(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024089596
(43)【公開日】2024-07-03
(54)【発明の名称】クッションおよび乗物用シート
(51)【国際特許分類】
A47C 27/15 20060101AFI20240626BHJP
B60N 2/56 20060101ALI20240626BHJP
B60N 2/02 20060101ALI20240626BHJP
B60N 2/62 20060101ALI20240626BHJP
A47C 7/14 20060101ALI20240626BHJP
A47C 7/74 20060101ALI20240626BHJP
【FI】
A47C27/15 A
B60N2/56
B60N2/02
B60N2/62
A47C7/14 A
A47C7/14 B
A47C7/74 B
A47C7/74 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023057048
(22)【出願日】2023-03-31
(31)【優先権主張番号】63/476,453
(32)【優先日】2022-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】000220066
【氏名又は名称】テイ・エス テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116034
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 啓輔
(74)【代理人】
【識別番号】100144624
【弁理士】
【氏名又は名称】稲垣 達也
(72)【発明者】
【氏名】三好 晃
【テーマコード(参考)】
3B084
3B087
3B096
【Fターム(参考)】
3B084BA01
3B084CA07
3B084CB01
3B084JF02
3B084JG02
3B087BD15
3B087BD16
3B087DE03
3B087DE04
3B087DE05
3B096AB07
(57)【要約】
【課題】バイオマスウレタンからなるクッション部材が大きく変形するのを抑制することができるクッションおよび乗物用シートを提供することを目的とする。
【解決手段】クッションCは、第1クッション部材11と、少なくとも1つの可動部材(袋19)と、を備える。第1クッション部材11は、バイオマスウレタンからなる。可動部材は、第1状態と、第1状態とは異なる第2状態とに切替可能である。可動部材の少なくとも1つは、第1クッション部材11を避けた位置に設けられる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バイオマスウレタンからなる第1クッション部材と、
第1状態と、前記第1状態とは異なる第2状態とに切替可能な、少なくとも1つの可動部材と、を備え、
前記可動部材の少なくとも1つは、前記第1クッション部材を避けた位置に設けられることを特徴とするクッション。
【請求項2】
前記第1クッション部材よりも変形しにくい第2クッション部材をさらに備え、
前記可動部材は、前記第2クッション部材内に位置することを特徴とする請求項1に記載のクッション。
【請求項3】
前記可動部材は、気体が注入または排出されることにより前記クッション内において膨張または収縮する袋であることを特徴とする請求項2に記載のクッション。
【請求項4】
ユーザを支持する座面をさらに有し、
前記座面と前記第1クッション部材の間に、前記第2クッション部材の少なくとも一部が位置することを特徴とする請求項3に記載のクッション。
【請求項5】
前記クッションは、ユーザが着座するシートを構成するクッションであり、
ベース部と、
前記ベース部の左右に位置し、前記ベース部よりもユーザ側に膨出する膨出部と、を有し、
前記第1クッション部材は、前記膨出部のユーザ側の面を避けた位置に位置することを特徴とする請求項4に記載のクッション。
【請求項6】
前記クッションは、ユーザが着座するシートを構成するクッションであり、
ベース部と、
前記ベース部の左右に位置し、前記ベース部よりもユーザ側に膨出する膨出部と、を有し、
前記第1クッション部材は、前記ベース部のユーザ側の面と前記膨出部のユーザ側の面との接続部を避けた位置に位置することを特徴とする請求項4に記載のクッション。
【請求項7】
前記第2クッション部材は、前記第1クッション部材の全表面を覆うことを特徴とする請求項5に記載のクッション。
【請求項8】
空気が通る通気路をさらに有し、
前記第1クッション部材は、前記通気路から離れていることを特徴とする請求項7に記載のクッション。
【請求項9】
ヒータをさらに備え、
前記第1クッション部材は、前記ヒータから離れていることを特徴とする請求項8に記載のクッション。
【請求項10】
ユーザに対して通知を行う通知装置をさらに備え、
前記第1クッション部材は、前記通知装置から離れていることを特徴とする請求項9に記載のクッション。
【請求項11】
ユーザの身体情報を取得するセンサをさらに備え、
前記第1クッション部材は、前記センサから離れていることを特徴とする請求項10に記載のクッション。
【請求項12】
バイオマスウレタンからなる第1クッション部材と、
第1状態と、前記第1状態とは異なる第2状態とに切替可能な、少なくとも1つの可動部材と、を備え、
前記可動部材は、前記第1状態から前記第2状態に切り替えられたときの変位量が最大となる最大変位部を有し、
前記可動部材の少なくとも1つにおける前記最大変位部は、前記第1クッション部材を避けた位置に設けられることを特徴とするクッション。
【請求項13】
請求項1から請求項12のいずれか1項に記載のクッションと、
前記クッションを支持するフレームと、
前記クッション外に展開されるエアバッグを備えたエアバッグ装置と、を備える乗物用シートであって、
前記第1クッション部材は、前記エアバッグ装置から離れていることを特徴とする乗物用シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クッションおよび乗物用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ウレタン発泡体からなるクッションパッドを備えた乗物用シートが知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、環境に優しいバイオマスウレタンが開発されている。バイオマスウレタンは、再生可能な植物等のバイオマス資源を含む原料を含むウレタンフォームである。バイオマスウレタンからなるクッション部材(以下、「第1クッション部材」ともいう。)は、乗物用シート、座布団、ソファ、ドアライニング等、様々な箇所に適用可能である。
【0005】
しかしながら、第1クッション部材を様々な箇所に適用する場合には、第1クッション部材にかかる荷重の大きさによっては、第1クッション部材が大きく変形(へたる等)してしまうおそれがある。特に、人と接する位置に適用される場合は、人から大きな荷重を受けると、第1クッション部材が大きく変形してしまうおそれがある。さらに、車両用内装部材(シートやドアライニング等)に適用される場合は、車両の挙動変化によって、一層、大きな荷重が第1クッション部材にかかってしまい、大きな変形、あるいは、損傷のおそれがある。また、膨張・収縮可能な袋(エアセル)などの動く部材から第1クッション部材に力がかかると、第1クッション部材が大きく変形するおそれがある。
