(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024089437
(43)【公開日】2024-07-03
(54)【発明の名称】開閉装置
(51)【国際特許分類】
H02J 13/00 20060101AFI20240626BHJP
H02H 3/08 20060101ALI20240626BHJP
【FI】
H02J13/00 301A
H02H3/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022204794
(22)【出願日】2022-12-21
(71)【出願人】
【識別番号】000000262
【氏名又は名称】株式会社ダイヘン
(74)【代理人】
【識別番号】100135389
【弁理士】
【氏名又は名称】臼井 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100168044
【弁理士】
【氏名又は名称】小淵 景太
(72)【発明者】
【氏名】宇田 尚哉
【テーマコード(参考)】
5G004
5G064
【Fターム(参考)】
5G004AA01
5G064AC06
5G064AC09
5G064CB08
5G064CB11
5G064DA01
(57)【要約】
【課題】送電路に流すことが可能な電流の許容値(許容電流)を増大させることができる開閉装置を提供する。
【解決手段】開閉装置A1は、電力が入力される導線91と電力を出力する導線92との間に互いに並列に接続された開閉器1Aおよび開閉器1Bと、開閉器1Aに流れる第1電流を検出する電流検出部2Aと、開閉器1Bに流れる第2電流を検出する電流検出部2Bと、第1電流と第2電流との電流不均衡を検出する不均衡検出部3と、を備える。不均衡検出部3は、第1電流と第2電流とを比較して、第1電流と第2電流との差の絶対値が閾値以上である場合に、電流不均衡であると判定する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力が入力される入力導線と電力を出力する出力導線との間に互いに並列に接続された第1開閉器および第2開閉器と、
前記第1開閉器に流れる第1電流を検出する第1電流検出部と、
前記第2開閉器に流れる第2電流を検出する第2電流検出部と、
前記第1電流と前記第2電流との電流不均衡を検出する不均衡検出部と、
を備え、
前記不均衡検出部は、前記第1電流と前記第2電流とを比較して、前記第1電流と前記第2電流との差の絶対値が閾値以上である場合に、前記電流不均衡であると判定する、開閉装置。
【請求項2】
前記第1開閉器は、前記入力導線に電気的に接続される第1入力端と、前記出力導線に電気的に接続される第1出力端とを有し、
前記第1電流検出部は、前記第1出力端に流れる第1出力電流を検出する第1出力側検出器を有し、
前記第2開閉器は、前記入力導線に電気的に接続される第2入力端と、前記出力導線に電気的に接続される第2出力端とを有し、
前記第2電流検出部は、前記第2出力端に流れる第2出力電流を検出する第2出力側検出器を有し、
前記不均衡検出部は、前記第1出力電流と前記第2出力電流との電流不均衡である出力側不均衡が生じているか否かを判定する出力側判定部を含み、前記出力側判定部が前記出力側不均衡であると判定した時、前記第1電流と前記第2電流とに電流不均衡が発生していると判定する、請求項1に記載の開閉装置。
【請求項3】
前記第1電流検出部は、前記第1入力端に流れる第1入力電流を検出する第1入力側検出器を有し、
前記第2電流検出部は、前記第2入力端に流れる第2入力電流を検出する第2入力側検出器を有し、
前記不均衡検出部は、前記第1入力電流と前記第2入力電流との電流不均衡である入力側不均衡が生じているか否かを判定する入力側判定部を含み、前記入力側判定部が前記入力側不均衡であると判定した時、あるいは、前記出力側判定部が前記出力側不均衡であると判定した時、前記第1電流と前記第2電流とに電流不均衡が発生していると判定する、請求項2に記載の開閉装置。
【請求項4】
前記第1開閉器および前記第2開閉器の各々のオンとオフとの切り替えを制御する制御部をさらに備え、
前記制御部は、前記不均衡検出部が前記第1電流と前記第2電流との電流不均衡を検出すると、前記第1開閉器および前記第2開閉器の各々をオフにする、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の開閉装置。
【請求項5】
前記入力導線と前記出力導線との間に接続され、且つ、前記第1開閉器および前記第2開閉器の各々に並列に接続された第3開閉器と、
前記第3開閉器に流れる第3電流を検出する第3電流検出部と、をさらに備え、
前記不均衡検出部は、前記第1電流、前記第2電流および前記第3電流の平均からの偏差に基づいて、前記第1電流と前記第2電流と前記第3電流との電流不均衡であるか否かを判定する、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の開閉装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、開閉装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電力需要家において、太陽光発電などの発電設備が多く設置されるとともに、発電設備が分散電源として商用電源系統と連系するようになってきている。このような発電設備は、発電手段(例えば太陽電池)と、発電手段による発電電力の出力を制御するパワーコンディショナとを備える。例えば、特許文献1には、従来のパワーコンディショナの一例が開示されている。特許文献1に記載のパワーコンディショナは、太陽光発電手段から供給された直流電力を交流電力に変換し、配線用遮断器を介して商用電源系統に連系する。パワーコンディショナには、商用電源系統に接続される側の送電路に、リレー遮断回路が設けられている。リレー遮断回路は、パワーコンディショナ内部に異常が発生すると、開放される。これにより、発電設備で発生した異常によって、商用電源系統に悪影響が生じることを防ぐことができる。なお、特許文献1には、パワーコンディショナ内部の異常として、アーク放電が例示されており、当該アーク放電は、送電路に繋がる回路での短絡故障等により発生する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のパワーコンディショナのように、開閉器(リレー遮断回路)を使用する際、送電路に流す電流の大きさは、開閉器の許容電流よりも小さくする必要がある。これは、送電路に流す電流が大きく、開閉器に流れる電流が開閉器の許容電流を超過すると、開閉器を故障させる虞があるからである。したがって、開閉器の許容電流によって、送電路に流す電流の増大化に限度があった。
