(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024089472
(43)【公開日】2024-07-03
(54)【発明の名称】固体撮像装置、固体撮像装置の製造方法、および電子機器
(51)【国際特許分類】
H04N 25/70 20230101AFI20240626BHJP
H01L 27/146 20060101ALI20240626BHJP
【FI】
H04N25/70
H01L27/146 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】26
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022204860
(22)【出願日】2022-12-21
(71)【出願人】
【識別番号】521182560
【氏名又は名称】ブリルニクス シンガポール プライベート リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001863
【氏名又は名称】弁理士法人アテンダ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】盛 一也
(72)【発明者】
【氏名】宮内 健
【テーマコード(参考)】
4M118
5C024
【Fターム(参考)】
4M118AA02
4M118AB01
4M118BA14
4M118CA02
4M118CA04
4M118DD04
4M118DD12
4M118FA06
4M118FA27
4M118FA33
4M118GC08
4M118GC09
4M118GD04
4M118GD07
5C024CX03
5C024CX37
5C024CX43
5C024EX52
5C024GX02
5C024GY18
5C024HX23
5C024HX28
5C024HX35
(57)【要約】
【課題】最大限の光応答を確保することが可能で、再現性に加えて低光SNRを確保することが可能であり、しかもさらなる画素サイズの縮小化を図ることが可能で、ダイナミックレンジ、応答性、解像度などの性能を効率的に向上させることが可能な固体撮像装置、固体撮像装置の製造方法、および電子機器を提供する。
【解決手段】第1の光電変換素子PD0は、集積された電荷は蓄積ノードに蓄積され、オーバーフローした電荷はフローティングディフュージョンFDに蓄積され、第2の光電変換素子PD1は、集積された電荷は蓄積ノードに蓄積され、オーバーフローした電荷はフローティングディフュージョンFD外領域に排出される。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
共有画素が配置された画素部と、
前記画素部の前記共有画素から画素信号を読み出す読み出し部と、を有し、
前記共有画素は、
光電変換により生成した電荷を蓄積する少なくとも2つの光電変換素子と、
前記光電変換素子の各々に蓄積された電荷をそれぞれ個別に転送可能な少なくとも2つの転送素子と、
前記転送素子の各々を通じて前記光電変換素子各々の蓄積電荷が転送されるフローティングディフュージョンと、を含み、
1つの前記フローティングディフュージョンが前記複数の光電変換素子および前記複数の転送素子により共有され、
少なくとも一の前記光電変換素子から一の前記転送素子を介して前記フローティングディフュージョンに至る電荷転送経路部には、当該一の光電変換素子からの飽和信号を前記フローティングディフュージョンにオーバーフローさせることが可能なオーバーフローパス部が形成され、
少なくとも他の前記光電変換素子から一の前記フローティングディフュージョン外領域に至る電荷転送経路部には、当該他の光電変換素子からの飽和信号を前記フローティングディフュージョン外領域に排出させることが可能な電荷排出パス部が形成され、
一の前記光電変換素子からの第1の飽和信号は一の前記転送素子を介して前記フローティングディフュージョンに転送され、
他の前記光電変換素子からの第2の飽和信号は前記電荷排出パス部を介して排出される
固体撮像装置。
【請求項2】
前記共有画素は、
光電変換により生成した電荷を蓄積する第1の光電変換素子と、
前記第1の光電変換素子に蓄積された電荷を転送可能な第1の転送素子と、
光電変換により生成した電荷を蓄積する第2の光電変換素子と、
前記第2の光電変換素子に蓄積された電荷を転送可能な第2の転送素子と、を少なくとも含み、
前記フローティングディフュージョンは、少なくとも
前記第1の転送素子を通じて前記第1の光電変換素子の蓄積電荷、前記第2の転送素子を通じて前記第2の光電変換素子の蓄積電荷が転送され、
前記第1の光電変換素子は、
集積された電荷は蓄積ノードに蓄積され、オーバーフローした電荷は前記フローティングディフュージョンに蓄積され、
前記第2の光電変換素子は、
集積された電荷は蓄積ノードに蓄積され、オーバーフローした電荷は前記フローティングディフュージョン外領域に排出される
請求項1記載の固体撮像装置。
【請求項3】
前記第1の光電変換素子は、
飽和信号は前記フローティングディフュージョンの飽和によって制限され、フルウェル容量(FWC)は前記第2の光電変換素子のFWCより小さく形成され、
光電荷は異なる利得で少なくとも2回読み取ることが可能で、
前記第2の光電変換素子は、
飽和信号は光電変換素子の飽和によって制限され、フルウェル容量(FWC)は前記第1の光電変換素子のFWCより大きく形成される
請求項2記載の固体撮像装置。
【請求項4】
前記読み出し部は、
前記共有画素の読み出しシーケンスにおいて、
前記第1の光電変換素子からの読み出し信号(Qpd0)の読み出し処理で開始し、
次いで、オーバーフロー信号(Qfd) の読み出し処理を行い、総処理光電荷が拡張させ、
その後、前記第2の光電変換素子からの読み出し信号(Qpd1)の読み出し処理を行い、
光電荷の総量は、前記第1の光電変換素子による(Qpd0+Qfd)と前記第2の光電変換素子のQpd1とにより与えられる
請求項3記載の固体撮像装置。
【請求項5】
前記読み出し部は、
蓄積された光電荷信号のそれぞれは、列または画素単位のアナログデジタルコンバータ(ADC)の各信号用のメモリのペアを使用して、単一フレームで読み出すことが可能である
請求項4記載の固体撮像装置。
【請求項6】
前記読み出し部は、
蓄積された光電荷ごとにAD変換を行うことができ、異なる変換利得のために少なくとも複数のADC変換を利用する
請求項5記載の固体撮像装置。
【請求項7】
前記共有画素は、
各光電変換素子に対応するように配置されるカラーフィルタを含み、
対応するオーバーフロー光電荷が前記フローティングディフュージョンに蓄積される前記第1の光電変換素子に高透過カラーフィルタが適用され、より低い透過カラーフィルタは、対応する光電荷が蓄積された読み出し信号を格納する前記第2の光電変換素子に適用される
請求項6記載の固体撮像装置。
【請求項8】
前記共有画素は、
高透過フィルタを前記第1の光電変換素子に割り当てて、光電変換素子からのすべての信号が飽和するまで信号応答範囲を拡張することにより、前記第2の光電変換素子に低透過フィルタを割り当てることができるように形成されている
請求項7記載の固体撮像装置。
【請求項9】
前記共有画素は、
クロストークの抑制を許容範囲内に維持するDTI構造であって、光電変換素子間で発生する色信号のクロストークを防ぐことができるパーシャルフルDTI構造を備えている
請求項7記載の固体撮像装置。
【請求項10】
オーバーフロー電荷蓄積が発生した前記共有画素内の高透過光電変換素子に対してフルウェル容量を拡張することが可能である
請求項7記載の固体撮像装置。
【請求項11】
前記共有画素は、
光電変換により生成した電荷を蓄積する第1の光電変換素子と、
前記第1の光電変換素子に蓄積された電荷を転送可能な第1の転送素子と、
光電変換により生成した電荷を蓄積する第2の光電変換素子と、
前記第2の光電変換素子に蓄積された電荷を転送可能な第2の転送素子と、
光電変換により生成した電荷を蓄積する第3の光電変換素子と、
前記第3の光電変換素子に蓄積された電荷を転送可能な第3の転送素子と、
光電変換により生成した電荷を蓄積する第4の光電変換素子と、
前記第4の光電変換素子に蓄積された電荷を転送可能な第4の転送素子と、を少なくとも含み、
前記フローティングディフュージョンは、少なくとも
前記第1の転送素子を通じて前記第1の光電変換素子の蓄積電荷、前記第2の転送素子を通じて前記第2の光電変換素子の蓄積電荷、前記第3の転送素子を通じて前記第3の光電変換素子の蓄積電荷、および、前記第4の転送素子を通じて前記第4の光電変換素子の蓄積電荷が転送され、
前記第1の光電変換素子、前記第2の光電変換素子、前記第3の光電変換素子、および前記第4の光電変換素子による飽和信号が対応する前記第1の転送素子、前記第2の転送素子、前記第3の転送素子、および前記第4の転送素子の一端子側を介して前記フローティングディフュージョンに転送され、
前記第1の光電変換素子、前記第2の光電変換素子、前記第3の光電変換素子、および前記第4の光電変換素子によるオーバーフロー電荷は前記第1の転送素子、前記第2の転送素子、前記第3の転送素子、および前記第4の転送素子の他端子側を介して前記フローティングディフュージョン外領域に排出される
請求項1記載の固体撮像装置。
【請求項12】
前記共有画素は、
各光電変換素子に対応するように配置されるカラーフィルタを含み、
前記カラーフィルタは、
前記フローティングディフュージョンを共有する複数の光電変換素子のm×mブロック(mは2以上の整数)に適用されている
請求項11記載の固体撮像装置。
【請求項13】
前記共有画素は、
各光電変換素子を含む画素に対応するように配置されるカラーフィルタを含み、
対応するオーバーフロー光電荷が前記フローティングディフュージョンに蓄積される1番目の前記第1の光電変換素子に感度の高い高透過カラーフィルタが適用され、感度のより低い透過カラーフィルタは、対応する光電荷が蓄積された読み出し信号を格納する2番目以降の前記第2の光電変換素子に適用され、
感度の高い画素のオーバーフロー信号を拡張する場合に、感度の高い画素以外の画素のカラーフィルタを、より低い透過カラーフィルタのいずれかに感度を持つものと組み合わせている
請求項7または請求項11記載の固体撮像装置。
【請求項14】
前記共有画素は、
クロストークの抑制を許容範囲内に維持するDTI構造であって、光電変換素子間で発生する色信号のクロストークを防ぐことができるパーシャルフルDTI構造を備えている
請求項12記載の固体撮像装置。
【請求項15】
前記読み出し部は、
前記フローティングディフュージョンを共有する複数の光電変換素子のビニング機能を適用可能であり、
m×mビニングではオーバーフロー電荷が前記フローティングディフュージョンに拡張されて保存される
請求項14記載の固体撮像装置。
【請求項16】
2×2ビニング機能は、
有効な画素サイズを2倍にする一方で、光電変換素子のより高い(×4)感度とウェル(×4の飽和点)を提供する
請求項15記載の固体撮像装置。
【請求項17】
共有する少なくとも一部の光電変換素子からのオーバーフロー電荷の蓄積が発生した前記フローティングディフュージョンを共有する所望の光電変換素子のフルウェル容量(FWC)を拡張することが可能である
請求項15記載の固体撮像装置。
【請求項18】
前記読み出し部は、
前記共有画素の読み出しシーケンスにおいて、
1番目の前記電変換素子からの読み出し信号(Qpd0)の読み出し処理で開始し、
次いで、オーバーフロー信号(Qfd) の読み出し処理を行い、総処理光電荷が拡張させ、
その後、2番目以降の前記光電変換素子からの読み出し信号(Qpdn)の読み出し処理を行い、
光電荷の総量は、前記第1の光電変換素子による(Qpd0+Qfd)と前記2番目以降の前記光電変換素子のQpdnとにより与えられる
請求項15記載の固体撮像装置。
【請求項19】
前記読み出し部は、
複数の動作シーケンスを有する画素毎にアナログサンプルホールド回路ないは各信号シーケンスのデジタル変換(ADC)によるグローバル読み出しを実施するように構成される
請求項18記載の固体撮像装置。
【請求項20】
前記共有画素は、
前記フローティングディフュージョンに接続された蓄積素子と、
前記蓄積素子を介して前記フローティングディフュージョンの電荷を蓄積する蓄積容量素子と、を含む
請求項1から12,14から19のいずれか一に記載の固体撮像装置。
【請求項21】
前記転送素子の少なくともチャネル形成領域より深い層にオーバーフローパスが形成されている
請求項20記載の固体撮像装置。
【請求項22】
前記電荷オーバーフローゲート素子の少なくともチャネル形成領域下にオーバーフローパスが形成される
請求項21記載の固体撮像装置。
【請求項23】
前記電荷オーバーフローゲート素子は、前記光電変換素子の蓄積電荷を前記出力ノードとしてのフローティングディフュージョン領域外に転送するシャッタゲートとして機能する
請求項22記載の固体撮像装置。
【請求項24】
前記転送素子と前記電荷オーバーフローゲート素子はそれぞれ個別のタイミングで駆動制御される
請求項23記載の固体撮像装置。
【請求項25】
共有画素が配置された画素部と、
前記画素部の前記共有画素から画素信号を読み出す読み出し部と、を有し、
前記共有画素は、
光電変換により生成した電荷を蓄積する少なくとも2つの光電変換素子と、
前記光電変換素子の各々に蓄積された電荷をそれぞれ個別に転送可能な少なくとも2つの転送素子と、
前記転送素子の各々を通じて前記光電変換素子各々の蓄積電荷が転送されるフローティングディフュージョンと、を含み、
1つの前記フローティングディフュージョンが前記複数の光電変換素子および前記複数の転送素子により共有される
固体撮像装置の製造方法であって、
少なくとも一の前記光電変換素子から一の前記転送素子を介して前記フローティングディフュージョンに至る電荷転送経路部には、当該一の光電変換素子からの飽和信号を前記フローティングディフュージョンにオーバーフローさせることが可能なオーバーフローパス部を形成し、
少なくとも他の前記光電変換素子から一の前記フローティングディフュージョン外領域に至る電荷転送経路部には、当該他の光電変換素子からの飽和信号を前記フローティングディフュージョン外領域に排出させることが可能な電荷排出パス部を形成し、
一の前記光電変換素子からの第1の飽和信号は一の前記転送素子を介して前記フローティングディフュージョンに転送されるように形成し、
他の前記光電変換素子からの第2の飽和信号は前記電荷排出パス部を介して排出されるように形成する
固体撮像装置の製造方法。
【請求項26】
固体撮像装置と、
前記固体撮像装置に被写体像を結像する光学系と、を有し、
前記固体撮像装置は、
共有画素が配置された画素部と、
前記画素部の前記共有画素から画素信号を読み出す読み出し部と、を有し、
前記共有画素は、
光電変換により生成した電荷を蓄積する少なくとも2つの光電変換素子と、
前記光電変換素子の各々に蓄積された電荷をそれぞれ個別に転送可能な少なくとも2つの転送素子と、
前記転送素子の各々を通じて前記光電変換素子各々の蓄積電荷が転送されるフローティングディフュージョンと、を含み、
1つの前記フローティングディフュージョンが前記複数の光電変換素子および前記複数の転送素子により共有され、
少なくとも一の前記光電変換素子から一の前記転送素子を介して前記フローティングディフュージョンに至る電荷転送経路部には、当該一の光電変換素子からの飽和信号を前記フローティングディフュージョンにオーバーフローさせることが可能なオーバーフローパス部が形成され、
少なくとも他の前記光電変換素子から一の前記フローティングディフュージョン外領域に至る電荷転送経路部には、当該他の光電変換素子からの飽和信号を前記フローティングディフュージョン外領域に排出させることが可能な電荷排出パス部が形成され、
一の前記光電変換素子からの第1の飽和信号は一の前記転送素子を介して前記フローティングディフュージョンに転送され、
他の前記光電変換素子からの第2の飽和信号は前記電荷排出パス部を介して排出される
電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体撮像装置、固体撮像装置の製造方法、および電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
光を検出して電荷を発生させる光電変換素子を用いた固体撮像装置(イメージセンサ)として、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサが実用に供されている。
