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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024089659
(43)【公開日】2024-07-03
(54)【発明の名称】心内心電図を解析する方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/361 20210101AFI20240626BHJP
   A61B 5/363 20210101ALI20240626BHJP
   A61B 5/367 20210101ALI20240626BHJP
【FI】
A61B5/361
A61B5/363
A61B5/367
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023214788
(22)【出願日】2023-12-20
(31)【優先権主張番号】22215428
(32)【優先日】2022-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】519129126
【氏名又は名称】キャスビジョン アーペーエス
【氏名又は名称原語表記】CathVision ApS
【住所又は居所原語表記】Titangade 11, 2200 Koebenhavn N, Denmark
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ルーネ パーマン
(72)【発明者】
【氏名】グジェゴシュ ピエトシャク
(72)【発明者】
【氏名】マイケル ロウズ
【テーマコード(参考)】
4C127
【Fターム(参考)】
4C127AA02
4C127GG10
4C127GG16
4C127HH16
4C127KK03
(57)【要約】      (修正有)
【課題】アブレーション治療に対する実際の反応を観察することができ、当該反応を使用してアブレーション治療のさらなるステップを決定することができる。
【解決手段】心内心電図(2)の複数のチャネル(8)は、第1の解剖学的領域に割り当てられたチャネル(8)を含む第1のチャネル群と、第2の解剖学的領域に割り当てられたチャネルを含む第2のチャネル群と、にグループ化され、第1の解剖学的領域に関する第1の導出特徴と第1の解剖学的領域に関する異なる第2の導出特徴とを含む導出特徴(16)は、第1のチャネル群から導出され、第2の解剖学的領域に関する第1の導出特徴および第2の導出特徴は、第2のチャネル群から導出され、所定の時間長にわたる間隔において導出特徴(16)のデータポイントが導出され、導出特徴は、解剖学的次元、特徴次元、時間次元および強度次元を含む特徴空間に結合される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御システム(1)によって心内心電図(2)を解析する方法であって、
前記心内心電図(2)は、人体に挿入されたカテーテル(4)を介して特にアブレーション治療中に記録されたものであって、所定の時間長を有し、
前記カテーテル(4)は、それぞれ異なる解剖学的位置に配置された複数の電極(7)を備え、前記電極(7)によって前記心内心電図(2)の複数のチャネル(8)が記録されており、
前記制御システム(1)は、複数のチャネル(8)を、少なくとも、第1の解剖学的領域(12)に割り当てられた少なくとも1つのチャネル(8)を含む第1のチャネル群(11)と、第2の解剖学的領域(14)に割り当てられた少なくとも1つのチャネル(8)を含む第2のチャネル群(13)と、にグループ化し、
前記制御システム(1)は、前記第1の解剖学的領域(12)に関する第1の導出特徴(17)と前記第1の解剖学的領域(12)に関する異なる第2の導出特徴(18)とを含む導出特徴(16)を、前記第1のチャネル群(11)から導出し、前記第2の解剖学的領域(14)に関する第1の導出特徴(17)および第2の導出特徴(18)を、前記第2のチャネル群(13)から導出し、
前記制御システム(1)は、前記導出特徴(16)のデータポイント(20)を、前記時間長にわたる間隔(19)において導出し、これにより、前記第1の特徴および前記第2の特徴は、それぞれ時間次元(21)と所定の値範囲(23)を有する値次元(22)とを有し、
前記制御システム(1)は、前記導出特徴(16)を、少なくとも解剖学的次元(26)、特徴次元(27)、時間次元(21)および強度次元(28)を含む特徴空間(25)に結合し、ここで、前記解剖学的次元(26)は、前記解剖学的領域を含み、前記特徴次元(27)は、前記導出特徴(16)を含み、前記時間次元(21)は、前記第1の導出特徴および前記第2の導出特徴(16)の時間次元(21)であり、前記強度次元(28)は、所定の強度範囲(31)を含み、
前記制御システム(1)は、前記導出特徴(16)の値範囲(23)を強度範囲(31)に変換する、
方法。
【請求項2】
前記制御システム(1)は、ディスプレイ(3)を備え、前記制御システム(1)により、前記特徴空間(25)の少なくとも4つ、好ましくは正確に4つの次元は、前記ディスプレイ(3)上に表示され、
好ましくは、前記間隔(19)は、少なくとも0.5秒の長さ、好ましくは少なくとも1秒の長さ、より好ましくは少なくとも2秒の長さであり、
前記制御システム(1)により、前記時間次元(21)の少なくとも5分、好ましくは少なくとも8分、より好ましくは12分が表示され、
より好ましくは、前記制御システム(1)により、共通の時間軸(33)に沿った複数のデータ行は、前記ディスプレイ(3)上に表示され、前記データ行は、前記導出特徴(16)のそれぞれに対する行を含み、前記行は、前記時間軸(33)に沿ったそれぞれの特徴のデータポイント(20)と前記データポイント(20)に対する強度範囲(31)のマッピングされた強度値とを含み、好ましくは、前記強度値は、特にヒートマップとしてカラーコーディングされている、
請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記制御システム(1)は、前記時間次元(21)に沿って前記導出特徴(16)の強度値をローパスフィルタリングし、ローパス導出特徴(16)を表示し、かつ/または、
前記制御システム(1)は、前記特徴次元(27)に沿って前記導出特徴(16)を視覚的にグループ化し、各特徴の解剖学的次元(26)を、前記解剖学的次元(26)に沿って視覚的群(30)として表示する、
請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記制御システム(1)は、表面ECG(24)の少なくとも1つのチャネル(8)および/または前記心内心電図(2)の少なくとも1つのチャネル(8)を前記ディスプレイ(3)上にさらに表示し、
好ましくは、前記制御システム(1)は、前記少なくとも1つのチャネル(8)のうち、前記特徴空間(25)の時間次元(21)の表示時間長(32)よりも短い表示時間長(32)を有するセクション、および/または、前記間隔(19)の長さよりも短い間隔で配置されたデータポイント(20)、特にECGデータポイント(34)を有するセクションを前記ディスプレイ(3)上に表示し、
より好ましくは、前記チャネル(8)の表示時間長(32)は、1分未満、好ましくは30秒未満であり、かつ/または、前記データポイント(20)は、100ms未満、好ましくは10ms未満の間隔で配置されている、
請求項2または3記載の方法。
【請求項5】
前記導出特徴(16)のデータポイント(20)は、前記間隔(19)よりも長い期間(35)にわたって計算され、好ましくは、前記期間(35)は、少なくとも10秒、好ましくは少なくとも20秒であり、かつ/または、1分未満、好ましくは45秒未満である、
請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
前記制御システム(1)は、表面ECG(24)から少なくとも1つの表面特徴(29)、好ましくは少なくとも2つの表面特徴(29)をさらに導出し、前記表面特徴(29)は、時間次元(21)と値次元(22)とを有し、
前記制御システム(1)は、前記特徴次元(27)が前記表面特徴(29)を含むように、前記表面特徴(29)を前記特徴空間(25)内に挿入し、
前記解剖学的次元(26)は、大域的解剖学的領域(29)を含み、前記表面特徴の時間次元(21)は、前記特徴空間(25)の時間次元(21)へマッピングされ、
前記制御システム(1)は、前記表面特徴(29)の値次元(22)の値範囲(23)を強度範囲(31)に変換する、
請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
前記制御システム(1)は、少なくとも前記カテーテル(4)を備えた測定システムから常に新たなデータが受信し、前記特徴空間(25)を更新し、
好ましくは、前記制御システム(1)は、前記ディスプレイ(3)を周期的に、特にリアルタイムで更新する、
請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
前記制御システム(1)は、前記導出特徴(16)の値範囲(23)を、特徴ごとに異なる変換関数を介して強度範囲(31)に変換し、
好ましくは、前記変換関数は、特徴ごとのすべての解剖学的領域に対して等しく、かつ/または、少なくとも1つの変換関数、好ましくはすべての変換関数は、非線形であり、かつ/または、
前記変換関数は、前記時間次元(21)にわたってもしくは前記時間次元(21)の一部にわたって、特に表示時間次元(21)にわたって、それぞれの特徴の値範囲(23)または特徴ごとのすべての解剖学的領域の値範囲(23)に基づいて更新され、好ましくは、前記時間次元(21)の一部は、新たな間隔(19)で、特に新たな間隔(19)のたびに変更される、
請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
前記制御システム(1)は、特に前記時間次元(21)の全部もしくは一部にわたって、特に前記時間次元(21)の表示部分にわたって、それぞれの特徴の値範囲(23)もしくは特徴群の値範囲(23)に基づいて、さらに所定の境界に基づいて、特に前記変換関数の中心に対する境界に基づいて、前記変換関数の少なくとも1つ、好ましくはすべてを適応化し、かつ/または、
前記制御システム(1)は、それぞれの特徴の幾つかのデータポイント(20)の値の変換がより後の時点に位置するデータポイント(20)の値に依存するように、前記変換関数の少なくとも1つ、好ましくはすべてを適応化する、
