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特開2024-89660接着部材、接着部材の製造を含む表示装置の製造方法、それによって製造された表示装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024089660
(43)【公開日】2024-07-03
(54)【発明の名称】接着部材、接着部材の製造を含む表示装置の製造方法、それによって製造された表示装置
(51)【国際特許分類】
   C09J 175/16 20060101AFI20240626BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20240626BHJP
   C09J 4/02 20060101ALI20240626BHJP
   C08F 290/06 20060101ALI20240626BHJP
【FI】
C09J175/16
G09F9/00 342
C09J4/02
C08F290/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023214951
(22)【出願日】2023-12-20
(31)【優先権主張番号】10-2022-0180967
(32)【優先日】2022-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】512187343
【氏名又は名称】三星ディスプレイ株式會社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Display Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】1, Samsung-ro, Giheung-gu, Yongin-si, Gyeonggi-do, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100121382
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 託嗣
(72)【発明者】
【氏名】藤原 徹弥
【テーマコード(参考)】
4J040
4J127
5G435
【Fターム(参考)】
4J040DF021
4J040FA131
4J040FA291
4J040JB08
4J040KA13
4J040LA01
4J040MA05
4J040MA10
4J040NA17
4J040PA42
4J127AA04
4J127BA051
4J127BA081
4J127BB031
4J127BB111
4J127BB221
4J127BC021
4J127BG271
4J127CB152
4J127CB281
4J127CB341
4J127CC011
4J127CC012
4J127CC022
4J127CC032
4J127CC092
4J127CC182
4J127EA13
4J127FA14
5G435AA17
5G435BB04
5G435BB05
5G435GG43
5G435HH02
5G435HH18
5G435HH20
5G435KK05
5G435KK10
5G435LL04
5G435LL07
5G435LL08
5G435LL17
(57)【要約】
【課題】表示装置及びその製造方法において、低温での再作業(リワーク)を容易にする
【解決手段】一実施例の接着部材は、オリゴマー単位当たりに(メタ)アクリロイル基を2つ含む少なくとも一つのウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーと、モノマー単位当たりに複数個の(メタ)アクリロイル基を含む少なくとも一つの多官能(メタ)アクリレートモノマーと、少なくとも一つの光開始剤を含む樹脂組成物から由来する重合体と、を含む。樹脂組成物の全体重量を基準に、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの重量は1wt%以上10wt%未満で、多官能(メタ)アクリレートモノマーの重量は0.2wt%以上2wt%未満である。接着部材のガラス転移温度は-10℃以上10℃未満で、接着部材の損失正接(loss tangent、tanδ)は-40℃の温度で0.01以上0.3未満である。それによって、一実施例の接着部材は-40℃の温度で再作業が容易で、使用中に優れた接着信頼性を示す。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
オリゴマー単位当たりに(メタ)アクリロイル基を2つ含む少なくとも一つのウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーと、モノマー単位当たりに複数個の(メタ)アクリロイル基を含む少なくとも一つの多官能(メタ)アクリレートモノマーと、少なくとも一つの光開始剤を含む樹脂組成物から由来する重合体と、を含む接着部材において、
前記樹脂組成物の全体重量を基準に、前記ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの重量は1wt%以上10wt%未満であり、前記多官能(メタ)アクリレートモノマーの重量は0.2wt%以上2wt%未満であり、
前記接着部材のガラス転移温度は-10℃以上10℃未満であり、前記接着部材の損失正接(loss tangent、tanδ)は-40℃の温度で0.01以上0.3未満である接着部材。
【請求項2】
ガラス基板及び高分子基板に対する180°剥離力が2000gf/25mm以上である請求項1に記載の接着部材。
【請求項3】
前記樹脂組成物は、30℃の温度にてJIS K 2283で測定された粘度が5mPa・s以上20mPa・s未満である請求項1に記載の接着部材。
【請求項4】
前記ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーは重量平均分子量が10,000以上40,000未満である請求項1に記載の接着部材。
【請求項5】
前記多官能(メタ)アクリレートモノマーは重量平均分子量が100以上400未満である請求項1に記載の接着部材。
【請求項6】
前記多官能(メタ)アクリレートモノマーは、前記モノマー単位当たりに前記(メタ)アクリロイル基を2つ以上4つ以下で含む請求項1に記載の接着部材。
【請求項7】
前記樹脂組成物は、少なくとも一つの単官能(メタ)アクリレートモノマーを更に含み、
前記樹脂組成物の全体重量を基準に、前記単官能(メタ)アクリレートモノマーの重量は85wt%以上97wt%以下である請求項1に記載の接着部材。
【請求項8】
前記光開始剤はラジカル重合開始剤を含む請求項1に記載の接着部材。
【請求項9】
基板の上に樹脂組成物を提供するステップと、
前記樹脂組成物に第1光を提供して予備接着部材を形成するステップと、
前記予備接着部材の上にガラス基板を提供するステップと、
前記予備接着部材に第2光を提供して接着部材を形成するステップと、
-40℃の温度で前記ガラス基板を引き剥がすステップと、を含み、
前記接着部材は請求項1乃至8のうちいずれか一項に記載の接着部材である表示装置の製造方法。
【請求項10】
前記ガラス基板を引き剥がすステップの後に、前記引き剥がされたガラス基板を前記接着部材の上に提供するステップを更に含む請求項9に記載の表示装置の製造方法。
【請求項11】
前記樹脂組成物はインクジェットプリンティング法またはディスペンシング法で提供される請求項9に記載の表示装置の製造方法。
【請求項12】
前記樹脂組成物の全体重量を基準に、前記樹脂組成物は1wt%未満の有機溶剤を更に含む請求項9に記載の表示装置の製造方法。
【請求項13】
前記第2光の総量は前記第1光の総量より多い請求項9に記載の表示装置の製造方法。
【請求項14】
前記第2光は前記ガラス基板を透過して前記予備接着部材に提供される請求項9に記載の表示装置の製造方法。
【請求項15】
表示パネルと、
前記表示パネルの上に配置されるウィンドウと、
前記表示パネルと前記ウィンドウとの間に配置され、樹脂組成物から由来する重合体を含む接着部材と、を含むが、
前記接着部材は請求項1乃至8のうちいずれか一項に記載の接着部材である表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接着部材、接着部材の製造を含む表示装置の製造方法、及びそれによって製造された表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
テレビ、携帯電話、タブレットコンピュータ、ナビゲーション、ゲーム機などといったマルチメディア装置に使用される多様な表示装置が開発されている。多様な形状の表示装置に適用される接着部材を形成するために使用される接着樹脂は、多様な形態の表示装置の部材に対して、優れたコーティング性を有する必要がある。
【0003】
一方、接着樹脂と表示装置の部材とを接合する際に、気泡及び/または異物が混入されるか、接合位置を逸脱する場合、接着樹脂と表示装置の部材とが廃棄されるため、それを解決する方案が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】韓国公開特許2022-0063812公報
【特許文献2】韓国公開特許2022-0058699公報
【特許文献3】韓国公開特許2018-0100244公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、低温での再作業が容易な接着部材及び接着部材の製造を含む表示装置の製造方法を提供することである。
【0006】
また、本発明の目的は、常温での接着信頼性が優れた接着部材、及びそれを含む表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施例は、オリゴマー単位当たりに(メタ)アクリロイル((meth)acryloyl)基を2つ含む少なくとも一つのウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーと、モノマー単位当たりに複数個の(メタ)アクリロイル基を含む少なくとも一つの多官能(メタ)アクリレートモノマーと、少なくとも一つの光開始剤を含む樹脂組成物から由来する重合体と、を含む接着部材において、前記樹脂組成物の全体の重量を基準に、前記ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの重量は1wt%以上10wt%未満であり、前記多官能(メタ)アクリレートモノマーの重量は0.2wt%以上2wt%未満であり、前記接着部材のガラス転移温度は-10℃以上10℃未満であり、前記接着部材の損失正接(loss tangent、tanδ)は、-40℃の温度で0.01以上0.3未満である接着部材を提供する。
