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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024008964
(43)【公開日】2024-01-19
(54)【発明の名称】併用療法のための患者の選択
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/53 20060101AFI20240112BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240112BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240112BHJP
   A61P 35/04 20060101ALI20240112BHJP
   A61K 45/06 20060101ALI20240112BHJP
   A61K 31/4406 20060101ALI20240112BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20240112BHJP
【FI】
G01N33/53 Y
A61P43/00 121
A61P35/00
A61P35/04
A61K45/06
A61K31/4406
A61K39/395 T
A61P43/00 111
A61K39/395 U
【審査請求】有
【請求項の数】47
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023183526
(22)【出願日】2023-10-25
(62)【分割の表示】P 2020562625の分割
【原出願日】2019-05-07
(31)【優先権主張番号】62/668,055
(32)【優先日】2018-05-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】318007502
【氏名又は名称】シンダックス ファーマシューティカルズ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100150810
【弁理士】
【氏名又は名称】武居 良太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100166165
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 英直
(72)【発明者】
【氏名】ピーター オーデントリッヒ
(72)【発明者】
【氏名】レイ ワン
(72)【発明者】
【氏名】セラプ サンコー
(72)【発明者】
【氏名】マイケル マイヤーズ
(57)【要約】
【課題】 本明細書では、HDAC阻害剤と第二の治療薬とを含む併用療法で治療するために癌患者を選択する方法について記載する。
【解決手段】特に、HDAC阻害剤併用療法の状況における治療指標として、CD14陽性、HLA-DR-高値および/またはCD16陰性である非癌性細胞型の検査のための方法を提供する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
HDAC阻害剤と第二の治療薬を含む併用療法のために患者を選択する方法であって、以下の:
癌と診断された該患者から得られた末梢血サンプルを準備し;
該末梢血サンプル中のCD14陽性、HLA-DR-高値、および/またはCD16陰性である細胞の数を計測し;
該末梢血サンプル中の全末梢血単核細胞の数を計測し;そして、
全末梢血単核細胞に対するCD14陽性、HLA-DR-高値、および/またはCD16陰性細胞のパーセンテージが所定のパーセンテージより大きい場合、併用療法を投与すること、を含む方法。
【請求項2】
患者の癌について予後診断を提供する方法であって、以下の:
癌と診断された該患者からの末梢血サンプルを準備し;
該末梢血サンプル中のCD14陽性、HLA-DR-高値、および/またはCD16陰性である細胞の数を計測し;
該末梢血サンプル中の全末梢血単核細胞の数を計測すること、
を含み、さらに、以下の:
全末梢血単核細胞に対するCD14陽性、HLA-DR-高値、および/またはCD16陰性細胞のパーセンテージが所定のパーセンテージより大きい場合、HDAC阻害剤と第二の治療薬を含む併用療法を該患者に投与すること、
を含む、方法。
【請求項3】
前記患者が、抗PD-1抗体、抗PD-L1抗体、CTLA4遮断抗体、またはそのいずれかの組み合わせを用いた事前の治療法中に悪化した、請求項1~2に記載の方法。
【請求項4】
前記患者が以前に、少なくとも1つの事前の治療法に対して無反応であると見なされた、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
末梢血サンプル中の、CD14陽性、かつ、HLA-DR-高値であるか、CD14陽性、かつ、CD16陰性であるか、またはHLA-DR-高値、かつ、CD16陰性である細胞の数を計測することを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
末梢血サンプル中の、CD14陽性、HLA-DR-高値およびCD16陰性である細胞の数を計測することを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記末梢血サンプルが、抗凝血物質で処理される、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記抗凝血物質が、EDTAまたはヘパリンである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記所定のパーセンテージが、少なくとも約5%である、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記所定のパーセンテージが、少なくとも約10%である、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記所定のパーセンテージが、少なくとも約15%である、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記所定のパーセンテージが、少なくとも約20%である、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記所定のパーセンテージが、少なくとも約25%である、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記所定のパーセンテージが、少なくとも約30%である、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記所定のパーセンテージが、少なくとも約35%である、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記所定のパーセンテージが、少なくとも約40%である、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記所定のパーセンテージが、少なくとも約45%である、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記所定のパーセンテージが、少なくとも約50%である、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記HDAC阻害剤が、エンチノスタットである、請求項1~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記エンチノスタットが、経口投与される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記エンチノスタットが、最初に投与される、請求項19~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記エンチノスタットが、毎週投与される、請求項19~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記エンチノスタットが、2週間毎に投与される、請求項19~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記エンチノスタットが、3mgの用量にて、処置サイクルの間、1週間毎に1回投与される、請求項19~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記エンチノスタットが、5mgの用量にて、処置サイクルの間、1週間毎に1回投与される、請求項19~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記エンチノスタットが、5mgの用量にて投与される、請求項19に記載の方法。
【請求項27】
前記第二の治療薬が、抗PD-1抗体、抗PD-L1抗体、CTLA4遮断抗体、またはその組み合わせである、請求項1~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記第二の治療薬が、抗PD-1抗体である、請求項1~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記抗PD-1抗体が、ペムブロリズマブである、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記抗PD-1抗体が、ニボルマブである、請求項28に記載の方法。
【請求項31】
前記第二の治療薬が、抗PD-L1抗体である、請求項1~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記抗PD-L1抗体が、MPDL3280Aである、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記抗PD-L1抗体が、アベルマブである、請求項31に記載の方法。
【請求項34】
前記第二の治療薬が、CTLA4遮断抗体である、請求項1~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記癌が、肺癌である、請求項1~34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記肺癌が、非小細胞肺癌、扁平上皮癌、または大細胞癌である、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記癌が、メラノーマである、請求項1~34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記メラノーマが、転移性メラノーマである、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記癌が、乳癌である、請求項1~34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
前記乳癌が、三重陰性乳癌である、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記乳癌が、ホルモン受容体陽性乳癌である、請求項39に記載の方法。
【請求項42】
前記癌が、卵巣癌である、請求項1~34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
エンチノスタットと第二の治療薬が、いずれかの順番で連続して、または同時に投与される、請求項1~42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
前記抗PD-1抗体、抗PD-L1抗体またはCTLA4遮断抗体が、輸液により投与される、請求項27に記載の方法。
【請求項45】
前記患者が、事前の治療法を少なくとも1ラウンド受けている、請求項1~44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
前記患者が、事前の治療法を少なくとも3ラウンド受けている、請求項1~44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
エンチノスタットと第二の治療薬とを含む併用療法のために患者を選択する方法であって、以下の:
癌と診断された該患者から得られた末梢血サンプルを準備し;
該末梢血サンプル中のCD14陽性、HLA-DR-高値、および/またはCD16陰性である細胞の数を計測し;
該末梢血サンプル中の全末梢血単核細胞の数を計測し;そして、
全末梢血単核細胞に対するCD14陽性、HLA-DR-高値、および/またはCD16陰性細胞のパーセンテージが所定のパーセンテージより大きい場合、併用療法を投与すること、を含む方法。
【請求項48】
患者の癌について予後診断を提供する方法であって、以下の:
癌と診断された該患者からの末梢血サンプルを準備し;
該末梢血サンプル中のCD14陽性、HLA-DR-高値、および/またはCD16陰性である細胞の数を計測し;
該末梢血サンプル中の全末梢血単核細胞の数を計測すること、
を含み、さらに、以下の:
全末梢血単核細胞に対するCD14陽性、HLA-DR-高値、および/またはCD16陰性細胞のパーセンテージが所定のパーセンテージより大きい場合、エンチノスタットと第二の治療薬とを含む併用療法を該患者に投与すること、
を含む、方法。
【請求項49】
エンチノスタットと第二の治療薬とを含む併用療法のために患者を選択する方法であって、以下の:
非小細胞肺癌および/またはメラノーマと診断され、かつ、事前のPD-1もしくはPD-L1治療法中に悪化し、および/または事前のPD-1またはPD-L1治療法に対して無反応であると見なされた該患者からの末梢血サンプルを準備し;
該末梢血サンプル中のCD14陽性、HLA-DR-高値、および/またはCD16陰性である細胞の数を計測し;
該末梢血サンプル中の全末梢血単核細胞の数を計測し;そして、
全末梢血単核細胞に対するCD14陽性、HLA-DR-高値、および/またはCD16陰性細胞のパーセンテージが所定のパーセンテージより大きい場合、併用療法を投与すること、を含む方法。
【請求項50】
患者の癌について予後診断を提供する方法であって、以下の:
非小細胞肺癌および/またはメラノーマと診断され、かつ、事前のPD-1もしくはPD-L1治療法中に悪化し、および/または事前のPD-1またはPD-L1治療法に対して無反応であると見なされた該患者からの末梢血サンプルを準備し;
該末梢血サンプル中のCD14陽性、HLA-DR-高値、および/またはCD16陰性である細胞の数を計測し;
該末梢血サンプル中の全末梢血単核細胞の数を計測すること、
を含み、さらに、以下の:
全末梢血単核細胞に対するCD14陽性、HLA-DR-高値、および/またはCD16陰性細胞のパーセンテージが所定のパーセンテージより大きい場合、エンチノスタットと第二の治療薬とを含む併用療法を該患者に投与すること、
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2018年5月7日に出願された米国特許仮出願番号第62/668,055号の利益および優先権を主張するものであり、その仮出願の内容を全体として参照により本明細書に援用する。
【0002】
参照による援用
本願明細書に記載のすべての公開公報、特許、および特許出願を、それぞれの個々の公開公報、特許、または特許出願が参照によって援用されるように具体的かつ個別に示されたのと同じ程度まで参照によって本明細書中に援用される。
【背景技術】
【0003】
背景
癌、腫瘍、腫瘍関連障害、および腫瘍性疾患の状態は重篤であり、また多くの場合、生命を脅かす状態である。これらの疾患および障害は、急速増殖性の細胞増殖により特徴付けられ、その処置に有効である治療薬の同定に向けられた研究努力の対象としてなおも存続している。そのような薬剤は、患者の生存を延ばし、新生物と関連した急速増殖性の細胞増殖を阻害するか、または新生物の退縮をもたらす。
【0004】
HDAC阻害剤(HDACi)は、クロマチンリモデリングおよび遺伝子発現調節を通じて、血液学的悪性疾患および固形悪性疾患における分化およびアポトーシスを促進する新興のクラスの治療薬である。HDACiの抗腫瘍効果は研究されてきたが、癌患者の全身性免疫に対するHDACiの影響は不明確なままである。
【0005】
例えば、非小細胞肺癌、メラノーマなどの多様な適応症において癌免疫療法が必要とされている。したがって、当該技術分野には、単独で、またはこれらの疾患や状態を処置するのに使用される他の治療法と共に、有効な化合物、組成物、および癌の処置に有用な方法に対して大きな需要が存在している。本発明はこの需要を満たすことに向けられる。
【0006】
概要
一実施形態において、HDAC阻害剤と第二の治療薬を含む併用療法のために患者を選択する方法であって、以下の:癌と診断された該患者からの末梢血サンプルを準備し;該末梢血サンプル中のCD14陽性、HLA-DR-高値、および/またはCD16陰性の細胞の数を計測し;該末梢血サンプル中の全末梢血単核細胞の数を計測し;そして、全生存末梢血単核細胞に対するCD14陽性、HLA-DR-高値、および/またはCD16陰性細胞のパーセンテージが所定のパーセンテージより大きい場合、併用療法を投与すること、を含む方法、それ自体を本明細書で提供する。
【0007】
一実施形態において、HDAC阻害剤と第二の治療薬を含む併用療法のために患者を選択する方法であって、以下の:癌、例えば、非小細胞肺癌および/またはメラノーマと診断された該患者からの末梢血サンプルを準備し;該末梢血サンプル中のCD14陽性、HLA-DR-高値、および/またはCD16陰性の細胞の数を計測し;該末梢血サンプル中の全末梢血単核細胞の数を計測し;そして、全生存末梢血単核細胞に対するCD14陽性、HLA-DR-高値、および/またはCD16陰性細胞のパーセンテージが所定のパーセンテージより大きい場合、併用療法を投与すること、を含む方法、それ自体を本明細書で提供する。
【0008】
一実施形態において、HDAC阻害剤と第二の治療薬を含む併用療法のために患者を選択する方法であって、以下の:癌と診断され、かつ、事前の治療法中に悪化し、および/または事前の治療法に対して無反応であると見なされた該患者からの末梢血サンプルを準備し;該末梢血サンプル中のCD14陽性、HLA-DR-高値、および/またはCD16陰性の細胞の数を計測し;該末梢血サンプル中の全末梢血単核細胞の数を計測し;そして、全生存末梢血単核細胞に対するCD14陽性、HLA-DR-高値、および/またはCD16陰性細胞のパーセンテージが所定のパーセンテージより大きい場合、併用療法を投与すること、を含む方法、それ自体を本明細書で提供する。
【0009】
一実施形態において、HDAC阻害剤と第二の治療薬を含む併用療法のために患者を選択する方法であって、以下の:癌、例えば、非小細胞肺癌および/またはメラノーマと診断され、かつ、事前の治療法中に悪化し、および/または事前の治療法に対して無反応であると見なされた該患者からの末梢血サンプルを準備し;該末梢血サンプル中のCD14陽性、HLA-DR-高値、および/またはCD16陰性の細胞の数を計測し;該末梢血サンプル中の全末梢血単核細胞の数を計測し;そして、全生存末梢血単核細胞に対するCD14陽性、HLA-DR-高値、および/またはCD16陰性細胞のパーセンテージが所定のパーセンテージより大きい場合、併用療法を投与すること、を含む方法、それ自体を本明細書で提供する。
【0010】
一実施形態において、患者の癌について予後診断を提供する方法であって、以下の:癌と診断された該患者からの末梢血サンプルを準備し;該末梢血サンプル中のCD14陽性、HLA-DR-高値、および/またはCD16陰性の細胞の数を計測し;該末梢血サンプル中の全末梢血単核細胞の数を計測し;そして、全生存末梢血単核細胞に対するCD14陽性、HLA-DR-高値、および/またはCD16陰性細胞のパーセンテージが所定のパーセンテージより大きい場合、併用療法を投与すること、を含む方法、それ自体を本明細書で提供する。
【0011】
