(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024089661
(43)【公開日】2024-07-03
(54)【発明の名称】回転電気機械に電力を供給するインバータを備える電気的アーキテクチャ
(51)【国際特許分類】
B60L 1/00 20060101AFI20240626BHJP
B60L 9/18 20060101ALI20240626BHJP
B60L 50/60 20190101ALI20240626BHJP
B60L 58/10 20190101ALI20240626BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20240626BHJP
H02J 1/00 20060101ALI20240626BHJP
【FI】
B60L1/00 L
B60L9/18 J
B60L50/60
B60L58/10
H02J7/00 P
H02J7/00 302B
H02J1/00 306D
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023214977
(22)【出願日】2023-12-20
(31)【優先権主張番号】2214105
(32)【優先日】2022-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(71)【出願人】
【識別番号】523072876
【氏名又は名称】ヴァレオ、インディア、プライベート、リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Valeo India Private Limited
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100217940
【弁理士】
【氏名又は名称】三並 大悟
(72)【発明者】
【氏名】アマル、ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ピエール、ファブロール
(72)【発明者】
【氏名】バスカー、ナタラジャン
(72)【発明者】
【氏名】ラマスブラマニアン、ラマクリシュナン
【テーマコード(参考)】
5G165
5G503
5H125
【Fターム(参考)】
5G165EA02
5G165FA02
5G165GA09
5G165HA02
5G165MA01
5G165MA02
5G165NA10
5G503BA01
5G503BB01
5G503DA02
5G503FA06
5G503GB03
5G503GB06
5H125AA01
5H125AC12
5H125BA00
5H125BB00
5H125BB09
5H125BC01
5H125BC25
5H125BC29
5H125CD04
5H125DD05
5H125EE08
5H125EE13
5H125EE47
(57)【要約】 (修正有)
【課題】特に自動車用の、より安価で新規の電気的アーキテクチャを提供する。
【解決手段】電気的アーキテクチャ1は、公称電圧48ボルトの高電圧ネットワーク3と、公称電圧12ボルトの低電圧ネットワーク4と、電力線7を介して高電圧を供給する高電圧バッテリ5と、スイッチング素子11を含む。スイッチング素子11は、高電圧バッテリ5から供給された電圧により電気機械2を動作させる。インバータ10は高電圧ネットワーク3および低電圧ネットワーク4の一部を形成し、電気的接触器12は電力線7上に配置され、開状態において高電圧ネットワーク3から高電圧バッテリ5を切断するように構成されている。電気的アーキテクチャ1は、電気的接触器12が開状態において、高電圧バッテリ5からの電圧を用いて、スリープモードであるインバータ10を、前もって起動させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
特に車両用の、特に自動車用の電気的アーキテクチャ(1)であって、
特に48ボルトに等しい公称電圧を有する高電圧ネットワーク(3)と、
特に12ボルトに等しい公称電圧を有する低電圧ネットワーク(4)と、
少なくとも1つの電力線(7)を介して、前記高電圧ネットワークに適した高電圧を供給するように設計されている高電圧バッテリ(5)と、
スイッチング素子(11)に命令するスイッチング信号に基づいて、前記高電圧バッテリによって供給された電圧を、電気機械(2)を動作させるようAC電流に変換するように相互接続されている前記スイッチング素子を含み、前記高電圧ネットワークおよび前記低電圧ネットワークの両方の一部を形成するインバータ(10)と、
