(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024089608
(43)【公開日】2024-07-03
(54)【発明の名称】穿刺補助具
(51)【国際特許分類】
A61M 5/42 20060101AFI20240626BHJP
【FI】
A61M5/42 520
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023117373
(22)【出願日】2023-07-19
(31)【優先権主張番号】P 2022204028
(32)【優先日】2022-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】519298145
【氏名又は名称】木村 広大
(72)【発明者】
【氏名】木村 広大
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066AA07
4C066LL13
(57)【要約】 (修正有)
【課題】どの腕のサイズにも容易に装着でき、単純構造を有し、血管に針を刺す作業が容易であり、かつ、皮下組織が多く、表皮より深い血管が下方向や、左右斜へ動くのを固定することができる穿刺補助具を提供する。
【解決手段】上腕を穿刺補助具1に装着した後に超音波装置を表皮eに当てると、超音波装置から加わる押圧iが表皮e、血管d、上腕骨f、上腕の方向へ伝わることに対し、穿刺補助具1から加わる押圧kは上腕、上腕骨f、血管d、表皮e、超音波装置方向に伝わり、血管d穿刺をする際に発生する血管dの下方向、左右斜めに自動的に動く応力jを固定することができる効果によって、繰り返し針を刺される患者の負担を軽減、医療従事者の穿刺の際の成功率の向上、作業性の向上に繋がる。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上腕にはめ込む弾性変形機能を有する第一片部と第二片部とからなる穿刺補助具において、前記第一片部を固定する固定具と、前記第二片部を固定するするアームと、前記第一片部に対して前記第二片部を進退可能とする移動機構を有していることを特徴とする穿刺補助具。
【請求項2】
前記移動機構は、前記アームを進退するスライドレールを有し、前記固定具は前記スライドレールの先端側に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の穿刺補助具。
【請求項3】
前記第一片部又は前記第二片部の少なくとも、どちらか一方の内周面長手方向の中央付近に形成された第一凸部があることを特徴とする請求項2に記載の穿刺補助具。
【請求項4】
前記第一片部と前記第二片部の長手方向の断面形状はC形状をなしており、前記一第片部のC形状の面積は、前記第二片部のC形状の面積よりも大きくなっている特徴のある請求項3に記載の穿刺補助具。
【請求項5】
前記第一片部と前記第二片部には、前記長手方向の上方開放部先端に形成された、第二凸部と、前記長手方向の下方開放部先端に形成された、第三凸部があることを特徴とする請求項4に記載の穿刺補助具。
【請求項6】
前記第一片部、前記第二片部のどちらか一方に落下防止材を設けていることを特徴とする請求項1に記載の穿刺補助具。
【請求項7】
前記第一片部と前記第二片部のいずれかに、内周面長手方向の中央付近に形成された前記第一凸部と、その対側の片部に第四凸部が設けられており、前記第四凸部と一体となる前記落下防止材を設けていることを特徴とする請求項6に記載の穿刺補助具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は血管への穿刺を補助する穿刺補助具に関する。
【背景技術】
【0002】
医療の現場では、採血、注射用ルート、血管内カテーテルの留置のため、血管穿刺は頻度に実施されており、血管を穿刺する際、血管の方向と針の走行が一致している事が必要である。しかし、患者によっては皮膚が脆弱で、血管周囲の筋肉量の低下、皮下組織が少ない又は多い患者では、超音波で血管を見ながら針で血管穿刺するため、特に高齢者では血管が下方向、左右斜めに自動的に動いてしてしまい、繰り返し穿刺することに繋がり、患者の身体的・精神的苦痛が増すことが考えられる。また、機械的合併症(動脈穿刺、神経損傷、カテーテル感染、静脈炎)へのリスクが増すとも言われている。そのため、特許文献1~3のように容易に穿刺ができる穿刺補助具が各種提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-156053 号公報
