(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024089635
(43)【公開日】2024-07-03
(54)【発明の名称】フィラメントを製造するための装置
(51)【国際特許分類】
D01D 4/06 20060101AFI20240626BHJP
【FI】
D01D4/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023201321
(22)【出願日】2023-11-29
(31)【優先権主張番号】22215646
(32)【優先日】2022-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】10 2022 134 399.5
(32)【優先日】2022-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】505313830
【氏名又は名称】ライフェンホイザー・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング・ウント・コンパニー・コマンデイトゲゼルシャフト・マシイネンファブリーク
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 大成
(74)【代理人】
【識別番号】100191938
【弁理士】
【氏名又は名称】高原 昭典
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン・ゲルハルツ
【テーマコード(参考)】
4L045
【Fターム(参考)】
4L045AA05
4L045BA03
4L045CA16
4L045CA32
4L045CB10
4L045CB16
(57)【要約】 (修正有)
【課題】熱可塑性プラスチックから成るフィラメントの製造装置。
【解決手段】プラスチック溶融物を暫定紡糸幅に分配するための分配装置4が設けられ、分配装置の下流に、少なくとも1つのフィルタプレート5が配置され、フィルタプレートの下流に、分配プレートから成る分配プレートセット6が配置されている。個々の分配プレートには、それぞれ分配幅にわたって分配された複数の分配開口8が、フィルタプレートから流出するプラスチック溶融物を受け入れるために設けられ、分配プレートセットの下流に、紡糸ノズルプレート2が配置され、該プレートが、最終紡糸幅Beにわたって分配された、紡糸ノズル開口3を付設した紡糸ノズルチャネル9を備える。分配プレートセットに付設されたフィルタプレートの出口表面及び/又は分配プレートセットに付設された紡糸ノズルプレートの入口表面が、少なくとも部分的に隆起させてもしくはクラウニングされて形成される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィラメント、特に熱可塑性のプラスチックから成るフィラメントを製造するための装置であって、装置(1)が、少なくとも1つの紡糸ノズルプレート(2)を備え、フィラメントが、少なくとも1つのフィラメント列の形態で紡糸ノズルプレート(2)の紡糸ノズル開口(3)から流出し、
供給されたプラスチック溶融物を暫定紡糸幅Bvに分配するための少なくとも1つの分配装置(4)が設けられ、分配装置(4)の下流に、少なくとも1つのフィルタプレート(5)が配置され、
フィルタプレート(5)の下流に、分配プレート(7)から成る分配プレートセット(6)が配置され、個々の分配プレート(7)が、それぞれ、分配幅Biにわたって分配された複数の分配開口(8)を備え、分配開口(8)が、フィルタプレート(5)から流出するプラスチック溶融物を受け入れるために設けられ、
分配プレートセット(6)の下流に、紡糸ノズルプレート(2)が配置され、紡糸ノズルプレート(2)が、最終紡糸幅Beにわたって分配された、紡糸ノズル開口(3)を付設した紡糸ノズルチャネル(9)を備えるものにおいて、
分配プレートセット(6)に付設されたフィルタプレート(5)の出口表面(10)及び/又は分配プレートセット(6)に付設された紡糸ノズルプレート(2)の入口表面(11)が、少なくとも部分的に隆起させてもしくはクラウニングされて形成されていること、を特徴とする装置。
【請求項2】
フィルタプレート(5)の出口表面(10)及び/又は紡糸ノズルプレート(2)の入口表面(11)が、機械方向(MD)の広がり全体もしくは実質的に全体にわたって隆起させてもしくはクラウニングされて形成されていること、を特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
フィルタプレート(5)の出口表面(10)及び/又は紡糸ノズルプレート(2)の入口表面(11)の隆起させてもしくはクラウニングされて形成された部分の曲率半径Rが、隆起させてもしくはクラウニングされて形成された部分の広がり全体にわたって一定もしくは実質的に一定であり、特に10000mm~55000mm、好ましくは12000mm~45000mm、特に好ましくは14000~40000mm、全く特に好ましくは16000mm~36000mm、例えば17000mm~19000mmであること、を特徴とする請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
分配プレートセット(6)の少なくとも1つの分配プレート(7)、特に複数の分配プレート(7)、好ましくは各分配プレート(7)の分配開口(8)によって構成される分配幅Biが、それぞれ、暫定紡糸幅Bvよりも小さく又は大きく、これにより、分配プレートセット(6)により、暫定紡糸幅Bvが、最終紡糸幅Beに縮小又は拡大され、特に、分配プレート(7)もしくは分配プレートセット(6)の交換により、所望の最終紡糸幅Beが設定可能であること、を特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
個々の紡糸プレート(7)の分配開口(8)によってそれぞれ構成される分配幅Biが、フィルタプレート(5)から紡糸ノズルプレート(2)に向かって減少又は増加し、これにより、暫定紡糸幅Bvが、このようにして最終紡糸幅Beに縮小もしくは拡大されること、を特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
分配プレート(7)の少なくとも1つが、分配幅Biの少なくとも一部にわたって延在する少なくとも1つの分配チャネル(12)を備え、この分配チャネル(12)が、分配開口(8)の少なくとも一部を互いに接続すること、及び、好ましくは、少なくとも分配プレートセット(6)の分配プレート(7)の一部において、上下に配置された隣接する分配プレート(7)の分配開口(8)が、分配幅Biに関連して互いに位置をずらして配置されていること、を特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
最終紡糸幅Beは、少なくとも1600mm、特に少なくとも1800mm、好ましくは少なくとも2000mmであること、を特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
暫定紡糸幅Bvと最終紡糸幅Beの比(Bv:Be)は、暫定紡糸幅Bvを縮小する場合は、1.01~1.5、好ましくは1.02~1.3、特に好ましくは1.05~1.15であり、暫定紡糸幅Bvを拡大する場合は、0.7~0.98、好ましくは0.8~0.97、特に好ましくは0.85~0.95であること、を特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の装置。
【請求項9】