前記電力線上に配置されており、開状態において、前記高電圧ネットワークから前記高電圧バッテリを切断するように構成されている電気的接触器(12)であって、前記接触器の前記開状態において、前記アーキテクチャが、前記高電圧バッテリからの電圧を用いて、前もってスリープモードである前記インバータ(10)を起動させることができるように構成されている、電気的接触器(12)と、
を備える、電気的アーキテクチャ(1)。
【請求項2】
前記インバータ(10)が、前記高電圧バッテリ(5)の前記電圧によって電力を供給されており、かつ出力部において前記低電圧ネットワーク(4)に適した電圧を供給するように構成されているDC/DCコンバータ(15)を含む、請求項1に記載の電気的アーキテクチャ。
【請求項3】
前記インバータ(10)が、前記インバータ内のマイクロコントローラ(17)用の内部電源(16)を含み、前記マイクロコントローラは、前記インバータの構成部品を制御するように構成されている、請求項1または2に記載の電気的アーキテクチャ。
【請求項4】
前記インバータ(10)が、電気線によって前記高電圧バッテリに接続されている起動回路(18)を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の電気的アーキテクチャ。
【請求項5】
前記インバータ(10)の外部のDC/DCコンバータ(21)が、前記高電圧バッテリの前記電圧を前記低電圧ネットワークに適した電圧に変換するように構成されており、前記低電圧ネットワークが、特に、搭載機器または前記車両の乗員室で利用可能な電気充電ソケットのような負荷を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の電気的アーキテクチャ。
【請求項6】
コンデンサ(30)が、前記高電圧バッテリから前記インバータの前記電力スイッチまで延びている正電力線と負電力線との間に配置されている、請求項1から5のいずれか一項に記載の電気的アーキテクチャ。
【請求項7】
前記インバータが、前記電力スイッチ(11)に至る前記電力線に接続されている充放電制御回路(31)を含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の電気的アーキテクチャ。
【請求項8】
イグニッションキーによる点火が前記インバータ(10)の起動および前記インバータ(10)の自己診断を引き起こすように構成されている、請求項1から7のいずれか一項に記載の電気的アーキテクチャ。
【請求項9】
前記インバータを始動させることを意図して、
運転者によるイグニッションキーでのスイッチ(20)の閉止に続いて、前記インバータを起動させ、前記インバータの前記自己診断を引き起こすステップと、
前記インバータ(10)を使用して、前記車両の1つまたは複数の電子コントローラを起動させるために、起動出力線を有効にするステップと、
前記インバータを使用して、前記充放電制御回路を介して、前記電力線上の前記コンデンサの事前充電を命令するステップと、
前記インバータを使用して、前記1つまたは複数の電力線上の前記1つまたは複数の接触器を閉じることを意図して、制御システム(14)に命令するステップと、
前記DC/DCコンバータを始動させるステップと、
前記インバータを使用して、前記低電圧ネットワークを管理するステップと、
前記インバータについての公称動作状態を開始するステップと、
を実施するように構成されている請求項1から8のいずれか一項に記載の電気的アーキテクチャ。
【請求項10】
前記インバータを停止させることを意図して、
前記運転者によるイグニッションキーでのスイッチ(20)の開放に続いて、前記インバータを使用して、トルクの供給を止め、前記インバータを使用して、前記電気機械(2)の回転速度が特に0に等しくなるよう所定のしきい値未満に降下するまで、前記回転速度を監視するステップと、
前記インバータ(10)を使用して、前記起動出力線を切断し、前記低電圧ネットワークへの電力の供給を止めるステップと、
前記インバータを使用して、前記1つまたは複数の電力線上の前記1つまたは複数の接触器を開けることを意図して、前記制御システム(14)に命令するステップと、
前記インバータを使用して、前記電力線上の前記コンデンサの放電を命令するステップと、
前記インバータを使用して、前記電力線上の前記電圧が所定の電圧しきい値未満に降下するまで、前記電圧を監視するステップと、