CMOSイメージセンサは、デジタルカメラ、ビデオカメラ、監視カメラ、医療用内視鏡、パーソナルコンピュータ(PC)、携帯電話等の携帯端末装置(モバイル機器)等の各種電子機器の一部として広く適用されている。
【0003】
CMOSイメージセンサは、画素毎にフォトダイオード(光電変換素子)および浮遊拡散層(FD:Floating Diffusion、フローティングディフュージョン)を有するFDアンプを持ち合わせており、その読み出しは、画素アレイの中のある一行を選択し、それらを同時に列(カラム)出力方向へと読み出すような列並列出力型が主流である。
【0004】
一般的に、CMOSイメージセンサの各画素は、たとえば1個のフォトダイオードに対して、転送素子としての転送トランジスタ、リセット素子としてのリセットトランジスタ、ソースフォロワ素子(増幅素子)としてのソースフォロワトランジスタ、および選択素子としての選択トランジスタの4素子を能動素子として含んで構成される。
【0005】
CMOSイメージセンサは、一般的に、赤(R)、緑(G)、青(B)の3原色フィルタやシアン、マゼンタ、イエロー、グリーンの4色補色フィルタを用いてカラー画像を撮像する。
【0006】
一般的に、CMOSイメージセンサにおいて、画素(ピクセル)は個別にフィルタを備えている。フィルタは、主として赤色光を透過させる赤(R)フィルタ、主として緑色光を透過させる緑(Gr,Gb)フィルタ、および主として青色光を透過させる青(B)フィルタの4つを正方配列したサブピクセル群が単位RGBサブピクセルグループであるマルチピクセルとして2次元状に配列されている。
【0007】
また、CMOSイメージセンサへの入射光はフィルタを介してフォトダイオードで受光される。フォトダイオードは、人間の可視領域(380nm~780nm程度)より広いい波長域(380nm~1100nm)の光を受光して信号電荷を発生させることから、赤外光分の誤差が生じて、色再現性が低下する。
このため、あらかじめ赤外線カットフィルタ(IRカットフィルタ)により赤外光を除去するのが一般的である。
【0008】
赤外線カット(IR-Cut)フィルタを備えたRGBピクセルを使用することで、飽和光強度の高い可視光までの良好な色再現性を得られ、高ダイナミックレンジ化を図ることが可能となる。
また、IRなしのW(ホワイト/クリア)ピクセルを使用することにより可視から近赤外線の波長帯に対する高感度性能なカットフィルタを得ることができる(たとえば非特許文献1参照)。
【0009】
「W」フィルタは、R、G、Bなどの他のフィルタよりも可視光条件に対する応答性がはるかに高いため、「ホワイト / クリア」フィルタ テクノロジーをカラー マトリックスで使用することにより、光応答性パフォーマンスを向上させ、低照度性能を向上させることが可能となる。
【0010】
図1は、W,R,G,B等の種々のカラーマトリックスにおける光応答特性を示す図である。
【0011】
図1からわかるように、可視光の飽和点は、カラー マトリックスの高透過率のカラーフィルタ(CF)によって制限される。
したがって、WやGの飽和点だけを伸ばせば、画素サイズを増やさずにダイナミックレンズ(DR)を伸ばす、すなわち高ダイナミック化を図ることができる。
【0012】
また、高ダイナミックレンジ化のアプローチの一つとして、横型オーバーフロー蓄積容量(LOFIC: Lateral Overflow Integration Capacitor)の構成を挙げることができる。
【0013】
ところで近年、CMOSイメージセンサにおいては、画素数の増加に伴い、画素サイズの微細化の要求が高まり、これに対応すべく、1つのフローティングディフュージョンFD、リセットトランジスタ、ソースフォロワトランジスタ、および選択トランジスタを複数のフォトダイオードおよび転送トランジスタで共有する複数画素共有技術が提案されている(たとえば特許文献1または2参照)。
【0014】
特許文献1には、1つのフローティングディフュージョンFD、リセットトランジスタ、ソースフォロワトランジスタ、および選択トランジスタを2組のフォトダイオードおよび転送トランジスタで共有する2画素共有構造を有するCMOSイメージセンサの画素の一例が示されている。
また、特許文献2には、1つのフローティングディフュージョンFD、リセットトランジスタ、ソースフォロワトランジスタ、および選択トランジスタを4組のフォトダイオードおよび転送トランジスタで共有する4画素共有構造を有するCMOSイメージセンサの画素の一例が示されている。
【0015】
共有画素PXL1は、素子の形成領域として、中央部分の中央領域CTAR1、並びに、中央領域CTAR1を挟んで両側(Y方向)の第1の領域FSAR1および第2の領域SCAR1を含んで、矩形領域RCT1が割り当てられている。
共有画素のレイアウトは、基本的に、素子形成領域の中央部分にフローティングディフュージョンFDが配置され、このフローティングディフュージョンFDを中心として複数の光電変換素子であるフォトダイオードPDが放射状に配置される。
【0016】
たとえば、2画素共有構造の場合、中央領域CTAR1には、フローティングディフュージョンFDがX方向およびY方向の中央部に形成され、そのX方向の図中右側に、リセットトランジスタRST-Trが形成され、左側にソースフォロワトランジスタSF-Tr、選択トランジスタSEL-Trが形成されている。
なお、これらの左右等の配置は、一例であって図示する例であることを問わない。
【0017】
第1の領域FSAR1には、第1のフォトダイオードPD0、第1の転送トランジスタTG0-Trが隣接するように形成されている。
第1の転送トランジスタTG0-Trが中央領域CTAR1側にフローティングディフュージョンFDと接続するように矩形状に形成されている。
【0018】
第2の領域SCAR1には、第2のフォトダイオードPD1、第2の転送トランジスタTG1-Trが形成されている。
第2の転送トランジスタTG1-Trが中央領域CTAR1側にフローティングディフュージョンFDと接続するように形成されている。
【0019】
このような構成を採用することにより、画素構成要素を2つ、4つの複数の画素で共通化できるため、1画素当たりのフォトダイオードPDのサイズを最大化できることから、感度および飽和電荷数を維持しつつ画素サイズの微細化を図ることが可能となる。
【0020】
また、共有FD構造を有することから、フォトダイオードPD間で発生する色信号のクロストークを防ぐことができるDTI(Deep Trench Isolation)技術が適用される。
この場合、共有FD領域の下では、完全なディープトレンチ分離を行うためのフルDTIの代わりに、サブディープトレンチ分離を行うためのサブDTIが使用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0021】
【特許文献1】特開2007-81033号公報
【特許文献2】特開2013-627895号公報
【非特許文献】
【0022】
【非特許文献1】S. Kawada、S. Sakai、N. Akahane、R. Kuroda、S. Sugawa、「IR-Cut RGB および可視-近-IR ピクセルを備えたワイド ダイナミック レンジの市松模様カラー CMOS イメージ センサー」、SENSORS、2009 年 IEEE、2009 年、pp. 1648-1651、doi: 10.1109/ICSENS.2009.5398511。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
しかしながら、上記した各種CMOSイメージセンサには、それぞれ以下に示すような不利益や利益がある。
【0024】
「ホワイト / クリア」フィルタ テクノロジーをカラー マトリックスで使用するCMOSイメージセンサにおいては、強い光量下での実際の使用では、対応するADCコードで白の飽和信号が最初にクリップされ、その後、R、G、Bなどの他の信号が静止していない間に色再現性が崩壊し、飽和点差による高照度性能の低下を招く。
【0025】
LOFICを用いた飽和点最適化技術が適用されたシングルチップのワイドダイナミックレンジ (DR) CMOSイメージセンサは、可視波長帯の良好な色再現性と高感度で実証されている。
LOFICアーキテクチャに基づくCMOSイメージ センサは、ダイナミック レンジを最大化するために感度に応じて各カラー画素(ピクセル)の静電容量値が最適化される。
【0026】
また、画素サイズの縮小とHDR技術を採用したCMOSイメージセンサは、FD共有PDレイアウトとオーバーフロー方向制御を備えた画素(ピクセル)回路を有している。
これにより、さらなる画素サイズの縮小が可能になるが、HDRではLOFICを使用し、フローティングディフュージョンFD(FDノード)は個々のフォトダイオードPDのオーバーフロー信号電荷を保持することは困難である。
【0027】
また、フルDTI構造を採用したCMOSイメージセンサにおいては、クロストークの抑制を許容範囲内に維持することを含む、背面照射型ピクセルのスケーリングにおける主要な課題を有しており、高性能のDTI構造が適切に配置されていないと、クロストークの問題が制限要因になる。
【0028】
以下に、画素サイズやクロストークによる課題についてさらに考察する。
上述した2画素共有あるいは4画素共有の共有画素は、画素構成要素を2つまたは4つの画素で共通化できるため、1画素当たりのフォトダイオードPDのサイズを最大化できることから、感度および飽和電荷数を維持しつつ画素サイズの微細化を図ることが可能となる。
【0029】
しかしながら、たとえば4画素共有構造の場合、フローティングディフュージョンFD部の面積が大きくなり、これにより、フローティングディフュージョンFDの容量が大きくなって変換利得が下がり、ノイズが増大するという不利益がある。
【0030】
また、共有画素は、基本的に、たとえばフローティングディフュージョンFDを中心に放射状にフォトダイオードPDが形成される。そのため、リセットトランジスタRST-Trは電気的に接続されることから、画素のうちの近接した領域に形成された別ノードのフローティングディフュージョンFDに接続される。
このため、接合(ジャンクション)容量および、電気的に接続するための配線容量が増えて、FDノードの容量(Cfd)が増加して、変換利得が低減して、ノイズ特性が劣化するという不利益がある。
【0031】
また、一般に、所定のフォトダイオードPDの蓄積電荷を超えた信号(オーバーフロー電荷)は、隣接画素へ流れ込むと、電荷の混合(偽信号となる)が起きる。
これを防止するために、オーバーフロー電荷が隣接画素に漏れこむ前に接続されたフローティングディフュージョンFDに流れこむような構成がとられる。
この構成の場合には、フローティングディフュージョンFDの電荷を読み出し中に共有する画素からの電荷の漏れこみが発生した場合には偽信号が発生する。たとえば、ベイヤ配列の場合、R信号を読み出し中にG信号のオーバーフロー電荷が発生した場合、出力ノードとしてのフローティングディフュージョンFDで電荷混合が発生する。
【0032】
以上のように共有構造を有する従来のCMOSイメージセンサにおいては、カラーマトリックスで「白」を使用する場合、最大の光応答を確保することは困難であり、再現性に加えて低光SNRを確保することは困難で、これらの技術的な制限を緩和することで、さらに画素サイズを縮小することは困難である。
【0033】
本発明は、感度および飽和電荷数を維持しつつ画素サイズの微細化を図ることが可能となることはもとより、接合容量および配線容量の増加を抑えることができ、出力ノードとしてのフローティングディフュージョンの容量の増加を抑止して、変換利得の低下を防止でき、ひいてはノイズ特性の向上を図ることが可能で、しかもフローティングディフュージョンにおける電荷混合を防止することが可能な固体撮像装置、固体撮像装置の製造方法、および電子機器を提供することにある。
さらに本発明は、最大限の光応答を確保することが可能で、再現性に加えて低光SNRを確保することが可能であり、しかもさらなる画素サイズの縮小化を図ることが可能で、ダイナミックレンジ、応答性、解像度などの性能を効率的に向上させることができる固体撮像装置、固体撮像装置の製造方法、および電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0034】
本発明の第1の観点の固体撮像装置は、共有画素が配置された画素部と、前記画素部の前記共有画素から画素信号を読み出す読み出し部と、を有し、前記共有画素は、光電変換により生成した電荷を蓄積する少なくとも2つの光電変換素子と、前記光電変換素子の各々に蓄積された電荷をそれぞれ個別に転送可能な少なくとも2つの転送素子と、前記転送素子の各々を通じて前記光電変換素子各々の蓄積電荷が転送されるフローティングディフュージョンと、を含み、1つの前記フローティングディフュージョンが前記複数の光電変換素子および前記複数の転送素子により共有され、少なくとも一の前記光電変換素子から一の前記転送素子を介して前記フローティングディフュージョンに至る電荷転送経路部には、当該一の光電変換素子からの飽和信号を前記フローティングディフュージョンにオーバーフローさせることが可能なオーバーフローパス部が形成され、少なくとも他の前記光電変換素子から一の前記フローティングディフュージョン外領域に至る電荷転送経路部には、当該他の光電変換素子からの飽和信号を前記フローティングディフュージョン外領域に排出させることが可能な電荷排出パス部が形成され、一の前記光電変換素子からの第1の飽和信号は一の前記転送素子を介して前記フローティングディフュージョンに転送され、他の前記光電変換素子からの第2の飽和信号は前記電荷排出パス部を介して排出される。
【0035】
本発明の第2の観点は、共有画素が配置された画素部と、前記画素部の前記共有画素から画素信号を読み出す読み出し部と、を有し、前記共有画素は、光電変換により生成した電荷を蓄積する少なくとも2つの光電変換素子と、前記光電変換素子の各々に蓄積された電荷をそれぞれ個別に転送可能な少なくとも2つの転送素子と、前記転送素子の各々を通じて前記光電変換素子各々の蓄積電荷が転送されるフローティングディフュージョンと、を含み、1つの前記フローティングディフュージョンが前記複数の光電変換素子および前記複数の転送素子により共有される固体撮像装置の製造方法であって、少なくとも一の前記光電変換素子から一の前記転送素子を介して前記フローティングディフュージョンに至る電荷転送経路部には、当該一の光電変換素子からの飽和信号を前記フローティングディフュージョンにオーバーフローさせることが可能なオーバーフローパス部を形成し、少なくとも他の前記光電変換素子から一の前記フローティングディフュージョン外領域に至る電荷転送経路部には、当該他の光電変換素子からの飽和信号を前記フローティングディフュージョン外領域に排出させることが可能な電荷排出パス部を形成し、一の前記光電変換素子からの第1の飽和信号は一の前記転送素子を介して前記フローティングディフュージョンに転送されるように形成し、他の前記光電変換素子からの第2の飽和信号は前記電荷排出パス部を介して排出されるように形成する。
【0036】
本発明の第3の観点の電子機器は、固体撮像装置と、前記固体撮像装置に被写体像を結像する光学系と、を有し、前記固体撮像装置は、共有画素が配置された画素部と、前記画素部の前記共有画素から画素信号を読み出す読み出し部と、を有し、前記共有画素は、光電変換により生成した電荷を蓄積する少なくとも2つの光電変換素子と、前記光電変換素子の各々に蓄積された電荷をそれぞれ個別に転送可能な少なくとも2つの転送素子と、前記転送素子の各々を通じて前記光電変換素子各々の蓄積電荷が転送されるフローティングディフュージョンと、を含み、1つの前記フローティングディフュージョンが前記複数の光電変換素子および前記複数の転送素子により共有され、少なくとも一の前記光電変換素子から一の前記転送素子を介して前記フローティングディフュージョンに至る電荷転送経路部には、当該一の光電変換素子からの飽和信号を前記フローティングディフュージョンにオーバーフローさせることが可能なオーバーフローパス部が形成され、少なくとも他の前記光電変換素子から一の前記フローティングディフュージョン外領域に至る電荷転送経路部には、当該他の光電変換素子からの飽和信号を前記フローティングディフュージョン外領域に排出させることが可能な電荷排出パス部が形成され、一の前記光電変換素子からの第1の飽和信号は一の前記転送素子を介して前記フローティングディフュージョンに転送され、他の前記光電変換素子からの第2の飽和信号は前記電荷排出パス部を介して排出される。
【発明の効果】
【0037】
