(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024089463
(43)【公開日】2024-07-03
(54)【発明の名称】送電装置
(51)【国際特許分類】
H02J 50/20 20160101AFI20240626BHJP
【FI】
H02J50/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022204844
(22)【出願日】2022-12-21
(71)【出願人】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】徳山 雄生
(72)【発明者】
【氏名】杉原 淳志
(72)【発明者】
【氏名】小池 拓
(72)【発明者】
【氏名】間宮 理穂
(72)【発明者】
【氏名】婦木 慎一郎
(57)【要約】
【課題】前部座席よりも後部座席の側の領域に対して効率良く送電することのできる送電装置を提供する。
【解決手段】送電装置30は送電部32を有する。送電部32は、車両10のキャビン11に配置される受電装置20に対して無線給電によって電力を送電する。キャビン11は、車両10の前後方向に並ぶ態様で、運転席を含む前部座席12と後部座席13とが設けられている。キャビン11の内部は、前部座席12が配置される領域を含むとともに前後方向における前方側の領域を構成する第1領域AR1と、後部座席13が配置される領域を含むとともに前後方向における後方側の領域を構成する第2領域AR2と、からなる。送電部32は、電力を送電可能になる送電可能範囲ASの中心軸線Lが第2領域AR2の内部に収まる態様で配置されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体のキャビンに配置される受電装置に対して無線給電によって電力を送電する送電部を有する送電装置であって、
前記キャビンには、前記移動体の前後方向に並ぶ態様で、運転席を含む前部座席と後部座席とが設けられており、
前記キャビンの内部は、前記前部座席が配置される領域を含むとともに前記前後方向における前方側の領域を構成する第1領域と、前記後部座席が配置される領域を含むとともに前記前後方向における後方側の領域を構成する第2領域と、からなり、
前記送電部は、前記電力を送電可能になる送電可能範囲の中心軸線が前記第2領域の内部に収まる態様で配置されている、送電装置。
【請求項2】
前記送電部は、前記第2領域における前記前後方向の中間位置よりも前方側に配置される態様であって、且つ、前記中心軸線が前記送電部を始点に前記移動体の斜め下方且つ斜め後方に向けて延びる態様で、前記移動体のルーフに設けられている
請求項1に記載の送電装置。
【請求項3】
前記移動体は、前記ルーフに設けられて前記キャビン内を照らすルームランプ部を有しており、
前記送電部は、前記ルームランプ部と一体になっている
請求項2に記載の送電装置。
【請求項4】
前記送電部は、前記キャビンの側壁に設けられている
請求項1に記載の送電装置。
【請求項5】
前記送電部から送電される電力を反射する反射部を有し、
前記反射部は、外面が前記キャビンの内部に露出しないように内装部材で覆われた状態で、前記キャビンの内部に配置された部品に取り付けられている
請求項1に記載の送電装置。
【請求項6】
前記前部座席は、前記運転席と、同運転席の側方に設けられる助手席と、を有し、
前記反射部は、前記運転席と前記助手席との間に配置されている
請求項5に記載の送電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線給電システムの送電装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電気機器への給電を非接触で行う、いわゆる無線給電が提案されている(特許文献1参照)。特許文献1に記載の無線給電システムは、送電装置と受電装置とを有する。この無線給電システムでは、送電装置から電力(詳しくは、送電用の電波)が送られるとともに、この電力が受電装置によって受電される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、自動車等の車両(詳しくは、キャビン)の内部における無線給電を実現するために、前記送電装置を、車両内部に設けることが考えられる。この場合には、送電装置の設置場所を、キャビンにおける運転席を含む前部座席よりも前方(例えばインストルメントパネル)にすることが考えられる。通常、運転席の前方には、車両運転のための電気機器が電源に接続された状態で多数設けられている。そのため、そうした運転席の前方に送電装置を設置することで、同送電装置を電源に容易に接続することが可能になる。
【0005】
ただし、キャビンの内部は、運転席を含む前部座席(主に、背もたれ部)によって、車両前方側の部分と後部座席を含む車両後方側の部分とに仕切られている。そのため、送電装置を運転席の前方に設ける場合には、同送電装置から送られる電波が前部座席によって遮られて減衰してしまう。この場合には、キャビンにおける後部座席を含む車両後方側の部分への送電装置からの給電が困難になる。
【0006】
なお、こうした不都合は、航空機や列車、宇宙船など、車両以外の移動体に搭載される送電装置においても同様に生じる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための装置の各態様を記載する。
