(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024089615
(43)【公開日】2024-07-03
(54)【発明の名称】誘電体基板をプラズマエッチングするための方法および装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/3065 20060101AFI20240626BHJP
H01L 21/683 20060101ALI20240626BHJP
H05H 1/46 20060101ALN20240626BHJP
【FI】
H01L21/302 101G
H01L21/302 101C
H01L21/68 R
H05H1/46 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】27
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023136112
(22)【出願日】2023-08-24
(31)【優先権主張番号】2219448.4
(32)【優先日】2022-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(71)【出願人】
【識別番号】512221197
【氏名又は名称】エスピーティーエス テクノロジーズ リミティド
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー ルービン
(72)【発明者】
【氏名】ケビン リデル
(72)【発明者】
【氏名】ニコラス ローネー
【テーマコード(参考)】
2G084
5F004
5F131
【Fターム(参考)】
2G084AA02
2G084CC12
2G084CC33
2G084DD02
2G084DD24
2G084FF06
5F004AA16
5F004BA20
5F004BB13
5F004BB18
5F004BB22
5F004BB29
5F004BC06
5F004CA02
5F004DA04
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5F004EA28
5F131AA02
5F131BA19
5F131CA03
5F131CA68
5F131EB14
5F131EB15
5F131EB16
5F131EB18
5F131EB19
5F131EB23
5F131EB81
5F131EB82
5F131EB84
(57)【要約】
【課題】基板と基板支持体との間の熱伝達の必要なクランプおよび制御を維持することができるプラズマエッチングの改善された方法を提供する。
【解決手段】プラズマチャンバ内の基板支持体上にワークピースを配置するステップと、第1の双極動作モードにおいて、電極の一方に正電圧を印加し、電極の他方に負電圧を印加してワークピースをESCに静電クランプするステップと、プラズマチャンバ内でプラズマを発生させ、少なくとも1つの半導体層をプラズマエッチングするステップであって、プラズマが点火された後の期間においてESCの動作を、電極が各電極に印加される同じ電圧を有する単極動作モードに切り替えるステップと、ESCの動作を、電極の一方に正電圧を印加し、電極の他方に負電圧を印加する第2の双極動作モードに切り替えるステップを備える。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークピースをプラズマエッチングする方法であって、
プラズマチャンバ内の基板支持体上にワークピースを配置するステップであって、前記ワークピースは、誘電体基板と、前記誘電体基板上の少なくとも1つの半導体層とを含み、前記基板支持体は、静電チャック(ESC)を含み、前記ESCは、少なくとも2つの電極を含む、ステップと、
第1の双極動作モードにおいて、電極の一方に正電圧を印加し、前記電極の他方に負電圧を印加して、前記ワークピースを前記ESCに静電クランプするステップと、
前記プラズマチャンバ内でプラズマを発生させることによって、前記少なくとも1つの半導体層をプラズマエッチングするステップであって、前記プラズマが点火された後の期間において、前記ESCの動作は、前記電極が各電極に印加される同じ電圧を有する単極動作モードに切り替えられる、ステップと、
前記ESCの動作を、前記電極の一方に正電圧を印加し、前記電極の他方に負電圧を印加する第2の双極動作モードに切り替えるステップと、
を備える方法。
【請求項2】
前記ESCの動作を前記第2の双極動作モードに切り替えるステップは、前記少なくとも1つの半導体層をプラズマエッチングするステップが終了した後に実行されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ESCの動作を前記第2の双極動作モードに切り替えるステップは、前記少なくとも1つの半導体層をプラズマエッチングするステップ中に実行されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記少なくとも1つの半導体層をプラズマエッチングするステップは、エッチングの大部分が終点に達するまで実行される第1のバルクエッチング段階と、第2のオーバーエッチング段階とを含み、前記ESCの動作を前記第2の双極動作モードに切り替えるステップは、前記終点に到達したとき、または第2のエッチング段階中に実行されることを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記ESCは、前記少なくとも1つの半導体層をプラズマエッチングするステップが終了した後のある期間、前記第2の双極動作モードに維持されることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