(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024089580
(43)【公開日】2024-07-03
(54)【発明の名称】情報出力プログラム、情報出力方法及び情報処理装置
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/01 20230101AFI20240626BHJP
【FI】
G06Q30/01
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022204998
(22)【出願日】2022-12-21
(71)【出願人】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】條 由花
(72)【発明者】
【氏名】村瀬 健太郎
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA06
(57)【要約】
【課題】店員の接客行動の評価を支援することを課題とする。
【解決手段】情報処理装置は、店内の映像を取得し、取得した映像を分析することで、映像の中から店員を含む第一の領域と、商品を購入する対象の顧客を含む第二の領域と、店員および顧客の相互作用を識別した第一の関係性とを特定し、特定した第一の関係性に基づいて、第一の領域に含まれる店員が、第二の領域に含まれる顧客に対して接客行動を実施したと判定し、判定した結果を表示装置に出力する。
【選択図】
図14
【特許請求の範囲】
【請求項1】
店内の映像を取得し、
取得した映像を分析することで、前記映像の中から店員を含む第一の領域と、商品を購入する対象の顧客を含む第二の領域と、前記店員および前記顧客の相互作用を識別した第一の関係性とを特定し、
特定した第一の関係性に基づいて、前記第一の領域に含まれる店員が、前記第二の領域に含まれる顧客に対して接客行動を実施したと判定し、
判定した結果を表示装置に出力する、
処理をコンピュータに実行させることを特徴とする情報出力プログラム。
【請求項2】
前記取得する処理は、前記店員から接客された顧客を含む映像を取得する処理を含み、
前記特定する処理は、取得した映像を分析することで、前記映像の中から商品を含む第三の領域と、前記顧客を含む第四の領域と、前記商品および前記顧客の相互作用を識別した第二の関係性とを特定する処理を含み、
前記第二の関係性と予め設定されたルールとに基づいて、前記第四の領域に含まれる顧客が前記第三の領域に含まれる商品の注目の度合いを特定し、
特定した商品の注目の度合いと、前記顧客に接客をした店員とを対応づけた分析画像を生成し、
生成した分析画像を表示装置に表示させる、
処理を前記コンピュータにさらに実行させることを特徴とする請求項1に記載の情報出力プログラム。
【請求項3】
前記第二の領域に含まれる人物を追跡し、
会計機を含むエリアを撮影した映像を分析することで、追跡をした人物が利用した会計機を特定し、
特定した会計機に登録をされている購入商品に関する情報を取得し、
取得した購入商品に関する情報に基づいて、前記店員の接客をした顧客が商品を購入したか否かを判定し、
判定した結果と、顧客に接客をした店員とを対応づけた分析画像を生成し、
生成した分析画像を表示装置に表示させる、
処理を前記コンピュータにさらに実行させることを特徴とする請求項1に記載の情報出力プログラム。
【請求項4】
前記特定する処理は、取得した映像を機械学習モデルに入力することで、前記第一の領域と、前記第二の領域と、前記第一の関係性を特定する処理を含み、
前記機械学習モデルは、前記店員を示す第1クラスおよび前記店員が出現する領域を示す第1領域情報と、前記顧客を示す第2クラスおよび前記顧客が出現する領域を示す第2領域情報と、前記第1クラスと前記第2クラスとの相互作用と、を識別するように機械学習が実行されたHOID(Human Object Interaction Detection)用のモデルである、
ことを特徴とする請求項1に記載の情報出力プログラム。
【請求項5】
前記特定する処理は、取得した映像を機械学習モデルに入力することで、前記第三の領域と、前記第四の領域と、前記第二の関係性を特定する処理を含み、
前記機械学習モデルは、前記商品を含む物体を示す第1クラスおよび前記物体が出現する領域を示す第1領域情報と、前記商品を購入する人物を示す第2クラスおよび前記人物が出現する領域を示す第2領域情報と、前記第1クラスと前記第2クラスとの相互作用と、を識別するように機械学習が実行されたHOID(Human Object Interaction Detection)用のモデルである、
ことを特徴とする請求項2に記載の情報出力プログラム。
【請求項6】
店内の映像を取得し、
取得した映像を分析することで、前記映像の中から店員を含む第一の領域と、商品を購入する対象の顧客を含む第二の領域と、前記店員および前記顧客の相互作用を識別した第一の関係性とを特定し、
特定した第一の関係性に基づいて、前記第一の領域に含まれる店員が、前記第二の領域に含まれる顧客に対して接客行動を実施したと判定し、
判定した結果を表示装置に出力する、
処理をコンピュータが実行することを特徴とする情報出力方法。
【請求項7】
店内の映像を取得し、
取得した映像を分析することで、前記映像の中から店員を含む第一の領域と、商品を購入する対象の顧客を含む第二の領域と、前記店員および前記顧客の相互作用を識別した第一の関係性とを特定し、
特定した第一の関係性に基づいて、前記第一の領域に含まれる店員が、前記第二の領域に含まれる顧客に対して接客行動を実施したと判定し、
判定した結果を表示装置に出力する、
処理を実行する制御部を含むことを特徴とする情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報出力プログラム、情報出力方法及び情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
店舗等における店員の接客は、店舗の評価に影響を与えるので、店員の接客内容を改善することが求められる側面がある。このような側面から、店舗内に設置されたカメラの映像を用いて、店員の顧客に対する接客を評価することが行われている。また、機械学習モデルを用いて、映像から物体や人物を含む領域を矩形で囲むバウンディングボックス(Bbox)を抽出するものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、映像から抽出されるBboxの位置関係は2次元空間によるものなので、例えば、Bbox間の奥行きについては分析できず、人物と人物との関係を識別することが難しい。また、店内で様々な人物が多様な行動を示す中で、店員の接客行動を検出することは容易でないので、店員の接客行動の評価を支援することが困難である側面がある。
【0005】
