(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024089452
(43)【公開日】2024-07-03
(54)【発明の名称】資材搬送装置
(51)【国際特許分類】
E01D 21/00 20060101AFI20240626BHJP
E04G 21/14 20060101ALI20240626BHJP
E01B 29/02 20060101ALI20240626BHJP
B66C 5/04 20060101ALI20240626BHJP
【FI】
E01D21/00 B
E04G21/14
E01B29/02
B66C5/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022204824
(22)【出願日】2022-12-21
(71)【出願人】
【識別番号】000001373
【氏名又は名称】鹿島建設株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】596069911
【氏名又は名称】盟和工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100122781
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 寛
(74)【代理人】
【識別番号】100162640
【弁理士】
【氏名又は名称】柳 康樹
(72)【発明者】
【氏名】尾崎 友哉
(72)【発明者】
【氏名】井原 啓知
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 真康
(72)【発明者】
【氏名】泉 肇
【テーマコード(参考)】
2D057
2D059
2E174
3F202
【Fターム(参考)】
2D057BA01
2D059AA05
2D059DD02
2E174BA03
2E174CA09
2E174CA16
2E174CA23
2E174CA38
3F202CE01
(57)【要約】
【課題】簡単な動作・機構にて資材の横方向の位置を切り換え可能な資材搬送装置を提供する。
【解決手段】吊部6A,6Bは、上下方向に延びる軸部61と、軸部61に設けられた梁部62と、梁部62に設けられ、資材W1を吊り下げる吊部材64と、を有する回転機構60を備える。この回転機構60は、梁部62を軸部61回りに回転させることで、資材W1の横方向D2における位置を切り換える。このように、回転機構60は、梁部62を軸部61回りに回転させるだけの簡単な動作にて、資材搬送装置100の周囲の状況や、搬送状況などに応じて、資材W1の横方向D2における位置を切り換えることができる。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺に延びる本体部を備える架台と、
前記架台の前記本体部に接続される走行部と、
前記架台の下方において資材を吊り下げ可能な吊部と、を備え、
前記吊部は、
上下方向に延びる軸部と、
前記軸部に設けられた梁部と、
前記梁部に設けられ、前記資材を吊り下げる吊部材と、を有する回転機構を備え、
前記回転機構は、前記梁部を前記軸部回りに回転させることで、前記資材の横方向における位置を切り換える、資材搬送装置。
【請求項2】
前記吊部は、上方から吊り下げられた吊下部材を備え、
前記軸部は、前記吊下部材の前記横方向における中央に設けられる、請求項1に記載の資材搬送装置。
【請求項3】
長手方向に少なくとも二つの前記吊部を有する、請求項1に記載の資材搬送装置。
【請求項4】
前記資材の設置面よりも高い位置において、当該設置面の前記資材の設置位置に対し、前記横方向に張り出す障害物が存在する場合、
前記吊部は、
前記横方向において、前記障害物と接触しない位置にて前記資材を下ろし、
前記資材を前記障害物よりも低い位置へ下ろした後、前記資材を前記横方向における外側へ移動させる、請求項1に記載の資材搬送装置。
【請求項5】
前記吊部は、前記軸部、前記回転機構を前記横方向に少なくとも二つ備える、請求項1に記載の資材搬送装置。
【請求項6】
前記吊部は、前記資材が長手方向へ移動している時には前記横方向における中央側にて前記資材を吊り下げ、前記資材を設置面に設置する時には前記横方向における外側へ前記資材を移動させる、請求項1に記載の資材搬送装置。
【請求項7】
前記架台は、前記本体部における長手方向の一端部から前記長手方向へ延びるように配置可能な手延べ部を備える、請求項1に記載の資材搬送装置。
【請求項8】