[態様1]移動体のキャビンに配置される受電装置に対して無線給電によって電力を送電する送電部を有する送電装置であって、前記キャビンには、前記移動体の前後方向に並ぶ態様で、運転席を含む前部座席と後部座席とが設けられており、前記キャビンの内部は、前記前部座席が配置される領域を含むとともに前記前後方向における前方側の領域を構成する第1領域と、前記後部座席が配置される領域を含むとともに前記前後方向における後方側の領域を構成する第2領域と、からなり、前記送電部は、前記電力を送電可能になる送電可能範囲の中心軸線が前記第2領域の内部に収まる態様で配置されている、送電装置。
【0008】
上記構成によれば、送電部からの送電を、前部座席よりも後部座席側の領域である第2領域に対し、前部座席によって遮られることのない態様で実行することができる。そのため、上記第2領域に配置された受電装置に対して、送電部から効率良く送電することができる。
【0009】
[態様2]前記送電部は、前記第2領域における前記前後方向の中間位置よりも前方側に配置される態様であって、且つ、前記中心軸線が前記送電部を始点に前記移動体の斜め下方且つ斜め後方に向けて延びる態様で、前記移動体のルーフに設けられている、[態様1]に記載の送電装置。
【0010】
上記構成によれば、移動体のルーフに設けられた送電部から、同送電部の下方にあたる部分だけに送電するのではでなく、送電部よりも後方側の部分に対しても送電することができる。したがって、キャビンにおける後方側の領域を構成する第2領域に対して、送電部から、広い範囲で電力を送ることができる。
【0011】
[態様3]前記移動体は、前記ルーフに設けられて前記キャビン内を照らすルームランプ部を有しており、前記送電部は、前記ルームランプ部と一体になっている、[態様2]に記載の送電装置。
【0012】
移動体のルーフにおいてルームランプ部が配置される部分は、キャビン内を照らすのに適した部分であることから、キャビン内に電力を送るのにも適した部分であると云える。また、ルームランプ部は、移動体の電源回路に接続されている。
【0013】
上記構成によれば、送電部がそうしたルームランプ部と一体になっているため、キャビン内に送電部から電力を好適に送ることができるとともに、送電部を移動体の電源回路に容易に接続することができる。
【0014】
[態様4]前記送電部は、前記キャビンの側壁に設けられている、[態様1]に記載の送電装置。
上記構成によれば、キャビンの側壁に設けられた送電部から、移動体の側方に向けて、すなわちキャビンの内部に向けて送電することができる。
【0015】
[態様5]前記送電部から送電される電力を反射する反射部を有し、前記反射部は、外面が前記キャビンの内部に露出しないように内装部材で覆われた状態で、前記キャビンの内部に配置された部品に取り付けられている、[態様1]~[態様4]のいずれか一つに記載の送電装置。
【0016】
上記構成によれば、反射部における電力(詳しくは、送電用の電波)の反射を利用することで、第2領域の各部に対して、送電部から、高い自由度で電力を送ることができる。しかも、こうした反射部を設けることによる移動体の意匠性の低下を抑えることができる。
【0017】
[態様6]前記前部座席は、前記運転席と、同運転席の側方に設けられる助手席と、を有し、前記反射部は、前記運転席と前記助手席との間に配置されている、[態様5]に記載の送電装置。
【0018】
上記構成によれば、運転席と助手席との間に配置される反射部を利用することで、運転席と助手席との間隙を介して第1領域にも送電部から電力を送ることができる。したがって、送電部からキャビンの第1領域への送電を、前部座席によって遮られることのない態様で実行することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、前部座席よりも後部座席側の領域に対して効率良く送電することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】第1実施形態の送電装置が適用される車両の側面構造を示す略図である。
【
図2】第1実施形態の送電装置が適用される車両の平面構造を示す略図である。
【
図3】第1実施形態の送電装置および受電装置の概略構成図である。
【
図4】第2実施形態の送電装置が適用される車両の側面構造を示す略図である。
【
図5】第2実施形態の送電装置が適用される車両の平面構造を示す略図である。
【
図6】第2実施形態の送電装置の配設態様を示す略図である。
【
図7】第3実施形態の送電装置が適用される車両の側面構造を示す略図である。
【
図8】変更例の車両におけるタイヤおよびその周辺の構造を示す略図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(第1実施形態)
以下、送電装置の第1実施形態について、
図1~
図3を参照して説明する。
<車両>
図1および
図2に示すように、移動体としての車両10は、居住空間をなすキャビン11を有している。キャビン11には、車両10の前後方向に並ぶ態様で、前部座席12と後部座席13とが設けられている。
【0022】
前部座席12は、キャビン11の内部における前方側(
図1の左側)に配置されている。前部座席12は、運転席12Dと、同運転席12Dの側方に設けられた助手席12Sとを有している。運転席12Dおよび助手席12Sは車幅方向に間隔を置いて並ぶ態様で配置されている。
【0023】
後部座席13は、キャビン11の内部における後方側(
