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特開2024-89647コモンモードとディファレンシャルモードで動作する電磁フィルター
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  • 特開-コモンモードとディファレンシャルモードで動作する電磁フィルター 図1A
  • 特開-コモンモードとディファレンシャルモードで動作する電磁フィルター 図1B
  • 特開-コモンモードとディファレンシャルモードで動作する電磁フィルター 図1C
  • 特開-コモンモードとディファレンシャルモードで動作する電磁フィルター 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024089647
(43)【公開日】2024-07-03
(54)【発明の名称】コモンモードとディファレンシャルモードで動作する電磁フィルター
(51)【国際特許分類】
   H01F 37/00 20060101AFI20240626BHJP
   H01F 27/00 20060101ALI20240626BHJP
   H01F 17/06 20060101ALI20240626BHJP
   H01F 27/08 20060101ALI20240626BHJP
【FI】
H01F37/00 N
H01F37/00 A
H01F37/00 C
H01F37/00 K
H01F37/00 S
H01F27/00 S
H01F17/06 F
H01F27/08 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023212609
(22)【出願日】2023-12-18
(31)【優先権主張番号】22383252.8
(32)【優先日】2022-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】520161894
【氏名又は名称】プレモ,エスアー.
(74)【代理人】
【識別番号】100081053
【弁理士】
【氏名又は名称】三俣 弘文
(72)【発明者】
【氏名】クエスタ カノ,フアン ミゲル
(72)【発明者】
【氏名】ペレス カメロ,パウラ
(72)【発明者】
【氏名】ロハス クエバス,アントニオ
(72)【発明者】
【氏名】カネテ カベツァ,クラウディオ
(72)【発明者】
【氏名】ナバッロ ペレス,フランシスコ エツェクイエル
【テーマコード(参考)】
5E070
【Fターム(参考)】
5E070AA05
5E070BA14
5E070DA18
5E070DB08
(57)【要約】

【課題】コモンモードCMとディファレンシャルモードDMで動作する電磁フィルターFを提供する。
【解決手段】本発明のフィルターは、内側空洞を有する磁気コア10と、コア10の周りで反対位置に配置される2つのコイル21と22と、コア10、コイル21,22の周囲に巻回されコア10の内側空洞と同軸に配置される第3コイル23と、キャパシタ15と、キャパシタ15の両側に配置される2枚のシート18と、コア10,コイル21,22,23、キャパシタ15,シート18を覆う層12とを有する。コイル21、22とコア10はCMFを、コイル23はDMFを構成する。シート18は、キャパシタ15をコイル21、22からの断熱し、キャパシタ15とシート18は、コア10の空洞内に配置され、リーク・インダクタンスを増加させ、コイル23により生成される磁界を閉じ込め、良好な熱伝導路を形成する。
【選択図】図1B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コモンモードとディファレンシャルモードで動作する電磁フィルターにおいて、
*内側に空洞を有するドーナッツ形状の磁気コア(10)と、
*前記磁気コア(10)の周囲に巻回される第1コイル(21)と第2コイル(22)と、
前記第1コイル(21)と第2コイル(22)は、前記磁気コア(10)の2つの主部(10A,10B)の周りに互いに反対位置に配置され、前記第1コイル(21)と第2コイル(22)と磁気コア(10)は、コモンモード・フィルターを構成し、
*第3コイル(23)と、
前記第3コイル(23)は、前記磁気コア(10)、第1コイル(21),第2コイル(22)の周囲に巻回され、前記磁気コア(10)の空洞と同軸となるZ軸の周囲に配置され、前記第3コイル(23)は、ディファレンシャルモード・フィルターを構成し、
*キャパシタ(15)と、
*2枚のシート(18)と、
前記シート(18)は、前記キャパシタ(15)の両外側に配置され、前記キャパシタ(15)を、前記第1コイル(21)と第2コイル(22)からの断熱し、
前記キャパシタ(15)と2枚のシート(18)は、前記磁気コア(10)の空洞内に配置され、
*伝熱性磁気化合物製の層(12)と
を有し、
前記伝熱性磁気化合物製の層(12)は、前記磁気コア(10),第1コイル(21),第2コイル(22),第3コイル(23)、キャパシタ(15),シート(18)を覆い、その結果、リーク・インダクタンスは増加し、前記第3コイル(23)により生成される磁界が閉じ込められ、冷却板への良好な熱伝導路が形成される
ことを特徴とする電磁気フィルター。
【請求項2】
前記磁気コア(10)は、長円形である
ことを特徴とする請求項1記載の電磁気フィルター。
【請求項3】
