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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024089559
(43)【公開日】2024-07-03
(54)【発明の名称】アダプタ
(51)【国際特許分類】
   H05K 7/12 20060101AFI20240626BHJP
【FI】
H05K7/12 S
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022204968
(22)【出願日】2022-12-21
(71)【出願人】
【識別番号】000166247
【氏名又は名称】古野電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】牧浦 良祐
【テーマコード(参考)】
4E353
【Fターム(参考)】
4E353BB02
4E353BB06
4E353CC01
4E353CC13
4E353DD02
4E353DD05
4E353DR24
4E353GG21
(57)【要約】
【課題】DINレールに対して容易に着脱することができるアダプタを提案すること。
【解決手段】アダプタは、ベース部と、第1固定部と、第2固定部と、突出部とを備える。ベース部は、電子機器が固定される固定面を有する。第1固定部は、ベース部に設けられ、DINレールの第1フランジ部に嵌まって固定される。第2固定部は、固定面からDINレール側に向かって屈曲した形状の弾性部を有し、弾性部が弾性的に押された状態でDINレールの第2フランジ部に嵌まって固定される。突出部は、ベース部から突出して設けられ、第1フランジ部および第2フランジ部それぞれのベース部に向かい合う平坦面に当接する当接面を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器が固定される固定面を有するベース部と、
前記ベース部に設けられ、DINレールの第1フランジ部に嵌まって固定される第1固定部と、
前記固定面から前記DINレール側に向かって屈曲した形状の弾性部を有し、前記弾性部が弾性的に押された状態で前記DINレールの第2フランジ部に嵌まって固定される第2固定部と、
前記ベース部から突出して設けられ、前記第1フランジ部および前記第2フランジ部それぞれの前記ベース部に向かい合う平坦面に当接する当接面を有する突出部と
を備えるアダプタ。
【請求項2】
前記第1固定部は、
前記第1フランジ部の縁部に嵌まる嵌合溝を有した爪形状である
請求項1に記載のアダプタ。
【請求項3】
前記突出部は、
前記ベース部の高さ方向における前記ベース部の一端から他端に亘って延在する壁形状であり、
前記第1固定部は、
前記突出部における前記第1フランジ部側の端部に設けられる
請求項1に記載のアダプタ。
【請求項4】
前記突出部は、
前記ベース部の幅方向における前記ベース部の両端からそれぞれ突出している
請求項1に記載のアダプタ。
【請求項5】
前記第2固定部は、
前記ベース部における前記第2フランジ部側の端部において、前記両端の前記突出部に挟まれた位置に設けられ、
前記第2固定部とそれぞれの前記突出部との間に、前記第2フランジ部側の端部から切り欠かれた切欠部が設けられる
請求項4に記載のアダプタ。
【請求項6】
前記第2固定部は、
前記弾性部の先端側が前記DINレール側へ屈曲したL字状の屈曲部を有し、
前記屈曲部は、
前記第2フランジ部の縁部が嵌まって固定される
請求項1に記載のアダプタ。
【請求項7】
前記屈曲部は、
中抜き形状であり、前記第2フランジ部への押圧により弾性する
請求項6に記載のアダプタ。
【請求項8】
前記第2固定部は、
前記屈曲部の先端部に形成されたガイド部を有する
請求項7に記載のアダプタ。
【請求項9】
前記ベース部、前記第1固定部、前記第2固定部および前記突出部は、金属材料により一体的に構成される