【0008】
前記接着部材は、ガラス基板及び高分子基板に対する180°剥離力が2000gf/25mm以上である。
【0009】
前記樹脂組成物は、30℃の温度でJIS K 2283で測定された粘度が5mPa・s以上20mPa・s未満である。
【0010】
前記ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーは重量平均分子量が10,000以上40,000未満である。
【0011】
前記多官能(メタ)アクリレートモノマーは重量平均分子量が100以上400未満である。
【0012】
前記多官能(メタ)アクリレートモノマーは、前記モノマー単位当たりに前記(メタ)アクリロイル基を2つ以上4つ以下で含む。
【0013】
前記樹脂組成物は少なくとも一つの単官能(メタ)アクリレートモノマーを更に含む。
【0014】
前記樹脂組成物の全体重量を基準に、前記単官能(メタ)アクリレートモノマーの重量は85wt%以上97wt%以下である。
【0015】
前記光開始剤はラジカル重合開始剤を含む。
【0016】
一実施例は、基板の上に樹脂組成物を提供するステップと、前記樹脂組成物に第1光を提供して予備接着部材を形成するステップと、前記予備接着部材の上にガラス基板を提供するステップと、前記予備接着部材に第2光を提供して接着部材を形成するステップと、-40℃の温度にて前記ガラス基板を引き剥がすステップと、を含み、前記樹脂組成物は、オリゴマー単位当たりに(メタ)アクリロイル基を2つ含む少なくとも一つのウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーと、モノマー単位当たりに複数個の(メタ)アクリロイル基を含む少なくとも一つの多官能(メタ)アクリレートモノマーと、少なくとも一つの光開始剤と、を含む表示装置の製造方法を提供する。
【0017】
前記表示装置の製造方法は、前記ガラス基板を引き剥がすステップの後に、前記引き剥がされたガラス基板を前記接着部材の上に提供するステップを更に含む。
【0018】
前記樹脂組成物は、30℃の温度にてJIS K 2283で測定された粘度が、5mPa・s以上20mPa・s未満である。
【0019】
前記ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーは重量平均分子量が10,000以上40,000未満である。
【0020】
前記多官能(メタ)アクリレートモノマーは重量平均分子量が100以上400未満である。
【0021】
前記多官能(メタ)アクリレートモノマーは、前記モノマー単位当たりに前記(メタ)アクリロイル基を2つ以上4つ以下で含む。
【0022】
前記樹脂組成物は、インクジェットプリンティング法またはディスペンシング法で提供される。
【0023】
前記表示装置の製造方法は、前記樹脂組成物を乾燥するステップを含まない。
【0024】
前記樹脂組成物は、少なくとも一つの単官能(メタ)アクリレートモノマーを更に含む。
【0025】
前記樹脂組成物の全体重量を基準に、前記単官能(メタ)アクリレートモノマーの重量は85wt%以上97wt%以下である。
【0026】
前記樹脂組成物の全体の重量を基準に、前記樹脂組成物は1wt%未満の有機溶剤を更に含む。
【0027】
前記接着部材のガラス転移温度は-10℃以上10℃未満であり、前記接着部材の損失正接(tanδ)は-40℃の温度で0.01以上0.3未満である。
【0028】
前記第2光の総量は、前記第1光の総量よりも多い。
【0029】
前記第2光は、前記ガラス基板を透過して前記予備接着部材に提供される。
【0030】
一実施例は、(1)表示パネルと、(2)前記表示パネルの上に配置されるウィンドウと、(3)前記表示パネルと前記ウィンドウとの間に配置され、樹脂組成物から由来する重合体を含む接着部材と、を含むが、前記樹脂組成物は、(i)オリゴマー単位当たりに(メタ)アクリロイル基を2つ含む少なくとも一つのウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーと、(ii)モノマー単位当たりに複数個の(メタ)アクリロイル基を含む少なくとも一つの多官能(メタ)アクリレートモノマーと、(iii)少なくとも一つの光開始剤と、を含み、前記樹脂組成物の全体の重量を基準に、前記ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの重量は1wt%以上10wt%未満であり、前記多官能(メタ)アクリレートモノマーの重量は0.2wt%以上2wt%未満であり、前記接着部材のガラス転移温度は-10℃以上10℃未満であり、前記接着部材の損失正接(tanδ)は-40℃の温度で0.01以上0.3未満である表示装置を提供する。
【0031】
前記接着部材は、ガラス基板及び高分子基板に対する180°剥離力が2000gf/25mm以上である。
【0032】
前記ウィンドウはガラス基板を含む。
【0033】
前記表示装置は、前記接着部材と前記ウィンドウとの間に配置される光制御層と、前記光制御層と前記ウィンドウとの間に配置される光学接着層と、を更に含むが、前記光学接着層は、前記樹脂組成物から由来する重合体を含む。
【0034】
前記樹脂組成物は、少なくとも一つの単官能(メタ)アクリレートモノマーを更に含む。
【発明の効果】
【0035】
一実施例の接着部材は、ガラス転移温度及び損失正接が最適化されることで、低温での再作業が容易である特性を示す。
【0036】
一実施例の接着部材の製造を含む表示装置の製造方法は、低温で再作業ステップを含むことで製造効率が向上される。
【0037】
一実施例の接着部材及びそれを含む表示装置は、剥離力が最適化されることで優れた接着信頼性を示す。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】一実施例の表示装置を示す斜視図である。
図2】一実施例の表示装置を示す分解斜視図である。
図3】一実施例の表示装置を示す断面図である。
図4】一実施例の表示装置の製造方法を示す順序図である。
図5】一実施例の表示装置の製造ステップを概略的に示す図である。
図6】一実施例の表示装置の製造ステップを概略的に示す図である。
図7】一実施例の表示装置の製造ステップを概略的に示す図である。
図8】一実施例の表示装置の製造ステップを概略的に示す図である。
図9】一実施例の表示装置の製造ステップを概略的に示す図である。
図10】一実施例の表示装置を示す断面図である。
図11】一実施例の表示装置を示す断面図である。
図12】一実施例の表示装置が配置される車両を示す図である。
図13】実施例及び比較例における再作業の評価方法を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
本発明は、多様な変更を加えることができ、多様な形態を有することができるゆえ、特定の実施例を図面に例示し、本文に詳細に説明する。しかし、これは、本発明を特定な開示形態に対して限定しようとするのではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれる全ての変更、均等物乃至代替物を含むと理解すべきである。
【0040】
本明細書において、ある構成要素(または領域、層、部分など)が他の構成要素の「上にある」、または「結合される」と言及されれば、それは他の構成要素の上に直接配置・連結・結合され得るか、またはそれらの間に第3の構成要素が配置され得ることを意味する。
【0041】
同じ図面符号は同じ構成要素を指す。また、図面において、構成要素の厚さ、割合、及び寸法は技術的内容の効果的な説明のために誇張されている。「及び/または」は、関連する構成要素が定義する一つ以上の組み合わせを全て含む。
【0042】
第1、第2などの用語は、多様な構成要素を説明するのに使用されるが、前記構成要素は前記用語に限られない。前記用語は、一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的にのみ使用される。例えば、本発明の権利範囲を逸脱しないのでありながらも、第1構成要素は第2構成要素と命名されてもよく、類似した具合に第2構成要素も第1構成要素と命名されてもよい。単数の表現は、文脈上明白に異なるように意味しない限り、複数の表現をも含みうる。
【0043】
また、「下に」、「下側に」、「上に」、「上側に」などの用語は、図面に示した構成要素の連関関係を説明するために使用される。前記用語は、相対的な概念であって、図面に示した方向を基準に説明される。
【0044】
「含む」または「有する」などの用語は、明細書の上に記載された特徴、数字、ステップ、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものが存在することを指定するものであって、一つまたはそれ以上の他の特徴や数字、ステップ、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものの存在または付加の可能性を予め排除しないと理解すべきである。
【0045】
異なるように定義されない限り、本明細書で使用された全ての用語(技術的及び科学的用語を含む)は、本発明の属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるようなものと同じ意味を有する。また、一般的に使用される辞書で定義された用語といった用語は、関連技術の脈絡で有する意味と一致する意味を有すると解釈すべきであって、ここで明示的に定義されない限り、過度に理想的であるか形式的な意味で解釈してはならない。
【0046】
以下では、図面を参照して、本発明の接着部材及びそれを含む表示装置について説明する。図1は、一実施例の表示装置を示す斜視図である。図2は、一実施例による表示装置の分解斜視図である。
【0047】
図1に示した一実施例の表示装置DDは、電気的信号によって活性化される装置である。例えば、表示装置DDは、パソコン、ノートパソコン、個人デジタル端末機、ゲーム機、携帯用電子機器、テレビ、モニタ、外部広告板、カーナビゲーション、またはウェアラブル装置であるが、実施例はこれに限られない。図1では、表示装置DDが携帯電話であることを例示的に示している。
【0048】
