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特開2024-89572液化ガス荷役作業の作業フロー作成方法、及び液化ガス荷役作業の作業フロー作成装置
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  • 特開-液化ガス荷役作業の作業フロー作成方法、及び液化ガス荷役作業の作業フロー作成装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024089572
(43)【公開日】2024-07-03
(54)【発明の名称】液化ガス荷役作業の作業フロー作成方法、及び液化ガス荷役作業の作業フロー作成装置
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/06 20230101AFI20240626BHJP
【FI】
G06Q10/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022204987
(22)【出願日】2022-12-21
(71)【出願人】
【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135220
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 祥二
(72)【発明者】
【氏名】吉松 雄太
(72)【発明者】
【氏名】前田 晴義
(72)【発明者】
【氏名】神谷 紀代乃
(72)【発明者】
【氏名】土屋 隼人
(72)【発明者】
【氏名】池田 猛
(72)【発明者】
【氏名】中島 隆博
(72)【発明者】
【氏名】小山 優
(72)【発明者】
【氏名】能瀬 隆行
【テーマコード(参考)】
5L010
5L049
【Fターム(参考)】
5L010AA06
5L049AA06
(57)【要約】
【課題】 荷役作業の開始が遅れることを抑制できる液化ガス荷役作業の作業フロー作成方法を提供する。
【解決手段】 船と貯蔵設備との間で行われる液化ガスの荷役作業の作業フローを作成する液化ガス荷役作業の作業フロー作成方法であって、船側作業情報が登録される船側作業登録工程と、複数の設備側作業に関する情報である設備側作業情報が登録される設備側作業登録工程と、船側作業情報と設備側作業情報とに基づいて、共通作業を互いに関連付ける共通作業関連付け工程と、共通作業関連付け情報、船側作業情報、及び設備側作業情報とに基づいて作業フローを作成する作業フロー作成工程と、を備え、船側作業情報は、船側作業順番と、船側共通作業情報、船側作業開始条件と、船側相手作業開始条件と、を含み、設備側作業情報は、設備側作業順番と、設備側共通作業情報、設備側作業開始条件と、設備側相手作業開始条件と、を含む。
【選択図】 図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
船と貯蔵設備との間で行われる液化ガスの荷役作業の作業フローを作成する液化ガス荷役作業の作業フロー作成方法であって、
荷役作業において前記船で行われる複数の船側作業に関する情報である船側作業情報が登録される船側作業登録工程と、
荷役作業において前記貯蔵設備で行われる複数の設備側作業に関する情報である設備側作業情報が登録される設備側作業登録工程と、
船側作業情報と設備側作業情報とに基づいて、複数の船側作業及び複数の設備側作業のうち前記船及び前記貯蔵設備において共通して行われる共通作業を互いに関連付ける共通作業関連付け工程と、
前記共通作業関連付け工程における関連付けによって得られる共通作業関連付け情報、船側作業情報、及び設備側作業情報とに基づいて、複数の船側作業及び複数の設備側作業の各々の流れを示す作業フローを作成する作業フロー作成工程と、を備え、
船側作業情報は、各船側作業の作業順番を示す船側作業順番と、各船側作業が船側共通作業であるか否かを示す船側共通作業情報、船側作業の開始条件となる設備側作業を示す船側作業開始条件と、船側作業が開始条件となる設備側作業を示す船側相手作業開始条件と、を含み、
設備側作業情報は、各設備側作業の作業順番を示す設備側作業順番と、各設備側作業が設備側共通作業であるか否かを示す設備側共通作業情報、設備側作業の開始条件となる船側作業を示す設備側作業開始条件と、設備側作業が開始条件となる船側作業を示す設備側相手作業開始条件と、を含む、液化ガス荷役作業の作業フロー作成方法。
【請求項2】
前記共通作業関連付け工程では、船側共通作業及び設備側共通作業の数が一致しない場合、船側共通作業及び設備側共通作業のうち数が多い方の作業に関して複数の共通作業を1つの共通作業とみなすようにグルーピングすることによって船側共通作業及び設備側共通作業の数を一致させ、船側共通作業の各々と設備側共通作業の各々とを一対一で関連付ける、請求項1に記載の液化ガス荷役作業の作業フロー作成方法。
【請求項3】
船側相手作業開始条件及び設備側作業開始条件に基づいて、互いに関連性がある船側作業と設備側作業とを関連付ける従属作業関連付け工程を、更に備え、
前記作業フロー作成工程では、前記従属作業関連付け工程における関連付けに基づいて各船側作業の流れを決定し、
前記従属作業関連付け工程では、船側相手作業開始条件と設備側作業開始条件との数が一致しない場合、互いに関連性の高い船側相手作業開始条件と設備側作業開始条件とを一対一で関連付ける、請求項1に記載の液化ガス荷役作業の作業フロー作成方法。
【請求項4】
設備側相手作業開始条件及び船側作業開始条件に基づいて、互いに関連性がある船側作業及び設備側作業を関連付ける従属作業関連付け工程を、更に備え、
前記作業フロー作成工程では、前記従属作業関連付け工程における関連付けに基づいて各設備側作業の流れを決定し、
前記従属作業関連付け工程では、設備側相手作業開始条件と船側作業開始条件との数が一致しない場合、互いに関連性の高い設備側相手作業開始条件と船側作業開始条件とを一対一で関連付ける、請求項1に記載の液化ガス荷役作業の作業フロー作成方法。
【請求項5】
前記作業フロー作成工程で作成される作業フローの流れを承認するか否かが確認される承認可否工程と、
前記承認可否工程において承認しない場合、承認しない作業に関して作業フローが修正される修正工程とを更に備える、請求項1に記載の液化ガス荷役作業の作業フロー作成方法。
【請求項6】
前記作業フローでは、各作業の実施後に所定時間経過すると、前記船及び前記貯蔵設備の少なくとも一方に所定時間経過したことが報知される、請求項1に記載の液化ガス荷役作業の作業フロー作成方法。
【請求項7】
前記作業フローでは、複数の船側作業及び複数の設備側作業の少なくとも1つの作業において検出される検出値が閾値以上である作業完了条件が設定され、
前記作業完了条件は、前記船及び前記貯蔵設備において同意されることによって設定される、請求項1に記載の液化ガス荷役作業の作業フロー作成方法。
【請求項8】
前記作業フローでは、複数の船側作業及び複数の設備側作業の各々に対して前記船及び前記貯蔵設備の各々でコメントが作成され、
コメントは、コメントを作成する前記船及び前記貯蔵設備の相手側に通知される、請求項1に記載の液化ガス荷役作業の作業フロー作成方法。
【請求項9】
船と貯蔵設備との間で行われる液化ガスの荷役作業の作業フローを作成する液化ガス荷役作業の作業フロー作成装置であって、
荷役作業において前記船で行われる複数の船側作業に関する情報である船側作業情報を前記船から受信し、及び荷役作業において前記貯蔵設備で行われる複数の設備側作業に関する情報である設備側作業情報を前記貯蔵設備から受信する受信器と、
前記受信器で受信する船側作業情報と設備側作業情報とに基づいて、複数の船側作業及び複数の設備側作業のうち前記船及び前記貯蔵設備において共通して行われる共通作業を互いに関連付けし、関連付けによって得られる共通作業関連付け情報、船側作業情報、及び設備側作業情報に基づいて、複数の船側作業及び複数の設備側作業の流れを示す作業フローを作成するフロー作成器と、
作成される作業フローを前記船及び前記貯蔵設備の各々に送信する送信器と、を備え、
船側作業情報は、各船側作業の作業順番を示す船側作業順番と、各船側作業が船側共通作業であるか否かを示す船側共通作業情報、船側作業の開始条件となる設備側作業を示す船側作業開始条件と、船側作業が開始条件となる設備側作業を示す船側相手作業開始条件と、を含み、
設備側作業情報は、各設備側作業の作業順番を示す設備側作業順番と、各設備側作業が設備側共通作業であるか否かを示す設備側共通作業情報、設備側作業の開始条件となる船側作業を示す設備側作業開始条件と、設備側作業が開始条件となる船側作業を示す設備側相手作業開始条件と、を含む、液化ガス荷役作業の作業フロー作成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、液化ガスの荷役作業の作業フローを作成する液化ガス荷役作業の作業フロー作成方法、及び液化ガス荷役作業の作業フロー作成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液化ガス貯蔵設備は、運搬船との間において液化ガスを荷役する。液化ガス貯蔵設備としては、例えば特許文献1の液化ガス貯蔵設備が知られている。特許文献1の液化ガス貯蔵設備では、荷役を行う際に様々な作業を行う必要がある。運搬船においても同様である。また、液化ガス貯蔵設備及び運搬船で行われる作業には、液化ガス貯蔵設備及び運搬船で協働して共通作業がある。そこで、作業フローに関して、液化ガス貯蔵設備及び運搬船の各々で行われる作業を互いに示し合わせる必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5583820号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の液化ガス貯蔵設備では、運搬船等が停泊できる時間に制約があるので、着桟して直ぐに荷役を開始できることが望まれている。しかし、作業フローの作成に関して、液化ガス貯蔵設備及び運搬船の各々で行われる作業を会議において互いに示し合わせる必要がある。つまり、作業フローは、着桟後の会議にて決定される。それ故、会議において、運搬船及び貯蔵設備の各々で行われる作業フローのすり合わせに時間を要する場合、荷役作業の開始が遅れることになる。
【0005】
そこで本開示の目的は、荷役作業の開始が遅れることを抑制できる液化ガス荷役作業の作業フロー作成方法、及び液化ガス荷役作業の作業フロー作成装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の液化ガス荷役作業の作業フロー作成方法は、船と貯蔵設備との間で行われる液化ガスの荷役作業の作業フローを作成する液化ガス荷役作業の作業フロー作成方法であって、荷役作業において前記船で行われる複数の船側作業に関する情報である船側作業情報が登録される船側作業登録工程と、荷役作業において前記貯蔵設備で行われる複数の設備側作業に関する情報である設備側作業情報が登録される設備側作業登録工程と、船側作業情報と設備側作業情報とに基づいて、複数の船側作業及び複数の設備側作業のうち前記船及び前記貯蔵設備において共通して行われる共通作業を互いに関連付ける共通作業関連付け工程と、前記共通作業関連付け工程における関連付けによって得られる共通作業関連付け情報、船側作業情報、及び設備側作業情報とに基づいて、複数の船側作業及び複数の設備側作業の各々の流れを示す作業フローを作成する作業フロー作成工程と、を備え、船側作業情報は、各船側作業の作業順番を示す船側作業順番と、各船側作業が船側共通作業であるか否かを示す船側共通作業情報、船側作業の開始条件となる設備側作業を示す船側作業開始条件と、船側作業が開始条件となる設備側作業を示す船側相手作業開始条件と、を含み、設備側作業情報は、各設備側作業の作業順番を示す設備側作業順番と、各設備側作業が設備側共通作業であるか否かを示す設備側共通作業情報、設備側作業の開始条件となる船側作業を示す設備側作業開始条件と、設備側作業が開始条件となる船側作業を示す設備側相手作業開始条件と、を含む、方法である。