請求項1乃至請求項8のいずれか1つに記載のアダプタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、アダプタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子機器をDIN(Deutsche Industrie-Norm)規格の取付レール(以下、DINレール)に取り付けるためのアダプタ(DINレールクリップやDINレール取付装置ともいう)が知られている。この種のアダプタでは、DINのレールの両端に存在するフランジ部に固定されてDINレールを挟持する技術がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4607524号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術では、フランジ部に固定する際に本体と別部材とを作業者が両手を使って動かすことで固定する必要があるため、DINレールへのアダプタの取付及び取外し作業を煩わしく感じるおそれがあった。このように、従来は、アダプタを容易に着脱する点で改善の余地があった。
【0005】
そこで、本開示では、DINレールに対して容易に着脱することができるアダプタを提案する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本開示に係るアダプタは、ベース部と、第1固定部と、第2固定部と、突出部とを備える。前記ベース部は、電子機器が固定される固定面を有する。前記第1固定部は、前記ベース部に設けられ、前記DINレールの第1フランジ部に嵌まって固定される。前記第2固定部は、前記固定面から前記DINレール側に向かって屈曲した形状の弾性部を有し、前記弾性部が弾性的に押された状態で前記DINレールの第2フランジ部に嵌まって固定される。前記突出部は、前記ベース部から突出して設けられ、前記第1フランジ部および前記第2フランジ部それぞれの前記ベース部に向かい合う平坦面に当接する当接面を有する。
【0007】
これにより、アダプタは、DINレールに対して容易に着脱することができる。
【0008】
また、本開示に係る第1固定部は、前記第1フランジ部の縁部に嵌まる嵌合溝を有した爪形状である。
【0009】
これにより、アダプタは、DINレールに対して容易に取り付けることができる。
【0010】
また、本開示に係る前記突出部は、前記ベース部の高さ方向における前記ベース部の一端から他端に亘って延在する壁形状である。前記第1固定部は、前記突出部における前記第1フランジ部側の端部に設けられる。
【0011】
これにより、アダプタは、DINレールに対して傾いて取り付けられることを回避できる。
【0012】
また、本開示に係る前記突出部は、前記ベース部の幅方向における前記ベース部の両端からそれぞれ突出している。
【0013】
これにより、アダプタは、DINレールに対して傾いて取り付けられることを回避できる。
【0014】
また、本開示に係る前記第2固定部は、前記ベース部における前記第2フランジ部側の端部において、前記両端の前記突出部に挟まれた位置に設けられ、前記第2固定部とそれぞれの前記突出部との間に、前記第2フランジ部側の端部から切り欠かれた切欠部が設けられる。
【0015】
これにより、アダプタは、DINレールに対して容易に着脱することができる。
【0016】
また、本開示に係る前記第2固定部は、前記弾性部の先端側が前記DINレール側へ屈曲したL字状の屈曲部を有する。前記屈曲部は、前記第2フランジ部の縁部が嵌まって固定される。
【0017】
これにより、アダプタは、DINレールに対して容易に取り付けることができる。
【0018】
また、本開示に係る前記屈曲部は、前記中抜き形状であり、前記第2フランジ部への押圧により弾性する。
【0019】
これにより、アダプタは、DINレールを取り付けた状態で弾性部にかかる負荷を軽減できる。
【0020】
また、本開示に係る前記第2固定部は、前記屈曲部の先端部に形成されたガイド部を有する。
【0021】
これにより、アダプタは、DINレールに対して容易に取り付けることができる。
【0022】
また、本開示に係る前記ベース部、前記第1固定部、前記第2固定部および前記突出部は、金属材料により一体的に構成される。
【0023】
これにより、アダプタは、製品コストを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】実施形態に係るアダプタの斜視図である。
図2】実施形態に係るアダプタの正面図である。
図3】アダプタとDINレールとの取付状態を示す図である。
図4】アダプタとDINレールとの取付状態を示す図である。
図5】アダプタとDINレールとの取付状態を示す図である。