一実施例による表示装置DDは、表領域DAを介して映像IMを表示しうる。表示領域DAは、第1方向軸DR1と第2方向軸DR2とによって定義される平面を含みうる。表示DAは、第1方向軸DR1と第2方向軸DR2とが定義する平面の少なくとも一側(側辺)から曲げられた曲面を含みうる。図1に示した一実施例の表示装置DDは、第1方向軸DR1と第2方向軸DR2とが定義する平面の両側辺からそれぞれ曲げられた2つの曲面を含むものとして示されている。但し、表示領域DAの形状はこれに限られない。例えば、表示領域DAは、第1方向軸DR1と第2方向軸DR2によって定義される平面のみを含んでもよく、表示領域DAは、第1方向軸DR1と第2方向軸DR2とによって定義される平面の少なくとも2つ以上、例えば、4つの側辺からそれぞれ曲げられた4つの曲面を更に含んでもよい。
【0049】
一実施例の表示装置DDは、フレキシブル(flexible)なものでありうる。「フレキシブル」とは、曲げられうる特性を意味し、完全に折りたたまれる構造から、数ナノメートルのレベルに曲げられうる構造まで全てを含みうる。例えば、表示装置DDは、折りたたみ可能な(foldable)表示装置でありうる。また、表示装置DDは、リジッド(rigid)なものでありうる。
【0050】
非表示領域NDAは、表示領域DAに隣接した領域でありうる。非表示領域NDAは、表示領域DAを囲みうる。これに伴い、表示領域DAの形状は、実質的に非表示領域NDAによって定義され(決められ)うる。但し、これは例示的な図示であって、非表示領域NDAは、表示領域DAの一側にのみ隣接して配置されてもよく、省略されてもよい。表示領域DAは、多様な形状に提供され、いずれか一つの実施例に限られない。
【0051】
図1及び以下の図面には、第1方向軸DR1乃至第3方向軸DR3を示したが、本明細書で説明される第1乃至第3方向軸DR1、DR2、DR3が指示する方向は、相対的な概念であって、他の方向に変換されてもよい。また、第1乃至第3方向軸DR1、DR2、DR3が指示する方向は、それぞれ第1乃至第3方向と説明されうるのであり、同じ図面符号が使用されうる。本明細書では、第1方向軸DR1と第2方向軸DR2とは互いに直交するのであって、第3方向軸DR3は、第1方向軸R1と第2方向軸DR2とが定義する平面に対しての、法線方向でありうる。
【0052】
表示装置DDの厚さ方向は、第1方向軸DR1と第2方向軸DR2とが定義する表面に対しての、法線方向である第3方向軸DR3に沿った方向である。本明細書において、表示装置DDを構成する部材の前面(または上面、上部面、上側)と背面(または下面、下部面、下側)は、第3方向軸DR3を基準に定義される。また、本明細書において、第3方向軸DR3が延長される方向は厚さ方向に沿って延びており、前面(または上面、上部面、上側)は、映像IMが表示される面に隣接する面(または方向)を意味するのであって、背面(または下面、下部面、下側)は、映像IMが表示される面から離隔される面(または方向)を意味する。
【0053】
図2を参照すると、表示装置DDは、表示モジュールDMと、表示モジュールDMの上に配置されるウィンドウWPと、表示モジュールDMとウィンドウWPとの間に配置される接着部材APとを含みうる。また、表示装置DDは、表示モジュールDMが収納される筐体HAUを更に含みうる。
【0054】
図1及び図2に示した表示装置DDにおいて、ウィンドウWPと筐体HAUは結合されて、表示装置DDの外観を構成しうる。筐体HAUは、表示モジュールDMの下側に配置されうる。筐体HAUは、相対的に高い剛性を有する物質を含みうる。例えば、筐体HAUは、ガラス、プラスチック、または金属からなる複数のフレーム及び/またはプレートを含んでもよい。筐体HAUは、所定の収容空間を提供しうる。表示モジュールDMは、収容空間内に収容されて外部の衝撃から保護されうる。
【0055】
表示モジュールDMは、電気的信号によって活性化される。表示モジュールDMは、活性化されて表示装置DDの表示領域DA(図1)に映像IM(図1)を表示する。表示モジュールDMには、アクティブ領域AA-DMと周辺領域NAA-DMとが画定(定義)されうる。アクティブ領域AA-DMは電気的信号によって活性化される領域でありうる。周辺領域NAA-DMはアクティブ領域AA-DMの少なくとも一側に隣接して位置する領域でありうる。周辺領域NAA-DMには、アクティブ領域AA-DMを駆動するための回路や配線などが配置されうる。
【0056】
一実施例において、接着部材APは、樹脂組成物RC(図5)から由来する重合体を含みうる。後述する一実施例の表示装置の製造方法において、接着部材APは、樹脂組成物RC(図5)から形成されうる。接着部材APによって、表示モジュールDMとウィンドウWPとが結合されうる。接着部材APは、所定のガラス転移温度及び-40℃の温度で損失正接(tanδ)を満足し、-40℃の温度で再作業(rework)が容易であるという特性を示しうる。
【0057】
ウィンドウWPは、透過領域TAとベゼル領域BZAとを含みうる。透過領域TAは、表示モジュールDMのアクティブ領域AA-DMの少なくとも一部と重畳し(重なり合い)うる。透過領域TAは、光学的に透明な領域である。映像IM(図1)は、透過領域TAを介してユーザに提供される。
【0058】
ベゼル領域BZAは、透過領域TAに比べ相対的に光透過率が低い領域でありうる。ベゼル領域BZAは透過領域TAの形状を画定(定義)する。ベゼル領域BZAは、透過領域TAに隣接して透過領域TAを囲みうる。
【0059】
ベゼル領域BZAは、所定のカラーを有しうる。ベゼル領域BZAは、表示モジュールDMの周辺領域NAA-DMをカバーすることで、周辺領域NAA-DMが外部から視認されることを遮断しうる。但し、実施例はこれに限られず、ベゼル領域BZAは、透過領域TAの一側(一辺)にのみ隣接して配置されてもよく、少なくとも一部が省略されてもよい。
【0060】
図3は、図2の表示モジュールDM、接着部材AP、及びウィンドウWPを示す断面図である。また、図3は一実施例による表示装置DDを示す断面図である。
【0061】
図3を参照すると、表示モジュールDMは、表示パネルDPと、表示パネルDPの上に配置される入力感知部TPとを含む。表示パネルDPは、ベース基板BSと、ベース基板BSの上に配置される回路層DP-CLと、回路層DP-CLの上に配置される表示素子層DP-ELと、表示素子層DP-ELをカバーする封止層TFEとを含む。表示パネルDPとウィンドウWPとの間に接着部材APが配置される。
【0062】
一方、図3などに示した表示パネルDPの構成は例示的なものであって、表示パネルDPの構成はこれに限られない。例えば、表示パネルDPは、液晶表示素子を含んでもよいが、この場合は封止層TFEが省略されうる。
【0063】
ベース基板BSは、回路層DP-CLが配置されるベース面を提供しうる。ベース基板BSは、曲げ(bending)、折りたたみ(folding)、巻き取り(rolling)などが可能なフレキシブル基板でありうる。ベース基板BSは、ガラス基板、金属基板、または高分子基板などでありうる。しかし、実施例はこれに限られず、ベース基板BSは、無機層、有機層、または複合材料層を含んでもよい。
【0064】
回路層DP-CLは、絶縁層、半導体パターン、導電パターン、及び信号ラインなどを含みうる。例えば、回路層DP-CLは、表示素子層DP-ELの発光素子(図示せず)を駆動するためのスイッチングトランジスタと駆動トランジスタとを含んでもよい。
【0065】
表示素子層DP-ELは、光を放出する発光素子(図示せず)を含みうる。例えば、発光素子(図示せず)は、有機発光物質、無機発光物質、有機-無機発光物質、量子ドット、量子ロッド、マイクロLED、またはナノLEDを含みうる。
【0066】
封止層TFEは、表示素子層DP-ELの上側に配置されうる。封止層TFEは、水分、酸素、及び/またはほこり粒子などといった異物から発光素子層DP-ELを保護しうる。封止層TFEは、少なくとも一つの無機層を含みうる。また、封止層TFEは、少なくとも一つの有機層と少なくとも一つの無機層とを含みうる。例えば、封止層TFEは、順次に積層される無機層と、有機層と、無機層とを含みうる。
【0067】
入力感知部TPは、表示パネルDPの上に配置されうる。例えば、入力感知部TPは、表示パネルDPの封止層TFEの上に直接配置されうる。入力感知部TPは、外部の入力を感知して所定の入力信号に変更し、入力信号を表示パネルDPに提供しうる。例えば、一実施例の表示装置DDにおいて、入力感知部TPはタッチを感知するタッチ感知部でありうる。入力感知部TPは、ユーザの直接タッチ、ユーザの間接タッチ、物体の直接タッチ、または物体の間接タッチを認識しうる。
【0068】
入力感知部TPは、外部から印加されるタッチの位置及びタッチの強度(圧力)のうちの、少なくともいずれか一つを感知しうる。一実施例において、入力感知部TPは多様な構造を有するか多様な物質からなり、いずれか一つの実施例に限られない。入力感知部TPは、外部の入力を感知するための複数個の感知電極(図示せず)を含みうる。感知電極(図示せず)は、静電容量方式で外部の入力を感知しうる。表示パネルDPは、入力感知部TPから入力信号が提供され、入力信号に対応する映像を生成しうる。
【0069】
ウィンドウWPは、ベース層BLと、プリント層BMとを含みうる。図示していないが、ウィンドウWPは、ベース層BLの上に提供される少なくとも一つの機能性層(図示せず)を更に含みうる。例えば、機能性層(図示せず)は、ハードコーティング層、指紋防止コーティング層などであってもよいが、実施例はこれに限られない。
【0070】
ベース層BLはガラス基板でありうる。または、ベース層BLはプラスチック基板であってもよい。例えば、ベース層BLは、ポリイミド、ポリアクリレート、ポリメチルメタアクリレート、ポリカーボネート、ポリエチレンナフタレート、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン、ポリスチレン、エチレン-ビニルアルコール共重合体、またはこれらの組み合わせからなりうる。
【0071】
プリント層BMは、ベース層BLの一面の上に配置されうる。プリント層BMは、表示モジュールDMに隣接したベース層BLの下部面に提供されうる。プリント層BMは、ベース層BLの縁領域に配置されうる。プリント層BMはインクプリント層でありうる。また、プリント層BMは顔料または染料を含んで形成される層でありうる。ウィンドウWPにおいて、ベゼル領域BZAはプリント層BMが提供される部分でありうる。
【0072】
接着部材APは、ウィンドウWPの下方に配置されうる。ウィンドウWPにおいて、プリント層BMが提供されていないベース層BLと、プリント層BMとの間には、段差SP-aが存在しうる。一実施例による樹脂組成物RC(図5)からなる接着部材APは、良好な柔軟性及び高い接着力を有することで、段差SP-a部分にて浮きが生じることなしにウィンドウWPに取り付けられうる。
