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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024089652
(43)【公開日】2024-07-03
(54)【発明の名称】洗浄装置用のキャリア
(51)【国際特許分類】
   B08B 3/02 20060101AFI20240626BHJP
   G21F 9/28 20060101ALI20240626BHJP
【FI】
B08B3/02 A
G21F9/28 525G
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023214315
(22)【出願日】2023-12-19
(31)【優先権主張番号】22215596.2
(32)【優先日】2022-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】523410126
【氏名又は名称】レスキュー インテリテック アーベー
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100185269
【弁理士】
【氏名又は名称】小菅 一弘
(72)【発明者】
【氏名】ランマル ヨナス
(72)【発明者】
【氏名】ボーン トルベン
(72)【発明者】
【氏名】セルイス ロビン
(72)【発明者】
【氏名】テグレ ヨハン
【テーマコード(参考)】
3B201
【Fターム(参考)】
3B201AA46
3B201AB03
3B201AB44
3B201AB45
3B201BB22
3B201BB24
3B201BB86
3B201BB92
3B201BB94
(57)【要約】      (修正有)
【課題】洗浄装置用の器具キャリア、個人用保護器具を洗濯する洗浄装置、及び個人用保護器具を除染する方法に関する。
【解決手段】洗浄装置用の器具キャリア(1)を提供する。該キャリア(1)は、器具を保持する少なくとも1つの保持構造(3)と、洗浄装置内の洗浄媒体の流れを遮断するように構成された少なくとも1つの遮断部材(4)と、を含む。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄装置用の器具キャリア(1)であって、
器具を保持する少なくとも1つの保持構造(3)と、
洗浄装置(10)内の洗浄媒体の流れを遮断するように構成された少なくとも1つの遮断部材(4)と、を含む、器具キャリア(1)。
【請求項2】
前記保持構造(3)は、個人用保護器具(6)を支持するように構成される、請求項1に記載のキャリア(1)。
【請求項3】
前記遮断部材(4)は、前記保持構造(3)の、前記器具(6)を受け入れるように構成された側の反対側に配置される、請求項1又は2に記載のキャリア(1)。
【請求項4】
前記遮断部材(4)は、洗浄媒体の流れを受けるときに、前記洗浄媒体の流れが前記保持構造(3)に配置された前記器具(6)の一部に入ることから遮断するように構成される、請求項1又は2に記載のキャリア(1)。
【請求項5】
前記器具(6)の一部は、前記器具(6)の内側部分である、請求項4に記載のキャリア(1)。
【請求項6】
前記保持構造(3)及び前記遮断部材(4)を支持するように配置された支持構造(2)を更に含む、請求項1又は2に記載のキャリア(1)。
【請求項7】
前記少なくとも1つの遮断部材(4)は、第1平面内に延在し、前記少なくとも1つの保持構造(3)のそれぞれは、主に前記第1平面に直交する方向に延在する、請求項1又は2に記載のキャリア(1)。
【請求項8】
前記保持構造(3)及び前記遮断部材(4)を支持するように配置された支持構造(2)を更に含み、前記少なくとも1つの遮断部材(4)は、第1平面内に延在し、前記少なくとも1つの保持構造(3)のそれぞれは、主に前記第1平面に直交する方向に延在し、前記支持構造(2)は、主に前記第1平面内に延在する、請求項1又は2に記載のキャリア(1)。
【請求項9】
前記遮断部材(4)は、開口部(5)が設けられたシートを含み、又は、前記キャリア(1)は、前記保持構造(3)及び前記遮断部材(4)を支持するように配置された支持構造(2)を更に含み、前記遮断部材(4)は、前記支持構造(2)に互いに間隔をあけて接続された2つ以上のシートを含む、請求項1又は2に記載のキャリア(1)。
【請求項10】
前記開口部は、細長いスロット(5)である、請求項9に記載のキャリア(1)。
【請求項11】