前記インバータを停止させるステップと、
を実施するように構成されている、請求項1から9のいずれか一項に記載の電気的アーキテクチャ。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載の電気的アーキテクチャ(1)を管理するための方法であって、前記インバータを始動させることを意図して、
前記運転者によるイグニッションキーでのスイッチ(20)の閉止に続いて、前記インバータを起動させ、前記インバータの前記自己診断を引き起こすステップと、
前記インバータ(10)を使用して、前記車両の1つまたは複数の電子コントローラを起動させるために、前記起動出力線を有効にするステップと、
前記インバータを使用して、前記充放電制御回路を介して、前記電力線上の前記コンデンサの事前充電を命令するステップと、
前記インバータを使用して、前記1つまたは複数の電力線上の前記1つまたは複数の接触器を閉じることを意図して、前記制御システム(14)に命令するステップと、
前記DC/DCコンバータを始動させるステップと、
前記インバータを使用して、前記低電圧ネットワークを管理するステップと、
前記インバータについての前記公称動作状態を開始するステップと、
を備える、方法。
【請求項12】
請求項1から10のいずれか一項に記載の電気的アーキテクチャ(1)を管理するための方法であって、前記インバータを停止させることを意図して、
前記運転者によるイグニッションキーでのスイッチ(20)の開放に続いて、前記インバータを使用して、トルクの供給を止め、前記インバータを使用して、前記電気機械(2)の回転速度が特に0に等しくなるよう所定のしきい値未満に降下するまで、前記回転速度を監視するステップと、
前記インバータ(10)を使用して、前記起動出力線を切断し、前記低電圧ネットワークへの電力の供給を止めるステップと、
前記インバータを使用して、前記1つまたは複数の電力線上の前記1つまたは複数の接触器を開けることを意図して、前記制御システム(14)に命令するステップと、
前記インバータを使用して、前記電力線上の前記コンデンサの放電を命令するステップと、
前記インバータを使用して、前記電力線上の前記電圧が所定の電圧しきい値未満に降下するまで、前記電圧を監視するステップと、
前記インバータを停止させるステップと、
を備える、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に、車両の回転電気機械に電力を供給するインバータを備える電気的アーキテクチャに関する。
【0002】
車両は、陸上車両(land vehicle)、海洋船舶(marine vehicle)、または航空機(air vehicle)であってもよい。
【背景技術】
【0003】
自動車用途において、回転電気機械はインバータと関連付けられている。インバータは、バッテリなどのDC電気的エネルギー源からAC電圧および電流を生成するためのパワー・エレクトロニクス・デバイスであり、例えば48V(ボルト)に等しい公称電圧を有する。
【0004】
米国特許出願公開第2016311326(A1)号は、単一電圧モードにおける動作向けの高電圧バッテリに関連付けられた起動モジュールおよび回路を開示している。起動モジュールは、12Vの外部負荷のためのエネルギーを生成する2つのDC/DCコンバータを有する。高電圧バッテリにとって、電源投入および電源遮断の順序は重要である。
【0005】
インバータは、慣例では、48Vバッテリに加えて、追加のバッテリから12Vの電源を必要とする制御構成部品を備えている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、特に、より安価である新規の電気的アーキテクチャを提案することを目標とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
したがって、本発明の1つの主題は、特に車両用の、特に自動車用の電気的アーキテクチャであって、
特に48ボルトに等しい公称電圧を有する高電圧ネットワークと、
特に12ボルトに等しい公称電圧を有する低電圧ネットワークと、
少なくとも1つの電力線を介して、高電圧ネットワークに適した高電圧を供給するように設計されている高電圧バッテリと、
スイッチング素子に命令するスイッチング信号に基づいて、高電圧バッテリによって供給された電圧を、電気機械を動作させるようAC電流に変換するように相互接続されているスイッチング素子を含み、高電圧ネットワークおよび低電圧ネットワークの両方の一部を形成するインバータと、