記少なくとも1つの半導体層をプラズマエッチングするステップは、前記少なくとも1つの半導体層をエッチングして前記誘電体基板上に半導体の複数の離散領域を形成するステップを含み、前記ESCの動作を前記単極動作モードに切り替えるステップは、前記半導体の前記離散領域の形成に先立って行われることを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記第1の双極動作モードにおいて前記電極に印加される電圧の絶対値は、前記第2の双極動作モードにおいて前記電極に印加される電圧の絶対値と同じであることを特徴とする請求項1~6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記第2の双極動作モードにおいて前記電極に印加される電圧の絶対値は、前記第1の双極動作モードにおいて前記電極に印加される電圧の絶対値よりも低いことを特徴とする請求項1~6のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記第1の双極動作モードでは、正電圧が第1の電極に印加され、負電圧が第2の電極に印加され、前記第2の双極動作モードでは、負電圧が前記第1の電極に印加され、正電圧が前記第2の電極に印加されることを特徴とする請求項1~8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記第1の双極動作モード、前記単極動作モード、および/または前記第2の双極動作モードにおいて前記電極のうちの少なくとも1つに印加される電圧の絶対値は、9000Vまでであることを特徴とする請求項1~9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
前記第1の双極動作モード、前記単極動作モード、および/または前記第2の双極動作モードにおいて前記電極のうちの少なくとも1つに印加される電圧の絶対値は、少なくとも4000Vであることを特徴とする請求項1~10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
前記基板支持体と前記誘電体基板との間の前記基板支持体の表面に形成された少なくとも1つのチャネルに1つ以上の不活性ガスを導入するステップをさらに含むことを特徴とする請求項1から11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
前記1つ以上の不活性ガスを導入するステップは、前記ESCが前記第2の双極動作モードにある期間中に前記1つ以上の不活性ガスの流量を低減するステップを含むことを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記不活性ガスまたは不活性ガス混合物の少なくとも1つのチャネルへの流れが停止されるように、前記1つ以上の不活性ガスの流量はゼロに低減されることを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記1つ以上の不活性ガスは、HeまたはArのうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項12から14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
前記少なくとも1つの半導体層は、少なくとも1つの窒化ガリウム層を含むことを特徴とする請求項1から15のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
前記誘電体基板はサファイアで形成されることを特徴とする請求項1~16のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
プラズマエッチング装置であって、
プラズマチャンバと、
プラズマ生成装置と、
コントローラと、
基板支持体と、
を備え、
前記基板支持体は静電チャック(ESC)を含み、前記静電チャックは、
少なくとも2つの電極と、
電源装置と、
前記少なくとも2つの電極を覆い、基板支持面を形成する誘電材料の層と、
を備え、
前記コントローラは、第1の双極動作モードと、単極動作モードと、第2の双極動作モードとの間で前記ESCを切り替えるように構成され、前記第1の双極動作モードは、前記電極の一方に正電圧を印加し、前記電極の他方に負電圧を印加することを含み、前記第2の双極動作モードは、前記電極の一方に正電圧を印加し、前記電極の他方に負電圧を印加することを含み、前記単極動作モードは、前記少なくとも2つの電極の各々に同じ電圧を印加することを含み、前記プラズマ生成装置による前記プラズマチャンバ内のプラズマの生成中、前記コントローラは、前記プラズマが前記プラズマチャンバ内で生成される間、前記ESCを前記第1の双極動作モードから前記単極動作モードに切り替えるように構成される、プラズマエッチング装置。
【請求項19】
前記コントローラは、前記プラズマチャンバ内の前記プラズマの生成が終了すると、前記ESCを前記単極動作モードから前記第2の双極動作モードに切り替えるように構成されることを特徴とする請求項18に記載の装置。
【請求項20】
前記プラズマ生成装置による前記プラズマチャンバ内の前記プラズマの生成中、前記コントローラは、前記ESCを前記単極動作モードから前記第2の双極動作モードに切り替えるように構成されることを特徴とする請求項18に記載の装置。
【請求項21】
前記誘電材料の層は、少なくとも0.5mmの厚さを有することを特徴とする請求項18から20のいずれかに記載の装置。
【請求項22】
前記電源は、少なくとも2つの電極のうちの少なくとも1つに、最大9000Vの絶対値を有する電圧を供給するように構成されることを特徴とする請求項18から21のいずれかに記載の装置。