前記洗浄装置(10)の装備保持バスケット(13)内に配置されるように構成される、請求項1又は2に記載のキャリア(1)。
【請求項12】
洗浄媒体の少なくとも1つの入口が設けられた洗浄チャンバー(12)を取り囲むハウジング(11)を含み、前記洗浄チャンバー(12)は、請求項1に記載のキャリア(1)を含み、又は受け入れるように構成される、個人用保護器具(6)を除染する洗浄装置(10)。
【請求項13】
前記洗浄媒体は、水、洗濯洗剤、洗浄薬、顆粒、乾式洗濯剤のうちの1つ以上である、請求項12に記載の洗浄装置(10)。
【請求項14】
洗浄装置(10)と、前記洗浄装置(10)内に配置可能な請求項1に記載のキャリア(1)と、を含む、システム。
【請求項15】
前記洗浄装置(10)内に配置可能であり、前記キャリア(1)を受け入れるように構成された装備保持バスケット(13)を更に含む、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
個人用保護器具を除染する方法であって、
請求項1に記載の器具キャリア(1)を洗浄装置(10)内に配置するステップと、
前記少なくとも1つの保持構造(3)上に除染対象の前記個人用保護器具(6)を配置するステップと、
少なくとも1つの洗浄媒体の流れを前記洗浄装置(10)内に提供するステップと、を含み、
前記少なくとも1つの遮断部材(4)は、前記少なくとも1つの洗浄媒体の流れが前記個人用保護器具(6)の内側部分に入ることから遮断する、方法。
【請求項17】
前記キャリア(1)を前記洗浄装置(10)内に配置するステップは、前記キャリア(1)を装備保持バスケット(13)内に配置するステップと、前記装備保持バスケット(13)を前記洗浄装置(10)内に配置するステップと、を含む、請求項16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄装置用の器具キャリア、個人用保護器具を洗濯する洗浄装置、及び個人用保護器具を除染する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
消防士は、勤務中に様々な保護服及び保護器具を使用する。消火中に使用される場合、自給式呼吸器(SCBA:self-contained breathing apparatus)、ヘルメット、フェイスマスク、ブーツ及び手袋などの保護器具が煤粒子及び燃焼ガスで汚染される。これらの粒子の一部は、人間の健康に真の脅威をもたらす多環芳香族炭化水素(PAH:polycyclic aromatic hydrocarbons)粒子など、有害な毒素及び/又は発癌物質である。
【0003】
研究により、消防士は、一般の人より様々な形態の癌と診断され、癌によって死亡するリスクが顕著に高いことを示す。これは、消防士が職務中に有害な化学物質及び発癌性粒子に暴露されるためである。この暴露とその結果として生じる癌のリスクを軽減するには、全ての個人用保護器具を毎回の使用後に徹底的に、安全かつ効率的に洗濯し、除染することが好ましい。
【0004】
消防署に戻ったらすぐに個人用保護器具を除染することが好ましい。しかしながら、器具を手で洗濯するのは、時間がかかり、重労働であり、また、毒素及び/又は発癌物質への非保護の暴露による健康上のリスクをもたらす。更に、保護器具を洗濯するのは、有害な化学粒子を含む汚染された流出水の放出につながる可能性がある。
【0005】
これらの問題及び類似した問題は、鉱業又はヘルスケアなどの他の産業でも発生する。
【0006】
以上より、改善の余地があることが理解され、本発明は、上記問題及び他の問題を解決するか又は少なくとも軽減することを目的とする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、添付の独立請求項によって定義される。本明細書に開示される概念の付加的な特徴及び利点は、以下の説明に記載され、一部が以下の説明から明らかになるか、又は説明される技術の実践によって学習され得る。概念の特徴及び利点は、添付の特許請求の範囲で特に指摘された手段及び組み合わせによって実現されるとともに取得され得る。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1態様では、洗浄装置用の器具キャリアを提供する。該キャリアは、器具を保持する少なくとも1つの保持構造と、洗浄装置内の洗浄媒体の流れを遮断するように構成された少なくとも1つの遮断部材と、を含む。キャリアの利点は、キャリア上に配置された器具の内側に入らないように洗浄媒体の流れを制御することである。したがって、器具の内側は、洗浄媒体に暴露されない。