【0005】
本開示は、上記事情に鑑みて考え出されたものであり、その目的は、送電路に流すことが可能な電流の許容値(許容電流)を増大させることができる開閉装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の開閉装置は、電力が入力される入力導線と電力を出力する出力導線との間に互いに並列に接続された第1開閉器および第2開閉器と、前記第1開閉器に流れる第1電流を検出する第1電流検出部と、前記第2開閉器に流れる第2電流を検出する第2電流検出部と、前記第1電流と前記第2電流との電流不均衡を検出する不均衡検出部と、を備え、前記不均衡検出部は、前記第1電流と前記第2電流とを比較して、前記第1電流と前記第2電流との差の絶対値が閾値以上である場合に、前記電流不均衡であると判定する。
【0007】
前記開閉装置の好ましい実施の形態において、前記第1開閉器は、前記入力導線に電気的に接続される第1入力端と、前記出力導線に電気的に接続される第1出力端とを有し、前記第1電流検出部は、前記第1出力端に流れる第1出力電流を検出する第1出力側検出器を有し、前記第2開閉器は、前記入力導線に電気的に接続される第2入力端と、前記出力導線に電気的に接続される第2出力端とを有し、前記第2電流検出部は、前記第2出力端に流れる第2出力電流を検出する第2出力側検出器を有し、前記不均衡検出部は、前記第1出力電流と前記第2出力電流との電流不均衡である出力側不均衡が生じているか否かを判定する出力側判定部を含み、前記出力側判定部が前記出力側不均衡であると判定した時、前記第1電流と前記第2電流とに電流不均衡が発生していると判定する。
【0008】
前記開閉装置の好ましい実施の形態において、前記第1電流検出部は、前記第1入力端に流れる第1入力電流を検出する第1入力側検出器を有し、前記第2電流検出部は、前記第2入力端に流れる第2入力電流を検出する第2入力側検出器を有し、前記不均衡検出部は、前記第1入力電流と前記第2入力電流との電流不均衡である入力側不均衡が生じているか否かを判定する入力側判定部を含み、前記入力側判定部が前記入力側不均衡であると判定した時、あるいは、前記出力側判定部が前記出力側不均衡であると判定した時、前記第1電流と前記第2電流とに電流不均衡が発生していると判定する。
【0009】
前記開閉装置の好ましい実施の形態において、前記第1開閉器および前記第2開閉器の各々のオンとオフとの切り替えを制御する制御部をさらに備え、前記制御部は、前記不均衡検出部が前記第1電流と前記第2電流との電流不均衡を検出すると、前記第1開閉器および前記第2開閉器の各々をオフにする。
【0010】
前記開閉装置の好ましい実施の形態において、前記入力導線と前記出力導線との間に接続され、且つ、前記第1開閉器および前記第2開閉器の各々に並列に接続された第3開閉器と、前記第3開閉器に流れる第3電流を検出する第3電流検出部と、をさらに備え、前記不均衡検出部は、前記第1電流、前記第2電流および前記第3電流の平均からの偏差に基づいて、前記第1電流と前記第2電流と前記第3電流との電流不均衡であるか否かを判定する。
【発明の効果】
【0011】
本開示の開閉装置は、2つの導線間に互いに並列に接続された第1開閉器および第2開閉器を備えているので、2つの導線の一方から他方に流れる電流は、第1開閉器と第2開閉器とに分流される。このため、2つの導線に流す電流を大きくしても、第1開閉器および第2開閉器にそれぞれ流れる電流が、第1開閉器および第2開閉器の各許容電流を超過することを抑制できる。したがって、本開示の開閉装置は、送電路としての2つの導線間での許容電流を増大させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】第1実施形態に係る開閉装置を備える電力システムの概略図である。
【
図2】第1実施形態に係る開閉装置の構成例を示す図である。
【
図3】第1実施形態に係る開閉装置の各信号出力を示す表である。
【
図4】第1実施形態の変形例に係る開閉装置の構成例を示す図である。
【
図5】第2実施形態に係る開閉装置の構成例を示す図である。
【
図6】第2実施形態の変形例に係る開閉装置の不均衡検出部の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本開示の開閉装置の好ましい実施の形態について、図面を参照して、以下に説明する。
図1(a),(b)はそれぞれ、第1実施形態に係る開閉装置A1を備える電力システムS1の概略図を示している。開閉装置A1は、
図1に示すように、2つの導線91,92の間に接続される。開閉装置A1は、2つの開閉器1を備える。2つの開閉器1の各々は、2つの導線91,92の間に接続される。2つの開閉器1は、互いに並列に接続される。開閉装置A1は、2つの開閉器1の全てがオフ状態であると、2つの導線91,92間が遮断され、2つの開閉器1のいずれかがオン状態であると、2つの導線91,92間が導通する。開閉装置A1は、電力システムS1における送電線の各相にそれぞれ設けられる。
【0014】
図1(a)に示す例では、導線91には、電力変換回路B1が接続され、導線92には、電力系統K1が接続される。電力変換回路B1は、例えばインバータであり、太陽電池PVが接続される。この例においては、太陽電池PVで発電された電力が、電力変換回路B1によって、電力系統K1と連系するのに適した電力に変換される。当該変換された電力は、導線91を介して、開閉装置A1に入力される。そして、開閉装置A1から導線92を介して電力系統K1に出力される。
