は、差動増幅型の電力増幅回路であり、
前記第2電力増幅回路は、ドハティ型の電力増幅回路である、
請求項1に記載の高周波モジュール。
【請求項3】
前記高周波モジュールは、さらに、
前記第1主面に配置され、前記第1トランスフォーマに接続される第1フィルタ回路と、
前記第1主面に配置され、前記第2トランスフォーマに接続される第2フィルタ回路と、を備え、
前記第1フィルタ回路の通過帯域は、時分割複信用の第1バンドの送信帯域を含み、
前記第2フィルタ回路の通過帯域は、周波数分割複信用の第2バンドの送信帯域を含む、
請求項1に記載の高周波モジュール。
【請求項4】
前記高周波モジュールは、さらに、
前記第1主面に配置され、前記第2トランスフォーマに接続される第3フィルタ回路と、
前記第2主面に配置され、前記第2トランスフォーマと前記第2フィルタ回路及び前記第3フィルタ回路との間に接続されるスイッチ回路と、を備え、
前記複数の外部接続端子は、前記第2トランスフォーマ及び前記スイッチ回路の間に配置されたグランド端子を含む、
請求項3に記載の高周波モジュール。
【請求項5】
前記高周波モジュールは、さらに、
前記第1主面に配置され、前記第1トランスフォーマに接続される第1フィルタ回路と、
前記第1主面に配置され、前記第2トランスフォーマに接続される第2フィルタ回路と、を備え、
前記第1フィルタ回路の通過帯域は、周波数分割複信用の第1バンドの送信帯域を含み、
前記第2フィルタ回路の通過帯域は、時分割複信用の第2バンドの送信帯域を含む、
請求項1に記載の高周波モジュール。
【請求項6】
前記高周波モジュールは、さらに、
前記第1主面に配置され、前記第1トランスフォーマに接続される第1フィルタ回路と、
前記第1主面に配置され、前記第2トランスフォーマに接続される第2フィルタ回路と、を備え、
前記第1フィルタ回路及び前記第2フィルタ回路の各々の通過帯域は、第1バンドの送信帯域を含み、
前記第2パワークラスよりも高い最大出力電力で規定される第3パワークラスが前記第1バンドに適用される場合に、前記第1電力増幅回路及び前記第2電力増幅回路で同時に前記第1バンドの高周波信号が増幅され、
前記第2パワークラスが前記第1バンドに適用される場合に、前記第2電力増幅回路で前記第1バンドの高周波信号が増幅され、前記第1電力増幅回路で前記第1バンドの高周波信号が増幅されない、
請求項1に記載の高周波モジュール。
【請求項7】
前記高周波モジュールは、さらに、前記第1主面に配置され、かつ、前記モジュール基板の平面視において前記第1トランスフォーマ及び前記第2電力増幅回路の間に配置された金属部材を備える、
請求項6に記載の高周波モジュール。
【請求項8】
前記複数の外部接続端子は、前記モジュール基板の平面視において、前記第2トランスフォーマ及び前記第1電力増幅回路の間に配置されたグランド端子を含む、
請求項6又は7に記載の高周波モジュール。
【請求項9】
前記高周波モジュールは、さらに、
低雑音増幅回路と、
前記低雑音増幅回路に接続され、前記第1主面に配置されたインダクタと、を備え、
前記第2トランスフォーマよりも前記第1トランスフォーマの方が前記インダクタから離れて配置されている、
請求項1~7のいずれか1項に記載の高周波モジュール。
【請求項10】
前記高周波モジュールは、さらに、前記第1主面に配置され、かつ、前記モジュール基板の平面視において前記第1トランスフォーマ及び前記インダクタの間に配置された金属部材を備える、
請求項9に記載の高周波モジュール。
【請求項11】
前記高周波モジュールは、さらに、
前記第1主面に配置された前記第1電力増幅回路及び前記第2電力増幅回路の少なくとも一部を覆う樹脂部材と、
前記樹脂部材の表面の少なくとも一部を覆うシールド層と、を備え、
前記金属部材の先端は、前記シールド層に接続されている、
請求項10に記載の高周波モジュール。
【請求項12】
前記高周波モジュールは、さらに、前記第2トランスフォーマに接続され、前記第1主面に配置された整合回路を備え、
前記整合回路は、前記モジュール基板の平面視において、前記第2トランスフォーマと少なくとも部分的に重なっている、
請求項1~7のいずれか1項に記載の高周波モジュール。
【請求項13】
前記第1トランスフォーマは、前記モジュール基板の前記第1主面を含む複数の第1レイヤに形成されており、
前記第2トランスフォーマは、前記モジュール基板の前記第2主面を含む複数の第2レイヤに形成されており、
前記複数の第1レイヤは、前記複数の第2レイヤと重なっていない、
請求項1~7のいずれか1項に記載の高周波モジュール。
【請求項14】
前記第1トランスフォーマは、前記モジュール基板の前記第1主面を含む複数の第1レイヤに形成されており、
前記第2トランスフォーマは、前記モジュール基板の前記第2主面を含む複数の第2レイヤに形成されており、
前記複数の第1レイヤは、前記複数の第2レイヤと少なくとも部分的に重なっている、
請求項1~7のいずれか1項に記載の高周波モジュール。
【請求項15】
前記第2トランスフォーマは、前記モジュール基板の平面視において、前記第1トランスフォーマと重なっていない、
請求項1~7のいずれか1項に記載の高周波モジュール。
【請求項16】
前記第2トランスフォーマは、前記モジュール基板の平面視において、前記第1トランスフォーマと少なくとも部分的に重なっている、
請求項1~7のいずれか1項に記載の高周波モジュール。
【請求項17】
前記第1トランスフォーマ及び前記第2トランスフォーマは、前記モジュール基板の平面視において、前記第1電力増幅回路及び前記第2電力増幅回路の間に配置されている、
請求項16に記載の高周波モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高周波モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、複数のトランスフォーマを備える高周波モジュールが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の技術では、従来よりも高い最大出力電力を許容するパワークラス(例えば、パワークラス1、1.5、2等)に対応する場合に、アイソレーションが十分ではない場合がある。
【0005】
そこで、本発明は、複数のトランスフォーマを備える高周波モジュールにおいて、トランスフォーマに関するアイソレーションを改善することができる高周波モジュールを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る高周波モジュールは、互いに対向する第1主面及び第2主面を有するモジュール基板と、第2主面に配置された複数の外部接続端子と、第1主面に配置され、第1パワークラスに対応する第1電力増幅回路と、第1主面に配置され、第2パワークラスに対応する第2電力増幅回路と、第1電力増幅回路に接続され、第1主面に配置された第1トランスフォーマと、第2電力増幅回路に接続され、第2主面に配置された第2トランスフォーマと、を備え、第2パワークラスは、パワークラス3よりも高い最大出力電力で規定されており、第1パワークラスは、第2パワークラスよりも低い最大出力電力又は第2パワークラスと同じ最大出力電力で規定されている。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様に係る高周波モジュールによれば、トランスフォーマに関するアイソレーションを改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施の形態1に係る通信装置の回路構成図である。
【
図2】
図2は、実施の形態1に係る高周波モジュールの平面図である。
【
図3】
図3は、実施の形態1に係る高周波モジュールの平面図である。
【
図4】
図4は、実施の形態1に係る高周波モジュールの断面図である。
【
図5】
図5は、実施の形態1に係る第1トランスフォーマの分解斜視図である。
【
図6】
図6は、実施の形態1に係る第2トランスフォーマの分解斜視図である。
【
図7】
図7は、実施の形態2に係る通信装置の回路構成図である。
【
図8】
図8は、実施の形態2に係る高周波モジュールの平面図である。
【
図9】
図9は、実施の形態2に係る高周波モジュールの平面図である。
【
図10】
図10は、実施の形態3に係る通信装置の回路構成図である。
【
図11】
図11は、実施の形態4に係る通信装置の回路構成図である。
【
図12】
図12は、実施の形態5に係る通信装置の回路構成図である。
【
図13】
図13は、実施の形態5に係る高周波モジュールの平面図である。
【
図14】
図14は、実施の形態5に係る高周波モジュールの平面図である。
【
図15】
図15は、変形例に係る高周波モジュールの部分平面図である。
【
図16】
図16は、変形例に係る高周波モジュールの部分平面図である。
【
図17】
図17は、変形例に係る高周波モジュールの部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的又は具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置及び接続形態などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。
【0010】
なお、各図は、本発明を示すために適宜強調、省略、又は比率の調整を行った模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではなく、実際の形状、位置関係、及び比率とは異なる場合がある。各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡素化される場合がある。
【0011】
以下の各図において、x軸及びy軸は、モジュール基板の主面と平行な平面上で互いに直交する軸である。具体的には、平面視においてモジュール基板が矩形状を有する場合、x軸は、モジュール基板の第1辺に平行であり、y軸は、モジュール基板の第1辺と直交する第2辺に平行である。また、z軸は、モジュール基板の主面に垂直な軸であり、その正方向は上方向を示し、その負方向は下方向を示す。
【0012】
回路構成において、「接続される」とは、接続端子及び/又は配線導体で直接接続される場合だけでなく、他の回路素子を介して電気的に接続される場合も含む。「直接接続される」とは、他の回路素子を介さずに接続端子及び/又は配線導体で直接接続されることを意味する。「CがA及びBの間に接続される」とは、CがA及びBの間でA及びBの両方に接続されることを意味し、より具体的には、Cの一端がAに接続され、Cの他端がBに接続されることを意味する。
【0013】
部品配置において、「部品が基板に配置される」とは、部品が基板の主面に配置されること、及び、部品が基板内に配置されることを含む。「部品が基板の主面に配置される」とは、部品が基板の主面に接触して配置されることに加えて、部品が主面と接触せずに当該主面の上方に配置されること(例えば、部品が主面と接触して配置された他の部品上に積層されること)を含む。また、「部品が基板の主面に配置される」は、主面に形成された凹部に部品が配置されることを含んでもよい。「部品が基板内に配置される」とは、部品がモジュール基板内にカプセル化されることに加えて、部品の全部が基板の両主面の間に配置されているが部品の一部が基板に覆われていないこと、及び、部品の一部のみが基板内に配置されていることを含む。
【0014】
また、部品配置において、「BよりもAの方がCから離れて配置される」とは、A及びCの間の距離がB及びCの間の距離よりも長いことを意味する。ここで、「A(B)及びCの間の距離」とは、A(B)内の任意の点とC内の任意の点とを結ぶ複数の線分のうち最も短い線分の長さを意味する。「AがB及びCの間に配置される」とは、B内の任意の点とC内の任意の点とを結ぶ複数の線分のうちの少なくとも1つがAを通ることを意味する。
【0015】
「送信帯域」とは、通信装置において送信に用いられる周波数バンドを意味する。また、「受信帯域」とは、通信装置において受信に用いられる周波数バンドを意味する。例えば、周波数分割複信(FDD:Frequency Division Duplex)では、送信帯域及び受信帯域として互いに異なる周波数バンドが用いられ、時分割複信(TDD:Time Division Duplex)では、送信帯域及び受信帯域として同一の周波数帯域が用いられる。特に、通信装置がセルラー通信システムのユーザ端末(UE::User Equipment)として機能する場合には、FDDでは、アップリンク動作バンド(uplink operation band)が送信帯域として用いられ、ダウンリンク動作バンド(downlink operation band)が受信帯域として用いられる。逆に、通信装置がセルラー通信システムの基地局(BS:Base Station)として機能する場合には、FDDでは、ダウンリンク動作バンドが送信帯域として用いられ、アップリンク動作バンドが受信帯域として用いられる。