【0009】
第2態様では、個人用保護器具を除染する洗浄装置を提供する。該洗浄装置は、洗浄媒体の少なくとも1つの入口が設けられた洗浄チャンバーを取り囲むハウジングを含む。洗浄チャンバーは、上記キャリアを含むか、又は受け入れるように構成される。
【0010】
キャリアを含む洗浄チャンバーの利点は、キャリアの取り扱いがより簡単であり、キャリアが、紛失したり、洗浄装置内で置き忘れられたり、誤って配置されたりすることがないことである。
【0011】
キャリアを受け入れるように構成された洗浄チャンバーの利点は、キャリア上での器具の配置が容易になり、キャリアが使用されていないときに洗浄チャンバー内のスペースを占有しないことである。
【0012】
第3態様では、洗浄装置と、洗浄装置内に配置可能なキャリアと、を含むシステムを提供する。
【0013】
第4態様では、個人用保護器具を除染する方法を提供する。該方法は、個人用保護器具を保持する少なくとも1つの保持構造と少なくとも1つの遮断部材とを含むキャリアを、洗浄装置内に配置するステップと、少なくとも1つの保持構造上に除染対象の個人用保護器具を配置するステップと、少なくとも1つの洗浄媒体の流れを洗浄装置内に提供するステップと、を含み、少なくとも1つの遮断部材は、少なくとも1つの洗浄媒体の流れが個人用保護器具の内側部分に入ることから遮断する。
【0014】
一態様では、個人用保護器具を除染する方法を提供し、該方法は、個人用保護器具を保持する少なくとも1つの保持構造と少なくとも1つの遮断部材とを含む器具キャリアを、洗浄装置内に配置するステップと、少なくとも1つの保持構造上に除染対象の個人用保護器具を配置するステップと、少なくとも1つの洗浄媒体の流れを洗浄装置内に提供するステップと、を含み、少なくとも1つの遮断部材は、少なくとも1つの洗浄媒体の流れが個人用保護器具の内側部分に入ることから遮断する。
【0015】
この方法の利点は、洗浄媒体が除染対象の器具の内側に入ることから防止/妨碍/遮断することである。これにより、乾燥時間が短縮され、器具の摩耗が軽減され、洗浄媒体中の有害な粒子又はその他の汚染物質による内部の汚染が防止される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
上記実施形態が実現される方法を最適に説明するとともに、本開示の他の利点及び特徴を規定するために、以下、添付図面を参照して、より具体的に説明する。これらの図面は、本発明の例示的な実施形態を示すものに過ぎず、範囲を限定するものと考えられないことが理解され、添付図面を使用して追加の特異性及び詳細により実施例を説明する。
【0017】
図1】洗浄装置の正面図である。
図2図1の洗浄装置のB-B線に沿った側断面図である。
図3】器具キャリアの斜視図である。
図4図3の器具キャリアの側面図である。
図5図3の器具キャリアの正面図である。
図6図3の器具キャリアの上面図である。
図7】装備保持バスケット内に配置された図3の器具キャリアの正面図である。
図8図7の器具キャリア及びバスケットの上面図である。
図9図7の器具キャリア及びバスケットの側面図である。
図10図7の器具キャリア及びバスケットの斜視図である。
図11】装備/器具が設けられた図7の器具キャリア及びバスケットの正面図である。
図12図11の器具キャリア、バスケット及び器具の側面図である。
図13図11の器具キャリア、バスケット及び器具の上面図である。
図14図11の器具キャリア、バスケット及び器具の斜視図である。
図15】洗浄装置内に配置された図11の器具キャリア、バスケット及び器具の正面図である。
図16図15の洗浄装置内に配置された器具キャリア、バスケット、及び器具のA-A線に沿った側断面図である。
図17】装備保持バスケット内に配置され、装備が設けられた一実施形態に係るキャリアの正面図である。
図18図17のキャリアの側面図である。
図19図17のキャリアの上面図である。
図20図17のキャリアの斜視図である。
図21】装備保持バスケット内に配置され、装備が設けられた一実施形態に係るキャリアの正面図である。
図22図21のキャリアの側面図である。
図23図21のキャリアの斜視図である。
図24図21のキャリアの上面図である。
図25】装備保持バスケット内に配置され、装備が設けられた一実施形態に係るキャリアの正面図である。
図26図25のキャリアの上面図である。
図27図25のキャリアの斜視図である。
【0018】