1つの側面では、店員の接客行動の評価を支援できる情報出力プログラム、情報出力方法及び情報処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の案では、情報出力プログラムは、店内の映像を取得し、取得した映像を分析することで、前記映像の中から店員を含む第一の領域と、商品を購入する対象の顧客を含む第二の領域と、前記店員および前記顧客の相互作用を識別した第一の関係性とを特定し、特定した第一の関係性に基づいて、前記第一の領域に含まれる店員が、前記第二の領域に含まれる顧客に対して接客行動を実施したと判定し、判定した結果を表示装置に出力する、処理をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0007】
一実施形態によれば、店員の接客行動の評価を支援できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】
図2は、情報処理装置の機能構成例を示すブロック図である。
【
図5】
図5は、第一のHOIDモデルの訓練例を示す模式図である。
【
図6】
図6は、第二のHOIDモデルの訓練例を示す模式図である。
【
図7】
図7は、第一のHOIDモデルの出力例を示す図である。
【
図8】
図8は、ID管理DBの一例を示す図である。
【
図9】
図9は、トラッキングの開始および終了の一例を示す模式図である。
【
図10】
図10は、第二のHOIDモデルの出力例を示す図である。
【
図11】
図11は、注目度特定ルールDBの一例を示す図である。
【
図16】
図16は、映像取得処理の手順を示すフローチャートである。
【
図17】
図17は、判定処理の手順を示すフローチャートである。
【
図18】
図18は、特定処理の手順を示すフローチャートである。
【
図19】
図19は、生成処理の手順を示すフローチャートである。
【
図20】
図20は、情報処理装置のハードウェア構成例を示す図である。
【
図21】
図21は、セルフレジ端末のハードウェア構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本願の開示する情報出力プログラム、情報出力方法及び情報処理装置の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。また、各実施例は、矛盾のない範囲内で適宜組み合わせることができる。
【実施例0010】
<1.全体構成>
図1は、システムの構成例を示す図である。
図1に示すシステム1は、スーパーマーケットやコンビニエンスストアなどの店舗3における店員5の接客行動の評価を支援する側面から、店舗3で撮像される映像を用いて店員の接客行動を検出して出力する情報出力機能を提供するものである。
【0011】
図1に示すように、システム1には、情報処理装置10と、カメラ20と、セルフレジ30と、バックヤード端末50と、営業部門端末70とが含まれ得る。これら情報処理装置10、カメラ20、セルフレジ30、バックヤード端末50および営業部門端末70は、ネットワークNWを介して接続される。例えば、ネットワークNWは、有線や無線を問わず様々な通信網であってよい。
【0012】
情報処理装置10は、上記の情報出力機能を提供するコンピュータの一例である。例えば、情報処理装置10は、PaaS(Platform as a Service)型、あるいはSaaS(Software as a Service)型のアプリケーションとして実現することで、上記の情報出力機能をクラウドサービスとして提供できる。この他、情報処理装置10は、上記の情報出力機能をオンプレミスに提供するサーバとして実現することもできる。
【0013】
カメラ20は、映像を撮像する撮像装置の一例である。カメラ20は、店舗3内の特定の範囲、例えば商品の売り場、商品の陳列棚、あるいは精算コーナーに設置されるセルフレジ30を含むエリアを撮影可能に設置される。これにより、例えば、店員5が顧客2に接客する構図や顧客2が商品の陳列棚などで行動する構図、顧客2がセルフレジ30で精算を行う構図などが撮影され得る。
【0014】
このようにカメラ20により撮像される映像のデータは、情報処理装置10送信される。例えば、映像のデータには、時系列の複数の画像フレームが含まれる。各画像フレームには、時系列の昇順に、フレーム番号が付与される。1つの画像フレームは、カメラ20があるタイミングで撮影した静止画像の画像データである。以下、映像のデータのことを指して「映像データ」と表記する場合がある。
【0015】
セルフレジ30は、商品を購入する顧客自身が購入商品のレジ登録および精算(支払い)を行う会計機の一例である。セルフレジ30は、“Self checkout”、“automated checkout”、“self-checkout machine”や“self-check-out register”などと呼ばれる。例えば、顧客2が購入対象の商品をセルフレジ30のスキャン領域に移動させると、セルフレジ30は、商品に印刷または貼付されたコードをスキャンして、購入対象の商品を登録する。
【0016】
顧客2は、上記のレジ登録の動作を繰り返し実行し、商品のスキャンが完了すると、セルフレジ30のタッチパネル等を操作し、精算要求を行う。セルフレジ30は、精算要求を受け付けると、購入対象の商品の数、購入金額等を提示し、精算処理を実行する。セルフレジ30は、顧客2がスキャンを開始してから、精算要求を行うまでの間にスキャンした商品の情報を、記憶部に登録しておき、セルフレジデータ(商品情報)として、情報処理装置10に送信する。
【0017】
バックヤード端末50および営業部門端末70は、店舗3の関係者により使用される端末装置である。ここで言う「関係者」には、店舗3の店員5や店員5を管理する管理者の他、店舗3を運営する企業等の組織の営業部門の従業員や管理者などが含まれてよい。1つの側面として、バックヤード端末50および営業部門端末70は、上記の情報出力機能の提供を受けるクライアントとして機能する。例えば、バックヤード端末50および営業部門端末70は、デスクトップ型またはラップトップ型のパーソナルコンピュータなどの任意のコンピュータにより実現されてよい。これはあくまで一例に過ぎず、バックヤード端末50および営業部門端末70は、携帯端末装置やウェアラブル端末などにより実現されてよい。
【0018】
このような構成において、情報処理装置10は、店内の映像を取得する。そして、情報処理装置10は、取得した映像を分析することで、映像の中から店員を含む第一の領域と、商品を購入する対象の顧客を含む第二の領域と、店員および顧客の相互作用を識別した第一の関係性とを特定する。その上で、情報処理装置10は、特定した第一の関係性に基づいて、第一の領域に含まれる店員が、第二の領域に含まれる顧客に対して接客行動を実施したと判定し、判定した結果を表示装置に出力する。この結果、情報処理装置100は、1つの側面として、店員の接客行動の評価を支援できる。
【0019】
<2.機能構成>