図6】第2固定部で発生する応力を説明するための図である。
図7】アダプタの着脱方法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に、本開示の実施形態について図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の各実施形態において、同一の部位には同一の符号を付することにより重複する説明を省略する。
【0026】
まず、図1および図2を用いて、実施形態に係るアダプタの外観形状について説明する。図1は、実施形態に係るアダプタの斜視図である。図2は、実施形態に係るアダプタの正面図である。なお、図1以降に示す図では、X軸、Y軸およびZ軸からなる3軸直交座標を示している。3軸直交座標は、DINレールR(図3参照)の延在方向(アダプタ1の幅方向)をX軸、DINレールRの幅方向(アダプタ1の高さ方向)をY軸、DINレールRの奥行方向(アダプタ1の奥行方向)をZ軸として示している。
【0027】
本開示で示すアダプタ1は、電子機器をDINレールR(図3参照)に取り付けるためのアダプタである。図1および図2に示すように、アダプタ1は、ベース部2と、第1固定部3と、第2固定部4と、突出部5とを備える。
【0028】
ベース部2は、電子機器が固定される固定面21を有する。具体的には、電子機器は、ベース部2の正面側(Z軸負方向側)における固定面21に固定される。また、ベース部2は、固定面21に複数の貫通孔22,23を有する。
【0029】
例えば、電子機器は、貫通孔22にボルト等の締結具を背面側(Z軸正方向側)から挿入して固定される。また、電子機器は、貫通孔23の位置に対応するダボを有し、固定時にかかるダボを貫通孔23に挿入する。これにより、電子機器がベース部2に対して回転することを防止できる。
【0030】
なお、電子機器は、貫通孔23に締結具を背面側(Z軸正方向側)から挿入して固定されてもよい。また、図1に示す貫通孔22,23の位置や数は、あくまでも例示であって、任意の位置、任意の数を採用可能である。
【0031】
第1固定部3は、ベース部2に設けられ、DINレールRの第1フランジ部fl1(図3参照)に嵌まって固定される部位である。具体的には、第1固定部3は、ベース部2における高さ方向の上側(Y軸正方向側)の端部、かつ、ベース部2における幅方向の両端にそれぞれ設けられる。より具体的には、両端それぞれの第1固定部3は、後述する突出部5の端部からDINレールR方向(Z軸正方向)に向かって突出して設けられる。
【0032】
また、第1固定部3は、第1フランジ部fl1の縁部に嵌まる嵌合溝31を有した爪形状である。具体的には、嵌合溝31は、後述する第2固定部4側(Y軸負方向側)が切り欠かれた形状である。言い換えれば、嵌合溝31は、突出部5からDINレールR方向(Z軸正方向)に向かって突出した第1固定部3の先端部分が第2固定部4側へ突出することで形成される形状である。なお、第1固定部3の第1フランジ部fl1への取付状態については図3で後述する。
【0033】
第2固定部4は、ベース部2に設けられ、DINレールRの第2フランジ部fl2(図4参照)に嵌まって固定される部位である。具体的には、第2固定部4は、ベース部2におけるベース部2に高さ方向の下側(Y軸負方向側)において、ベース部2の両端からそれぞれ突出する突出部5に挟まれた位置に設けられる。
【0034】
また、第2固定部4は、ベース部2における固定面21からDINレールR側(Z軸正方向側)に向かって屈曲した形状の弾性部41を有する。弾性部41は、ベース部2における高さ方向の下端(Y軸負方向の端部)から所定距離だけ上方向に進んだ位置を折り曲げ加工することで形成される。
【0035】
具体的には、弾性部41は、両端それぞれの突出部5との間に設けられた切欠部24により、突出部5とは独立して屈曲する。より具体的には、弾性部41は、ベース部2における高さ方向の下端から上方向に向かって切り欠かれた切欠部24の先端同士を結ぶ線を折り曲げ線として折り曲げ加工される。
【0036】
なお、切欠部24の切り欠き深さ(Y軸方向の長さ)は、弾性部41の弾性強度(第2固定部4の固定強度)に応じて適宜設定される。すなわち、弾性部41の弾性強度を強くした場合(第2固定部4の固定強度を強くしたい場合)には、切欠部24の切り欠き深さを浅くし、弾性部41の弾性強度を弱くした場合(第2固定部4の固定強度を弱くしたい場合)には、切欠部24の切り欠き深さを深くする。