図1の右側)、詳しくは前部座席12よりも後方側に配置されている。後部座席13は、二列目シート13Fと三列目シート13Bとを有している。二列目シート13Fおよび三列目シート13Bは、前方側から、二列目シート13F、三列目シート13Bの順に並ぶ態様で配置されている。二列目シート13Fは前後方向の位置を変更可能になっている。
【0024】
車両10は、ルームランプ部17を有している。ルームランプ部17は、発光部(例えば、電球)を有するとともに、ワイヤーハーネスを介して車両10の電源回路に接続されている。ルームランプ部17は、キャビン11の内部を照らす室内灯として機能するものである。ルームランプ部17は、キャビン11の天井部分を構成するルーフ14に設けられている。ルームランプ部17は、詳しくは、二列目シート13Fの上方にあたる位置に取り付けられている。
【0025】
<無線給電システム>
車両10は、無線給電システムを有している。この無線給電システムは、900MHz~数十GHz帯のマイクロ波を用いた電波方式の無線給電により、送電装置30から受電装置20への給電を行うものである。詳しくは、送電装置30の送電アンテナ321と受電装置20の受電アンテナ221との間で、無線給電のための電力伝送信号の送受信を行う。
【0026】
<受電装置>
受電装置20は、例えば車両10の電装品である。受電装置20としては、例えば照明装置や音響装置を挙げることができる。受電装置20は、キャビン11の内部に設けられている。
図1に示す例では、受電装置20は、車両10のフロア15における前部座席12と二列目シート13Fとの間にあたる位置に設けられている。
【0027】
図3に示すように、受電装置20は、データ通信部21、受電部22、蓄電池23、および制御部24を有している。
データ通信部21は、通信アンテナ211を有している。データ通信部21は、通信アンテナ211の作動制御を通じて、位置情報を含むビーコン信号の送信など、送電装置30との間での各種のデータ通信を実行する。このデータ通信における通信態様は任意であり、例えばBluetooth(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)、ZigBee(登録商標)等の任意の通信規格に従うものが挙げられる。
【0028】
受電部22は、受電アンテナ221を有している。受電部22は、受電アンテナ221の作動を制御することで、送電装置30から送信される電力伝送信号を受信する。受電部22は、整流回路や変圧回路を有している。受電部22は、整流回路や変圧回路を利用して、上記電力伝送信号を直流電力に変換する。本実施形態では、受電部22により変換された直流電力が蓄電池23に供給されることで、同蓄電池23が充電される。
【0029】
蓄電池23は、電力を蓄える二次電池である。本実施形態では、蓄電池23が、受電装置20の電源として利用される。
制御部24としては、例えばマイクロコントロールユニットが用いられる。制御部24は、プロセッサと記憶部25とを備えている。記憶部25は、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)を含む。記憶部25には、制御用のプログラムやデータが記憶されている。制御部24は、データ通信部21の作動制御や、受電部22の作動制御など、受電装置20の作動制御にかかる各種制御を実行する。
【0030】
<送電装置>
図1および
図2に示すように、送電装置30は車両10のルーフ14に設けられている。送電装置30の配設態様は後に詳述する。
【0031】
図3に示すように、送電装置30は、データ通信部31、送電部32、および制御部33を備えている。
データ通信部31は、通信アンテナ311を有している。データ通信部31は、通信アンテナ311の作動制御を通じて、ビーコン信号の受信など、受電装置20との間での各種のデータ通信を実行する。
【0032】
送電部32は、送電アンテナ321を有している。送電部32は、電源35から供給される電力を電力伝送信号に変換するとともに、この電力伝送信号を送電アンテナ321の作動制御を通じて受電装置20に送信する。
【0033】
制御部33としては、例えばマイクロコントロールユニットが用いられる。制御部33は、プロセッサと記憶部36とを備えている。記憶部36は、ROMおよびRAMを含む。記憶部36には、制御用のプログラムやデータが記憶されている。制御部33は、データ通信部31の作動制御や送電部32の作動制御など、送電装置30の作動制御にかかる各種制御を実行する。
【0034】
<無線給電システムによる作用>
本実施形態の無線給電システムでは、送電装置30から受電装置20への給電が以下のように実行される。
【0035】
図2に示すように、受電装置20は、位置情報を含むビーコン信号を、送電装置30に対して所定の時間間隔で送信する。送電装置30は、その送電可能範囲ASに受電装置20が在る場合には、受電装置20のビーコン信号を受信する。送電装置30は、ビーコン信号を受信すると、同ビーコン信号をもとに受電装置20の位置を特定する。送電装置30は、特定した位置に向けて電力伝送信号を送信することで、受電装置20への無線給電を行う。これにより、送電装置30の送電アンテナ321に対する受電装置20の受電アンテナ221の向きや送電装置30と受電装置20との距離などに応じて、同受電装置20への給電が効率よく行われる。
【0036】
