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特開2024-89578せり制御装置、せりシステム、せり制御方法及びせり制御プログラム
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  • 特開-せり制御装置、せりシステム、せり制御方法及びせり制御プログラム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024089578
(43)【公開日】2024-07-03
(54)【発明の名称】せり制御装置、せりシステム、せり制御方法及びせり制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/08 20120101AFI20240626BHJP
【FI】
G06Q30/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022204994
(22)【出願日】2022-12-21
(71)【出願人】
【識別番号】000237639
【氏名又は名称】富士通フロンテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 聡
【テーマコード(参考)】
5L030
5L049
【Fターム(参考)】
5L030BB73
5L049BB73
(57)【要約】
【課題】せりを適切に進行させるせり制御装置、せりシステム、せり制御方法及びせり制御プログラムを提供する。
【解決手段】機械学習モデル100は、中古車のせりの状態を示すせり状態情報を入力として、応札パターンを出力する。不在応札生成推論部18は、現在のせり状態情報を取得して、学習済みの機械学習モデル100を用いて現在のせりの状態に応じた応札パターンを推論する。不在応札生成部17は、不在応札生成推論部18による推論結果である応札パターンを基に不在応札を実行する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中古車のせりの状態を示すせり状態情報を入力として、応札パターンを出力する学習済みの機械学習モデルと、
現在のせり状態情報を取得して、前記機械学習モデルを用いて現在のせりの状態に応じた応札パターンを推論する不在応札生成推論部と、
前記不在応札生成推論部による推論結果である応札パターンを基に、不在応札を実行する不在応札生成部と
を備えたことを特徴とするせり制御装置。
【請求項2】
前記不在応札生成推論部は、不在応札までの待ち時間及び応札している時間を含む前記応札パターンを前記機械学習モデルから推論結果として取得することを特徴とする請求項1に記載のせり制御装置。
【請求項3】
前記不在応札生成推論部は、車両情報、せり対象となる前記中古車の分類毎に割り当てられるコーナー名及びせりの所定の段階における価格での応札数を含む前記せり状態情報を前記機械学習モデルに入力することを特徴とする請求項2に記載のせり制御装置。
【請求項4】
前記機械学習モデルは、過去のせりで行われた複数の応札のそれぞれの応札パターン及び各応札時の前記せり状態情報を用いて学習が行われることを特徴とする請求項1に記載のせり制御装置。
【請求項5】
せり制御装置、不在応札学習装置及び業務システムを有するせりシステムであって、
前記業務システムは、過去の中古車のせりで行われた複数の応札のそれぞれの応札パターン及び各応札時のせりの状態を示すせり状態情報を含む応札情報を保持し、
前記不在応札学習装置は、
前記応札情報を前記業務システムから収集する学習情報収集部と、
前記学習情報収集部により収集された前記応札情報を用いて機械学習モデルの学習を実行する不在応札学習部とを備え、
前記業務システムは、
現在のせり状態情報を取得して、前記不在応札学習部による学習が完了した前記機械学習モデルを用いて現在のせりの状態に応じた応札パターンを推論する不在応札生成推論部と、
前記不在応札生成推論部による推論結果である応札パターンを基に、不在応札を実行する不在応札生成部と
を備えたことを特徴とするせりシステム。
【請求項6】
せり制御装置が、
中古車のせりの状態を示すせり状態情報を入力として応札パターンを出力する学習済みの機械学習モデルを有し、
現在のせりの状態を示すせり状態情報を取得して、前記機械学習モデルを用いて現在のせりの状態に応じた応札パターンを推論し、