【0037】
また、切欠部24と突出部5との距離(X軸方向の長さ)は、アダプタ1をDINレールRに取り付けた際に突出部5が変形しない程度の強度が保たれる距離が設定される。
【0038】
また、第2固定部4は、弾性部41の先端側(Y軸負方向側)がDINレールR側へ屈曲したL字状の屈曲部42を有する。屈曲部42は、第2フランジ部fl2の縁部が嵌まって固定される部位である。また、屈曲部42は、屈曲した箇所に貫通孔43を有する中抜き形状であり、DINレールRの取付状態において弾性変形する。なお、第2固定部4の第2フランジ部fl2への取付状態については図4で後述する。
【0039】
また、第2固定部4は、屈曲部42の先端部が外側(Y軸負方向側)に屈曲した形状のガイド部44を有する。ガイド部44は、アダプタ1をDINレールRに取り付ける際に、屈曲部42への第2フランジ部fl2の嵌合をガイドする。なお、アダプタ1をDINレールRに取り付ける際のガイド部44の機能の詳細については図7で後述する。
【0040】
突出部5は、ベース部2からDINレールR側(Z軸正方向側)へ突出して設けられる。具体的には、突出部5は、ベース部2における幅方向(X軸方向)の両端からそれぞれ突出して設けられる。これにより、一枚の金属板から突出部5を形成する場合に折り曲げ加工のみで突出部5を形成することができるため、突出部5の形成工程を簡単にすることができる。
【0041】
また、突出部5は、ベース部2における高さ方向(Y軸方向)の一端から他端に亘って延在する壁形状である。なお、突出部5は、ベース部2における幅方向(X軸方向)の両端をDINレールR側(Z軸正方向側)に折り曲げ加工することで形成される。
【0042】
また、突出部5は、第1フランジ部fl1および第2フランジ部fl2に当接する当接面51を有する。具体的には、当接面51は、ベース部2の両端を折り曲げ加工して突出部5を形成した場合において、ベース部2の端面に相当する。
【0043】
また、当接面51は、ベース部2における高さ方向(Y軸方向)の一端から他端に亘って延在する。なお、当接面51とフランジ部(第1フランジ部fl1および第2フランジ部fl2)との当接状態の詳細については、図5で後述する。
【0044】
上述したように、アダプタ1は、ベース部2、第1固定部3、第2固定部4および突出部5によりワンタッチでDINレールRに取り付けが可能となる。すなわち、実施形態に係るアダプタ1によれば、DINレールRに対して容易に取り付けることができる。なお、アダプタ1のDINレールRへの取付方法の詳細については、図7で後述する。
【0045】
なお、本開示で示すアダプタ1は、金属材料により一体的に構成される。具体的には、ベース部2、第1固定部3、第2固定部4および突出部5は、一枚の金属板を加工することにより一体的に構成される。
【0046】
より具体的には、ベース部2、第1固定部3、第2固定部4および突出部5は、一枚の金属板をプレス加工により、折り曲げ、せん断することで製造する。このように、アダプタ1を金属材料により一体的に構成することで、部品コストおよび作業コストを抑えることができる。
【0047】
次に、図3図5を用いて、アダプタ1とDINレールRとの取付状態について説明する。図3図5は、アダプタ1とDINレールRとの取付状態を示す図である。図3では、DINレールRに取り付けたアダプタ1を上方(Y軸正方向)から見た斜視図を示す。図4では、DINレールRに取り付けたアダプタ1を下方(Y軸負方向)から見た斜視図を示す。図5では、DINレールRに取り付けたアダプタ1を側方(X軸正方向)から見た側面図を示す。なお、図3図5では、電子機器100を直方体形状として概略的に示している。
【0048】
図3図5に示すように、DINレールRは、アダプタ1の幅方向(X軸方向)に延在するレール部材である。また、DINレールRは、アダプタ1の高さ方向(Y軸方向)における両端に第1フランジ部fl1および第2フランジ部fl2を有する。
【0049】
言い換えれば、DINレールRは、DINレールRの幅方向(Y軸方向)における両端に第1フランジ部fl1および第2フランジ部fl2を有する。具体的には、第1フランジ部fl1は、DINレールRにおける上側(Y軸正方向側)の端部に形成される部位であって、先端(縁部)がDINレールRの外側(Y軸正方向側)に屈曲したL字状の部位である。