図2は、情報処理装置10の機能構成例を示すブロック図である。
図2に示すように、情報処理装置10は、通信部11、記憶部13、制御部15を有する。
【0020】
<2-1.通信部>
通信部11は、他の装置との間の通信を制御する処理部であり、例えば通信インタフェースなどにより実現される。例えば、通信部11は、カメラ20から映像データを受信したり、あるいは制御部15による処理結果をバックヤード端末50や営業部門端末70などに送信したりする。
【0021】
<2-2.記憶部>
記憶部13は、各種データや制御部15が実行するプログラムなどを記憶する処理部であり、例えば、メモリやハードディスクなどにより実現される。記憶部13は、訓練データDB13A、機械学習モデル13B、映像データDB13C、出力結果DB13D、ID管理DB13E、注目度特定ルールDB13F、顧客行動履歴DB13G、接客評価DB13Hを記憶する。
【0022】
<2-2-1.訓練データDB>
訓練データDB13Aは、第一の機械学習モデル13B1および第二の機械学習モデル13B2の訓練に使用されるデータを記憶するデータベースである。
【0023】
第一の機械学習モデル13B1は、店員5の顧客2に対する接客行動の検出に用いられる第一の機械学習モデルである。あくまで一例として、第一の機械学習モデル13B1がHOID(Human Object Interaction Detection)により実現される例を挙げる。以下、第一の機械学習モデル13B1に対応するHOID用のモデルのことを指して「第一のHOIDモデル」と表記する場合がある。第一のHOIDモデルの訓練には、入力データとなる画像データと、当該画像データに対して設定された正解情報とが用いられる。
【0024】
図3は、正解情報の一例を示す図である。
図3には、第一のHOIDモデルの正解情報が示されている。
図3に示すように、正解情報には、検出対象であるヒトのクラスと、ヒトとヒトの相互作用を示すクラスと、各クラスの領域を示すBbox(Bounding Box:オブジェクトの領域情報)とが設定される。
図3に示す例で言えば、正解情報として、店舗3の店員5を示すクラス「店員」、商品を購入する対象の人物、例えば顧客2を示すクラス「客」、これらのヒトの領域情報、並びに、ヒトとヒトとの相互作用を示す関係性「話す」が設定される。なお、ここでは、相互作用のクラスの例として、「話す」を例に挙げたが、他の相互作用のクラス、例えば「見る」や「触る」などが正解情報として設定された画像データを訓練データとして第一の機械学習モデル13B1の訓練に用いることができる。
【0025】
第二の機械学習モデル13B2は、店員5による接客後の顧客2の商品に対する行動の特定に用いる第二の機械学習モデルである。あくまで一例として、第二の機械学習モデル13B2がHOIDにより実現される例を挙げる。以下、第二の機械学習モデル13B2に対応するHOID用のモデルのことを指して「第二のHOIDモデル」と表記する場合がある。第二のHOIDモデルの訓練にも、入力データとなる画像データと、当該画像データに対して設定された正解情報とが用いられる。
【0026】
図4は、正解情報の一例を示す図である。
図4には、第二のHOIDモデルの正解情報が示されている。
図4に示すように、正解情報には、検出対象であるヒトおよびモノのクラスと、ヒトとモノの相互作用を示すクラスと、各クラスの領域を示すBboxとが設定される。例えば、正解情報として、商品のアイテムを識別するアイテム名「トースターA」を示すクラス、商品を購入する対象の人物、例えば顧客2を示すクラス「客」、モノおよびヒトの領域情報、並びに、モノとヒトとの相互作用を示す関係性「把持」が設定される。なお、ここでは、相互作用のクラスの例として、「把持」を例に挙げたが、他の相互作用のクラス、例えば「見る」や「触る」などが正解情報として設定された画像データを訓練データとして第二の機械学習モデル13B2の訓練に用いることができる。
【0027】
ここでは、モノのクラスのあくまで一例として、アイテム名を挙げるが、モノに設定されるクラスは、商品等の物体であってレジ袋以外の物体を示すSomethingクラスであってもよい。一般的に、通常の物体識別(物体認識)でSomethingクラスを作ると、すべての背景、服装品、小物などタスクと関係ないものをすべて検出することになる。かつ、それらはすべてSomethingなので、画像データ内に大量のBboxが識別されるだけで何も分からない。HOIDの場合は、ヒトが持っているモノという特殊な関係性(座っている、操作している、など他の関係の場合もある)であることが分かるので、意味のある情報としてタスク(例えばセルフレジの不正検出タスク)に利用することができる。物体をSomethingで検出した上で、レジ袋などをBag(レジ袋)という固有のクラスとして識別する。このレジ袋は、セルフレジの不正検出タスクでは価値のある情報だが、他のタスクでは重要な情報ではないので、商品はカゴ(買い物かご)から取り出され袋に収納されるというセルフレジの不正検出タスクの固有の知見に基づいて利用することに価値があり、有用な効果が得られる。
【0028】
なお、ここでは、店員5の顧客2に対する接客行動の検出、および、店員5による接客後の顧客2の商品に対する行動の特定が2つの機械学習モデルにより実現される例を挙げたが、1つの機械学習モデル、例えばHOIDモデルにより実現されてもよい。
【0029】
<2-2-2.機械学習モデル>
図2に戻り、機械学習モデル13Bには、上記の第一の機械学習モデル13B1および上記の第二の機械学習モデル13B2が含まれ得る。
【0030】
第一の機械学習モデル13B1は、あくまで一例として、上記のHOIDにより実現されてよい。この場合、第一の機械学習モデル13B1は、入力された画像データから、店舗3の店員5に対応するヒト、商品を購入する顧客2に対応するヒト、これらのヒトの関係性を識別して識別結果を出力する。例えば、「1または複数のヒトのクラスと領域情報、ヒトとヒトの相互作用」が出力される。なお、ここでは、第一の機械学習モデル13B1がHOIDにより実現される例を挙げるが、各種ニューラルネットワークなどを用いた機械学習モデルにより実現されてもよい。
【0031】
第二の機械学習モデル13B2についても、あくまで一例として、上記のHOIDにより実現されてよい。この場合、第二の機械学習モデル13B2は、入力された画像データから、ヒト、商品、ヒトと商品の関係性を識別して識別結果を出力する。例えば、「ヒトのクラスと領域情報、商品(モノ)のクラスと領域情報、ヒトと商品の相互作用」が出力される。なお、ここでは、第二の機械学習モデル13B2がHOIDにより実現される例を挙げるが、各種ニューラルネットワークなどを用いた機械学習モデルにより実現されてもよい。
【0032】
<2-2-3.映像データDB>
