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特開2024-89662支持ビードを有する電気化学システムのセパレータプレート
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024089662
(43)【公開日】2024-07-03
(54)【発明の名称】支持ビードを有する電気化学システムのセパレータプレート
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/0276 20160101AFI20240626BHJP
   H01M 8/0206 20160101ALI20240626BHJP
   C25B 13/02 20060101ALI20240626BHJP
【FI】
H01M8/0276
H01M8/0206
C25B13/02 302
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023215146
(22)【出願日】2023-12-20
(31)【優先権主張番号】20 2022 107 165.9
(32)【優先日】2022-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】505467753
【氏名又は名称】レインツ デッチタングス ゲー エム ベー ハー
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マヌエル カム
(72)【発明者】
【氏名】ヨハネス ケーベレ
(72)【発明者】
【氏名】ハラルド レビアン
(72)【発明者】
【氏名】ベルント ゴーグラー
(72)【発明者】
【氏名】フェリックス センフ
【テーマコード(参考)】
5H126
【Fターム(参考)】
5H126AA12
5H126AA13
5H126BB06
5H126DD05
5H126EE03
5H126EE11
5H126GG02
5H126HH01
5H126JJ03
(57)【要約】      (修正有)
【課題】大きい機械的な力の影響下においてさえ不可逆的な塑性変形からシーリング要素を可能な限り保護する支持又は保護機構を有する電気化学システム又はそのセパレータプレートの提供。
【解決手段】セパレータプレート2aは、セパレータプレートの領域をシールするためのシーリングビード12a~12d、シーリングビードは、少なくとも断面において、少なくとも2つの波周期(PD)を伴う波状の進路を有する及び特に激突状況において、シーリングビードを支持するための支持ビード20a、20bを備え、ここで、支持ビードは、シーリングビードから離間され、シーリングビードの波状の進路に沿って延在し、ここで、支持ビードは、少なくとも2つの周期(PA)を伴う、周期的に変化する非ゼロの幅(BA)を有し、支持ビードの幅は、支持ビードの延在部Rの方向に垂直に、支持ビードの第1外側ビード下部21から第2外側ビード下部27へ測定される。
【選択図】図3A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
セパレータプレート平面を有する電気化学システムについてのセパレータプレートであって、
前記セパレータプレートの領域をシールするためのシーリングビード、前記シーリングビードは、少なくとも断面において、少なくとも2つの波周期(P)を伴う波状の進路を有する、及び
特に激突状況において、又は、衝撃の際に、前記シーリングビードを支持するための支持ビード
を備え、
ここで、前記支持ビードは、前記シーリングビードから離間され、前記シーリングビードの前記波状の進路に沿って延在し、
ここで、前記支持ビードは、少なくとも2つの周期(P)を伴う、周期的に変化する非ゼロの幅(B)を有し、前記支持ビードの前記幅は、前記支持ビードの延在部(R)の方向に垂直に、前記支持ビードの第1外側ビード下部から第2外側ビード下部へ測定される、
セパレータプレート。
【請求項2】
前記支持ビードは、ビード下部から開始する2つのビード側面、及び、前記支持ビードの前記ビード側面の間に延在するビード最上部を含み、前記ビード最上部は、第1部分において、実質的に平面であるか、又は、前記セパレータプレート平面に対して凸状であり、第2部分において、前記セパレータプレート平面に対して少なくとも1つのアーチを有し、前記アーチは、前記ビード最上部における窪みとして構成されている、請求項1に記載のセパレータプレート。
【請求項3】
前記支持ビードの前記幅は、最小幅及び最大幅の間で変動し、前記アーチは、前記支持ビードの前記最大幅の前記領域に配置され、及び/又は、前記ビード最上部は、平面であるか、又は、前記最小幅の前記領域において前記セパレータプレート平面に対して凸状である、請求項2に記載のセパレータプレート。
【請求項4】
前記セパレータプレート平面に対する前記アーチは、最大で、前記支持ビードの前記周期的に変化する幅の単一周期に及ぶ領域において延在する、請求項2に記載のセパレータプレート。
【請求項5】
前記ビード最上部は、前記セパレータプレート平面に対する少なくとも2つのアーチ、特に、前記幅の周期あたり少なくとも2つのアーチを有し、前記アーチは、異なるエンボス深度及び/又は異なる寸法及び/又は異なる幾何学形状を有する、請求項2に記載のセパレータプレート。
【請求項6】
前記アーチは、少なくとも前記セパレータプレートの非圧縮状態において、前記セパレータプレート平面から少なくとも部分的に離間され、及び/又は、前記セパレータプレートの圧縮状態において、少なくとも部分的にセパレータプレート平面に位置する、請求項2に記載のセパレータプレート。
【請求項7】
前記シーリングビードの前記波周期及び前記支持ビードの幅周期は、同一の周期長及び/又は同一の位相及び/又は実質的に180°シフトされた位相を有する、請求項1に記載のセパレータプレート。
【請求項8】
前記支持ビードの凹領域は、前記シーリングビードの凸領域の方を向き、及び/又は、前記支持ビードの凸領域は、前記シーリングビードの凹領域の方を向く、請求項1に記載のセパレータプレート。
【請求項9】
前記セパレータプレートは金属層であり、前記シーリングビード及び前記支持ビードは、前記金属層において一体的に形成され、前記セパレータプレート平面に垂直に測定される前記支持ビードの最大エンボス高は、少なくとも前記セパレータプレートの非圧縮状態における前記シーリングビードの最大エンボス高より小さい、請求項1に記載のセパレータプレート。
【請求項10】
前記支持ビードは、前記セパレータプレートの圧縮状態における前記シーリングビードと同程度に、前記セパレータプレート平面から突出する、請求項1に記載のセパレータプレート。
【請求項11】
前記シーリングビード及び支持ビードの延在部(R、R)の主方向は、互いに平行に延在し、及び/又は、前記支持ビードの延在部(R)の主方向は、前記セパレータプレートの縁部に実質的に平行に延在する、請求項1に記載のセパレータプレート。
【請求項12】
前記シーリングビードの前記波状の進路は、少なくとも3、好ましくは少なくとも10、特に少なくとも20の周期を有し、及び/又は、前記支持ビードの前記周期的に変化する幅は、少なくとも3の周期、好ましくは、少なくとも10、特に、少なくとも20の周期を有する、請求項1に記載のセパレータプレート。
【請求項13】
互いに接続され、その下側が互いの方を向き、前記2つのセパレータプレートの前記シーリングビード及び支持ビードは、ビード最上部が互いから離れる方を向くように配置される、請求項1に記載のセパレータプレートを2つ備えるバイポーラプレート。
【請求項14】
前記2つのセパレータプレートが少なくとも1つの溶接接合によって互いに接続され、前記溶接接合は、前記支持ビード及び前記シーリングビードの間に、特に、前記支持ビード及び前記シーリングビードの間の中心に延在する、請求項13に記載のバイポーラプレート。
【請求項15】
前記セパレータプレートは、溶接接合によって、前記支持ビードの両方の側で少なくとも部分的に互いに接続される、請求項13に記載のバイポーラプレート。
【請求項16】
前記セパレータプレート平面に垂直に積層されて積層体となる、請求項1から12のいずれか一項に記載のセパレータプレートを複数備える、及び/又は、請求項13から15のいずれか一項に記載の複数のバイポーラプレートを複数備える電気化学システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気化学システムのセパレータプレート、及び、2つのそのような電気化学システムのセパレータプレートを含むバイポーラプレートに関する。本発明は更に、少なくとも2つのセパレータプレート又は1つのバイポーラプレートを含む電気化学システムに関する。電気化学システムは、燃料電池システム、電気化学コンプレッサ、レドックスフロー電池、又は電気分解装置であり得る。
【0002】