【0006】
そこで、本発明は、バイオマスウレタンからなるクッション部材が大きく変形するのを抑制することができるクッションおよび乗物用シートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、本発明に係るクッションは、第1クッション部材と、少なくとも1つの可動部材と、を備える。
第1クッション部材は、バイオマスウレタンからなる。
可動部材は、第1状態と、第1状態とは異なる第2状態とに切替可能である。
可動部材の少なくとも1つは、第1クッション部材を避けた位置に設けられる。
【0008】
この構成によれば、可動部材が第1クッション部材を避けた位置に設けられるので、バイオマスウレタンからなるクッション部材が大きく変形するのを抑制することができる。
【0009】
また、クッションは、第1クッション部材よりも変形しにくい第2クッション部材をさらに備え、可動部材は、第2クッション部材内に位置していてもよい。
【0010】
この構成によれば、可動部材が第2クッション部材内で動くので、第1クッション部材が大きく変形するのを抑制することができる。
【0011】
また、可動部材は、気体が注入または排出されることによりクッション内において膨張または収縮する袋であってもよい。
【0012】
また、クッションは、ユーザを支持する座面をさらに有し、座面と第1クッション部材の間に、第2クッション部材の少なくとも一部が位置していてもよい。
【0013】
また、クッションは、ユーザが着座するシートを構成するクッションであり、ベース部と、ベース部の左右に位置し、ベース部よりもユーザ側に膨出する膨出部と、を有し、第1クッション部材は、膨出部のユーザ側の面を避けた位置に位置していてもよい。
【0014】
この構成によれば、ユーザから大きな荷重を受けやすい膨出部のユーザ側の面を避けた位置に、第1クッション部材が位置することで、膨出部のユーザ側の面に加わる力が第1クッション部材に伝わりにくいので、第1クッション部材の変形をより抑制することができる。
【0015】
また、クッションは、ユーザが着座するシートを構成するクッションであり、ベース部と、ベース部の左右に位置し、ベース部よりもユーザ側に膨出する膨出部と、を有し、第1クッション部材は、ベース部のユーザ側の面と膨出部のユーザ側の面との接続部を避けた位置に位置していてもよい。
【0016】
この構成によれば、応力が集中しやすい接続部を避けた位置に、第1クッション部材が位置することで、接続部に加わる応力が第1クッション部材に伝わりにくいので、第1クッション部材の変形をより抑制することができる。
【0017】
また、第2クッション部材は、第1クッション部材の全表面を覆ってもよい。
【0018】
この構成によれば、クッションの表面のどの位置から荷重を受けても、第1クッション部材に力が伝わりにくいので、第1クッション部材の変形をより抑制することができる。
【0019】
また、クッションは、空気が通る通気路をさらに有し、第1クッション部材は、通気路から離れていてもよい。
【0020】
この構成によれば、クッションのうち変形しやすい部分となる、通気路が形成された部分の変形の影響を第1クッション部材が受けにくいので、第1クッション部材の変形をより抑制することができる。
【0021】
また、クッションは、ヒータをさらに備え、第1クッション部材は、ヒータから離れていてもよい。
【0022】
この構成によれば、ヒータの熱が第1クッション部材に伝わりにくいので、第1クッション部材がヒータの熱の影響を受けるのを抑制することができる。
【0023】
また、クッションは、ユーザに対して通知を行う通知装置をさらに備え、第1クッション部材は、通知装置から離れていてもよい。
【0024】
この構成によれば、通知装置の熱が第1クッション部材に伝わりにくいので、第1クッション部材が通知装置の熱の影響を受けるのを抑制することができる。
【0025】
また、クッションは、ユーザの身体情報を取得するセンサをさらに備え、第1クッション部材は、センサから離れていてもよい。
【0026】
この構成によれば、センサの熱が第1クッション部材に伝わりにくいので、第1クッション部材がセンサの熱の影響を受けるのを抑制することができる。
【0027】
また、本発明に係るクッションは、第1クッション部材と、少なくとも1つの可動部材と、を備える。
第1クッション部材は、バイオマスウレタンからなる。
可動部材は、第1状態と、第1状態とは異なる第2状態とに切替可能である。
可動部材は、第1状態から第2状態に切り替えられたときの変位量が最大となる最大変位部を有する。
可動部材の少なくとも1つにおける最大変位部は、第1クッション部材を避けた位置に設けられる。
【0028】
この構成によれば、可動部材の最大変位部が第1クッション部材を避けた位置に設けられるので、バイオマスウレタンからなるクッション部材が大きく変形するのを抑制することができる。
【0029】
また、本発明に係る乗物用シートは、前記クッションと、クッションを支持するフレームと、クッション外に展開されるエアバッグを備えたエアバッグ装置と、を備える。
第1クッション部材は、エアバッグ装置から離れている。
【0030】
この構成によれば、エアバッグ装置の作動によってクッションに力が加わっても、第1クッション部材が変形するのを抑制することができる。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、バイオマスウレタンからなるクッション部材が大きく変形するのを抑制することができる。
【0032】
また、本発明によれば、可動部材が第2クッション部材内に位置する構成とすることで、可動部材が第2クッション部材内で動くので、第1クッション部材が大きく変形するのを抑制することができる。
【0033】
また、本発明によれば、ユーザから大きな荷重を受けやすい膨出部のユーザ側の面を避けた位置に、第1クッション部材を配置することで、膨出部のユーザ側の面に加わる力が第1クッション部材に伝わりにくいので、第1クッション部材の変形をより抑制することができる。
【0034】
また、本発明によれば、ベース部のユーザ側の面と膨出部のユーザ側の面との接続部を避けた位置に、第1クッション部材を配置することで、接続部に加わる応力が第1クッション部材に伝わりにくいので、第1クッション部材の変形をより抑制することができる。
【0035】
また、本発明によれば、第2クッション部材で第1クッション部材の全表面を覆うことで、クッションの表面のどの位置から荷重を受けても、第1クッション部材に力が伝わりにくいので、第1クッション部材の変形をより抑制することができる。
【0036】
また、本発明によれば、第1クッション部材を通気路から離すことで、クッションのうち変形しやすい部分となる、通気路が形成された部分の変形の影響を第1クッション部材が受けにくいので、第1クッション部材の変形をより抑制することができる。
【0037】