請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記第1のチャネル群(11)および前記第2のチャネル群(13)は、それぞれ少なくとも2つのチャネル(8)を含み、かつ/または、
前記制御システム(1)は、複数のチャネル(8)を、第3の解剖学的領域(36)に割り当てられた少なくとも1つのチャネル、好ましくは少なくとも2つのチャネル(8)を含む少なくとも第3のチャネル群(15)にさらにグループ化し、
好ましくは、前記制御システム(1)は、1つの群、好ましくはすべての群の少なくとも2つのチャネル(8)、好ましくはすべてのチャネル(8)を、特に平均を計算して、結合し、時間間隔(19)ごとの特徴あたり単一のデータポイント(20)を形成する、
請求項1から9までのいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
前記特徴次元(27)の特徴のうちの少なくとも1つの特徴、好ましくは少なくとも2つの特徴、より好ましくは少なくとも3つの特徴は、主周波数、表面ECG(24)の自己相関、前記心内心電図(2)の相互相関、サイクル長、局所的活性化時間分散、分画指数、サイクル長変動、主周波数勾配から成る群から選択される、
請求項1から10までのいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
前記制御システム(1)は、前記心内心電図(2)の測定されたデータに基づいて、特に処置ごとに1回、群へのチャネル(8)の割り当てを決定し、かつ/または、
ユーザにより、群へのチャネル(8)のサブセットの割り当てが可能である、
請求項1から11までのいずれか1項記載の方法。
【請求項13】
前記制御システム(1)は、前記特徴空間(25)を使用して、アブレーション治療の成功についての予後を導出し、かつ/または、前記アブレーション治療における次のステップのための提案を導出し、かつ/または、可能なアブレーションステップによって、特に前記特徴空間(25)をトレーニングされたAIモデルに入力することによって、前記特徴空間(25)の変化の予後を導出する、
請求項1から12までのいずれか1項記載の方法。
【請求項14】
心内心電図(2)を解析する制御システム、特に請求項1から13までのいずれか1項記載の方法を実行するように構成された制御システムであって、
前記心内心電図(2)は、人体に挿入されたカテーテル(4)を介して記録されたものであって、所定の時間長を有し、
前記カテーテル(4)は、それぞれ異なる解剖学的位置に配置された複数の電極(7)を備え、前記電極(7)によって前記心内心電図(2)の複数のチャネル(8)が記録されており、
前記制御システム(1)は、複数のチャネル(8)を、少なくとも、第1の解剖学的領域(12)に割り当てられた少なくとも1つのチャネル(8)を含む第1のチャネル群(11)と、第2の解剖学的領域(14)に割り当てられた少なくとも1つのチャネル(8)を含む第2のチャネル群(13)と、にグループ化し、
前記制御システム(1)は、前記第1の解剖学的領域(12)に関する第1の導出特徴(17)と前記第1の解剖学的領域(12)に関する異なる第2の導出特徴(18)とを含む導出特徴(16)を前記第1のチャネル群(11)から導出し、前記第2の解剖学的領域(14)に関する第1の導出特徴(17)および第2の導出特徴(18)を前記第2のチャネル群(13)から導出し、
前記導出特徴(16)のデータポイント(20)は、前記時間長にわたる間隔(19)において導出され、これにより、前記第1の特徴および前記第2の特徴がそれぞれ時間次元(21)と所定の値範囲(23)を有する値次元(22)とを有し、
前記制御システム(1)は、前記導出特徴(16)を、少なくとも解剖学的次元(26)、特徴次元(27)、時間次元(21)および強度次元(28)を含む特徴空間(25)に結合し、ここで、前記解剖学的次元(26)は、前記解剖学的領域を含み、前記特徴次元(27)は、前記導出特徴(16)を含み、前記時間次元(21)は、前記第1の導出特徴および前記第2の導出特徴(16)の時間次元(21)であり、前記強度次元(28)は、所定の強度範囲(31)を含み、
前記制御システム(1)は、前記導出特徴(16)の値範囲(23)を強度範囲(31)に変換する、
制御システム。
【請求項15】
前記制御システム(1)は、測定システムおよび/または前記カテーテル(4)へのインタフェースを備え、前記制御システム(1)は、アブレーション治療中、特にステップワイズアブレーション治療中に使用されて前記アブレーション治療の成功についての予後の決定を補助するように構成されている、
請求項14記載の制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1記載の心内心電図を解析する方法と、請求項14記載の、提案の方法を実行するように構成された制御システムと、に関する。
【0002】
本方法は特に心房細動および心房粗動に関する。電気的には、心房細動は、心房筋細胞の無秩序な活性化である。心房細動時には、心臓の機能への心房の寄与は最小限のみとなる。したがって、心房細動は心拍出量を低下させるが、切迫した危険はない。しかし、慢性化した場合、心房細動は、疾病発生率および死亡率の増大と相関する。心房細動に対する治療選択肢の1つにアブレーション治療がある。アブレーションとは、電気波のリエントリを可能にして心房筋細胞の無秩序な活性化を減少させるための、細胞の破壊である。
【背景技術】
【0003】
洞調律の回復および中期的な維持に関して比較的高い成功率を有するアブレーション治療は、ステップワイズアブレーションである。ステップワイズアブレーションでは、複数のアブレーション技術とアブレーションターゲットとが順次に実行される。ステップワイズアブレーションは、医師の裁量により、可能なすべてのアブレーションステップを実行することなく終了することができる。通常、患者が洞調律に復帰すれば、ステップワイズアブレーションは終了される。しかし、このような処置は長期にわたることがあり、患者の大部分が2回目のアブレーション処置を必要とする。
【0004】
ステップワイズアブレーション治療および他のアブレーション治療の結果は、医師の経験に大きく依存する。アブレーション治療前、治療中および治療後に、心内心電図の測定データを処理および提示する多くの異なる手法が存在する。例えば、アブレーション治療前に、高度な3Dマッピングシステムを使用することができる。こうしたマッピングシステムでは、左心房のターゲットの解剖学的構造の解剖学的マップが作成され、3D解剖学的マップ上に複数の特徴が示される。
【0005】
アブレーション治療中に使用可能な他の公知の制御システム、例えばGE社のPrucka 3では、心内心電図から導出された複数の特徴が心内心電図の小さな時間窓にオーバーレイされる。
【0006】
公知のデータ処理制御システムでは、アブレーション治療の効果を発見し、当該患者についてのアブレーション治療の効果を予測することは依然として困難な問題である。アブレーション治療に対する反応として発生する生理学的プロセスの良好な表現を、心内電子図から導出された特徴の形態で提示して医師に提供することにより、アブレーション治療の成功率を増大させることができる。
【0007】
公知の従来技術に対して医師および/または自動判別システムへの提供によってアブレーション治療の成功率の増大を改善することは、困難な問題である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、公知の方法および制御システムを、上述した課題に関するさらなる最適化が達成されるように改善するという課題に基づいている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題は、請求項1記載の特徴によって解決される。
【0010】
本発明の主たる認識は、任意の所与の時点における患者の心臓の現在状態の良好な全体像が医師に提供されるよう、従来の制御システムがきわめて高い時間分解能で特徴を導出し表示することに依拠しているということである。しかし、人間の生理学関連特徴の絶対値は、一般に、当該絶対値の個人間および個人内の変動度が実際の信号の変動度より大きくなることがあるので、解釈が難しい。絶対値ではなく全体論的なコンテキストに集中して情報を導出し処理することに焦点を当てたより全体論的なアプローチは、アブレーション治療によって引き起こされる心臓の変化の良好な理解につながることが認識されている。
【0011】
提案の教説の背後にある着想は、心臓において発生する種々の生理学的プロセスの相互関係の局所的変化および大域的変化の解析を可能にするために、複数の位置での複数の導出特徴を単一の特徴空間へ集約することである。このような集約のアプローチにより、アブレーションイベント前のデータとアブレーションイベント後のデータとを共通の強度範囲において比較することによって、アブレーション治療によって引き起こされる心臓の機能の変化を検出することができる。種々の単位を有しうる種々の特徴をより広いタイムスケールにわたる当該特徴の変化を示す単一の強度範囲に変換することが提案される。複数の特徴を単一の強度範囲で示すことによって、単一の特徴においては表現されえないがその代わりに複数の特徴の同時変化として現れる局所的変化および大域的変化を、観察し、解析し、区別することが可能となる。これらの変化は、複数の特徴の絶対値にかかわらず、所定の時間にわたる複数の特徴の変化を解析することによって可視となる。まとめると、提案の解決手段により、アブレーション治療に対する実際の反応を観察することができ、次いで当該反応を使用してアブレーション治療のさらなるステップを決定することができる。
【0012】
ここで提案するのは、制御システムによって心内心電図を解析する方法であって、心内心電図は、人体に挿入されたカテーテルを介して記録されたものであって、所定の時間長を有し、カテーテルは、それぞれ異なる解剖学的位置に配置された複数の電極を備え、電極によって心内心電図の複数のチャネルが記録されており、制御システムにより、複数のチャネルは、少なくとも、第1の解剖学的領域に割り当てられた少なくとも1つのチャネルを含む第1のチャネル群と、第2の解剖学的領域に割り当てられた少なくとも1つのチャネルを含む第2のチャネル群と、にグループ化され、制御システムにより、第1の解剖学的領域に関する第1の導出特徴と第1の解剖学的領域に関する異なる第2の導出特徴とを含む導出特徴が第1のチャネル群から導出され、第2の解剖学的領域に関する第1の導出特徴および第2の導出特徴が第2のチャネル群から導出され、制御システムにより、導出特徴のデータポイントが、上記の時間長にわたる間隔において導出され、これにより、第1の特徴および第2の特徴がそれぞれ時間次元と所定の値範囲を有する値次元とを有し、制御システムにより、導出特徴が、少なくとも解剖学的次元、特徴次元、時間次元および強度次元を含む特徴空間へと結合され、ここで、解剖学的次元は解剖学的領域を含み、特徴次元は導出特徴を含み、時間次元は第1の導出特徴および第2の導出特徴の時間次元であり、強度次元は所定の強度範囲を含み、制御システムにより、導出特徴の値範囲が強度範囲に変換される、方法である。