【特許文献2】特開2021-20033 号公報
【特許文献3】特開2021-145825 号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に関する穿刺補助具は単純構造を有するが、穿刺する部位が浅く、皮下組織の少ない前腕に使用し、血管が動く(移動)のを固定するが、皮下組織が多く、深い位置にある血管に対しては、血管を狭持する突起部の深達度が足りず、血管の動きを固定することはできない課題を有している。その為、特許文献2.3のように、深い位置にある血管に対しても血管の自動的な動きを固定する前記穿刺補助具もあるが、患者の腕のサイズに合わせて前記穿刺補助具のサイズをその都度変更する他に、分離型の場合は組み立てて患者の腕のサイズへ変更するため手間がかかる課題を有している。
【0005】
本発明は、上記技術に伴う課題を解決するためになされたものであり、単純な構造で、皮下組織、筋肉に押圧を加え、深い位置にある血管を穿刺する際に、血管の自動的な動きを固定することが可能であると伴に、容易にどの腕のサイズにも変更できる構造の前記穿刺補助具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上腕にはめ込む弾性変形機能を有する第一片部と第二片部とからなる前記穿刺補助具において、前記第一片部を固定する固定具と、前記第二片部を固定するするアームと、前記第一片部に対して前記第二片部を進退可能とする移動機構を有していることを特徴とする前記穿刺補助具。
【0007】
前記移動機構は、前記アームを進退するスライドレールを有し、前記固定具は前記スライドレールの先端側に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の前記穿刺補助具。
【0008】
前記第一片部又は前記第二片部の少なくとも、どちらか一方の内周面長手方向の中央付近に形成された第一凸部があることを特徴とする請求項2に記載の前記穿刺補助具。
【0009】
前記第一片部と前記第二片部の長手方向の断面形状はC形状をなしており、前記一第片部のC形状の面積は、前記第二片部のC形状の面積よりも大きくなっている特徴のある請求項3に記載の前記穿刺補助具。
【0010】
前記第一片部と前記第二片部には、前記長手方向の上方開放部先端に形成された、第二凸部と、前記長手方向の下方開放部先端に形成された、第三凸部があることを特徴とする請求項4に記載の前記穿刺補助具。
【0011】
前記第一片部と前記第二片部は割れにくいカーボン素材で形成されているが、カーボン素材に固定された概念だけではなく、シリコン、パラレックス、プラスチックとうの素材に改変することもできる構造となっていることを特徴とする前記穿刺補助具である。
【0012】
前記第一片部、前記第二片部のどちらか一方に落下防止材を設けていることを特徴とする請求項1に記載の前記穿刺補助具。
【0013】
前記第一片部と前記第二片部のいずれかに、内周面長手方向の中央付近に形成された前記第一凸部と、その対側の片部に第四凸部が設けられており、前記第四凸部と一体となる前記落下防止材を設けていることを特徴とする請求項6に記載の前記穿刺補助具。
【発明の作用】
【0014】
前記本体部は、前記第一片部と前記第二片部に分離されており、前記第一片部は進退できないよう、既存にある■Jorgensen(Hangzhou Great Star Industrial Co., Ltd.)製のFクランプ(以下万力アームと述べる)を代用して前記固定具に固定されている特徴のある前記穿刺補助具。
【0015】
一方で、前記第二片部は前記アームを用いてスライドレールを介して前記第一片部の方向へ既存の万力アームの作用を用いて進退しながら、係合することで前記第一片部と前記第二片部が一体となり、どの腕のサイズにも調節することができる特徴のある前記穿刺補助具。