【0016】
フィルタ回路の通過帯域とは、フィルタ回路によって伝送される周波数スペクトルの部分であり、出力電力が最大出力電力よりも3dB以上減衰しない周波数帯域として定義される。したがって、バンドパスフィルタ回路の通過帯域の上限周波数及び下限周波数は、出力電力が最大出力電力よりも3dB減衰するポイントの周波数となる。
【0017】
「端子」とは、要素内の導体が終了するポイントを意味する。なお、要素間の導体のインピーダンスが十分に低い場合には、端子は、単一のポイントだけでなく、要素間の導体上の任意のポイント又は導体全体と解釈される。
【0018】
「平行」及び「垂直」などの要素間の関係性を示す用語、及び、「矩形」などの要素の形状を示す用語、並びに、数値範囲は、厳格な意味のみを表すのではなく、実質的に同等な範囲、例えば数%程度の誤差をも含むことを意味する。
【0019】
(実施の形態1)
以下に、実施の形態1について説明する。
【0020】
[1.1 通信装置5の回路構成]
まず、本実施の形態に係る通信装置5の回路構成について、
図1を参照しながら説明する。
図1は、本実施の形態に係る通信装置5の回路構成図である。
【0021】
なお、
図1は、通信装置5及び高周波モジュール1の例示的な回路構成を示し、通信装置5及び高周波モジュール1は、多種多様な回路実装及び回路技術のいずれかを使用して実装され得る。したがって、以下に提供される通信装置5及び高周波モジュール1の説明は、限定的に解釈されるべきではない。
【0022】
通信装置5は、セルラー通信システムにおけるUEに相当し、典型的には、携帯電話、スマートフォン、タブレットコンピュータ、ウェアラブル・デバイス等である。なお、通信装置5は、IoT(Internet of Things)センサ・デバイス、医療/ヘルスケア・デバイス、車、無人航空機(UAV:Unmanned Aerial Vehicle)(いわゆるドローン)、無人搬送車(AGV:Automated Guided Vehicle)であってもよい。また、通信装置5は、セルラー通信システムにおけるBSとして用いられてもよい。
【0023】
図1に示すように、通信装置5は、高周波モジュール1と、アンテナ2と、RFIC(Radio Frequency Integrated Circuit)3と、BBIC(Baseband Integrated Circuit)4と、を備える。
【0024】
高周波モジュール1は、アンテナ2とRFIC3との間で高周波信号を伝送することができる。高周波モジュール1の内部構成については後述する。
【0025】
アンテナ2は、高周波モジュール1のアンテナ接続端子101に接続される。アンテナ2は、高周波モジュール1から出力された高周波信号を送信することができ、また、外部から高周波信号を受信して高周波モジュール1へ出力することができる。なお、アンテナ2は、通信装置5に含まれなくてもよい。また、通信装置5は、アンテナ2に加えて、さらに1以上のアンテナを備えてもよい。
【0026】
RFIC3は、高周波信号を処理する信号処理回路の一例である。具体的には、RFIC3は、BBIC4から入力された送信信号をアップコンバート等により信号処理し、当該信号処理して生成された高周波送信信号を、高周波モジュール1の送信経路に出力することができる。また、RFIC3は、高周波モジュール1が有するスイッチ及び増幅回路等を制御する制御部を有してもよい。なお、RFIC3の制御部としての機能の一部又は全部は、RFIC3の外部に実装されてもよく、例えば、BBIC4及び/又は高周波モジュール1に実装されてもよい。
【0027】
BBIC4は、高周波モジュール1が伝送する高周波信号よりも低周波の中間周波数帯域を用いて信号処理するベースバンド信号処理回路である。BBIC4で処理される信号としては、例えば、画像表示のための画像信号、及び/又は、スピーカを介した通話のために音声信号が用いられる。なお、BBIC4は、通信装置5に含まれてなくてもよい。
【0028】
[1.2 高周波モジュール1の回路構成]
次に、高周波モジュール1の回路構成について
図1を参照しながら説明する。高周波モジュール1は、電力増幅回路10及び20と、低雑音増幅回路30と、トランスフォーマ41及び42と、整合回路(MN:Matching Network)51~54と、フィルタ回路61T、61R、62T、62R、63T及び63Rと、スイッチ回路71及び72と、PA(Power Amplifier)制御回路80と、アンテナ接続端子101と、高周波入力端子102及び103と、高周波出力端子104及び105と、を備える。以下に、高周波モジュール1の構成要素について順に説明する。
【0029】
アンテナ接続端子101は、高周波モジュール1の外部接続端子であり、高周波モジュール1外でアンテナ2に接続され、高周波モジュール1内でスイッチ回路71に接続される。
【0030】
高周波入力端子102及び103は、高周波モジュール1の外部接続端子であり、高周波モジュール1外でRFIC3に接続され、高周波モジュール1内で電力増幅回路10及び20にそれぞれ接続される。本実施の形態では、高周波入力端子102は、RFIC3からバンドAの送信信号を受けることができ、高周波入力端子103は、RFIC3からバンドB及びCの送信信号を受けることができる。
【0031】
高周波出力端子104及び105は、高周波モジュール1の外部接続端子であり、高周波モジュール1外でRFIC3に接続され、高周波モジュール1内で低雑音増幅回路30に接続される。本実施の形態では、高周波出力端子104は、RFIC3にバンドAの受信信号を供給することができ、高周波出力端子105は、RFIC3にバンドB及びCの受信信号を供給することができる。
【0032】
電力増幅回路10は、第1電力増幅回路の一例であり、差動増幅型の電力増幅回路である。電力増幅回路10は、第1パワークラスに対応しており、電源(図示せず)から供給される電源電圧Vcc1及びVcc2を用いて入力信号よりも大きなエネルギーの出力信号を差動信号として得ることができる。
【0033】
なお、パワークラスとは、最大出力電力で規定される端末の出力電力の分類であり、パワークラスの値が小さいほど高い最大出力電力が許容されることを示す。例えば、3GPP(登録商標)(3rd Generation Partnership Project)では、パワークラス1の最大出力電力は31dBmであり、パワークラス1.5の最大出力電力は29dBmであり、パワークラス2の最大出力電力は26dBmであり、パワークラス3の最大出力電力は23dBmであり、パワークラス5の最大出力電力は20dBmである。
【0034】
端末の最大出力電力は、アンテナ端における最大出力電力で定義される。UEの最大出力電力の測定は、3GPP等によって定義された方法で行われる。例えば、
図1において、アンテナ2における放射電力を測定することで最大出力電力が測定される。なお、放射電力の測定の代わりに、アンテナ2の近傍に端子を設けて、その端子に計測器(例えばスペクトルアナライザなど)を接続することで、アンテナ2の最大出力電力を測定することもできる。
【0035】
電力増幅器が対応するパワークラスは、電力増幅器の最大出力電力により特定することができる。例えば、パワークラス2に対応する電力増幅器の最大出力電力は26dBmよりも大きい。
【0036】
第1パワークラスは、後述する第2パワークラスよりも低い最大出力電力、又は、第2パワークラスと同じ最大出力電力で規定されるパワークラスである。本実施の形態では、第1パワークラスとして、第2パワークラスよりも低い最大出力電力で規定されるパワークラスが用いられ、より典型的にはパワークラス3が用いられる。
【0037】
電力増幅回路10は、電力増幅器11~13と、トランスフォーマ14と、を含み、バンドAの送信信号(シングルエンド信号)を差動信号に変換及び増幅することができる。
【0038】
電力増幅器11は、多段増幅回路の入力段(ドライブ段と呼ばれる場合もある)を構成し、1以上の増幅トランジスタを含む。電力増幅器11の入力端は、高周波入力端子102に接続され、電力増幅器11の出力端は、トランスフォーマ14に接続される。電力増幅器11は、シングルエンド信号を増幅することができる。
【0039】
電力増幅器12は、多段増幅回路の出力段(パワー段と呼ばれる場合もある)を構成し、1以上の増幅トランジスタを含む。電力増幅器12の入力端は、トランスフォーマ14に接続され、電力増幅器12の出力端は、トランスフォーマ41に接続される。電力増幅器12は、差動信号の一方を増幅することができる。
【0040】
電力増幅器13は、多段増幅回路の出力段を構成し、1以上の増幅トランジスタを含む。電力増幅器13の入力端は、トランスフォーマ14に接続され、電力増幅器13の出力端は、トランスフォーマ41に接続される。電力増幅器13は、差動信号の他方を増幅することができる。
【0041】
トランスフォーマ14は、一次コイルと、一次コイルに結合可能な二次コイルと、を含む。一次コイルの一端は、電力増幅器11に接続され、一次コイルの他端は、グランドに接続される。二次コイルの一端は、電力増幅器12に接続され、二次コイルの他端は、電力増幅器13に接続される。この接続構成により、トランスフォーマ14は、電力増幅器11から受けた1つの信号を互いに逆相の2つの信号に分配することができる。つまり、トランスフォーマ14は、シングルエンド信号を差動信号に変換することができる。
【0042】
電力増幅回路20は、第2電力増幅回路の一例であり、差動増幅型の電力増幅回路である。電力増幅回路20は、第2パワークラスに対応しており、電源(図示せず)から供給される電源電圧Vcc1及びVcc2を用いて入力信号よりも大きなエネルギーの出力信号を差動信号として得ることができる。
【0043】
第2パワークラスは、パワークラス3よりも高い最大出力電力で規定されるパワークラスである。本実施の形態では、第2パワークラスとして、例えばパワークラス1、1.5、又は、2を用いることができ、より典型的にはパワークラス2が用いられる。
【0044】
なお、本実施の形態において、第1パワークラス及び第2パワークラスの組み合わせは、パワークラス3及びパワークラス2の組み合わせに限定されない。例えば、第1パワークラス及び第2パワークラスの組み合わせは、パワークラス2及びパワークラス1.5の組み合わせであってもよい。
【0045】
電力増幅回路20は、電力増幅器21~23と、トランスフォーマ24と、を含み、バンドB及びCの送信信号(シングルエンド信号)を差動信号に変換及び増幅することができる。
【0046】
電力増幅器21は、多段増幅回路の入力段を構成し、1以上の増幅トランジスタを含む。電力増幅器21の入力端は、高周波入力端子103に接続され、電力増幅器21の出力端は、トランスフォーマ24に接続される。電力増幅器21は、シングルエンド信号を増幅することができる。
【0047】
電力増幅器22は、多段増幅回路の出力段を構成し、1以上の増幅トランジスタを含む。電力増幅器22の入力端は、トランスフォーマ24に接続され、電力増幅器22の出力端は、トランスフォーマ42に接続される。電力増幅器22は、差動信号の一方を増幅することができる。
【0048】
電力増幅器23は、多段増幅回路の出力段を構成し、1以上の増幅トランジスタを含む。電力増幅器23の入力端は、トランスフォーマ24に接続され、電力増幅器23の出力端は、トランスフォーマ42に接続される。電力増幅器23は、差動信号の他方を増幅することができる。
【0049】
トランスフォーマ24は、一次コイルと、一次コイルに結合可能な二次コイルと、を含む。一次コイルの一端は、電力増幅器21に接続され、一次コイルの他端は、グランドに接続される。二次コイルの一端は、電力増幅器22に接続され、二次コイルの他端は、電力増幅器23に接続される。この接続構成により、トランスフォーマ24は、電力増幅器21から受けた1つの信号を互いに逆相の2つの信号に分配することができる。つまり、トランスフォーマ24は、シングルエンド信号を差動信号に変換することができる。
【0050】