【0013】
提案の解決手段は、主要な2つの適用分野に焦点を当てている。請求項2の主題である第1の焦点は、医師により使用される特徴空間の視覚表現に関する。第2の焦点は、請求項13記載の主題である、自動判定システムにおける特徴空間の使用である。
【0014】
請求項2の好ましい実施形態は、制御システムのディスプレイ上に特徴空間を表示することに関する。請求項2のきわめて好ましい実施形態は、時間次元に沿ってデータを集約することと、共通の時間軸に沿った行として導出特徴を表示することとに関する。強度範囲は、好ましくはヒートマップとして表示される。集約された数分間のデータを表示することによって、数分間のタイムスケールにわたる複数の特徴に関して発生した変化への洞察を医師に得させることができ、これにより、アブレーション治療の実質的部分についての理解が得られる。
【0015】
請求項3記載の1つの実施形態におけるさらなる視覚的エンハンスメントのために、制御システムが、時間次元に沿って、導出特徴の強度値をローパスフィルタリングする。これにより、広いタイムスケールにわたる著しい変化を表示させて当該変化を細粒度の絶対値よりも優先させるという本発明の着想が、さらに強調される。
【0016】
請求項3記載の別の好ましい実施形態は、1つの群が各特徴についての解剖学的領域を含むように導出特徴を視覚群へと視覚的にグループ化することに関する。このようにすることで、解剖学的領域間の特徴における変化の比較を容易に管理できるようになる。例えば、1つの解剖学的領域が左心房に関連し、別の解剖学的領域が右心房に関連する場合、ある特徴が大域的に変化したのか、または現時点でアブレーションされている一方の心房のみで変化したのかを、一目で理解することができる。
【0017】
請求項4は、特徴空間に加えて表面ECGまたは心内心電図の少なくとも1つのチャネルを表示する手段に関する。広い時間窓を示す集約された特徴空間と医師に充分に既知であるチャネルとを比較することによって、特徴空間の表示における著しい変化を検出することができ、次いで、医師の慣用の方式での、当該チャネルのうちの短時間の抜粋の解析へと復帰させることができる。チャネルは、現在時刻に関するさらなる詳細を提供する。
【0018】
請求項5は、特徴を導出することによる、所定の時間にわたる好ましい集約に関する。提案の方法の値が正確性に関してどのように概観されるかが示される。
【0019】
別の興味深い実施形態は、請求項6の主題である。これは、表面ECGから導出された表面特徴を特徴空間内に挿入することに関する。当該実施形態では、アブレーション治療中に心臓において発生していることがらを大域的に概観するために、それぞれ大きく異なる特徴も結合可能となるので、提案のアプローチのフレキシビリティが示される。
【0020】
請求項7記載の好ましい実施形態では、制御システムは、測定システムから常に新たなデータを受信し、特徴空間および好ましくはディスプレイをリアルタイムで更新することができる。
【0021】
請求項8は、導出特徴の値範囲を強度範囲に変換する、制御システムによる変換機能に関する。変換関数は特徴間で異なっていてよい。このことは、特徴がそれぞれ異なる単位を有し、したがって基本的にそれぞれ異なる値を有するケースに該当することが明らかである。特徴間の比較可能性を高めるために、特徴ごとの変換関数はすべての解剖学的群に対して等しくてよい。
【0022】
さらに、変換関数は、線形または非線形であってよい。非線形の変換関数は、生理学的変動の影響を低減しつつ、予測される変化および/または発生する変化に合わせて適応化可能であるという利点を有する。非線形の変換関数はよく知られているが、変換された値どうしの関係がユーザにとって非自明かつ非直感的であるため、現行の当該分野では使用されていない。ここでは、非線形の変換関数が、絶対値に関する知識と引き換えに、変化についての良好な洞察を得るために使用される。
【0023】
請求項8に記載の別の興味深い特徴は、それぞれ異なる解剖学的領域に対して導出された同一の特徴である単一の特徴もしくはすべての特徴の値範囲に基づいて変換関数を更新する手段に関する。
【0024】
変換関数を設計する別の手段は、特に生理学的知識に基づいて境界を設定することである。例えば、線形変換の中点を、生理学値の所定の範囲内に強制的に含めることができる。なお、請求項9はまた、「未来」に位置するそれぞれの特徴のデータポイントの値によって変換関数を更新する手段に関する。
【0025】
既に計算された特徴の未来値を所定の時点で遡及的に変更すること、または未来値を計算に含めることによって変更することは、一般的ではないが、提案の解決手段にきわめてよく適合する。これは、心臓の挙動における変化の視覚的全体像を改善するために精度を犠牲にする別の手法である。心臓の電気的活動の変化は常に予測できるとは限らない。変換関数を遡及的に再定義することにより、医師は、より最近起こった変化に照らして旧いデータを観察することができる。
【0026】
請求項10によれば、少なくとも3つのチャネル群および/または1つの群あたり少なくとも2つのチャネルを設けることができる。一般に、群数および/または群あたりのチャネル数の選択は、実際のアブレーション処置および使用されるカテーテルに合わせて適応化することができる。3つの群を選択することは、通常のアブレーション処置の数に適応化されており、特に、1つの群を右心房に対応させ、1つの群を左心房に対応させ、場合により別の群をその間に対応させることができる。複数のチャネルを1つの群へとグループ化することにより、特に1つの群内のチャネルが同一の解剖学的構造に関連する場合、導出特徴のロバスト性が高められる。同時に、チャネルを異なる解剖学的構造に関する群へ含めないことにより、特徴の精度が高められる。例えば、左心房および右心房は、その一方のアブレーションの間、きわめて異なる挙動を呈する可能性がある。
【0027】
特徴次元の好ましい特徴は、請求項11に記載されている。これは、少数の特徴におけるアブレーションによる変化が最良に反映されるように慎重に選択されたものである。
【0028】
請求項12記載の好ましい実施形態では、群へのチャネルの割り当ては、制御システムによって決定され、かつ/またはユーザによって入力される。これにより、カテーテルまたは電極の位置に適合するよう、群をフレキシブルに構成することができる。
【0029】
請求項13は、特徴空間に基づく最終的な意思決定に関する。特徴空間を使用して、アブレーション治療の成功に関する予後を得る、かつ/またはアブレーション治療の次のステップについての提案を導出することができる。制御システムは、例えば、医師の経験が付与されたエキスパートモデルを使用して、治療の導出において医師を補助することができる。
【0030】
請求項13記載のきわめて好ましい実施形態は、特徴空間が付与されたトレーニングされたAIモデルの使用に関する。一般に、例えば心房細動の複雑性に関連して全体論的に患者を記述する多くのパラメータは、構造化されたデータフォーマットでは得られないかまたはまったく利用可能でないため、医療分野、特に心房細動の分野においてAIから良好な結果を得ることは困難である。さらに、3Dマッピングシステムが多くのデータを測定できる場合であっても、当該データは各心臓の解剖学的構造にとってきわめて特異的であり、したがって、AIではほとんど使用できないか、または少なくともAIにとってきわめて複雑な問題を課すものとなっている。従来技術のAIによって解決可能な、十分に定義された問題を有するAIを設計することは困難な問題である。AIが良好な出力を提供できるかどうかという問題は、入力データの定義、問題の全体論的な複雑性、AIモデルの定義、および選択された出力データに依存する。ここでは、入力データの特定のセットを使用すること、すなわち、過度に大きいデータを含むことなく、アブレーション治療中の変化の均一な全体像が提供されるように最適化された特徴空間を使用することが提案されている。したがって、AIモデルのための入力として特徴空間を使用することで、問題の複雑性が大幅に低減され、よって、AIモデルの出力が改善される。アブレーション治療の成功についての予後の提案、次のステップの提案、またはAIモデルの出力としての特徴空間の変化の予後は、特徴空間に直接に接続されており、したがってAIによって解決すべき十分に定義された問題となる。
【0031】
同等の重要性を有する、請求項14記載の別の教説は、心内心電図を解析する制御システム、特に提案の方法を実行するように構成された制御システムであって、心内心電図は、人体に挿入されたカテーテルを介して記録されたものであって、所定の時間長を有し、カテーテルは、それぞれ異なる解剖学的位置に配置された複数の電極を備え、電極によって心内心電図の複数のチャネルが記録されており、制御システムが、複数のチャネルを、少なくとも、第1の解剖学的領域に割り当てられた少なくとも1つのチャネルを含む第1のチャネル群と、第2の解剖学的領域に割り当てられた少なくとも1つのチャネルを含む第2のチャネル群と、にグループ化し、制御システムが、第1の解剖学的領域に関する第1の導出特徴と第1の解剖学的領域に関する異なる第2の導出特徴とを含む導出特徴を第1のチャネル群から導出し、第2の解剖学的領域に関する第1の導出特徴および第2の導出特徴を第2のチャネル群から導出し、導出特徴のデータポイントが上記の時間長にわたる間隔において導出され、これにより、第1の特徴および第2の特徴がそれぞれ時間次元と所定の値範囲を有する値次元とを有し、制御システムが、導出特徴を、少なくとも解剖学的次元、特徴次元、時間次元および強度次元を含む特徴空間へと結合し、ここで、解剖学的次元は解剖学的領域を含み、特徴次元は導出特徴を含み、時間次元は第1の導出特徴および第2の導出特徴の時間次元であり、強度次元は所定の強度範囲を含み、制御システムが導出特徴の値範囲を強度範囲に変換する、制御システムに関する。
【0032】
提案の方法に関して与えられるすべての説明が制御システムにも完全に適用可能である。
【0033】
請求項15記載の実施形態では、制御システムは、測定システムおよび/またはカテーテルへのインタフェースを備え、かつアブレーション治療中に使用されるように構成可能である。
【0034】