装置(1)は、多成分フィラメント、特に2成分フィラメント及び/又は混合フィラメントを製造するために形成もしくは設定されていること、及び、このため、装置(1)は、特に、機械方向(MD)に相並んで配置された、少なくとも2つのプラスチック溶融物を分配するための少なくとも2つの分配装置を備えること、を特徴とする請求項1~8のいずれか1項に記載の装置。
【請求項10】
分配プレートセット(6)もしくは分配プレート(7)は、少なくとも2つのプラスチック溶融物が、まず、互いに別々に分配プレートセット(6)を貫流し、次いで、紡糸ノズルプレート(2)の上、特に紡糸ノズルプレート(2)の直上で、多成分フィラメントもしくは2成分フィラメントを生成するために統合可能であることを条件にして形成されていること、を特徴とする請求項9に記載の装置。
【請求項11】
分配プレートセット(6)の少なくとも1つの分配プレート(7)、特に少なくとも紡糸プレート(2)の直上に配置された分配プレートセット(6)の最後の分配プレート(7)の分配開口(8)の一部の直径は、この分配プレート(7)の残りの分配開口(8)の直径とは異なること、を特徴とする請求項1~10のいずれか1項に記載の装置。
【請求項12】
分配プレートセット(6)の少なくとも1つの分配プレート(7)の、好ましくは少なくとも紡糸ノズルプレート(2)の直上に配置された分配プレートセット(6)の最後の分配プレート(7)の少なくとも1つの周縁側の外領域内、特に少なくとも1つのCD外領域(16)内の分配開口(8)の直径d1は、この分配プレート(7)の中心の分配開口(8)の直径d2とは異なること、及び、直径d1は、特に直径d2よりも大きいこと、を特徴とする請求項1~11のいずれか1項に記載の装置。
【請求項13】
少なくとも1つの分配装置(4)は、30~42W/(mK)の、特に33~39W/(mK)の、好ましくは34~38W/(mK)の20℃での熱伝導率を有する少なくとも1つの材料をベースとして形成されていること、を特徴とする請求項1~12のいずれか1項に記載の装置。
【請求項14】
少なくとも1つの分配装置(4)は、少なくとも1つの熱間工具鋼をベースとして形成され、好ましくは55NiCrMoV7鋼をベースとして形成されていること、を特徴とする請求項1~13のいずれか1項に記載の装置。
【請求項15】
フィルタプレート(5)及び/又は紡糸ノズルプレート(2)が、15~35W/(mK)の、特に18~32W/(mK)の、好ましくは20~30W/(mK)の、特に好ましくは22~28W/(mK)の20℃での熱伝導率を有する少なくとも1つの材料をベースとして形成されていること、を特徴とする請求項1~14のいずれか1項に記載の装置。
【請求項16】
フィルタプレート(5)及び/又は紡糸ノズルプレート(2)は、少なくとも1つのマルテンサイト鋼をベースとして、特にX17CrNi16-2鋼をベースとして形成されていること、を特徴とする請求項1~15のいずれか1項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィラメント、特に熱可塑性のプラスチックから成るフィラメントを製造するための装置であって、装置が、少なくとも1つの紡糸ノズルプレートを備え、フィラメントが、少なくとも1つのフィラメント列の形態でこの紡糸ノズルプレートの紡糸ノズル開口から流出するものに関する。特に、本発明は、熱可塑性のプラスチックから成るフィラメントからスパンボンドフリースもしくはフリースウェブを製造するための装置に関する。フィラメントは、好ましくは、連続フィラメントである。連続フィラメントは、その実質的に無端の長さに基づいて、例えば1mm~60mmの著しく短い長さを備える短繊維とは異なる。フィラメントが、搬送装置上に、特に堆積スクリーンベルト上に堆積されることが、本発明の範囲内にある。このような搬送装置上に堆積される製品の幅は、特に紡糸幅に依存する。この場合、紡糸幅は、特に、紡糸ノズルプレートの紡糸ノズル開口から流出するフィラメント列の幅を意味する。
【背景技術】
【0002】
前記形式の装置は、経験から、異なる実施形態で基本的に知られている。フリース幅を、従って装置の紡糸幅を可変に設定することが、しばしば望まれている。これは、例えば、必要に応じて起動又は停止される、紡糸幅にわたって一列に配列された複数の分配装置が存在するセグメント化された装置によって可能である。しかしながら、この形成には、停止された装置セグメント内にプラスチック残留物が残存し、これらプラスチック残留物が、装置の汚染を生じさせ、最終的に装置動作に障害を生じさせ得るとの欠点と結びついている。これに関連して、欧州特許出願公開第1486591号明細書には、供給されたプラスチック溶融物を暫定紡糸幅に分配するための少なくとも1つの分配装置が設けられ、分配装置の下流に、分配プレートから成る分配プレートセットが配置され、個々の分配プレートが、それぞれ、分配幅にわたって分配された複数の分配開口を備え、分配プレートセットの下流に、紡糸ノズルプレートが配置され、この紡糸ノズルプレートが、最終紡糸幅にわたって分配された、紡糸ノズル開口を付設した紡糸ノズルチャネルを備える装置が記載されている。分配プレートセットにより、暫定紡糸幅の最終紡糸幅への縮小又は拡大が達成され得る。この場合、分配プレートと紡糸ノズルプレートの互換性は、最終紡糸幅の可変設定を可能にする。プラスチック溶融物は、この形成の場合、分配装置から分配プレートの分配開口を経て紡糸ノズルプレートに流れる。
【0003】
暫定紡糸幅を最終紡糸幅に縮小又は拡大するための分配プレートが使用されるこれら装置は、フィラメント及びフリースウェブを製造するために基本的に有用性を実証されている。但し、これら装置の場合、紡糸動作中に、温度差に基づいて、分配プレートセットの分配プレートの熱膨張が生じる。これら温度差は、プラスチック溶融物が、分配装置から紡糸ノズルプレートへの流路上である程度まで冷え、これにより、特に、分配装置に付設された上の分配プレートが、紡糸動作中に、紡糸ノズルプレートに付設された下の分配プレートよりも高温であるとの事実に起因する。分配プレートのこれら温度差及びこれに起因する異なる熱膨張に基づいて、分配プレートの分配開口が変位することが可能であるので、分配プレートセットを経るプラスチック溶融物の流路は、不利なように影響を受ける。例えば、分配プレートの異なる熱膨張は、上下に配置された隣接する分配プレートの分配開口が、もはや本来企図されたように互いに対して配置もしくは整向されておらず、例えばもはや互いに整列していないことを生じさせ得る。これは、プラスチック溶融物の不均一な分布を生じさせ、最終的に液滴形成等の紡糸エラーを生じさせ得る。分配プレートセットが、通常は周縁側で全周にわたってネジ留めされるにもかかわらず、公知の装置における分配プレートの異なる熱膨張は、それにもかかわらず無視できない程度に観察することができ、しばしば紡糸プロセスに不利な影響を及ぼす。更に、説明した分配プレートの異なる熱膨張は、装置の熱的クリーニングプロセスの結果として生じ得る。ここで、本発明が始まる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】欧州特許出願公開第1486591号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これに対して、本発明の根底にある技術的課題は、前記欠点を効果的かつ確実に回避することができ、特に、分配プレートの異なる熱膨張に起因する紡糸プロセスへの不利な影響を低減もしくは回避することができる冒頭で述べた形式の装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この技術的課題を解決するため、本発明は、フィラメント、特に熱可塑性のプラスチックから成るフィラメントを製造するための装置であって、装置が、少なくとも1つの紡糸ノズルプレートを備え、フィラメントが、少なくとも1つのフィラメント列の形態で紡糸ノズルプレートの紡糸ノズル開口から流出し、