映像データDB13Cは、商品の売り場、商品の陳列棚、あるいは精算コーナーに設置されるセルフレジ30を含むエリアを撮影可能に設置されるカメラ20により撮像された映像データを記憶するデータベースである。例えば、映像データDB13Cは、カメラ20ごとに、カメラ20から取得される画像データなどをフレーム単位で記憶する。
【0033】
<2-2-4.出力結果DB>
出力結果DB13Dは、カメラ20により撮像された映像データが入力された第一のHOIDモデル13B1が出力する出力結果を記憶するデータベースである。例えば、出力結果DB13Dは、カメラ20ごとに当該カメラ20から取得される画像データが第一のHOIDモデル13B1へ入力された出力結果などをフレーム単位で記憶する。
【0034】
<2-2-5.ID管理DB>
ID管理DB13Eは、店員5の顧客2に対する接客行動の検出時に割り振られる接客IDを管理するデータベースである。例えば、ID管理DB13Eは、接客IDごとに顧客2を識別する顧客IDおよび店員5を識別する店員IDの組合せを対応付けて記憶する。
【0035】
<2-2-6.注目度特定ルールDB>
注目度特定ルールDB13Fは、店員5による接客後の顧客2の商品に対する注目度を特定するルールを記憶するデータベースである。例えば、注目度特定ルールDB13Fは、店員5による接客後の顧客2が行う行動と、注目度の度合いが複数の段階に区分された注目度とを対応付けて記憶する。以下、顧客2が行う行動のことを指して「顧客行動」と表記する場合がある。
【0036】
<2-2-7.顧客行動履歴DB>
顧客行動履歴DB13Gは、店員5による接客後の顧客行動の履歴を記憶するデータベースである。例えば、顧客行動履歴DB13Gは、顧客IDごとに顧客行動が行われた時刻、顧客行動の種類、注目度および顧客行動が検出された商品の項目などを対応付けて記憶する。
【0037】
<2-2-8.接客評価DB>
接客評価DB13Hは、店員5の接客評価に関する情報を記憶するデータベースである。例えば、接客評価DB13Hは、店員IDごとに接客後の顧客2の商品に対する注目度別の集計値および商品の購入数などを対応付けて記憶する。
【0038】
<2-3.制御部>
制御部15は、情報処理装置10全体を司る処理部であり、例えばプロセッサなどにより実現される。この制御部15は、機械学習部15A、映像取得部15B、セルフレジデータ取得部15C、判定部15D、特定部15E、生成部15F、情報出力部15Gを有する。なお、機械学習部15A、映像取得部15B、セルフレジデータ取得部15C、判定部15D、特定部15E、生成部15F、情報出力部15Gは、プロセッサが有する電子回路やプロセッサが実行するプロセスなどにより実現される。
【0039】
<2-3-1.機械学習部>
機械学習部15Aは、第一の機械学習モデル13B1および第二の機械学習モデル13B2の機械学習を実行する処理部である。
【0040】
1つの側面として、機械学習部15Aは、訓練データDB13Aに記憶される各訓練データを用いて、第一の機械学習モデル13B1の一例である第一のHOIDモデルの機械学習を実行する。
図5は、第一のHOIDモデルの訓練例を示す模式図である。
図5に示すように、機械学習部15Aは、訓練データの入力データを第一のHOIDモデルに入力し、第一のHOIDモデルの出力結果を取得する。この出力結果には、第一のHOIDモデルが検出した1または複数のヒトのクラスと、ヒトとヒトの相互作用などが含まれる。そして、機械学習部15Aは、訓練データの正解情報と、第一のHOIDモデルの出力結果との誤差情報を算出し、誤差が小さくなるように、誤差逆伝播により第一のHOIDモデルの機械学習を実行する。これにより、訓練済みの第一のHOIDモデルが生成される。このように生成された訓練済みの第一のHOIDモデルが第一の機械学習モデル13B1として記憶部13に記憶される。
【0041】
他の側面として、機械学習部15Aは、訓練データDB13Aに記憶される各訓練データを用いて、第二の機械学習モデル13B2の一例である第二のHOIDモデルの機械学習を実行する。
図6は、第二のHOIDモデルの訓練例を示す模式図である。
図6に示すように、機械学習部15Aは、訓練データの入力データを第二のHOIDモデルに入力し、第二のHOIDモデルの出力結果を取得する。この出力結果には、第二のHOIDモデルが検出したヒトのクラスと、モノのクラスと、ヒトとモノの相互作用などが含まれる。そして、機械学習部15Aは、訓練データの正解情報と、第二のHOIDモデルの出力結果との誤差情報を算出し、誤差が小さくなるように、誤差逆伝播により第二のHOIDモデルの機械学習を実行する。これにより、訓練済みの第二のHOIDモデルが生成される。このように生成された訓練済みの第二のHOIDモデルが第二の機械学習モデル13B2として記憶部13に記憶される。
【0042】
<2-3-2.映像取得部>
図2の説明に戻り、映像取得部15Bは、カメラ20から映像データを取得する処理部である。例えば、映像取得部15Bは、セルフレジ30に設置されるカメラ20から映像データを任意の周期、例えばフレーム単位で取得する。そして、映像取得部15Bは、新規フレームの画像データが取得された場合、当該画像データを第一の機械学習モデル13B1、例えば第一のHOIDモデルへ入力して第一のHOIDモデルの出力結果を取得する。その上で、映像取得部15Bは、当該新規フレームの画像データを映像データDB13Cに格納すると共に、当該新規フレームに関する第一のHOIDモデルの出力結果を出力結果DB13Dに格納する。
【0043】
このような第一のHOIDモデルの出力結果には、第一の領域に対応するヒトのクラスと、第二の領域に対応するヒトのクラスと、これらのヒトの相互作用を示すクラスと、各クラスの領域を示すBboxとが含まれ得る。
図7は、第一のHOIDモデルの出力例を示す図である。
図7には、第一のHOIDモデルへの入力データである画像データおよび第一のHOIDモデルの出力結果が図示されている。
図7には、店員5に対応するヒトのBboxが一点鎖線の枠で示されると共に、顧客2に対応するヒトのBboxが破線の枠で示されている。
図7に示すように、第一のHOIDモデルの出力結果には、ヒトのクラス「店員」およびBboxと、ヒトのクラス「客」およびBboxと、これらのヒトの相互作用の確率値「0.88」およびクラス名「話す」とが含まれる。
【0044】
<2-3-3.セルフレジデータ取得部>
セルフレジデータ取得部15Cは、セルフレジ30でレジ登録が行われた商品の情報をセルフレジデータとして取得する処理部である。ここで言う「レジ登録」には、商品に印刷または貼付された商品コードがスキャンされることにより実現される他、顧客2により商品コードが手動入力されることにより実現され得る。
【0045】
<2-3-4.判定部>
判定部15Dは、第一のHOIDモデルにより検出されたヒトの関係性に基づいて、第一の領域に含まれる店員5が、第二の領域に含まれる顧客2に対して接客行動を実施したか否かを判定する処理部である。
【0046】