一実施形態において、患者の癌について予後診断を提供する方法であって、以下の:癌、例えば、非小細胞肺癌および/またはメラノーマと診断された該患者からの末梢血サンプルを準備し;該末梢血サンプル中のCD14陽性、HLA-DR-高値、および/またはCD16陰性の細胞の数を計測し;該末梢血サンプル中の全末梢血単核細胞の数を計測し;そして、全生存末梢血単核細胞に対するCD14陽性、HLA-DR-高値、および/またはCD16陰性細胞のパーセンテージが所定のパーセンテージより大きい場合、併用療法を投与すること、を含む方法、それ自体を本明細書で提供する。
【0012】
一実施形態において、患者の癌について予後診断を提供する方法であって、以下の:癌と診断され、かつ、事前の治療法中に悪化し、および/または事前の治療法に対して無反応であると見なされた該患者からの末梢血サンプルを準備し;該末梢血サンプル中のCD14陽性、HLA-DR-高値、および/またはCD16陰性の細胞の数を計測し;該末梢血サンプル中の全末梢血単核細胞の数を計測し;そして、全生存末梢血単核細胞に対するCD14陽性、HLA-DR-高値、および/またはCD16陰性細胞のパーセンテージが所定のパーセンテージより大きい場合、併用療法を投与すること、を含む方法、それ自体を本明細書で提供する。
【0013】
一実施形態において、患者の癌について予後診断を提供する方法であって、以下の:非小細胞肺癌および/またはメラノーマと診断され、かつ、事前の治療法中に悪化し、および/または事前の治療法に対して無反応であると見なされた該患者からの末梢血サンプルを準備し;該末梢血サンプル中のCD14陽性、HLA-DR-高値、および/またはCD16陰性の細胞の数を計測し;該末梢血サンプル中の全末梢血単核細胞の数を計測し;そして、全生存末梢血単核細胞に対するCD14陽性、HLA-DR-高値、および/またはCD16陰性細胞のパーセンテージが所定のパーセンテージより大きい場合、併用療法を投与すること、を含む方法、それ自体を本明細書で提供する。
【0014】
一実施形態において、HDAC阻害剤と第二の治療薬を含む併用療法のために患者を選択する方法であって、以下の:癌と診断された該患者からの末梢血サンプルを準備し;該末梢血サンプル中のCD14陽性、HLA-DR-高値、および/またはCD16陰性の細胞の数を計測し;該末梢血サンプル中の全末梢血単核細胞の数を計測し;そして、生存末梢血単核細胞に対するCD14陽性、HLA-DR-高値、および/またはCD16陰性細胞のパーセンテージがおよそ少なくとも5%より大きい、例えば、およそ少なくとも20%などの場合、併用療法を投与すること、を含む方法、それ自体を本明細書で提供する。
【0015】
一実施形態において、HDAC阻害剤と第二の治療薬を含む併用療法のために患者を選択する方法であって、以下の:癌、例えば、非小細胞肺癌および/またはメラノーマと診断された該患者からの末梢血サンプルを準備し;該末梢血サンプル中のCD14陽性、HLA-DR-高値、および/またはCD16陰性の細胞の数を計測し;該末梢血サンプル中の全末梢血単核細胞の数を計測し;そして、生存末梢血単核細胞に対するCD14陽性、HLA-DR-高値、および/またはCD16陰性細胞のパーセンテージがおよそ少なくとも5%より大きい、例えば、およそ少なくとも20%などの場合、併用療法を投与すること、を含む方法、それ自体を本明細書で提供する。
【0016】
一実施形態において、HDAC阻害剤と第二の治療薬を含む併用療法のために患者を選択する方法であって、以下の:癌と診断され、かつ、事前の治療法中に悪化し、および/または事前の治療法に対して無反応であると見なされた該患者からの末梢血サンプルを準備し;該末梢血サンプル中のCD14陽性、HLA-DR-高値、および/またはCD16陰性の細胞の数を計測し;該末梢血サンプル中の全末梢血単核細胞の数を計測し;そして、生存末梢血単核細胞に対するCD14陽性、HLA-DR-高値、および/またはCD16陰性細胞のパーセンテージがおよそ少なくとも5%より大きい、例えば、およそ少なくとも20%などの場合、併用療法を投与すること、を含む方法、それ自体を本明細書で提供する。
【0017】
一実施形態において、HDAC阻害剤と第二の治療薬を含む併用療法のために患者を選択する方法であって、以下の:癌、例えば、非小細胞肺癌および/またはメラノーマと診断され、かつ、事前の治療法中に悪化し、および/または事前の治療法に対して無反応であると見なされた該患者からの末梢血サンプルを準備し;該末梢血サンプル中のCD14陽性、HLA-DR-高値、および/またはCD16陰性の細胞の数を計測し;該末梢血サンプル中の全末梢血単核細胞の数を計測し;そして、生存末梢血単核細胞に対するCD14陽性、HLA-DR-高値、および/またはCD16陰性細胞のパーセンテージがおよそ少なくとも5%より大きい、例えば、およそ少なくとも20%などの場合、併用療法を投与すること、を含む方法、それ自体を本明細書で提供する。
【0018】
一実施形態において、患者の癌について予後診断を提供する方法であって、以下の:癌と診断された該患者からの末梢血サンプルを準備し;該末梢血サンプル中のCD14陽性、HLA-DR-高値、および/またはCD16陰性の細胞の数を計測し;該末梢血サンプル中の全末梢血単核細胞の数を計測し;そして、全生存末梢血単核細胞に対するCD14陽性、HLA-DR-高値、および/またはCD16陰性細胞のパーセンテージがおよそ少なくとも5%より大きい、例えば、およそ少なくとも20%などの場合、併用療法を投与すること、を含む方法、それ自体を本明細書で提供する。
【0019】
一実施形態において、患者の癌について予後診断を提供する方法であって、以下の:癌と診断され、癌、例えば、非小細胞肺癌および/またはメラノーマと診断された該患者からの末梢血サンプルを準備し;該末梢血サンプル中のCD14陽性、HLA-DR-高値、および/またはCD16陰性の細胞の数を計測し;該末梢血サンプル中の全末梢血単核細胞の数を計測し;そして、全生存末梢血単核細胞に対するCD14陽性、HLA-DR-高値、および/またはCD16陰性細胞のパーセンテージがおよそ少なくとも5%より大きい、例えば、およそ少なくとも20%などの場合、併用療法を投与すること、を含む方法、それ自体を本明細書で提供する。
【0020】
一実施形態において、患者の癌について予後診断を提供する方法であって、以下の:癌と診断され、および/または事前の治療法中に悪化し、および/または事前の治療法に対して無反応であると見なされた該患者からの末梢血サンプルを準備し;該末梢血サンプル中のCD14陽性、HLA-DR-高値、および/またはCD16陰性の細胞の数を計測し;該末梢血サンプル中の全末梢血単核細胞の数を計測し;そして、全生存末梢血単核細胞に対するCD14陽性、HLA-DR-高値、および/またはCD16陰性細胞のパーセンテージがおよそ少なくとも5%より大きい、例えば、およそ少なくとも20%などの場合、併用療法を投与すること、を含む方法、それ自体を本明細書で提供する。
【0021】
一実施形態において、患者の癌について予後診断を提供する方法であって、以下の:癌、例えば、非小細胞肺癌および/またはメラノーマと診断され、かつ、事前の治療法中に悪化し、および/または事前の治療法に対して無反応であると見なされた該患者からの末梢血サンプルを準備し;該末梢血サンプル中のCD14陽性、HLA-DR-高値、および/またはCD16陰性の細胞の数を計測し;該末梢血サンプル中の全末梢血単核細胞の数を計測し;そして、全生存末梢血単核細胞に対するCD14陽性、HLA-DR-高値、および/またはCD16陰性細胞のパーセンテージがおよそ少なくとも5%より大きい、例えば、およそ少なくとも20%などの場合、併用療法を投与すること、を含む方法、それ自体を本明細書で提供する。
【0022】
一実施形態において、エンチノスタットと第二の治療薬を含む併用療法のために患者を選択する方法であって、以下の:癌と診断された該患者からの末梢血サンプルを準備し;該末梢血サンプル中のCD14陽性、HLA-DR-高値、および/またはCD16陰性の細胞の数を計測し;該末梢血サンプル中の全末梢血単核細胞の数を計測し;そして、生存末梢血単核細胞に対するCD14陽性、HLA-DR-高値、および/またはCD16陰性細胞のパーセンテージがおよそ少なくとも5%より大きい、例えば、およそ少なくとも20%などの場合、併用療法を投与すること、を含む方法、それ自体を本明細書で提供する。
【0023】
一実施形態において、エンチノスタットと第二の治療薬を含む併用療法のために患者を選択する方法であって、以下の:癌、例えば、非小細胞肺癌および/またはメラノーマと診断された該患者からの末梢血サンプルを準備し;該末梢血サンプル中のCD14陽性、HLA-DR-高値、および/またはCD16陰性の細胞の数を計測し;該末梢血サンプル中の全末梢血単核細胞の数を計測し;そして、生存末梢血単核細胞に対するCD14陽性、HLA-DR-高値、および/またはCD16陰性細胞のパーセンテージがおよそ少なくとも5%より大きい、例えば、およそ少なくとも20%などの場合、併用療法を投与すること、を含む方法、それ自体を本明細書で提供する。
【0024】
一実施形態において、エンチノスタットと第二の治療薬を含む併用療法のために患者を選択する方法であって、以下の:癌と診断され、かつ、事前の治療法中に悪化し、および/または事前の治療法に対して無反応であると見なされた該患者からの末梢血サンプルを準備し;該末梢血サンプル中のCD14陽性、HLA-DR-高値、および/またはCD16陰性の細胞の数を計測し;該末梢血サンプル中の全末梢血単核細胞の数を計測し;そして、生存末梢血単核細胞に対するCD14陽性、HLA-DR-高値、および/またはCD16陰性細胞のパーセンテージがおよそ少なくとも5%より大きい、例えば、およそ少なくとも20%などの場合、併用療法を投与すること、を含む方法、それ自体を本明細書で提供する。
【0025】
一実施形態において、エンチノスタットと第二の治療薬を含む併用療法のために患者を選択する方法であって、以下の:癌、例えば、非小細胞肺癌および/またはメラノーマと診断され、かつ、事前の治療法中に悪化し、および/または事前の治療法に対して無反応であると見なされた該患者からの末梢血サンプルを準備し;該末梢血サンプル中のCD14陽性、HLA-DR-高値、および/またはCD16陰性の細胞の数を計測し;該末梢血サンプル中の全末梢血単核細胞の数を計測し;そして、生存末梢血単核細胞に対するCD14陽性、HLA-DR-高値、および/またはCD16陰性細胞のパーセンテージがおよそ少なくとも5%より大きい、例えば、およそ少なくとも20%などの場合、併用療法を投与すること、を含む方法、それ自体を本明細書で提供する。
【0026】
一実施形態において、エンチノスタットと抗PD-1抗体を含む併用療法のために患者を選択する方法であって、以下の:癌と診断された該患者からの末梢血サンプルを準備し;該末梢血サンプル中のCD14陽性、HLA-DR-高値、および/またはCD16陰性の細胞の数を計測し;該末梢血サンプル中の全末梢血単核細胞の数を計測し;そして、生存末梢血単核細胞に対するCD14陽性、HLA-DR-高値、および/またはCD16陰性細胞のパーセンテージがおよそ少なくとも5%より大きい、例えば、およそ少なくとも20%などの場合、併用療法を投与すること、を含む方法、それ自体を本明細書で提供する。
【0027】
一実施形態において、エンチノスタットと抗PD-1抗体を含む併用療法のために患者を選択する方法であって、以下の:癌、例えば、非小細胞肺癌および/またはメラノーマと診断された該患者からの末梢血サンプルを準備し;該末梢血サンプル中のCD14陽性、HLA-DR-高値、および/またはCD16陰性の細胞の数を計測し;該末梢血サンプル中の全末梢血単核細胞の数を計測し;そして、生存末梢血単核細胞に対するCD14陽性、HLA-DR-高値、および/またはCD16陰性細胞のパーセンテージがおよそ少なくとも5%より大きい、例えば、およそ少なくとも20%などの場合、併用療法を投与すること、を含む方法、それ自体を本明細書で提供する。
【0028】
一実施形態において、エンチノスタットと抗PD-1抗体を含む併用療法のために患者を選択する方法であって、以下の:癌と診断され、かつ、事前の治療法中に悪化し、および/または事前の治療法に対して無反応であると見なされた該患者からの末梢血サンプルを準備し;該末梢血サンプル中のCD14陽性、HLA-DR-高値、および/またはCD16陰性の細胞の数を計測し;該末梢血サンプル中の全末梢血単核細胞の数を計測し;そして、生存末梢血単核細胞に対するCD14陽性、HLA-DR-高値、および/またはCD16陰性細胞のパーセンテージがおよそ少なくとも5%より大きい、例えば、およそ少なくとも20%などの場合、併用療法を投与すること、を含む方法、それ自体を本明細書で提供する。
【0029】
一実施形態において、エンチノスタットと抗PD-1抗体を含む併用療法のために患者を選択する方法であって、以下の:癌、例えば、非小細胞肺癌および/またはメラノーマと診断され、かつ、事前の治療法中に悪化し、および/または事前の治療法に対して無反応であると見なされた該患者からの末梢血サンプルを準備し;該末梢血サンプル中のCD14陽性、HLA-DR-高値、および/またはCD16陰性の細胞の数を計測し;該末梢血サンプル中の全末梢血単核細胞の数を計測し;そして、生存末梢血単核細胞に対するCD14陽性、HLA-DR-高値、および/またはCD16陰性細胞のパーセンテージがおよそ少なくとも5%より大きい、例えば、およそ少なくとも20%などの場合、併用療法を投与すること、を含む方法、それ自体を本明細書で提供する。
【0030】
いくつかの実施形態において、抗PD-1抗体、抗PD-L1および/またはCTLA4遮断治療薬、ならびにHDAC阻害剤は、癌を処置するために短期間のうちに(in temporal proximity)投与する。いくつかの実施形態において、本開示は、抗PD-1抗体、抗PD-L1および/またはCTLA4遮断治療薬、ならびにHDAC阻害剤の相乗的組成物を提供し、ここで、該抗PD-1抗体、抗PD-L1抗体および/またはCTLA4遮断治療薬、ならびにHDAC阻害剤は、人体内(例えば、人体内のみ)で互いに接触する。
【0031】
いくつかの実施形態において、本開示は、抗PD-1抗体、抗PD-L1および/またはCTLA4遮断治療薬、ならびにHDAC阻害剤を、ある場所にて互いに接触させることによって組成物を調製する方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1図1は、3つのカテゴリ:健常ドナー(HD)、併用療法に応答するNSCLC患者(応答者)、および併用療法に応答しないNSCLC患者(非応答者)のうちの1つにグループ分けした、事前処置ドナーから得られた血液サンプル中の全生存PBMCに対するCD14+HLA-DRHiCD16-単球細胞のパーセンテージを例示し、ベースライン、全末梢血単核細胞に対する事前処置CD14+HLA-DRHiCD16細胞のパーセンテージに関して予測および予後診断的有意性を示す。
【0033】
図2図2は、3つのカテゴリ:(1)健常ドナー(HD)、(2)≧16週間の処置継続期間(TOT)を用いた患者と組み合わせた併用療法に対して客観的な応答(完全寛解(CR)や部分寛解(PR))を有するNSCLC患者、および(3)<16週間の処置継続期間を用いた患者と組み合わせた進行性疾患(PD)のうちの1つにグループ分けした、事前処置ドナーから得られた血液サンプル中の全生存PBMCに対するCD14+HLA-DRHiCD16-単球細胞のパーセンテージを例示し、ベースライン、全末梢血単核細胞に対する事前処置CD14+HLA-DRHiCD16細胞のパーセンテージに関して予測および予後診断的有意性を示す。
【0034】
図3図2は、3つのカテゴリ:(1)健常ドナー(HD)、(2)≧24週間の処置継続期間(TOT)を用いた患者と組み合わせた併用療法に対して客観的な応答(完全寛解(CR)や部分寛解(PR))を有するNSCLC患者、および(3)<24週間の処置継続期間を用いた患者と組み合わせた進行性疾患(PD)のうちの1つにグループ分けした、事前処置ドナーから得られた血液サンプル中の全生存PBMCに対するCD14+HLA-DRHiCD16-単球細胞のパーセンテージを例示し、ベースライン、全末梢血単核細胞に対する事前処置CD14+HLA-DRHiCD16細胞のパーセンテージに関して予測および予後診断的有意性を示す。
【0035】
図4図4は、特定の時間間隔にて無増悪(無増悪生存(PFS))を維持したNSCLC患者のパーセンテージを例示する。患者は、全末梢血単核細胞の13.1%の計算された単球パーセンテージの中間点を上回った/それと等しかったまたはそれを下回った、全末梢血単核細胞に対するそれらのベースラインCD14+HLA-DRHiCD16-単球細胞パーセンテージに従ってグループ分けされた。
【0036】
図5図5は、3つのカテゴリ:健常ドナー(HD)、併用療法に応答するメラノーマ患者(C1D1応答者)、および併用療法に応答しないメラノーマ患者(C1D1非応答者)のうちの1つにグループ分けした、処置の第一のサイクル(C1D1)の初日にドナーから得られた血液サンプル中の全生存PBMCに対するCD14+HLA-DRHiCD16-単球細胞パーセンテージを例示し、ベースライン、全末梢血単核細胞に対する事前処置CD14+HLA-DRHiCD16細胞のパーセンテージに関して予測および予後診断的有意性を示す。
【0037】
図6図6は、特定の時間間隔にて無増悪(無増悪生存(PFS))を維持したNSCLC患者のパーセンテージを例示する。患者は、全生存末梢血単核細胞の9%の計算された単球パーセンテージの中間点を上回る/それに等しいまたはそれを下回るまで低下した全末梢血単核細胞に対するそれらのベースラインCD14+HLA-DRHiCD16-単球細胞パーセンテージに従ってグループ分けされた。データは、ベースラインにてhihレベルの単球を有する患者が併用療法から有意により長いPFSの利益を経験することを示す。
【0038】
図7図7は、3つのカテゴリ:(1)健常ドナー、(2)併用療法に応答するNSCLC患者、および(3)非応答者のうちの1つにグループ分けした、事前処置ドナーから得られた血液サンプル中の全生存PBMCに対するCD14+HLA-DRHiCD16-単球細胞のパーセンテージを例示し、ベースライン、全末梢血単核細胞に対する事前処置CD14+HLA-DRHiCD16細胞のパーセンテージに関して予測および予後診断的有意性を示す。
【0039】
図8図8は、高いベースライン単球を有する応答者はまた増強された持続性も経験することを示し、試験中に高い単球、低い単球、確認された部分寛解または疾患の安定があった患者を例示する。
【発明を実施するための形態】
【0040】
詳細な説明
併用療法について癌患者を選択する従来のアプローチは、組織学または分子分析に関する癌の評価に依拠する。本開示は、HDAC阻害剤と第二の治療薬との併用療法について患者を選択するための予測および予後診断バイオマーカーとしての、癌患者から得られた生体サンプル中のCD14陽性、HLA-DR-高値、および/またはCD16陰性である末梢血単核細胞のレベルに依拠する方法を提供する。
【0041】
一実施形態において、HDAC阻害剤と第二の治療薬を含む併用療法のために患者を選択する方法であって、以下の:癌と診断された該患者からの末梢血サンプルを得;該末梢血サンプル中のCD14陽性、HLA-DR-高値、および/またはCD16陰性の細胞の数を計測し;該末梢血サンプル中の全末梢血単核細胞の数を計測し;そして、CD14陽性、HLA-DR-高値、および/またはCD16陰性細胞のパーセンテージが5%~40%より大きい場合、併用療法を投与すること、を含む方法、それ自体を本明細書で提供する。
【0042】
一実施形態において、HDAC阻害剤と第二の治療薬を含む併用療法のために患者を選択する方法であって、以下の:癌と診断された該患者からの末梢血サンプルを得;該末梢血サンプル中のCD14陽性、HLA-DR-高値、および/またはCD16陰性の細胞の数を計測し;該末梢血サンプル中の全末梢血単核細胞の数を計測し;そして、CD14陽性、HLA-DR-高値、および/またはCD16陰性細胞のパーセンテージが5%より大きい場合、併用療法を投与すること、を含む方法、それ自体を本明細書で提供する。
【0043】
