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特開2024-89558半導体装置の製造方法及び半導体製造装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024089558
(43)【公開日】2024-07-03
(54)【発明の名称】半導体装置の製造方法及び半導体製造装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/306 20060101AFI20240626BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20240626BHJP
【FI】
H01L21/306 E
H01L21/304 647A
H01L21/304 647Z
H01L21/304 645B
H01L21/304 645D
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022204960
(22)【出願日】2022-12-21
(71)【出願人】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】110003764
【氏名又は名称】弁理士法人OMNI国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100130580
【弁理士】
【氏名又は名称】小山 靖
(72)【発明者】
【氏名】宮本 泰治
(72)【発明者】
【氏名】吉田 幸史
【テーマコード(参考)】
5F043
5F157
【Fターム(参考)】
5F043AA35
5F043BB23
5F043DD02
5F043DD13
5F043EE07
5F043EE08
5F157AB02
5F157AB14
5F157AB33
5F157AB90
5F157AC04
5F157AC22
5F157BB23
5F157BB45
5F157BC13
5F157BE46
5F157BE48
5F157BF02
5F157BF32
5F157BF42
5F157BF48
5F157BF59
5F157BF82
5F157BF93
5F157BF94
5F157BG03
5F157BG23
5F157BG43
5F157CF04
5F157CF14
5F157CF60
5F157CF99
5F157DB02
5F157DB03
(57)【要約】      (修正有)
【課題】被エッチング層の選択的なエッチングを良好に行うことが可能な半導体装置の製造方法及びその製造装置を提供する。
【解決手段】方法は、被保護層と被エッチング層とが交互に積層された積層体を有する基板の処理を含み、被保護層の少なくとも表面にSAMを選択的に形成する工程と、SAMを保護層として被エッチング層を選択的にエッチングする工程と、を含む。SAMを形成する工程は、SAM分子を含む第1処理液を被保護層の表面に接触させてSAM分子を化学吸着させる第1接触工程と、被保護層の表面から化学吸着していないSAM分子を除去する除去工程と、除去工程後の被保護層の表面におけるSAM分子が存在しない領域をSAM分子による化学吸着が可能な領域に表面改質する表面改質工程と、表面改質された領域にSAM分子を含み、かつ、第1処理液と同種又は異種の第2処理液を接触させSAM分子を化学吸着させる第2接触工程と、を含む。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に積層体が設けられた基板の処理を含む半導体装置の製造方法であって、
前記積層体は、エッチングの保護対象となる被保護層と、エッチングの対象となる被エッチング層とが交互に積層されたものを含むものであり、
前記被保護層の少なくとも表面に、自己組織化単分子膜を選択的に形成する工程と、
前記自己組織化単分子膜を保護層として、前記被エッチング層を選択的にエッチングする工程と、を含み、
前記自己組織化単分子膜を形成する工程は、
前記自己組織化単分子膜の形成が可能な分子を含む第1処理液を、前記被保護層の表面に接触させて前記分子を化学吸着させる第1接触工程と、
前記被保護層の表面から、化学吸着していない前記分子を除去する除去工程と、
前記除去工程後の前記被保護層の表面における前記分子が存在しない領域を、前記分子による化学吸着が可能な領域に表面改質する表面改質工程と、
前記表面改質された領域に、前記分子を含み、かつ、前記第1処理液と同種又は異種の第2処理液を接触させ、前記分子を化学吸着させる第2接触工程と、
を含む、半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記自己組織化単分子膜を形成する工程の直前に、前記被エッチング層を膜厚方向に所定の深さまでエッチングする工程をさらに含み、
前記自己組織化単分子膜を形成する工程は、
前記被保護層に於いて、前記被エッチング層のエッチングにより露出した側面にも、前記自己組織化単分子膜を形成する工程である、請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記第2接触工程は、前記表面改質工程で表面改質された領域に前記分子を化学吸着させて、前記第1接触工程で形成された自己組織化単分子膜の緻密化処理を施す工程である、請求項1又は2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記被保護層は、二酸化ケイ素からなり、
前記被エッチング層は、窒化ケイ素からなり、
前記分子は、水酸基とのシロキサン結合が可能な官能基を有しており、
前記表面改質工程における表面改質は、前記分子が存在しない領域に水酸基を生成させ、
前記第1接触工程及び前記第2接触工程における前記分子の化学吸着は、前記被保護層の表面の水酸基とのシロキサン結合を介して、前記分子を前記表面に結合させるものである、請求項1又は2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記表面改質工程は、前記除去工程後の前記被保護層の表面における前記分子が存在しない領域に、表面改質液を接触させる工程であり、
前記表面改質液として、前記二酸化ケイ素からなる前記被保護層の表面に水酸基を生成させる溶液を用いる、請求項4に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記表面改質工程は、前記被保護層の表面における前記分子が存在しない領域にオゾンガスを接触させる工程、前記被保護層の表面における前記分子が存在しない領域に紫外線を照射する工程、及び前記被保護層の表面における前記分子が存在しない領域に水分を含むガスを接触させる工程の少なくとも何れか1つである、請求項4に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記分子がオクタデシルトリクロロシランを含む、請求項4に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項8】
表面に積層体が設けられた基板の処理を行う半導体製造装置であって、
前記積層体は、エッチングの保護対象となる被保護層と、エッチングの対象となる被エッチング層とが交互に積層されたものを含むものであり、
前記被保護層の少なくとも表面に、自己組織化単分子膜を選択的に形成する基板処理ユニットと、
前記自己組織化単分子膜を保護層として、前記被エッチング層を選択的にエッチングして除去するエッチング処理ユニットと、を備え、
前記基板処理ユニットは、
前記自己組織化単分子膜の形成が可能な分子を含む処理液を、前記基板の表面に供給する供給部と、
前記処理液の供給後の前記表面に除去液を供給して、化学吸着していない前記分子を除去する除去液供給部と、
前記除去液供給部による前記分子の除去後の前記表面であって、前記分子が存在しない領域を、前記分子による化学吸着が可能な領域に表面改質する表面改質部と、
を備え、
前記供給部は、前記表面改質部による表面改質後の基板の表面にも、前記処理液を供給する、半導体製造装置。
【請求項9】
前記エッチング処理ユニットは、前記自己組織化単分子膜の形成の直前に、前記被エッチング層を膜厚方向に所定の深さまでエッチングするものであり、
前記基板処理ユニットは、前記被保護層に於いて、前記被エッチング層のエッチングにより露出した側面にも、前記自己組織化単分子膜を形成するものである、請求項8に記載の半導体製造装置。
【請求項10】
前記被保護層は、二酸化ケイ素からなり、
前記被エッチング層は、窒化ケイ素からなり、
前記分子は、水酸基とのシロキサン結合が可能な官能基を有しており、
前記表面改質部は、前記分子が存在しない領域に表面改質液を供給する表面改質液供給部であり、
前記表面改質液として、前記被保護層の表面に水酸基を生成させる溶液を用いる、請求項8又は9に記載の半導体製造装置。
【請求項11】
前記被保護層は、二酸化ケイ素からなり、
前記被エッチング層は、窒化ケイ素からなり、
前記分子は、水酸基とのシロキサン結合が可能な官能基を有しており、
前記表面改質部は、前記被保護層の表面における前記分子が存在しない領域にオゾンガスを供給するオゾンガス供給部、前記被保護層の表面における前記分子が存在しない領域に紫外線を照射する紫外線照射部、及び前記被保護層の表面における前記分子が存在しない領域に水分を含むガスを供給するガス供給部の少なくとも何れか1つである、請求項8又は9に記載の半導体製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、緻密性及び保護性能に優れた自己組織化単分子膜を保護層として形成することにより、被エッチング層の選択的なエッチングを行うことが可能な半導体装置の製造方法及び半導体製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
データを不揮発に記憶することが可能なデバイスとして、NAND型フラッシュメモリが知られている。このNAND型フラッシュメモリとしては、例えば、メモリセルを基板上に垂直にスタックして配置させた3次元NAND型フラッシュメモリがある。
【0003】
そして、3次元NAND型フラッシュメモリのような3次元NAND構造に於いては、比較的広い開口を有する凹部を形成するだけでなく、開口が狭く、かつ、膜厚方向に深い形状の凹部を形成することが、エッチング処理に要求される。
【0004】
このようなエッチング処理としては、例えば、シリコン窒化(SiN)膜とシリコン酸化(SiO)膜とが面内に設けられた基板の場合、処理液(エッチング液)としてリン酸(HPO)を用いたウェットエッチング法によりシリコン窒化膜のエッチングを行うことがある(特許文献1)。しかし、処理液中のシリコン(Si)濃度が高い場合、エッチング速度が速いために3次元NAND構造内の処理液の置換速度が追いつかず、エッチングされたシリコン成分が析出し、シリコン酸化膜の表面に付着するという問題がある。また、処理液中のシリコン濃度が低い場合、エッチングの選択性が低下し、シリコン酸化膜がエッチングされるという問題もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2021-027125号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は前記問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、緻密性及び保護性能に優れた自己組織化単分子膜を保護層として形成することにより、被エッチング層の選択的なエッチングを良好に行うことが可能な半導体装置の製造方法及び半導体製造装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る半導体装置の製造方法は、前記の課題を解決するために、表面に積層体が設けられた基板の処理を含む半導体装置の製造方法であって、前記積層体は、エッチングの保護対象となる被保護層と、エッチングの対象となる被エッチング層とが交互に積層されたものを含むものであり、前記被保護層の少なくとも表面に、自己組織化単分子膜を選択的に形成する工程と、前記自己組織化単分子膜を保護層として、前記被エッチング層を選択的にエッチングする工程と、を含み、前記自己組織化単分子膜を形成する工程は、前記自己組織化単分子膜の形成が可能な分子を含む第1処理液を、前記被保護層の表面に接触させて前記分子を化学吸着させる第1接触工程と、前記被保護層の表面から、化学吸着していない前記分子を除去する除去工程と、前記除去工程後の前記被保護層の表面における前記分子が存在しない領域を、前記分子による化学吸着が可能な領域に表面改質する表面改質工程と、前記表面改質された領域に、前記分子を含み、かつ、前記第1処理液と同種又は異種の第2処理液を接触させ、前記分子を化学吸着させる第2接触工程と、を含む、ことを特徴とする。