既知の電気化学システムは通常、バイポーラプレートによって互いに分離される電気化学電池の積層体を含む。寸法的に安定かつ構造的に剛性のエンドプレートが通常、積層体の両端に配置される。そのようなバイポーラプレートは、例えば、個別の電気化学電池(例えば燃料電池)の電極を間接的に電気的に接触させるように、及び/又は、隣接する電池を電気的に接続する(電池の直列接続)ために機能し得る。バイポーラプレートは典型的には、共に接合される2つの個別のプレートから形成され、これらは以下、セパレータプレートと称される。バイポーラプレートのセパレータプレートは、物質的に結合される方式で、例えば、1又は複数の溶接接合によって、特に、1又は複数のレーザ溶接接合によって、共に接合され得る。2つのセパレータプレートから構成されるバイポーラプレートがほぼ常に燃料電池システムにおいて使用されるが、2層バイポーラプレート及び単層セパレータプレートの両方が、言及された他の電気化学システムにおいてバイポーラプレートの代わりに使用され得ることが可能である。
【0003】
電気化学電池は典型的には、各場合において、1又は複数の膜電極接合体(MEA)も含む。実際の膜及び触媒層及び電極に加えて、MEAは各々、1又は複数のガス拡散層(GDL)を有し得、これらは通常、バイポーラプレートに向けられ、例えば、金属又は炭素フリースから形成される。膜電極接合体の各々はまた、実際の膜を包囲する補強境界/フレームを含み得る。
【0004】
バイポーラプレート又は個々のセパレータプレートの各々は、例えば、隣接するバイポーラプレートと境界を接する電気化学電池に1又は複数の反応媒体を供給するために、及び/又は、反応生成物をそこから運搬するために設計される構造を有する又は形成し得る。媒体は燃料(例えば、水素又はメタノール)又は反応ガス(例えば空気又は酸素)であり得る。バイポーラプレート又はセパレータプレートはまた、バイポーラプレートを通じて、特に、2層バイポーラプレートの2つのセパレータプレートによって囲まれた空洞を通じて冷却媒体を案内するための構造を有し得る。バイポーラプレートは追加的に、電気化学電池における電気又は化学エネルギーの変換中に生成された廃熱を伝達するために、及び、異なる媒体チャネル及び/又は冷却チャネルを互いに対して及び/又は外側に対してシールするために設計され得る。反応媒体、反応生成物、及び、新鮮な又は加熱された冷却媒体は、「媒体」という用語の下に共にグループ化され得る。
【0005】
さらに、バイポーラプレート又は個々のセパレータプレートの各々は通常、複数の貫通開口を有する。貫通開口を通じて、媒体は、積層方向において、積層体の隣接するセパレータプレートと境界を接する電気化学電池の方へ、又は、バイポーラプレートのセパレータプレートによって形成される空洞内へ送られ得るか、又は、電池の外へ又は空洞の外へ送られ得る。さらに、セパレータプレートはまた、1又は複数の媒体を電気化学電池の活性領域に供給するための、及び/又は、媒体をそこから運搬するためのチャネル構造体を有し得る。この目的で、特に各媒体について、少なくとも2つの貫通開口、少なくとも1つの入口開口及び少なくとも1つの出口開口が、分配領域、流れ領域、及び回収領域を介して互いに流体的に接続され得る。流れ領域は有利なことに、電池の電気化学的活性領域の反対に位置する。分配領域、流れ領域、及び回収領域の各々は、媒体を案内するためのチャネル構造体を有し得る。
【0006】
バイポーラプレート及び膜電極接合体の間、又は、セパレータプレート及び膜電極接合体の間のシールは通常、電気化学的活性領域の外側に配置されたシーリング要素によって生じ、通常、貫通開口の周りに配置される少なくとも1つのポートシール、及び、シーリング要素がシーリングビードとして設計され得る外側シール(周辺シーリング要素)の両方を含む。
【0007】
それぞれの支配的な動作状態に関わらず、シーリング要素が常に良好なシール効果を達成することができるようにするために、特にシーリング要素が弾性的に変形可能、すなわち、少なくとも指定された許容範囲内で可逆的に変形可能であることが望ましい。しかしながら、シーリング要素が許容範囲を超えて変形される場合、シーリング要素の塑性変形、すなわち、不可逆的変形が生じ得る。これは、シーリング要素がもはやそれらのシール効果を実現できないことをもたらし得る。これは、システムの効率を著しく低減し、又は、システムの動作を維持することを完全に不可能にし得る。システムが、例えば水素などの可燃性の高い媒体で動作する場合、又は、そのような媒体が動作中に発生する場合、シーリング要素に対する損傷は、大きい安全上のリスクをもたらすことさえあり得る。バイポーラプレート又はセパレータプレートのシーリング要素の不可逆的変形が、例えば自動車事故の際に生じ得るように、例えばプレート積層体に突然作用する大きい機械的な力の結果として生じ得る。特に、バイポーラプレートが水平に、すなわち、鉛直の積層方向で設置される場合、非常に不均一な地形の上で運転しているとき、及び、大きいポットホール又は同様のものの場合においても、過剰な機械的力がプレート積層体上に生じ得る。しかしながら、例えばその設置場所への積層体の運送中の事故の際では、プレート積層体が設置される前に、大きい機械的な力が突然生じ得ることさえある。
【0008】
例えば衝突に起因して、そのような電気化学電池が力の衝撃を受けるとき、シーリング要素は場合により、著しい変形を受け得る。コンポーネント及びその中を案内される媒体、特に冷却剤の慣性に起因して、衝突中に、バイポーラプレート又はセパレータプレートのシーリング要素上で衝撃の方向に過剰な力が生る。この力は、シーリング要素の永続的変形をもたらし得る。実際の衝突中、力が加わった点から短い距離に位置し、したがって、第1エンドプレートと称されるエンドプレートのより近くに配置されるセパレータプレートのシーリング要素上で、力は特に強く作用する。セパレータプレートの距離が増加するにつれて、衝突中にシーリング要素に作用する力は減少する。積層体がその後「跳ね返る(rebound)」とき、衝撃から遠い側のアンロード(unloaded)されたセパレータプレートのシーリング要素は、第2エンドプレートに対する衝突の結果として突然に圧縮され、ここで、衝撃の場所からのセパレータプレートの距離が増加するにつれて、力はより大きくなる。衝撃波と同等である両方の現象は、全体的な積層体のシールの喪失をもたらし得、したがって、それを使用不能にし得る。
【0009】
したがって、大きい機械的な力の影響下においてさえ不可逆的な塑性変形からシーリング要素を可能な限り保護する支持又は保護機構を有する電気化学システム又はそのセパレータプレートを提供することが有利である。
【0010】
1つの既知の解決手段は、高い強度及び良好な機械的安定性を有する保護コンテナで電気化学システムを囲むことを提供する。しかしながら、衝撃の際に、保護コンテナによって吸収及び/又は除去できないほど大きい衝撃伝達が生じ得る。したがって、それは実質的に軽減されない形式でプレート積層体に伝えられる。さらに、そのような保護コンテナは通常、追加のコスト、重量、設置スペース要件及び材料の支出に関連し、これらは多くの場合、特にモバイル用途では望ましくない。
【0011】
他の既知の解決手段は、電子スイッチオフ機構を提供するが、これらは単に、媒体の流れを遮断するだけであり、機械的破壊からのいかなる保護も提供しない。
【0012】
したがって、可能な限り大きい機械的負荷に耐えることができ、したがって、可能な限り安全な動作を確実にする接合体が作成され得る場合、望ましい。目指す接合体の設置スペース要件及び重量の増加は、既知の解決手段と比較して、可能な限り小さい、又は、ほとんどない必要がある。
【0013】
WO 2019/076813 A1は、衝撃エネルギーを吸収するためのパッド状のショックアブソーバを提示し、これは、例えばその上に配置される又は差し込まれることによって、又は、それに接着的に結合されることによって、バイポーラプレートの境界領域に適用される。したがって、これらのショックアブソーバの適用は、追加の労力に関連し、多くの場合、少なくとも1つの追加的な製造ステップに関連する。US2020/0388858に開示されるものなど、印刷によって適用される、又は、フィルムの形態である圧力アブソーバについても同じである。セパレータプレートの生産が単純化され得る場合、望ましい。
【0014】
したがって、本発明の目的は、よりロバストなセパレータプレート又はバイポーラプレート又は少なくとも1つのセパレータプレートを含む電気化学電池を開発することであり、これにより上で言及された問題を少なくとも部分的に解決する。
【0015】
目的は独立請求項の主題によって達成される。
【0016】
第1態様によれば、セパレータプレート平面を有する、電気化学システムについてのセパレータプレートが提供される。セパレータプレートは:
・セパレータプレートの領域をシールするシーリングビード、シーリングビードは、少なくとも2つの波周期を伴う少なくとも部分的に波状の進路を有する、及び
・特に激突状況において、又は衝撃の際に、シーリングビードを支持するための支持ビード
を含む。
【0017】
支持ビードはシーリングビードから離間され、シーリングビードの波状の進路に沿って延在する。支持ビードは、少なくとも2つの周期を伴う、周期的に変化する非ゼロの幅を有し、支持ビードの幅は、支持ビードの延在の方向に、支持ビードの第1外側ビード下部から第2外側ビード下部へ垂直に測定される。