前記磁気コア(10)は、楕円形である
ことを特徴とする請求項1記載の電磁気フィルター。
【請求項4】
前記第3コイル(23)は、前記第1コイル(21)と第2コイル(22)に直交して配置される
ことを特徴とする請求項1-3のいずれかに記載の電磁気フィルター。
【請求項5】
前記第3コイル(23)は、前記第1コイル(21)と第2コイル(22)から切り離されている
ことを特徴とする請求項1-3のいずれかに記載の電磁気フィルター。
【請求項6】
前記シート(18)は、ポリスチレン製である
ことを特徴とする請求項1-3のいずれかに記載の電磁気フィルター。
【請求項7】
前記磁気コア(10)は、微細結晶コアである
ことを特徴とする請求項1-3のいずれかに記載の電磁気フィルター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁干渉(ElectroMagnetic Interference)即ちEMI/RFIを低減するノイズの影響を受けやすい電磁フィルター即ちEMCフィルターに関し、特に、コモンモードとディファレンシャルモードの両方で動作する小型の特殊構造の電磁フィルターに関する。
【背景技術】
【0002】
EMCフィルターは、特許文献1で公知である。特許文献1は、二重の磁気コアでコモンモードとディファレンシャルモードで動作する集積化されたEMCフィルターを開示する。EMCフィルターは、2つの同一の磁気コアと4本のコイルを有する。この磁気コアは、閉鎖された磁気コアである。空気ギャップがこの2つの磁気コアの間に設けられている。2つのコモンモードのインダクタンス・コイルが、2つの磁気コアに共有モードで巻回されている。2つのディファレンシャルモードのインダクタンス・コイルが、2つの磁気コア上にそれぞれ巻回されている。第1のディファレンシャルモードのインダクタンス・コイルの調和端は、第1のコモンモードのインダクタンス・コイルの調和端に接続されている。 第2のディファレンシャルモードのインダクタンス・コイルの調和端は、第2のコモンモードのインダクタンス・コイルの調和端に接続されている。
【0003】
別の実施例である特許文献2は、環状の磁気パワー・ユニットを開示する。
この環状の磁気パワー・ユニットは、
向かい合って重ね合わされた第1の部分磁気コアと第2の部分磁気コア(この第1の部分磁気コアは、第1の環状溝を有し、この第1の環状溝は、この第1の部分磁気コアの表面を介してアクセス可能である)と、
この第1の環状溝内に収納される導電性内側コイルと、
この環状磁気コアの周りに巻回される導電性外側コイルとを有する。
この導電性外側コイルは、2つの独立した導電性外側コイル(左側導電性外側コイル、右側導電性外側コイルと命名されている)で形成されている。第1の部分磁気コアは、2つの並行な空気ギャップで、3つの独立した部分に分離される。
この3つの独立した部分は、2つの並行な空気ギャップの間に挟まれた第1の中央磁気コア部分と、この第1の中央磁気コア部分の両側にある左側と右側の中央磁気コア部分に対応する。第2の部分磁気コアも、2つの並行な空気ギャップで、3つの独立した部分に分離される。この3つの独立した部分は、2つの並行な空気ギャップの間に挟まれた第2の中央磁気コア部分に対応する。
【0004】
【特許文献1】CN103545085A
【特許文献2】EP3493228B1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、コモンモードとディファレンシャルモードの両方で動作する電磁フィルターを提供することである。本発明の電磁フィルターは、漏れインダクタンス(leakage inductance)を増やし、冷却板への熱伝導路を改善する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この為、本発明の電磁フィルターは、内側に空洞を有するドーナッツ形状(toroidal-like)の磁気コアと、前記磁気コアの周囲に巻回される別個の第1コイルと第2コイルとを有する。前記第1コイルと第2コイルと磁気コアは、コモンモード・フィルターを構成する。
【0007】
本発明によれば、前記第1コイルと第2コイルは、前記磁気コアの2つの主部の周りに互いに反対位置に配置される。
【0008】
本発明の電磁フィルターは、第3コイルを含む。この第3コイルは、前記磁気コア、第1コイル,第2コイルの周囲に巻回され、前記磁気コアの内側空洞と同軸となるZ軸の周囲に配置される。前記第3コイルは、ディファレンシャルモード・フィルターを構成する。更に、本発明の電磁フィルターは、キャパシタと、前記キャパシタの両側に配置される2枚のシートとを有する。前記シートは、前記キャパシタを、前記第1コイルと第2コイルから断熱する。前記キャパシタと2枚のシートは、前記磁気コアの空洞内に配置される。本発明の電磁フィルターは、伝熱性磁気化合物の層を更に有する。この伝熱性磁気化合物の層は、前記磁気コア,第1コイル,第2コイル,第3コイル、キャパシタ,シートを覆う。その結果、リーク・インダクタンスは増加し、前記第3コイルにより生成される磁界が閉じ込められ、冷却板への良好な熱伝導路が形成される。
【0009】
本発明によれば、前記磁気コアは、長円形又は楕円形である。
【0010】
一実施例によれば、前記シートは、ポリスチレン(polystyrene)製である。
【0011】