電力線上に配置されており、開状態において、高電圧ネットワークから高電圧バッテリを切断するように構成されている電気的接触器であって、接触器の開状態において、アーキテクチャが、高電圧バッテリからの電圧を用いて、前もってスリープモードであるインバータを起動させることができるように構成されている、電気的接触器と、
を備える、電気的アーキテクチャである。
【0008】
本発明のおかげで、高電圧バッテリを使用して、インバータに命令し、低電圧ネットワーク専用の特別なバッテリを省略し、そうして、アーキテクチャをより安価にすることが可能になる。加えて、(命令可能な(commandable)接触器のおかげで)、インバータは、高電圧バッテリに恒久的に接続されるわけではなく、それにより、コンデンサの受動的な放電を通じた損失のリスク、および熱リスクを制限する。
【0009】
本発明の態様のうちの1つによれば、接触器は、高電圧バッテリの制御システム(またはBMS)によって命令される。
【0010】
本発明の態様のうちの1つによれば、制御システム(またはBMS)は、1つまたは複数の電力線上の1つまたは複数の接触器の閉止を命令するように構成されており、制御システム(またはBMS)を使用して、通信、特にCAN通信を介して、1つまたは複数の接触器のステータスをインバータに送信するように構成されている。
【0011】
本発明の態様のうちの1つによれば、インバータは、高電圧バッテリの電圧によって電力を供給されており、かつ出力部において低電圧ネットワークに適した電圧を供給するように構成されている特に単一のDC/DCコンバータ(DC電流を異なる電圧レベルのDC電流に変換するためのコンバータ)を含む。
【0012】
本発明の態様のうちの1つによれば、インバータは、インバータ内のマイクロコントローラ(またはMCU)用の内部電源を含み、このマイクロコントローラは、インバータの構成部品を制御するように構成されている。
【0013】
本発明の態様のうちの1つによれば、この内部電源は、それ自体が高電圧バッテリによって電力を供給されている。
【0014】
本発明の態様のうちの1つによれば、インバータは、電気線によって高電圧バッテリに接続されている起動回路を含む。
【0015】
本発明の態様のうちの1つによれば、この電気線は、車両のイグニッションキーの作動によって開けられ、または閉じられる。
【0016】
本発明の態様のうちの1つによれば、インバータの外部のDC/DCコンバータは、高電圧バッテリの電圧を低電圧ネットワークに適した電圧に変換するように構成されており、低電圧ネットワークは、特に、搭載機器(例えばタッチ・スクリーン)または車両の乗員室で利用可能な電気充電ソケットのような負荷を含む。外部のDC/DCコンバータおよびインバータは、1つの同じ筐体に収容されていてもよい。
【0017】
本発明の態様のうちの1つによれば、コンバータは電力線から隔離されている。起動回路は、1つの同じ組立体内にあるマイクロコントローラ用の内部電源に関連付けられている。
【0018】
本発明の態様のうちの1つによれば、インバータは、1つの同じ組立体内に統合されている起動回路および隔離されたDC/DCコンバータを含む。隔離されていないDC/DCコンバータは、電力線のうちの1つに接続されていてもよい。隔離されていないDC/DCコンバータは、マイクロコントローラ用の冗長電源として働く。隔離されていないDC/DCコンバータは、電力線に電力を供給する。本発明の態様のうちの1つによれば、マイクロコントローラ用の内部電源は、起動回路およびコンバータとは別個である。
【0019】
本発明の態様のうちの1つによれば、コンデンサは、高電圧バッテリからインバータの電力スイッチまで延びている正電力線と負電力線との間に配置されている。コンデンサは、電圧振動を回避するためのフィルタリングを可能にする。コンデンサがなければ、48V電圧の要求により、例えば±4%の振動を伴う48Vの電圧が生じることがある。
【0020】
本発明の態様のうちの1つによれば、インバータは、電力スイッチに至る電力線に接続されている充放電制御回路を含む。
【0021】
本発明の態様のうちの1つによれば、充放電制御回路は、マイクロコントローラの命令があると、電力線上に電力が存在するときにはコンデンサの充電を制御する。マイクロコントローラは、電気的接触器の閉止前および/または閉止中に、コンデンサの充電を命令してもよい。これは、通電ショックを防止する。