推論結果である前記応札パターンを基に不在応札を実行する
ことを特徴とするせり制御方法。
【請求項7】
中古車のせりの状態を示すせり状態情報を入力として応札パターンを出力する学習済みの機械学習モデルに対して、現在のせりの状態を示すせり状態情報を入力して、現在のせりの状態に応じた応札パターンを推論し、
推論結果である前記応札パターンを基に不在応札を実行する
処理をコンピュータに実行させることを特徴とするせり制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、せり制御装置、せりシステム、せり制御方法及びせり制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
中古車等のせり会場では、設置されているせりシステムにより出品情報、価格状況及び応札者の位置等の情報が各応札者に提供される。例えば、中古車せりの場合のせりシステムは、主にせりサーバアプリが動作するせりサーバ及び買い手用端末アプリが動作する購買店操作端末装置で構成される。そして、中古車せりのせりシステムによる以下のような処理でせりが進んでいく。なお、以下では応札を行うもしくは行った買い手を応札者と呼ぶ。
【0003】
まず、車両の画像、出品票及び価格等の中古車せりの出品情報が、予めデータベースに格納される。そして、1台1台のせり開始時に、せりサーバがデータベースを読み込んで、購買店操作端末装置に配信する。次に、せりに参加したい買い手が、会員番号が書き込まれたICカードを購買店操作端末装置にかざすことで、購買店操作端末装置は、会員番号をせりサーバへ送信する。せりサーバは、購買店操作端末装置から送信された会員番号とデータベースに登録された会員番号とを照合して、認証結果を購買店操作端末装置へ送信する。認証が成功した場合、買い手は、せりに参加可能となる。以下、セリに参加した買い手を参加者と呼ぶ。
【0004】
せりが開始されると、現在の価格で買いたい参加者は、購買店操作端末装置の応札ボタンを押下する。応札ボタンが押下されると、購買店操作端末装置は、価格と会員番号とをせりサーバへ送信する。せりサーバは、価格に1値幅を加算して現在の価格として購買店操作端末装置へ送信する。複数の参加者により応札が繰り返されることで、せりサーバは、売り手の応札順位を更新する。その車両を出品した売り手が現在の価格で販売してもよいと判断した場合、売り手からの販売の指示を受けて、せりサーバが、応札順位1位の購買店操作端末装置に落札の通知を送信して、落札が決定する。
【0005】
このようなせりシステムにおいて、実際には応札者が応札ボタンを押さずに、上限価格の設定を予め受けたせりサーバが上限価格まで自動で応札を繰り返す不在応札という技術が存在する。ただし、不在応札では応札者の応札ではなくせりサーバが自動的に応札を行っていることが他の参加者に判明した場合、価格の不当な引き上げや応札控え等が行われ、せりを適切に進めることが困難になるおそれがある。
【0006】
そこで、せりサーバは、不在応札を行う際に、実際の人間が応札しているように見せることが望ましい。このような技術として、価格アップから疑似応札までの時間間隔や応札ボタンを押下する長さをランダムに変化させて不在応札を行う技術が提案されている。
【0007】
また、応札速度と応札人数から応札雰囲気を判定し、応札間隔等が予め設定された複数の性格の中から応札雰囲気に応じた性格を割り当てて不在応札を行う技術が提案されている。また、基準金額とランク金額を予め設定しておき、せり値が基準金額を超えてランク金額以内となると、スローダウン制御を行い、かつ、せり相手が存在している限り、せり値が基準金額を超えてもスローダウン制御までは無条件に応札する技術が提案されている。また、うりきり前の上限価格とうりきり後の上限価格とを設定し、うりきり前にはうりきり前の上限価格まで自動応札し、うりきり後にはうりきり後の上限価格まで自動応札する技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008-139929号公報
【特許文献2】特開2005-18476号公報