なお、電力増幅回路10及び20の回路構成は、上記に限定されない。例えば、電力増幅回路10及び20において、入力信号は、シングルエンド信号であったが、差動信号であってもよい。この場合、電力増幅回路10及び20は、シングルエンド信号を差動信号に変換するトランスフォーマ14及び24をそれぞれ含まなくてもよい。さらに、電力増幅回路10及び20は、多段増幅回路でなくてもよく、電力増幅器11及び21をそれぞれ含まなくてもよい。また、電力増幅回路10及び20は、バイアス回路(図示せず)などを含んでもよく、キャパシタ(図示せず)及び/又はインダクタ(図示せず)などを含んでもよい。
【0051】
低雑音増幅回路30は、電源(図示せず)から供給される電源電圧を用いて入力信号よりも大きなエネルギーの出力信号を得ることができる能動回路である。低雑音増幅回路30は、低雑音増幅器31及び32と、スイッチ33と、を含み、受信信号を低雑音で増幅することができる。なお、低雑音増幅回路30は、高周波モジュール1に含まれなくてもよい。
【0052】
低雑音増幅器31は、1以上の増幅トランジスタを含み、バンドAの受信信号を増幅することができる。低雑音増幅器31の入力端は、フィルタ回路61Rに接続され、低雑音増幅器31の出力端は、高周波出力端子104に接続される。
【0053】
低雑音増幅器32は、1以上の増幅トランジスタを含み、バンドB及びCの受信信号を増幅することができる。低雑音増幅器32の入力端は、スイッチ33に接続され、低雑音増幅器32の出力端は、高周波出力端子105に接続される。
【0054】
スイッチ33は、低雑音増幅器32とフィルタ回路62R及び63Rの間に接続される。スイッチ33は、整合回路54を介して低雑音増幅器32に接続される端子330と、フィルタ回路62Rに接続される端子331と、フィルタ回路63Rに接続される端子332と、を含む。この接続構成において、スイッチ33は、例えばRFIC3からの制御信号に基づいて、端子330を端子331及び332に排他的に接続することができる。つまり、スイッチ33は、低雑音増幅器32の接続をフィルタ回路62R及び63Rの間で切り替えることができる。スイッチ33は、例えばSPDT(Single-Pole Double-Throw)型のスイッチ回路で構成される。
【0055】
なお、低雑音増幅回路30の回路構成は、上記に限定されない。例えば、低雑音増幅回路30は、スイッチ33を含まなくてもよい。また例えば、低雑音増幅回路30は、さらに、低雑音増幅器31とフィルタ回路61R及び他のフィルタ回路(図示せず)との間に接続されるスイッチを備えてもよい。また、低雑音増幅回路30は、制御回路(図示せず)などを含んでもよく、キャパシタ(図示せず)及び/又はインダクタ(図示せず)などを含んでもよい。
【0056】
トランスフォーマ41は、第1トランスフォーマの一例であり、一次コイル411と、一次コイル411に結合可能な二次コイル412と、を含む。一次コイル411の両端は電力増幅回路10の2つの出力端にそれぞれ接続される。具体的には、一次コイル411の一端は、電力増幅器12の出力端に接続され、一次コイル411の他端は、電力増幅器13の出力端に接続される。一次コイル411の中点411Mには、電源電圧Vcc2が印加される。二次コイル412の一端は、整合回路51を介してフィルタ回路61Tに接続され、二次コイル412の他端は、グランドに接続される。この接続構成により、トランスフォーマ41は、電力増幅回路10から受けた互いに逆相の2つの信号を1つの信号に合成することができる。つまり、トランスフォーマ41は、差動信号をシングルエンド信号に変換することができる。
【0057】
トランスフォーマ42は、第2トランスフォーマの一例であり、一次コイル421と、一次コイル421に結合可能な二次コイル422と、を含む。一次コイル421の両端は電力増幅回路20の2つの出力端にそれぞれ接続される。具体的には、一次コイル421の一端は、電力増幅器22の出力端に接続され、一次コイル421の他端は、電力増幅器23の出力端に接続される。一次コイル421の中点421Mには、電源電圧Vcc2が印加される。二次コイル422の一端は、整合回路52及びスイッチ回路72を介してフィルタ回路62T及び63Tに接続され、二次コイル422の他端は、グランドに接続される。この接続構成において、トランスフォーマ42は、電力増幅回路20から受けた互いに逆相の2つの信号を1つの信号に合成することができる。つまり、トランスフォーマ42は、差動信号をシングルエンド信号に変換することができる。
【0058】
整合回路51は、トランスフォーマ41とフィルタ回路61Tとの間に接続される。整合回路51は、トランスフォーマ41とフィルタ回路61Tとの間のインピーダンス整合をとるよう構成され、インピーダンスマッチングネットワークとして機能する。整合回路51は、インダクタを含む。なお、整合回路51は、インダクタの代わりに、又は、インダクタに加えて、キャパシタを含んでもよい。整合回路51は、高周波モジュール1に含まれなくてもよい。
【0059】
整合回路52は、トランスフォーマ42とスイッチ回路72との間に接続される。整合回路52は、トランスフォーマ42とスイッチ回路72との間のインピーダンス整合をとるよう構成され、インピーダンスマッチングネットワークとして機能する。整合回路52は、インダクタを含む。なお、整合回路52は、インダクタの代わりに、又は、インダクタに加えて、キャパシタを含んでもよく、トランスフォーマを含んでもよい。整合回路52は、高周波モジュール1に含まれなくてもよい。
【0060】
整合回路53は、低雑音増幅器31とフィルタ回路61Rとの間に接続される。整合回路53は、低雑音増幅器31とフィルタ回路61Rとの間のインピーダンス整合をとるよう構成され、インピーダンスマッチングネットワークとして機能する。整合回路53は、インダクタを含む。なお、整合回路53は、インダクタの代わりに、又は、インダクタに加えて、キャパシタを含んでもよく、トランスフォーマを含んでもよい。整合回路53は、高周波モジュール1に含まれなくてもよい。
【0061】
整合回路54は、低雑音増幅器32とスイッチ33との間に接続される。整合回路54は、低雑音増幅器32とスイッチ33との間のインピーダンス整合をとるよう構成され、インピーダンスマッチングネットワークとして機能する。整合回路54は、インダクタを含む。なお、整合回路54は、インダクタの代わりに、又は、インダクタに加えて、キャパシタを含んでもよく、トランスフォーマを含んでもよい。整合回路54は、高周波モジュール1に含まれなくてもよい。
【0062】
フィルタ回路61Tは、第1フィルタ回路の一例であり、バンドAの送信帯域(A-Tx)を含む通過帯域を有するバンドパスフィルタ回路である。フィルタ回路61Tの一端は、整合回路51を介してトランスフォーマ41に接続される。フィルタ回路61Tの他端は、スイッチ回路71を介してアンテナ接続端子101に接続される。なお、フィルタ回路61Tは、高周波モジュール1に含まれなくてもよい。
【0063】
フィルタ回路61Rは、バンドAの受信帯域(A-Rx)を含む通過帯域を有するバンドパスフィルタ回路である。フィルタ回路61Rの一端は、整合回路53を介して低雑音増幅器31に接続される。フィルタ回路61Rの他端は、スイッチ回路71を介してアンテナ接続端子101に接続される。なお、フィルタ回路61Rは、高周波モジュール1に含まれなくてもよい。
【0064】
フィルタ回路62Tは、第2フィルタ回路の一例であり、バンドBの送信帯域(B-Tx)を含む通過帯域を有するバンドパスフィルタ回路である。フィルタ回路62Tの一端は、スイッチ回路72及び整合回路52を介してトランスフォーマ42に接続される。フィルタ回路62Tの他端は、スイッチ回路71を介してアンテナ接続端子101に接続される。なお、フィルタ回路62Tは、高周波モジュール1に含まれなくてもよい。
【0065】
フィルタ回路62Rは、バンドBの受信帯域(B-Rx)を含む通過帯域を有するバンドパスフィルタ回路である。フィルタ回路62Rの一端は、スイッチ33及び整合回路54を介して低雑音増幅器32に接続される。フィルタ回路62Rの他端は、スイッチ回路71を介してアンテナ接続端子101に接続される。なお、フィルタ回路62Rは、高周波モジュール1に含まれなくてもよい。
【0066】
フィルタ回路63Tは、第3フィルタ回路の一例であり、バンドCの送信帯域(C-Tx)を含む通過帯域を有するバンドパスフィルタ回路である。フィルタ回路63Tの一端は、スイッチ回路72及び整合回路52を介してトランスフォーマ42に接続される。フィルタ回路63Tの他端は、スイッチ回路71を介してアンテナ接続端子101に接続される。なお、フィルタ回路63Tは、高周波モジュール1に含まれなくてもよい。
【0067】
フィルタ回路63Rは、バンドCの受信帯域(C-Rx)を含む通過帯域を有するバンドパスフィルタ回路である。フィルタ回路63Rの一端は、スイッチ33及び整合回路54を介して低雑音増幅器32に接続される。フィルタ回路63Rの他端は、スイッチ回路71を介してアンテナ接続端子101に接続される。なお、フィルタ回路63Rは、高周波モジュール1に含まれなくてもよい。
【0068】
バンドA~Cは、無線アクセス技術(RAT:Radio Access Technology)を用いて構築される通信システムのための周波数バンドである。所定バンドは、標準化団体など(例えば3GPP及びIEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)等)によって予め定義される。通信システムの例としては、5GNR(5th Generation New Radio)システム、LTE(Long Term Evolution)システム及びWLAN(Wireless Local Area Network)システム等を挙げることができる。
【0069】
本実施の形態では、バンドAとして、ミッドバンド群(1427~2200MHz)に含まれるFDD用の周波数バンドが用いられ、バンドB及びCとして、ハイバンド群(2300~2690MHz)に含まれるFDD用の周波数バンドが用いられるが、バンドA~Cは、これに限定されない。例えば、バンドB及び/又はCとして、TDD用の周波数バンドが用いられてもよい。また例えば、バンドAとして、ミッドバンド群とは異なるバンド群に含まれる周波数バンドが用いられてもよく、バンドB及び/又はCとして、ハイバンド群とは異なるバンド群に含まれる周波数バンドが用いられてもよい。
【0070】
スイッチ回路71は、アンテナ接続端子101とフィルタ回路61T、61R、62T、62R、63T及び63Rとの間に接続される。具体的には、スイッチ回路71は、アンテナ接続端子101に接続される端子710と、フィルタ回路61T及び61Rに接続される端子711と、フィルタ回路62T及び62Rに接続される端子712と、フィルタ回路63T及び63Rに接続される端子713と、を含む。この接続構成において、スイッチ回路71は、例えばRFIC3からの制御信号に基づいて、端子710を端子711~713に接続することができる。つまり、スイッチ回路71は、フィルタ回路61T、61R、62T、62R、63T及び63Rをアンテナ接続端子101に接続することができる。スイッチ回路71は、例えばマルチ接続型のスイッチ回路で構成される。
【0071】
スイッチ回路72は、トランスフォーマ42とフィルタ回路62T及び63Tとの間に接続される。具体的には、スイッチ回路72は、トランスフォーマ42に接続される端子720と、フィルタ回路62Tに接続される端子721と、フィルタ回路63Tに接続される端子722と、を含む。この接続構成において、スイッチ回路72は、例えばRFIC3からの制御信号に基づいて、端子720を端子721及び722に排他的に接続することができる。つまり、スイッチ回路72は、電力増幅回路20の接続をフィルタ回路62T及び63Tの間で切り替えることができる。スイッチ回路72は、例えばSPDT型のスイッチ回路で構成される。
【0072】
PA制御回路80は、電力増幅回路10及び20を制御することができる。具体的には、PA制御回路80は、例えばRFIC3からの制御信号に基づいて、電力増幅回路10及び20を制御するための制御信号を電力増幅回路10及び20にそれぞれ出力する。これにより、例えば、電力増幅器11~13に供給されるバイアス電流、及び、電力増幅器21~23に供給されるバイアス電流などが制御される。
【0073】
なお、高周波モジュール1の回路構成は、例示であり、