【0050】
また、第2フランジ部fl2は、DINレールRにおける下側(Y軸負方向側)の端部に形成される部位であって、先端(縁部)がDINレールRの外側(Y軸負方向側)に屈曲したL字状の部位である。
【0051】
図3に示すように、アダプタ1がDINレールRに取り付けられた状態では、第1固定部3は、第1フランジ部fl1に嵌まって固定される。具体的には、第1固定部3は、嵌合溝31が第1フランジ部fl1の縁部に嵌まることで固定される。
【0052】
言い換えれば、第1固定部3は、嵌合溝31に第1フランジ部fl1の縁部を引っ掛けた状態で固定される。このように、第1固定部3を第1フランジ部fl1の縁部に嵌まる嵌合溝31を有した爪形状とすることで、第1フランジ部fl1に対して容易に固定することができる。
【0053】
また、図3に示すように、第1固定部3は、ベース部2における端部(突出部5における端部)に設けられることで、アダプタ1の高さ方向の長さを最小限にできるとともに、DINレールRの上方からベース部2から突出して周囲と干渉することを回避できる。
【0054】
次に、図4に示すように、アダプタ1がDINレールRに取り付けられた状態では、第2固定部4は、第2フランジ部fl2に嵌まって固定される。具体的には、第2固定部4は、第2フランジ部fl2の縁部が屈曲部42の内部に嵌まることで固定される。
【0055】
より具体的には、図5に示すように、第2固定部4は、屈曲部42における先端側において第2フランジ部fl2に当接して固定される。具体的には、第2固定部4は、第2フランジ部fl2との当接により屈曲部42で発生する応力によって弾性部41が押された状態となる。
【0056】
つまり、第2固定部4は、弾性部41が弾性的に押された状態で第2フランジ部fl2に嵌まって固定される。なお、弾性部41や屈曲部42で発生する応力の詳細については図6で後述する。このように、第2固定部4の先端をL字状の屈曲部42とすることで、第2固定部4を第2フランジ部fl2に対して容易に固定することができる。
【0057】
また、屈曲部42の先端側は、第2フランジ部fl2の縁部よりも上方(Y軸正方向側)に位置する。つまり、屈曲部42は、第2フランジ部fl2の縁部を覆うようにして固定される。これにより、第2フランジ部fl2がZ軸正方向側に移動することを規制するため、DINレールRがアダプタ1から意図せずに脱離することを防止できる。
【0058】
また、図5に示すように、突出部5の当接面51は、第1フランジ部fl1および第2フランジ部fl2に当接する。具体的には、当接面51は、第1フランジ部fl1の平坦面fl1R(Z軸負方向側の面)および第2フランジ部fl2の平坦面fl2R(Z軸負方向側の面)それぞれと面同士で当接する。これにより、アダプタ1がDINレールRに対して傾かずにまっすぐ設置されるため、電子機器100がDINレールRに対して傾いて設置されることを防止できる。
【0059】
次に、図6を用いて、アダプタ1とDINレールRとの取付状態において第2固定部4で発生する応力について説明する。図6は、第2固定部4で発生する応力を説明するための図である。
【0060】
図6に示すように、アダプタ1がDINレールRに取り付けられた場合、第2固定部4の弾性部41および屈曲部42それぞれで応力P1,P2が生じる。応力P1は、第2フランジ部fl2との当接箇所である屈曲部42で生じる応力である。応力P2は、弾性部41で生じる応力である。
【0061】
図6に示すように、応力P1は、屈曲部42と第2フランジ部fl2との間で生じる応力であり、屈曲部42が第2フランジ部fl2方向へ押圧する力である。この応力P1により、第2フランジ部fl2がZ軸正方向へ移動することを規制することで、DINレールRがアダプタ1から意図せずに脱離することを防止できる。
【0062】
応力P2は、応力P1の発生により生じる弾性部41の応力であり、屈曲部42が第2フランジ部fl2方向へ押圧することで、弾性部41がZ軸負方向へ押圧される。つまり、弾性部41が弾性的に押された状態で第2フランジ部fl2が嵌まって固定される。すなわち、応力P1および応力P2は、DINレールRを固定する固定力である。
【0063】
