(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024089655
(43)【公開日】2024-07-03
(54)【発明の名称】心房細動における局所活性化源の検出
(51)【国際特許分類】
A61B 5/367 20210101AFI20240626BHJP
【FI】
A61B5/367
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023214654
(22)【出願日】2023-12-20
(31)【優先権主張番号】18/085,648
(32)【優先日】2022-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】511099630
【氏名又は名称】バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel), Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】アサフ・ゴバリ
(72)【発明者】
【氏名】バディム・グリナー
(72)【発明者】
【氏名】アンドレス・クラウディオ・アルトマン
【テーマコード(参考)】
4C127
【Fターム(参考)】
4C127AA02
4C127BB05
4C127FF05
4C127HH13
(57)【要約】
【課題】臓器内の局所活性化源(LAS)を検出するためのシステムを提供すること。
【解決手段】システムが、プロセッサと、ディスプレイとを含む。プロセッサは、(i)臓器の表面の電気解剖学的(EA)マップを生成することであって、EAマップは、少なくとも表面にわたる電気生理学的(EP)波の伝搬を示す伝搬ベクトル場(PVF)を指定する、ことと、(ii)臓器の少なくともある領域を選択することと、(iii)選択された領域を示す少なくとも閉輪郭の周囲に沿ってPVFのガウス積分を計算することと、(iii)計算されたガウス積分が基準を満たす場合、LASを示すタグを領域において生成することと、を行うように構成されている。ディスプレイは、EAマップ及びEAマップ上の少なくともタグを表示するように構成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
臓器内の局所活性化源(LAS)を検出するためのシステムであって、前記システムは、
プロセッサであって、(i)前記臓器の表面の電気解剖学的(EA)マップを生成することであって、前記EAマップは、少なくとも前記表面にわたる電気生理学的(EP)波の伝搬を示す伝搬ベクトル場(PVF)を指定する、ことと、(ii)前記臓器の少なくともある領域を選択することと、(iii)前記選択された領域を示す少なくとも閉輪郭の周囲に沿って前記PVFのガウス積分を計算することと、(iii)前記計算されたガウス積分が基準を満たす場合、前記領域において前記LASを示すタグを生成することと、を行うように構成されている、プロセッサと、
前記EAマップ及び前記EAマップ上の少なくとも前記タグを表示するように構成されたディスプレイと、を含む、システム。
【請求項2】
前記基準は、前記選択された領域における前記LASの存在を含み、前記プロセッサは、前記LASの前記存在を示す閾値を記憶し、前記計算されたガウス積分が前記閾値を超える場合に前記タグを生成するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記プロセッサは、前記選択された領域内の前記閉輪郭の面積を示す追加の閾値を記憶するように構成され、前記面積が前記追加の閾値を超える場合、前記プロセッサは、(i)前記閉輪郭の前記面積内に、面積が縮小された後続の閉輪郭(SCC)を生成し、(ii)前記SCCの後続の周囲に沿って前記PVFの後続のガウス積分を計算するように構成されている、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記少なくとも閉輪郭は、第1及び第2の表面をそれぞれ有する第1及び第2の閉輪郭を含み、前記プロセッサは、前記第1の周囲に沿った前記PVFの第1のガウス積分と、前記第2の周囲に沿った前記PVFの第2のガウス積分とを計算するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記プロセッサは、前記第1のガウス積分を計算した後に前記第2のガウス積分を計算するように構成されている、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記プロセッサが、前記第1のガウス積分と前記第2のガウス積分を同時に計算するように構成されている、請求項4に記載のシステム。
【請求項7】
前記臓器が心臓を含み、前記タグは前記心臓内の前記LASを示す、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記閉輪郭は、前記EAマップ上に表示されない仮想閉輪郭を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記ディスプレイは、前記EAマップの前記選択された領域の上に前記閉輪郭を表示するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、医療装置に関し、特に、心房細動における局所活性化源を検出し、心臓マップ上に局所活性化源を表示するための方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
心房細動などの患者の心臓における不整脈は、局所活性化源などの様々な機構によって引き起こされる可能性がある。時には、心臓の電気解剖学的(EA)マップは、感知された電気生理学的(EP)信号を示す伝搬の位置方向を示すベクトルで過負荷となり、心臓内の局所活性化源の存在を示すパターンを妨害又は隠す可能性がある。