本発明によれば、感度および飽和電荷数を維持しつつ画素サイズの微細化を図ることが可能となることはもとより、接合容量および配線容量の増加を抑えることができ、出力ノードとしてのフローティングディフュージョンの容量の増加を抑止して、変換利得の低下を防止でき、ひいてはノイズ特性の向上を図ることが可能で、しかもフローティングディフュージョンにおける電荷混合を防止することが可能となる。
さらに本発明によれば、最大限の光応答を確保することが可能で、再現性に加えて低光SNRを確保することが可能であり、しかもさらなる画素サイズの縮小化を図ることが可能で、ダイナミックレンジ、応答性、解像度などの重要な性能を効率的に向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】W,R,G,B等の種々のカラーマトリックスにおける光応答特性を示す図である。
【
図2】本発明の第1の実施形態に係る固体撮像装置の構成例を示すブロック図である。
【
図3】本発明の第1の実施形態に係る固体撮像装置の共有画素の一例を示す回路図である。
【
図4】本発明の第1の実施形態に係る共有画素の主要部であるシャッタゲートトランジスタを有する電荷蓄積転送系のY方向から見た構成例を示す簡略断面図である。
【
図5】本発明の第1の実施形態に係る共有画素の主要部であるシャッタゲートトランジスタを有する電荷蓄積転送系のX方向から見た構成例を示す簡略断面図である。
【
図6】本発明の第1の実施形態に係る共有画素に配置されるフルDTI(FDTI)の配置方法を説明するための図である。
【
図7】本第1の実施形態に係る同一の光電変換読み出し部内で2つのフォトダイオードで一つのフローティングディフュージョンFDを共有する場合の各トランジスタ、キャパシタ等の配置例を示す簡略平面図である。
【
図8】2つのフォトダイオードのポテンシャル遷移の一例を示す図である。
【
図9】本発明の第1の実施形態に係る固体撮像装置のFD共有画素におけるフルDTI構造の形成パターン例について説明するための図である。
【
図10】本発明の第1の実施形態に係る固体撮像装置の画素アレイ内におけるフルDTIの形成パターン例について説明するための図である。
【
図11】本発明の第1の実施形態において採用可能なカラーマトリックスの構成例について説明するための図である。
【
図12】共有FD構造とカラーマトリックス補間を使用したRWWB(RCCB)構成での光応答例について説明するための図である。
【
図13】通常のカラーフィルタの透過率、並びに、Gフィルタの透過率を示す図である。
【
図14】FD共有型PDの光電荷状態についてポテンシャル遷移に関連付けて説明するための図である。
【
図15】本発明の実施形態に係る固体撮像装置の画素部の列出力の読み出し系に採用されるカラムADCの構成例を示す図である。
【
図16】線形化のための読み出し操作と電荷混合スキームのそれぞれの光電荷カバレッジを示す図である。
【
図17】本発明の第1の実施形態に係る固体撮像装置に採用可能な読み出し動作例を示す図である。
【
図18】本発明の第1の実施形態に係る固体撮像装置の共有画素に採用可能な読み出し動作例を示す図であって、共有画素の回路例、タイミングチャート、およびポテンシャル遷移を関連付けて示す図である。
【
図19】本第1の実施形態に係る固体撮像装置の効果について説明するための図である。
【
図20】本発明の第2の実施形態に係る固体撮像装置の共有画素の一例を示す回路図である。
【
図21】2×2FD共有画素用カラーマトリックスの形成例を示す図である。
【
図22】本発明の第2の実施形態に係る共有画素の4つのフォトダイオード、転送トランジスタ、並びに、1つのフローティングディフュージョンFD、リセットトランジスタ、ソースフォロワトランジスタ、および選択トランジスタの配置例を示す簡略平面図である。
【
図23】本発明の第2の実施形態に係る固体撮像装置のFD共有画素におけるフルDTI構造の形成パターン例について説明するための図である。
【
図24】本発明の第2の実施形態において採用可能なブロックベイヤ構成とカラーフィルタ構成について説明するための図である。
【
図25】第2の実施形態において採用可能なカラーマトリックスの構成例について説明するための図である。
【
図26】共有FD構造とカラーマトリックス補間を使用した(IR)RBW構成での光応答例について説明するための図である。
【
図27】本発明の実施形態に係る固体撮像装置の画素部の列出力の読み出し系に採用されるカラムADCの構成例を示す図である。
【
図28】線形化のための読み出し操作と電荷混合スキームのそれぞれの光電荷カバレッジを示す第1図である。
【
図29】線形化のための読み出し操作と電荷混合スキームのそれぞれの光電荷カバレッジを示す第2図である。
【
図30】線形化のための読み出し操作と電荷混合スキームのそれぞれの光電荷カバレッジを示す第3図である。
【
図31】2×2ブロックベイヤ構成を有し、4つのフォトダイオードPDで1つのフローティングディフュージョンFDを共有するシャッタ機能付き画素回路の読み出しシステム例を示し、すべてのオーバーフロー信号を使用していない場合の読み出しシステム例を示す図である。
【
図32】2×2ブロックベイヤ構成を有し、4つのフォトダイオードPDで1つのフローティングディフュージョンFDを共有するシャッタ機能付き画素回路の読み出しシステム例を示し、すべてのオーバーフロー信号を使用している場合のシステム例を示す図である。
【
図33】2×2ブロックベイヤ構成を有し、4つのフォトダイオードPDで1つのフローティングディフュージョンFDを共有するシャッタ機能付き画素回路の読み出しシステム例を示し、一部のオーバーフロー信号を使用している場合のシステム例を示す図である。
【
図34】本発明の第2の実施形態に係る固体撮像装置に採用可能な光電荷蓄積読み出し動作シーケンス例を示す図である。
【
図35】本発明の第2の実施形態に係る固体撮像装置の共有画素に採用可能な全画素読み出し動作例を示すタイミングチャートであって、共有画素の読み出し回路例に関連付けて示す図である。
【
図36】本発明の第2の実施形態に係る固体撮像装置の共有画素に採用可能な4共有PDビニング読み出し動作例を示すタイミングチャートであって、共有画素の読み出し回路例に関連付けて示す図である。
【
図37】本発明の第2の実施形態に係る固体撮像装置の共有画素に採用可能なLOFIC時の4共有PDビニング読み出し動作例を示すタイミングチャートであって、共有画素の読み出し回路例に関連付けて示す図である。
【
図38】本発明の第2の実施形態に係る固体撮像装置の共有画素に採用可能なLOFICおよびSEHDRの全利用時の4共有PDビニング読み出し動作例を示すタイミングチャートであって、共有画素の読み出し回路例に関連付けて示す図である。
【
図39】本発明の第2の実施形態に係る固体撮像装置の共有画素に採用可能なLOFICおよびSEHDRの部分利用時の4共有PDビニング読み出し動作例を示すタイミングチャートであって、共有画素の読み出し回路例に関連付けて示す図である。
【
図40】本発明の第2の実施形態に係る固体撮像装置に採用可能なLOFICおよびSEHDRの全利用時の読み出し動作例を示す図である。
【
図41】本発明の第2の実施形態に係る固体撮像装置に採用可能なLOFICの部分利用時およびSEHDRの読み出し動作例を示す図である。
【
図42】本第2の実施形態に係る固体撮像装置の効果について説明するための図である。
【
図43】本発明の実施形態に係る固体撮像装置が適用される電子機器の構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、本発明の実施形態を図面に関連付けて説明する。
【0040】
(第1の実施形態)
図2は、本発明の第1の実施形態に係る固体撮像装置の構成例を示すブロック図である。
図3は、本発明の第1の実施形態に係る固体撮像装置の共有画素の一例を示す回路図である。
本実施形態において、固体撮像装置10は、たとえばCMOSイメージセンサにより構成される。
【0041】
この固体撮像装置10は、
図2に示すように、撮像部としての画素部20、垂直走査回路(行走査回路)30、読み出し回路(カラム読み出し回路)40、水平走査回路(列走査回路)50、およびタイミング制御回路60を主構成要素として有している。
これらの構成要素のうち、たとえば垂直走査回路30、読み出し回路40、水平走査回路50、およびタイミング制御回路60により画素信号の読み出し部70が構成される。
【0042】
本第1の実施形態において、固体撮像装置10、後で詳述するように、画素部20に行列状に配列される画素(または画素部20)は、出力ノードとしての1つのフローティングディフュージョンFDおよび出力バッファを形成するソースフォロワ素子(ソースフォロワトランジスタ)を、2つの光電変換素子(フォトダイオードPD)および転送素子(転送トランジスタ)により共有されている。
共有画素の素子形成領域の中央部分にフローティングディフュージョンFDが配置され、このフローティングディフュージョンFDを中心として複数の光電変換素子が放射状(本実施形態では上下(Y)方向)に配置されている。
【0043】
そして、本実施形態に係る固体撮像装置10の共有画素は、感度および飽和電荷数を維持しつつ画素サイズの微細化を図ることが可能となることはもとより、接合容量および配線容量の増加を抑えることができ、出力ノードとしてのフローティングディフュージョンの容量の増加を抑止して、変換利得の低下を防止でき、ひいてはノイズ特性の向上を図ることが可能となるように、そして、最大限の光応答を確保することが可能で、再現性に加えて低光SNRを確保することが可能であり、しかもさらなる画素サイズの縮小化を図ることが可能で、ダイナミックレンジ、応答性、解像度などの重要な性能を効率的に向上させることが可能となるように、次に示すような特徴的な構成が採用されている。
【0044】
以下に、本第1の実施形態に係る固体撮像装置10の共有画素や画素部のカラーフィルタマトリックス等の特徴的な構成の概要を説明した後、共有画素構造や配列等の構成、機能等の詳細について順を追って説明する。
【0045】
(本第1の実施形態に係る固体撮像装置10の共有画素等の特徴的な構成の概要)
本第1の実施形態に係る固体撮像装置10において、共有画素PXL20の共有FD構造は、第1のフォトダイオードPD0と第2のフォトダイオードPD1を含んで構成され、第1のフォトダイオードPD0で飽和した第1の飽和信号がフローティングディフュージョンFDに完全に転送(オーバーフロー)される。
共有画素PXL20において、他の共有PDである第2のフォトダイオードPD1からフローティングディフュージョンFDへのオーバーフロー信号はシャッタゲートSG(AB)の他側を介してドレインに放出(排出)される。そのため、フローティングディフュージョンFDへのオーバーフロー信号はなく。そのため、この構成要素は共通のFD構造でありながら、信号のクロストークとしてオーバーフロー信号が混入することはない。
【0046】
各フォトダイオードPD0、PD1には、それぞれ2つの転送ゲートが接続されており、蓄積された電荷を排出して蓄積時間を個別に制御することができる。また、上述のように、オーバーフロー方向がフローティングディフュージョンFDに混入しないように制御することができる。
【0047】
共有画素PXL20は、第1のフォトダイオードPD0と第2のフォトダイオードPD1により共有されるフローティングディフュージョンFD、転送トランジスタTG-Tr、リセットトランジスタRST-Tr、ビニング(BIN)トランジスタBIN-Tr、ソースフォロワ(SF)トランジスタSF-Trを含んで構成されている。
【0048】
フォトダイオードPD(0,1)は、転送トランジスタTG-TrがフローティングディフュージョンFDへの電荷転送に接続されている固定フォトダイオードによって形成される。
リセットトランジスタRST-Trは、電荷転送の前に強制的にフローティングディフュージョンFDをリセットレベル(Vrst)にするために接続される。
なお、光電気変換された電子はフォトダイオードPDに蓄積され、転送トランジスタTG-TrによってフローティングディフュージョンFDに転送される。
【0049】
本実施形態に係る読み出しシーケンスは、1番目のPD読み出し信号Qpd0で開始できる。
次に、2番目の蓄積ノードとして利用できるオーバーフロー信号Qfdが続き、総処理光電荷が拡張される。
その後、2番目のPD信号Qpd1が読み出される。
したがって、光電荷の総量は、第1のフォトダイオードPD0と第2のフォトダイオードPD1のそれぞれ(Qpd1 + Qfd) と Qpd1で与えられる。
【0050】
蓄積された光電荷信号のそれぞれは、列またはピクセル単位のADCの各信号用のメモリのペアを使用して、単一フレームで読み出すことができる。
複数ノードのマルチゲイン読み出しにより、低照度(高ゲイン)から明光(低ゲイン)まで信号範囲を確保できるダイナミックレンジ拡張が可能である。
【0051】
ADC変換は、蓄積された光電荷ごとに発生する可能性があり、少なくとも複数のADC変換が異なる変換利得(変換ゲイン)に利用可能である。
これらのデジタルコードは、ポスト データ処理後に線形化されたコードにすることができる。
【0052】
共有画素PXL20において、共有PDの1つは大きなフルウェル容量(FWC)を保持できるため、対応するオーバーフロー光電荷がフローティングディフュージョンFDに蓄積される第1のフォトダイオードPD0に高透過カラーフィルタが適用される。
低透過カラーフィルタは、対応する光電荷(フォトチャージ)が蓄積されたフォーカスピクセルPDのみを格納する第2のフォトダイオードPD1に適用される。
【0053】
この構成では、第1のフォトダイオードPD0の最大フォト領域が拡張され、信号比が高飽和のために維持される。
【0054】
カラーマトリックスのRBW 構成の例として、クリア (W) などの最高透過フィルタを第1のフォトダイオードPD0に割り当てて、フォトダイオードPD0からのすべての信号が飽和するまで信号応答範囲を拡張し、RまたはBフィルタの低透過フィルタを第2のフォトダイオードPD1に割り当てることがでる。
この構成により、単一のフォトダイオードPD0の信号応答範囲を十分に拡張して、大幅な画素縮小を伴うすべての画素の色再現性を確保できる。
【0055】
また、共有FD構造のため、フォトダイオードPD間発生する色信号のクロストークを防ぐことができる、部分的に開いたフルDTIを備えたBSI (Back Sided Isolation) 構造上に画素(ピクセル)を形成することができる。
【0056】
以上に、本第1の実施形態に係る固体撮像装置10の共有画素や画素部のカラーフィルタマトリックス等の特徴的な構成の概要を説明した。
以下に、本第1の実施形態に係る固体撮像装置10の信号読み出し形態、共有画素構造や配列等の構成、機能等の詳細について順を追って説明する。
【0057】
(信号読み出し形態例)
まず、本第1の実施形態に係る固体撮像装置10の信号読み出し形態例について説明する。
【0058】
本第1の実施形態において、固体撮像装置10は、画素部20において、画素として光電変換読み出し部、AD(アナログデジタル)変換部、およびメモリ部を含み、たとえば積層型のCMOSイメージセンサとして構成されている。なお、固体撮像装置10は、グローバルシャッタの動作機能を持つように構成されてもよい。
本第1の実施形態に係る固体撮像装置10において、後で詳述するように、各画素がAD(アナログデジタル)変換機能を有しており、AD変換部は、光電変換読み出し部により読み出される電圧信号と参照電圧とを比較し、読み出される電圧信号VSLに対してアナログデジタル(AD)変換処理を行い、デジタル化した比較結果信号を出力する比較器(コンパレータ)を有している。
【0059】
比較器は、読み出し部70の制御の下、蓄積期間(露光期間)に光電変換素子から出力ノード(フローティングディフュージョン)に溢れ出たオーバーフロー電荷に応じた電圧信号に対するデジタル化した第1の比較結果信号を出力する第1の比較処理と、蓄積期間後の転送期間に出力ノードに転送された光電変換素子の蓄積電荷に応じた電圧信号に対するデジタル化した第2の比較結果信号を出力する第2の比較処理と、を行う。
【0060】
そして、本実施形態においては、第2の比較処理中に不規則な強い光が光電変換素子に入射したとしても、光電変換素子から不要な電荷をフローティングディフュージョンFD領域外に放出し、光電変換素子からフローティングディフュージョンFDに電荷がオーバーフローしてFDレベルが変動することを防止するシャッタゲート(SG)を有している。
これにより、第2の比較処理中に、不規則な強い光が光電変換素子に入射したとしてもFDレベルが変動することを防止し、正常なAD変換処理を実現可能に構成されている。
【0061】
