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特開2024-89643気液接触用の充填物、気液接触装置及び気液接触方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024089643
(43)【公開日】2024-07-03
(54)【発明の名称】気液接触用の充填物、気液接触装置及び気液接触方法
(51)【国際特許分類】
   B01D 53/14 20060101AFI20240626BHJP
   B01J 19/30 20060101ALI20240626BHJP
   B01D 53/18 20060101ALI20240626BHJP
【FI】
B01D53/14 200
B01J19/30
B01D53/18 130
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023209494
(22)【出願日】2023-12-12
(31)【優先権主張番号】P 2022204769
(32)【優先日】2022-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000003609
【氏名又は名称】株式会社豊田中央研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】水谷 陽介
(72)【発明者】
【氏名】岩田 隆一
(72)【発明者】
【氏名】田中 紗也香
(72)【発明者】
【氏名】岡村 和政
(72)【発明者】
【氏名】植西 徹
【テーマコード(参考)】
4D020
4G075
【Fターム(参考)】
4D020AA03
4D020BA01
4D020BA08
4D020BB03
4D020CB10
4D020CB32
4D020CB33
4D020CC06
4D020CC07
4D020CC16
4D020DA03
4D020DB01
4D020DB12
4D020DB20
4G075AA03
4G075BB04
4G075BD13
4G075DA02
4G075DA18
4G075EB09
4G075ED02
4G075EE12
4G075EE21
4G075FA05
4G075FA14
4G075FB12
(57)【要約】
【課題】高分子材料の表面に定着処理された不織布に吸収液を浸透させて流すことで気体から特定のガスを除去する場合と比して、気体から除去される特定のガスの量を増やすことである。
【解決手段】気液接触用の充填物は、特定のガスを吸収する吸収液が浸透して流れると共に表面に沿って気体が流れる多孔体を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
特定のガスを吸収する吸収液が浸透して流れると共に表面に沿って気体が流れると共に前記吸収液との接触角が90〔°〕未満の材料を用いて形成された多孔体を備える充填物。
【請求項2】
前記多孔体の空隙率は、50〔%〕以上99〔%〕以下とされている、
請求項1に記載の充填物。
【請求項3】
前記多孔体の透水性は、2.2×10-11〔m〕以上2.2×10-9〔m〕以下とされている、
請求項1に記載の充填物。
【請求項4】
前記多孔体は、シート状で複数設けられており、
複数の前記多孔体は、シート面が水平方向に対向するように並べられ、一対の前記多孔体の間に気体が流れる気体流路が形成されている、
請求項1に記載の気液接触用の充填物。
【請求項5】
シート状とされた前記多孔体の厚さは、0.1〔mm〕以上3〔mm〕以下とされている、
請求項4に記載の気液接触用の充填物。
【請求項6】
前記多孔体の透水性は、2.2×10-9〔m〕より大きく、
前記多孔体の透水性とシート状とされた前記多孔体の厚さとの積が、4.4×10-12〔m〕以下とされている、
請求項4に記載の気液接触用の充填物。
【請求項7】
一対の前記多孔体の間に形成された前記気体流路の出口の流路幅は、入口の流路幅と比して狭くなっている、
請求項4に記載の気液接触用の充填物。
【請求項8】
前記流路幅は、入口から出口に向って徐々に狭くなっている、
請求項7に記載の気液接触用の充填物。
【請求項9】
一対の前記多孔体の間に形成された前記気体流路の出口側の部分の前記多孔体を流れる吸収液の量は、前記気体流路の入口側の部分の前記多孔体を流れる吸収液の量と比して多くするために、出口側ほど多孔体シートが厚く、または透水性が大きくされている、
請求項5に記載の気液接触用の充填物。
【請求項10】
請求項1~9の何れか1項に記載の気液接触用の充填物と、
前記気液接触用の充填物が内部に配置される筐体と、
前記充填物に設けられた多孔体の表面に沿って気体を流すファンと、
を備える気液接触装置。
【請求項11】
特定のガスを吸収する吸収液が浸透可能かつ前記吸収液との接触角が90〔°〕未満の多孔体の内部を前記吸収液の流路とし、
前記多孔体の表面に沿う空間を空気の流路とし、
前記多孔体が許容する前記吸収液の許容流量Q1と、前記多孔体に流れ込む前記吸収液の流入流量Q2と、が0<Q2/Q1<1の関係を満たすように前記多孔体に前記吸収液を流す、
気液接触方法。
【請求項12】
シート状の前記多孔体を前記多孔体の厚さ方向を水平方向としかつシート面同士が水平方向に間隔をあけられた状態で複数配置する、
請求項11に記載の気液接触方法。
【請求項13】
前記多孔体の鉛直方向の位置によって、当該位置での当該多孔体の水平断面における前記吸収液の許容流量Q3が異なる場合、最大となる当該許容流量Q3の値を前記許容流量Q1に設定する、
請求項11に記載の気液接触方法。
【請求項14】
前記多孔体の鉛直方向の位置によって、当該位置での当該多孔体の水平断面における前記吸収液の許容流量Q3が異なる場合、当該許容流量Q3の中央値を前記許容流量Q1に設定する、
請求項11に記載の気液接触方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気液接触用の充填物、気液接触装置及び気液接触方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の気液接触用の充填物は、高分子材料の表面の少なくとも一部に、酸化アクリル繊維の不織布を定着処理する表面加工を施してなる気液接触用の充填物であって、気液接触が、二酸化炭素の吸収除去用の気液接触であり、かつ酸化アクリル繊維の不織布の目付け量が、10~25g/mの範囲内である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003-170041号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、気液接触用の充填物を構成する部材として、表面に不織布が定着処理された高分子材料が用いられている。このような構成では、特定のガスを吸収する吸収液を、不織布に浸透させながら重力によって上方から下方へ流す。そして、この不織布の表面を流れる吸収液が、不織布の表面に形成された吸収液の膜に沿って流れる気体に含まれる特定のガスを吸収する。具体的には、気体が吸収液に接触することで、気体に含まれる特定のガスが吸収液に吸収される。このようにして、気体から特定のガスが除去される。