供給されたプラスチック溶融物を暫定紡糸幅に分配するための少なくとも1つの分配装置が設けられ、分配装置の下流に、少なくとも1つのフィルタプレートが配置され、
フィルタプレートの下流に、分配プレートから成る分配プレートセットが配置され、個々の分配プレートが、それぞれ、分配幅にわたって分配された複数の分配開口を備え、分配開口が、フィルタプレートから流出するプラスチック溶融物を受け入れるために設けられ、
分配プレートセットの下流に、紡糸ノズルプレートが配置され、紡糸ノズルプレートが、最終紡糸幅にわたって分配された、紡糸ノズル開口を付設した紡糸ノズルチャネルを備えるものを教示する。本発明による装置は、分配プレートセットに付設されたフィルタプレートの出口表面及び/又は分配プレートセットに付設された紡糸ノズルプレートの入口表面が、少なくとも部分的に隆起させてもしくはクラウニングされて形成されていること、を特徴とする。
【0007】
最終紡糸幅との用語は、本発明の範囲内では、特に、装置から流出するフィラメント列の全幅を、従って付設された紡糸ノズル開口の列の幅を意味する。暫定紡糸幅との用語は、本発明に範囲内では、特に、分配装置のフィルタプレート側の終端における幅もしくは紡糸幅を意味する。ここで及び以下で、方向を示すため、暫定紡糸幅及び/又は最終紡糸幅との用語の代わりに、特に、単に紡糸幅との用語も使用される。加えて、分配プレートの分配開口の列の広がりもしくは幅は、本発明の範囲内では、この分配プレートに割り当てられた分配幅を規定する。
【0008】
「下流に」、「上流に」、「上に」、「下に」、「上下に」及び「相互に」との用語は、本発明の範囲内では、特に、装置の動作状態での分配装置から紡糸ノズルプレートへのプラスチック溶融物の流れ方向を示す。
【0009】
本発明の好ましい実施形態によれば、機械方向に対して横の方向(CD)に、もしくは紡糸幅に関連して、1つの分配装置だけが設けられ、この分配装置の上流には、合目的に、プラスチック溶融物用の1つの紡糸ポンプだけが配置されている。装置が、特に好ましい実施形態により、多成分フィラメント、特に2成分フィラメントを製造するために形成もしくは設定されている場合、装置が、機械方向(MD)に、相並んで配置された少なくとも2つの分配装置を備えることは合目的である。その場合、特に、各分配装置の上流には、それぞれのプラスチック溶融物用の別個の紡糸ポンプが配置されている。しかしながら、付加的又は選択的に、2つ以上の分配装置が、紡糸幅にわたってもしくは機械方向に対して横(CD)に相並んで配置され、この場合、各分配装置の上流に、別個の紡糸ポンプが配置され得ることも、本発明の範囲内にある。
【0010】
その他、機械方向(MD)もしくはMD方向は、本発明の範囲内では、特に、フィラメントもしくはフリースウェブ用の搬送装置の搬送方向は、従って暫定もしくは最終紡糸幅に対して横の方向を意味する。これに対して、CDもしくはCD方向は、特に、機械方向に対して横の方向もしくは紡糸幅に沿った方向を意味する。合目的に、機械方向(MD)もしくは紡糸幅に対して横に、複数のフィラメント列が、相並んでそれぞれ最終紡糸幅にわたって生成される。このため、推奨すべきは、機械方向に相並んで配置された紡糸ノズル開口の列が設けられている。好ましくは、隣接する列の紡糸ノズル開口は、互いに位置をずらして配置されている。
【0011】
少なくとも1つの分配装置が、ハンガー分配器として形成されていることが、本発明の範囲内にある。このようなハンガー分配器の場合、プラスチック溶融物は、まず、紡糸幅に対して狭い供給チャネルによって供給され、暫定紡糸幅への幅の漸増を、ハンガー分配器からのプラスチック溶融物の出口における均一な流れプロファイルを考慮して、特にプラスチック溶融物の各出口点において同じ背圧が実現されることによって受ける。
【0012】
本発明によれば、分配装置の下流に、少なくとも1つのフィルタプレートが設けられている。フィルタプレートは、好ましくは、プラスチック溶融物用のホールチャネルを備える。ホールチャネルは、合目的に、平坦なフィルタプレートの広がりに対して横、特に垂直に延在する。フィルタプレートのホールチャネルは、推奨すべきは、暫定紡糸幅の方向に延在する少なくとも1つの列内に配置されている。しかしながら、基本的に、フィルタプレートは、本発明の範囲内では、異なる形成を備えることもできる。
【0013】
本発明によれば、フィルタプレートの下流に、分配プレートから成る分配プレートセットが配置されている。この場合、分配プレートセットは、少なくとも2つの、特に少なくとも3つの、好ましくは少なくとも4つの、全く特に好ましくは少なくとも5つの、例えば少なくとも6つの、上下に配置された分配プレートから成るセットを意味する。装置が、分配プレートセットの分配プレートを除いて、別の分配プレートを備えないことが好ましい。その場合、分配プレートセットは、フィルタプレートの直ぐ下流で、紡糸ノズルプレートの直ぐ上流に配置されている。しかしながら、基本的に、分配プレートセットの上流及び/又は下流に、少なくとも1つの別の分配プレートを設けることができる。
【0014】
フィルタプレートの出口表面との用語は、本発明の範囲内では、特に、分配プレートセットもしくは最上の分配プレートに付設されたフィルタプレートの出口表面を意味する。従って、フィルタプレートの出口表面は、合目的に、フィルタプレートの出口側も意味する。フィルタプレートの出口表面は、好ましい実施形態によれば、分配プレートセットもしくは最上の分配プレートに直接的に接触している。紡糸ノズルプレートの入口表面との用語は、本発明の範囲内では、特に、分配プレート接地もしくは最後の分配プレートに付設された紡糸ノズルプレートの表面を意味する。その点で、紡糸ノズルプレートの入口表面は、合目的に、紡糸ノズルプレートの入口側も意味する。紡糸ノズルプレートの入口表面は、好ましい実施形態によれば、分配プレートセットもしくは最下の分配プレートに直接的に接触している。
【0015】
本発明によれば、分配プレートセットに付設されたフィルタプレートの出口表面及び/又は分配プレートセットに付設された紡糸ノズルプレートの入口表面は、少なくとも部分的に隆起させてもしくはクラウニングされて形成されている。少なくともフィルタプレートの出口表面、特にフィルタプレートの出口表面が、少なくとも部分的に隆起させてもしくはクラウニングされて形成されていることが好ましい。隆起させてもしくはクラウニングされてとは、本発明の範囲内では、特に、分配プレートセットの方向に隆起させたもしくはクラウニングされた状態、従って特に凸に隆起させた状態を意味する。合目的に、フィルタプレートの出口表面及び/又は紡糸ノズルプレートの入口表面は、隆起させてもしくはクラウニングされて研削されている。従って、フィルタプレートの出口表面及び/又は紡糸ノズルプレートの入口表面は、特に、平らにではなく、丸く形成されているので、本発明の範囲内では、分配プレートセットの方向に整向された、フィルタプレートの出口表面及び/又は紡糸ノズルプレートの凸の形成が得られる。これにより、分配プレートセットの分配プレートの付加的な固定作用が実現され、これにより、分配プレートの異なる熱膨張による紡糸プロセスへの不利な影響に確実に対抗することができる。付加的に、製造公差、例えば装置の個々の構成要素の平坦度を補償することができる。
【0016】