更に、図面において、同様の参照符号は、いくつかの図を通して同様の部分又は対応する部分を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
開示される方法及び配置の様々な実施形態について、以下で詳細に説明する。特定の実装について説明するが、これは、説明のみを目的としていることを理解すべきである。当業者であれば、本開示の精神及び範囲から逸脱することなく、他の構成要素、構成、及びステップを使用し得ることを認識するであろう。
【0020】
説明及び特許請求の範囲では、「comprise」という語と、「comprising」及び「comprises」などの語の変形は、他の要素又はステップを排除するものではない。
【0021】
この文書では、「洗浄」と「除染」という用語は、同義に使用され、「装備(gear)」と「器具(equipment)」という用語も同義に使用される。
【0022】
以下、添付図面を参照して、いくつかの実施形態をより完全に説明する。本発明の概念から逸脱することなく、様々な修正及び変形を行うことができることは、当業者には明らかであろう。他の実施形態は、本明細書及び本明細書に開示される実践を考慮することにより当業者には明らかとなるであろう。本明細書の実施形態は、本開示が徹底的かつ完全なものとなり、本発明の概念の範囲を完全に伝え、特許請求の範囲が、本発明の概念が属する当業者には明らかな本発明の概念の全ての等価物を包含するものとして解釈されるように、例として提供されるものである。他に何も述べない限り、異なる実施形態を互いに組み合わせることができる。
【0023】
背景技術の部分で説明したように、消防署に戻ったらすぐに個人用保護器具、又は消防士が接触する可能性のある他の器具を除染することが好ましい。装備又は器具とは、例えば、消火任務後に洗浄/除染を必要とするブーツ、手袋、マスク、ヘルメット、又は類似した物品である。現在、水道ホースでブーツをすすぎか又は洗い流し、手袋をはめて洗浄し、シンクで石鹸を用いて手を洗浄するのが一般的である。
【0024】
器具を徹底的に洗浄するために、消火器具を除染するように設計された洗浄装置(個人用保護器具除染装置とも呼ばれる)を使用することが有益である。好ましくは、洗浄装置は、下方及び上方を含む全ての方向から洗浄媒体を提供し、好ましくは、少なくとも1つの横方向からも洗浄媒体を提供する。これは、固定ノズル、及び/又は除染対象の器具上に洗浄媒体を噴射するように構成されたノズルが設けられた回転アームによって得られる。代替的に、固定ノズルは、装備が配置される移動可能な、例えば回転キャリアと組み合わされる。
【0025】
洗浄水、又は汚染物質や除染用化学物質を含む他の洗浄媒体により器具の内側部分が汚染されるリスクを軽減し、水ベースの除染後の乾燥時間を短縮し、及び/又は、粒子及び/又は化学物質への暴露による装備の摩耗を軽減するために、洗浄媒体が器具の内側に入ることから防止することが、好ましい。この用途では、個人用保護器具の内側とは、着用者/ユーザと接触する物品/衣服の側を指す。
【0026】
洗浄媒体の流れを変えたり減らしたりしないことが好ましく、これは、洗浄装置に衝撃を与える必要があり、洗浄の効果を低下させるからである。本発明の発明者らは、思慮深く創意に富んだ思考により、この問題に対する解決策を提案しており、これについては、以下で更に詳細に説明する。
【0027】
図1及び2は、ハウジング11を含む洗浄装置10を示し、ハウジング11は、ハッチ又はドア14を含み、洗浄チャンバー12を取り囲む。洗浄チャンバー12は、洗浄媒体の少なくとも1つの入口と、使用済みの洗浄媒体及び汚染物質の少なくとも1つの出口と、を有する。洗浄チャンバー12は、キャリア1が配置可能な装備保持バスケット13を受け入れるように構成される。図1及び図2では、キャリア1は、装備保持バスケット13内に配置され、装備保持バスケット13は、洗浄チャンバー12内に配置される。この場合の洗浄装置10は、洗濯される装備の上下に回転アームを有する。
【0028】
好ましくは、洗浄装置10は、装備保持バスケット13を受け入れるか又は支持するように構成された一対のレール、ガイド、又は同様のものを有する。図示の実施形態では、洗浄装置10は、1つの装備保持バスケット13を収容するように構成されるが、他の実施形態では、洗浄装置10は、例えば、互いに垂直距離をあけて配置された2対以上のレールにより2つ以上の装備保持バスケットを収容するように構成されてもよい。
【0029】