そして、本第1の実施形態に係る固体撮像装置10は、小さな画素サイズで所定の読み出しモードによりダイナミックレンジを拡大し画素を実現することを可能とするため、読み出し部70はデジタル画素からの画素信号の読み出し処理およびAD変換処理後のデータ格納を以下のように実行する。
【0062】
固体撮像装置10において、比較器は、読み出し部70の制御の下、異なる光電変換素子の蓄積電荷に対して異なる読み出しシーケンスで読み出された少なくとも2系統のモード読み出し信号に対する比較処理を行うことが可能である。
より具体的には、比較器は、異なる2つのフォトダイオード(光電変換素子)PDで一つの出力ノードとしてのフローティングディフュージョンFDを共有する一つの光電変換読み出し部(画素)に接続されており、同一の光電変換読み出し部内の異なるフォトダイオードPDの蓄積電荷に対して異なる読み出しシーケンスで読み出された少なくとも2系統のモード読み出し信号に対する比較処理を行うことが可能に構成されている。
また、比較器は、それぞれ一つまたは複数(本例では2)のフォトダイオードPDを含む複数の光電変換読み出し部が選択的に接続されて、一つの比較器が複数の光電変換読み出し部で共有されており、異なる光電変換読み出し部内の異なるフォトダイオードPD0,PD1の蓄積電荷に対して異なる読み出しシーケンスで読み出された少なくとも2系統のモード読み出し信号に対する比較処理を行うことが可能に構成されている。
【0063】
本実施形態において、読み出し部70は、少なくとも第1の読み出しモードRMD1、第2の読み出しモードRMD2、第3の読み出しモードRMD3、および第4の読み出しモードRMD4の4系統の読み出しモードうちの少なくとも2系統の読み出しモードで前記画素信号の読み出しが可能である。
【0064】
読み出し部70は、第1の読み出しモードRMD1時には、リセット期間PR後のリセット読み出し期間PRRDに、出力バッファ部から出力ノード(フローティングディフュージョン)の第2電荷量に応じた第2変換利得(たとえば低変換利得:LCG)で変換した読み出しリセット信号LCGVRSTを読み出し、比較器でこの読み出しリセット信号LCGVRSTに対する比較処理を行う第2変換利得リセット読み出し処理LCGRRDを行うことが可能である。
さらに、読み出し部70は、第1の読み出しモードRMD1時には、リセット読み出し期間PRRD後の転送期間PTに続く読み出し期間PRDに、出力バッファ部から出力ノードの第2電荷量に応じた第2変換利得で変換した読み出し信号LCGVSIGを読み出し、比較器でこの読み出し信号LCGVSIGに対する比較処理を行う第2変換利得読み出し処理LCGSRDを行うことが可能である。
【0065】
または、読み出し部70は、第1の読み出しモードRMD1時には、リセット期間PR後のリセット読み出し期間PRRDに、出力バッファ部から出力ノード(フローティングディフュージョン)の第1電荷量に応じた第1変換利得(たとえば高変換利得:HCG)で変換した読み出しリセット信号HCGVRSTを読み出し、比較器でこの読み出しリセット信号HCGVRSTに対する比較処理を行う第1変換利得リセット読み出し処理HCGRRDを行うことが可能である。
さらに、読み出し部70は、第1の読み出しモードRMD1時には、リセット読み出し期間PRRD後の転送期間PTに続く読み出し期間PRDに、出力バッファ部から出力ノードの第1電荷量に応じた第1変換利得で変換した読み出し信号HCGVSIGを読み出し、比較器でこの読み出し信号HCGVSIGに対する比較処理を行う第1変換利得読み出し処理HCGSRDを行うことが可能である。
【0066】
読み出し部70は、第2の読み出しモードRMD2時には、リセット期間PR後のリセット読み出し期間PRRDに、出力バッファ部から出力ノードの第2電荷量に応じた第2変換利得で変換した第2の読み出しリセット信号LCGVRSTを読み出し、比較器で第2の読み出しリセット信号LCGVRSTに対する比較処理を行う第2変換利得リセット読み出し処理LCGRRDを行うことが可能である。
さらに、読み出し部70は、第2読み出しモードRMD2時には、利得切換部により利得を切り換えて、出力バッファ部から出力ノードの第1電荷量に応じた第1変換利得で変換した第1の読み出しリセット信号HCGVRSTを読み出し、比較器でこの第1の読み出しリセット信号HCGVRSTに対する比較処理を行う第1変換利得リセット読み出し処理HCGRRDを行うことが可能である。
さらに、読み出し部70は、第2読み出しモードRMD2時には、リセット読み出し期間PRRD後の第1の転送期間PT1に続く第1の読み出し期間PRD1に、出力バッファ部から出力ノードの第1電荷量に応じた第1変換利得で変換した第1の読み出し信号HCGVSIGを読み出し、比較器でこの第1の読み出し信号HCGVSIGに対する比較処理を行う第1変換利得読み出し処理HCGSRDを行うことが可能である。
さらに、読み出し部70は、第2読み出しモードRMD2時には、第1の読み出し期間PRD1後に利得切換部により利得を切り換えて、第1の読み出し期間PRD1後の第2の転送期間PT2に続く第2の読み出し期間PRD2に、出力バッファ部から出力ノードの第2電荷量に応じた第2変換利得で変換した第2の読み出し信号LCGVSIGを読み出し、比較器でこの第2の読み出し信号LCGVSIGに対する比較処理を行う第2変換利得読み出し処理LCGSRDを行うことが可能である。
【0067】
読み出し部70は、第3の読み出しモードRMD3時には、第1のリセット期間PR1後の第1のリセット読み出し期間PRRD1に、出力バッファ部から出力ノードの第1電荷量に応じた第1変換利得で変換した第1の読み出しリセット信号HCGVRSTを読み出し、比較器でこの第1の読み出しリセット信号HCGVRSTに対する比較処理を行う第1変換利得リセット読み出し処理HCGRRDを行うことが可能である。
さらに、読み出し部70は、第3の読み出しモードRMD3時には、第1のリセット読み出し期間PRRD1後の第1の転送期間PT1に続く第1の読み出し期間PRD1に、出力バッファ部から出力ノードの第1電荷量に応じた第1変換利得で変換した第1の読み出し信号HCGVSIGを読み出し、比較器でこの第1の読み出し信号HCGVSIGに対する比較処理を行う第1変換利得読み出し処理HCGSRDを行うことが可能である。
さらに、読み出し部70は、第3の読み出しモードRMD3時には、第1の読み出し期間PRD1後に利得切換部により利得を切り換えて、第1の読み出し期間PRD1後の第2の転送期間PT2に続く第2の読み出し期間PRD2に、出力バッファ部から出力ノードの第2電荷量に応じた第2変換利得で変換した第2の読み出し信号LCGVSIGを読み出し、比較器でこの第2の読み出し信号LCGVSIGに対する比較処理を行う第2変換利得読み出し処理LCGSRDを行うことが可能である。
さらに、読み出し部70は、第3の読み出しモードRMD3時には、第2の読み出し期間PRD2後の第2のリセット期間PR2に続く第2のリセット読み出し期間PRRD2に、出力バッファ部から出力ノードの第2電荷量に応じた第2変換利得で変換した第2の読み出しリセット信号LCGVRSTを読み出し、比較器でこの第2の読み出しリセット信号LCGVRSTに対する比較処理を行う第2変換利得リセット読み出し処理LCGRSDを行うことが可能である。
【0068】
読み出し部70は、第4の読み出しモードRMD4時には、不規則な強い光が光電変換素子に入射した場合であって、オーバーフロー電荷によって出力ノード(フローティングディフュージョンFD)の電位が変動し比較器の出力が反転するまでの時間をクロックで数えて信号量を予測し、第1のリセット読み出し期間PRRD1に、出力バッファ部から出力ノードの第1電荷量に応じた第1変換利得で変換した第1の読み出しリセット信号HCGVRSTを読み出し、比較器でこの第1の読み出しリセット信号HCGVRSTに対する比較処理を行う第1変換利得リセット読み出し処理HCGRRDを行うことが可能である。
さらに、読み出し部70は、第4の読み出しモードRMD4時には、第1のリセット読み出し期間PRRD1後の第1の転送期間PT1に続く第1の読み出し期間PRD1に、出力バッファ部から出力ノードの第1電荷量に応じた第1変換利得で変換した第1の読み出し信号HCGVSIGを読み出し、比較器でこの第1の読み出し信号HCGVSIGに対する比較処理を行う第1変換利得読み出し処理HCGSRDを行うことが可能である。
さらに、読み出し部70は、第4の読み出しモードRMD4時には、第1の読み出し期間PRD1後に利得切換部により利得を切り換えて、第1の読み出し期間PRD1後の第2の転送期間PT2に続く第2の読み出し期間PRD2に、出力バッファ部から出力ノードの第2電荷量に応じた第2変換利得で変換した第2の読み出し信号LCGVSIGを読み出し、比較器でこの第2の読み出し信号LCGVSIGに対する比較処理を行う第2変換利得読み出し処理LCGSRDを行うことが可能である。
さらに、読み出し部70は、第4の読み出しモードRMD4時には、第2の読み出し期間PRD2後の第2のリセット期間PR2に続く第2のリセット読み出し期間PRRD2に、出力バッファ部から出力ノードの第2電荷量に応じた第2変換利得で変換した第2の読み出しリセット信号LCGVRSTを読み出し、比較器でこの第2の読み出しリセット信号LCGVRSTに対する比較処理を行う第2変換利得リセット読み出し処理LCGRSDを行うことが可能である。
【0069】
以下、固体撮像装置10の各部の構成および機能の概要、特に、画素部20および画素の構成および機能、それらに関連した読み出し処理等について詳述する。
【0070】
(共有画素PXL20の構成例)
図3は、本発明の第1の実施形態に係る固体撮像装置10の共有画素の一例を示す回路図である。
【0071】
画素部20は、複数の画素200がN行M列の行列状(マトリクス状)に配列されている。
【0072】
本第1の実施形態に係る共有画素PXL20は、光電変換読み出し部210、AD変換部220、およびメモリ部230を含んで構成されている。
本第1の実施形態の画素部20は、第1の基板110と第2の基板120の積層型のCMOSイメージセンサとして構成されるが、本例では、
図3に示すように、第1の基板110に光電変換読み出し部210が形成され、第2の基板120にAD変換部220およびメモリ部230が形成されている。
【0073】
共有画素PXL20の光電変換読み出し部210は、2つのフォトダイオード(光電変換素子)と1つの画素内アンプとを含んで構成される。
具体的には、この光電変換読み出し部210は、たとえば第1の光電変換素子である第1のフォトダイオードPD0、および第2の光電変換部であるフォトダイオードPD1を有する。
本第1の実施形態の共有画素PXL20は、第1のフォトダイオードPD0および第2のフォトダイオードPD1が、出力ノードND0としてのフローティングディフュージョンFDを共有している。
【0074】
第1のフォトダイオードPD0および第2のフォトダイオードPD1は、蓄積期間に光電変換により生成した電荷を蓄積する。
第1のフォトダイオードPD0の蓄積部PND0とフローティングディフュージョンFDとの間に第1の転送素子としての第1の転送トランジスタTG0-Trが接続され、蓄積部PND0と所定の固定電位VAAPIXとの間に第1の電荷オーバーフローゲート素子としての第1のシャッタゲートトランジスタSG0-Trが接続されている。
また、第2のフォトダイオードPD1の蓄積部PND1とフローティングディフュージョンFDとの間に第2の転送素子としての第2の転送トランジスタTG1-Trが接続され、蓄積部PND1と所定の固定電位VAAPIXとの間に第2の電荷オーバーフローゲート素子としての第2のシャッタゲートトランジスタSG1-Trが接続されている。
【0075】
そして、光電変換読み出し部210は、一つの出力ノードND0としてのフローティングディフュージョンFDに対応して、リセット素子としてのリセットトランジスタRST-Tr、ソースフォロワ素子としてのソースフォロワトランジスタSF-Tr、蓄積素子としての蓄積トランジスタBIN-Tr、蓄積容量素子としての蓄積キャパシタCS、および読み出しノードND1をそれぞれ一つずつ有する。
なお、光電変換読み出し部210は、さらに選択素子としての選択トランジスタSEL-Trを有する構成をとり得る。
【0076】
そして、本第1の実施形態においては、ソースフォロワトランジスタSF-Trおよび読み出しノードND1を含んで出力バッファ部211が構成されている。
また、蓄積トランジスタBIN-Trおよび蓄積キャパシタCSを含んで利得切換部212が構成されている。
【0077】
本第1の実施形態に係る光電変換読み出し部210は、出力バッファ部211の読み出しノードND1がAD変換部220の入力部に接続されている。
光電変換読み出し部210は、出力ノードとしてのフローティングディフュージョンFDの電荷を電荷量に応じた電圧信号に変換し、変換した電圧信号VSLをAD変換部220に出力する。
【0078】
本第1の実施形態に係る光電変換読み出し部210は、読み出し部70の制御の下、第1の光電変換素子としての第1のフォトダイオードPD0の蓄積電荷に対して第4の読み出しモードRMD4または前記第3の読み出しモードRMD3による読み出しを行う。
光電変換読み出し部210は、続いて、第2の光電変換素子としての第2のフォトダイオードPD1の蓄積電荷に対して第1の読み出しモードRMD1または第2の読み出しモードRMD2による読み出しを行う。
本第1の実施形態においては、第1の光電変換素子としての第1のフォトダイオードPD0の蓄積電荷に対して第4の読み出しモードRMD4による読み出しを行い、第2の光電変換素子としての第2のフォトダイオードPD1の蓄積電荷に対して第2の読み出しモードRMD2による読み出しを行う。
【0079】
たとえば、光電変換読み出し部210は、AD変換部220の第1の比較処理期間PCMP1において、蓄積期間PIに光電変換素子であるフォトダイオードPD0から出力ノードとしてのフローティングディフュージョンFDに溢れ出たオーバーフロー電荷に応じた電圧信号VSLを出力する。
【0080】
さらに、光電変換読み出し部210は、AD変換部220の第2の比較処理期間PCMP2において、蓄積期間PI後の転送期間PTに出力ノードとしてのフローティングディフュージョンFDに転送されたフォトダイオードPD1の蓄積電荷に応じた電圧信号VSLを出力する。
光電変換読み出し部210は、第2の比較処理期間PCMP2において、画素信号としての読み出しリセット信号(信号電圧)(VRST)および読み出し信号(信号電圧)(VSIG)をAD変換部220に出力する。
【0081】
第1のフォトダイオードPD0および第2のフォトダイオードPD1は、入射光量に応じた量の信号電荷(ここでは電子)を発生し、蓄積する。
以下、信号電荷は電子であり、各トランジスタがn型トランジスタである場合について説明するが、信号電荷が正孔(ホール)であったり、各トランジスタがp型トランジスタであっても構わない。
【0082】
各共有画素PXL20において、フォトダイオード(PD)としては、埋め込み型フォトダイオード(PPD)が用いられる。
フォトダイオード(PD)を形成する基板表面にはダングリングボンドなどの欠陥による界面準位が存在するため、熱エネルギーによって多くの電荷(暗電流)が発生し、正しい信号が読み出せなくなってしまう。
埋め込み型フォトダイオード(PPD)では、フォトダイオード(PD)の電荷蓄積部を基板内に埋め込むことで、暗電流の信号への混入を低減することが可能となる。
【0083】
光電変換読み出し部210の第1の転送トランジスタTG0-Trは、第1のフォトダイオードPD0の蓄積部PND0とフローティングディフュージョンFDの間に接続され、制御線を通じてゲートに印加される制御信号TG0により制御される。
第1の転送トランジスタTG0-Trは、制御信号TG0がハイ(H)レベルの転送期間PTに選択されて導通状態となり、第1のフォトダイオードPD0で光電変換され蓄積された電荷(電子)をフローティングディフュージョンFDに転送する。
なお、第1のフォトダイオードPD0およびフローティングディフュージョンFDが所定のリセット電位にリセットされた後、第1の転送トランジスタTG0-Trは、制御信号TG0がロー(L)レベルの非導通状態となり、第1のフォトダイオードPD0は蓄積期間PIとなるが、このとき、入射する光の強度(量)が非常に高い場合、飽和電荷量を超えた電荷が第1の転送トランジスタTG0―Tr下のオーバーフローパスを通じてオーバーフロー電荷としてフローティングディフュージョンFDに溢れ出す。
【0084】