図1(a)に示す例では、電力変換回路B1および開閉装置A1は、太陽電池PVの発電電力を制御するパワーコンディショナに設けられる。
図1(b)に示す例では、導線91には、電力変換回路B1が接続され、導線92には、モータM1が接続される。この例においては、電源PSから出力された電力が、電力変換回路B1によって、モータM1を動作させるのに適した電力に変換される。当該変換された電力は、導線91を介して、開閉装置A1に入力される。そして、開閉装置A1から導線92を介してモータM1に出力される。
図1(b)に示す例では、電力変換回路B1および開閉装置A1は、モータM1の駆動を制御するモータ制御装置に設けられる。これらの例では、開閉装置A1に対して、導線91が電力の入力導線となり、導線92が電力の出力導線となる。本実施形態では、導線91を入力側、導線92を出力側とする。なお、電力システムS1は、上記した例に限定されない。例えば、
図1(a)において、太陽電池PVの代わりに、蓄電池または電気自動車を用いてもよい。この場合、電力変換回路B1は、蓄電池または電気自動車と、電力系統K1との間で双方向の電力伝送が可能である。
【0015】
図2は、第1実施形態に係る開閉装置A1の構成例を示している。開閉装置A1は、2つの開閉器1、2つの電流検出部2、不均衡検出部3および制御部4を備える。以下の説明において、2つの開閉器1を区別する場合、開閉器1A,1Bという。また、2つの電流検出部2を区別する場合、2つの電流検出部2を電流検出部2A,2Bという。
【0016】
2つの開閉器1(1A,1B)はそれぞれ、制御部4から入力される開閉信号に応じて、オンとオフとが切り替わる。
図2では、各開閉器1A,1Bの各々は、オンである状態を示している。2つの開閉器1(1A,1B)はそれぞれ、例えばリレーである。2つの開閉器1(1A,1B)はそれぞれ、リレーに限定されず、電磁開閉器、または半導体スイッチ(例えばトランジスタ)などのオンとオフとの切り替えが可能なものであればよい。導線91は、開閉装置A1の内部で2つの分岐線911に分岐され、導線92は、開閉装置A1の内部で2つの分岐線921に分岐される。2つの開閉器1A,1Bの一方は、2つの分岐線911の一方と2つの分岐線921の一方とに接続され、2つの開閉器1A,1Bの他方は、2つの分岐線911の他方と2つの分岐線921の他方とに接続される。2つの開閉器1A,1Bはそれぞれ、分岐線911(導線91)に電気的に接続される入力端11と、分岐線921(導線92)に接続される出力端12とを有する。2つの開閉器1A,1Bの各最大許容電流は、何ら限定されないが、本実施形態では、同じものとする。
【0017】
2つの電流検出部2(2A,2B)は、2つの開閉器1(1A,1B)に対してそれぞれ個別に設けられる。2つの電流検出部2A,2Bはそれぞれ、対応する開閉器1A,1Bに流れる電流を検出する。つまり、電流検出部2Aは、開閉器1Aに流れる電流を検出し、電流検出部2Bは、開閉器1Bに流れる電流を検出する。以下の説明において、開閉器1Aに流れる電流を「第1電流」、開閉器1Bに流れる電流を「第2電流」ということがある。2つの電流検出部2A,2Bはそれぞれ、対応する開閉器1A,1Bに対して、分岐線911に設置された入力側検出器21と、分岐線921に設置された出力側検出器22とを有する。以下で説明する入力側検出器21および出力側検出器22は、特段の断りがない限り、各電流検出部2A,2Bで共通する。
【0018】
入力側検出器21は、対応する開閉器1A,1Bの入力端11に流れる電流(以下「入力電流」という)を検出する。以下の説明において、開閉器1Aの入力電流を「第1入力電流」、開閉器1Bの入力電流を「第2入力電流」ということがある。出力側検出器22は、対応する開閉器1A,1Bの出力端12に流れる電流(以下「出力電流」という)を検出する。以下の説明において、開閉器1Aの出力電流を「第1出力電流」、開閉器1Bの出力電流を「第2出力電流」ということがある。開閉器1Aが正常であれば、第1入力電流と第1出力電流とは略同じであり、開閉器1Aに異常があれば、第1入力電流と第1出力電流とが異なることがある。同様に、開閉器1Bが正常であれば、第2入力電流と第2出力電流とは略同じであり、開閉器1Bに異常があれば、第2入力電流と第2出力電流とが異なることがある。
【0019】
入力側検出器21および出力側検出器22はそれぞれ、例えばシャント抵抗201と増幅回路202とを含む。入力側検出器21および出力側検出器22はそれぞれ、シャント抵抗201で発生する降下電圧を、増幅回路202により増幅して、不均衡検出部3に出力する。入力側検出器21の出力は、入力電流の大きさに応じた電圧信号であり、出力側検出器22の出力は、出力電流の大きさに応じた電圧信号である。なお、シャント抵抗201における降下電圧のレベルが適度な大きさを確保していれば、増幅回路202を含んでいなくてもよい。なお、入力側検出器21および出力側検出器22の各構成は、流れる電流に応じた出力が可能であれば、この例に限定されない。
【0020】
不均衡検出部3は、2つの開閉器1A,1Bの各々に流れる電流の電流不均衡を検出する。よって、不均衡検出部3は、第1電流と第2電流との電流不均衡を検出する。不均衡検出部3は、入力側判定部31と、出力側判定部32と、検出信号出力部33とを含む。なお、
図2に示す不均衡検出部3の構成は、一例であって、これに限定されない。
【0021】