【0018】
上の衝撃はまた、(設置前の)取り扱い中の衝撃を伴う状況、一般的な外部の力の適用、及び、一般的な「不適切な」加速を含むべきである。
【0019】
直線的に延在するシーリングビードと比較して、波状のシーリングビードは、特にシーリングビードの比較的長い進路にわたってさえ、すなわち、特に周囲ビードの場合において、より大きい剛性を可能にする。しかしながら、ポートビードの場合でも、波状のシーリングビードによって、より高いレベルの力が達成される。隣接するが離間したシーリングビード及び支持ビードの進路は、隣接するコンポーネント、特に、MEA又はその補強境界を支えるように機能する2つの要素をもたらす。動作条件下で圧縮されるとき、シーリングビードは通常、圧縮されない、又は、最小限に圧縮された支持ビードの高さに対応する凡その高さを有する程度に圧縮される。結果として、シーリングビードは、通常動作条件下で弾性的に曲がり、積層体のクランプによって導入される力のほぼすべてを吸収し、一方、支持ビードは、小さい量の力のみを受ける。支持ビードの幅周期は、支持ビードの剛性が、狙った方式で構成されることを可能にし、これは、シーリングビード及び支持ビードの間の力の分配に対して、したがって、衝撃の際に生じ得るような、より強い圧縮下で2つの要素の更なる変形に対して、著しい影響を有する。一定の幅で線形的に延在する支持ビードと比較して、幅が周期的に変化して同等の量の空間を占める支持ビードは、より良好な支持を提供し、したがって、過剰な圧縮の際に圧縮エネルギーをより効果的に吸収するために使用され得る。離間されたナブ(nub)のみから成る支持要素と比較して、より均一で改善された支持効果、すなわち、より高いレベルの力が達成される。したがって、塑性変形が生じる前に、より大きい力が吸収され得る。
【0020】
任意選択的に、支持ビードは、上記ビード下部から開始する2つのビード側面、及び、支持ビードのビード側面の間に延在するビード最上部を含む。特に、セパレータプレートの非圧縮状態において、ビード最上部は、第1部分において実質的に平面であり得るか、又は、セパレータプレート平面に対して凸状であり得、第2部分においてセパレータプレート平面に対して少なくとも1つのアーチ(表面湾曲又はボールト)を有し得、上記アーチは、ビード最上部において窪みとして構成されている。そのようなアーチは、追加の設置スペースを占有することなく、支持ビードの剛性の更なる調整を可能にする。1つの変形例において、少なくとも1つのそのようなアーチは、その凹側上で圧縮不可能なエラストマー製の充填物を有し得;他の変形例において、すべてのアーチはそのような充填物を有しないが、それでもセパレータプレートの表面の残りと同じ方式でコーティングされ得る。
【0021】
任意選択的に、支持ビードの幅は、最小幅及び最大幅の間で変動し得、アーチは、支持ビードの最大幅の領域に配置され、及び/又は、ビード最上部は、最小幅の領域において、平面であるか、又は、セパレータプレート平面に対して凸状である。結果として、支持ビードの剛性は、均一に作られ得るか、又は、そうでなければ、狙った方式で構成され得る。
【0022】
セパレータプレート平面に対するアーチが、最大で支持ビードの波状の進路の周期的に変化する幅の単一周期に及ぶ領域に延在することが提供され得る。例として、アーチは、支持ビードの周期長の10~80%の間の長さにわたって延在し得る。典型的には、周期長あたり1つのアーチの場合、アーチの長さは、周期長の15%~65%の間であり、このアーチは、特に最大幅の領域の中心に延在する。
【0023】
いくつかの実施形態において、ビード最上部は、セパレータプレート平面に対する少なくとも2つのアーチを、特に、幅の周期あたり少なくとも2つのアーチを有し、上記アーチは異なるエンボス深度及び/又は異なる寸法及び/又は異なる幾何学形状を有する。これは、特に異なるレベルの力の適用に関して、特に狙った方式で支持ビードの剛性を調整することを可能にする。
【0024】
アーチは、少なくともセパレータプレートの非圧縮状態において、セパレータプレート平面から少なくとも部分的に離間され、及び/又は、セパレータプレートの圧縮状態において、セパレータプレート平面に少なくとも部分的に位置することが提供され得る。アーチは中央領域を有し、ここで中央領域は、少なくともセパレータプレートの非圧縮状態において、セパレータプレート平面から少なくとも部分的に離間され、及び/又は、セパレータプレートの圧縮状態においてセパレータプレート平面に位置することが提供され得る。非圧縮状態において、アーチ、特にその中央領域は通常、支持ビード、すなわち、特にビード側面より小さい高さを有する。非圧縮状態において、中央領域の高さは、例えば、支持ビードの高さの60%~95%の間、特に、80%~92%の間であり得る。例として、通常動作条件下の圧縮を超えてシーリングビードが圧縮されるとき(これは既に、支持ビードに対する力の適用の増加、したがって、後者の変形をもたらしている)のみ、アーチが支えるようになり、場合よっては更なる力が印加されるときに変形もされることが可能である。他の高さ勾配の場合において、特に、異なる高さの少なくとも2つのアーチがある場合、より大きい高さのアーチ(ここでは第1アーチと称される)は、通常動作条件下で既に支えるようになり得、一方、より大きい圧縮下で、第1アーチは次に圧縮され得、より強い圧縮下で、より小さい高さのアーチ(ここでは第2アーチと称される)も最終的に支えるようになり得、任意選択的に、圧縮もされ得る。
【0025】
支持ビードの第1ビード側面はシーリングビードの方を向き得、周期的及び/又は波状の進路を有し得る。
【0026】
支持ビードの第2ビード側面は、シーリングビードから離れる方を向き得、周期的及び/又は波状の進路又は直線状の進路を有し得る。特に、支持ビードの2つのビード側面が、互いに対して180°ずれている周期的及び/又は波状の進路を有することが可能であり、ここで、各場合においてビード最上部及び関連するビード側面の間の境界管路において測定される振幅は、第1ビード側面の側より第2ビード側面の側で低いことがあり得る。
【0027】
シーリングビードの波周期及び支持ビードの幅周期は多くの場合、同一の周期長及び/又は同一の位相及び/又は実質的に180°シフトされた位相を有する。シーリングビードのビード側面は互いに同相に延在し得るが、支持ビードのビード側面は互いに対して位相が180°シフトした状態で延在し得る。結果として、支持ビードの1つのビード側面は、シーリングビードのビード側面と同相で延在し、支持ビードの他のビード側面は、シーリングビードのビード側面に対して180°シフトした位相で延在することが可能である。特に、シーリングビードの方を向いた支持ビードのビード側面が、シーリングビードのビード側面と同相に延在する場合、好ましい。これは特に、設置スペースの効率的な使用を可能にするが、シーリングビードについての支持ビードの支持効果に対しても有利であり得る。
【0028】
支持ビードの凹領域がシーリングビードの凸領域の方を向き、及び/又は、支持ビードの凸領域がシーリングビードの凹領域の方を向くことが提供され得る。これは特に、シーリングビードの方を向く支持ビードのビード側面及びシーリングビードのビード側面が同相である場合に当てはまる。
【0029】
セパレータプレートは多くの場合、金属層である。この場合、シーリングビード及び支持ビードは通常、金属層において一体的に形成され、セパレータプレート平面に垂直に測定される支持ビードの最大エンボス高は、少なくともセパレータプレートの非圧縮状態においてシーリングビードの最大エンボス高より小さい。アーチが存在する場合、好ましくは、非圧縮状態において、シーリングビードの高さ>支持ビードの高さ>アーチの高さであることが当てはまる。ここで、非圧縮状態とは、特に、セパレータプレートが(まだ)電池積層体に設置されていない、又は、電池及び/又はMEA及びGDLと共に積層されて電池積層体を形成するが、積層体がまだ圧縮されていない状態を意味すると理解されたい。これらの高さの比率は、単層セパレータプレート、及び、特に2つのセパレータプレートから成るバイポーラプレートの一部であるセパレータプレートの両方に当てはまる。
【0030】
支持ビードは通常、セパレータプレートの圧縮状態におけるシーリングビードと同程度にセパレータプレート平面から突出する。これは、例えば衝撃の結果として少なくとも2つの要素のいずれも望ましくない不可逆的変形を受けていない場合に、通常動作状態、及び、より高い圧縮の状態の両方に当てはまり得る。
【0031】
支持ビードは例えば、ビード側面の間に、少なくともシーリングビードの少なくとも2つの波周期に沿って直線的に延在する(実質的な)中心管路を有し得る。
【0032】
シーリングビード及び支持ビードの延在の主方向は、互いに平行に延在し得る。さらに、支持ビードの延在の主方向は、セパレータプレートの縁部に実質的に平行に延在し得る。
【0033】
別の変形例において、支持ビードの幅周期は、シーリングビードの波状の進路の各周期に割り当てられる。
【0034】
シーリングビードは多くの場合、セパレータプレートにおいて形成される貫通開口をシールするためのポートビードとして、又は、セパレータプレートの流れ場をシールするための周囲ビードとして構成される。