第1の電荷オーバーフローゲート素子としての第1のシャッタゲートトランジスタSG0-Trは、第1のフォトダイオードPD0の蓄積部PND0と所定の固定電位VAAPIXとの間が接続され、制御線を通じて印加される制御信号SG0により制御される。
第1のシャッタゲートトランジスタSG0-Trは、制御信号SG0がHレベルの期間に選択されて導通状態となり、第1のフォトダイオードPD0の電荷蓄積部PND0と所定の固定電位VAAPIX間にアンチブルーミングとしての電荷放出(排出)パスを形成し、不要な電荷を固定電位VAAPIXに放出させる。
【0085】
このように、第1の転送トランジスタTG0-Trと第1のシャッタゲートトランジスタSG0-Trは、それぞれ個別のタイミングで駆動制御される。
【0086】
光電変換読み出し部210の第2の転送トランジスタTG1-Trは、第2のフォトダイオードPD1の蓄積部PND1とフローティングディフュージョンFDの間に接続され、制御線を通じてゲートに印加される制御信号TG1により制御される。
第2の転送トランジスタTG1-Trは、制御信号TG1がハイ(H)レベルの転送期間PTに選択されて導通状態となり、第2のフォトダイオードPD1で光電変換され蓄積された電荷(電子)をフローティングディフュージョンFDに転送する。
なお、第2のフォトダイオードPD1およびフローティングディフュージョンFDが所定のリセット電位にリセットされた後、第2の転送トランジスタTG1-Trは、制御信号TG1がロー(L)レベルの非導通状態となり、第2のフォトダイオードPD1は蓄積期間PIとなるが、このとき、入射する光の強度(量)が非常に高い場合、飽和電荷量を超えた電荷が第2のシャッタゲートトランジスタSG1―Tr下のオーバーフローパスを通じてオーバーフロー電荷として固定電位VAAPIXに溢れ出す。
【0087】
第2の電荷オーバーフローゲート素子としての第2のシャッタゲートトランジスタSG1-Trは、第2のフォトダイオードPD1の蓄積部PND1と所定の固定電位VAAPIXとの間が接続され、制御線を通じて印加される制御信号SG1により制御される。
第2のシャッタゲートトランジスタSG1-Trは、制御信号SG1がHレベルの期間に選択されて導通状態となり、第2のフォトダイオードPD1の電荷蓄積部PND1と所定の固定電位VAAPIX間にアンチブルーミングとしての電荷放出(排出)パス(経路)を形成し、不要な電荷を固定電位VAAPIXに放出させる。
【0088】
このように、第2の転送トランジスタTG1-Trと第2のシャッタゲートトランジスタSG1-Trは、それぞれ個別のタイミングで駆動制御される。
【0089】
リセットトランジスタRST-Trは、電源電圧VAAPIXの電源線VaapixとフローティングディフュージョンFDの間に接続され、制御線を通じてゲートに印加される制御信号RSTにより制御される。
リセットトランジスタRST-Trは、制御信号RSTがHレベルのリセット期間に選択されて導通状態となり、フローティングディフュージョンFDを電源電圧VAAPIXの電源線Vaapixの電位(Vrst)にリセットする。
【0090】
蓄積トランジスタBIN―Trは、フローティングディフュージョンFDとリセットトランジスタRST―Trとの間に接続され、その接続ノードND2と基準電位VSSとの間に蓄積キャパシタCSが接続されている。
蓄積トランジスタBIN-Trは、制御線を通じてゲートに印加される制御信号BINにより制御される。
蓄積トランジスタBIN1-Trは、制御信号BINがHレベルのリセット期間に選択されて導通状態となり、フローティングディフュージョンFDと蓄積キャパシタCSとを接続する。
【0091】
第1変換利得信号読み出し処理HCGSRD時には、蓄積トランジスタBIN-Trは非導通状態に保持され、出力ノードND0であるフローティングディフュージョンFDの電荷と蓄積キャパシタCSの電荷を分離させて読み出し処理が実行される。
第2変換利得信号読み出し処理LCGSRD時には、蓄積トランジスタBIN-Trは導通状態に保持され、出力ノードND0であるフローティングディフュージョンFDの電荷と蓄積キャパシタCSの電荷を共有させて読み出し処理が実行される。
第2変換利得リセット読み出し処理LCGRRD時には、リセットトランジスタRST-Trおよび蓄積トランジスタBIN-Trが導通状態に保持され、出力ノードNDであるフローティングディフュージョンFDの電荷と蓄積キャパシタCSの電荷をクリアさせて読み出し処理が実行される。
【0092】
ソースフォロワ素子としてのソースフォロワトランジスタSF-Trは、ソースが読み出しノードND1に接続され、ドレイン側が電源線Vaapixに接続され、ゲートがフローティングディフュージョンFDに接続されている。
そして、出力バッファ部211を形成する出力ノードND1は、AD変換部220の入力部に接続された信号線LSGN1に接続されている。
読み出しノードND1が接続された信号線LSGN1と基準電位VSS(たとえばGND)の間に電流源素子としてのカレントトランジスタIC-Trのドレイン、ソースが接続されている。カレントトランジスタIC-Trのゲートは制御信号VBNPIXの供給ラインに接続されている。
そして、読み出しノードND1とAD変換部220の入力部間の信号線LSGN1は、電流源素子としてのカレントトランジスタIC-Trにより駆動される。
【0093】
図4は、本発明の第1の実施形態に係る共有画素の主要部であるシャッタゲートトランジスタを有する電荷蓄積転送系のY方向から見た構成例を示す簡略断面図である。
図5は、本発明の第1の実施形態に係る共有画素の主要部であるシャッタゲートトランジスタを有する電荷蓄積転送系のX方向から見た構成例を示す簡略断面図である。
図6(A)および(B)は、本発明の第1の実施形態に係る共有画素に配置されるフルDTI(FDTI)の配置方法を説明するための図である。
【0094】
各画素セルPXLCは、光Lが照射される第1基板面2110側(たとえば裏面側)と、この第1基板面2110側と対向する側の第2基板面2120側とを有する基板(本例では第1の基板110)に形成され、p型分離層SPL1,SPL2,SPL3により第1のフォトダイオードPD0と第2のフォトダイオードPD1が分離されている。
そして、
図4および
図5の本実施形態に係る画素セルPLXCは、光電変換読み出し部210を形成する、たとえば第1のフォトダイオードPD0、第2のフォトダイオードPD1、第1の転送トランジスタTG0-Tr、第2の転送トランジスタTG1-Tr、フローティングディフュージョンFD、第1のシャッタゲートトランジスタSG0-Tr、第2のシャッタゲートトランジスタSG1-Tr、分離層SPL1、SPL2,SPL3、中央部を除き左右の分離層SPL1,SPL3に形成されたフルDTI(FDTI)2301,2302、さらにはカラーフィルタ部CFおよびマイクロレンズMLを含んで構成されている。
【0095】
なお、
図4および
図5の画素は裏面照射型を一例として示しているが、本発明は、表面照射型であってもよい。
【0096】
(フォトダイオードの構成)
半導体基板2100は、第1のフォトダイオードPD0および第2のフォトダイオードPD1が、第1基板面2110側と、第1基板面2110側と対向する側の第2基板面2120側とを有する半導体基板2100の第2導電型(本実施形態ではp型)層2101に対して、埋め込むようにかつ並列となるように形成された第1導電型(本実施形態ではn型)半導体層(本実施形態ではn層)2102を含み、受光した光の光電変換機能および電荷蓄積機能を有するように形成されている。
第1のフォトダイオードPD0および第2のフォトダイオードPD1の基板の法線に直交する方向(X方向)における両側部および中央部には、p型層2101R、2101C、2101Lからなる分離層SPL1,SPL2,SPL3が形成されている。
【0097】
このように、本実施形態では、各画素セルPXLCにおいて、フォトダイオード(PD)としては、埋め込み型フォトダイオード(PPD)が用いられる。
フォトダイオード(PD)を形成する基板表面にはダングリングボンドなどの欠陥による界面準位が存在するため、熱エネルギーによって多くの電荷(暗電流)が発生し、正しい信号が読み出せなくなってしまう。
埋め込み型フォトダイオード(PPD)では、フォトダイオード(PD)の電荷蓄積部を基板内に埋め込むことで、暗電流の信号への混入を低減することが可能となる。
【0098】
図4の第1のフォトダイオードPD0および第2のフォトダイオードPD1においては、n層(第1導電型半導体層)2102の第2基板面2120側にp+層2103が形成されている。
なお、p型層2101の光入射側には、カラーフィルタ部CFが形成され、さらに、カラーフィルタ部の光入射側であって、第1のフォトダイオードPD0、第2のフォトダイオードPD1、および分離層SPLの一部に対応するようにマイクロレンズMLが形成されている。
【0099】
(X方向(列方向)における分離層の構成)
図4のX方向(列方向)中央部におけるp型分離層2101C(SPL2)の第2の基板面2120側にはフローティングディフュージョンFDとなるn+層2104が形成されている。
図4のX方向(列方向)左側におけるp型分離層2101L(SPL1)の第2の基板面2120側にはシャッタゲートトランジスタSG0-Trのドレインとなるとなるn+層2105が形成されている。
図4のX方向(列方向)右側におけるp型分離層2101R(SPL3)の第2の基板面2120側にはシャッタゲートトランジスタSG1-Trのドレインとなるとなるn+層2106が形成されている。
【0100】
そして、
図4~
図6に示すように、中央部の分離層PSL2を除き左右の分離層SPL1,SPL3には、第2の基板面2120と第1の基板面2110間をY方向に貫通するようにフルDTI2301,2302が形成されている。
一方、中央部の分離層SPL2には、フローティングディフュージョンFDが形成されているが、このDTI構造は画素共有用のフローティングディフュージョンFDの下では有効ではないとの理由から、この中央部の分離層SPL2にはフルDTIは形成されていない。
すなわち、FD共有画素用FDのような画素コンポーネントの下に配置される場合、フルDTIの形成領域は部分的に空き状態とされる。
【0101】
そして、第2基板面2120側のp型層2101L上に、ゲート絶縁膜を介して、第1の転送トランジスタTG0-Trのゲート電極2108、および第1のシャッタゲートトランジスタSG0-Trのゲート電極2109が形成されている。
第1の転送トランジスタTG0-Tr下には第1のフォトダイオードPD0からフローティングディフュージョンFDにいたるオーバーフローOVPが形成される。
なお、オーバーフローパスOVPの電位は、たとえばゲート制御により行うことも可能である。
【0102】
一方、第2基板面2120側のp型層2101R上に、ゲート絶縁膜を介して、第2の転送トランジスタTG1-Trのゲート電極2110,および第2のシャッタゲートトランジスタSG1-Trのゲート電極2111が形成されている。
第2のシャッタゲートトランジスタSG1-Tr下にはフォトダイオードPD0からn+層2107にいたる電荷放出パスDMPが形成される。
【0103】
このような構造において、入射する光の強度(量)が非常に高い場合、飽和電荷量を超えた電荷が第1の転送トランジスタTG0―Tr下のオーバーフローパスOVPを通じてオーバーフロー電荷としてフローティングディフュージョンFDに溢れ出す。
比較器221の第1の比較処理CMPR1ではオーバーフロー電荷が使用される。
【0104】
これに対して、AD変換の第2の比較処理中に、不規則な強い光が第1のフォトダイオードPD0に入射すると、フォトダイオードPD0からフローティングディフュージョンFDに電荷がオーバーフローして出力ノードであるフローティングディフュージョンFDのレベルが変動してしまい、正常なAD変換処理を実現できないおそれがある。
そこで、本実施形態においては、第2の比較処理中に不規則な強い光が第1のフォトダイオードPD0に入射したとしても、第1のフォトダイオードPD0から不要な電荷をフローティングディフュージョンFD領域外に放出し、第1のフォトダイオードPD0からフローティングディフュージョンFDに電荷がオーバーフローしてFDレベルが変動することを防止する第1のシャッタゲートトランジスタSG0-Trを有している。
これにより、第2の比較処理中に、不規則な強い光が第1のフォトダイオードPD0に入射したとしてもFDレベルが変動することを防止し、正常なAD変換処理を実現可能に構成されている。
【0105】
このような2組の第1のフォトダイオードPD0、第1の転送ゲートトランジスタTG0-Tr、および第1のシャッタゲートトランジスタSG0-Tr、並びに、第2のフォトダイオードPD1、第2の転送ゲートトランジスタTG1-Tr、および第2のシャッタゲートトランジスタSG1-Trにより一つの出力ノードND0としてのフローティングディフュージョンFDを共有する画素200の光電変換読み出し部210は、ダイナミックレンジを向上させるために、対応する読み出しモードに応じて、フォトダイオードPDの容量を異ならせている。
本第1の実施形態においては、第1のフォトダイオードPD0の蓄積電荷に対して第4の読み出しモードRMD4による読み出しが行われ、第2のフォトダイオードPD1の蓄積電荷に対して、たとえば第2の読み出しモードRMD2による読み出しを行うことに対応して、同一の光電変換読み出し部210内に形成された第1のフォトダイオードPD0の容量が同一光電変換読み出し部210内に隣接して形成された第2のフォトダイオードPD1の容量より小さく形成されている。
【0106】
第4の読み出しモードRMD4による読み出しが行われる第1のフォトダイオードPD0のFWCはPD飽和によって制限され、フォトダイオード自身のFWC(Full Well Capacity)には制限されない。
一方、第1の読み出しモードRMD1等による読み出しが行われる第1のフォトダイオードPD1のFWCはフォトダイオードのFWCに制限される。
したがって、第4の読み出しモードRMD4による読み出しが行われる第1のフォトダイオードPD0はFWCが小さくなるように形成され、第1の読み出しモードRMD1等による読み出しが行われる第2のフォトダイオードPD1はFWCが大きくなるように形成される。
【0107】
図7は、本第1の実施形態に係る同一の光電変換読み出し部内で2つのフォトダイオードで一つのフローティングディフュージョンFDを共有する場合の各トランジスタ、キャパシタ等の配置例を示す簡略平面図である。
図8(A)および(B)は、2つのフォトダイオードのポテンシャル遷移の一例を示す図である。
【0108】
画素セルPXLCは、素子の形成領域として、中央部分の中央領域CTAR、並びに、中央領域CTARを挟んで両側(Y方向)の第1の領域FSARおよび第2の領域SCARを含んで、矩形領域RCTが割り当てられている。
【0109】
中央領域CTARには、フローティングディフュージョンFDがX方向の中央部に形成され、そのX方向の図中右側に、蓄積トランジスタBIN-Tr、リセットトランジスタRST-Trが形成され、左側にソースフォロワトランジスタSF-Tr、選択トランジスタSEL-Trが形成されている。
【0110】
第1の領域FSARには、少なくとも第4の読み出しモードRMD4または第3の読み出しモードRMD3でアクセスされる第1の光電変換素子としての第1のフォトダイオードPD0(MQPD)、第1の転送素子としての第1の転送トランジスタTG0-Tr、第1の電荷オーバーフローゲート素子としての第1のシャッタゲートトランジスタSG0-Tr、および蓄積容量素子としての蓄積キャパシタCSが隣接するように形成されている。
図7の例では、蓄積キャパシタCSが2分割されて第1の領域FSARのX方向の縁部側(両側)に形成されている。
そして、2つの蓄積キャパシタCSの形成領域に挟まれた中央部に、第1のフォトダイオードPD0(MQPD)、第1の転送トランジスタTG0-Tr、第1のシャッタゲートトランジスタSG0-Trが形成されている。
この場合、第1の転送トランジスタTG0-Trが中央領域CTAR側にフローティングディフュージョンFDと接続するように形成され、第1のシャッタゲートトランジスタSG0-Trが矩形領域RCTの縁部側(外周側、図中上側)に形成されている。
【0111】
第2の領域SCARには、第4の読み出しモードRMD4または第3の読み出しモードRMD3以外の読み出しモード、たとえば第2の読み出しモードRMD2でアクセスされる第2の光電変換素子としての第2のフォトダイオードPD1(SQPD)、第2の転送素子としての第2の転送トランジスタTG1-Tr、第2の電荷オーバーフローゲート素子としての第2のシャッタゲートトランジスタSG1-Trが形成されている。