【0008】
前記構成の半導体装置の製造方法は、被エッチング層をエッチングするに際して、自己組織化単分子膜(以下、「SAM」という場合がある。)を被保護層の少なくとも表面に形成してこれを保護し、被エッチング層に対する選択的なエッチング性能を向上させようとするものである。そして前記構成に於いては、SAMの形成工程に於いて、次のような工程を順次行う。すなわち、先ず第1接触工程で、SAMの形成が可能な分子(以下、「SAM分子」という場合がある。)を基板の表面に化学吸着させ、その後、除去工程で化学吸着していないSAM分子を除去する。これにより、SAM分子が化学吸着できなかった領域に対する表面改質が阻害されるのを抑制する。さらに、表面改質工程でSAM分子が化学吸着することが可能な領域に表面改質を施し、第2接触工程で表面改質を施した領域にSAM分子を化学吸着させる。
【0009】
このような構成であると、第1接触工程でSAM分子を化学吸着させることができなかった領域を、SAM分子の化学吸着が可能となるように表面改質を施した上で、再度SAM分子を化学吸着させるので、従来の方法のように、緻密なSAMの形成のために、SAM分子を基板表面に長時間接触させるのを低減することできる。その結果、膜欠陥の発生を抑制し、緻密性及び保護性能に優れたSAMを短時間で効率よく形成することができる。そして、緻密性及び保護性能に優れたSAMを保護層として被保護層の少なくとも表面に形成することで、被保護層の選択的なエッチングを良好に行うことができる。
【0010】
前記の構成に於いて、前記自己組織化単分子膜を形成する工程の直前に、前記被エッチング層を膜厚方向に所定の深さまでエッチングする工程をさらに含み、前記自己組織化単分子膜を形成する工程は、前記被保護層に於いて、前記被エッチング層のエッチングにより露出した側面にも、前記自己組織化単分子膜を形成する工程とすることができる。
【0011】
予め被エッチング層をその膜厚方向に所定の深さまでエッチングしておくような場合には、被エッチング層がエッチングされた分だけ、被保護層の側面も露出する。しかし前記構成では、そのような場合にも、被保護層表面だけでなく、露出した側面にもSAMを形成することで、被保護層を保護しながら被エッチング層の選択的なエッチングを良好に行うことができる。
【0012】
前記の構成に於いて、前記第2接触工程は、前記表面改質工程で表面改質された領域に前記分子を化学吸着させて、前記第1接触工程で形成された自己組織化単分子膜の緻密化処理を施す工程であることが好ましい。
【0013】
前記の構成によれば、第1接触工程に於いてSAMを形成した後、除去工程で基板の表面に化学吸着していないSAM分子を除去し、さらにSAM分子が存在しない領域に、当該SAM分子が化学吸着できるように表面改質を施す。その後、第2接触工程に於いて、SAM分子を含む第2処理液をSAM分子が存在しない領域に接触させる。ここで、第1接触工程で形成されたSAMに於いては、局所的にSAM分子が基板の表面に化学吸着できないなどして、膜欠陥が生じる場合がある。しかし前記構成では、第1接触工程でのSAMの形成後、膜欠陥が生じている領域から、化学吸着していないSAM分子を除去した上で表面改質を施し、膜欠陥が生じている領域にSAM分子を化学吸着させ、SAMの緻密性の向上ないし改善を可能にしている。これにより、従来のSAMの成膜方法のように、SAM分子を基板表面に長時間接触させる必要がなく、短時間で効率よく緻密性及び保護性能に優れたSAMを形成することができる。そして、緻密性及び保護性能に優れたSAMを保護層として被保護層の少なくとも表面に形成することで、被保護層の選択的なエッチングを良好に行うことができる。
【0014】
さらに前記の構成に於いて、前記被保護層は、二酸化ケイ素からなり、前記被エッチング層は、窒化ケイ素からなり、前記分子は、水酸基とのシロキサン結合が可能な官能基を有しており、前記表面改質工程における表面改質は、前記分子が存在しない領域に水酸基を生成させ、前記第1接触工程及び前記第2接触工程における前記分子の化学吸着は、前記被保護層の表面の水酸基とのシロキサン結合を介して、前記分子を前記表面に結合させるものであることが好ましい。
【0015】
前記の構成によれば、二酸化ケイ素からなる被保護層に対し、少なくともその表面に水酸基が生成されるように表面改質を行うことで、水酸基とのシロキサン結合が可能な官能基を有する分子を、当該シロキサン結合を介して被保護層の表面に化学吸着させることができる。
【0016】
前記の構成に於いて、前記表面改質工程は、前記除去工程後の前記被保護層の表面における前記分子が存在しない領域に、表面改質液を接触させる工程であり、前記表面改質液として、前記二酸化ケイ素からなる前記被保護層の表面に水酸基を生成させる溶液を用いるものであってもよい。
【0017】
また前記の構成に於いて、前記表面改質工程は、前記被保護層の表面における前記分子が存在しない領域にオゾンガスを接触させる工程、前記被保護層の表面における前記分子が存在しない領域に紫外線を照射する工程、及び前記被保護層の表面における前記分子が存在しない領域に水分を含むガスを接触させる工程の少なくとも何れか1つであってもよい。
【0018】
さらに前記の構成に於いては、前記分子がオクタデシルトリクロロシランを含むことが好ましい。
【0019】
また本発明の半導体製造装置は、前記の課題を解決するために、表面に積層体が設けられた基板の処理を行う半導体製造装置であって、前記積層体は、エッチングの保護対象となる被保護層と、エッチングの対象となる被エッチング層とが交互に積層されたものを含むものであり、前記被保護層の少なくとも表面に、自己組織化単分子膜を選択的に形成する基板処理ユニットと、前記自己組織化単分子膜を保護層として、前記被エッチング層を選択的にエッチングして除去するエッチング処理ユニットと、を備え、前記基板処理ユニットは、前記自己組織化単分子膜の形成が可能な分子を含む処理液を、前記基板の表面に供給する供給部と、前記処理液の供給後の前記表面に除去液を供給して、化学吸着していない前記分子を除去する除去液供給部と、前記除去液供給部による前記分子の除去後の前記表面であって、前記分子が存在しない領域を、前記分子による化学吸着が可能な領域に表面改質する表面改質部と、を備え、前記供給部は、前記表面改質部による表面改質後の基板の表面にも、前記処理液を供給することを特徴とする。
【0020】
前記構成の半導体製造装置は、被保護層にSAMを選択的に形成する基板処理ユニットと、被エッチング層を選択的にエッチングして除去するエッチング処理ユニットとを少なくとも備えるものであり、エッチング処理ユニットに於いて被エッチング層をエッチングする前に、基板処理ユニットに於いて被保護層の少なくとも表面にSAMを形成してこれを保護しておくことで、被エッチング層に対する優れた選択的エッチングを可能にするものである。そして前記構成に於いては、供給部が、SAM分子を含む処理液を基板の表面に供給することで、SAM分子の化学吸着が可能な領域にこれを化学吸着させることができる。また除去液供給部が、基板の表面に化学吸着していないSAM分子を除去することで、SAM分子が化学吸着していない領域を十分に露出させることができる。さらに表面改質部が、SAM分子が化学吸着していない領域に表面改質を施すことで、SAM分子の当該領域への化学吸着を可能にする。
【0021】
このような構成であると、表面改質を施した領域に、再度供給部が処理液を供給することで、当該領域にもSAM分子を化学吸着させることができ、従来の半導体製造装置と比較して、緻密なSAMの形成のために、SAM分子を基板表面に長時間接触させるのを低減することできる。その結果、膜欠陥の発生を抑制し、緻密性及び保護性能に優れたSAMを短時間で効率よく形成することができる。そして、緻密性及び保護性能に優れたSAMを保護層として被保護層の少なくとも表面に形成することで、被エッチング層に対し選択的なエッチングを良好に行うことが可能な半導体製造装置を提供することができる。
【0022】
前記の構成に於いて、前記エッチング処理ユニットは、前記自己組織化単分子膜の形成の直前に、前記被エッチング層を膜厚方向に所定の深さまでエッチングするものであり、前記基板処理ユニットは、前記被保護層に於いて、前記被エッチング層のエッチングにより露出した側面にも、前記自己組織化単分子膜を形成するものであってもよい。
【0023】
エッチング処理ユニットが、予め被エッチング層をその膜厚方向に所定の深さまでエッチングしておくような場合には、被エッチング層のエッチングにより、被保護層の表面も露出する。しかし前記の構成では、そのような場合にも、基板処理ユニットが、被保護層の表面だけでなく露出した側面にもSAMを形成することができ、被保護層の選択的なエッチングを良好に行うことができる。
【0024】
前記の構成に於いて、前記被保護層は、二酸化ケイ素からなり、前記被エッチング層は、窒化ケイ素からなり、前記分子は、水酸基とのシロキサン結合が可能な官能基を有しており、前記表面改質部は、前記分子が存在しない領域に表面改質液を供給する表面改質液供給部であり、前記表面改質液として、前記被保護層の表面に水酸基を生成させる溶液を用いるものであってもよい。
【0025】
また前記の構成に於いて、前記被保護層は、二酸化ケイ素からなり、前記被エッチング層は、窒化ケイ素からなり、前記分子は、水酸基とのシロキサン結合が可能な官能基を有しており、前記表面改質部は、前記被保護層の表面における前記分子が存在しない領域にオゾンガスを供給するオゾンガス供給部、前記被保護層の表面における前記分子が存在しない領域に紫外線を照射する紫外線照射部、及び前記被保護層の表面における前記分子が存在しない領域に水分を含むガスを供給するガス供給部の少なくとも何れか1つであってもよい。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、緻密性及び保護性能に優れた自己組織化単分子膜を、保護層として被保護層の少なくとも表面に形成することにより、被エッチング層がエッチングされたり、エッチングされた成分が被エッチング層の表面に析出したりするのを防止することができる。その結果、本発明によれば、被エッチング層の選択的なエッチングを良好に行うことができ、例えば、3次元NAND構造等の半導体装置を良好に製造することが可能な半導体装置の製造方法及び半導体製造装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】基板上に設けられた積層体を模式的に表す断面図であって、同図(a)はエッチング工程前の状態を表し、同図(b)はエッチング工程後の様子を表す。
図2図2(a)は図1(a)の積層体に於けるAで囲む部分の部分拡大図であり、同図(b)はSiO層の表面にSAMが形成された様子を表す部分拡大図であり、同図(c)は図1(b)の積層体に於けるBで囲む部分の部分拡大図であって、SiN層がエッチングされた様子を表す。
図3】本発明の第1実施形態に係る半導体装置の製造方法の全体的な流れの一例を示すフローチャートである。
図4図4(a)は第1実施形態において、第1処理液がSiO層表面に供給される様子を表す模式図であり、図4(b)はSAM分子がSiO層表面に化学吸着する様子を表す模式図であり、図4(c)はSAM分子がSiO層表面で自己組織化してSAMを形成する様子を表す模式図である。
図5図5(a)は第1実施形態において、未吸着のSAM分子や逆ミセルを除去した後のSiO層表面の様子を表す模式図であり、図5(b)はSAM分子が存在しない領域に表面改質が施され、水酸基が生成される様子を表す模式図であり、図5(c)は、SAMが緻密化される様子を表す模式図である。