【請求項23】
前記電源は、少なくとも4000Vの絶対値を有する電圧を前記少なくとも2つの電極のうちの少なくとも1つに供給することを特徴とする請求項18から22のいずれかに記載の装置。
【請求項24】
前記誘電材料の層は、少なくとも1つのサファイア、セラミックAlNまたはAl2O3層を含むことを特徴とする請求項18から23のいずれかに記載の装置。
【請求項25】
前記誘電材料の層の抵抗率は、25°Cの温度で少なくとも1012Ωcmであることを特徴とする請求項18から24のいずれかに記載の装置。
【請求項26】
前記誘電材料の層の抵抗率は、25°Cの温度で1015Ωcmまでであることを特徴とする請求項18から25のいずれかに記載の装置。
【請求項27】
前記誘電材料の層の誘電率は、25°Cの温度で少なくとも7であることを特徴とする請求項18から26のいずれかに記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被加工物をプラズマエッチングする方法及びプラズマエッチング装置に用いられる静電チャック(ESC)に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造産業における真空ベースのプラズマエッチングおよび堆積ツールでは、プロセスチャンバ内の準大気圧に起因して、プラズマまたは発熱プロセスによって生成された熱をウェハまたは基板から除去することは困難である。減圧は、基板から基板支持体への熱の乏しい対流および直接伝導により、熱伝達を制限する。基板温度の最適な制御を達成するために、静電チャックまたは「ESC」が、真空システム内の基板の温度を制御するために使用される。ESCと基板との間の静電引力は、基板と熱的に制御されたESCとの間の良好な熱伝導を容易にするために充分に高い圧力でHeなどの不活性ガスで基板とESCの表面との間の空洞またはチャネルを加圧することを可能にする。このプロセスは裏面加圧として知られている。処理チャンバがESCと基板との間の圧力よりも実質的に低い圧力で動作している場合であっても、基板の静電クランプを維持し、ひいては厳密な温度制御を行うことができる。
【0003】
真空システムにおいて基板をクランプするために使用されるESCには一般に2つの異なる種類、すなわち双極(Coloumb)および単極(Johnsen-Rahbek)ESCがある。両方のタイプにおいて、金属電極または複数の電極は、
図1に示されるように、次いで金属基板支持体に取り付けられる誘電体構造内に封入される。典型的にはアルミニウムまたはステンレス鋼から製造される基板支持体2がRF電源4に接続され、静電チャックESC6が基板支持体2の上面に取り付けられる。ESC6は、誘電体材料の2つの層の間に挟まれた金属電極を有する。電極は高電圧DC電源8に取り付けられ、これは、厚さが0.5mmより大きい比較的厚いセラミック層については、+/-9kVまで供給することができる。ポリイミドなどのより薄いポリマー層の場合、層の厚さは0.1mm未満とすることができ、DC電力は典型的には+/-2kV未満で供給される。冷媒ガス、典型的にはHeまたはArのための裏側ガス入口は、基板支持体2内のパイプ20によって提供され、ガスが基板12とESC6の表面との間に注入されることを可能にする。冷却剤チャネル10は、冷媒の流れが基板支持体2から熱を除去することを可能にし、一方、抵抗加熱器(図示せず)は、高温動作を容易にすることができる。コーティング14による基板12の装填および取り外しは、リフトアセンブリ18を使用して達成される。典型的にはセラミックから形成されるシールドリング16は、プラズマから基板支持体2を保護し、基板12の近傍でプラズマを成形するのに役立つ。
【0004】
双極ESCでは、基板の裏面に静電場を生成する、反対極性の少なくとも2つの電極が存在する。これは、基板が電荷移動を支持することを必要とし、すなわち、基板は、半導体または金属材料から形成されなければならない。半導体産業および光電気産業において処理される基板の大部分はそれ自体が半導体であるため、双極ESCが広く使用されている。しかしながら、ESCと接触する基板が導電性ではない新しい用途が発展するにつれて、ウェハを冷却するための代替アプローチが必要とされる。
【0005】
例えば、GaNベースのマイクロLEDの生産は、典型的にはサファイア基板上に堆積されるGaNの離散領域の分離を伴う。このタイプの用途は、真空ベースのプロセスシステムにおける熱管理およびウェハ保持に関する重大な問題を強調する。マイクロLEDを分離するために、マスクがデバイスに適用され、プラズマエッチングプロセスが、デバイスの被覆されていないGaN層をサファイア基板までエッチングするために使用される。
【0006】
これは、150mmのサファイアウェハ上でさえ、40μm未満の寸法を有する、数万個のマイクロLEDの分離をもたらす。GaNマイクロLEDが分離されると、それらは、リフトオフプロセスによってサファイア基板から除去され、次いで、アレイに組み立てられる。しかしながら、半導体GaN層が連続しなくなると、双極静電クランプ法の従来の形態は機能しなくなる。
図2Aに示すように、サファイアなどの誘電体基板上にGaNなどの半導体の連続層がある場合、双極ESCは、GaN/サファイアとESCの表面との間の静電引力によってウェハを保持することができる。しかしながら、
図2Bに示されるように、エッチングプロセスがGaNの小さな島を生成する場合、個々の金属電極が個々の島に直接結合し、双極結合が失われるので、クランプは失敗する。
【0007】
単極ESCは、単一電位に維持された電極を有し、静電場を生成するために外部電子源に依存する。プラズマチャンバによるプラズマの生成は、典型的には、接地への電流経路を提供し、次いで、単極ESCが基板を基板支持体にクランプすることを可能にする。