【0022】
本発明の態様のうちの1つによれば、充放電制御回路は、マイクロコントローラの命令があると、電力線上に電力がないときにはコンデンサの放電を制御する。マイクロコントローラは、電気的接触器の開放前および/または開放中に、コンデンサの放電を命令してもよい。これは、コンデンサの電圧を安全限界未満に低減することを可能にする。
【0023】
本発明の態様のうちの1つによれば、インバータは、車両の電子コントローラを起動させるための起動出力線を備える。
【0024】
本発明の態様のうちの1つによれば、電気的アーキテクチャは、イグニッションキーによる点火がインバータの起動およびインバータの自己診断を引き起こすように、構成されている。
【0025】
本発明の態様のうちの1つによれば、電気的アーキテクチャは、一旦自己診断が実施されると、インバータが車両の多様なコントローラを起動させるよう設計されているように、構成されている。
【0026】
本発明の態様のうちの1つによれば、電気的アーキテクチャは、インバータを始動させることを意図して、
運転者によるイグニッションキーでのスイッチの閉止に続いて、インバータを起動させ、インバータの自己診断を引き起こすステップと、
インバータを使用して、車両の1つまたは複数の電子コントローラ(またはECU)を起動させるために、起動出力線を有効にするステップと、
インバータを使用して、充放電制御回路を介して、電力線上のコンデンサの事前充電を命令するステップと、
インバータを使用して、1つまたは複数の電力線上の1つまたは複数の接触器を閉じることを意図して、制御システム(またはBMS)に命令するステップと、
DC/DCコンバータを始動させるステップと、
インバータを使用して、低電圧ネットワークを管理するステップと、
インバータについての公称動作状態を開始するステップと
を実施するように構成されている。
【0027】
本発明の態様のうちの1つによれば、電気的アーキテクチャは、インバータを停止させることを意図して、
運転者によるイグニッションキーでのスイッチの開放に続いて、インバータを使用して、トルクの供給を止め、インバータを使用して、電気機械の回転速度が特に0に等しくなるよう所定のしきい値未満に降下するまで、回転速度を監視するステップと、
インバータを使用して、起動出力線を切断し、低電圧ネットワークへの電力の供給を止めるステップと、
インバータを使用して、1つまたは複数の電力線上の1つまたは複数の接触器を開けることを意図して、制御御システム(またはBMS)に命令するステップと、
インバータを使用して、電力線上のコンデンサの放電を命令するステップと、
インバータを使用して、電力線上の電圧が所定の電圧しきい値未満に降下するまで、電圧を監視するステップと、
インバータを停止させるステップと
を実施するように構成されている。
【0028】
本発明の別の主題は、上述の電気的アーキテクチャを管理するための方法であって、インバータを始動させることを意図して、
運転者によるイグニッションキーでのスイッチの閉止に続いて、インバータを起動させ、インバータの自己診断を引き起こすステップと、
インバータを使用して、車両の1つまたは複数の電子コントローラ(またはECU)を起動させるために、起動出力線を有効にするステップと、
インバータを使用して、充放電制御回路を介して、電力線上のコンデンサの事前充電を命令するステップと、
インバータを使用して、1つまたは複数の電力線上の1つまたは複数の接触器を閉じることを意図して、制御システム(またはBMS)に命令するステップと、
DC/DCコンバータを始動させるステップと、
インバータを使用して、低電圧ネットワークを管理するステップと、
インバータについての公称動作状態を開始するステップと
を備える方法である。
【0029】
本発明の別の主題は、上述の電気的アーキテクチャを管理するための方法であって、インバータを停止させることを意図して、
運転者によるイグニッションキーでのスイッチの開放に続いて、インバータを使用して、トルクの供給を止め、インバータを使用して、電気機械の回転速度が特に0に等しくなるよう所定のしきい値未満に降下するまで、回転速度を監視するステップと、
インバータを使用して、起動出力線を切断し、低電圧ネットワークへの電力の供給を止めるステップと、
インバータを使用して、1つまたは複数の電力線上の1つまたは複数の接触器を開けることを意図して、制御システム(またはBMS)に命令するステップと、
インバータを使用して、電力線上のコンデンサの放電を命令するステップと、