【0003】
本開示は、図面と併せて、本開示の実施例の以下の詳細な説明からより完全に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0004】
【
図1】本開示の一実施例による、電気生理学的マッピング及びアブレーションを行うカテーテルベースのシステムの概略描写図である。
【
図2】本発明の一実施形態による、患者の心臓の3D解剖学的マップ上に表示されるタグの仮想閉輪郭の概略描写図描写図である。
【
図3】本開示の一実施例による、
図2の心臓の3D解剖学的マップにおいて局所活性化源を検出し表示する方法を概略的に示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0005】
概要
不整脈は、心臓の洞房結節のペーシングに加えて、心臓内のEP波を望ましくなく活性化する可能性がある焦点などの1つ以上の局所活性化源によって引き起こされる可能性がある。組織アブレーションなどの電気生理学的(EP)処置は、患者の心臓における不整脈を治療するために使用される。例えば、患者の心臓における心房細動によって引き起こされる局所活性化源(LAS)を治療することは、少なくとも心房の表面上のEA信号を感知し、心房の電気解剖学的(EA)マッピングを実行するために、感知電極を有するカテーテルを心房内に挿入することを必要とする。EAマップは、心房及び心臓の他の心腔の1つ以上の表面にわたる1つ以上のEP波の伝搬を示す伝搬ベクトル場(PVF)を指定する。
【0006】
このようなEAマップは心臓表面上に表示され、典型的には、心臓の高密度マッピングによって得られる多数のベクトル(例えば、マッピング解像度に応じて数百又は数千)を含むことに留意されたい。不整脈の場合、心臓は、局所活性化源の複数の源を有する可能性があり、これは、医師にとって無秩序に見える可能性がある。例えば、心房細動は、複数のLASが同時に活性化を開始するときに引き起こされる可能性があり、それによって、EAマップ上で無秩序に現れる可能性がある。したがって、EAマップにおけるベクトルの変更された方向は、LASのパターンを妨害又は隠す可能性がある。
【0007】
以下で説明される本開示の例は、複数のPVFを有するEAマップにおけるLASの改善された検出のための技術を提供する。
【0008】
いくつかの実施例では、カテーテルベースの電気生理学マッピング及びアブレーションシステムは、患者の心臓における心電図(ECG)信号を示す信号を生成するように構成された少なくとも感知電極を有するカテーテルを備える。様々なタイプのマップを、カテーテルから受信される信号に基づいて生成され得ることに留意されたい。本実施例では、分析は、心臓表面上で測定される電圧マップ上に示される速度ベクトルに対して実行される。カテーテルは、医師が心臓のEAマッピングを実行するために患者の心臓の表面に沿ってカテーテルを移動させる間に、カテーテル及び電極の位置を示す位置信号を生成するように構成された1つ以上の位置センサ(例えば、磁気ベース及びインピーダンスベース)を備える。
【0009】
いくつかの実施例では、システムは、プロセッサと、本明細書では簡潔にするためにディスプレイとも呼ばれるディスプレイ装置とを更に備える。本開示の文脈及び特許請求の範囲において、「ディスプレイ」及び「ディスプレイ装置」という用語は、画像又は他の種類の適切な情報を提示するためにコンピュータに取り付けることができる電子装置を指す。なお、ディスプレイ装置は、プロセッサから受信した情報を有線で提示してもよいし、無線で提示してもよい。感知されたECG信号及び位置信号に基づいて、プロセッサは、心臓内の関心のある心腔(複数可)のEAマップを生成するように構成されている。EAマップは、関心のある心房及び心臓の他の心腔の1つ以上の表面にわたる1つ以上のEP波の伝搬を示すPVFを指定する。換言すれば、PVFは、心臓の少なくとも一部分におけるEP波の伝搬速度を示す。代替例では、プロセッサは、例えば、別のシステムを使用して事前に取得されたEAマップを生成又は受信し得る。
【0010】
いくつかの実施例では、プロセッサは、表面上の領域を選択し、選択された領域を示す、心腔の内壁の三次元(3D)表面に沿って典型的に定義され得る円又は他の閉輪郭などの仮想閉輪郭をEAマップ上に定義するように構成されている。なお、領域選択は、プロセッサのみによって実行されてもよいし、医師によって実行されてもよいし、プロセッサと医師とが互いに補助し合うことによって実行されてもよい。
【0011】
いくつかの実施例では、プロセッサは、円(又は閉輪郭の任意の他の好適な形状)の周囲に沿ってPVFのガウス積分を計算するように構成されている。典型的なLASのベクトルの典型的なパターンに基づいて(以下の
図2に詳細に記載されるように)、0より大きい値、例えば、経験的データに基づいて定義され得る所定の閾値を超える値を有する計算されたガウス積分は、閉輪郭内のLASの存在を示す。プロセッサは、LASの位置を特定するために、選択された領域及び対応する仮想閉輪郭のサイズ、形状、及び位置のうちの少なくとも1つを反復的に調整するように更に構成されている。より具体的には、プロセッサは、仮想閉輪郭によって囲まれた領域内で、基準を満たすサブ領域を定義するように構成され、それによって、LASの位置の改善された精度をユーザに提供する。これらの例示的な実施形態は、以下の
図2及び
図3に詳細に記載されている。
【0012】