フィルタプレートの出口表面及び/又は紡糸ノズルプレートの入口表面が、機械方向(MD)のその広がりに対して少なくとも中心部分もしくは中央部分において、隆起させてもしくはクラウニングされて形成されていることが、非常に好ましい。全く特に好ましくは、フィルタプレートの出口表面及び/又は紡糸ノズルプレートの入口表面が、機械方向の広がり全体もしくは実質的に全体にわたって隆起させてもしくはクラウニングされて形成されている。従って、前記の隆起もしくはクラウニングは、本発明の範囲内で好ましい実施形態によれば、機械方向(MD)のフィルタプレートの出口表面及び/又は紡糸ノズルプレートの入口表面の広がり全体もしくは実質的に全体にわたって実現されている。従って、フィルタプレート及び/又は紡糸ノズルプレートの隆起させた、特に凸に隆起させたもしくはクラウニングされた形成は、合目的に、搬送方向もしくは機械方向(MD)に関してフィルタプレート及び/又は紡糸ノズルプレートの入口側から出口側まで延在する。これにより、分配プレートセットの分配プレートは、その外領域で簡単かつ確実にフィルタプレート及び/又は紡糸ノズルプレートとネジ留めすることができ、機械方向(MD)の分配プレートの広がりに対して特に少なくとも中央部分もしくは中心部分において、フィルタプレートと紡糸ノズルプレートの間の分配プレートセットの付加的な固定作用が達成される。これは、以下で、更に詳細に説明する。この形成は、更に、この中央部分もしくは中心部分において、さもなければ均質な紡糸場の実現に対抗する付加的なネジ留めを回避することができる。
【0017】
本発明の好ましい実施形態によれば、分配プレートセットの分配プレートを結合するため及び/又は分配プレートセット及び紡糸ノズルプレート及び/又はフィルタプレートから成るユニットを結合するため、多数のネジが設けられ、これらネジは、このユニットを好ましくは貫通し、少なくとも、ユニットのCD方向に延在する周縁側の外領域に配置され、特に好ましくは、ユニットを周縁側で全周にわたって配置されている。フィルタプレート及び/又は紡糸ノズルプレートの隆起させたもしくはクラウニングされた形成により、好ましくは、これらネジの押圧力は、ユニットの周縁側の外領域、特にユニットのCD方向に延在する周縁側の外領域から機械方向(MD)に沿ってユニットの中心に転位される。この場合、合目的に、ネジの領域内の点荷重から線荷重が得られる。多数のネジにより、線荷重の統合は、合目的に、特に周縁側で全周にわたって配置されたネジによって囲まれた面内で、均一な面圧を構成し、この均一な面圧は、特に、面圧が、非常に均一に分配プレートセット及び紡糸ノズルプレート及び/又はフィルタプレートから成るユニットに作用することを保証する。面圧により、分配プレートセットの分配プレートの間及び分配プレートセットと紡糸ノズルプレートの間及び/又は分配プレートセットとフィルタプレートの間の個々の平面の界面が、特に均一に圧縮される。面圧を、好ましくは隣接して配置された2つのネジの間の領域でも確実に機械方向(MD)に沿って分配プレートセット及び紡糸ノズルプレート及び/又はフィルタプレートから成るユニットの中心に転位させるため、隣接するネジの間隔は、特に相応に選択される。これは、特に、機械方向(MD)のユニットもしくは紡糸ノズルプレートの幅に依存して適用される。例えば紡糸ノズルプレートがMD方向に広い程、特に、CD方向のネジの間隔が小さくなる。好ましくは、これに関連して、ネジのネジ径とフランジ厚も相応に選択され、面圧に適合される。
【0018】
分配プレートセット及び紡糸ノズルプレート及び/又はフィルタプレートから成るユニットのCD方向に延在する周縁側の外領域に隣接して配置された2つのネジの間の間隔が、20mm~70mm、好ましくは25mm~60mm、特に好ましくは30mm~55mmであることが、有用性を実証されている。この場合、2つの隣接するネジの間の間隔は、特に、ネジの中心間隔もしくはフランジ中心距離を意味する。1つの実施形態によれば、隣接して配置されたそれぞれ2つのネジの間の間隔は、CD方向の広がり全体に沿って同一もしくは実質的に同一である。しかしながら、基本的に、CD方向の広がりに沿った、隣接して配置されたそれぞれ2つのネジの間の間隔は、部分的に異なっていてもよい。
【0019】
その他、合目的に、機械方向(MD)のフィルタプレート及び/又は紡糸ノズルプレートの前記の隆起させたもしくはクラウニングされた形成は、機械方向に対して横(CD)、即ち紡糸幅の方向のフィルタプレート及び/又は紡糸ノズルプレートの広がり全体もしくは実質的に広がり全体に沿って実現されている。このようにして、フィルタプレート及び/又は紡糸ノズルプレートの機械方向(MD)に隆起させたもしくはクラウニングされた形成によって達成される分配プレートの付加的な固定作用は、機械方向(MD)に対して横の装置の広がり全体に沿ってもしくは紡糸幅全体に沿って達成することができる。
【0020】
フィルタプレートの出口表面及び/又は紡糸ノズルプレートの入口表面の隆起させてもしくはクラウニングされて形成された部分の曲率半径が、隆起させてしくはクラウニングされて形成された部分の広がり全体にわたって一定もしくは実質的に一定であることが、本発明の範囲内にある。本発明の好ましい実施形態により、フィルタプレートの出口表面及び/又は紡糸ノズルプレートの入口表面が、機械方向(MD)の広がり全体もしくは実質的に全体にわたって隆起させてもしくはクラウニングされて形成されている場合、好ましくは、この隆起させてもしくはクラウニングされて形成されたこのフィルタプレートの出口表面及び/又は紡糸ノズルプレートの入口表面の曲率半径は、機械方向(MD)の広がり全体にわたって一定もしくは実質的に一定である。フィルタプレートの出口表面及び/又は紡糸ノズルプレートの入口表面の隆起させてもしくはクラウニングされて形成された部分の曲率半径が、10000mm~55000mm、好ましくは12000mm~45000mm、特に好ましくは14000~40000mm、全く特に好ましくは16000mm~36000mm、例えば17000mm~19000mmであることが、特に好ましい。曲率半径が一定の場合、機械方向(MD)に240mmの模範的な幅を有する紡糸ノズルプレートに対して、押圧力は、合目的に、機械方向(MD)に120mmの模範的な幅を有する紡糸ノズルプレートの場合よりも著しく高い。
【0021】
本発明による装置が、フィルタプレート及び/又は分配プレートセット及び/又は紡糸ノズルプレートをプラスチック溶融物の流れ方向に貫通する、特に分配プレートセットを完全に貫通する少なくとも1つの嵌合要素を備えることが好ましい。このため、分配プレートは、合目的に、それぞれ、少なくとも1つの嵌合要素に対応付けられた少なくとも1つの相応の嵌合開口を備える。好ましくは、少なくとも2つの、特に好ましくは少なくとも3つの、全く特に好ましくは複数のこのような嵌合要素及び嵌合開口が、本発明による装置もしくは分配プレートセットのために設けられている。合目的に、少なくとも1つの嵌合要素は、ノックピンである。嵌合要素及び嵌合開口を有する本発明による装置のこの実施形態の根底にある認識は、分配プレートの異なる熱膨張に、付加的に嵌合が対抗し、これにより、特に、摩擦係合(フィルタプレート及び/又は紡糸ノズルプレートの本発明により隆起させたもしくはクラウニングされた形成による)と嵌合の組合せが実現されることである。
【0022】