インバータを使用して、電力線上の電圧が所定の電圧しきい値未満に降下するまで、電圧を監視するステップと、
インバータを停止させるステップと
を備える方法である。
【0030】
本発明のさらなる特徴および利点は、例示の非限定的な例として与えられる以下の説明を読むことおよび添付図面から、より明確に明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】本発明の1つの例示的な実施形態による電気的アーキテクチャを概略的に示す図である。
【
図2】本発明の別の例示的な実施形態による電気的アーキテクチャを概略的に示す図である。
【
図3】充放電制御回路を概略的かつ部分的に示す図である。
【
図4】インバータの始動についての、
図1のアーキテクチャの動作ステップを示すブロック図を示す図である。
【
図5】インバータの停止についての、
図1のアーキテクチャの動作ステップを示すブロック図を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図1は、電気推進モータ2を装備した電気車両の電気的アーキテクチャ1を示している。
【0033】
電気的アーキテクチャ1は、
48ボルト高電圧ネットワーク3と、
12ボルト低電圧ネットワーク4と、
少なくとも1つの電力線7を介して、高電圧ネットワーク3に適した高電圧を供給するように設計されている高電圧バッテリ5と、
スイッチング素子11に命令するスイッチング信号に基づいて、高電圧バッテリ5によって供給された48V電圧を、電気機械2を動作させるようAC電流に変換するように相互接続されているスイッチング素子11を含み、高電圧ネットワーク3および低電圧ネットワーク4の両方の一部を形成するインバータ10と
を備える。
【0034】
電気的アーキテクチャ1は、電力線7上に配置されており、かつ開状態において、高電圧ネットワーク3から高電圧バッテリ5を切断するように構成されている電気的接触器12であって、接触器12のこの開状態において、アーキテクチャ1が、高電圧バッテリからの電圧を用いて、前もってスリープモードであるインバータ10を起動させることができるように構成されている、電気的接触器12をさらに備える。
【0035】
接触器12は、高電圧バッテリ5の制御システム14(またはBMS)によって命令される。
【0036】
また、この制御システムBMS14は、CAN通信を介して、接触器12の(開または閉の)ステータスをインバータ10に送信するように構成されている。
【0037】
インバータは、高電圧バッテリ5の電圧によって電力を供給されており、かつ出力部において低電圧ネットワーク4に適した電圧を供給するように構成されているDC/DCコンバータ15(DC電流を異なる電圧レベルのDC電流に変換するためのコンバータ)を含む。
【0038】
インバータ10は、インバータ10内のマイクロコントローラ17またはMCU用の内部電源16を含み、このマイクロコントローラ17は、DC/DCコンバータ15などの、インバータ10の構成部品を制御するように構成されている。
【0039】
この内部電源16は、それ自体が高電圧バッテリによって電力を供給されている。さらに内部電源は、要求される電圧および電力レベルで、インバータ10の構成部品に電力を供給する。
【0040】
インバータ10は、電気線19によって高電圧バッテリ5に接続されている起動回路18をさらに含み、この電気線は、スイッチ20上のイグニッションキーの作動によって開けられ、または閉じられてもよい。
【0041】
図1の例において、インバータ10内のコンバータ15(注記:隔離されたDC/DC)は、電力線7から隔離されている。加えて、起動回路18および内部電源16は、1つの同じ組立体内に統合されている。
【0042】
図2に示されている1つの例において、インバータ10は、1つの同じ組立体25内に統合されている起動回路18および隔離されたDC/DCコンバータを備える。隔離されていないDC/DCコンバータ26は、電力線7に接続されている。隔離されていないDC/DCコンバータ26は、接触器12が閉じられるとすぐに、インバータの内部負荷に電力を供給する。この例では、マイクロコントローラ用の内部電源16は、組立体25とは別個である。この内部電源16は、マイクロコントローラ17に接続されている。
【0043】
図2における考慮中の例において、電気線19は、電力線7から隔離されている。隔離されていないDC/DCコンバータ26は、マイクロコントローラ10用の冗長電源を提供する。