前記架台の前記本体部に設けられ、前記架台を横方向へ移動可能な横取部を備える、請求項1に記載の資材搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、資材搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、資材を搬送する資材搬送装置として、特許文献1に記載されたものが知られている。特許文献1に記載の資材搬送装置は、長尺な架台を備えている。架台は、走行部が設けられた本体部と、本体部の端部側から延びている手延べ部と、を備えている。このような資材搬送装置では、本体部及び手延べ部の長尺部材の下側に設けられた吊部にて資材を吊り下げて、当該資材を運んでいた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、資材搬送装置においては、資材の設置場所の上方に、駅のホームなどの障害物が存在する場合がある。このような場合は、障害物との接触を回避するように資材の横方向の位置調整を行いながら、資材を設置する必要がある。また、資材を長手方向に搬送しているときに、資材搬送装置自体が傾斜する場合がある。このような場合は、資材搬送時における資材搬送装置のバランスをとることができるように、資材の横方向の位置調整を行う必要がある。従って、簡単な動作にて資材の横方向の位置調整を行うことができる資材搬送装置が求められていた。
【0005】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、簡単な動作にて資材の横方向の位置調整を行うことができる資材搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る資材搬送装置は、長尺に延びる本体部を備える架台と、架台の本体部に接続される走行部と、架台の下方において資材を吊り下げ可能な吊部と、を備え、吊部は、上下方向に延びる軸部と、軸部に設けられた梁部と、梁部に設けられ、資材を吊り下げる吊部材と、を有する回転機構を備え、回転機構は、梁部を軸部回りに回転させることで、資材の横方向における位置を切り換える。
【0007】
本発明に係る資材搬送装置では、吊部は、上下方向に延びる軸部と、軸部に設けられた梁部と、梁部に設けられ、資材を吊り下げる吊部材と、を有する回転機構を備える。この回転機構は、梁部を軸部回りに回転させることで、資材の横方向における位置を切り換える。このように、回転機構は、梁部を軸部回りに回転させるだけの簡単な動作にて、資材搬送装置の周囲の状況や、搬送状況などに応じて、資材の横方向における位置を切り換えることができる。以上より、簡単な動作にて資材の横方向の位置調整を行うことができる。
【0008】
吊部は、上方から吊り下げられた吊下部材を備え、軸部は、吊下部材の横方向における中央に設けられてよい。この場合、吊下部材を上側から吊り下げる構造物、及び吊下部材の重心位置の変動を、回転機構による資材の位置の切り換えの前後で抑制することができる。
【0009】
資材搬送装置は、長手方向に少なくとも二つの吊部を有してよい。この場合、長尺な資材を搬送するときに、当該資材を少なくとも二つの吊部で吊ることで、資材の安定性を向上できる。
【0010】
資材の設置面よりも高い位置において、当該設置面の資材の設置位置に対し、横方向に張り出す障害物が存在する場合、吊部は、横方向において、障害物と接触しない位置にて資材を下ろし、資材を障害物よりも低い位置へ下ろした後、資材を横方向における外側へ移動させてよい。この場合、吊部は、障害物の下側へ潜り込ませるようにして、資材を設置位置に設置することができる。
【0011】
吊部は、回転機構を横方向に少なくとも二つ備えてよい。この場合、この場合、各回転機構は、互いに分離された資材を個別に吊り下げることができる。また、各回転機構は、個別に資材を横方向に位置調整することができる。
【0012】
吊部は、資材が長手方向へ移動している時には横方向における中央側にて資材を吊り下げ、資材を設置面に設置する時には横方向における外側へ資材を移動させる。例えば、路面にカントが形成されることで、資材搬送装置自体が傾斜している場合、資材を長手方向へ移動するときには中央側のバランスの良い位置で資材を吊り下げ、資材を設置面に設置するときには、本来の位置へ資材を移動させることができる。
【0013】
架台は、本体部における長手方向の一端部から長手方向へ延びるように配置可能な手延べ部を備えてよい。これにより、架台は手延べ部を延ばすことで、本体部よりも遠くへ吊部を移動させることができる。
【0014】