本発明が、特に、熱可塑性のプラスチックから成るフィラメントからスパンボンドフリースを製造するための装置に関することは、既に説明されている。好ましい実施形態によれば、本発明による装置は、スパンボンド装置として形成され、こうして、合目的に、本発明による装置により、スパンボンドフリースもしくはフリースウェブが製造される。本発明による装置により、単成分フィラメント及び/又は混合フィラメント及び/又は多成分フィラメント、特に2成分フィラメントを、連続フィラメントとして生成することができる。混合フィラメントとの用語は、本発明の範囲内では、特に、その横断面構成に関しては、モノタイプフィラメントとして形成されているが、少なくとも2つのプラスチックもしくはプラスチック溶融物から成るフィラメントを意味する。紡糸ノズルプレートの下流に、生成されたフィラメントを冷却するための冷却装置が設けられ、この冷却装置が、特に冷却チャンバを備え、この冷却チャンバを経て、生成されたフィラメントもしくは連続フィラメントが冷却のために案内されることが、有用性を実証されている。冷却チャンバの2つの対向する側に、冷却空気を供給するための空気供給キャビンが配置されていることが好ましい。好ましい実施形態によれば、冷却チャンバの2つの対向する側に、上下に配置された空気供給キャビン、特に上下に配置された2つの空気供給キャビンが存在し、これら空気供給キャビンから、好ましくは、異なる温度の空気が冷却チャンバに導入される。加えて、紡糸ノズルプレートと冷却装置の間にモノマー吸引装置設けられ、このモノマー吸引装置により、紡糸プロセス時に生じる不用ガスを、装置もしくはスパンボンド装置から除去することができることが、有用性を実証されている。
【0023】
合目的に、フィラメント流れ方向で冷却装置の下流には、生成されたフィラメントを延伸するための延伸装置が配置されている。本発明による装置の特に推奨される実施形態によれば、冷却装置と延伸装置から成るユニットが、冷却空気の冷却装置への供給以外に閉じたユニットへの別の空気供給が行なわれない閉じたユニットとして形成されている。
【0024】
加えて、延伸装置と搬送装置、特に堆積スクリーンベルトとの間に、少なくとも1つのディフューザが配置されていることが好ましい。延伸装置から流出する連続フィラメントは、ディフューザを経て案内され、次いで搬送装置上に堆積される。本発明の1つの実施形態によれば、直列に接続された2つのディフューザが設けられている。その他、搬送装置は、好ましくは、無限に回動する搬送装置もしくは無限に回動する堆積スクリーンベルトとして形成されている。全く特に好ましくは、搬送装置、特に堆積スクリーンベルトは、空気透過性に形成され、これにより、プロセス空気の吸引を、搬送装置を経て下から行なうことができる。
【0025】
本発明の特に好ましい実施形態は、少なくとも1つの紡糸ノズルプレートが、交換可能な紡糸ノズルプレートとして形成されていること、を特徴とする。更に好ましくは、分配プレートも、交換可能に形成されている。このようにして、分配プレート及び紡糸ノズルプレートの適切な選択及び交換により、消耗の最終紡糸幅を設定することができる。これに関連して、分配プレートセットの少なくとも1つの分配プレート、特に複数の分配プレート、好ましくは各分配プレートの分配開口によって構成される分配幅が、それぞれ、暫定紡糸幅よりも小さく又は大きく、これにより、分配プレートセットにより、暫定紡糸幅が、最終紡糸幅に縮小又は拡大され、特に、分配プレートもしくは分配プレートセットの交換により、所望の最終紡糸幅が設定可能であることが、本発明の範囲内にある。合目的に、分配プレートの分配開口は、垂直にもしくは分配プレート面に対して垂直に配置されている。更に、少なくとも分配プレートセットの分配プレートの一部において、分配開口が、入口側の分配幅の拡大又は縮小を生じさせる分配チャネルに接続することが好ましい。分配開口の列の広がりもしくは幅は、それぞれの分配プレートの分配幅を規定する。
【0026】
個々の分配プレートの分配開口によってそれぞれ構成される分配幅が、フィルタプレートから紡糸ノズルプレートに向かって減少又は増加し、これにより、暫定紡糸幅が、このようして最終紡糸幅に縮小もしくは拡大されることが、本発明の範囲内にある。加えて、1つの分配プレートが、それぞれ、相並んで配置された複数の分配開口の列を備えることが、本発明の範囲内にある。この場合、各分配開口の列は、合目的に、それぞれの分配プレートの分配幅にわたって延在する。特に、搬送方向もしくは機械方向(MD)に相並んで配置された分配開口の2つの分配開口の列は、互いに位置をずらして配置されている。
【0027】
本発明の特に好ましい実施形態は、分配プレートの少なくとも1つが、分配幅の少なくとも一部にわたって延在する少なくとも1つの分配チャネルを備え、この分配チャネルが、分配開口の少なくとも一部を互いに接続すること、を特徴とする。分配チャネルが、分配幅に関連して、列内に配置された分配開口を互いに接続することが、本発明の範囲内にある。合目的に、分配チャネルは、分配プレートの分配幅全体にわたって延在し、この場合、好ましくは、列内に配置されたこの分配プレートの全ての分配開口を接続する。本発明の非常に好ましい実施形態によれば、少なくとも1つの分配プレートにおいて、各列の分配開口は、1つの分配チャネルによって互いに接続されている。特に、分配チャネルは、水平にもしくは分配開口に対して垂直に配置されている。加えて、分配プレートの分配チャネルが、隣接する分配プレートに直接的に隣接することが、有用性を実証されている。隣接する分配プレートに隣接する分配チャネルは、合目的に、列内に配置された隣接する分配プレートの分配開口の少なくとも一部を、特に、列内に配置されたこの隣接する分配プレートの全ての分配開口を接続する。
【0028】
分配開口及び分配チャネルを有する分配プレートの前記の形成は、特に分配プレートセットの分配プレートの少なくとも1つにおいて、好ましくは分配プレートセットの分配プレートの少なくとも一部、特に好ましくは少なくとも大部分において、実現されている。分配チャネルは、特に、暫定紡糸幅を拡大又は縮小するために分配幅の方向もしくは分配幅に沿ってプラスチック溶融物を分配するために使用される。
【0029】
本発明の別の好ましい実施形態は、分配プレートセットの分配プレートの少なくとも1つ、特に分配プレートセットの分配プレートの一部が、分配チャネルを備えないこと、を特徴とする。これは、好ましくは、紡糸ノズルプレートに付設された分配プレートセットの少なくとも1つの分配プレートであり、従って分配プレートセットの少なくとも1つの下の分配プレート、例えば紡糸ノズルプレートに付設された分配プレートセットの最後の分配プレートである。このような形成の範囲内で、暫定紡糸幅は、合目的に相応の分配チャネルを備えた分配プレートの一部によって所望の分配幅もしくは最終紡糸幅に縮小又は拡大され、プラスチック溶融物の流れ方向で下流の分配プレートは、特に最終紡糸幅に実質的に更に影響を及ぼすことなく、プラスチック溶融物に更に影響を及ぼすため、例えば多成分フィラメントを生成するために少なくとも2つのプラスチック溶融物を統合するか、分配開口の直径を縮小する等のために使用することができる。その他、少なくとも分配プレートセットの分配プレートの一部において、上下に配置された隣接する分配プレートの分配開口が、分配幅に関連して互いに位置をずらして配置されていることが、有用性を実証されている。これは、特に、分配チャネルを備える分配プレートセットの分配プレートの場合がそうである。
【0030】
本発明の範囲内で、少なくとも1つのプラスチック溶融物は、好ましくは、分配プレートもしくは分配プレートセットによって構成された分配開口及び分配チャネルから成る流路を貫流し、紡糸ノズルプレートの上、特に紡糸ノズルプレートの直上で、分配プレートセットの分配プレートもしくは最後の分配プレートから流出し、付設された紡糸ノズルプレートの紡糸ノズルチャネルに流入する。少なくとも1つのプラスチック溶融物用の流路が、特に分配チャネルもしくは分配開口の流路長さ及び/又は横断面形状に関して及び/又は分配チャネルもしくは分配開口の横断面積に関しては、各分配開口及び/又は各紡糸ノズルチャネルにおける分配プレートセットからのプラスチック溶融物の出口もしくは紡糸ノズルプレートの紡糸ノズルチャネルへの入口において、同じもしくは実質的に同じ背圧が存在することを条件として形成されていることが好ましい。従って、背圧は、好ましくは、いわば個々の紡糸ノズルプレート及び特に生成されたフィラメントに対応付けられた流路の形成によって設定される。