あくまで一例として、判定部15Dは、店舗3に設置されたカメラ20ごとに画像データのフレーム単位で次のような処理を実行する。すなわち、判定部15Dは、出力結果DB13Dに記憶された第一のHOIDモデルの出力結果のうち、新規フレームに対応する出力結果を取得する。
【0047】
続いて、判定部15Dは、店員5および顧客2の両方のクラスの検出結果が新規フレームの出力結果に含まれるか否かを判定する。このとき、店員5および顧客2の両方のクラスの検出結果が新規フレームの出力結果に含まれる場合、判定部15Dは、新規フレームの出力結果に含まれる相互作用のクラスが「話す」であるか否かをさらに判定する。
【0048】
ここで、新規フレームの出力結果に含まれる相互作用のクラスが「話す」である場合、店員5の顧客2に対する接客行動を検出できる。この場合、判定部15Dは、新規フレームで検出された顧客2のトラッキングが未設定であるか否かをさらに判定する。このとき、新規フレームで検出された顧客2のトラッキングが未設定である場合、判定部15Dは、判定部15Dは、当該顧客2に顧客IDを発行する。このように接客行動が検出されたタイミングで顧客IDを発行するのは、店員5は店舗3の従業員であることから全ての店員5に予め店員IDを発行しておくことが容易である一方で、全ての顧客2に予め顧客IDを発行しておくことは容易ではないからである。
【0049】
その後、判定部15Dは、新規フレームで検出された店員5に対応する店員IDおよび新規フレームで検出された顧客2に発行した顧客IDの組合せを識別する接客IDを割り振る。このように新規の接客IDが割り振られた場合、当該接客IDと、店員IDおよび顧客IDの組合せとが対応付けられたデータエントリがID管理DB13Eに追加登録される。
【0050】
図8は、ID管理DB13Eの一例を示す図である。
図8に示すように、ID管理DB13Eには、接客IDごとに、店員ID、店員5の画像、顧客2の顧客IDおよび顧客2の画像が対応付けられたデータが記憶される。以下、店員5の画像のことを指して「店員画像」と表記すると共に、顧客2の画像のことを指して「顧客画像」と表記する場合がある。これらのうち、店員画像のカラムには、店員IDに関連付けて事前に登録されたものを用いたり、新規フレームで検出されたヒト「店員」のBboxに対応する部分画像を用いたりすることができる。また、顧客画像のカラムには、新規フレームで検出されたヒト「客」のBboxに対応する部分画像を用いたりすることができる。
【0051】
このように接客IDが発行された後、判定部15Dは、店員5による接客後の顧客2をトラッキング中である接客IDが一覧化されたトラッキングリストに当該接客IDを追加する。
【0052】
<2-3-5.特定部>
特定部15Eは、接客後の顧客2の商品に対する注目度を特定する処理部である。あくまで一例として、特定部15Eは、トラッキングリストに含まれる接客IDごとに当該接客IDに関連付けられた顧客IDの顧客をトラッキングすることにより、顧客2の商品に対する注目度を含む顧客行動の履歴を収集する。
【0053】
図9は、トラッキングの開始および終了の一例を示す模式図である。
図9には、店舗3に訪れる顧客2に発生するイベントの例として、顧客2の入店、店員5の顧客2に対する接客行動、顧客2による会計終了、顧客2の退店の順に各イベントが発生する例が示されている。
図9に示すように、特定部15Eによる顧客2のトラッキングは、店員5の顧客2に対する接客行動が検出されてから顧客2の購入商品の会計が終了するまで実行される。
【0054】
このようなトラッキングは、接客IDに関連付けられた顧客画像に含まれる顔画像と、カメラ20ごとに取得される新規フレームの画像データに対する顔検出で得られた顔画像との間で類似度を算出し、類似度が閾値以上である顔画像が含まれる画像データを追跡することにより実現できる。さらに、トラッキングで顧客2が追跡された画像データに画像処理を適用することにより、顧客2の3次元空間上の位置を特定することができる。このような画像処理の例として、複数のカメラ20の画像データを用いるステレオマッチングや店舗3内に設置されたマーカを用いる位置検出などが挙げられる。この他、カメラ20がデプスカメラである場合、顧客2の被写体のデプス値と、カメラパラメータ、例えば外部パラメータおよび内部パラメータとに基づいて3次元位置をより正確に算出できる。なお、ここでは、顔画像の照合によりトラッキングが実行される例を挙げたが、MOT(Multiple-Object Tracking)などのアルゴリズムに従ってトラッキングを実行することとしてもよい。
【0055】
より詳細には、特定部15Eは、接客IDに関連付けられた顧客IDの顧客2に関するセルフレジデータが取得されたか否かを判定する。例えば、特定部15Eは、顧客2の位置からの距離が閾値、例えば50cm以内であるセルフレジ30からセルフレジデータが取得された場合、顧客2の会計が終了したと識別する。ここで言う「距離」は、あくまで一例として、顧客2のトラッキング位置と、セルフレジ30が有する入力装置が配置された操作位置、例えばタッチパネルのスクリーンの位置との距離であってよい。
【0056】
このとき、顧客2の会計が終了していない場合、特定部15Eは、トラッキングで顧客2が追跡された画像データを第二の機械学習モデル13B2、例えば第二のHOIDモデルへ入力して第二のHOIDモデルの出力結果を取得する。
【0057】
図10は、第二のHOIDモデルの出力例を示す図である。
図10には、第二のHOIDモデルへの入力データである画像データおよび第二のHOIDモデルの出力結果が図示されている。
図10には、顧客2に対応するヒトのBboxが破線の枠で示されると共に、モノのBboxが実線の枠で示されている。
図10に示すように、第二のHOIDモデルの出力結果には、ヒトのクラス「客」およびBboxと、モノのクラス「タンブラーA」およびBboxと、ヒトとモノの相互作用の確率値「0.88」およびクラス名「把持」とが含まれる。
【0058】
その後、特定部15Eは、顧客2および商品の両方のクラスの検出結果が第二のHOIDモデルの出力結果に含まれるか否かを判定する。このとき、顧客2および商品の両方のクラスの検出結果が第二のHOIDモデルの出力結果に含まれる場合、特定部15Eは、注目度特定ルールDB1313Fに設定されたルールに従って第二のHOIDモデルの出力結果に含まれる相互作用のクラスに対応する注目度を特定する。
【0059】
図11は、注目度特定ルールDB13Fの一例を示す図である。
図11に示すように、注目度特定ルールDB13Fには、店員5による接客後の顧客2が行う行動と、注目度の度合いが複数の段階に区分された注目度とが対応付けられたルールが記憶される。
図11には、あくまで一例として、注目度が「小」、「中」および「大」の3段階に区分される例が示されている。
【0060】
例えば、