【0005】
ここで、従来技術の目的は吸収液の濡れ広がりの促進であるため、不織布に浸透する吸収液は一部で、残りは不織布外部を流れると考えられる。そこで、吸収液が不織布に浸透するだけに留まらず、不織布の外部(不織布を貼った板の表面)にも流れると、吸収液の波うちによる気相流通抵抗の増加に加えて、フラッディングおよびキャリィオーバのリスクが高くなる。他方で、不織布から溢れないように浸透するだけとなるように吸収液の流量を少なくすると、充填物および吸収塔の下方では液中の特定のガスまたは吸収されたガスから生成するイオン種の濃度が過剰に上昇して、吸収液の特定のガスに対する吸収能力が低くなり、回収速度が低下するおそれがある。
【0006】
本開示の課題は、高分子材料の表面に定着処理された不織布に吸収液を浸透させて流すことで気体から特定のガスを除去する場合と比して、気体から特定のガスを除去する際に必要なエネルギーを低減することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の第1態様に係る気液接触用の充填物は、特定のガスを吸収する吸収液が浸透して流れると共に表面に沿って気体が流れると共に前記吸収液との接触角が90〔°〕未満の材料を用いて形成された多孔体を備えることを特徴とする。
【0008】
上記構成によれば、多孔体に浸透して吸収液が、多孔体の表面を流れる気体に接触し、気体に含まれる特定のガスを吸収する。ここで、吸収液の殆どが多孔体内部を流れる状態を実現するための高い空隙率と適切な透水性との設定が、多孔体を用いることで可能とされる。
【0009】
このように高い空隙率と適切な透水性とを特徴とする多孔体に吸収液を浸透させて流すことで、高分子材料の表面に定着処理された不織布に吸収液を浸透させて流す場合と比して、多くの量の吸収液が流れる。このため、高分子材料の表面に定着処理された不織布に吸収液を浸透させて流すことで気体から特定のガスを除去する場合と比して、吸収液内の特定のガスまたはそれに由来するイオン種の濃度が上昇しにくいため、吸収液の吸収能力が低下しにくい。ゆえに、単位回収量あたりの必要エネルギーを低減できる。
【0010】
さらに、吸収液との接触角が90〔°〕より大きい材料を用いて多孔体が形成されている場合と比して、吸収液は、多孔体に浸透して濡れ広がる。これにより、多孔体を接触角が90〔°〕以上の材料を用いて形成させる場合と比して、吸収液と気体とが効果的に接触する。このため、多孔体を接触角が90〔°〕以上の材料を用いて形成させる場合と比して、単位回収量あたりの必要エネルギーが低減できる。
【0011】
本開示の第2態様に係る気液接触用の充填物は、第1態様に係る気液接触用の充填物において、前記多孔体の空隙率は、50〔%〕以上99〔%〕以下とされていることを特徴とする。
【0012】
上記構成によれば、多孔体の空隙率は、50〔%〕以上99〔%〕以下とされている。空隙率50〔%〕未満の場合は、多孔体に浸透する吸収液の量が減るため、吸収液内の特定のガスまたはそれに由来するイオン種の濃度が上昇しやすいので、吸収液の吸収能力が低下しやすい。ゆえに、単位回収量あたりの必要エネルギーが多くなる。一方、99〔%〕より大きい場合は、多孔体の剛性が低下して姿勢が安定しない。
【0013】
つまり、多孔体の空隙率を、50〔%〕以上99〔%〕以下とすることで、多孔体の姿勢が安定し、かつ、単位回収量あたりの必要エネルギーが低減できる。
【0014】
本開示の第3態様に係る気液接触用の充填物は、第1態様に係る気液接触用の充填物において、前記多孔体の透水性は、2.2×10-11〔m〕以上2.2×10-9〔m〕以下とされていることを特徴とする。
【0015】
上記構成によれば、多孔体の透水性は、2.2×10-11〔m〕以上2.2×10-9〔m〕以下とされている。2.2×10-11〔m〕未満の場合は、吸収液の流下速度が遅くなり、液中の特定のガスまたはそれに由来するイオン種の濃度が過剰に上昇して、吸収液の特定のガスに対する吸収能力が低くなる。ゆえに、単位回収量あたりの必要エネルギーが多くなる。一方、透水性が、2.2×10-9〔m〕より大きい場合は、吸収液の流下速度が速くなるので、吸収液を移送するためのエネルギーが多くなり、単位回収量あたりの必要エネルギーが増加する。
【0016】
つまり、多孔体の透水性を、2.2×10-11〔m〕以上2.2×10-9〔m〕以下とすることで、単位回収量あたりの必要エネルギーが低減できる。
【0017】
本開示の第4態様に係る気液接触用の充填物は、第1態様に記載の気液接触用の充填物において、前記多孔体は、シート状で複数設けられており、複数の前記多孔体は、シート面が水平方向に対向するように並べられ、一対の前記多孔体の間に気体が流れる気体流路が形成されていることを特徴とする
【0018】
上記構成によれば、多孔体はシート状とされ、一対の多孔体の間に形成された気体流路に気体が流れる。換言すれば、気体は、平面状のシート面に挟まれながら流れる。これにより、気体流路が屈曲する場合と比して、気体が通過する際の圧力損失が低下するので、気体を移送するエネルギーが低減される。このため、気体流路が屈曲する場合と比して、気体を移送するエネルギーを低減することができる。
【0019】
本開示の第5態様に係る気液接触用の充填物は、第4態様に記載の気液接触用の充填物において、シート状とされた前記多孔体の厚さは、0.1〔mm〕以上3〔mm〕以下とされていることを特徴とする。
【0020】
上記構成によれば、多孔体の厚さは、0.1〔mm〕以上3〔mm〕以下とされている。0.1〔mm〕未満の場合は、多孔体に浸透する吸収液の量が減るため、気体から吸収される特定のガスの量が少なくなる。一方、3〔mm〕より厚い場合は、多孔体に浸透する吸収液の量が増えるため、吸収液を移送するエネルギーが増加する。
【0021】
つまり、多孔体の厚さを、0.1〔mm〕以上3〔mm〕以下とすることで、単位回収量あたりの必要エネルギーが低減できる。
【0022】
本開示の第6態様に係る気液接触用の充填物は、第4態様に記載の気液接触用の充填物において、前記多孔体の透水性は、2.2×10-9〔m〕より大きく、前記多孔体の透水性とシート状とされた前記多孔体の厚さとの積が、4.4×10-12〔m〕以下とされていることを特徴とする。
【0023】
上記構成によれば、気体から特定のガスを除去する際に必要なエネルギーを低減することができる。
【0024】
本開示の第7態様に係る気液接触用の充填物は、第4態様に記載の気液接触用の充填物において、一対の前記多孔体の間に形成された前記気体流路の出口の流路幅は、入口の流路幅と比して狭くなっていることを特徴とする。
【0025】
上記構成によれば、気体流路の出口の流路幅は、入口の流路幅と比して狭くなっている。これにより、気体流路における出口付近の気体の流速が、気体流路における入口付近の気体の流速と比して、速くなる。
【0026】
