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  • 特開-動物威嚇銃のガス噴射操作ユニット 図1
  • 特開-動物威嚇銃のガス噴射操作ユニット 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024089581
(43)【公開日】2024-07-03
(54)【発明の名称】動物威嚇銃のガス噴射操作ユニット
(51)【国際特許分類】
   F41B 15/00 20060101AFI20240626BHJP
   F41B 11/62 20130101ALI20240626BHJP
【FI】
F41B15/00 C
F41B11/62
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2022212922
(22)【出願日】2022-12-21
(71)【出願人】
【識別番号】523014142
【氏名又は名称】株式会社カヌープロマルチ工業
(72)【発明者】
【氏名】沼田 悟
(57)【要約】
【課題】一般の女性や子供など非力な人間でも容易に扱える、軽量で操作性及び安全性に優れる携帯用動物威嚇銃を提供する。
【解決手段】圧縮空気を利用した携帯用威嚇銃に用いるガス噴射操作ユニットで、粉体23を充填した射筒2に取付けて使用する。通気孔111を有する側壁にピン112を配置し、バネ113を挟んでガスボンベ3を収納するとともに、ガスボンベ3が摺動可能な操作筒11、操作人がガスボンベ3をバネ14に抗して動かすための操作棒13、及び操作筒11に操作棒13とバネ14を取り付けるためのキャップ12から構成され、操作棒13の前方に磁石133内蔵の鍔部132、後方に取手134、その近傍に安全ピン135を設けている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本発明のガス噴射操作ユニットは、動物威嚇銃の構成部材である円筒状射筒の後端に嵌合して使用するものであり、前記円筒状射筒と略同外径の操作筒と操作棒とキャップ、及び衝撃用バネから構成され、
前記操作筒は、ガスボンベが摺動自在を可能とする内周壁を有し、先端側壁面に複数の通気孔を施し、その中央部には内部に向けて鋭突する円錐先のピンを設け、この先端側壁内面にガスボンベのガス噴出口側を弾性的に保持する緩衝用バネを配置してなり、
前記操作棒は、任意長の丸棒の一端に磁石を嵌入した円筒状の鍔部を設け、他端に取手を設けてなり、
前記円筒状キャップは、後端側壁の中心部に前記丸棒の摺動可能な円筒状の貫通孔を設け、
前記衝撃用バネは、前記ピンが前記バネBに抗して前記ガスボンベのガス噴出口を突き破るのに必要な反発力を有し、
前記操作棒の前記鍔部と前記キャップの後端側壁が成す空間内に前記衝撃用バネを挿入し、前記取手が前記キャップの外側に突出するように前記操作棒と前記キャップを結合した後、前記ガスボンベを前記ガスボンベ収納空間に収納し、前記キャップと前記操作筒とを螺合部Aで結合して組み立てることを特徴とする動物威嚇銃のガス噴射操作ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動物を威嚇退治するために使用する携帯用動物威嚇銃に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、野生の動物たちは、生息地環境の変化や餌資源の凶作などから、食料を求めて人間の生活域に出没する機会が増え、これに起因して人身被害につながるなど大きな社会問題になっている。人身被害を防ぐ手段として、出没する動物を抹殺する、捕獲する、あるいは音声や狼を模した置物などで威嚇し追い払う方法が取られているが、彼らと積極的に共存する目的で、単に威嚇し棲家へ戻すためだけの携帯できる安全かつ容易に操作可能な用具を人は未だ手にしていない。
【0003】
先に、出願人は、上記問題に鑑み、動物達に肉体的障害を与えることのない威嚇を目的とする食品用粉末を噴霧する威嚇銃に関にして実用新案登録出願を行なって提示しているところである(特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3109734号公報
【特許文献2】実用新案登録第3113595号公報
【特許文献3】実開昭和60-86800号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