【0007】
本開示に従えば、船側作業情報及び設備側作業情報が事前に登録される。そして、各作業情報に作業順番、共通作業情報、作業開始条件、及び相手側作業開始条件が含まれている。それ故、船及び貯蔵設備の各々において荷役に行う作業に関するフローを事前に作成することができる。これにより、荷役作業の開始が遅れることを抑制できる。
【0008】
本開示の液化ガス荷役作業の作業フロー作成装置は、船と貯蔵設備との間で行われる液化ガスの荷役作業の作業フローを作成する液化ガス荷役作業の作業フロー作成装置であって、荷役作業において前記船で行われる複数の船側作業に関する情報である船側作業情報を前記船から受信し、及び荷役作業において前記貯蔵設備で行われる複数の設備側作業に関する情報である設備側作業情報を前記貯蔵設備から受信する受信器と、前記受信器で受信する船側作業情報と設備側作業情報とに基づいて、複数の船側作業及び複数の設備側作業のうち前記船及び前記貯蔵設備において共通して行われる共通作業を互いに関連付けし、関連付けによって得られる共通作業関連付け情報、船側作業情報、及び設備側作業情報に基づいて、複数の船側作業及び複数の設備側作業の流れを示す作業フローを作成するフロー作成器と、作成される作業フローを前記船及び前記貯蔵設備の各々に送信する送信器と、を備え、船側作業情報は、各船側作業の作業順番を示す船側作業順番と、各船側作業が船側共通作業であるか否かを示す船側共通作業情報、船側作業の開始条件となる設備側作業を示す船側作業開始条件と、船側作業が開始条件となる設備側作業を示す船側相手作業開始条件と、を含み、設備側作業情報は、各設備側作業の作業順番を示す設備側作業順番と、各設備側作業が設備側共通作業であるか否かを示す設備側共通作業情報、設備側作業の開始条件となる船側作業を示す設備側作業開始条件と、設備側作業が開始条件となる船側作業を示す設備側相手作業開始条件と、を含むものである。
【0009】
本開示に従えば、船側作業情報及び設備側作業情報が事前に登録される。そして、各作業情報に作業順番、共通作業情報、作業開始条件、及び相手側作業開始条件が含まれている。それ故、船及び貯蔵設備の各々において荷役に行う作業に関するフローを事前に作成することができる。これにより、荷役作業の開始が遅れることを抑制できる。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、荷役作業の開始が遅れることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本実施形態の遠隔情報共有装置が船及び貯蔵設備と通信している状態を示す図である。
図2図1の船が貯蔵設備に着船して荷役している状態を示す図である。
図3図2の船及び貯蔵設備における荷役回路を示す回路図である
図4図1に示す情報共有装置、船、及び貯蔵設備の各々の構成を示すブロック図である。
図5】本実施形態の作業フロー作成方法の流れを示すフローチャートである。
図6】複数の共通作業を1つの共通作業にグルーピングする作業を示す図である。
図7】作業フロー作成方法において互いに関連性を有する作業同士を関連付けする際の作業を説明する図である。
図8】作業フロー作成方法で作成される作業フローを示す図である。
図9】荷役中において荷役作業の進展度合いが示される作業フローを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示に係る実施形態の液化ガス荷役作業の作業フロー作成方法(以下、単に「作業フロー作成方法」という)、及び液化ガス荷役作業の作業フロー作成装置(以下、単に「作業フロー作成装置」)1について前述する図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明で用いる方向の概念は、説明する上で便宜上使用するものであって、発明の構成の向き等をその方向に限定するものではない。また、以下に説明する作業フロー作成装置1は、本開示の一実施形態に過ぎない。従って、本開示は実施形態に限定されず、発明の趣旨を逸脱しない範囲で追加、削除、変更が可能である。
【0013】
<作業フロー作成装置>
天然ガス、窒素、及び水素等のガスは、生成された後、液体の状態、即ち液化ガスとして図1に示すような船2によって搬送される。また、運ばれた先には、液化ガスを貯蔵する貯蔵設備3がある。船2は、貯蔵設備3と共に液化ガス荷役システム4を構成する。液化ガス荷役システム4における液化ガスの荷役作業について簡単に説明すると、船2は、図2示すように貯蔵設備3の近くまで行く(図2の二点鎖線参照)と、図2の実線に示すように貯蔵設備3に着船する(図2の実線参照)。そして、船2と貯蔵設備3とは、互いに接続することによって船2と貯蔵設備3との間で液化ガスの荷役を行う。また、液化ガス荷役システム4は、作業フロー作成装置1と共に作業フロー共有システム5を構成している。作業フロー共有システム5は、船2と貯蔵設備3との間で行われる荷役作業の作業フローを、船2、貯蔵設備3,及び作業フロー作成装置1との間で共有する。以下では、まず船2、及び貯蔵設備3の各々の構成が説明され、その後に作業フロー作成装置1の構成が説明される。
【0014】
<船>
船2は、いわゆる運搬船であって、液化ガスを運搬する。船2は、港等の陸上基地にある貯蔵設備3に着船する。そして、船2は、貯蔵設備3との間で液化ガスを荷役する。船2は、図2に示されるように例えば船側タンク11と、船側散水装置12と、船側コネクタ13と、を含んでいる。また、船2は、図3に示されるように船側マニホールド14と、荷役ポンプ15と、冷却ポンプ16と、リターンバルブ17と、パージバルブ18と、船側緊急遮断弁(以下、「船側ESD」という)19とを含んでいる。更に、船2は、船側ユニット20(図1参照)を含んでいる。
【0015】
船側タンク11は、図2に示すように液化ガスを貯蔵する。船側散水装置12は、船2の舷側に設けられている。船側散水装置12は、散水することによって舷側にウォーターカーテン12aを形成する。船側コネクタ13は、後述する通信ケーブル33を接続できる。
【0016】
船側マニホールド14は、図3に示すように船側液化ガス用配管14aと、船側リターンガス用配管14bを有している。2つの船側配管14a,14bは、船側タンク11に夫々接続されている。そして、船側液化ガス用配管14aには、液化ガスが流される。船側リターンガス用配管14bには、ボイルオフガス(以下、「BOG」という)が流される。また、2つの船側配管14a,14bは、貯蔵設備3(より詳細に説明すると、後述するローディングアーム36)に接続することができる。それ故、2つの船側配管14a,14bの各々が船側タンク11と貯蔵設備3とを互いに接続する。
【0017】
荷役ポンプ15は、船側液化ガス用配管14aに設けられている。荷役ポンプ15は、液化ガスを船側タンク11と貯蔵設備3との間で圧送する。これにより、船側タンク11から貯蔵設備3(より詳細に説明すると、後述する設備側タンク31)に液化ガスを払出すことができる。冷却ポンプ16は、荷役ポンプ15に並列するように船側タンク11内に設けられている。冷却ポンプ16は、船側タンク11の液化ガスを船側液化ガス用配管14a及び後述するローディングアーム36に送ることによって、船側液化ガス用配管14a及びローディングアーム36を冷却する。本実施形態において、冷却ポンプ16は、スプレーポンプである。但し、冷却ポンプ16は、スプレーポンプに限定されない。
【0018】
リターンバルブ17は、リターンライン17aに設けられている。リターンライン17aは、2つの配管14a,14bに接続されている。リターンバルブ17は、リターンライン17aを開閉することができる。リターンバルブ17は、リターンライン17aを開くことによって船側液化ガス用配管14aにおいて液化ガスから気化したガスを船側リターンガス用配管14bに導くことができる。パージバルブ18は、船側リターンガス用配管14bに設けられている。パージバルブ18は、船側リターンガス用配管14b内のガスを大気放出することができる。また、パージバルブ18は、開度を調整可能に構成されている。
【0019】
船側ESD19は、船側液化ガス用配管14aに介在している。より詳細に説明すると、船側ESD19は、船側液化ガス用配管14aを開閉することができる。船側ESD19は、船側液化ガス用配管14aを閉じることによって液化ガスの払出しを止める。
【0020】
図1に示す船側ユニット20は、船側作業情報を入力することができる。船側作業情報は、荷役作業において船2で行われる複数の船側作業に関する情報である。また、船側ユニット20は、荷役作業中において船2で検出される各種状態量を収集する。状態量は、例えば船側液化ガス用配管14aの温度、船側タンク11の液位(即ち、積載量)、及び船側リターンガス用配管14bの酸素濃度を含む。また、船側ユニット20は、例えば無線通信を介してインターネット回線に接続されている。船側ユニット20は、船側作業情報及び状態値を無線通信で送信する。このような機能を有する船側ユニット20は、図4に示すように前述する各種船側センサ21~23、船側集中監視装置24、船側ユーザーインターフェース(以下、「船側UI」という)25、及び船側送受信器26を含んでいる。また、船側ユニット20は、船側報知器27を更に含んでいる。
【0021】
各種船側センサ21~23は、船2における各種状態量を検出する。本実施形態において、船側センサ21,22は、船側温度センサ21、及び船側液位センサ22である。船側温度センサ21は、船側マニホールド14(より詳細に説明すると、船側液化ガス用配管14a)を流れる液化ガスの温度(即ち、船側液化ガス温度)を検出する。船側液位センサ22は、船側タンク11に貯蔵される液化ガスの液位を検出する。船側液位センサ22によって船2に積載される液化ガスの積載量を検出することができる。また、もう1つの船側センサ23は、船側O2センサ23である。船側O2センサ23は、船側リターンガス用配管14bの酸素濃度を検出する。
【0022】
船側集中監視装置24は、船2における各種状態量を収集する。より詳細に説明すると、船側集中監視装置24は、各種船側センサ21~23に通信可能に接続されている。なお、船側集中監視装置24は、各種センサ21~23と有線通信及び無線通信の何れかで通信する。そして、船側集中監視装置24は、各種船側センサ21~23の検出値、即ち船側液化ガス温度、液位(即ち積載量)、及び酸素濃度を収集する。また、船側集中監視装置24は、船側コネクタ13に接続される通信ケーブル33を介して貯蔵設備3と通信する。
【0023】
更に、船側集中監視装置24は、船2における各種機器を作動させる。詳細に説明すると、船側集中監視装置24は、ポンプ15,16、及びバルブ17,18と通信可能に接続されている。なお、船側集中監視装置24は、ポンプ15,16、及びバルブ17,18の各々と有線通信及び無線通信の何れかで通信する。そして、船側集中監視装置24は、荷役ポンプ15を作動させることによって液化ガスを圧送させる。また、船側集中監視装置24は、冷却ポンプ16を作動させることによって船側マニホールド14及びローディングアーム36を冷却する。更に、船側集中監視装置24は、リターンバルブ17を開くことによって船側液化ガス用配管14aで気化したガスを船側リターンガス用配管14bに導く。そして船側集中監視装置24は、パージバルブ18を開くことによって船側リターンガス用配管14bを流れるガスを大気に放出する。更に、船側集中監視装置24は、船側ESD19を閉じることによって船側液化ガス用配管14aからの液化ガスの払出しを止めることができる。