ここで、気体流路における出口付近における気体に含まれる特定のガスの量は、気体流路における入口付近の気体に含まれる特定のガスの量と比して少ない。しかし、気体流路における出口付近の気体の流速が、気体流路における入口付近の気体の流速と比して速くなる。
【0027】
これにより、気体流路における出口付近では、吸収液が、特定のガスの量が少なくなっている気体から特定のガスを効果的に吸収する。つまり、流路幅が入口から出口まで一定の場合と比して、気体流路における出口付近では、吸収液が特定のガスを効果的に吸収することができるので、単位回収量あたりの必要エネルギーが低減できる。
【0028】
本開示の第8態様に係る気液接触用の充填物は、第7態様に記載の気液接触用の充填物において、前記流路幅は、入口から出口に向って徐々に狭くなっていることを特徴とする。
【0029】
上記構成によれば、流路幅は、入口から出口に向って徐々に狭くなっている。このため、段差を介して流路幅が変化している場合と比して、気体の流速を効果的に速くすることができる。
【0030】
本開示の第9態様に係る気液接触用の充填物は、第5態様の気液接触用の充填物において、一対の前記多孔体の間に形成された前記気体流路の出口側の部分の前記多孔体を流れる吸収液の量は、前記気体流路の入口側の部分の前記多孔体を流れる吸収液の量と比して多くするために、出口側ほど多孔体シートが厚く、または透水性が大きくされていること
を特徴とする。
【0031】
上記構成によれば、気体流路の出口側の部分の多孔体を流れる吸収液の量は、気体流路の入口側の部分の多孔体を流れる吸収液の量と比して多くなっている。
【0032】
これにより、気体流路における出口付近では、吸収液が、特定のガスの量が少なくなっている気体から特定のガスを効果的に吸収する。つまり、多孔体を流れる吸収液の量が入口から出口まで一定の場合と比して、気体流路における出口付近では、吸収液が特定のガスを効果的に吸収することができるので、単位回収量あたりの必要エネルギーが低減できる。
【0033】
本開示の第10態様に係る気液接触装置は、第1~9態様の何れか1態様に記載の気液接触用の充填物と、前記気液接触用の充填物が内部に配置される筐体と、前記充填物に設けられた多孔体の表面に沿って気体を流すファンとを備えることを特徴とする。
【0034】
上記構成によれば、表面に不織布が定着処理された高分子材料を備える気液接触装置と比して、特定のガスの回収量を同様としたうえで、気体を移送するファンおよび吸収液を移送するポンプの消費エネルギーを低減することができる。
【0035】
本開示の第11態様に係る気液接触方法は、特定のガスを吸収する吸収液が浸透可能かつ前記吸収液との接触角が90〔°〕未満の多孔体の内部を前記吸収液の流路とし、前記多孔体の表面に沿う空間を空気の流路とし、前記多孔体が許容する前記吸収液の許容流量Q1と、前記多孔体に流れ込む前記吸収液の流入流量Q2と、が0<Q2/Q1<1の関係を満たすように前記多孔体に前記吸収液を流す。
【0036】
上記構成によれば、多孔体に浸透して多孔体の内部を流れる吸収液が、多孔体の表面に沿って存在する気体に接触し、気体に含まれる特定のガスを吸収する。そして、本態様では、吸収液との接触角が90〔°〕より大きい材料を用いて多孔体が形成されている場合と比して、吸収液が多孔体に浸透して濡れ広がる。これにより、多孔体を接触角が90〔°〕以上の材料を用いて形成する場合と比して、吸収液と気体との接触面積を増やすことができ、その結果、吸収液による特定のガスの回収時において、単位回収量に対して消費されるエネルギーを低減することができる。
【0037】
ところで、吸収液による特定のガスの回収と、特定のガスの回収に消費されるエネルギーの低減との両立という観点においては、多孔体内部を流れる吸収液の流量を確保する一方で、多孔体の内部に空気が入り込む空間を確保できることが好ましい。
【0038】
ここで、本態様では、多孔体が許容する吸収液の許容流量Q1と、多孔体に流れ込む吸収液の流入流量Q2との関係が、0<Q2/Q1<1の関係を満たすように、多孔体に吸収液が流されている。
【0039】
このため、本態様では、多孔体内部を流れる吸収液の流量を確保しつつ、多孔体の内部に空気が入り込む空間を確保し、特定のガスの回収速度を大きくすることができる。
【0040】
本開示の第12態様に係る気液接触方法は、第11態様に記載の気液接触方法において、シート状の前記多孔体を前記多孔体の厚さ方向を水平方向としかつシート面同士が水平方向に間隔をあけられた状態で複数配置する。
【0041】
上記構成によれば、第4態様と同様に、多孔体間に形成される気体流路が屈曲する場合と比して、気体を移送するエネルギーを低減することができる。
【0042】
本開示の第13態様に係る気液接触方法は、第11態様に記載の気液接触方法において、前記多孔体の鉛直方向の位置によって、当該位置での当該多孔体の水平断面における前記吸収液の許容流量Q3が異なる場合、最大となる当該許容流量Q3の値を前記許容流量Q1に設定する。
【0043】
上記構成によれば、多孔体の鉛直方向の位置によって、当該位置での当該多孔体の水平断面における吸収液の許容流量Q3が異なる場合、最大となる許容流量Q3の値が許容流量Q1に設定される。ここで、許容流量Q3は、多孔体の鉛直方向の位置での流下速度を当該位置での水平断面において面積分することで求められる。
【0044】
このため、実際の許容流量Q1が許容流量Q1の設定値よりも小さい値になる傾向にある。その結果、多孔体の断面積又は透水性が鉛直方向において一定でなくても、実際の許容流量Q1と吸収液の流入流量Q2とが0<Q2/Q1<1の関係を満たすように、許容流量Q1の設定値を定めることができる。
【0045】
本開示の第14態様に係る気液接触方法は、第11態様に記載の気液接触方法において、前記多孔体の鉛直方向の位置によって、当該位置での当該多孔体の水平断面における前記吸収液の許容流量Q3が異なる場合、当該許容流量Q3の中央値を前記許容流量Q1に設定する。
【0046】
上記構成によれば、多孔体の鉛直方向の位置によって、当該位置での当該多孔体の水平断面における吸収液の許容流量Q3が異なる場合、当該許容流量Q3の中央値が許容流量Q1に設定される。このため、多孔体の断面積又は透水性が鉛直方向において一定でなくても、多孔体の鉛直方向における半分の範囲で実際の許容流量Q1と吸収液の流入流量Q2とが0<Q2/Q1<1の関係を満たすこととなる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
図1】本開示の第1実施形態に係る気液接触用の充填物を備えた気液接触装置を示した斜視図である。
図2】本開示の第1実施形態に係る気液接触用の充填物を備えた気液接触装置を示した断面図である。
図3】本開示の第1実施形態に係る気液接触用の充填物を示した斜視図である。
図4】本開示の第1実施形態に係る気液接触用の充填物を示した断面図である。
図5】(A)(B)比較例および本開示の第1実施形態に係る気液接触用の充填物における評価の条件等を表で示した図面である。
図6】(A)(B)本開示の第1実施形態に係る気液接触用の充填物における評価の結果等をグラフで示した図面である。