【0035】
シーリングビードの波状の進路は、少なくとも3、好ましくは少なくとも10、特に少なくとも20の周期を有し得る。後者の2つの数は特に周囲ビードに関する。支持ビードの周期的に変化する幅はまた、少なくとも3周期、好ましくは少なくとも10、特に少なくとも20周期を有し得る。
【0036】
支持ビードは、シーリングビード及びセパレータプレートの縁部(特に、セパレータプレートの外周を画定する外縁部、又は、セパレータプレートに形成される貫通開口を画定する内縁部)の間、及び/又は、2つのシーリングビードの間に配置されることが提供され得る。
【0037】
例として、支持ビードは、セパレータプレートの角領域又は境界領域に配置される。例として、支持ビードは、電気化学システムの動作中に流体を案内しない領域に配置される。しかしながら、燃料電池システムにおいて、支持ビードはまた、冷却剤を案内する領域に配置され得る。
【0038】
本明細書の別の態様によれば、バイポーラプレートが提供される。バイポーラプレートは、上に記載されたタイプの少なくとも1つ、好ましくは2つのセパレータプレートを含む。2層バイポーラプレートにおいて、セパレータプレートは互いに接続され、その下側が互いの方を向き、2つのセパレータプレートのシーリングビード及び支持ビードはビード最上部が互いから離れる方を向くように配置される。
【0039】
一実施形態において、2つのセパレータプレートは、少なくとも1つの溶接接合によって互いに接続される。溶接接合は、支持ビード及びシーリングビードの間に、特に、支持ビード及びシーリングビードの間の中心に延在し得る。好ましくは、シーリング溶接接合、すなわち、特に、複数の溶接から構成される連続的な溶接接合又は途切れない溶接接合が、支持ビード及びシーリングビードの間に配置される。
【0040】
セパレータプレートは多くの場合、溶接接合によって、支持ビードの両方の側で互いに少なくとも部分的に接続される。特に、支持ビード及びシーリングビードの間のシーリング溶接接合に加えて、短い溶接管路又は溶接点が支持ビードの他の側に、特に、その凹領域に配置される、又は、上記領域に対して横方向にずれている場合、有利であり得、これらの溶接管路又は溶接点は、例えば、圧縮下におけるバイポーラプレートの境界の望ましくない変形を防止する。
【0041】
本明細書の別の態様によれば、電気化学システムが提案される。電気化学システムは、上に記載されるタイプの複数のセパレータプレート、及び/又は、上に記載されるタイプの複数のバイポーラプレートを含む。セパレータプレート及び/又はバイポーラプレートは、セパレータプレート平面に対して垂直に積層されて積層体になる。用途に応じて、電気化学電池が、単層セパレータプレートの間に(例えば、電気分解装置の場合)、又は、2層バイポーラプレートの間に(例えば、燃料電池の場合)配置される。電気化学電池及びセパレータプレート又はバイポーラプレートは、セパレータプレート平面に垂直に積層されて積層体となり、エンドプレートの間に共に圧迫され、任意選択的に、更なるコンポーネントが介在する。
【0042】
電気化学システム及びバイポーラプレートの利点及び有利な実施形態は、主として、セパレータプレートについて有利な記載される利点及び有利な実施形態に対応する。
【0043】
セパレータプレート、バイポーラプレート、及び電気化学システムの例示的実施形態が添付図に示され、以下の説明を基礎として、より詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0044】
図1】積層体に配置された複数のセパレータプレート又はバイポーラプレートを含む電気化学システムを斜視図で概略的に示す。
図2図1に記載のシステムの2つのバイポーラプレートを斜視図で概略的に示し、それらは各々、2つのセパレータプレートから成り、バイポーラプレートの間に膜電極接合体(MEA)が配置されている。
図3A】発明の第1変形例におけるセパレータプレート又はバイポーラプレートの一部の平面図、及び、断面線C-Cに沿った断面を概略的に示す。
図3B】発明の第1変形例におけるセパレータプレート又はバイポーラプレートの一部の平面図、及び、断面線C-Cに沿った断面を概略的に示す。
図4】支持ビードの領域における、図3Aのようなセパレータプレートの一部を斜め図において示す。
図5A】4つの圧縮状態において、図3Aの断面線A-A及びB-Bに沿ったセパレータプレートの概略的断面図を示す。
図5B】4つの圧縮状態において、図3Aの断面線A-A及びB-Bに沿ったセパレータプレートの概略的断面図を示す。
図5C】4つの圧縮状態において、図3Aの断面線A-A及びB-Bに沿ったセパレータプレートの概略的断面図を示す。
図5D】4つの圧縮状態において、図3Aの断面線A-A及びB-Bに沿ったセパレータプレートの概略的断面図を示す。
図5E】4つの圧縮状態において、図3Aの断面線A-A及びB-Bに沿ったセパレータプレートの概略的断面図を示す。
図6図5A図5Eの支持ビードの力-変位特性曲線を示す。
図7】更なる変形例におけるセパレータプレートの平面図を概略的に示す。
図8】更なる変形例における2つのセパレータプレートから成るバイポーラプレートの平面図を概略的に示す。
図9】更なる変形例における2つのセパレータプレートから成るバイポーラプレートの平面図を概略的に示す。
図10】更なる変形例における2つのセパレータプレートから成るバイポーラプレートの平面図を概略的に示す。
図11A】支持及びシーリングビードの可能な進路を有するセパレータプレートの平面図を示す。
図11B】支持及びシーリングビードの可能な進路を有するセパレータプレートの平面図を示す。
図11C】支持及びシーリングビードの可能な進路を有するセパレータプレートの平面図を示す。
図11D】支持及びシーリングビードの可能な進路を有するセパレータプレートの平面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0045】
以降、異なる図に繰り返し現れる特徴は、各場合において、同一又は同様の参照符号によって示される。明確にする目的で、図における参照符号の繰り返しは、場合により省略される。
【0046】
図1は、積層体6に配置され、z方向7に沿って積層されている、構造的に同一の複数の金属バイポーラプレート2を備える電気化学システム1を示す。積層体6のバイポーラプレート2は2つのエンドプレート3、4の間にクランプされている。クランプは、例えば、ストラップ50又はタイロッド又はテンションプレート(ここでは図示せず)によって生じ得る。ストラップの閉鎖機構は、エンドプレート3上に配置され得、示される図では見えない。z方向7は積層方向とも称されることもある。本例において、システム1は、燃料電池積層体である。したがって、積層体のそれぞれの2つの隣接するバイポーラプレート2は、例えば化学エネルギーを電気エネルギーに変換するように機能する電気化学電池と境界を接する。それぞれの場合において、システム1の電気化学電池を形成するために、積層体の隣接するバイポーラプレート2の間に膜電極接合体(MEA)10が配置される(例えば図2を参照)。各MEA10は典型的には少なくとも1つの膜、例えば電解質膜を含む。MEA10は追加的に、電解質膜のフレームとなり実際の電解質膜との重複の領域においてそれを補強するフレーム状補強層を含むことが多い。補強層は通常、電気絶縁性であり、電気化学システム1の動作中に短絡の発生を防止する。
【0047】
代替の実施形態では、システム1は電気分解装置として、電気化学コンプレッサとして、又はレドックスフロー電池としても設計され得る。これらの電気化学システムでは、セパレータプレートも使用され得る。これらのセパレータプレートの構造は次に、ここで詳細に説明されるバイポーラプレート2のセパレータプレート2a、2bの構造に対応し得るが、電気分解装置、電気化学コンプレッサ、又はレドックスフロー電池の場合において、セパレータプレート上で及び/又はそれを通じて案内される媒体は、各場合において、燃料電池システムに使用される媒体と異なり得、任意選択的に、1つだけのセパレータプレート(すなわち、2つのセパレータプレートから成るバイポーラプレートでない)は、互いに最も近くに位置する2つの膜の間に設置される。
【0048】
z軸7は、x軸8及びy軸9と共に右手デカルト座標系に及ぶ。バイポーラプレート2はそれぞれプレート平面を画定し、セパレータプレートのプレート平面の各々は、x-y平面に対して平行に方向付けられ、したがって積層方向又はz軸7に対して垂直に方向付けられる。エンドプレート4は、普通は複数の媒体ポート5を有し、それらを介してシステム1へと媒体を供給することができ、それらを介してシステム1から媒体を排出することができる。システム1へと供給することができ、システム1から排出することができる上記媒体は、例えば水素分子又はメタノールなどの燃料、空気又は酸素などの反応ガス、水蒸気又は減損燃料などの反応生成物、又は水及び/又はグリコールなどの冷却剤を含んでもよい。
【0049】
図2に示される従来のバイポーラプレート2、及び、図3A以降に示される、本発明によるセパレータプレート又はそれらから成るバイポーラプレートの両方は、図1に示される電気化学システムにおいて使用され得る。