以下に、本発明の実施形態を図面に即して説明する。図面には次のことが示されている。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】例示的な外科処置中の人間の心臓、2つのカテーテルおよび制御システムを示す図である。
図2】上から下へ向かって順に、特徴空間、表面ECGおよび心内心電図を含むディスプレイを示す図である。
図3】時間間隔における導出特徴の導出を示す図である。
図4】特徴空間のより詳細な表示およびさらなる実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
提案の方法は、心房細動の治療および解析に関する。特に関心対象となっているのは、アブレーション治療、特にステップワイズアブレーション治療による、心房細動(AF)の治療である。ステップワイズアブレーション治療は、複数のアブレーションターゲットと各ターゲットに対するアブレーション処置とを含む。例示的なステップワイズアブレーションは、肺静脈をアブレーションし、次いで他のターゲット、例えば3Dマッピングシステムによって識別された焦点をアブレーションすることを含みうる。
【0037】
ステップワイズアブレーションの際には、医師はアブレーション治療の各ステップを継続するかまたは停止するかを決定しなければならない。通常の停止点は、患者の洞調律への復帰である。しかし、持続的な治療効果を得る、すなわちAFの再発がない状態に患者が到達するためには、ステップワイズアブレーションを2回以上行う必要があることが多い。
【0038】
提案の方法および制御システム1により、医師は、患者の心臓の内部で起こっている電気的なことがらについてより良好な理解を得ることができる。
【0039】
制御システム1を介して心内心電図2を解析する方法を提案する。制御システム1は、プロセッサ、場合によりディスプレイ3などを備えたローカルユニットでありうる。これは、汎用PCであってもよいし、または専用のシステムであってもよい。図1には、心臓と、大腿静脈から心臓に挿入された2つの診断用カテーテル4と、が概略的に示されている。サーキュラカテーテル5は肺静脈内に配置されており、デカポラカテーテル6は心臓の後ろ側、好ましくは冠静脈洞の静脈内に配置されている。制御システム1は、カテーテル4に接続されたボックスとして示されているが、測定システムに接続されて心内心電図2を間接的にのみ受け取るシステムであってもよい。好ましくは、制御システム1は、手術中に使用される。アブレーションカテーテル4も存在しうるが、図示されていない。
【0040】
心内心電図2は、特にアブレーション治療中に、人体内部に挿入されたカテーテル4を介して記録されており、所定の時間長を有する。心電図は、手術中にリアルタイムで更新可能である。心内心電図2の時間長は例えば10分間であってよい。新たなデータが最後に付加されることもあるし、または長さが一定であって、新たなデータによって旧いデータが上書きされることもある。本方法の目的にとって心内心電図2の全長はさほど重要ではない。計算を可能にするための所定の最小長さのみがあればよい。図2には、心内心電図2の1つのセクションが下方のグラフとして示されている。
【0041】
カテーテル4は、それぞれ異なる解剖学的位置に配置された複数の電極7を備える。解剖学的位置は、制御システム1に規定されていなくてよく、または既知である必要もない。任意選択手段として、解剖学的位置に関する幾つかの知識が有利であり、例えばアブレーション処置のタイプから推論することのできる方法が説明される。図1には、デカポラカテーテル6の10個の電極7が右心房(図1の左側)から左心房(図1の右側)までどのように延在しうるかが示されている。
【0042】
電極7によって、心内心電図2の複数のチャネル8が記録されている。図2には、心内心電図2の4つのチャネル8(下方の4つの行)が示されている。4つのチャネルの上部チャネルおよび下部チャネルはユニポーラチャネル9であり、中央の2つのチャネルはバイポーラチャネル10である。ユニポーラチャネル9およびバイポーラチャネル10は、同じカテーテル4によって測定可能である。心内心電図2のチャネル8の全体を表示しないことにより、よりコンパクトな全体像を得ることができる。したがって、図2の例によってさらに強調されるのは、提案の方法が、アブレーション治療の不正確ではあるもののより大域的な全体像を医師に与えることを目的として行われる点である。こうした広い全体像の背景にある考察は、アブレーション治療およびその効果が内因性の変動度および個人間の変動度に起因して正確な絶対測定値では捕捉されないことである。
【0043】
制御システム1は、複数のチャネル8を、少なくとも第1の解剖学的領域12に割り当てられた少なくとも1つのチャネル8を含む第1のチャネル群11と、第2の解剖学的領域14に割り当てられた少なくとも1つのチャネル8を含む第2のチャネル群13と、にグループ化する。図1には、第1のチャネル群11、第2のチャネル群13、および以下にさらに説明するデカポラカテーテル6における第3のチャネル群15が示されている。第1のチャネル群11は、右心房に割り当てられた3つの電極7を含み、第2のチャネル群13は、左心房に割り当てられた3つの電極7を含み、第3のチャネル群15は、いずれの心房にも明確に割り当てられておらず、つまり解剖学的移行領域に割り当てられた4つの電極7を含む。ユニポーラチャネル9および/またはバイポーラチャネル10のいずれが使用されるかに応じて、この場合のそれぞれの群に割り当てられるチャネル8の数は変化しうる。
【0044】
解剖学的領域は心臓の任意の位置であってよい。好ましくは、第1の群11のチャネル8および/または第2の群13のチャネル8が割り当てられた解剖学的領域が、解剖学的構造である。好ましくは、第1の群11のチャネル8と第2のチャネル8とがそれぞれ異なる解剖学的構造に割り当てられている。解剖学的構造は、電気的にかつ機能的に限定された領域である。ここでの目的のために、心臓は、4つの解剖学的構造、すなわち心房および心室を含む。他の解剖学的構造、例えば心臓に関連する肺静脈などが存在することがあり、また、心臓が心房および心室の一部ではなく、本方法では焦点を当ててはいないが全体論的にここでの概念に含まれる解剖学的構造を含むこともある。図1の例では、第1の群11と第2の群13とはそれぞれ異なる解剖学的構造に割り当てられており、第3の群15は解剖学的構造に割り当てられていない。
【0045】
制御システム1において群の割り当てが既知である必要はない。医師は、所定の処置のために、制御システム1の出力の使用および解釈の方式を知ることができる。
【0046】
一実施形態では、解剖学的位置は、制御システム1、特に3Dマッピングシステムから既知となる。制御システム1は、3Dマッピングシステムの一部であってもよいし、または3Dマッピングシステムであってもよい。特に、制御システム1が解剖学的位置に関する何らかの知識を有する場合、群へのチャネル8の割り当てを、1つもしくは複数の電極7の既知の位置に基づいて自動的に行うことができる。付加的にもしくは代替的に、ユーザが群へのチャネル8の割り当てに関与することもできる。特に、制御システムは、ユーザがより容易に割り当てを選択できるまたは確認できるよう、例えばチャネル8に属する電極7の位置をハイライト表示することによって、可能な割り当てを視覚化することができる。
【0047】
ここで、好ましくは、一方の群の少なくとも1つのチャネル8が左心房に割り当てられており、他方の群の少なくとも1つのチャネル8が右心房に割り当てられている。付加的にもしくは代替的に、少なくとも1つの群の少なくとも1つのチャネル8は、制御システム1にとって既知の解剖学的位置に基づいて、制御システム1および/またはユーザにより、1つの群に割り当てられている。
【0048】
制御システム1は、第1の解剖学的領域12に関する第1の導出特徴17と第1の解剖学的領域12に関する異なる第2の導出特徴18とを含む導出特徴16を第1のチャネル群11から導出し、第2の解剖学的領域14に関する第1の導出特徴17および第2の導出特徴18を第2のチャネル群13から導出する。
【0049】
導出特徴16とは、チャネル8の情報を処理することによって1つもしくは複数のチャネル8から導出された特徴である。導出特徴16は、心拍数、心拍変動度、種々の間隔19、特にビート・ツー・ビート時間などの時間的に集約された特徴であってよい。第1の導出特徴17および第2の導出特徴18は、それぞれ、第1の群11および第2の群13について、それぞれの群の1つもしくは複数のチャネル8、好ましくはすべてのチャネル8から導出される。これは、この場合、少なくとも4つの導出特徴16が存在し、すなわち、第1の導出特徴17および第2の導出特徴18が少なくとも2回ずつ、すなわち群ごとに1回ずつ導出されることを意味する。導出特徴16は、ここでは好ましくは群ごとに独立して導出される。
【0050】
制御システム1は、導出特徴16のデータポイント20を上記の時間長にわたる間隔19において導出し、これにより、第1の特徴および第2の特徴は、それぞれ、時間次元21と所定の値範囲23を有する値次元22とを有する。図3には、導出特徴(図3の下部)へと処理された、表面ECG24のケースでは60秒間の例示的なチャネル8が示されている。図3の間隔19は5秒であり、したがって5秒ごとに、導出特徴のデータポイント20がチャネル8のデータの最後の30秒から生成される。この場合、好ましくは、間隔19は、導出特徴16が時間的に集約されるサンプリング時間よりも長い。当該間隔19は、導出特徴16の更新サイクルを定めている。
【0051】
制御システム1は、導出特徴16を、少なくとも解剖学的次元26、特徴次元27、時間次元21および強度次元28を含む特徴空間25へと結合する。図4には、特徴空間25のビジュアライゼーションが示されている。ここでは、強度次元28は、ヒートマップの色によってグレースケールで表示されている。図2には、制御システム1のディスプレイ3上に表示される特徴空間25の異なるバージョンが示されている。図2のディスプレイ3におけるビジュアライゼーションは、図4の別の実施形態のバージョンでありうる。図4には、デカポラカテーテル6の3つの群に関する2つの導出特徴16と、同様に導出特徴16である、表面ECG24に由来する2つの表面特徴29と、が示されており、これらについては後に説明する。
【0052】
図4の特徴空間25の下側の6つの列に焦点を当てると、これらが2つの群に視覚的にグループ化されていることが見て取れる。これらの視覚的群30のそれぞれは1つの特徴を表現している。視覚的群30のそれぞれは3つの行、すなわちチャネル8の群ごとに1つずつの行を含む。例えば、図4の特徴空間25の最下方の3つの行は、右心房の行(第1の群11)、移行群の行(第3の群15)および左心房の行(第2の群13)である。したがって、それぞれ異なる解剖学的領域に対して特徴がどのように挙動するかを容易に比較することができる。さらに、例えば2つの視覚的群30の第1の行どうしを比較することによって、複数の導出特徴16にわたって解剖学的領域がどのように挙動するかを容易に見て取ることができる。もちろん、別の視覚的群30が別の導出特徴16に対して存在してもよい。