また、本発明によれば、第1クッション部材をヒータから離すことで、ヒータの熱が第1クッション部材に伝わりにくいので、第1クッション部材がヒータの熱の影響を受けるのを抑制することができる。
【0038】
また、本発明によれば、第1クッション部材を通知装置から離すことで、通知装置の熱が第1クッション部材に伝わりにくいので、第1クッション部材が通知装置の熱の影響を受けるのを抑制することができる。
【0039】
また、本発明によれば、第1クッション部材をセンサから離すことで、センサの熱が第1クッション部材に伝わりにくいので、第1クッション部材がセンサの熱の影響を受けるのを抑制することができる。
【0040】
また、本発明によれば、第1クッション部材をエアバッグ装置から離すことで、エアバッグ装置の作動によってクッションに力が加わっても、第1クッション部材が変形するのを抑制することができる。
【0041】
また、本発明によれば、可動部材の最大変位部が第1クッション部材を避けた位置に設けられることで、バイオマスウレタンからなるクッション部材が大きく変形するのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【
図1】第1実施形態に係る乗物用シートの斜視図である。
【
図3】背もたれの断面図であり、袋が萎んでいる状態を示す図(a)と、袋が膨らんでいる状態を示す図(b)である。
【
図13】第10実施形態の背もたれの断面図(a)と、第10実施形態の変形例を示す断面図(b)である。
【
図14】第11実施形態の背もたれの断面図である。
【
図15】第12実施形態の背もたれの断面図である。
【
図16】第13実施形態に係るクッションであって、ドアのインナーパネルに取り付けられたクッションを示す断面図である。
【
図17】第14実施形態に係るクッションであって、座布団を構成するクッションを示す図(a),(b)である。
【
図18】第15実施形態に係るクッションを有するソファを示す図である。
【
図19】第16実施形態の背もたれの断面図である。
【
図20】第17実施形態に係る袋と第1クッション部材の関係を示す図(a),(b)である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
[第1実施形態]
次に、本発明の第1実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
図1に示すように、乗物用シートSは、例えば車両に設置されるシートである。なお、乗物用シートは、例えば、船舶や航空機などに設置されるシートであってもよい。なお、本明細書において、前後、左右、上下は、乗物用シートSに座るユーザを基準とする。
【0044】
乗物用シートSは、座部S1と、背もたれS2と、ヘッドレストS3とを備えてなる。詳しくは、乗物用シートSは、
図2に示すようなシートフレームFRと、
図3に示すようなクッションCとを備える。クッションCは、シートフレームFRに支持されている。
【0045】
図2に示すように、シートフレームFRは、座部S1のフレームとなる座部フレームFR1と、背もたれS2のフレームとなる背もたれフレームFR2とを有する。クッションCは、背もたれフレームFR2および座部フレームFR1のそれぞれに取り付けられている。
【0046】
なお、図示は省略するが、背もたれフレームFR2の上端部には、ヘッドレストS3のフレームが、背もたれフレームFR2に対して着脱可能に設けられる。ヘッドレストS3のフレームにも、パッド本体と表皮部材が被せられている。つまり、ヘッドレストS3のフレームにも、クッションが取り付けられている。
【0047】
座部フレームFR1および背もたれフレームFR2は、それぞれ、左右に離間して配置された左右のサイドフレームSFと、左右のサイドフレームSFの間に配置された、ユーザからの荷重を受ける支持部材15とを有する。支持部材15は、
図3に示すように、クッションCの左右方向の中央部を支持する。
【0048】
図3に示すクッションCは、背もたれS2を構成するクッションである。なお、座部S1を構成するクッションCの構造は、背もたれS2を構成するクッションCと略同様であるため、説明は省略する。
【0049】
クッションCは、シートフレームFRに被さったパッド本体10と、パッド本体10を覆う表皮部材18と、可動部材の一例としての袋19と、エアバッグ装置ABとを備えている。表皮部材18は、合成皮革や布地などからなる。
【0050】
図3に示すように、パッド本体10は、ベース部10Aと、ベース部10Aの左右に位置する膨出部10Bとを有する。膨出部10Bは、ベース部10Aよりもユーザ側に膨出する。パッド本体10は、略左右対称な構造であるため、図では、左右方向の一方側を拡大して図示する。
【0051】
ベース部10Aは、ユーザ側の面となる第1支持面F1を有する。膨出部10Bは、ユーザ側の面となる第2支持面F2を有する。第1支持面F1および第2支持面F2は、表皮部材18と接触し、表皮部材18を介してユーザを支持する。
【0052】
パッド本体10は、表皮部材18を吊り込むための吊り込み溝GRを有する。第1支持面F1と第2支持面F2は、吊り込み溝GRの底で接続されている。つまり、第1支持面F1と第2支持面F2の接続部CNは、吊り込み溝GRの底に位置する。吊り込み溝GRは、左右方向において、支持部材15の範囲内に位置する。
【0053】
表皮部材18は、第1支持面F1に沿った第1座面F11と、第2支持面F2に沿った第2座面F12とを有する。第1座面F11および第2座面F12は、乗物用シートSに着座したユーザを向く面であり、ユーザと接触してユーザを支持する。
【0054】
パッド本体10は、バイオマスウレタンからなる第1クッション部材11と、第2クッション部材12とを備えている。ここで、バイオマスウレタンとは、植物由来原料を少なくとも35%以上、望ましくは50%以上配合したウレタンフォームである。バイオマスウレタンとしては、例えばECOLOCEL(登録商標)を利用することができる。
【0055】
第1クッション部材11は、ベース部10Aのうちユーザとは反対側の部分を構成する。第1クッション部材11は、膨出部10Bの第1支持面F1を避けた位置に位置する。ここで、第1支持面F1を避けた位置とは、第1支持面F1から離れた位置であり、言い換えると、第1支持面F1とは接触していない位置をいう。なお、以下の説明における「避けた位置」についても、「離れた位置」または「接触していない位置」を意味する。
【0056】
第1クッション部材11は、左右方向において、左右の膨出部10Bの間に位置する。第1クッション部材11は、接続部CNを避けた位置に位置する。第1クッション部材11は、左右方向において、左右の吊り込み溝GRの間に位置する。
【0057】
第1クッション部材11は、エアバッグ装置ABから離れている。第1クッション部材11は、後述するティアラインTLから離れている。第1クッション部材11は、支持部材15と接触し、支持部材15で支持されている。
【0058】
第2クッション部材12は、第1クッション部材11よりも変形しにくいウレタンフォームである。第2クッション部材12は、第1クッション部材11に接触して第1クッション部材11の変形を抑制する。
【0059】