【0050】
図2には、図1のシステム1と同じタイプの電気化学システムの、従来技術から知られている2つの隣接するバイポーラプレート2、2'と、同様に従来技術から知られており、これらの隣接するバイポーラプレート2の間に配置された膜電極接合体(MEA)10とが斜視図で示してあり、図2のMEA10は、見る人の方に向いたバイポーラプレート2によって大部分が隠されている。バイポーラプレート2は、物質的に結合される方式で共に接合された2つのセパレータプレート2a、2bで形成され、図2では、これらのうち、見る人の方に向いた第1セパレータプレート2aのみが見えており、上記第1セパレータプレートが第2セパレータプレート2bを隠している。セパレータプレート2a、2bは各々、金属シートから、例えば、任意選択的に(予め)コーティングされたステンレス鋼シートから製造され得る。セパレータプレート2a、2bは、例えば、レーザ溶接接合によって、例えばそれらの外縁部に沿って互いに溶接され得る。
【0051】
セパレータプレート2a、2bは、典型的には、互いに対して整列してバイポーラプレート2の貫通開口11a~cを形成する貫通開口を有する。バイポーラプレート2と同じタイプの複数のバイポーラプレートが積層されると、貫通開口11a~cは、積層体6を通って積層方向7に延在する管路を形成する(図1を参照)。典型的には、貫通開口11a~cによって形成される管路のそれぞれは、システム1のエンドプレート4の媒体ポート5のうちの1つに流体的に接続される。例えば、冷却剤は、貫通開口11aによって形成される管路を介して積層体6に導入され得、一方、冷却剤は、他の貫通開口11aを介して積層体6から排出される。対照的に、貫通開口11b、11cによって形成される管路は、システム1の燃料電池積層体6の電気化学電池へと燃料及び反応ガスを供給し、積層体6から反応生成物を排出するように設計することができる。媒体を案内する貫通開口11a~cは、プレート平面に対して実質的に平行である。
【0052】
積層体6の内部に対して、また周囲環境に対して貫通開口11a~cをシールするために、第1セパレータプレート2aはポートビード12a~cの形態をとったシーリング機構をそれぞれ有し、これらはそれぞれの場合において、貫通開口11a~cの周りに配置され、それぞれの場合において、貫通開口11a~cを完全に包囲する。第2セパレータプレート2bは、図2を見る人に背を向けたバイポーラプレート2の後ろ側に、貫通開口11a~c(図示せず)をシールするための対応するポートビードを有する。断面において、ポートビード12a~12cの各シーリングビードは、少なくとも1つのビード最上部及び2つのビード側面を有し得るが、これらの要素の間の実質的に角のある配置は必須ではなく;湾曲した遷移も提供され得、すなわち、断面が弓形のビード又は凸状の最上部を有するビードも可能である。
【0053】
MEAの電気化学的活性領域18に隣接する第1セパレータプレート2aは、図2を見る人の方に向いたその前側に、セパレータプレート2aの外側に(又は前側にも)沿って反応媒体を案内するための第1構造体14を備えた流れ場17を有する。図2では、これらの第1構造体14は、複数のウェブ、及びウェブの間に延在し、ウェブによって境界を画定されたチャネルによって画定される。図2の見る人の方を向いた、バイポーラプレート2の前側において、第1セパレータプレート2aは追加的に、分配及び回収領域19を有する。分配及び回収領域19は、セパレータプレート2aの外側(又は前側も)に沿って反応媒体を案内するための第2構造体16を含み、これらの第2構造体は、流れ場17の上に、したがって、活性領域18の上に、2つの貫通開口11bの第1のものから隣接分配領域19へ導入される媒体を分配するように、及び、流れ領域17から貫通開口11bの第2のものに向かって流れる媒体を、回収領域19を介して回収又はプールするように設計されている。図2において、第2構造体16、すなわち、分配及び回収領域19の構造は、ウェブによって、及び、ウェブの間に延在しウェブによって画定されるチャネルによって同様に画定される。
【0054】
ポートビード12a~12cは運搬チャネル13a~13cと交差し、それらは、各場合において、すべてのセパレータプレート2a、2bにおいて一体的に形成され、その上方セパレータプレート2aの下側及び下方セパレータプレート2bの上側の両方の上の運搬チャネル13aは、貫通開口11a及び分配領域19の間の接続を形成する。一例として、運搬チャネル13aにより、貫通開口11aと分配及び回収領域19との間を冷却剤が通過することが可能になり、したがって、冷却剤はセパレータプレート2a、2bの間で分配及び回収領域19に入り、そこから外に案内される。
【0055】
上方セパレータプレート2aにおける運搬チャネル13b及び下方セパレータプレート2bにおける運搬チャネル13cは、すべての運搬チャネル13b及び13cを接続する接続チャネル15の側面において、開口部15'と共に、貫通開口11b又は11c及びそれぞれ隣接する分配又は回収領域19の間の対応する接続を確立する。したがって、運搬チャネル13bは、上方セパレータプレート2aの上側で、貫通開口12b及び隣接する分配又は回収領域の間を水素が通過することを可能にする。これらの運搬チャネル13bは、分配又は回収領域の方を向き、プレート平面に対して角度を付けて延在する(ここでは接続チャネル15の側面における)開口部15'と隣り合い、その開口部を通じて水素が流れることができる。運搬チャネル13cは、接続チャネル15の側面における開口部15'と共に、例えば空気が、バイポーラプレート2の後ろ側において、貫通開口12c及び分配又は回収領域の間を通過することを可能にし、その結果、空気は、下方セパレータプレート2bの下側における分配又は回収領域に入り、そこから外へ案内される(図2では見えない)。運搬チャネル及び開口部の可能な更なる実施形態が、例えば、上で言及された文書DE 20 2022 101 861、DE 20 2015 104 972、DE 20 2015 104 973及びDE 102 48 531 A1において開示される。
【0056】
第1セパレータプレート2aはまた、各々、周囲ビード12dの形態である更なるシーリング機構を有し、それは、活性領域18の流れ場17の周りに、また、分配又は回収領域19及び貫通開口11b、11cの周りに延在し、システム1の周囲の環境に対してこれらをシールし、ポートビード12aと共に、貫通開口11aに対して、すなわち、冷却剤回路に対してこれらをシールする。第2セパレータプレート2bは、対応する周囲ビード12dをそれぞれ備える。流れ領域17の構造、分配又は回収領域19及びシーリングビード12a~dの分配又は回収構造は各々、セパレータプレート2aと共に1つの部品として形成され、例えば、エンボス、ハイドロフォーミング、又は深絞りプロセスでセパレータプレート2aにおいて一体的に形成される。第2セパレータプレート2bの対応する流れ場、分配構造及びシーリングビードについても同じである。
【0057】
ポートビード12a~12cは実質的に円形の進路(それにもかかわらず、主に関連する貫通開口11a~11cの形状に依存する)を有するが、周囲ビード12dは、異なる形状の様々な部分を有する。例えば、周囲ビード12dの進路は、少なくとも2つの波状部分を含み得、ポートビード12a~12cも、少なくとも部分的に波状に延在し得る。
【0058】
上で言及したように、本発明は、激突の際における永続的変形から、積層体において圧縮されたセパレータプレート、特に、シーリングビード12a~12dを保護するように設計されている。この目的で、追加の構造、すなわち支持ビードが提供され、これにより、衝撃エネルギーを吸収することを可能にする。後続の図3A図11Dにおいて、平坦なビード最上部を有するシーリングビードが示されているが、これは必須ではない。すなわち、シーリングビードはまた、従来技術についてDE 10 2009 012 730 A1で示されるような、断面が弓形であるビード最上部、及び、それぞれの上方セパレータプレートを有し得る。
【0059】
図3Aは、見る人の方を向くバイポーラプレート2の層を形成する、図1に示されるような、電気化学システム1についてのセパレータプレート2aの部分の平面図を示す。図2のように、運搬チャネル13a~13cを介して分配又は回収領域19(これは次に、MEAの活性領域(図示せず)と反対に位置する流れ場17に流体的に接続される)へ流体的に接続され得る、媒体のための3つの貫通開口11a~11cが提供される。貫通開口11a~11cは各々、ポートビード12a~12cによって、外側から個別にシールされ、周囲ビード12dによって、分配及び回収領域19及び流れ場17と併せてシールされる。一方では、図3Aのセパレータプレート2aは、貫通開口11a~11cの異なる形状によって、ここではすべての貫通開口11a~11cを囲む周囲ビード12dの修正されたルートによって、及び、分配又は回収領域19のナブ状の第2構造体16によって、図2のものと異なる。しかしながら、これらの要素に関して、本発明によるセパレータプレート2a又はバイポーラプレート2も、図2に示されるように設計され得る。