【0073】
接着部材APの厚さT0は、50μm以上200μm以下でありうる。例えば、接着部材APは、50μm以上100μm以下の厚さT0を有しうる。但し、これは例示的なものであって、接着部材APの厚さT0は、これに限られない。
【0074】
一実施例において、接着部材は、ガラス基板及び高分子基板に対する180°剥離力が2000gf/25mm以上でありうる。接着部材APは、約25℃の温度にてガラス基板及び高分子基板に対する180°剥離力が2000gf/25mm以上でありうる。約25℃の温度は常温(room temperature)でありうる。ガラス基板及び/または高分子基板に対する180°剥離力が200gf/25mm未満の接着部材は、接着信頼性が低く、表示モジュールDMまたはウィンドウWPなどの構成から剥離されうる。これとは異なって、約25℃の温度にてガラス基板及び高分子基板に対する180°剥離力が、2000gf/25mm以上である接着部材APは、優れた接着信頼性を示す。また、約25℃の温度にてガラス基板及び高分子基板に対する180°剥離力が、2000gf/25mm以上である接着部材APを含む表示装置DDは、優れた信頼性を示す。
【0075】
一実施例において、接着部材APのガラス転移温度(Tg、Glass Transition Temperature)は、-10℃以上10℃未満である。ガラス転移温度が-10℃未満の接着部材は、-40℃の温度で損失正接(tanδ)が増加し、接着部材を構成する重合体の凝集性が非常に低い。よって、ガラス転移温度が-10℃未満の接着部材は、-40℃の温度で再作業(リワーク)を行う際に接着部材の破損が発生する。ガラス転移温度が10℃以上の接着部材は、重合体の凝集性が非常にたかく、-40℃の温度で再作業を行う際にウィンドウの破損が発生する。
【0076】
再作業(リワーク)は、-40℃の温度にて接着部材APからウィンドウWP(図9)を引き剥がし、引き剥がされたウィンドウWP(図9)を更に接着部材APの上に提供することを意味するのであり、後述する一実施例の表示装置の製造方法にて、より詳細に説明する。-40℃の温度でのガラス転移温度が-10℃未満である接着部材から、ウィンドウを引き剥がす場合、引き剥がされたウィンドウに接着部材の一部が残っているようになって接着部材の損傷が発生する。-40℃の温度でのガラス転移温度が10℃以上の接着部材からウィンドウを引き剥がす場合、ウィンドウの損傷が発生する。これとは異なって、一実施例において、ガラス転移温度が-10℃以上10℃未満の接着部材APは、重合体の凝集性が最適化されて、-40℃の温度にて接着部材APからウィンドウWPを引き剥がす際に、優れた信頼性を示す。
【0077】
一実施例によると、-40℃の温度での接着部材APの損失正接(tanδ)は、0.01以上0.3未満である。損失正接(tanδ)は、貯蔵弾性率に対する損失弾性率の比である。-40℃の温度で損失正接(tanδ)が0.01未満の接着部材は、-10℃の温度で接着信頼性が低く、表示モジュールDMまたはウィンドウWPなどの構成からの剥離が生じる。-10℃の温度は、ユーザが表示装置DDを使用する環境の温度範囲に含まれ、-40℃の温度で損失正接(tanδ)が0.01未満の接着部材を含む表示装置は、表示装置の使用中に接着部材が剥離される。
【0078】
-40℃の温度で損失正接(tanδ)が0.3以上の接着部材からウィンドウを引き剥がす場合、引き剥がされたウィンドウに接着部材の一部が残っていることとなって、接着部材の損傷が発生する。これとは異なって、-40℃の温度での損失正接(tanδ)が0.3未満である接着部材APは、再作業(リワーク)が容易であるという特性を示す。-40℃の温度での損失正接(tanδ)が0.3未満である接着部材APから、ウィンドウWPを引き剥がす場合は、接着部材APの損傷が発生しない。
【0079】
一実施例の表示装装置DDは、一実施例の表示装置の製造方法で形成される。図4は、一実施例の表示装置の製造方法を示す順序図である。図5乃至図9は、一実施例の表示装置の製造ステップを概略的に示す図である。以下、図4乃至図9を参照して説明する、一実施例の表示装置の製造方法に関する説明において、上述した図1乃至図3を参照して説明した内容と重複する内容については、再度説明せず、差を中心に説明する。
【0080】
図4を参照すると、一実施例の表示装置の製造方法は、樹脂組成物を提供するステップS100と、予備接着部材を形成するステップS200と、ガラス基板を提供するステップS300と、接着部材を形成するステップS400と、ガラス基板を引き剥がすステップS500と、を含む。図5は基板の上に樹脂組成物を提供するステップS100を示す図であり、樹脂組成物RCがノズルNZを介して提供されるとして示されている。
【0081】
基板は樹脂組成物RCが提供される部材であって、図5では、表示モジュールDMの一面の上に樹脂組成物RCが提供されるとして示されている。図5の図示とは異なって、樹脂組成物RCは、表示パネルDPの一面上、またはウィンドウWPの一面上に提供されることで、樹脂組成物RCから予備接着部材P-APが形成されてもよい。予備接着部材P-APが表示モジュールDMの一面上に積層(lamination)され、表示モジュールDMの上に、予備接着部材P-AP及びウィンドウWPが順次に積層される。
【0082】
または、樹脂組成物RCは別途の基板の上に提供されることで、樹脂組成物RCから予備接着部材P-APが形成されてもよい。形成された予備接着部材P-APが表示モジュールDMの上に提供されうる。樹脂組成物RCを別途の基板の上に提供して予備接着部材P-APを形成する場合、別途の基板の一面には離型処理(release treatment)がなされているのでありうる。別途の基板は、予備接着部材P-APを形成するために提供される臨時基板でありうる。
【0083】
樹脂組成物RCは、インクジェットプリンティング(Inkjet printing)法またはディスペンシング(Dispensing)法でもって提供されうる。樹脂組成物RCは30℃の温度で提供されうる。30℃未満の温度にて樹脂組成物を提供する場合、温度を安定的に維持することが容易ではなく、温度変化は製造信頼性を低下させる。30℃超過の温度で樹脂組成物を提供する場合、樹脂組成物が含むモノマー(単官能モノマー及び/または多官能モノマー)の揮発性が増加することとなる。よって、30℃超過の温度で樹脂組成物を提供する場合、樹脂組成物からの接着部材の形成が容易ではない。これとは異なって、30℃の温度で樹脂組成物RCを提供する場合、一実施例による接着部材APの形成が容易である。
【0084】
一実施例の樹脂組成物RCは、30℃の温度にてJIS K 2283で測定された粘度が、5mPa・s以上20mPa・s未満である。30℃の温度にてJIS K 2283で測定された粘度が5mPa・s未満である樹脂組成物は、樹脂組成物を提供する際に、流れ・タレ(たるみ;Sagging)が発生するか、均一な量及び/または均一な厚さで塗布され得ない。「流れ・タレ」は組成物が、目的の部材を逸脱して、たれて流れる現象を意味しうる。30℃の温度にてJIS K 2283で測定された粘度が20mPa・s以上である樹脂組成部は、吐出が容易ではなく、ノズルNZでつまりが発生しうる。
【0085】
一実施例において、30℃温度にてJIS K 2283で測定された粘度が、5mPa・s以上20mPa・s未満である樹脂組成物RCは、ノズルNZなどの機器から容易に吐出され、均一な量及び均一な厚さで塗布されうる。30℃の温度でJIS K 2283で測定された粘度が5mPa・s以上20mPa・s未満の樹脂組成物RCは、表示モジュールDMの段差SP-bの部分の屈曲をカバーしながら提供されうる。
【0086】
一実施例の樹脂組成物RCは、少なくとも一つのウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーと、少なくとも一つの多官能(メタ)アクリレートモノマーと、少なくとも一つの光開始剤とを含みうる。また、樹脂組成物RCは、少なくとも一つの単官能(メタ)アクリレートモノマーを更に含みうる。
【0087】
一実施例の樹脂組成物RCにおいて、少なくとも一つのウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーは、オリゴマー単位当たりに(メタ)アクリロイル基((meth)acryloyl group)を2つ含みうる。本明細書において、(メタ)アクリロイル基とはアクリロイル基またはメタクリロイル基を示すものであり、(メタ)アクリルは、アクリルまたはメタクリルを示すものである。
【0088】
例えば、樹脂組成物RCは、1種のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを含みうる。または、樹脂組成物RCは、2種以上のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを含んでもよい。2種以上のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーのうちの少なくとも一つは、オリゴマー単位当たりに(メタ)アクリロイル基を2つ含みうる。
【0089】
例えば、樹脂組成物RCは、UV-3700B(ウレタンアクリレート、Mitsubishi Chemical Inc.製造)、UV-3300B(ウレタンアクリレート、Mitsubishi Chemical Inc.製造)、及びUN-7700(ウレタンアクリレート、Negami Chemical Industrial Co., Ltd.)のうちの少なくとも一つをウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーとして含みうる。但し、これは例示的なものであって、実施例はこれに限られない。
【0090】
一実施例において、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーは、重量平均分子量(weight-average molecular weight、Mw)が10,000以上40,000未満でありうる。重量平均分子量が10,000以上のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーは相対的に高い重合度を有するオリゴマー状で樹脂組成物RCに含まれ、光硬化の後も高い重合度を維持しうる。それによって、一実施例の樹脂組成物RCからなる接着部材AP(図3)は優れた剥離力を示しうる。
【0091】