図3A及び
図3Bに示すように、単極ESCは、導電性又は半導電性材料の連続層が存在するか否かにかかわらず、基板をESCに固定する。しかしながら、これは、クランプが起こり得る前にプラズマが始まることを必要とするので、ESCが基板をクランプし、冷却を提供することができる前に、ウェハのいくらかの望ましくない加熱がある。ESCと誘電体基板との間の電荷蓄積もまた、基板がクランプ解除されるときに問題をもたらし得るため、懸念となり得る。これは、潜在的に基板が誤って取り扱われることになり得る取り扱い問題をもたらし得る。
【0008】
あるいは、米国特許9,793,149B2に示されるような櫛形電極を有するESCを使用して、誘電体基板をクランプすることができる。櫛型ESCは、充分な電場がセラミックを通過してウェハに達することができるように、セラミックの薄い最上層を必要とする。ESCがプラズマに暴露されるにつれて、主に基板間洗浄中に、上部セラミックが消費され、したがって、薄いセラミックは、より短いESC寿命を意味する。
【0009】
基板を保持する代替手段は、機械的クランプまたは基板の裏面上の追加の導電性コーティングを含む。しかしながら、エッジ排除および粒子生成は、クランプリングにとって問題であるが、誘電体基板の下面に導電層を堆積させることは、基板から層を追加および除去することによって追加のプロセスステップおよび潜在的な汚染の懸念を追加する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許9793149号
【特許文献2】米国特許出願公開第2017/278730号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、必要とされるのは、基板と誘電体基板のための基板支持体との間の熱伝達の必要なクランプおよび制御を維持することができるプラズマエッチングの改善された方法である。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、その実施形態の少なくともいくつかにおいて、上記の問題、要望およびニーズの少なくともいくつかに対処しようとするものである。
【0013】
本発明の第1の態様によれば、ワークピースをプラズマエッチングする方法が提供されることであって、この方法は以下を含む:
・プラズマチャンバ内の基板支持体上にワークピースを配置するステップであって、ワークピースは、誘電体基板と、誘電体基板上の少なくとも1つの半導体層とを含み、基板支持体は、静電チャック(「ESC」)を含み、ESCは、少なくとも2つの電極を含む;
・第1の双極動作モードにおいて、電極の一方に正電圧を印加し、電極の他方に負電圧を印加して、ワークピースをESCに静電クランプするステップと、
・プラズマチャンバ内でプラズマを発生させることによって、少なくとも1つの半導体層をプラズマエッチングするステップであって、プラズマが点火された後の期間において、ESCの動作は、電極が各電極に印加される同じ電圧を有する単極動作モードに切り替えられる;
・ESCの動作を、正電圧が電極の一方に印加され、負電圧が電極の他方に印加される第2の双極動作モードに切り替える。
【0014】
本発明者らは、半導体層のプラズマエッチング中にESCを双極モードと単極モードとの間で切り替えることによって、誘電体基板であっても、エッチングプロセス全体にわたって基板のクランプおよび基板へのおよび基板からの充分な熱伝達を保証することができることを見出した。
【0015】
ESCの動作を第2の双極動作モードに切り替えるステップは、少なくとも1つの半導体層をプラズマエッチングするステップが終了した後に実行することができる。あるいは、ESCの動作を第2の双極動作モードに切り替えるステップは、少なくとも1つの半導体層をプラズマエッチングするステップ中に実行することができる。ESCが第2の双極モードにある間のプラズマチャンバ内のプラズマの存在は、誘電体基板内の電荷保持の低減を支援し、これは、エッチングが完了したときにチャンバからのワークピースの除去を支援する。
【0016】
少なくとも1つの半導体層をプラズマエッチングするステップは、エッチングの大部分が終点に達するまで実行される第1のバルクエッチング段階と、第2の過剰エッチング段階とを含むことができ、ESCの動作を第2の双極動作モードに切り替えるステップは、終点に達するか、または第2のエッチング段階中に実行される。ESCは、少なくとも1つの半導体層をプラズマエッチングするステップが終了した後のある期間、第2の双極動作モードに維持することができる。少なくとも1つの半導体層をプラズマエッチングするステップは、少なくとも1つの半導体層を貫通してエッチングして誘電体基板上に半導体の複数の離散領域を形成するステップを含むことができ、ESCの動作を単極動作モードに切り替えるステップは、半導体の離散領域の形成に先立って実行される。少なくとも1つの半導体層をプラズマエッチングするステップが第1のエッチング段階及び第2のエッチング段階を含む場合、ESCの動作を単極動作に切り替えるステップは、第1のエッチング段階の終了前に実行することができる。
【0017】
電極の各々に印加される電圧の絶対値は、第1の双極動作モードにおいて同じであり得る。電極の各々に印加される電圧の絶対値は、第2の双極動作モードにおいて同じであり得る。第1の双極動作モードにおいて電極に印加される電圧の絶対値は、第2の双極動作モードにおいて電極に印加される電圧の絶対値と同じとすることができる。あるいは、第2の双極動作モードにおいて電極に印加される電圧の絶対値は、第1の双極動作モードにおいて電極に印加される電圧の絶対値とは異なり得る。例えば、第2の双極動作モードにおいて電極に印加される電圧の絶対値は、第1の双極動作モードにおいて電極に印加される電圧の絶対値よりも低くすることができる。第2の双極動作モードにおける電圧の絶対値が第1の双極動作モードにおいて印加される電圧の絶対値よりも低いことは、誘電体基板上に蓄積し得る電荷を低減するのに役立ち得る。