入力側判定部31は、各電流検出部2A,2Bの入力側検出器21が検出した入力電流に基づいて、入力側不均衡が発生しているか否かを判定する。入力側不均衡とは、入力電流を対象とした電流不均衡のことである。つまり、入力側不均衡とは、第1入力電流と第2入力電流との電流不均衡のことである。例えば、入力側判定部31は、第1入力電流と第2入力電流との差(以下「入力電流差」という)を算出する差分器と、当該入力電流差の絶対値に応じた信号を出力する絶対値回路と、入力電流差の絶対値と入力側閾値とを比較する比較器とを含む。入力側判定部31は、当該比較器の比較結果により、入力電流差(絶対値)が入力側閾値以上であれば、入力側不均衡が発生していると判定し、入力電流差(絶対値)が入力側閾値未満であれば、入力側不均衡が発生していないと判定する。入力側閾値は、何ら限定されないが、大きい程、入力側不均衡であると判定され難くなり、小さい程、入力側不均衡であると判定され易くなる。例えば、入力側閾値には、電力システムS1での定格電流に対して10%に相当する値が設定される。なお、当該電力システムS1での定格電流は、2つの導線91,92に流す電流の大きさに相当する。入力側判定部31は、判定結果を示す信号(判定信号)を、検出信号出力部33に出力する。例えば、入力側判定部31は、入力側不均衡であると判定した場合には判定信号として「0」を示す信号(例えば電圧レベルがローレベルの電気信号)を出力し、入力側不均衡でないと判定した場合には判定信号として「1」を示す信号(例えば電圧レベルがハイレベルの電気信号)を出力する。なお、入力側判定部31の判定方法は、上記した例に限定されない。
【0022】
出力側判定部32は、各電流検出部2A,2Bの出力側検出器22が検出した出力電流に基づいて、出力側不均衡が発生しているか否かを判定する。出力側不均衡とは、出力電流を対象とした電流不均衡のことである。例えば、出力側判定部32は、各出力電流の差(以下「出力電流差」という)を算出する差分器と、当該出力電流差の絶対値に応じた信号を出力する絶対値回路と、出力電流差の絶対値と出力側閾値とを比較する比較器とを含む。例えば、出力側判定部32は、当該比較器の比較結果により、出力電流差(絶対値)が出力側閾値以上であれば、出力側不均衡が発生していると判定し、出力電流差(絶対値)が出力側閾値未満であれば、出力側不均衡が発生していないと判定する。出力側閾値は、何ら限定されないが、大きい程、出力側不均衡であると判定され難くなり、小さい程、出力側不均衡であると判定され易くなる。例えば、出力側閾値には、電力システムS1での定格電流に対して10%に相当する値が設定される。出力側判定部32は、判定結果を示す信号(判定信号)を、検出信号出力部33に出力する。例えば、出力側判定部32は、出力側不均衡であると判定した場合には判定信号として「0」を示す信号(例えば電圧レベルがローレベルの電気信号)を出力し、出力側不均衡でないと判定した場合には判定信号として「1」を示す信号(例えば電圧レベルがハイレベルの電気信号)を出力する。なお、出力側判定部32の判定方法は、上記した例に限定されない。
【0023】
検出信号出力部33は、入力側判定部31および出力側判定部32からそれぞれ入力される各判定信号に基づいて、各開閉器1A,1Bに流れる電流の電流不均衡の有無を検出する。そして、電流不均衡の有無に応じた検出信号を出力する。検出信号出力部33は、入力側判定部31によって入力側不均衡であると判定されるか、出力側判定部32によって出力側不均衡であると判定されると、2つの開閉器1A,1Bに電流不均衡が発生していると判定する。検出信号出力部33は、電流不均衡が発生している場合、検出信号として「0」を示す信号(例えば電圧レベルがローレベルの電気信号)を出力し、電流不均衡が発生していない場合、検出信号として「1」を示す信号(例えば電圧レベルがハイレベルの電気信号)を出力する。
図2に示す例では、検出信号出力部33は、AND回路で構成される。検出信号出力部33は、入力側判定部31および出力側判定部32の各判定信号が入力され、各判定信号がともに「1」を示す信号であれば、「1」を示す検出信号を出力し、2つの判定信号のいずれか一方でも「0」を示す信号であれば、「0」を示す検出信号を出力する。
【0024】
制御部4は、2つの開閉器1A,1Bの各々に開閉信号を出力することで、各開閉器1A,1Bのオンとオフとの切り替えを制御する。制御部4は、不均衡検出部3から入力される判定信号を用いて開閉信号を出力する。
図2に示す例では、制御部4は、制御信号生成部41と、開閉信号出力部42とを含む。なお、
図2に示す制御部4の構成は、一例であって、これに限定されない。
【0025】
制御信号生成部41は、2つの導線91,92に接続される各機器(
図1に示す例では、電力変換回路B1、電力系統K1、モータM1など)の状態に応じて、各開閉器1A,1Bのオンとオフとの切り替えを制御するための制御信号を生成する。2つの導線91,92に接続される機器の状態とは、当該各機器が正常に動作しているか否かの状態である。制御信号生成部41は、例えば電力系統K1やモータM1に異常がある場合、または電力変換回路B1に異常がある場合などに、各開閉器1A,1Bをオフにするための信号を生成する。一方、電力システムS1が正常である場合には、各開閉器1A、1Bをオンにするための信号を生成する。例えば、制御信号生成部41は、各開閉器1A,1Bをオフにする場合には制御信号として「0」を示す信号(例えば電圧レベルがローレベルの信号)を生成し、各開閉器1A,1Bをオンにする場合には制御信号として「1」を示す信号(例えば電圧レベルがハイレベルの信号)を生成する。制御信号生成部41は、生成した制御信号を開閉信号出力部42に出力する。よって、先述の各機器が正常である通常時には、制御信号生成部41からは制御信号として「1」を示す信号が出力され、先述の各機器に異常がある場合、制御信号として「0」を示す信号が出力される。
【0026】
開閉信号出力部42には、制御信号生成部41から制御信号が入力され、不均衡検出部3から不均衡検出信号が入力される。開閉信号出力部42は、入力される制御信号と不均衡検出信号とに基づいて、開閉信号を出力する。開閉信号は、各開閉器1A,1Bに出力される。開閉信号は、各開閉器1A,1Bをオンにするための信号(オン信号)と、各開閉器1A,1Bをオフにするための信号(オフ信号)とを含む。