ここで、第1クッション部材11および第2クッション部材12の変形のしにくさを調べるための試験としては、例えば、JISの軟質発泡材料の試験方法(JIS K6400-2:2012)の硬さ試験のA法などを採用することができる。
【0060】
第2クッション部材12は、ベース部10Aのうちユーザ側の部分を構成するとともに、膨出部10Bを構成している。第2クッション部材12の一部は、第1座面F11と第1クッション部材の間に位置する。
【0061】
第2クッション部材12は、第1クッション部材11が入る凹部12Aを有する。第2クッション部材12は、エアバッグ装置ABからエアバッグを前方に向けて展開させるためのスリット状のティアラインTLを有している。第2クッション部材12は、支持部材15およびサイドフレームSFと接触し、支持部材15およびサイドフレームSFで支持されている。
【0062】
エアバッグ装置ABは、クッションC外に展開されるエアバッグと、エアバッグ内にガスを供給するインフレータとを備えている。エアバッグ装置ABは、サイドフレームSFに固定される。
【0063】
袋19は、気体が注入または排出されることによりクッションC内において膨張または収縮する袋である。袋19は、
図3(a)に示す第1状態と、
図3(b)に示す第2状態とに切替可能である。第2状態は、第1状態とは異なる状態である。袋19は、第1状態では萎んでおり、第2状態では膨らんでいる。袋19が第2状態になると、第1座面F11および第2座面F12が、ユーザ側に膨出する。
【0064】
袋19は、第1クッション部材11を避けた位置に設けられる。袋19は、第2クッション部材12内に位置する。
【0065】
袋19は、ベース部10Aに複数設けられている。袋19は、各膨出部10Bに1つずつ設けられている。なお、袋は、ベース部に1つだけ設けられていてもよいし、1の膨出部に複数設けられていてもよい。
【0066】
ベース部10Aに設けられる袋19は、第1座面F11の近くに位置する。詳しくは、袋19から第1座面F11までの距離は、袋19から第1クッション部材11までの距離より小さい。
【0067】
膨出部10Bに設けられる袋19は、第2座面F12の近くに位置する。詳しくは、袋19から第2座面F12までの距離は、袋19からクッションCのユーザとは反対側の面までの距離より小さい。
【0068】
第1実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
袋19が第1クッション部材11を避けた位置に設けられるので、バイオマスウレタンからなる第1クッション部材11が大きく変形するのを抑制することができる。
【0069】
袋19が第2クッション12部材内に位置することで、袋19が第2クッション12部材内で動くので、第1クッション部材11が大きく変形するのを抑制することができる。
【0070】
バイオマスウレタンからなる第1クッション部材11の変形が、第2クッション部材12によって抑制されるので、第1クッション部材11が大きく変形するのを抑制することができる。
【0071】
ユーザから大きな荷重を受けやすい膨出部10Bのユーザ側の面を避けた位置に、第1クッション部材11が位置することで、膨出部10Bのユーザ側の面に加わる力が第1クッション部材11に伝わりにくいので、第1クッション部材11の変形をより抑制することができる。
【0072】
応力が集中しやすい接続部CNを避けた位置に、第1クッション部材11が位置することで、接続部CNに加わる応力が第1クッション部材11に伝わりにくいので、第1クッション部材11の変形をより抑制することができる。
【0073】
第1クッション部材11がエアバッグ装置ABから離れているので、エアバッグ装置ABの作動によってクッションCに力が加わっても、第1クッション部材11が変形するのを抑制することができる。また、第1クッション部材11がティアラインTLを有さないので、第1クッション部材11が変形するのをより抑制することができる。
【0074】
なお、本発明は前記実施形態に限定されることなく、以下に例示するように様々な形態で利用できる。以下に説明する各実施形態においては、他の実施形態と略同様の構造となる部材には同一の符号を付し、その説明は省略する。
【0075】
[第2実施形態]
図4に示すように、第2実施形態に係るパッド本体20は、ユーザ側が第2クッション部材22で構成され、ユーザとは反対側が第1クッション部材21で構成されている。
【0076】
第2クッション部材22は、前述した第1支持面F1、第2支持面F2、吊り込み溝GRおよび接続部CNを有する。第2クッション部材22のうちベース部10Aを構成する部分は、第1座面F11と第1クッション部材21の間に位置する。第2クッション部材22のうち膨出部10Bを構成する部分は、第2座面F12と第1クッション部材21の間に位置する。
【0077】
第1クッション部材21は、支持部材15およびサイドフレームSFと接触し、支持部材15およびサイドフレームSFで支持されている。第1クッション部材21は、接続部CNを避けた位置に位置する。第1クッション部材21は、第2支持面F2を避けた位置に位置する。第1クッション部材21は、膨出部10Bのコーナ部CPを避けた位置に位置する。
【0078】
第2実施形態に係るパッド本体20は、第2クッション部材22内に位置する袋19Aと、第1クッション部材21内に位置する袋19Bと、第1クッション部材21と第2クッション部材22との間に位置する袋19Cとを備えている。
【0079】
第2実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
応力が集中しやすい接続部CNを避けた位置に、第1クッション部材21が位置することで、接続部CNに加わる応力が第1クッション部材21に伝わりにくいので、第1クッション部材21の変形をより抑制することができる。
【0080】
ユーザから大きな荷重を受けやすい膨出部10Bのユーザ側の面である第2支持面F2を避けた位置に、第1クッション部材21が位置することで、第2支持面F2に加わる力が第1クッション部材21に伝わりにくいので、第1クッション部材21の変形をより抑制することができる。
【0081】
[第3実施形態]
図5に示すように、第3実施形態に係るパッド本体30は、第2実施形態とは逆に、ユーザ側が第1クッション部材31で構成され、ユーザとは反対側が第2クッション部材32で構成されている。
【0082】
第1クッション部材31は、前述した第1支持面F1、第2支持面F2、吊り込み溝GRおよび接続部CNを有する。第1クッション部材31のうちベース部10Aを構成する部分は、第1座面F11と第2クッション部材32の間に位置する。第1クッション部材31のうち膨出部10Bを構成する部分は、第2座面F12と第2クッション部材32の間に位置する。
【0083】
第2クッション部材32は、パッド本体10を構成する部材のうち最もユーザから遠い位置に位置する。第2クッション部材32は、支持部材15およびサイドフレームSFと接触し、支持部材15およびサイドフレームSFで支持されている。
【0084】
第3実施形態に係るパッド本体30は、第2クッション部材32内に位置する袋19Aと、第1クッション部材31内に位置する袋19Bと、第1クッション部材31と第2クッション部材32との間に位置する袋19Cとを備えている。
【0085】
[第4実施形態]