【0031】
本発明の範囲内で、本発明によるフィルタプレートは、特に、フィルタを支持するために設定されている。フィルタは、合目的に、少なくとも1つの分配装置とフィルタプレートの間に配置され、従って、プラスチック溶融物の流れ方向で分配装置の下流に配置されている。フィルタとして、特に、目の詰んだフィルタリングスクリーンが使用される。加えて、少なくとも1つの分配装置の幅にわたって、分配装置のために複数の加熱ゾーンが設けられていることが、本発明の範囲内にある。これら加熱ゾーンは、合目的に、それぞれ別々に加熱可能であり、このため、特に、各加熱ゾーンに、所定の加熱温度に別々に設定することができる加熱装置が付設されている。加熱ゾーンもしくは加熱装置により、ジョン発明による装置内もしくは分配装置内でのプラスチック溶融物の粘度もしくは流速に影響を及ぼすことができる。
【0032】
本発明の好ましい実施形態によれば、最終紡糸幅Beは、少なくとも1600mm、特に少なくとも1800mm、好ましくは少なくとも2000mmである。このオーダーの最終紡糸幅の場合、フィルタプレートの出口表面及び/又は紡糸ノズルプレートの入口表面の本発明による隆起させたもしくはクラウニングされた形成が、特に有用性を実証されている。暫定紡糸幅と最終紡糸幅の比(Bv:Be)は、暫定紡糸幅を縮小する場合は、1.01~1.5、好ましくは1.02~1.3、特に好ましくは1.05~1.15であり、暫定紡糸幅を拡大する場合は、0.7~0.98、好ましくは0.8~0.97、特に好ましくは0.85~0.95であることが、本発明の範囲内にある。暫定紡糸幅と最終紡糸幅のこのような比は、本発明の範囲内で特に有用性を実証されている。
【0033】
本発明の全く特に好ましい実施形態によれば、装置は、多成分フィラメント、特に2成分フィラメント及び/又は混合フィラメントを製造するために形成もしくは設定されており、このため、装置は、特に、機械方向(MD)に相並んで配置された、少なくとも2つのプラスチック溶融物を分配するための少なくとも2つの分配装置を備える。少なくとも2つの分配装置により、合目的に、2つのプラスチック溶融物は、互いに別々に暫定紡糸幅に分配される。両プラスチック溶融物が、次いで、少なくとも2つの分配装置の下流のフィルタプレートのホールチャネルを経て互いに別々に案内されることが、有用性を実証されている。その場合、フィルタプレートのホールチャネルは、推奨すべきは、プラスチック溶融物毎に、暫定紡糸幅の方向に延在する少なくとも1つの列の形態で配置され、それぞれのプラスチック溶融物に対応付けられたホールチャネルの列が、全く特に好ましくは、機械方向(MD)に相並んで配置されている。装置が、全く特に好ましい実施形態により2成分フィラメントを生成するために形成もしくは設定されている場合、推奨すべきは、機械方向(MD)に相並んで配置されかつ特にそれぞれハンガー分配器として形成された2つの分配装置が存在する。多成分フィラメントもしくは2成分フィラメントを生成するために形成もしくは設定された装置の場合、単に、唯一のフィルタプレート、唯一の分配プレートセット及び唯一の紡糸ノズルプレートが下流に配置されていることが、本発明の範囲内にある。
【0034】
装置が、好ましい実施形態により多成分フィラメントもしくは2成分フィラメント及び/又は混合フィラメントを生成するために形成もしくは設定されている場合、分配プレートセットもしくは分配プレートは、少なくとも2つのプラスチック溶融物が、まず、互いに別々に分配プレートセットを貫流し、次いで、紡糸ノズルプレートの上、特に紡糸ノズルプレートの直上で、多成分フィラメントもしくは2成分フィラメントを生成するために統合可能であることを条件にして形成されていることが、全く特に好ましい。このため、合目的に、両プラスチック溶融物は、まず、分配プレートもしくは分配プレートセットによって構成された分配開口及び分配チャネルから成る少なくとも2つの別個の流路システムを貫流し、紡糸ノズルプレートの上、特に紡糸ノズルプレートの直上で統合可能もしくは統合される。これに関連して、両プラスチック溶融物が、少なくとも紡糸ノズルプレートの直上に配置された分配プレート、特に少なくとも分配プレートセットの最後の分配プレートによって統合されることが、本発明の範囲内にある。本発明による装置により、本発明の範囲内で、例えば、コア-シース構成、並列構成、セグメント化パイ構成及び海島構成等を有する多成分フィラメントもしくは2成分フィラメント及び/又は混合フィラメントを生成することができる。このため、分配プレートセットの分配プレート、特に紡糸ノズルプレートに付設された分配プレートセットの下の分配プレートは、特に、相応に形成されている。
【0035】
本発明の範囲内で全く特に重要な非常に好ましい実施形態によれば、分配プレートセットの少なくとも1つの分配プレート、特に少なくとも紡糸プレートの直上に配置された分配プレートセットの最後の分配プレートの分配開口の一部の直径は、この分配プレートの残りの分配開口の直径とは異なる。この実施形態の範囲内で、分配プレートセットの少なくとも1つの分配プレートの全ての分配開口が、同じ直径を備えるのではなく、分配プレートの分配開口の一部の直径が、この分配プレートの残りの分配開口の直径とは異なる。このようにして、分配プレートの異なる熱膨張に基づく防止プロセスへの不利な影響に、付加的に対抗することができる。このようにして、特にフィルタプレート及び/又は紡糸ノズルプレートの本発明による隆起させたもしくはクラウニングされた形成と組み合わせて、特に効果的かつ確実に装置の紡糸安定性を保証することができる。分配プレートの開口の直径が異なる分配プレートの前で説明した形成が、少なくとも2つ特に少なくとも3つの分配プレートの分配プレートセットにおいて実現されることが可能であり、その場合、合目的に、これら分配プレートは、紡糸ノズルプレートに付設され、特に紡糸ノズルプレートの上に上下に配置されている。分配プレートの分配開口は、本発明の範囲内では、少なくとも分配プレートの一部において丸く、特に円形に形成されている。分配開口が、少なくとも分配プレートの一部において角形に、特に矩形に形成されていることも、本発明の範囲内にある。分配開口は、分配チャネルと共に、好ましくは分配プレートセットを経るプラスチック溶融物の流路を構成し、特に好ましくは、紡糸ノズルプレートの各紡糸ノズルチャネルもしくは紡糸ノズル開口、従って特に生成されるフィラメントには、分配開口及び分配チャネルから成る流路が付設されている。
【0036】
プラスチック溶融物用の所定の開口、例えば分配プレート、特に分配プレートセットの最後の分配プレートの所定の分配開口において、これら領域で薄いフィラメントを紡糸するために、高い背圧が実現されていることが、本発明の範囲内で可能である。これにより、冷却空気内のシステムに起因した差を補償することができる。全く特に好ましくは、分配プレートセットの少なくとも1つの分配プレートの、好ましくは少なくとも紡糸ノズルプレートの直上に配置された分配プレートセットの最後の分配プレートの少なくとも1つの周縁側の外領域内、特に少なくとも1つのCD外領域内の分配開口の直径d1は、この分配プレートの中心の分配開口の直径d2とは異なる。全く特に好ましくは、直径d1は、直径d2よりも大きい。好ましくは、少なくとも1つの分配プレートの少なくとも一方の、特に両方のCD外領域内の分配開口の直径d1は、この分配プレートの中心の直径d2とは異なる。その場合、好ましくは、d1>d2が適用される。この場合、CD外領域は、特に、CD方向に対して平行に延在する分配プレートの外領域を意味する。これに対して、分配プレートの中心は、特に、分配プレートの平らな広がりに対して真ん中もしくは中央に配置された分配プレートの部分を意味する。分配プレートセットの少なくとも1つの分配プレートの分配開口のこの直径分布は、特に有用性を実証されている。しかしながら、基本的に、直径d1が直径d2よりも小さいことも可能である。