【特許文献3】特開2007-293656号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、ランダムロジックを用いて人間が応札しているように見せる技術では、実際の人による応札であればその人の傾向が表れるところ、不自然なタイミングで不在応札が行われるなどして他の参加者に不在応札であることが判明してしまう場合がある。また、判定した応札雰囲気から割り当てられる性格に基づいて不在応札を行う技術では、予め決められた性格にしたがうため、状況に応じた適切な応札が行うことが困難な場合がある。また、ランク金額以内となるとスローダウン制御を行う技術や、うりきり前後で異なる上限価格を用いて自動応札を行う技術では、不在応札を人間による応札に近づけることは考慮されていない。そのため、いずれの技術を用いても、せりの適切な進行を維持することは困難である。
【0010】
開示の技術は、上記に鑑みてなされたものであって、せりを適切に進行させるせり制御装置、せりシステム、せり制御方法及びせり制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本願の開示するせり制御装置、せりシステム、せり制御方法及びせり制御プログラムの一つの態様において、機械学習モデルは、学習済みであり、中古車のせりの状態を示すせり状態情報を入力として、応札パターンを出力する。不在応札生成推論部は、現在のせり状態情報を取得して、前記機械学習モデルを用いて現在のせりの状態に応じた応札パターンを推論する。不在応札生成部は、前記不在応札生成推論部による推論結果である応札パターンを基に、不在応札を実行する。
【発明の効果】
【0012】
1つの側面では、本発明は、せりを適切に進行させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、実施例に係るせりシステムのブロック図である。
図2図2は、機械学習モデルの入力データ及び出力データの一例を示す図である。
図3図3は、実施例に係るせりサーバにおける通常状態の不在応札処理のシーケンス図である。
図4図4は、実施例に係るせりサーバにおける流れ警告発生時の不在応札処理のシーケンス図である。
図5図5は、情報処理装置のハードウェア構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本願の開示するせり制御装置、せりシステム、せり制御方法及びせり制御プログラムの実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施例により本願の開示するせり制御装置、せりシステム、せり制御方法及びせり制御プログラムが限定されるものではない。
【実施例0015】
図1は、実施例に係るせりシステムのブロック図である。本実施例に係るせりシステム1は、図1に示すように、せりサーバ10、不在応札学習装置20、業務システム30、せり調整装置40及び購買店操作端末装置50を有する。せりサーバ10、不在応札学習装置20、業務システム30、せり調整装置40及び購買店操作端末装置50は、インターネット等のネットワークに有線又は無線により接続されている。
【0016】
業務システム30は、せり会場における各種業務を行うシステムである。例えば、業務システム30は、せり会場でのせりに参加できる会員の登録、削除、登録情報の変更等を行う。そして、業務システム30は、登録情報を用いて。せり会場に来場した会員の確認を行う。また、業務システム30は、せりに出品される車両情報やスタート価格等のせり情報を管理する。そして、業務システム30は、せり情報をせりサーバ10へ送信する。
【0017】
また、業務システム30は、せり開始までに、不在応札の申し込みである不在応札登録を購買店のせり参加者から受信する。不在応札登録には、上限価格の情報が含まれる。そして、業務システム30は、不在応札登録を基に生成した不在応札情報をせりサーバ10へ送信する。
【0018】
さらに、業務システム30は、過去の応札情報を保持する。応札情報には、過去に実施されたせりにおける応札毎に、その応札が行われた、コーナー名、車両情報、所定の段階における価格での応札数、前の応札からその応札が行われるまでの待ち時間である応札間隔、及び、応札ボタンを押している時間等が含まれる。応札ボタンを押し続けている間は繰り替えし応札を行っている状態であり、以下では、応札ボタンを押している時間を「応札している時間」と呼ぶ。
【0019】
コーナー名は、せりに掛けられる車の特徴毎にことなり、例えば、軽自動車コーナー、外車コーナー、事故車コーナー及びうりきりコーナー等が含まれる。車両情報には、例えば、車種名、型式、評価点、走行距離及び事故区分等の各車両に固有の情報が含まれる。所定の段階における価格での応札数には、例えば、1つ前の価格での応札数、2つ前の価格での応札数及び3つ前の価格での応札数等が含まれる。