図7】(A)(B)(C)本開示の第1実施形態に係る気液接触用の充填物における評価の条件等を表で示した図面である。
図8】(A)(B)(C)本開示の第1実施形態に係る気液接触用の充填物における評価の結果等をグラフで示した図面である。
図9】(A)(B)本開示の第1実施形態に係る気液接触用の充填物における評価の結果等をグラフで示した図面である。
図10】本開示の第1実施形態に係る気液接触用の充填物における評価の結果等をグラフで示した図面である。
図11】本開示の第1実施形態に係る気液接触用の充填物における評価の結果等を表で示した図面である。
図12】本開示の第2実施形態に係る気液接触用の充填物を示した断面図である。
図13】本開示の第3実施形態に係る気液接触用の充填物を備えた気液接触装置を示した断面図である。
図14】本開示の第4実施形態に係る気液接触用の充填物を示した斜視図である。
図15】本開示の第1実施形態に係る気液接触方法における多孔体の状態を模式的に示しており、(A)は、流入流量Q2/許容流量Q1=1であるときの状態を示しており、(B)は、流入流量Q2/許容流量Q1<1であるときの状態を示している。
図16】本開示の第1実施形態に係る気液接触方法における液流量と二酸化炭素吸収速度との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0048】
<第1実施形態>
本開示の第1実施形態に係る気液接触用の充填物、及び気液接触装置の一例について、図1図11を用いて説明する。なお、以下の説明において用いられる図面は、いずれも模式的なものであり、図面に示される、各要素の寸法の関係、各要素の比率等は、現実の
ものとは必ずしも一致していない。また、図中に示す矢印Hは、気液接触装置の上下方向(鉛直上方向)を示し、矢印Wは、気液接触装置の幅方向(水平方向)を示し、矢印Dは気液接触装置の奥行き方向(水平方向)を示す。
【0049】
(気液接触装置10の構成)
気液接触装置10は、図1に示されるように、装置本体12と、装置本体12に空気を送り込むファン24とを備えている。また、装置本体12は、筐体14と、筐体14の内部に配置される気液接触用の充填物16(以下「充填物16」)とを備えている。なお、本実施形態の気液接触装置10を用いることで、空気から、空気に含まれる二酸化炭素が吸収液に吸収されることで、二酸化炭素が減少又は除去された空気が得られるようになっている。空気は、気体の一例であって、二酸化炭素は、特定のガスの一例である。
【0050】
〔筐体14、ファン24〕
筐体14は、図1に示されるように、装置幅方向に延びる直方体状とされており、装置幅方向の一方側を向いた側壁14aと対向するように、ファン24が配置されている。
【0051】
そして、筐体14において装置幅方向の一方側を向いた側壁14aには、図2に示されるように、異物の通過を防止するフィルタ16aが筐体14の内部と外部とを仕切るように配置されている。また、筐体14において装置幅方向の他方側を向いた側壁14bには、水滴の飛散を防止するエリミネータ16bが筐体14の内部と外部とを仕切るように配置されている。
【0052】
さらに、筐体14の底板14cには、筐体14の内部の液体を外部へ排出する排出管18が設けられている。
【0053】
この構成において、ファン24は、フィルタ16aを通して風速1.4〔m/s〕の空気を筐体14の内部へ送り込むようになっている。
【0054】
〔充填物16〕
シート状の多孔体20を備えた充填物16は、図2に示されるように、充填16に吸収液を供給するためのディストリビュータ40と、充填物16を支持するパッキンサポート50と共に、筐体14内に収容されている。
【0055】
-ディストリビュータ40-
ディストリビュータ40は、図2に示されるように、筐体14の内部において上方部分に配置されており、下方へ向けて吸収液を滴下して充填物16に供給するようになっている。本実施形態では、一例として、カリウムイオン濃度が2.0〔mol/L〕のカリウム系のアルカリ水溶液が、吸収液として用いられている。そして、吸収液は、空気に含まれる二酸化炭素を吸収するようになっている。
【0056】
-充填物16-
充填物16は、図2に示されるように、ディストリビュータ40の下方に配置されている。また、充填物16を構成する多孔体20は、図3に示されるように、複数設けられ、シート状であって、シート面が奥行き方向で対向するように配置されている。そして、一対の多孔体20の間の隙間が、図4に示されるように、空気が流れる気体流路22とされている。この気体流路22は、幅方向に直線状に延びている。
【0057】
また、この多孔体20は、吸収液に対して親水性を有する、一部がアセタール化されたポリビニルアルコール(polyvinyl alcohol)を用いて形成されており、多孔体20の気泡は連通している。本実施形態で多孔体20とは、透水性が2.2×10-11〔m〕以上2.2×10-9〔m〕以下の多孔体20である。ここで、親水性を有する材料とは、吸収液との接触角が90〔°〕未満の材料である。
【0058】
本実施形態では、一例として、多孔体20のシート厚さは、0.1〔mm〕以上3〔mm〕以下とされ、高さは、5〔m〕とされ、幅方向の長さが7〔m〕とされている。また、多孔体20の空隙率は、50〔%〕以上99〔%〕以下とされている。
【0059】
さらに、透水性を2.2×10-11〔m〕以上2.2×10-9〔m〕以下の範囲とすることで、ディストリビュータ40から多孔体20に供給された吸収液が、流下速度0.2〔mm/s〕以上20〔mm/s〕以下で多孔体20に浸透して流れるようになっている。換言すれば、流下速度0.2〔mm/s〕以上20〔mm/s〕以下で多孔体20を流れるように、ディストリビュータ40から多孔体20へ吸収液が供給されるようになっている。
【0060】
-パッキンサポート50-
パッキンサポート50は、図2に示されるように、筐体14の内部において下方部分に配置されており、充填物16を下方から支持するように配置されている。そして、充填物16から下方へ排出された吸収液は、排出管18から筐体14の外部へ排出されるようになっている。
【0061】
(作用)
次に、充填物16、及び気液接触装置10の作用について説明する。
【0062】
図2に示すファン24が稼働すると、ファン24は、フィルタ16aを通して風速1.4〔m/s〕の空気を筐体14の内部へ送り込む。図4に示されるように、隣り合う多孔体20の間に形成された気体流路22を空気が流れる。この空気は、多孔体20の表面(シート面)に沿って流れる。
【0063】
また、図2に示すディストリビュータ40は、夫々の多孔体20へ吸収液を供給する。多孔体20に供給された吸収液は、多孔体20に浸透し、重力によって、流下速度0.2〔mm/s〕以上20〔mm/s〕以下で、上方から下方に向って流れる。
【0064】
これにより、空気に含まれる二酸化炭素が、多孔体20に浸透して流下する吸収液に接触して吸収液に吸収され、空気から二酸化炭素が除去される。このようにして、気体流路22を流れる空気に含まれた二酸化炭素の量が減少する。そして、二酸化炭素の量が減少した空気が、図2に示すエリミネータ16bを通過することで、水滴の飛散が抑制されて、筐体14の外部へ排出される。