一実施形態において、HDAC阻害剤と第二の治療薬を含む併用療法のために患者を選択する方法であって、以下の:癌と診断された該患者からの末梢血サンプルを得;該末梢血サンプル中のCD14陽性、HLA-DR-高値、および/またはCD16陰性の細胞の数を計測し;該末梢血サンプル中の全末梢血単核細胞の数を計測し;そして、CD14陽性、HLA-DR-高値、および/またはCD16陰性細胞のパーセンテージが10%より大きい場合、併用療法を投与すること、を含む方法、それ自体を本明細書で提供する。
【0044】
一実施形態において、HDAC阻害剤と第二の治療薬を含む併用療法のために患者を選択する方法であって、以下の:癌と診断された該患者からの末梢血サンプルを得;該末梢血サンプル中のCD14陽性、HLA-DR-高値、および/またはCD16陰性の細胞の数を計測し;該末梢血サンプル中の全末梢血単核細胞の数を計測し;そして、CD14陽性、HLA-DR-高値、および/またはCD16陰性細胞のパーセンテージが15%より大きい場合、併用療法を投与すること、を含む方法、それ自体を本明細書で提供する。
【0045】
一実施形態において、HDAC阻害剤と第二の治療薬を含む併用療法のために患者を選択する方法であって、以下の:癌と診断された該患者からの末梢血サンプルを得;該末梢血サンプル中のCD14陽性、HLA-DR-高値、および/またはCD16陰性の細胞の数を計測し;該末梢血サンプル中の全末梢血単核細胞の数を計測し;そして、CD14陽性、HLA-DR-高値、および/またはCD16陰性細胞のパーセンテージが20%より大きい場合、併用療法を投与すること、を含む方法、それ自体を本明細書で提供する。
【0046】
一実施形態において、HDAC阻害剤と第二の治療薬を含む併用療法のために患者を選択する方法であって、以下の:癌と診断された該患者からの末梢血サンプルを得;該末梢血サンプル中のCD14陽性、HLA-DR-高値、および/またはCD16陰性の細胞の数を計測し;該末梢血サンプル中の全末梢血単核細胞の数を計測し;そして、CD14陽性、HLA-DR-高値、および/またはCD16陰性細胞のパーセンテージが約25%より大きい場合、併用療法を投与すること、を含む方法、それ自体を本明細書で提供する。
【0047】
一実施形態において、HDAC阻害剤と第二の治療薬を含む併用療法のために患者を選択する方法であって、以下の:癌と診断された該患者からの末梢血サンプルを得;該末梢血サンプル中のCD14陽性、HLA-DR-高値、および/またはCD16陰性の細胞の数を計測し;該末梢血サンプル中の全末梢血単核細胞の数を計測し;そして、CD14陽性、HLA-DR-高値、および/またはCD16陰性細胞のパーセンテージが約30%より大きい場合、併用療法を投与すること、を含む方法、それ自体を本明細書で提供する。
【0048】
いくつかの実施形態において、末梢血サンプルは抗凝血物質を用いて処理される。
【0049】
いくつかの実施形態において、癌と診断された患者は、事前に処置を受けていた。いくつかの実施形態において、癌と診断された患者は、事前に処置を受けており、かつ、悪化した。いくつかの実施形態において、癌と診断された患者は、事前に処置を受けており、かつ、無反応であることがわかった。いくつかの実施形態において、事前に受けた処置が、抗PD-1、抗PD-L1、およびCTLA4遮断処置から選択される。いくつかの実施形態において、癌と診断された患者は、処置を受けたことがなかった。
【0050】
いくつかの実施形態において、末梢血サンプル中の、CD14陽性、HLA-DR-高値、および/またはCD16陰性細胞である細胞の数の計測は、フローサイトメトリーによって実施される。いくつかの実施形態において、末梢血単核細胞集団は、細胞表面マーカーによって同定される。いくつかの実施形態において、全PBMCに対するCD14陽性、HLA-DR-高値、および/またはCD16陰性細胞のパーセンテージは、少なくとも約1%~100%である。いくつかの実施形態において、全PBMCに対するCD14陽性、HLA-DR-高値、および/またはCD16陰性細胞のパーセンテージは、少なくとも約5%~100%である。いくつかの実施形態において、全PBMCに対するCD14陽性、HLA-DR-高値、および/またはCD16陰性細胞のパーセンテージは、少なくとも約10%~100%である。いくつかの実施形態において、全PBMCに対するCD14陽性、HLA-DR-高値、および/またはCD16陰性細胞のパーセンテージは、少なくとも約15%~100%である。いくつかの実施形態において、CD14陽性、HLA-DR-高値、および/またはCD16陰性細胞のパーセンテージは、少なくとも約20%~100%である。いくつかの実施形態において、CD14陽性、HLA-DR-高値、および/またはCD16陰性細胞のパーセンテージは、少なくとも約25%~100%である。いくつかの実施形態において、CD14陽性、HLA-DR-高値、および/またはCD16陰性細胞のパーセンテージは、少なくとも約30%~100%である。いくつかの実施形態において、CD14陽性、HLA-DR-高値、および/またはCD16陰性細胞のパーセンテージは、少なくとも約35%~100%である。いくつかの実施形態において、CD14陽性、HLA-DR-高値、および/またはCD16陰性細胞のパーセンテージは、40%~100%である。
【0051】
いくつかの実施形態において、HDAC阻害剤はエンチノスタットである。いくつかの実施形態において、HDAC阻害剤はボリノスタット(SAHA)である。いくつかの実施形態において、HDAC阻害剤はバルプロ酸である。いくつかの実施形態において、HDAC阻害剤は、ベリノスタット(PXD101)、LAQ824、パノビノスタット(LBH589)、CI994、チダミド(HBI-8000;Epidaza(登録商標))、およびモセチノスタット(MGCD0103)から選択される。
【0052】
いくつかの実施形態において、前記HDAC阻害剤は、経口投与される。いくつかの実施形態において、前記HDAC阻害剤は、最初に投与される。いくつかの実施形態において、前記HDAC阻害剤は、毎週投与される。いくつかの実施形態において、前記HDAC阻害剤は、2週間毎に投与される。
【0053】
いくつかの実施形態において、前記第二の治療薬が、抗PD-1抗体である。いくつかの実施形態において、前記抗PD-1抗体が、ペムブロリズマブである。いくつかの実施形態において、前記抗PD-1抗体が、ニボルマブである。いくつかの実施形態において、前記癌が、肺癌である。いくつかの実施形態において、前記肺癌が、非小細胞性肺癌、扁平上皮癌、または大細胞癌である。いくつかの実施形態において、前記癌が、メラノーマである。いくつかの実施形態において、前記メラノーマが、転移性メラノーマである。
【0054】
いくつかの実施形態において、前記第二の治療薬が、抗PD-L1抗体である。いくつかの実施形態において、前記抗PD-L1抗体が、MPDL3280Aである。いくつかの実施形態において、抗PD-L1抗体が、アベルマブである。いくつかの実施形態において、抗PD-L1抗体が、デュルバルマブである。いくつかの実施形態において、前記第二の治療薬が、MPDL3280Aであり、前記乳癌が、三種陰性乳癌である。
【0055】
いくつかの実施形態において、前記抗PD-1抗体または前記抗PD-L1抗体が、輸液により投与される。
【0056】
いくつかの実施形態において、第二の治療薬が、CTLA4遮断薬である。いくつかの実施形態において、CTLA4遮断薬が、イピリムバブである。いくつかの実施形態において、CTLA4遮断薬が、トレメリムマブである。
【0057】
本明細書に記載されている開示を理解しやすくするために、いくつかの用語を以下に定義する。
【0058】
本明細書で使用する場合、「悪化(progression)」とは、その状態が悪くなっているかまたは体中に広がっている疾患、例えば癌など、を指す。
【0059】
本明細書で使用する場合、語句「~に対して無反応」や「~に対して反応しなかった」とは、処置されて、かつ、該処置が悪化を予防または疾患経過の回復のうちの一方または両方に有効ではなかった患者または状態を指す。
【0060】
本明細書で使用する場合、「異常な細胞増殖」とは、正常細胞の異常増殖および異常細胞の増殖を含む、正常な調節機構と独立した細胞増殖(例えば、接触阻害の喪失)を意味する。
【0061】
「新生物」とは、本明細書に記載されている場合、自律的増殖および体細胞変異により、正常な細胞とは区別される、異常な、未調節の、および無秩序な細胞の増殖である。腫瘍性細胞が増殖および分裂する際には、その遺伝子変異および増殖特性が子孫細胞に受け継がれる。新生物または腫瘍は、腫瘍性細胞の蓄積である。いくつかの実施形態において、新生物は、良性である場合もあれば、悪性である場合もある。
【0062】
「転移」とは、本明細書で使用する場合、リンパ管または血管を経由する腫瘍細胞の拡散を指す。また、転移は、漿膜腔(serous cavity)、またはクモ膜下腔もしくは他の腔を通じて、直接広がることによる腫瘍細胞の移動を指す。転移プロセスを通じて、腫瘍細胞が身体の他の部位に移動すると、当初の出現部位から離れた領域に新生物がもたらされる。
【0063】
本明細書で議論される場合、「血管形成」が腫瘍形成および転移において顕著である。血管新生因子が、いくつかの固形腫瘍、例えば横紋筋肉腫、網膜芽細胞腫、ユーイング肉腫、神経芽細胞腫、および骨肉腫と関連することが判明した。腫瘍は、栄養分を提供し、細胞の老廃物を取り除く血液供給無くして増殖することはできない。血管形成が重要である腫瘍として、固形腫瘍、例えば腎細胞癌、肝細胞癌、および良性腫瘍、例えば聴神経腫瘍、および神経線維腫が挙げられる。血管形成は、血液由来の腫瘍、例えば白血病と関連している。血管形成は、白血病を起こす骨髄の異常において役割を果たすと考えられている。血管形成を防止すれば、癌性腫瘍の増殖や腫瘍の存在に起因して生じた被験体への損傷を止め得る。
【0064】
用語「対象」とは、霊長類(例えば、ヒト)、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、イヌ、ネコ、ウサギ、ラット、またはマウスを含むがこれらに限定されない動物を指す。用語「対象」および「患者」は、例えば哺乳動物対象、例えばヒト対象と関連して、本明細書で交換可能に使用される。
【0065】
用語「処置する(treat)」、「処置すること(treating)」、および「処置(treatment)」は、障害、疾患、もしくは状態;または障害、疾患、もしくは状態と関連した1つもしくは複数の症状の緩和または抑制;あるいは障害、疾患、または状態そのものの原因(複数可)の緩和または根絶を含むことを意味する。
【0066】
用語「治療有効量」とは、投与したとき、処置される障害、疾患、または状態の1つまたは複数の症状の発症を防止する、またはそのような症状をある程度緩和するのに十分である化合物の量を指す。また、用語「治療有効量」は、研究者、獣医師、医師、または臨床医によって求められる細胞、組織、システム、動物、またはヒトの生物学的または医学的応答を誘発するのに十分である化合物の量を指す。
【0067】
用語「薬学的に許容される担体」、「薬学的に許容される賦形剤」、「生理学的に許容される担体」、または「生理学的に許容される賦形剤」とは、薬学的に許容される物質、組成物、またはビヒクル、例えば液体もしくは固体の充填剤、希釈剤、賦形剤、溶媒、または被包材料を指す。各成分は、医薬製剤の他の成分との適合性の意味で、「薬学的に許容され」なければならない。また、過剰の毒性、刺激、アレルギー反応、免疫原性、または他の問題もしくは合併症を引き起こすことなく、ヒトおよび動物の組織または臓器との接触した使用に適し、合理的な利益/リスク比と釣り合わなければならない。Remington: The Science and Practice of Pharmacy, 21st Edition; Lippincott Williams & Wilkins: Philadelphia, PA, 2005; Handbook of Pharmaceutical Excipients, 5th Edition; Rowe et al., Eds., The Pharmaceutical Press and the American Pharmaceutical Association: 2005; and Handbook of Pharmaceutical Additives, 3rd Edition; Ash and Ash Eds., Gower Publishing Company: 2007; Pharmaceutical Preformulation and Formulation, Gibson Ed., CRC Press LLC: Boca Raton, FL, 2004を参照のこと。
【0068】
用語「医薬組成物」とは、本明細書に開示の化合物と、他の化学成分、例えば希釈剤または担体との混合物を指す。医薬組成物は、生物への化合物の投与を促進する。化合物を投与する複数の技法が、経口、注射、エアゾール、非経口、および局所投与を含め、当技術分野に存在するが、これらに限定されない。また、医薬組成物は、化合物を、無機酸または有機酸、例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、サリチル酸等と反応させることによって得ることができる。
【0069】
用語「高い」とは、細胞上の細胞表面マーカーの発現を記載するために使用されるとき、対照細胞に対して細胞上の細胞表面マーカーの高レベルの発現に該当する。高レベルの発現とは、未染色対照細胞に対して、約10倍の増加、約100倍の増加、約1000倍の増加、約10000倍の増加、約20倍の増加、約200倍の増加、約2000倍の増加、約20000倍の増加、約30倍の増加、約300倍の増加、約3000倍の増加、約30000倍の増加、約40倍の増加、約400倍の増加、約4000倍の増加、約40000倍の増加、約50倍の増加、約500倍の増加、約5000倍の増加、約50000倍の増加、約60倍の増加、約600倍の増加、約6000倍の増加、約60000倍の増加、約70倍の増加、約700倍の増加、約7000倍の増加、約70000倍の増加、約80倍の増加、約800倍の増加、約8000倍の増加、約80000倍の増加、約90倍の増加、約2900倍の増加、約9000倍の増加、約90000倍の増加であり得る。
【0070】
「高」レベルの発現とは、未染色対照細胞に対して、約10倍の増加~約100倍の増加、約100倍の増加~約1000倍の増加、約20倍の増加~約200倍の増加、約200倍の増加~約2000倍の増加、約30倍の増加~約300倍の増加、約300倍の増加~約3000倍の増加、約40倍の増加~約400倍の増加、約400倍の増加~約4000倍の増加、約50倍の増加~約500倍の増加、約500倍の増加~約5000倍の増加、約60倍の増加~約600倍の増加、約600倍の増加~約6000倍の増加、約70倍の増加~約700倍の増加、約700倍の増加~約7000倍の増加、約80倍の増加~約800倍の増加、約800倍の増加~約8000倍の増加、約90倍の増加~約9300倍の増加、約900倍の増加~約9000倍の増加であり得る。
【0071】
高レベルの発現とは、未染色対照細胞に対して、約1桁(101)の増加、約2桁(102)の増加、約3桁(103)の増加、約4桁(104)の増加、約5桁(105)の増加であり得る。
【0072】
癌、腫瘍、腫瘍関連障害、および腫瘍性疾患の状態は重篤であり、多くの場合、生命を脅かす状態である。これらの疾患および障害は、急速増殖性の細胞増殖により特徴付けられ、その処置に有効である治療薬の同定に向けられた研究努力の対象としてなおも存続している。そのような薬剤は、患者の生存期間を延ばし、新生物と関連した急速増殖性の細胞増殖を阻害するか、または新生物の退縮をもたらす。
HDAC阻害剤
【0073】
HDAC阻害剤は、クロマチンリモデリングおよび遺伝子発現調節を通じて、血液学的悪性疾患および固形悪性疾患における分化およびアポトーシスを促進する新たなクラスの治療薬である。HDAC阻害剤は、汎HDAC阻害剤と選択的HDAC阻害剤とに、おおむね分類され得る。公知のHDAC阻害剤には多くの構造的多様性が認められるものの、共通した特徴も共有する:酵素活性部位と相互作用する部分、および活性部位に至るチャネル内側に位置する側鎖。これは、ヒドロキサメート基が活性部位と相互作用すると考えられているヒドロキサメート、例えばSAHAと共に認められ得る。デプシペプチドの場合、ジスルフィド結合が細胞内で還元されると、4-炭素アルケニル鎖に結合した遊離型チオール基(活性部位と相互作用する)が作り出されると考えられている。HDAC阻害剤間の差異は、活性部位に対して反対側のチャネル端部にあるHDACチャネルの縁と相互作用するという点にある。HDAC阻害剤とチャネルの縁との間のこの相互作用こそが、SAHA等の汎HDAC阻害剤とデプシペプチド等の選択的HDAC阻害剤との間で、HDACの選択性について認められた一部の差異を、少なくともある程度説明すると考えられている。
【0074】
いくつかのHDAC阻害剤が同定されており、これには、ベンズアミド(HDAC阻害剤)、短鎖脂肪酸(すなわち、フェニル酪酸ナトリウム);ヒドロキサム酸(すなわち、スベロイルアニリドヒドロキサミン酸およびトリコスタチン(thrichostatin)A);2-アミノ-8-オキソ-9,10-エポキシ-デカノイル部分を含有する環状テトラペプチド(すなわち、トラポキシンA)、および2-アミノ-8-オキソ-9,10-エポキシ-デカノイル部分を有さない環状ペプチド(すなわち、FK228)が含まれる。特に好ましいHDAC阻害剤は、HDAC阻害剤である。HDAC阻害剤は、化学名N-(2-アミノフェニル)-4-[N-(ピリジン-3-イル)メトキシカルボニルアミノ-メチル]-ベンズアミド、および以下に示す化学構造を有する。
【化1】
HDAC阻害剤は、複数種の固形腫瘍および血液の癌において臨床試験が実施されたベンズアミドHDAC阻害剤である。HDAC阻害剤は、急速に吸収され、約100時間の半減期を有し、重要なこととして、ヒストンアセチル化の変化が、HDAC阻害剤投与後の数週間にわたり持続する。
【0075】
エンチノスタット、クラスI HDAC阻害剤は、有望な活性を示した。新規の前臨床研究から、HDAC阻害剤は調節性T細胞(Treg)および骨髄由来のサプレッサー細胞(MDSC)を含む免疫サプレッサー細胞に対して免疫調節効果を有し、免疫チェックポイント遮断剤と組み合わせて、免疫原性マウス腫瘍をある程度消滅可能であることが示唆される。この活性は、MSDCの低下により媒介されることが明らかにされた(Kim et al., PNAS 2014, 111:11774-9)。これらの結果は、そのようなクラス1のHDAC酵素であるHDAC阻害剤の選択的標的により説明され得るが、同酵素は、Tregの分化および活性化において役割を演じていることが明らかにさている(Shen et al. PLoS One 2012, 7:e30815; Wang et al. JCI 2015, 125:1111-1123)およびMDSC(Youn et al. Nat. Immunol 2013, 14:211-220)。
【0076】
方法および結果は、Tomita et al., “The interplay of epigenetic therapy and immunity in locally recurrent or metastatic estrogen receptor-positive breast cancer: Correlative analysis of ENCORE 301, a randomized, placebo-controlled phase II trial of exemestane with or without entinostat”, ONCOIMMUNOLOGY, Taylor and Francis Online, 2016にも記載されており、その全内容を参照により本明細書に援用する。
【0077】
まとめとして、ENCORE301において、エキセメスタンと組み合わせたHDAC阻害剤で処置されたER+乳癌患者から得られた血液サンプルに由来するデータは、患者における、免疫抑制MDSCのHDACi媒介型の低下、および免疫担当CD14+HLA-DRHI単球の増加に関する第1のエビデンスをもたらした。これらの所見は、全生存の改善を一部説明し、HDAC阻害剤と免疫チェックポイント遮断薬との組み合わせ試験計画に対する強力な根拠を提供し得る。