図2に示す例では、開閉信号出力部42は、AND回路であり、制御信号および不均衡検出信号がともに「1」を示す信号である時に「1」を示す信号(例えば電圧レベルがハイレベルの信号)を出力し、制御信号および不均衡検出信号のいずれか一方でも「0」を示す信号である時に「0」を示す信号(例えば電圧レベルがローレベルの信号)を出力する。この例においては、開閉信号が「1」を示す信号である時、各開閉器1A,1Bに先述のオン信号が入力され、各開閉器1A,1Bは、オンとなる。一方、開閉信号が「0」を示す信号である時、各開閉器1A,1Bに先述のオフ信号が入力され、各開閉器1A,1Bは、オフとなる。
【0027】
以上の構成により、
図3に示すように、入力側検出器21の判定信号および出力側検出器22の判定信号がともに「1」を示す信号であり(つまり、入力側不均衡および出力側不均衡のいずれも発生しておらず)、且つ制御信号が「1」を示す信号である場合、開閉信号が「1」を示す信号(オン信号)となるので、各開閉器1A,1Bはオンとなる。また、入力側検出器21の判定信号および出力側検出器22の判定信号の少なくともいずれかが「0」を示す信号である場合には、制御信号が「1」を示す信号であっても「0」を示す信号であっても、開閉信号が「0」を示す信号(オフ信号)となるので、各開閉器1A,1Bはオフとなる。また、入力側検出器21の判定信号および出力側検出器22の判定信号がともに「1」を示す信号であっても、制御信号が「0」を示す信号であれば、開閉信号が「0」を示す信号(オフ信号)となるので、各開閉器1A,1Bとなる。
【0028】
開閉装置A1では、2つの開閉器1A,1Bが並列に接続されている。この構成によれば、各導線91,92に流れる電流が、開閉装置A1の内部で2つの開閉器1A,1Bに分流されるので、各開閉器1A,1Bに流れる電流が低下する。したがって、開閉装置A1は、1つの開閉器で構成する場合と比較して、2つの導線91,92間に流す電流を増大させることができる。つまり、開閉装置A1は、送電路としての2つの導線91,92間での許容電流を増大させることができる。なお、開閉装置A1と異なる例において、1つの開閉器を備える場合であっても、当該1つの開閉器の許容電流を増大させることで、送電路の許容電流を増大させることも可能である。しかしながら、開閉器の許容電流の増大化は、開閉器の大型化を伴うことがあり、当該開閉器をパワーコンディショナなどの筐体に収容する上では、次のような点で不都合である。例えば、パワーコンディショナ自体の小型化への妨げ、あるいは、パワーコンディショナ内の基板実装での制限等である。つまり、開閉装置A1は、2つの開閉器1A,1Bを並列に接続して、2つの導線91,92間の許容電流を増大させることで、1つの開閉器で許容電流を増大させることに比べて、パワーコンディショナ自体の小型化を図る上で好ましい。
【0029】
ただし、先述のように、2つの開閉器1A,1Bを並列に接続した場合、次のような問題が生じる。例えば、2つの開閉器1A,1Bのいずれかに異常があると、各開閉器1A,1Bに電流不均衡が発生し、2つの開閉器1A,1Bの負荷が偏る。この状態が長期間にわたって発生すれば、2つの開閉器1A,1Bに寿命差が生じ、設計上の想定寿命を満たすことができない問題がある。また、負荷の偏りが大きく、2つの開閉器1A,1Bのいずかに流れる電流が、当該開閉器1A,1Bの許容電流を超えてしまうと、この開閉器1A,1Bが故障する虞がある。そこで、開閉装置A1は、不均衡検出部3を備え、不均衡検出部3は、開閉器1Aに流れる電流(第1電流)と開閉器1Bに流れる電流(第2電流)とを比較して、電流不均衡であるか否かを判定する。これにより、開閉装置A1は、開閉器1Aに流れる電流(第1電流)と、開閉器1Bに流れる電流(第2電流)との電流不均衡を検出することができるので、電力システムS1のシステム自体または電力システムS1の使用者は、電流不均衡が検出された時、電流不均衡によって生じる問題(先述の想定寿命の低減または各開閉器1A,1Bの故障)を解消させる処理を行うことが可能となる。例えば、開閉装置A1では、制御部4は、不均衡検出部3によって電流不均衡が検出されると、各開閉器1A,1Bをオフにする。つまり、開閉装置A1は、電流不均衡が発生すると、2つの導線91,92間を遮断する。したがって、開閉装置A1は、電流不均衡によって発生する異常(例えば各開閉器1A,1Bの寿命の偏りまたは故障など)によって、電力システムS1に悪影響を及ぼすことを抑制できる。
【0030】
開閉装置A1は、2つの電流検出部2A,2Bを備え、2つの電流検出部2A,2Bはそれぞれ、入力側検出器21および出力側検出器22を含む。また、開閉装置A1の不均衡検出部3は、入力側判定部31および出力側判定部32を含む。入力側判定部31は、2つの開閉器1A,1Bの各入力電流での電流不均衡の有無を判定し、出力側判定部32は、2つの開閉器1A,1Bの各出力電流での電流不均衡の有無を判定する。この構成によれば、2つの開閉器1A,1Bの各入力側および各出力側の各電流値で電流不均衡を判定するので、開閉装置A1は、入力側または出力側のいずれか一方の電流値のみで判定する場合に比べて、電流不均衡をより確実に検出することができる。
【0031】
図4は、第1実施形態の変形例に係る開閉装置A11を示している。
図4に示す開閉装置A11は、開閉装置A1と比較して、次の点で異なる。それは、開閉信号出力部42が3入力のAND回路で構成され、不均衡検出部3が検出信号出力部33を含んでいない点である。
【0032】
開閉装置A11では、
図4に示すように、開閉信号出力部42に、入力側判定部31の出力(入力側不均衡の判定信号)と、出力側判定部32の出力(出力側不均衡の判定信号)と、制御信号生成部41の出力(制御信号)とが入力される。先述の通り、開閉信号出力部42は、3入力のAND回路で構成されているので、開閉信号出力部42は、入力側不均衡の判定信号と、出力側不均衡の判定信号と、制御信号との全てが「1」を示す信号であれば、開閉信号として「1」を示す信号(オン信号)を出力する。また、開閉信号出力部42は、入力側不均衡の判定信号と、出力側不均衡の判定信号と、制御信号とのいずれかが「0」を示す信号であれば、開閉信号として「0」を示す信号(オフ信号)を出力する。なお、開閉装置A11では、入力側判定部31が入力側不均衡であると判定した時、あるいは、出力側判定部32が出力側不均衡であると判定した時のいずれか一方である時に、不均衡検出部3が、第1電流と第2電流とに電流不均衡が発生していると判定したとみなされる。