図6】本発明の第1実施形態に係る半導体製造装置に於ける基板処理ユニットの概略構成を表す説明図である。
図7】本発明の第1実施形態に係る半導体製造装置に於いて、基板処理ユニットの供給部に設けられた処理液貯留部の概略構成を表す説明図である。
図8】本発明の第1実施形態に係る半導体製造装置に於いて、基板処理ユニットの供給部に設けられた他の処理液貯留部の概略構成を表す説明図である。
図9】本発明の第1実施形態に係る半導体製造装置に於いて、基板処理ユニットの除去液供給部に設けられた除去液貯留部の概略構成を表す説明図である。
図10】本発明の第1実施形態に係る半導体製造装置に於いて、基板処理ユニットの表面改質液供給部に設けられた表面改質液貯留部の概略構成を表す説明図である。
図11】本発明の第1実施形態に係る半導体製造装置に於けるエッチング処理ユニットの概略構成を表す説明図である。
図12】本発明の第1実施形態に係る半導体製造装置に於いて、エッチング処理ユニットのエッチング液供給部に設けられたエッチング液貯留部の概略構成を表す説明図である。
図13】本発明の第2実施形態に係る半導体装置の製造方法の全体的な流れの一例を示すフローチャートである。
図14図14(a)はSiN層がその膜厚方向に所定の深さまで部分的にエッチングされた様子を表す部分拡大図であり、図14(b)はSiO層の表面にSAMが形成された様子を表す部分拡大図であり、図14(c)はSiN層がエッチングされた様子を表す部分拡大図である。
図15】本発明の第3実施形態に係る半導体装置の製造方法の全体的な流れの一例を示すフローチャートである。
図16】本発明の第3実施形態に係る半導体製造装置に於ける基板処理ユニットの概略構成を表す説明図である。
図17】本発明の第4実施形態に係る半導体装置の製造方法の全体的な流れの一例を示すフローチャートである。
図18】本発明の第4実施形態に係る半導体製造装置に於ける基板処理ユニットの概略構成を表す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態に係る半導体装置の製造方法及び半導体製造装置について、以下に説明する。
【0029】
[半導体装置の製造方法]
先ず、本実施形態に係る半導体装置の製造方法について、図を参照しながら以下に説明する。
本実施形態の半導体装置の製造方法は、3次元NAND構造等の3次元構造を基板の表面に形成するにあたって、良好な選択的エッチングを可能にするための技術を提供するものである。
【0030】
本実施形態の半導体装置の製造方法に於いては、シリコン等からなる基板W上に、3次元NAND構造を形成する工程の一部を例にして以下に説明する。より具体的には、図1に示すような3次元構造の積層体3が設けられた基板Wに対し、処理を行う場合を例に挙げる。図1は、基板W上に設けられた積層体を模式的に表す断面図であって、同図(a)はエッチング工程前の状態を表し、同図(b)はエッチング工程後の様子を表す。
【0031】
積層体3は、図2(a)に示すように、基板W上に、層間絶縁層として機能するSiO層1と、犠牲層として機能するSiN層2とが交互に積層して構成されるものを含む。また、積層体3には、基板Wの表面に対し垂直な方向に於いて、当該積層体3を貫通するように延在する、複数のメモリトレンチ4が設けられている。尚、図2(a)は、図1の積層体に於けるAで囲む部分の部分拡大図である。
【0032】
本実施形態の半導体装置の製造方法は、図3に示すように、自己組織化単分子膜(以下、「SAM」という。)形成工程S1と、エッチング工程S2とを少なくとも含み、メモリトレンチ4を介してSiN層2を選択的にエッチングし、積層体3に於いてメモリトレンチ4の側面に凹部を形成することを可能にする。図3は、本実施形態に係る半導体装置の製造方法の全体的な流れの一例を示すフローチャートである。
【0033】
<SAM形成工程>
SAM形成工程S1は、保護層としてのSAMを、被保護層であるSiO層1の表面に選択的に形成する工程である。SAM形成工程S1は、図3に示すように、第1接触工程S101と、除去工程S102と、表面改質工程S103と、緻密化処理工程(第2接触工程)S104と、リンス工程S105とを少なくとも含む。
【0034】
1.第1接触工程
第1接触工程S101は、SAMを形成することが可能な材料(以下、「SAM形成材料」という。)を含む第1処理液を基板Wの表面に接触させ、SAMを形成する工程である。
【0035】
第1処理液を基板Wに接触させる方法としては特に限定されず、例えば、第1処理液を基板Wの表面に塗布する方法や第1処理液を基板Wの表面に噴霧する方法、基板Wを第1処理液中に浸漬させる方法等が挙げられる。
【0036】
第1処理液を基板Wの表面に塗布する方法としては、例えば、基板Wをその中央部を軸にして一定速度で回転させた状態で、第1処理液を基板Wの表面の中央部に供給することにより行う方法が挙げられる。これにより、基板Wの表面に供給された第1処理液は、基板Wが回転することにより生ずる遠心力によって、基板Wの表面中央付近から基板Wの周縁部に向かって流動し、基板Wの表面の全面に拡散される。その結果、基板Wの表面の全面が第1処理液で覆われて、当該第1処理液の液膜が形成される。
【0037】
第1処理液は、SAM形成材料を少なくとも含む。また第1処理液は、SAM形成材料が溶媒に溶解していてもよく、分散していてもよい。SAM形成材料としては特に限定されず、例えば、オクタデシルトリクロロシラン等の有機シラン化合物が挙げられる。オクタデシルトリクロロシランは、水酸基とのシロキサン結合が可能な官能基として、トリクロロシリル基を有する化合物である。また、溶媒としては特に限定されず、例えば、エーテル溶媒、芳香族炭化水素系溶媒、脂肪族炭化水素系溶媒、フッ素系溶媒等が挙げられる。エーテル溶媒としては特に限定されず、例えば、テトラヒドロフラン(THF)等が挙げられる。芳香族炭化水素系溶媒としては特に限定されず、トルエン等が挙げられる。脂肪族炭化水素系溶媒としては特に限定されず、デカン等が挙げられる。フッ素系溶媒としては特に限定されず、1,3-ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン等が挙げられる。これらの溶媒は単独で、又は2種以上を混合して用いることができる。例示した溶媒のうちオクタデシルトリクロロシランを溶解させることができるとの観点からは、脂肪族炭化水素系溶媒が好ましく、デカンが特に好ましい。
【0038】
SAM形成材料の含有量は、第1処理液の全質量に対し、0.005質量%~100質量%の範囲内が好ましく、0.05質量%~50質量%の範囲内がより好ましく、1質量%~10質量%の範囲内が特に好ましい。
【0039】
また第1処理液には、本発明の効果を阻害しない範囲で公知の添加剤を含有させてもよい。添加剤としては特に限定されず、例えば、安定剤、及び界面活性剤等が挙げられる。
【0040】
第1処理液を基板Wに接触させる条件としては、特に限定されない。但し、本実施形態の第1接触工程S101は、従来の方法でSAMを成膜する場合と比べ、第1処理液の接触時間を短縮することができる。具体的には、SAM形成材料の種類、その濃度及び溶媒の種類等に応じて、第1接触工程S101に要する時間(基板Wを第1処理液中に浸漬させて行う場合は、浸漬時間)を1分間~1440分間、好ましくは1分間~60分間、より好ましくは1分間~10分間の範囲内で適宜設定することができる。
【0041】
次に、SAMの形成過程について、SAM形成材料がオクタデシルトリクロロシランである場合を例にしてより具体的に説明する。
【0042】
図4(a)に示すように、基板Wの表面に第1処理液が供給されると、供給当初の第1処理液中では、SAMを形成することが可能な分子(オクタデシルトリクロロシラン。以下、「SAM分子」という。)5が分散又は溶解している。図4(a)は、第1処理液がSiO層の表面に供給される様子を表す模式図である。
【0043】
次に、SAM分子5は、図4(b)に示すように、SiO層1の表面に水酸基(OH基)6が存在すると、当該水酸基6を反応サイトとしてSiO層1の表面に化学吸着する。より具体的には、SAM分子5のトリクロロシリル基と水酸基6とが反応することによりシロキサン結合を形成し、これによりSAM分子5はSiO層1の表面に化学吸着する。また、SiO層1の表面や第1処理液中に水分子7が存在する場合には、SAM分子5が水分子7の周囲に凝集する。特に、第1処理液中に存在する水分子7に対してSAM分子5は、これを内部に包摂する逆ミセル8を形成する。尚、図4(b)は、SAM分子5がSiO層1の表面に化学吸着する様子を表す模式図である。
【0044】
続いて、SAM分子5がSiO層1の表面に高密度に化学吸着すると、その表面上にSAM分子5の島状構造が現れる。さらに、それぞれの島で、SAM分子5同士の疎水性相互作用や静電相互作用により自己組織化して成長(拡張)し、最終的にSAM9が形成される(図4(c)参照)。但し、SAM9には、SiO層1の表面に逆ミセル8が付着している領域や、SAM分子5が入り込めず隣り合う島同士の境界、さらにSiO層1の表面にSAM分子5が化学吸着せずに付着して存在する領域などで、膜欠陥Cが生じる。尚、図4(c)は、SAM分子5がSiO層1の表面で自己組織化してSAM9を形成する様子を表す模式図である。
【0045】
2.除去工程
除去工程S102は、第1接触工程S101後のSiO層1の表面に残留する第1処理液を除去する工程である。これにより、SAM9の形成に寄与しない余剰なSAM分子5、より具体的には、SiO層1の表面に化学吸着していないSAM分子5(逆ミセル8を含む。)が、SiO層1の表面から取り除かれる。
【0046】
第1処理液をSiO層1の表面から除去する方法としては特に限定されず、例えば、除去液を基板Wの表面に塗布する方法や除去液を基板Wの表面に噴霧する方法、基板Wを除去液中に浸漬させる方法等が挙げられる。
【0047】
除去液を基板Wの表面に塗布する方法としては、例えば、基板Wをその中央部を軸にして一定速度で回転させた状態で、除去液を基板Wの表面の中央部に供給することにより行う方法が挙げられる。これにより、基板Wの表面に供給された除去液は、基板Wが回転することにより生ずる遠心力によって、基板Wの表面の中央付近から基板Wの周縁部に向かって流動し、基板Wの表面の全面に拡散される。その結果、基板Wの表面上の第1処理液が除去液に置換され、基板Wの表面の全面が除去液で覆われて、当該除去液の液膜が形成される。
【0048】
SAM形成材料がオクタデシルトリクロロシランである場合、除去工程S102後のSiO層1の表面は、図5(a)に示す通りである。同図に示すように、基板WのSiO層1の表面からは、SAM9の成膜に寄与しないSAM分子5や逆ミセル8等は除去される。図5(a)は、余剰なSAM分子5や逆ミセル8を除去した後のSiO層1の表面の様子を表す模式図である。
【0049】
除去液としては、SAM形成材料を溶解させ、かつ、水の溶解度が低く、含水量を抑制した有機溶媒が好ましい。SAM形成材料の溶解が可能な除去液であると、SAM9の形成に寄与しない余剰なSAM分子5や逆ミセル8をSiO層1の表面から良好に除去することができる。除去液は、例えば、25℃での水の溶解度が0.033%(330ppm)以下程度であるものが好ましい。除去液は、より具体的には、例えば、トルエン、デカン、1,3-ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン等が挙げられる。これらの溶媒は単独で、又は2種以上を混合して用いることができる。
【0050】
3.表面改質工程
表面改質工程S103は、SiO層1の表面に於いて膜欠陥Cが生じている領域、すなわち、SAM9が形成されていない領域を、SAM分子5による化学吸着が可能な領域に表面改質する工程である。ここで、本明細書に於いて「化学吸着が可能な領域に表面改質する」とは、例えば、SiO層1の表面に水酸基(OH基)が生成するように表面改質を施すことを意味する。あるいは、本実施形態の表面改質とは、SiO層1にシラノール基(Si-OH基)を生成させる処理といえる。
【0051】
SiO層1の表面に表面改質が施されると、図5(b)に示すように、SAM9の膜欠陥Cに於いては、SAM分子5の化学吸着が可能となるように水酸基6が生成される。図5(b)は、SAM分子5が存在しない領域に表面改質が施され、水酸基6が生成される様子を表す模式図である。