本実施形態では、上記送電装置30が設けられているため、電装品である受電装置20をキャビン11の内部にユーザーが新たに配置する場合には、同受電装置20を電源回路に接続する作業が不要になる。この場合、電装品を電源回路に接続するうえでは、単に電装品をキャビン11内部に配置するだけでよくなる。したがって、車両10の内張部材を取り外す作業やワイヤーハーネスに受電装置20を接続する作業といった煩雑な作業が不要になる。このように本実施形態によれば、キャビン11の内部に新たに電装品を配置するうえで、その配置にかかる手間が格段に小さくなる。
【0037】
本実施形態では、キャビン11内部における前部座席12よりも後部座席13の側の領域に対して効率良く送電することが可能になるように、送電装置30(詳しくは、送電部32)が配設されている。以下、送電部32の配設態様について詳しく説明する。
【0038】
<第1領域、第2領域>
本実施形態では、キャビン11の内部が前後方向において2つの領域に区分されている。具体的には、車両10の前後方向における前方側の領域が「第1領域AR1」とされるとともに、上記前後方向における後方側の領域が「第2領域AR2」とされている。
【0039】
第1領域AR1は、詳しくは、前部座席12が配置される領域を含んでいる。第1領域AR1の後方側の端部としては、前部座席12の座部121の後方側の端部が定められている。なお本実施形態の車両10では、
図1中に矢印SCで示すように、前部座席12の位置が前後方向において変更可能になっている。本実施形態では、前部座席12の位置が変更可能範囲における最も後方側に設定された場合(
図1に実線で示す)において、同前部座席12の座部121の後方側の端部になる位置が、第1領域AR1の後方側の端部として定められている。
【0040】
第2領域AR2は、第1領域AR1に隣接する領域である。第2領域AR2は、後部座席13が配置される領域を含んでいる。
送電部32の送電アンテナ321は、同送電アンテナ321からの送電が可能になる範囲(
図1に示す送電可能範囲AS)を有する。送電可能範囲ASは、詳しくは、送電アンテナ321からの電力伝送信号の送信が可能になる範囲である。送電可能範囲ASは、送電アンテナ321から離れるに連れて広がる形状をなす。送電可能範囲ASは、具体的には、中心軸線Lを基準に、その周囲全周にわたって所定角度(本実施形態では、45度)で広がる形状をなしている。
【0041】
本実施形態では、送電装置30は、上記送電可能範囲ASの中心軸線Lがキャビン11の第2領域AR2の内部に収まる態様で、車両10のルーフ14に設けられている。送電装置30は、上記送電可能範囲ASの中心軸線Lが送電アンテナ321を始点に車両10の斜め下方且つ斜め後方に向けて延びる態様でルーフ14に設けられている。送電装置30は、内張部材16で覆われた状態になっている。
【0042】
送電装置30は、送電部32の送電アンテナ321が第2領域AR2における前後方向の中間位置よりも前方側に配置される態様で設けられている。送電装置30は、詳しくは、第2領域AR2における前方側の端部近傍に設けられている。送電装置30は、ルームランプ部17と前後方向において並ぶ態様で配置されている。送電装置30は、ルームランプ部17よりも前方側に配置されている。送電装置30は、ルームランプ部17と一体になっている。
【0043】
<作用効果>
本実施形態の送電装置30による作用効果について説明する。
(1-1)送電部32の送電アンテナ321は、送電可能範囲ASの中心軸線Lが第2領域AR2の内部に収まる態様で配置されている。本実施形態によれば、上記送電可能範囲ASを、送電アンテナ321と第2領域AR2との間が前部座席12によって遮られない態様で、キャビン11の内部に設定することが可能になる。これにより、送電部32の送電アンテナ321からの送電を、前部座席12よりも後部座席13側の領域である第2領域AR2に対し、前部座席12によって遮られることのない態様で実行することができる。そのため、上記第2領域AR2に配置された受電装置20に対して、送電部32から効率良く送電することができる。
【0044】
なお、キャビン11の第2領域AR2における両サイドには乗員の乗降用のドア(図示略)が配置される。また車両10では、第2領域AR2に配置される二列目シート13Fが前後方向にスライド移動可能になっている。このことから、キャビン11の第2領域AR2は、ワイヤーハーネスの配置についての制約が多い領域であると云える。そのため、キャビン11の第2領域AR2に電装品を配置する場合には、同電装品を電源回路に接続することが困難になる。本実施形態によれば、送電装置30を利用することにより、そうした第2領域AR2に配置される受電装置20に対して容易に給電することができる。
【0045】
(1-2)送電装置30は、第2領域AR2における前方側の端部近傍に設けられている。送電部32の送電アンテナ321は、送電可能範囲ASの中心軸線Lが送電アンテナ321を始点に車両10の斜め下方且つ斜め後方に向けて延びる態様で、車両10のルーフ14に設けられている。
【0046】
本実施形態では、送電可能範囲ASは、送電アンテナ321から離れるに連れて広がる形状をなしている。本実施形態によれば、そうした送電可能範囲ASを、斜め下方且つ斜め後方に向かうに連れて広がる態様で、キャビン11の内部に設定することができる。そのため、ルーフ14に設けられた送電部32から、同送電部32の下方にあたる部分だけに送電するのではでなく、送電部32よりも後方側の部分に対しても送電することができる。したがって、キャビン11における後方側の領域を構成する第2領域AR2に対して、広い範囲で電力を送ることができる。
【0047】