いくつかの実施例では、プロセッサは、仮想閉ループの必要面積を示す追加の閾値(本明細書では第2の閾値とも呼ばれる)を記憶するように構成されている。仮想閉ループの面積が第2の閾値より大きい場合、プロセッサは、仮想閉ループの必要な面積を満たす別の仮想閉ループを定義して、例えば、閉ループ面積にズームインして、LASのより正確な位置を提供するように構成されている。この第2の閾値は、医師又は臨床担当者によって選択及び/又は調整され得る。(i)ガウス積分が第1の閾値の基準を満たし、(ii)面積が第2の閾値よりも小さい仮想閉輪郭を有する領域を取得することに応答して、プロセッサは、検出されたLASを示すタグを領域に生成するように構成されている。これらの技術の例示的な実装形態及び変形形態は、以下の
図2及び
図3で更に詳細に説明される。
【0013】
いくつかの実施例では、ディスプレイは、選択された領域の位置においてEAマップ上にタグを表示するように構成されている。なお、仮想閉輪郭は、選択領域がLASを有するか否かを計算するためにバックグラウンドで使用されることに留意されたい。したがって、仮想閉輪郭は、通常、心臓のEAマップ上に表示されない。
【0014】
開示された技術は、患者の心臓内のLASの存在及び位置の迅速かつ正確な検出及び表示を可能にし、したがって、焦点治療の質を改善し、アブレーション手技の持続時間を低減する。
【0015】
システムの説明
図1は、本開示の一実施例による、電気生理学的マッピング及びアブレーションを行うカテーテルベースのシステム10の概略描写図である。本開示の文脈及び特許請求の範囲において、システムという用語は、以下で詳細に説明される規定された最終目的を達成するために一緒に動作するハードウェア及び/又はソフトウェア要素の統合された集合体を指す。
【0016】
いくつかの実施例では、システム10は、患者の血管系を通じて、心臓12の心腔又は血管構造内に、医師24によって経皮的に挿入される複数のカテーテルを含む。典型的には、送達シースカテーテルは、心臓12の所望の位置の近くの左心房又は右心房内に挿入される。その後、1本以上のカテーテルを、送達シースカテーテルに挿入して、心臓12内の所望の場所に到達させることができる。複数のカテーテルには、心内電位図(Intracardiac Electrogram、IEGM)信号を感知するための専用のカテーテル、アブレーション専用のカテーテル、及び/又は感知及びアブレーションの両方に適応されたカテーテルが含まれ得る。IEGMを感知するように構成された例示的なカテーテル14が本明細書に示されている。いくつかの実施例では、医師24は、心臓12の標的部位を感知するために、カテーテル14の遠位先端28を心臓壁と接触させて配置し得る。それに加えて又はその代わりに、アブレーションのために、医師24は、上と同様に、アブレーションカテーテルの遠位端を、アブレーションされるよう意図された組織をアブレーションするための標的部位と接触させて配置する。
【0017】
他の実施例では、「カテーテル」という用語は、患者の治療部位に向けられた端(例えば、遠位先端28)を有し、その端に、RFエネルギー、マイクロ波、超音波、直流、循環加熱流体、放射光、レーザ、及び熱エネルギーを含むがこれらに限定されないエネルギーを送達するための装置を有する、シースを含むがこれらに限定されない管状の可撓性外科用器具を指すことができる。
【0018】
次に、カテーテル14の遠位先端28を示す挿入
図19を参照する。本実施例では、カテーテル14は、カテーテル14のシャフト22に接続されたバスケット形状の遠位先端28の複数のスプライン15に沿って任意選択的に分配されて結合された1つ、好ましくは複数の電極26を含む。電極26は、IEGM信号を感知するように構成されている。カテーテル14は、遠位先端28の位置及び配向を追跡するために、遠位先端28内又はその近くに埋め込まれた位置センサ29を更に含むことができる。任意選択的にかつ好ましくは、位置センサ29は、三次元(three-dimensional、3D)位置及び配向を感知するための3つの磁気コイルを含む磁気ベースの位置センサである。
【0019】
次に、
図1の全体図を再び参照する。いくつかの実施例では、磁気ベースの位置センサ29は、所定の作業空間内に複数(例えば3つ)の磁場を生成するように構成された、複数(例えば3つ)の磁気コイル32を含む位置パッド25と共に動作してもよい。カテーテル14の遠位端28のリアルタイム位置は、位置パッド25によって生成され、磁気ベースの位置センサ29によって感知される磁場に基づいて追跡されてもよい。磁気ベースの位置感知技術の詳細は、例えば、米国特許第5,391,199号、同第5,443,489号;同第5,558,091号;同第6,172,499号;同第6,239,724号;同第6,332,089号;同第6,484,118号;同第6,618,612号;同第6,690,963号;同第6,788,967号;同第6,892,091号に記載される。
【0020】
いくつかの実施例では、カテーテル14は、接触力センサ31を含み、その接触力センサ31は、遠位先端28によって心臓12の組織に加えられる接触力を感知し、感知された接触力を示す信号を生成するように構成されている。
【0021】
いくつかの実施例では、システム10は、1つ以上の電極パッチ38を含み、その電極パッチ38は、患者23上に、皮膚と接触するように配置され、位置パッド25のため及び電極26のインピーダンスベースの追跡のための位置基準を確立する。インピーダンスベースの追跡のために、電流が電極26に向けられ、電極皮膚パッチ38において感知され、それにより、各電極の位置を電極パッチ38を介して三角測量することができる。この技術は、本明細書では高度電流位置特定(ACL)とも呼ばれ、インピーダンスベースの位置追跡技術の詳細は、米国特許第7,536,218号、同第7,756,576号;同第7,848,787号;同第7,869,865号、及び同第8,456,182号に記載される。いくつかの実施例では、磁気ベースの位置感知及びACLは、同時に適用されてもよく、剛性カテーテル(例えば、フォーカルカテーテル)のシャフト又は、別の種類のカテーテルの遠位先端におけるスプライン15もしくは可撓性アームに連結された例えば1つ以上の電極の位置感知を改善してもよく、例えば、Biosense Webster,Inc.(31A Technology Drive,Irvine,CA 92618)から入手可能なPentaRay(登録商標)又はOPTRELL(登録商標)カテーテル等が挙げられる。