【0016】
前記第二片部は前記アームを用いてスライドレールを介して前記第一片部の方向へ既存の万力アームの作用を用いて進退しながら、係合する際に、前記落下防止材により腕の背面の皮膚が前記第一片部と前記第二片部の間の前記第二の開放部に零れ落ちることなく安全に使用できる前記穿刺補助具。
【発明の効果】
【0017】
前記第一片部は前記第二片部と比べ上腕部が載せられる面積を大きく設けており、長手方向の断面の前記C形状の面積が大きくなっている特徴のある前記穿刺補助具。
【0018】
前記アームが前記スライドレールによって進退することで、前記第二片部をどの腕のサイズにも密着・調節することができ、さらに腕を確実に固定することもできるようになり、前記第一片部と前記第二片部が上腕部と密着して、上腕部の皮下組織、筋肉とうの深部に加わる押圧が増し、血管が下方向や左右斜めへ動く応力を特許文献2.3よりさらに固定できる特徴のある前記穿刺補助具。
【0019】
前記第二の片部にある前記内周面長手方向に設けられている前記第一凸部は、上腕部を載せた際に筋肉を上方向へ、前記押圧を加えながら挙上させることができる特徴のある前記穿刺補助具。
【0020】
さらに前記第一凸部は、上腕部を乗せた際に上腕部背面から零れ落ちた皮膚が、前記第一凸部の凹部(溝)に潜り込める構造となっており、上腕部と前記前記穿刺補助具がさらに密着することが可能となった特徴のある前記穿刺補助具。
【0021】
前記第一片部と前記第二片部にある前記長手方向の上方開放部先端に設けられている第二凸部は斜め上方向へ向いている構造となっており、前記第一凸部で前記筋肉が上方向へ挙上した際に、第一の開放部より表皮が出にくい構造となっている特徴のある前記穿刺補助具。
【0022】
また、特許文献2.3に不足していた皮膚の左右への張力に関しても、上腕部と前記第一片部と前記第二片部が密着し、更に前記第一凸部が軟部組織・前記筋肉を挙上することによって、前記第二凸部から前記第一の開放部へ表皮が出にくい構造により、その際に前記表皮に加わる左右への張力が増しやすくなった特徴のある前記穿刺補助具。
【0023】
前記第一片部と前記第二片部にある前記長手方向内周面の下方開放部先端に設けられている前記第三凸部は、上腕部背面の皮膚を、前記第一片部と前記第二片部が係合する際に第二の開放部に、皮膚が巻き込まれるのを予防するために、前記第三凸部が斜め上方向に向いている特徴のある前記穿刺補助具。
【0024】
また、前記第一片部と前記第二片部のいずれかに、内周面長手方向の中央付近に設けられた前記第四凸部と、その前記第四凸部と一体となる前記落下防止材と、対側の片部に前記第一凸部があることで、腕の径が細い患者さんから、腕の径が太い患者さんまで幅広い範囲の腕に対し、前記穿刺補助具を腕に密着、さらに、特許文献2.3の前記穿刺補助具より密着が増すことが可能となった前記穿刺補助具。
【0025】
また、通常通りに前記穿刺補助具を使ってれば、皮膚が前記第二の開放部に零
れ落ちることは起こらないが、更に安全面を考慮し、前記第二の解放部から皮膚が零れ落ちることが万が一にも起こった際、本発明の前記穿刺補助具では、前記落下防止材により第二の開放部へ皮膚が前記第一片部と前記第二片部が係合する際に零れ落ちないよう、前記落下防止材が設けられている前記穿刺補助具。
【0026】
また、前記落下防止材は柔軟性のある素材により、前記アーム部が前記スラ
イドレールによって進退することで、前記第一片部と前記第二片部が係合する際に前記落下防止材により、係合の妨げにならない構造の前記穿刺補助具。
【0027】
また、前記第四凸部と前記第四凸部と一体となる前記落下防止材は前記第
一片部と前記第二片部が係合する際の前記第一片部と前記第二片部の形状
に前記落下防止材も変形することが可能な前記穿刺補助具。
【0028】
また、前記第一凸部と同様に、前記第四凸部と一体となる前記落下防止材も腕の筋肉の溝に凸部で押圧を加えることも可能であることと、皮膚の張りが低下した患者さんに対して、皮膚の張りを更に増すことが可能となり、特許文献2.3の前記穿刺補助具及び、前記第一凸部より更に押圧を増すことが可能となった前記穿刺補助具。
【0029】