【0033】
開閉装置A11においても、開閉装置A1と同様に、2つの開閉器1A,1Bが並列に接続されているので、送電路としての2つの導線91,92間での許容電流を増大させることができる。また、開閉装置A11は、開閉装置A1と同様に、電流不均衡を検出することができるので、電力システムS1のシステム自体または電力システムS1の使用者は、電流不均衡によって生じる問題(先述の想定寿命の低減または各開閉器1A,1Bの故障)を解消させる処理を行うことが可能となる。その他、開閉装置A11は、開閉装置A1と共通する構成により、開閉装置A1と同様の効果を奏する。
【0034】
図5は、第2実施形態に係る開閉装置A2を示している。開閉装置A2は、開閉装置A1と比較して、3つの開閉器1を備える点で異なる。また、先述の通り、1つの開閉器1に対して1つの電流検出部2が個別に設けられるので、開閉装置A2は、開閉装置A1と比較して、3つの電流検出部2を備える点で異なる。3つの開閉器1を区別する場合、開閉器1A,1B,1Cといい、3つの電流検出部2を区別する場合、電流検出部2A,2B,2Cという。さらに、開閉装置A2は、開閉装置A1と比較して、不均衡検出部3の構成が異なる。なお、開閉装置A2は、
図1に示す電力システムS1において、開閉装置A1の代わりに用いられる。
【0035】
図5に示すように、3つの開閉器1A,1B、1Cは、互いに並列に接続されている。また、導線91は、開閉装置A2の内部で3つの分岐線911に分岐され、導線92は、開閉装置A2の内部で3つの分岐線921に分岐される。3つの開閉器1A,1B,1Cはそれぞれ、3つの分岐線911のうちの対応する1つと、3つの分岐線921のうちの対応する1つとの間に接続される。本実施形態では、3つの開閉器1A,1B,1Cの各最大許容電流は、同じであるものとする。そして、電流検出部2Cは、開閉器1Cに流れる電流を検出する。以下の説明において、開閉器1Cに流れる電流を「第3電流」ということがある。電流検出部2Cは、各電流検出部2A,2Bと同様に、入力側検出器21および出力側検出器22を有する。電流検出部2Cの入力側検出器21は、開閉器1Cの入力端11に流れる電流(第3入力電流)を検出し、電流検出部2Cの出力側検出器22は、開閉器1Cの出力端12に流れる電流(第3出力電流)を検出する。
【0036】
開閉装置A2の不均衡検出部3は、3つの開閉器1A,1B,1Cの各々に流れる電流の電流不均衡を検出する。
図5に示すように、開閉装置A2の入力側判定部31は、3つの判定回路311,312,313および出力回路314を含み、開閉装置A2の出力側判定部32は、3つの判定回路321,322,323および出力回路324を含む。
【0037】
判定回路311は、第1入力電流と第2入力電流とを用いて、判定回路312は、第2入力電流と第3入力電流とを用いて、判定回路313は、第3入力電流と第1入力電流とを用いて、これらの差をそれぞれ算出する。そして、各判定回路311~313は、算出した差の絶対値が入力側閾値以上であるか否かを判定する。この例では、各判定回路311~313が、例えば開閉装置A1の入力側判定部31と同様に、差分器、絶対値回路および比較器を含む。各判定回路311~313は、算出した差の絶対値が入力側閾値以上であれば「0」を示す信号(例えば電圧がローレベルの電気信号)を出力し、算出した差の絶対値が入力側閾値未満であれば「1」を示す信号(例えば電圧がハイレベルの電気信号)を出力する。
【0038】
出力回路314は、3つの判定回路311~313の各出力が入力される。出力回路314は、例えば3入力のAND回路で構成される。出力回路314は、3つの判定回路311~313から入力される信号がすべて「1」を示す信号である時、入力側不均衡が発生していないと判定して、判定信号として「1」を示す信号を出力する。一方、出力回路314は、3つの判定回路311~313から入力される信号のうちいずれか1つでも「0」を示す信号である時、入力側不均衡が発生していると判定して、判定信号として「0」を示す信号を出力する。
【0039】
判定回路321は、第1出力電流と第2出力電流とを用いて、判定回路322は、第2出力電流と第3出力電流とを用いて、判定回路323は、第3出力電流と第1出力電流とを用いて、これらの差をそれぞれ算出する。そして、各判定回路321~323は、算出した差の絶対値が出力側閾値以上であるか否かを判定する。この例では、各判定回路321~323が、例えば開閉装置A1の出力側判定部32と同様に、差分器、絶対値回路および比較器を含む。各判定回路321~323は、算出した差の絶対値が出力側閾値以上であれば「0」を示す信号を出力し、算出した差の絶対値が出力側閾値未満であれば「1」を示す信号を出力する。
【0040】
出力回路324は、3つの判定回路321~323の各出力が入力される。出力回路314は、例えば3入力のAND回路で構成される。出力回路324は、3つの判定回路321~323から入力される信号がすべて「1」を示す信号である時、出力側不均衡が発生していないと判定して、判定信号として「1」を示す信号を出力する。一方、出力回路324は、3つの判定回路321~323から入力される信号のうちいずれか1つでも「0」を示す信号である時、出力側不均衡が発生していると判定して、判定信号として「0」を示す信号を出力する。
【0041】
以上のように構成されることで、入力側判定部31は、入力側不均衡の有無に応じて、「0」か「1」を示す判定信号を出力し、出力側判定部32は、出力側不均衡の有無に応じて、「0」か「1」を示す判定信号を出力する。入力側判定部31および出力側判定部32から出力される各判定信号は、検出信号出力部33に入力される。そして、検出信号出力部33は、上記開閉装置A1と同様に、入力側判定部31によって入力側不均衡であると判定されるか、出力側判定部32によって出力側不均衡であると判定されると、3つの開閉器1A~1Cに電流不均衡が発生していると判定して、「0」を示す検出信号を出力する。