洗浄装置10は、2組の回転アームを更に含む。1組の回転アームは、装備保持バスケット13を支持するレールの下に配置され、もう1組の回転アームは、装備保持バスケット13を支持するレールの上に配置される。各組の回転アームの各アームには、洗浄チャンバー12への洗浄媒体の少なくとも1つの入口を形成する開口部又はノズルが設けられる。一実施形態では、ノズルは、洗浄媒体を異なる方向に噴射するように設計されることにより、洗浄チャンバー12内側で全ての方向に洗浄媒体の流れを提供する。
【0030】
洗浄装置10は、少なくとも1つの入口を介して洗浄チャンバー12に対して洗浄媒体を送り出し、吸い出すように構成されたポンプユニットを更に含む。
【0031】
個人用保護器具の除染/洗浄/洗濯に使用される洗浄媒体は、水、洗濯洗剤、洗浄薬、顆粒、乾式洗濯剤、RO水、消毒剤、石鹸、皿洗い液、食器用石鹸、食器洗い機用洗剤、油性洗浄剤、超純水のうちの1つ以上である。
【0032】
洗浄装置10内にノズルが設けられた2組のアームを有することが有益であり、1組のアームが上から洗浄媒体の流れを提供し、もう1組のアームが下から洗浄媒体の流れを提供する。これにより、器具のより徹底的な除染が可能になる。回転アームの代替手段として、ノズル/開口部は、別の形状の回転構造に設けられてもよく、回転可能ではないが、前後に回動可能な構造に設けられてもよい。代替的に及び/又は追加的に、洗浄装置10には、ノズル又は開口部を含むバーなどの1つ以上の固定構造が設けられる。
【0033】
装備保持バスケット13は、ワイヤバスケットである。バスケット13は、ワイヤで製造された1つの床と4つの側壁/側面部分を含む。バスケット13は、形状を安定させながら、できるだけ多くの洗浄媒体を浸透させるように構成される。したがって、バスケット13内に配置された器具/装備は、できるだけ多くの洗浄媒体に暴露され、その結果、より徹底的な洗濯が行われる。
【0034】
上記のように、洗浄媒体がブーツ又は手袋の内側などに入ることから遮断することが有益である場合がある。この目的のために、キャリア1は、装備保持バスケット13内に配置される。
【0035】
図3~6を参照すると、洗浄装置10における除染中に器具6を担持(carrying)/保持/支持するキャリア/ホルダ/支持体1の実施形態が示される。キャリア/ホルダ/支持体1は、洗浄装置キャリア/ホルダ/支持体、装備キャリア/ホルダ/支持体、又は器具キャリア/ホルダ/支持体と呼ばれてもよい。キャリア/ホルダ/支持体1(以下、キャリアのみと呼ばれる)は、洗浄装置10の装備保持バスケット13内に配置可能であるように設計される。好ましくは、キャリアは、装備保持バスケット13を設けずに、洗浄装置10に直接的に取り付けられるように構成されてもよい。
【0036】
更に好ましくは、キャリア1は、洗浄装置10の一体部分として設計される。例えば、キャリア1は、例えば溶接、リベット止め、又は成形によって、洗浄装置10において洗浄チャンバー12内側に取り付けられてもよい。
【0037】
キャリア1は、支持構造2と、少なくとも1つの保持構造3と、少なくとも1つの遮断部材4と、を含む。図示の実施形態では、支持構造2は、第1支持構造部分2aと第2支持構造部分2bとを含む。支持構造部分2a、2bはそれぞれ、長方形輪郭の金属構造を含む。代替的に、支持構造2は、例えば正方形/長方形の2つの対向する辺の間に延在する支柱が設けられた長方形又は正方形の形状のコヒーレント構造である。一実施形態では、支持構造2は、ステンレス鋼、PP、又はPOMで製造される。
【0038】
保持構造3は、ロッド、好ましくは、湾曲ロッドを含む。ロッドは、異なる種類の個人用保護器具を保持するのに適した形状に湾曲される。図示の場合に、ロッドは、文字「M」に似ている。
【0039】
キャリアは、好ましくは、いくつかの保持構造を含む。図示のキャリア1は、4つの保持構造3を含む。保持構造3はそれぞれ、支持構造2に取り付けられる。代替的に、保持構造3は、遮断部材4に、又は遮断部材4及び支持構造2の両方に取り付けられてもよい。この実施形態では、保持構造3及び遮断構造4は、2つの別個の構造として形成される。
【0040】
各保持構造3は、M字形の第1脚が第1支持構造部分2aに取り付けられ、M字形の第2脚が第2支持構造部分2bに取り付けられる。したがって、各保持構造3は、支持構造2が延在する平面に垂直なそれぞれの平面内に延在する。
【0041】
一実施形態では、保持構造3は、ステンレス鋼、PP、又はPOMで製造される。他の実施形態では、保持構造は、複合材料又は他の適切な材料などの他の材料を含んでもよい。他の実施形態では、保持構造3は、例えば、「V」字、「I」字、又は上下逆さの「L」字の形状に似ている別の形状を有してもよい。保持構造3は、上述したように、2つ以上の平面に延在してもよい。ロッド形状の保持構造は、材料効率が高く、つまり、少量の材料を必要とすることにより、軽量でコスト効率が高いという利点を有する。