【0024】
なお、船側集中監視装置24は、例えばコンピュータであって、船側メモリと船側プロセッサーとを有している。船側メモリは、各種センサ21~23の検出値(即ち、各種状態量)、及び後で詳述する船側作業情報を記憶する。また、船側メモリは、各種プログラムを予め記憶している。船側プロセッサーは、船側メモリに記憶されるプログラムを入力される指令に応じて実行することによってポンプ15,16、及びバルブ17,18の動作を制御する。
【0025】
船側UI25は、様々な情報及び指令を入力することができる。船側UI25は、例えば船側作業情報を入力することができる。船側作業情報は、後で詳述する作業フロー作成装置1に登録される情報である。船側作業情報には、荷役中に船2で行われる各船側作業に関する種々の情報が含まれる。即ち、船側作業情報は、例えば下記表1に示される各登録項目に関する情報が含まれる。
【0026】
【表1】
なお、表1において「作業順番」は、船側作業順番の一例である。「相手方親作業」は、船側作業開始条件の一例であり、「相手方子作業」は、船側相手作業開始条件の一例である。また、「両拠点共通作業」は、船側共通作業情報の一例である。船側作業情報に関しては、船側UI25によって作業毎に表1に示す情報が入力される。また、船側UI25は、船側作業情報以外の各種情報も入力することができる。更に、船側UI25は、各構成15~19を作動させる指令を入力することができる。
【0027】
船側送受信器26は、衛星電話及びWiFiルータ等の無線通信機である。船側送受信器26は、各船側センサ21~23で収集した状態量、及び船側UI25から入力される各種情報(船側作業情報を含む)を無線通信で送信する。本実施形態では、船側送受信器26は、例えば無線通信を介してインターネット回線に接続される。更に、船側送受信器26は、インターネット回線を介して作業フロー作成装置1に接続されている。船側送受信器26は、作業フロー作成装置1に状態量及び各種情報を送信し、また作業フロー作成装置1から種々の情報を受信する。なお、船側送受信器26が接続される回線については、インターネット回線に代えてWAN等の専用回線が用いられてもよい。船側報知器27は、種々の情報を報知することができる。本実施形態において、船側報知器27は、作業の遅れを報知することができる。
【0028】
<貯蔵設備>
図1に示す貯蔵設備3は、前述の通り陸上基地に設置される設備であって、液化ガスを貯蔵する。また、貯蔵設備3は、船2と接続することによって液化ガスの荷役を行う。貯蔵設備3は、図2に示されるように例えば設備側タンク31と、設備側散水装置32と、通信ケーブル33と、ギャングウェイ34とを含んでいる。また、貯蔵設備3は、図3に示すように、設備側配管35と、ローディングアーム36と、リターンガスブロア(以下、単に「RGB」という)37と、窒素供給装置38と、設備側ESD39とを含んでいる。更に、貯蔵設備3は、設備側ユニット40(図1参照)とを含んでいる。
【0029】
設備側タンク31は、例えば図2に示すように陸上に設置されている。より詳細に説明すると、設備側タンク31は、船2が着船して係留可能な係留施設(例えば桟橋)に隣接するように設置されている。設備側タンク31は、液化ガスを貯蔵する。設備側散水装置32は、着船して係留される船2と設備側タンク31との間に設置されている。より詳細に説明すると、設備側散水装置32は、設備側タンク31と係留施設との間に配置されている。そして、設備側散水装置32は、散水することによって、設備側タンク31と係留施設との間にウォーターカーテン32aを形成する。通信ケーブル33は、前述の通り、船側コネクタ13に接続されている。通信ケーブル33は、通信可能に構成されている。ギャングウェイ34は、貯蔵設備3とそこに係留される船2との間で取付けられる連絡橋である。本実施形態において、ギャングウェイ34は、貯蔵設備3と船2との間に架け渡される。
【0030】
設備側配管35は、図3に示すように設備側液化ガス用配管35aと、設備側リターンガス用配管35bとを有している。2つの設備側配管35a,35bは、設備側タンク31に夫々接続されている。設備側液化ガス用配管35aには、液化ガスが流される。設備側リターンガス用配管35bには、BOGが流される。そして、設備側配管35には、ローディングアーム36が接続されている。
【0031】
ローディングアーム36は、船2と接続することができる。本実施形態において、ローディングアーム36は、船側マニホールド14に接続することができる。そして、設備側液化ガス用配管35aは、ローディングアーム36を介して船側液化ガス用配管14aに接続される。それ故、設備側タンク31は、2つの液化ガス用配管14a,35aを介して船側タンク11に接続される。従って、荷役ポンプ15を駆動させると、2つの液化ガス用配管14a,35aを介して船側タンク11から設備側タンク31に液化ガスを払出すことができる。また、設備側リターンガス用配管35bは、ローディングアーム36を介して船側リターンガス用配管14bに接続される。設備側リターンガス用配管35bは、BOGが流れるようなっている。それ故、設備側タンク31は、2つのリターンガス用配管14b,35bを介して船側タンク11に接続される。
【0032】
RGB37は、設備側リターンガス用配管35bに設けられている。そして、RGB37は、船側タンク11と設備側タンク31との間において液化ガスが流れる方向と反対方向にBOGを送ることができる。これにより、設備側タンク31から船側タンク11にBOGを送ることができる。窒素供給装置38は、設備側リターンガス用配管35bに接続されている。窒素供給装置38は、設備側リターンガス用配管35bに窒素を供給する。これにより、設備側リターンガス用配管35bに残留する酸素等の不純ガスがパージされる。なお、窒素供給装置38が接続される配管は、設備側リターンガス用配管35bに限定されず、設備側液化ガス用配管35aに接続されていてもよい。
【0033】
設備側ESD39は、設備側液化ガス用配管35aに介在している。より詳細に説明すると、設備側ESD39は、設備側液化ガス用配管35aを開閉することができる。設備側ESD39は、設備側液化ガス用配管35aを閉じることによって液化ガスの払出しを止める。
【0034】
図1に示す設備側ユニット40は、設備側作業情報を入力することができる。設備側作業情報は、荷役作業において貯蔵設備3で行われる複数の設備側作業に関する情報である。また、設備側ユニット40は、荷役作業中において貯蔵設備3で検出される各種状態量を収集する。状態量は、例えば設備側液化ガス用配管35aの温度、及び設備側タンク31の液位(即ち、積載量)を含む。また、設備側ユニット40は、例えば有線通信及び無線通信の何れかを介してインターネット回線に接続されている。そして、設備側ユニット40は、設備側作業情報及び状態値を有線通信及び無線通信の何れかで送信する。このような機能を有する設備側ユニット40は、図4に示すように前述する各種設備側センサ41,42、設備側集中監視装置43、設備側ユーザーインターフェース(以下、「船側UI」という)44、及び設備側送受信器45を含んでいる。また、設備側ユニット40は、設備側報知器46を更に含んでいる。
【0035】
各種設備側センサ41,42は、貯蔵設備3における各種状態量を検出する。より詳細に説明すると、各種設備側センサ41,42は、設備側タンク31に貯蔵される液化ガスの状態量を検出する。そして、各種設備側センサ41,42は、本実施形態において設備側温度センサ41、及び設備側液位センサ42である。設備側温度センサ41は、設備側配管35(より詳細に説明すると設備側液化ガス用配管35a)を流れる液化ガスの温度(即ち、設備側液化ガス温度)を検出する。設備側液位センサ42は、設備側タンク31に貯蔵される液化ガスの液位を検出する。設備側液位センサ42によって貯蔵設備3に積載される液化ガスの積載量を検出することができる。
【0036】
設備側集中監視装置43は、貯蔵設備3における各種情報を収集する。より詳細に説明すると、設備側集中監視装置43は、各種設備側センサ41,42と通信可能に接続されている。なお、設備側集中監視装置43は、設備側センサ41,42と有線通信及び無線通信の何れかが通信する。そして、設備側集中監視装置43は、各種設備側センサ41,42の検出値、即ち設備側液化ガス温度及び液位(即ち貯蔵量)を収集する。また、設備側集中監視装置43は、通信ケーブル33を介して船2(より詳細に説明すると、船側集中監視装置24)と通信する。そして、設備側集中監視装置43は、荷役中において船2及び貯蔵設備3の各々情報を船側集中監視装置24とやり取りする。
【0037】
更に、設備側集中監視装置43は、貯蔵設備3における各種機器を作動させる。より詳細に説明すると、設備側集中監視装置43は、RGB37、窒素供給装置38、及び設備側ESD39と通信可能に接続されている。なお、設備側集中監視装置43は、RGB37、窒素供給装置38、及び設備側ESD39の各々と有線通信及び無線通信の何れかで通信する。そして、設備側集中監視装置43は、RGB37を作動させることによってBOGを送る。窒素供給装置38は、窒素供給装置38を作動させることによって窒素を設備側リターンガス用配管35bに供給する。なお、窒素供給装置38が液化ガス用配管35aに接続される場合、液化ガス用配管35aに窒素が供給される。更に、設備側集中監視装置43は、設備側ESD39を閉じることによって設備側液化ガス用配管35aからの液化ガスの払出しを止めることができる。
【0038】
なお、設備側集中監視装置43は、例えばコンピュータであって、設備側メモリと、設備側プロセッサーとを有している。設備側メモリは、各種センサ41,42の検出値、並びに後で詳述する設備側作業情報を記憶する。また、設備側メモリは、各種プログラムを予め記憶している。設備側プロセッサーは、設備側メモリに記憶されるプログラムを入力される指示に応じて実行することによってRGB37、窒素供給装置38、及び設備側ESD39の動作を制御する。
【0039】
設備側UI44は、様々な情報及び指令を入力することができる。設備側UI44は、例えば設備側作業情報を入力することができる。設備側作業情報は、後で詳述する作業フロー作成装置1に登録される情報である。設備側作業情報には、荷役中の貯蔵設備3で行われる各設備側作業に関する種々の情報が含まれる。即ち、設備側作業情報は、例えば前述する表1に示される各登録項目に関する情報が含まれる。なお、表1において「作業順番」は、設備側作業順番の一例である。「相手方親作業」は、設備側作業開始条件の一例であり、「相手方子作業」は、設備側相手作業開始条件の一例である。また「両拠点共通作業」は、設備側共通作業情報の一例である。設備側作業情報に関しては、設備側UI44によって作業毎に表1に示す情報が入力される。また、設備側UI44は、設備側作業情報以外の各種情報も入力することもできる。更に、設備側UI44は、各構成37~39を作動させる指令を入力することができる。
【0040】
設備側送受信器45は、各種設備側センサ41,42で収集した状態量、及び設備側UI44から入力される各種情報(設備側作業情報を含む)を送信する。本実施形態では、設備側送受信器45は、例えば有線通信又は無線通信を介してインターネット回線に接続されている。更に、設備側送受信器45は、インターネット回線を介して作業フロー作成装置1に接続されている。設備側送受信器45は、作業フロー作成装置1に状態量及び各種情報を送信し、また作業フロー作成装置1から種々の情報を受信する。なお、設備側送受信器45が接続される回線については、インターネット回線に代えてWAN等の専用回線が用いられてもよい。設備側報知器46は、種々の情報を報知することができる。本実施形態において、設備側報知器46は、作業の遅れを報知することができる。