(1-3)送電装置30は、ルーフ14に設けられたルームランプ部17と一体になっている。車両10のルーフ14においてルームランプ部17が配置される部分は、キャビン11内を照らすのに適した部分であることから、キャビン11内に電力(詳しくは、電力伝送信号)を送るのにも適した部分であると云える。また、ルームランプ部17は、車両10の電源回路に接続されている。本実施形態によれば、送電装置30がそうしたルームランプ部17と一体になっているため、キャビン11内における第2領域AR2に対して、送電部32から電力を好適に送ることができる。しかも、送電装置30を電源回路に容易に接続することができる。また、送電装置30の送電状態をルームランプ部17の照明態様により表示することも可能となる。例えば、送電装置30による送電を適正に行うことのできない異常時において、ルームランプ部17を点滅させたり発光色を変化させたりすることができる。これにより、利用者にとってわかりやすく使いやすい送電装置30とすることができる。
【0048】
(第2実施形態)
以下、送電装置の第2実施形態について、第1実施形態との相違点を中心に、
図4~
図6を参照しつつ説明する。
【0049】
本実施形態の送電装置は、キャビンの側壁に取り付けられている点が、第1実施形態の送電装置と異なる。
以下、本実施形態にかかる送電装置の配設態様について説明する。なお以下では、先の
図1~
図3に例示した第1実施形態と同様の構成については同一の符号、若しくは対応する符号を付すとともに、それら構成についての詳細な説明は割愛する。
【0050】
図4~
図6に示すように、車両40の両サイドには、ピラー部材47が設けられている。ピラー部材47は二列目シート13Fの背もたれ部131に沿って上下方向に延びている。ピラー部材47は、キャビン11の側壁の一部、詳しくは車両40のCピラーを構成している。
【0051】
本実施形態では、送電装置30は、ピラー部材47に取り付けられている。送電装置30は、車両40の両サイドのピラー部材47に一つずつ設けられている。各送電装置30は、上下方向における上記キャビン11の中間位置よりも上側の位置、詳しくは、二列目シート13Fの背もたれ部131よりも上側の位置に設けられている。各送電装置30は、内張部材16(
図6参照)で覆われた状態になっている。
【0052】
図5および
図6に示すように、各送電装置30は、送電可能範囲ASの中心軸線Lがキャビン11の第2領域AR2の内部に収まる態様で、車両40のピラー部材47に設けられている。これにより、前記送電可能範囲ASを、送電アンテナ321と第2領域AR2との間が前部座席12によって遮られない態様で、キャビン11の内部に設定することが可能になる。そのため、送電部32の送電アンテナ321からの送電を、前部座席12よりも後部座席13側の領域である第2領域AR2に対し、前部座席12によって遮られることのない態様で実行することができる。したがって、上記第2領域AR2に配置された受電装置20に対して、送電部32から効率良く送電することができる。
【0053】
図6に示すように、車両40の右側のピラー部材47に設けられる送電装置30(以下、送電装置30R)は、送電可能範囲ASの中心軸線Lが送電アンテナ321を始点に車両40の左側且つ斜め下方に向けて延びる態様で配置されている。
図5に示すように、車両40の左側のピラー部材47に設けられる送電装置30(以下、送電装置30L)は、送電可能範囲ASの中心軸線Lが送電アンテナ321を始点に車両40の右側且つ斜め下方に向けて延びる態様で配置されている。
【0054】
本実施形態によれば、キャビン11の側壁、詳しくはピラー部材47に設けられた送電部32から、同キャビン11の内部に向けて送電することができる。しかも、送電アンテナ321の送電可能範囲ASを、側方且つ斜め下方に向かうに連れて広がる態様で、キャビン11の内部に設定することができる。そのため、キャビン11の側壁に設けられた送電部32から、同送電部32の側方にあたる部分だけに送電するのではでなく、送電部32よりも下方側の部分に対しても送電することができる。したがって、キャビン11内における第2領域AR2に対して、送電部32から、上下方向において広い範囲で電力を送ることができる。
【0055】
送電可能範囲ASは、送電アンテナ321から離れるに連れて広がる形状をなす。そのため、送電装置30の送電アンテナ321の近傍においては、送電可能範囲ASは狭くなる。本実施形態では、車両40の両サイドに送電装置30が設けられている。そのため、
図5から明らかなように、キャビン11の左側の部分に対しては、送電装置30Rから広範囲に電力を送ることができる。一方、キャビン11の右側の部分に対しては、送電装置30Lから広範囲に電力を送ることができる。このように本実施形態によれば、第2領域AR2におけるキャビン11の両側壁に近い部分に対しても、好適に電力を送ることができる。
【0056】
<作用効果>
本実施形態の送電装置30による作用効果について説明する。
(2-1)送電装置30は、送電可能範囲ASの中心軸線Lがキャビン11の第2領域AR2の内部に収まる態様で、車両40のピラー部材47に設けられている。そのため、上記第2領域AR2に配置された受電装置20に対して、送電部32から効率良く送電することができる。
【0057】
(2-2)送電装置30はキャビン11の側壁に設けられている。そのため、送電装置30の送電部32から、車両40の側方に向けて、すなわちキャビン11の内部に向けて送電することができる。
【0058】