【0022】
いくつかの実施例では、レコーダ11が、体表面ECG電極18で捕捉された電位
図21と、カテーテル14の電極26で捕捉された心内電位図(IEGM)とを表示する。レコーダ11は、心臓の律動をペーシングするためのペーシング能力を含んでもよく、及び/又は独立型ペーサに電気的に接続されてもよい。
【0023】
いくつかの実施例では、システム10は、アブレーションエネルギー発生器50を含み得るが、そのアブレーションエネルギー発生器50は、アブレーションするように構成されたカテーテルの遠位先端にある1つ以上の電極にアブレーションエネルギーを伝達するように適合されたものである。アブレーションエネルギー発生器50によって生成されるエネルギーとしては、不可逆エレクトロポレーション(IRE)をもたらすために使用され得るような単極性又は双極性高電圧直流パルスを含む、高周波(RF)エネルギー又はパルスフィールドアブレーション(PFA)エネルギーのパルス列、あるいはそれらの組み合わせが挙げられ得るが、それらに限定されない。本実施例では、カテーテル14は、RFエネルギー及び/又はPFAエネルギーのパルス列を心臓12の壁の組織に印加するための1つ以上のアブレーション電極を含まない。他の実施例では、電極26のうちの少なくとも1つは、それぞれ、1つ以上のアブレーション電極と置換されてもよい。
【0024】
いくつかの実施例では、患者インターフェースユニット(patient interface unit、PIU)30は、カテーテル、電気生理学的機器、電源、及びワークステーション55の間の電気通信を確立して、システム10の動作を制御するように構成されたインターフェースである。
【0025】
本開示の文脈及び特許請求の範囲において、ワークステーションという用語は、オーディオ及びビデオ対話と組み合わせてコンピュータデータ処理のための能力を備え、従来のデスクトップ又はポータブルコンピュータに基づくか又はそれを含む、装置又は装置のグループを含む位置を指す。システム10の電気生理学的機器は、例えば、複数のカテーテル、位置パッド25、体表面ECG電極18、電極パッチ38、アブレーションエネルギー発生器50、及びレコーダ11を含んでもよい。任意選択で、かつ好ましくは、PIU30は、カテーテルの位置のリアルタイム計算を実装し、ECG計算を実行するための処理能力を更に含む。
【0026】
いくつかの実施例では、ワークステーション55は、記憶装置及び/又は適切なランダムアクセスメモリを有するプロセッサ77、又は適切なオペレーティングソフトウェアが記憶された記憶装置、(例えば、プロセッサ77とシステム10の別のエンティティとの間、及び/又はシステム10の外部のエンティティとの間)データの信号を交換するように構成されたインターフェース56、及びユーザインターフェース能力を含む。本開示の文脈及び特許請求の範囲において、プロセッサという用語は、データを処理し、プログラムを実行するためのコンピュータ内の中央処理装置を指す。ワークステーション55は、任意選択で、(1)心内膜解剖学的構造を3次元(3D)でモデルリングし、モデル又は解剖学的マップ20をディスプレイ装置27上に表示するためにレンダリングすることと、(2)記録された電位
図21からコンパイルされた活性化シーケンス(又は他のデータ)を、レンダリングされた解剖学的マップ20上に重ね合わされた代表的な視覚的指標又は画像でディスプレイ装置27上に表示すること、(3)心腔内の複数のカテーテルのリアルタイム位置及び向きを表示すること、及び(4)アブレーションエネルギーが印加された場所などの関心部位をディスプレイ装置27上に表示すること、を含む、複数の機能を提供してもよい。システム10の各要素を具現化する1つの市販製品は、Biosense Webster,Inc.31A Technology Drive,Irvine,CA,92618、から市販されている、CARTO(登録商標)3システムとして入手可能である。
【0027】
患者の心臓における心房細動によって引き起こされる局所活性化源の識別
図2は、本発明の一実施形態による、3D電気解剖学的マップ20上に表示された仮想閉輪郭(VCC)33、34、35、36(円又は他の種類の仮想閉輪郭の形状を有することができる)、仮想閉輪郭(VCC)51、及びタグ48の概略描写図である。本開示の文脈及び特許請求の範囲において、「仮想閉輪郭」という用語は、本明細書では「閉輪郭」とも呼ばれる。簡潔にするために本明細書ではマップ20とも呼ばれる解剖学的マップ20は、上記の
図1に示すように、ディスプレイ装置27上に表示される心臓12の少なくとも一部分のマップを含む。
【0028】
いくつかの実施例では、EAマップ20は、心臓12の1つ以上の表面にわたる1つ以上の電気生理学的(EP)波の伝搬をそれぞれ示す1つ以上の伝搬ベクトル場(PVF)を含む。場合によっては、心臓12の心房細動において、EP波(例えば、心臓活動電位)の伝搬がマップ20上で無秩序に現れることがあり、細分化された活動電位が医師24によって観察されることがある。例えば、心房細動は、複数の局所活性化点(LAS)、例えば焦点が同時に活性化を開始するときに引き起こされる場合があり、したがって、マップ20にわたって指定されたPVFは、ランダム又はほぼランダムなパターンを有する無秩序的伝搬として現れる場合がある。アブレーション手技中、医師24は、典型的には、1つ以上のLAS等の細動源を識別するために、マップ20のPVFを精査する。その後、医師24は、識別されたLAS(複数可)において組織アブレーション(例えば、RFアブレーション又はPFA)を実行するようにシステム10を制御することができる。