【0041】
<フロー作成装置>
図1に示す作業フロー作成装置1は、船2と貯蔵設備3との間で行われる液化ガスの荷役作業の作業フローを作成する。本実施形態において、作業フロー作成装置1は、前述の通り液化ガス荷役システム4と共に作業フロー共有システム5を構成している。より詳細に説明すると、作業フロー作成装置1は、船側ユニット20と、設備側ユニット40と共に作業フロー共有システム5を構成している。そして、作業フロー作成装置1は、船側ユニット20及び設備側ユニット40から送信される船2及び貯蔵設備3の各々の作業情報(即ち、船側作業情報及び設備側作業情報)を受信する。そして、作業フロー作成装置1は、各作業情報に基づいて荷役作業における作業フローを作成する。
【0042】
より詳細に説明すると、作業フロー作成装置1は、後で詳述する作業フロー作成方法を実施することによって、荷役作業の作業フローを作成する。荷役作業の作業フローは、前述の通り荷役中において船2及び貯蔵設備3において夫々行われる作業の流れを示すフローである。ここで、作業の流れとは、作業の順番及び開始するタイミング(即ち、開始時期)が含まれる。このような機能を有する作業フロー作成装置1は、例えば船2及び貯蔵設備3から離れた位置にあるクラウドコンピュータである。本実施形態において、作業フロー作成装置1は、装置側送受信器51と、フロー作成器52とを備えている。
【0043】
受信器及び送信器の一例である装置側送受信器51は、船側作業情報を船2から受信し、また設備側作業情報を貯蔵設備3から受信する。より詳細に説明すると、装置側送受信器51は、インターネット回線を介して船2及び貯蔵設備3と通信可能に接続される。本実施形態において、装置側送受信器51は、船2から無線通信で送信される各種情報(船側作業情報を含む)を受信する。また、装置側送受信器51は、貯蔵設備3から送信される各種情報(設備側作業情報を含む)を受信する。更に、装置側送受信器51は、各種情報(例えば、作業フロー)を船2及び貯蔵設備3に送信する。
【0044】
フロー作成器52は、後で詳述する作業フロー作成方法を実施することによって、荷役作業の作業フローを作成する。より詳細に説明すると、フロー作成器52は、作業フローを作成するにあたって、送受信器51で受信する船側作業情報と設備側作業情報とに基づいて、共通作業を互いに関連付けする。なお、共通作業は、前述の通り、船2及び貯蔵設備3において共同で行われる作業である。また、フロー作成器52は、船側相手作業開始条件及び設備側作業開始条件に基づいて互いに関連性がある船側作業と設備側作業とを関連付けする。更に、フロー作成器52は、設備側相手作業開始条件及び船側作業開始条件に基づいて互いに関連性がある船側作業と設備側作業とを関連付けする。そして、フロー作成器52は、前述する関連付けによって得られる共通作業関連付け情報と、船側作業情報と、設備側作業情報とに基づいて作業フローを作成する。船側相手作業開始条件は、船側作業情報に含まれ、船側作業の開始条件となる設備側作業を示すものである。設備側作業開始条件は、設備側作業情報に含まれ、設備側作業の開始条件となる船側作業を示すものである。
【0045】
なお、フロー作成器52は、装置側メモリと、装置側プロセッサとを有している。装置側メモリは、装置側送受信器51で受信する各種情報を記憶する。また、装置側メモリは、フロー作成プログラム等の各種プログラムを記憶している。装置側プロセッサは、作成フロー作成プログラムを実行する。そうすると、後述する作業フロー作成方法が実施される。
【0046】
<荷役作業>
以下では、船2と貯蔵設備3と間で行われる荷役作業に含まれる各作業が説明される。なお、以下の説明は、荷役作業の一例を説明したものに過ぎず、以下で説明する作業以外の作業が荷役作業に含まれたり、以下で説明する作業の一部分が含まれなくてもよい。また、荷役作業の各船側作業における各構成15~19の動作に関しては、例えば船側UI25からの指示に応じて船側集中監視装置24が制御する。同様に、各設備側作業における各構成37~39の動作に関しては、設備側UI44からの指示に応じて設備側集中監視装置43が制御する。
【0047】
荷役作業では、まず船2及び貯蔵設備3において「着桟準備」が行われる。着桟準備は、船2が貯蔵設備3に着船(本実施形態において着桟)するにあたって船2及び貯蔵設備3の各々において事前に行われる準備作業である。本実施形態において、着桟準備は、マニホールド14及び配管35のクールダウン、及び各々の散水装置12,32の作動チェック等である。その後、船2及び貯蔵設備3では、図2に示すように「着桟」が行われる(図2の二点鎖線及び実線参照)。着桟では、船2が貯蔵設備3(より詳細に説明すると、係留施設)に着けられる。そして、船2が貯蔵設備3の係留施設に係留される。係留後、船2及び貯蔵設備3では、「ギャングウェイ取付」が行われる。ギャングウェイ取付は、船2及び貯蔵設備3の各々にギャングウェイ34が架け渡される。更に、船2において、「警戒ブイ設置」が行われる。警戒ブイ設置では、警戒ブイ6が海上に設置される。続いて、船2において「O2チェック」が行われる。O2チェックでは、図3に示す船側O2センサ23によって船側リターンガス用配管14b及び船側タンク11等の酸素濃度が検出される。更に、船2及び貯蔵設備3において、「通信ケーブル接続」が行われる。通信ケーブル接続では、船2の船側コネクタ13に貯蔵設備3の通信ケーブル33が接続される。接続した後、船2及び貯蔵設備3では、「通信テスト」が行われる。通信テストでは、通信ケーブル33を介して船2と貯蔵設備3との間の通信テストが行われる。
【0048】
次に、貯蔵設備3において、「ローディングアーム接続」が行われる。ローディングアーム接続では、船2(より詳細に説明すると、船側マニホールド14)にローディングアーム36が接続される。接続した後、船2において、「O2ラインアップ」が行われる。O2ラインアップは、いわゆるO2パージ用ラインアップである。O2パ―ジ用ラインアップでは、パージバルブ18が開かれれる。その後、貯蔵設備3において「O2パージ」が行われる。O2パージでは、貯蔵設備3において窒素供給装置38から設備側リターンガス用配管35bに窒素が供給される。そうすると、窒素によって各リターンガス用配管14b,35bの空気がパージバルブ18から排出される。このようにして、各リターンガス用配管14b,35bにおいて空気がパージされる。更に、RGB37を駆動することによってBOGが各リターンガス用配管14b,35bに送られる。これにより、リターンガス用配管14b,35bの窒素がパージされる。なお、パージする方法は、前述する方法に限定されない。これらのパージの後、船2及び貯蔵設備3において、「ESDテスト(ホット)」が行われる。ESDテスト(ホット)では、冷却前の状態(即ち、常温状態)においてESD19,39の作動テストが行われる。より詳細に説明すると、船2及び貯蔵設備3において、常温状態においてESD19,39が開閉される。これにより、ESDの作動状況及び液化ガスの漏れ等がチェックされる。
【0049】
次に、船2と貯蔵設備3との間で「荷役前会議」が行われる。荷役前会議では、液化ガスの荷役を行うにあたってスケジュール確認が行われる。また、荷役前会議の前、荷役前会議の後、又は荷役前会議に並行して安全確認等が行われる。安全確認は、例えば船2、貯蔵設備3の代表者がチェックリストに従い、船2及び貯蔵設備3の状態等を確認してサインをする。会議の後、船2では、「前尺」が行われる。前尺では、船側液位センサ22によって船側タンク11に積載量が検出される。また、船2及び貯蔵設備3では、「ウォーターカーテン」が行われる。ウォーターカーテン(略称:WC)では、各々の散水装置12,32によってウォーターカーテン12a,32aが形成される。より詳細に説明すると、船2では、船側散水装置12によって貯蔵設備3側にある舷側にウォーターカーテン12aが形成される。他方、貯蔵設備3では、設備側散水装置32によって船2と貯蔵設備3との間にウォーターカーテン32aが形成される。
【0050】
更に、船2では、「アームクールダウン」が行われる。アームクールダウンでは、冷却ポンプ16を作動させることによってローディングアーム36(より詳細には、ローディングアーム36の液化ガスが通る配管)が所定の基地側温度まで冷却される。より詳細に説明すると、船側ESD19を開いた状態で冷却ポンプ16が作動される。これにより、液化ガスがローディングアーム36に導かれるので、ローディングアーム36が冷却される。そして、船側温度センサ21で検出される温度が所定の基地側温度(例えば、設備側温度センサ41で検出される設備側液化温度)になるまで、ローディングアーム36が冷却される。冷却時において、液化ガスは、ローディングアーム36から熱を吸収することによって気化する。そこで、船2では、リターンバルブ17が開かれる。これにより気化したガスが船側リターンガス用配管14bに導かれる。そうすることでローディングアーム36に液化ガスを供給し続けることができ、ローディングアーム36が所定の基地側温度まで冷却される。なお、貯蔵設備3でも、図示しないリターンバルブを開くことによって気化したガスが設備側リターンガス用配管35bに導かれる。
【0051】
冷却後、船2及び貯蔵設備3では、「ESDテスト(コールド)」が行われる。ESDテスト(コールド)では、冷却後の冷却状態においてESD19,39の作動テストが行われる。より詳細に説明すると、船2及び貯蔵設備3において、所定の基地側温度以下まで冷却された状態(即ち、アームクールダウン後)においてESD19,39が開閉される。これにより、冷却状態のESDの作動状況及び液化ガスの漏れ等がチェックされる。漏れがないと確認されると、荷役を開始すべくESD19,39は開かれた状態にされる。なお、本実施形態において、冷却状態においてESD19,39では、以下のような作業が含まれる。即ち、船2及び貯蔵設備3では、ESDテスト開始連絡が行われる。即ち、ESDテストを開始することが相手方に連絡される。その後、船2及び貯蔵設備3の各々では、ESD19,39が閉じられたり(後述する「ESD弁閉(コールド)」)、開かれたり(後述する「ESD弁開(コールド)」)する。その後、船2及び貯蔵設備3では、ESD結果連絡が行われる。即ち、ESDテストの結果が相手方に連絡される。
【0052】
チェックが終了すると、船2では、「荷役ポンプ起動」が行われる。荷役ポンプ起動では、液化ガスの荷役を始めるべく荷役ポンプ15が起動される。これにより、船側タンク11から設備側タンク31に向かって液化ガスが圧送される。荷役ポンプ15が起動されると、貯蔵設備3では「RGB起動」が行われる。RGB起動では、RGB37が起動される。これにより、貯蔵設備3から船側タンク11に向かってBOGが流される。その後、液化ガスが定められた量だけ圧送される。具体的には、最終総移送量の液化ガスが圧送される。なお、最終総移送量は、各液位センサ22,42に基づいて検出される積載量及び貯蔵量に基づいて算出される。例えば、前尺で計量された船側タンク11に積載量とこの際に計量される船側タンク11に積載量と差で最終総移送量が算出される。なお、船側タンク11の積載量が算出される際には、船側タンク11の内圧及び温度が参照される。最終総移送量の液化ガスが圧送されると、貯蔵設備3では、「RGB停止」が行われる。RGB停止では、RGB37が停止される。そして、船2では、「荷役ポンプ停止」が行われる。荷役ポンプ停止では、荷役ポンプ15が停止される。これにより、船側タンク11から設備側タンク31への液化ガスの荷役が終了する。
【0053】