樹脂組成物RCの全体の重量を基準に、樹脂組成物RCは、1wt%以上10wt%未満のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを含みうる。樹脂組成物RCがウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを複数個で含む場合、複数個のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの重量の和は、樹脂組成物RCの全体の重量を基準に1wt%以上10wt%未満でありうる。樹脂組成物RCの全体の重量を基準に、1wt%以上10wt%未満のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを含む樹脂組成物RCは、30℃の温度にてJIS K 2283で測定された粘度が5mPa・s以上20mPa・s未満でありうる。それによって、樹脂組成物RCの全体の重量を基準に、1wt%以上10wt%未満のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを含む樹脂組成物RCは、インクジェットプリンティング法またはディスペンシング法で提供され、均一な量及び均一な厚さで塗布されうる。
【0092】
これとは異なって、樹脂組成物の全体重量を基準に、10wt%未満のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを含む樹脂組成物は粘度が非常に小さいため、樹脂組成物を提供する際にたれが発生する。樹脂組成物の全体重量を基準に、10wt%以上のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを含む樹脂組成物は、粘度が非常に高いため、均一な厚さ及び均一な量で塗布されない。
【0093】
多官能(メタ)アクリレートモノマーは、モノマー単位当たりに複数個の(メタ)アクリロイル基を含む。例えば、多官能(メタ)アクリレートモノマーは2つ以上4つ未満の(メタ)アクリロイル基を含む。多官能は複数個の官能基(functional group)を意味する。
【0094】
例えば、樹脂組成物RCは、viscoat#260(1,9-ノナンジオールジメタクリレート、Osaka Organic Chemical Industry Ltd.)、ライトアクリレートTMP-A(トリメチロールプロパントリメタクリレート、Kyoeisha Chemical Co., Ltd.)、及びライトアクリレートPE-4A(ペンタエリスリトールトリアクリレート、Kyoeisha Chemical Co., Ltd.)のうちの少なくとも一つを多官能(メタ)アクリレートモノマーとして含みうる。例えば、樹脂組成物RCにおいて、多官能(メタ)アクリレートモノマーは架橋剤として含まれうる。但し、これは例示的なものであって、実施例はこれに限られない。
【0095】
一実施例において、多官能(メタ)アクリレートモノマーは重量平均分子量が100以上400未満である。平均分子量が100以上400未満の多官能(メタ)アクリレートモノマーを含む樹脂組成物RCからなる接着部材APは、一実施例によるガラス転移温度及び損失正接を満足しうる。一実施例において、接着部材APのガラス転移温度は-10℃以上10℃未満であり、接着部材の損失正接(tanδ)は-40℃の温度で0.3未満でありうる。
【0096】
樹脂組成物RCの全体の重量を基準に、樹脂組成物RCは、0.2wt%以上2wt%未満の多官能(メタ)アクリレートモノマーを含みうる。樹脂組成物の全体重量を基準に、0.2wt%未満の多官能(メタ)アクリレートモノマーを含む樹脂組成物からなる接着部材は、架橋密度が低下し、再作業の際に破損が発生する。樹脂組成物の全体重量を基準に、2wt%以上の多官能(メタ)アクリレートモノマーを含む樹脂組成物からなる接着部材は、低い接着力を示すことから、表示モジュール及び/またはウィンドウから剥離される。一実施例において、樹脂組成物RCの全体重量を基準に0.2wt%以上2wt%未満の多官能(メタ)アクリレートモノマーを含む樹脂組成物RCからなる接着部材APは、再作業の際に破損が発生せず、優れた接着信頼性を示しうる。
【0097】
樹脂組成物RCは、少なくとも一つの光開始剤を含みうる。光開始剤は、ラジカル重合開始剤を含みうる。樹脂組成物RCが複数個の光開始剤を含む場合、異なる光開始剤は、互いに異なる中心波長の紫外線光によって活性化されうる。
【0098】
例えば、光開始剤は、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-1-プロパノン、2-ヒドロキシ-1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]-2-メチル-1-プロパノン、及び2-ヒドロキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-ベンジル]フェニル}-2-メチルプロパン-1-オンのうち少なくとも一つを含みうる。
【0099】
また、光開始剤は、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-ブタノン-1、2-ジメチルアミノ-2-(4-メチル-ベンジル)-1-(4-モルホリン-4-イル-フェニル)-ブタン-1-オン、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニルホスフィンオキシド、エチル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィナート、フェニルビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-ホスフィンオキシド、[1-(4-フェニルスルファニルベンゾイル)ヘプチリデンアミノ]ベンゾアート、[1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)カルバゾール-3-イル]エチリデンアミノ]アセテート、及びビス(2,4-シクロペンタジエニル)ビス[2,6-ジフルオロ-3-(1-ピリル)フェニル]チタン(IV)のうちの少なくとも一つを含みうる。また、樹脂組成物RCは、光開始剤としてOmnirad 819(IGM Resins社製)及びOmnirad 184(IGM Resins社製)のうちの少なくとも一つを含みうる。Omnirad 819(IGM Resins社製)及びOmnirad 184(IGM Resins社製)はラジカル重合開始剤である。
【0100】
樹脂組成物RCの全体重量を基準に、樹脂組成物RCは、85wt%以上97wt%未満の単官能(メタ)アクリレートモノマーを含みうる。樹脂組成物の全体重量を基準に、85wt%以上97wt%未満の単官能(メタ)アクリレートモノマーを含む樹脂組成物RCからなる接着部材APは、一実施例によるガラス転移温度及び損失正接を満足しうる。一実施例において、接着部材APのガラス転移温度は-10℃以上10℃未満であり、接着部材の損失正接(tanδ)は-40℃の温度で0.3未満でありうる。
【0101】
例えば、単官能(メタ)アクリレートモノマーは、一つのアクリロイル基または一つのメタクリロイル基を含むアクリレートモノマーまたはメタクリレートモノマーでありうる。樹脂組成物RCにおいて、単官能(メタ)アクリレートモノマーは、脂環式(メタ)アクリレート、ヒドロキシ基を含有する(メタ)アクリレート、アルキル(メタ)アクリレート、及び芳香族(メタ)アクリレートのうち少なくとも一つを含みうる。
【0102】
一実施例の樹脂組成物RCは、樹脂組成物RCの全体重量を基準に1wt%未満の有機溶剤を更に含みうる。例えば、樹脂組成物RCは、メチルエチルケトン(MEK)を有機溶剤として含みうる。樹脂組成物の全体重量を基準に、1wt%以上の有機溶剤を更に含む樹脂組成物は、硬化後低い接着力を示しうる。それによって、樹脂組成物の全体重量を基準に、1wt%以上の有機溶剤を含む樹脂組成物からなる接着部材は、接着信頼性が低い。また、樹脂組成物の全体重量を基準に、1wt%以上の有機溶剤を含む樹脂組成物は、硬化信頼性が低い。したがって、樹脂組成物の全体重量を基準に、1wt%以上の有機溶剤を含む樹脂組成物を硬化して接着部材を形成することができない。一実施例において、樹脂組成物RCの全体重量を基準に1wt%未満の有機溶剤を含む樹脂組成物RCは、硬化信頼性が優秀であり、硬化後に優れた接着信頼性を示す。
【0103】
一実施例の表示装置の製造方法は、樹脂組成RCを乾燥するステップを含まない。一実施例の樹脂組成物RCは、塗布された後、乾燥工程を必要としない。インクジェット塗布される樹脂組成物は、塗布された後で、光を提供する前に乾燥工程を必要とするが、一実施例の樹脂組成物RCは、乾燥工程を必要としない。それによって、一実施例の表示装置の製造方法は優れた製造効率を示す。
【0104】
樹脂組成物RCは光によって硬化されうる。図6は、塗布された樹脂組成物RCに、第1光UV-1を提供して予備接着部材P-AP(図7)を形成するステップを示している。図7及び図8は、予備接着部材P-APの上にウィンドウWPを配置し、予備接着部材P-APに第2光UV-2を提供して接着部材AP(図8)を形成するステップを示している。第2光UV-2はウィンドウWPを透過して予備接着部材P-APに提供される。
【0105】
第1光UV-1及び第2光UV-2は、紫外線領域の光でありうる。第2光UV-2の総量は第1光UV-1の総量より多いのでありうる。例えば、第1光UV-1の総量は、200mJ/cm以上1000mJ/cm以下でありうる。第2光UV-2の総量は、3500mJ/cm以上4500mJ/cm以下でありうる。但し、これは例示的なものであって、第1光UV-1の総量及び第2光UV-2の総量は、これに限られない。
【0106】
図8では、接着部材APとウィンドウWPとの間に、気泡BEが混入されているものとして示している。図9では、気泡BEを混入せずにウィンドウWPを再度取り付けるために、接着部材APからウィンドウWPが引き剥がされていることを示している。-40℃の温度で接着部材APからウィンドウWPが引き剥がされる。-40℃の温度でウィンドウWPに対する接着部材APの接着力が減少し、接着部材APからウィンドウWPが引き剥がされる。例えば、ウィンドウWPは物理力によって引き剥がされる。引き剥がされたウィンドウWPは、気泡BE及び異物などが混入されずに目的の接着位置に接着されるように、接着部材APの上に再び提供され、一実施例の表示装置DD(図3)を構成する。
【0107】