【0018】
本発明の一態様では、第1の双極動作モードでは、正電圧が第1の電極に印加され、負電圧が第2の電極に印加され、第2の双極動作モードでは、負電圧が第1の電極に印加され、正電圧が第2の電極に印加される。本発明者らは、このように電極の極性を反転させることが、誘電体基板上に蓄積し得る電荷を低減するのに役立つことを見出した。あるいは、第1の双極動作モードおよび第2の双極動作モードの両方において、正電圧が第1の電極に印加され得、負電圧が第2の電極に印加され得る。
【0019】
第1の双極動作モードにおいて電極のうちの少なくとも1つに印加される電圧の絶対値は、9000Vまで、任意選択で6000Vまでとすることができる。第1の双極動作モードにおいて電極のうちの少なくとも1つに印加される電圧の絶対値は、少なくとも4000V、任意選択で少なくとも5000Vとすることができる。第2の双極動作モードにおいて電極のうちの少なくとも1つに印加される電圧の絶対値は、9000Vまで、任意選択で6000Vまでとすることができる。第2の双極動作モードにおいて電極のうちの少なくとも1つに印加される電圧の絶対値は、少なくとも4000V、任意選択で少なくとも5000Vとすることができる。単極動作モードにおいて電極に印加される電圧の絶対値は、9000Vまで、任意選択で6000Vまでとすることができる。単極動作モードにおいて電極に印加される電圧の絶対値は、少なくとも4000V、任意選択で少なくとも5000Vとすることができる。
【0020】
プラズマチャンバ内でプラズマを生成することによって少なくとも1つの半導体層をプラズマエッチングするステップは、プラズマチャンバ内にガスまたはガス混合物を導入することと、プラズマ生成デバイスを使用してガスまたはガス混合物からプラズマチャンバ内でプラズマを生成することとを含み得る。プラズマチャンバ内でプラズマを発生させることによって少なくとも1つの半導体層をプラズマエッチングするステップは、プラズマチャンバを所定の圧力まで排気することを含むことができる。所定の圧力は、少なくとも1mTorrとすることができる。所定の圧力は、200mTorrまでとすることができる。
【0021】
本方法は、以下のステップをさらに含むことができる:
【0022】
基板支持体と誘電体基板との間の基板支持体の表面に形成された少なくとも1つのチャネルに1つ以上の不活性ガスを導入する。
【0023】
1つ以上の不活性ガスは、3~20Torrの背側圧力をもたらす流量で少なくとも1つのチャネルに導入することができる。1つ以上の不活性ガスを導入するステップは、ESCが第2の双極動作モードにある期間中に1つ以上の不活性ガスまたは不活性ガス混合物の流量を低減するステップを含むことができる。任意選択的に、少なくとも1つの不活性ガスの流量は、少なくとも1つのチャネルの中への1つ以上の不活性ガスの流動が停止されるように、ゼロに低減されることができる。1つ以上の不活性ガスまたは不活性ガス混合物は、HeまたはArのうちの少なくとも1つを含むことができる。
【0024】
少なくとも1つの半導体層は、少なくとも1つの窒化ガリウム層を含むことができる。誘電体基板は、セラミックAlN、SiO2、Al2O3またはサファイアで形成することができる。誘電体基板はサファイアで形成することができる。
【0025】
本発明の第2の態様によれば、プラズマエッチング装置が提供されることであって、以下を含む:
・プラズマチャンバ;
・プラズマ生成装置;
・コントローラ;
・基板支持体。
基板支持体は静電チャック(「ESC」)を含むことであって、静電チャックは以下を含むことを特徴とする:
・少なくとも2つの電極;
・電源装置;
・少なくとも2つの電極を覆い、基板支持面を形成する誘電材料の層。
【0026】
コントローラは、第1の双極動作モードと、単極動作モードと、第2の双極動作モードとの間でESCを切り替えるように構成され、第1の双極動作モードは、電極のうちの1つに正電圧を印加し、電極のうちの別の電極に負電圧を印加することを含み、第2の双極動作モードは、電極のうちの1つに正電圧を印加し、電極のうちの別の電極に負電圧を印加することを含み、単極動作モードは、少なくとも2つの電極の各々に同じ電圧を印加することを含む。
【0027】
プラズマ生成装置によるプラズマチャンバ内のプラズマの生成中、コントローラは、プラズマがプラズマチャンバ内で生成される間、ESCを第1の双極動作モードから単極動作モードに切り替えるように構成される。
【0028】
本発明者らは、プラズマエッチング装置が、誘電体基板をエッチングする場合であっても、プラズマエッチング中に基板のクランプ及び温度制御をうまく維持できることを見出した。
【0029】
コントローラは、プラズマチャンバ内のプラズマの生成が終了すると、ESCを単極動作モードから第2の双極動作モードに切り替えるように構成することができる。あるいは、プラズマ生成装置によるプラズマチャンバ内のプラズマの生成中に、コントローラは、ESCを単極動作モードから第2の双極動作モードに切り替えるように構成することができる。基板支持体は、基板支持体と基板との間の基板支持体の表面に形成された少なくとも1つのチャネルを含むことができる。
【0030】