【0060】
他方では、図3Aのセパレータプレート2a及び図2のセパレータプレート2aは、図3Aにおける発明による実施形態のみにおいて示される追加の支持ビード20a、20bによって異なる。
【0061】
したがって、図3Aのセパレータプレート2aは、セパレータプレートの領域の外側、すなわち、貫通開口11a~c又はセパレータプレートの領域全体からシールするための、少なくとも1つのシーリングビード12、具体的にはポートビード12a~12c及び周囲ビード12dを有する。これらのシーリングビードの各々は、少なくとも2つの波周期を有する少なくとも部分的に波状の進路を有し、その各々は周期長Pを有するが、特にその角領域においてそのような波構造無しで設計される。さらに、図3Aのセパレータプレート2aは、特に激突状況又はいくつかの他の種類の衝撃の際にシーリングビード12a~dを支持し、特に過剰な変形から保護する少なくとも1つの支持ビード20、具体的には支持ビード20a、20bを有する。支持ビード20a、20bは、シーリングビード12a~dから離間され、それぞれのシーリングビードの波状の進路に沿って延在する。支持ビード20a、20bは、各々が周期長Pを有する少なくとも2つの周期を有する、周期的に変化する非ゼロの幅Bを有する。ここで、少なくとも支持ビード20aの幅周期の周期長P及びシーリングビード12dの周期長Pは実質的に等しい。支持ビードの幅Bは、支持ビードの延在部Rの方向に垂直に、支持ビード20の第1外側ビード下部21から第2外側ビード下部27まで測定される。ここで、「外側ビード下部」とは、金属シートが平面を出て半径に遷移する、支持ビードの断面における、支持ビード及びシーリングビードがそれに向かって湾曲する、セパレータプレートの側における点を指す。
【0062】
支持ビード20a、20bは各々、2つのビード側面23、24を有し、それらは、特に図4からも明確であるように、上記ビード下部21、27から上向きに上昇し、それらの間にビード最上部22が延在する。図3Aの支持ビード20bは、ビード側面23、24の間で実質的に平面状の方式で延在するビード最上部を有するが、支持ビード20aのビード最上部22は、同様に実質的に平面状である第1部分を有し、一方、セパレータプレート平面に対する少なくとも1つのアーチ30、30a、30bは第2部分において形成され、上記アーチは、ビード最上部22において窪みとして構成される。平面状の最上部22の代わりに、支持ビード20a、20bはまた、上述の第1部分において、セパレータプレート平面からわずかに凸状に湾曲し得る。第1部分における凸状の湾曲とは対照的に、アーチ30、30a、30bは、最上部22の凹状部分として解釈され得る。
【0063】
図3Aにおいて、それぞれの支持ビード20bが、一方ではポートビード12b及び12aの間に、他方ではポートビード12a及び12cの間に配置される。図3Aにおける断面線C-Cに沿った貫通開口11bから貫通開口11aへの断面が図3Bに示される。そこから、支持ビード20bが2つのシーリングビード12a及び12cより低いことが明確である。図3Bは、互いに接続される2つのセパレータプレート2a、2bを示し、その下側は互いの方を向き、一方、2つのセパレータプレート2a、2bのシーリングビード12及び支持ビード20は、ビード最上部22、121が互いから離れる方を指す。ここで、2つのセパレータプレート2a、2bは、支持ビード20及びシーリングビード12の間に、より正確には、支持ビード20及びシーリングビード12の間の中心に部分的に延在する溶接接合41によって互いに接続される。溶接接合41は、支持ビード20の両方の側で少なくとも部分的に延在する。
【0064】
既に言及したように、支持ビードの幅Bは、最小幅及び最大幅の間で変動する。アーチ30は好ましくは、支持ビードの最大幅の領域に配置される。他方、図3Aにおいて分配領域19及び流れ場17に沿って延在する支持ビード20aの部分において示されるように、異なるサイズのアーチ30a、30bが提供される場合、最大及び/又は最高のアーチ30aは、セパレータプレート平面への突出エリアの観点から、支持ビードの最大幅の領域26に配置されることが好ましい。対照的に、支持ビードの最小幅の領域25において、ビード最上部22は好ましくは平面であり、すなわち、アーチ無しで形成され、又は、図4においても示されるように最大でもわずかに凸状に湾曲する。図4は、斜め図における支持ビード20の部分を示す。当該部分は、支持ビードの周期長Pの半分に対応し、最大幅Bmaxの領域26から最小幅Bminの領域25に延在する。一般的には、セパレータプレート平面に対するアーチが最大でも支持ビード20の波状の進路の周期的に変化する幅の単一周期に及ぶ領域にわたって、すなわち、最大でも1周期長Pにわたって延在する場合、好ましい。さらに、支持ビードのビード最上部が、セパレータプレート平面に対して少なくとも2つのアーチ、特に、幅周期あたり少なくとも2つのアーチを有する場合、好ましい。2つのアーチが異なるエンボス深度、及び/又は、異なる寸法、及び/又は、異なる幾何学形状を有する場合、有利である。図4において、支持ビード20は、周期長の半分あたり、1つの完全な短いアーチ30b(その表面積及びその深度の両方の観点において短い)、及び、1つの大きいアーチ30aの半分(その表面積及びその深度の両方の観点において大きい)を有する。したがって、1つの周期長全体あたり、対称的に延在する2つの短いアーチ30b及び1つの大きいアーチ30aがある。
【0065】
図5A図5Eは、支持ビード20の一部、及び、この支持ビードに隣接して延在し、かつ、そこから離間するシーリングビード12の形状が、圧縮の増加につれてどのように変動するかを5つの副図面5A~5Eにおいて示す。各場合における、金属層として構成され、セパレータプレート平面E上に位置するセパレータプレート2aが示される。2つのセパレータプレート2a、2bを含むバイポーラプレート2において、示される領域におけるこのセパレータプレート平面は、2つのセパレータプレート2a、2b間の鏡面に対応する。副図面5A~5Eはそれぞれ、図3Aにおける断面線A-A及び断面線B-Bに沿った、図4の見る人の方を向いた図4の断面に沿った、及び、それにも示される断面線B-Bに沿った断面を示す。したがって、各場合における、図4における断面に示されるより大きいアーチ30aの断面線、及び、図4における斜め図のみに示される短いアーチ30bの断面線が示される。したがって、図5A図5Eの断面図は、各場合における、金属層において一体的に形成されるシーリングビード12及び支持ビード20を示す。明確にする目的で、ビード下部21、27及びビード側面23、24は、より大きいアーチ30aの断面線のみについての参照符号を提供される。同様に、シーリングビードについての2つの断面も示される。支持ビードに隣接して、断面B-Bにおけるシーリングビードの上昇する側面がまず示され、その右に断面A-Aにおけるシーリングビードの上昇する側面が続き、次に、断面B-Bにおけるシーリングビードの下降する側面、及び、最終的に、最も右に示すように、断面A-Aにおけるシーリングビードの下降する側面が続く。
【0066】
図5Aは、圧縮前の状態を示す。シーリングビード12は支持ビード20より明確に大きく、MEA10の補強境界(以下では、単にMEA10とも称される)はシーリングビード上に緩く載っている。支持ビード20の高さは、セパレータプレート平面及びMEA10の間の距離(理想的な形態で示される)を橋渡しすることができない。アーチ30a、30bは、異なる高さ及び幅で、互いに突出し、セパレータプレート2a、2bのこの非圧縮状態において、セパレータプレート平面Eから離間される。セパレータプレート2aのこの非圧縮状態において、セパレータプレート平面に垂直に測定された支持ビード20の最大エンボス高はシーリングビード12の最大エンボス高より小さい。また、部分30aの中央領域31は、セパレータプレート平面Eに関して部分30aの高さより小さい深度を含む。図5Bは、通常動作条件下の状態(すなわち、既に第1圧縮状態)を示す。シーリングビード12及び支持ビード20の両方は、それぞれの最上部121、22を用いてMEA10を支え、シーリングビード12の下部122、123、また、ビード下部21、27は、セパレータプレート平面に位置する、又は、後者に直接隣り合せ、シーリングビード12及び支持ビード20の高さは、各場合において、xである。したがって、通常の動作条件に対応するこの圧縮状態において、支持ビード20は、シーリングビード12と同程度に、セパレータプレート平面から外に突出する。アーチ30a、30bは、セパレータプレート平面Eから対照的に離間されている。これはまた、図6の力-変位特性曲線における最も右に示される圧縮状態である。シーリングビード12は、支持ビード20の高さに弾性的に圧縮され、すなわち、プレート積層体のクランプの結果生じる力を吸収し、また、クランプ要素が許容する程度に、この状態に戻り得る。対照的に、支持ビード20はまだ、いかなる圧縮もまったく受けていないか、又は、わずかな圧縮のみを受けており、すなわち、図5Aと比較してまだ実質的に変形されていない。