上述したように、一実施例の樹脂組成物RC(図5)からなる接着部材APは、ガラス転移温度が-10℃以上10℃未満であり、-40℃の温度での損失正接(tanδ)が0.3未満でありうる。それによって、-40℃の温度にて接着部材APからウィンドウWPが引き剥がされうるのであり、引き剥がされた後の接着部材AP及びウィンドウWPは、優れた信頼性を示す。それによって、引き剥がされたウィンドウWPが再び提供されて接着部材APに接着されうる。-40℃の温度は、表示モジュールDMの構成が損傷しない温度でありうる。一方、高温で再作業が容易な接着部材を形成する場合、再作業のための高温環境にて、表示モジュールDMの損傷が発生する。常温で再作業が容易な接着部材を形成する場合、接着部材を含む表示装置の使用中に接着部材が剥離される。
【0108】
従来は、接着部材とウィンドウ(例えば、ガラス基板)を接合する際、気泡BE及び/または異物が混入されるか、ウィンドウが目的の接着位置から逸脱する場合、接着部材からウィンドウを引き剥がすことができなかった。それによって、多くの廃棄物が発生し、製造コストが増加して、製造信頼性が低下していた。
【0109】
一実施例の表示装置の製造方法は、一実施例による樹脂組成物RCから接着部材APを形成するステップを含み、-40℃の低温で接着部材APからウィンドウWPの引き剥しが容易であるという特性を示しうる。それによって、一実施例の表示装置の製造方法は、コストが節減され、製造効率が向上される。
【0110】
図10は、一実施例による表示装置を示す断面図である。以下、図10に示した例に対する表示装置に関する説明において、上述した図1乃至図9を参照して説明した内容と重複する内容は、再度説明せず、差を中心に説明する。
【0111】
図2乃至図3を参照して説明した表示装置DDに比べ、図10に示した表示装置DD-aは、光制御層PPと光学接着層AP-aとを更に含むのでありうる。一実施例の表示装置DD-aは、接着部材APとウィンドウWPとの間に配置される光制御層PPと、光制御層PPとウィンドウWPとの間に配置される光学接着層AP-aとを更に含みうる。
【0112】
光制御層PPは、表示パネルDPの上に配置され、外部光による表示パネルDPにおける反射光を制御しうる。光制御層PPは、例えば、偏光板を含むか、またはカラーフィルタ層を含みうる。
【0113】
光学接着層AP-aは、一実施例による樹脂組成物RCから形成されうる。樹脂組成物RCから由来する重合体を含む光学接着層AP-aは、ガラス転移温度が-10℃以上10℃未満であり、損失正接(tanδ)が-40℃の温度で0.3未満でありうる。また、光学接着層AP-aは、ガラス基板及び高分子基板に対する180°剥離力が2000gf/25mm以上でありうる。光学接着層AP-aを含む表示装置DD-aは、優れた信頼性を示しうる。
【0114】
図11は、一実施例による表示装置を示す断面図である。以下、図11に示した一実施例に対する表示装置に関する説明において、上述した図1乃至図10を参照して説明した内容と重複する内容は再度説明せず、差を中心に説明する。
【0115】
図2乃至図3を参照して説明した表示装置DDに比べ、図11に示した一実施例の表示装置DD-bは、光制御層PPと、光学接着層AP-aと、層間接着層PIBとを更に含みうる。図11に示した一実施例の表示装置DD-bは、図10に示した一実施例の表示装置DD-aのように、接着部材APとウィンドウWPとの間に配置される光制御層PPと、光制御層PPとウィンドウWPとの間に配置される光学接着層AP-aとを更に含む。
【0116】
一実施例の表示装置DD-bにおいて、接着部材APは表示パネルDPと入力感知部TPとの間に配置される。つまり、入力感知部TPが表示パネルDPの上に直接には配置されず、接着部材APによって表示パネルDPと入力感知部TPとが互いに結合される。例えば、接着部材APは、表示パネルDPの封止層TFE(図3)と入力感知部TPとの間に配置される。
【0117】
光制御層PPの下側には、層間接着層PIBが提供される。層間接着層PIBは入力感知部TPと光制御層PPとの間に配置され、透湿防止性に優れた接着材料から形成されうる。例えば、層間接着層PIBは、ポリイソブチレンを含んで形成されうる。層間接着層PIBは、入力感知部TPの上に配置され、入力感知部TPの感知電極の腐食を防止しうる。一実施例の表示装置DD-bは、一実施例による樹脂組成物RCから形成された、光学接着層AP-aと接着部材APとを含み、光学接着層AP-a及び接着部材APを含む表示装置DD-bは、優れた信頼性を示す。
【0118】
図12は、第1乃至第4表示装置DD-1、DD-2、DD-3、DD-4が配置される車両AMを示す図である。第1乃至第4表示装置DD-1、DD-2、DD-3、DD-4のうち少なくとも一つは、図1乃至3、10、及び11を参照して説明した一実施例の表示装置DD、DD-a、DD-bのうちいずれか一つと同じ構成を含む。
【0119】
図12では車両・乗物AMとして自動車を示しているが、これは例示的なものであって、第1乃至第4表示装置DD-1、DD-2、DD-3、DD-4は、自転車、バイク、汽車、船、飛行機など他の運送手段に配置されてもよい。また、一実施例の表示装置DD、DD-a、DD-bのうちいずれか一つの構成を同じく含む第1乃至第4表示装置DD-1、DD-2、DD-3、DD-4のうち少なくとも一つは、本発明の概念から逸脱しない限り、他の電子機器に採用されうる。
【0120】
第1乃至第4表示装置DD-1、DD-2、DD-3、DD-4のうちの少なくとも一つは、一実施例の接着部材APを含みうる。一実施例の接着部材APは、ガラス転移温度が-10℃以上10℃未満であり、損失正接(tanδ)が-40℃の温度で0.3未満でありうる。また、接着部材APは、ガラス基板及び高分子基板に対する180°剥離力が2000gf/25mm以上でありうる。それによって、一実施例の接着部材APを含む第1乃至第4表示装置DD-1、DD-2、DD-3、DD-4のうち少なくとも一つは優れた信頼性を示しうる。
【0121】
図12を参照すると、車両AMは車両AMを動作するためのハンドルHAとギアGRとを含み、運転者に向かうように前方ウィンドウGLが配置されうる。
【0122】
第1表示装置DD-1は、ハンドルHAと重畳する(重なり合う)第1領域に配置されうる。例えば、第1表示装置DD-1は車両AMの第1情報を表示するデジタルクラスタでありうる。第1情報は車両AMの走行速度を意味する第1目盛り、エンジンの回転数(つまり、RPM(revolutions per minute))を示す第2目盛り、及び燃料状態を示す画像などを含む。第1目盛り及び第2目盛りはデジタル画像で表示されうる。
【0123】
第2表示装置DD-2は運転席と向き合い、前方ウィンドウGL重畳する第2領域に配置されうる。運転席は、ハンドルHAが配置される座席でありうる。例えば、第2表示装置DD-2は、車両AMの第2情報を表示するヘッドアップディスプレイ(HUD、Head Up Display)でありうる。第2表示装置DD-2は光学的に透明でありうる。第2情報は車両AMの走行速度を示すデジタル数字を含み、現在時刻などの情報を更に含みうる。図示とは異なって、第2表示装置DD-2の第2情報は、前方ウィンドウGLに投影されて表示されてもよい。
【0124】
第3表示装置DD-3はギアGRに隣接した第3領域に配置される。例えば、第3表示装置DD-3は運転席と助手席との間に配置され、第3情報を表示する車両用情報案内ディスプレイ(CID、Center Information Display)であるりう。助手席はギアGRを間に挟んで運転席と離隔された座席でありうる。第3情報は道路の状況(例えば、ナビゲーション情報)、音楽またはラジオの再生、動的な映像(または画像)の再生、車両AM内部の温度などに関する情報を含みうる。
【0125】
第4表示装置DD-4は、ハンドルHA及びギアGRと離隔され、車両AMの側部に隣接した第4領域に配置されうる。例えば、第4表示装置DD-4は第4情報を表示するデジタルサイドミラーでありうる。第4表示装置DD-4は車両AMの外側に配置されるカメラモジュールCMで撮影された車両AM外部の映像を表示する。第4情報は車両AM外部の映像を含みうる。
【0126】
上述した第1乃至第4情報は例示的なものであって、第1乃至第4表示装置DD-1、DD-2、DD-3、DD-4は、車両の内部及び外部に関する情報を更に表示してもよい。第1乃至第4情報は互いに異なる情報を含みうる。但し、実施例はこれに限らず、第1乃至第4情報の一部は互いに同じ情報を含んでもよい。
【0127】
以下では実施例及び比較例を参照し、本発明の一実施例による樹脂組成物、及び樹脂組成物からなる接着部材について詳しく説明する。また、以下に示す実施例は本発明の理解を助けるための一例示であって、本発明の範囲はこれに限られない。
【0128】
[実施例]
1.樹脂組成物の調製、樹脂組成物及び接着部材の評価
(1-1)樹脂組成物の調製
実施例及び比較例の樹脂組成物は、表1及び表2に記載の配合比によって調製された。表1及び表2に開示の材料を、それぞれの重量比率で耐熱遮光容器に提供した。次に、組成物が均一に混合されるように公転自転式撹拌脱泡装置(SHASHIN KAGAKU CO.,LTD.製品)を使用し、1000rpmで30分間撹拌して、実施例及び比較例の樹脂組成物を調製した。
【0129】
【表1】
【0130】
【表2】
【0131】
表1及び表2において、オリゴマーは上述したウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーに対応し、多官能(メタ)アクリレートモノマーは上述した多官能(メタ)アクリレートモノマーに対応する。単官能(メタ)アクリレートモノマーは上述した単官能(メタ)アクリレートモノマーに対応する。
【0132】
<表1及び2の材料に対する資料>
UV-3700B:ウレタンアクリレート(Mitsubishi Chemical Inc.製品)
UV-3300B:ウレタンアクリレート(Mitsubishi Chemical Inc.製品)
UN-7700:ウレタンアクリレート(Negami Chemical Industrial Co., Ltd.製品)
Viscoat#260:1,9-ノナンジオールジメタクリレート(Osaka Organic Chemical Industry Ltd.製品)
ライトアクリレートTMP-A:トリメチロールプロパントリメタクリレート(Kyoeisha Chemical Co., Ltd.製品)
ライトアクリレートPE-4A:ペンタエリスリトールトリメタクリレート(Kyoeisha Chemical Co., Ltd.製品)