荷役が終了すると、貯蔵設備3では、「ローディングアーム切離し」が行われる。ローディングアーム切離しでは、ローディングアーム36が船2(より詳細に説明すると、船側マニホールド14)から切離される。なお、ローディングアーム切離し前において、ローディングアーム36内に残った液化ガスは、BOGで船側タンク11に押し戻されてドレンされる。その後、「O2パージ」と同様に窒素供給装置38からローディングアーム36に窒素を供給することによってBOGがパージされる。切離されると、船2及び貯蔵設備3の両方において、「ウォーターカーテン停止」が行われる。ウォーターカーテン停止(略称:WC停止)では、船2において船側散水装置12が止められ、貯蔵設備3において設備側散水装置32が止められる。ウォーターカーテン12a,32aが止められた後は、「後尺」が行われる。「後尺」では、船側液位センサ22によって船側タンク11に積載量が検出される。「後尺」の後には、「荷役後会議」が行われる。荷役後会議では、液化ガスの荷役における作業記録の確認及び安全チェック結果の確認等が行われる。
【0054】
会議の後、船2及び貯蔵設備3では、「通信ケーブルの切離し」が行われる。通信ケーブルの切離しでは、貯蔵設備3の通信ケーブル33が船2の船側コネクタ13から取外される。更に、船2及び貯蔵設備3では、「ギャングウェイ取外し」が行われる。ギャングウェイ取外しでは、船2からギャングウェイ34が取外される。最後に、船2が貯蔵設備3において「離桟」が行われる。離桟では、船2が出航して貯蔵設備3から離れる。このように船2及び貯蔵設備3では、各々の間で行われる液化ガスの荷役を行うべく種々の船側作業及び設備側作業が行われる。
【0055】
<作業フロー作成方法>
作業フロー共有システム5において作業フロー作成装置1は、以下で説明する作業フロー作成方法を実施することによって荷役作業の作業フローを作成する。より詳細に説明すると、作業フロー作成方法では、まず船側作業情報及び設備側作業情報が登録される。次に、船側作業情報と設備側作業情報とに基づいて、船2及び貯蔵設備3において共通して行われる共通作業が互いに関連付けられる。また、船側相手作業開始条件及び設備側作業開始条件に基づいて、互いに関連性がある船側作業と設備側作業とが関連付けされる。更に、設備側相手作業開始条件及び船側作業開始条件に基づいて互いに関連性がある船側作業と設備側作業とを関連付けする。このように関連付けることによって、共通作業関連付け情報、船側関連付け情報、及び設備側関連付け情報が得られる。共通作業関連付け情報は、船2及び貯蔵設備3における共通作業が互いに関連付けられることによって得られた共通作業の関連性を示す情報である。船側関連付け情報は、船側相手作業開始条件及び設備側作業開始条件に基づいて船側作業と設備側作業とが互いに関連付けされた際の関連性を示す情報である。更に、設備側関連付け情報は、設備側相手作業開始条件及び船側作業開始条件に基づいて船側作業と設備側作業とが互いに関連付けされた際の関連性を示す情報である。そして、前述する3つの関連付け情報、船側作業情報、及び設備側作業情報とに基づいて作業フローが作成される。以下では、作業フロー作成方法が図5を参照しながら更に詳細に説明される。まず、船2と貯蔵設備3との間で荷役が行われることが決定されると、作業フロー作成方法が開始される。そうすると、ステップS1及びS2に夫々移行する。
【0056】
船側作業登録工程であるステップS1では、船側作業情報が登録される。より詳細に説明すると、船2において船側作業情報が入力される。本実施形態において、船側作業情報は、船側UI25によって入力される。船側作業情報は、荷役中に行われる複数の船側作業及び各々の内容について表1の登録項目に示される各項目の内容に沿って入力される。表2には、入力される船側作業情報のうち以下の説明で必要な一部分が抜粋されて示される。
【0057】
【表2】
表2において、「No.」は、表1の「作業順番」に対応する。「作業項目」は、表1の「作業名称」に対応する。また、「作業種別」は、「作業項目」に示される船側作業が「両拠点共通作業」、「自方作業従属」、「相手方親作業」、及び「相手方子作業」の何れに対応するかを示す。「従属No.」は、そこに記された「No.」の自方作業(表2では船側作業、後述する表3では設備側作業)に従属する(即ち、そこに記された「No.」の自方作業の後に行われる)ことを示す。「相手方従属作業」は、「作業種別」が「相手方親作業」及び「相手方子作業」である場合において、対象となる相手作業を示す。「作業完了確認項目」は、表1の「作業完了確認名称」に対応する。即ち、「作業完了確認項目」は、その作業の完了の可否を判断する際の判断基準となる状態量等を示す。なお、入力される各船側作業の作業項目は、前述する荷役作業において船2で行われる各作業に対応する。それ故、入力される各船側作業の作業項目に関しては、前述する荷役作業における各作業の説明が参照され、ここでは省略される。
【0058】
表2に含まれる情報を含む船側作業情報が入力されると、船2から船側送受信器26によって船側作業情報が送信される。そして、作業フロー作成装置1が装置側送受信器51によって船側作業情報を受信すると、船側作業情報がフロー作成器52に登録される。船側作業情報が登録されると、ステップS3に進む。
【0059】
設備側作業登録工程であるステップS2では、設備側作業情報が登録される。より詳細に説明すると、貯蔵設備3において設備側作業情報が入力される。本実施形態において、設備側作業情報は、設備側UI44によって入力される。設備側作業情報は、荷役中に行われる複数の設備側作業及び各々の内容について表1の登録項目に示される各項目の内容に沿って入力される。表3には、入力される設備側作業情報のうち以下の説明で必要な一部分が抜粋されて示される。
【0060】
【表3】
表3において、「No.」、「作業種別」、「作業項目」、「従属No.」、及び「作業完了確認項目」の各々項目は、表2に示される各項目と同様の項目である。それ故、表2における説明を参照し、詳しい説明は省略する。また、入力される各設備側作業の作業項目は、前述する荷役作業において貯蔵設備3で行われる各作業に対応する。それ故、入力される各設備側作業の作業項目に関しては、前述する荷役作業における各作業の説明が参照され、ここでは省略される。
【0061】
表3に含まれる情報を含む設備側作業情報が入力されると、貯蔵設備3から設備側送受信器45によって設備側作業情報が送信される。そして、作業フロー作成装置1が装置側送受信器51によって設備側作業情報を受信すると、フロー作成器52に設備側作業情報が登録される。設備側作業情報が登録されると、ステップS3に進む。
【0062】
共通作業関連付け工程であるステップS3では、船側作業情報と設備側作業情報とに基づいて、複数の船側作業及び複数の設備側作業のうち船2及び貯蔵設備3において共通して行われる共通作業が互いに関連付けられる。より詳細に説明すると、共通作業の関連付けは以下のように進められる。即ち、まず、船側作業情報及び設備側作業情報の各々において、両拠点共通作業として登録される作業の数(即ち、共通作業の数)が一致しているか否かを判定する。例えば、本実施形態のように船側作業には11個の両拠点共通作業(即ち、船側共通作業)が含まれ、また設備側作業には12個の両拠点共通作業(即ち、設備側共通作業)が含まれる場合について説明する。この場合、船側共通作業及び設備側共通作業の数が一致していない。そうすると、以下のような作業を行うことによって共通作業の数が一致させられる。
【0063】
即ち、船側共通作業及び設備側共通作業のうち数が多い方の作業に関して、複数の共通作業が1つの共通作業とみなすようにグルーピングされる。共通作業の数が多い理由として、例えば相手方において1つの共通作業として登録された作業が細分化して登録していることがある。それ故、関連する作業をグルーピングすることによって1つの共通作業とみなす。例えば、共通作業から始まって共通作業に1つ(又は複数の)自方従属作業が従属し(又は連続して従属し)、最後に共通作業で終了する作業群を形成する共通作業を見つけ出す。本実施形態において、設備側共通作業の1つである「第2ESDテスト開始連絡」が作業群を形成する。表3を参照しながら具体的に説明すると、「第2ESDテスト開始連絡」は、そこから始まって「第2ESDテスト開始連絡」に「ESD弁閉(コールド)」及び「ESD弁開(コールド)」が連続するように従属し、最後に「第2ESD連絡結果」という設備側共通作業で終了する。それ故、「第2ESDテスト開始連絡」から「第2ESD結果連絡」までの4つの作業を1つの作業群とみなす(即ち、グルーピングする)ことができる。そして、作業群を例えば図6に示す「ESDテスト(コールド)」という1つの設備側共通作業とすることによって、作業側共通作業の数が減らされる。これにより船側共通作業と設備側共通作業との数が一致させられる。なお、本実施形態では、一致しない数の差に応じて2つ以上の設備側共通作業がグルーピングされるようにしてもよい。また、前述するグルーピングの方法は、一例に過ぎず、他の方法でグルーピングが行われてもよい。
【0064】
グルーピングによって共通作業の数が一致すると、次に船側共通作業情報及び設備側共通作業の各々が互いに関連付けされる。より詳細に説明すると、図7に示すように船側共通作業情報及び設備側共通作業の各々に関して同じ作業名称の作業同士が共通作業として関連付けられる(図7の太線参照)他方、同じ作業名称が存在しない場合は、作業内容が同じ又は近い船側共通作業及び設備共通側作業が互いに関連付けされる。具体的に説明すると、本実施形態において船側作業の「ESDテスト(ホット)」と設備側作業の「第1ESDテスト」とに関して、同じ作業名称が存在しない。これらの作業内容は、共に常温状態においてESD19,39の作動テストを行うことである。それ故、「ESDテスト(ホット)」と「第1ESDテスト」とが共通作業として互いに関連付けられる。なお、共通作業の数が一致していると判定された場合についても、同様の方法で船側共通作業情報及び設備側共通作業の各々が互いに関連付けされる。このように船側共通作業情報及び設備側共通作業が関連付けられることよって共通作業関連付け情報が得られる。そして、全ての船側共通作業情報及び設備側共通作業に関して関連付けが行われて共通作業関連付け情報が得られるすると、ステップS4に移行する。
【0065】
従属作業関連付け工程であるステップS4では、図7に示すように船側作業に関して船側相手方関連付け作業が行われる。船側相手方関連付け作業は、船側作業に関して、船側相手作業開始条件及び設備側作業開始条件に基づいて互いに関連性がある船側作業と設備側作業とが関連付ける。例えば、表2に示すように船側作業の「O2パージ用ラインアップ」に関して「相手方親作業」(即ち、船側相手作業開始条件)として設備側作業の「O2パージ」が挙げられている。また、表3に示すように設備側作業の「O2パージ」に関して「相手方子作業」(即ち、設備側作業開始条件)として船側作業の「O2パージ用ラインアップ」が挙げられている。このように、相互に船側相手作業開始条件及び設備側作業開始条件として挙げられる船側作業と設備側作業が互いに関連付けられる(図7の作業種別(共通・相手方)の両端矢印の二点鎖線参照)。その他、本実施形態において、船側作業の「荷役ポンプ停止」と設備側作業の「RGB停止」とが関連付けられる(図7の作業種別(共通・相手方)の両端矢印の二点鎖線参照)。なお、必ずしも名称が一致しない場合、各開始条件に記載される作業と作業内容の関連性が高いものについて互いに関連付けが行われる。関連性が高いとは、例えば過去のフロー作成過程において関連付けられことがある等、同じ作業と認められる可能性が高いことである。
【0066】
以下では、前述する船側相手方関連付け作業が更に詳細に説明される。まず船側相手作業開始条件と設備側作業開始条件との数が一致しているか否かを判定する。一致する場合には、前述する方法によって相互に船側相手作業開始条件及び設備側作業開始条件として挙げられる船側作業と設備側作業が互いに関連付けられる。他方、不一致の場合には、以下のようにして関連付けが行われる。