【0020】
せり調整装置40は、せり人によるせりの進行や調整人によるせり中の価格の調整等を可能にする。例えば、せり調整装置40は、せりを開始させるスタート信号等の調整情報をせりサーバ10へ送信する。
【0021】
購買店操作端末装置50は、会員がせりに参加するためのものであり、せりの会員用の座席に設置されている。購買店操作端末装置50は、図示しない会員カードに記録された情報を読み取るカードリーダ、応札を行うための応札スイッチを備える。購買店操作端末装置50は、せり中において、応札状況を表示する買い手用せり画面を表示する。そして、購買店操作端末装置50は、買い手用せり画面を用いた参加者による応札価格の入力や応札指示を受け付ける。そして、購買店操作端末装置50は、受け付けた情報に応じた応札データを含む応札電文を生成してせりサーバ10へ送信する。
【0022】
不在応札学習装置20は、せりサーバ10による不在応札において次の不在応札疑似電文の生成及び送信を行うまでの時間である不在応札までの待ち時間及び応札している時間を推論する機械学習モデル100の学習を実行する装置である。不在応札までの待ち時間は、不在応札における応札間隔にあたる。不在応札学習装置20は、不在応札学習部21及び学習情報収集部22を有する。
【0023】
学習情報収集部22は、過去の応札情報を業務システム30から収集する。自動で行われる不在応札を人が行っているように見せるためには、不在応札までの待ち時間や応札している時間等が自然であることが求められる。これらは、実際の人間による応札であれば、出品された車の情報や他の参加者の応札状況によって変化する。そのため、コーナー名や車両情報により特定される車の情報及び所定の段階における価格での応札数により特定される他の参加者の応札状況に応じて、不在応札までの待ち時間や応札している時間が調整されることが好ましい。
【0024】
そこで、学習情報収集部22は、これらの情報を含む過去の応札情報を学習データとして利用する。学習情報収集部22は、収集した過去の応札情報のうちコーナー名、車両情報、所定の段階における価格での応札数を入力データとし、応札間隔及び応札している時間を教師データとして、入力データ及び教師データを含む学習データを不在応札学習部21へ出力する。
【0025】
不在応札学習部21は、学習データの入力を学習情報収集部22から受ける。そして、不在応札学習部21は、入力データを機械学習モデル100に入力して得られる出力データと教師データとを比較して、機械学習モデル100の推論精度を評価し、評価結果を用いて機械学習モデル100のパラメータを調整することで機械学習を実行する。機械学習モデル100としては、RNN(Recurrent Neural Network)等の回帰モデルを用いることが可能である。
【0026】
図2は、機械学習モデルの入力データ及び出力データの一例を示す図である。例えば、不在応札学習部21は、機械学習モデル100は、コーナー名、車両情報、1つ前の価格での応札数、2つ前の価格での応札数及び2つ前の価格での応札数を含む入力データ101を機械学習モデル100に入力する。そして、不在応札学習部21は、入力データ101に対する出力データ102となる不在応札までの待ち時間に対応する実際の応札における応札間隔及び応札している時間を教師データとして学習を進める。
【0027】
図1に戻って説明を続ける。不在応札学習部21は、予め決められたイテレーション回数の終了等の所定の学習完了条件を満たすと機械学習モデル100に対する学習を終了する。そして、不在応札学習部21は、学習済みの機械学習モデル100をせりサーバ10へ送信する。
【0028】
せりサーバ10は、応札した参加者である応札者の応札状況や、応札までに至っていない参加者である非応札者の入力状況の管理等を行う。せりサーバ10は、図1に示すように、業務情報受信部11、不在応札受付部12、調整情報受信部13、応札電文受信部14、主制御部15、せり状況電文送信部16、不在応札生成部17、不在応札生成推論部18及び学習済みの機械学習モデル100を有する。
【0029】
業務情報受信部11は、せり開始時に開始するせりに応じた車両情報やスターと価格等を含むせり情報を業務システム30から受信する。そして、業務情報受信部11は、取得したせり情報を主制御部15へ出力する。
【0030】