【0053】
特徴空間25の定義に着目すると、解剖学的次元26は解剖学的領域を含み、特徴次元27は導出特徴16を含み、時間次元21は第1の導出特徴および第2の導出特徴16の時間次元21であり、強度次元28は所定の強度範囲31を含む。
【0054】
解剖学的次元26は不連続次元であり、第1の解剖学的領域12および第2の解剖学的領域14のみから成るものであってよい。特徴次元27はまた、少なくとも2つの特徴の数を含む不連続次元でもある。
【0055】
時間次元21は、好ましくは同じであるもしくは実質的に重なっているすべての特徴の時間次元21を含む。この場合、好ましくは、特徴の時間次元21は、少なくとも50%、より好ましくは少なくとも90%重なり合っている。計算を簡単化するために、すべての特徴のすべてのデータポイント20が均等な間隔で同じ時点に配置されることが好ましい。にもかかわらず、種々の特徴のデータポイント20が所定のオフセットなどを有することもできる。図3には、1つの特徴の時間次元21がどのように定義されるかが示されている。図2および図4では、特徴は、すべて同じ時間長を有し、かつ同じ絶対時間範囲にわたって、例えば過去15分間にわたって同じ時間次元21を有する。
【0056】
導出特徴16は、特にはたとえそれぞれ異なる単位を有していたとしても、強度値のきわめて異なる値範囲23を有しうる。ここで提案しているのは、制御システム1が導出特徴16の値範囲23を強度範囲31に変換することである。
【0057】
特徴空間25から得られる強度範囲31は、例えば0~1の範囲から成っていてよい。強度範囲31は、青色から赤色までの色範囲、例えば青色が0でありかつ赤色が1である色範囲または逆に赤色が1でありかつ青色が0である色範囲によって表示することができる。
【0058】
提案によるそれぞれ異なる解剖学的領域に対する特徴の導出およびそれぞれ異なる解剖学的領域の単一の特徴空間25への変換は、ここでは「より良好な意思決定」に包含されうる2つの主要な用途に焦点を当てている。こうした決定は、人間、特に医師によって、かつ/または自動化システム、特にAIシステムによって行うことができる。
【0059】
AIシステムは、その入力データに強く依存する。入力データを解剖学的領域へとグループ化できるようにし、治療の予後の導出に絶対値を十分に利用できないようにするトレーニングを通したAI学習自体の試行は、関連データをフォーマット化して選択し、非関連データを意図的に除外することで、アプリケーションに適合する特徴空間25をAIシステムに提供することと比較すると、きわめて困難な問題である。
【0060】
人間のオペレータは論理的なグループ化をより迅速に見出すことができ、その経験を利用することができる。しかし、人間のオペレータは、ECGから特徴を導出する信号処理能力を有していない。したがって、データの適合抽象化を選択することで、人間のオペレータが患者の内部についてより多くを理解できるようになり、結論の導出が可能となる。
【0061】
本発明は、アブレーション治療中の相対変化ならびに患者の心臓による電気的および生理学的反応に関する改善されたレベルの全体像を提供し、意図的に特に絶対値に関する正確性を非優先とすることに焦点を当てている。その結果、機械によってであれ人間によってであれ、生体プロセスのデジタル表現についてのいっそう良好な理解可能性が得られる。
【0062】
変換後の導出特徴16の実際値は必ずしも全強度範囲31を使用しているとは限らない。ただし、強度範囲31は、種々の特徴の強度間の全体論的な比較可能性が与えられるように選択されている。したがって、1回の処置を通して、変換された導出特徴16によって使用される強度範囲31の部分は、通常、顕著に重なり合う。図2の特徴空間25の左側部分に示されているように、処置の開始時には、例示的に、すべての特徴が終了時よりも低い強度を有していた可能性があり、これにより、当該処置が表示時間長32の中央の箇所および最後の3分の1の箇所で有意な作用を有していたことが示されている。
【0063】
それぞれ異なる特徴に対する変換関数は自然に異なってくることに留意することが重要である。特に、導出特徴16の単位が異なる場合、変換関数は著しく異なってくる。変換の前に単位が等しい場合、特に特徴が単位を有さない場合、その値範囲23も異なり、好ましくは重なり合わなくなる。
【0064】
心内心電図2は、単一のカテーテル4によって記録されるチャネル8のみを含むこともあるが、図示されているように複数のカテーテル4が使用されることもある。ここでのケースでは、好ましくは、チャネル8は単一のカテーテル4の1つもしくは2つの電極7によって定義されている。群のうちの少なくとも2つが単一のカテーテル4のチャネル8のみを含むケースも存在しうる。また、少なくとも2つの群のそれぞれが異なるカテーテル4に由来するチャネル8を含み、特に少なくとも2つの群のそれぞれが単一のカテーテル4のチャネル8のみを含むケースも存在しうる。
【0065】
群へのチャネル8の割り当ては、時間の経過と共に、特に制御システム1によって自動的に変化させることができる。特に、群へのチャネル8の割り当てを、カテーテル4の再位置決めの後に変化させることができる。好ましくは、得られる心臓のマップは、少なくとも幾つかの解剖学的領域に対して可変の数のチャネルを有する。心臓のマップの場合、解剖学的領域は、解剖学的次元26に表示された最小単位であってよい。例えば、各解剖学的領域は、所定の時点で単一の色を有することができる。
【0066】
1つもしくは複数のチャネル8の群への割り当ては、予め定義されていてもよいし、または制御システム1から導出されてもよい。特に、カテーテル4における電極7またはチャネル8の順序に基づいて割り当てを行うことができる。特に、第1の群11は心内心電図2の最も近位のチャネル8を含みうるものであり、かつ/または第2の群13は心内心電図2の最も遠位のチャネル8を含みうるものである。こうした割り当ては、制御システム1により、処置に関する知識に基づいて選択可能である。当該知識は、例えばインタフェース上で処理を選択することにより、測定値から導出することができるか、またはユーザが入力することができる。
【0067】
一実施形態によれば、制御システム1がディスプレイ3を備え、かつ特徴空間25の少なくとも4つの次元、好ましくは正確に4つの次元をディスプレイ3上に表示することが提案される。図2および図4には、このことがどのようにして実現可能となるかが示されている。図4には、それぞれ異なる特徴が視覚的に区別されるよう、特徴の視覚的なグループ化によって、左方から右方への時間次元21と、下方から上方への特徴次元27と、特徴次元27内の解剖学的次元26と、が示されている。図4の右側の矢印は、各行の強度次元28の色値の表現である。
【0068】
制御システム1が解剖学的位置に関する知識を有する場合、解剖学的次元26が心臓の表現として、特に心臓の3D表現として表示されるケースが存在しうる。この場合、他の次元の1つもしくは複数を、解剖学的位置に関して表示することができる。
【0069】
上述したように、提案の解決手段の1つの興味深い実施形態は、時間の経過における変化のより広い全体像を得ることを可能にする、導出特徴16の時間的集約である。好ましくは、間隔19は、少なくとも0.5秒の長さ、好ましくは少なくとも1秒の長さ、より好ましくは少なくとも2秒の長さであり、制御システム1は、時間次元21の少なくとも5分、好ましくは少なくとも8分、より好ましくは少なくとも12分を表示する。時間次元21の表示部分は、同時に、特にはスクロールなしで、表示される。さらに、例えば30分までまたは45分までのスクロールによってデータを利用することもできる。この場合、好ましくは、心内心電図2のサンプリング周波数は、間隔19がサンプリングポイント間の時間よりもはるかに長くなり、よって所定の時間にわたるデータの集約が実質的なものとなるように定められる。サンプリング周波数はキロヘルツ範囲であってよい。制御システム1は、特にスクロールすることなく、同時に、特徴空間25の少なくとも4つの次元、好ましくは正確に4つの次元をディスプレイ3上に表示することが好ましい。
【0070】
制御システム1が特徴空間25の4つの次元をディスプレイ3上に表示できる別の好ましい手法は、制御システム1がスクロールなしで解剖学的次元26と特徴次元27と強度次元28とを同時に表示し、さらにスライスによって時間次元21を表示することである。例えば、心臓の1つもしくは複数の3Dマップは、マップ上の解剖学的位置に強度値を配置することによって、解剖学的次元26を示すことができる。1つもしくは複数の特徴を、各解剖学的領域について同じ位置にまたは相互に隣り合うように表示することができる。時間次元21は、異なる時点の強度値が同時に表示されないように時間をスライスすることによって表示することができる。しかし、他のマッピングシステムとは異なり、それぞれ異なる解剖学的領域に対しては、実際には時間次元が存在する。他のマッピングシステムは、時間の経過における変化がないことを前提としている。
【0071】
間隔19は、好ましくは10秒以下である。表示時間次元21は、好ましくは1.5時間以下、好ましくは45分以下、より好ましくは30分以下である。
【0072】
制御システム1が共通の時間軸33に沿ってデータの幾つかの行をディスプレイ3上に表示することがさらに好ましい。行は、水平方向に配置されてもよいし、垂直方向に配置されてもよい。データ行は、導出特徴16のそれぞれに対する行を含む。行は、時間軸33に沿ったそれぞれの特徴のデータポイント20と、これらのデータポイント20についてマッピングされた強度範囲31の強度値と、を含む。好ましくは、強度値は、特にヒートマップとしてカラーコーディングされている。
【0073】
さらに、アブレーションが実行された時点を3つ表示することができる。これにより、所定のアブレーションイベントに対する反応を見きわめることがさらに容易になる。ユーザは、特徴次元27のどの特徴を表示すべきかを選択することができる。
【0074】
データ行は、第1の群11の第1の導出特徴17についての行、第1の群11の第2の導出特徴18についての行、第2の群13の第1の導出特徴17についての行、および第2の群13の第2の導出特徴18についての行を含みうる。
【0075】