また、上述したように、屈曲部42は、貫通孔43により中抜き形状とすることで、剛性を意図的に少し弱めている。このため、屈曲部42は、応力P1により屈曲箇所が弾性する。言い換えれば、応力P1によって生じる反発力を屈曲部42の屈曲箇所で一部分散させて弾性部41に伝達する(反発力を一部逃がす)。これにより、応力P1によって生じる応力P2を小さくできるため、弾性部41へ応力が集中することを低減でき、弾性部41の変形や破損を防止することができる。
【0064】
次に、図7を用いて、DINレールRへのアダプタ1の着脱方法について説明する。図7は、アダプタ1の着脱方法を説明するための図である。なお、図7では、電子機器100を省略しているが、実際には、電子機器100がアダプタ1に取り付けられた状態でDINレールRに着脱される。
【0065】
まず、アダプタ1をDINレールRに取り付ける場合(図7における右図から左図へ)、第1固定部3の嵌合溝31に第1フランジ部fl1を嵌める。つづいて、第1固定部3の嵌合溝31に第1フランジ部fl1を嵌めた状態で、第2固定部4を第2フランジ部fl2に近づけて屈曲部42の内部に嵌める。ガイド部44は、屈曲部42に第2フランジ部fl2を嵌める作業時に第2フランジ部fl2を屈曲部42へ導くガイドとして機能する。
【0066】
具体的には、ガイド部44は、外側(Y軸負方向側)に屈曲することで、第2フランジ部fl2の縁部に干渉することを防止できる。また、ガイド部44の内側(Y軸正方向側)の傾斜面を第2フランジ部fl2の縁部が押圧しながら移動する。この結果、弾性部41が弾性的に徐々に押されて屈曲部42が開くことで、第2フランジ部fl2の縁部が屈曲部42に移動して嵌まり固定される。
【0067】
これにより、取付者は、第1フランジ部fl1に第1固定部3を引っ掛けつつ第2固定部4を押すだけで取り付けられる、すなわち、ワンタッチでの取付が可能となる。このように、実施形態に係るアダプタ1によればDINレールRに対して容易に取り付けることができる。
【0068】
次に、アダプタ1をDINレールRから取り外す場合(図7における左図から右図へ)、第1固定部3の嵌合溝31を支点として第2固定部4をDINレールRから離れる方向へ移動させる。具体的には、屈曲部42の内側(Y軸正方向側)の傾斜面を第2フランジ部fl2の縁部が押圧しながら離れる方向へ移動する。
【0069】
この結果、弾性部41が弾性的に徐々に押されて屈曲部42が開くことで、第2フランジ部fl2の縁部が屈曲部42の外部へ移動可能となる。これにより、取付者は、第1フランジ部fl1に第1固定部3を支点に第2固定部4を引くだけで取り外せる、すなわち、ワンタッチでの取り外しが可能となる。このように、実施形態に係るアダプタ1によればDINレールRから容易に取り外すことができる。
【0070】
以上説明したように、本開示の一実施形態によれば、アダプタ1は、ベース部2と、第1固定部3と、第2固定部4と、突出部5とを備える。ベース部2は、電子機器100が固定される固定面21を有する。第1固定部3は、ベース部2に設けられ、DINレールRの第1フランジ部fl1に嵌まって固定される。第2固定部4は、固定面21からDINレールR側に向かって屈曲した形状の弾性部41を有し、弾性部41が弾性的に押された状態でDINレールRの第2フランジ部fl2に嵌まって固定される。突出部5は、ベース部2から突出して設けられ、第1フランジ部fl1および第2フランジ部fl2それぞれのベース部2に向かい合う平坦面fl1R,fl2Rに当接する当接面51を有する。これにより、アダプタ1は、DINレールRに対して容易に着脱することができる。
【0071】
また、本発明は上記実施形態に係る限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。例えば、内容を矛盾させない領域で上述の実施形態を適宜組み合わせて得られる形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0072】
1 アダプタ
2 ベース部
3 第1固定部
4 第2固定部
5 突出部
21 固定面
22、23、43 貫通孔
24 切欠部
31 嵌合溝
41 弾性部
42 屈曲部
44 ガイド部
51 当接面
100 電子機器
R DINレール
fl1 第1フランジ部
fl1R 平坦面
fl2 第2フランジ部
fl2R 平坦面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7