【0078】
HDAC阻害剤で処置された患者におけるMDSCの低下は、MDSCの低下を通じて、免疫チェックポイント阻害剤の抗腫瘍活性を増強するHDAC阻害剤の能力を実証する、最近公表された前臨床研究(Kim et al PNAS 2014)と整合する。
【0079】
免疫療法における最近の進歩は、免疫チェックポイント阻害の抗癌効果を明らかにする。エンチノスタットは、Orillion et al., “Entinostat Neutralizes Myeloid-Derived Suppressor Cells and Enhances the Antitumor Effect of PD-1 Inhibition in Murine Models of Lung and Renal Cell Carcinoma”, Clinical Cancer Research, American Association for Cancer Research, 23(2017); 5187-5201ページに記載の腫瘍内微小環境内の免疫抑制細胞の標的化を含む免疫調節活性を示し、その全内容を全体として参照によって本明細書に援用する。エンチノスタットが、腫瘍増殖を低減し、生存を延長することによって2匹の同種同系マウス腫瘍モデルにおけるPD-1阻害の抗癌効果を高めたことがわかった。
ヒストンデアセチラーゼ
【0080】
HDACは、少なくとも18種類の酵素を含むファミリーであり、3クラスにグループ化される(クラスI、II、およびIII)。クラスIのHDACには、HDAC1、2、3、および8が含まれるが、これらに限定されない。クラスIのHDACは核に見出され得るが、転写制御リプレッサーと関係すると考えられている。クラスIIのHDACには、HDAC4、5、6、7、および9が非限定的に含まれ、細胞質および核の両方に見出され得る。クラスIIIのHDACは、NAD依存性タンパク質であると考えられており、サーチュインファミリーのタンパク質のメンバーが含まれるが、これらに限定されない。サーチュインタンパク質の非限定的な事例として、SIRT1~7が挙げられる。本明細書で使用する場合、用語「選択的HDAC」とは、HDACの3クラスすべてとは相互作用しないHDAC阻害剤を指す。
プログラム細胞死-1(PD-1)
【0081】
PD-1は、受容体の免疫グロブリンスーパーファミリーに属するT細胞調節因子のCD28ファミリーのメンバーである細胞表面受容体である。ヒトPD-1遺伝子は、染色体2q37に位置し、また完全長PD-1 cDNAは、288個のアミノ酸残基を有するタンパク質をコードし、マウスPD-1と60%の相同性を有する。同遺伝子は、胸腺の発生中にCD4-CD8-(ダブルネガティブ)胸腺細胞上に存在し、長期抗原曝露後に、TおよびB細胞等の成熟した造血細胞、NKT細胞、および単球における活性化の際に発現する。
【0082】
いかなる理論にも縛られるつもりはないが、リガンドPD-L1のPD-1への結合は、エフェクター抗腫瘍T細胞活性を下方調節し、免疫回避を容易にすることが予期される。これは、PD-1/PD-L1発現と、胃癌、卵巣癌、肺癌および腎臓癌などの数種の腫瘍タイプにおける予後診断不良との関連の発見によって裏付けられている。PD-1は、黒色腫において腫瘍浸潤性Tリンパ球により優勢に発現されることが報告されている。
【0083】
PD-1-特異的抗体によりPD-1を遮断するインビトロ試験では、IFN-γ-分泌性抗原特異的細胞の頻度の増加を含む、メラノーマ特異抗原に対する細胞傷害性T細胞応答が増強することが示された。
【0084】
いずれの理論にも拘束されるものではないが、PD-1を標的とすれば、癌に対する有効な治療戦略として作用し得るものと考えられる。PD-1を臨床的に標的とする主たる方法は、PD-1またはPD-L1の機能を阻害する遺伝子工学的に作出されたモノクロナール抗体の開発によるものであった。
【0085】
PD-L1はまた、B7-1(CD80)に結合することも示されており、これもT細胞増殖およびサイトカイン産生を抑制する相互作用であるが、癌におけるPD-L1:PD-1およびPD-L1:B7-1経路の正確な相対的寄与率は不明確なままである。現在開発中のPD-1標的化薬剤は、両方の経路を阻害する。しかしながら、PD-1およびB7-1の結合部位は隣接しているがオーバーラップしていないため、一方または他方を特異的に標的化する薬剤が開発される可能性がある。
【0086】
癌細胞は、それらの表面上で高い発現レベルのPD-L1を駆動させて、腫瘍微小環境に浸潤するあらゆるT細胞上で阻害性PD-1受容体を活性化させ、効果的にそれらの細胞をスイッチオフすることができる。実際に、PD-L1発現レベルの上方調節が、多くの様々な癌タイプで実証されており(例えば、黒色腫[40%~100%]、NSCLC[35%~95%]、および多発性骨髄腫[93%])、高レベルのPD-L1発現は、不良な臨床転帰との関連が示されている。さらに、腫瘍浸潤T細胞は、正常な組織に浸潤するT細胞より有意に高いレベルのPD-1を発現することが示されている。腫瘍微小環境は、インターフェロン-ガンマ(IFNγ)などの炎症促進性サイトカインを分泌して、それらが腫瘍で発現された高レベルのPD-L1に確実に応答できるように腫瘍浸潤T細胞上でのPD-1の発現を上方調節する可能性があると考えられる。
ペムブロリズマブ
【0087】
ペムブロリズマブは、安定化させるために操作されたFc領域を有するヒトIgG4免疫グロブリン分子上にグラフト化された高親和性マウス抗PD-1由来の可変領域からなる、ヒト化モノクロナールIgG4抗PD-1抗体である。前臨床抗腫瘍活性が、複数の腫瘍型の動物モデルにおいて実証されている。ヒト初回、第I相用量漸増試験を、進行した難治性の悪性腫瘍を有する患者において、用量レベル1、3、および10mg/kgにおいて、初回、および4週間後、次に2週間毎に静脈内投与して実施した。認められた最大毒性は、グレード2の掻痒であり、薬物関連のグレード3またはそれよりも高い有害事象(AE)は認められなかった。したがって、最大耐用量には到達しなかった。半減期は、13.6~21.7日であり、用量との関連性は明確ではなかった。患者4例において多少の腫瘍退化が生じた。次に、この試験を、非ランダム化コホートにおいて、2週間毎に10mg/kgまたは3週間毎に2もしくは10mg/kgでペムブロリズマブを受ける患者について拡大した;合計135例のメラノーマを有する患者が参加した。登録には、事前にイピリムマブを受けた患者48例が含まれたが、免疫関連の重度有害事象(irAE)を経験することはなかった。患者の79%は、いくつかのAEを有したが、皮膚発疹または掻痒、疲労、下痢、腹痛、および肝機能障害を含む、重度(グレード3または4)の薬物関連の毒性を有した患者は13%にすぎなかった。最高頻度(23%)の重度毒性は、最高用量(2週間毎に10mg/kg)を受けた患者に認められたのに対して、用量がそれほど高くないコホートでは<10%であった。自己免疫的と思われるAEとして、線維性肺炎、腎臓損傷、肝炎、下痢、甲状腺機能低下症、甲状腺機能亢進症、および副腎機能不全の孤立した事例が含まれた。免疫関連の応答基準に基づく奏効率(ORR)は、38%(117例中44例)であり、さらなる患者8例が未確認の応答を経験した。合計77%が、24週間にわたり疾患が安定した患者8例を含め、ある程度の腫瘍退縮を認めた。大部分の応答は、12週目の初回放射線学的評価時までに立証された。無増悪生存期間中央値は、7ヶ月まで伸びた。応答性腫瘍の生検は、CD8+T細胞による密な浸潤を示した。
MPDL3280A
【0088】
MPDL3280Aは、抗体依存性細胞傷害(ADCC)を最小化することによって効能および安全性を最適化するように設計された、操作された結晶化可能断片(Fc)ドメインを含有するヒト抗PD-L1 mAbである。いかなる具体的な理論にも縛られるつもりはないが、この構造は、有効な抗腫瘍免疫応答に必要な活性化T細胞のADCCが媒介する枯渇を最小化しながら、PD-1/PD-L1相互作用の阻害を可能にすると理解されている。
【0089】
MPDL3280Aは、局所進行性または転移性の固形腫瘍を有する患者での第I相試験において評価されている。これまで合計175人の患者が採用されてきた。抗体を、単一の薬剤として、127日の期間中央値において≦1、3、10、15、および20mg/kgの漸増用量で投与した。2つの拡大コホート;扁平上皮または非扁平NSCLCを有する85人の患者のコホート(そのうち53人が効能について評価可能であった)および45人の転移性黒色腫患者のコホート(そのうち35人が効能について評価可能であった)の結果も報告されている。両方のコホートにおいて、3週間毎に1年まで、≦1、10、15、および25mg/kgのMPDL3280Aの用量を投与した。MPDL3280Aは、持続的応答を実証し、十分に忍容された;有効性のデータを表1にまとめる。NSCLCコホート中の85人の患者のうち、55%が少なくとも3回の先行療法で強い強度で事前処置を受けており、81%が喫煙者または元喫煙者であり、19%が喫煙未経験者であった。24週のPFS率は、扁平上皮細胞NSCLCでは44%、非扁平上皮細胞NSCLCでは46%であった。
アベルマブ
【0090】
アベルマブ(MSB0010718C)は、臨床試験で現在調査中の完全ヒト抗PD-L1 IgG1抗体である。腫瘍細胞上のPD-L1と腫瘍浸潤免疫細胞上のPD-1との結合によって誘発される免疫抑制シグナル伝達の混乱に加えて、アベルマブは、抗体依存性細胞傷害性(ADCC)を媒介するように設計されている。ヒト癌細胞の溶解を誘発するアベルマブの能力は、全末梢血単核細胞(PBMC)または精製されたナチュラルキラー(NK)細胞をエフェクターとして使用して査定されている。
【0091】
PBMCをエフェクターとして使用する最近の研究では(Kwong-Yok Tsang et al., Antibody dependent cellular cytotoxicity activity of a novel anti-PD-L1 antibody, avelumab (MSB0010718C), on human tumor cells, 2015 ASCO Annual Meeting, J Clin Oncol 33, 2015 (suppl; abstr 3038))、アベルマブは、18種のヒト癌細胞系のうち8種でADCCを誘発することが見出された。さらに、腫瘍細胞の溶解は、PD-L1陽性腫瘍細胞のパーセンテージと正の相関をすることが見出された。PD-L1陽性腫瘍細胞のパーセンテージは、フローサイトメトリーを使用して決定された平均蛍光強度(MFI)として報告された。溶解は、NK細胞がエフェクターとして使用されると増大した。IFN-γでの腫瘍細胞系の事前処置はPD-L1発現を増大させたが、10種の細胞系のうち4種においてのみ溶解を増大させた。IL-12でのNK細胞の事前活性化は、しかし、溶解を増大させ、アベルマブをIL-12に基づく療法と組み合わせることによる相乗効果の可能性を示唆する。NKが媒介するADCCアッセイでは、全PBMCまたはPBMCから単離された樹状細胞と比較して、溶解はほとんどまたは全く観察されなかった。CD8+T細胞による溶解に非感受性の腫瘍細胞系は、NK細胞およびアベルマブを使用するADCCによって溶解した。結論として、研究は、アベルマブがADCCを介して多くのヒト腫瘍細胞系の溶解を誘発したことを見出し、ADCCによる腫瘍溶解を誘発する追加のメカニズムが、ADCC活性を伴わない類似の薬剤と比較して臨床活性を強化するかどうかを決定するには、さらなる臨床試験が必要である。
CTLA4遮断抗体
【0092】
傷害性Tリンパ球関連抗原4(CTLA4)は、マウス細胞傷害性T細胞cDNAライブラリーのディファレンシャルスクリーニングによって最初に同定されたT細胞表面分子である。CTLA4はまた、免疫グロブリン(Ig)スーパーファミリーのメンバーでもある;CTLA4は単独の細胞外Igドメインを含む。CTLA4転写産物は、細胞毒活性を有するT細胞集団において見出され、CTLA4が細胞溶解反応において機能するであろうことが示唆された。抗CTLA4抗体は、病原菌、例えば、癌抗原または感染性物質からの抗原、からの防御抗原に対して既に免疫された対象における感染防御免疫の程度を増強する能力を実証する。CTLA4に対する抗体は、癌の処置に関して記載されている。具体的には、腫瘍に対して寛容な免疫系を阻害し、その結果、癌を患っている患者のために潜在的に有効な免疫療法ストラテジーを提供する手段としての、例えば、イピリムバブ(2011年にメラノーマに関してFDA承認)およびトレメリムマブ(FDA承認なし)などのCTLAに対するアンタゴニスト抗体を使用してCTLA4を遮断することの治療効果に着目が高まっている。
肺癌
【0093】
肺癌は、米国内および世界全体のいずれにおいても、女性および男性の主たる癌死亡原因である。肺癌は、女性の主たる癌死亡原因として、乳癌を凌駕する。2014年の米国内では、158,040名が肺癌によって死亡すると予測され、結腸および直腸の癌、乳癌、ならびに前立腺癌による死亡数の合計を上回る。最初期段階において診断された肺癌の生存率は高めで、およそ49%が5年またはそれより長く生存するものの、身体の他の部位に広がった肺癌と診断された者では、約2%が診断から5年後に生存するに過ぎない。
【0094】
正常細胞が制御無しにその成長および増殖を引き起こす変換を受けたときに、癌が生ずる。細胞は、それが発生した周辺組織と異なる塊または腫瘍を形成する。腫瘍は、健常細胞から酸素、栄養分、および空間を奪うので、かつ浸潤し、正常組織が機能する能力を破綻または低下させるので危険である。
【0095】
大半の肺腫瘍は悪性である。これは、腫瘍がその周辺の健康な組織に浸潤し、それを破壊し、身体全体を通じて広がる可能性があることを意味する。腫瘍は、近隣のリンパ節に、または血流を通じて他の臓器に広がる可能性がある。このプロセスは転移と呼ばれる。肺癌が転移したとき、肺内の腫瘍は原発腫瘍と呼ばれ、身体の他の部分の腫瘍は、続発性腫瘍または転移性腫瘍と呼ばれる。
【0096】
一部の肺内の腫瘍は、身体内の別の場所にある癌からの転移である。肺は、転移の一般的な部位である。この場合には、癌は、肺癌とはみなされない。例えば、前立腺癌が血流により肺に広がった場合には、それは肺内の転移性前立腺癌(続発性の癌)であり、肺癌とは呼ばれない。
【0097】
肺癌は、異なる種類の腫瘍の群を含む。肺癌は、全症例の約95%を占める2つの主要な群に通常分割される。群への分割は、癌を構成する細胞の種類に基づく。2つの主要な種類の肺癌が、顕微鏡下で観察したときの腫瘍の細胞サイズにより特徴付けられる。それらは、小細胞肺癌(SCLC)および非小細胞肺癌(NSCLC)と呼ばれる。NSCLCには、いくつかの腫瘍のサブタイプが含まれる。SCLCはあまり一般的ではないが、より急速に増殖し、NSCLCよりも転移する可能性が高い。多くの場合、SCLCは、癌と診断されたときに身体の他の部分にすでに広がっている。約5%の肺癌が、カルチノイド腫瘍、リンパ腫等を含む稀な細胞型を有する。本明細書で使用する場合、用語「肺癌」には、SCLC、NSCLC、カルチノイド腫瘍、リンパ腫、およびその様々なサブタイプが含まれるが、これらに限定されない。
非小細胞肺癌
【0098】
NSCLCは、小細胞癌(燕麦細胞癌)型に該当しない肺の癌である。用語「非小細胞肺癌」は、様々な種類の気管支原性癌(気管支の内層に起因する癌)に適用される。特別な種類のNSCLCの例として、腺癌、扁平上皮癌、および大細胞癌(すなわち、大細胞未分化癌)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0099】
腺癌は、臓器の内層または内面に発現する癌である。腺癌は、最も一般的な種類の肺癌であり、肺癌の全症例の30%~40%を占める。腺癌のサブタイプは、気管支肺胞細胞癌と呼ばれ、胸部X線では肺炎様の外観を呈する。
【0100】
扁平上皮癌は、扁平上皮細胞において始まる癌である。扁平上皮細胞は、顕微鏡下では魚鱗のように見える、薄く扁平な細胞である。扁平上皮細胞は、身体の中空臓器の内層である皮膚の表面、および気道および消化管の通路を形成する組織内に見出される。扁平上皮癌は、これらの組織のいずれにも発生し得る。扁平上皮癌は、2番目に最も一般的な種類の肺癌であり、全症例の約30%を占める。
【0101】
大細胞癌は、扁平上皮または腺の成熟のエビデンスを示さない。したがって、これらの腫瘍では、多くの場合、すべての他の可能性が排除される場合、既定により診断が下される。これらの腫瘍は、生検前には、その診断を示唆するようなあらゆる診断上の特徴を欠く。これらは、急速に増殖し、早期に転移する傾向を有し、喫煙と強く関連する。大細胞腫瘍は、通常、大型で、かさ高く、境界明瞭な、灰色がかったピンク色の塊であり、広範な出血および壊死を伴う。これらは、一般的に中心壊死を有するが、稀に空洞形成する。これらは、中央から末梢の肺領域中に存在する傾向を有する。これらは、区域気管支または亜区域気管支を含めて局所的に広がる場合もある。大細胞癌の改変体として、巨細胞癌がある。このサブタイプは特に侵襲的であり、予後診断も極めて不良である。これらの腫瘍は、大型の末梢性の塊として一般的に存在し、局所的な壊死性成分を有する。これらの腫瘍は、直接広がらない限り、太い気道とは関係しない。大細胞癌は、肺癌の全症例の10%~20%を占める。
メラノーマ
【0102】
メラノーマは、メラニン色素を作製する細胞であり、神経堤に由来するメラニン形成細胞の悪性腫瘍である。大半のメラノーマは皮膚に発生するが、粘膜表面またはぶどう膜を含む、神経堤細胞が移動する他の部位にも生ずる可能性がある。ぶどう膜メラノーマは、発生数、予後診断因子、分子的特徴、および処置において、皮膚のメラノーマとは顕著に異なる。
【0103】
2014年の米国内では、9,710名がメラノーマにより死亡すると予測され、新規症例数は76,100例に登ると見積もられた。皮膚癌は、米国内で診断が下された最も一般的な悪性疾患であり、毎年、2百万人において3.5百万個の癌が診断されている。メラノーマは、皮膚癌のうち5%未満を占めるに過ぎないが、最も多くの死亡を引き起こす。発生数は、過去40年間にわたり増加している。高齢の男性が最も高いリスクに晒されている;ただし、メラノーマが25~29歳の若年成人における最も一般的な癌であり、15~29歳の若年者における2番目に最も一般的な癌である。眼のメラノーマが、最も一般的な眼の癌であり、毎年、およそ2,000症例が診断を下される。
【0104】
メラノーマは、主として成人に生ずるが、症例の50%超が、皮膚の見かけ上正常な領域に発生する。メラノーマは粘膜表面やぶどう膜を含む、あらゆる場所に生ずる可能性があるが、女性では、メラノーマは、四肢により一般的に生じ、また男性では、体幹または頭頸部上に最も一般的に生ずる。
【0105】
予後診断は、原発性および転移性の腫瘍の特徴により影響を受ける。最も重要な予後診断因子として、メラノーマの厚さまたは浸潤レベル、1ミリメーターあたりの有糸分裂として定義された分裂指数、原発部位における潰瘍形成または出血、マクロ転移およびミクロ転移の特質を備えた関係する局部リンパ節の数、全身転移、部位-非内臓、対、肺、対、他のすべての内臓部位、血清乳酸脱水素酵素レベルの上昇が挙げられるが、これらに限定されない。いずれの理論にも拘束されるものではないが、腫瘍浸潤リンパ球の存在は、潜在的な予後診断因子であり得ると考えられる。
乳癌
【0106】
乳癌は、乳房組織から発症する癌である。乳癌の兆候として、乳房内のしこり、乳房形状の変化、皮膚の陥凹形成、乳首からの液漏出、または皮膚の鱗状の紅斑を挙げることができる。疾患が遠隔転移した患者において、骨痛、リンパ節腫脹、呼吸困難、または黄疸を認める場合がある。乳癌の転帰は、癌型、疾患の範囲、および対象の年齢に応じて変化する。世界的には、乳癌は、女性における癌の主要タイプであり、全症例の25%を占める。2012年には、1億6800万件の症例、および522,000件の死亡が生じた。先進国でより一般的であり、男性よりも女性において100倍超より一般的である。乳癌は、いくつかの評定システムにより分類される。これらのシステムのそれぞれは、予後診断を左右する可能性があり、処置にも影響を及ぼし得る。乳癌は、通常、その組織学的外観により主に分類される。ほとんどの乳癌は、腺管または小葉の内壁を覆う上皮に由来し、これらの癌は、腺管癌または小葉癌として分類される。非浸潤性の癌腫は、低グレードの癌性または前癌状態の細胞が、特定の組織コンパートメント、例えば乳腺管内で、周辺組織への浸潤を伴わずに増殖することである。対照的に、浸潤癌は、最初の組織コンパートメントにそれ自体を限局させない。