【0067】
本実施形態において、表2の「相手方親作業」が2つであって、表3の「相手方子作業」が3つである。即ち、船側相手作業開始条件に比べて設備側作業開始条件の方が多い。従って、船側相手作業開始条件と設備側作業開始条件との数が不一致である。不一致の場合、数の少ない開始条件を有する作業、本実施形態において船側相手作業開始条件を有する船側作業が前述する手順で設備側作業に関連付けられる。そして、数が多い開始条件、本実施形態において設備側作業開始条件を有する設備側作業であって、船側作業と関連付けられなかった設備側作業については、設備側作業開始条件に基づいて船側作業に関連付けられる。本実施形態では、表2に示すように「ウォーターカーテン停止」の「相手方子作業」である「アーム切離し」において、「ウォーターカーテン停止」が「相手方親作業」として挙げられていない。それ故、「ウォーターカーテン停止」は、船側作業と関連付けられなかった設備側作業となる。そこで、「ウォーターカーテン停止」は、その「相手方子作業」だけをもって「アーム切離し」に関連付けされる(図7の作業種別(共通・相手方)の一端矢印の二点鎖線参照)。なお、「後尺」も同様である。このようにして船側の作業に関して船側相手作業開始条件及び設備側作業開始条件に基づいて互いに関連性がある船側作業と設備側作業とが関連付けられる。これにより、船側関連付け情報が得られる。
【0068】
また、同様に設備側作業に関して設備側相手方関連付け作業が行われる。設備側相手方関連付け作業は、設備側作業に関して、設備側相手作業開始条件及び船側作業開始条件に基づいて互いに関連性がある船側作業及び設備側作業も関連付ける。例えば、表3に示すように設備側作業の「RGB停止」に関して「相手方親作業」(即ち、設備側相手作業開始条件)として船側作業の「荷役ポンプ停止」が挙げられている。また、表1に示すように船側作業の「荷役ポンプ停止」に関して「相手方子作業」(即ち、船側作業開始条件)として設備側作業の「RGB停止」が挙げられている。このように、相互に設備側相手作業開始条件及び船側作業開始条件として挙げられる設備側作業と船側作業が互いに関連付けられる(図7の作業種別(共通・相手方)の両端矢印の二点鎖線参照)。なお、必ずしも名称が一致しない場合、各開始条件に記載される作業と作業内容の関連性が高いものについて互いに関連付けが行われる。
【0069】
以下では、前述する設備側相手方関連付け作業が更に詳細に説明される。まず設備側相手作業開始条件と船側作業開始条件との数が一致しているか否かを判定する。一致する場合には、前述する方法によって相互に設備側相手作業開始条件及び船側作業開始条件として挙げられる船側作業と設備側作業が互いに関連付けられる。他方、不一致の場合には、船側相手作業開始条件と設備側作業開始条件との数が不一致である場合と同様の方法で関連付けが行われる。例えば、本実施形態において表3の「相手方親作業」が1つであって、表3の「相手方子作業」が2つである。即ち、設備側相手作業開始条件に比べて船側作業開始条件の方が多い。従って、設備側相手作業開始条件と船側作業開始条件との数が不一致であるので、数の少ない開始条件を有する作業、本実施形態において設備側相手作業開始条件を有する設備側作業に関して、前述する手順で船側作業に関連付けられる。そして、数が多い開始条件、本実施形態において船側作業開始条件を有する設備側作業であって、船側作業と関連付けられなかった設備側作業については、船側作業開始条件に基づいて船側作業に関連付けられる。本実施形態では、表3に示すように「アーム切離し」の「相手方子作業」である「荷役ポンプ停止」において、「アーム切離し」が「相手方親作業」として挙げられていない。それ故、「アーム切離し」は、船側作業と関連付けられなかった設備側作業となる。そこで、「アーム切離し」は、その「相手方子作業」だけをもって「荷役ポンプ停止」に関連付けされる(図7の作業種別(共通・相手方)の一端矢印の二点鎖線参照)。このようにして船側の作業に関して設備側相手作業開始条件及び船側作業開始条件に基づいて互いに関連性がある船側作業と設備側作業とが関連付ける。これにより、設備側関連付け情報が得られる。
【0070】
更に、船側作業及び設備側作業に関して自方従属連付け作業が行われる。船側作業の自方従属連付け作業は、船側作業において自方作業開始条件に基づいて、各船側作業が互いに関連付けられる。例えば、表2に示すように「警戒ブイ設置」の「自方作業従属作業」(即ち、自方作業開始条件)の「従属No.」として「2」、即ち「着桟」が挙げられている。そこで、「警戒ブイ設置」は、「着桟」の後に行われる作業(即ち、従属作業)として互いに関連付けられる。同様に、「O2チェック」が「ギャングウェイ取付」の従属作業として互いに関連付けられる。また、「ウォーターカーテン」が「ESDテスト(ホット)」及び「荷役前会議」の従属作業、「アームクールダウン」が「ウォーターカーテン」の従属作業として互いに関連付けられる。
【0071】
設備側作業の自方従属連付け作業もまた同様に、設備側作業において自方作業開始条件に基づいて、各設備側作業が互いに関連付けられる。例えば、表2に示すように「ローディングアーム接続」の「自方作業従属作業」の「従属No.」として「5」、即ち「通信テスト」が挙げられている。そこで、「ローディングアーム接続」は、「通信テスト」の後に行われる作業(即ち、従属作業)として互いに関連付けられる。同様に、「ウォーターカーテン」が「ローディングアーム接続」の従属作業、「ウォーターカーテン停止」及び「後尺」が「アーム切離し」の従属作業として互いに関連付けられる。これにより、自方従属関連付け情報が得られる。自方従属関連付け情報は、自方作業開始条件に基づいて船側作業及び設備側作業が夫々互いに関連付けられた際の関連性を示す情報である。
【0072】
このようにして、前述する船側相手方関連付け作業、設備側相手方関連付け作業、及び自方従属関連付け作業が全て終了すると、ステップS5に移行する。
【0073】
作業フロー作成工程であるステップS5では、共通作業関連付け情報、船側作業情報、及び設備側作業情報とに基づいて作業フローが作成される。より詳細に説明すると、共通作業関連付け情報、船側作業情報、及び設備側作業情報の他、船側相手方関連付け情報、設備側相手方関連付け情報、及び自方従属関連付け情報に基づいて作業フローが作成される。例えば、以下のようにして図8のような作業フロー7が作成される。
【0074】
まず、船側共通作業及び設備側共通作業が共通作業関連付け情報に基づいて夫々関連付けられる。関連付けられた2つの共通作業は、例えば「着桟」のように船2及び貯蔵設備3の1つの共通作業として表される。同様に、「キングウェイ取付」、「通信ケーブル接続」、「通信テスト」、「ESDテスト(ホット)」、「荷役前会議」、「ESDテスト(コールド)」、「荷役後会議」、「通信ケーブル切離し」、「ギャングウェイ取外し」、及び「離桟」が1つの共通作業として夫々表される。そして、船側作業情報及び設備側作業情報の作業順番に基づいて、各共通作業が実施される順番が決められる。そして、各共通作業が決められた順番にて並べられる。
【0075】
次に、船側作業及び設備側作業において共通作業以外の単独作業は、作成される作業フローにおいて、船側作業情報及び設備側作業情報の作業順番に基づいて並べられた共通作業の間又は共通作業の前後に配置される。より詳細に説明すると、まず各単独作業が以下のようにして関連付けられる。即ち、単独作業の各々は、船側相手方関連付け情報、設備側相手方関連付け情報、及び自方従属関連付け情報に基づいて互いに関連付けられる。そして、各単独作業は、関連付けられた際の従属関係(図7参照)を確保しつつ、船側作業情報及び設備側作業情報の作業順番に基づいて並べられた共通作業の間又は共通作業の前後に配置する。
【0076】
例えば、船側作業及び設備側作業の何れにおいても「着桟準備」は、「No.」(即ち、作業順番)が共に「1」であるので、「No.」が「2」の共通作業である「着桟」の前に配置される。また、船側作業の「ブイ設置」及び「O2チェック」は、自方従属関連付け情報に基づいて「着桟」及び「ギャングウェイ取付」に従属する作業である。それ故、フロー上において、「ブイ設置」及び「O2チェック」は、夫々「着桟」及び「ギャングウェイ取付」より後に行われる作業とされる。それを踏まえ、各々の「No.」が「4」及び「5」である「ブイ設置」及び「O2チェック」は、「No.」が「3」の共通作業である「ギャングウェイ取付」と「No.」が「6」の共通作業である「通信ケーブル接続」の間に配置される。また、船側作業の「O2パージ用ラインアップ」と設備側作業の「O2パージ」は、各々の相手方関連付け情報に基づいて、「相手方子作業」及び「相手方親作業」で夫々関連付けられている。それ故、作業フロー上、「O2パージ用ラインアップ」が「O2パージ」より後に行われる作業とされる。それを踏まえ、「No.」が「8」である「O2パージ用ラインアップ」は、「No.」が「7」の共通作業である「通信テスト」と「No.」が「9」の共通作業である「ESDテスト(ホット)」との間に夫々配置され。更に、前述の通り、「O2パージ用ラインアップ」が「O2パージ」より後に行われるように各々が配置される。同様にして、全ての船側及び設備側の各々の独立作業が船側作業情報及び設備側作業情報の作業順番に基づいて並べられた共通作業の間又は共通作業の前後に配置される。このようにして、図8のような作業フロー7が作成される。
【0077】
また、作業フロー7が作成される際、船側作業情報及び設備側作業情報に基づいて、各STEP1~11の完了推定時刻が演算される。各STEP1~11は、1つの作業又は複数の作業を任意に纏められる作業群であって、完了推定時刻は、1つの作業又は作業群が完了する推定時刻である。また、完了推定時刻は、船側作業情報及び設備側作業情報は、作業所要時間に基づいて算出される。更に、作業フロー7では、船側作業情報及び設備側作業情報において「作業完了確認名称」が設定される作業に関して作業完了条件が設定される。作業完了条件は、「作業完了確認名称」に記される確認項目、即ち状態量に関する検出値が作業完了閾値に記載される閾値以下(又は閾値以上)である。本実施形態において、船側作業において、表2に示すように「アームクールダウン」及び「荷役ポンプ停止」において作業完了条件が設定されている。例えば、「アームクールダウン」において船側液化ガス温度が所定の基地側温度以下であることが作業完了条件である。また、設備側作業において、表3に示すように「RGB停止」においても作業完了条件が設定されている。更に、作業完了閾値は、例えば状態量の「最大値」、「最小値」、「平均値」、及び「推奨値」等のうちから設定することができる。このようにして作業フロー7が作成されると、ステップS6に移行する。
【0078】
作業フロー送信工程であるステップS6では、作業フロー作成工程で作成された作業フロー7が送信される。より詳細に説明すると、作業フロー作成装置1によって作業フロー7が装置側送受信器51から送信される。船2は、船側送受信器26によって作業フロー7を受信し、貯蔵設備3は、設備側送受信器45によって作業フロー7を受信する。船2が作業フロー7を夫々受信するとステップS7に移行し、貯蔵設備3が作業フロー7を受信するとステップS9に移行する。
【0079】
船側作業承認可否工程であるステップS7では、作業フロー7の流れに関して承認するか否かが船2に対して確認される。より詳細に説明すると、作業フロー7において各船側作業の流れに関して承認するか否かが確認される。例えば、作業フロー7において、各船側作業を承認するか否かが船側作業毎に確認される。具体的には、各船側作業の作業順番の間違い及び各船側作業の前後における作業の過不足がないこと等を確認すべく承認の可否が確認される。本実施形態において、船2では、船側集中監視装置24が図示しないモニター等の表示装置に送信される作業フロー7を表示させる。そして、表示される作業フロー7には、船側作業毎に作業順番の間違い及び前後の作業の過不足等がないことを承認するか否かの確認が求められる(例えば、図8の「通信ケーブル接続」のブロックにおける吹き出し7aの「OK」及び「NG」参照)。