【0065】
ここで、前述したように、多孔体20の空隙率については、50〔%〕以上99〔%〕以下とされている。空隙率50〔%〕未満の場合は、多孔体20に浸透する吸収液の量が減るため、空気から吸収される二酸化炭素の量が少なくなる。一方、99〔%〕より大きい場合は、多孔体20の剛性が低下して姿勢が安定しない。この観点から、多孔体20の空隙率については、50〔%〕以上99〔%〕以下が良く、さらに、70〔%〕以上95〔%〕以下がなお良い。
【0066】
また、多孔体20の厚さについては、0.1〔mm〕以上3〔mm〕以下とされている。0.1〔mm〕未満の場合は、多孔体20に浸透する吸収液の量が減るため、空気から吸収される二酸化炭素の量が少なくなる。一方、3〔mm〕より厚い場合は、多孔体20を流れる吸収液が多くなり、液を移送するためのエネルギーが増大する。この観点から、多孔体20の厚さについては、0.1〔mm〕以上3〔mm〕以下が良く、さらに、0.5〔mm〕以上2〔mm〕以下がなお良い。
【0067】
また、隣り合う一対の多孔体20の間の気体流路22の流路幅は、1〔mm〕以上24〔mm〕以下とされている。1〔mm〕未満の場合は、気体流路22を流れる空気の量が少なくなり、空気から吸収される二酸化炭素の量が少なくなる。さらに、空気を移送するためのファンのエネルギーが増大する。一方、流路幅が24〔mm〕より大きい場合は、装置全体が大きくなってしまう。この観点から、隣り合う一対の多孔体20の間の気体流路22の流路幅については、1〔mm〕以上24〔mm〕以下が良く、さらに、3〔mm〕以上18〔mm〕以下がなお良い。
【0068】
また、多孔体20の透水性については、2.2×10-11〔m〕以上2.2×10-9〔m〕以下とされている。2.2×10-11〔m〕未満の場合は、吸収液の流下速度が遅くなり、液中の特定のガスまたはそれに由来するイオン種の濃度が過剰に上昇して、吸収液の特定のガスに対する吸収能力が低くなる。一方、透水性が、2.2×10-9〔m〕より大きい場合は、吸収液の流下速度が速くなり、液を移送するためのエネルギーが増大する。この観点から、多孔体20の透水性については、2.2×10-11〔m〕以上2.2×10-9〔m〕以下が良く、さらに、5.5×10-11〔m〕以上5.5×10-10〔m〕以下がなお良い。
【0069】
ここで、前述した数値を導出したシミュレーション等について説明する。なお、シミュレーションのソフトには、Comsol Multiphysics 5.6を用いた。
【0070】
先ず、吸収液は、カリウム系のアルカリ水溶液であり、カリウムイオン濃度は2.0〔mol/L〕、二酸化炭素濃度は0.5〔mol/L〕とした。計算では、濃度1〔mol/L〕のアルカリ水溶液の移動係数2.12〔mm/s〕を基準として、水酸化物イオン濃度の0.5乗に比例して移動係数が変化するとした。
【0071】
ここで、移動係数K〔m/s〕は、空気中の二酸化炭素濃度(Cg〔mol/m〕)と二酸化炭素吸収フラックス(単位面積あたり単位時間あたりの二酸化炭素吸収量F〔mol/m/s〕)とを比例関係で表す際の比例定数である。そこで、各値は、下記式(1)の関係となる。
F=K×Cg・・・・・式(1)
【0072】
充填物内部の各所において、その場所の移動係数および空気中の二酸化炭素濃度に応じた吸収フラックスで吸収が起きると考える。吸収液は流下速度1.8〔mm/s〕で矢印Hと逆の方向に移動し、空気は1.4〔m/s〕を充填物中の空気流路割合(多孔体が占める以外の空間の割合)で除した速度で矢印Wの方向へ移動するものとする。
【0073】
ここで、吸収塔の運転の動力は、吸収液をくみ上げるためのポンプの動力と、空気を送るためのファンの動力との和である。また、多孔体内部の吸収液の流下速度、多孔体の厚さ、及び多孔体の設置枚数の積により、吸収液の流量を求めた。
【0074】
そして、吸収液の流量に吸収液の密度(1・1〔g/cc〕)、高さ(5〔m〕)、及び重力加速度(9.8〔m/s〕)を乗ずることで、吸収液をくみ上げるための動力を算出した。これを液ポンプのエネルギー効率0.82で除して、ポンプの動力とした。
【0075】
また、空気を送るための動力の理想値は、圧力損失及び空気の流量の積で求めた。ここで、圧力損失は平板間のポワズイユ流れを仮定して求める。この動力を、ファンのエネルギー効率0.70で除することで、ファンの動力とした。
【0076】
評価の条件を図1及び図5(A)の表に示す。比較例には、論文(Keith et al.Joule 2, 1573-1594)に開示された充填物性能を用いた。空気入口および出口の二酸化炭素濃度はそれぞれ400および100ppmとした。なお、図5(A)の表の実施例においては、流下速度1.8〔mm/s〕、厚さ1〔mm〕の多孔体を用いることとして、二酸化炭素の回収量が比較例の回収量(0.085〔mol/s〕)と同じになるように、多孔体のピッチを調整した。なお、多孔体のピッチは、例えば、4〔mm〕以上25〔mm〕以下に設定されていてもよい。
【0077】
解析結果を図5(B)の表に示す。液流量が減少したため、ポンプ動力は小さくなり、圧力損失が減少したため、ファン動力は小さくなった。回収量を一定に揃えたため、二酸化炭素の回収量あたりのエネルギー(GJ/t)が削減された。
【0078】
同様の解析により、多孔体の空隙率、厚さ、流下速度が回収エネルギーに与える影響を調べた。先の解析と同様、風速は1.4〔m/s〕、吸収塔の奥行は1〔m〕、空気入口二酸化炭素濃度は400〔ppm〕とした。以降の計算では、吸収液は、濃度1〔mol/L〕の炭酸カリウム水溶液とし、移動係数は、濃度1〔mol/L〕の水酸化カリウム水溶液の移動係数2.12〔mm/s〕を基準として、水酸化物イオン濃度の0.5乗に比例して移動係数が変化するとした。なお、特記なき限り、多孔体の空隙率は90〔%〕とした。
【0079】
ここで、空隙率の影響を調べるための解析の条件を図7(A)の表に示す。回収量が約0.025〔mol/s〕になるように多孔体のピッチを設定した場合の、ピッチおよび回収量を図6(A)のグラフに示し、回収エネルギーを図6(B)のグラフに示す。空隙率が低い場合には回収エネルギーが大きくなってしまう。
【0080】
空隙率が小さいと多孔体1枚あたりの液量が少ないために、液中二酸化炭素濃度(二酸化炭素に由来するイオンHCO およびCO 2-を含む合計の濃度。以下同様)上昇による二酸化炭素吸収フラックスが低下する。これにより、回収量を一定にするようピッチを小さくするので、圧力損失が大きくなることが、回収エネルギー増大の原因である。この結果から空隙率は50〔%〕以上であることが好ましい。空隙率は75〔%〕以上であることがさらに望ましい。他方で、空隙率が高すぎると多孔体の強度が低下する問題がある。このため、空隙率は、99〔%〕以下が望ましい。
【0081】