【0107】
TNMシステムを使用する乳癌のステージ分類は、腫瘍(T)のサイズ、腫瘍が隣接したリンパ節(N)まで広がっているかどうか、および腫瘍が身体のより遠隔部位に転移(M)しているかどうかに基づく。より大きなサイズ、節浸潤、および転移は、より大きなステージ番号およびより不良な予後診断を有する。主たるステージは、ステージ0、ステージ1~3、およびステージ4である。ステージ0は、前癌またはマーカー状態、すなわち非浸潤性腺管癌(DCIS)または非浸潤性小葉癌(LCIS)である。ステージ1~3は、乳房または局部リンパ節内に留まる。ステージ4は、予後診断があまり好ましくない転移癌である。
【0108】
乳癌細胞は、その表面上ならびにその細胞質および核内に受容体を有する。化学的メッセンジャー、例えばホルモンは、受容体に結合するが、これは細胞において変化を引き起こす。乳癌細胞は、3つの重要な受容体:エストロゲン受容体(ER)、プロゲステロン受容体(PR)、およびHER2を有する場合と、有さない場合がある。これより、乳癌は、ホルモン受容体陽性乳癌またはER-/PR陽性乳癌、HER2陽性乳癌、およびER、PR、およびHER2について陰性である三種陰性乳癌に分割される。
【0109】
骨髄由来のサプレッサー細胞は、乳癌においていくつかの重要な臨床的相関を有することが示されている。乳癌の前臨床モデルでは、骨髄由来のサプレッサー細胞のレベルは、腫瘍サイズと正の相関し、T細胞と逆に相関する。臨床では、循環性骨髄由来のサプレッサー細胞のベースラインレベルは、転移性乳癌における疾病負荷、転移拡散、および生存率の低下と相関する。循環性骨髄由来のサプレッサー細胞のベースラインレベルは、HER2陰性乳癌におけるアジュバント化学療法に対する応答と相関することが示されており、レベルの増加は化学療法に対するより不良な応答を示す。
ホルモン受容体陽性乳癌
【0110】
ホルモン、例えばエストロゲンおよびプロゲステロンは、ホルモン受容体陽性である癌の増殖を促進する。乳癌3例のうち約2例は、ホルモンのエストロゲン(ER陽性乳癌)またはプロゲステロン(PR陽性乳癌)に対する受容体を含有するので、ホルモン受容体陽性である。これらの乳癌は、増殖に関してホルモンに依存するので、療法は、乳癌細胞のエストロゲンレベルを低下させるか、またはエストロゲン活性を停止させるように設計されてきた。
【0111】
エストロゲン活性を停止させる療法の非限定的な例として、タモキシフェン、トレミフェン、およびフルベストラントが挙げられる。タモキシフェンは、エストロゲンが乳癌細胞内でエストロゲン受容体に結合するのを遮断する。タモキシフェンは、乳房細胞内で抗エストロゲンのように作用するが、子宮および骨等のその他の組織内ではエストロゲンのように機能する。タモキシフェンは、いくつかの組織内ではエストロゲンのように作用するが、別の組織内では抗エストロゲンのように作用するので、選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)と呼ばれる。トレミフェンは、転移性乳癌の処置について承認されている別のSERMである。フルベストラントは、エストロゲン受容体を最初に遮断し、その分解を引き起こすきっかけとなる薬物である。フルベストラントは、身体全体を通じて抗エストロゲンのように作用するので、SERMではない。その他のホルモン療法後、例えば、タモキシフェンが効かなくなった後に、フルベストラントが、転移性乳癌を処置するために使用される。
【0112】
アロマターゼ阻害剤(AI)は、閉経後の女性において、エストロゲン産生を遮断するように機能する。アロマターゼ阻害剤は、脂肪組織および脳で生成したアンドロゲンを変換するアロマターゼを遮断することにより作動する。アロマターゼ阻害剤の非限定的な例として、レトロゾール、アナストロゾール、およびエキセメスタンが挙げられる。
三重陰性乳癌
【0113】
三種陰性乳癌は、エストロゲン受容体(ER)、プロゲステロン受容体(PR)、またはHER-2遺伝子を発現しない腫瘍によって特徴付けられ、これらの癌は内分泌療法または他の利用可能な標的化薬剤に応答しないことから、重要な臨床的課題の1つである。三種陰性乳癌における転移可能性は、他の乳癌サブタイプの転移可能性に類似しているが、これらの腫瘍は、より短い再発および死亡までの期間中央値を伴う。したがって、1つの重要な目標は、特定の薬剤に対して差次的な応答性を有するサブタイプの異なる処置アプローチに関して、三種陰性疾患を有する患者の高いおよび低いリスクのサブセットを確実に選択するための予後診断因子およびマーカーを同定することである。しかしながら、信頼できる予後診断マーカーは見つけにくく、マーカーの有用性は一貫性がない。例えば、上皮増殖因子受容体(EGFR)が研究されているが、予後診断に関する標準的アッセイまたはEGFR発現レベルのカットオフについて未だ一致が見られない。同様に、三種陰性のステータスは、時には基底様乳癌の代用として使用されるため、特異的な基底試験マーカーが調査されている。実際に、ER/PRおよびHER-2陰性を使用して基底様乳癌を有する患者を集めるように設計された試験は、三種陰性集団に近いものしか提供できず、時にはCK5/6、EGFRステータス等のようなより特異的なインジケーターを使用して再分析されるが、それでも不一致に見舞われる。
【0114】
化学療法が三種陰性乳癌処置の頼みの綱であり続けているが、たとえ顕著な臨床上の進歩がなされたとしても、なお数年以内に重要な制限を克服する必要がある。現在の三種陰性疾患の処置戦略としては、アントラサイクリン、タキサン、イキサベピロン、白金剤、および生物学的薬剤が挙げられる。つい最近になって、三種陰性乳癌における治療メカニズムとしてEGFR阻害が提唱されているが、ここでも結果は一貫していない。また、ポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼおよびアンドロゲン受容体を標的化する薬剤もこれらの患者またはそれらのサブセットにおいて提唱されており、実施中の試験から、三種陰性疾患におけるこれらの薬剤の価値に関して確定的な指針がもたらされると予想される。三種陰性乳癌は、明らかに、ERおよびHER-2発現の両方の観点から別個の臨床サブタイプであるが、さらなる下位分類が必要である。今のところ、三種陰性乳癌の決定的な弱点を標的化する、明確な、証明済みの有効な単一の薬剤はない。
【0115】
三種陰性乳癌の様々なサブタイプとしては、基底様TNBC(基底様1および2(BL-1、BL-2)、免疫調節(IM))および間葉系幹細胞様三種陰性乳癌(MSL)、および管腔アンドロゲン受容体(LAR)サブタイプが挙げられる。
【0116】
PD-L1は、腎細胞癌、膵臓癌、卵巣癌、胃癌、食道癌、および肝細胞癌などの多くの癌で発現される。調査によれば、50%(乳癌研究で評価した44種の腫瘍のうち22種)でPD-L1の発現が確認された。15種(34%)において、発現は腫瘍上皮に限定されたが、それに対して18種(41%)において腫瘍浸潤リンパ球で確認された。さらに、PD-L1の腫瘍内発現は、高い組織学的グレードおよび陰性ホルモン受容体のステータスに関連することが見出された。別の研究でも、以前の研究と一致して、TNBC腫瘍のおよそ20%がPD-L1を発現することがあった。これらのTNBC腫瘍の大多数(95%)がグレード3であった。
【0117】
いかなる具体的な理論にも縛られるつもりはないが、腫瘍がPD-L1発現を駆動させることができる可能性のあるメカニズムは、腫瘍形成性のシグナル伝達経路によるという仮説が立てられる。これは、PTEN損失がPD-L1発現増加に関連することが観察された膠芽腫で最初に実証され、PI3K経路の関与が示唆される。PTEN損失はTNBCで一般的に見られるため、PTENとPD-L1発現との関係を研究で調査した。>5%のPD-L1発現がある乳癌組織マイクロアレイに含まれるTNBC腫瘍のおよそ50%において、PTEN染色の損失が観察された。同様に、TNBC細胞株のパネルにおいて、PTEN損失を示す2つの例示的な細胞株、MDA-MB-468およびBT-549は、高い細胞表面におけるPD-L1発現を有していたことが見出された。まとめると、これらのデータから、TNBCには、PD-L1調節の複数のメカニズムが存在する可能性があることが示唆された。
卵巣癌
【0118】
卵巣癌は、世界的に女性で8番目に最も一般的な癌であり、毎年225,500人が新たに診断されていると推定され、毎年140,200人が死亡していると推定される。
【0119】
3つの基本的なタイプの卵巣腫瘍、すなわち上皮性腫瘍、生殖細胞腫瘍、および間質細胞腫瘍がある。上皮性腫瘍は卵巣の外表面を覆う細胞から始まり、ほとんどの卵巣腫瘍は上皮細胞腫瘍である。胚細胞腫瘍は卵子を生産する細胞から始まる。間質腫瘍は、卵巣をまとめ女性ホルモンを生産する細胞から始まる。卵巣癌の重要なリスク因子としては、BRCA1またはBRCA2遺伝子での突然変異などの相同組換えを介するDNA修復の欠如が挙げられる。これらの遺伝子は、複数のケースの乳癌を有するファミリーで元々識別されているが、卵巣癌のおよそ5から10パーセントに関連付けられている。
【0120】
卵巣癌のための可能性のある処置としては、外科手術、免疫療法、化学療法、ホルモン療法、放射線療法、またはその組み合わせが挙げられる。卵巣癌の処置のための外科的手順としては、デバルキング、および片側もしくは両側の卵巣摘出、および/または片側もしくは両側の卵管切除が挙げられる。卵巣癌を処置するために同様に使用されている抗癌薬としては、シクロホスファミド、エトポシド、アルトレタミン、およびイホスファミドが挙げられる。薬物タモキシフェンでのホルモン療法もまた、卵巣腫瘍を小さくするために使用されている。放射線療法としては、任意選択で、体外照射療法および/または小線源療法が挙げられる。新たに診断された卵巣癌患者の大部分は、第1選択の、白金に基づくかつパクリタキセルの化学療法に応答することが示されている。しかし、この併用療法に応答する患者の50~80%は、結果的には再発する。例えば、Herzog, "Update on the role of topotecan in the treatment of recurrent ovarian cancer," The Oncologist 7(Suppl. 5):3-10 (2002)を参照のこと。進行した卵巣癌を有する女性は疾患の再発に起因して長期生存は少なく、ほとんどが5年以内に死亡する。白金処置の6カ月以内に再発する卵巣癌は、一般には短期間の療法に対する応答率が低い(約10%~25%)異種スペクトルの疾患である。特定の薬物に応答するであろう患者を識別するための試みは困難である。再発性卵巣癌のための現在の処置オプションは、明らかに改善される必要がある。
【0121】
用語「強い強度で事前処置を受けた再発性卵巣癌」および「白金耐性の卵巣癌」は、本明細書で使用される場合、シスプラチン、ゲムシタビン、カルボプラチンなどの薬剤を使用する1ラウンドまたは複数ラウンドの白金に基づく化学療法で処置されている卵巣癌を指す。
【0122】
PD-L1は、腎細胞癌、膵臓癌、卵巣癌、胃癌、食道癌、および肝細胞癌を含む多くの癌で発現される。悪性の卵巣癌を有する患者の腹水および血液内の単球上でのPD-L1の発現が、良性/境界疾患でのそれよりも著しく高く、これらの群の間の値にオーバーラップがないことが示されている。さらに、最近の研究は、ほとんどの卵巣癌が宿主免疫系を回避し、PD-L1を発現させることによって腫瘍の増殖を加速させることを示している。したがって、PD-1/PD-L経路が卵巣癌の免疫療法のための将来性のある標的であり得るという仮説が立てられる。
併用療法のために患者を選択する方法
【0123】
特定の実施形態において、本開示の方法は、CD14陽性、HLA-DR-高値および/またはCD16陰性細胞を測定し、および末梢血液単核細胞を測定して、癌と診断された患者に併用療法の投与を決定することを含む。
【0124】
いくつかの実施形態において、方法は、全末梢血液単核細胞中のCD14陽性、HLA-DR-高値および/またはCD16陰性細胞のパーセンテージが約20%より大きい場合に、併用療法のための患者を選択することをさらに含む。
【0125】
いくつかの実施形態において、方法は、事前の処置から悪化している患者を選択することをさらに含む。
【0126】
いくつかの実施形態において、方法は、エンチノスタットと第二の治療薬とを含む併用療法を選択することをさらに含む。
【0127】
第二の治療薬の非限定的な例としては、抗PD-1抗体、例えば、ニボルマブおよびペムブロリズマブ;抗PD-L1抗体、例えばMPDL3280A;ならびにCTLA4遮断抗体、例えばイピリムバブおよびトレメリムマブなどが挙げられる。癌の非限定的な例としては、肺癌、例えば、非小細胞性肺癌、腺癌、扁平上皮癌および大細胞癌(すなわち、大細胞未分化癌)が挙げられる。いくつかの実施形態において、第二の治療薬はペムブロリズマブであり、癌は肺癌である。いくつかの実施形態において、第二の治療薬はペムブロリズマブであり、乳癌は非小細胞肺癌である。いくつかの実施形態において、第二の治療薬はペムブロリズマブであり、癌はメラノーマである。
【0128】
いくつかの実施形態において、エンチノスタットは、経口投与される。いくつかの実施形態において、エンチノスタットは、経口投与され、抗PD-1抗体、抗PD-L1抗体、またはCTLA4遮断抗体は、輸液により投与される。輸液の非限定的な例として、皮下輸液、静脈内輸液、腹腔内輸液、および浸透圧ポンプによる輸液が挙げられる。
【0129】
いくつかの実施形態において、エンチノスタットは、併用療法において最初に投与される。いくつかの実施形態において、エンチノスタットは、毎週投与される。いくつかの実施形態において、エンチノスタットは、2週毎に投与される。
【0130】
エンチノスタット、エキセメスタン、抗PD-1抗体、抗PD-L1抗体、またはCTLA4遮断抗体は、約毎日、約2日毎に、約3日毎に、約4日毎に、約5日毎に、約6日毎に、約毎週、約2週毎に、約3週毎に、約4週毎に、約毎月、約5週毎に、約6週毎に、約7週毎に、約8週毎に、または約2ヶ月毎に投与可能である。エンチノスタット、抗PD-1抗体、抗PD-L1、またはCTLA4遮断抗体は、約毎日~約2日毎に、約2日毎~約3日毎に、約3日毎~約4日毎に、約4日毎~約5日毎に、約5日毎~約6日毎に、約6日毎~約毎週、約毎週~約2週毎に、約2週毎~約3週毎に、約3週毎~約4週毎に、約4週毎~約毎月、約毎月~約5週毎に、約5週毎~約6週毎に、約6週毎~約7週毎に、約7週毎~約8週毎に、または約8週毎~約2ヶ月毎に投与可能である。
【0131】
いくつかの実施形態において、CD14陽性、HLA-DR-高値、および/またはCD16陰性、および末梢血液単核細胞は、循環性であり、末梢血液サンプルを取得することにより末梢血液中でそれぞれ測定される。いくつかの実施形態において、末梢血液サンプルは、抗凝固剤で処置される。いくつかの実施形態において、末梢血液サンプルは、抗凝固剤含有容器内に収集される、または移される。抗凝固剤の非限定的な例として、ヘパリン、ヘパリンナトリウム、シュウ酸カリウム、EDTA、およびクエン酸ナトリウムが挙げられる。いくつかの実施形態において、末梢血液サンプルは、赤血球溶解剤で処置される。いくつかの実施形態において、末梢血液単核細胞は、組織生検中で測定される。
【0132】
いくつかの実施形態において、CD14陽性、HLA-DR-高値、および/またはCD16陰性細胞、ならびに末梢血単核細胞の数は、末梢血サンプルで計測され、全末梢血単核細胞中のCD14陽性、HLA-DR-高値、および/またはCD16陰性細胞のパーセンテージが決定される。
【0133】
いくつかの実施形態において、全末梢血液単核細胞に対するCD14陽性、HLA-DR-高値、および/またはCD16陰性細胞のパーセンテージが、HDAC阻害剤と第二の治療薬とを含む併用療法を投与するための患者を選択するのに利用される。
CD14陽性
【0134】
いくつかの実施形態において、末梢血サンプルまたは組織生検中の全末梢血単核細胞に対するCD14陽性細胞のパーセンテージは、少なくとも約5%、少なくとも約6%、少なくとも約7%、少なくとも約8%、少なくとも約9%、少なくとも約10%、少なくとも約11%、少なくとも約12%、少なくとも約13%、少なくとも約14%、少なくとも約15%、少なくとも約16%、少なくとも約17%、少なくとも約18%、少なくとも約19%、少なくとも約20%、少なくとも約21%、少なくとも約22%、少なくとも約23%、少なくとも約24%、少なくとも約25%、少なくとも約26%、少なくとも約27%、少なくとも約28%、少なくとも約29%、少なくとも約30%、少なくとも約31%、少なくとも約32%、少なくとも約33%、少なくとも約34%、少なくとも約35%、少なくとも約36%、少なくとも約37%、少なくとも約38%、少なくとも約39%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%である。
【0135】
いくつかの実施形態において、末梢血サンプルまたは組織生検中の全末梢血単核細胞に対するCD14陽性細胞のパーセンテージは、約10%~約20%、約10%~約25%、約10%~約30%、約10%~約35%、約10%~約40%、約10%~約45%、約10%~約50%、約15%~約20%、約15%~約25%、約15%~約30%、約15%~約35%、約15%~約40%、約15%~約45%、約15%~約50%、約20%~約25%、約20%~約30%、約20%~約35%、約20%~約40%、約20%~約45%、約20%~約50%、約25%~約30%、約25%~約35%、約25%~約40%、約25%~約45%、約25%~約50%、約30%~約35%、約30%~約40%、約30%~約45%、約30%~約50%、約35%~約40%、約35%~約45%、約35%~約50%、約40%~約45%、約40%~約50%、約45%~約50%である。
HLA-DR-高値
【0136】
いくつかの実施形態において、末梢血サンプルまたは組織生検中の全末梢血単核細胞に対するHLA-DR-高値細胞のパーセンテージは、少なくとも約5%、少なくとも約6%、少なくとも約7%、少なくとも約8%、少なくとも約9%、少なくとも約10%、少なくとも約11%、少なくとも約12%、少なくとも約13%、少なくとも約14%、少なくとも約15%、少なくとも約16%、少なくとも約17%、少なくとも約18%、少なくとも約19%、少なくとも約20%、少なくとも約21%、少なくとも約22%、少なくとも約23%、少なくとも約24%、少なくとも約25%、少なくとも約26%、少なくとも約27%、少なくとも約28%、少なくとも約29%、少なくとも約30%、少なくとも約31%、少なくとも約32%、少なくとも約33%、少なくとも約34%、少なくとも約35%、少なくとも約36%、少なくとも約37%、少なくとも約38%、少なくとも約39%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%である。
【0137】
いくつかの実施形態において、末梢血サンプルまたは組織生検中の全末梢血単核細胞に対するHLA-DR-高値細胞のパーセンテージは、約10%~約20%、約10%~約25%、約10%~約30%、約10%~約35%、約10%~約40%、約10%~約45%、約10%~約50%、約15%~約20%、約15%~約25%、約15%~約30%、約15%~約35%、約15%~約40%、約15%~約45%、約15%~約50%、約20%~約25%、約20%~約30%、約20%~約35%、約20%~約40%、約20%~約45%、約20%~約50%、約25%~約30%、約25%~約35%、約25%~約40%、約25%~約45%、約25%~約50%、約30%~約35%、約30%~約40%、約30%~約45%、約30%~約50%、約35%~約40%、約35%~約45%、約35%~約50%、約40%~約45%、約40%~約50%、約45%~約50%である。