図1の回路構成に限定されない。例えば、高周波モジュール1は、さらに、1以上のフィルタ回路を備えてもよい。この場合、その1以上のフィルタ回路及びフィルタ回路61Tは、スイッチ回路72と同様のスイッチ回路(図示せず)を介して整合回路51に接続されてもよい。
【0074】
[1.3 高周波モジュール1の実装例]
次に、以上のような回路構成を有する高周波モジュール1の実装例について、
図2~
図4を参照しながら説明する。
図2は、本実施の形態に係る高周波モジュール1の平面図である。
図3は、本実施の形態に係る高周波モジュール1の平面図であり、z軸正側からモジュール基板90の主面90b側を透視した図である。
図4は、本実施の形態に係る高周波モジュール1の断面図である。
図4における高周波モジュール1の断面は、
図2及び
図3のiv-iv線における断面である。
【0075】
図2及び
図3において、各部品の配置関係が容易に理解されるように、各部品にはそれを表す文字が付されているものがあるが、実際の各部品には、当該文字は付されなくてもよい。また、
図2及び
図3において、複数の回路部品を覆う樹脂部材92及び93並びに樹脂部材92及び93の表面を覆うシールド層94の図示が省略され、本発明に必須ではない任意の回路部品にハッチングが付されている。
【0076】
なお、
図2~
図4は、高周波モジュール1の例示的な構成を示し、高周波モジュール1は、多種多様な回路実装及び回路技術のいずれかを使用して実装され得る。したがって、以下に提供される高周波モジュール1の説明は、限定的に解釈されるべきではない。
【0077】
高周波モジュール1は、
図1に示された複数の回路部品に加えて、モジュール基板90と、金属部材91と、樹脂部材92及び93と、シールド層94と、複数の外部接続端子100と、を備える。
【0078】
モジュール基板90は、互いに対向する主面90a及び90bを有する。主面90aは、第1主面の一例であり、上面又は表面と呼ばれる場合もある。主面90bは、第2主面の一例であり、下面又は裏面と呼ばれる場合もある。モジュール基板90内並びに主面90a及び90b上には、配線(図示せず)及びビア導体(図示せず)などが形成されている。なお、本実施の形態では、モジュール基板90は、平面視において矩形状を有するが、モジュール基板90の形状は矩形状に限定されない。
【0079】
モジュール基板90としては、例えば、複数の誘電体層の積層構造を有する低温同時焼成セラミックス(LTCC:Low Temperature Co-fired Ceramics)基板もしくは高温同時焼成セラミックス(HTCC:High Temperature Co-fired Ceramics)基板、部品内蔵基板、再配線層(RDL:Redistribution Layer)を有する基板、又は、プリント基板等を用いることができるが、これらに限定されない。
【0080】
ここで、主として
図2及び
図4を参照しながら、モジュール基板90の主面90aに配置された部品について説明する。
【0081】
電力増幅回路10及び20(PA)は、モジュール基板90の主面90aに配置されている。電力増幅回路10及び20は、半導体集積回路として実装されている。半導体材料としては、例えば、シリコンゲルマニウム(SiGe)又はガリウムヒ素(GaAs)を用いることができる。このとき、電力増幅器11~13及び21~23の各々は、ヘテロ接合バイポーラトランジスタ(HBT:Heterojunction Bipolar Transistor)で構成することができる。なお、半導体材料として、窒化ガリウム(GaN)又は炭化シリコン(SiC)を用いることもできる。このとき、電力増幅器11~13及び21~23は、HEMT(High Electron Mobility Transistor)又はMESFET(Metal-Semiconductor Field Effect Transistor)で構成することができる。
【0082】
トランスフォーマ41(XFMR)は、モジュール基板90の主面90aに配置されている。トランスフォーマ41は、電力増幅回路10に隣接して配置され、整合回路53から比較的離れて配置されている。具体的には、トランスフォーマ42よりもトランスフォーマ41の方が整合回路53及び/又は54から離れて配置されている。
【0083】
整合回路51~54(MN)は、モジュール基板90の主面90aに配置されている。整合回路51~54に含まれる各インダクタは、チップインダクタとして実装されている。チップインダクタとは、インダクタを構成する表面実装デバイス(SMD:Surface Mount Device)を意味する。なお、整合回路51~54に含まれるインダクタの一部又は全部は、集積型受動デバイス(IPD:Integrated Passive Device)に含まれてもよい。
【0084】
整合回路52は、モジュール基板90の平面視において、トランスフォーマ42と少なくとも部分的に重なっている。つまり、モジュール基板90の平面視において、整合回路52の一部又は全部は、トランスフォーマ42の一部又は全部と重なっている。
【0085】
フィルタ回路61T、62T及び63T(Tx-FIL)は、モジュール基板90の主面90aに配置されている。フィルタ回路61T、62T及び63Tは、トランスフォーマ41及び42の比較的近くに配置されている。
【0086】
フィルタ回路61R、62R及び63R(Rx-FIL)は、モジュール基板90の主面90aに配置されている。フィルタ回路61R、62R及び63Rは、トランスフォーマ41及び42から比較的離れて配置されている。
【0087】
フィルタ回路61T、61R、62T、62R、63T及び63Rとしては、弾性表面波(SAW:Surface Acoustic Wave)フィルタ、バルク弾性波(BAW:Bulk Acoustic Wave)フィルタ、LC共振フィルタ若しくは誘電体共振フィルタ、又は、これらの任意の組み合わせが用いられてもよく、さらには、これらには限定されない。
【0088】
金属部材91(SCW)は、モジュール基板90の主面90aに配置されており、モジュール基板90の平面視において、トランスフォーマ41と整合回路53との間に配置されている。金属部材91は、モジュール基板90の主面90aからシールド層94まで延びている。金属部材91の先端は、シールド層94に接続されている。なお、
図4では、金属部材91の先端は、シールド層94に直接的に接続されているが、他の金属部材を介してシールド層94に接続されてもよく、シールド層94に接続されなくてもよい。金属部材91の材料としては、例えば銅、金、又は、真ちゅうを用いることができるが、これに限定されない。なお、金属部材91は、1つの金属壁で構成されなくてもよく、複数の金属部材によって構成されてもよい。例えば、金属部材91は、互いに離間して配置された複数の柱状部材で構成されもよい。また、金属部材91は、高周波モジュール1に含まれなくてもよい。
【0089】
次に、主として
図3及び
図4を参照しながら、モジュール基板90の主面90bに配置された部品について説明する。
【0090】
低雑音増幅回路30(LNA)は、モジュール基板90の主面90bに配置されている。低雑音増幅回路30は、半導体集積回路として実装されている。半導体材料としては、例えば、シリコン単結晶を用いることができるが、これに限定されない。
【0091】
トランスフォーマ42(XFMR)は、モジュール基板90の主面90bに配置されている。トランスフォーマ42は、モジュール基板90の平面視において、電力増幅回路20に隣接して配置されている。本実施の形態では、トランスフォーマ42は、モジュール基板90の平面視において、トランスフォーマ41と重なっていない。
【0092】
スイッチ回路71及び72(SW)は、モジュール基板90の主面90bに配置されている。スイッチ回路71及び72の各々は、半導体集積回路として実装されている。半導体材料としては、例えば、シリコン単結晶を用いることができるが、これに限定されない。なお、スイッチ回路71及び72は、1つの半導体集積回路として実装されてもよい。
【0093】
PA制御回路80(PAC)は、モジュール基板90の主面90bに配置されている。PA制御回路80は、半導体集積回路として実装されている。半導体材料としては、例えば、シリコン単結晶を用いることができるが、これに限定されない。
【0094】
複数の外部接続端子100は、モジュール基板90の主面90bに配置されている。複数の外部接続端子100は、
図1に示したアンテナ接続端子101、高周波入力端子102及び103、並びに、高周波出力端子104及び105を含む。さらに、複数の外部接続端子100は、モジュール基板90の平面視においてトランスフォーマ42及び電力増幅回路10の間に配置されたグランド端子と、モジュール基板90の平面視においてスイッチ回路72及びトランスフォーマ42の間に配置されたグランド端子と、を含む。複数の外部接続端子100の各々は、高周波モジュール1のz軸負方向に配置されたマザー基板(図示せず)上の入出力端子及び/又はグランド端子等に電気的に接続される。複数の外部接続端子100としては、銅電極又ははんだ電極を用いることができるが、これに限定されない。
【0095】
樹脂部材92は、モジュール基板90の主面90aと主面90a上の回路部品との少なくとも一部を覆っている。なお、樹脂部材92は、金属部材91の先端を覆っておらず、金属部材91の先端は、樹脂部材92から露出している。樹脂部材92の材料としては、例えばエポキシ樹脂を用いることができるが、これに限定されない。樹脂部材92は、主面90a上の回路部品の機械強度及び耐湿性等の信頼性を確保する機能を有する。なお、樹脂部材92は、必ずしも高周波モジュール1に含まれなくてもよい。
【0096】
樹脂部材93は、モジュール基板90の主面90bと主面90b上の回路部品との少なくとも一部を覆っている。なお、樹脂部材93は、低雑音増幅回路30、スイッチ回路71及び72、並びに、PA制御回路80の少なくとも一部を覆わなくてもよい。つまり、低雑音増幅回路30、スイッチ回路71及び72、並びに、PA制御回路80の少なくとも一部は、樹脂部材93から露出してもよい。樹脂部材93の材料としては、例えばエポキシ樹脂を用いることができるが、これに限定されない。樹脂部材93は、主面90b上の回路部品の機械強度及び耐湿性等の信頼性を確保する機能を有する。なお、樹脂部材93は、必ずしも高周波モジュール1に含まれなくてもよい。
【0097】
シールド層94は、例えばスパッタ法により形成される金属薄膜である。シールド層94は、
図4に示すように樹脂部材92及び93の表面を覆っている。また、シールド層94は、金属部材91の先端も覆っている。シールド層94は、グランドに接続されており、外来ノイズが高周波モジュール1に侵入すること、及び、高周波モジュール1で発生したノイズが他のモジュール又は他の機器に干渉することを抑制することができる。
【0098】
[1.4 トランスフォーマ41及び42の実装例]
ここで、トランスフォーマ41及び42の実装例について、
図5及び
図6を参照しながら説明する。
図5は、本実施の形態に係るトランスフォーマ41の分解斜視図である。
図6は、本実施の形態に係るトランスフォーマ42の分解斜視図である。
【0099】
なお、
図5及び
図6は、トランスフォーマ41及び42の例示的な構成を示し、トランスフォーマ41及び42は、多種多様な回路実装及び回路技術のいずれかを使用して実装され得る。したがって、以下に提供されるトランスフォーマ41及び42の説明は、限定的に解釈されるべきではない。
【0100】
トランスフォーマ41は、モジュール基板90の主面90aを含む複数のレイヤ901~903(複数の第1レイヤの一例)に形成されている。トランスフォーマ41の一次コイル411は、レイヤ902に配線により形成されている。トランスフォーマ41の二次コイル412は、レイヤ901及び903に配線により形成されている。レイヤ901及び903に形成された配線は、ビア導体(図示せず)を介して電気的に接続される。
【0101】
トランスフォーマ42は、モジュール基板90の主面90bを含む複数のレイヤ904~908(複数の第2レイヤの一例)に形成されている。トランスフォーマ42の一次コイル421は、レイヤ905及び907に配線により形成されている。レイヤ905及び907に形成された配線は、ビア導体(図示せず)を介して電気的に接続される。トランスフォーマ42の二次コイル422は、レイヤ904、906及び908に配線により形成されている。レイヤ904、906及び908に形成された配線は、ビア導体(図示せず)を介して電気的に接続される。
【0102】