【0042】
図示の実施形態では、遮断部材4は、シートを含む。シートは、対向する長辺4a、4b及び対向する短辺4c、4dを有する長方形である。シートは、図では細長いスリット5の形状の開口部を含む。スリット5は、シートの対向する長辺4a、4bの間に延在する。
【0043】
遮断部材4は、保持構造3の下に位置するように、支持構造2の長辺に沿って支持構造2に取り付けられる。
【0044】
排水性を高めるために、遮断部材4のシートは、シートの長辺4a、4bに平行な線に沿って最小曲線を有する、少し曲がった形状を有していてもよい。シート4には、遮断部材4に落下した水が開口部5に導かれるように、最小曲線に沿うスリット又は開口部5が設けられる。
【0045】
他の実施形態では、遮断部材4は、正方形又は円形などの他の形状を有してもよい。開口部は、シートの短辺4c、4dの間に延在してもよく、シートの長辺4a、4bに対して、対角線的に、斜め、又はある角度で延在してもよい。開口部は、より短いスロット又は円形若しくは楕円形の穴として設計されてもよい。
【0046】
他の実施形態では、遮断部材4は、いくつかのより小さい本体を含んでもよい。遮断部材4は、例えば、それぞれが除染対象の器具の開口部を覆うように適合された、ディスクなどの個別のユニット又は別個のユニットを含んでもよい。
【0047】
一実施形態では、少なくとも1つの遮断部材4は、第1平面内に延在し、少なくとも1つの保持構造3のそれぞれは、第1平面に直交する方向に延在する。好ましくは、支持構造2は、第1平面内に延在する。
【0048】
図7~10では、キャリア1は、装備保持バスケット13内に配置される。支持構造2は、キャリア1がバスケット13内にしっかりと配置されるように、装備保持バスケット13にぴったりと合うように構成される。一実施形態では、支持フレーム2は、長方形であることにより、180度の水平回転によって区別される2つの位置のみで装備保持バスケット13に合う。別の実施形態では、支持フレーム2は、正方形であり、4つの位置で装備保持バスケット13に合い、4つの位置はそれぞれ、バスケット13の90度の水平回転によって区別される。
【0049】
図11~14では、装備保持バスケット13内に配置されたキャリア1がブーツ6の形態の消火器具を担持することが示されており、図15及び16では、キャリア1及びブーツ6付きのバスケットが洗浄装置10内に配置される。
【0050】
主に図11~16を参照すると、以下、キャリア1の機能をより詳細に説明する。キャリア1は、装備保持バスケット13内に配置される。次に、図示の実施形態ではブーツ6である除染対象の器具6は、保持構造3がブーツ6の開口部に延在するようにキャリア1の保持構造3上に配置される。図のキャリア1は、4つの保持構造3を含み、そのうちの3つには、ブーツ6が置かれており、1つは、空である。ブーツ6は、ブーツ6の開口部が遮断部材4に面するように保持構造3上に配置される。
【0051】
ブーツ6が保持構造3上に配置されている場合、装備保持バスケット13は、洗浄装置10の洗浄チャンバー12内にレール又はガイド上に配置される。
【0052】
その後、少なくとも1つの洗浄媒体の流れを洗浄チャンバー12内に提供することによって、器具の除染を開始する。最適な除染を提供するために、洗浄媒体を装備保持バスケット13の上及び下の両方から提供することにより、流れは、全ての方向から器具6に当たる。装備保持バスケット13がワイヤバスケットであるため、洗浄媒体の流れは、バスケット13のワイヤの間を通ってブーツ6に当たる。
【0053】
しかしながら、装備保持バスケット13の下に位置するノズルからの少なくとも一部の洗浄媒体の流れは、遮断部材4に当たる。これにより、洗浄媒体の流れが、装備保持バスケット13内に配置された、この場合でブーツ6である器具の内側に入ることが防止される。
【0054】
遮断部材4のサイズは、下からの洗浄媒体の流れを完全に遮断せずに、異なる個人用保護器具がキャリア1上に配置されたときに開口部を遮断する程度にだけ達するように適合される。
【0055】
図13に見られるように、ブーツ6のつま先部分は、遮断部材4の外側に延在するため、洗浄媒体の流れに直接的に暴露される。遮断部材4をより大きくすると、ブーツ6は、それと同じ量の洗浄媒体に暴露されず、同様に除染されないであろう。