不在応札受付部12は、せり開始前にせりに対する上限価格等を含む不在応札情報を業務システム30から受信する。そして、不在応札受付部12は、不在応札情報を主制御部15へ出力する。
【0031】
調整情報受信部13は、調整情報を業務システム30から受信する。例えば、調整情報受信部13は、せり開始時にスタート指示を業務システム30から受信する。そして、調整情報受信部13は、調整情報を主制御部15へ出力する。
【0032】
応札電文受信部14は、応札情報を含む応札電文を業務システム30から受信する。そして、応札電文受信部14は、応札電文を主制御部15へ出力する。
【0033】
せり状況電文送信部16は、価格等を含むせり状況の情報の入力を主制御部15から受ける。そして、せり状況電文送信部16は、せり状況の情報を基にせり状況電文を生成して購買店操作端末装置50へ送信する。
【0034】
主制御部15は、価格や落札権利の判定を行う。主制御部15は、せり開始前に不在応札情報の入力を不在応札受付部12から受ける。そして、主制御部15は、不在応札情報を不在応札生成部17に通知する。
【0035】
また、主制御部15は、せり開始前に、せり情報の入力を業務情報受信部11から受ける。次に、主制御部15は、せり開始時に、せりのスタート指示の入力を調整情報受信部13から受ける。せりのスタート指示を受けると、主制御部15は、せり情報に含まれるスタート価格からせり情報で指定された車両のせりを開始する。
【0036】
せり開始後、主制御部15は、応札電文の入力を応札電文受信部14から受ける。また、主制御部15は、不在応札により生成された不在応札疑似電文の入力を不在応札生成部17から受ける。主制御部15は、応札電文又は不在応札疑似電文の入力を受けると現在の価格での応札を確定する。そして、主制御部15は、所定時間が経過すると応札が確定していれば現在の価格に1値幅を加算して価格を上昇させる。
【0037】
主制御部15は、せり情報で決められた基準価格に到達するまでせり制御の状態を誘導せり上げ状態として、応札電文の入力に関わらず価格を上昇させていく。その後、主制御部15は、価格が基準価格に到達すると、せり制御の状態をスローダウン状態に遷移させ、応札に応じて価格を上昇させる。その後、価格が予め決められたうりきり価格に達するもしくは出品店からうりきり指示を受けると、主制御部15は、せり制御の状態をうりきり状態に遷移させる。
【0038】
スローダウン状態で、うりきり状態に達していない場合、主制御部15は、その時点の価格で応札がないもしくは応札者が1名の場合、流れ警告時間とする。流れ警告時間になってから一定時間が経過しても2名以上の応札もしくは出品店の指示による価格上昇の指示がない場合、主制御部15は、車両の落札を決定せずにせりが流れたと判定して、せりを終了する。また、うりきり状態に達した場合、主制御部15は、現在の価格で応札が無ければ、現在の価格での落札を決定する。
【0039】
主制御部15は、せり中に、価格等を含むせり状況の情報をせり状況電文送信部16へ出力する。せり状況には応札の時刻や応札者の識別情報等が含まれてもよい。また、落札が決定すると、主制御部15は、落札情報をせり状況の情報としてせり状況電文送信部16へ出力する。
【0040】
また、主制御部15は、せり中に、せり制御の状態を不在応札生成部17に通知する。さらに、主制御部15は、価格が上昇すると上昇後の現在の価格を不在応札生成部17に通知する。また、主制御部15は、流れ警告の時間に入ると流れ警告を不在応札生成部17に通知する。
【0041】
また、主制御部15は、せり開始前に、せりを行うコーナー名及びせり対象の車両情報を不在応札生成推論部18に通知する。さらに、主制御部15は、せり中に、応札状況を不在応札生成推論部18に通知する。応札状況には、応札が行われた時刻及び応札を行った参加者の識別情報等が含まれる。
【0042】
不在応札生成部17は、せり開始前に、不在応札の対象の車両の情報及び上限価格等を含む不在応札情報の入力を主制御部15から受ける。そして、不在応札生成部17は、せり中に、せり制御の状態の通知を主制御部15から受ける。さらに、不在応札生成部17は、せり中に、現在の価格の通知を主制御部15から受ける。
【0043】
不在応札生成部17は、現在の価格の通知を主制御部15から受けると、不在応札を行える状態か否かを確認する。不在応札の対象の出品物でないもしくは上限価格を超えている場合、不在応札生成部17は、不在応札を行えない状態と判定して、不在応札生成処理を終了する。