図6に示すように、第4実施形態に係るパッド本体40は、第1実施形態とは異なる形状となる、第1クッション部材41および第2クッション部材42を有する。第2クッション部材42は、第1クッション部材41の全表面を覆う。第1クッション部材41は、第2クッション部材42で覆われることで、パッド本体40の外表面のすべてから離れている。
【0086】
第2クッション部材42は、前述した第1支持面F1、第2支持面F2、吊り込み溝GRおよび接続部CNを有する。第2クッション部材42は、支持部材15およびサイドフレームSFと接触し、支持部材15およびサイドフレームSFで支持されている。
【0087】
第4実施形態に係るパッド本体40は、第2クッション部材42内に位置する袋19Aと、第1クッション部材41と第2クッション部材42との間に位置する袋19Cとを備えている。
【0088】
第4実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
クッションCの表面のどの位置から荷重を受けても、第1クッション部材41に力が伝わりにくいので、第1クッション部材41の変形をより抑制することができる。また、第1クッション部材41が、酸素や水分により劣化するのを抑制することができる。
【0089】
[第5実施形態]
図7に示すように、第5実施形態に係るパッド本体50は、第1実施形態とは異なる形状となる、第1クッション部材51および第2クッション部材52を有する。第2クッション部材52は、パッド本体50の大部分を構成し、パッド本体50の残りの一部が第1クッション部材51で構成されている。
【0090】
第2クッション部材52は、前述した第1支持面F1の大部分、第2支持面F2、吊り込み溝GRおよび接続部CNを有する他、空気が通る通気路ALをさらに有している。通気路ALは、パッド本体50のユーザ側の面、つまり第1支持面F1で開口する第1開口AL1を有するとともに、パッド本体50のユーザとは反対側の面で開口する図示せぬ第2開口を有している。第2開口(図示略)には、空気を送り出す、または、空気を吸い込むことが可能なブロアが、ダクト等を介して接続されている。第2クッション部材52は、支持部材15およびサイドフレームSFと接触し、支持部材15およびサイドフレームSFで支持されている。
【0091】
第1クッション部材51は、ベース部10Aの一部を構成する第1部材511と、膨出部10Bの一部を構成する第2部材512とを有する。第1部材511および第2部材512は、通気路ALから離れている。つまり、第1クッション部材51は、通気路ALを有さない構成となっている。
【0092】
詳しくは、第1部材511は、左右方向において、通気路ALと吊り込み溝GRの間に位置する。第1部材511は、第2クッション部材52に形成された貫通孔52Aに入っている。貫通孔52Aは、第1支持面F1と直交する方向において、第2クッション部材52を貫通している。第1部材511は、表皮部材18と支持部材15に接触している。
【0093】
第2部材512は、第2クッション部材52の左右方向外側の側面に位置する。第2クッション部材52の一部は、第2部材512とサイドフレームSFの間に位置する。
【0094】
第5実施形態に係るパッド本体50は、第2クッション部材52内に位置する袋19Aと、第2部材512内に位置する袋19Bとを備えている。
【0095】
第5実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
クッションCのうち変形しやすい部分となる、通気路ALが形成された部分の変形の影響を第1クッション部材51が受けにくいので、第1クッション部材51の変形をより抑制することができる。
【0096】
なお、
図8に示すように、第5実施形態から通気路ALを無くした構成としてもよい。
図7および
図8に示す位置に第1クッション部材51を配置した場合でも、第2実施形態と同様に、第1クッション部材51が、接続部CNや第2支持面F2を避けた位置に配置される。
【0097】
図8の形態に係るパッド本体50は、第2クッション部材52内に位置する袋19Aと、第1部材511内に位置する袋19Bとを備えている。
【0098】
[第6実施形態]
図9に示すように、第6実施形態に係るパッド本体60は、第2実施形態の第1クッション部材21と略同様の構造となる第1クッション部材61と、第2実施形態の第2クッション部材22に通気路ALが形成されてなる第2クッション部材62とを有する。第6実施形態でも、第1クッション部材61は、通気路ALから離れている。なお、図示は省略するが、第1クッション部材61は、第2クッション部材62のユーザとは反対側の面に開口する第2開口からも離れている。第6実施形態によれば、第5実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0099】
なお、第6実施形態に係るパッド本体60は、第2クッション部材62内に位置する袋19Aと、第1クッション部材61と第2クッション部材62との間に位置する袋19Cとを備えている。
【0100】
[第7実施形態]
図10に示すように、第7実施形態に係るクッションC7は、ヒータHをさらに備えている。ヒータHは、シート状の面状発熱体を構成するヒータである。第7実施形態に係るパッド本体70は、第6実施形態の第1クッション部材61と略同様の構造となる第1クッション部材71と、第6実施形態の第2クッション部材62に凹部72A,72Bが形成されてなる第2クッション部材72とを有する。
【0101】
凹部72A,72Bは、ヒータH(面状発熱体)が入る凹みである。凹部72Aは、第2クッション部材72の第1支持面F1に形成されている。凹部72Bは、第2クッション部材72の第2支持面F2に形成されている。
【0102】
ヒータHは、表皮部材18と第2クッション部材72の間に位置する。凹部72A内に入ったヒータHのユーザ側の面は、第1支持面F1と面一となっている。凹部72B内に入ったヒータHのユーザ側の面は、第2支持面F2と面一となっている。
【0103】
第1クッション部材71は、ヒータHから離れている。ベース部10Aに位置するヒータHと第1クッション部材71の間には、第2クッション部材72の一部と通気路ALの一部が位置する。膨出部10Bに位置するヒータHと第1クッション部材71の間には、第2クッション部材72の一部が位置する。通気路ALの第1開口AL1は、凹部72Aと吊り込み溝GRの間に位置する。
【0104】
第7実施形態に係るパッド本体70は、第2クッション部材72内に位置する袋19Aと、第1クッション部材71と第2クッション部材72との間に位置する袋19Cとを備えている。
【0105】
第7実施形態によれば、第1クッション部材71がヒータHから離れていることで、ヒータHの熱が第1クッション部材71に伝わりにくいので、第1クッション部材71がヒータHの熱の影響を受けるのを抑制することができる。また、通気路ALの一部がヒータHと第1クッション部材71の間に位置するので、第1クッション部材71がヒータHの熱の影響を受けるのをより抑制することができる。
【0106】
[第8実施形態]