【0037】
更に、該当する分配プレートの少なくとも1つの周縁側の外領域、特に少なくとも一方、このましくは両方のCD領域から始めてこの分配プレートの中心に向かって分配開口の直径勾配が生じる場合が好ましい。
【0038】
付加的又は選択的に、少なくとも1つの分配プレートの少なくとも一方、特に両方の外領域内の分配開口の直径d1が、この分配プレートの中心の直径d2とは異なることが可能である。その場合、特に、d1>d2が適用される。従って、本発明は、少なくとも1つの分配プレートの分配開口の直径d1が、周縁側で全周にわたって、この分配プレートの中心の分配開口の直径d2とは異なり、特にd1>d2が適用される実施形態も含む。
【0039】
本発明の非常に好ましい構成によれば、少なくとも1つの分配装置は、30~42W/(mK)の、特に33~39W/(mK)の、好ましくは34~38W/(mK)の20℃での熱伝導率を有する少なくとも1つの材料をベースとして形成されている。分配プレートの熱膨張係数は、特に、分配装置及び/又はフィルタプレート及び/又は紡糸ノズルプレートの熱膨張係数に一致している。最終紡糸幅もしくはCD方向の紡糸ノズルプレートの広がりが大きいほど、合目的に、一方では分配プレートの、他方では分配装置及び/又はフィルタプレート及び/又は紡糸ノズルプレートの熱膨張係数の差が小さくなる。合目的に、少なくとも1つの分配装置は、少なくとも1つの熱間工具鋼をベースとして形成され、好ましくは55NiCrMoV7鋼をベースとして形成されている。
【0040】
フィルタプレート及び/又は紡糸ノズルプレートが、15~35W/(mK)の、特に18~32W/(mK)の、好ましくは20~30W/(mK)の、特に好ましくは22~28W/(mK)の20℃での熱伝導率を有する少なくとも1つの材料をベースとして形成されていることが、本発明の範囲内にある。更に好ましくは、フィルタプレート及び/又は紡糸ノズルプレートは、少なくとも1つのマルテンサイト鋼をベースとして、特にX17CrNi16-2鋼をベースとして形成されている。
【0041】
少なくとも1つの分配装置及び/又はフィルタプレート及び/又は紡糸ノズルプレートの前記の材料選択の根底にある認識は、装置が、これら装置構成要素のこのような形成時に、ある程度の操作時間の後に必要な清掃プロセス、特に熱的清掃プロセスを重大な障害なく克服することである。これは、特に、1つプラスチック溶融物もしくは複数のプラスチック溶融物の流路に関する個々の装置構成要素の特殊な調整を考慮すると重要である。説明した装置構成要素の好ましい材料選択により、清掃プロセス後でも、更に、特にプラスチック溶融物を案内するために設けられた開口及びチャネルの互いの整向に関して、信頼性を保証することができる。これは、特に、フィルタプレート及び/又は紡糸ノズルプレートの本発明により隆起させたもしくはクラウニングされた形成を考慮すると特に重要である。
【0042】
本発明の根底にある認識は、本発明による装置において、分配プレートの異なる熱膨張に基づく紡糸プロセスへの不利な影響に、フィルタプレートの出口表面及び/又は紡糸ノズルプレートの入口表面の隆起させたもしくはクラウニングされた形成によって効果的かつ確実に対抗することができる。フィルタプレート及び/又は紡糸ノズルプレート、特にフィルタプレート、分配プレートセットもしくは分配プレート及び紡糸ノズルから成るユニットの本発明による形成により、分配プレートの付加的な固定作用が達成されるので、特に摩擦係合による個々の分配プレートの異なる熱膨張の不利な作用が低減もしくは回避される。特に、分配プレートの分配開口及び/又は分配チャネルの互いの整向の不利な影響は、付加的な固定作用によって紡糸される。好ましい実施形態により付加的に嵌合要素もしくはノックピンが、分配プレートセットのために使用される場合、特に有利な摩擦係合と嵌合の組合せが生じる。それにもかかわらず、本発明による装置により、異なる最終紡糸幅の非常に簡単かつ確実な設定を達成することができる。これにより、本発明による装置により、一方で、装置の柔軟な使用の可能性が、それにもかかわらずまた紡糸安定性、従って製造される製品もしくは製造されるフリースウェブの製品安定性も保証される。加えて、前記の利点が、複雑な措置をそれほど使用せずに達成され、その点で、装置が非常に有利な経済性も特徴とすることを強調しなければならない。
【0043】
以下で、本発明を、ただ1つの実施例を図示した図面により詳細に説明する。図は、概略図で示されている。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【
図1】第1の動作状態にある本発明による装置を経る断面図
【
図3a】第1の実施形態の本発明による分配プレート
【
図3b】第2の実施形態の本発明による分配プレート
【
図5】フィルタプレート、分配プレートセット及び紡糸ノズルプレートから成るユニットを経る断面図
【発明を実施するための形態】
【0045】
図は、詳細には図示してない熱可塑性のプラスチックから成るフィラメントを製造するための装置1を示す。フィラメントは、特に、連続フィラメントである。フィラメントは、図による実施例では、最終紡糸幅Beにわたって延在する複数のフィラメント列の形態で紡糸ノズルプレート2の紡糸ノズル開口から流出する。紡糸すべきフィラメント用のプラスチック溶融物は、まず、詳細には図示してない押出機から同様に詳細には図示してない紡糸ポンプを介して供給チャネル14に供給される。この供給チャネル14は、
図1及び2による実施例ではハンガー分配器として形成された分配装置4に接続する。分配装置4により、供給されたプラスチック溶融物は、暫定紡糸幅Bvに分配される。分配装置4の下流には、本発明によれば及び
図1及び2による実施例では、フィルタプレート5が配置され、この分配プレートは、特に及び実施例では、暫定紡糸幅Bvにわたって分配されたプラスチック溶融物用のホールチャネル13を備える。フィルタプレート5は、推奨すべきは及び実施例では、フィルタ15を支持するために使用される。これは、特に、
図1に認められる。フィルタ15は、合目的に及び実施例では、プラスチック溶融物の流れ方向で分配装置4の下流に配置されている。
【0046】
更に、フィルタプレート5の下流には、本発明によれば及び実施例では、分配プレート7から成る分配プレートセット6が配置されている。分配プレートセット6は、特に及び実施例では、複数の分配プレート7を備える。分配プレート7は、それぞれ、分配幅Biにわたって分配された複数の分配開口8を備え、分配開口8は、フィルタプレート5から流出するプラスチック溶融物を受け入れるために設けられている。
図1及び2では、各分配プレート7に対して、それぞれ、分配開口8の列が認められる。
【0047】
分配開口8の列の広がりもしくは幅は、各分配プレート7に対して分配幅Biを規定する。特に及び実施例では、分配プレートセット6の各分配プレートは、分配幅Biに対して横の方向に、相並んで配置された複数の分配開口8の列を備える。これは、例えば、
図3a及び3bに認められる。
【0048】
加えて、