【0044】
これに対して、不在応札の対象の出品物であり且つ上限価格を超えていない場合、不在応札生成部17は、不在応札を行える状態と判定して、その時点でのせり制御の状態を確認する。せり制御の状態が誘導せり上げ状態又はうりきり状態であれば、不在応札生成部17は、例えば、ランダムロジックを用いて応札間隔や応札ボタンの押下時間を調整しつつ、不在応札疑似電文を生成して主制御部15へ送信する。
【0045】
これに対して、せり制御の状態がスローダウン状態の場合、不在応札生成部17は、応札パターンを不在応札生成推論部18に問い合わせる。その後、不在応札生成部17は、応札パターンの入力を不在応札生成推論部18から受ける。応札パターンには、不在応札までの待ち時間及び応札している時間が含まれる。
【0046】
そして、不在応札生成部17は、応札パターンで指定された不在応札までの待ち時間及び応札している時間の補正処理を行う。ここで、不在応札生成部17は、1台の車両に対して複数件の不在応札を行う。そのため、不在応札生成部17が、同じ応札パターンを全ての不在応札に適用した場合、不自然な応札となるおそれがある。そこで、不在応札生成部17は、不在応札生成推論部18から取得した応札パターンに対して、不在応札毎に若干のランダムなパターン補正を行う。
【0047】
その後、不在応札生成部17は、各不在応札について不在応札までの待ち時間待機する。現在の価格の通知を受けてから不在応札までの待ち時間経過後、不在応札生成部17は、不在応札疑似電文を生成して主制御部15へ出力する。その後、不在応札生成部17は、不在応札までの待ち時間経過後から応札している時間が経過するまで、一定間隔で不在応札疑似電文を生成して主制御部15への出力を繰り返す。応札している時間の経過後、不在応札生成部17は、不在応札疑似電文の生成を終了して、次の価格の通知まで待機する。
【0048】
また、不在応札生成部17は、不在応札までの待ち時間の待機中に流れ警告を受けた場合、流れ警告の残り時間が予め閾値未満となったか否かを判定する。不在応札までの待ち時間経過前に流れ警告の残り時間が予め閾値未満となった場合、不在応札生成部17は、待機を解除する。そして、不在応札生成部17は、不在応札までの待ち時間の経過を待たずに、不在応札疑似電文を生成して主制御部15へ出力する。その後、不在応札生成部17は、不在応札までの待ち時間経過後から応札している時間の間は、一定間隔で不在応札疑似電文を生成して主制御部15への出力を繰り返す。応札している時間の経過後、不在応札生成部17は、不在応札疑似電文の生成を終了して、次の価格の通知まで待機する。
【0049】
不在応札生成推論部18は、せり開始前に、せりを行うコーナー名及びせり対象の車両情報の通知を主制御部15から受ける。さらに、不在応札生成推論部18は、せり中に、応札状況の通知を主制御部15から受ける。
【0050】
そして、不在応札生成推論部18は、セリが行われている間に、応札パターンの問い合わせを不在応札生成部17から受ける。次に、不在応札生成推論部18は、主制御部15から取得した応札状況から、1つ前の価格での応札数、2つ前の価格での応札数及び3つ前の価格での応札数を取得する。そして、不在応札生成推論部18は、図2に示したコーナー名、車両情報、1つ前の価格での応札数、2つ前の価格での応札数及び3つ前の価格での応札数を含む入力データ101を学習済みの機械学習モデル100へ入力する。
【0051】
その後、不在応札生成推論部18は、入力データ101に対する機械学習モデル100から出力される推論結果である、不在応札までの待ち時間及び応札している時間を含む出力データ102を取得する。そして、不在応札生成推論部18は、取得した出力データ102に含まれる不在応札までの待ち時間及び応札している時間を応札パターンとして不在応札生成部17へ出力する。
【0052】
図3は、実施例に係るせりサーバにおける通常状態の不在応札処理のシーケンス図である。次に、図3を参照して、本実施例に係るせりサーバ10における通常状態の不在応札処理の流れを説明する。
【0053】
主制御部15は、現在の価格を不在応札生成部17に通知する(ステップS101)。
【0054】
不在応札生成部17は、車両情報及び現在の価格と上限価格との比較結果を用いて、不在応札を行える状態か否か、すなわち、車両が不在応札対象車両であり且つ上限価格が現在価格以下であるかを判定する(ステップS102)。不在応札を行えない場合(ステップS102:否定)、不在応札生成部17は、不在応札処理を終了する。