(2-3)送電装置30は、上下方向における上記キャビン11の中間位置よりも上側の位置に設けられている。送電装置30は、送電可能範囲ASの中心軸線Lが送電アンテナ321を始点に車両40の側方且つ斜め下方に向けて延びる態様で配置されている。そのため、キャビン11内における第2領域AR2に対して、上下方向において広い範囲で電力を送ることができる。
【0059】
(2-4)ピラー部材47は二列目シート13Fの背もたれ部131に沿って上下方向に延びている。このピラー部材47に送電装置30が設けられている。
本実施形態によれば、送電部32から、二列目シート13Fの背もたれ部131の側面に向けて電力が送られるようになる。これにより、二列目シート13Fの背もたれ部131の前面(または後面)に向けて電力が送られる場合と比較して、送電部32からの送電が同二列目シート13Fによって遮られる範囲を狭くすることができる。そして、1つの送電装置30から、二列目シート13Fの背もたれ部131よりも前方側の領域と、同背もたれ部131よりも後方側の領域(三列目シート13Bが配置される領域を含む)とに、送電部32から電力を効率よく送ることができる。
【0060】
(第3実施形態)
以下、送電装置の第3実施形態について、第1実施形態および第2実施形態との相違点を中心に、
図7を参照しつつ説明する。
【0061】
本実施形態の送電装置は、送電部から送電される電力を反射する反射部を有する点が、第1実施形態および第2実施形態の送電装置と異なる。
以下、本実施形態にかかる反射部について説明する。なお以下では、第1実施形態の送電装置や第2実施形態と同様の構成については同一の符号、若しくは対応する符号を付すとともに、それら構成についての詳細な説明は割愛する。
【0062】
<反射部>
図7に示すように、車両50には、2つの反射部60,61が設けられている。
反射部60は、前部座席12の座部121の内部に設けられている。反射部60は、金属板によって構成されている。反射部60は、車幅方向および前後方向に延在する態様で設けられている。反射部60は、外面がキャビン11の内部に露出しないように前部座席12の表皮材122で覆われた状態になっている。
【0063】
反射部61は、フロアマット57と一体になっている。このフロアマット57は、二列目シート13Fの足元に設けられるものである。反射部61は金属板によって構成されている。反射部61は、外面がキャビン11の内部に露出しないようにフロアマット57の表皮材571で覆われた状態になっている。
【0064】
なお本実施形態では、前部座席12の座部121およびフロアマット57が、キャビンの内部に配置された部品に相当する。また本実施形態では、表皮材122,571が内装部材に相当する。
【0065】
本実施形態の受電装置20は、車両50のフロア15に固定されている。受電装置20は、前部座席12の座部121の下方にあたる位置に設けられている。
本実施形態の送電装置30は、前記送電可能範囲ASの中心軸線Lがキャビン11の第2領域AR2の内部に収まる態様で、車両50のルーフ14に設けられている。送電装置30は、上記送電可能範囲ASの中心軸線Lが送電アンテナ321を始点に車両50の下方に向けて延びる態様でルーフ14に設けられている。送電装置30は、二列目シート13Fの上方にあたる位置に設けられている。送電装置30は、内張部材16で覆われた状態になっている。
【0066】
<無線給電システムによる作用>
本実施形態の無線給電システムでは、送電装置30から受電装置20への給電が以下のように実行される。
【0067】
図7中に矢印Aで示すように、送電装置30の送電アンテナ321から下方に向けて電力(詳しくは、電力伝送信号)が送られる。この電力伝送信号は、車両50のフロア15に設けられたフロアマット57に向かう。そして、電力伝送信号は、フロアマット57(詳しくは、その反射部61)において反射する。
【0068】
図7中に矢印Bで示すように、フロアマット57で反射した電力伝送信号は、上方に向かう。このとき電力伝送信号は、前部座席12の座部121の下面に向かうようになる。そして、この電力伝送信号は、前部座席12の座部121(詳しくは、その反射部60)によって反射する。
【0069】
図7中に矢印Cで示すように、前部座席12の座部121において反射した電力伝送信号は、下方に向かう。本実施形態では、このとき電力伝送信号は、前部座席12の下方に配置された受電装置20に向かうようになる。そして、この電力伝送信号を受電装置20は受信する。本実施形態では、このようにして、送電装置30から受電装置20への無線給電が行われる。
【0070】
ここで本実施形態では、受電装置20が前部座席12の下方といった奥まった場所に配置されている。そのため、単に車両50のルーフ14に設けられた送電装置30からキャビン11の第2領域AR2に向けて電力を送っても、受電装置20に届けることが困難である。
【0071】
この点、本実施形態では、キャビン11の内部に、送電部32から送電される電力を反射する反射部60,61が設けられている。本実施形態によれば、この反射部60,61における電力(詳しくは、電力伝送信号)の反射を利用することで、受電装置20に対して送電部32から電力を送ることが可能になる。本実施形態では、こうした構成が実現される態様で、反射部60,61が配置されている。このように、本実施形態によれば、反射部60,61における電力伝送信号の反射を利用することで、第2領域AR2の各部に対して、送電部32から、高い自由度で電力を送ることができる。
【0072】