CD16陰性
【0138】
いくつかの実施形態において、末梢血サンプルまたは組織生検中の全末梢血単核細胞に対するCD16陰性細胞のパーセンテージは、少なくとも約5%、少なくとも約6%、少なくとも約7%、少なくとも約8%、少なくとも約9%、少なくとも約10%、少なくとも約11%、少なくとも約12%、少なくとも約13%、少なくとも約14%、少なくとも約15%、少なくとも約16%、少なくとも約17%、少なくとも約18%、少なくとも約19%、少なくとも約20%、少なくとも約21%、少なくとも約22%、少なくとも約23%、少なくとも約24%、少なくとも約25%、少なくとも約26%、少なくとも約27%、少なくとも約28%、少なくとも約29%、少なくとも約30%、少なくとも約31%、少なくとも約32%、少なくとも約33%、少なくとも約34%、少なくとも約35%、少なくとも約36%、少なくとも約37%、少なくとも約38%、少なくとも約39%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%である。
【0139】
いくつかの実施形態において、末梢血サンプルまたは組織生検中の全末梢血単核細胞に対するCD16陰性細胞のパーセンテージは、約10%~約20%、約10%~約25%、約10%~約30%、約10%~約35%、約10%~約40%、約10%~約45%、約10%~約50%、約15%~約20%、約15%~約25%、約15%~約30%、約15%~約35%、約15%~約40%、約15%~約45%、約15%~約50%、約20%~約25%、約20%~約30%、約20%~約35%、約20%~約40%、約20%~約45%、約20%~約50%、約25%~約30%、約25%~約35%、約25%~約40%、約25%~約45%、約25%~約50%、約30%~約35%、約30%~約40%、約30%~約45%、約30%~約50%、約35%~約40%、約35%~約45%、約35%~約50%、約40%~約45%、約40%~約50%、約45%~約50%である。
CD14陽性およびHLA-DR-高値
【0140】
いくつかの実施形態において、末梢血サンプルまたは組織生検中の全末梢血単核細胞に対するCD14陽性およびHLA-DR-高値細胞のパーセンテージは、少なくとも約5%、少なくとも約6%、少なくとも約7%、少なくとも約8%、少なくとも約9%、少なくとも約10%、少なくとも約11%、少なくとも約12%、少なくとも約13%、少なくとも約14%、少なくとも約15%、少なくとも約16%、少なくとも約17%、少なくとも約18%、少なくとも約19%、少なくとも約20%、少なくとも約21%、少なくとも約22%、少なくとも約23%、少なくとも約24%、少なくとも約25%、少なくとも約26%、少なくとも約27%、少なくとも約28%、少なくとも約29%、少なくとも約30%、少なくとも約31%、少なくとも約32%、少なくとも約33%、少なくとも約34%、少なくとも約35%、少なくとも約36%、少なくとも約37%、少なくとも約38%、少なくとも約39%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%である。
【0141】
いくつかの実施形態において、末梢血サンプルまたは組織生検中の全末梢血単核細胞に対するCD14陽性およびHLA-DR-高値細胞のパーセンテージは、約10%~約20%、約10%~約25%、約10%~約30%、約10%~約35%、約10%~約40%、約10%~約45%、約10%~約50%、約15%~約20%、約15%~約25%、約15%~約30%、約15%~約35%、約15%~約40%、約15%~約45%、約15%~約50%、約20%~約25%、約20%~約30%、約20%~約35%、約20%~約40%、約20%~約45%、約20%~約50%、約25%~約30%、約25%~約35%、約25%~約40%、約25%~約45%、約25%~約50%、約30%~約35%、約30%~約40%、約30%~約45%、約30%~約50%、約35%~約40%、約35%~約45%、約35%~約50%、約40%~約45%、約40%~約50%、約45%~約50%である。
CD14陽性およびCD16陰性
【0142】
いくつかの実施形態において、末梢血サンプルまたは組織生検中の全末梢血単核細胞に対するCD14陽性およびCD16陰性細胞のパーセンテージは、少なくとも約5%、少なくとも約6%、少なくとも約7%、少なくとも約8%、少なくとも約9%、少なくとも約10%、少なくとも約11%、少なくとも約12%、少なくとも約13%、少なくとも約14%、少なくとも約15%、少なくとも約16%、少なくとも約17%、少なくとも約18%、少なくとも約19%、少なくとも約20%、少なくとも約21%、少なくとも約22%、少なくとも約23%、少なくとも約24%、少なくとも約25%、少なくとも約26%、少なくとも約27%、少なくとも約28%、少なくとも約29%、少なくとも約30%、少なくとも約31%、少なくとも約32%、少なくとも約33%、少なくとも約34%、少なくとも約35%、少なくとも約36%、少なくとも約37%、少なくとも約38%、少なくとも約39%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%である。
【0143】
いくつかの実施形態において、末梢血サンプルまたは組織生検中の全末梢血単核細胞に対するCD14陽性およびCD16陰性細胞のパーセンテージは、約10%~約20%、約10%~約25%、約10%~約30%、約10%~約35%、約10%~約40%、約10%~約45%、約10%~約50%、約15%~約20%、約15%~約25%、約15%~約30%、約15%~約35%、約15%~約40%、約15%~約45%、約15%~約50%、約20%~約25%、約20%~約30%、約20%~約35%、約20%~約40%、約20%~約45%、約20%~約50%、約25%~約30%、約25%~約35%、約25%~約40%、約25%~約45%、約25%~約50%、約30%~約35%、約30%~約40%、約30%~約45%、約30%~約50%、約35%~約40%、約35%~約45%、約35%~約50%、約40%~約45%、約40%~約50%、約45%~約50%である。
HLA-DR-高値およびCD16陰性
【0144】
いくつかの実施形態において、末梢血サンプルまたは組織生検中の全末梢血単核細胞に対するHLA-DR-高値およびCD16陰性細胞のパーセンテージは、少なくとも約5%、少なくとも約6%、少なくとも約7%、少なくとも約8%、少なくとも約9%、少なくとも約10%、少なくとも約11%、少なくとも約12%、少なくとも約13%、少なくとも約14%、少なくとも約15%、少なくとも約16%、少なくとも約17%、少なくとも約18%、少なくとも約19%、少なくとも約20%、少なくとも約21%、少なくとも約22%、少なくとも約23%、少なくとも約24%、少なくとも約25%、少なくとも約26%、少なくとも約27%、少なくとも約28%、少なくとも約29%、少なくとも約30%、少なくとも約31%、少なくとも約32%、少なくとも約33%、少なくとも約34%、少なくとも約35%、少なくとも約36%、少なくとも約37%、少なくとも約38%、少なくとも約39%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%である。
【0145】
いくつかの実施形態において、末梢血サンプルまたは組織生検中の全末梢血単核細胞に対するHLA-DR-高値およびCD16陰性細胞のパーセンテージは、約10%~約20%、約10%~約25%、約10%~約30%、約10%~約35%、約10%~約40%、約10%~約45%、約10%~約50%、約15%~約20%、約15%~約25%、約15%~約30%、約15%~約35%、約15%~約40%、約15%~約45%、約15%~約50%、約20%~約25%、約20%~約30%、約20%~約35%、約20%~約40%、約20%~約45%、約20%~約50%、約25%~約30%、約25%~約35%、約25%~約40%、約25%~約45%、約25%~約50%、約30%~約35%、約30%~約40%、約30%~約45%、約30%~約50%、約35%~約40%、約35%~約45%、約35%~約50%、約40%~約45%、約40%~約50%、約45%~約50%である。
CD14陽性、HLA-DR-高値およびCD16陰性
【0146】
いくつかの実施形態において、末梢血サンプルまたは組織生検中の全末梢血単核細胞に対するCD14陽性、HLA-DR-高値およびCD16陰性細胞のパーセンテージは、少なくとも約5%、少なくとも約6%、少なくとも約7%、少なくとも約8%、少なくとも約9%、少なくとも約10%、少なくとも約11%、少なくとも約12%、少なくとも約13%、少なくとも約14%、少なくとも約15%、少なくとも約16%、少なくとも約17%、少なくとも約18%、少なくとも約19%、少なくとも約20%、少なくとも約21%、少なくとも約22%、少なくとも約23%、少なくとも約24%、少なくとも約25%、少なくとも約26%、少なくとも約27%、少なくとも約28%、少なくとも約29%、少なくとも約30%、少なくとも約31%、少なくとも約32%、少なくとも約33%、少なくとも約34%、少なくとも約35%、少なくとも約36%、少なくとも約37%、少なくとも約38%、少なくとも約39%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%である。
【0147】
いくつかの実施形態において、末梢血サンプルまたは組織生検中の全末梢血単核細胞に対するCD14陽性、HLA-DR-高値およびCD16陰性細胞のパーセンテージは、約10%~約20%、約10%~約25%、約10%~約30%、約10%~約35%、約10%~約40%、約10%~約45%、約10%~約50%、約15%~約20%、約15%~約25%、約15%~約30%、約15%~約35%、約15%~約40%、約15%~約45%、約15%~約50%、約20%~約25%、約20%~約30%、約20%~約35%、約20%~約40%、約20%~約45%、約20%~約50%、約25%~約30%、約25%~約35%、約25%~約40%、約25%~約45%、約25%~約50%、約30%~約35%、約30%~約40%、約30%~約45%、約30%~約50%、約35%~約40%、約35%~約45%、約35%~約50%、約40%~約45%、約40%~約50%、約45%~約50%である。
【0148】
いくつかの実施形態において、生体サンプルの単位体積あたりのCD14陽性、HLA-DR-高値、および/またはCD16陰性細胞の数が決定される。単位体積の非限定的な例として、ピコリットル(pL)、ナノリットル(nL)、マイクロリットル(μL)、ミリリットル(mL)、デシリットル(dL)、およびリットル(L)が挙げられる。いくつかの実施形態において、生体サンプルの単位体積あたりのCD14陽性、HLA-DR-高値、および/またはCD16陰性細胞の数が、HDAC阻害剤と第二の治療薬とを含む併用療法を投与するために患者を選択するために利用される。いくつかの実施形態において、生体サンプルは末梢血液サンプルである。
【0149】
いくつかの実施形態において、生体サンプルの単位体積あたりのCD14陽性、HLA-DR-高値、および/またはCD16陰性細胞の数は、単位体積あたり約1個、約2個、約3個、約4個、約5個、約6個、約7個、約8個、約9個、約10個、約15個、約20個、約25個、約30個、約35個、約40個、約45個、約50個、約60個、約70個、約80個、約90個、約100個、約150個、約200個、約250個、約300個、約350個、約400個、約450個、約500個、約600個、約700個、約800個、約900個、約1000個、約1500個、約2000個、約2500個、約3000個、約3500個、約4000個、約4500個、約5000個、約6000個、約7000個、約8000個、約9000個、約10000個、約15000個、約20000個、約25000個、約30000個、約35000個、約40000個、約45000個、約50000個、約60000個、約70000個、約80000個、約90000個または約100000個である。
【0150】
いくつかの実施形態において、生体サンプルの単位体積あたりのCD14陽性、HLA-DR-高値、および/またはCD16陰性細胞の数は、単位体積あたり約1個~約2個、約2~約3個、約3個~約4個、約4個~約5個、約5個~約6個、約6個~約7個、約7個~約8個、約8個~約9個、約9個~約10個、約10個~約15個、約15個~約20個、約20個~約25個、約25個~約30個、約30個~約35個、約35個~約40個、約40個~約45個、約45個~約50個、約50個~約60個、約60個~約70個、約70個~約80個、約80個~約90個、約90個~約100個、約100個~約150個、約150個~約200個、約200個~約250個、約250個~約300個、約300個~約350個、約350個~約400個、約400個~約450個、約450個~約500個、約500個~約600個、約600個~約700個、約700個~約800個、約800個~約900個、約900個~約1000個、約1000個~約1500個、約1500個~約2000個、約2000個~約2500個、約2500個~約3000個、約3000個~約3500個、約3500個~約4000個、約4000個~約4500個、約4500個~約5000個、約5000個~約6000個、約6000個~約7000個、約7000個~約8000個、約8000個~約9000個、約9000個~約10000個、約10000個~約15000個、約15000個~約20000個、約20000個~約25000個、約25000個~約30000個、約30000個~約35000個、約35000個~約40000個、約40000個~約45000個、約45000個~約50000個、約50000個~約60000個、約60000個~約70000個、約70000個~約80000個、約80000個~約90000個または約90000個~約100000個である。
【0151】
いくつかの実施形態において、CD14陽性、HLA-DR-高値、および/またはCD16陰性細胞、ならびに末梢血単核細胞は、フローサイトメトリー、マスサイトメトリー、サイトスピン、または免疫組織化学を使用して測定される。
【0152】
フローサイトメトリーは、細胞を液体の流れの中で懸濁させ、電子検出装置に細胞を通過させることによって、細胞計測、セルソーティング、およびバイオマーカーの検出において使用される、レーザーに基づく技術である。フローサイトメトリーは、1秒間あたり最大数千個の粒子について、その物理的および化学的特徴の同時マルチパラメトリック解析を可能にする。
【0153】
マスサイトメトリーは、細胞の同一性および機能を決定するための誘導結合プラズマ質量分析に基づく質量分析技術である。この技術では、結合剤は、同位体として純粋な希土類元素でタグ化されている。これらの結合剤は、次にタグ細胞およびその構成成分に適用される。細胞は噴霧され、そして多原子希土類元素タグをイオン化させるアルゴンプラズマレーザーを通じて送られる。イオン化したタグ化細胞は、次に飛行時間型質量分析計により分析される。マスサイトメトリーの長所として、フローサイトメトリーではスペクトルオーバーラップにより限界が生じてしまうが、その限界を克服する能力が挙げられる。
【0154】
サイトスピンは、細胞染色および細胞計測のための塗抹として、懸濁細胞をガラススライド上で遠心分離する技術である。低粘度培地中に存在する濃縮した細胞懸濁物は、塗抹調製物としての優良候補となる。希薄な培地中に存在する希薄な細胞懸濁物は、細胞遠心分離を通じたサイトスピンの調製物として最適である。高粘度培地中に存在する細胞懸濁物は、スワブ調製物として試験するのに最適である。これらの調製物で共通する点として、細胞全体がスライド表面上に存在することが挙げられる。
【0155】
免疫組織化学は、生物学的組織中の抗原と特異的に結合する抗体の原理を利用することにより、組織切片の細胞内の抗原を検出するための組織学的染色の一種である。抗体-抗原相互作用の可視化は、いくつかの方法で実現可能である。抗体は、発色反応を触媒し得る酵素、例えばペルオキシダーゼに結合し得る。あるいは、抗体は、蛍光物質、例えばフルオレセインまたはローダミンにタグ化され得る。
【0156】
いくつかの実施形態において、CD14陽性、HLA-DR-高値、および/またはCD16陰性細胞、ならびに末梢血単核細胞は、細胞表面マーカーによって同定される。末梢血単核細胞を同定する細胞表面マーカーの非限定的な例としては、CD3、CD14、CD19、CD56、およびHLA-DRが挙げられる。
【0157】
いくつかの実施形態において、CD14陽性、HLA-DR-高値、および/またはCD16陰性細胞は、CD14、高レベルのHLA-DRおよびCD16の不存在によって同定され、かつ、末梢血単核細胞はCD3によって同定される。いくつかの実施形態において、CD14陽性、HLA-DR-高値、および/またはCD16陰性細胞は、CD14、高レベルのHLA-DRおよびCD16の不存在によって同定され、かつ、末梢血単核細胞はCD14によって同定される。いくつかの実施形態において、CD14陽性、HLA-DR-高値、および/またはCD16陰性細胞は、CD14、高レベルのHLA-DRおよびCD16の不存在によって同定され、かつ、末梢血単核細胞はCD19によって同定される。いくつかの実施形態において、CD14陽性、HLA-DR-高値、および/またはCD16陰性細胞は、CD14、高レベルのHLA-DRおよびCD16の不存在によって同定され、かつ、末梢血単核細胞はCD56によって同定される。いくつかの実施形態において、CD14陽性、HLA-DR-高値、および/またはCD16陰性細胞は、CD14、高レベルのHLA-DRおよびCD16の不存在によって同定され、かつ、末梢血単核細胞はHLA-DRによって同定される。いくつかの実施形態において、CD14陽性、HLA-DR-高値、および/またはCD16陰性細胞は、CD14、高レベルのHLA-DRおよびCD16の不存在によって同定され、かつ、末梢血単核細胞はCD3、CD14、CD19、CD56、およびHLA-DRによって同定される。いくつかの実施形態において、CD14陽性、HLA-DR-高値、および/またはCD16陰性細胞は、CD14、高レベルのHLA-DRおよびCD16の不存在によって同定され、かつ、末梢血単核細胞はCD14によって同定される。
追加療法
【0158】
本明細書に記載した癌のための、本明細書に開示の療法と併用して有利に採用され得る、利用可能な追加処置として、非限定的に、アジュバント療法としての放射線療法、化学療法、抗体療法、およびチロシンキナーゼ阻害剤が挙げられる。
【0159】
放射線療法は、癌細胞を殺傷するかまたは癌細胞が増殖するのを防ぐために、高エネルギーX線または他の種類の放射線を使用する癌処置である。化学療法は、細胞を殺傷することにより、または細胞が分裂するのを停止させることにより、癌細胞の増殖を停止させる薬物を使用する癌処置である。化学療法が、経口により摂取されるか、または血管もしくは筋肉に注射される場合、薬物は血流に進入し、全身にわたり、癌細胞に到達することができる(全身化学療法)。化学療法が、脊柱、臓器、または体腔、例えば腹部に直接施される場合、薬物は、そのような領域内の癌細胞に主に影響を及ぼす(局所化学療法)。化学療法を与える方法は、処置される癌の型および病期に依存する。
【0160】
肺癌を処置するために、異なる化学療法剤が当技術分野において公知である。肺癌を処置するために使用される細胞毒性剤としては、カルボプラチン(例えば、Paraplatin(登録商標)、Paraplat(登録商標))、シスプラチン(例えば、Platinol(登録商標)、Platinol-Aq(登録商標))、クリゾチニブ(例えば、Xalkori(登録商標))、エトポシド(例えば、Toposar(登録商標)、VePesid(登録商標))、リン酸エトポシド(例えば、Etopophos(登録商標))、塩酸ゲムシタビン(例えば、Gemzar(登録商標))、ゲムシタビン-シスプラチン、メトトレキサート(例えば、Abitrexate(登録商標)、Folex(登録商標)、Folex Pfs(登録商標)、Methotrexate Lpf(登録商標)、Mexate(登録商標)、Mexate-Aq(登録商標))、パクリタキセル(例えば、Taxol(登録商標))、ペメトレキセド二ナトリウム(例えば、Alimta(登録商標))、塩酸トポテカン(例えば、Hycamtin(登録商標))、およびエルロチニブ(例えば、Tarceva(登録商標))が挙げられる。