資材搬送装置は、架台の本体部に設けられ、架台を横方向へ移動可能な横取部を備えてよい。吊部材から資材を降ろす前段階において、横取部を用いて本体部の水平面内における角度を調整することができる。従って、設置位置の角度に合わせて架台の位置が合うように、架台全体の角度調整を行うことができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、簡単な動作・機構にて資材の横方向の位置を切り換え可能な資材搬送装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る資材搬送装置を示す側面図である。
【
図2】本発明の第1実施形態に係る資材搬送装置の平面図である。
【
図3】
図3(a)は、資材搬送装置の手延べ途中の状態を示す側面図である。
図3(b)は、資材搬送装置の手延べ状態を示す側面図である。
【
図5】
図5(a)は、梁部が0°の状態を示す断面図であり、
図5(b)は、梁部が90°の状態を示す断面図である。
【
図6】
図6(a)は、梁部が0°の状態を示す断面図であり、
図6(b)は、梁部が90°の状態を示す断面図である。
【
図7】本発明の第2実施形態に係る資材搬送装置を示す断面図である。
【
図8】
図9に示す資材搬送装置が傾斜したときの様子を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、図面において、同一又は同等の要素には同じ符号を付し、重複する説明を省略する。
【0018】
〔第1実施形態〕
図1は、本発明の第1実施形態に係る資材搬送装置を示す側面図である。
図2は、本発明の第1実施形態に係る資材搬送装置の平面図である。
図3(a)は、資材搬送装置の手延べ途中の状態を示す側面図である。
図3(b)は、資材搬送装置の手延べ状態を示す側面図である。
図4は、
図1のIV-IV線に沿った断面図である。
【0019】
図1及び
図2に示すように、資材搬送装置100は、資材W1を吊り下げて所定の位置まで搬送する装置である。資材搬送装置100は、架台2と、旋回式走行部3A,3B(走行部、横取部)と、吊部6A,6Bと、手延べ支持部7を備えている。資材搬送装置100は、地面の上を走行する。
【0020】
架台2は、資材W1を搬送する方向に延びる長尺の部材である。なお、架台2が延びる方向を「長手方向D1」と称する場合がある。地面と平行な方向において長手方向D1と直交する方向を「横方向D2」と称する場合がある。ここで、長手方向D1のうち、資材W1を搬送する側を「前」とし、反対側を「後」と称する場合がある。また、横方向D2において、資材搬送装置100の中央位置側を「内側」と称し、中央位置から遠ざかる側を「外側」と称する場合がある。
【0021】
架台2は、長手方向D1における両端に旋回式走行部3A,3Bが設けられる本体部2Aと、本体部2Aにおける前側の端部から長手方向D1へ延びるように配置可能な手延べ部2Bと、を備える。手延べ部2Bは、本体部2Aに収容された状態(
図1の状態)から、前側へ伸びることによって手延べ状態(
図3(b)の状態)へ移行することができる。
【0022】
架台2の本体部2Aは、横方向D2における両端側において長手方向D1に真っ直ぐに延びる一対の長尺部材11を備える。長尺部材11は、少なくとも資材W1よりも長手方向D1に長く延びている。長尺部材11は、横方向D2に並ぶように、互いに離間した状態で配置される。架台2の手延べ部2Bは、横方向D2における両端側において長手方向D1に真っ直ぐに延びる一対の長尺部材12を備える。長尺部材12は、少なくとも資材W1よりも長手方向D1に長く延びている。各長尺部材12は、長手方向D1に移動可能な態様で、各長尺部材11内に収容されるように配置されている。架台2は、本体部2Aに対して手延べ部2Bを伸縮させる伸縮ジャッキ50を有する。伸縮ジャッキ50は、本体部2Aの長尺部材11から手延べ部2Bの長尺部材12が張り出す量を調整することができる。伸縮ジャッキ50は、両側の長尺部材11,12に対してそれぞれ設けられる。伸縮ジャッキ50は、シリンダ51と、ピストンロッド52と、固定部53,54と、を備える。
【0023】
長尺部材11,12の構成について
図4を参照して詳細に説明する。
図4に示すように、長尺部材12は、角材によって構成されている。また、長尺部材11は、長尺部材12を横方向D2の両側から挟むようにして保持する一対のH型鋼11A,11Bによって構成されている。長尺部材12の上面のうち、H型鋼11A,11Bの上側のフランジ部から露出する部分には、レール14が設けられている。また、横方向D2の外側のH型鋼11Aの上面には、レール16が設けられている。レール14,16は、長手方向D1に真っ直ぐに延びる。