【0029】
いくつかの実施例では、プロセッサ77は、EAマップ20において、LASによって引き起こされる不整脈を有すると疑われる領域37及び39などの1つ以上の領域を識別するように構成されている。加えて、又は代替的に、医師24は、領域37及び39を、LAS(複数可)を有するマップ20内の疑わしい位置として定義することができる。
【0030】
いくつかの実施例では、プロセッサ77は、領域37及び39の位置においてマップ20上に、領域37及び39を示す仮想閉輪郭(VCC)を表示するように構成されている。本実施例では、領域37、39及び46の仮想閉輪郭は、それぞれVCC36及び33、並びにVCC51を含み、これらは領域39、37及び46のそれぞれの位置でマップ20上に表示されるが、他の実施例では、閉輪郭の少なくとも1つは、限定はしないが、仮想楕円又は心室の壁に沿った任意の閉じた3次元輪郭など、円以外の任意の適切な形状及びサイズを含むことができる。
【0031】
いくつかの実施例では、プロセッサ77は、それぞれの仮想閉輪郭の周囲に沿って、例えば、VCC33、36及びVCC51の周囲に沿って、PVFのガウス積分を計算するように構成されている。局所活性化源から伝搬するPVFの速度ベクトルは、典型的には静電場の速度ベクトルと同様に見えることに留意されたい。フラックス定理に基づいて、任意の閉じた表面からの電場のフラックスは、表面によって囲まれた電荷に比例する。より具体的には、静電場を放出する電荷を含む閉輪郭は、閉輪郭の表面に沿ってガウス積分の所与の値を有する。
【0032】
いくつかの実施例では、フラックス定理の原理に基づいて、プロセッサ77は、VCC33、36及びVCC51によって囲まれた面積内の面積内に局所活性化源が存在するかどうかを識別するために、VCC33、36及びVCC51の外面に沿ったPVFのガウス積分を計算するように構成されている。フラックス定理の原理に基づいて、所定の閾値を超える計算されたガウス積分は、それぞれの領域内の局所活性化源を示す。
【0033】
ここで、領域46で定義されたVCCを示す挿入
図49を参照する。VCCは、ガウス積分の計算に使用され、したがって、通常、ユーザがそれらを表示するオプションを選択しない限り、マップ20上に表示されないことに留意されたい。本実施例では、マップ20は電圧マップを含み、マップ20の速度ベクトルは、上記の
図1に示される遠位先端28の電極26によって感知される電圧に基づいて計算される。
【0034】
いくつかの実施例では、プロセッサ77は、(i)VCC51の周囲に沿ったPVFの計算されたガウス積分に基づいてLASの存在を示す第1の閾値(例えば、前述の所定の閾値)と、(ii)選択された領域(例えば、領域46)内の閉輪郭の必要な面積を示す第2の閾値とを記憶するように構成されている。本実施例では、第1の閾値は、0又は実質的に0に近くてもよく、LASを識別するためのVCCの直径は、約0.5cm~2cmである。したがって、閉輪郭の面積及び第2の閾値は、約0.2cm2~4cm2であってもよい。他の実施例では、LASを識別するための直径範囲は、前述の約0.5cm~2cmの範囲とは異なり、例えば、約0.1cm~3cmの間であってもよい。この範囲は、心臓のサイズ及びLASのサイズによって決定されることに留意されたい。更に、領域37、39及び46は、典型的には三次元(3D)トポグラフィを有する。
【0035】
いくつかの実施例では、VCC51の周囲に沿って計算されたガウス積分は、第1の閾値を超え、したがって、VCC51によって囲まれた領域内のLASを示す。例えば、計算されたガウス積分は、実質的に0を上回る。しかしながら、VCC51のサイズ(例えば、aaの面積)は、第2の閾値よりも大きい。言い換えれば、VCC51によって囲まれた領域内のLASの正確な位置を特定する必要がある。
【0036】
いくつかの実施例では、プロセッサ77は、VCC51によって囲まれた領域の大部分又は全体をカバーする複数のVCC52a、52b及び52cを定義するように構成されている。本実施例では、VCC52a~52cは球状の形状を有するが、他の実施例では、VCC52a~52cのうちの少なくとも1つは、規則的又は不規則な任意の他の適切な形状を有してもよい。更に、VCC52a~52cの表面のサイズは、典型的には同様であるが、異なる形状を有してもよい。
【0037】
いくつかの実施例では、プロセッサ77は、VCC52a、52b及び52cの各々の周囲に沿ってPVFのガウス積分を計算し、計算されたガウス積分の各々を第1の閾値と比較するように構成されている。本実施例では、VCC52b及び52cの計算されたガウス積分は、ほぼ0又は0付近であり、したがって、第1の閾値よりも小さい。VCC52aの計算されたガウス積分は第1の閾値を超え、例えば、LASがVCC52aによって囲まれた領域内に位置することを示す0を明らかに及び/又は有意に上回る。しかしながら、VCC52aのサイズは、例えば、医師によって選択されるような必要とされる分解能、又はメモリに記憶されるデフォルト分解能を提供せず、例えば、第2の閾値よりも大きい。換言すれば、必要とされる精度でLASの位置を識別するために、VCC52aによって囲まれた領域内により小さいサイズのVCCを定義しなければならない。医師24は、組織アブレーションなどの治療を計画するためにLASの位置を使用することができることに留意されたい。したがって、治療の質を向上させるために、十分な精度でLASの位置を識別することが重要である。
【0038】