ここで、多孔体の厚さの影響を調べるための解析の条件を図7(B)の表に示す。回収量が所望の値になるように多孔体のピッチを設定した場合の、ピッチおよび回収量を図8(A)、図8(B)のグラフに示す。また、回収エネルギーを図8(C)に示す。多孔体の厚さが小さすぎる場合、多孔体1枚あたりの液量が少ないために、液中二酸化炭素濃度上昇による二酸化炭素吸収フラックスが低下する。これにより、回収量を一定にするよう多孔体のピッチを小さくするので、圧力損失が大きくなるため、回収エネルギーが増加する。厚さが大きすぎる場合、空気流路の幅の減少による圧力損失増大、および送液量の増大により、回収エネルギーが増加する。
【0082】
この結果から多孔体の厚さは0.1〔mm〕以上3〔mm〕以下であることが好ましい。加えて、多孔体の剛性の観点からも、厚さは0.1〔mm〕以上が望ましい。
【0083】
ここで、流下速度の影響を調べるための解析の条件を図7(C)の表に示す。回収量が所望の値になるようにピッチを設定した場合の、ピッチおよび回収量を図9(A)、図9(B)のグラフに示す。また、回収エネルギーを図10のグラフに示す。流下速度が小さすぎる場合、多孔体液の滞留時間が長いために、液中二酸化炭素濃度上昇により二酸化炭素吸収フラックスが低下する。これにより、回収量を一定にするようピッチを小さくするので、圧力損失が大きくなるため、回収エネルギーが増加する。そして、流下速度が大きすぎる場合、送液の動力が大きくなるので、回収エネルギーが増加する。
【0084】
この結果から流下速度は0.2〔mm/s〕以上20〔mm/s〕以下であることが好ましい。なお、流下速度は、多孔体内の流速を与えるダルシーの法則に従う(下記式(2)参照)。
v=-(k/μL)×ΔP・・・・式(2)
【0085】
ここで、vは吸収液の流下速度〔m/s〕、kは多孔体の透水性〔m2〕、μは液の動粘性係数〔Pa・s〕、Lは通過距離〔m〕、ΔPは圧力損失〔Pa〕である。液の流下の場合、ΔP=ρgLであるので、式(2)は次の式(3)に変換される。
v=-(k/μ)×ρg・・・・式(3)
【0086】
ここで、ρは液の密度〔g/m〕、gは重力加速度〔m/s〕である。流下速度は多孔体の構造に由来する物性である透水性だけでなく、吸収液の物性にも影響を受ける。濃度1〔mol/L〕の炭酸カリウム水溶液の場合、μ=1.2×10-3〔Pa・s〕、ρ=1.11〔g/cc〕なので、流下速度0.2〔mm/s〕および20〔mm/s〕を、透水性に換算するとそれぞれ2.2×10-11〔m〕および2.2×10-9〔m〕となる。これにより、多孔体の透水性としては、2.2×10-11〔m〕以上2.2×10-9〔m〕以下が望ましいといえる。さらに、多孔体の透水性としては、5.5×10-11〔m〕以上、5.5×10-10〔m〕以下であることがさらに望ましい。
【0087】
多孔体の厚さが小さい場合には、吸収液の流量が抑制されるので、流下速度が大きくてもよい。
【0088】
図11の表に、種々の多孔体厚さおよび流下速度の場合の、回収エネルギーを示す。ただし、体格は、5〔m〕×7〔m〕、回収速度は、約0.025〔mol/s〕である。図11の表より、多孔体の厚さが1〔mm〕以下かつ流下速度が20〔mm/s〕より大きい範囲では、多孔体の厚さと流下速度との積が40〔mm/s〕以下であれば、回収エネルギーが抑制できることがわかる。これは多孔体の厚さと透水性の積に換算すると、4.4×10-12〔m〕以下である。
【0089】
(まとめ)
以上説明したように、充填物16においては、多孔体20に浸透して流れる吸収液が、空気に含まれる二酸化炭素を吸収する。このように多孔体20に吸収液を浸透させて流すことで、高分子材料の表面に定着処理された不織布に吸収液を浸透させて流す場合と比して、1枚あたり多くの量の吸収液が流れる。このため、充填物16においてはピッチを大きくすることができるので、高分子材料の表面に定着処理された不織布に吸収液を浸透させて流すことで空気から二酸化炭素を除去する場合と比して、必要なエネルギーを低減することができる。
【0090】
また、充填物16においては、多孔体20はシート状とされ、一対の多孔体20の間に形成された気体流路22に空気が流れる。換言すれば、空気は、平面状のシート面に挟まれながら流れる。これにより、空気が通過する際の圧力損失が低下するので、空気を移送するエネルギーが低減される。このため、空気流路が屈曲している場合と比して、空気を移送するエネルギーを低減することができる。
【0091】
また、充填物16においては、吸収液との接触角が90°未満の材料を用いた多孔体20の毛管力により、吸収液は多孔体20に浸透して濡れ広がる。このため、接触角が90〔°〕以上の材料を用いた多孔体や微細構造を持たない平滑な板からなる充填物と比して、少ない液量の吸収液で、空気との接触面積を確保することができる。換言すれば、少ない量の吸収液で、二酸化炭素を効果的に吸収することができる。
【0092】
また、充填物16においては、吸収液は、多孔体20に浸透して流れるため、吸収液が意図しない方向へ流れるのを抑制することができる。つまり、フラッディングの発生を抑制することができる。
【0093】
また、充填物16においては、吸収液が、多孔体20に浸透して流れるため、吸収液がミストとなって、空気に混入するのを抑制することができる。つまり、キャリィオーバの発生を抑制することができる。
【0094】
また、充填物16においては、少ない量の吸収液で、空気との接触面積を確保することができる。このため、吸収液を多孔体20へ供給するための動力を低減することができる。
【0095】
また、充填物16においては、多孔体20を構成する細孔の壁面と吸収液との摩擦力により、吸収液の流下速度が制御される。このため、流下速度が制御されない場合と比して、吸収液と空気とを効果的に接触させることができる。
【0096】
また、充填物16においては、吸収液の濡れ広がりが、多孔体20の毛管力によって促進される。これにより、吸収液の濡れ広がりのために充填物を構成する板を波板状にすることで空気流路までもが屈曲する場合と比して、空気の流路構造を単純化することが可能となり、空気の流動抵抗が小さくなる。
【0097】
また、充填物16においては、多孔体20の空隙率及び厚さに起因して、保持できる吸収液の液量が異なる。このため、多孔体20の空隙率及び厚さを変えることで、流下可能な吸収液の液量を容易に変えることができる。換言すれば、多孔体20の空隙率及び厚さを変えることで、空気から二酸化炭素を除去する量を容易に変えることができる。
【0098】
また、充填物16においては、吸収液の流路と、空気の流路とが区別されている。このため、吸収液がミストとなって、空気に混入することを抑制することができる。つまり、キャリィオーバの発生を抑制することができる。
【0099】
また、充填物16においては、空気が通る気体流路22は、直線状に延びている。このため、空気が気体流路22を流れるときの圧力損失を低減することができる。
【0100】
また、充填物16においては、空気が気体流路22を流れるときの圧力損失が大きくなるのが抑制されることで、ファン24を稼働させるための動力が大きくなるのを抑制することができる。
【0101】
次に、上記気液接触装置10を用いた気液接触方法について説明することとする。
【0102】