また、前記第四凸部と一体となる前記落下防止材と、前記第一凸部の二か所の凸部で、腕の筋肉の溝と、皮膚と、軟部組織と、筋肉へ押圧を加えることが可能となり、更に血管の動きを抑えることが可能となった前記穿刺補助具。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】実施形態の前記穿刺補助具を説明するための斜面図である。
【
図2】
図1に示される前記穿刺補助具を装着しない場合の第一実施例で、血管の動きを説明する為の上腕の断面図である。
【
図3】
図1に示される前記穿刺補助具を装着した場合の第二実施例で、血管の動きを説明する為の上腕の断面図である。
【
図4】
図3のように、通常通りに前記穿刺補助具を使ってればこのようなことは起こらないが、更に安全面を考慮し、前記穿刺補助具が開放状態の際に前記第二の解放部から皮膚が零れ落ちることが万が一にも起こった際の断面図、第3実施例を念には念を考え
図4を加えた。
【
図5a】
図4で示された前記第二の開放部を閉じる目的で、前記穿刺補助具が開放状態の際に前記穿刺補助具に前記第四凸部と、前記第四凸部と一体となる前記落下防止剤を設け、説明するための実施形態を示した断面図である。
【
図5b】前記穿刺補助具が開放状態の際に、
図5aに示された前記第四凸部と、前記第四凸部と一体となる前記落下防止剤が、前記移動機構を使い、前記穿刺補助具が閉止状態となった際に前記穿刺補助具と前記第四凸部と一体となる前記落下防止剤が変形可能なことを説明する為の断面図である。
【
図6】前記穿刺補助具が開放状態の際に、前記穿刺補助具と
図5aと
図5bに示された前記第四凸部と、前記第四凸部と一体となる前記落下防止剤を説明する為の斜面図である。
【
図7a】
図5aに示される前記穿刺補助具が開放状態の際に、前記穿刺補助具と、前記第四凸部と、前記第四凸部と一体となる落下防止剤に腕を設けた場合の第4実施例で、前記穿刺補助具と、前記第四凸部と、前記第四凸部と一体となる前記落下防止剤による、前記第二の解放部へ皮膚が零れ落ちないことと、血管の動きを説明する為の上腕の断面図である。
【
図7b】
図5bに示される前記穿刺補助具と、前記第四凸部と、前記第四凸部と一体となる落下防止剤に腕を乗せ、前記移動機構を動かした場合の第5実施例で、前記穿刺補助具と、前記第四凸部と、前記第四凸部と一体となる前記落下防止剤による、前記第二の解放部へ皮膚が零れ落ちないことと、血管の動きを説明する為の上腕の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施の形態を、図を参照しつつ説明する。
【0032】
図1~3は腕にはめ込むタイプの前記穿刺補助具1で、弾性変形機能を有する前記第一片部2と前記第二片部3とからなる前記穿刺補助具において、前記第一片部2を固定する前記固定具2aと、前記第二片部3を固定するアーム3aと、前記第一片部2に対して前記第二片部3を進退可能とする移動機構を有し、前記第一片部2又は前記第二片部3の少なくとも、どちらか一方の内周面長手方向の中央付近に形成された前記第一凸部7があることを特徴とする前記穿刺補助具1で、前記一第片部2のC形状の面積は、前記第二片部3のC形状の面積よりも大きくなっていることと、前記第一片部2は前記固定具2aに固定されていることと、前記固定具2aには台座11が設けられていること、前記台座の中央部にはアーム台凹部12が設けられており、前記第一片部2と前記第二片部3が左右に動くのを抑えているが、必ずしも前記台座11と前記台座凹部12は必須ではないことと、前記第二片部3の内周面長手方向の中央付近に、形成された前記第一凸部7は、スライドレール4を介して前記第二片部3と伴に進退することで、前記第一片部2と係合する構造となっている、また、
図1~3の第一実施例のように必ずしも分離されることに限定された前記穿刺補助具1だけでなく、前記第一片部2と前記第二片部3が開閉しながら腕に密着する構造の開閉式穿刺補助具にも改変することができることと、前記第一片部2と前記第二片部3の前記長手方向の前記上方開放部先端Lに形成された前記第二凸部8a,8bと、前記第一片部2と前記第二片部3の前記長手方向の前記下方開放部先端mに形成された前記第三凸部9a,9bは、前記長手方向に設けられた単純な構造であることと、前記第一片部2と前記第二片部3は割れにくい前記カーボン素材で形成されているが、必ずしも前記カーボン素材に限定された概念だけではなく、前記シリコン、前記パラレックス、前記プラスチックとうの素材に改変することもできる構造となっていることを特徴とする前記穿刺補助具1である。