また本実施形態では、反射部60,61の外面がキャビン11の内部に露出しないように表皮材122,571で覆われた状態になっている。これにより、反射部60,61を設けることによる車両50の意匠性の低下を抑えることができる。
【0073】
<作用効果>
本実施形態によれば、以下に記載する効果が得られる。
(3-1)反射部60,61における電力伝送信号の反射を利用することで、第2領域AR2の各部に対して、送電部32から、高い自由度で電力を送ることができる。しかも、反射部60,61を設けることによる車両50の意匠性の低下を抑えることができる。
【0074】
<変更例>
なお、上記各実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記各実施形態および以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0075】
・第1実施形態において、送電装置30をルームランプ部17と別体で設けるようにしてもよい。
・第1実施形態において、ルーフ14における送電部32の配設位置は、任意に変更することができる。例えば、送電部32の配設位置を、第2領域AR2における前方側の端部から離れた位置にしたり、ルームランプ部17の後方側の位置にしたりすることができる。なお前記中心軸線Lが送電アンテナ321を始点に斜め下方且つ斜め後方に向けて延びる態様で送電部32がルーフ14に設けられる場合には、送電部32の配設位置を、第2領域AR2における前後方向の中間位置よりも前方側の位置にすることが好ましい。
【0076】
・第1実施形態において、前記中心軸線Lが送電アンテナ321を始点に真下に向けて延びる態様で、送電部32を設けるようにしてもよい。
・第1実施形態において、キャビン11の後部が荷室になっている場合には、同荷室に送電装置30を設けるようにしてもよい。同構成によれば、荷室に配置された受電装置20に対して、送電部32から効率良く送電することができる。
【0077】
上記構成においては、送電アンテナ321が第2領域AR2における上下方向の中間位置よりも上側に配置される態様で、送電装置30を設けることが好ましい。また上記構成においては、前記中心軸線Lが送電アンテナ321を始点に車両10の斜め下方且つ斜め前方に向けて延びる態様で、送電装置30を設けることが好ましい。同構成によれば、ルーフ14における後方側の部分に設けられた送電部32から、同送電部32の下方にあたる部分だけに送電するのではでなく、送電部32よりも前方側の部分に対しても送電することができる。したがって、キャビン11における後方側の領域を構成する第2領域AR2に対して、広い範囲で電力を送ることができる。
【0078】
・第2実施形態において、ピラー部材47にキャビン11の壁面や天井、床面を照らす間接照明ユニットが設けられている場合には、同間接照明ユニットと送電装置30とを一体に構成してもよい。ピラー部材47において間接照明ユニットが配置される部分は、キャビン11内を照らすのに適した部分であることから、キャビン11内に電力(詳しくは、電力伝送信号)を送るのにも適した部分であると云える。また、間接照明ユニットは、車両10の電源回路に接続される。上記構成によれば、送電装置30がそうした間接照明ユニットと一体になっているため、キャビン11内における第2領域AR2に対して、送電部32から電力を好適に送ることができる。しかも、送電装置30を電源回路に容易に接続することができる。また、送電装置30の送電状態を間接照明ユニットの照明態様により表示することも可能となる。これにより、利用者にとってわかりやすく使いやすい送電装置30とすることができる。
【0079】
・第2実施形態において、送電装置30を、車両40の両サイドの一方のみに設けるようにしてもよい。
・第2実施形態において、送電装置30を、キャビン11の側壁における前記ピラー部材47以外の部分(例えば、サイドパネル)に設けるようにしてもよい。
【0080】
・第2実施形態において、キャビン11の側壁における送電部32の配設位置は、任意に変更することができる。例えば、送電部32の配設位置を、上下方向における上記キャビン11の中間位置にしたり、同中間位置よりも下側の位置にしたりすることができる。なお前記中心軸線Lが送電アンテナ321を始点に斜め下方且つ側方に向けて延びる態様で送電部32がピラー部材47に設けられる場合には、送電部32の配設位置を、上下方向における上記キャビン11の中間位置よりも上側の位置にすることが好ましい。
【0081】
・第2実施形態において、送電装置30の各構成部品のうちの送電部32(または送電アンテナ321)のみをピラー部材47に設けるとともに、それ以外の構成部品をルーフ14に設けるようにしてもよい。
【0082】
・第3実施形態において、反射部60と受電装置20との相対位置を送電装置30の記憶部36に予め記憶させておいてもよい。同構成によれば、ビーコン信号の送受信を行うことなく、送電装置30から受電装置20への送電が可能になる。
【0083】
また上記構成において、記憶部36に記憶されている反射部60と受電装置20との相対位置を、任意のタイミングで更新するようにしてもよい。上記相対位置の更新は、例えば受電装置20のビーコン信号を送電装置30のデータ通信部31が受信したタイミングで実行することができる。同構成によれば、キャビン11内において受電装置20が移動した場合や、キャビン11内に新たに受電装置20が設けられた場合に、更新された相対位置をもとに、送電装置30から受電装置20への送電を行うことができる。
【0084】