いくつかの実施例では、プロセッサ77は、VCC52aによって囲まれた領域内に複数のVCC53a、53b及び53cを定義することによって、LASの正確な位置を識別する反復プロセスを継続するように構成されている。本実施例では、VCC53a~53cは球状の形状を有するが、他の実施例では、VCC53a~53cの少なくとも1つは、規則的又は不規則的な任意の他の適切な形状を有してもよい。更に、VCC53a~53cのサイズは典型的には同様であるが、異なる形状を有してもよい。他の実施例では、サイズVCC53a~53cは、類似していなくてもよい。
【0039】
いくつかの実施例では、プロセッサ77は、VCC53a、53b、及び53cの周囲に沿ってPVFのガウス積分を計算し、計算されたガウス積分の各々を第1の閾値と比較するように構成されている。本実施例では、VCC53a及び53bの計算されたガウス積分は、第1の閾値、例えば、約0より小さく、VCC53cの計算されたガウス積分は、第1の閾値(0より大きい)を超え、これは、LASがVCC53cによって囲まれた領域内に位置することを示す。VCC53cのサイズは第2の閾値より小さいので、VCC53cは十分な測位精度でLASを含むための基準を満たしている。
【0040】
いくつかの実施例では、プロセッサ77は、(i)VCC53cの外面に沿ったPVFの計算されたガウス積分が第1の閾値を超え、(ii)VCC53cによって囲まれた領域が第2の閾値よりも小さいことを識別したことに応答して、VCC53cの位置にタグ54を生成するように構成されている。上述の反復プロセスは、心臓24内のLASの存在及び正確な位置を識別するためにシステム10において実装されてもよい。更に、ディスプレイ装置27は、心臓12内のLASの存在及び正確な位置を医師24に提供するために、マップ20上にタグ54を表示するように構成されている。本実施例では、VCC53a及び53bはLASを含まず、したがって、塗りつぶされていない円として現れるが、タグ54及びVCC53cは重ねられ、塗りつぶされた(すなわち塗りつぶされた)円として現れる。他の実施例では、タグ54は、中実球体以外の任意の適切なタイプのマーカを含むことができる。別の種類のタグの例示的な実装形態が
図2に示され、以下で詳細に説明される。
【0041】
次に、
図2の全体図を再び参照する。本実施例では、VCC36の周囲に沿って計算されたガウス積分は、所定の閾値(例えば、約0)よりも実質的に小さく、したがって、領域39はLASを有するように見えない。VCC33の周囲に沿ったガウス積分における所定の閾値からの偏差は、例えば、領域37がLAS及びLASの外に位置する追加のベクトル場を含む場合など、様々な理由によって引き起こされ得る。
【0042】
本開示の文脈及び特許請求の範囲において、任意の数値又は範囲について用いられる「約」又は「およそ」という用語は、構成要素の部分又は構成要素の集合が、本明細書に記載されるその意図された目的のために機能することを可能にする適切な寸法公差を示す。
【0043】
いくつかの実施例では、領域37がLASを有し得るかどうかをチェックするために、プロセッサ77は、VCC33の周囲に沿ってPVFのガウス積分を計算するように構成されている。上記の挿入
図49で説明したのと同じ技術を使用することによって、プロセッサ77は、ガウス積分の計算された値が第1の閾値とほぼ同様であるか又はそれより大きいとき、VCC33に囲まれた面積内のLASの存在の指標を取得するように構成されている。しかしながら、VCC33の周囲は、第2の閾値より大きくてもよく、LASに加えて、VCC33によって囲まれた面積は、LASの一部ではない追加のベクトルを含んでもよい。例えば、LASは、約0.5cm~2cmの直径を有することができ、VCC33は、約6cmの直径を有することができる。この例では、VCC33によって囲まれた容積内のLASの正確な位置を特定するために、LASを囲む容積を縮小する必要がある。
【0044】
いくつかの実施例では、プロセッサ77は、LASを有すると疑われることについて検査され、チェックされることが意図される領域のサイズ、形状、及び位置のうちの少なくとも1つを適応的に修正するように構成されている。一実施例では、領域39において、VCC36の周囲に沿ったPVFの計算されたガウス積分が約0である(又は第1の閾値よりも実質的に小さい値を有する)と識別したことに応答して、プロセッサ77は、領域39からVCC36を除去し、この領域におけるガウス積分の計算を停止するように構成されている。上述の実施例では、領域37において、VCC33の周囲に沿ったPVFの計算されたガウス積分は、第1の閾値とほぼ同様であるか、又はそれより大きい。この実施例では、プロセッサ77は、(i)領域37内で、サブ領域と、サブ領域の位置における追加の仮想閉輪郭とを定義し、(ii)サブ領域における追加の仮想閉輪郭の追加のガウス積分を計算するように構成されている。
【0045】
図2の実施例では、プロセッサ77は、(i)領域37内のサブ領域の位置にVCC34(VCC33と同心又は非同心であってもよく、VCC33より小さくてもよい)を定義し、(ii)VCC34の周囲に沿ってPVFのガウス積分を計算するように構成されている。LASがVCC33及び34の両方に位置する場合、VCC34の外周に沿ったPVFの計算されたガウス積分は、VCC33のガウス積分と比較して大きいことが予想されることに留意されたい。
【0046】
VCC34の周囲に沿ったPVFの計算されたガウス積分が閾値とほぼ同じかそれより大きい場合、プロセッサ77は、(i)領域37のサブ領域内に位置するVCC35(VCC34より小さい)などの閉輪郭を定義し、(ii)VCC35の周囲に沿ったPVFのガウス積分を計算するように構成されている。この実施例では、VCC35の周囲に沿ったPVFの計算されたガウス積分が閾値を超える場合、これは、LASがVCC35によって囲まれた領域のかなりの部分内に存在し、それを満たすことを示す。
【0047】
次に、挿入