【0161】
メラノーマを処置するために、アルデスロイキン(例えば、Proleukin(登録商標))、ダブラフェニブ(例えば、Tafinlar(登録商標))、ダカルバジン(例えば、DTIC-Dome(登録商標))、組換えインターフェロンアルファ-2b(例えば、Intron(登録商標)A)、イピリムマブ(例えば、Yervoy(登録商標))、ペムブロリズマブ(例えば、Keytruda(登録商標))、トラメチニブ(例えば、Mekinist(登録商標))、ニボルマブ(例えば、Opdivo(登録商標))、ペグインターフェロンアルファ-2b(例えば、Pegintron(登録商標)、Sylatron(登録商標))、ベムラフェニブ(例えば、Zelboraf(登録商標))を含めた様々な薬剤が当技術分野において公知である。
【0162】
乳癌を処置するために、例えば、アナストラゾール(Arimidex(登録商標)など)、エキセメスタン(例えば、Aromasin(登録商標))、ファドロゾール(Afema(登録商標)など)、フォルメスタン(Lentaron(登録商標)など)、レトロゾール(Femara(登録商標)など)、ボロゾール(Rivizor(登録商標)など)などのアロマターゼ阻害剤を含めた様々な薬剤が当該技術分野において公知である。
【0163】
モノクロナール抗体療法は、一種類の免疫系細胞から、研究室内で作成された抗体を使用する癌処置である。これらの抗体は、癌細胞が増殖するのを支援し得る癌細胞上の物質、または正常な物質を同定することができる。抗体は、物質に結合するか、癌細胞を殺傷するか、癌細胞が増殖するのを遮断するか、または癌細胞が広がるのを防ぐ。モノクロナール抗体は、輸液により与えられる。モノクロナール抗体は、単独で、または薬物、毒素、もしくは放射性物質を癌細胞に直接運ぶために使用することができる。また、モノクロナール抗体は、アジュバント療法として、化学療法と組み合わせても使用される。
【0164】
本明細書に開示の組成物および療法と有利に組み合わせることができる、さらなる実例的な処置として、ラパチニブ単独、あるいはカペシタビン、ドセタキセル、エピルビシン、エポチロンA、B、もしくはD、酢酸ゴセレリン、パクリタキセル、パミドロネート、ベバシズマブ、またはトラスツズマブと組み合わせたラパチニブを含むが、これらに限定されない薬剤の投与を非限定的に挙げることができる。
【0165】
いくつかの実施形態において、追加療法は、ドキソルビシン、シクロホスファミド、パクリタキセル、ラパチニブ、カペシタビン、トラスツズマブ、ベバシズマブ、ゲムシタビン、エリブリン、またはnab-パクリタキセルのうちの1つまたは複数を、対象に投与することを含む化学療法を含む。
経口製剤
【0166】
本明細書に記載されている薬学的な有効成分を含有する経口製剤は、錠剤、カプセル剤、丸剤、トローチ、ロゼンジ、香錠、カシェ剤、ペレット、薬用チューインガム、顆粒、バルク粉末、発泡性または非発泡性の粉末または顆粒、液剤、エマルジョン、懸濁剤、液剤、オブラート、散布剤(sprinkle)、エリキシル剤、シロップ剤、口腔用形態、および経口液体を含む、任意の慣習的に使用される経口形態を含み得る。カプセル剤は、活性化合物(複数可)と、不活性な充填剤または希釈剤、例えば薬学的に許容されるデンプン(例えば、トウモロコシ、ジャガイモ、またはタピオカのデンプン)、糖、人工甘味料、粉末化セルロース、例えば結晶および微結晶セルロース、フラワー、ゼラチン、ガム等との混合物を含有してよい。有用な錠剤製剤は、従来の圧縮法、湿式造粒法または乾式造粒法により作製され得るが、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、タルク、ラウリル硫酸ナトリウム、微結晶セルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、ポリビニルピロリドン、ゼラチン、アルギン酸、アカシアガム、キサンタンガム、クエン酸ナトリウム、複合ケイ酸塩、炭酸カルシウム、グリシン、デキストリン、スクロース、ソルビトール、リン酸二カルシウム、硫酸カルシウム、ラクトース、カオリン、マンニトール、塩化ナトリウム、タルク、乾燥デンプン、および粉末化された糖を含むが、これらに限定されない、薬学的に許容される希釈剤、結着剤、滑沢剤、崩壊剤、表面改質剤(界面活性剤を含む)、懸濁化剤または安定化剤を利用する。いくつかの実施形態において、表面改質剤として、非イオン性および陰イオン性の表面改質剤が挙げられる。例えば、表面改質剤として、ポロキサマー188、塩化ベンザルコニウム、ステアリン酸カルシウム、セトステアリルアルコール、セトマクロゴール乳化ワックス、ソルビタンエステル、コロイド状二酸化ケイ素、ホスフェート、ドデシル硫酸ナトリウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、およびトリエタノールアミンが挙げられるが、これらに限定されない。本明細書の経口製剤は、活性化合物(複数可)の吸収を変化させるために、標準的な遅延放出型または限時放出型の製剤を利用し得る。また、経口製剤は、必要に応じて、好適な可溶化剤または乳化剤を含有する水または果汁中の有効成分を投与することから構成される場合もある。
経口投与
【0167】
本明細書に記載されているように、本明細書に記載されている併用療法は、同時に与えることができるか、または時間差レジメン(staggered regimen)で与えることができ、HDAC阻害剤またはエンチノスタットが、化学療法の過程で、第二の医薬剤と比較して異なる時期に与えられる。この時期的な相違は、2つの成分の投与間で、数分間、数時間、数日間、数週間の範囲、またはそれより長い範囲に及ぶ可能性がある。したがって、併用という用語は、同時に、または単一の用量として投与されることを必ずしも意味しないが、各成分は、所望の処置期間内に投与される。また、薬剤は、異なる経路によって投与され得る。化学療法レジメンとして一般的なように、化学療法の過程は、数週間後に反復されてもよく、2つの化合物の投与について、同一の時間枠に従ってもよく、また患者の応答に基づき修正を加えてもよい。
【0168】
他の実施形態において、本明細書において提供される医薬組成物は、経口投与用の固体、半固体、または液体の剤形で提供され得る。本明細書で使用する場合、経口投与として、口腔、舌側、および舌下投与が挙げられる。好適な経口剤形として、錠剤、カプセル剤、丸剤、トローチ、ロゼンジ、香錠、カシェ剤、ペレット、薬用チューインガム、顆粒、バルク粉末、発泡性または非発泡性の粉末、または顆粒、液剤、エマルジョン、懸濁剤、液剤、オブラート、散布剤、エリキシル剤、およびシロップ剤が挙げられるが、これらに限定されない。有効成分(複数可)に加えて、医薬組成物は、結合剤、充填剤、希釈剤、崩壊剤、湿潤剤、滑沢剤、流動促進剤、着色剤、色素移動阻害剤、甘味料、および矯味矯臭剤を含むが、これらに限定されない1つまたは複数の薬学的に許容される担体または賦形剤を含有してよい。
【0169】
結合剤または造粒剤は、錠剤に粘着性を付与し、圧縮後に錠剤が無傷のままであることを確実にする。好適な結合剤または造粒剤として、デンプン、例えばトウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、およびアルファ化デンプン(例えば、STARCH 1500);ゼラチン;糖、例えばスクロース、グルコース、デキストロース、糖蜜、およびラクトース;天然および合成ガム、例えばアカシア、アルギン酸、アルギネート、トチャカの抽出物、パンワールガム、ガッチゴム、イサゴールハスクの漿剤、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン(PVP)、ビーガム、カラマツアラビノガラクタン、粉末化されたトラガント、およびグアーガム;セルロース、例えばエチルセルロース、セルロースアセテート、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシルメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC);微結晶セルロース、例えばAVICEL-PH-101、AVICEL-PH-103、AVICEL RC-581、AVICEL-PH-105(FMC Corp.、Marcus Hook, PA);およびその混合物が挙げられるが、これらに限定されない。好適な充填剤として、タルク、炭酸カルシウム、微結晶セルロース、粉末化セルロース、デキストレート、カオリン、マンニトール、ケイ酸、ソルビトール、デンプン、アルファ化デンプン、およびその混合物が挙げられるが、これらに限定されない。結合剤または充填剤は、本明細書において提供される医薬組成物中に、約50重量%~約99重量%存在し得る。
【0170】
好適な希釈剤として、リン酸二カルシウム、硫酸カルシウム、ラクトース、ソルビトール、スクロース、イノシトール、セルロース、カオリン、マンニトール、塩化ナトリウム、乾燥デンプン、および粉末化された糖が挙げられるが、これらに限定されない。ある特定の希釈剤、例えばマンニトール、ラクトース、ソルビトール、スクロース、およびイノシトールは、十分な量で存在する場合、一部の圧縮錠剤に、咀嚼により口内で崩壊可能にする特性を付与し得る。そのような圧縮錠剤は、チュアブル錠剤として使用することができる。
【0171】
好適な崩壊剤として、寒天;ベントナイト;セルロース、例えばメチルセルロースおよびカルボキシメチルセルロース;木質生成物;天然のスポンジ;陽イオン交換樹脂;アルギン酸;ガム、例えばグアーガムおよびビーガムHV;かんきつ類の髄質;架橋セルロース、例えばクロスカルメロース;架橋ポリマー、例えばクロスポビドン;架橋デンプン;炭酸カルシウム;微結晶セルロース、例えばデンプングリコール酸ナトリウム;ポラクリリンカリウム;デンプン、例えばトウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、タピオカデンプン、およびアルファ化デンプン;粘土;アライン(align);ならびにその混合物が挙げられるが、これらに限定されない。本明細書において提供される医薬組成物内の崩壊剤の量は、製剤の種類によって変化し、当業者にとって容易に識別可能である。本明細書において提供される医薬組成物は、約0.5重量%~約15重量%、または約1重量%~約5重量%の崩壊剤を含有し得る。
【0172】
好適な滑沢剤として、ステアリン酸カルシウム;ステアリン酸マグネシウム;鉱油;軽油;グリセリン;ソルビトール;マンニトール;グリコール、例えばベヘン酸グリセリルおよびポリエチレングリコール(PEG);ステアリン酸;ラウリル硫酸ナトリウム;タルク;ピーナッツ油、綿実油、ヒマワリ油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油、およびダイズ油を含む水添植物油;ステアリン酸亜鉛;オレイン酸エチル;ラウリン酸エチル;寒天;デンプン;リコポディウム(lycopodium);シリカまたはシリカゲル、例えばAEROSIL(登録商標)200(W.R.Grace Co., Baltimore, MD)およびCAB-O-SIL(登録商標)(Cabot Co. of Boston, MA);ならびにその混合物が挙げられるが、これらに限定されない。本明細書において提供される医薬組成物は、約0.1重量%~約5重量%の滑沢剤を含有し得る。
【0173】
好適な流動促進剤として、コロイド状二酸化ケイ素、CAB-O-SIL(登録商標)(Cabot Co. of Boston、MA)、およびアスベストを含まないタルクが挙げられる。着色剤として、任意の承認済みの認可された水溶性FD&C色素、およびアルミナ水和物に懸濁した水不溶性FD&C色素、およびレーキ顔料、ならびにその混合物が挙げられる。レーキ顔料は、水溶性色素を重金属の水和酸化物に吸着させた組み合わせであり、その結果、不溶性形態の色素が生ずる。矯味矯臭剤として、植物、例えば果物から抽出される天然の着香剤、および口あたりのよい味覚を生じる化合物、例えばペパーミントおよびサルチル酸メチルの合成ブレンドが挙げられる。甘味料として、スクロース、ラクトース、マンニトール、シロップ、グリセリン、および人工甘味料、例えばサッカリンおよびアスパルテームが挙げられる。好適な乳化剤として、ゼラチン、アカシア、トラガント、ベントナイト、および界面活性剤、例えばポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(TWEEN(登録商標)20)、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート80(TWEEN(登録商標)80)、およびトリエタノールアミンオレエートが挙げられる。懸濁化剤および分散剤として、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ペクチン、トラガント、ビーガム、アカシア、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、およびポリビニルピロリドンが挙げられる。防腐剤として、グリセリン、メチルおよびプロピルパラベン、安息香酸(benzoic add)、安息香酸ナトリウム、ならびにアルコールが挙げられる。湿潤剤として、プロピレングリコールモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ジエチレングリコールモノラウレート、およびポリオキシエチレンラウリルエーテルが挙げられる。溶媒として、グリセリン、ソルビトール、エチルアルコール、およびシロップが挙げられる。エマルジョンで利用される非水性液体の例としては、鉱油および綿実油が挙げられる。有機酸として、クエン酸および酒石酸が挙げられる。二酸化炭素供給源としては、重炭酸ナトリウムおよび炭酸ナトリウムが挙げられる。
【0174】
多くの担体および賦形剤が、同一の製剤内であっても、いくつかの機能を担い得ると理解すべきである。
【0175】
さらなる実施形態において、本明細書において提供される医薬組成物は、圧縮錠剤、すりこみ錠剤、チュアブルロゼンジ、速溶性錠剤、多重圧縮錠剤、または腸溶性コーティング錠剤、糖コーティングもしくはフィルムコーティングされた錠剤として提供され得る。腸溶性コーティング錠剤は、胃酸の作用に耐性であるが、腸内で溶解または崩壊し、したがって胃の酸性環境から有効成分を保護する物質でコーティングされた圧縮錠剤である。腸溶性コーティングとして、脂肪酸、脂肪、フェニルサリチレート、ワックス、シェラック、アンモニア含有シェラック、およびセルロースアセテートフタレートが挙げられるが、これらに限定されない。糖コーティング錠剤は、不快な味または臭気を隠蔽し、錠剤を酸化から保護する上で有益であり得る糖コーティングで囲まれた圧縮錠剤である。フィルムコーティング錠剤は、水溶性物質の薄層またはフィルムで覆われた圧縮錠剤である。フィルムコーティングとして、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリエチレングリコール4000、およびセルロースアセテートフタレートが挙げられるが、これらに限定されない。フィルムコーティングは、糖コーティングと同じ一般的特徴を付与する。多重圧縮錠剤は、2以上の圧縮サイクルにより作製される圧縮錠剤であり、層状化錠剤、およびプレスコーティング錠剤または乾燥コーティング錠剤が含まれる。
【0176】
錠剤剤形は、粉末形態、結晶形態、または顆粒形態の有効成分を単独で、あるいは有効成分を結合剤、崩壊剤、制御放出型ポリマー、滑沢剤、希釈剤または着色料を含む、本明細書に記載されている1つもしくは複数の担体または賦形剤と組み合わせて調製され得る。矯味矯臭剤および甘味料は、チュアブル錠剤およびロゼンジを形成する上で特に有用である。
【0177】
本明細書で提供される医薬組成物は、ゼラチン、メチルセルロース、デンプン、またはアルギン酸カルシウムから作製可能な軟質カプセル剤または硬質カプセル剤として提供され得る。硬質ゼラチンカプセルは、乾燥充填カプセル(DFC)としても知られており、一方が他方の上をスライドする2つのセクションから構成され、したがって有効成分を完全に封入する。軟質弾性カプセル(SEC)は、柔らかく球形のシェル、例えばゼラチンシェルであり、グリセリン、ソルビトール、または類似するポリオールの添加により可塑化される。軟質ゼラチンシェルは、微生物の増殖を防止する防腐剤を含有してよい。好適な防腐剤は、メチルおよびプロピルパラベン、ならびにソルビン酸を含む、本明細書に記載されているような防腐剤である。本明細書において提供される液体、半固体、および固体剤形は、カプセル内に被包され得る。好適な液体および半固体剤形として、プロピレンカーボネート、植物油、またはトリグリセリドにおける液剤および懸濁剤が挙げられる。そのような液剤を含有するカプセル剤は、米国特許第4,328,245号、同第4,409,239号、および同第4,410,545号の記載に従い調製可能である。カプセル剤は、有効成分の溶解を改変または維持するために、当業者に公知であるようにコーティングすることも可能である。
【0178】
他の実施形態において、本明細書において提供される医薬組成物は、エマルジョン、液剤、懸濁剤、エリキシル剤、およびシロップ剤を含む、液体および半固体の剤形で提供され得る。エマルジョンは、一方の液体が他方の液体全体にわたり、小球体の形態で分散している二相系であり、水中油型または油中水型であり得る。エマルジョンは、薬学的に許容される非水性液体または溶媒、乳化剤、および防腐剤を含み得る。懸濁剤は、薬学的に許容される懸濁化剤および防腐剤を含み得る。アルコール水溶液は、薬学的に許容されるアセタール、例えば低級アルキルアルデヒド(用語「低級」とは、1から6個の間の炭素原子を有するアルキルを意味する)のジ(低級アルキル)アセタール、例えば、アセトアルデヒドジエチルアセタール;および1つまたは複数のヒドロキシル基、例えばプロピレングリコールおよびエタノールを有する水混和性溶媒を含み得る。エリキシル剤は、甘くされた透明な含水アルコール溶液である。シロップ剤は、糖、例えば、スクロースの濃縮水溶液であり、防腐剤を含有してもよい。液体剤形の場合、例えば、ポリエチレングリコールの溶液は、投与のための測定に便利なように、十分な量の薬学的に許容される液体担体、例えば、水で希釈され得る。
【0179】
他の有用な液体および半固体の剤形として、本明細書において提供される有効成分(複数可)、および1,2-ジメトキシメタン、ジグリム、トリグリム、テトラグリム、ポリエチレングリコール-350-ジメチルエーテル、ポリエチレングリコール-550-ジメチルエーテル、ポリエチレングリコール-750-ジメチルエーテルを含み、350、550、および750がポリエチレングリコールのおよその平均分子量を表す、ジアルキル化されたモノ-またはポリ-アルキレングリコールを含有する剤形が挙げられるが、これらに限定されない。これらの製剤は、1つまたは複数の酸化防止剤、例えばブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、没食子酸プロピル、ビタミンE、ヒドロキノン、ヒドロキシクマリン、エタノールアミン、レシチン、セファリン、アスコルビン酸、リンゴ酸、ソルビトール、リン酸、亜硫酸水素塩、メタ亜硫酸水素ナトリウム、チオジプロピオン酸、およびそのエステル、ならびにジチオカーバメートをさらに含み得る。
【0180】
経口投与のために本明細書において提供される医薬組成物は、リポソーム、ミセル、ミクロスフェア、またはナノシステムの形態でも提供され得る。ミセル型の剤形は、米国特許第6,350,458号の記載に従い調製可能である。
【0181】