本実施の形態では、トランスフォーマ41が形成された複数のレイヤ901~903は、トランスフォーマ42が形成された複数のレイヤ904~908と重なっていない。つまり、トランスフォーマ41が形成された複数のレイヤ901~903は、いずれも、トランスフォーマ42が形成された複数のレイヤ904~908に含まれない。逆に言えば、トランスフォーマ42が形成された複数のレイヤ904~908は、いずれも、トランスフォーマ41が形成された複数のレイヤ901~903に含まれない。
【0103】
なお、トランスフォーマ41が形成された複数のレイヤは、トランスフォーマ42が形成された複数のレイヤと少なくとも部分的に重なってもよい。つまり、トランスフォーマ41の一部又は全部は、トランスフォーマ42とレイヤを共用してもよく、トランスフォーマ42の一部又は全部は、トランスフォーマ41とレイヤを共用してもよい。
【0104】
なお、本実施の形態では、トランスフォーマ41及び42は、モジュール基板90の配線によって形成されているが、これに限定されない。例えば、トランスフォーマ41及び/又は42は、SMDとして実装されてもよい。
【0105】
[1.5 効果など]
以上のように、本実施の形態に係る高周波モジュール1は、互いに対向する主面90a及び90bを有するモジュール基板90と、主面90bに配置された複数の外部接続端子100と、主面90aに配置され、第1パワークラスに対応する電力増幅回路10と、主面90aに配置され、第2パワークラスに対応する電力増幅回路20と、電力増幅回路10に接続され、主面90aに配置されたトランスフォーマ41と、電力増幅回路20に接続され、主面90bに配置されたトランスフォーマ42と、を備え、第2パワークラスは、パワークラス3よりも高い最大出力電力で規定されており、第1パワークラスは、第2パワークラスよりも低い最大出力電力又は第2パワークラスと同じ最大出力電力で規定されている。
【0106】
これによれば、トランスフォーマ41及び42がモジュール基板90の主面90a及び90bにそれぞれ配置されるので、トランスフォーマ41及び42の両方がモジュール基板90の主面90aに配置される場合よりも、高周波モジュール1の小型化に貢献することができる。また、モジュール基板90内のグランド層、及び/又は、複数の外部接続端子100に含まれるグランド端子などによって、主面90aに配置された部品(例えばインダクタなど)とトランスフォーマ42との間の結合を抑制することができ、トランスフォーマ42と当該部品との間のアイソレーションを向上させることができる。特に、パワークラス3よりも高い最大出力電力が許容される第2パワークラスのためのトランスフォーマ42では放射も大きくなるため、トランスフォーマ42が主面90bに配置されることによるアイソレーションの向上効果は大きい。
【0107】
また例えば、本実施の形態に係る高周波モジュール1は、さらに、低雑音増幅回路30と、低雑音増幅回路30に接続され、主面90aに配置された整合回路53及び/又は54と、を備えてもよく、トランスフォーマ42よりもトランスフォーマ41の方が整合回路53及び/又は54のインダクタから離れて配置されてもよい。
【0108】
これによれば、整合回路53及び/又は54と同じ主面90aに配置されるトランスフォーマ41を整合回路53及び/又は54のインダクタから比較的離して配置することができ、トランスフォーマ41及びインダクタの間の結合を抑制することができる。一方、整合回路53及び/又は54と反対の主面90bに配置されるトランスフォーマ42は、モジュール基板90内のグランド層などによって整合回路53及び/又は54のインダクタとの結合を抑制することができる。したがって、整合回路53及び/又は54のインダクタがトランスフォーマ41及び42と結合することによって受信感度が低下することを抑制することができる。
【0109】
また例えば、本実施の形態に係る高周波モジュール1は、さらに、主面90aに配置され、かつ、モジュール基板90の平面視において、トランスフォーマ41と、整合回路53及び/又は54のインダクタとの間に配置された金属部材91を備えてもよい。
【0110】
これによれば、金属部材91によってトランスフォーマ41と整合回路53及び/又は54のインダクタとの間の結合がさらに抑制され、受信感度の低下をさらに抑制することができる。さらに、主面90bに配置されたトランスフォーマ42の放熱経路を増加させることができ、トランスフォーマ42の放熱性を向上させることができる。
【0111】
また例えば、本実施の形態に係る高周波モジュール1は、さらに、主面90aに配置された電力増幅回路10及び電力増幅回路20の少なくとも一部を覆う樹脂部材92と、樹脂部材92の表面の少なくとも一部を覆うシールド層94と、を備えてもよく、金属部材91の先端は、シールド層94に接続されてもよい。
【0112】
これによれば、金属部材91の先端がシールド層94に接続されるので、金属部材91のグランド電位を強化することができ、トランスフォーマ41と整合回路53及び/又は54のインダクタとの間の結合をさらに抑制することができる。さらに、主面90bに配置されたトランスフォーマ42の熱を金属部材91及びシールド層94を介して放熱することができ、トランスフォーマ42の放熱性をさらに向上させることができる。
【0113】
また例えば、本実施の形態に係る高周波モジュール1は、さらに、トランスフォーマ42に接続され、主面90aに配置された整合回路52を備えてもよく、整合回路52は、モジュール基板90の平面視において、トランスフォーマ42と少なくとも部分的に重なってもよい。
【0114】
これによれば、トランスフォーマ42と重なる主面90aの領域を有効に活用することができ、高周波モジュール1の小型化に貢献することができる。
【0115】
また例えば、本実施の形態に係る高周波モジュール1において、トランスフォーマ41は、モジュール基板90の主面90aを含む複数のレイヤ901~903に形成されてもよく、トランスフォーマ42は、モジュール基板90の主面90bを含む複数のレイヤ904~908に形成されてもよく、複数のレイヤ901~903は、複数のレイヤ904~908と重なっていなくてもよい。
【0116】
これによれば、トランスフォーマ41及び42が互いに異なるレイヤに形成されるので、トランスフォーマ41及び42の間のアイソレーションを向上させることができる。
【0117】
また例えば、本実施の形態に係る高周波モジュール1において、トランスフォーマ42は、モジュール基板90の平面視において、トランスフォーマ41と重なっていなくてもよい。
【0118】
これによれば、トランスフォーマ41がモジュール基板90の平面視においてトランスフォーマ42と重ならないので、トランスフォーマ41及び42の間のアイソレーションを向上させることができる。
【0119】
(実施の形態2)
次に、実施の形態2について説明する。本実施の形態では、2つの電力増幅回路の一方がドハティ型の電力増幅回路である点が実施の形態1と主として異なる。以下に、本実施の形態に係る高周波モジュールについて、実施の形態1と異なる点を中心に図面を参照しながら説明する。
【0120】
[2.1 高周波モジュール1Aの回路構成]
本実施の形態に係る高周波モジュール1Aの回路構成について、
図7を参照しながら説明する。
図7は、本実施の形態に係る通信装置5Aの回路構成図である。
【0121】
なお、
図7は、通信装置5A及び高周波モジュール1Aの例示的な回路構成を示し、通信装置5A及び高周波モジュール1Aは、多種多様な回路実装及び回路技術のいずれかを使用して実装され得る。したがって、以下に提供される通信装置5A及び高周波モジュール1Aの説明は、限定的に解釈されるべきではない。
【0122】
通信装置5Aは、高周波モジュール1の代わりに高周波モジュール1Aを備える点を除いて実施の形態1に係る通信装置5と同様であるので、その説明を省略する。
【0123】
本実施の形態に係る高周波モジュール1Aは、電力増幅回路20の代わりに電力増幅回路20Aを備え、さらに、1/4波長伝送線路43を備える。つまり、高周波モジュール1Aは、電力増幅回路10及び20Aと、低雑音増幅回路30と、トランスフォーマ41及び42と、1/4波長伝送線路43と、整合回路51~54と、フィルタ回路61T、61R、62T、62R、63T及び63Rと、スイッチ回路71及び72と、PA制御回路80と、アンテナ接続端子101と、高周波入力端子102及び103と、高周波出力端子104及び105と、を備える。
【0124】
電力増幅回路10は、第1電力増幅回路の一例であり、実施の形態1と同様に差動増幅型の電力増幅回路である。電力増幅回路10は、第1パワークラスに対応しており、電源(図示せず)から供給される電源電圧Vcc1及びVcc2を用いて入力信号よりも大きなエネルギーの出力信号を差動信号として得ることができる。
【0125】
本実施の形態では、第1パワークラスは、第2パワークラスと同じ最大出力電力で規定される。つまり、第1パワークラスは、第2パワークラスと同じである。第1パワークラスとして、典型的にはパワークラス2が用いられる。
【0126】
電力増幅回路20Aは、第2電力増幅回路の一例であり、ドハティ型の電力増幅回路である。電力増幅回路20Aは、第2パワークラスに対応しており、電源(図示せず)から供給される電源電圧Vcc1及びVcc2を用いて入力信号よりも大きなエネルギーの出力信号を得ることができる。
【0127】
本実施の形態では、第2パワークラスとして、例えばパワークラス1、1.5、又は、2を用いることができ、典型的にはパワークラス2が用いられる。
【0128】
ドハティ型の電力増幅回路とは、複数の増幅器をキャリアアンプ及びピークアンプとして用いることで高効率を実現する増幅回路を意味する。キャリアアンプとは、ドハティ型の電力増幅回路において、入力信号(高周波信号)の電力が低くても高くても動作する増幅器を意味する。ピークアンプとは、ドハティ型の電力増幅回路において、入力信号の電力が高い場合に主として動作する増幅器を意味する。本実施の形態では、電力増幅器22がキャリアアンプとして機能し、電力増幅器23がピークアンプとして機能する。この場合、入力信号の電力が低い場合は、入力信号は主として電力増幅器22で増幅され、入力信号の電力が高い場合には、入力信号は電力増幅器22及び23で増幅される。このような動作により、ドハティ型の電力増幅回路では、低出力電力において電力増幅器22からみた負荷インピーダンスが増大し、低出力電力における増幅効率が向上する。
【0129】
1/4波長伝送線路43は、電力増幅回路20A及びトランスフォーマ42の間に接続される。具体的には、1/4波長伝送線路43は、電力増幅器23の出力端とトランスフォーマ42の一次コイル421との間に接続される。1/4波長伝送線路43は、負荷インピーダンスをスミスチャート上で180度回転させることができ、インピーダンス変換器と呼ばれる場合もある。また、1/4波長伝送線路43は、高周波信号の位相を調整することができ、位相調整器あるいは移相器と呼ばれる場合もある。具体的には、1/4波長伝送線路43は、電力増幅器23で増幅されたバンドB及びCの送信信号の位相を-90度シフトさせる(90度遅らせる)ことができる。なお、1/4波長伝送線路43は、インダクタ及び/又はキャパシタを含んでもよい。これにより、1/4波長伝送線路43の長さを短縮することができる。
【0130】
本実施の形態では、バンドAとして、ハイバンド群に含まれるFDD用の周波数バンドが用いられ、バンドB及びCとして、ミッドバンド群に含まれるFDD用の周波数バンドが用いられるが、バンドA~Cは、これに限定されない。例えば、バンドAとして、TDD用の周波数バンドが用いられてもよい。また例えば、バンドAとして、ハイバンド群とは異なるバンド群に含まれる周波数バンドが用いられてもよく、バンドB及び/又はCとして、ミッドバンド群とは異なるバンド群に含まれる周波数バンドが用いられてもよい。
【0131】
なお、高周波モジュール1Aの回路構成は、例示であり、
図7の回路構成に限定されない。例えば、高周波モジュール1Aは、さらに、1以上のフィルタ回路を備えてもよい。この場合、その1以上のフィルタ回路及びフィルタ回路61Tは、スイッチ回路72と同様のスイッチ回路(図示せず)を介して整合回路51に接続されてもよい。
【0132】
[2.2 高周波モジュール1Aの実装例]
次に、以上のような回路構成を有する高周波モジュール1Aの実装例について、
図8及び
図9を参照しながら説明する。
図8は、本実施の形態に係る高周波モジュール1Aの平面図である。