【0080】
また、作業フロー7の流れに関して承認することには、船側作業及び設備側作業において設定される作業完了条件の作業完了閾値に関して承認することも含まれる。例えば、「アームクールダウン」において船側液化ガス温度が所定の基地側温度以下であることが作業完了条件である。船2において、作業完了閾値である基地側温度以下であることを承認するか否かが確認される。
【0081】
船2では、船側UI25を操作することによって、作業フロー7の流れを承認するか否かが入力される。即ち、船側作業の流れを承認するか否か、及び作業完了閾値を承認するか否かが入力される。作業フロー7を承認し得ない場合、ステップS8に移行する。他方、承認する場合、ステップS11に移行する。
【0082】
船側修正作業工程であるステップS8では、作業フロー7が修正される。より詳細に説明すると、承認されない船側作業に関して、船側UI25が操作されることによって修正が行われる。例えば、図8に示す船側作業追加ボタン7b(又は共通作業追加ボタン7d)がクリックされ、正しい作業順番の位置に船側作業(又は共通作業)が追加されたり、新たな船側作業(又は共通作業)が追加されたりする。この際、入力エリア7eにて新たに追加する作業に関して「作業名称」、「作業順番」、「相手方子作業」、及び「相手方親作業」等が入力できる。他方、削除する場合には、削除すべき船側作業(又は共通作業)は、そのブロックをクリックされて図示しない削除ボタンを選択することによって削除される。また、作業完了条件の閾値について承知し得ない場合は、船側UI25によって所望の閾値を入力する、又は後で実施される荷役前会議にて打ち合わせが行われる。修正等の作業が終了すると、再びステップS6に戻り、作業フロー7が船2及び貯蔵設備3に送信される。
【0083】
設備側作業承認可否工程であるステップS9では、作業フロー7の流れに関して承認するか否かが貯蔵設備3に対して確認される。より詳細に説明すると、船側承認作業工程と同様の方法で、作業フロー7において各設備側作業の流れに関して承認するか否かが確認される。例えば、作業フロー7において各設備側作業を承認するか否かが設備側作業毎に確認される。具体的には、各設備側作業の作業順番の間違い及び各設備側作業の前後における作業の過不足がないこと等を確認すべく承認の可否が確認される。本実施形態において、貯蔵設備3では、設備側集中監視装置43が図示しないモニター等の表示装置に送信される作業フロー7を表示させる。そして、表示される作業フロー7には、設備側作業毎に作業順番の間違い及び前後の作業の過不足等がないことを承認するか否かの確認が求められる(例えば、図8の「通信ケーブル接続」のブロックにおける吹き出し7aの「OK」及び「NG」参照)。
【0084】
また、前述の通り、作業フロー7の流れに関して承認することには、船側作業及び設備側作業において設定される作業完了条件の作業完了閾値に関して承認することも含まれる。例えば、「アームクールダウン」において船側液化ガス温度が所定の以下であることが作業完了条件である。貯蔵設備3においても、作業完了閾値である基地側温度以下であることを承認するか否かが確認される。
【0085】
貯蔵設備3では、設備側UI44を操作することによって、作業フロー7の流れを承認するか否かが入力される。即ち、設備側作業の流れを承認するか否か、及び作業完了閾値を承認するか否かが入力される。作業フロー7を承認し得ない場合、ステップS10に移行する。他方、修正がない場合、ステップS11に移行する。
【0086】
設備側修正作業工程であるステップS10では、作業フロー7が修正される。より詳細に説明すると、承認されない設備側作業に関して、設備側UI44が操作されることによって修正が行われる。即ち、船側修正作業工程と同様の方法で、承認されない設備側作業に関して修正が行われる。例えば、図8に示す設備側作業追加ボタン7c(又は共通作業追加ボタン7d)がクリックされ、正しい作業順番の位置に設備側作業(又は共通作業)が追加されたり、新たな設備側作業(又は共通作業)が追加されたりする。この際、入力エリア7eにて新たに追加する作業に関して「作業名称」、「作業順番」、「相手方子作業」、及び「相手方親作業」等が入力できる。他方、削除する場合には、削除すべき設備側作業(又は共通作業)は、そのブロックをクリックされて図示しない削除ボタンを選択することによって削除される。また、作業完了条件の閾値について承知し得ない場合は、設備側UI44によって所望の閾値を入力する、又は後で実施される荷役前会議にて打ち合わせが行われる。修正等の作業が終了すると、再びステップS6に戻り、作業フロー7が船2及び貯蔵設備3に送信される。
【0087】
作業フロー確定工程であるステップS11では、船2及び貯蔵設備3の両方において同意された作業フロー7を荷役作業の作業フロー7として確定させる。より詳細に説明すると、船2及び貯蔵設備3の各々において、UI25,45によって作業フロー7に同意する旨が示される。例えば、船2において、作業フロー7の船側入力の承認ボタン7fが船側UI25によってクリックされる。また、貯蔵設備3において、作業フロー7の設備側入力の承認ボタン7gが設備側UI44によってクリックされる。そうすると、作業フロー7が確定し、作業フロー7作成工程が終了する。
【0088】
<作業フロー>
作業フロー7では、各作業の開始時に各UI25,45によって各作業の開始を登録することができる。例えば、各UI25,45によって開始する作業のブロックをクリックすることによって作業開始が登録される。また、作業フロー7では、各作業の完了時に各UI25,45によって作業の完了を登録することができる。例えば、作業開始後に図9に示す吹き出し7hのように「Competed」及び「busy」のボタンが示される。作業完了時に「Competed」をクリックすることによって作業完了が登録される。終了した作業のブロックをクリックすることによって、ブロックの色が変わる。このようにして作業終了が登録される。他方、作業が遅れる場合において「busy」をクリックすることによって、作業に遅れが生じていることが知らされる。
【0089】
また、作業フロー7では、各作業の実施後に所定時間経過すると、船2及び貯蔵設備3の少なくとも一方に所定時間経過したことが報知される。例えば、船側作業の「警戒ブイ設置」(図9では「ブイ設置」)に関して、作業の開始が登録された後、作業時間が計測される。作業終了する前に作業時間が船側作業情報の「警戒ブイ設置」に関して登録されている作業所要時間(所定時間に相当)を超えると、船側報知器27によって作業所要時間経過したことが報知される。なお、作業フロー7では、各STEP1~11の完了時間(図9において「実完了時刻」)を入力することができる。例えば、作業フロー7では、各作業終了後に各UI25,45によって作業終了を登録することができる。これにより、荷役作業全体の遅れを確認することができる。
【0090】
更に作業フロー7では、複数の船側作業及び複数の設備側作業の各々に対して前記船及び前記貯蔵設備の各々でコメントが作成される。コメントは、コメントを作成する船2及び貯蔵設備3の相手側に通知される。例えば、フロー作業において作業完了後に各UI25,35によってブロックがクリックされると、図示しないコメント欄が現れる。そして、各UI25,35によってコメント欄にコメントを入力することができる。コメント欄には、例えば遅延理由等のコメントが入力される。なお、コメント欄に入力されるコメントは、相手側に通知するか否かを選択することができる。入力されたコメントは、フロー作成器52において記憶される。相手側に通知しない場合、遅延理由を過去に遡って確認することができる。他方、相手側に通知する場合、フロー作成器52を介して相手側にコメントが送信される。これにより、相手側の作業フロー7にてコメントが確認される。例えば、図9の作業フロー7において、相手側からコメントの通知がある場合、コメントが付されるブロックに「※」が付される。これにより、ブロックにコメントが付されていることが通知される。そして、相手側において、作業に対するコメントが確認される。
【0091】
本実施形態の作業フロー作成方法では、船側作業情報及び設備側作業情報が事前に登録される。そして、各作業情報に作業順番、共通作業情報、作業開始条件、及び相手側作業開始条件が含まれている。それ故、船2及び貯蔵設備3の各々において荷役に行う作業に関するフローを事前に作成することができる。これにより、荷役作業の開始が遅れることを抑制できる。
【0092】
また、本実施形態の作業フロー作成方法では、共通作業関連付け工程において各々の共通作業の数が一致しない場合、船側共通作業及び設備側共通作業のうち数が多い方の作業に関してグルーピングすることによって各共通作業の数を一致させる。そして、船側共通作業の各々と設備側共通作業の各々とが一対一で関連付けられる。これにより、船2及び貯蔵設備3において、各々の共通作業について事前にすり合わせを行うことなく共通作業の関連付けを行うことができる。これにより、船2及び貯蔵設備3の各々において作業情報の事前登録が容易である。
【0093】
更に、本実施形態の作業フロー作成方法では、従属作業関連付け工程において船側相手作業開始条件と設備側作業開始条件との数が一致しない場合、互いに関連性の高い船側相手作業開始条件と設備側作業開始条件とを一対一で関連付ける。これにより、船2及び貯蔵設備3において、各々の開始条件について事前にすり合わせを行うことなく開始条件の関連付けを行うことができる。これにより、船2及び貯蔵設備3の各々において作業情報の事前登録が容易である。
【0094】
更に、本実施形態の作業フロー作成方法では、従属作業関連付け工程において設備側相手作業開始条件と船側作業開始条件との数が一致しない場合、互いに関連性の高い設備側相手作業開始条件と船側作業開始条件とを一対一で関連付ける。これにより、船2及び貯蔵設備3において、各々の開始条件について事前にすり合わせを行うことなく開始条件の関連付けを行うことができる。これにより、船2及び貯蔵設備3の各々において作業情報の事前登録が容易である。
【0095】
更に、本実施形態の作業フロー作成方法では、各承認可否工程では、作業フロー7の流れを承認するか否かが確認され、承認しない場合、修正工程にて作業フロー7が修正される。それ故、各々の作業に関して意思疎通を行うことができる。これにより、船2及び貯蔵設備3の各々において望んだ作業フロー7を作成することができる。
【0096】
更に、本実施形態の作業フロー作成方法では、作業フロー7では、各作業に関して各作業実施後に所定時間経過すると、船2及び貯蔵設備3の少なくとも一方に所定時間経過したことが報知される。これにより、作業の遅れを知らせることができる。
【0097】
更に、本実施形態の作業フロー作成方法では、作業フロー7では、複数の船側作業及び複数の設備側作業の少なくとも1つの作業において作業完了条件が設定される。そして、作業完了条件設定は、船2及び貯蔵設備3において同意されることによって設定される。それ故、作業完了条件が不所望な条件となることが抑制される。
【0098】
更に、本実施形態の作業フロー作成方法では、作業フロー7では、複数の船側作業及び複数の設備側作業の各々に対するコメントが作成される。そして、作成されるコメントは、相手側に通知される。それ故、複数の船側作業及び複数の設備側作業の各々に関する意見等を相手側に知らせることができる。
【0099】