一実施形態によれば、制御システム1が時間次元21に沿って導出特徴16の強度値をローパスフィルタリングしてローパス導出特徴16を表示すること、および/または制御システム1が特徴次元27に沿って導出特徴16を視覚的にグループ化して、各特徴の解剖学的次元26を視覚的群30として解剖学的次元26に沿って表示することが提案される。代替的に、制御システム1は、解剖学的次元26に沿って特徴を視覚的にグループ化し、これにより、第1の群11の特徴を視覚的群30において表示し、第2の群13の特徴を視覚的群30において表示することもできる。この最後の実施形態は、図には示されていない。
【0076】
制御システム1がさらに表面ECG24(図2)の少なくとも1つのチャネル8をディスプレイ3上に表示する手段も存在する。好ましくは、制御システム1は、表面ECG24の少なくとも1つのチャネル8および/または心内心電図2の少なくとも1つのチャネル8のうち、特徴空間25の時間次元21の表示時間長32よりも短い表示時間長32を有するセクション、および/または間隔19の長さよりも短い間隔で配置されたデータポイント20、特にECGデータポイント34を有するセクションを、ディスプレイ3上に表示する。
【0077】
好ましくは、チャネル8の表示時間長32は、1分未満、好ましくは30秒未満であり、かつ/またはデータポイント20の間隔は、100ms未満、好ましくは10ms未満、より好ましくは最大1msである。図2ではこれは10秒である。上述したように、ECGサンプリング周波数はキロヘルツ範囲にあってよく、これにより、1ミリ秒未満の間隔を有するデータポイント20が得られる。
【0078】
制御システム1は、表面ECG24の電極に接続されていてもよいし、表面ECG24を測定するシステムに接続されていてもよい。
【0079】
一実施形態によれば、導出特徴16のデータポイント20は、間隔19よりも長い期間35にわたって計算され、好ましくは、期間35は、少なくとも10秒、好ましくは少なくとも20秒であり、かつ/または1分未満、好ましくは45秒未満であることが提案される。図3に示されているように、期間35は複数の間隔19に重なり合うこともある。
【0080】
電気的な心臓の状態の全体像を向上させるために、制御システム1がさらに表面ECG24から少なくとも1つの表面特徴29、好ましくは少なくとも2つの表面特徴29を導出し、当該表面特徴29は時間次元21および値次元22を有し、制御システム1は、特徴次元27が表面特徴29を含むように当該表面特徴29を特徴空間25内に挿入し、解剖学的次元26は大域的解剖学的領域を含み、表面特徴29の時間次元21が表面空間25の時間次元21にマッピングされ、制御システム1が表面特徴29の値次元22の値範囲23を強度範囲31に変換するケースが存在しうる。
【0081】
興味深いことに、表面ECG24の特徴が心内心電図2の導出特徴16とは異なる間隔19および/または異なる期間35にわたって導出可能であり、かつもちろん異なる値範囲23を有することが示されている。なお、提案の方法の焦点は、上述したように大域的な全体像にあるので、これらを同じ特徴空間25に含めることができる。表面特徴29の大部分は、例えばP波解析によって心房に焦点を当てることができるとしても、1つの大域的解剖学的領域として心臓に関連するものとする。
【0082】
1つ以上の態様の説明に通底して複数形が使用される場合、これは単数形を表すこともあり、より読解しやすいように使用される。
【0083】
ここで、好ましくは、制御システム1は、少なくともカテーテル4を備えた測定システムから常に新たなデータを受信し、特徴空間25を更新する。好ましくは、制御システム1は、ディスプレイ3を周期的に、特にリアルタイムで更新する。
【0084】
測定システムは、測定用のハードウェア、アナログフィルタまたはデジタルフィルタなどを含むことができ、さらに別の制御システム1、例えば3Dマッピングシステムを備えていてもよいし、またはこれに接続されていてもよい。代替的に、制御システム1を、カテーテル4に直接に接続することもできる。
【0085】
一実施形態によれば、制御システム1が、導出特徴16の値範囲23を、特徴ごとに異なる変換関数を介して強度範囲31に変換し、好ましくは、変換関数が特徴ごとのすべての解剖学的領域に対して等しいことが提案される。それぞれ異なる解剖学的領域における特徴に対して実質的に同一の変換関数を設けることは、特徴内比較を可能にする。特に特徴が左心房と右心房との間でどのように異なって変化するかを理解することができるようになる。
【0086】
次に変換関数の詳細に移ると、少なくとも1つの変換関数、好ましくはすべての変換関数が非線形であるケースも考えられる。線形正規化は、典型的には、
f(x)=(x-mean(x))/(max(x)-min(x))
のように、最小値minおよび最大値maxを定義することができる。すなわち、f(x)は、ここでの0から1までの範囲の値を有し、xの値に対して線形の関係を有する。xは導出特徴16の値次元22であり、f(x)は強度次元28である。
【0087】
ここで、非線形表現を“f(x)”として用いるケースが存在しうる。これにより、スケールの圧縮または解凍が可能となり、入力値の特定の範囲に対する正規化値の感度を増大させることができる。非線形変換の例は、指数関数、対数関数、シグモイド関数およびピースワイズ線形関数である。
【0088】
付加的にもしくは代替的に、変換関数は、時間次元21にわたってもしくは時間次元21の一部にわたって、特に表示時間次元21にわたって、それぞれの特徴の値範囲23またはすべての解剖学的領域の値範囲23に基づいて更新される。好ましくは、時間次元21の部分は、新たな間隔19で、特に新たな間隔19のたびに変化する。
【0089】
「有意な変化」はデータに依存するため、変換の提案は時間と共に変化する。変換係数が固定されたものでなく連続的にデータから導出される適応型変換も使用可能である。これは、特に好ましい実施形態において、ディスプレイ3上に既に表示されている値が更新可能となり、よって新たな変換に基づいて変更可能となることを意味する。値を表示した後にこの値を変更することは直感に反する可能性があるが、このことは、著しい変化を示すターゲットを提案することの助けとなる。場合によっては、既に表示された値の変更は、特定の閾値が満たされた場合にのみ実行可能である。
【0090】
1つの変換アルゴリズムは、例えばf(x)=(x-mean(x))/std(x)を用いてまたはこれに基づいて、統計的正規化を行うために、平均値および標準偏差を使用することができる。
【0091】
特定の一解決手段では、変換を定義するために最新の15分間のデータが使用可能となる。
【0092】
さらに、制御システム1が、特に時間次元21の全部もしくは一部にわたって、特に時間次元21の表示部分にわたって、それぞれの特徴の値範囲23もしくは特徴群の値範囲23に基づいて、さらに所定の境界に基づいて、特に変換関数の中心の境界に基づいて、変換関数の少なくとも1つ、好ましくはすべてを適応化するケースも存在しうる。
【0093】
生理学的なビート・ツー・ビート時間が約1秒であることが既知である場合、変換関数の中点は、線形であるか否かにかかわらず、0.9秒~1.1秒となるように強制することができる。次に、最大値が0.9秒を下回る0.8秒の最小ビート・ツー・ビート時間から、線形のケースにおいて、0.8秒~1秒が0~1の強度範囲31に変換され、ここで、0.8秒が0に、1秒が1に変換されることが定義される。0.9秒に強制された中点は、0.5に変換される。同様の例は他の特徴についても見ることができる。この例では、主に青色の値を示すビート・ツー・ビート時間のヒートマップが得られることになる。境界は、生理学的知識に基づいて予め定義されてもよい。
【0094】
制御システム1が、複数の変換関数のうちの少なくとも1つの変換関数、好ましくはすべての変換関数を適応化するケースも存在し、それぞれの特徴の幾つかのデータポイント20の値の変換は、時間的により後に位置するデータポイント20の値に依存する。多くの場合、リアルタイム計算では、新たな更新に基づいて過去が変更されることはない。これは、著しい変化をより良好に視覚化するために正確に行うことが提案される。良好な変換関数を予測して場合により有意な変化を捕捉することに代えて、以前の値の変化を認容し、これにより実際の変化に基づいてより良好に有意な変化が捕捉されるようにする。変換関数がより最近のデータポイント20から導出された履歴データポイント20に適用されるケースも存在しうる。変換関数は、より最近のデータポイント20およびこれに適用されるすべてのデータポイント20から導出可能であり、または変換関数の導出に使用されない変換関数が適用されるデータポイント20が存在することもある。
【0095】
この場合、好ましくは、幾つかのデータポイント20、特にすべてのデータポイント20から特徴あたり1を差し引く変換は、時間的に後のデータポイント20に依存する。
【0096】
一実施形態によれば、第1の群11および第2の群13がそれぞれ少なくとも2つのチャネル8を含むこと、および/または制御システム1がさらに、第3の解剖学的領域36に割り当てられた少なくとも1つのチャネル8、好ましくは少なくとも2つのチャネル8を含む、少なくとも第3のチャネル群15へとチャネル8をグループ化することが提案される。
【0097】
図1に示されているように、複数の電極7を1つの群の一部とすることができる。ノイズを低減するために複数のチャネル8を平均化することが公知であるが、ここでは、電極7の解剖学的位置の平均化、ひいてはチャネル8の平均化を基礎とすることが提案される。左心房のチャネル8を右心房のチャネル8で平均化することによって、実際には多くの関連情報が除去されてしまう可能性がある。しかし、左心房のチャネル8を平均化するかまたは他の方式で結合することにより、特徴空間25における精度を高め、雑音を低減し、全体論的な情報を減少させることができる。第3の群15は、左心房と右心房との間の移行群であってよい。
【0098】
好ましくは、制御システム1は、特に平均を計算して時間間隔19ごとの特徴あたり単一のデータポイント20を形成することによって、1つの群、好ましくはすべての群の少なくとも2つのチャネル8、好ましくはすべてのチャネル8を結合する。
【0099】
3つの群のうちの2つの群が正確に3つのチャネル8を含み、かつ/または3つの群のうちの1つの群が正確に4つのチャネル8を含むケースが存在しうる。
【0100】
ここで、好ましくは、特徴あたり単一の導出特徴が群ごとに導出され、これは、例えば、各チャネル8に対して導出特徴を計算する代わりに第1の群11の例えば3つのチャネル8を1つの導出特徴に結合することによって、第1の群11に対して第1の導出特徴17が1回計算されることを意味する。
【0101】