同一出願人による特許文献1の動物威嚇銃は、その後の試験的実施において、標的となる動物に粉体を命中させることが極めて難しいことが判明した。その主な要因は、該威嚇銃のガス噴射操作部は、図6に示すように、ガスボンベの背後に設けた操作棒を用いて、開口用ピンとガスボンベ間に設けたバネに抗してガスボンベを開口用ピン先へと摺動させる構造となっており、射筒内の粉体を標的へ正確に当たるように噴射させるためには、該威嚇銃の先端がブレないように、片方の手で操作筒を堅牢に握り、もう片方の手で操作棒の取手を握って(あるいは平手で)瞬時に操作筒内に押し込む必要がある。しかしながら、この操作は、それ相応の腕力が必要であり、一般の女性や子供など非力な人間にとって容易ではなかった。
【0006】
一方、非力な人間でも操作可能な動物威嚇銃が開示されている(特許文献3参照)が、該威嚇銃は、ガスボンベの摺動をストッパーの抜き差しで行うもので、携帯時や操作時に間違って該威嚇銃を落下させた場合など、ストッパーが外れて暴発する危険性が高く、安全性に大きな問題がある。このため、前述の同一出願人の特許文献1、2の動物威嚇銃では、開口用ピンとガスボンベ間にガスボンベ噴出口側を弾性的に保持する緩衝用バネを配置し、加えて取手とキャップ間の操作棒に安全ピンを挿入するなど、暴発に対する二重の安全策を講じている。
【0007】
そこで、本発明は、同一出願人による先の実用新案登録におけるガス噴射操作部の構造・機能を改良することで、一般の女性や子供など非力な人間でも容易に扱える、軽量で操作性及び安全性に優れる携帯用動物威嚇銃を提供するものにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の動物威嚇銃のガス噴射操作ユニットは、該動物威嚇銃の構成部材である円筒状射筒の後端に嵌合して使用するものであり、前記射筒と略同外径の操作筒、操作棒、円筒状キャップ及びバネAから構成されている。
【0009】

前記操作筒は、ガスボンベが摺動自在を可能とする内周壁を有し、先端側壁に複数の通気孔を施し、その中央部には内部に向けて鋭突する円錐先のピンを設け、この先端側壁内面にガスボンベのガス噴出口側を弾性的に保持するバネBを配置している。
【0010】

前記操作棒は、任意長の丸棒の一端に磁石を嵌入した円筒状の鍔部を設け、他端に取手を設けている。
【0011】
前記円筒状キャップは、後端側壁の中心部に前記丸棒の摺動可能な円筒状の貫通孔を設けている。
【0012】
前記バネAは、前記ピンが前記バネBに抗して前記ガスボンベのガス噴出口を突き破るのに必要な反発力を有している。
【0013】
本発明のガス噴射操作ユニットは、前記取手が前記キャップの外側に突出する状態で前記バネAを前記鍔部と前記キャップの後端側壁が成す空間内に挿入され、前記操作棒と前記キャップを結合した後、前記ガスボンベを前記ガスボンベ収納空間に収納し、前記キャップと前記操作筒とを螺合部Aで結合することで組み立てられる。
【0014】
なお、前記射筒は、その先端側壁に一定の押圧力により離脱する蓋を設け、他端の内周壁面に嵌合し所定の押圧力で変形・離脱する平板状ガスケットを設け、内部に粉末が充填されている。
【発明の効果】
【0015】
本発明のガス噴射操作ユニットは、操作棒の鍔部に嵌入した磁石でガスボンベを鍔部に吸着させ、操作棒に連動して操作筒内を摺動させることができるため、特許文献1にある緩衝用バネと比べ、その反発力を弱めることが可能となる。
【0016】
さらに、操作棒の鍔部の背後に配置した衝撃用バネによって、ガスタンクをピン先まで移動させ、ガスを容易に噴射させることができるため、特許文献1の動物威嚇銃では難しかった一般の女性や子供など非力な人間でも比較的容易に扱えるだけではなく、暴発対策として、磁石によるガスボンベの操作棒への吸着、特許文献1と同様に緩衝ピンと安全ピンの採用など、三重の安全策を講じており、より安全性が高く、操作性に優れ、低コストで携帯用として有用且つ便利である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】一実施例を示す動物威嚇銃の全体断面図
図2(a)】取手を最大限手前に引いた作動状態を示す図1の実施例における断面図
図2(b)】取手を離した後の射筒内から粉体が噴出する作動状態を示す図1の実施例における断面図
図3】本発明のガス噴射操作ユニットを示す断面図
図4図3の操作筒に示す先端側壁の側面図
図5図3の操作棒に示す鍔部の側面図
図6】特許文献1に示す動物威嚇銃の断面図
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面に従って、本発明の一実施形態について詳述する。
図1は、動物威嚇銃全体を示す断面図であり、外径を略同じくする円筒状の射筒2と図3に示す本発明のガス噴射操作ユニット1を螺合部Bで結合し、操作筒11のガスボンベ収納空間114にガスボンベ3を収納することで、実用に供される。
射筒2は、後方の内周側面に平板状のガスケット22をガス圧が最大限になった時点で結合が破壊される程度の強さで嵌合して隔壁を形成し、先端の開口部から噴射用粉末23を充填後に蓋21で該開口部を封止している