1つの受電装置20と同受電装置20に対応する複数の反射部のそれぞれとの相対位置を、送電装置30の記憶部36に予め記憶させておくこと等も可能である。同構成においては、1乃至複数の反射部を利用する送電ルートでの送電が不能になった場合に、他の反射部を利用する送電ルート、すなわち送電装置30から受電装置20への送電が可能なルートのいずれかを使用して、同送電を実行することができる。この場合には、送電装置30から受電装置20への送電が可能なルートのうち、送電距離が最短のルートを選択することが好ましい。
【0085】
・第3実施形態において、反射部を一体に設けるものとしては、キャビン11の内部に配置される部品であれば、任意のものを採用することができる。そうした部品としては、例えば、座席の背もたれ部や、センターコンソール、後付けのテーブルなどが挙げられる。こうした構成によれば、電力を反射する反射部を、キャビン11の内部に配置される部品を利用して、様々な位置に目立たないように配置することができる。
【0086】
・反射部を設ける位置は、送電対象となる受電装置20の位置に応じて、任意の位置に設定することができる。
例えば、反射部を運転席12Dと助手席12Sとの間に設けることができる。同構成は、反射部をセンターコンソールと一体にしたり、フロアマットと一体にしたりすることによって実現することができる。同構成によれば、第2領域AR2に送電部32が設けられているとはいえ、運転席12Dと助手席12Sとの間に配置される反射部を利用することで、運転席12Dと助手席12Sとの間隙を介して第1領域AR1にも送電部32から電力を送ることができる。したがって、送電部32からキャビン11の第1領域AR1への送電を、前部座席12によって遮られることのない態様で実行することができる。
【0087】
その他、反射部を二列目シート13Fの座部に設けること等も可能である。同構成によれば、ルーフ14に設けられた送電部32から下方に向けて送信される電力伝送信号を、二列目シート13Fの座部に設けられた反射部によって上方に向かうように反射させることができる。これにより、ルーフ14に設けられた受電装置20に対して送電部32から送電することが可能になる。
【0088】
・各実施形態において、第1領域AR1と第2領域AR2との境界としては、前部座席12の座部121の後方側の端部を設定することに限らず、二列目シート13Fの座部の前方側の端部を設定することができる。その他、上記境界としては、前部座席12の座部121の後方側の端部と後部座席13の座部の前方側の端部との間における任意の位置を設定することなども可能である。
【0089】
・第1実施形態または第3実施形態において、送電装置30を、二列目シート13Fの上方と三列目シート13Bの上方とのそれぞれに設けるようにしてもよい。第2実施形態において、送電装置30を、二列目シート13Fの側方と三列目シート13Bの側方とのそれぞれに設けるようにしてもよい。
【0090】
・
図8に示すように、各実施形態において、車両10,40,50のタイヤ71に受電装置80を設けるようにしてもよい。受電装置80は、タイヤ空気圧監視装置(いわゆるTPMS)である。受電装置80は、タイヤ71の空気圧を自動調節する機能を有している。
図9に示すように、受電装置80は、データ通信部21、受電部22、蓄電池23、および制御部24を有する。また、受電装置80は、タイヤ71の空気圧を検出するための圧力センサ86と、タイヤ71の温度を検出するための温度センサ87とを有する。これらセンサ86,87の検出信号は制御部24に取り込まれている。さらに、受電装置80は、タイヤ71の内部に空気を給排するためのコンプレッサ88を有する。コンプレッサ88は制御部24に接続されている。
【0091】
上記制御部24は、圧力センサ86によって検出されるタイヤ71の空気圧と温度センサ87によって検出されるタイヤ71の温度とに基づいて、コンプレッサ88の作動制御を実行する。こうしたコンプレッサ88の作動制御を通じて、タイヤ71の空気圧が自動調節されるようになっている。上記構成においては、受電装置80への給電は、キャビン11内部に設けられた送電装置30から行われる。
【0092】
上記構成において、
図8に示すように、タイヤハウジング72(あるいはその近傍)に、送電装置30の送電部32(あるいは、送電アンテナ321)を設けるようにしてもよい。
【0093】
・各実施形態において、送電装置30を、車両10,40,50のフロア15に設けるようにしてもよい。
・各実施形態にかかる送電装置30は、車両10,40,50以外の移動体に設けられる送装置にも適用可能である。そうした移動体としては、航空機や、船舶、宇宙船などを挙げることができる。
【符号の説明】
【0094】
AR1 第1領域
AR2 第2領域
AS 送電可能範囲
L 中心軸線
10 車両
11 キャビン
12 前部座席
121 座部
122 表皮材
12D 運転席
12S 助手席
13 後部座席
131 背もたれ部
13F 二列目シート
13B 三列目シート
14 ルーフ
15 フロア
16 内張部材
17 ルームランプ部
20 受電装置
21 データ通信部
211 通信アンテナ
22 受電部
221 受電アンテナ
23 蓄電池
24 制御部
25 記憶部
30 送電装置
31 データ通信部
311 通信アンテナ
32 送電部
321 送電アンテナ
33 制御部
35 電源
36 記憶部
40 車両
47 ピラー部材
50 車両
57 フロアマット
571 表皮材
60 反射部
61 反射部
71 タイヤ
80 受電装置
86 圧力センサ
87 温度センサ