【0024】
図1に示すように、旋回式走行部3A,3Bは、架台2の本体部2Aの長手方向D1の両端部に接続される。旋回式走行部3A,3Bは、地面を長手方向D1に走行する。これにより、架台2全体が、長手方向D1に移動することができる。旋回式走行部3A,3Bは、支持部21及び車輪22を有する走行ユニット20を有する。支持部21は、架台2の本体部2Aの長尺部材11から下方へ延びる。車輪22は、支持部21の下端に設けられ、地面と接触する。旋回式走行部3A,3Bは、横方向D2の両側の長尺部材11に対して走行ユニット20を有している。また、旋回式走行部3A,3Bは、長手方向D1に二組の走行ユニット20を有している。従って、旋回式走行部3A,3Bは、それぞれ四つの走行ユニット20を有している。
【0025】
車輪22は、上下方向に延びる回転軸周りに旋回することができる。従って、旋回式走行部3A,3Bは、進行方向を変更することができる。例えば、旋回式走行部3A,3Bが
図1に示す状態から90°旋回した場合(
図4に示す状態)、横方向D2へ走行可能となる。この場合、架台2全体が横方向D2へ移動することができる。従って、旋回式走行部3A,3Bは、架台2の本体部2Aに設けられ、架台2を横方向D2へ移動可能な横取部として機能する。
【0026】
旋回式走行部3A,3Bは、伸縮して地面との接触が可能な伸縮機構23を有する。伸縮機構23は、例えばウォームジャッキによって構成される。伸縮機構23は、前側の走行ユニット20と後側の走行ユニットとの間に設けられる。伸縮機構23が縮んでいる状態(
図1に示す状態)では、伸縮機構23の下端は、地面から離間している。この場合、旋回式走行部3A,3Bは、伸縮機構23に阻害されることなく走行することができる。一方、伸縮機構23が伸びている状態(
図3(a)(b)に示す状態)では、伸縮機構23の下端は、地面に接触する。これにより、旋回式走行部3A,3Bを介して本体部2Aが地面に固定される。
【0027】
図4を参照して、旋回式走行部3Bの構成について詳細に説明する。なお、旋回式走行部3Aは、旋回式走行部3Bと同趣旨の構成を有している。走行ユニット20の支持部21は、上から順に梁部材26と、柱部材27と、高さ調節機構28と、駆動部29と、旋回軸部31と、走行駆動機構32と、を備える。
【0028】
梁部材26は、本体部2Aの長尺部材11及び手延べ部2Bの長尺部材12の下側において横方向D2に延びて、これらの長尺部材11,12を支持する部材である。柱部材27は、梁部材26の横方向D2の外側の端部から下方へ延びる部材である。このように、柱部材27を横方向D2の外側へ寄せることで、横方向D2の両側の柱部材27間に、資材W1を吊り下げておくための広いスペースSP1を確保することができる。当該スペースSP1の横方向D2の大きさは、両側の長尺部材11のH型鋼11B間のスペースよりも大きい。高さ調節機構28は、柱部材27の下端に設けられる。高さ調節機構28は、地面からの本体部2Aの高さ位置を調節する機構である。
【0029】
駆動部29は、高さ調節機構28の下端に設けられる。旋回軸部31は、車輪22を旋回させるための回転軸(不図示)を備えた機構である。旋回軸部31は、上下方向に延びる回転軸と、当該回転軸を回転可能に支持する軸受部と、を備える。駆動部29は、旋回軸部31の回転軸を介して、車輪22を旋回させるための駆動力を付与する。駆動部29には、筐体の内部にモータが収容されている。走行駆動機構32は、回転軸32aで車輪22を回転可能に支持すると共に、車輪22に対して走行のための駆動力を付与する機構である。走行駆動機構32は、モータと、モータの駆動力を車輪22に伝達する伝達機構を有している。
【0030】
図1及び
図2に示すように、吊部6A,6Bは、架台2に対して長手方向D1に移動可能に設けられ、架台2の下方において資材W1を吊り下げ可能な機構である。吊部6A,6Bは、本体部2A及び手延べ部2Bの上面2Aa,2Baを移動する。吊部6A,6Bは、本体部2Aの上面2Aaを移動すると共に、本体部2Aから手延べ部2Bに乗り替えて、手延べ部2Bの上面2Baを移動する。吊部6A,6Bは、一対の移動部34と、連結部36と、一対の昇降部37と、一対の吊部材38と、を備える。一対の移動部34は、横方向D2の両側の長尺部材11,12に対してそれぞれ設けられ、当該長尺部材11,12に沿って長手方向D1に移動する。連結部36は、一対の移動部34同士を連結する。連結部36は、各移動部34から上方へ立ち上がると共に、横方向D2に延びる。昇降部37は、吊部材38の巻き取り及び巻き出しを行う装置である。これにより、昇降部37は、資材W1を昇降させることができる。昇降部37は、連結部36のうち、横方向D2に延びる部分に設けられる。吊部材38は、昇降部37から下方に延びて、資材W1を吊り下げる部材である。本実施形態では、吊部材38は、架台2の横方向D2における内側にて、資材W1を吊り下げる。なお、吊部6A,6Bの詳細な構成については後述する。