「平均」なる用語は、平均値、中央値などを含む。
【0102】
特徴次元27の特徴に着目すると、特徴次元27の特徴のうち少なくとも1つの特徴、好ましくは少なくとも2つの特徴、より好ましくは少なくとも3つの特徴が、主周波数、表面ECG24の自己相関、心内心電図2の相互相関、サイクル長、局所的活性化時間分散、分画指数、サイクル長変動、主周波数勾配から成る群から選択されるケースが存在しうる。個々に挙げた特徴を計算する手法は当該技術分野において公知である。正確にどの手法を使用するかは、種々の実施形態に対してオープンとなっている。
【0103】
一実施形態によれば、制御システム1が、心内心電図2の測定データに基づき、特に処置ごとに1回、群へのチャネル8の割り当てを決定し、かつ/またはユーザがチャネル8のサブセットを群に割り当てることが提案される。制御システム1は、実行されたアブレーション治療、特に通常の処置に関する知識からカテーテル4の位置を「推測」することができ、この「推測」をディスプレイ3上でユーザに表示することができる。例えば制御システム1に詳細が既知でなくても、医師が、超音波画像に基づいてカテーテル4自体の配置を行うことができる。制御システム1は、チャネル8間の類似性および差異を自動的に検出することができ、チャネル8における類似の信号に基づいて、特にカテーテル4における電極7の順序に付加的に基づいて、群への割り当てを決定することができる。
【0104】
ここで自動的な意思決定について考えると、制御システム1が特徴空間25を使用して、アブレーション治療の成功についての予後を導出するケースが存在しうる。制御システム1は、予後を導出するためにトレーニングされたAIモデルを使用することができる。トレーニングされたAIモデルは、入力データとして特徴空間25を受け取り、アブレーション治療の成功に関連する著しい変化を検出するようにトレーニング可能である。成功は心房細動AFの再発を意味することがある。リアルタイムで更新された特徴空間25の更新をAIに供給することによって、AIは、著しい変化を最良に表現するように適応化された変動データを受信する。したがって、AIモデルのトレーニングは、どの変化が重要であって治療の成功に関連するのかを検出することに焦点を当てることができる。こうした問題は、例えば心内心電図2をAIに入力する場合よりもはるかに良好に定義されている。
【0105】
付加的にもしくは代替的に、制御システム1は、特徴空間25を使用して、アブレーション治療における次のステップのための提案を導出する。次のステップは、特にアブレーション位置を含む、幾つかの可能なアブレーションステップのうちの1つであってよい。次いで、AIモデルを、アブレーション治療により潜在的に大きく変化する可能性がある電気的状況が認識されるようにトレーニングすることができる。特に、AIモデルは、所与のアブレーションステップによる特徴空間25における変化を予測するようにトレーニングすることができる。したがって、制御システム1が特徴空間25を使用して可能なアブレーションステップによる特徴空間25の変化の予後を導出するケースも存在しうる。
【0106】
AIのトレーニングデータは、治療成功に関連する著しい変化を伴う特徴空間25を含むことができる。特徴空間25は、患者の特定の解剖学的構造および病理にはあまり関係していないため、特徴空間25の提案を使用することにより、より全体論的なトレーニングデータを利用することができる。種々の可能なアブレーションステップの数は少なくてよく、例えば5つ未満であってよい。この場合、医師は、AIを使用して、次に試行すべき可能な少数のアブレーションステップのうちのいずれかを決定することができる。以前は、ステップの順序は予め定められたものまたは医師の裁量によって定められたものであった。また、1つの可能なステップが別のステップを実行しないことであることもある。
【0107】
AIモデルは、好ましくは制御システム1により、特徴空間25をトレーニングされたAIモデルに入力することによって使用される。
【0108】
AIは、教師あり学習、教師なし学習、深層学習または強化学習によってトレーニング可能である。教師あり学習は、ラベル付きデータを使用して成果を予測するもしくはデータポイント20を分類するためのモデルをトレーニングする、AIの一種である。これを使用して、ラベル付きデータポイント20を使用することで、特徴空間25を解析して予後を導出し、予測を行うために使用可能なモデルを学習することができる。ラベルは、例えば1年後の治療成功を含みうる。
【0109】
教師なし学習は、ラベル付けされていないデータを使用して類似のデータポイント20を一緒にグループ化する、AIの一種である。これを使用して特徴空間25を解析し、データポイント20を別個の群へとクラスタリングし、各群の特性を解析することによって、予後を導出することができる。特に、特徴空間25における変化に関する予後を導出するために、教師なし学習を使用することができる。
【0110】
深層学習は、大規模ニューラルネットワークを使用してデータを処理し予測を行う、AIの一種である。これを使用して特徴空間25を解析し、それぞれ異なる特徴間の複雑な関係を学習することで、予後を導出することができる。この場合、深層学習は、解剖学的なグループ化の提案を十分に利用することに役立ちうる。
【0111】
強化学習は、報酬および罰を使用してモデルの挙動のしかたを教示する、AIの一種である。これを使用して、特徴空間25を解析し、最良の成果を達成するための決定をどのように行うかをモデルに教示することによって予後を導出することができる。シミュレートされた患者が再発しなかった場合にはモデルに報酬が与えられ、他の治療が必要となった場合にはモデルに罰が与えられる。
【0112】
一般に、アブレーション処置を有するデータベースを使用して、AIモデルをトレーニングすることができる。ローデータの代わりに、十分に定義された導出特徴16の特徴空間25を有するAIを提供することの利点は、パターンをより簡単に識別し、ノイズを低減し、かつ有意の相関を識別できることである。十分に定義された特徴空間25をAIに設けることで、AIは最も有意の特徴に集中して、この特徴からより効果的に学習することができる。これにより、AIが処理する必要のあるデータの量を低減することができ、学習プロセスがより効率的となる。さらに、AIは最も関連性の高い特徴に集中できるため、より正確な予後を提供するのに役立ちうる。
【0113】
同様に重要な別の教説は、特に提案の方法を実行するように構成された、心内心電図2を解析する制御システム1に関しており、心内心電図2は、人体に挿入されたカテーテル4を介して記録されており、かつ所定の時間長を有し、カテーテル4は、それぞれ異なる解剖学的位置に配置された複数の電極7を備え、心内心電図2の複数のチャネル8が電極7によって記録されており、制御システム1は、複数のチャネル8を、第1の解剖学的領域12に割り当てられた少なくとも1つのチャネル8を含む第1のチャネル群11と、第2の解剖学的領域14に割り当てられた少なくとも1つのチャネル8を含む第2のチャネル群13と、にグループ化し、制御システム1は、第1の解剖学的領域12に関する第1の導出特徴17と第1の解剖学的領域12に関する異なる第2の導出特徴18とを含む導出特徴16を第1のチャネル群11から導出し、第2の解剖学的領域14に関する第1の導出特徴17および第2の導出特徴18を第2のチャネル群13から導出し、ここで、導出特徴16のデータポイント20は、所定の時間長にわたる間隔19において導出され、これにより、第1の特徴および第2の特徴のそれぞれが時間次元21と所定の値範囲23を有する値次元22とを有し、制御システム1は、導出特徴16を、少なくとも解剖学的次元26、特徴次元27、時間次元21および強度次元28を含む特徴空間25へと結合し、ここで、解剖学的次元26は解剖学的領域を含み、特徴次元27は導出特徴16を含み、時間次元21は第1の導出特徴および第2の導出特徴16の時間次元21であり、強度次元28は強度範囲31を含み、制御システム1は、導出特徴16の値範囲23を強度範囲31に変換する。
【0114】
心内心電図2は、制御システム1に供給され、好ましくは定期的に更新されたものである。制御システム1は、好ましくはディスプレイ3を備える。
【0115】
一実施形態によれば、制御システム1は、測定システムおよび/またはカテーテル4へのインタフェースを含み、かつアブレーション治療中、特にステップワイズアブレーション治療の間に使用されて、アブレーション治療の成功についての予後の決定を補助するように構成されることが提案される。
【符号の説明】
【0116】
1 制御システム
2 心内心電図
3 ディスプレイ
4 カテーテル
5 サーキュラカテーテル
6 デカポラカテーテル
7 電極
8 チャネル
9 ユニポーラチャネル
10 バイポーラチャネル
11 第1の群
12 第1の解剖学的領域
13 第2の群
14 第2の解剖学的領域
15 第3の群
16 導出特徴
17 第1の導出特徴
18 第2の導出特徴
19 間隔
20 データポイント
21 時間次元
22 値次元
23 値範囲
24 表面ECG
25 特徴空間
26 解剖学的次元
27 特徴次元
28 強度次元
29 表面特徴
30 視覚的群
31 強度範囲
32 表示時間長
33 時間軸
34 ECGデータポイント
35 期間
36 第3の解剖学的領域
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2023-12-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御システム(1)によって心内心電図(2)を解析する方法であって、
前記心内心電図(2)は、人体に挿入されたカテーテル(4)を介して特にアブレーション治療中に記録されたものであって、所定の時間長を有し、
前記カテーテル(4)は、それぞれ異なる解剖学的位置に配置された複数の電極(7)を備え、前記電極(7)によって前記心内心電図(2)の複数のチャネル(8)が記録されており、
前記制御システム(1)は、複数のチャネル(8)を、少なくとも、第1の解剖学的領域(12)に割り当てられた少なくとも1つのチャネル(8)を含む第1のチャネル群(11)と、第2の解剖学的領域(14)に割り当てられた少なくとも1つのチャネル(8)を含む第2のチャネル群(13)と、にグループ化し、
前記制御システム(1)は、前記第1の解剖学的領域(12)に関する第1の導出特徴(17)と前記第1の解剖学的領域(12)に関する異なる第2の導出特徴(18)とを含む導出特徴(16)を、前記第1のチャネル群(11)から導出し、前記第2の解剖学的領域(14)に関する第1の導出特徴(17)および第2の導出特徴(18)を、前記第2のチャネル群(13)から導出し、