図9は、本実施の形態に係る高周波モジュール1Aの平面図であり、z軸正側からモジュール基板90の主面90b側を透視した図である。
【0133】
なお、
図8及び
図9は、高周波モジュール1Aの例示的な構成を示し、高周波モジュール1Aは、多種多様な回路実装及び回路技術のいずれかを使用して実装され得る。したがって、以下に提供される高周波モジュール1Aの説明は、限定的に解釈されるべきではない。
【0134】
電力増幅回路20A(PA)は、実施の形態1に係る電力増幅回路20と同様に、モジュール基板90の主面90aに配置され、半導体集積回路として実装されている。
【0135】
1/4波長伝送線路43(λ/4)は、モジュール基板90の主面90bに配置されている。1/4波長伝送線路43は、モジュール基板90の平面視において電力増幅回路20Aに隣接して配置されている。
【0136】
[2.3 効果など]
以上のように、本実施の形態に係る高周波モジュール1Aにおいて、電力増幅回路10は、差動増幅型の電力増幅回路であってもよく、電力増幅回路20Aは、ドハティ型の電力増幅回路であってもよい。
【0137】
これによれば、ドハティ型の電力増幅回路のためのトランスフォーマ42がモジュール基板90の主面90bに配置されるので、ドハティ型の電力増幅回路に必要となる1/4波長伝送線路43もモジュール基板90の主面90bに配置しやすくなる。したがって、モジュール基板90の主面90bの領域を有効に活用することができ、高周波モジュール1Aの小型化に貢献することができる。特に、比較的大きな1/4波長伝送線路43が主面90bに配置されることによる小型化効果は大きい。また、一般的に歪みの大きな領域で動作することが多い主面90aに配置された電力増幅回路20Aに接続された1/4波長伝送線路43及びトランスフォーマ42が主面90bに配置されることにより、主面90aに配置される多くの部品に帯域外ノイズが漏洩することを抑制することができる。
【0138】
(実施の形態3)
次に、実施の形態3について説明する。本実施の形態では、バンドAがTDD用のバンドである点が実施の形態1と主として異なる。以下に、本実施の形態に係る高周波モジュールについて、実施の形態1と異なる点を中心に図面を参照しながら説明する。
【0139】
[3.1 高周波モジュール1Bの回路構成]
本実施の形態に係る高周波モジュール1Bの回路構成について、
図10を参照しながら説明する。
図10は、本実施の形態に係る通信装置5Bの回路構成図である。
【0140】
なお、
図10は、通信装置5B及び高周波モジュール1Bの例示的な回路構成を示し、通信装置5B及び高周波モジュール1Bは、多種多様な回路実装及び回路技術のいずれかを使用して実装され得る。したがって、以下に提供される通信装置5B及び高周波モジュール1Bの説明は、限定的に解釈されるべきではない。
【0141】
通信装置5Bは、高周波モジュール1の代わりに高周波モジュール1Bを備える点を除いて実施の形態1に係る通信装置5と同様であるので、その説明を省略する。
【0142】
高周波モジュール1Bは、スイッチ回路71の代わりに、スイッチ回路71Bを備える。つまり、高周波モジュール1Bは、電力増幅回路10及び20と、低雑音増幅回路30と、トランスフォーマ41及び42と、整合回路51~54と、フィルタ回路61T、61R、62T、62R、63T及び63Rと、スイッチ回路71B及び72と、PA制御回路80と、アンテナ接続端子101と、高周波入力端子102及び103と、高周波出力端子104及び105と、を備える。
【0143】
本実施の形態では、第1パワークラスは、第2パワークラスと同じ最大出力電力で規定される。つまり、第1パワークラスは、第2パワークラスと同じである。第1パワークラスとして、典型的にはパワークラス2が用いられる。
【0144】
また、本実施の形態では、バンドAとして、ハイバンド群に含まれるTDD用の周波数バンドが用いられ、バンドB及びCとして、ミッドバンド群に含まれるFDD用の周波数バンドが用いられる。なお、バンドA~Cは、これに限定されない。例えば、バンドAとして、ハイバンド群とは異なるバンド群に含まれる周波数バンドが用いられてもよく、バンドB及び/又はCとして、ミッドバンド群とは異なるバンド群に含まれる周波数バンドが用いられてもよい。
【0145】
スイッチ回路71Bは、フィルタ回路61T及び61Rに接続される端子711の代わりに、フィルタ回路61Tに接続される端子714とフィルタ回路61Rに接続される端子715とを含む。この接続構成において、スイッチ回路71Bは、例えばRFIC3からの制御信号に基づいて、端子710を端子712~715に接続することができる。このとき、スイッチ回路71Bは、端子710を端子714及び715に排他的に接続することができる。つまり、スイッチ回路71Bは、フィルタ回路61T及び61Rを選択的にアンテナ接続端子101に接続することができる。スイッチ回路71Bは、例えばマルチ接続型のスイッチ回路で構成される。
【0146】
なお、高周波モジュール1Bの回路構成は、例示であり、
図10の回路構成に限定されない。例えば、高周波モジュール1Bは、さらに、1以上のフィルタ回路を備えてもよい。この場合、その1以上のフィルタ回路及びフィルタ回路61Tは、スイッチ回路72と同様のスイッチ回路(図示せず)を介して整合回路51に接続されてもよい。
【0147】
また、高周波モジュール1Bは、送信用のフィルタ回路61T及び受信用のフィルタ回路61Rの代わりに、1つの送受信共用のフィルタを備えてもよい。この場合、高周波モジュール1Bは、送受信共用のフィルタと整合回路51及び整合回路53との間にSPDT型のスイッチ回路を備えてもよい。
【0148】
高周波モジュール1Bの実装例については、スイッチ回路71の代わりにスイッチ回路71Bがモジュール基板90の主面90aに配置される点を除いて、実施の形態1に係る高周波モジュール1の実装例と同様であるので、図示及び説明を省略する。
【0149】
[3.2 効果など]
以上のように、本実施の形態に係る高周波モジュール1Bは、さらに、主面90aに配置され、トランスフォーマ41に接続されるフィルタ回路61Tと、主面90aに配置され、トランスフォーマ42に接続されるフィルタ回路62Tと、を備えてもよく、フィルタ回路61Tの通過帯域は、TDD用のバンドAの送信帯域を含んでもよく、フィルタ回路62Tの通過帯域は、FDD用のバンドBの送信帯域を含んでもよい。
【0150】
これによれば、モジュール基板90内のグランド層、及び/又は、複数の外部接続端子100に含まれるグランド端子などによって、主面90aに配置された部品(例えばインダクタなど)とFDD用のトランスフォーマ42との間の結合を抑制することができ、トランスフォーマ42と当該部品との間のアイソレーションを改善することができる。特に、FDDでは、送信及び受信が同時に行われるため、トランスフォーマ42と受信用部品との間のアイソレーションの改善効果は大きい。
【0151】
また例えば、本実施の形態に係る高周波モジュール1Bは、さらに、主面90aに配置され、トランスフォーマ42に接続されるフィルタ回路63Tと、主面90bに配置され、トランスフォーマ42とフィルタ回路62T及び63Tとの間に接続されるスイッチ回路72と、を備えてもよく、複数の外部接続端子100は、トランスフォーマ42及びスイッチ回路72の間に配置されたグランド端子を含んでもよい。
【0152】
これによれば、トランスフォーマ42とスイッチ回路72の出力端(端子721及び722)との間の結合を抑制し、トランスフォーマ42とスイッチ回路72の出力端とのアイソレーションを向上させることができる。
【0153】
(実施の形態4)
次に、実施の形態4について説明する。本実施の形態では、バンドB及びCがTDD用のバンドである点が実施の形態1と主として異なる。以下に、本実施の形態に係る高周波モジュールについて、実施の形態1と異なる点を中心に図面を参照しながら説明する。
【0154】
[4.1 高周波モジュール1Cの回路構成]
本実施の形態に係る高周波モジュール1Cの回路構成について、
図11を参照しながら説明する。
図11は、本実施の形態に係る通信装置5Cの回路構成図である。
【0155】
なお、
図11は、通信装置5C及び高周波モジュール1Cの例示的な回路構成を示し、通信装置5C及び高周波モジュール1Cは、多種多様な回路実装及び回路技術のいずれかを使用して実装され得る。したがって、以下に提供される通信装置5C及び高周波モジュール1Cの説明は、限定的に解釈されるべきではない。
【0156】
通信装置5Cは、高周波モジュール1の代わりに高周波モジュール1Cを備える点を除いて実施の形態1に係る通信装置5と同様であるので、その説明を省略する。
【0157】
高周波モジュール1Cは、スイッチ回路71の代わりに、スイッチ回路71Cを備える。つまり、高周波モジュール1Cは、電力増幅回路10及び20と、低雑音増幅回路30と、トランスフォーマ41及び42と、整合回路51~54と、フィルタ回路61T、61R、62T、62R、63T及び63Rと、スイッチ回路71C及び72と、PA制御回路80と、アンテナ接続端子101と、高周波入力端子102及び103と、高周波出力端子104及び105と、を備える。
【0158】
本実施の形態では、第1パワークラスは、第2パワークラスと同じ最大出力電力で規定される。つまり、第1パワークラスは、第2パワークラスと同じである。第1パワークラスとして、典型的にはパワークラス2が用いられる。
【0159】
また、本実施の形態では、バンドAとして、ミッドバンド群に含まれるFDD用の周波数バンドが用いれられ、バンドB及びCとして、ハイバンド群に含まれるTDD用の周波数バンドが用いられる。なお、バンドA~Cは、これに限定されない。例えば、バンドAとして、ミッドバンド群とは異なるバンド群に含まれる周波数バンドが用いられてもよく、バンドB及び/又はCとして、ハイバンド群とは異なるバンド群に含まれる周波数バンドが用いられてもよい。
【0160】
スイッチ回路71Cは、フィルタ回路62T及び62Rに接続される端子712及びフィルタ回路63T及び63Rに接続される端子713の代わりに、フィルタ回路62Tに接続される端子716とフィルタ回路62Rに接続される端子717とフィルタ回路63Tに接続される端子718とフィルタ回路63Rに接続される端子719と、を含む。この接続構成において、スイッチ回路71Cは、例えばRFIC3からの制御信号に基づいて、端子710を端子711及び716~719に接続することができる。このとき、スイッチ回路71Cは、端子710を端子716及び717に排他的に接続することができ、端子710を端子718及び719に排他的に接続することができる。つまり、スイッチ回路71Cは、フィルタ回路62T及び62Rを選択的にアンテナ接続端子101に接続することができ、フィルタ回路63T及び63Rを選択的にアンテナ接続端子101に接続することができる。スイッチ回路71Cは、例えばマルチ接続型のスイッチ回路で構成される。
【0161】
なお、高周波モジュール1Cの回路構成は、例示であり、
図11の回路構成に限定されない。例えば、高周波モジュール1Cは、さらに、1以上のフィルタ回路を備えてもよい。この場合、その1以上のフィルタ回路及びフィルタ回路61Tは、スイッチ回路72と同様のスイッチ回路(図示せず)を介して整合回路51に接続されてもよい。
【0162】
なお、高周波モジュール1Cは、送信用のフィルタ回路62T及び受信用のフィルタ回路62Rの代わりに、1つの送受信共用のフィルタを備えてもよい。この場合、高周波モジュール1Cは、送受信共用のフィルタとスイッチ回路72の端子721とスイッチ33の端子331との間にSPDT型のスイッチ回路を備えてもよい。同様に、高周波モジュール1Cは、送信用のフィルタ回路63T及び受信用のフィルタ回路63Rの代わりに、1つの送受信共用のフィルタを備えてもよい。この場合、高周波モジュール1Cは、送受信共用のフィルタとスイッチ回路72の端子722とスイッチ33の端子332との間にSPDT型のスイッチ回路を備えてもよい。
【0163】
高周波モジュール1Cの実装例については、スイッチ回路71の代わりにスイッチ回路71Cがモジュール基板90の主面90aに配置される点を除いて、実施の形態1に係る高周波モジュール1の実装例と同様であるので、図示及び説明を省略する。
【0164】
[4.2 効果など]