【0055】
これに対して、不在応札を行える場合(ステップS102:肯定)、不在応札生成部17は、せり制御の状態がスローダウン状態か否かを判定する(ステップS103)。せり制御の状態が誘導せり上げ状態又はうりきり状態の場合(ステップS103:否定)、不在応札生成部17は、ランダムロジックを用いて不在応札疑似電文を生成して送信する(ステップS104)。
【0056】
これに対して、せり制御の状態がスローダウン状態の場合(ステップS103:肯定)、不在応札生成部17は、応札パターンを不在応札生成推論部18に問い合わせる(ステップS105)。
【0057】
不在応札生成推論部18は、応札パターンの問い合わせを受けて、コーナー名、車両情報、1つ前の価格での応札数、2つ前の価格での応札数及び3つ前の価格での応札数を含む入力データ101を機械学習モデル100に入力する(ステップS106)。
【0058】
その後、不在応札生成推論部18は、機械学習モデル100から出力された不在応答までの待ち時間及び応札している時間を含む出力データ102を推論結果として取得する(ステップS107)。
【0059】
不在応札生成部17は、問合せに対する応答として推論結果である不在応答までの待ち時間及び応札している時間を含む応札パターンを不在応札生成推論部18から取得する(ステップS108)。
【0060】
次に、不在応札生成部17は、取得した応札パターンに含まれる不在応札までの時間及び応札している時間の補正処理を行う(ステップS109)。
【0061】
その後、不在応札生成部17は、不在応札までの時間待機する(ステップS110)。
【0062】
不在応札までの時間の経過後、不在応札生成部17は、不在応札疑似電文生成処理を実行する(ステップS111)。具体的には、不在応札生成部17は、応札している時間が経過するまで、一定間隔で不在応札疑似電文を生成して主制御部15への出力を繰り返す。
【0063】
図4は、実施例に係るせりサーバにおける流れ警告発生時の不在応札処理のシーケンス図である。次に、図4を参照して、本実施例に係るせりサーバ10における流れ警告発生時の不在応札処理の流れを説明する。
【0064】
主制御部15は、現在の価格を不在応札生成部17に通知する(ステップS201)。
【0065】
不在応札生成部17は、車両情報及び現在の価格と上限価格との比較結果を用いて、不在応札を行える状態か否か、すなわち、車両が不在応札対象車両であり且つ上限価格が現在価格以下であるかを判定する(ステップS202)。不在応札を行えない場合(ステップS202:否定)、不在応札生成部17は、不在応札処理を終了する。
【0066】
これに対して、不在応札を行える場合(ステップS202:肯定)、不在応札生成部17は、せり制御の状態がスローダウン状態か否かを判定する(ステップS203)。せり制御の状態が誘導せり上げ状態又はうりきり状態の場合(ステップS203:否定)、不在応札生成部17は、ランダムロジックを用いて不在応札疑似電文を生成して送信する(ステップS204)。
【0067】
これに対して、せり制御の状態がスローダウン状態の場合(ステップS203:肯定)、不在応札生成部17は、応札パターンを不在応札生成推論部18に問い合わせる(ステップS205)。
【0068】
不在応札生成推論部18は、応札パターンの問い合わせを受けて、コーナー名、車両情報、1つ前の価格での応札数、2つ前の価格での応札数及び3つ前の価格での応札数を含む入力データ101を機械学習モデル100に入力する(ステップS206)。
【0069】
その後、不在応札生成推論部18は、機械学習モデル100から出力された不在応答までの待ち時間及び応札している時間を含む出力データ102を推論結果として取得する(ステップS207)。
【0070】
不在応札生成部17は、問合せに対する応答として推論結果である不在応答までの待ち時間及び応札している時間を含む応札パターンを不在応札生成推論部18から取得する(ステップS208)。
【0071】
次に、不在応札生成部17は、取得した応札パターンに含まれる不在応札までの時間及び応札している時間の補正処理を行う(ステップS209)。
【0072】
次に、不在応札生成部17は、不在応札までの時間の待機を開始する(ステップS210)。
【0073】