【0033】
最初に
図1~3の前記穿刺補助具1の形状について説明する。前記第一片部2と前記第二片部3は、上腕の長さの約2/3程度ある長形を有した前記穿刺補助具1で、前記第一片部2と前記第二片部3が分離しており、それぞれが係合することで腕に密着するタイプの前記穿刺補助具1で、どの腕のサイズにも変更することができる特徴のある前記穿刺補助具1である。
【0034】
前記第一片部2は前記第二片部3より前記C形状の面積が大きく、腕が置ける面積が大きくなっている特徴のある前記穿刺補助具1である。
【0035】
前記第一片部2と前記第二片部3によって腕に押圧が加わる構造であれば、必ずしも前記C状に限られた構造に限られた構造でなくても良い。
【0036】
前記第一片部2と前記第二片部3の長さは腕の屈曲、回旋等、腕を可動させる時に妨げにならない程度の長さであれば必ずしも2/3程度に限られた構造でなくても良い前記穿刺補助具1である。
【0037】
次に、前記穿刺補助具1の前記第一の開放部aについて説明する。前記第一の開放部aは血管dを触診する時や、消毒する範囲、超音波装置gを腕に当てる範囲、穿刺する範囲を確実に確保することができる構造となっている前記穿刺補助具1である。
【0038】
さらに、前記超音波装置gで前記血管dの位置を確認した後に、前記第一の開放部aと前記血管dの位置が一致するように前記穿刺補助具1を腕にはめ込むことで、繰り返し前記超音波装置gを用いて前記血管dの位置を探索する手間を省き、作業性を向上させ
図3の様に前記第一の開放部aから針hを前記血管dへ穿刺することが可能となった前記穿刺補助具1である。
【0039】
前記第一片部2と前記第二片部3が係合する際に、前記第一の開放部aの幅を調節することができることによって、前記超音波装置gの幅に調節できる特徴のある前記穿刺補助具1である。
【0040】
前記上方開放部先端Lと前記下方開放部先端mは鋭角ではなく鈍角で、皮膚を傷つけない構造となっている特徴のある前記穿刺補助具1。
【0041】
前記穿刺補助具1に前記上腕部を装着する方法ついて説明する。上腕三頭筋側から前記第一片部2と前記第二片部3へ前記上腕部をはめ込み、その際に前記第一凸部7まで前記上腕部を置き、前記スライドレール4を介して前記アーム部3aを前記第一片部2の方向へ進める、その際に前記第二の開放部bに皮膚が零れ落ちていないことを確認しながら前記第一片部2と前記第二片部3が前記上腕部と密着する場所まで進め、表皮が前記第一片部2と前記第二片部3との隙間に零れ落ちることなく安全に、前記上腕部を前記穿刺補助具1へ装着することができる特徴のある前記穿刺補助具1である。
【0042】
前記第二片部3に設けられている前記第一凸部7につて説明する。
図1~3の前記第二片部3の前記長手方向の内周面に設けられている前記第一凸部7は、少なくとも高さ5mm以上の凸部からなる前記穿刺補助具1で、前記上腕部の前記皮下組織、前記筋肉cと前記筋肉cの間を、前記第一凸部7の前記押圧kによって前記上腕部と密着しやすい特徴のある前記穿刺補助具1である。
【0043】
前記第一凸部7は前記第一片部2と前記第二片部3が係合する際に前記第二の開放部bへ皮膚が零れ落ちることに対し、前記第一凸部7と前記第二片部3が交わる位置に設けられている少なくとも5mm以上の深さのある凹部10a、10bに皮膚を留めることができる構造により、前記第二の開放部bに皮膚が零れ落ちにくい特徴のある前記穿刺補助具1である。
【0044】
前記第一凸部7の位置は、前記長手方向の前記C形状の中央部付近に限定された配置でなくても構造を変更することが可能で、更に前記第一凸部7の形体を直線状の凸部でなくても、螺旋状凸部とうの変形した構造に変更する事も可能な前記穿刺補助具1である。
【0045】
前記穿刺補助具1の前記第一片部2と前記第二片部3に設けられている前記第二凸部8a,8bについて説明する。