【0056】
遮断部材4のサイズ及び延在は、除染対象の器具の被覆と暴露との間のトレードオフとして決定される。キャリア1に異なるサイズの遮断部材4を設けること、又は遮断部材4を異なるサイズにし、交換可能にすることが可能である。
【0057】
洗浄装置10内に供給された洗浄媒体の一部は、遮断部材4の上面、すなわち、器具6に面する面に到達することになる。上面で、洗浄媒体は、開口部5に向かって導かれ、開口部5を流れて洗浄チャンバー12の底部に落下する。洗浄媒体は、各開口部5に向かう遮断部材4の斜面又は坂によって、又は遮断部材4から洗浄媒体が溢れ出ることによって、開口部5に向かって導かれてもよい。その効果は、器具6が、停滞した洗浄媒体に暴露されないことである。
【0058】
図17~24では、キャリア1の実施形態が示される。このバージョンのキャリア1は、支持構造2と、少なくとも1つの保持構造3と、少なくとも1つの遮断部材4とを含む。保持構造3はそれぞれ、遮断部材4に取り付けられる。支持構造2は、遮断部材4の第1長辺4aに取り付けられる。支持構造2は、遮断部材4に対して、保持構造3とほぼ同じ方向に延在する。
【0059】
保持構造3は、除染対象の器具に挿入され、これは、除染対象の器具の開口部が遮断部材4に面するように、除染対象の器具がキャリア1の保持構造3上に置かれると表現されてもよい。
【0060】
その後、除染対象の器具6が設けられたキャリア1を装備保持バスケット13内に配置する。
【0061】
図17~20は、使用中のキャリア1を示す。キャリア1は、遮断部材の第1長辺4aとM形状の保持構造3の上側湾曲部分の一方(すなわち、「M」の方向から見た上側)が装備保持バスケット13の床に面するように配置される。使用中、支持構造2は、装備保持バスケット13の床に当接し、遮断部材4は、支持構造2/装備保持バスケット13の床に対して、約90°、例えば80~100°の角度で延在する。
【0062】
図21~24は、キャリア1の別の実施形態を示す。キャリア1は、少なくとも1つの保持構造3及び少なくとも1つの遮断部材4を含む。保持構造3はそれぞれ、遮断部材4に取り付けられる。この実施形態のキャリア1は、支持構造を含まないという点で、上述のものとは異なる。使用中、図中のブーツ6の形態の器具を、靴底がバスケットの床に当接し、ブーツの開口部が上方に向かうように、装備保持バスケット13内に配置する。次に、キャリア1の保持構造3をブーツ6の開口部に挿入することにより、遮断構造4がそれぞれのブーツシャフト又はブーツの上部に当接し、それぞれのブーツ6の開口部を覆う。装備保持バスケット13を、上述と同じ方式で、洗浄装置10内に配置する。洗浄/除染プロセスも上述と同じであるが、遮断構造4が上からの洗浄媒体の流れを遮断する。
【0063】
図25~27は、キャリア1の別の実施形態を示す。この実施形態では、保持構造3は、円錐台又は楕円錐台の形状である。保持構造3は、器具内に延在して器具6の開口部を埋めるように構成されるため、遮断部材4としても機能する。
【0064】
円錐台は、装備の開口部への洗浄媒体の流れを遮断するためにのみ適合される。洗浄媒体の噴流は、残りの洗浄チャンバー12全体に広がることができる。これにより、器具6の効果的な洗濯が可能になる。
【0065】
他の実施形態(図示せず)では、保持構造3は、円錐状、棒状、先端に球体、部分球体又はディスクを有する棒状であってもよく、球体、部分球体又はディスクは、棒状に沿って固定されてもよく、移動可能であってもよい。
【0066】
キャリア1は、異なる種類の個人用保護器具を受け入れるように設計される。キャリア1は、器具の開口部の幾何学的形状に関係なく、洗浄媒体の流れが器具の内側に入ることから防止するように設計される。
【0067】
上述の様々な実施形態は、例示のみを目的として提供されており、本発明を限定するものとして解釈されるべきではない。例えば、本明細書の原理は、任意の洗浄装置又は洗浄ユニットに適用することができる。キャリア1は、ブーツ、手袋、ゴーグル、バイザー、呼吸マスク、人工呼吸器、呼吸管などの任意の個人用保護器具(PPE)を支持するように適合されてもよい。PPEは、個人用保護器具が使用される任意の業界に適合されてもよく、これらの業界は、消火、鉱業、ヘルスケアなどを含むが、これらに限定されない。当業者であれば、本明細書に図示し説明した例示的な実施形態及び応用例に従うことなく、かつ本開示の範囲から逸脱することなく、本発明に対して様々な修正及び変更を行うことができることを容易に認識するであろう。
【0068】
番号付き条項
条項1.