【0044】
説明された2つの例において、インバータ10の外部のDC/DCコンバータ21は、高電圧バッテリ5の電圧を低電圧ネットワーク4に適した電圧に変換するように構成されており、低電圧ネットワーク4は、搭載機器(例えばタッチ・スクリーン22)または車両の乗員室で利用可能な電気充電ソケット23などの12V負荷を含む。
【0045】
12V管理システム28は、外部のDC/DCコンバータ21の12V出力部に接続されている負荷27を管理するために提供されている。
【0046】
コンデンサ30は、高電圧バッテリ5からインバータの電力スイッチ11まで延びている正電力線と負電力線との間に配置されている。
【0047】
インバータ10は、電力スイッチ11に至る電力線に接続されている充放電制御回路31を含む。
【0048】
この充放電制御回路31は、マイクロコントローラ17の命令があると、電力線上に電力が存在するときにはコンデンサ30の充電を制御し、電力線上に電力がないときにはコンデンサ30の放電を制御する。
【0049】
インバータ10は、車両の電子コントローラを起動させるための起動出力線33を含む。
【0050】
電気的アーキテクチャ1は、イグニッションキーによる点火がインバータ10の起動およびインバータ10の自己診断を引き起こすように、構成されている。
【0051】
さらに、電気的アーキテクチャ1は、一旦自己診断が実施されると、インバータ10が車両の多様なコントローラを起動させるよう設計されているように、構成されている。
【0052】
充放電制御回路31の詳細は、
図3を参照して説明されており、この回路は、マイクロコントローラ17によって制御されており、かつ抵抗器37に接続されている並列の2つのスイッチ35および36を含む。
【0053】
スイッチ35はバッテリ5に接続されており、スイッチ36は電力線7に接続されている。
【0054】
スイッチ35が閉じられており、スイッチ36が開いているとき、コンデンサ30は充電される。
【0055】
スイッチ35が開いており、スイッチ36が閉じられているとき、コンデンサ30は能動的に放電される。
【0056】
ここで、インバータ10の始動、およびインバータ10の停止についての電気的アーキテクチャ1の動作の説明が、それぞれ与えられる。
【0057】
電気的アーキテクチャ1は、インバータを始動させることを意図して、(
図4に示されている)以下のステップ:
運転者によるイグニッションキーでのスイッチ20の閉止(ステップ41)に続いて、インバータ10を起動させ、インバータ10の自己診断を引き起こすステップ(ステップ42)、およびインバータ10を使用して、車両の電子コントローラ(またはECU)を起動させるために、起動出力線33を有効にするステップと、
インバータ10を使用して、充放電制御回路31を介して、電力線7上のコンデンサ30の事前充電を命令するステップ(ステップ43)と、
インバータ10を使用して、電力線7上の接触器12を閉じることを意図して、制御システム14(またはBMS)に命令するステップ(ステップ44)と、
DC/DCコンバータ15を始動させるステップ(ステップ45)と、
インバータ10を使用して、低電圧ネットワーク4を管理するステップ(ステップ46)と、
実行/準備完了状態と名付けられてもよいインバータ10についての公称動作状態を開始するステップ(ステップ47)と
を実施するように構成されている。
【0058】
電気的アーキテクチャ1は、インバータ10を停止させることを意図して、
運転者によるイグニッションキーでのスイッチ20の開放(ステップ51)に続いて、インバータ10を使用して、トルクの供給を止め、インバータ10を使用して、電気機械2の回転速度が特に0に等しくなるよう所定のしきい値未満に降下するまで、この回転速度を監視するステップ(ステップ52)と、
インバータ10を使用して、起動出力線33を切断し、低電圧ネットワーク4への電力の供給を止めるステップ(ステップ53)と、
インバータ10を使用して、電力線7上の接触器12を開けることを意図して、制御システム14(またはBMS)に命令するステップ(ステップ54)と、
インバータ10を使用して、電力線7上のコンデンサ30の放電を命令するステップ(ステップ55)、およびインバータ10を使用して、電力線7上の電圧が所定の電圧しきい値未満に降下するまで、この電圧を監視するステップと、
インバータ10を停止させるステップ(ステップ56)と
を実施するように構成されている。
【外国語明細書】