図1~3の前記長手方向内周面に設けられている前記第二凸部8a,8bは、前記第一片部2と前記第二片部3の前記長手方向内周面の前記上方開放部先端Lから前記下方開放部mにかけて、少なくとも10mm以上の範囲で組み込まれており、高さは5mm以上の凸部からなる特徴のある前記穿刺補助具1である。
【0046】
前記第二凸部8a,8bは腕と密着しやすく、前記第一の開放部aへ皮膚が突出しにくい構造により、その際に前記皮膚に左右に加わる張力によって、前記表皮のテンションが加わると伴に、前記皮下組織、前記筋肉c、前記血管dが下方向、左右斜めへ動く応力jを固定することができる特徴のある前記穿刺補助具1である。
【0047】
前記穿刺補助具1の前記第一片部2と前記第二片部3に設けられている前記第三凸部9a、9bについて説明する。
図1~3の前記内周面に設けられている前記第三凸部9a、9bは、前記第一片部2と前記第二片部3の前記長手方向内周面の前記下方開放部先端mから前記上方開放部Lにかけて、少なくとも10mm以上の範囲に組み込まれており、高さは5mm以上の凸部からなる特徴のある前記穿刺補助具1である。
【0048】
前記第三凸部9a、9bは腕と密着しやすく、前記第一片部2と、前記第二片部3が係合する際に第二の開放部bに皮膚が巻き込まれるのを予防するために、前記第三凸部9a、9bが斜め上方向に向いている特徴のある前記穿刺補助具1である。
【0049】
前記穿刺補助具1の素材について説明する。
図1~3の前記弾性変形機能の素材は皮膚より硬い素材からなり、前記カーボンで形成されている事を特徴とする前記第一片部2と前記第二片部3、第一凸部7、第二凸部8a,8b、第三凸部9a、9bも含めた全てからなる前記穿刺補助具1である。
【0050】
前記弾性変形機能の素材は皮膚より硬い素材でなくても、皮膚を傷つけない素材や形状とうの構造変更が可能な前記穿刺補助具1である。
【実施例0051】
図1~3の前記穿刺補助具1は、血管dにある留置中の針h、前記スライドアーム4が、前記超音波gやレントゲンを常時使用している状況下でも、前記穿刺補助具1によって前記血管d穿刺中の操作や、血管d内に進めるワイヤーを操作する際の透視画像の妨げになりにくいことから、処置の際に生じる作業性を向上することができる素材で形成されていることを特徴とする前記穿刺補助具1である。
【0052】
図2の前記穿刺補助具1を装着しない場合の前記血管dの動きについて説明する。
図2は前記穿刺補助具1を装着しない状態で、前記超音波装置gを前記表皮eに当ててから前記血管dを穿刺する際に発生する、前記血管dの下方向、左右斜めに動く応力jを固定することができず、穿刺した際に前記血管dが容易に動くことが示された
図2である。
【0053】
図3、前記穿刺補助具1を装着した際の、前記第一片部2と前期スライドアーム4を介して前記アーム3aを進退させながら第二片部3を前記上腕と密着させた後に脱着ストッパー5で固定した場合の効果について説明する。前記上腕を前記穿刺補助具1に装着した後に前記超音波装置gを前記表皮eに当てると、前記超音波装置gから加わる押圧iが前記表皮e・前記血管d・前記骨f・前記上腕の方向へ伝わることに対し、前記穿刺補助具1から加わる押圧kは前記上腕・前記骨f・前記血管d・前記表皮e・前記超音波装置g方向に伝わり、前記血管d穿刺をする際に発生する前記血管dの下方向、左右斜めに自動的に動く前記応力jを固定することができる効果によって、繰り返し針を刺される患者の負担を軽減、医療従事者の穿刺の際の成功率の向上、作業性の向上に繋がる前記穿刺補助具1である。
【0054】
患者・医療従事者の負担を軽減することについて説明する。
上腕部の血管は体表面から深い位置にあるために触診で穿刺部位を確認することは難しく、超音波装置等で血管を検索しながら穿刺が行われる、穿刺時には、血管が下方向あるいは左右斜めに自動的に移動してしまうために、操作が難しく、穿刺回数の増加(やり直し)につながり、患者の苦痛が大きく、動脈穿刺、神経損傷、穿刺後の感染症、静脈炎、刺入部トラブルなどのリスクが高まることや術者の心理的負担が大きい、作成した固定具は、穿刺静脈の移動を簡単に安全に固定することができ、患者、術者の負担の軽減につながると考える。
【0055】