前記制御システム(1)は、前記導出特徴(16)のデータポイント(20)を、前記時間長にわたる間隔(19)において導出し、これにより、前記第1の特徴および前記第2の特徴は、それぞれ時間次元(21)と所定の値範囲(23)を有する値次元(22)とを有し、
前記制御システム(1)は、前記導出特徴(16)を、少なくとも解剖学的次元(26)、特徴次元(27)、時間次元(21)および強度次元(28)を含む特徴空間(25)に結合し、ここで、前記解剖学的次元(26)は、前記解剖学的領域を含み、前記特徴次元(27)は、前記導出特徴(16)を含み、前記時間次元(21)は、前記第1の導出特徴および前記第2の導出特徴(16)の時間次元(21)であり、前記強度次元(28)は、所定の強度範囲(31)を含み、
前記制御システム(1)は、前記導出特徴(16)の値範囲(23)を強度範囲(31)に変換する、
方法。
【請求項2】
前記制御システム(1)は、ディスプレイ(3)を備え、前記制御システム(1)により、前記特徴空間(25)の少なくとも4つ、好ましくは正確に4つの次元は、前記ディスプレイ(3)上に表示され、
好ましくは、前記間隔(19)は、少なくとも0.5秒の長さ、好ましくは少なくとも1秒の長さ、より好ましくは少なくとも2秒の長さであり、
前記制御システム(1)により、前記時間次元(21)の少なくとも5分、好ましくは少なくとも8分、より好ましくは12分が表示され、
より好ましくは、前記制御システム(1)により、共通の時間軸(33)に沿った複数のデータ行は、前記ディスプレイ(3)上に表示され、前記データ行は、前記導出特徴(16)のそれぞれに対する行を含み、前記行は、前記時間軸(33)に沿ったそれぞれの特徴のデータポイント(20)と前記データポイント(20)に対する強度範囲(31)のマッピングされた強度値とを含み、好ましくは、前記強度値は、特にヒートマップとしてカラーコーディングされている、
請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記制御システム(1)は、前記時間次元(21)に沿って前記導出特徴(16)の強度値をローパスフィルタリングし、ローパス導出特徴(16)を表示し、かつ/または、
前記制御システム(1)は、前記特徴次元(27)に沿って前記導出特徴(16)を視覚的にグループ化し、各特徴の解剖学的次元(26)を、前記解剖学的次元(26)に沿って視覚的群(30)として表示する、
請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記制御システム(1)は、表面ECG(24)の少なくとも1つのチャネル(8)および/または前記心内心電図(2)の少なくとも1つのチャネル(8)を前記ディスプレイ(3)上にさらに表示し、
好ましくは、前記制御システム(1)は、前記少なくとも1つのチャネル(8)のうち、前記特徴空間(25)の時間次元(21)の表示時間長(32)よりも短い表示時間長(32)を有するセクション、および/または、前記間隔(19)の長さよりも短い間隔で配置されたデータポイント(20)、特にECGデータポイント(34)を有するセクションを前記ディスプレイ(3)上に表示し、
より好ましくは、前記チャネル(8)の表示時間長(32)は、1分未満、好ましくは30秒未満であり、かつ/または、前記データポイント(20)は、100ms未満、好ましくは10ms未満の間隔で配置されている、
請求項2または3記載の方法。
【請求項5】
前記導出特徴(16)のデータポイント(20)は、前記間隔(19)よりも長い期間(35)にわたって計算され、好ましくは、前記期間(35)は、少なくとも10秒、好ましくは少なくとも20秒であり、かつ/または、1分未満、好ましくは45秒未満である、
請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記制御システム(1)は、表面ECG(24)から少なくとも1つの表面特徴(29)、好ましくは少なくとも2つの表面特徴(29)をさらに導出し、前記表面特徴(29)は、時間次元(21)と値次元(22)とを有し、
前記制御システム(1)は、前記特徴次元(27)が前記表面特徴(29)を含むように、前記表面特徴(29)を前記特徴空間(25)内に挿入し、
前記解剖学的次元(26)は、大域的解剖学的領域(29)を含み、前記表面特徴の時間次元(21)は、前記特徴空間(25)の時間次元(21)へマッピングされ、
前記制御システム(1)は、前記表面特徴(29)の値次元(22)の値範囲(23)を強度範囲(31)に変換する、
請求項1記載の方法。
【請求項7】
前記制御システム(1)は、少なくとも前記カテーテル(4)を備えた測定システムから常に新たなデータが受信し、前記特徴空間(25)を更新し、
好ましくは、前記制御システム(1)は、前記ディスプレイ(3)を周期的に、特にリアルタイムで更新する、
請求項1記載の方法。
【請求項8】
前記制御システム(1)は、前記導出特徴(16)の値範囲(23)を、特徴ごとに異なる変換関数を介して強度範囲(31)に変換し、
好ましくは、前記変換関数は、特徴ごとのすべての解剖学的領域に対して等しく、かつ/または、少なくとも1つの変換関数、好ましくはすべての変換関数は、非線形であり、かつ/または、
前記変換関数は、前記時間次元(21)にわたってもしくは前記時間次元(21)の一部にわたって、特に表示時間次元(21)にわたって、それぞれの特徴の値範囲(23)または特徴ごとのすべての解剖学的領域の値範囲(23)に基づいて更新され、好ましくは、前記時間次元(21)の一部は、新たな間隔(19)で、特に新たな間隔(19)のたびに変更される、
請求項1記載の方法。
【請求項9】
前記制御システム(1)は、特に前記時間次元(21)の全部もしくは一部にわたって、特に前記時間次元(21)の表示部分にわたって、それぞれの特徴の値範囲(23)もしくは特徴群の値範囲(23)に基づいて、さらに所定の境界に基づいて、特に前記変換関数の中心に対する境界に基づいて、前記変換関数の少なくとも1つ、好ましくはすべてを適応化し、かつ/または、
前記制御システム(1)は、それぞれの特徴の幾つかのデータポイント(20)の値の変換がより後の時点に位置するデータポイント(20)の値に依存するように、前記変換関数の少なくとも1つ、好ましくはすべてを適応化する、
請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記第1のチャネル群(11)および前記第2のチャネル群(13)は、それぞれ少なくとも2つのチャネル(8)を含み、かつ/または、
前記制御システム(1)は、複数のチャネル(8)を、第3の解剖学的領域(36)に割り当てられた少なくとも1つのチャネル、好ましくは少なくとも2つのチャネル(8)を含む少なくとも第3のチャネル群(15)にさらにグループ化し、
好ましくは、前記制御システム(1)は、1つの群、好ましくはすべての群の少なくとも2つのチャネル(8)、好ましくはすべてのチャネル(8)を、特に平均を計算して、結合し、時間間隔(19)ごとの特徴あたり単一のデータポイント(20)を形成する、
請求項1記載の方法。
【請求項11】
前記特徴次元(27)の特徴のうちの少なくとも1つの特徴、好ましくは少なくとも2つの特徴、より好ましくは少なくとも3つの特徴は、主周波数、表面ECG(24)の自己相関、前記心内心電図(2)の相互相関、サイクル長、局所的活性化時間分散、分画指数、サイクル長変動、主周波数勾配から成る群から選択される、
請求項1記載の方法。
【請求項12】
前記制御システム(1)は、前記心内心電図(2)の測定されたデータに基づいて、特に処置ごとに1回、群へのチャネル(8)の割り当てを決定し、かつ/または、
ユーザにより、群へのチャネル(8)のサブセットの割り当てが可能である、
請求項1記載の方法。
【請求項13】
前記制御システム(1)は、前記特徴空間(25)を使用して、アブレーション治療の成功についての予後を導出し、かつ/または、前記アブレーション治療における次のステップのための提案を導出し、かつ/または、可能なアブレーションステップによって、特に前記特徴空間(25)をトレーニングされたAIモデルに入力することによって、前記特徴空間(25)の変化の予後を導出する、
請求項1記載の方法。
【請求項14】
心内心電図(2)を解析する制御システム、特に請求項1記載の方法を実行するように構成された制御システムであって、
前記心内心電図(2)は、人体に挿入されたカテーテル(4)を介して記録されたものであって、所定の時間長を有し、
前記カテーテル(4)は、それぞれ異なる解剖学的位置に配置された複数の電極(7)を備え、前記電極(7)によって前記心内心電図(2)の複数のチャネル(8)が記録されており、
前記制御システム(1)は、複数のチャネル(8)を、少なくとも、第1の解剖学的領域(12)に割り当てられた少なくとも1つのチャネル(8)を含む第1のチャネル群(11)と、第2の解剖学的領域(14)に割り当てられた少なくとも1つのチャネル(8)を含む第2のチャネル群(13)と、にグループ化し、
前記制御システム(1)は、前記第1の解剖学的領域(12)に関する第1の導出特徴(17)と前記第1の解剖学的領域(12)に関する異なる第2の導出特徴(18)とを含む導出特徴(16)を前記第1のチャネル群(11)から導出し、前記第2の解剖学的領域(14)に関する第1の導出特徴(17)および第2の導出特徴(18)を前記第2のチャネル群(13)から導出し、
前記導出特徴(16)のデータポイント(20)は、前記時間長にわたる間隔(19)において導出され、これにより、前記第1の特徴および前記第2の特徴がそれぞれ時間次元(21)と所定の値範囲(23)を有する値次元(22)とを有し、
前記制御システム(1)は、前記導出特徴(16)を、少なくとも解剖学的次元(26)、特徴次元(27)、時間次元(21)および強度次元(28)を含む特徴空間(25)に結合し、ここで、前記解剖学的次元(26)は、前記解剖学的領域を含み、前記特徴次元(27)は、前記導出特徴(16)を含み、前記時間次元(21)は、前記第1の導出特徴および前記第2の導出特徴(16)の時間次元(21)であり、前記強度次元(28)は、所定の強度範囲(31)を含み、
前記制御システム(1)は、前記導出特徴(16)の値範囲(23)を強度範囲(31)に変換する、
制御システム。
【請求項15】
前記制御システム(1)は、測定システムおよび/または前記カテーテル(4)へのインタフェースを備え、前記制御システム(1)は、アブレーション治療中、特にステップワイズアブレーション治療中に使用されて前記アブレーション治療の成功についての予後の決定を補助するように構成されている、
請求項14記載の制御システム。
【外国語明細書】