図5Cは、わずかにより大きい力がセパレータプレート2aに作用する状態を示す。ここで、シーリングビード12及び支持ビード20の両方は高さxまで圧縮される。より大きいアーチの最も低い領域(中央領域31とも称される)は、セパレータプレート平面に到達し、すなわち、また高さxを有する。この状態は、図6の力-変位特性曲線における右の点線に対応する。xからxへの圧縮中に、支持ビードは、ますます多くの力を吸収するが、また、この領域についての図6における上昇する曲線から分かるように、更なる圧縮に対する抵抗の増加を提供する。高さxへのセパレータプレート2aの更なる圧縮中、すなわち、図5Dに示す状態において、シーリングビード12、支持ビード20、及び第1アーチ30aはすべて圧縮を受け、すなわち、シーリングビード12及び支持ビード20は更なる圧縮を受ける。ここでも第2アーチ30bはまだセパレータプレート平面Eを支えていない。図6の力-変位曲線における点線の円によって示されるねじれは、第1アーチ30aも力の吸収を開始し、全体の剛性に寄与する点を強調する。高さxへの更なる圧縮中に、第2アーチも最初に支え、次に圧縮もされ、これは、図6の力-変位特性曲線において、一点鎖線の円によって示されるねじれによって示され、力吸収が更に増加する。したがって、セパレータプレート2aのこの強く圧縮された状態において、アーチ30a、30bは、少なくとも部分的にセパレータプレート平面Eに位置する。対照的に、支持ビード20及びアーチ30a、30bによる力吸収に起因して、シーリングビード12は、例えば衝撃によって誘導される力の小さい割合のみを吸収する。したがって、エネルギーは吸収されるが、シーリングビード12、支持ビード20、及びアーチ30a、30bはすべて、弾性圧縮範囲内にあり、その結果、それらは、何等かの著しい塑性変形無しで、それらの元の状態に戻り得る。
【0067】
図7は、このセパレータプレート2aの側縁部61に隣接するセパレータプレート2aの部分の平面図を示す。側縁部61及び波状のシーリングビード12の間には、示されるエリア全体において、波状のシーリングビードと同一の数の周期である周期的に変化する非ゼロの幅Bを有する支持ビード20が延在する。支持ビードは常に、周期長Pあたり1つのアーチ30を有する。図3A図3Bにおける水平に延在する支持ビードと比較して、ここでのアーチ30は遥かに大きく;それらは周期長の約1/3にわたって延在し、ビード最上部22の最大幅の約2/3に対応する最大幅を有する。支持ビード20は、そのアーチ30と共に、延在部Rのその主方向に関して鏡面対称である。支持ビード20は、幅周期の観点から、正弦波に対応しないが、その周期長Pは、シーリングビード12の周期長Pに等しい。支持ビード20の第1ビード側面23は、シーリングビード12の波形と同一の位相を有するが、第2ビード側面24は、それに対して180°シフトされた位相を有する。結果として、支持ビード20の凹領域は、シーリングビード12の凸領域の方を向き、支持ビード20の凸領域は、シーリングビード12の凹領域の方を向く。図7の例において、側縁部61には凹部69が提供され、これは、例えば、図1に示すようなクランプストラップ50を収容するように機能し得る。
【0068】
図8は、やはり側縁部61に隣接するバイポーラプレート2のセパレータプレート2aの一部の平面図を示す。ここで支持ビード20は、非対称性を有し;幅の変化は、第2ビード側面24に隣接する部分と比べて、第1ビード側面23に隣接する部分で、より目立っている。これは、設置スペースのより良い使用を可能にする。アーチ30a、30bは、図4と実質的に同等である。バイポーラプレート2の2つのセパレータプレートは、支持ビード20及びシーリングビード12の間の領域40における連続的な溶接41によって互いにシーリング接続される。溶接41は、シーリングビード12の側面及び支持ビード20の第1側面23と同一の周期長及び同一の位相で、波状に、シーリングビード12及び支持ビード20の間の中心に延在する。これにより、支持ビード20及びシーリングビード12の間の必要な離間を最小限にすることが可能となる。加えて、バイポーラプレート2のセパレータプレートは、側縁部61に隣接し、第2ビード側面24の凹領域に隣接する短い溶接部分41'によって接続される。これにより、そのような溶接41無しで、セパレータプレートについて図5D及び5Eに示されるように、より強い圧縮下における側縁部61の任意の曲げを回避することが可能となる。図7のように、シーリングビード12の延在部Rの主方向及び支持ビード20の延在部Rの主方向は、互いに平行に、また、セパレータプレート2aの隣接する縁部61に実質的に平行に延在する。
【0069】
図9は、同様に側縁部61に隣接する、バイポーラプレート2の別のセパレータプレート2aの部分の平面図を示す。ここで、支持ビード20は非対称であり、その結果、第1ビード側面23のみが波状の進路を有する一方、第2ビード側面24は、側縁部61に対して平行に、直線的に延在する。それにもかかわらず、支持ビード20はなお周期的に変化する非ゼロの幅Bを有する。そのような解決手段は、空間の理由から好ましいことがあり得る。それはまた、2つのセパレータプレートが、溶接41によって側縁部61に沿って空間を節約する方式で連続的に溶接されることを可能にする。強い圧縮下において、支持ビード20及びシーリングビード12の間の領域40における望ましくない上昇を回避するために、この領域に溶接41'が追加的に提供され得る。ここで、図4及び8と同様の方式で、支持ビード20は、周期長あたり3つのアーチ30a、30bを有し、上記アーチのいくつかは、異なる形状である。大きいアーチ30aが支持ビードの領域において実質的に中心に形成されるが、前のように、短いアーチ30bが第2ビード側面24の方へ少しシフトされる。これらのアーチ間の領域33は、ビード最上部22のレベルに到達しない。代わりに、ビード最上部22と比較して幾分低下するが、この低下は、より小さいアーチ30bのものより小さい。これらの変更された形状は、シーリングビード12、支持ビード20、及びアーチ30a、30bから成る効果的なユニットの剛性の更に狙いを定めて調整を可能にする。アーチ30a、30b及び中間領域33から成る組み合わせに代えて、例えば、傾斜する底部を有する単一のアーチがセパレータプレートにおいて一体的に形成されることも可能である。
【0070】
図10は、やはり側縁部61に隣接する、バイポーラプレート2の別のセパレータプレート2aの部分の平面図を示す。実施形態は図8のものと同様である。しかしながら、小さいアーチ30bはここでは円形でなく、代わりに、上記方向の垂直の方向に比べて、延在部Rの主方向に沿った、より大きい延在部を有する。これは、剛性お更なる調整を可能にする。図8と異なる方式において、支持ビード20は鏡面対称である。さらに、支持ビード20のビード側面23、24は各々、異なる勾配の2つの領域を有する。支持ビードのビード側面のそのような設計は、まだ公開されていない独国実用新案登録出願DE 20 2022 106 505.5に説明されるような、圧縮挙動の更に細かい調整を可能にする。上記文書の内容は、参照によって本明細書に完全に組み込まれる。
【0071】
支持ビード20a、20bは、図3Aに示されるようにセパレータプレートと併せて使用され得る。しかしながら、セパレータプレート2a又はバイポーラプレート2において、支持ビード20aのみ、例えば、アーチを有する支持ビード、及び/又は、支持ビード20b、例えば、アーチを有しない支持ビードを使用することも可能である。図11A~11Dは、セパレータプレート2a又はバイポーラプレート2における支持ビード20の異なる配置を示す。各場合において、支持ビード20は、外周のシーリングビード12dに沿って、そこから離間する方式で延在し、更には、延在の主方向に関してこの周囲ビード12dに主に平行に延在する。シーリングビード12dは、少なくとも2つの波周期を有する波状の進路を少なくとも部分的に有する。しかしながら、波状の進路は、角領域62において中断される。周囲ビード12dの波状の進路は、より長い側において、側縁部61に沿って3より多い、又は、10より多い周期、更には、20より多い周期、及び、30より多い波周期を有する。図11Aにおける支持ビード20は、すべての側縁部61の進路全体に沿って、少なくとも2つの周期を伴う周期的に変化する非ゼロの幅を有するように構成されるが、それはまた、図11B~11Dにおけるセパレータプレート2a又はバイポーラプレート2の概略的平面図に示されるように、側縁部61に沿って部分的にのみ延在し得る。図11Aにおいて、支持ビードの周期的に変化する幅は、3より多い周期、10より多い周期、及び、より長い側縁部では、更には20より多い周期にわたって延在する。4つの実施形態すべてにおいて、シーリングビード12d及び支持ビード20の間の領域40において、セパレータプレート2aは、実質的に平面的な方式で、セパレータプレート平面に平行に延在し、エンボス構造を有しない。
【0072】