詳しくは、第1実施形態に係る気液接触方法では、多孔体20が許容する吸収液の許容流量Q1〔m/s〕と、多孔体20に流れ込む吸収液の流入流量Q2〔m/s〕とが0<Q2/Q1<1の関係を満たすように多孔体20に吸収液を流している。
【0103】
なお、許容流量Q1は、式(2)で求められる多孔体20内部の鉛直方向における所定の位置での水平断面内の各点における吸収液の流下速度vを、この水平断面において面積分することで求められる。
【0104】
上記気液接触方法によれば、多孔体20内部を流れる吸収液の流量を確保しつつ、多孔体20内部に空気が入り込む空間を確保し、二酸化炭素の回収速度を大きくすることができる。
【0105】
詳しく説明すると、図16では、各多孔体20において、多孔体20が許容する吸収液の許容流量Q1と吸収液の流入流量Q2の比Q2/Q1に対する二酸化炭素吸収速度を透水性が異なる多孔体20毎にプロットしている。
【0106】
そして、Q2/Q1>1の場合には、多孔体20の多孔体20の透水性に関わらず、シート面20Aでのみ二酸化炭素の吸収が起きると仮定した二酸化炭素吸収速度の予測値Q0に近い一定の値を示した。なお、予測値Q0は、次の式(4)で求められる。
Q0=K×C×H×W・・・・式(4)
【0107】
ここで、Kは、上述したように、二酸化炭素の移動係数〔m/s〕であり、Cは、多孔体20における気液界面近傍の気相二酸化炭素濃度〔mol/m〕であり、Hは、多孔体20の高さ〔m〕であり、Wは、多孔体20の幅〔m〕である。
【0108】
一方、0<Q2/Q1<1の場合には、多孔体20の透水性に関わらず、二酸化炭素吸収速度が予測値Q0よりも大きい値を示した。また、特に透水性が高い多孔体20において、二酸化炭素吸収速度が大きい値を示している。より具体的には、透水性が高い多孔体(図16の〇)において、0.32≦Q2/Q1≦0.35の場合に、特に二酸化炭素吸収速度が大きい。
【0109】
これは、図15(A)に示されるように、Q1/Q2≧1の場合には、多孔体20の細孔が吸収液で満たされるのに対し、流入流量Q2が許容流量Q1よりも小さい場合には、図15(B)に示されるように、多孔体20の細孔が吸収液で満たされず、細孔には空気が入るため、気液界面の面積が増大し、その結果、二酸化炭素の吸収速度が向上したものと考えられる。
【0110】
なお、図16では、透水性が4.34×10-10〔m2〕の多孔体の結果を〇で示しており、透水性が1.78×10-10〔m2〕の多孔体の結果を△で示しており、透水性が0.71×10-10〔m2〕の多孔体の結果を×で示している。
【0111】
また、本実施形態では、多孔体20の鉛直方向の位置によって、当該位置での多孔体20の水平断面における吸収液の許容流量Q3〔m/s〕が異なる場合、最大となる許容流量Q3の値を許容流量Q1に設定してもよい。ここで、許容流量Q3は、多孔体20の当該位置での水平断面内の各点における流下速度vを当該水平断面において面積分することで求められる。
【0112】
このような構成によれば、実際の許容流量Q1が許容流量Q1の設定値よりも小さい値になる傾向にある。このため、多孔体20の断面積又は透水性が鉛直方向において一定でなくても、実際の許容流量Q1と吸収液の流入流量Q2とが0<Q2/Q1<1の関係を満たすように、許容流量Q1の設定値を定めることができる。
【0113】
また、本実施形態では、多孔体20の鉛直方向の位置によって、当該位置での多孔体20の水平断面における吸収液の許容流量Q3が異なる場合、許容流量Q3の中央値を許容流量Q1に設定してもよい。
【0114】
このような構成によれば、多孔体20の断面積又は透水性が鉛直方向において一定でなくても、多孔体20の鉛直方向における半分の範囲で実際の許容流量Q1と吸収液の流入流量Q2とが0<Q2/Q1<1の関係を満たすこととなる。
【0115】
<第2実施形態>
次に、本開示の第2実施形態に係る気液接触用の充填物、及び気液接触装置の一例について、図12を用いて説明する。なお、第2実施形態については、第1実施形態と異なる部分を主に説明する。
【0116】
図12に示されるように、第2実施形態に係る充填物66に備えられた多孔体70は、断面台形状とされている。そして、気体流路72の流路幅は、空気の入口から出口に向って徐々に狭くなっている。これにより、気体流路72における出口付近の空気の流速が、気体流路72における入口付近の空気の流速と比して速くなる。
【0117】
ここで、気体流路72における出口付近の空気に含まれる二酸化炭素の量は、気体流路72における入口付近の空気に含まれる二酸化炭素の量と比して少ない。しかし、前述したように、気体流路72における出口付近の空気の流速が、気体流路72における入口付近の空気の流速と比して速くなるため、気相側の濃度境界層が小さくなる。
【0118】
これにより、気体流路72における出口付近では、吸収液が、二酸化炭素の量が少なくなっている空気から二酸化炭素を効果的に吸収する。つまり、流路幅が入口から出口まで一定の場合と比して、気体流路72における出口付近では、吸収液が二酸化炭素を効果的に吸収することができる。
【0119】
また、流路幅は、入口から出口に向って徐々に狭くなっている。このため、段差を介して流路幅が変化している場合と比して、圧力損失が小さくなることで、空気の流速を効果的に速くすることができる。
【0120】
<第3実施形態>
次に、本開示の第3実施形態に係る気液接触用の充填物、及び気液接触装置の一例について、図13を用いて説明する。なお、第3実施形態については、第1実施形態と異なる部分を主に説明する。
【0121】
第3実施形態の気液接触装置110に用いられる図13に示す充填物116は、ディストリビュータ140を備えている。ディストリビュータ140は、気体流路22(図4参照)の出口側の部分の多孔体20を流れる吸収液の量を、気体流路22の入口側の部分の多孔体20を流れる吸収液の量と比して多くなるように、吸収液を多孔体20に供給する。換言すれば、気体流路22の出口側の部分の多孔体20を流れる吸収液の量は、気体流路22の入口側の部分の多孔体20を流れる吸収液の量と比して多くなっている。
【0122】
ここで、気体流路22における出口付近の空気に含まれる二酸化炭素の量は、気体流路22における入口付近の空気に含まれる二酸化炭素の量と比して少ない。しかし、前述したように、気体流路22の出口側の部分の多孔体20を流れる吸収液の量は、気体流路22の入口側の部分の多孔体20を流れる吸収液の量と比して多くなっているために、液中二酸化炭素濃度の上昇が抑制される。
【0123】
これにより、気体流路22における出口付近では、吸収液が、二酸化炭素の量が少なくなっている空気から二酸化炭素を効果的に吸収する。つまり、多孔体20を流れる吸収液の量が気体流路22の入口から出口まで一定の場合と比して、気体流路22における出口付近では、吸収液が二酸化炭素を効果的に吸収することができる。
【0124】
<第4実施形態>
次に、本開示の第4実施形態に係る気液接触用の充填物、及び気液接触装置の一例について、図14を用いて説明する。なお、第4実施形態については、第1実施形態と異なる部分を主に説明する。
【0125】