この場合、第2のフォトダイオードPD1(SQPD)が第2の領域SCARの全体にわたって、第1のフォトダイオードPD0(MQPD)より容量が大きく形成されている。
そして、第2の転送トランジスタTG1-Trが中央領域CTAR側にフローティングディフュージョンFDと接続するように形成され、第2のシャッタゲートトランジスタSG1-Trが矩形領域RCTの縁部側(外周側、図中下側)に形成されている。
【0112】
図7のような構成を採用することにより、第4の読み出しモード(または第3の読み出しモード)のみならず、他の第1の読み出しモード、第2の読み出しモードのダイナミックレンジを向上させることが可能となる。
【0113】
MQPD(PD0):
このような画素セルPXLCの第1のフォトダイオードPD0(MQPD)において、蓄積された電荷はPDノードPND0に蓄積され、オーバーフローした電荷はFDノードに蓄積される。そのため、飽和信号はPDのFWCではなくFD飽和によって制限される。
したがって、第1のフォトダイオードPD0(MQPD)はFWCを小さく構成され、第2のフォトダイオードPD1(SQPD)はFWCを大きく構成される。
光電荷は、それぞれの信号全体を変換するために、異なるゲインで少なくとも2回読み取ることができる。
【0114】
SQPD(PD1):
第2のフォトダイオードPD1(SQPD)において、蓄積された電荷はPDノードPND1に蓄積され、オーバーフローした電荷は電荷放出パスDMPを通してドレインノードに排出される。
したがって、飽和信号はFDのFWCではなくPD飽和によって制限される。したがって、PDはFWCを小さく構成され、SQPDはFWCを大きく構成される。
【0115】
次に、上記したFD共有画素のレイアウトに関連付けて、フルDTI(FDTI)構造の形成パターン例について説明する。
【0116】
図9(A)~(C)は、本発明の第1の実施形態に係る固体撮像装置のFD共有画素におけるフルDTI構造の形成パターン例について説明するための図である。
図9(A)は本第1の実施形態に係るフルDTI構造が採用されていない比較例を示し、
図9(B)は本第1の実施形態に係るフルDTI構造が採用されている第1の本例を示し、
図9(C)は本第1の実施形態に係るフルDTI構造が採用されている第2の本例を示している。
図9(C)の共有画素のレイアウトは上記した
図7のレイアウトと同じである。
図9(A)および(B)の共有画素のレイアウトは、
図7の第1の領域FSARにおける容量がなく、その空き領域に、X方向の図中右側に、蓄積トランジスタBIN-Tr、リセットトランジスタRST-Trが形成され、左側にソースフォロワトランジスタSF-Tr、選択トランジスタSEL-Trが形成されている。
【0117】
図9(A)の比較例では、矩形領域RCTの外縁辺に沿って全体にフルDTIが隙間なく形成され、中央領域CTARにおいてX方向にフローティングディフュージョンFDの形成領域と対応する領域を含めて直線状にフルDTIが形成されている。
【0118】
これに対して、
図9(B)の第1の本例および
図9(C)の第2の本例では、矩形領域RCTの外縁辺に沿って全体にフルDTIが隙間なく形成され、中央領域CTARにおいてX方向にフローティングディフュージョンFDの形成領域と対応する領域を除いて部分的(選択的)かつ直線状にフルDTIが形成されている。
【0119】
pn接合、MOSトランジスタのいずれの画素コンポーネントもフルDTI構造にすることはできない。
本第1の実施形態においては、フルDTI領域は、FD共有画素のFDなどの画素コンポーネントの下で部分的に削除される。
すなわち、FD共有画素用FDのような画素コンポーネントの下に配置される場合、フルDTIの形成領域は部分的に空き状態とされる。
オーバーフロー方向は、FDノードに結合されたゲートの下にn領域を形成することにより、転送トランジスタTGまたはアンチブルーミングのためのシャッタゲートトランジスタSGのいずれかで制御できる。
【0120】
次に、本第1の実施形態に係る固体撮像装置の画素アレイ内におけるフルDTIの形成パターン例について説明する。
図10(A)~(D)は、本発明の第1の実施形態に係る固体撮像装置の画素アレイ内におけるフルDTIの形成パターン例について説明するための図である。
図10(A)はフルDTIが形成されていない画素アレイを比較例として示している。
【0121】
図10の例において、フルDTIは、画素アレイ200内の正方形のブロックのように形成される。
本第1の実施形態では、フルDTI構造を部分的に除去して、画素間のクロストークを最小限に抑えて画素コンポーネント領域を確保する。
【0122】
次に、本第1の実施形態において採用可能なカラーマトリックスの構成例について説明する。
図11(A)および(B)は、本発明の第1の実施形態において採用可能なカラーマトリックスの構成例について説明するための図である。
本例では、RCC(W)Bのカラーマトリックスの一例を示している。
【0123】
カラーマトリックス構成では、FD共有PD用に、透過度の高いフィルタを透過度の低いフィルタマトリックスに結合する。
たとえば、透過度の高いクリアC(ホワイトW)フィルタは、透過度の低いRとGに結合される。
【0124】
本第1の実施形態に係るカラーフィルタの形成についてさらに説明する。
ここでは、対応するFD共用PD上にカラーフィルタを形成する。
たとえば、RGB,Gフィルタのカラーフィルタ構成は、FD共有PDの2x2ブロックに適用される。
本第1の実施形態においては、共有FD構造を採用しているため、PD間で発生する色信号のクロストークを防ぐことができるパーシャルフルDTIを使用したBSI (Back Sided Isolation) 構造上にピクセルを形成できる。
この構成により、共有PDのビニング機能が可能になる。
さらに、2x2ビニングでは、すべてのオーバーフロー電荷がフローティングディフュージョンFD(FDノード)に完全に拡張されて保存される。
【0125】
次に、共有FD構造とカラーマトリックス補間を使用したRWWB(RCCB)等の構成での光応答例について説明する。
図12(A)および(B)は、共有FD構造とカラーマトリックス補間を使用したRWWB(RCCB)構成での光応答例について説明するための図である。
図12(A)は光応答特性の一例を示し、
図12(B)はRWWB(RCCB)のカラーマトリックスでの補間例を示している。
図13(A)および(B)は、通常のカラーフィルタの透過率、並びに、Gフィルタの透過率を示す図である。
図13(A)はRGB,IRBカラーフィルタの透過率を示し、
図13(B)は補間前後のGフィルタの透過率を示している。
【0126】
図12の構成では、
図12(A)に示すように、Wのダイナミックレンジは、フローティングディフュージョンFDへの電荷蓄積により大きく拡張する。
また、
図12(B)のカラーマトリックスの補間処理では、W(C),B,Rを使用して、演算G=W-B-Rをすることにより、グリーンGフィルタの性能を、オリジナルのGフィルタの性能に近い性能まで再生することができる。
【0127】
図13の構成では、
図13(B)のカラーマトリックスの補間処理では、W(C),B,R,IRBを使用して、演算G‘=W-R-B-IRBをすることにより、グリーンG’フィルタの性能を、オリジナルのGフィルタの性能に近い性能まで再生することができる。
【0128】
次に、FD共有型PDの光電荷状態について説明する。
図14は、FD共有型PDの光電荷状態についてポテンシャル遷移に関連付けて説明するための図である。
【0129】
この例では、「W」ピクセルの応答性 [e-/lux] は4倍高いと推定され、フローティングディフュージョンFD(FDノード)の蓄積電荷 (Qfd) も4倍であると推定される。
次に、Wの高い透過度フィルタの飽和点 [lux] を拡張して、飽和点を等しくする。
この例では、クリア (白) フィルタのオーバーフロー電荷をフローティングディフュージョンFD(FDノード)に保存できる。
R/Bのオーバーフロー電荷は、露光中にFDノードにカップリングされず、読み出し期間のみ、RとGがFDノードに結合される。
【0130】
【0131】
画素200のAD変換部220は、光電変換読み出し部210により出力されるアナログの電圧信号VSLを、所定の傾きを持たせて変化させたランプ波形または固定電圧の参照電圧VREFと比較して、デジタル信号に変換する機能する。
【0132】
AD変換部220は、
図2に示すように、比較器(COMP)221、出力側の負荷キャパシタCL1、およびリセットスイッチSW-RSTを含んで構成されている。
【0133】
比較器221は、第1の入力端子としての反転入力端子(-)に、光電変換読み出し部210の出力バッファ部211から信号線LSGN1に出力された電圧信号VSLが供給され、第2の入力端子としての非反転入力端子(+)に参照電圧VREFが供給され、電圧信号VSTと参照電圧VREFとを比較し、デジタル化した比較結果信号SCMPを出力するAD変換処理(比較処理)を行う。
【0134】
比較器221は、第1の入力端子としての反転入力端子(-)に結合キャパシタCC1が接続されており、第1の基板110側の光電変換読み出し部210の出力バッファ部211と第2の基板120側のAD変換部220の比較器221の入力部をAC結合することにより、低ノイズ化を図り、低照度時に高SNRを実現可能なように構成されている。
【0135】
また、比較器221は、出力端子と第1の入力端子としての反転入力端子(-)との間にリセットスイッチSW-RSTが接続され、出力端子と基準電位VSSとの間に負荷キャパシタCL1が接続されている。
【0136】
基本的に、AD変換部220においては、光電変換読み出し部210の出力バッファ部211から信号線LSGN1に読み出されたアナログ信号(電位VSL)は比較器221で参照電圧VREF、たとえばある傾きを持った線形に変化するスロープ波形であるランプ信号RAMPと比較される。
このとき、たとえば比較器221と同様に列毎に配置された図示しないカウンタが動作しており、ランプ波形のあるランプ信号RAMPとカウンタ値が一対一の対応を取りながら変化することで電圧信号VSLをデジタル信号に変換する。
基本的に、AD変換部220は、参照電圧VREF(たとえばランプ信号RAMP)の変化は電圧の変化を時間の変化に変換するものであり、その時間をある周期(クロック)で数えることでデジタル値に変換する。
そして、アナログ信号VSLとランプ信号RAMP(参照電圧VREF)が交わったとき、比較器221の出力が反転し、図示しないカウンタの入力クロックを停止し、または、入力を停止していたクロックを図示しないカウンタに入力し、そのときのカウンタの値(データ)がメモリ部230に記憶されてAD変換を完了させる。
以上のAD変換期間終了後、各画素200のメモリ部230に格納されたデータ(信号)は読み出し力回路40から図示しない信号処理回路に出力され、所定の信号処理により2次元画像が生成される。
【0137】
メモリ部230はSRAMやDRAMにより構成され、デジタル変換された信号が供給され、フォトコンバージョン符号に対応し、画素アレイ周辺の読み出し回路40の外部IOバッファにより読み出すことができる。
本例では、メモリ部230は、比較器221の出力に2つのメモリ231,232が接続されている。
【0138】
垂直走査回路30は、タイミング制御回路50の制御に応じてシャッタ行および読み出し行において行走査制御線を通してデジタル画素200の光電変換読み出し部210の駆動を行う。
垂直走査回路30は、タイミング制御回路50の制御に応じて、各画素200の比較器221に対して、比較処理に準じて設定される参照電圧VREFを供給する。
また、垂直走査回路30は、アドレス信号に従い、信号の読み出しを行うリード行と、フォトダイオードPDに蓄積された電荷をリセットするシャッタ行の行アドレスの行選択信号を出力する。
【0139】
読み出し回路40は、画素部20の各列出力に対応して配置された複数の列信号処理回路(図示せず)を含み、複数の列信号処理回路で列並列処理が可能に構成されてもよい。
【0140】
読み出し回路40は、相関二重サンプリング(CDS:Correlated Double Sampling)回路やADC(アナログデジタルコンバータ;AD変換器)、アンプ(AMP,増幅器)、サンプルホールド(S/H)回路等を含んで構成可能である。
【0141】
図15は、本発明の実施形態に係る固体撮像装置の画素部の列出力の読み出し系に採用されるカラムADCの構成例を示す図である。
図16は、線形化のための読み出し操作と電荷混合スキームのそれぞれの光電荷カバレッジを示す図である。
【0142】
読み出し回路40は、たとえば
図15および
図16に示すように、上記したAD変換部220を複数採用し、画素部20の各列出力の読み出し信号VSLをデジタル信号に変換する、いわゆるカラムADC410を含んで構成されてもよい。
【0143】
タイミング制御回路50は、画素部20、垂直走査回路30、読み出し回路40等の信号処理に必要なタイミング信号を生成する。
【0144】
本第1の実施形態において、読み出し部70は、画素200からの画素信号の読み出し制御を行う。
【0145】
次に、第1の実施形態における画素信号の読み出し動作方法についてさらに説明する。
図17(A)、(B)、および(C)は、本発明の第1の実施形態に係る固体撮像装置に採用可能な読み出し動作例を示す図である。
【0146】
共有画素に採用可能な読み出し動作方法としては、たとえば、
図17(A)、(B)、および(C)に記載のケースに適用可能な方法を例示することができる。
【0147】
図17(A)に記載のケースは、全画素読み出しまたはビニング時に適用される。読み出し利得(ゲイン)はシングル利得で高変換利得(第1の変換利得)HCGまたは低変換利得(第2の変換利得)LCGのいずれかが適用される。
この場合の読み出し対象は、第1のフォトダイオードPD0または第2のフォトダイオードPD1のいずれかである。
【0148】
図17(B)に記載のケースは、単一露光(シングルエクスポージャー)のハイダイナミックレンジ(SEHDR)パフォーマンス時に適用される。読み出し利得(ゲイン)はデュワル変換利得で高変換利得(第1の変換利得)HCGおよび低変換利得(第2の変換利得)LCGの両利得が適用される。
この場合の読み出し対象は、第1に第1のフォトダイオードPD0の電荷を高変換利得HCGで読み出し、第2に第2のフォトダイオードPD1の電荷を低変換利得LCGで読み出す。
【0149】
図17(C)に記載のケースは、LOFICモード時に適用される。読み出し利得(ゲイン)はデュワル変換利得で高変換利得(第1の変換利得)HCGおよび低変換利得(第2の変換利得)LCGの両利得が適用される。
この場合の読み出し対象は、第1に第1のフォトダイオードPD0の電荷を高変換利得HCGで読み出し、第2にフローティングディフュージョンFDの電荷を低変換利得LCGで読み出す。
【0150】
図18(A)、(B)、および(C)は、本発明の第1の実施形態に係る固体撮像装置の共有画素に採用可能な読み出し動作例を示す図であって、共有画素の回路例、タイミングチャート、およびポテンシャル遷移を関連付けて示す図である。
【0151】
この例では、電荷蓄積期間を経過した後、まず、第1のフォトダイオードPD0を読み出し対象としてLOFICによるデュワル変換利得動作が行われる。
具体的には、第1のフォトダイオードPD0に対し、高変換利得リセット信号読み出し処理HCGRST(PD0)、高変換利得輝度信号読み出し処理HCGSIG(PD0)、および低変換利得輝度信号読み出し処理LCGSIG(PD0)が順を追って行われる。
【0152】
次に、第2のフォトダイオードPD1を読み出し対象としてSEHDRによるデュワル変換利得動作が行われる。
まず、第1のフォトダイオードPD0または第2のフォトダイオードPD1に対し、低変換利得リセット信号読み出し処理LCGRST(PD0/1)が行われた後、高変換利得リセット信号読み出し処理HCGRST(PD1)、高変換利得輝度信号読み出し処理HCGSIG(PD1)、および低変換利得輝度信号読み出し処理LCGSIG(PD1)が順を追って行われる。
【0153】
以上、第1の実施形態に係る固体撮像装置10として、2つのフォトダイオードPD0,PD1で1つのフローティングディフュージョンFDを共有する共有画素を含む固体撮像装置の特徴的な構成、機能について説明した。
以下に、本第1の実施形態に係る固体撮像装置10の効果について
図19に関連付けて説明する。
【0154】
(第1の実施形態の効果)
通常のRGBベイヤの飽和点は、グリーンフィルタの特性によって制限される。