電源は、同じ絶対値を有する電圧を電極の各々に印加するように構成することができる。電源は、電極のうちの1つに正電圧を供給し、電極のうちの第2の電極に負電圧を供給するように構成することができる。電源は、正電圧または負電圧を少なくとも2つの電極のそれぞれに切り替え可能に供給するように構成することができる。電源は、少なくとも2つの電極のうちの少なくとも1つに、最大9000V、任意選択で最大6000Vの絶対値を有する電圧を供給するように構成することができる。電源は、少なくとも4000V、任意選択で少なくとも5000Vの絶対値を有する電圧を少なくとも2つの電極のうちの少なくとも1つに供給するように構成することができる。
【0031】
装置は、ガスまたはガス混合物をプラズマチャンバ内に導入するための少なくとも1つのガス入口をさらに備えることができ、コントローラは、少なくとも1つのガス入口からプラズマチャンバ内へのガスまたはガス混合物の流れを制御するように構成される。装置は、基板支持体の表面に形成された少なくとも1つのチャネルに1つ以上の不活性ガスを導入するための少なくとも1つのガス入口をさらに備えることができ、コントローラは、少なくとも1つのガス入口から少なくとも1つのチャネルへの1つ以上の不活性ガスの流れを制御するように構成される。コントローラは、少なくとも1つのガス入口を通って少なくとも1つのチャネルに入る1つ以上の不活性ガスの流量を制御するように構成することができる。
【0032】
誘電材料の層は、少なくとも0.5mmの厚さを有することができる。任意選択的に、誘電材料の層は、少なくとも1mmの厚さを有することができる。誘電材料の層の抵抗率は、25°Cの温度で少なくとも1012Ωcmであり得る。誘電材料の層の抵抗率は、25°Cの温度で1015Ωcmまでであり得る。誘電材料の層の誘電率は、25°Cの温度で少なくとも7であり得る。誘電材料の層は、少なくとも1つのサファイア、セラミックAlNまたはAl2O3層を含むことができる。
【0033】
以上、本発明を説明したが、本発明は、上記または以下の説明、図面または特許請求の範囲に記載の特徴の任意の発明的組み合わせにまで及ぶ。例えば、本発明の一態様に関連して開示された任意の特徴は、本発明の他の態様のいずれかに関連して開示された任意の特徴と組み合わせることができる。
【0034】
本明細書において「備える(comprising)」または「含む(including)」および同様の用語に言及するときはいつでも、本発明はまた、「からなる(consisting)」および「本質的にからなる(consisting essentially)」などのより限定的な用語を含むと理解される。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図2A】誘電性基板上の半導体層をエッチングしながらの双極動作モードにおけるESCの動作の概略図である。
【
図2B】誘電性基板上の半導体層をエッチングしながらの双極動作モードにおけるESCの動作の概略図である。
【
図3A】単極動作モードにおけるESCの動作の概略図であり、半導体層が連続的である間に誘電性基板上の半導体層をエッチングする場合である。
【
図3B】単極動作モードにおけるESCの動作の概略図であり、半導体層が離散領域で形成される場合である。
【
図4】本発明の第1の実施形態によるワークピースをプラズマエッチングする方法のフローチャートである。
【
図5】本発明の第2の実施形態による被加工物をプラズマエッチングする方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下の説明では、例は、SPTS Technologies Limited(Newport,South Wales,UK)から市販されている誘導結合プラズマ(ICP)ベースのSPTS Synapse(商標)プラズマエッチングツール上で実施された。しかし、本発明の方法は、代替のプラズマエッチングツール、好ましくは他のICPベースのエッチングツールで実施することができる。実施例は、処理されるワークピースとして、その表面上に窒化ガリウム(GaN)の層を堆積させた150mmサファイアウェハを使用している。しかしながら、本発明の方法は、異なる基板材料、層材料、層構成および幾何学形状に等しく適用され得る。
【0037】
ここで、同じ参照番号が、異なる図および/または実施形態で使用されており、それが関連する特徴は、実質的に同一の特徴に対応する。
【0038】
本発明の第1の例示的な実施形態による被加工物をプラズマエッチングする方法を
図4のフローチャートに示す。本発明の第2の例示的な実施形態による被加工物をプラズマエッチングする方法を
図5のフローチャートに示す。
【0039】
本発明の第1の例示的な実施形態の方法は、プラズマチャンバと、プラズマチャンバ内でワークピースを支持するための基板支持体と、ガスまたはガス混合物をプラズマチャンバに導入するための少なくとも1つのガス入口と、1つ以上の不活性ガスを基板支持体の表面に形成された少なくとも1つのチャネルに導入するための少なくとも1つのガス入口とを備えるプラズマエッチング装置内で実行することができる。プラズマチャンバ内でプラズマを生成するためのプラズマ生成装置と、コントローラと、を備える。基板支持体は、静電チャック(ESC)を備え、静電チャックは、少なくとも2つの電極と、電源と、少なくとも2つの電極を覆い、基板支持体表面を形成する誘電材料の層とを備え、誘電材料の層は、少なくとも1つのチャネルを備える。
【0040】
装填ステップ101において、ワークピースは、プラズマチャンバ内に装填され、基板支持体上に配置される。ワークピースは、当技術分野で知られている任意の手段によってプラズマチャンバ内に装填することができる。例示的な実施形態では、ワークピースは、プラズマチャンバ内に装填され、ウェハ搬送ロボットに取り付けられたエンドエフェクタによって基板支持体上に配置される。
【0041】