【0052】
本実施形態に於いて、SiO層1の表面の表面改質は湿式方法により行う。より具体的には、表面改質液を除去工程S102後の基板Wの表面に接触させることにより行う。表面改質液を基板Wの表面に接触させる方法としては特に限定されず、例えば、表面改質液を基板Wの表面に塗布する方法や表面改質液を基板Wの表面に噴霧する方法、基板Wを表面改質液中に浸漬させる方法等が挙げられる。
【0053】
さらに表面改質液を基板Wの表面に塗布する方法としては、例えば、基板Wをその中央部を軸にして一定速度で回転させた状態で、表面改質液を基板Wの表面の中央部に供給することにより行う方法が挙げられる。これにより、基板Wの表面に供給された表面改質液は、基板Wが回転することにより生ずる遠心力によって基板Wの表面の中央付近から基板Wの周縁部に向かって流動し、基板Wの表面の全面に拡散される。その結果、基板Wの表面の全面が表面改質液で覆われて、当該表面改質液の液膜が形成される。
【0054】
表面改質液としては、例えば、SC-1(Standard Clean-1)(体積比で、アンモニウム水(NH濃度28%):過酸化水素水(H濃度30%):DIW=1:4:20)、水酸化アンモニウム(NHOH)、過酸化水素水(H)、フッ化アンモニウム(NHF)、希硫酸過酸化水素水(SPM)、希硝酸、フッ酸とアンモニアの混合溶液、オゾン水、オゾン化脱イオン水、水等が挙げられる。これらの表面改質液のうち、SiO層1の表面に水酸基を良好に導入できるとの観点からはSC-1が好ましい。
【0055】
尚、湿式方法により表面改質工程S103を行う場合、当該表面改質工程S103の直後には、表面改質液を除去するための洗浄工程、及び乾燥工程を順次行うのが好ましい。洗浄工程における洗浄方法としては特に限定されず、例えば、洗浄液を基板Wの表面に供給する方法や基板Wを洗浄液中に浸漬させる方法等が挙げられる。また洗浄液としては、例えば、トルエン、デカン、1,3-ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン等が挙げられる。これらの溶媒は単独で、又は2種以上を混合して用いることができる。洗浄時間及び洗浄液の温度等の洗浄条件は特に限定されず、適宜必要に応じて設定することができる。乾燥工程は、基板Wの表面上に残留する洗浄液の除去を目的とする。乾燥方法としては特に限定されず、例えば、窒素ガス等の不活性ガスを基板Wの表面上に吹き付ける方法等が挙げられる。乾燥時間及び乾燥温度等の乾燥条件は特に限定されず、適宜必要に応じて設定することができる。
【0056】
4.緻密化処理工程
緻密化処理工程(第2接触工程)S104は、表面改質工程S103後のSiO層1の表面に、SAM形成材料を含む第2処理液を接触させる工程である。膜欠陥Cが生じている領域では、表面改質工程S103によりSiO層1の表面に水酸基6が生成されている。そのため、図5(c)に示すように、第2処理液をSiO層1の表面に接触させることにより、SAM分子5を膜欠陥Cが生じている領域に、水酸基6とのシロキサン結合により化学吸着させることができる。これにより、膜欠陥Cが補修される結果、緻密化されたSAM9’が形成される。尚、図5(c)は、SAM9が緻密化される様子を表す模式図である。
【0057】
第2処理液を基板Wに接触させる方法としては、前述の第1接触工程S101に於ける第1処理液の接触方法と同様である。従って、その詳細な説明については省略する。
【0058】
第2処理液は、第1接触工程S101における第1処理液と同様、SAM形成材料と、溶媒とを少なくとも含む。第2処理液は、第1処理液と同種であってもよく異種であってもよい。第1処理液と異なる第2処理液を用いる場合、SAM形成材料の含有量や溶媒の種類は特に限定されない。但し、SAM形成材料は、第1処理液のSAM形成材料と同一であることが好ましい。
【0059】
第2処理液を基板Wに接触させる条件としては、特に限定されない。例えば、第2処理液の接触時間(基板Wを第2処理液中に浸漬させて行う場合は、浸漬時間)は、SAM形成材料の種類、その濃度、溶媒の種類、及びSAM9の面内における膜欠陥Cの発生頻度、発生領域の面積等に応じて、1分間~1440分間、好ましくは1分間~60分間、より好ましくは1分間~5分間の範囲内で適宜設定することができる。
【0060】
5.リンス工程
リンス工程S105は、SiO層1の表面から第2処理液を除去する工程である。リンス工程S105は、具体的には、リンス液を基板Wの表面に供給し、残存する第2処理液をリンス液に置換して行う。
【0061】
基板Wの表面にリンス液を接触させる方法としては特に限定されず、例えば、リンス液を基板W上に直接供給して塗布する方法や噴霧する方法、基板Wをリンス液中に浸漬させる方法等が挙げられる。リンス液を基板Wの表面に塗布する方法としては、例えば、基板Wをその中央部を軸にして一定速度で回転させた状態で、リンス液を基板Wの表面の中央部に供給することにより行う方法が挙げられる。これにより、基板Wの表面に供給されたリンス液は、基板Wが回転することにより生ずる遠心力によって、基板Wの表面の中央付近から基板Wの周縁部に向かって流動し、基板Wの表面の全面に拡散される。その結果、基板Wの表面の全面がリンス液で覆われて当該リンス液の液膜が形成され、処理液をリンス液に置換することができる。尚、リンス工程の時間としては特に限定されず、適宜必要に応じて設定することができる。
【0062】
リンス液としては、例えば、トルエン、デカン、1,3-ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン等が挙げられる。これらの溶媒は単独で、又は2種以上を混合して用いることができる。リンス時間及びリンス液の温度等のリンス条件は特に限定されず、適宜必要に応じて設定することができる。
【0063】
リンス工程S105の直後には、基板Wの表面上に残留するリンス液の除去を目的として、乾燥工程を行うのが好ましい。乾燥方法としては特に限定されず、例えば、窒素ガス等の不活性ガスを基板Wの表面上に吹き付ける方法等が挙げられる。乾燥時間及び乾燥温度等の乾燥条件は特に限定されず、適宜必要に応じて設定することができる。
【0064】
以上により、SAM形成工程S1に於いては、図2(b)に示すように、SiO層1の表面に緻密性及び保護性能に優れたSAM9’を形成することができる。SAM形成工程S1に於いては、緻密なSAM9’の成膜のために、SiO層1の表面に於けるSAM分子が化学吸着することができない領域(膜欠陥C)に表面改質を施す。さらに、表面改質を施した領域にSAM分子5を化学吸着させることで当該膜欠陥Cを補修する。その結果、膜密度が高く緻密性に優れ、膜欠陥の発生が抑制又は低減されており、保護膜としての機能に優れたSAM9’を、従来の方法よりも短時間で成膜することができる。尚、図2(b)は、SiO層1の表面にSAM9’が形成された状態を表す部分拡大図である。
【0065】
<エッチング工程S2>
エッチング工程S2は、犠牲層であり、かつ、被エッチング層であるSiN層2を選択的にエッチングする工程である。より具体的には、エッチング液を、メモリトレンチ4を介してSiN層2に接触させ、SiN層2を除去する工程である。本工程に於いて、SAM9は保護層としてSiO層1を保護する機能を果たす。これにより、SiO層1がエッチングされるのを良好に抑制することができる。
【0066】
エッチング液を基板Wの表面に塗布する方法としては、例えば、基板Wをその中央部を軸にして一定速度で回転させた状態で、エッチング液を基板Wの表面の中央部に供給することにより行う方法が挙げられる。これにより、基板Wの表面に供給されたエッチング液は、基板Wが回転することにより生ずる遠心力によって、基板Wの表面中央付近から基板Wの周縁部に向かって流動し、基板Wの表面の全面に拡散される。その結果、基板Wの表面の全面がエッチング液で覆われて、当該エッチング液の液膜が形成される。
【0067】
エッチング液としては、被エッチング層の構成材料やエッチレート等を考慮して適宜設定することができる。本実施形態の様に被エッチング層がSiN層2である場合、エッチング液としては、例えばリン酸(HPO)水溶液やフッ化水素酸(例えば、体積比でHF:DIW=1:100)等を用いることができる。また、エッチング液の濃度も、被エッチング層の構成材料やエッチレート等を考慮して適宜設定することができる。
【0068】
また、エッチング温度(すなわち、エッチング液の液温)、及び被エッチング層に対するエッチレートとしては、被エッチング層の構成材料を考慮して適宜設定することができる。
【0069】
尚、エッチング工程S2の直後には、エッチング液を除去するためのリンス工程、及び乾燥工程を順次行うのが好ましい。リンス工程におけるリンス方法としては特に限定されず、例えば、リンス液を基板Wの表面に供給する方法や基板Wをリンス液中に浸漬させる方法等が挙げられる。リンス液としては特に限定されず、例えば、DIW等が挙げられる。また、リンス時間及びリンス液の温度等の洗浄条件は特に限定されず、適宜必要に応じて設定することができる。乾燥工程は、基板Wの表面上に残留するリンス液の除去を目的とする。乾燥方法としては特に限定されず、例えば、窒素ガス等の不活性ガスを基板Wの表面上に吹き付ける方法等が挙げられる。乾燥時間及び乾燥温度等の乾燥条件は特に限定されず、適宜必要に応じて設定することができる。
【0070】
以上により、エッチング工程S2に於いては、図2(c)に示すように、SiN層2のみを選択的に除去することができる。また、SiO層1に於いては、緻密性及び保護性能に優れたSAM9がその表面を被覆して保護するため、当該SiO層1がエッチングされたり、エッチングされたシリコン成分が析出して、SiO層1の表面に付着したりするのを防止することができる。さらに、リン酸等のエッチング液に含まれるシリコンの濃度の許容範囲も大きくすることができる。尚、図2(c)は、図1(b)の積層体に於けるBで囲む部分の部分拡大図であって、SiN層2がエッチングされた状態を表す。
【0071】
[半導体製造装置]
次に、本実施形態に係る半導体製造装置について、図面を参照しながら以下に説明する。
本実施形態の半導体製造装置は、SAMを形成するための基板処理ユニットと、被エッチング層をエッチングするためのエッチング処理ユニットとを少なくとも備える。また、本実施形態の半導体製造装置は、半導体製造装置の各部を制御するための制御部を備えてもよい。
【0072】
<基板処理ユニット>
本実施形態の基板処理ユニット100は、SAMを形成するために用いられる枚葉式の処理ユニットであり、図6に示すように、基板Wを保持する基板保持部110と、基板Wの表面Wfに第1処理液及び第2処理液を供給する供給部120と、除去液を供給するための除去液供給部130と、表面改質液供給部(表面改質部)140と、基板Wを収容する容器であるチャンバ150と、処理液を捕集する飛散防止カップ160と、基板処理ユニット100の各部の後述するアームをそれぞれ独立に旋回駆動させる旋回駆動部170とを少なくとも備える。また、基板処理ユニット100は、基板Wを搬入又は搬出する搬入出手段(図示しない)を備えることもできる。尚、図6は、本実施形態に係る基板処理ユニット100の概略構成を表す説明図である。同図に於いては、図示したものの方向関係を明確にするために、適宜XYZ直交座標軸を表示する。ここで、XY平面は水平面を表し、+Z方向は鉛直上向きを表す。
【0073】
1.基板保持部
基板保持部110は基板Wを保持する手段であり、図6に示すように、基板Wの表面Wfを上方に向けた状態で基板Wを略水平姿勢に保持して回転させるものである。この基板保持部110は、スピンベース111と回転支軸112とが一体的に結合されたスピンチャック113を有している。スピンベース111は平面視に於いて略円形状を有しており、その中心部に、略鉛直方向に延びる中空状の回転支軸112が固定されている。回転支軸112はモータを含むチャック回転機構114の回転軸に連結されている。チャック回転機構114は円筒状のケーシング115内に収容され、回転支軸112はケーシング115により、鉛直方向の回転軸周りに回転自在に支持されている。
【0074】