図11Bにおいて、支持ビードは、セパレータプレート2aの外周を画定する側縁部61、及び、シーリングビード12dの間に配置され、周囲の一部に、特に角領域62において、及び、各場合においてセパレータプレート2aの側縁部61の中央に沿って延在する。図11Cにおいて、外側境界領域60における支持ビード20は、多くの短い部分、及び、角領域に延在する、より長い部分から成る。これらの部分の各々は、周期的に変化する幅の少なくとも2つの周期にわたって延在する。対照的に、図11Dの実施形態において、支持ビード20の進路は、角領域62に実質的に限定される。
【0073】
参照符号のリスト:
1 電気化学システム
2 バイポーラプレート
2' 第2バイポーラプレート
2a セパレータプレート
2b セパレータプレート
3 エンドプレート
4 エンドプレート
5 媒体ポート
6 積層体
7 z方向
8 x方向
9 y方向
10 膜電極接合体
11a~c 貫通開口
12、12a~d シーリングビード
121 シーリングビードの最上部
122 シーリングビードのビード下部
123 ロードシーリングビードのビード下部
13a~c 運搬チャネル
14 第1構造体
15 接続チャネル
15' 接続チャネルの側面における開口部
16 第2構造体
17 流れ場
18 活性領域
19 分配又は回収領域
20、20a~c 支持ビード
21 支持ビードの第1ビード下部
22 支持ビードのビード最上部
23 支持ビードの第1ビード側面
24 支持ビードの第2ビード側面
25 支持ビードの最小幅の領域
26 支持ビードの最大幅の領域
27 支持ビードの第2ビード下部
30 湾曲
30a 第1湾曲
30b、30b' 第2湾曲
31 湾曲の中央領域
33 中間領域/遷移領域
40 支持ビード及びシーリングビードの間の領域
41 シーリング溶接接合
41' 非シーリング、部分的なだけの溶接接合
60 外側境界領域
61 側縁部
62 角領域
69 凹部
max 支持ビードの最大幅
min 支持ビードの最小幅
シーリングビードの周期長
支持ビードの周期長
シーリングビードの延在部の主方向
R 支持ビードの延在部の主方向
(他の可能な項目)
(項目1)
セパレータプレート平面(E)を有する電気化学システム(1)についてのセパレータプレート(2a、2b)であって、
前記セパレータプレートの領域をシールするためのシーリングビード(12)、前記シーリングビード(12)は、少なくとも断面において、少なくとも2つの波周期(P)を伴う波状の進路を有する、及び
特に激突状況において、又は、衝撃の際に、前記シーリングビード(12)を支持するための支持ビード(20、20a、20b)
を備え、
ここで、前記支持ビード(20、20a、20b)は、前記シーリングビード(12)から離間され、前記シーリングビード(12)の前記波状の進路に沿って延在し、
ここで、前記支持ビード(20、20a、20b)は、少なくとも2つの周期(P)を伴う、周期的に変化する非ゼロの幅(B)を有し、前記支持ビードの前記幅は、前記支持ビード(20、20a、20b)の延在部(R)の方向に垂直に、前記支持ビード(20、20a、20b)の第1外側ビード下部(21)から第2外側ビード下部(24)へ測定される、
セパレータプレート。
(項目2)
前記支持ビード(20、20a、20b)は、前記ビード下部(21、27)から開始する2つのビード側面(23、24)、及び、前記支持ビード(20、20a、20b)の前記ビード側面(23、24)の間に延在するビード最上部(22)を含み、前記ビード最上部(22)は、第1部分において、実質的に平面であるか、又は、前記セパレータプレート平面(E)に対して凸状であり、第2部分において、前記セパレータプレート平面(E)に対して少なくとも1つのアーチ(30、30a、30b)を有し、前記アーチは、前記ビード最上部(22)における窪みとして構成されている、項目1に記載のセパレータプレート(2a、2b)。
(項目3)
前記支持ビードの前記幅は、最小幅(Bmin)及び最大幅(Bmax)の間で変動し、前記アーチ(30、30a)は、前記支持ビード(20、20a、20b)の前記最大幅(Bmax)の前記領域に配置され、及び/又は、前記ビード最上部(22)は、平面であるか、又は、前記最小幅(Bmin)の前記領域において前記セパレータプレート平面に対して凸状である、項目2に記載のセパレータプレート(2a、2b)。
(項目4)
前記セパレータプレート平面に対する前記アーチ(30、30a、30b)は、最大で、前記支持ビード(20、20a、20b)の前記周期的に変化する幅の単一周期に及ぶ領域において延在する、項目2から3のいずれか一項に記載のセパレータプレート(2a、2b)。
(項目5)
前記ビード最上部は、前記セパレータプレート平面に対する少なくとも2つのアーチ(30、30a、30b)、特に、前記幅の周期あたり少なくとも2つのアーチ(30、30a、30b)を有し、前記アーチは、異なるエンボス深度及び/又は異なる寸法及び/又は異なる幾何学形状を有する、項目2から4のいずれか一項に記載のセパレータプレート(2a、2b)。
(項目6)
前記アーチ(30、30a、30b)は、少なくとも前記セパレータプレート(2a、2b)の非圧縮状態において、前記セパレータプレート平面から少なくとも部分的に離間され、及び/又は、前記セパレータプレート(2a、2b)の圧縮状態において、少なくとも部分的にセパレータプレート平面に位置する、項目2から5のいずれか一項に記載のセパレータプレート(2a、2b)。
(項目7)
前記シーリングビード(12)の前記波周期及び前記支持ビード(20、20a、20b)の前記幅周期は、同一の周期長及び/又は同一の位相及び/又は実質的に180°シフトされた位相を有する、項目1から6のいずれか一項に記載のセパレータプレート(2a、2b)。
(項目8)
前記支持ビード(20、20a、20b)の凹領域は、前記シーリングビード(12)の凸領域の方を向き、及び/又は、前記支持ビード(20、20a、20b)の凸領域は、前記シーリングビード(12)の凹領域の方を向く、項目1から7のいずれか一項に記載のセパレータプレート(2a、2b)。
(項目9)
前記セパレータプレート(2a、2b)は金属層であり、前記シーリングビード(12)及び前記支持ビード(20、20a、20b)は、前記金属層において一体的に形成され、前記セパレータプレート平面に垂直に測定される前記支持ビード(20、20a、20b)の最大エンボス高は、少なくとも前記セパレータプレート(2a、2b)の非圧縮状態における前記シーリングビード(12)の最大エンボス高より小さい、項目1から8のいずれか一項に記載のセパレータプレート(2a、2b)。
(項目10)
前記支持ビード(20、20a、20b)は、前記セパレータプレート(2a、2b)の圧縮状態における前記シーリングビード(12)と同程度に、前記セパレータプレート平面から突出する、項目1から9のいずれか一項に記載のセパレータプレート(2a、2b)。
(項目11)
前記シーリングビード(12)及び支持ビード(20、20a、20b)の延在部(R、R)の主方向は、互いに平行に延在し、及び/又は、前記支持ビード(20、20a、20b)の延在部(R)の主方向は、前記セパレータプレート(2a、2b)の縁部(61)に実質的に平行に延在する、項目1から10のいずれか一項に記載のセパレータプレート(2a、2b)。
(項目12)
前記シーリングビード(12)の前記波状の進路は、少なくとも3、好ましくは少なくとも10、特に少なくとも20の周期を有し、及び/又は、前記支持ビード(20、20a、20b)の前記周期的に変化する幅は、少なくとも3の周期、好ましくは、少なくとも10、特に、少なくとも20の周期を有する、項目1から11のいずれか一項に記載のセパレータプレート(2a、2b)。
(項目13)
互いに接続され、その下側が互いの方を向き、前記2つのセパレータプレート(2a、2b)の前記シーリングビード(12)及び支持ビード(20、20a、20b)は、ビード最上部(22、121)が互いから離れる方を向くように配置される、項目1から12のいずれか一項に記載のセパレータプレート(2a、2b)を2つ備えるバイポーラプレート(2)。
(項目14)
前記2つのセパレータプレート(2a、2b)が少なくとも1つの溶接接合(41)によって互いに接続され、前記溶接接合(41)は、前記支持ビード(20、20a、20b)及び前記シーリングビード(12)の間に、特に、前記支持ビード(20、20a、20b)及び前記シーリングビード(12)の間の中心に延在する、項目13に記載のバイポーラプレート(2)。
(項目15)
前記セパレータプレート(2a、2b)は、溶接接合(41)によって、前記支持ビード(20、20a、20b)の両方の側で少なくとも部分的に互いに接続される、項目13または14に記載のバイポーラプレート(2)。
(項目16)
前記セパレータプレート平面(E)に垂直に積層されて積層体(6)となる、項目1から12のいずれか一項に記載の複数のセパレータプレート(2a、2b)、及び/又は、項目13から15のいずれか一項に記載のバイポーラプレート(2)を複数備える電気化学システム(1)。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図6
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B
図11C
図11D
【外国語明細書】