洗浄装置用の器具キャリア(1)であって、
器具を保持する少なくとも1つの保持構造(3)と、
洗浄装置(10)内の洗浄媒体の流れを遮断するように構成された少なくとも1つの遮断部材(4)と、を含む、器具キャリア(1)。
【0069】
条項2.
保持構造(3)は、個人用保護器具(6)を支持するように構成される、条項1に記載のキャリア(1)。
【0070】
条項3.
遮断部材(4)は、保持構造(3)の、器具(6)を受け入れるように構成された側の反対側に配置される、条項1又は2に記載のキャリア(1)。
【0071】
条項4.
遮断部材(4)は、洗浄媒体の流れを受けるときに、洗浄媒体の流れが保持構造(3)に配置された器具(6)の一部に入ることから遮断するように構成される、条項1又は2に記載のキャリア(1)。
【0072】
条項5.
器具(6)の一部は、器具(6)の内側部分である、条項4に記載のキャリア(1)。
【0073】
条項6.
保持構造(3)及び遮断部材(4)を支持するように配置された支持構造(2)を更に含む、条項1又は2に記載のキャリア(1)。
【0074】
条項7.
少なくとも1つの遮断部材(4)は、第1平面内に延在し、少なくとも1つの保持構造(3)のそれぞれは、主に第1平面に直交する方向に延在する、条項1又は2に記載のキャリア(1)。
【0075】
条項8.
支持構造(2)は、主に第1平面内に延在する、条項6及び7に記載のキャリア(1)。
【0076】
条項9.
遮断部材(4)は、開口部(5)が設けられたシートを含み、又は、遮断部材(4)は、支持構造(2)に互いに間隔をあけて接続された2つ以上のシートを含む、条項6~8に記載のキャリア(1)。
【0077】
条項10.
開口部は、細長いスロット(5)である、条項9に記載のキャリア(1)。
【0078】
条項11.
洗浄装置(10)の装備保持バスケット(13)内に配置されるように構成される、条項1又は2に記載のキャリア(1)。
【0079】
条項12.
洗浄媒体の少なくとも1つの入口が設けられた洗浄チャンバー(12)を取り囲むハウジング(11)を含み、洗浄チャンバー(12)は、条項1に記載のキャリア(1)を含み、又は受け入れるように構成される、個人用保護器具(6)を除染する洗浄装置(10)。
【0080】
条項13.
洗浄媒体は、水、洗濯洗剤、洗浄薬、顆粒、乾式洗濯剤のうちの1つ以上である、条項12に記載の洗浄装置(10)。
【0081】
条項14.
洗浄装置(10)と、洗浄装置(10)内に配置可能な条項1に記載のキャリア(1)と、を含む、システム。
【0082】
条項15.
洗浄装置(10)内に配置可能であり、キャリア(1)を受け入れるように構成された装備保持バスケット(13)を更に含む、条項14に記載のシステム。
【0083】
条項16.
個人用保護器具を除染する方法であって、
個人用保護器具を保持する少なくとも1つの保持構造(3)と少なくとも1つの遮断部材(4)とを含む器具キャリア(1)を洗浄装置(10)内に配置するステップと、
少なくとも1つの保持構造(3)上に除染対象の個人用保護器具(6)を配置するステップと、
少なくとも1つの洗浄媒体の流れを洗浄装置(10)内に提供するステップと、を含み、
少なくとも1つの遮断部材(4)は、少なくとも1つの洗浄媒体の流れが個人用保護器具(6)の内側部分に入ることから遮断する、方法。
【0084】
条項17.
キャリア(1)を洗浄装置(10)内に配置するステップは、キャリア(1)を装備保持バスケット(13)内に配置するステップと、装備保持バスケット(13)を洗浄装置(10)内に配置するステップと、を含む、条項16に記載の方法。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
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図20
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図26
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【外国語明細書】