W(クリアC)フィルタでより高い透過度を提供するRGB(W)フィルタ構成の場合、飽和点はWフィルタによって制限される。
そのため、通常は逆に色再現性を確保するための最高照度を下げている。
【0155】
本第1の実施形態においては、フルウェル容量(FWC)は、オーバーフロー電荷蓄積が起こったFD共有PD内の最も高い透過PDに対して拡張することができる。
この構成では、Qpd によって支配される完全なウェル容量拡張のための画素サイズのオーバーヘッドを持つ必要はない。
したがって、本第1の実施形態に係る固体撮像装置10は、前述のように、応答性が高く、低照度SNR性能が高く、ダイナミックレンジが高く、色再現性に優れている。
【0156】
(第2の実施形態)
図20は、本発明の第2の実施形態に係る固体撮像装置の共有画素の一例を示す回路図である。
【0157】
本発明の第2の実施形態に係る固体撮像装置10Aの共有画素PXL20Aが上述した第1の実施形態に係る固体撮像装置1の共有画素PXL20と異なる点は、次の通りである
【0158】
第1の実施形態に係る固体撮像装置10の共有画素PXL20は、2つのフォトダイオードPD0,PD1で1つのフローティングディフュージョンFDを共有する。
第1の実施形態に係る固体撮像装置10は、第1の転送トランジスタTG0-Trに接続された第1のフォトダイオードPD0と、第2の転送トランジスタTG1-Trに接続された第2のフォトダイオードPD1と、第1の転送トランジスタTG0-Trおよび第2の転送トランジスタTG1-Trに接続されたフローティングディフュージョンFDと、第1のフォトダイオードPD0に接続されたアンチブルーミングゲートとしての第1のシャッタゲートトランジスタSG0-Trと、第2のフォトダイオードPD1に接続されたアンチブルーミングゲートとしての第2のシャッタゲートトランジスタSG1-Trとを備えている。
そして、本第1の実施形態に係る固体撮像装置10の共有画素PXL20において、第1のフォトダイオードPD0からの第1の飽和信号SAT0は、第1の転送トランジスタTG0-Trを介してフローティングディフュージョンFDに完全にオーバーフローし、第2のフォトダイオードPD1からの第2の飽和信号SAT1は第2のシャッタゲートトランジスタSG1-Trを介して排出される。
【0159】
第2の実施形態に係る固体撮像装置10Aの共有画素PXL20Aは、2つのフォトダイオードPD0,PD1に、さらに2つのフォトダイオードPD2、PD3を加えた4つのフォトダイオードPD0~PD3で1つのフローティングディフュージョンFDを共有する。
具体的には、本第2の実施形態に係る固体撮像装置10Aは、第1の転送トランジスタTG0-Trに接続された第1のフォトダイオードPD0と、第2の転送トランジスタTG1-Trに接続された第2のフォトダイオードPD1と、第3の転送トランジスタTG2-Trに接続された第3のフォトダイオードPD2と、第4の転送トランジスタTG3-Trに接続された第4のフォトダイオードPD3と、第1の転送トランジスタTG0-Tr、第2の転送トランジスタTG1-Tr、第3の転送トランジスタTG2-Tr、および第4の転送トランジスタTG3-Trに接続されたフローティングディフュージョンFDと、第1のフォトダイオードPD0に接続されたアンチブルーミングゲートとしての第1のシャッタゲートトランジスタSG0-Trと、第2のフォトダイオードPD1に接続されたアンチブルーミングゲートとしての第2のシャッタゲートトランジスタSG1-Trと、第3のフォトダイオードPD2に接続されたアンチブルーミングゲートとしての第3のシャッタゲートトランジスタSG2-Trと、第4のフォトダイオードPD3に接続されたアンチブルーミングゲートとしての第4のシャッタゲートトランジスタSG3-Trとを備えている。
【0160】
このように、本第2の実施形態に係る固体撮像装置10Aの共有画素PXL20Aは、第3の転送トランジスタTG2-Trおよび第4の転送トランジスタTG3-Trにそれぞれ結合された第3のフォトダイオードPD2および第4のフォトダイオードPD3をさらに備えている。
FD共有画素PXL20Aのレイアウトは、第1のフォトダイオードPD0,第2のフォトダイオードPD1、第3のフォトダイオードPD2、および第4のフォトダイオードPD3を含んで形成され、PD0~PD3の飽和信号SAT0~SAT3のすべてがフローティングディフュージョンFDに完全に転送(オーバーフロー)され、転送トランジスタTG(シャッタゲートトランジスタSG)の反対側は、それ自体のオーバーフロー電荷をドレインに排出することができる。
また、PD0~PD3の飽和信号SAT0~SAT3の少なくとも1つがフローティングディフュージョンFDに完全に転送(オーバーフロー)されるように構成されているが、転送トランジスタTG(シャッタゲートトランジスタSG)の反対側はそれ自体のオーバーフロー電荷をドレインに排出できる。
【0161】
共有画素PXL20Aは、各PD0~PD3にはそれぞれ2つの電荷転送用トランジスタが接続されており、蓄積された電荷を排出し、蓄積時間を個別に制御できる。
また、共有画素PXL20Aは、対応するFD共有PD上にカラーフィルタが形成される。たとえば、RGB,Gフィルタのカラーフィルタ構成は、FD共有PDの2x2ブロックに適用される。
また、共有FD構造のため、フォトダイオードPD0~PD3間で発生する色信号のクロストークを防ぐことができるパーシャルフルDTIを使用したBSI (Back Sided Isolations) 構造上にピクセルを形成することができる。
【0162】
共有画素PXL20Aは、各光電変換素子を含む画素に対応するように配置されるカラーフィルタを含み、対応するオーバーフロー光電荷がフローティングディフュージョンFDに蓄積される1番目の第1の光電変換素子に感度の高い高透過カラーフィルタW(C)が適用され、感度のより低い透過カラーフィルタは、対応する光電荷が蓄積された読み出し信号を格納する2番目以降の第2の光電変換素子に適用され、感度の高い画素のオーバーフロー信号を拡張する場合に、感度の高い画素以外の画素のカラーフィルタを、R-G-B-IR、より低い透過カラーフィルタのいずれかに感度を持つものと組み合わせている。
【0163】
以上に、本第2の実施形態に係る固体撮像装置10Aの共有画素構造や画素部のカラーフィルタマトリックス等の特徴的な構成の概要を説明した。
以下に、本第2の実施形態に係る固体撮像装置10Aの共有画素の構成や配列等、カラーマトリックスの構成、機能等、さらには信号読み出し方法の詳細について順を追って説明する。
【0164】
(2×2カラーマトリックスの例)
まず、2×2カラーマトリックスの形成例について説明する。
図21(A)~(D)は、2×2FD共有画素用カラーマトリックスの形成例を示す図である。
【0165】
図21(A)は、RGGB画素を2×2の正方配列した通常のベイヤ配列を示している。
図21(B)は、RGBW画素を2×2の正方配列したカラーマトリックスの形成例を示している。
図21(C)は、RGGB画素のうちの同色画素の4つを2×2の正方配列した画素ユニットを形成し、4つの画素ユニットを2×2の正方配列したブロックベイヤ配列を示している。
図21(D)は、RGBW画素のうちの同色画素の4つを2×2の正方配列した画素ユニットを形成し、4つの画素ユニットを2×2の正方配列したカラーマトリックスの形成例を示している。
【0166】
(共有画素PXL20Aの4つのPD、1つのFD等の配置例)
次に、共有画素PXL20Aのレイアウト例について説明する。
図22(A)、(B)、および(C)は、本発明の第2の実施形態に係る共有画素の4つのフォトダイオード、転送トランジスタ、並びに、1つのフローティングディフュージョンFD、リセットトランジスタ、ソースフォロワトランジスタ、および選択トランジスタの配置例を示す簡略平面図である。
【0167】
本例では、共有画素PXL20Aの4つのフォトダイオードPD0,PD1,PD2,PD3、転送トランジスタTG0-Tr,TG1-Tr,TG2-Tr,TG3-Tr、シャッタゲートトランジスタSG0-Tr,SG1-Tr,SG2-Tr,SG3-Tr、並びに、1つのフローティングディフュージョンFD、蓄積トランジスタBIN-Tr、リセットトランジスタRST-Tr、ソースフォロワSトランジスタSF-Tr、および選択トランジスタSEL-Trの配置例について説明する。
なお、以下の説明において、各素子の左右等の配置位置は、一例であって図示する例であることを問わない。
【0168】
共有画素PXL20Aは、素子の形成領域として、中央部分の中央領域CTAR20、並びに、中央領域CTAR20を挟んで両側(Y方向)の第1の領域FSAR20および第2の領域SCAR20を含んで、矩形領域RCT20が割り当てられている。
【0169】
第1の領域FSAR20には、第1のフォトダイオードPD0、第1の転送トランジスタTG0-Tr、第1のシャッタゲートトランジスタSG0-Tr、並びに、第3のフォトダイオードPD2、第3の転送トランジスタTG2-Tr、第3のシャッタゲートトランジスタSG2-TrがX方向に隣接するように形成されている。
図22の例では、第1のフォトダイオードPD0、第1の転送トランジスタTG0-Tr、第1のシャッタゲートトランジスタSG0-Trが第1の領域FSAR20の図中左側(左半分の領域)に形成され、第3のフォトダイオードPD2、第3の転送トランジスタTG2-Tr、第1のシャッタゲートトランジスタSG0-Trが第1の領域FSAR20の図中右側(右半分の領域)に形成されている。
第1の転送トランジスタTG0-Trおよび第3の転送トランジスタTG2-Trが中央領域CTAR20側に、平面視して三角形状に形成されている。
第1のシャッタゲートトランジスタSG0-Trおよび第3のシャッタゲートトランジスタSG2-Trが外側矩形領域RCTの角部側に、平面視して三角形状に形成されている。
【0170】
第2の領域SCAR20には、第2のフォトダイオードPD1、第2の転送トランジスタTG1-Tr、第2のシャッタゲートトランジスタSG1-Tr、並びに、第4のフォトダイオードPD3、第4の転送トランジスタTG3-Tr、第4のシャッタゲートトランジスタSG3-TrがX方向に隣接するように形成されている。
図22の例では、第2のフォトダイオードPD1、第2の転送トランジスタTG1-Tr、第2のシャッタゲートトランジスタSG1-Trが第2の領域SCAR20の図中左側(左半分の領域)に形成され、第4のフォトダイオードPD3、第4の転送トランジスタTG3-Tr、第4のシャッタゲートトランジスタSG3-Trが第2の領域CSAR20の図中右側(右半分の領域)に形成されている。
第2の転送トランジスタTG1-Trおよび第4の転送トランジスタTG3-Trが中央領域CTAR20側に、平面視して三角形状に形成されている。
第2のシャッタゲートトランジスタSG1-Trおよび第4のシャッタゲートトランジスタSG3-Trが外側矩形領域RCTの角部側に、平面視して三角形状に形成されている。
【0171】
図22(A)の例では、第1の領域FSAR20には、フローティングディフュージョンFDがX方向およびY方向の中央部に形成され、そのX方向の図中右側に、リセットトランジスタRST-Trが形成され、左側にソースフォロワトランジスタSF-Tr、選択トランジスタSEL-Trが形成されている。
【0172】
図22(B)の例では、中央領域CTAR20には、フローティングディフュージョンFDがX方向およびY方向の中央部に形成され、そのX方向の図中右側に、リセットトランジスタRST-Trが形成され、左側にソースフォロワトランジスタSF-Tr、選択トランジスタSEL-Trが形成されている。
【0173】
図22(C)の例では、第2の領域SCAR20には、そのX方向の図中右側に、フローティングディフュージョンFD、蓄積トランジスタBIN-Tr、リセットトランジスタRST-Trが形成され、第1の領域FSAR20の上左側にソースフォロワトランジスタSF-Tr、選択トランジスタSEL-Trが形成されている。
【0174】
これらの画素レイアウトにおいて、4つのフォトダイオードPD0~PD3は4つの対応する転送トランジスタTG0-Tr~TG3-Trを介して1つのフローティングディフュージョンFDに結合される。
オーバーフローの方向は、転送トランジスタTGの下のチャネル形成によって歪曲される可能性がある。
PD領域のいずれかに配置された画素トランジスタコンポーネントは、そのPDサイズを調整して、そのスペースを確保できる。
【0175】
次に、上記したFD共有画素のレイアウトに関連付けて、フルDTI(FDTI)構造の形成パターン例について説明する。
【0176】
図23(A)~(C)は、本発明の第1の実施形態に係る固体撮像装置のFD共有画素におけるフルDTI構造の形成パターン例について説明するための図である。
図23(A)は
図22(A)のレイアウトに対応した本第2の実施形態に係るフルDTI構造が採用され、
図23(B)は
図22(B)のレイアウトに対応した本第2の実施形態に係るフルDTI構造が採用され、
図23(C)は
図22(C)に対応した本第2の実施形態に係るフルDTI構造が採用されている。
【0177】
図9(A)の比較例と同様に、従来は矩形領域RCTの外縁辺に沿って全体にフルDTIが隙間なく形成され、中央領域CTARにおいてX方向にフローティングディフュージョンFDの形成領域と対応する領域を含めて直線状にフルDTIが形成されている。
【0178】
これに対して、
図23(A)~(C)の本例では、矩形領域RCTの外縁辺に沿って全体にフルDTIが隙間なく形成され、中央領域CTARにおいてX方向にフローティングディフュージョンFDの形成領域等と対応する中央部領域を除いて部分的(選択的)かつ直線状にフルDTIが形成されている。
【0179】
pn接合、MOSトランジスタのいずれの画素コンポーネントもフルDTI構造にすることはできない。
本第2の実施形態においては、フルDTI領域は、FD共有画素のFDなどの画素コンポーネントの下で部分的に削除される。
すなわち、FD共有画素用FDのような画素コンポーネントの下に配置される場合、フルDTIの形成領域は部分的に空き状態とされる。
オーバーフロー方向は、FDノードに結合されたゲートの下にn領域を形成することにより、転送トランジスタTGまたはアンチブルーミングのためのシャッタゲートトランジスタSGのいずれかで制御できる。
フルDTIは、フォトダイオードPDと画素トランジスタの間に配置され、隣接するフォトダイオードPDからのクロストークをシールドする。
【0180】
次に、本第2の実施形態において採用可能なブロックベイヤ構成とカラーフィルタ構成について説明する。
図24(A)および(B)は、本発明の第2の実施形態において採用可能なブロックベイヤ構成とカラーフィルタ構成について説明するための図である。
【0181】
ブロックベイヤ配列は、たとえばRGGB画素のうちの同色画素の4つを2×2の正方配列した画素ユニットPUを形成し、4つの画素ユニットPUを2×2の正方配列して構成されている。
図24(A)は、ブロックベイヤ配列のフル解像モードに対応したカラーマトリックスを示している。
図24(B)は、2×2ビニング時のカラーマトリックスを示している。2×2ビニングによってハイダイナミックレンジ(HDR)で、高速性と低ノイズ応答性を実現することが可能となる。
【0182】
次に、本第2の実施形態において採用可能なカラーマトリックスの構成例について説明する。
図25(A)、(B)、および(C)は、本発明の第2の実施形態において採用可能なカラーマトリックスの構成例について説明するための図である。
図25(A)の例では、RCC(W)Bのカラーマトリックスの一例を示している。
図25(B)の例では、RGC(W)Bのカラーマトリックスの一例を示している。
図25(C)の例では、R(IR)C(W)Bのカラーマトリックスの一例を示している。
【0183】
カラーマトリックス構成では、FD共有PD用に、透過度の高いフィルタを透過度の低いフィルタマトリックスに結合する。
たとえば、透過度の高いクリアC(ホワイトW)フィルタは、透過度の低いRとGに結合される。
最高応答時のオーバーフロー電荷はフローティングディフュージョンFD(FDノード)に蓄積され、その飽和レベルを拡張して飽和点を均等化する。
【0184】
本第2の実施形態に係るカラーフィルタの形成についてさらに説明する。
ここでは、対応するFD共用PD上にカラーフィルタを形成する。
たとえば、RGB,Gフィルタのカラーフィルタ構成は、FD共有PDの2x2ブロックに適用される。
本第2の実施形態においては、共有FD構造を採用しているため、PD間で発生する色信号のクロストークを防ぐことができるパーシャルフルDTIを使用したBSI (Back Sided Isolation) 構造上にピクセルを形成できる。