【0042】
開閉装置A2では、3つの開閉器1A,1B,1Cが並列に接続されているので、各導線91,92に流れる電流が、開閉装置A1の内部で3つの開閉器1A,1B,1Cに分流される。したがって、開閉装置A2も、開閉装置A1と同様に、送電路としての2つの導線91,92間に流すことが可能な許容電流を増大させることができる。特に、開閉装置A2は、3つの開閉器1A,1B,1Cが並列に接続されているので、開閉装置A1よりも、2つの導線91,92間に流すことが可能な許容電流をさらに増大させることができる。また、開閉装置A2の不均衡検出部3は、開閉装置A2が3つの開閉器1A,1B,1Cを備える場合であっても、3つの開閉器1A,1B,1Cに流れる電流の電流不均衡を検出することができる。したがって、開閉装置A2は、開閉装置A1と同様に、電流不均衡を検出することができるので、電力システムS1のシステム自体または電力システムS1の使用者は、電流不均衡によって生じる問題(先述の想定寿命の低減または各開閉器1A,1B,1Cの故障)を解消させる処理を行うことが可能となる。その他、開閉装置A2は、開閉装置A1と共通する構成により、開閉装置A1と同様の効果を奏する。
【0043】
図6は、第2実施形態の変形例に係る開閉装置A21を示している。開閉装置A21は、開閉装置A2と比較して、各開閉器1に流れる電流の偏差に基づいて、電流不均衡を検出する点で異なる。なお、各開閉器1に流れる電流の偏差とは、各開閉器1に流れる電流の平均値との差のことである。このため、開閉装置A21は、開閉装置A2と比較して、入力側判定部31および出力側判定部32の各構成が異なる。なお、
図6では、開閉装置A21のうち、入力側判定部31および出力側判定部32を図示している。
【0044】
開閉装置A21の入力側判定部31は、各開閉器1A,1B,1Cの入力電流の偏差に基づいて、入力側不均衡の有無を判定する。このため、入力側判定部31は、開閉装置A2の入力側判定部31と比較して、平均値回路315をさらに含んでる。平均値回路315には、各電流検出部2A,2B、2Cの入力側検出器21の出力(第1入力電流、第2入力電流および第3入力電流)がそれぞれ入力される。平均値回路315は、第1入力電流と第2入力電流と第3入力電流との平均値を算出する。平均値回路315は、算出した平均値を、各判定回路311~313に出力する。
【0045】
開閉装置A21では、判定回路311には、電流検出部2Aの入力側検出器21の出力(第1入力電流)が、判定回路312には、電流検出部2Bの入力側検出器21の出力(第2入力電流)が、判定回路313には、電流検出部2Cの入力側検出器21の出力(第3入力電流)が、それぞれ入力される。また、各判定回路311~313には、平均値回路315の出力(入力電流の平均値)が入力される。判定回路311は、第1入力電流と入力電流の平均値とを用いて、判定回路312は、第2入力電流と入力電流の平均値とを用いて、判定回路313は、第3入力電流と入力電流の平均値とを用いて、これらの差を算出する。そして、各判定回路311~313は、算出した差の絶対値が入力側閾値以上であるか否かを判定する。各判定回路311~313は、算出した差の絶対値が入力側閾値以上であれば「0」を示す信号を出力し、算出した差の絶対値が入力側閾値未満であれば「1」を示す信号を出力する。そして、3つの判定回路311~313の各出力が出力回路314に入力される。
【0046】
開閉装置A21の出力側判定部32は、各開閉器1A,1B,1Cの出力電流の偏差に基づいて、出力側不均衡の有無を判定する。このため、出力側判定部32は、開閉装置A2の出力側判定部32と比較して、平均値回路325をさらに含んでいる。平均値回路325には、各電流検出部2A,2B、2Cの出力側検出器22の出力(第1出力電流、第2出力電流および第3出力電流)がそれぞれ入力される。平均値回路325は、第1出力電流と第2出力電流と第3出力電流との平均値を算出する。平均値回路325は、算出した平均値を各判定回路321~323に出力する。
【0047】
開閉装置A21では、判定回路321には、電流検出部2Aの出力側検出器22の出力(第1出力電流)が、判定回路322には、電流検出部2Bの出力側検出器22の出力(第2出力電流)が、判定回路323には、電流検出部2Cの出力側検出器22の出力(第3出力電流)が、それぞれ入力される。また、各判定回路321~323には、平均値回路325の出力(出力電流の平均値)が入力される。判定回路321は、第1出力電流と出力電流の平均値とを用いて、判定回路322は、第2出力電流と出力電流の平均値とを用いて、判定回路323は、第3出力電流と出力電流の平均値とを用いて、これらの差を算出する。そして、各判定回路321~323は、算出した差の絶対値が出力側閾値以上であるか否かを判定する。各判定回路321~323は、算出した差の絶対値が出力側閾値以上であれば「0」を示す信号を出力し、算出した差の絶対値が出力側閾値未満であれば「1」を示す信号を出力する。そして、3つの判定回路321~323の各出力が出力回路324に入力される。
【0048】
以上のように構成されることで、入力側判定部31は、入力側不均衡の有無に応じて、「0」か「1」を示す判定信号を出力し、出力側判定部32は、出力側不均衡の有無に応じて、「0」か「1」を示す判定信号を出力する。入力側判定部31および出力側判定部32から出力される各判定信号は、検出信号出力部33に入力される。そして、検出信号出力部33は、上記開閉装置A1と同様に、入力側判定部31によって入力側不均衡であると判定されるか、出力側判定部32によって出力側不均衡であると判定されると、3つの開閉器1A~1Cに電流不均衡が発生していると判定して、「0」を示す検出信号を出力する。
【0049】