チャック回転機構114は、制御部300のチャック駆動部(図示しない)からの駆動により回転支軸112を回転軸周りに回転することができる。これにより、回転支軸112の上端部に取り付けられたスピンベース111が回転軸J1周りに回転する。制御部300は、チャック駆動部を介してチャック回転機構114を制御して、スピンベース111の回転速度を調整することができる。
【0075】
スピンベース111の周縁部付近には、基板Wの周端部を把持するための複数個のチャックピン116が立設されている。チャックピン116の設置数は特に限定されないが、円形状の基板Wを確実に保持するために、少なくとも3個以上設けることが好ましい。本実施形態では、スピンベース111の周縁部に沿って等間隔に3個配置する。それぞれのチャックピン116は、基板Wの周縁部を下方から支持する基板支持ピンと、基板支持ピンに支持された基板Wの外周端面を押圧して基板Wを保持する基板保持ピンとを備えている。
【0076】
2.供給部
本実施形態に係る供給部120は、基板Wの表面Wfに第1処理液及び第2処理液を供給する手段である。この供給部120は、図6に示すように、処理液貯留部121と、ノズル122と、アーム123とを有している。
【0077】
処理液貯留部121は、第1処理液及び第2処理液として同種のものを用いる場合、図7に示すように、加圧部124と、処理液タンク125とを備える。尚、図7は、基板処理ユニット100の供給部120における処理液貯留部121の概略構成を表す説明図である。
【0078】
加圧部124は、処理液タンク125内を加圧する気体の供給源である窒素ガス供給源124a、窒素ガスを加圧するポンプ(図示しない)、窒素ガス供給管124b、及び窒素ガス供給管124bの経路途中に設けられたバルブ124cを備える。
【0079】
窒素ガス供給管124bは、処理液タンク125に管路接続されている。さらに、窒素ガス供給管124bの途中経路にはバルブ124cが設けられている。バルブ124cは制御部300と電気的に接続されており、バルブ124cの開閉を制御部300の動作指令によって制御することができる。制御部300の動作指令によりバルブ124cが開栓されると、窒素ガスを処理液タンク125に供給することができる。
【0080】
処理液タンク125は、処理液タンク125内の処理液を撹拌する撹拌部、及び処理液の温度調整を行う温度調整部を備えてもよい(何れも図示しない。)。撹拌部としては、処理液を撹拌する回転部と、回転部の回転を制御する撹拌制御部とを備えるものが挙げられる。撹拌制御部は制御部300と電気的に接続され、回転部は、例えば、回転軸の下端にプロペラ状の攪拌翼を備えている。制御部300が撹拌制御部に動作指令を行うことで回転部を回転させ、これにより攪拌翼で処理液を撹拌させることができる。その結果、処理液タンク125内で、処理液の濃度及び温度を均一にすることができる。
【0081】
さらに処理液タンク125には、処理液をノズル122に供給するための排出管125aが管路接続されている。この排出管125aの途中経路には、排出バルブ125bが設けられている。また、排出バルブ125bは制御部300と電気的に接続されている。これにより、これらのバルブの開閉を制御部300の動作指令によって制御することができる。制御部300の動作指令により排出バルブ125bが開栓されると、処理液が排出管125aを介してノズル122に圧送される。
【0082】
ノズル122は、水平に延設されたアーム123の先端部に取り付けられており、処理液を吐出する際にはスピンベース111の上方に配置される。アーム123は旋回軸(図示しない。)を介して旋回駆動部170と連結されている。旋回駆動部170は、制御部300と電気的に接続し、制御部300からの動作指令によりアーム123を回動させる。アーム123の回動に伴って、ノズル122も移動する。
【0083】
尚、供給部120が相互に異なる種類の第1処理液と第2処理液とを供給する場合には、図8に示すように、一対の第1処理液タンク126及び第2処理液タンク127を備えた処理液貯留部121’を用いてもよい。これにより、第1接触工程S101と緻密化処理工程S104とで、それぞれ異なる種類の処理液を用いることができる。図8は、基板処理ユニット100の供給部120における処理液貯留部121’の概略構成を表す説明図である。
【0084】
処理液貯留部121’は、より具体的には以下のような構成を有する。すなわち、第1処理液タンク126は第1処理液を貯留し、第2処理液タンク127は第2処理液を貯留する。また、窒素ガス供給管124bは、第1窒素ガス供給管124dと第2窒素ガス供給管124eに分岐している。第1窒素ガス供給管124dは第1処理液タンク126に管路接続され、第2窒素ガス供給管124eは第2処理液タンク127に管路接続されている。さらに、第1窒素ガス供給管124dの途中経路には第1バルブ124fが設けられ、第2窒素ガス供給管124eの途中経路には第2バルブ124gが設けられている。バルブ124c、第1バルブ124f及び第2バルブ124gはそれぞれ制御部300と電気的に接続されており、バルブ124c、第1バルブ124f及び第2バルブ124gの開閉を制御部300の動作指令によって制御することができる。制御部300の動作指令によりバルブ124c、第1バルブ124f及び第2バルブ124gが開栓されると、窒素ガスを第1処理液タンク126及び第2処理液タンク127のそれぞれに供給することができる。
【0085】
第1処理液タンク126及び第2処理液タンク127はそれぞれ、第1処理液タンク126内の第1処理液及び第2処理液タンク127内の第2処理液を撹拌する撹拌部、並びに第1処理液及び第2処理液の温度調整を行う温度調整部を設けてもよい(何れも図示しない。)。撹拌部としては、第1処理液又は第2処理液を撹拌する回転部と、回転部の回転を制御する撹拌制御部とを備えるものが挙げられる。撹拌制御部は制御部300と電気的に接続され、回転部は、例えば、回転軸の下端にプロペラ状の攪拌翼を備えている。制御部300が撹拌制御部に動作指令を行うことで回転部を回転させ、これにより攪拌翼で第1処理液又は第2処理液を撹拌させることができる。その結果、第1処理液タンク126等内で、第1処理液及び第2処理液の濃度及び温度を均一にすることができる。
【0086】
さらに第1処理液タンク126及び第2処理液タンク127には、第1処理液又は第2処理液をノズル122に供給するための第1排出管126a及び第2排出管127aがそれぞれ管路接続されている。第1排出管126aの途中経路には、第1排出バルブ126bが設けられている。また、第2排出管127aの途中経路には、第2排出バルブ127bが設けられている。さらに第1排出管126aと第2排出管127aとは、第1排出バルブ126b及び第2排出バルブ127bの下流側で合流するように第3排出管128に管路接続されている。この第3排出管128の経路途中には、第3排出バルブ128aが設けられている。また、第1排出バルブ126b、第2排出バルブ127b及び第3排出バルブ128aは制御部300と電気的に接続されている。これにより、これらのバルブの開閉を制御部300の動作指令によって制御することができる。制御部300の動作指令により第1排出バルブ126b及び第3排出バルブ128aが開栓されると、第1処理液が第1排出管126a及び第3排出管128を介してノズル122に圧送される。また、制御部300の動作指令により第2排出バルブ127b及び第3排出バルブ128aが開栓されると、第2処理液が第2排出管127a及び第3排出管128を介してノズル122に圧送される。
【0087】
3.除去液供給部
本実施形態に係る除去液供給部130は、基板Wの表面Wfに除去液を供給する手段である。この除去液供給部130は、図6に示すように、除去液貯留部131と、ノズル132と、アーム133とを有している。
【0088】
除去液貯留部131は、図9に示すように、ノズル132に除去液を供給する機能を有しており、加圧部134と、除去液タンク135とを備える。図9は、基板処理ユニット100の除去液供給部130における除去液貯留部131の概略構成を表す説明図である。
【0089】
加圧部134は、除去液タンク135内を加圧する気体の供給源である窒素ガス供給源134a、窒素ガスを加圧するポンプ(図示しない)、窒素ガス供給管134b、及び窒素ガス供給管134bの経路途中に設けられたバルブ134cを備える。
【0090】
窒素ガス供給管134bは、除去液タンク135に管路接続されている。さらに、窒素ガス供給管134bの途中経路にはバルブ134cが設けられている。バルブ134cは制御部300と電気的に接続されており、バルブ134cの開閉を制御部300の動作指令によって制御することができる。制御部300の動作指令によりバルブ134cが開栓されると、窒素ガスを除去液タンク135に供給することができる。
【0091】
除去液タンク135は、除去液タンク135内の除去液を撹拌する撹拌部、及び除去液の温度調整を行う温度調整部を備えてもよい(何れも図示しない。)。撹拌部としては、除去液タンク135内の除去液を撹拌する回転部と、回転部の回転を制御する撹拌制御部とを備えるものが挙げられる。撹拌制御部は制御部300と電気的に接続され、回転部は、例えば、回転軸の下端にプロペラ状の攪拌翼を備えている。制御部300が撹拌制御部に動作指令を行うことで回転部を回転させ、これにより攪拌翼で除去液を撹拌させることができる。その結果、除去液タンク135内で、除去液の濃度及び温度を均一にすることができる。
【0092】
さらに除去液タンク135には、除去液をノズル132に供給するための排出管135aが管路接続されている。この排出管135aの途中経路には排出バルブ135bが設けられている。この排出バルブ135bは制御部300と電気的に接続されている。これにより、排出バルブ135bの開閉を制御部300の動作指令によって制御することができる。制御部300の動作指令により排出バルブ135bが開栓されると、除去液が排出管135aを介してノズル132に圧送される。
【0093】
ノズル132は、水平に延設されたアーム133の先端部に取り付けられており、除去液を吐出する際にはスピンベース111の上方に配置される。アーム133は旋回軸(図示しない。)を介して旋回駆動部170と連結されている。旋回駆動部170は、制御部300と電気的に接続し、制御部300からの動作指令によりアーム133を回動させる。アーム133の回動に伴って、ノズル132も移動する。
【0094】
4.表面改質液供給部
本実施形態に係る表面改質液供給部140は、基板Wの表面Wfに表面改質液を供給する手段である。この表面改質液供給部140は、図6に示すように、表面改質液貯留部141と、ノズル142と、アーム143とを有している。
【0095】
表面改質液貯留部141は、図10に示すように、ノズル142に表面改質液を供給する機能を有しており、加圧部144と、表面改質液タンク145とを備える。図10は、基板処理ユニット100の表面改質液供給部140における表面改質液貯留部141の概略構成を表す説明図である。
【0096】
加圧部144は、表面改質液タンク145内を加圧する気体の供給源である窒素ガス供給源144a、窒素ガスを加圧するポンプ(図示しない)、窒素ガス供給管144b、及び窒素ガス供給管144bの経路途中に設けられたバルブ144cを備える。
【0097】
窒素ガス供給管144bは、表面改質液タンク145に管路接続されている。さらに、窒素ガス供給管144bの途中経路にはバルブ144cが設けられている。バルブ144cは制御部300と電気的に接続されており、バルブ144cの開閉を制御部300の動作指令によって制御することができる。制御部300の動作指令によりバルブ144cが開栓されると、窒素ガスを表面改質液タンク145に供給することができる。
【0098】
表面改質液タンク145は、表面改質液タンク145内の表面改質液を撹拌する撹拌部、及び表面改質液の温度調整を行う温度調整部を備えてもよい(何れも図示しない。)。撹拌部としては、表面改質液タンク145内の表面改質液を撹拌する回転部と、回転部の回転を制御する撹拌制御部とを備えるものが挙げられる。撹拌制御部は制御部300と電気的に接続され、回転部は、例えば、回転軸の下端にプロペラ状の攪拌翼を備えている。制御部300が撹拌制御部に動作指令を行うことで回転部を回転させ、これにより攪拌翼で表面改質液を撹拌させることができる。その結果、表面改質液タンク145内で、表面改質液の濃度及び温度を均一にすることができる。