その後、不在応札生成部17は、流れ警告の通知を主制御部15から受ける(ステップS211)。
【0074】
次に、不在応札生成部17は、流れ警告の残り時間が閾値未満であるか否かを判定する(ステップS212)。流れ警告の残り時間が閾値未満の場合(ステップS212:肯定)、不在応札生成部17は、ステップS214へ進む。
【0075】
これに対して、流れ警告の残り時間が閾値以上の場合(ステップS212:否定)、不在応札生成部17は、不在応答までの待ち時間が経過したか否かを判定する(ステップS213)。不在応答までの待ち時間が経過していない場合(ステップS213:否定)、不在応札生成部17は、ステップS212へ戻る。
【0076】
これに対して、不在応答までの待ち時間が経過した場合(ステップS213:肯定)、不在応札生成部17は、ステップS214へ進む。
【0077】
流れ警告の残り時間が閾値未満の場合又は不在応答までの待ち時間が経過した場合、不在応札生成部17は、待機を解除する(ステップS214)。
【0078】
その後、不在応札生成部17は、不在応札疑似電文生成処理を実行する(ステップS215)。具体的には、不在応札生成部17は、応札している時間が経過するまで、一定間隔で不在応札疑似電文を生成して主制御部15への出力を繰り返す。
【0079】
(ハードウェア構成)
図5は、情報処理装置のハードウェア構成図である。例えば、せりサーバ10及び不在応札学習装置20は、図5に示す情報処理装置90により実現可能である。
【0080】
情報処理装置90は、図5に示すように、CPU(Central Processing Unit)91、メモリ92、ハードディスク93及びネットワークインタフェース94を有する。
【0081】
ネットワークインタフェース94は、CPU91と外部装置との間の通信を中継する通信インタフェースである。例えば、せりサーバ10であれば、ネットワークインタフェース94は、不在応札学習装置20、業務システム30、せり調整装置40及び購買店操作端末装置50とせりサーバ10との間の通信を中継する。また、不在応札学習装置20であれば、ネットワークインタフェース94は、せりサーバ10との間の通信を中継する。
【0082】
ハードディスク93は、補助記憶装置である。例えば、せりサーバ10であれば、ハードディスク93は、機械学習モデル100を格納してもよい。また、せりサーバ10であれば、ハードディスク93は、業務情報受信部11、不在応札受付部12、調整情報受信部13、応札電文受信部14、主制御部15、せり状況電文送信部16、不在応札生成部17及び不在応札生成推論部18の機能を実現するプログラムを含む各種プログラムを格納する。また、不在応札学習装置20であれば、ハードディスク93は、不在応札学習部21及び学習情報収集部22の機能を実現するプログラムを含む各種プログラムを格納する。
【0083】
メモリ92は、主記憶装置である。メモリ92は、たとえば、DRAM(Dynamic Random Access Memory)を用いることができる。
【0084】
CPU91は、ハードディスク93に格納された各種プログラムを読み出してメモリ92に展開して実行する。これにより、せりサーバ10であれば、CPU91は、業務情報受信部11、不在応札受付部12、調整情報受信部13、応札電文受信部14、主制御部15、せり状況電文送信部16、不在応札生成部17及び不在応札生成推論部18の機能を実現する。また、不在応札学習装置20であれば、CPU91は、不在応札学習部21及び学習情報収集部22の機能を実現する。
【0085】
以上に説明したように本実施例に係るせりシステムは、過去に実際に行われた応札を基に、不在応札までの待ち時間や応札している時間を決定して不在応札を実行する。これにより、過去の実際の応札に近い最適化された不在応札を行うことができ、不在応札であることが一部の参加者に判明することを回避でき、公平なせりを実現することが可能となる。したがって、せりを適切に進行させることができる。
【符号の説明】
【0086】
1 せりシステム
10 せりサーバ
11 業務情報受信部
12 不在応札受付部
13 調整情報受信部
14 応札電文受信部
15 主制御部
16 せり状況電文送信部
17 不在応札生成部
18 不在応札生成推論部
20 不在応札学習装置
21 不在応札学習部
22 学習情報収集部
30 業務システム
40 せり調整装置
50 購買店操作端末装置
100 機械学習モデル
図1
図2
図3
図4
図5