以上のように、本実施の形態に係る高周波モジュール1Cは、さらに、主面90aに配置され、トランスフォーマ41に接続されるフィルタ回路61Tと、主面90aに配置され、トランスフォーマ42に接続されるフィルタ回路62Tと、を備えてもよく、フィルタ回路61Tの通過帯域は、FDD用のバンドAの送信帯域を含んでもよく、フィルタ回路62Tの通過帯域は、TDD用のバンドBの送信帯域を含んでもよい。
【0165】
これによれば、TDD用のバンドBのためのトランスフォーマ42がモジュール基板90の主面90bに配置されるので、トランスフォーマ42と主面90aに配置された他の部品(例えばFDD用のバンドAの受信のための部品)との間のアイソレーションを向上させることができる。
【0166】
(実施の形態5)
次に、実施の形態5について説明する。本実施の形態では、2つの電力増幅回路を用いて第2パワークラスよりも高い最大出力電力で規定される第3パワークラスに対応可能である点が実施の形態1と主として異なる。以下に、本実施の形態に係る高周波モジュールについて、実施の形態1と異なる点を中心に図面を参照しながら説明する。
【0167】
[5.1 通信装置5Dの回路構成]
まず、本実施の形態に係る通信装置5Dの回路構成について、
図12を参照しながら説明する。
図12は、本実施の形態に係る通信装置5Dの回路構成図である。
【0168】
なお、
図12は、通信装置5D及び高周波モジュール1Dの例示的な回路構成を示し、通信装置5D及び高周波モジュール1Dは、多種多様な回路実装及び回路技術のいずれかを使用して実装され得る。したがって、以下に提供される通信装置5D及び高周波モジュール1Dの説明は、限定的に解釈されるべきではない。
【0169】
通信装置5Dは、高周波モジュール1の代わりに高周波モジュール1Dを備え、アンテナ2の代わりにアンテナ2A及び2Bを備える。つまり、通信装置5Dは、高周波モジュール1Dと、アンテナ2A及び2Bと、RFIC3と、BBIC4と、を備える。
【0170】
アンテナ2A及び2Bは、高周波モジュール1Dのアンテナ接続端子101A及び100Bにそれぞれ接続される。アンテナ2A及び2Bの各々は、高周波モジュール1Dから出力された高周波信号を送信することができ、また、外部から高周波信号を受信して高周波モジュール1Dへ出力することができる。本実施の形態では、アンテナ2A及び2Bの各々から第2パワークラスの最大出力電力で同じバンドの高周波信号を送信することにより、第3パワークラスの最大出力電力に対応することができる。
【0171】
[5.2 高周波モジュール1Dの回路構成]
次に、本実施の形態に係る高周波モジュール1Dの回路構成について、
図12を参照しながら説明する。本実施の形態に係る高周波モジュール1Dは、フィルタ回路61T及び61Rの代わりにフィルタ回路62T及び62Rを備え、スイッチ回路71の代わりにスイッチ回路71Dを備え、アンテナ接続端子101の代わりにアンテナ接続端子101A及び101Bを備える。つまり、高周波モジュール1Dは、電力増幅回路10及び20と、低雑音増幅回路30と、トランスフォーマ41及び42と、整合回路51~54と、2つのフィルタ回路62Tと、2つのフィルタ回路62Rと、フィルタ回路63T及び63Rと、スイッチ回路71D及び72と、PA制御回路80と、アンテナ接続端子101A及び101Bと、高周波入力端子102及び103と、高周波出力端子104及び105と、を備える。
【0172】
2つのフィルタ回路62Tは、第1フィルタ回路及び第2フィルタ回路の一例である。2つのフィルタ回路62Tの各々は、バンドBの送信帯域(B-Tx)を含む通過帯域を有するバンドパスフィルタである。2つのフィルタ回路62Tの一方において、その一端は、整合回路51を介してトランスフォーマ41に接続され、その他端は、スイッチ回路71Dを介してアンテナ接続端子101A又は101Bに接続される。また、2つのフィルタ回路62Tの他方において、その一端は、スイッチ回路72及び整合回路52を介してトランスフォーマ42に接続され、その他端は、スイッチ回路71Dを介してアンテナ接続端子101A又は101Bに接続される。
【0173】
2つのフィルタ回路62Rの各々は、バンドBの受信帯域(B-Rx)を含む通過帯域を有するバンドパスフィルタである。2つのフィルタ回路62Rの一方において、その一端は、整合回路53を介して低雑音増幅器31に接続され、その他端は、スイッチ回路71Dを介してアンテナ接続端子101A又は101Bに接続される。また、2つのフィルタ回路62Rの他方において、その一端は、スイッチ33及び整合回路54を介して低雑音増幅器32に接続され、その他端は、スイッチ回路71Dを介してアンテナ接続端子101A又は101Bに接続される。
【0174】
本実施の形態において、バンドBは、第1バンドの一例であり、第2パワークラスよりも高い最大出力電力で規定される第3パワークラスを利用可能な周波数バンドである。なお、本実施の形態では、バンドBとして、FDD用の周波数バンドが用いられているが、TDD用の周波数バンドが用いられてもよい。
【0175】
電力増幅回路10は、第1電力増幅回路の一例であり、差動増幅型の電力増幅回路である。電力増幅回路10は、第1パワークラスに対応しており、電源(図示せず)から供給される電源電圧Vcc1及びVcc2を用いて入力信号よりも大きなエネルギーの出力信号を差動信号として得ることができる。
【0176】
本実施の形態では、第1パワークラスは、第2パワークラスと同じ最大出力電力で規定される。つまり、第1パワークラスは、第2パワークラスと同じパワークラスである。第1パワークラスとして、例えばパワークラス1、1.5、又は、2を用いることができ、典型的にはパワークラス2が用いられる。
【0177】
電力増幅回路20は、第2電力増幅回路の一例であり、差動増幅型の電力増幅回路である。電力増幅回路20は、第2パワークラスに対応しており、電源(図示せず)から供給される電源電圧Vcc1及びVcc2を用いて入力信号よりも大きなエネルギーの出力信号を得ることができる。
【0178】
本実施の形態では、第2パワークラスとして、例えばパワークラス1、1.5、又は、2を用いることができ、典型的にはパワークラス2が用いられる。例えば、第1パワークラス及び第2パワークラスとしてパワークラス2が用いられれば、第3パワークラスはパワークラス1.5となる。
【0179】
第3パワークラスがバンドBに適用される場合に、電力増幅回路10及び20で同時にバンドBの送信信号が増幅される。一方、第2パワークラスがバンドBに適用される場合には、電力増幅回路20でバンドBの送信信号が増幅され、電力増幅回路10でバンドBの送信信号が増幅されない。つまり、バンドBでは、電力増幅回路20が主電力増幅回路として用いられ、電力増幅回路10が補助電力増幅回路として用いられる。
【0180】
スイッチ回路71Dは、端子710の代わりに、アンテナ接続端子101Aに接続される端子710Aと、アンテナ接続端子101Bに接続される端子710Bと、を含む。この接続構成において、スイッチ回路71Dは、例えばRFIC3からの制御信号に基づいて、端子710A及び710Bを端子711~713に接続することができる。例えば、バンドBに第3パワークラスが適用される場合に、スイッチ回路71Dは、端子710Aを端子711に接続し、かつ、端子710Bを端子712に接続する。これにより、電力増幅回路10及び20で増幅されたバンドBの高周波信号がアンテナ2A及び2Bから同時に送信される。一方、バンドBに第3パワークラスが適用される場合に、スイッチ回路71Dは、端子710Aを端子711に接続せず、端子710Bを端子712に接続する。これにより、電力増幅回路20で増幅されたバンドBの高周波信号がアンテナ2Bから送信される。スイッチ回路71Dは、例えばマルチ接続型のスイッチ回路で構成される。
【0181】
なお、高周波モジュール1Dの回路構成は、例示であり、
図12の回路構成に限定されない。例えば、高周波モジュール1Dは、さらに、1以上のフィルタ回路を備えてもよい。この場合、その1以上のフィルタ回路と2つのフィルタ回路62Tの一方とは、スイッチ回路72と同様のスイッチ回路(図示せず)を介して整合回路51に接続されてもよい。
【0182】
[5.3 高周波モジュール1Dの実装例]
次に、以上のような回路構成を有する高周波モジュール1Dの実装例について、
図13及び
図14を参照しながら説明する。
図13は、本実施の形態に係る高周波モジュール1Dの平面図である。
図14は、本実施の形態に係る高周波モジュール1Dの平面図であり、z軸正側からモジュール基板90の主面90b側を透視した図である。
【0183】
なお、
図13及び
図14は、高周波モジュール1Dの例示的な構成を示し、高周波モジュール1Dは、多種多様な回路実装及び回路技術のいずれかを使用して実装され得る。したがって、以下に提供される高周波モジュール1Dの説明は、限定的に解釈されるべきではない。
【0184】
本実施の形態では、高周波モジュール1Dは、金属部材91の代わりに、金属部材91Dを備える。
【0185】
金属部材91D(SCW)は、金属部材91と同様に、モジュール基板90の主面90aに配置されており、モジュール基板90の平面視において、トランスフォーマ41及び整合回路53の間に配置されている。金属部材91Dは、モジュール基板90の主面90aからシールド層94まで延びている。金属部材91Dの先端は、シールド層94に接続されている。金属部材91Dの材料としては、例えば銅、金、又は、真ちゅうを用いることができるが、これに限定されない。
【0186】
なお、本実施の形態では、金属部材91Dは、モジュール基板90の平面視において、電力増幅回路20及びトランスフォーマ41の間に配置されている。さらに、金属部材91Dは、モジュール基板90の平面視において、電力増幅回路10及びトランスフォーマ42の間に配置されている。
【0187】
スイッチ回路71D(SW)は、スイッチ回路71の代わりに、モジュール基板90の主面90bに配置されている。
【0188】
複数の外部接続端子100は、上記各実施の形態と同様に、モジュール基板90の主面90bに配置され、モジュール基板90の平面視においてトランスフォーマ42及び電力増幅回路10の間に配置されたグランド端子を含む。
【0189】
[5.4 効果など]
以上のように、本実施の形態に係る高周波モジュール1Dは、さらに、主面90aに配置され、トランスフォーマ41に接続されるフィルタ回路62Tと、主面90aに配置され、トランスフォーマ42に接続されるフィルタ回路62Tと、を備えてもよく、フィルタ回路62Tの各々の通過帯域は、バンドAの送信帯域を含んでもよく、第2パワークラスよりも高い最大出力電力で規定される第3パワークラスがバンドAに適用される場合に、電力増幅回路10及び電力増幅回路20で同時にバンドAの高周波信号が増幅されてもよく、第2パワークラスがバンドAに適用される場合に、電力増幅回路20でバンドAの高周波信号が増幅されてもよく、電力増幅回路10でバンドAの高周波信号が増幅されなくてもよい。
【0190】
これによれば、第3パワークラス及び第2パワークラスの両方で利用される電力増幅回路20に接続されるトランスフォーマ42が主面90bに配置され、第2パワークラスでは利用されない電力増幅回路10に接続されるトランスフォーマ41が主面90aに配置される。したがって、モジュール基板90内のグランド層、及び/又は、複数の外部接続端子100に含まれるグランド端子などによって、主面90aに配置された部品(例えばインダクタなど)と第3パワークラス及び第2パワークラスの両方で利用される電力増幅回路20に接続されるトランスフォーマ42との間の結合を抑制することができ、トランスフォーマ42と当該部品との間のアイソレーションを改善することができる。電力増幅回路10よりも電力増幅回路20の方が利用頻度が高くなるため、トランスフォーマ42と主面90a上の部品との間のアイソレーションの改善効果は大きい。
【0191】
また例えば、本実施の形態に係る高周波モジュール1Dは、さらに、主面90aに配置され、かつ、モジュール基板90の平面視においてトランスフォーマ41及び電力増幅回路20の間に配置された金属部材91Dを備えてもよい。
【0192】
これによれば、金属部材91Dによってトランスフォーマ41と電力増幅回路20の入力端との間の結合を抑制することができ、トランスフォーマ41と電力増幅回路20の入力端との間のアイソレーションを向上させることができる。
【0193】
また例えば、本実施の形態に係る高周波モジュール1Dにおいて、複数の外部接続端子100は、モジュール基板90の平面視において、トランスフォーマ42及び電力増幅回路10の間に配置されたグランド端子を含んでもよい。
【0194】