ワークピースは、誘電体基板上に少なくとも1つの半導体層を含む。第1の実施形態では、少なくとも1つの半導体層はGaNの層であり、誘電体基板はサファイアで形成される。しかしながら、本発明の方法は、シリコンなどの他の半導体層、およびセラミックAlN、SiO
2またはAl
2O
3から形成されるものなどの他の誘電体基板に等しく適用され得る。GaN層は、その上面上に堆積されたマスク層またはフォトレジスト層などの追加の層または堆積物を有することができる。
図2A、
図2B、
図3A及び
図3Bに示すように、GaN層は、基板のエッチング中にSiO
2堆積物の下のGaN層のエッチングを防止するマスクとして機能する、GaN層の表面上に形成されたSiO
2の個々の堆積物を有する。このマスク層は、
図2Bに示されるように、基板がESCおよび基板支持体に固定されることを可能にしない、GaNの別個の「島」の形成をもたらす。
【0042】
プラズマチャンバは、装填ステップ101の間、真空下に維持することができる。あるいは、プラズマチャンバは、装填ステップ101の間、大気圧であり得る。
【0043】
動作ステップ102では、基板支持体のESCを第1の双極動作モードで動作させて、ワークピースを基板支持体に静電クランプする。第1の双極動作モードでは、電源によってESCの電極の一方に正電圧が印加され、ESCの電極の他方に負電圧が印加される。ESCが2つより多い電極を含む場合、正電圧は、電極の第1のグループに印加することができ、負電圧は、電極の第2のグループに印加することができ、またはその逆も同様である。例示的な実施形態では、正電圧と負電圧は同じ絶対値、例えば+9000Vと-9000Vを有する。正電圧および負電圧の値は、基板の厚さおよび誘電特性に応じて選択される。好ましくは、少なくとも2つの電極に電力を供給する手段は、ESCの少なくとも2つの電極の各々に正電圧または負電圧を印加することができる高電圧電源であり、好ましくは、高電圧電源は、少なくとも2つの電極の各々に正電圧および負電圧を切り替え可能に印加することができる。このように、電極への電力供給を変更することなく、各電極の極性を反転させることができる。電源は、各電極に+/-9000Vまでの電圧を供給できることが好ましい。
【0044】
例示的実施形態では、ESCが第1の双極動作モードで動作されると、ガス導入ステップにおいて、1つ以上の不活性ガスが、ESCの表面上に形成される少なくとも1つのチャネルの中に導入される。この不活性ガスの流れは、特にチャンバが排気される場合に、基板支持体と基板との間の改善された熱伝導を可能にし、不活性ガスの流れは、基板を加熱するか、又はより典型的には冷却するために使用することができる。プラズマチャンバが真空下に維持される場合、チャンバ内の圧力は、典型的には、1mTorr~200mTorrであり、一方、1つ以上の不活性ガスの流動は、典型的には、3~20Torrの背面圧力をもたらす。例示的な実施形態では、1つ以上の不活性ガスはHeである。
【0045】
ESCが第1の双極動作モードになると、プラズマエッチングステップ103において少なくとも1つの半導体層をプラズマエッチングするためにプラズマチャンバ内にプラズマが生成される。プラズマは、当技術分野で知られている任意の手段によって、プラズマ生成デバイスを使用してプラズマチャンバ内で生成され得る。例示的実施形態では、ガスまたはガス混合物は、少なくとも1つのガス入口を通してプラズマチャンバの中に導入され、ICP源と、基板支持体をバイアスするためのRF電源とを備える、プラズマ生成デバイスは、ガスまたはガス混合物からプラズマを生成するように構成される。ICP源およびRF電源は両方とも、13.56MHzの周波数で動作される。選択されるガスまたはガス混合物は、エッチングされる少なくとも1つの半導体層および所望される特定の反応条件に依存する。サファイア上のGaN層をエッチングする例示的な実施形態では、ガスまたはガス混合物は、Cl2、BCl3およびArガスの混合物を含む。ガスまたはガス混合物がガス混合物を含む場合、これらのガスは、単一のガス入口を通してプラズマチャンバに導入することができ、またはガス混合物の各それぞれのガス成分に対するそれぞれのガス入口を通してプラズマチャンバに導入することができる。
【0046】
プラズマが生成され、基板のエッチングが開始されると、第1のスイッチングステップ104において、ESCは第1の双極動作モードから単極動作モードに切り替えられる。単極動作モードでは、各電極が同じ極性に維持されるように、同じ電圧がESC内の電極の各々に印加される。例えば、各電極は、電源によって印加される-6000Vの電圧を有することができる。正または負電圧の選択は、エッチングされる基板および生成されるプラズマの性質に依存する。
【0047】
ESCが第1の双極動作モードから単極動作モードに切り替えられる点は、実行される特定のエッチングおよびエッチングされる基板に依存する。例えば、例示的な実施形態では、GaN層は、下のサファイア層までエッチングされ、ESCは、第1の双極動作モードにおいて誘電体基板上に半導体材料の離散領域をクランプする問題を回避するために、GaN層が完全にエッチングされて半導体の離散領域を形成する前に、単極動作モードに切り替えられる。しかしながら、各場合において、第1の双極動作モードから単極動作モードへのESCの切り替えは、基板支持体へのワークピースの充分なクランプを確実にするために、プラズマが生成された後に行われる。
【0048】