開閉装置A21においても、開閉装置A2と同様に、3つの開閉器1A,1B,1Cが並列に接続されているので、送電路としての2つの導線91,92間に流すことが可能な許容電流を増大させることができる。また、開閉装置A21は、開閉装置A2と同様に、電流不均衡を検出することができるので、電力システムS1のシステム自体または電力システムS1の使用者は、電流不均衡によって生じる問題(先述の想定寿命の低減または各開閉器1A,1B,1Cの故障)を解消させる処理を行うことが可能となる。その他、開閉装置A21は、開閉装置A2と共通する構成により、開閉装置A1と同様の効果を奏する。
【0050】
第2実施形態(変形例を含む)では、開閉装置A2が、3つの開閉器1を備える例を示したが、さらに多くの開閉器1を備えていてもよい。この場合、入力側判定部31および出力側判定部32の各判定回路(311~313,321~323)の数を適宜増やせば、上記開閉装置A2,A21と同様の処理によって、電流不均衡を検出することができる。したがって、本開示の開閉装置において、並列に接続する開閉器1の数は、上記した2つまたは3つに限定されるものではない。
【0051】
第1および第2実施形態(これらの変形例を含む)では、各開閉器1の最大許容電流が同じである例を示したが、複数の開閉器1は、最大許容電流が異なるものを含んでいてもよい。この場合、入力側判定部31は、各入力電流を比較する際、最大許容電流差に応じた比率を考慮すればよい。例えば、開閉装置A1において、2つの開閉器1A,1Bの最大許容電流の比率がX:Yであるとき、入力側判定部31は、開閉器1Aへの第1入力電流Iin_1AをY倍した値と、開閉器1Bへの第2入力電流Iin_1BをX倍した値と、比較することで、入力電流差を算出する。そして、当該入力電流差の絶対値が入力側閾値以上であるか否かによって入力側不均衡の有無を判定する。このことは、出力側判定部32においても同様である。つまり、出力側判定部32は、各出力電流を比較する際、最大許容電流差に応じた比率を考慮すればよい。
【0052】
第1および第2実施形態(これらの変形例を含む)では、制御部4は、複数の開閉器1に対して、共通の開閉信号を出力する例を示したが、複数の開閉器1の各々に対して個別に開閉信号を出力してもよい。この構成では、例えば、異常が発生した開閉器1のみをオフにすることが可能となる。また、先述のように、各開閉器1の最大許容電流が異なる構成では、開閉器1ごとに、オンとオフとを制御することがある。このように、複数の開閉器1に対して個別に開閉信号を出力することで、多様な電力システムに適用することが可能となる。
【0053】
第1および第2実施形態(これらの変形例を含む)と異なる構成において、各電流検出部2は、入力側検出器21および出力側検出器22のいずれか一方のみを含んでいてもよい。例えば、各電流検出部2は、入力側検出器21を含まず、出力側検出器22を含んでいてもよい。この構成によれば、簡易な構成で、電流不均衡を検出することができる。
複数の開閉器1のいずれかの異常が発生した時、複数の開閉器1の出力側において、電流不均衡が生じやすい。そのため、各電流検出部2は、入力側検出器21よりも、出力側検出器22のみを含む構成が好ましい。なお、2つの電流検出部2A,2Bの一方が、入力側検出器21を含み、2つの電流検出部2A,2Bの他方が出力側検出器22を含んでいてもよい。この場合、入力側検出器21が検出した入力電流と、出力側検出器22が検出した出力電流とを比較することで、電流不均衡を検出する。
【0054】
第1および第2実施形態(これらの変形例を含む)と異なる構成において、不均衡検出部3の検出信号は、電力変換回路B1に入力されてもよい。この例において、電力変換回路B1は、不均衡検出部3から入力される検出信号に基づいて、電流不均衡が発生している時には、各開閉装置A1,A2に電力が出力されないように、電力変換動作を停止する。この電力変換動作の停止は、例えば、各開閉装置A1,A2が各開閉器1をオフすることに追加して行われるが、各開閉装置A1,A2が各開閉器1をオフすることに代えて行うようにしてもよい。ただし、各開閉器1のオフと、電力変換動作の停止との両方を行うほうが、より確実に電力システムS1への悪影響を抑制する上で好ましい。
【0055】
第1および第2実施形態(これらの変形例を含む)と異なる構成において、各開閉器1の入力端11および出力端12のいずれかまたは両方に制御装置をさらに備え、電流不均衡が発生している時には、先述の制御装置によって電流不均衡を抑制するようにしてもよい。例えば、制御装置として各開閉器1の入力側にコンバータを設け、不均衡検出部3の検出信号を、各コンバータに入力させる。そして、各コンバータは、電流不均衡が発生している時に、電流制御を行い、各開閉器1に流れる電流の大きさを調整する。あるいは、例えば、制御装置として各開閉器1に直列に可変抵抗器を設け、不均衡検出部3の検出信号を、各可変抵抗器に入力させる。そして、各可変抵抗器は、電流不均衡が発生している時に、抵抗値を変化させ、各開閉器1に流れる電流の大きさを調整する。このとき、流れる電流が大きい開閉器1に対しては、可変抵抗器の抵抗値を上げ、流れる電流が小さい開閉器1に対しては、可変抵抗器の抵抗値を下げる。これらのように、各開閉器1に流れる電流の大きさを調整して、電流不均衡を解消してもよい。
【0056】
第1および第2実施形態(これらの変形例を含む)と異なる構成において、不均衡検出部3の出力(検出信号)を、各開閉器1に入力してもよい。この例では、各開閉器1は、不均衡検出部3から入力される検出信号が「1」を示す信号であれば、電流不均衡が発生していないので、オンとなり、不均衡検出部3から入力される検出信号が「0」を示す信号であれば、電流不均衡が発生しているので、オフとなる。
【0057】
本開示に係る開閉装置は、上記した実施形態に限定されるものではない。本開示の開閉装置の各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
【符号の説明】
【0058】
A1,A11,A2,A21:開閉装置、1,1A,1B,1C:開閉器、11:入力端、12:出力端、2,2A,2B,2C:電流検出部、21:入力側検出器、22:出力側検出器、3:不均衡検出部、31:入力側判定部、32:出力側判定部、4:制御部、91,92:導線