図11に示すように、第8実施形態に係るクッションC8は、ユーザに対して通知を行う通知装置300と、ユーザの身体情報を取得するセンサ400とをさらに備えている。通知装置300は、振動、音、光などを発生することで、ユーザに通知を行う機能を有する。センサ400は、例えば圧力センサであり、ユーザからの圧力を検出する。なお、センサ400は、着座センサ、脈波センサ、血圧センサなどであってもよい。
【0107】
センサ400で検出された圧力値は、図示せぬ制御部に出力される。制御部は、例えばユーザが所持する携帯端末に圧力値を送信する。携帯端末は、例えば、乗物用シートS上でユーザの身体を動かすための指示を出力する。ユーザが乗物用シートS上で身体を動かすと、携帯端末は、身体の動きに応じた圧力値に基づいて、ゲームなどのアプリケーションプログラムを実行する。アプリケーションプログラム中において、ユーザに通知を行う場合には、携帯端末が通知を行うための通知信号を制御部に出力する。制御部は、通知信号を受けると、通知装置300を動作させて通知を行う。
【0108】
第8実施形態に係るパッド本体80は、第7実施形態の第1クッション部材71と略同様の構造となる第1クッション部材81と、第7実施形態の第2クッション部材72に凹部82A,82B,82Cが形成されてなる第2クッション部材82とを有する。凹部82Aは、センサ400が入る凹みである。凹部82B,82Cは、通知装置300が入る凹みである。
【0109】
凹部82A,82Bは、第2クッション部材82の第1支持面F1に形成されている。凹部82Cは、第2クッション部材82の第2支持面F2に形成されている。凹部82Aは、凹部72Aと凹部82Bの間に位置する。凹部82Bは、凹部82Aと吊り込み溝GRの間に位置する。凹部82Cは、凹部72Bより左右方向外側に位置する。
【0110】
センサ400および通知装置300は、表皮部材18と第2クッション部材82の間に位置する。凹部82A内に入ったセンサ400のユーザ側の面と、凹部82B内に入った通知装置300のユーザ側の面とは、第1支持面F1と面一となっている。凹部82C内に入った通知装置300のユーザ側の面は、第2支持面F2と面一となっている。
【0111】
第1クッション部材81は、通知装置300から離れている。第1クッション部材81は、センサ400から離れている。ベース部10Aに位置する通知装置300と第1クッション部材81の間には、第2クッション部材82の一部および通気路ALの一部が位置する。センサ400と第1クッション部材81の間には、第2クッション部材82の一部および通気路ALの一部が位置する。膨出部10Bに位置する通知装置300と第1クッション部材81の間には、第2クッション部材82の一部が位置する。
【0112】
第8実施形態に係るパッド本体80は、第2クッション部材82内に位置する袋19Aと、第1クッション部材81と第2クッション部材82との間に位置する袋19Cとを備えている。
【0113】
第8実施形態によれば、第1クッション部材81が通知装置300およびセンサ400から離れることで、通知装置300およびセンサ400の熱が第1クッション部材81に伝わりにくいので、第1クッション部材81が通知装置300およびセンサ400の熱の影響を受けるのを抑制することができる。
【0114】
[第9実施形態]
図12に示すように、第9実施形態に係るパッド本体90は、第1クッション部材91および第2クッション部材92に加え、第3クッション部材93をさらに有している。第1クッション部材91および第2クッション部材92は、第8実施形態と略同様の構造となっている。
【0115】
第1クッション部材91は、第2クッション部材92側の面に凹部91Aを有する。凹部91Aは、ベース部10A内に位置する。
【0116】
第3クッション部材93は、第2クッション部材92よりも変形しにくいウレタンフォームからなる。なお、変形のしにくさを調べるための試験としては、第1実施形態と同様の試験を採用することができる。
【0117】
第3クッション部材93は、凹部91A内に入る。凹部91A内に入った第3クッション部材93のユーザ側の面は、第1クッション部材91のユーザ側の面と面一となっている。第3クッション部材93は、第1クッション部材91と第2クッション部材92の間に位置する。左右方向において、第3クッション部材93は、左右の吊り込み溝GRの間に位置する。左右方向において、第3クッション部材93は、左右の吊り込み溝GRから離れている。
【0118】
左右方向において、通気路ALは、第3クッション部材93の範囲内に位置する。左右方向において、ベース部10Aに位置するヒータH、通知装置300およびセンサ400は、第3クッション部材93の範囲内に位置する。
【0119】
第9実施形態に係るパッド本体90は、第2クッション部材92内に位置する袋19Aと、第1クッション部材91と第2クッション部材92との間に位置する袋19Cとを備えている。
【0120】
第9実施形態によれば、第2クッション部材92よりも変形しにくい第3クッション部材93が、第1クッション部材91の一部を支持するので、第1クッション部材91の変形をより抑制することができる。
【0121】
[第10実施形態]
図13(a)に示すように、第10実施形態に係るパッド本体100は、第3クッション部材103の位置が第9実施形態とは異なっている。第10実施形態に係る第1クッション部材101は、第8実施形態の第1クッション部材81のベース部10Aに対応した部分の厚みを小さくした構造となっている。第10実施形態に係る第2クッション部材102は、第8実施形態と略同様の構造となっている。第1クッション部材101の一部(ベース部10Aを構成する部分)は、第2クッション部材102と第3クッション部材103の間に位置する。
【0122】
第3クッション部材103は、第1クッション部材101と支持部材15の間に位置する。第3クッション部材103は、第1クッション部材101と支持部材15に接触する。左右方向において、左右の吊り込み溝GRは、第3クッション部材103の範囲内に位置する。
【0123】
第10実施形態によれば、第9実施形態と同様の効果を得ることができる。また、第10実施形態では、第3クッション部材103が、第9実施形態よりも左右方向に広い範囲で、第1クッション部材101を支持するので、第1クッション部材101の変形をより抑制することができる。
【0124】
第10実施形態に係るパッド本体100は、第2クッション部材102内に位置する袋19Aと、第1クッション部材101と第2クッション部材102との間に位置する袋19Cとを備えている。なお、
図13(b)に示すように、膨出部10Bにおける第2クッション部材102の割合を、
図13(a)の形態よりも大きくしてもよい。この場合、パッド本体100は、第2クッション部材102内に位置する袋19Aのみを備えていてもよい。
【0125】
[第11実施形態]
第11実施形態は、参考例である。
図14に示すように、第11実施形態に係るパッド本体110は、第8実施形態とは逆に、ユーザ側が第1クッション部材111で構成され、ユーザとは反対側が第2クッション部材112で構成されている。
【0126】
第1クッション部材111は、第8実施形態の第2クッション部材82と略同様の構造となっている。第1クッション部材111は、前述した第1支持面F1、第2支持面F2、吊り込み溝GR、接続部CN、通気路ALおよび凹部72A,72B,82A~82Cを有する。第1クッション部材111は、ヒータH、通知装置300およびセンサ400と接触する。