第1の例示的な実施形態では、ESCが単極動作モードに切り替えられた後、プラズマチャンバ内のプラズマの生成は、停止ステップ105において停止される。例示的な実施形態では、停止ステップ105は、プラズマチャンバ内へのガスまたはガス混合物の流れを終了し、RF電源およびICP源の動作を終了することを含む。停止ステップ105は、典型的には、プラズマエッチングが完了したと判断されると、例えば光学干渉法などの標準的な技術を使用して実行される。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの半導体層のプラズマエッチングは、半導体材料のエッチングおよび除去の大部分が終点に達するまで行われる第1のバルクエッチング段階と、プラズマエッチングプロセスによって形成されるフィーチャが完全に形成されるまでプラズマが維持される第2のオーバーエッチング段階とを含む。そして、停止ステップ105は、オーバーエッチング段階が完了した後に行われる。背面加圧が存在する場合、少なくとも1つのチャネル内への1つ以上の不活性ガスの流動は、プラズマ生成の終了とともに、低減または停止されることができる。
【0049】
第1の例示的な実施形態では、停止ステップ105においてプラズマ生成が停止されると、第2の切り替えステップ106において、ESCは単極動作モードから第2の双極動作モードに切り替えられる。第1の双極動作モードと同様に、第2の双極動作モードでは、電極の一方に正電圧が印加され、電極の他方に負電圧が印加される。第2の双極動作モードは、第1の双極動作モードにおいて印加される正電圧を有する電極が、第2の双極動作モードにおいて印加される正電圧も有し、第1の双極動作モードにおいて印加される負電圧を有する電極が、第2の双極動作モードにおいて印加される負電圧も有するという点で、第1の双極動作モードと同様であり得る。任意選択で、第2の双極動作モードで印加される電圧の絶対値は、第1の双極動作モードで印加される電圧の絶対値と同じであってもよい。例えば、第1の双極動作モード及び第2の双極動作モードの両方において、一方の電極に+6000Vの電圧を印加することができ、他方の電極に-6000Vの電圧を印加することができる。あるいは、第2の双極動作モードで印加される電圧の絶対値は、第1の双極動作モードで印加される電圧の絶対値とは異なっていてもよい。例えば、第1の双極動作モードでは、一方の電極に+6000Vの電圧が印加され、他方の電極に-6000Vの電圧が印加され、第2の双極動作モードでは、同じ電極に+5000Vの電圧および-5000Vの電圧をそれぞれ印加することができる。一実施形態では、電極に印加される電圧の極性は、第1の双極動作モードと第2の双極動作モードとの間で変化してもよい。例えば、第1の双極動作モードでは、正電圧が第1の電極に印加され、負電圧が第2の電極に印加され、第2の双極動作モードでは、負電圧が第1の電極に印加され、正電圧が第2の電極に印加される。電極の極性のこの逆は、誘電体基板における電荷の蓄積を低減するのに役立つことができ、これは、基板支持体からのその除去を容易にする。
【0050】
プラズマ生成が終了し、誘電体基板内の任意の電荷蓄積が除去されると、除去ステップ107において、ESCがオフにされ、基板が基板支持体から除去され、続いてプラズマチャンバから除去される。ワークピースは、基板支持体の表面の上方でワークピースを持ち上げるためのリフト機構など、当技術分野で知られている任意の方法によって基板支持体から除去することができ、ワークピースは、ウェハ搬送ロボットに取り付けられたエンドエフェクタなど、ロードステップ101で導入されたのと同じ方法によってプラズマチャンバから除去することができる。
【0051】
第2の実施形態において、いくつかの特徴は、第1の実施形態で説明したものと同じである。例えば、装填ステップ201、操作ステップ202、プラズマエッチングステップ203、第1の切り替えステップ204および除去ステップ207は、それぞれ装填ステップ101、操作ステップ102、プラズマエッチングステップ103、第1の切り替えステップ104および除去ステップ107と実質的に同じである。しかしながら、第2の例示的な実施形態は、プラズマがまだ生成されている間にESCが第2の双極動作モードで動作するように、第2の切り替えステップ205が停止ステップ206の前に行われる点で第1の例示的な実施形態とは異なる。プラズマが依然として存在する間に第2の双極動作モードに切り替えることは、誘電体基板上の電荷蓄積の低減をさらに助けることができる。
【0052】
第2の例示的な実施形態では、ESCは、停止ステップ206の後、除去ステップ207のためにESCがオフにされるまでの期間、第2の双極動作モードに維持することができる。オーバーエッチングが実行される実施形態では、第2のスイッチングステップ205は、バルクエッチングの終わりに、またはオーバーエッチング中に実行され得る。
【実施例0053】
厚さ1mmのサファイア層上に厚さ5μmのGaN層を含み、厚さ2μmのSiO2ハードマスクがGaN層の表面上に堆積されたワークピースをSPTS Technologies Ltd Synapse(商標)ICPプラズマエッチングツールにロードし、Cl2/BCl3/Arプラズマを用いてGaN層をエッチングした。ICP源およびRFバイアスは両方とも、13.56MHzのRF電源を使用した。オーバーエッチングのために単極動作モード(両方とも-6000Vの第1および第2の電極)に切り替えられる前に、GaN層がエッチングされるまで双極動作モード(第1の電極は+6000Vであり、第2の電極は-6000Vである)で動作されるデュアル電極ESCによってワークピースをクランプした。プラズマエッチングが終了した後、ESCを第2の双極動作モード(第1の電極は+6000Vであり、第2の電極は-6000Vである)に切り替えた。ワークピースの温度が所望のレベルに首尾よく維持され、基板が全体にわたって首尾よくクランプされたことが見出された。
2 基板支持体、4 RF電源、6 静電チャックESC、8 高電圧DC電源、10 冷却剤チャネル、12 基板、14 コーティング、16 シールドリング、18 リフトアセンブリ。