IDAA:イソデシルアクリレート(Osaka Organic Chemical Industry Ltd.製品)
IBXA:イソボルニルアクリレート(Osaka Organic Chemical Industry Ltd.製品)
LA:ラウリルアクリレート(Osaka Organic Chemical Industry Ltd.製品)
THF-A:テトラヒドロフルフリルアクリレート(Kyoeisha Chemical Co., Ltd.製品)
4-HBA-LT:4-ヒドロキシブチルアクリレート(Osaka Organic Chemical Industry Ltd.製)
SYA004:10-ヒドロキシデシルメタクリレート(Sanyu Chemical Research Institute Co., Ltd.製品)
Omnirad 819:フェニルビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-ホスフィンオキシド(IGM Resins社製)
Omnirad 184:1-ヒドロキシシクロヘキシル-フェニルケトン(IGM Resins社製)
【0133】
(1-2)樹脂組成物及び接着部材の評価
下記表3及び4では、実施例及び比較例の樹脂組成物の30℃の温度における粘度及びインクジェットプリンティングへの提供と、接着部材のガラス転移温度、-40℃温度での損失正接(tanδ)、-40℃温度での再作業信頼性、及び25℃温度での180°剥離力を評価して示している。インクジェットプリンティングへの提供は、インクジェットプリンタ機器での塗布の可否を評価したものであり、再作業信頼性は、接着部材からのガラス基板の引き剥がしの可否を評価したものである。以下で、評価方法について、より詳細に説明する。
【0134】
<樹脂組成物の粘度測定>
JIS K 2283法でもって、30℃の温度で樹脂組成物の粘度を測定した。樹脂組成物の粘度は、粘度計TVE-25L(TOKI SANGYO Co.,LTD.製品)を利用し、50rpmの速度条件で測定した。
【0135】
<樹脂組成物のインクジェットプリンタへの提供>
調整した樹脂組成物をソーダライムガラス(Soda-lime glass、Central Glass Co., Ltd.製品)の上にインクジェットプリンタ(MICROJET社製)を利用して厚さ200μmになるように塗布した。塗布された樹脂組成物に紫外線光を提供して硬化し、次に、硬化後の硬化物(つまり、接着部材)の外観を肉眼で観察した。表3及び表4に、樹脂組成物が安定的に吐出され、均一な厚さで塗布された場合は「◎」と表記し、インクジェットプリンタから樹脂組成物が吐出されなかった場合は「X」と表記した。
【0136】
<接着部材のガラス転移温度及び損失正接(tanδ)>
スライドガラス(Matsunami Glass Ind.,Ltd.製品、スライドガラスS1112)の上に、離型処理されたPETフィルム(PANAC CO.,LTD.製品、NP100A)、直径8mmの穴をあけたシリコーンゴムシート(Tigers Polymer Corporation製品)を順次に積層した。シリコーンゴムシートの穴に28μLの樹脂組成物を滴下し、405nm、365nmにピークを有するUV-LEDランプを利用して、それぞれの光の総量が220mJ/cm、380mJ/cmになるように紫外線光を照射した。次に、離型処理されたPETフィルム(PANAC CO.,LTD.製品、NP100A)、スライドガラス(Matsunami Glass Ind.,Ltd.製品、スライドガラスS1112)を順次に積層した。紫外線光を照射した後で、積層されたスライドガラスの上側で、395nmにピークを有するUV-LEDランプを利用して、光の総量が4000mJ/cmになるように紫外線光を照射し、接着部材(直径8mm、厚さ500μm)を得た。動的粘弾性測定装置(Anton Paar Japan K.K製品MCR302)でもって接着部材のガラス転移温度及び損失正接(tanδ)を測定した。測定条件は、周波数1Hz、温度範囲-50℃乃至80℃、昇温速度2℃/分とした。
【0137】
<接着部材での再作業の評価>
調整した樹脂組成物を、ソーダライムガラス(Soda-lime glass、Central Glass Co., Ltd.製品、25mm×75mm×1.1mmt)の中央領域に、直径20mm及び厚さ200μmになるように塗布した。塗布された樹脂組成物に、405nm、365nmにピークを有するUV-LEDランプを利用し、それぞれの光の総量が220mJ/cm、380mJ/cmになるように紫外線光を照射して予備接着部材を形成した。形成された予備接着部材の上にソーダライムガラス(Soda-lime glass、Central Glass Co., Ltd.製品、25mm×75mm×1.1mmt)を提供した。予備接着部材の形成前と形成後に提供された2つのソーダライムガラスを接合し、自動加熱加圧処理装置(Chiyoda Electric Co., Ltd.製品、製品名ACS-230)を利用して、30℃の温度及び0.5MPaの圧力条件で5分間処理した。次に、予備接着部材に、光の総量が4000mJ/cmになるように、紫外線光を照射して接着部材を形成した。ソーダライムガラス、接着部材、及びソーダライムガラスが順次に積層された積層体を、図13のように引張試験機(INSTRON社製INSTRON 5965型)に設置した。
【0138】
図13は、再作業の評価方法を概略的に示す図である。図13を参照すると、第1ガラス基板GA-1から第2ガラス基板GA-2が引き剥がされる。第1ガラス基板GA-1及び第2ガラス基板GA-2は提供されたソーダライムガラスに対応し、引張試験機ISRはINSTRON社製INSTRON 5965型に対応する。第1ガラス基板GA-1と第2ガラス基板GA-2との間に配置される接着部材AP_Tは形成された接着部材に対応する。第2ガラス基板GA-2を引き剥がすために引張試験機ISRが提供されるが、第2ガラス基板GA-2下面において、第1ガラス基板GA-1と接触していない第2ガラス基板GA-2の下面の一部分は引張試験機ISRの上に提供される。第1ガラス基板GA-1が固定され、引張試験機ISRが第1ガラス基板GA-1から離れる方向DIRに移動して、第1ガラス基板GA-1から第2ガラス基板GA-2が引き剥がされる。
【0139】
評価条件は温度-40℃、引張速度10mm/minにした。表3及び表4において、ソーダライムガラスの損傷がなく、接着部材の損傷がない場合は「◎」と表記した。表3及び表4において、「樹脂破損」は、接着部材が破損して引き剥がされたソーダライムガラスの上に接着部材が残っている場合を意味し、「ガラス破損」はソーダライムガラスが破損した場合を意味する。
【0140】
<接着部材の180°剥離力>
調整した樹脂組成物を、ソーダライムガラス(Soda-lime glass、Central Glass Co., Ltd.製品)の上にインクジェットプリンタ(MICROJET社製)を利用して、厚さ200μmになるように塗布した。塗布された樹脂組成物に、405nm、365nmにピークを有するUV-LEDランプを利用し、それぞれの光の総量が220mJ/cm、380mJ/cmになるように、紫外線光を照射して予備接着部材を形成した。形成された予備接着部材の上に、PETフィルム(TOYOBO Co., Ltd.製品、製品名A4360、厚さ50μm)を接合し、自動加熱加圧処理装置(Chiyoda Electric Co., Ltd.製品、製品名ACS-230)を利用して、30℃の温度及び0.5MPaの圧力条件で5分間処理した。次に、予備接着部材に、光の総量が4000mJ/cmになるように紫外線光を照射して接着部材を含む積層体を得た。引張試験機(INSTRON社製INSTRON 5965型)を利用して、得られた積層体の180°剥離力を測定した。180°剥離力は、25℃の温度にて引張速度300mm/minで測定した。
【0141】
【表3】
【0142】
表3を参照すると、実施例1乃至5の樹脂組成物は、30℃の温度でJIS K 2283で測定された粘度が5mPa・s以上20mPa・s未満であることが分かる。粘度が5mPa・s以上20mPa・s未満である実施例1乃至5の樹脂組成物は、インクジェットプリンティング法での提供が容易なことが分かる。実施例1乃至5の樹脂組成物は、一実施例による樹脂組成物であり、実施例1乃至5の樹脂組成物からなる接着部材は、一実施例による接着部材である。
【0143】
実施例1乃至5の樹脂組成物からなる接着部材は、ガラス転移温度が-10℃以上10℃未満であり、-40℃温度で損失正接(tanδ)が0.01以上0.3未満であることが分かる。実施例1乃至5の樹脂組成物からなる接着部材は、-40℃温度で再作業を行う際に、ガラス基板及び接着部材の破損が発生していないことが分かる。実施例1乃至5の樹脂組成物からなる接着部材は、25℃の温度で180°剥離力が2000gf/25mm以上であることが分かる。
【0144】
実施例1乃至5の樹脂組成物からなる接着部材は、一実施例による接着部材のガラス転移温度及び-40℃温度での損失正接(tanδ)を満足する。それによって、一実施例によるガラス転移温度及び-40℃温度での損失正接(tanδ)を満足する接着部材は、-40℃温度で再作業を行う際に優れた信頼性を示す。また、一実施例の接着部材は、25℃の温度で高い剥離力を有することで、優れた接着信頼性を示す。
【0145】
【表4】
【0146】
表4を参照すると、比較例1の樹脂組成物は、30℃の温度でJIS K 2283で測定された粘度が20mPa・s以上であることが分かる。比較例1の樹脂組成物は、樹脂組成物の全体重量を基準に10wt%以上のオリゴマーを含み(表2)、一実施例によるウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの重量範囲を満足していない。それによって、比較例1の樹脂組成物は、20mPa・s以上の高い粘度を示し、インクジェットプリンタに吐出されなかった。
【0147】
比較例2の樹脂組成物からなる接着部材は、25℃の温度で180°剥離力が2000gf/25mm未満であることが分かる。比較例2の樹脂組成物は樹脂組成物の全体重量を基準に2wt%以上の多官能アクリルモノマーを含み(表2)、一実施例による多官能(メタ)アクリレートモノマーの重量範囲を満足していない。相対的に多い重量の多官能アクリルモノマーを含む比較例2の樹脂組成物からなる接着部材は、ガラス基板に対する密着性が低下している。それによって、比較例2の樹脂組成物からなる接着部材は、25℃の温度で相対的に低い180°剥離力を示している。
【0148】