【0019】
本発明のガス噴射操作ユニット1は、図3に示すように、操作筒11、操作棒13、キャップ12、及びバネ14の各部材から構成され、操作筒11は、ガスボンベ3と操作棒13とが軸方向に摺動自在な内周壁を有する任意長の円筒管で、先端側壁にガスの通路となる複数の通気孔111を設けるとともに、ガスボンベ収納空間114側に向けて先端が突出するように円錐状のピン112を側壁面中央部に設け、さらにガスボンベ3のガス噴出口31を弾性的に押圧保持するための緩衝用バネ113を設けている。
【0020】
操作棒13は、任意長の丸棒131の一端にガスボンベ3を吸着するための磁石を嵌入した円筒状の鍔部132を設け、他端に操作棒13の作動を容易にする円筒型の取手134を設けている。
【0021】
キャップ12は、後端側壁121の中心部に丸棒131の摺動可能な円筒状の貫通孔121を設けている。
【0022】
バネ14は、操作棒13の鍔部132とキャップ12の後端側壁121、及び操作筒11と操作棒13が成す空間内に装着可能な形状(外径、線径、全長)であり、ピン112が緩衝用バネ113に抗してガスボンベ3のガス噴出口31を突き破り、ガスが噴出するのに必要な反発力を有している。
【0023】
ガス噴射操作ユニット1の組み立ては、ガスボンベ3が交換可能なように、前段として、取手134がキャップ12の外側に突出する状態でバネ14を鍔部132とキャップ12の後端側壁121が成す空間内に挿入し、操作棒13とキャップ12を結合し、その後、ガスボンベ3をガスボンベ収納空間114に収納し、キャップ12と操作筒11とを螺合部Aで結合することで行う。
【0024】
操作棒13には、落下等による誤動作で操作棒13の鍔部132がガスボンベ3を押し込むようなことがあっても、ガスボンベ3の先端部がピン112に接触しない位置に安全ピン孔135を設け、この孔に安全ピン4を差し込むことで、操作棒13の動きを制限することが出来る。
【0025】
図4は、操作筒11に示す先端側壁の前方から見た側面図で、ガスの通過する4個の通気孔111を設け、中央部にはビス状のピン112をねじ込んでいる。この実施例に関らず、通気孔111の数、形状等の変更は設計上の問題であり、ピン112もビス状のものに限るものではない。
【0026】
図5は、鍔部132の前方から見た側面図であり、中央部に円柱状の磁石が鍔部132から離脱しないように嵌め込まれている。この実施例に限らず、磁石の形状、個数、配置等は設計上の問題であり、ガスボンベ3を吸着・保持する吸引力を有し、鍔部132から離脱しないものであれば変更は構わない。
【0027】
以下、本考案における操作について説明する。
図1は、ガス噴射操作ユニット1に射筒2を結合した携帯型動物威嚇銃を示す一実施例であり、該ガス噴射ユニットを組み立てる際、予めガスボンベ収納空間114に新品のガスボンベ3を収納し、操作棒13の安全ピン孔135に安全ピン4を差し込んでいる。
【0028】
図2(a)は、図1の状態から安全ピン4を引き抜き、取手134を握って操作棒13を最大限手前に引いた状態を示す断面図であり、ガスボンベ13が操作棒13と連動して手前に移動するとともに、バネ14はその移動分圧縮される。
【0029】
図2(b)は、(a)の状態から取手134の握りを離し、バネ14の反発力で操作棒が前方に移動し、これと連動するガスボンベ3のガス噴出口31がピン113の先端部に当たって破壊され、ガスが噴出する時の状態を示す断面図であり、平板状ガスケット22と蓋21もほぼ同時に破壊され、粉体23と共に射筒(銃先先)から外界に放出されている。
【0030】
具体例として、山歩きなどで突然熊などの動物に遭遇した際、安全ピン4を引き抜き、動物に向かって銃を構え、片手で操作筒やキャップを握り、もう片方の手で操作棒の取手を手前に最大限引いた後、握りを離す。
すると、ガスボンベの口が突き破られてガスが噴出して操作筒11内の圧力が高まり、一定の値に達したときにガスケット22を一瞬にして破壊する。その時、射筒11内の粉体23に圧力が加えられ、その力によって蓋21が瞬時に射筒11から離脱し、粉体23が飛散し、同時に衝撃音も発生する。このため、熊などは粒子の煙幕によって一瞬視界を失うとともに大きな音で驚き、退散することになる。かくして、動物に特別な危害を加えること無く、人間が危機から脱出できることになる。
【符号の説明】
【0031】
1 ガス噴射操作ユニット
11 操作筒
111 通気孔
112 ピン
113 バネB
114 ガスボンベ収納空間
12 キャップ
121 後端側壁
122 貫通孔
13 操作棒
131 丸棒
132 鍔部
133 磁石
134 取手
135 安全ピン孔
14 バネA
2 射筒
21 蓋
22 ガスケット
23 粉体
3 ガスボンベ
31 ガス噴出口
4 安全ピン
図1
図2
図3
図4
図5
図6