次に、本発明の他の実施形態に係る前記第四凸部20と、前記第四凸部と一体となる前記落下防止材21を図面に基づき詳細に説明する。尚、前記穿刺補助具1の説明の際には、同一の構成要素には原則として同一の符番を用い、繰り返しの説明は省略する。また、詳細は後述するが、前記第四凸部20と、前記第四凸部と一体となる前記落下防止材21では、主に、前記第一片部2と前記第二片部3に関する構造、前記第一片部2を固定する前記固定具2aと、前記第二片部3を固定するアーム3aに関する構造、前記第一片部2に対して前記第二片部3を進退可能とする移動機構に関する構造、前記第一片部2又は前記第二片部3の少なくとも、どちらか一方の内周面長手方向の中央付近に形成された前記第一凸部7に関する構造、前記一第片部2のC形状の面積は、前記第二片部3のC形状の面積よりも大きくなっていることと、前記第一片部2は前記固定具2aに固定されていることと、前記固定具2aには台座11が設けられていることに関する構造、前記第一片部2と前記第二片部3の前記長手方向の前記上方開放部先端Lに形成された前記第二凸部8a,8bと、前記第一片部2と前記第二片部3の前記長手方向の前記下方開放部先端mに形成された前記第三凸部9a,9bに関する構造は原則として同様である。
【0056】
図4は、前記穿刺補助具が開放状態の際に本実施形態の前記第四凸部20と、前記第四凸部と一体となる前記落下防止材21を装着しない際について説明する断面図であり、前記穿刺補助具1に腕を乗せた後に、前記第一片部2と、前記第二片部3が係合する際に、通常通りに前記穿刺補助具を使ってればこのようなことは起こらないが、更に安全面を考慮し、前記第二の開放部から皮膚が零れ落ちることが万が一にも起こった際の実施例を念には念を考え
図4で示した。
【0057】
図4の様に、前記第二の開放部へ皮膚が零れ落ちることを防止するために、
前記穿刺補助具が開放状態の
図5a、
図6、
図7a及び、前記穿刺補助具を使用する際に、前記移動機構を動かした場合の
図5b、
図7bに、前記第一片部と前記第二片部の間に、前記第四凸部20と、前記第四凸部と一体となる前記落下防止材21を設けたことを断面図及び斜面図で示した。
【0058】
前記穿刺補助具が開放状態の
図7a、前記穿刺補助具1を使用する際に、前記移動機構を動かした場合の
図7bは、本実施形態の前記第四凸部20と、前記第四凸部と一体となる前記落下防止材21を説明する断面図であり、前記穿刺補助具1に腕をはめ込み、前記第四凸部20と、前記第四凸部と一体となる落下防止材21により、前記第二の開放部に皮膚が垂れ零れない効果を断面図で示した。
【0059】
図5b、
図7bは本実施形態の前記第四凸部20と、前記第四凸部と一体となる前記落下防止材21を説明する断面図であり、前記穿刺補助具1に腕を乗せた後に、前記移動機構により、前記第一片部2及び、前記第二片部3が係合する際に、前記第四凸部20と、前記第四凸部と一体となる前記落下防止材21の素材が軟質素材により、前記穿刺補助具1とほぼ同様の形状に変形できる構造を断面図で示した。
【0060】
図7bは前記穿刺補助具1を使用する際に、前記移動機構を動かした場合の本実施形態の前記第四凸部20と、前記第四凸部と一体となる前記落下防止材21を説明する断面図であり、前記第四凸部が設けられたことにより、前記超音波装置g、前記針hが前記筋肉c、前記血管d、前記表皮eに前記押圧iが加わった際に、前記第一凸部7単独である場合の前記押圧kよりも、前記第四凸部20と、前記第四凸部と一体となる前記落下防止材21から、前記筋肉c、前記血管d、前記表皮eに押圧xが加わったことにより、更に前記血管dの下方向、左右斜めに自動的に動く前記応力jを固定することができる効果を
図7bに示した。
【0061】
尚、本実施形態では前記第四凸部20と、前記第四凸部と一体となる前記落下防止材21を有し、患者の腕に装着した効果・構造について説明したが、この場合に限局するものではない。前記第四凸部20と、前記第四凸部と一体となる前記落下防止材21の構造は、既存にある前記第一凸部と一体となる構造へ改変することも可能で、更に前記第四凸部20と一体となる前記落下防止材21も同じく設け、改変することも可能で、同様な効果が得られる。その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲にて種々の変更が可能である。