【0099】
さらに表面改質液タンク145には、表面改質液をノズル142に供給するための排出管145aが管路接続されている。この排出管145aの途中経路には排出バルブ145bが設けられている。この排出バルブ145bは制御部300と電気的に接続されている。これにより、排出バルブ145bの開閉を制御部300の動作指令によって制御することができる。制御部300の動作指令により排出バルブ145bが開栓されると、表面改質液が排出管145aを介してノズル142に圧送される。
【0100】
ノズル142は、水平に延設されたアーム143の先端部に取り付けられており、表面改質液を吐出する際にはスピンベース111の上方に配置される。アーム143は旋回軸(図示しない。)を介して旋回駆動部170と連結されている。旋回駆動部170は、制御部300と電気的に接続し、制御部300からの動作指令によりアーム143を回動させる。アーム143の回動に伴って、ノズル142も移動する。
【0101】
5.飛散防止カップ
飛散防止カップ160は、スピンベース111を取り囲むように設けられる。飛散防止カップ160は昇降駆動機構(図示しない)に接続され、上下方向に昇降可能となっている。基板Wの表面Wfに第1処理液等を供給する際には、飛散防止カップ160が昇降駆動機構によって所定位置に位置決めされ、チャックピン116により保持された基板Wを側方位置から取り囲む。これにより、基板Wやスピンベース111から飛散する第1処理液等を捕集することができる。
【0102】
<エッチング処理ユニット>
本実施形態のエッチング処理ユニット200は、被エッチング層をエッチングするために用いられる枚葉式の処理ユニットであり、図11に示すように、基板Wを保持する基板保持部210と、基板Wの表面Wfにエッチング液を供給するエッチング液供給部220と、基板Wを収容する容器であるチャンバ250と、エッチング液を捕集する飛散防止カップ260と、エッチング液供給部220の後述するアームをそれぞれ独立に旋回駆動させる旋回駆動部270とを少なくとも備える。また、エッチング処理ユニット200は、基板Wを搬入又は搬出する搬入出手段(図示しない)を備えることもできる。尚、図11は、本実施形態に係るエッチング処理ユニット200の概略構成を表す説明図である。同図に於いては、図示したものの方向関係を明確にするために、適宜XYZ直交座標軸を表示する。ここで、XY平面は水平面を表し、+Z方向は鉛直上向きを表す。
【0103】
1.基板保持部
基板保持部210は基板Wを保持する手段であり、図11に示すように、基板Wの表面Wfを上方に向けた状態で基板Wを略水平姿勢に保持して回転させるものである。この基板保持部210は、スピンベース211と回転支軸212とが一体的に結合されたスピンチャック213を有している。スピンベース211は平面視に於いて略円形状を有しており、その中心部に、略鉛直方向に延びる中空状の回転支軸212が固定されている。回転支軸212はモータを含むチャック回転機構214の回転軸に連結されている。チャック回転機構214は円筒状のケーシング215内に収容され、回転支軸212はケーシング215により、鉛直方向の回転軸周りに回転自在に支持されている。
【0104】
チャック回転機構214は、制御部300のチャック駆動部(図示しない)からの駆動により回転支軸212を回転軸周りに回転することができる。これにより、回転支軸212の上端部に取り付けられたスピンベース211が回転軸J2周りに回転する。制御部300は、チャック駆動部を介してチャック回転機構214を制御して、スピンベース211の回転速度を調整することができる。
【0105】
スピンベース211の周縁部付近には、基板Wの周端部を把持するための複数個のチャックピン216が立設されている。チャックピン216の設置数は特に限定されないが、円形状の基板Wを確実に保持するために、少なくとも3個以上設けることが好ましい。本実施形態では、スピンベース211の周縁部に沿って等間隔に3個配置する。それぞれのチャックピン216は、基板Wの周縁部を下方から支持する基板支持ピンと、基板支持ピンに支持された基板Wの外周端面を押圧して基板Wを保持する基板保持ピンとを備えている。
【0106】
2.エッチング液供給部
本実施形態に係るエッチング液供給部220は、基板Wの表面Wfにエッチング液を供給する手段である。このエッチング液供給部220は、図11に示すように、エッチング液貯留部221と、ノズル222と、アーム223とを有している。
【0107】
エッチング液貯留部221は、図12に示すように、エッチング液タンク224と、温度調整器225と、送液ポンプ226と、パーティクルフィルター227とを少なくとも備える。尚、図12は、エッチング液供給部220におけるエッチング液貯留部221の概略構成を表す説明図である。
【0108】
エッチング液タンク224は、エッチング液タンク224内のエッチング液を撹拌する撹拌部(図示しない。)を備えてもよい。撹拌部としては、エッチング液を撹拌する回転部と、回転部の回転を制御する撹拌制御部とを備えるものが挙げられる。撹拌制御部は制御部300と電気的に接続され、回転部は、例えば、回転軸の下端にプロペラ状の攪拌翼を備えている。制御部300が撹拌制御部に動作指令を行うことで回転部を回転させ、これにより攪拌翼でエッチング液を撹拌させることができる。その結果、エッチング液タンク224内で、エッチング液の濃度及び温度を均一にすることができる。
【0109】
エッチング液タンク224には、図示しない外部の供給源から薬剤及びDIWを混合し、所定濃度にエッチング液を調製することが可能な混合器228が設けられている。薬剤はエッチャントとして機能する溶質である。薬剤としては、前述のリン酸やフッ化水素等が挙げられる。
【0110】
またエッチング液タンク224には、エッチング液をノズル222に供給するための排出管229が管路接続されている。この排出管229の途中経路には、上流から下流に向けて温度調整器225、送液ポンプ226及びパーティクルフィルター227が順次介挿して設けられている。温度調整器225及び送液ポンプ226は、制御部300と電気的に接続されている。これにより、ノズル222に供給するエッチング液の温度を、制御部300の動作指令によって制御することができる。また、制御部300の動作指令により送液ポンプ226が制御されると、排出管229を介してエッチング液をノズル222に圧送することができる。パーティクルフィルター227は、エッチング液中のパーティクル等の異物を除去することができる。
【0111】
ノズル222は、水平に延設されたアーム223の先端部に取り付けられており、エッチング液を吐出する際にはスピンベース211の上方に配置される。アーム223は旋回軸(図示しない。)を介して旋回駆動部270と連結されている。旋回駆動部270は、制御部300と電気的に接続し、制御部300からの動作指令によりアーム223を回動させる。アーム223の回動に伴って、ノズル222も移動する。
【0112】
3.飛散防止カップ
飛散防止カップ260は、スピンベース211を取り囲むように設けられる。飛散防止カップ260は昇降駆動機構(図示しない)に接続され、上下方向に昇降可能となっている。基板Wの表面Wfにエッチング液を供給する際には、飛散防止カップ260が昇降駆動機構によって所定位置に位置決めされ、チャックピン216により保持された基板Wを側方位置から取り囲む。これにより、基板Wやスピンベース211から飛散するエッチング液を捕集することができる。
【0113】
<制御部>
制御部300は、半導体製造装置、すなわち、基板処理ユニット100及びエッチング処理ユニット200の各部と電気的に接続しており、各部の動作を制御する。制御部300は、演算部と、記憶部とを有するコンピュータにより構成される。演算部としては、各種演算処理を行うCPUを用いる。また、記憶部は、基板処理プログラム及びエッチング処理プログラムを記憶する読み出し専用のメモリであるROM、各種情報を記憶し、読み書き自在のメモリであるRAM及び制御用ソフトウェアやデータ等を記憶しておく磁気ディスクを備える。磁気ディスクには、第1処理液、第2処理液、除去液、表面改質液及びエッチング液の供給条件、リンス条件、SAMの成膜条件、並びにエッチング条件等を含む処理条件が予め格納されている。CPUは、処理条件をRAMに読み出し、その内容に従って半導体製造装置の各部を制御する。
【0114】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態に係る半導体装置の製造方法及び半導体製造装置について、以下に説明する。
本実施形態は、第1実施形態と比較して、SAMをSiO層1の表面に形成する直前に、SiN層2をその膜厚方向に所定の深さまでエッチングする点が主として異なる。この様な構成によっても、SiN層2のみを選択的にエッチングすることができる。また、SiO層1に於いては、緻密性及び保護性能に優れたSAM9’がその表面及び側面を被覆して保護するため、当該SiO層1がエッチングされたり、エッチングされたシリコン成分が析出して、SiO層1の表面に付着したりするのを防止することができる。さらに、リン酸等のエッチング液に含まれるシリコンの濃度の許容範囲も大きくすることができる。
【0115】
[半導体装置の製造方法]
本実施形態に係る半導体装置の製造方法について、図13、及び図14(a)~図14(c)を参照しながら以下に説明する。図13は、本発明の第2実施形態に係る半導体装置の製造方法の全体的な流れの一例を示すフローチャートである。図14(a)はSiN層2がその膜厚方向に所定の深さまで部分的にエッチングされた様子を表す部分拡大図であり、図14(b)はSiO層1の表面にSAM9’が形成された様子を表す部分拡大図であり、図14(c)はSiN層2がエッチングされた様子を表す部分拡大図である。
【0116】
本実施形態の半導体装置の製造方法は、図13に示すように、第1エッチング工程S3と、SAM形成工程S4と、第2エッチング工程S5とを少なくとも含み、メモリトレンチ4を介してSiN層2を段階的、かつ選択的にエッチングし、積層体3に於いてメモリトレンチ4の側面に凹部を形成することを可能にする。
【0117】
<第1エッチング工程>
第1エッチング工程S3は、犠牲層であり、かつ、被エッチング層であるSiN層2を部分的、かつ、選択的にエッチングする工程である。より具体的には、第1エッチング液を、メモリトレンチ4を介してSiN層2に接触させ、SiN層2をその膜厚方向に於いて所定の深さまで部分的に除去する工程である(図14(a)参照)。
【0118】
第1エッチング液を基板Wの表面に塗布する方法としては、第1実施形態のエッチング工程S2に於けるエッチング液の塗布方法と同様の方法を採用することができる。従って、その詳細な説明は省略する。
【0119】
第1エッチング液としては特に限定されず、被エッチング層の構成材料やエッチレート等を考慮して適宜設定することができる。本実施形態の様に被エッチング層がSiN層2である場合、第1エッチング液としては、例えばリン酸(HPO)水溶液やフッ化水素酸(例えば、体積比でHF:DIW=1:100)等を用いることができる。また、第1エッチング液の濃度も特に限定されず、被エッチング層の構成材料やエッチレート、被エッチング層の膜厚方向に於けるエッチングの深さの程度等を考慮して適宜設定することができる。
【0120】
また、エッチング温度(すなわち、第1エッチング液の液温)、及び被エッチング層に対するエッチレートとしては特に限定されず、被エッチング層の構成材料、及び被エッチング層の膜厚方向に於けるエッチングの深さの程度に応じて適宜設定することができる。
【0121】
尚、第1エッチング工程S3の直後には、第1エッチング液を除去するためのリンス工程、及び乾燥工程を順次行うのが好ましい。リンス工程及び乾燥工程は、第1実施形態に於けるエッチング工程S2の直後に行うリンス工程及び乾燥工程と同様である。従って、それらの詳細な説明は省略する。
【0122】
<SAM形成工程>