図14に示されるように、第4実施形態の充填物166は、直方体状の多孔体170を備えている。この、多孔体170には、鉛直方向に貫通する複数の貫通孔である気体流路170aが形成されている。この気体流路170aは、断面矩形状とされ、幅方向及び奥行き方向に並んでいる。つまり、多孔体170は、ハニカム状とされている。
【0126】
この構成において、ディストリビュータによって、多孔体170の上方部分から多孔体170に吸収液が供給される。さらに、多孔体170の下方に配置されたファンによって、多孔体170の気体流路170aに空気が送り込まれることで、気体流路170aの下方から上方へ空気が流れる。
【0127】
これにより、空気に含まれる二酸化炭素が、多孔体170を流下する吸収液に接触して吸収され、空気から二酸化炭素が除去される。そして、二酸化炭素の量が減少した空気が、多孔体170の気体流路170aの上端から上方へ排出される。
【0128】
ここで、多孔体170をハニカム状とすることで、気体流路170aの屈曲が小さい構造とされ、さらに、比表面積を第1実施形態と揃える場合に流れる空気の圧力損失が小さ
くなる利点がある。
【0129】
なお、本開示を特定の実施形態について詳細に説明したが、本開示は係る実施形態に限定されるものではなく、本開示の範囲内にて他の種々の実施形態をとることが可能であることは当業者にとって明らかである。例えば、上記実施形態では、空気から二酸化炭素を除去したが、空気及び二酸化炭素に限定されず、他の気体から特定のガスを除去してもよい。
【0130】
また、上記第1~第3実施形態では、シート状の多孔体20、70を水平方向で対向するように配置したが、多孔体を他の方向で対向するように配置してもよい。
【0131】
また、上記第1~第3実施形態では、空気を水平方向へ移動させたが、水平方向に限定されず、例えば、鉛直方向等へ移動させてもよい。第4実施形態では、空気を鉛直方向へ移動させたが、例えば気体流路170aが水平方向になるように設置して、空気を水平方向等へ移動させてもよい。
【0132】
また、上記実施形態では、多孔体20、70、170は、ポリビニルアルコールを用いて形成されたが、例えば、ナイロン、ポリエチレングリコール、ポリエチレンテレフタレート、セラミクス、金属、金属酸化物、及びセルロース等を用いて多孔体を形成させてもよい。
【0133】
また、上記実施形態では、多孔体20、70、170において、流れる空気と接触する面は、平面状であったが、空気が流れる方向に沿って延びるフィンを空気と接触する面に形成させてもよい。
【0134】
また、上記実施形態では、特に説明しなかったが、多孔体20、70、170を形成する材料の親水度が不足する場合、プラズマ処理やシランカップリング剤を用いて親水化処理を施してもよい。
【0135】
また、上記実施形態では、特に説明しなかったが、多孔体20、70の形状を保持するために多孔体20、70の外周部分に枠材を設けてもよい。
【0136】
また、上記第4実施形態では、空気流路の断面を矩形としたが、六角形や、三角形、円形でもよい。
【0137】
(((1)))
特定のガスを吸収する吸収液が浸透して流れると共に表面に沿って気体が流れると共に前記吸収液との接触角が90〔°〕未満の材料を用いて形成された多孔体を備える充填物。
【0138】
(((2)))
前記多孔体の空隙率は、50〔%〕以上99〔%〕以下とされている、
(((1)))に記載の充填物。
【0139】
(((3)))
前記多孔体の透水性は、2.2×10-11〔m〕以上2.2×10-9〔m〕以下とされている、
(((1)))又は(((2)))に記載の充填物。
【0140】
(((4)))
前記多孔体は、シート状で複数設けられており、
複数の前記多孔体は、シート面が水平方向に対向するように並べられ、一対の前記多孔体の間に気体が流れる気体流路が形成されている、
(((1)))~(((3)))の何れか1に記載の気液接触用の充填物。
【0141】
(((5)))
シート状とされた前記多孔体の厚さは、0.1〔mm〕以上3〔mm〕以下とされている、
(((4)))に記載の気液接触用の充填物。
【0142】
(((6)))
前記多孔体の透水性は、2.2×10-9〔m〕より大きく、
前記多孔体の透水性とシート状とされた前記多孔体の厚さとの積が、4.4×10-12〔m〕以下とされている、
(((4))))に記載の気液接触用の充填物。
【0143】
(((7)))
一対の前記多孔体の間に形成された前記気体流路の出口の流路幅は、入口の流路幅と比して狭くなっている、
(((4)))~(((6)))の何れか1に記載の気液接触用の充填物。
【0144】
(((8)))
前記流路幅は、入口から出口に向って徐々に狭くなっている、
(((7)))に記載の気液接触用の充填物。
【0145】
(((9)))
一対の前記多孔体の間に形成された前記気体流路の出口側の部分の前記多孔体を流れる吸収液の量は、前記気体流路の入口側の部分の前記多孔体を流れる吸収液の量と比して多くするために、出口側ほど多孔体シートが厚く、または透水性が大きくされている、
(((5)))~(((8)))何れか1に記載の気液接触用の充填物。
【0146】
(((10)))
(((1)))~(((9)))の何れか1項に記載の気液接触用の充填物と、
前記気液接触用の充填物が内部に配置される筐体と、
前記充填物に設けられた多孔体の表面に沿って気体を流すファンと、
を備える気液接触装置。
【0147】
(((11)))
特定のガスを吸収する吸収液が浸透可能かつ前記吸収液との接触角が90〔°〕未満の多孔体の内部を前記吸収液の流路とし、
前記多孔体の表面に沿う空間を空気の流路とし、
前記多孔体が許容する前記吸収液の許容流量Q1と、前記多孔体に流れ込む前記吸収液の流入流量Q2と、が0<Q2/Q1<1の関係を満たすように前記多孔体に前記吸収液を流す、
気液接触方法。
【0148】
(((12)))
シート状の前記多孔体を前記多孔体の厚さ方向を水平方向としかつシート面同士が水平方向に間隔をあけられた状態で複数配置する、
(((11)))に記載の気液接触方法。
【0149】
(((13)))
前記多孔体の鉛直方向の位置によって、当該位置での当該多孔体の水平断面における前記吸収液の許容流量Q3が異なる場合、最大となる当該許容流量Q3の値を前記許容流量Q1に設定する、
(((11)))又は(((12)))に記載の気液接触方法。
【0150】
(((14)))
前記多孔体の鉛直方向の位置によって、当該位置での当該多孔体の水平断面における前記吸収液の許容流量Q3が異なる場合、当該許容流量Q3の中央値を前記許容流量Q1に設定する、
(((11)))又は(((12)))に記載の気液接触方法。
【符号の説明】
【0151】
10 気液接触装置
16 充填物(気液接触用の充填物)
20 多孔体
22 気体流路
66 充填物(気液接触用の充填物)
70 多孔体
72 気体流路
110 気液接触装置
116 充填物(気液接触用の充填物)
166 充填物(気液接触用の充填物)
170 多孔体
170a 気体流路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16