図45を参照する。いくつかの実施例では、VCC35の位置におけるPVFの伝搬ベクトルであるベクトル47は、VCC35の周囲に沿って均一に分散され、外向きに向いている。プロセッサ77は、(i)VCC35の周囲に沿ったPVFの計算されたガウス積分が第1の閾値を超え、かつ(ii)VCC35によって囲まれた体積が第2の閾値より小さいことを識別することに応答して、LASの存在及び位置を示すタグ48をVCC35の位置に表示するように構成されている。
【0048】
ここで
図2の全体図に戻って参照すると、
図2は、実際の臓器の解剖学的構造を表す電気解剖学的(EA)マップ20であり(このマップは、Biosense Webster Inc.によって製造されたCarto 3(登録商標)マッピングシステムによって生成することができる)、上記の
図1に示されるカテーテル28などのマッピング又は記録カテーテルによって収集された電圧信号が重ねられている。いくつかの実施例では、上述の結果に基づいて、ディスプレイ装置27は、医師24(又は任意の他のユーザ)に対してマップ20の上にタグ48及び54を表示するように構成されている。
【0049】
図2の実施例を要約すると、プロセッサ77は、(i)領域37、39、及び46を(ユーザから)受信するか、又は(自動的に)選択し、(ii)VCC(例えば、VCC33及び36、及びVCC51)をそれぞれ定義し、(iii)各VCCの外周に沿ってPVFのガウス積分を計算し、(iv)計算されたガウス積分が第1の閾値未満であり(例えば、VCC36において)、それぞれの領域(例えば、領域39)がLASを含まない場合、(v)計算されたガウス積分が第1の閾値(例えば、VCC33及びVCC51において)とほぼ同様であるか、又はそれを上回り、その周囲が第2の閾値を上回る場合、プロセッサ77は、それぞれVCC33及びVCC51によって囲まれた領域内に1つ以上の後続の閉輪郭(例えば、VCC34及び35並びにVCC52a~52c及び53a~53c)を定義するように構成されている。この反復プロセスは、プロセッサ77が、それぞれのLASを含み、心臓12内のそれぞれのLASの存在及び正確な位置を医師に提供するのに十分に小さい1つ以上のVCC(例えば、VCC35及びVCC53c)を取得するまで継続する。続いて、プロセッサ77は、適切なマーカ(例えば、タグ48及び54)を生成し、これらのマーカは、それぞれのVCC(例えば、VCC35及びVCC53c)の位置でマップ20上にディスプレイ装置27によって提示される。デフォルトでは、VCC及び円はマップ20上に提示されないが、医師24又は任意の他のユーザは、随意に、プロセッサ77を制御して、マップ20上にVCC及び/又は円のうちの少なくとも1つを提示してもよいことに留意されたい。
【0050】
図3は、本開示の一実施例による、心臓12のマップ20上で1つ以上のLASを検出し表示する方法を概略的に示すフローチャートである。
【0051】
この方法は、マップ受信ステップ100で始まり、プロセッサ77が、心臓12内の電極26によって感知された電圧のマップであるEAマップ20を生成又は受信する。感知された電圧に基づいて、プロセッサ77は、速度ベクトルを計算し、マップ20を生成する。マップ20は、上記の
図2で詳細に説明したように、心臓12の1つ以上の表面にわたるEP波の伝搬を示すPVFを指定している。
【0052】
領域選択ステップ102において、LASをチェックするために、領域37、39、及び46などの1つ以上の領域が選択される。上記の
図2で詳細に説明したように、VCC(例えば、VCC33及び36、並びにVCC51)は、それぞれ領域37、39、及び46を囲むように定義され、仮想的に配置される。領域37、39、及び46は、医師24によって、又はプロセッサ77によって、又はそれらの任意の好適な組み合わせによって選択されてもよいことに留意されたい(例えば、医師24は、広い面積を選択し、プロセッサ77は、広い面積内の領域37、39、及び46のうちの少なくとも1つを選択する)。加えて、又は代わりに、プロセッサ77は、選択プロセス全体を実行してもよい。例えば、プロセッサ77は分画された信号を生成する面積を選択してもよい。
【0053】
他の実施例では、選択領域及びそれぞれのVCCのうちの少なくとも2つは、重複面積を備え得る。任意選択で、マップ20の全面積をVCCでカバーしてもよい。更に、VCCは、領域37、39及び46の選択に応答してプロセッサ77によって定義され、定義されたVCCは典型的には3Dであるが、2Dであってもよい。
【0054】
閾値記憶ステップ104では、ステップ100の前又はステップ102の前に実行することもできるが、プロセッサ77は、上記の
図2で詳細に説明したように、LAS基準及び閉輪郭の必要なサイズをそれぞれ示す第1及び第2の閾値を記憶及び保持する。
【0055】
ガウス積分計算ステップ106において、プロセッサ77は、マップ20において定義された(及び任意選択で表示された)1つ以上のVCC(及び球又は円)、本実施例では、上記の
図2においてより詳細に説明したように、選択された領域39、37及び46においてそれぞれ定義されたVCC36及び35並びにVCC51の周囲に沿ったPVFのガウス積分を計算する。
【0056】
第1の決定ステップ108において、プロセッサ77は、VCC36及び35、並びにVCC51の周囲に沿って計算されるPVFのガウス積分が、第1の閾値とほぼ同様であるか、又はそれより大きいかどうかをチェックする。上記の
図2の実施例で説明したように、VCC36の周囲に沿ったPVFの計算されたガウス積分は、第1の閾値(例えば、約0の値を有する)よりも実質的に小さく、これは、領域39がLASを含まないことを示す。更に、VCC33及びVCC51の両方の周囲に沿ったPVFの計算されたガウス積分は、第1の閾値とほぼ同様であるか、又はそれより大きく、これは、領域37及び46の両方が1つ以上のLASを含み得ることを示す。