SAM形成工程S4は、図13に示すように、第1接触工程S101、除去工程S102、表面改質工程S103、緻密化処理工程S104及びリンス工程S105を少なくとも含む。SAM形成工程S4に於いては、図14(b)に示すように、SiO層1の表面にSAM9’が形成される。また、SAM9’は、エッチング工程S3に於いてSiN層2が膜厚方向に所定の深さまでエッチングされたことにより、露出したSiO層1の側面にも形成される。
【0123】
SAM形成工程S4に於いては、緻密なSAM9’の成膜のために、SiO層1の表面に於けるSAM分子が化学吸着することができない領域(膜欠陥)に表面改質を施す。さらに、表面改質を施した領域にSAM分子を化学吸着させることで当該膜欠陥を補修する。その結果、膜密度が高く緻密性に優れ、膜欠陥の発生が抑制又は低減されており、保護膜としての機能に優れたSAM9’を、従来の方法よりも短時間で成膜することができる。
【0124】
尚、SAM形成工程S4に於ける第1接触工程S101、除去工程S102、表面改質工程S103、緻密化処理工程S104及びリンス工程S105は、第1実施形態と同様である。従って、これらの各工程の詳細な説明は省略する。
【0125】
<第2エッチング工程>
第2エッチング工程S5は、部分的に残存しているSiN層2’を選択的にエッチングし、全て除去する工程である。より具体的には、第2エッチング液を、メモリトレンチ4を介して残存するSiN層2’に接触させ、SiN層2’を全て除去する工程である。
【0126】
第2エッチング液を基板Wの表面に塗布する方法としては、第1実施形態のエッチング工程S2に於けるエッチング液の塗布方法と同様の方法を採用することができる。従って、その詳細な説明は省略する。
【0127】
第2エッチング液としては特に限定されず、被エッチング層の構成材料やエッチレート等を考慮して適宜設定することができる。第2エッチング液は、第1エッチング液と同種であってもよく、異種であってもよい。本実施形態の様に被エッチング層がSiN層2である場合、第2エッチング液としては、例えばリン酸(HPO)水溶液やフッ化水素酸(例えば、体積比でHF:DIW=1:100)等を用いることができる。また、第2エッチング液の濃度も特に限定されず、被エッチング層の構成材料やエッチレート、被エッチング層の膜厚方向に於けるエッチングの深さの程度等を考慮して適宜設定することができる。
【0128】
また、エッチング温度(すなわち、第2エッチング液の液温)、及び被エッチング層に対するエッチレートとしては特に限定されず、被エッチング層の構成材料等に応じて適宜設定することができる。
【0129】
尚、第2エッチング工程S5の直後には、第2エッチング液を除去するためのリンス工程、及び乾燥工程を順次行うのが好ましい。リンス工程及び乾燥工程は、第1実施形態に於けるエッチング工程S2の直後に行うリンス工程及び乾燥工程と同様である。従って、それらの詳細な説明は省略する。
【0130】
以上により、第2エッチング工程S5に於いては、図14(c)に示すように、SiN層2’のみを選択的に除去することができる。また、SiO層1に於いては、緻密性及び保護性能に優れたSAM9’がその表面及び側面を被覆して保護するため、当該SiO層1がエッチングされたり、エッチングされたシリコン成分が析出して、SiO層1の表面に付着したりするのを防止することができる。さらに、リン酸等の第2エッチング液に含まれるシリコンの濃度の許容範囲も大きくすることができる。
【0131】
[半導体製造装置]
第2実施形態に係る半導体製造装置は、第1実施形態に係る半導体製造装置と基本的に同一の構成を有するものを用いることができる(図6図12参照)。従って、その説明は同一符号を付して省略する。
【0132】
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態に係る半導体装置の製造方法及び半導体製造装置について、以下に説明する。
本実施形態は、第1実施形態と比較して、表面改質工程を紫外線照射による乾式方法により行う点が異なる。この様な構成によっても、SAM分子が化学吸着できなかった領域に水酸基等の反応サイトを形成し、当該SAM分子を化学吸着させて緻密性に優れたSAMの成膜を可能にする。
【0133】
[半導体装置の製造方法]
本実施形態に係る半導体装置の製造方法について、図15を参照しながら以下に説明する。図15は、本発明の第3実施形態に係る半導体装置の製造方法の全体的な流れの一例を示すフローチャートである。尚、図15に示すSAM形成工程S1’に於ける第1接触工程S101、除去工程S102、緻密化処理工程S104及びリンス工程S105は、第1実施形態の場合と同様である。従って、これらの工程の詳細については、その説明を省略する。
【0134】
1.表面改質工程S103’
表面改質工程S103’は、SAM9に於いて膜欠陥Cが生じている領域、すなわち、SAM9が形成されていない領域を、SAM分子5による化学吸着が可能な領域に表面改質する工程である。
【0135】
本実施形態に於いて、基板Wの表面Wfの表面改質は紫外線照射による乾式方法により行う。紫外線照射の場合、光源の波長、照射強度及び照射時間等の紫外線の照射条件は、SAM分子5が化学吸着できる程度にSiO層1の表面に水酸基6を導入できればよく、特に限定されない。
【0136】
尚、第1実施形態でも述べた通り、湿式方法により表面改質を施す場合には、表面改質液を除去するための洗浄工程及び乾燥工程を行うのが好ましい。しかし、本実施形態の紫外線照射による乾式方法では、これらの工程の実施を省略することができる。そのため、第1実施形態の半導体装置の製造方法と比べ、製造効率の向上が図れる。
【0137】
[半導体製造装置]
次に、本実施形態に係る半導体製造装置について、図面を参照しながら以下に説明する。
本実施形態の半導体製造装置は、第1実施形態の半導体製造装置と比べて、図16に示すように、基板処理ユニット100’に於ける表面改質液供給部140を紫外線照射部190に代えた点が異なる。図16は、第3実施形態に係る基板処理ユニット100’の概略構成を表す説明図である。同図に於いても、図示したものの方向関係を明確にするために、適宜XYZ直交座標軸を表示する。ここで、XY平面は水平面を表し、+Z方向は鉛直上向きを表す。尚、第1実施形態の半導体製造装置と同様の機能を有する構成要素については、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0138】
紫外線照射部190は、基板処理ユニット100’の内部に於いて、基板保持部110に保持された基板Wの表面Wfに紫外線を照射することが可能なように、当該基板保持部110の上方(図16の矢印Zで示す方向)に配置される。紫外線照射部190は、複数の光源部191と、石英ガラス192とを少なくとも備える。
【0139】
図16に示す光源部191は線光源であり、その長手方向が図16のYで示す方向と平行となるように配置されている。また、各光源部191は、相互に等間隔となるように矢印Xで示す方向に配列されている。但し、本発明の光源部191はこの態様に限定されるものではない。例えば、リング状の光源部であって、相互に直径が異なるものが同心円状に配置される態様であってもよい。また、光源部は点光源であってもよい。この場合、複数の光源部が面内で相互に等間隔となるように配置されるのが好ましい。
【0140】
光源部191の種類としては特に限定されず、例えば、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、カリウムランプ、水銀キセノンランプ、フラッシュランプ、エキシマランプ、メタルハライドランプ及びUV(ultraviolet)-LED(Light Emitting Diode)等を用いることができる。また、複数の光源部191は同種であってもよく、異種であってもよい。光源部191として異種のものを複数用いる場合、ピーク波長や光強度等を相互に異ならせて配置することができる。
【0141】
石英ガラス192は、光源部191と基板Wの間に配置されている。石英ガラス192は板状体であり、水平方向に平行となるように設けられている。また、石英ガラス192は、紫外線に対して光透過性、耐熱性及び耐食性を有しており、光源部191から照射される紫外線を透過させて、基板Wの表面Wfへの照射を可能にしている。さらに石英ガラス192は、光源部191をチャンバ150内の雰囲気から保護することができる。
【0142】
(第4実施形態)
本発明の第4実施形態に係る半導体装置の製造方法及び半導体製造装置について、以下に説明する。
本実施形態は、第1実施形態と比較して、表面改質工程を、オゾンガス又は水分を含むガスの供給による乾式方法により行う点が異なる。この様な構成によっても、SAM分子が化学吸着できなかった領域に水酸基等の反応サイトを形成し、当該SAM分子を化学吸着させて緻密性に優れたSAMの成膜を可能にする。
【0143】
[半導体装置の製造方法]
本実施形態に係る半導体装置の製造方法について、図17を参照しながら以下に説明する。図17は、本発明の第4実施形態に係る半導体装置の製造方法の全体的な流れの一例を示すフローチャートである。尚、図17に示すSAM形成工程S1”に於ける第1接触工程S101、除去工程S102、緻密化処理工程S104及びリンス工程S105は、第1実施形態の場合と同様である。従って、これらの工程の詳細については、その説明を省略する。
【0144】
1.表面改質工程S103”
表面改質工程S103”は、SAM9に於いて膜欠陥Cが生じている領域、すなわち、SAM9が形成されていない領域を、SAM分子5による化学吸着が可能な領域に表面改質する工程である。
【0145】
本実施形態に於いて、SiO層1の表面の表面改質はオゾンガス又は水分を含むガスの接触による乾式方法により行う。これらの方法による表面改質の場合、基板Wの表面Wfにオゾンガスや水分を含むガスを吹き付けたり、これらのガスの雰囲気中に曝露したりすることにより、SiO層1の表面に水酸基6を導入することができる。オゾンガス中に含まれるオゾンの濃度や水分を含むガス中に含まれる水分量については、SAM分子5が化学吸着できる程度にSiO層1の表面に水酸基6を導入できればよく、特に限定されない。また、オゾンガス又は水分を含むガスの接触時間についても、SAM分子5が化学吸着できる程度にSiO層1の表面に水酸基6を導入できればよく、特に限定されない。
【0146】
[半導体製造装置]
次に、本実施形態に係る半導体製造装置について、図面を参照しながら以下に説明する。尚、以下の態様では、半導体製造装置が、オゾンガスを供給するためのオゾンガス供給部を備える場合を例にして説明するが、水分を含むガスを供給するためのガス供給部も同様の構成を採用することができる。
【0147】
本実施形態の半導体製造装置は、第1実施形態の半導体製造装置と比べて、図18に示すように、基板処理ユニット100”に於ける表面改質液供給部140をオゾンガス供給部193に代えた点が異なる。尚、図18は、第4実施形態に係る半導体製造装置の概略構成を表す説明図である。同図に於いても、図示したものの方向関係を明確にするために、適宜XYZ直交座標軸を表示する。ここで、XY平面は水平面を表し、+Z方向は鉛直上向きを表す。尚、第1実施形態の半導体製造装置と同様の機能を有する構成要素については、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0148】
オゾンガス供給部193は、基板Wの表面Wfにオゾンガスを供給する手段である。このオゾンガス供給部193は、図18に示すように、オゾンガス供給源194と、オゾンガス供給管195と、バルブ196と、ノズル197と、アーム198とを有している。オゾンガス供給管195は、オゾンガス供給源194からオゾンガスをノズル197に供給する。オゾンガス供給管195の途中経路には、バルブ196が設けられている。また、バルブ196は制御部300と電気的に接続されている。これにより、バルブ196の開閉を制御部300の動作指令によって制御することができる。制御部300の動作指令によりバルブ196が開栓されると、オゾンガスがオゾンガス供給管195を介してノズル197に圧送される。
【0149】