一実施例によれば、前記磁気コアは、微細結晶構造(nanocrystalline structure)コアである。
【0012】
本発明の電磁フィルターは、ディファレンシャルモード減衰を改善する。一実施例によれば、従来の解決法に比較して、この減衰量は、20dB@100k-1MHz以上である。本発明の電磁フィルターは、良好な機械的インターフェースと、冷却システムへの良好な熱的結合路を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1A】本発明の一実施例によるコモンモードとディファレンシャルモードで動作する電磁フィルターの斜視図。
図1B】本発明の一実施例による電磁フィルターの部品展開図。
図1C】本発明の一実施例による電磁フィルターのキャパシタとコイルの配置図。
図2】2Aは、本発明の一実施例による電磁フィルターの部品が組み立てられた状態を第1の方向から見た斜視図。2Bは、同状態を第2の方向から見た斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1A,1B,図2は、本発明の電磁フィルターの一実施例を示す。同図に示すように、本発明の電磁フィルターは、微細結晶構造のドーナッツ形状の磁気コア10,第1コイル21,第2コイル22,第3コイル23、キャパシタ15、2枚のシート18を有する。シート18は、ポリスチレン(polystyrene)製である。
【0015】
図1Aに示すように、本発明の電磁フィルターの構成要素は、組み立てられると、伝熱性磁気化合物製の層18で覆われる即ちカプセル化される。このカプセル化により、リーク・インダクタンス(leakage inductance)は、大きくなり、第3コイル23により生成された磁界が閉じ込められる。同時に冷却板への良好な熱伝導路を提供する。
【0016】
特に、第1コイル21、第2コイル22,磁気コア10は、コモンモード・フィルターとして動作する。第3コイル23とキャパシタ15は、ディファレンシャルモード・フィルターとして機能する。それ故に、本発明の電磁フィルターは、コモンモードとディファレンシャルモードの両方で(デュアルモード)で動作する。
【0017】
第1コイル21と第2コイル22は分離している即ち別個のコイルであり、互いに反対(対向)位置に配置される。同様に、第1コイル21と第2コイル22は、組み立てられる(図2に示すように)と、磁気コア10の2つの主部10A,10Bの周りに配置される。
【0018】
第3コイル23は、磁気コア10、第1コイル21,第2コイル22の周囲に巻回され、前記磁気コア10の内側空洞と同軸であるZ軸の周囲に配置される。
【0019】
キャパシタ15は、組み立てられると、2枚のシート18で挟まれる。キャパシタ15と2枚のシート18は、前記磁気コア10の内側空洞内に配置される。2枚のシート18は、キャパシタ15を、コイル21、22から断熱する。
【0020】
第1コイル21,第2コイル22,第3コイル23は、それらとキャパシタ15の間は熱的かつ電気的に絶縁されている。これにより安全運転ができる。
【0021】
他の実施例では、本発明の電磁フィルターは、複数のキャパシタ15を有することもある。
【0022】
以下表1は、本発明の電磁フィルターの特性の一部を示す。この実施例では、電磁フィルターは、AEC-Q200標準に従って動作するよう設計されている。AEC-Q200標準の一部は以下の表1に示す。
表1
定格電流:16Arms
定格電圧:630Vdc
最大寸法:54x45x35mm
CMCインダクタンス:21mH@10kHz
CMCインダクタンス:51mH@100kHz
CMC Llkg:>30μH@100kHz
CMC DCR:<10mΩ
DMインダクタンス:30μH@10kHz
Cxキャパシター:1.0μF
耐電圧:2000Vac50Hz60s
動作可能周囲温度:-40℃~+105℃
【0023】
以上の説明は、本発明の一実施例に関するもので、この技術分野の当業者であれば、本発明の種々の変形例を考え得るが、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。特許請求の範囲の構成要素の後に記載した括弧内の番号は、図面の部品番号に対応し、発明の容易なる理解の為に付したものであり、発明を限定的に解釈するために用いてはならない(特許法施行規則24条の4及び様式29の2の「備考」14のロ)。また、同一番号でも明細書と特許請求の範囲の部品名は必ずしも同一ではない。これは上記した理由による。「少なくとも1つ或いは複数」、「と/又は」は、それらの内の1つに限定されない。例えば「A,B,Cの内の少なくとも1つ」は「A」、「B」、「C」単独のみならず「A,B或いはB,C更には又A,B,C」のように複数のものを含んでもよい。「A,B,Cの内の少なくとも1つ」は、A,B,C単独のみならずA,Bの組合せA,B,Cの組合せでもよい。「A,Bと/又はC」は、A,B,C単独のみならず、A,Bの2つ、或いはA,B,Cの全部を含んでもよい。本明細書において「Aを含む」「Aを有する」は、A以外のものを含んでもよい。特に記載のない限り、装置又は手段の数は、単数か複数かを問わない。
【符号の説明】
【0024】
10:磁気コア
10A:第1主部
10B:第2主部
10A,10B:2つの主部
12:伝熱性磁気化合物製の層
15:キャパシタ
18:シート
21:第1コイル
22:第2コイル
23:第3コイル
図1A
図1B
図1C
図2