この構成により、共有PDのビニング機能が可能になる。
さらに、2x2ビニングでは、すべてのオーバーフロー電荷がフローティングディフュージョンFD(FDノード)に完全に拡張されて保存される。
【0185】
次に、共有FD構造とカラーマトリックス補間を使用した(IR)RBW等の構成での光応答例について説明する。
図26(A)および(B)は、共有FD構造とカラーマトリックス補間を使用した(IR)RBW構成での光応答例について説明するための図である。
図26(A)はカラーフィルタの透過率の一例を示し、
図26(B)は(IR)RBWのカラーマトリックスでの補間例を示している。
図26(A)は、通常のカラーフィルタの透過率、並びに、IRノッチフィルタの透過率を示している。
【0186】
図26の構成では、Wのダイナミックレンジは、フローティングディフュージョンFDへの電荷蓄積により大きく拡張する。
また、
図26(B)のカラーマトリックスの補間処理では、W(C),B,R,IRを使用して、演算G=W-B-R-IR、R=R-IR、B=B-IR、IR=IRをすることにより、GRBフィルタの性能を、オリジナルのGRBフィルタの性能に近い性能まで再生することができる。
【0187】
次に、本第2の実施形態に係る画素部20の所定のカラーマトリックスを用いた共有画素PXL20Aの列出力の読み出し系回路および読み出し方法について説明する。
【0188】
図27は、本発明の実施形態に係る固体撮像装置の画素部の列出力の読み出し系に採用されるカラムADCの構成例を示す図である。
図28は、線形化のための読み出し操作と電荷混合スキームのそれぞれの光電荷カバレッジを示す第1図である。
図29は、線形化のための読み出し操作と電荷混合スキームのそれぞれの光電荷カバレッジを示す第2図である。
図30は、線形化のための読み出し操作と電荷混合スキームのそれぞれの光電荷カバレッジを示す第3図である。
【0189】
本実施形態に係る読み出し回路40Aは、カラムADC410Aを備えている。
これらの例では、
図28に示すように、たとえばケースAとして、単一露光(シングルエクスポージャー)のハイダイナミックレンジ(SEHDR)パフォーマンス時に適用される。読み出し利得(ゲイン)はデュワル変換利得で高変換利得(第1の変換利得)HCGおよび低変換利得(第2の変換利得)LCGの両利得が適用される。
この場合の読み出し対象は、第1にフォトダイオードPDの電荷を高変換利得HCGで読み出した信号と、第2にフォトダイオードPDの電荷を画素利得PixGainを乗算した低変換利得LCGで読み出した信号とを加算する。
【0190】
ケースBとしては、LOFICモード時に適用される。読み出し利得(ゲイン)はデュワル変換利得で高変換利得(第1の変換利得)HCGおよび低変換利得(第2の変換利得)LCGの両利得が適用される。
この場合の読み出し対象は、第1にフォトダイオードPD0の電荷を高変換利得HCGで読み出した信号と、第2にフローティングディフュージョンFDの電荷に応じた利得に画素利得PinGainを乗算した信号とを加算する。
この加算処理を行うことにより、
図30に示すような、高度な線形処理結果を得ることができる。
【0191】
この場合、
図29に示すように、蓄積された光電荷ごとにAD変換を行うことができ、異なる変換ゲインのために少なくとも複数のAD 変換器が利用される。
これらのデジタルコードは、ポストデータ処理後に線形化されたコードにすることができる。
【0192】
本第2の実施形態に係るFD共有読み出し系回路は、複数の動作シーケンスを有する画素ワイズADC(3QDPS)によるグローバル読み出しを実施するように構成される。
【0193】
次に、本第2の実施形態に係るブロックベイヤ構成を有し、4つのフォトダイオードPDでフローティングディフュージョンFDを共有するシャッタ機能付き画素回路の読み出しシステム例を
図31、
図32、および
図33に示す。
【0194】
いよう
図31は、2×2ブロックベイヤ構成を有し、4つのフォトダイオードPDで1つのフローティングディフュージョンFDを共有するシャッタ機能付き画素回路の読み出しシステム例を示し、すべてのオーバーフロー信号を使用していない場合の読み出しシステム例を示している。
【0195】
図32は、2×2ブロックベイヤ構成を有し、4つのフォトダイオードPDで1つのフローティングディフュージョンFDを共有するシャッタ機能付き画素回路の読み出しシステム例を示し、すべてのオーバーフロー信号を使用している場合のシステム例を示している。
【0196】
図33は、2×2ブロックベイヤ構成を有し、4つのフォトダイオードPDで1つのフローティングディフュージョンFDを共有するシャッタ機能付き画素回路の読み出しシステム例を示し、一部のオーバーフロー信号を使用している場合のシステム例を示している。
本例では、フォトダイオードPD0のオーバーフロー信号が使用されている。
【0197】
次に、本第2の実施形態における画素信号の読み出し動作方法についてさらに説明する。
図34(A)、(B)、および(C)は、本発明の第2の実施形態に係る固体撮像装置に採用可能な光電荷蓄積読み出し動作シーケンス例を示す図である。
内容は、理解を容易にするために、第1の実施形態で参照した
図17と同様としている。
【0198】
共有画素に採用可能な読み出し動作方法としては、たとえば、
図34(A)、(B)、および(C)に記載のケースに適用可能な方法を例示することができる。
【0199】
図34(A)に記載のケースは、全画素読み出しまたはビニング時に適用される。読み出し利得(ゲイン)はシングル利得で高変換利得(第1の変換利得)HCGまたは低変換利得(第2の変換利得)LCGのいずれかが適用される。
この場合の読み出し対象は、たとえば第1のフォトダイオードPD0または第2のフォトダイオードPD1のいずれかである。
【0200】
図34(B)に記載のケースは、単一露光(シングルエクスポージャー)のハイダイナミックレンジ(SEHDR)パフォーマンス時に適用される。読み出し利得(ゲイン)はデュワル変換利得で高変換利得(第1の変換利得)HCGおよび低変換利得(第2の変換利得)LCGの両利得が適用される。
この場合の読み出し対象は、たとえば第1に第1のフォトダイオードPD0の電荷を高変換利得HCGで読み出し、第2にフォトダイオードPDの電荷を低変換利得LCGで読み出す。
【0201】
図34(C)に記載のケースは、LOFICモード時に適用される。読み出し利得(ゲイン)はデュワル変換利得で高変換利得(第1の変換利得)HCGおよび低変換利得(第2の変換利得)LCGの両利得が適用される。
この場合の読み出し対象は、たとえば第1に第1のフォトダイオードPD0の電荷を高変換利得HCGで読み出し、第2にフローティングディフュージョンFDの電荷を低変換利得LCGで読み出す。
【0202】
図35(A)および(B)は、本発明の第2の実施形態に係る固体撮像装置の共有画素に採用可能な全画素読み出し動作例を示すタイミングチャートであって、共有画素の読み出し回路例に関連付けて示す図である。
【0203】
この例では、電荷蓄積期間を経過した後、まず、第1のフォトダイオードPD0を読み出し対象としてLOFICによるデュワル変換利得動作が行われる。
具体的には、第1のフォトダイオードPD0に対し、高変換利得リセット信号読み出し処理HCGRST(PD0)、および高変換利得輝度信号読み出し処理HCGSIG(PD0)が順を追って行われる。
次に、第2のフォトダイオードPD1に対し、高変換利得リセット信号読み出し処理HCGRST(PD1)、および高変換利得輝度信号読み出し処理HCGSIG(PD1)が順を追って行われる。
次に、第3のフォトダイオードPD2に対し、高変換利得リセット信号読み出し処理HCGRST(PD2)、および高変換利得輝度信号読み出し処理HCGSIG(PD2)が順を追って行われる。
次に、第4のフォトダイオードPD3に対し、高変換利得リセット信号読み出し処理HCGRST(PD3)、および高変換利得輝度信号読み出し処理HCGSIG(PD3)が順を追って行われる。
【0204】
次に、第2のフォトダイオードPD1を読み出し対象としてSEHDRによるデュワル変換利得動作が行われる。
まず、第1のフォトダイオードPD0または第2のフォトダイオードPD1に対し、低変換利得リセット信号読み出し処理LCGRST(PD0/1)が行われた後、高変換利得リセット信号読み出し処理HCGRST(PD1)、高変換利得輝度信号読み出し処理HCGSIG(PD1)、および低変換利得輝度信号読み出し処理LCGSIG(PD1)が順を追って行われる。
【0205】
図36(A)および(B)は、本発明の第2の実施形態に係る固体撮像装置の共有画素に採用可能な4共有PDビニング読み出し動作例を示すタイミングチャートであって、共有画素の読み出し回路例に関連付けて示す図である。
【0206】
この例では、電荷蓄積期間を経過した後、まず、所定の、たとえば第1のフォトダイオードPD0を読み出し対象としてSEHDRによるデュワル変換利得動作が行われる。
具体的には、第1のフォトダイオードPD0に対し、低変換利得リセット信号読み出し処理LCGRST(PD)、高変換利得リセット信号読み出し処理HCGRST(PD)、高変換利得輝度信号読み出し処理HCGSIG(PD)、および低変換利得輝度信号読み出し処理LCGSIG(PD)が順を追って行われる。
【0207】
以下、
図37、
図38、
図39にも、第2の実施形態に係る固体撮像装置の共有画素に採用可能な読み出し動作例のタイミングチャートが、各読み出し処理とともに示されている。
【0208】
図37(A)および(B)は、本発明の第2の実施形態に係る固体撮像装置の共有画素に採用可能なLOFIC時の4共有PDビニング読み出し動作例を示すタイミングチャートであって、共有画素の読み出し回路例に関連付けて示す図である。
図38(A)および(B)は、本発明の第2の実施形態に係る固体撮像装置の共有画素に採用可能なLOFICおよびSEHDRの全利用時の4共有PDビニング読み出し動作例を示すタイミングチャートであって、共有画素の読み出し回路例に関連付けて示す図である。
図39(A)および(B)は、本発明の第2の実施形態に係る固体撮像装置の共有画素に採用可能なLOFICおよびSEHDRの部分利用時の4共有PDビニング読み出し動作例を示すタイミングチャートであって、共有画素の読み出し回路例に関連付けて示す図である。
【0209】
また、
図40(A)、(B)、および(C)は、本発明の第2の実施形態に係る固体撮像装置に採用可能なLOFICおよびSEHDRの全利用時の読み出し動作例を示す図である。
図41(A)、(B)、(C)および(D)は、本発明の第2の実施形態に係る固体撮像装置に採用可能なLOFICの部分利用時およびSEHDRの読み出し動作例を示す図である。
【0210】
共有画素に採用可能なLOFICおよびSEHDRの部分利用時の読み出し動作方法としては、たとえば、
図40および
図41の(A)、(B)、(C)および(D)に記載のケースに適用可能な方法を例示することができる。
【0211】
図40(A)は、フォトダイオードPDの電荷を高変換利得により読み出す方法を例示している。
図40(B)は、フォトダイオードPDの電荷を低変換利得により読み出す方法を例示している。
図40は、オーバーフロー電荷を含むフローティングディフュージョンFDを読み出す方法を例示している。
【0212】
図41(A)は、フォトダイオードPD0の電荷を高変換利得により読み出す方法を例示している。
図41(B)は、フォトダイオードPD0のオーバーフロー電荷を含むフローティングディフュージョンFDを読み出す方法を例示している。
図41(C)は、フォトダイオードPD1,PD2,PD3の電荷を高変換利得により読み出す方法を例示している。
図41(D)は、フォトダイオードPD1,PD2,PD3の電荷を低変換利得により読み出す方法を例示している。
【0213】
以上、第2の実施形態に係る固体撮像装置10Aとして、4つのフォトダイオードPD0,PD1、PD2,PD3で1つのフローティングディフュージョンFDを共有する共有画素を含む固体撮像装置の特徴的な構成、機能について説明した。
以下に、本第2の実施形態に係る固体撮像装置10Aの効果について
図42に関連付けて説明する。
【0214】
(第2の実施形態の効果)
通常のRGBベイヤの飽和点は、グリーンフィルタの特性によって制限される。2x2フィルタ構成のFDビニングの場合、2x2ピクセルビニングスキームにより、有効な画素サイズが2倍になる一方で、より高い (x4) 透過性と完全なウェル (x4飽和点) を提供する。
本第2の実施形態では、オーバーフロー電荷蓄積が発生したFD共有PDについて、フルウェル容量(FWC)を拡張することができる。FDノードでPD信号のみを結合する従来のビニング方式と比較して、オーバーフロー電荷Qfdを使用してさらにフルウェル容量拡張を実現するために、画素サイズと完全なウェル容量拡張のためのオーバーヘッドのいずれも必要がない。
以上説明したように、本第2の実施形態に係る固体撮像装置は、従来のビニング方式と比較して、より高い低照度SNR性能と、画素サイズのオーバーヘッドなしでより高いダイナミックレンジを実現するためのより高い応答性を達成できる。
【0215】
以上説明した固体撮像装置10,10Aは、デジタルカメラやビデオカメラ、携帯端末、あるいは監視用カメラ、医療用内視鏡用カメラなどの電子機器に、撮像デバイスとして適用することができる。
【0216】
図43は、本発明の実施形態に係る固体撮像装置が適用されるカメラシステムを搭載し
た電子機器の構成の一例を示す図である。
【0217】
本電子機器300は、
図43に示すように、本実施形態に係る固体撮像装置10,10Aが適用可能なCMOSイメージセンサ310を有する。
さらに、電子機器300は、このCMOSイメージセンサ310の画素領域に入射光を導く(被写体像を結像する)光学系(レンズ等)320を有する。
電子機器300は、CMOSイメージセンサ310の出力信号を処理する信号処理回路(PRC)330を有する。
【0218】
信号処理回路330は、CMOSイメージセンサ310の出力信号に対して所定の信号処理を施す。
信号処理回路330で処理された画像信号は、液晶ディスプレイ等からなるモニタに動画として映し出し、あるいはプリンタに出力することも可能であり、またメモリカード等の記録媒体に直接記録する等、種々の態様が可能である。
【0219】
上述したように、CMOSイメージセンサ310として、前述した固体撮像装置10,10Aを搭載することで、高性能、小型、低コストのカメラシステムを提供することが可能となる。
そして、カメラの設置の要件に実装サイズ、接続可能ケーブル本数、ケーブル長さ、設置高さなどの制約がある用途に使われる、たとえば、監視用カメラ、医療用内視鏡用カメラなどの電子機器を実現することができる。
【符号の説明】
【0220】
10,10A・・・固体撮像装置、20・・・画素部、PD0・・・第1のフォトダイオード、PD1・・・第2のフォトダイオード、PD2・・・第3のフォトダイオード、PD3・・・第4のフォトダイオード、TG0-Tr・・・第1の転送トランジスタ、TG1-Tr・・・第2の転送トランジスタ、TG2-Tr・・・第3の転送トランジスタ、TG3-Tr・・・第4の転送トランジスタ、SG0-Tr・・・第1のシャッタゲートトランジスタ、SG1-Tr・・・第2のシャッタゲートトランジスタ、SG2-Tr・・・第3のシャッタゲートトランジスタ、SG3-Tr・・・第4のシャッタゲートトランジスタ、FD・・・フローティングディフュージョン、RST-Tr・・・リセットトランジスタ、SF-Tr・・・ソースフォロワトランジスタ、BIN-Tr・・・蓄積トランジスタ、CS・・・蓄積キャパシタ、220・・・光電変換読み出し部、230・・・信号保持部、30・・・垂直走査回路、40・・・出力回路、50・・・タイミング制御回路、60・・・読み出し部、300・・・電子機器、310・・・CMOSイメージセンサ、320・・・光学系、330・・・信号処理回路(PRC)。
【手続補正書】
【提出日】2023-12-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0021
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0021】
【特許文献1】特開2007-81033号公報
【特許文献2】特開2013-62789号公報
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】全図
【補正方法】変更
【補正の内容】