図11に示す例で言えば、第二のHOIDモデルの出力結果に含まれる相互作用のクラスが「見る」である場合、顧客2の商品に対する注目度が「小」と特定される。また、第二のHOIDモデルの出力結果に含まれる相互作用のクラスが「触る」である場合、顧客2の商品に対する注目度が「中」と特定される。さらに、第二のHOIDモデルの出力結果に含まれる相互作用のクラスが「把持」である場合、顧客2の商品に対する注目度が「大」と特定される。
【0061】
ここで、上記の注目度の区分は、あくまで一例として、商品に対する顧客行動と、購買の心理段階との対応関係が定義された心理モデルに従って設定できる。例えば、心理モデルの例として、商品に注目し(Attention)、興味を持ち(Interest)、「欲しい」になり(Desire)、購入に至る(Action)、といった心理段階が定義されたAIDAを始め、AIDMA、AIDCAなどが挙げられる。
【0062】
このように注目度が特定された後、特定部15Eは、トラッキング中の顧客ID、商品に対する顧客行動、顧客2の商品に対する注目度および顧客行動が検出された商品の項目などが対応付けられたデータエントリを顧客行動履歴DB13Gに追加登録する。
【0063】
図12は、顧客行動履歴DB13Gの一例を示す図である。
図12に示すように、顧客行動履歴DB13Gには、顧客IDごとに顧客行動が行われた時刻、顧客行動の種類、注目度および顧客行動が検出された商品の項目などが対応付けられたデータが記憶される。
【0064】
図12には、あくまで一例として、顧客ID「004」で識別される顧客2に関する顧客行動履歴が抜粋して示されている。
図12に示す顧客ID「004」の顧客行動履歴の例で言えば、顧客ID「004」の顧客2は、商品項目「タンブラーA」を見た後に触り、さらに把持したことを識別できる。さらに、顧客ID「004」の顧客2は、商品項目「飲料A」を見たり、商品項目「飲料B」を見たりしたことを識別できる。その後、顧客ID「004」の顧客2は、商品項目「タンブラーA」を購入したことを識別できる。
【0065】
なお、顧客2の会計が終了した場合、特定部15Eは、会計終了が検出された顧客IDおよびセルフレジデータに含まれる購入商品の商品項目が対応付けられたデータエントリを顧客行動履歴DB13Gに追加登録すると共に、会計終了が検出された接客IDをトラッキングリストから削除する。
【0066】
<2-3-6.生成部>
生成部15Fは、顧客行動履歴DB13Gに記憶された顧客行動履歴を分析することにより、店員5の接客評価に関する情報を生成する処理部である。
【0067】
あくまで一例として、生成部15Fは、ID管理DB13Eに記憶された接客IDのうち未評価の接客IDごとに次のような処理を実行する。すなわち、生成部15Fは、評価対象の接客IDに関連付けられた顧客IDの顧客行動履歴を顧客行動履歴DB13Gから検索する。
【0068】
続いて、生成部15Fは、検索でヒットする顧客行動履歴のうち最高の注目度を抽出する。例えば、
図12に示す顧客ID「004」の顧客行動履歴の例で言えば、「小」、「中」および「大」の全てのレベルの注目度が含まるので、その中で最高である注目度「大」が抽出される。
【0069】
そして、生成部15Fは、評価対象の接客IDに関連付けられた店員IDの注目度別の集計値のうち、顧客行動履歴から抽出された注目度に対応する集計値をインクリメントする更新を実行する。
【0070】
その後、生成部15Fは、顧客行動履歴に含まれる購入商品ごとに次のような処理を実行する。すなわち、生成部15Fは、顧客行動履歴のうち注目度のカラムがブランクでないデータエントリから購入商品の商品項目と一致する商品項目を検索する。
【0071】
このとき、購入商品の商品項目と一致する商品項目がヒットする場合、生成部15Fは、評価対象の接客IDに関連付けられた店員IDの購入成立数の集計値をインクリメントする。ここで言う「購入成立数」とは、店員5の顧客2に対する接客行動により商品の購入が成立した件数を指す。
【0072】
以上のような処理が全ての接客IDについて実行することにより、生成部15Fは、店員IDごとに注目度別の集計値および購入成立数の集計値が対応付けられた接客評価データを生成し、接客評価データを接客評価DB13Hに登録する。
図13は、接客評価DB13Hの一例を示す図である。
図13に示すように、接客評価DB13Hには、店員IDごとに、「小」、「中」および「大」の注目度別の集計値と、購入成立数の集計値とが対応付けられたデータが記憶される。
【0073】
<2-3-7.情報出力部>
情報出力部15Gは、バックヤード端末50や営業部門端末70などの端末装置に各種の情報を出力する処理部である。1つの側面として、情報出力部15Gは、接客評価DB13Hに記憶された接客評価に関する情報をバックヤード端末50や営業部門端末70に出力する。例えば、情報出力部15Gは、店員ごとに注目度別の集計値や購入成立数の集計値、あるいは集計値や購入成立数から計算される指標をバックヤード端末50や営業部門端末70に出力できる。このような指標の例として、接客行動の総数のうち購入成立数が占める割合を示す「購入成立率」を始め、下記の式(1)に従って計算される「購入成立スコア」などが挙げられる。なお、下記の式(1)における「W1」~「W3」は、注目度別の重みである。以下、注目度別の集計値や購入成立数の集計値、購入成立率、購入成立スコアなどを指して「評価項目」と表記する場合がある。
【0074】
購入成立スコア={(注目度「小」の集計値×W1)+(注目度「中」の集計値×W2)+(注目度「大」の集計値×W3)}×購入成立率・・・(1)
【0075】
図14は、接客評価画面200の一例を示す図である。
図14には、
図13に示す接客評価DB13Hに基づいて生成された接客評価画面200が示されている。さらに、
図14には、注目度別の重みの各々が「1」、「2」、「3」として購入成立スコアが算出された例が示されている。
【0076】
図14に示すように、接客評価画面200では、注目度別の集計値、購入成立数の集計値、購入成立率および購入成立スコアなどの評価項目が店員IDごとに表示されている。例えば、店員ID「001」の購入成立率は、購入成立数「2」を接客行動の総数「計2回=注目度「小」の1回+注目度「中」の1回」で除算することにより「50%」と算出できる。さらに、店員ID「001」の購入成立スコアは、(注目度「小」の集計値「1」×注目度「小」の重み「1」+注目度「中」の集計値「1」×注目度「中」の重み「2」)×購入成立率「50%」の計算により「1.5」と算出できる。このような接客評価画面200の表示によれば、店員5が接客をどれだけ積極的に行ったか、接客行動が商品購入にどれだけ寄与したかなどの評価、さらには、これらの総合評価が可能となるので、店員の接客行動の評価を効果的に支援できる。
【0077】
他の側面として、情報出力部15Gは、接客評価DB13Hに記憶された接客評価をシステム定義やユーザ定義などで指定される評価項目でソートすることにより、店員5の接客評価をランキング形式で表示させることもできる。