これによれば、トランスフォーマ42及び電力増幅回路10の間の結合を抑制することができ、トランスフォーマ42及び電力増幅回路10の間のアイソレーションを向上させることができる。
【0195】
(変形例)
次に、上記各実施の形態に適用可能な変形例について説明する。本変形例では、2つのトランスフォーマの配置が上記各実施の形態と異なる。以下に、本変形例について、
図15~
図17を参照しながら説明する。
【0196】
図15は、本変形例に係る高周波モジュールの部分平面図である。
図16は、本変形例に係る高周波モジュールの部分平面図であり、z軸正側からモジュール基板90の主面90b側を透視した図である。
図17は、本変形例に係る高周波モジュールの部分断面図である。
図17における高周波モジュールの断面は、
図15及び
図16のxvii-xvii線における断面である。
【0197】
なお、
図15~
図17は、変形例に係る高周波モジュールの例示的な構成を示し、高周波モジュールは、多種多様な回路実装及び回路技術のいずれかを使用して実装され得る。したがって、以下に提供される高周波モジュールの説明は、限定的に解釈されるべきではない。
【0198】
本変形例では、トランスフォーマ41及び42は、モジュール基板90の平面視において、電力増幅回路10及び20(20A)の間に配置されている。また、トランスフォーマ42は、モジュール基板90の平面視において、トランスフォーマ41と少なくとも部分的に重なっている。さらに、トランスフォーマ41が形成されたモジュール基板90の主面90aを含む複数の第1レイヤは、トランスフォーマ42が形成されたモジュール基板90の主面90bを含む複数の第2レイヤと少なくとも部分的に重なっている。つまり、トランスフォーマ41が形成された複数の第1レイヤの少なくとも一部は、トランスフォーマ42が形成された複数の第2レイヤに含まれる。逆に言えば、トランスフォーマ42が形成された複数の第2レイヤの少なくとも一部は、トランスフォーマ41が形成された複数の第1レイヤに含まれる。
【0199】
以上のように、本変形例に係る高周波モジュールにおいて、トランスフォーマ41は、モジュール基板90の主面90aを含む複数の第1レイヤに形成されてもよく、トランスフォーマ42は、モジュール基板90の主面90bを含む複数の第2レイヤに形成されてもよく、複数の第1レイヤは、複数の第2レイヤと少なくとも部分的に重なってもよい。
【0200】
これによれば、モジュール基板90のレイヤ数を削減することができ、製造コストの削減及び高周波モジュール1の低背化に貢献することができる。
【0201】
また例えば、本変形例に係る高周波モジュールにおいて、トランスフォーマ42は、モジュール基板90の平面視において、トランスフォーマ41と少なくとも部分的に重なってもよい。
【0202】
これによれば、モジュール基板90の平面視において、トランスフォーマ41及び42が占有する領域を削減することができ、高周波モジュールの小型化に貢献することができる。
【0203】
また例えば、本変形例に係る高周波モジュールにおいて、トランスフォーマ41及びトランスフォーマ42は、モジュール基板90の平面視において、電力増幅回路10及び20(20A)の間に配置されてもよい。
【0204】
これによれば、トランスフォーマ41及び電力増幅回路10との間の配線長と、トランスフォーマ42及び電力増幅回路20(20A)との間の配線長とを短縮することができ、配線による抵抗損失及び/又は配線の浮遊容量による不整合損を抑制することができる。
【0205】
(他の実施の形態)
以上、本発明に係る高周波モジュールについて、実施の形態に基づいて説明したが、本発明に係る高周波モジュールは、上記実施の形態に限定されるものではない。上記実施の形態における任意の構成要素を組み合わせて実現される別の実施の形態や、上記実施の形態に対して本発明の主旨を逸脱しない範囲で当業者が思いつく各種変形を施して得られる変形例や、上記高周波モジュールを内蔵した各種機器も本発明に含まれる。
【0206】
例えば、上記各実施の形態に係る高周波モジュールの回路構成において、図面に開示された各回路素子及び信号経路を接続する経路の間に、別の回路素子及び配線などが挿入されてもよい。例えば、フィルタとアンテナ接続端子との間にインピーダンス整合回路が挿入されてもよい。
【0207】
なお、上記実施の形態1、3、4及び5において、高周波モジュールに含まれる2つの電力増幅回路は、ともに差動増幅型の電力増幅回路であったが、これに限定されない。例えば、2つの電力増幅回路は、ともにドハティ型の電力増幅回路であってもよい。また例えば、2つの電力増幅回路の一方は差動増幅型の電力増幅回路であり、2つの電力増幅回路の他方はドハティ型の電力増幅回路であってもよい。
【0208】
以下に、上記各実施の形態に基づいて説明した高周波モジュールの特徴を示す。
<1>
互いに対向する第1主面及び第2主面を有するモジュール基板と、
前記第2主面に配置された複数の外部接続端子と、
前記第1主面に配置され、第1パワークラスに対応する第1電力増幅回路と、
前記第1主面に配置され、第2パワークラスに対応する第2電力増幅回路と、
前記第1電力増幅回路に接続され、前記第1主面に配置された第1トランスフォーマと、
前記第2電力増幅回路に接続され、前記第2主面に配置された第2トランスフォーマと、を備え、
前記第2パワークラスは、パワークラス3よりも高い最大出力電力で規定されており、
前記第1パワークラスは、前記第2パワークラスよりも低い最大出力電力又は前記第2パワークラスと同じ最大出力電力で規定されている、
高周波モジュール。
<2>
前記第1電力増幅回路は、差動増幅型の電力増幅回路であり、
前記第2電力増幅回路は、ドハティ型の電力増幅回路である、
<1>に記載の高周波モジュール。
<3>
前記高周波モジュールは、さらに、
前記第1主面に配置され、前記第1トランスフォーマに接続される第1フィルタ回路と、
前記第1主面に配置され、前記第2トランスフォーマに接続される第2フィルタ回路と、
前記第1主面に配置され、前記第2トランスフォーマに接続される第3フィルタ回路と、
前記第2主面に配置され、前記第2トランスフォーマと前記第2フィルタ回路及び前記第3フィルタ回路との間に接続されるスイッチ回路と、を備え、
前記第1フィルタ回路の通過帯域は、時分割複信用の第1バンドの送信帯域を含み、
前記第2フィルタ回路の通過帯域は、周波数分割複信用の第2バンドの送信帯域を含み、
前記第3フィルタ回路の通過帯域は、周波数分割複信用の第3バンドの送信帯域を含む、
<1>に記載の高周波モジュール。
<4>
前記複数の外部接続端子は、前記第2トランスフォーマ及び前記スイッチ回路の間に配置されたグランド端子を含む、
<3>に記載の高周波モジュール。
<5>
前記高周波モジュールは、さらに、
前記第1主面に配置され、前記第1トランスフォーマに接続される第1フィルタ回路と、
前記第1主面に配置され、前記第2トランスフォーマに接続される第2フィルタ回路と、を備え、
前記第1フィルタ回路の通過帯域は、周波数分割複信用の第1バンドの送信帯域を含み、
前記第2フィルタ回路の通過帯域は、時分割複信用の第2バンドの送信帯域を含む、
<1>に記載の高周波モジュール。
<6>
前記高周波モジュールは、さらに、
前記第1主面に配置され、前記第1トランスフォーマに接続される第1フィルタ回路と、
前記第1主面に配置され、前記第2トランスフォーマに接続される第2フィルタ回路と、を備え、
前記第1フィルタ回路及び前記第2フィルタ回路の各々の通過帯域は、第1バンドの送信帯域を含み、
前記第2パワークラスよりも高い最大出力電力で規定される第3パワークラスが前記第1バンドに適用される場合に、前記第1電力増幅回路及び前記第2電力増幅回路で同時に前記第1バンドの高周波信号が増幅され、
前記第2パワークラスが前記第1バンドに適用される場合に、前記第2電力増幅回路で前記第1バンドの高周波信号が増幅され、前記第1電力増幅回路で前記第1バンドの高周波信号が増幅されない、
<1>に記載の高周波モジュール。
<7>
前記高周波モジュールは、さらに、前記第1主面に配置され、かつ、前記モジュール基板の平面視において前記第1トランスフォーマ及び前記第2電力増幅回路の間に配置された金属部材を備える、
<6>に記載の高周波モジュール。
<8>
前記複数の外部接続端子は、前記モジュール基板の平面視において、前記第2トランスフォーマ及び前記第1電力増幅回路の間に配置されたグランド端子を含む、
<6>又は<7>に記載の高周波モジュール。
<9>
前記高周波モジュールは、さらに、
低雑音増幅回路と、
前記低雑音増幅回路に接続され、前記第1主面に配置されたインダクタと、を備え、
前記第2トランスフォーマよりも前記第1トランスフォーマの方が前記インダクタから離れて配置されている、
<1>~<8>のいずれか1つに記載の高周波モジュール。
<10>
前記高周波モジュールは、さらに、前記第1主面に配置され、かつ、前記モジュール基板の平面視において前記第1トランスフォーマ及び前記インダクタの間に配置された金属部材を備える、
<9>に記載の高周波モジュール。
<11>
前記高周波モジュールは、さらに、
前記第1主面に配置された前記第1電力増幅回路及び前記第2電力増幅回路の少なくとも一部を覆う樹脂部材と、
前記樹脂部材の表面の少なくとも一部を覆うシールド層と、を備え、
前記金属部材の先端は、前記シールド層に接続されている、
<10>に記載の高周波モジュール。
<12>
前記高周波モジュールは、さらに、前記第2トランスフォーマに接続され、前記第1主面に配置された整合回路を備え、
前記整合回路は、前記モジュール基板の平面視において、前記第2トランスフォーマと少なくとも部分的に重なっている、
<1>~<11>のいずれか1つに記載の高周波モジュール。
<13>
前記第1トランスフォーマは、前記モジュール基板の前記第1主面を含む複数の第1レイヤに形成されており、
前記第2トランスフォーマは、前記モジュール基板の前記第2主面を含む複数の第2レイヤに形成されており、
前記複数の第1レイヤは、前記複数の第2レイヤと重なっていない、
<1>~<12>のいずれか1つに記載の高周波モジュール。
<14>
前記第1トランスフォーマは、前記モジュール基板の前記第1主面を含む複数の第1レイヤに形成されており、
前記第2トランスフォーマは、前記モジュール基板の前記第2主面を含む複数の第2レイヤに形成されており、
前記複数の第1レイヤは、前記複数の第2レイヤと少なくとも部分的に重なっている、
<1>~<12>のいずれか1つに記載の高周波モジュール。
<15>
前記第2トランスフォーマは、前記モジュール基板の平面視において、前記第1トランスフォーマと重なっていない、
<1>~<14>のいずれか1つに記載の高周波モジュール。
<16>
前記第2トランスフォーマは、前記モジュール基板の平面視において、前記第1トランスフォーマと少なくとも部分的に重なっている、
<1>~<14>のいずれか1つに記載の高周波モジュール。
<17>
前記第1トランスフォーマ及び前記第2トランスフォーマは、前記モジュール基板の平面視において、前記第1電力増幅回路及び前記第2電力増幅回路の間に配置されている、
<16>に記載の高周波モジュール。
【産業上の利用可能性】
【0209】
本発明は、フロントエンド部に配置される高周波モジュールとして、携帯電話などの通信機器に広く利用できる。
【符号の説明】
【0210】
1、1A、1B、1C、1D 高周波モジュール
2、2A、2B アンテナ
3 RFIC
4 BBIC
5、5A、5B、5C、5D 通信装置
10、20、20A 電力増幅回路
11、12、13、21、22、23 電力増幅器
14、24、41、42 トランスフォーマ
30 低雑音増幅回路
31、32 低雑音増幅器
33 スイッチ
43 1/4波長伝送線路
51、52、53、54 整合回路
61R、61T、62R、62T、63R、63T フィルタ回路
71、71B、71C、71D、72 スイッチ回路
80 PA制御回路
90 モジュール基板
90a、90b 主面
91、91D 金属部材
92、93 樹脂部材
94 シールド層
101、101A、101B アンテナ接続端子
102、103 高周波入力端子
104、105 高周波出力端子
330、331、332、710、710A、710B、711、712、713、714、715、716、717、718、719、720、721、722 端子
411、421 一次コイル
411M、421M 中点
412、422 二次コイル
901、902、903、904、905、906、907、908 レイヤ