図3aには、分配開口8が、好ましい実施形態により横断面を矩形に形成されていることが認められる。分配プレート7の別の好ましい形成によれば、分配開口8は、丸い、特に円形の横断面を備える。これは、
図3bに図示されている。特に、紡糸ノズルプレート2に付設された分配プレートセット6の下の部分に配置された分配プレート7の分配開口8は、好ましい実施形態によれば、丸いもしくは円形の横断面を備える。合目的に及び
図3aによる実施例では、分配プレート7の分配開口8は、それぞれ、同じ直径もしくは実質的に同じ直径を備える。
【0049】
分配プレート7の別の好ましい形成の範囲内で、分配プレートセット6の少なくとも1つの分配プレート7の分配開口8の一部の直径が、この分配プレート7の残りの分配開口8の直径とは異なることが好ましい。これは、
図3bに図示されている。これは、1つの実施形態によれば、紡糸ノズルプレート2の直上に配置された分配プレートセット6の最後の分配プレート7であり得る。その場合、合目的に及び
図3bによる実施例では、分配開口8は、丸く、特に円形に形成され、その場合、分配開口の直径は、特に、円形の分配開口の直径を意味する。
【0050】
加えて、
図3bには、特に好ましくは分配プレート7の少なくとも一方の、特に両方のCD外領域16内の分配開口8の直径d1が、この分配プレートの中心の分配開口8の直径d2とは異なること、及び、特に及び実施例では、直径d1が直径d2よりも大きいこと、が認められる。この場合、分配プレート7のCD外領域16は、特に、CD方向に対して平行に、即ち分配幅もしくは紡糸幅にそって延在する分配プレート7の外領域を意味する。
【0051】
図1及び2に、上下に配置された隣接する分配プレート7の上下に配置された列の分配開口8が、分配幅Biに関連して互いに位置をずらして配置されていることが認められる。これに関連して、
図1,2及び3による実施例では、分配プレートセット6の分配プレート7が、特に紡糸幅Biにわたって延在する分配チャネル12を備え、各分配チャネル12が、列の分配開口8を互いに接続することが認められる。好ましい実施形態によれば及び
図1及び2による実施例では、少なくとも分配プレート7の大部分において分配チャネル12が、隣接する分配プレートに直接的に隣接する。換言すれば、この隣接する分配プレート7は、隣接する分配チャネル12の壁を構成する。この分配チャネル12は、合目的に及び実施例では、列内に配置された隣接する分配プレート7の分配開口8を接続する。その結果、
図1及び2による好ましい実施形態において、分配プレート7の分配開口8及び分配チャネル12が、互いに接続されていること、が達成される。分配プレートセット6もしくは分配プレート7の下流には、最終紡糸幅Beにわたって分配された、紡糸ノズル開口3を付設した紡糸ノズルチャネル9を備える交換可能な紡糸ノズルプレート2が配置されている。
図4は、紡糸ノズルチャネル及び紡糸ノズル開口3を有する紡糸ノズルプレート2を示す。最終紡糸幅Beに対して横、特に機械方向(MD)に、紡糸ノズルチャネル9もしくは紡糸ノズル開口3の複数の列が、相並んで配置されている。本発明の範囲内で、分配開口8は、分配チャネル12と共に、好ましくは分配プレートセット6を経るプラスチック溶融物の流路を構成する。合目的に、紡糸ノズルプレート2の各紡糸ノズルチャネル9もしくは各紡糸ノズル開口3には、従って特にまた生成された各フィラメントには、分配開口8及び分配チャネル12から成る流路が対応付けられている。
【0052】
合目的に及び実施例では、分配プレートセット6に付設されたフィルタプレート5の出口表面10と、分配プレートセット6に付設された紡糸ノズルプレート2の入口表面11は、機械方向(MD)の広がり全体もしくは実質的に全体にわたって隆起させてもしくはクラウニングされて形成されている。これは、特に、
図5の図に認められる。
図5には、フィルタプレート5のホールチャネル、分配プレート7の分配開口及び分配チャネル、及び、紡糸ノズルプレート2の紡糸ノズルチャネル及び紡糸ノズル開口が、詳細に図示されてはいない。好ましくは及び
図5による実施例では、フィルタプレート5の出口表面10及び紡糸ノズルプレート2の入口表面11が、隆起させてもしくはクラウニングされて研削されている。従って、出口表面10及び入口表面11は、平らでなく、R付けされてもしくは分配プレートセット6の方向にR付けされて形成されている。合目的に及び実施例では、分配プレートセット6の方向に整向された、フィルタプレート5の出口表面10及び紡糸ノズルプレート2の入口表面の凸の隆起もしくはクラウニングが得られる。これにより、分配プレートセット6の分配プレート7の付加的な固定作用が、特に、機械方向(MD)に対して中央の部分もしくは中心部分において実現される。その他、機械方向(MD)は、本発明の範囲内では、特に、フィラメントもしくはフィラメントから生成されるフリースウェブのための搬送装置の搬送方向を、従って紡糸幅もしくは分配幅に対して横の方向を、意味する。従って、本発明の範囲内及び実施例では、フィルタプレート5もしくは紡糸ノズルプレート2の隆起もしくはクラウニングは、機械方向(MD)のフィルタプレートの出口表面10及びフィルタプレートの入口表面11の広がり全体にわたって実現されている。全く特に好ましくは及び実施例では、隆起させてもしくはクラウニングされて形成されたフィルタプレート5の出口表面10及び紡糸ノズルプレート2の入口表面11の曲率半径Rは、機械方向(MD)の広がり全体にわたって一定もしくは実質的に一定である。図による実施例では、曲率半径Rは、17000mm~19000mmとし得る。
【0053】
図1による装置1の動作状態で、分配装置4もしくはフィルタプレート5の下流には、複数の交換可能な分配プレート7から成る分配プレートセット6が配置されている。個々の分配プレート7の分配開口8によってそれぞれ構成される分配幅Biは、合目的に及び
図1による実施例では、フィルタプレート5から紡糸ノズルプレート2に向かって増加する。このようにして、暫定紡糸幅Bvは、最終紡糸幅Beに拡大もしくは増大される。即ち、分配幅Biは、分配プレート7から分配プレート7へと紡糸ノズルプレート2に向かって増加する。
図2による装置の動作状態で、分配装置4もしくはフィルタプレート5の下流にも、複数の交換可能な分配プレート7から成る分配プレートセット6が配置されている。合目的に及び
図2による実施例では、個々の分配プレート7の分配開口8によってそれぞれ構成される分配幅Biは、フィルタプレート5から紡糸ノズルプレート2に向かって減少する。このようにして、暫定紡糸幅Bvは、最終紡糸幅Beに縮小される。即ち、ここでは、分配幅Biが、分配プレート7から分配プレート7へと紡糸ノズルプレート2に向かって減少する。その他、本発明の範囲内では、分配プレートセット6の全ての分配プレート7が、分配チャネル12を備えるものではないことも可能である。図に詳細には図示してない実施形態によれば、紡糸ノズルプレート2に付設された分配プレートセット6の下の分配プレート7が、分配チャネル12を備えないこと、及び、最終分配幅Beが、この分配プレート7の上で既に達成されること、が可能である。
【0054】
本発明の好ましい実施形態によれば、最終紡糸幅Beは、少なくとも1600mm、特に少なくとも1800mmである。図による実施例では、最終紡糸幅Beは、少なくとも2000mmとし得る。暫定紡糸幅Bvと最終紡糸幅Beの比(Bv:Be)が、暫定紡糸幅を縮小する場合は1.02~1.3であり、暫定紡糸幅Bvを拡大する場合は0.8~0.97であるが、有用性を実証されている。暫定紡糸幅Bvが拡大される
図1による実施例では、比Bv:Beは、0.85~0.95とし得る。暫定紡糸幅Bvが縮小される
図2による実施例では、比Bv:Beは、1.05~1.15とし得る。
【外国語明細書】