他の実施形態において、本明細書において提供される医薬組成物は、液体剤形に再構成される非発泡性または発泡性の顆粒および粉末として提供され得る。非発泡性顆粒または粉末で使用される薬学的に許容される担体および賦形剤は、希釈剤、甘味料、および湿潤剤を含み得る。発泡性の顆粒または粉末において使用される薬学的に許容される担体および賦形剤は、有機酸および二酸化炭素供給源を含み得る。
【0182】
着色剤および矯味矯臭剤は、上記剤形のいずれにおいても使用することができる。
【0183】
本明細書において提供される医薬組成物は、遅延式、持続式、パルス式、制御式、標的化式、およびプログラム式の放出形態を含む、即時型または改変型の放出剤形として製剤化され得る。
【0184】
さらなる実施形態において、本明細書において提供される医薬組成物は、所望の治療作用を損なわない他の有効成分、または所望の作用を補完する物質と共に製剤化され得る。いくつかの実施形態において、抗PD-1抗体、抗PD-L1、および/またはCTLA4遮断治療薬、ならびにHDAC阻害剤を、短期間のうちに投与する(例えば、抗PD-1抗体、抗PD-L1および/またはCTLA4遮断治療薬、ならびにHDAC阻害剤を、同時に投与する)。したがって、本開示は、抗PD-1抗体、抗PD-L1および/またはCTLA4遮断治療薬、ならびにHDAC阻害剤を短期間のうちに投与することを含む、癌を治療または予防する方法を提供する。
いくつかの実施形態において、「短期間のうちに」とは、一方の治療薬の治療効果が別の治療薬の治療効果と重複するように、一方の治療薬の投与が別の治療薬の投与前または後のある期間内に起こることを意味する。いくつかの実施形態において、一方の治療薬の治療効果が、もう片方の治療薬の治療効果と完全に重複する。いくつかの実施形態において、「短期間のうちに」とは、一方の治療薬と別の治療薬との間に相乗効果があるように、一方の治療薬の投与が別の治療薬の投与前または後のある期間内に起こることを意味する。「短期間のうちに」とは、これだけに限定されるものではないが、治療薬が投与される対象の年齢、性別、重量、遺伝的背景、医療状況、病歴、および治療歴;治療または改善されるべき疾患または状態;達成されるべき治療結果;治療薬の投薬量、投薬頻度、および投薬持続期間;治療薬の薬物動力学および薬力学;治療薬が投与される(単数もしくは複数の)経路を含めた、様々な要因に従って変動し得る。いくつかの実施形態において、「短期間のうちに」とは、15分以内、30分以内、1時間以内、2時間以内、4時間以内、6時間以内、8時間以内、12時間以内、18時間以内、24時間以内、36時間以内、2日以内、3日以内、4日以内、5日以内、6日以内、1週間以内、2週間以内、3週間以内、4週間以内、6週間以内、または8週間以内を意味する。いくつかの実施形態において、一方の治療薬の反復投与は、別の治療薬の単独投与に対して短期間のうちに起こり得る。いくつかの実施形態において、短期間のうちにとは、処置サイクルまたは投薬レジメンの間で変化し得る。
【実施例0185】
実施例1.ペムブロリズマブとのエンチノスタット併用療法のためのNSCLC患者の選択
第二の治療薬と組み合わせたHDAC阻害剤による併用処置のために患者を選択するために、末梢血液サンプルを患者から採取する。患者は、抗PD-1または抗PD-L1処置中に進行したか、または抗PD-1または抗PD-L1処置に対して応答しなかった非小細胞肺癌と診断された。末梢血液サンプル5ミリリットル(mL)をEDTA採血チューブに採取し、それを氷上で急速に冷却する。血液サンプルを、コニカルチューブに移し、そして赤血球溶解バッファー15mLで稀釈し、そして室温で10分間インキュベートする。赤血球の溶解物を、リン酸緩衝化生理食塩水(PBS)30mLで稀釈することによりクエンチする。細胞懸濁物を、400×g、4℃で5分間遠心分離し、そして上清を廃棄する。ペレットをPBS、5mL中で再懸濁し、そして新しいコニカルチューブに移す。再懸濁したサンプルを、フィコール(登録商標)5mLで沈降させる。細胞を、遠心機のブレーキをかけずに400×gで20分間遠心分離する。PBSとフィコール(登録商標)層との界面で有核細胞を採取して新品のコニカルチューブに入れる。
【0186】
オリジナルの血液採取量と等しい容積を、新品のコニカルチューブ内のペレットに添加して細胞を洗浄する。細胞懸濁物を、400×g、4℃で5分間遠心分離し、そして上清を廃棄する。細胞を、オリジナルの血液採取量と等しい容積の、1%ウシ血清アルブミンおよび0.5%EDTA(染色バッファー)を含むPBS中で再懸濁する。生存細胞を次に血球計算機を使用して計測する。細胞懸濁物を400×g、4℃で5分間遠心分離し、上清を廃棄し、そして細胞を染色バッファー中で、1mLあたり細胞約107個の細胞濃度に再懸濁し、そして一定分量1mLを、新しいチューブに移す。
【0187】
下記の抗体を再懸濁細胞に添加する:FITC結合抗CD14;PE結合抗HLA-DR;ならびにAPC結合抗CD3、抗CD19、および抗CD56。対照サンプルは、未染色細胞および蛍光色素抗体の各セットのうちの1つが除去された染色細胞を含む。細胞を遮光して露光を最低限に抑え、そして室温で20分間放置する。400×g、4℃で5分間遠心分離することにより、染色した細胞を染色バッファー中で2回洗浄し、上清を廃棄し、そして同容積の染色バッファー中に再懸濁する。染色した細胞を、次にフローサイトメーターで使用するためにポリプロピレンチューブに移す。
【0188】
チューブ毎にフローサイトメトリーデータ取得を自動で行うCytomics FC500フローサイトメーター上で、フローサイトメトリーを実施する。自動測定を行った後、バックグラウンド蛍光(未染色サンプルを使用)および蛍光色素補償(個別に除去された蛍光色素サンプルを使用)の両方について、サンプルを補正する。CD14陽性、HLA-DR-高値およびCD16陰性細胞を、CD14陽性、HLA-DR高発現、ならびにCD16、CD3、CD19、およびCD56陰性によって同定する。末梢血単核細胞は、CD3、CD19およびCD56陽性によって同定された。これらの値を、全末梢血単核細胞中のCD14陽性、HLA-DR-高値、および/またはCD16陰性細胞のパーセンテージを計算するのに使用する。この状況において、患者が少なくとも5%~100%のCD14陽性、HLA-DR-高値、およびCD16陰性細胞のパーセンテージを有し、そして、高いCD14陽性、HLA-DR-高値およびCD16陰性細胞数の存在を示唆する場合、該患者を、エンチノスタットとペムブロリズマブを用いた併用療法のために選択する。
実施例2.ペムブロリズマブとのエンチノスタット併用療法のためのメラノーマ患者の選択
【0189】
ペムブロリズマブを伴ったエンチノスタット併用療法による併用処置のために患者を選択するために、末梢血液サンプルを患者から採取する。患者は、抗PD-1または抗PD-L1処置中に進行したか、または抗PD-1または抗PD-L1処置に対して応答しなかったメラノーマと診断された。末梢血液サンプル5ミリリットル(mL)をEDTA採血チューブに採取し、それを氷上で急速に冷却する。血液サンプルを、コニカルチューブに移し、そして赤血球溶解バッファー15mLで稀釈し、そして室温で10分間インキュベートする。赤血球の溶解物を、リン酸緩衝化生理食塩水(PBS)30mLで稀釈することによりクエンチする。細胞懸濁物を、400×g、4℃で5分間遠心分離し、そして上清を廃棄する。ペレットをPBS、5mL中で再懸濁し、そして新しいコニカルチューブに移す。再懸濁したサンプルを、フィコール(登録商標)5mLで沈降させる。細胞を、遠心機のブレーキをかけずに400×gで20分間遠心分離する。PBSとフィコール(登録商標)層との界面で有核細胞を採取して新品のコニカルチューブに入れる。
【0190】
オリジナルの血液採取量と等しい容積を、新品のコニカルチューブ内のペレットに添加して細胞を洗浄する。細胞懸濁物を、400×g、4℃で5分間遠心分離し、そして上清を廃棄する。細胞を、オリジナルの血液採取量と等しい容積の、1%ウシ血清アルブミンおよび0.5%EDTA(染色バッファー)を含むPBS中で再懸濁する。生存細胞を次に血球計算機を使用して計測する。細胞懸濁物を400×g、4℃で5分間遠心分離し、上清を廃棄し、そして細胞を染色バッファー中で、1mLあたり細胞約107個の細胞濃度に再懸濁し、そして一定分量1mLを、新しいチューブに移す。
【0191】
下記の抗体を再懸濁細胞に添加する:FITC結合抗CD14;PE結合抗HLA-DR;ならびにAPC結合抗CD3、抗CD19、および抗CD56。対照サンプルは、未染色細胞および蛍光色素抗体の各セットのうちの1つが除去された染色細胞を含む。細胞を遮光して露光を最低限に抑え、そして室温で20分間放置する。400×g、4℃で5分間遠心分離することにより、染色した細胞を染色バッファー中で2回洗浄し、上清を廃棄し、そして同容積の染色バッファー中に再懸濁する。染色した細胞を、次にフローサイトメーターで使用するためにポリプロピレンチューブに移す。
【0192】
チューブ毎にフローサイトメトリーデータ取得を自動で行うCytomics FC500フローサイトメーター上で、フローサイトメトリーを実施する。自動測定を行った後、バックグラウンド蛍光(未染色サンプルを使用)および蛍光色素補償(個別に除去された蛍光色素サンプルを使用)の両方について、サンプルを補正する。CD14陽性、HLA-DR-高値およびCD16陰性細胞を、CD14陽性、HLA-DR高発現、ならびにCD16、CD3、CD19、およびCD56陰性によって同定する。末梢血単核細胞は、CD3、CD19およびCD56陽性によって同定された。これらの値を、全末梢血単核細胞中のCD14陽性、HLA-DR-高値、およびCD16陰性細胞のパーセンテージを計算するのに使用する。この状況において、患者が少なくとも5%~100%のCD14陽性、HLA-DR-高値、およびCD16陰性細胞のパーセンテージを有し、そして、高いCD14陽性、HLA-DR-高値およびCD16陰性細胞数の存在を示唆する場合、該患者を、エンチノスタットとペムブロリズマブを用いた併用療法のために選択する。
【0193】
本発明は、その趣旨または基本的な特徴から逸脱することなく、他の具体的な形態で具体化され得る。前述の実施形態は、したがって、本明細書において記載される発明を限定するのではなく、あらゆる点で例示的であるとみなされる。本発明の範囲は、したがって、先の記載によってではなく添付の特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と等しい意味および範囲内に収まる全ての変更は、特許請求の範囲に包含されることが意図される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2023-11-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の癌について予後診断を提供する方法であって、以下の:
癌と診断された該患者からの末梢血サンプルを準備し;
該末梢血サンプル中のCD14陽性、HLA-DR-高値、および/またはCD16陰性である細胞の数を計測し;
該末梢血サンプル中の全末梢血単核細胞の数を計測すること、
を含み、さらに、以下の:
全末梢血単核細胞に対するCD14陽性、HLA-DR-高値、および/またはCD16陰性細胞のパーセンテージが所定のパーセンテージより大きい場合、HDAC阻害剤と第二の治療薬を含む併用療法を該患者に投与すること、
を含む、方法。
【請求項2】
前記患者が、抗PD-1抗体、抗PD-L1抗体、CTLA4遮断抗体、またはそのいずれかの組み合わせを用いた事前の治療法中に悪化した、請求項に記載の方法。
【請求項3】
前記患者が以前に、少なくとも1つの事前の治療法に対して無反応であると見なされた、請求項に記載の方法。
【請求項4】
末梢血サンプル中の、CD14陽性、かつ、HLA-DR-高値であるか、CD14陽性、かつ、CD16陰性であるか、またはHLA-DR-高値、かつ、CD16陰性である細胞の数を計測することを含む、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
末梢血サンプル中の、CD14陽性、HLA-DR-高値およびCD16陰性である細胞の数を計測することを含む、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記末梢血サンプルが、抗凝血物質で処理される、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記抗凝血物質が、EDTAまたはヘパリンである、請求項に記載の方法。
【請求項8】
前記所定のパーセンテージが、少なくとも約5%である、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記所定のパーセンテージが、少なくとも約10%である、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記所定のパーセンテージが、少なくとも約15%である、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記所定のパーセンテージが、少なくとも約20%である、請求項1~1のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記所定のパーセンテージが、少なくとも約25%である、請求項1~1のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記所定のパーセンテージが、少なくとも約30%である、請求項1~1のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記所定のパーセンテージが、少なくとも約35%である、請求項1~1のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記所定のパーセンテージが、少なくとも約40%である、請求項1~1のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記所定のパーセンテージが、少なくとも約45%である、請求項1~1のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記所定のパーセンテージが、少なくとも約50%である、請求項1~1のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記HDAC阻害剤が、エンチノスタットである、請求項1~1のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記エンチノスタットが、経口投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記エンチノスタットが、最初に投与される、請求項119のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記エンチノスタットが、毎週投与される、請求項1~2のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記エンチノスタットが、2週間毎に投与される、請求項1~2のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記エンチノスタットが、3mgの用量にて、処置サイクルの間、1週間毎に1回投与される、請求項1~2のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記エンチノスタットが、5mgの用量にて、処置サイクルの間、1週間毎に1回投与される、請求項1~2のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記エンチノスタットが、5mgの用量にて投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項26】
前記第二の治療薬が、抗PD-1抗体、抗PD-L1抗体、CTLA4遮断抗体、またはその組み合わせである、請求項1~2のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記第二の治療薬が、抗PD-1抗体である、請求項1~2のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記抗PD-1抗体が、ペムブロリズマブである、請求項2に記載の方法。
【請求項29】
前記抗PD-1抗体が、ニボルマブである、請求項2に記載の方法。
【請求項30】
前記第二の治療薬が、抗PD-L1抗体である、請求項1~2のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記抗PD-L1抗体が、MPDL3280Aである、請求項27に記載の方法。
【請求項32】
前記抗PD-L1抗体が、アベルマブである、請求項27に記載の方法。
【請求項33】
前記第二の治療薬が、CTLA4遮断抗体である、請求項1~2のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記癌が、肺癌である、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記肺癌が、非小細胞肺癌、扁平上皮癌、または大細胞癌である、請求項3に記載の方法。
【請求項36】
前記癌が、メラノーマである、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記メラノーマが、転移性メラノーマである、請求項3に記載の方法。
【請求項38】
前記癌が、乳癌である、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記乳癌が、三重陰性乳癌である、請求項3に記載の方法。
【請求項40】
前記乳癌が、ホルモン受容体陽性乳癌である、請求項3に記載の方法。
【請求項41】
前記癌が、卵巣癌である、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
エンチノスタットと第二の治療薬が、いずれかの順番で連続して、または同時に投与される、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
前記抗PD-1抗体、抗PD-L1抗体またはCTLA4遮断抗体が、輸液により投与される、請求項2に記載の方法。
【請求項44】
前記患者が、事前の治療法を少なくとも1ラウンド受けている、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
前記患者が、事前の治療法を少なくとも3ラウンド受けている、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
患者の癌について予後診断を提供する方法であって、以下の:
癌と診断された該患者からの末梢血サンプルを準備し;
該末梢血サンプル中のCD14陽性、HLA-DR-高値、および/またはCD16陰性である細胞の数を計測し;
該末梢血サンプル中の全末梢血単核細胞の数を計測すること、
を含み、さらに、以下の:
全末梢血単核細胞に対するCD14陽性、HLA-DR-高値、および/またはCD16陰性細胞のパーセンテージが所定のパーセンテージより大きい場合、エンチノスタットと第二の治療薬とを含む併用療法を該患者に投与すること、
を含む、方法。
【請求項47】
患者の癌について予後診断を提供する方法であって、以下の:
非小細胞肺癌および/またはメラノーマと診断され、かつ、事前のPD-1もしくはPD-L1治療法中に悪化し、および/または事前のPD-1またはPD-L1治療法に対して無反応であると見なされた該患者からの末梢血サンプルを準備し;
該末梢血サンプル中のCD14陽性、HLA-DR-高値、および/またはCD16陰性である細胞の数を計測し;
該末梢血サンプル中の全末梢血単核細胞の数を計測すること、
を含み、さらに、以下の:
全末梢血単核細胞に対するCD14陽性、HLA-DR-高値、および/またはCD16陰性細胞のパーセンテージが所定のパーセンテージより大きい場合、エンチノスタットと第二の治療薬とを含む併用療法を該患者に投与すること、
を含む、方法。
【外国語明細書】