【0031】
図1に示すように、手延べ支持部7は、手延べ部2Bの長手方向D1における本体部2Aとは反対側(前側)の端部2Bbに設けられ、手延べ部2Bを支持する。手延べ支持部7は、両側の長尺部材12から下方へ延びる柱部材41と、横方向D2に延びて長尺部材12を連結する梁部材42(
図2参照)と、を備える。
【0032】
手延べ支持部7は、伸縮して地面との接触が可能な伸縮機構43を有する。伸縮機構43は、例えばウォームジャッキによって構成される。伸縮機構43が縮んでいる状態(
図1に示す状態)では、伸縮機構43の下端は、地面から離間している。この場合、手延べ部2Bは、手延べ支持部7によって阻害されることなく移動することができる。一方、伸縮機構43が伸びている状態(
図3(b)に示す状態)では、伸縮機構43の下端は、地面に接触する。これにより、手延べ支持部7を介して手延べ部2Bが地面に固定される。
【0033】
図4を参照して、吊部6Bの構成について詳細に説明する。なお、吊部6Aは、吊部6Bと同趣旨の構成を有している。移動部34は、本体部用移動ローラ34aと、手延べ部用移動ローラ34bと、ベース部34cと、を備える。本体部用移動ローラ34aは本体部2Aのレール16の上側に配置され、手延べ部用移動ローラ34bは手延べ部2Bのレール14の上側に配置される。本体部用移動ローラ34aは、本体部2Aのレール16にガイドされながら長手方向D1に移動するローラである。手延べ部用移動ローラ34bは、手延べ部2Bのレール14にガイドされながら長手方向D1に移動するローラである。手延べ部用移動ローラ34bは、手延べ部2Bが本体部2Aから張り出した箇所まで移動すると、レール14と接触する。これにより、移動部34は、本体部2Aから手延べ部2Bに乗り替える(
図5参照)。ベース部34cは、本体部用移動ローラ34a及び手延べ部用移動ローラ34bを回転可能に支持する部材である。
【0034】
連結部36は、各移動部のベース部34cから上方へ立ち上がる柱部36aと、柱部36c同士を連結する梁部36bと、を有する。梁部36bは、各柱部36aの上端の位置において横方向D2に延びる。昇降部37は、公知のホイストなどによって構成されてよい。一対の昇降部37は、梁部36bに沿って横方向D2に移動可能である。これにより、昇降部37は、吊部材38によって資材W1を吊る位置を調整することができる。吊部材38は、昇降部37から下方へ延びている。
【0035】
吊部6Bは、上方から吊り下げられた吊下部材58を備える。吊下部材58は、横方向D2に延びる部材であり、両端がそれぞれ吊部材38に接続されている。これにより、吊下部材58は、吊部材38を介して連結部36に吊り下げられた状態となる。
【0036】
吊部6Bは、回転機構60を備える。回転機構60は、吊下部材58の下端部に設けられる。回転機構60は、軸部61と、梁部62と、昇降部63と、吊部材64と、を有する。本実施形態では、吊部6Bは、一つの回転機構60を有している。
【0037】
軸部61は、上下方向に延びる部材である。軸部61は、回転機構60における回転中心となる部材である。軸部61は、吊下部材58の横方向D2における中央に設けられる。軸部61は、吊下部材58の下面における中央位置から、下方へ向けて延びる。
【0038】
梁部62は、軸部61に設けられた部材である。梁部62は、軸部61の外周面から径方向における外周側へ向かって延びる。梁部62は、軸部61を中心として、当該軸部61回りに回転することができる。梁部62は、長手方向D1に平行に延びるように配置された状態(
図6(a)に示す状態)と、横方向D2に平行に延びるように配置された状態(
図6(b)に示す状態)との間で、切り替わることができる。なお、
図6(a)の状態を基準として0°の状態と称し、
図6(b)の状態を90°の状態と称することがある。梁部62の長さは特に限定されないが、90°の状態において、梁部62の先端部が、吊下部材58よりも横方向D2の外側に配置されてもよく、長尺部材12よりも横方向D2の外側に配置されてもよい。なお、梁部62を回転させるための機構は特に限定されず、軸部61自体が回転することで梁部62を回転させてもよく、固定された軸部61に対して梁部62が相対的に回転するような機構を設けてもよい。