【0127】
第2クッション部材112は、第8実施形態の第1クッション部材81と略同様の構造となっている。第2クッション部材112は、支持部材15およびサイドフレームSFと接触し、支持部材15およびサイドフレームSFで支持されている。
【0128】
第11実施形態に係るパッド本体110は、第1クッション部材111内に位置する袋19Bを備えている。袋19Bは、通気路AL内に位置していてもよい。
【0129】
第11実施形態でも、第1クッション部材111が第2クッション部材112で支持されるので、第1クッション部材111の変形を抑制することができる。
【0130】
[第12実施形態]
第12実施形態は、参考例である。
図15に示すように、第12実施形態に係るパッド本体120は、第11実施形態と略同様の構造となる第1クッション部材121および第2クッション部材122に加え、第2クッション部材122よりも変形しにくい第3クッション部材123をさらに有している。第3クッション部材123は、第1クッション部材121と第2クッション部材122の間に位置する。
【0131】
第3クッション部材123は、ベース部10Aと膨出部10Bを構成している。第3クッション部材123は、第1支持面F1と直交する方向と左右方向に沿った断面(以下、「横断面」ともいう。)において、パッド本体120の一端E1から他端(図示略)までの連続して延びる。また、第1クッション部材121および第2クッション部材122も、同様に、横断面においてパッド本体120の一端E1から他端(図示略)までの連続して延びる。
【0132】
第12実施形態に係るパッド本体120は、第1クッション部材121内に位置する袋19Bを備えている。
【0133】
第12実施形態によれば、第1クッション部材121の一端から他端までが、第3クッション部材123で支持されるので、第1クッション部材121の変形をより抑制することができる。
【0134】
[第13実施形態]
図16に示すように、第13実施形態に係るクッションC13は、車両のドアを構成するインナーパネルIPに取り付けられている。なお、ドアは、金属製のアウターパネルと、インナーパネルIPとを備えている。
【0135】
クッションC13は、ドアライニングを構成する第1部位P1と、アームレストを構成する第2部位P2とを有する。第2部位P2は、第1部位P1のユーザ側の面から突出する。クッションC13は、表皮部材18と、ヒータHと、通知装置300と、センサ400と、通気路ALと、パッド本体130とを有する。
【0136】
パッド本体130は、2つの第1クッション部材131と、第2クッション部材132と、第3クッション部材133とを有する。第2クッション部材132は、ヒータH、通知装置300およびセンサ400が設置される複数の凹部と、通気路ALとを有する。通気路ALは、左右方向外側に開口した溝状に形成されている。第2クッション部材132の一部は、ユーザ側に突出し、アームレストを構成している。表皮部材18は、第2クッション部材132のユーザ側の面に貼り付けられている。
【0137】
2つのうち一方の第1クッション部材131は、第1部位P1(ドアライニング)の一部を構成し、他方の第1クッション部材131は、第2部位P2(アームレスト)を構成する。一方の第1クッション部材131は、第2クッション部材132と第3クッション部材133の間に位置する。一方の第1クッション部材131は、溝状の通気路ALの開口を覆うことで、通気路ALの一部を形成している。
【0138】
他方の第1クッション部材131は、第2クッション部材132のうちアームレストを構成する部分の内部に位置する。他方の第1クッション部材131の全表面は、第2クッション部材132で覆われている。各第1クッション部材131は、ヒータH、通知装置300およびセンサ400から離れている。第3クッション部材133は、インナーパネルIPと接触して、インナーパネルIPに支持される。
【0139】
第13実施形態に係るパッド本体130は、第2クッション部材132内に位置する袋19Aを備えている。
【0140】
第13実施形態によれば、第1クッション部材131が第2クッション部材132と第3クッション部材133に挟まれて支持されるので、第1クッション部材131の変形を抑制することができる。なお、第2クッション部材と第3クッション部材の間には、第1クッション部材の少なくとも一部が位置すればよい。
【0141】
[第14実施形態]
図17(a),(b)に示すように、第14実施形態に係るクッションC14は、椅子500の座面501に取り付けられたり、床面600に載置されたりすることで、座布団として使用されるものである。クッションC14は、表皮部材18と、センサ400と、パッド本体140とを有する。
【0142】
なお、クッションC14は、図示せぬ制御部を有する。制御部は、第8実施形態と同様に、センサ400の圧力値を携帯端末に出力するように構成されている。
【0143】
パッド本体140は、第1クッション部材141と、第2クッション部材142とを有する。第2クッション部材142は、センサ400および第1クッション部材141が設置される複数の凹部を有する。
【0144】
センサ400は、第2クッション部材142のユーザ側の面に位置する。第1クッション部材141は、第2クッション部材142のユーザとは反対側の面に位置する。第1クッション部材141は、センサ400から離れている。表皮部材18は、第2クッション部材142の全面を覆う。
【0145】
第14実施形態に係るパッド本体140は、第2クッション部材142内に位置する袋19Aを備えている。
【0146】
第14実施形態によれば、第1クッション部材141がセンサ400から離れているので、センサ400の熱が第1クッション部材141に伝わるのを抑制することができる。
【0147】
[第15実施形態]
図18に示すように、第15実施形態に係るクッションC15は、ソファ700の各部位を構成している。ソファ700は、シートクッション710と、シートバック720と、ヘッドレスト730と、アームレスト740と、制御部750とを有する。アームレスト740は、シートクッション710の左右両側に設けられている。なお、
図18では、便宜上、表皮部材の図示は、省略する。
【0148】
クッションC15は、ヒータH、センサ400および通気路ALの少なくとも1つを有する他、パッド本体150と、パッド本体150の全表面を覆う、図示せぬ表皮部材とを有する。パッド本体150は、第1クッション部材151と、第2クッション部材152とを有する。第1クッション部材151は、ヒータH、センサ400および通気路ALから離れている。ヒータH、センサ400および通気路ALの第1開口AL1は、パッド本体150のうちユーザ側の面に位置する。
【0149】
詳しくは、シートクッション710を構成するクッションC15は、ヒータHと、複数のセンサ400とを有する。複数のセンサ400は、パッド本体150のうち前側の部分に位置する。ここで、センサ400の数は、例えば、前後方向に並ぶ一対のセンサ400が、シートクッション710の左右に一対ずつ設けられることで、合計4つであってもよい。ヒータHは、センサ400の後ろに位置する。