図15は、接客評価画面210の一例を示す図である。
図15には、
図13に示す接客評価DB13Hに含まれる評価項目のうち購入成立数で店員5が昇順にソートされたランキングが生成された接客評価画面210が示されている。
図15に示すように、接客評価画面210によれば、より多くの商品を顧客2に購入させることができる店員5の評価を高めることができる。
【0078】
<3.処理の流れ>
次に、本実施例にかかる情報処理装置10の処理の流れについて説明する。ここでは、情報処理装置10により実行される(1)映像取得処理、(2)判定処理、(3)特定処理、(4)生成処理の順に説明することとする。
【0079】
(1)映像取得処理
図16は、映像取得処理の流れを示すフローチャートである。この処理は、あくまで一例として、カメラ20から映像データが取得される限り、反復して実行される。
【0080】
図16に示すように、新規フレームの画像データが取得された場合(ステップS101Yes)、映像取得部15Bは、当該画像データを第一の機械学習モデル13B1、例えば第一のHOIDモデルへ入力してHOIDモデルの出力結果を取得する(ステップS102)。
【0081】
その上で、映像取得部15Bは、新規フレームの画像データを映像データDB13Cに保存すると共に、当該新規フレームに関する第一のHOIDモデルの出力結果を出力結果DB13Dに保存する(ステップS103)。
【0082】
(2)判定処理
図17は、判定処理の流れを示すフローチャートである。この処理は、あくまで一例として、画像データのフレーム単位で反復して実行される。
【0083】
図17に示すように、判定部15Dは、店舗3に設置されたカメラ20の個数Kに対応する回数の分、下記のステップS301から下記のステップS307までの処理を反復するループ処理1を実行する。なお、ここでは、下記のステップS301から下記のステップS307までの処理が反復される例を挙げるが、並列に実行されることとしてもよい。
【0084】
すなわち、判定部15Dは、出力結果DB13Dに記憶された第一のHOIDモデルの出力結果のうち、新規フレームに対応する出力結果を取得する(ステップS301)。
【0085】
続いて、判定部15Dは、店員5および顧客2の両方のクラスの検出結果が新規フレームの出力結果に含まれるか否かを判定する(ステップS302)。このとき、店員5および顧客2の両方のクラスの検出結果が新規フレームの出力結果に含まれる場合(ステップS302Yes)、判定部15Dは、新規フレームの出力結果に含まれる相互作用のクラスが「話す」であるか否かをさらに判定する(ステップS303)。
【0086】
ここで、新規フレームの出力結果に含まれる相互作用のクラスが「話す」である場合(ステップS303Yes)、店員5の顧客2に対する接客行動を検出できる。この場合、判定部15Dは、新規フレームで検出された顧客2のトラッキングが未設定であるか否かをさらに判定する(ステップS304)。
【0087】
このとき、新規フレームで検出された顧客2のトラッキングが未設定である場合(ステップS304Yes)、判定部15Dは、判定部15Dは、当該顧客2に顧客IDを発行する(ステップS305)。
【0088】
そして、判定部15Dは、新規フレームで検出された店員5に対応する店員IDおよび新規フレームで検出された顧客2に発行した顧客IDの組合せを識別する接客IDを割り振る(ステップS306)。その後、判定部15Dは、店員5による接客後の顧客2をトラッキング中である接客IDが一覧化されたトラッキングリストに当該接客IDを追加する(ステップS307)。
【0089】
このようなループ処理1が実行されることにより、カメラ20からごとに店員5が接客行動を行ったか否か判定して接客行動が検出された顧客2のトラッキングを開始するように設定できる。
【0090】
(3)特定処理
図18は、特定処理の流れを示すフローチャートである。この処理は、あくまで一例として、画像データのフレーム単位で反復して実行される。
【0091】
図18に示すように、特定部15Eは、トラッキングリストに含まれる接客IDの個数Lに対応する回数の分、下記のステップS501から下記のステップS507までの処理を反復するループ処理1を実行する。なお、ここでは、下記のステップS501から下記のステップS507までの処理が反復される例を挙げるが、並列に実行されることとしてもよい。
【0092】
すなわち、特定部15Eは、接客IDに関連付けられた顧客IDの顧客2に関するセルフレジデータが取得されたか否かを判定する(ステップS501)。
【0093】
このとき、顧客2に関するセルフレジデータが取得されていない場合(ステップS501No)、特定部15Eは、次のような処理を実行する。すなわち、特定部15Eは、トラッキングで顧客2が追跡された画像データを第二の機械学習モデル13B2、例えば第二のHOIDモデルへ入力して第二のHOIDモデルの出力結果を取得する(ステップS502)。
【0094】
続いて、特定部15Eは、顧客2および商品の両方のクラスの検出結果が第二のHOIDモデルの出力結果に含まれるか否かを判定する(ステップS503)。このとき、顧客2および商品の両方のクラスの検出結果が第二のHOIDモデルの出力結果に含まれる場合(ステップS503Yes)、特定部15Eは、次のような処理を実行する。すなわち、特定部15Eは、注目度特定ルールDB1313Fに設定されたルールに従って第二のHOIDモデルの出力結果に含まれる相互作用のクラスに対応する注目度を特定する(ステップS504)。
【0095】
その後、特定部15Eは、トラッキング中の顧客ID、商品に対する顧客行動、顧客2の商品に対する注目度および顧客行動が検出された商品の項目などが対応付けられたデータエントリを顧客行動履歴DB13Gに追加登録する(ステップS505)。
【0096】
一方、顧客2に関するセルフレジデータが取得された場合(ステップS501Yes)、特定部15Eは、会計終了が検出された顧客IDおよびセルフレジデータに含まれる購入商品の商品項目が対応付けられたデータエントリを顧客行動履歴DB13Gに追加登録する(ステップS506)。さらに、特定部15Eは、会計終了が検出された接客IDをトラッキングリストから削除する(ステップS507)。
【0097】
このようなループ処理1が実行されることにより、接客行動ごとにその後の顧客2の商品に対する注目度を含む顧客行動の履歴を収集できる。
【0098】
(4)生成処理
図19は、生成処理の流れを示すフローチャートである。
図19に示すように、生成部15Fは、ID管理DB13Eに記憶された接客IDのうち未評価の接客IDの個数Mに対応する回数の分、下記のステップS701から下記のステップS706までの処理を反復するループ処理1を実行する。なお、ここでは、下記のステップS701から下記のステップS706までの処理が反復される例を挙げるが、並列に実行されることとしてもよい。
【0099】