【0039】
昇降部63は、吊部材64の巻き取り及び巻き出しを行うことで、資材W1の昇降を行う部分である。なお、資材W1の昇降は、昇降部37のみで行ってもよく、昇降部63のみで行ってもよく、両者が行ってもよい。昇降部63は、梁部62の先端部に設けられる。吊部材64は、昇降部63を介して梁部62に設けられ、資材W1を吊り下げる部材である。
【0040】
図5及び
図6に示すように、回転機構60は、梁部62を軸部61回りに回転させることで、資材W1の横方向D2における位置を切り換える。
図5(a)及び
図6(a)に示すように、0°の状態では、吊位置である梁部62の先端部が、横方向D2において軸部61と同位置に配置される。従って、資材W1の中央位置は、資材搬送装置100の略中央位置に配置される。
図5(b)及び
図6(b)に示すように、90°の状態では、吊位置である梁部62の先端部が、横方向D2において軸部61から外側に離間した位置に配置される。従って、資材W1の中央位置は、資材搬送装置100の略中央位置から横方向W2における外側に配置される。なお、梁部62が回転することで、吊位置も後側へし、資材W1が後ろ側へ移動する(
図6(b)参照)。
【0041】
次に、
図1、
図3、及び
図5を参照して、資材搬送装置100による資材W1の搬送及び資材W1の設置の手順について説明する。資材W1の設置位置H(
図3参照)は、他の個所よりも一段低くなっている。
【0042】
まず、資材W1を受け取って吊部6A,6Bで吊り下げるための資材受け取り工程が実行される。資材受け取り工程では、
図1に示すように、伸縮機構23,43を縮めておくことで、地面と接触しないようにしておく。これによって、旋回式走行部3A,3Bによって架台2全体を長手方向D1及び横方向D2へ移動させることが可能となる。資材W1が資材搬送装置100に対して横方向D2に配置されている場合、旋回式走行部3A,3Bは、車輪22を横方向D2側へ向けて旋回させる。旋回式走行部3A,3Bは横方向D2へ走行し、架台2全体を資材W1の上方まで移動させる。また、吊部6A,6Bは、吊部材38を巻き出して、資材W1を固定し、吊部材38を巻き取って資材W1を持ち上げる。旋回式走行部3A,3Bは横方向D2へ走行し、架台2全体を搬送場所まで戻す。これによって、資材受け取り工程が完了する。
【0043】
次に、資材搬送装置100全体を長手方向D1の前側に移動させることで、設置位置Hまで資材W1を搬送する資材搬送工程が実行される。当該工程では、旋回式走行部3A,3Bの車輪22を長手方向D1に向けて旋回させて、長手方向D1へ走行し、架台2全体を長手方向D1へ移動させる。架台2が設置位置Hの手前まで到着したら、架台2を停止する。
【0044】
次に、架台2の水平面内における角度を設置位置Hに合わせて調整する角度調整工程が実行される。この工程では、架台2の水平面内における角度を、設置位置Hの角度に合わせる。当該調整は、旋回式走行部3A,3Bの車輪22を横方向D2に向けて旋回させる。このとき、前側の旋回式走行部3Bの車輪22の駆動方向及び駆動量と、後側の旋回式走行部3Aの車輪22の駆動方向及び駆動量とを異なるものとすることで、架台2の細かい角度調整を行うことができる。
【0045】
次に、
図3に示すように、架台2の本体部2Aから手延べ部2Bを設置位置H側へ向かって伸ばす手延べ工程が実行される。このとき、手延べ部2Bを伸ばす前段階では、手延べ部2Bの先端部の手延べ支持部7の伸縮機構43を縮めることで地面から離間させておく。一方、手延べ部2Bを伸ばす前段階では、旋回式走行部3A,3Bの伸縮機構23を伸ばすことで地面に接触させる。これにより、本体部2Aを地面に固定する。その後、手延べ部2Bを本体部2Aから伸ばし(
図3(a))、手延べ部2Bの先端部を設置位置Hよりも前方に配置する(
図3(b))。当該位置において手延べ支持部7の伸縮機構43を伸ばすことで、手延べ支持部7の下端を地面の上で支持する。
【0046】
次に、
図3(b)に示すように、吊部6A,6Bを設置位置H側へ移動させて、本体部2Aから手延べ部2Bへ移し替えることにより資材W1を設置位置Hの上方へ移動させる資材縦取り工程が実行される。当該工程では、資材W1を吊り下げた状態の吊部6A,6Bが設置位置H側へ移動することで、本体部2Aで支持された状態から手延べ部2Bへ支持された状態へ移行し、資材W1が設置位置H付近へ到達したら、吊部6A,6Bの移動を止める。