また、本実施形態の作業フロー作成装置1では、船側作業情報及び設備側作業情報が事前に登録される。そして、各作業情報に作業順番、共通作業情報、作業開始条件、及び相手側作業開始条件が含まれている。それ故、船2及び貯蔵設備3の各々において荷役に行う作業に関するフローを事前に作成することができる。これにより、荷役作業の開始が遅れることを抑制できる。
【0100】
<その他の実施形態について>
本実施形態の作業フロー作成方法は、共通作業関連付け工程、及び従属作業関連付け工程等を備えているが、必ずしも必要ではない。本実施形態では、船側作業登録工程及び設備側作業登録工程が各UI25,45によって作業名称等を自由に入力することができる。これに対して、各作業の作業名称が予め決められている、例えばタブ入力等する場合、共通作業関連付け及び従属作業関連付けが予め決めておくことで、共通作業関連付け工程及び従属作業関連付け工程をなくすことができる。
【0101】
また、船側作業情報及び設備側作業情報の各々に関して登録される項目は、必ずしも表1の項目に限定されない。船側作業情報及び設備側作業情報の各々は、表1の項目より少なくてもよく、またそれより多くてもよい。船側作業情報及び設備側作業情報の各々において、登録される項目としては、少なくとも「作業名称」、「作業順番」、「相手方親作業」、「相手方子作業」、及び「両拠点共通作業」があればよい。
【0102】
また、前述する作業フローの各作業は、あくまで一例である。即ち、作業フローは、前述する各作業より多くの作業を有していてもよく、また前述する各作業のうち幾つかが省略されていてもよい。また、作業フローにおいて、必ずしも作業所要時間の経過の報知、及びコメントの相手への通知等も必ずしも行われる必要はない。
【0103】
<例示的な実施形態>
第1の局面における液化ガス荷役作業の作業フロー作成方法は、船と貯蔵設備との間で行われる液化ガスの荷役作業の作業フローを作成する液化ガス荷役作業の作業フロー作成方法であって、荷役作業において前記船で行われる複数の船側作業に関する情報である船側作業情報が登録される船側作業登録工程と、荷役作業において前記貯蔵設備で行われる複数の設備側作業に関する情報である設備側作業情報が登録される設備側作業登録工程と、船側作業情報と設備側作業情報とに基づいて、複数の船側作業及び複数の設備側作業のうち前記船及び前記貯蔵設備において共通して行われる共通作業を互いに関連付ける共通作業関連付け工程と、前記共通作業関連付け工程における関連付けによって得られる共通作業関連付け情報、船側作業情報、及び設備側作業情報とに基づいて、複数の船側作業及び複数の設備側作業の各々の流れを示す作業フローを作成する作業フロー作成工程と、を備え、船側作業情報は、各船側作業の作業順番を示す船側作業順番と、各船側作業が船側共通作業であるか否かを示す船側共通作業情報、船側作業の開始条件となる設備側作業を示す船側作業開始条件と、船側作業が開始条件となる設備側作業を示す船側相手作業開始条件と、を含み、設備側作業情報は、各設備側作業の作業順番を示す設備側作業順番と、各設備側作業が設備側共通作業であるか否かを示す設備側共通作業情報、設備側作業の開始条件となる船側作業を示す設備側作業開始条件と、設備側作業が開始条件となる船側作業を示す設備側相手作業開始条件と、を含む方法である。
【0104】
上記局面に従えば、船側作業情報及び設備側作業情報が事前に登録される。そして、各作業情報に作業順番、共通作業情報、作業開始条件、及び相手側作業開始条件が含まれている。それ故、船及び貯蔵設備の各々において荷役に行う作業に関するフローを事前に作成することができる。これにより、荷役作業の開始が遅れることを抑制できる。
【0105】
第2の局面における液化ガス荷役作業の作業フロー作成方法では、第1の局面の液化ガス荷役作業の作業フロー作成方法において、前記共通作業関連付け工程では、船側共通作業及び設備側共通作業の数が一致しない場合、船側共通作業及び設備側共通作業のうち数が多い方の作業に関して複数の共通作業を1つの共通作業とみなすようにグルーピングすることによって船側共通作業及び設備側共通作業の数を一致させ、船側共通作業の各々と設備側共通作業の各々とを一対一で関連付ける。
【0106】
上記局面に従えば、共通作業関連付け工程において各々の共通作業の数が一致しない場合、船側共通作業及び設備側共通作業のうち数が多い方の作業に関してグルーピングすることによって各共通作業の数を一致させる。そして、船側共通作業の各々と設備側共通作業の各々とが一対一で関連付けられる。これにより、船及び貯蔵設備において、各々の共通作業について事前にすり合わせを行うことなく共通作業の関連付けを行うことができる。これにより、船及び貯蔵設備の各々において作業情報の事前登録が容易である。
【0107】
第3の局面における液化ガス荷役作業の作業フロー作成方法は、第1又は2の局面の液化ガス荷役作業の作業フロー作成方法において、船側相手作業開始条件及び設備側作業開始条件に基づいて、互いに関連性がある船側作業と設備側作業とを関連付ける従属作業関連付け工程を、更に備え、前記作業フロー作成工程では、前記従属作業関連付け工程における関連付けに基づいて各船側作業の流れを決定し、前記従属作業関連付け工程では、船側相手作業開始条件と設備側作業開始条件との数が一致しない場合、互いに関連性の高い船側相手作業開始条件と設備側作業開始条件とを一対一で関連付ける。
【0108】
上記局面に従えば、従属作業関連付け工程において船側相手作業開始条件と設備側作業開始条件との数が一致しない場合、互いに関連性の高い船側相手作業開始条件と設備側作業開始条件とを一対一で関連付ける。これにより、船及び貯蔵設備において、各々の開始条件について事前にすり合わせを行うことなく開始条件の関連付けを行うことができる。これにより、船及び貯蔵設備の各々において作業情報の事前登録が容易である。
【0109】
第4の局面における液化ガス荷役作業の作業フロー作成方法では、第1乃至3の何れかの局面の液化ガス荷役作業の作業フロー作成方法において、設備側相手作業開始条件及び船側作業開始条件に基づいて、互いに関連性がある船側作業及び設備側作業を関連付ける従属作業関連付け工程を、更に備え、前記作業フロー作成工程では、前記従属作業関連付け工程における関連付けに基づいて各設備側作業の流れを決定し、前記従属作業関連付け工程では、設備側相手作業開始条件と船側作業開始条件との数が一致しない場合、互いに関連性の高い設備側相手作業開始条件と船側作業開始条件とを一対一で関連付ける。
【0110】
上記局面に従えば、従属作業関連付け工程において設備側相手作業開始条件と船側作業開始条件との数が一致しない場合、互いに関連性の高い設備側相手作業開始条件と船側作業開始条件とを一対一で関連付ける。これにより、船及び貯蔵設備において、各々の開始条件について事前にすり合わせを行うことなく開始条件の関連付けを行うことができる。これにより、船及び貯蔵設備の各々において作業情報の事前登録が容易である。
【0111】
第5の局面における液化ガス荷役作業の作業フロー作成方法は、第1乃至4の何れかの局面の液化ガス荷役作業の作業フロー作成方法において、前記作業フロー作成工程で作成される作業フローの流れを承認するか否かが確認される承認可否工程と、前記承認可否工程において承認しない場合、承認しない作業に関して作業フローが修正される修正工程とを更に備える。
【0112】
上記局面に従えば、承認可否工程では、作業フローの流れを承認するか否かが確認され、承認しない場合、修正工程にて作業フローが修正される。それ故、各々の作業に関して意思疎通を行うことができる。これにより、船及び貯蔵設備の各々において望んだ作業フローを作成することができる。
【0113】
第6の局面における液化ガス荷役作業の作業フロー作成方法は、第1乃至5の何れかの局面の液化ガス荷役作業の作業フロー作成方法において、前記作業フローでは、各作業の実施後に所定時間経過すると、前記船及び前記貯蔵設備の少なくとも一方に所定時間経過したことが報知される。
【0114】
上記局面に従えば、作業フローでは、各作業に関して各作業実施後に所定時間経過すると、船及び貯蔵設備の少なくとも一方に所定時間経過したことが報知される。これにより、作業の遅れを知らせることができる。
【0115】
第7の局面における液化ガス荷役作業の作業フロー作成方法は、第1乃至6の何れかの局面の液化ガス荷役作業の作業フロー作成方法において、前記作業フローでは、複数の船側作業及び複数の設備側作業の少なくとも1つの作業において検出される検出値が閾値以上である作業完了条件が設定され、前記作業完了条件は、前記船及び前記貯蔵設備において同意されることによって設定される。
【0116】
上記局面に従えば、作業フローでは、複数の船側作業及び複数の設備側作業の少なくとも1つの作業において作業完了条件が設定される。そして、作業完了条件設定は、船及び貯蔵設備において同意されることによって設定される。それ故、作業完了条件が不所望な条件となることが抑制される。
【0117】
第8の局面における液化ガス荷役作業の作業フロー作成方法は、第1乃至7の何れかの局面の液化ガス荷役作業の作業フロー作成方法において、前記作業フローでは、複数の船側作業及び複数の設備側作業の各々に対して前記船及び前記貯蔵設備の各々でコメントが作成され、コメントは、コメントを作成する前記船及び前記貯蔵設備の相手側に通知される。
【0118】
上記局面に従えば、作業フローでは、複数の船側作業及び複数の設備側作業の各々に対するコメントが作成される。そして、作成されるコメントは、相手側に通知される。それ故、複数の船側作業及び複数の設備側作業の各々に関する意見等を相手側に知らせることができる。
【0119】
第9の局面における液化ガス荷役作業の作業フロー作成装置は、船と貯蔵設備との間で行われる液化ガスの荷役作業の作業フローを作成する液化ガス荷役作業の作業フロー作成装置であって、荷役作業において前記船で行われる複数の船側作業に関する情報である船側作業情報を前記船から受信し、及び荷役作業において前記貯蔵設備で行われる複数の設備側作業に関する情報である設備側作業情報を前記貯蔵設備から受信する受信器と、前記受信器で受信する船側作業情報と設備側作業情報とに基づいて、複数の船側作業及び複数の設備側作業のうち前記船及び前記貯蔵設備において共通して行われる共通作業を互いに関連付けし、関連付けによって得られる共通作業関連付け情報、船側作業情報、及び設備側作業情報に基づいて、複数の船側作業及び複数の設備側作業の流れを示す作業フローを作成するフロー作成器と、作成される作業フローを前記船及び前記貯蔵設備の各々に送信する送信器と、を備え、船側作業情報は、各船側作業の作業順番を示す船側作業順番と、各船側作業が船側共通作業であるか否かを示す船側共通作業情報、船側作業の開始条件となる設備側作業を示す船側作業開始条件と、船側作業が開始条件となる設備側作業を示す船側相手作業開始条件と、を含み、設備側作業情報は、各設備側作業の作業順番を示す設備側作業順番と、各設備側作業が設備側共通作業であるか否かを示す設備側共通作業情報、設備側作業の開始条件となる船側作業を示す設備側作業開始条件と、設備側作業が開始条件となる船側作業を示す設備側相手作業開始条件と、を含むものである。
【0120】
上記局面に従えば、船側作業情報及び設備側作業情報が事前に登録される。そして、各作業情報に作業順番、共通作業情報、作業開始条件、及び相手側作業開始条件が含まれている。それ故、船及び貯蔵設備の各々において荷役に行う作業に関するフローを事前に作成することができる。これにより、荷役作業の開始が遅れることを抑制できる。
【符号の説明】
【0121】
1 作業フロー作成装置
2 船
3 貯蔵設備
7 作業フロー
51 送受信器(送信器、受信器)
52 フロー作成器
図1
図2
図3
図4
図5
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図9