【0057】
領域調整ステップ110において、VCC36の周囲に沿ったPVFの計算されたガウス積分が第1の閾値よりも実質的に小さいので、プロセッサ77は、領域39がLASを有しないと推論する。したがって、プロセッサ77は、領域39におけるVCCの定義を停止し、マップ20上の他の領域において1つ以上のVCCを定義することができる。その後、方法はステップ106にループバックし、プロセッサ77は、他の領域で定義された1つ以上のVCCの周囲に沿ってPVFのガウス積分を計算する。それに加えて、又はその代わりに、VCC36の周囲に沿ったPVFの計算されたガウス積分が第1の閾値よりわずかに小さい場合、プロセッサ77は、領域39内により小さいVCCを定義することができ、方法は、1つ以上のVCCの周囲に沿ったPVFのガウス積分を計算するためにステップ106にループバックする。
【0058】
上のステップ108で説明したように、上の
図2の実施例では、VCC33及びVCC51の各々の周囲に沿ったPVFの計算されたガウス積分は、第1の閾値とほぼ同様であるか又はそれより大きく、これは、領域37及び46の各々が1つ以上のLASを含み得ることを示す。この実施例では、方法は第2の決定ステップ112に進み、プロセッサ77は、VCC(例えば、VCC33及びVCC51)の各々のサイズと第2の閾値とを比較する。
【0059】
上記の
図2に示す実施例では、VCC33及びVCC51の各々のサイズは第2の閾値よりも大きく、方法は、プロセッサ77が(i)VCC33によって囲まれた領域内のVCC34、及び(ii)VCC51によって囲まれた領域内のVCC52a~52cを定義するVCC再定義ステップ116に進み、方法は、VCC34及びVCC52a~52cの周囲に沿ったPVFのガウス積分を計算する反復のためにステップ106にループバックする。上記の
図2で詳細に説明したように、ステップ108において、VCC34及びVCC52aの各々の周囲に沿ったPVFの計算されたガウス積分は、第1の閾値よりも大きい。しかしながら、ステップ112において、VCC34及びVCC52aの各々のサイズは第2の閾値よりも大きく、方法はステップ116に進み、プロセッサ77は、(i)VCC34によって囲まれた領域内のVCC35、及び(ii)VCC52aによって囲まれた領域内のVCC53a~53cを定義し、方法は追加の反復のためにステップ106にループバックする。
【0060】
いくつかの実施例では、ステップ108において、VCC35及びVCC53cの各々の周囲に沿ったPVFの計算されたガウス積分は、第1の閾値よりも大きい。更に、ステップ112において、VCC35及びVCC53cの各々のサイズは第2の閾値よりも小さい。したがって、本方法は、本方法を終了するタグ表示ステップ114に進む。ステップ114において、プロセッサ77は、領域37及び46それぞれにおけるLASの位置を示すタグ48及び54を生成し、ディスプレイ装置27は、領域37及び46それぞれの上にタグ48及び54を提示する。
【0061】
タグ48及び54は、
図2の実施例に示すように、同様のマーク又は異なるマークを有してもよいことに留意されたい。
【0062】
いくつかの実施例では、領域及び対応するVCCのサイズ、形状、及び位置のうちの少なくとも1つを適応的に修正することによって、プロセッサ77は、第1の閾値より大きいガウス積分に達するように構成され、それによって、プロセッサ77は、心臓12のマップ20上の1つ以上のLASの存在及び正確な位置を医師24に提供する。
【0063】
いくつかの実施例では、本方法は、プロセッサ77が、(i)1つ以上の候補領域を選択し、(ii)選択された領域の各々において1つ以上のVCCを定義し、各それぞれのVCCの外面に沿ってPVFのガウス積分を計算し、(iii)それぞれVCC35及び53cの位置にタグ48及び54を表示するように、完全に自動化された方法で実行されてもよい。
【0064】
追加的に又は代替的に、候補領域の1つ以上の選択は医師24によって実行されてもよく、上述の方法の残りのステップはプロセッサ77によって実行される。更に、プロセッサ77は、(i)仮想閉輪郭のうちの1つ以上の位置、サイズ、及び形状のうちの少なくとも1つを調整するために医師24から介入を受け取り、(ii)上記のステップ104~116で説明した動作を進めるように更に構成されている。
【0065】
本明細書で説明される実施例は、主に患者の心臓におけるLASの検出及び表示に対処するが、本明細書で説明される方法及びシステムは、患者の任意の適切な臓器から受信される適切な信号に基づいて他の適切な医療現象の指標を検出及び表示するなど、他の用途にも使用することができる。
【実施例0066】
臓器内の局所活性化源(LAS)を検出するためのシステム(10)であって、システムは、(a)プロセッサ(77)であって、(i)臓器(12)の表面の電気解剖学的(EA)マップ(20)を生成し、EAマップは、少なくとも表面にわたる電気生理学的(EP)波の伝搬を示す伝搬ベクトル場(PVF)を指定し、(ii)臓器の少なくともある領域(37、39、46)を選択し、(iii)選択された領域を示す少なくとも閉輪郭(33、34、35、36、51、52a、52b、52c、53a、53b、53c)の周囲に沿ったPVFのガウス積分を計算し、(iii)計算されたガウス積分が基準を満たす場合、その領域でLASを示すタグ(48、54)を生成ように構成されている、プロセッサ(77)と、(b)EAマップと、EAマップ上の少なくともタグを表示するように構成されているディスプレイ(27)と、を含む、システム(10)。
基準は、選択された領域におけるLASの存在を含み、プロセッサは、LASの存在を示す閾値を記憶し、計算されたガウス積分が閾値を超える場合にタグを生成するように構成されている、実施例1に記載のシステム。