ノズル197は、水平に延設されたアーム198の先端部に取り付けられており、オゾンガスを吐出する際にはスピンベース111の上方に配置される。アーム198は旋回軸(図示しない。)を介して旋回駆動部170と連結されている。旋回駆動部170は、制御部300と電気的に接続し、制御部300からの動作指令によりアーム198を回動させる。アーム198の回動に伴って、ノズル197も移動する。
【0150】
(その他の事項)
以上の説明に於いては、本発明の最も好適な実施態様について説明した。しかし、本発明は当該実施態様に限定されるものではない。前述の実施形態及び各変形例に於ける各構成は、相互に矛盾しない範囲内で変更、修正、置換、付加、削除及び組合せが可能である。
【実施例0151】
以下に、この発明の好適な実施例を例示的に詳しく説明する。但し、この実施例に記載されている材料や配合量、条件等は、特に限定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定するものではない。
【0152】
(実施例1)
表面にSiO膜(膜厚100nm)が形成された基板を準備し、これをフッ化水素水溶液に1分間浸漬させた。フッ化水素水溶液としては、フッ化水素とDIWの体積比が、フッ化水素:DIW=1:100となるものを用いた。
【0153】
次に、フッ化水素水溶液から引き上げた基板を、SAM形成材料を含む第1処理液中に5分間浸漬させ、基板のSiO膜表面にSAM(厚さ約1nm)を形成させた(第1接触工程)。第1処理液としては、溶媒であるトルエンに、SAM形成材料であるオクタデシルトリクロロシランが溶解したものを用いた。また、オクタデシルトリクロロシランの含有量(濃度)は、第1処理液の全質量に対し5質量%とした。
【0154】
次に、第1処理液から引き上げた基板に、除去液を1分間供給級し続けることで、基板の表面に残存する未吸着のSAM形成材料を除去した(除去工程)。除去液としては、デカンを用いた。
【0155】
続いて、除去液から引き上げた基板を、表面改質液中に1分間浸漬させた(表面改質工程)。表面改質液としては、SC-1(体積比で、アンモニウム水(NH濃度28%):過酸化水素水(H濃度30%):DIW=1:4:20)を用いた。その後、表面改質液から基板を引き上げ、SAMが形成された面に窒素ガスを吹き付けて乾燥させた。窒素ガスの温度は常温とし、乾燥時間は、0.33分間とした。
【0156】
さらに、乾燥後の基板を、SAM形成材料を含む第2処理液中に5分間浸漬させ、基板の表面にSAMを形成させた(第2接触工程(緻密化処理工程))。第2処理液としては、第1接触工程に於ける第1処理液と同様のものを用いた。
【0157】
次に、第2処理液から引き上げた基板に、トルエンを1分間供給し続けることで、第2処理液を除去した後(リンス工程)、SAMが形成された面に窒素ガスを吹き付けて乾燥させた。窒素ガスの温度は常温とし、乾燥時間は、0.33分間とした。これにより、本実施例に係るサンプルを作製した。
【0158】
続いて、得られたサンプルに対しエッチング処理を施した。具体的には、基板をエッチング液中に浸漬し、基板表面に於けるSAMで保護されていない領域のエッチングを行った(エッチング工程)。エッチング条件としては、SiOのエッチング量が10nm程度となるように、エッチング液中での浸漬時間(エッチング処理時間)を195秒間とした。またエッチング液としては、フッ化水素水溶液を用い、かつフッ化水素とDIWの体積比を、フッ化水素:DIW=1:100とした。
【0159】
続いて、エッチング液から引き上げた基板を、DIW中に0.5分間浸漬させた後、基板をDIWから引き上げ(DIWによるリンス工程)、エッチング処理が施された面に窒素ガスを吹き付けて乾燥させた(乾燥工程)。窒素ガスの温度は常温とし、乾燥時間は、0.33分間とした。
【0160】
(比較例1)
本比較例に於いては、実施例1と比較して、第1処理液を用いた第1接触工程後、除去工程、表面改質工程及び緻密化処理工程(第2接触工程)を行わなかった点が異なる。より詳細には、以下の通りである。
【0161】
実施例1と同様の基板を準備し、これをフッ化水素水溶液に1分間浸漬させた。フッ化水素水溶液としては、フッ化水素とDIWの体積比が、フッ化水素:DIW=1:100となるものを用いた。
【0162】
次に、フッ化水素水溶液から引き上げた基板を、SAM形成材料を含む第1処理液中に5分間浸漬させ、基板のSiO膜表面にSAM(厚さ約1nm)を形成させた。第1処理液としては、溶媒であるトルエンに、SAM形成材料であるオクタデシルトリクロロシランが溶解したものを用いた。また、オクタデシルトリクロロシランの含有量(濃度)は、処理液の全質量に対し5質量%とした。
【0163】
次に、第1処理液から引き上げた基板に、トルエンを1分間供給し続けることで、基板の表面に残存する第1処理液を除去した後、SAMが形成された面に窒素ガスを吹き付けて乾燥させた。窒素ガスの温度は常温とし、乾燥時間は、0.33分間とした。これにより、本比較例に係るサンプルを作製した。
【0164】
続いて、得られたサンプルに対しエッチング処理を施した。具体的には、基板をエッチング液中に浸漬し、基板表面に於けるSAMで保護されていない領域のエッチングを行った。エッチング条件としては、SiOのエッチング量が10nm程度となるように、エッチング液中での浸漬時間(エッチング処理時間)を195秒間とした。またエッチング液としては、フッ化水素水溶液を用い、かつフッ化水素とDIWの体積比を、フッ化水素:DIW=1:100とした。
【0165】
続いて、エッチング液から引き上げた基板を、DIW中に0.5分間浸漬させた後、基板をDIWから引き上げ(DIWによるリンス工程)、エッチング処理が施された面に窒素ガスを吹き付けて乾燥させた(乾燥工程)。窒素ガスの温度は常温とし、乾燥時間は、0.33分間とした。
【0166】
(比較例2)
本比較例に於いては、実施例1と比較して、デカンによる除去工程後に表面改質工程を行わなかった点が異なる。より詳細には、以下の通りである。
【0167】
実施例1と同様の基板を準備し、これをフッ化水素水溶液に1分間浸漬させた。フッ化水素水溶液としては、フッ化水素とDIWの体積比が、フッ化水素:DIW=1:100となるものを用いた。
【0168】
次に、フッ化水素水溶液から引き上げた基板を、SAM形成材料を含む第1処理液中に5分間浸漬させ、基板のSiO膜表面にSAMを形成させた(厚さ約1nm)。第1処理液としては、溶媒であるトルエンに、SAM形成材料であるオクタデシルトリクロロシランが溶解したものを用いた。また、オクタデシルトリクロロシランの含有量(濃度)は、処理液の全質量に対し5質量%とした。
【0169】
次に、第1処理液から引き上げた基板を、除去液中に1分間浸漬させ、基板の表面に残存する未吸着のSAM形成材料を除去した。除去液としては、デカンを用いた。
【0170】
続いて、除去液から基板を引き上げ、SAMが形成された面に窒素ガスを吹き付けて乾燥させた。窒素ガスの温度は常温とし、乾燥時間は、0.33分間とした。
【0171】
さらに、乾燥後の基板を、SAM形成材料を含む第2処理液中に5分間浸漬させ、基板の表面にSAMを形成させた。第2処理液としては、第1接触工程に於ける第1処理液と同様のものを用いた。
【0172】
次に、第2処理液から引き上げた基板に、トルエンを1分間供給し続けることで、第2処理液を除去した後、SAMが形成された面に窒素ガスを吹き付けて乾燥させた。窒素ガスの温度は常温とし、乾燥時間は、0.33分間とした。これにより、本比較例に係るサンプルを作製した。
【0173】
続いて、得られたサンプルに対しエッチング処理を施した。具体的には、基板をエッチング液中に浸漬し、基板に於けるSAMで保護されていない領域のエッチングを行った。エッチング条件としては、SiOのエッチング量が10nm程度となるように、エッチング液中での浸漬時間(エッチング処理時間)を195秒間とした。またエッチング液としては、フッ化水素水溶液を用い、かつフッ化水素とDIWの体積比を、フッ化水素:DIW=1:100とした。
【0174】
続いて、エッチング液から引き上げた基板を、DIW中に0.5分間浸漬させた後、基板をDIWから引き上げ(DIWによるリンス工程)、エッチング処理が施された面に窒素ガスを吹き付けて乾燥させた(乾燥工程)。窒素ガスの温度は常温とし、乾燥時間は、0.33分間とした。
【0175】
(SAMの緻密性評価)
実施例1、並びに比較例1及び2に係る各サンプルについて、それぞれSAMの膜欠陥の面積を算出し、SAMの緻密性を評価した。
【0176】
すなわち、原子間力顕微鏡(AFM)(商品名:Dimension Icon、ブルカージャパン(株)製)を用いて各サンプルのSAMを撮像し、500nm四方の観察像(AFM画像)を得た。次に、得られた各観察像を二値化した後、画像処理を行って膜欠陥のマッピング化を行い、SAMの膜欠陥の部位(領域)を特定した。SAMの膜欠陥の部位(領域)のマッピング化による特定は、SAMの膜厚が約1nmであることを考慮して、SAM表面から深さ1nm未満の位置にある欠陥がマッピング化されるように画像処理を行った。これにより、SAM表面から深さ1nmを超える深さの部位(領域)、より具体的にはエッチングされた部位がSAMの膜欠陥の領域としてマッピング化されて、その面積に含まれることがないようにした。続いて、画像処理により特定したSAMの膜欠陥の領域について、その面積を算出し、観察像に於ける全領域の面積に対する比率を算出した。結果を表1に示す。
【0177】
表1から分かる通り、実施例1に於けるSAMの膜欠陥の面積比率は25.4%であり、比較例1や比較例2に於けるSAMの膜欠陥の面積比率と比較して最も小さく、良好な緻密性を有することが確認された。
【0178】
(SAMの保護性能の評価)
実施例1、並びに比較例1及び2に係る各サンプルについて、それぞれSiO膜の膜厚及び水接触角に基づきSAMの保護性能を評価した。
【0179】
具体的には、エッチング処理直前のSAMに被覆されているSiO膜の膜厚d1と、全ての工程終了後のSAMに被覆されているSiO膜の膜厚d2とについて、それぞれエリプソメーター(商品名:Flying MASE XI、J.A.Woollam(株)製)を用いて測定した。結果を表1に示す。
【0180】
また、エッチング処理直前のSAMに被覆されているSiO膜の水接触角θ1と、全ての工程終了後のSAMに被覆されているSiO膜の水接触角θ2とについて、それぞれ液滴法に基づき、接触角計(商品名:DMo-701、協和界面科学(株)製)を用いて測定した。結果を表1に示す。
【0181】
表1から分かる通り、実施例1では、エッチング前後のSiO膜の膜厚の変化が99.6nmから98.8nmであり、比較例1及び2の場合と比べて減少幅が小さかった。また、実施例1では、エッチング後のSiO膜表面の水接触角が、比較例1及び2の場合と比べて大きかった。これらの結果から、実施例1のSAMは、比較例1及び2と比べて、SiO膜に対する保護性能に優れていることが確認された。
【0182】
【表1】
【符号の説明】
【0183】
1 SiO
2 SiN層
3 積層体
4 メモリトレンチ
5 SAM分子
6 水酸基
7 水分子
8 逆ミセル
9、9’ SAM
110、210 基板保持部
120 供給部
121 処理液貯留部
124 加圧部
125 処理液タンク
126 第1処理液タンク
127 第2処理液タンク
130 除去液供給部
131 除去液貯留部
135 除去液タンク
140 表面改質液供給部
141 表面改質液貯留部
144 加圧部
145 表面改質液タンク
160、260 飛散防止カップ
170、270 旋回駆動部
190 紫外線照射部
193 オゾンガス供給部
100、100’、100” 基板処理ユニット
200 エッチング処理ユニット
220 エッチング液供給部
221 エッチング液貯留部
224 エッチング液タンク
300 制御部
S1、S1’、S1” SAM形成工程
S2 エッチング工程
S3 第1エッチング工程
S4 SAM形成工程
S5 第2エッチング工程
S101 第1接触工程
S102 除去工程
S103、S103’、S103” 表面改質工程
S104 緻密化処理工程
S105 リンス工程
C 膜欠陥
W 基板
Wf 基板の表面

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18