【0047】
次に、資材W1を設置する設置工程が実行される。このとき、
図5(a)に示す状態となる。ここで、
図5(b)に示すように、設置位置H付近には、駅のホームSHが設けられているものとする。ここでは、ホームSHは、資材W1の設置面PFよりも高い位置において、当該設置面PFの資材W1の設置位置Hに対し、横方向W2に張り出す障害物として存在する。
図5(b)に示す0°の状態では、資材W1の全体が、ホームSHの先端部に設定される基準位置SLよりも中央側に位置に配置される。この状態にて、吊部6A,6Bの吊部材38を巻き出すことによって資材W1を下ろす。このとき、吊部6A,6Bは、横方向D2において、ホームSHと接触しない位置にて資材W1を降ろすことができる。吊部6A,6Bは、少なくとも梁部62の上面が、ホームSHの下面よりも下方に配置され、資材W1が設置面PFよりも高くなる位置まで、資材W1を下ろす。
【0048】
図5(b)に示すように、資材W1及び梁部62をホームSHよりも低い位置へ下ろした後、吊部6A,6Bは、資材W1を横方向D2における外側へ移動させる。梁部62が軸部61回りに回転することで、90°の状態となり、梁部62の先端部の吊位置及び資材W1が、横方向D2における外側へ移動する。このとき、資材W1及び梁部62の一部は、ホームSHの下側の領域に潜り込むように配置される。吊部6A,6Bは、当該状態にて資材W1を下ろして、設置位置Hに設置する。そして、吊部6A,6Bと資材W1との固定を解除する。
【0049】
次に、本実施形態に係る資材搬送装置100の作用・効果について説明する。
【0050】
本実施形態に係る資材搬送装置100では、旋回式走行部3A,3B(横取部)が、本体部2Aに設けられる。また、手延べ部2Bは、本体部2Aにおける長手方向D1の一端部から長手方向D1に延びることができる。従って、手延べ部2Bの位置で吊部材38から資材W1を降ろす前段階において、旋回式走行部3A,3Bを用いて本体部2Aの水平面内における角度を調整することができる。従って、設置位置Hの角度に合わせて手延べ部の位置が合うように、架台全体の角度調整を行うことができる。ここで、吊部6A,6Bは、上下方向に延びる軸部61と、軸部61に設けられた梁部62と、梁部62に設けられ、資材W1を吊り下げる吊部材64と、を有する回転機構60を備える。この回転機構60は、梁部62を軸部61回りに回転させることで、資材W1の横方向D2における位置を切り換える。このように、回転機構60は、梁部62を軸部61回りに回転させるだけの簡単な動作にて、資材搬送装置100の周囲の状況や、搬送状況などに応じて、資材W1の横方向D2における位置を切り換えることができる。以上より、簡単な動作にて資材W1の横方向D2の位置調整を行うことができる。
【0051】
吊部6A,6Bは、上方から吊り下げられた吊下部材58を備え、軸部61は、吊下部材58の横方向D2における中央に設けられてよい。この場合、吊下部材58を上側から吊り下げる構造物(連結部36)、及び吊下部材58の重心位置の変動を、回転機構60による資材W1の位置の切り換えの前後で抑制することができる。すなわち、吊下部材58自体は、両端を吊部材38で吊られており、中央位置に軸部61が設けられている。従って、0°の状態でも90°の状態でも、吊下部材58は、中央位置にて軸部61からの力を受ける。このように、吊下部材58において力がかかる位置に変更がないため、重心位置の変動を抑制することができる。
【0052】
資材搬送装置100は、長手方向D1に少なくとも二つの吊部6A,6Bを有してよい。この場合、長尺な資材W1を搬送するときに、当該資材W1を少なくとも二つの吊部6A,6Bで吊ることで、資材W1の安定性を向上できる。
【0053】
資材W1の設置面PFよりも高い位置において、当該設置面PFの資材W1の設置位置Hに対し、横方向D2に張り出すホームSH(障害物)が存在する場合、吊部6A,6Bは、横方向D2において、ホームSHと接触しない位置にて資材W1を下ろし、資材W1をホームSHよりも低い位置へ下ろした後、資材W1を横方向D2における外側へ移動させてよい。この場合、吊部6A,6Bは、ホームSHの下側へ潜り込ませるようにして、資材W1を設置位置Hに設置することができる。
【0054】
[第2実施形態]
図7に示すように、吊部6A,6Bは、回転機構60を横方向に少なくとも二つ備えてよい。