【0150】
シートクッション710を構成するクッションC15は、第1クッション部材151を2つ有する。一方の第1クッション部材151は、パッド本体150のユーザとは反対側の面に位置する。ヒータHの後端は、前後方向において、一方の第1クッション部材151の範囲内に位置する。一方の第1クッション部材151の前端は、前後方向において、ヒータHの範囲内に位置する。
【0151】
他方の第1クッション部材151は、パッド本体150の後面に位置する。他方の第1クッション部材151は、パッド本体150の上面および下面から離れている。
【0152】
シートバック720を構成するクッションC15は、ヒータHと、センサ400とを有する。センサ400は、ヒータHの上に位置する。なお、センサ400は、シートバック720の左右に1つずつ設けられていてもよい。
【0153】
シートバック720を構成するクッションC15は、第1クッション部材151を3つ有する。3つの第1クッション部材151は、上下方向に間隔を空けて並んでいる。センサ400の少なくとも一部は、上下方向において、最も上の第1クッション部材151の範囲内に位置する。真ん中の第1クッション部材151は、上下方向において、ヒータHの範囲内に位置する。最も下の第1クッション部材151の少なくとも一部は、上下方向において、ヒータHの範囲内に位置する。
【0154】
ヘッドレスト730を構成するクッションC15は、センサ400と、通気路ALとを有する。センサ400は、通気路ALの第1開口AL1の上に位置する。センサ400の少なくとも一部は、上下方向において、第1クッション部材151の範囲内に位置する。第1開口AL1の少なくとも一部は、上下方向において、第1クッション部材151の範囲内に位置する。
【0155】
アームレスト740を構成するクッションC15は、ヒータHと、センサ400と、通気路ALとを有する。ヒータHは、アームレスト740の後側下部に位置する。センサ400は、ヒータHの前に位置する。センサ400は、アームレスト740の上下方向の中央と上部とに1つずつ設けられている。通気路ALの第1開口AL1は、ヒータHの上に位置する。アームレスト740を構成するクッションC15は、内部に、第1クッション部材151を有する(図示略)。
【0156】
制御部750は、ヒータHを制御するとともに、センサ400から情報を取得する。制御部750は、建物の壁などに設置される商用電源800に接続される。
【0157】
第15実施形態に係るパッド本体150は、第2クッション部材152内に位置する袋19Aを備えている。
【0158】
第15実施形態によれば、第1クッション部材151がセンサ400等から離れているので、センサ400等の熱が第1クッション部材151に伝わるのを抑制することができる。
【0159】
[第16実施形態]
図19に示すように、第16実施形態に係る第2クッション部材162は、第1実施形態に係る第2クッション部材12を複数に分割した構成となっている。第2クッション部材162は、第1部材162Aと、第2部材162Bと、第3部材162Cとを有する。
【0160】
第1部材162Aは、第2クッション部材162のうちユーザとは反対側の部分を構成する。第1部材162Aは、前述した凹部12Aを有する。第1部材162Aは、支持部材15およびサイドフレームSFと接触し、支持部材15およびサイドフレームSFで支持されている。
【0161】
第2部材162Bは、第2クッション部材162のベース部10Aを構成する部分のうちユーザ側の部分を構成する。第2部材162Bは、第1部材162Aとの間で袋19を挟む。図に示すように、ベース部10A内に設けられる複数の袋19が、第1座面F11に直交する方向において、異なる位置に位置する場合、第1部材162Aの第2部材162Bとの接触面は、例えば段差状にすることができる。
【0162】
第1部材162Aの第2部材162Bに対向する面には、袋19が入る凹部が形成されていてもよいし、凹部が形成されていなくてもよい。同様に、第2部材162Bの第1部材162Aに対向する面には、袋19が入る凹部が形成されていてもよいし、凹部が形成されていなくてもよい。
【0163】
第3部材162Cは、第2クッション部材162の膨出部10Bを構成する部分のうちユーザ側の部分を構成する。第3部材162Cは、第1部材162Aとの間で袋19を挟む。第1部材162Aの第3部材162Cに対向する面には、袋19が入る凹部が形成されていてもよいし、凹部が形成されていなくてもよい。同様に、第3部材162Cの第1部材162Aに対向する面には、袋19が入る凹部が形成されていてもよいし、凹部が形成されていなくてもよい。
【0164】
第16実施形態によれば、袋19を第2クッション部材162内に容易に配置することができる。また、メンテナンス時などにおいて、第2クッション部材162内から袋19を容易に取り出すことができる。
【0165】
[第17実施形態]
図20(a),(b)に示すように、袋19は、最大変位部MPを有する。最大変位部MPは、袋10の一部であり、袋19が
図20(a)の第1状態から
図20(b)の第2状態に切り替えられたときの変位量が最大となる部分である。なお、最大変位部MPは、前述した各実施形態の袋19も有している。
【0166】
第17実施形態では、最大変位部MPは、第1クッション部材11を避けた位置に設けられている。詳しくは、袋19の一部は、第1クッション部材11内に位置し、他部は、第2クッション部材12内に位置する。最大変位部MPは、第2クッション部材12内に位置する。
【0167】
第17実施形態によれば、袋19の最大変位部MPが第1クッション部材11を避けた位置に設けられることで、バイオマスウレタンからなる第1クッション部材11が大きく変形するのを抑制することができる。
【0168】
第1クッション部材に接触させることで第1クッション部材の変形を抑える部材(以下、「変形抑制部材」ともいう。)は、第2クッション部材に限らない。変形抑制部材は、第1クッション部材よりも変形しやすい部材であってもよいが、第1クッション部材よりも変形しにくい部材とするのが好ましい。第1クッション部材よりも変形しにくい部材としては、例えば、金属や樹脂などからなる板状や棒状などの部材であってもよい。
【0169】
クッションは、表皮部材を有さない構成であってもよい。例えば、クッションは、パッド本体のみからなっていてもよい。
クッションは、ドアライニング以外の車両の内装部材を構成してもよい。
【0170】
第1クッション部材は、植物由来原料を含む比率が第1所定値(例えば35%)以上であってもよい。第2クッション部材は、植物由来原料を含む比率が、第1所定値よりも小さい第2所定値(例えば、15%)以下であってもよい。
【0171】
可動部材は、クッション内で動く(少なくとも一部の位置が変化する)部材であればよく、例えば、第1位置と、第1位置よりもユーザ側に位置する第2位置との間で移動可能なサポート部材であってもよい。また、可動部材が複数ある場合、すべての可動部材が、第1クッション部材を避けた位置に設けられるのが望ましい。
【0172】
前述した実施形態および変形例で説明した各要素を、任意に組み合わせて実施してもよい。
【符号の説明】
【0173】
11 第1クッション部材
19 袋
C クッション