すなわち、生成部15Fは、評価対象の接客IDに関連付けられた顧客IDの顧客行動履歴を顧客行動履歴DB13Gから検索する(ステップS701)。続いて、生成部15Fは、検索でヒットする顧客行動履歴のうち最高の注目度を抽出する(ステップS702)。
【0100】
そして、生成部15Fは、評価対象の接客IDに関連付けられた店員IDの注目度別の集計値のうち、ステップS702で抽出された注目度に対応する集計値をインクリメントする更新を実行する(ステップS703)。
【0101】
その後、生成部15Fは、ステップS702で抽出された顧客行動履歴に含まれる購入商品の個数Nに対応する回数の分、下記のステップS704から下記のステップS706までの処理を反復するループ処理1を実行する。なお、ここでは、下記のステップS704から下記のステップS706までの処理が反復される例を挙げるが、並列に実行されることとしてもよい。
【0102】
すなわち、生成部15Fは、顧客行動履歴のうち注目度のカラムがブランクでないデータエントリから購入商品の商品項目と一致する商品項目を検索する(ステップS704)。
【0103】
このとき、購入商品の商品項目と一致する商品項目がヒットする場合(ステップS705Yes)、生成部15Fは、評価対象の接客IDに関連付けられた店員IDの購入成立数の集計値をインクリメントする(ステップS706)。なお、購入商品の商品項目と一致する商品項目がヒットしない場合(ステップS705No)、ステップS706の処理はスキップされる。
【0104】
このようなループ処理2が実行されることにより、接客後の顧客2が商品を購入する場合に購入成立数をインクリメントできる。
【0105】
このようなループ処理1が実行されることにより、店員5の顧客2に対する接客行動ごとに評価項目別の評価値が集計される。
【0106】
その後、生成部15Fは、店員IDごとに注目度別の集計値および購入成立数の集計値が対応付けられた接客評価データを生成し、接客評価データを接客評価DB13Hに登録する(ステップS707)。
【0107】
<4.効果の一側面>
上述してきたように、情報処理装置10は、店内の映像を取得する。そして、情報処理装置10は、取得した映像を分析することで、映像の中から店員を含む第一の領域と、商品を購入する対象の顧客を含む第二の領域と、店員および顧客の相互作用を識別した第一の関係性とを特定する。その上で、情報処理装置10は、特定した第一の関係性に基づいて、第一の領域に含まれる店員が、第二の領域に含まれる顧客に対して接客行動を実施したと判定し、判定した結果を表示装置に出力する。したがって、情報処理装置10によれば、1つの側面として、店員の接客行動の評価を支援できる。
また、各装置の構成要素の分散や統合の具体的形態は図示のものに限られない。つまり、その構成要素の全部または一部は、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合されてもよい。さらに、各装置の各処理機能は、その全部または任意の一部が、CPUおよび当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、あるいは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。
このように、情報処理装置10は、プログラムを読み出して実行することで情報処理方法を実行する情報処理装置として動作する。また、情報処理装置10は、媒体読取装置によって記録媒体から上記プログラムを読み出し、読み出された上記プログラムを実行することで上記した実施例と同様の機能を実現することもできる。なお、この他の実施例でいうプログラムは、情報処理装置10によって実行されることに限定されるものではない。例えば、他のコンピュータまたはサーバがプログラムを実行する場合や、これらが協働してプログラムを実行するような場合にも、上記実施例が同様に適用されてもよい。
このプログラムは、インターネットなどのネットワークを介して配布されてもよい。また、このプログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク(FD)、CD-ROM、MO(Magneto-Optical disk)、DVD(Digital Versatile Disc)などのコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行されてもよい。
通信インタフェース300aは、ネットワークインタフェースカードなどであり、他の情報処理装置との通信を行う。HDD300bは、セルフレジ30の各機能を動作させるプログラムやデータを記憶する。
プロセッサ300dは、セルフレジ30の各機能の処理を実行するプログラムをHDD300bなどから読み出してメモリ300cに展開することで、セルフレジ30の各機能を実行するプロセスを動作させるハードウェア回路である。すなわち、このプロセスは、セルフレジ30が有する各処理部と同様の機能を実行する。
このように、セルフレジ30は、セルフレジ30の各機能の処理を実行するプログラムを読み出して実行することで動作制御処理を実行する情報処理装置として動作する。また、セルフレジ30は、媒体読取装置によって記録媒体からプログラムを読み出し、読み出されたプログラムを実行することでセルフレジ30の各機能を実現することもできる。なお、この他の実施例でいうプログラムは、セルフレジ30によって実行されることに限定されるものではない。例えば、他のコンピュータまたはサーバがプログラムを実行する場合や、これらが協働してプログラムを実行するような場合にも、本実施形態が同様に適用されてよい。
また、セルフレジ30の各機能の処理を実行するプログラムは、インターネットなどのネットワークを介して配布できる。また、このプログラムは、ハードディスク、FD、CD-ROM、MO、DVDなどのコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行できる。
入力装置300eは、プロセッサ300dによって実行されるプログラムに対する入力操作など、ユーザによる各種入力操作を検知する。当該入力操作には、例えば、タッチ操作などが含まれる。タッチ操作の場合、セルフレジ30はさらに表示部を備え、入力装置300eによって検知される入力操作は、当該表示部に対するタッチ操作であってよい。入力装置300eは、例えば、ボタン、タッチパネル、近接センサなどであってよい。また、入力装置300eは、バーコードの読み取りをする。入力装置300eは、例えば、バーコードリーダである。バーコードリーダは、光源と光センサを持ち、バーコードをスキャンする。
出力装置300fは、プロセッサ300dによって実行されるプログラムから出力されるデータをセルフレジ30に接続された外部装置、例えば、外部ディスプレイ装置などを介して出力する。なお、セルフレジ30が表示部を備える場合、セルフレジ30は出力装置300fを備えなくてもよい。