図7に示す例においては、二つの回転機構60A,60Bは、一対の長尺部材11の各々に設けられる。軸部61は、長尺部材11の下面に設けられる。この場合、各回転機構60A,60Bは、互いに分離された資材W3を個別に吊り下げることができる。また、各回転機構60A,60Bは、個別に資材W3を横方向D2に位置調整することができる。
【0055】
なお、この資材搬送装置100は、横方向D2における外側に配置される昇降部37の位置を調整する吊り位置調整機構90を有する。吊り位置調整機構90は、支持部91と、張出部材92と、伸縮機構93と、を備える。資材搬送装置100は、吊り位置調整機構90の吊部材38を使って資材W3を吊ってもよいし、回転機構60A,60Bを用いてもよい。
【0056】
吊部は6A,6Bは、資材W3が長手方向D3へ移動している時には横方向D2における中央側にて資材W3を吊り下げ、資材W3を設置面に設置する時には横方向D2における外側へ資材を移動させる。例えば、
図8(a)に示すように、路面にカントが形成されることで、資材搬送装置100自体が傾斜している場合、資材W3を長手方向D1へ移動するときには、中央側のバランスの良い位置で回転機構60Aの資材W3を吊り下る。
図8(b)に示すように、回転機構60Aの資材W3を設置面に設置するときには、本来の位置である横方向D2の外側へ資材W3を移動させることができる。
【0057】
架台2は、本体部2Aにおける長手方向の一端部から長手方向へ延びるように配置可能な手延べ部2Bを備えてよい。これにより、架台2は手延べ部2Bを延ばすことで、本体部2Aよりも遠くへ吊部6A,6Bを移動させることができる。
【0058】
資材搬送装置100は、架台2の本体部2Aに設けられ、架台2を横方向へ移動可能な横取部を備えてよい。吊部材64から資材を降ろす前段階において、横取部を用いて本体部2Aの水平面内における角度を調整することができる。従って、設置位置の角度に合わせて架台2の位置が合うように、架台2全体の角度調整を行うことができる。
【0059】
本発明は、上述の実施形態に限定されるものではない。
【0060】
上述の各実施形態では、旋回式走行部3A,3Bは、走行部の機能を有すると共に横取部の機能を有していた。これに代えて、走行部と横取部が個々の部材で分かれていてもよい。
【0061】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない限り、詳細な構成については適宜変更してもよい。
【0062】
[形態1]
長尺に延びる本体部を備える架台と、
前記架台の前記本体部に接続される走行部と、
前記架台の下方において資材を吊り下げ可能な吊部と、を備え、
前記吊部は、
上下方向に延びる軸部と、
前記軸部に設けられた梁部と、
前記梁部に設けられ、前記資材を吊り下げる吊部材と、を有する回転機構を備え、
前記回転機構は、前記梁部を前記軸部回りに回転させることで、前記資材の横方向における位置を切り換える、資材搬送装置。
[形態2]
前記吊部は、上方から吊り下げられた吊下部材を備え、
前記軸部は、前記吊下部材の前記横方向における中央に設けられる、形態1に記載の資材搬送装置。
[形態3]
前記長手方向に少なくとも二つの前記吊部を有する、形態1または2に記載の資材搬送装置。
[形態4]
前記資材の設置面よりも高い位置において、当該設置面の前記資材の設置位置に対し、前記横方向に張り出す障害物が存在する場合、
前記吊部は、
前記横方向において、前記障害物と接触しない位置にて前記資材を下ろし、
前記資材を前記障害物よりも低い位置へ下ろした後、前記資材を前記横方向における外側へ移動させる、形態1~3の何れか一項に記載の資材搬送装置。
[形態5]
前記吊部は、前記軸部、前記回転機構を前記横方向に少なくとも二つ備える、形態1~4の何れか一項に記載の資材搬送装置。
[形態6]
前記吊部は、前記資材が前記長手方向へ移動している時には前記横方向における中央側にて前記資材を吊り下げ、前記資材を設置面に設置する時には前記横方向における外側へ前記資材を移動させる、形態1~5の何れか一項に記載の資材搬送装置。
[請求項7]
前記架台は、前記本体部における長手方向の一端部から前記長手方向へ延びるように配置可能な手延べ部を備える、形態1~6の何れか一項に記載の資材搬送装置。
[形態8]
前記架台の前記本体部に設けられ、前記架台を横方向へ移動可能な横取部を備える、形態1~7の何れか一項に記載の資材搬送装置。
【符号の説明】
【0063】
2…架台、2A…本体部、2B…手延べ部、3A,3B…旋回式走行部(走行部、横取部)、6A,6B…吊部、7…手延べ支持部、11,12…長尺部材、60…回転機構、61…軸部、62…梁部、64…吊部材、100…資材搬送装置。