比較例3の樹脂組成物からなる接着部材は、25℃の温度で180°剥離力が2000gf/25mm未満であった。比較例3の樹脂組成物からなる接着部材は一実施例による180°剥離力を満足していない。比較例3の樹脂組成物からなる接着部材はガラス転移温度が-10℃未満であり、-40℃温度で損失正接(tanδ)が0.3以上であることが分かる。比較例3の樹脂組成物からなる接着部材は一実施例によるガラス転移温度及び損失正接を満足していない。それによって、-40℃の温度で再作業を行う際、比較例3の樹脂組成物からなる接着部材は破損が発生する。
【0149】
比較例4の樹脂組成物からなる接着部材は、ガラス転移温度が10℃以上であることが分かる。ガラス転移温度が10℃以上である接着部材は、-40℃の温度で堅固な特性を示す。それによって、-40℃の温度で再作業を行う際、比較例4の樹脂組成物からなる接着引き剥が部から引き剥がされたウィンドウは破損が発生する。
【0150】
比較例5の樹脂組成物からなる接着部材は、25℃の温度で180°剥離力が2000gf/25mm未満であった。比較例5の樹脂組成物からなる接着部材は、一実施例による180°剥離力を満足していない。比較例5の樹脂組成物は、多官能アクリルモノマー、つまり、多官能(メタ)アクリレートモノマーを含まないものであって、接着部材を形成する際に架橋密度が低下している。それによって、-40℃の温度で再作業を行う際、比較例5の樹脂組成物からなる接着部材は破損が発生する。
【0151】
比較例6の樹脂組成物からなる接着部材は、25℃の温度で180°剥離力が2000gf/25mm未満であった。比較例6の樹脂組成物からなる接着部材は、一実施例による180°剥離力を満足していない。比較例6の樹脂組成物からなる接着部材は、ガラス転移温度が-10℃未満であり、-40℃の温度で損失正接(tanδ)が0.3以上であることが分かる。比較例6の樹脂組成物からなる接着部材は、一実施例によるガラス転移温度及び損失正接を満足していない。それによって、-40℃の温度で再作業を行う際、比較例6の樹脂組成物からなる接着部材は破損が発生する。
【0152】
2.樹脂組成物の調製、樹脂組成物及び接着部材の評価
(2-1)樹脂組成物の調製
実施例及び比較例の樹脂組成物は、表5に記載の材料及び重量で調製された。実施例1の樹脂組成物は、表1に記載の実施例1の樹脂組成物と同じである。表5に開示の材料をそれぞれの重量比率で耐熱遮光容器に提供した。次に、組成物が均一に混合されるように、公転自転式撹拌脱泡装置(SHASHIN KAGAKU CO.,LTD.製品)を使用し、1000rpmで30分間撹拌して実施例及び比較例の樹脂組成物を調製した。
【0153】
【表5】
【0154】
表5において、MEKはメチルエチルケトンであり、上述した有機溶剤に対応する。表5において、MEKを除いた材料は表1及び2を参照して説明した内容と同じ内容が適用される。
【0155】
実施例6の樹脂組成物は、樹脂組成物の全体重量を基準に有機溶剤の重量が約0.99wt%であり、1wt%未満の有機溶剤を含んでいる。実施例6の樹脂組成物は一実施例による樹脂組成物である。比較例7の樹脂組成物は樹脂組成物の全体重量を基準に有機溶剤の重量が約1.96wt%であり、比較例8の樹脂組成物は、樹脂組成物の全体重量を基準に有機溶剤の重量が約4.76wt%である。比較例7及び8の樹脂組成物は、樹脂組成物の全体重量を基準に1wt%以上の有機溶剤を含んでいる。
【0156】
(2-2)樹脂組成物及び接着部材の評価
下記表6では、実施例及び比較例の樹脂組成物の30℃の温度における粘度及びインクジェットプリンティングへの提供と接着部材のガラス転移温度、-40℃温度での損失正接(tanδ)、-40℃温度での再作業信頼性、及び25℃温度での180°剥離力を評価して示している。インクジェットプリンティングへの提供は、インクジェットプリンタ機器での塗布可否を評価したものであり、再作業信頼性は接着部材からのガラス基板の引き剥がしの可否を評価したものである。表6に示した評価結果は、表3及び4を参照して説明した評価方法と同じ評価方法で評価して記録したものである。
【0157】
【表6】
【0158】
表6を参照すると、実施例6の樹脂組成物は、30℃の温度でJIS K 2283で測定した粘度が5mPa・s以上20mPa・s未満であることが分かる。粘度が5mPa・s以上20mPa・s未満である実施例6の樹脂組成物は、インクジェットプリンティング法での提供が容易であることが分かる。実施例6の樹脂組成物は一実施例による樹脂組成物であり、実施例6の樹脂組成物からなる接着部材は、一実施例による接着部材である。
【0159】
実施例6の樹脂組成物からなる接着部材は、ガラス転移温度が-10℃以上10℃未満であり、-40℃温度で損失正接(tanδ)が0.01以上0.3未満であることが分かる。実施例6の樹脂組成物からなる接着部材は、-40℃温度で再作業を行う際にガラス基板及び接着部材の破損が発生しないことが分かる。実施例6の樹脂組成物からなる接着部材は、25℃の温度で180°剥離力が2000gf/25mm以上であることが分かる。
【0160】
実施例6の樹脂組成物は、樹脂組成物の全体重量を基準に1wt%未満の有機溶剤を含む。実施例6の樹脂組成物及び樹脂組成物からなる接着部材は、有機溶剤を含まない実施例1の樹脂組成物及び樹脂組成物からなる接着部材と同じレベルの物性及び特性を示すことが分かる。
【0161】
比較例7の樹脂組成物からなる接着部材は、25℃の温度で180°剥離力が2000gf/25mm未満であることが分かる。比較例7の樹脂組成物は、樹脂組成物の全体重量を基準に1wt%以上の有機溶剤を含み、一実施例による有機溶剤の重量範囲を超過している。比較例7の樹脂組成物は、相対的に多い量の有機溶剤を含み、硬化後低い180°剥離力を示している。
【0162】
比較例8の樹脂組成物は硬化不良が発生しており、紫外線光を照射しても硬化されていない。つまり、比較例8の樹脂組成物は、紫外線光を照射して接着部材が形成されなかったものである。比較例8の樹脂組成物は、樹脂組成物の全体の重量を基準に1wt%以上の有機溶剤を含み、一実施例による有機溶剤の重量範囲を超過している。比較例8の樹脂組成物は相対的に多い量の有機溶剤を含んでおり、硬化されていない。
【0163】
一実施例の表示装置は、表示パネルとウィンドウとの間に接着部材を含む。一実施例の接着部材は、少なくとも一つのウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーと、少なくとも一つの多官能(メタ)アクリレートモノマーと、少なくとも一つの光開始剤とを含む樹脂組成物から形成されうる。ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーはオリゴマー単位当たりに(メタ)アクリロイル基を2つ含み、多官能(メタ)アクリレートモノマーは、モノマー単位当たりに複数個の(メタ)アクリロイル基を含みうる。接着部材のガラス転移温度は-10℃以上10℃未満で、接着部材の損失正接(tanδ)は-40℃の温度で0.01以上0.3未満である。25℃の温度で接着部材の180°剥離力は2000gh/25mm以上でありうる。それによって、一実施例の接着部材は、接着部材及び接着部材と接合されるウィンドウを損傷せずに、-40℃の温度での再作業が容易な特性を示しうる。また、一実施例の接着部材は優れた接着信頼性を示しうる。
【0164】
これまで本発明の好ましい実施例を参照して説明したが、該当技術分野における熟練した当業者または該当技術分野における通常の知識を有する者であれば、後述する特許請求の範囲に記載された、本発明の思想及び技術領域から逸脱しない範囲内で、本発明を多様に修正及び変更し得ることを理解できるはずである。
【0165】
よって、本発明の技術的範囲は、明細書の詳細な説明に記載の内容に限られず、特許請求の範囲によって決められるべきである。
【0166】
好ましい一実施形態によると、下記のとおりである。
【0167】
好ましい一実施形態にて、本件の背景及び課題は下記(i)~(v)のとおりである。
(i) 有機発光表示装置(OLED)などの表示パネルを備えたデバイス、特にはモバイル機器においては、多くの場合、表示パネルの前面にウィンドウと呼ばれる厚みの大きい(例えば1~5mm厚の)透明基板が貼り付けられる。
【0168】
(ii) また、ウィンドウを貼り付ける際、多くの場合、シート状の接着部材が用いられている。すなわち、表示パネルの前面に、シート状の接着部材を挟み込むようにして、ウィンドウを重ね合わせるようにして貼り付ける。また、多くの場合、挟み込まれた接着部材を光、熱などにより硬化させる。
【0169】
(iii) ところが、重ね合わせて貼り付ける際に、所定の位置からずれてしまったり、泡が挟み込んでしまったりすることが生じ得る。特には、表示面の一部に湾曲部分が含まれたり、カメラなどのための領域が含まれたりする場合、このような問題が生じやすい。
【0170】
(iv) このような場合、ウィンドウを引き剥がして、再度、貼り付ける「リワーク(再作業)」を行う必要がある。
【0171】
(v) ところが、引き剥がす際に表示パネルまたはウィンドウに損傷が生じうる。
【0172】
このような課題を解決すべく、試行錯誤を繰り返した結果、具体的な一実施形態において、下記A1~A4のような組成・物性のシート状接着部材(AP)を用いる。また、好ましくは下記A5~A7の少なくともいずれかとすることができる。
【0173】
A1 1wt%以上10wt%未満のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを含む。
【0174】
A2 0.2wt%以上2wt%未満の多官能(メタ)アクリレートモノマーを含む。
【0175】
A3 ガラス転移温度は-10℃以上10℃未満である。
【0176】
A4 損失正接(loss tangent、tanδ)は-40℃の温度で0.01以上0.3未満である。
【0177】
A5 ガラス基板及び高分子基板に対する180°剥離力が2000gf/25mm以上である。
【0178】
A6 シート状接着部材(AP)を製造する1次硬化の前の樹脂液は、30℃の温度にてJIS K 2283で測定された粘度が5mPa・s以上20mPa・s未満である。
【0179】
A7 表示面の縁の非表示領域などにて、表示パネル(DM)の上面、及び、ウィンドウ(WP)の下面に、それぞれ、陥没及び突出による、段差(SP-a, SP-b)を設けておく。
【符号の説明】
【0180】
DD:表示装置 DP:表示パネル
WP:ウィンドウ AP:接着部材
RC:樹脂組成物
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13