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特開2024-89679情報管理装置、情報処理装置、情報管理システム、情報管理方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024089679
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】情報管理装置、情報処理装置、情報管理システム、情報管理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/137 20060101AFI20240627BHJP
   B65G 1/04 20060101ALI20240627BHJP
【FI】
B65G1/137 G
B65G1/04 503
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022205012
(22)【出願日】2022-12-22
(71)【出願人】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】菊地 正哲
【テーマコード(参考)】
3F022
3F522
【Fターム(参考)】
3F022AA15
3F022CC00
3F022EE02
3F022HH04
3F022JJ12
3F022KK01
3F022MM08
3F022MM22
3F022MM26
3F022MM35
3F022MM44
3F022NN02
3F022PP06
3F522AA02
3F522BB01
3F522BB24
3F522BB28
3F522BB37
3F522CC01
3F522CC05
3F522CC06
3F522CC19
3F522DD01
3F522DD22
3F522DD23
3F522DD33
3F522DD37
3F522EE15
3F522FF05
3F522FF12
3F522GG03
3F522GG05
3F522GG06
3F522GG23
3F522GG32
3F522GG44
3F522JJ02
3F522KK08
3F522LL28
3F522LL36
3F522LL42
(57)【要約】
【課題】より適切に物体の位置を管理する。
【解決手段】情報管理装置は、空間を移動する移動体から、移動体の周囲における物体の検出結果に係る検出情報を取得し、検出情報及び移動体の位置情報を含む第1の情報に基づいて特定される空間の少なくとも一部における物体の有無に係る第1の状態と、空間における物体の位置に係る情報を含む第2の情報に基づいて特定される空間の少なくとも一部における物体の有無に係る第2の状態と、が整合するか否かを判別し、第1の状態と第2の状態とが整合しないと判別された場合に、第2の状態が第1の状態と整合するように第2の情報を更新する。
【選択図】図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空間を移動する移動体から、前記移動体の周囲における物体の検出結果に係る検出情報を取得し、
前記検出情報及び前記移動体の位置情報を含む第1の情報に基づいて特定される前記空間の少なくとも一部における物体の有無に係る第1の状態と、前記空間における物体の位置に係る情報を含む第2の情報に基づいて特定される前記空間の前記少なくとも一部における物体の有無に係る第2の状態と、が整合するか否かを判別し、
前記第1の状態と前記第2の状態とが整合しないと判別された場合に、前記第2の状態が前記第1の状態と整合するように前記第2の情報を更新する、
処理部を備える情報管理装置。
【請求項2】
前記処理部は、前記第1の情報に基づいて前記空間における或る位置に物体があると特定され、前記第2の情報に基づいて前記空間における前記或る位置に物体がないと特定された場合に、前記第1の状態と前記第2の状態とが整合しないと判別する、
請求項1に記載の情報管理装置。
【請求項3】
前記処理部は、前記第1の情報に基づいて前記空間における或る位置に物体がないと特定され、前記第2の情報に基づいて前記空間における前記或る位置に物体があると特定された場合に、前記第1の状態と前記第2の状態とが整合しないと判別する、
請求項1に記載の情報管理装置。
【請求項4】
前記処理部は、前記第1の状態と前記第2の状態とが整合しないと判別された場合に、
前記空間のうち前記第1の状態と前記第2の状態との間で不整合が生じている不整合位置に係る第3の情報であって、前記検出情報に含まれない情報を含む第3の情報を前記移動体に取得させ、前記第3の情報を前記移動体から取得し、
取得した前記第3の情報に基づいて、前記第2の状態が前記第1の状態と整合するように前記第2の情報を更新する、
請求項1に記載の情報管理装置。
【請求項5】
前記第3の情報は、前記不整合位置にある物体の識別情報を含む、
請求項4に記載の情報管理装置。
【請求項6】
空間を移動する移動体に設けられた情報処理装置であって、
前記移動体の周囲における物体の検出結果に係る検出情報を取得し、
取得した前記検出情報を、当該検出情報及び前記移動体の位置情報を含む第1の情報に基づいて特定される前記空間の少なくとも一部における物体の有無に係る第1の状態と、前記空間における物体の位置に係る情報を含む第2の情報に基づいて特定される前記空間の前記少なくとも一部における物体の有無に係る第2の状態と、が整合するか否かを判別する情報管理装置に送信する、
処理部を備える情報処理装置。
【請求項7】
前記処理部は、前記情報管理装置からの指示に応じて、前記空間のうち前記第1の状態と前記第2の状態との間で不整合が生じている不整合位置に係る第3の情報であって、前記検出情報に含まれない情報を含む第3の情報を取得し、取得した前記第3の情報を前記情報管理装置に送信する、
請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記処理部は、前記第3の情報を取得するための動作を前記移動体に行わせるように、前記移動体の操作者に対して操作を促すための報知を報知部に行わせる、
請求項7に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記処理部は、前記移動体が有する撮像部が前記不整合位置を撮像した画像から、前記不整合位置にある物体の識別情報を含む前記第3の情報を取得する、
請求項7又は8に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記空間には、固有の発光パターンで発光する複数の光源が設けられており、
前記処理部は、
前記移動体が有する撮像部が撮像した画像において、前記発光パターンに基づいて前記光源を特定し、前記画像における前記光源の位置と、前記空間における前記光源の既知の位置と、に基づいて、前記空間における前記移動体の位置を導出して前記位置情報を取得し、
取得した前記位置情報を前記検出情報とともに前記情報管理装置に送信する、
請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項11】
情報管理装置と、空間を移動する移動体に設けられた情報処理装置と、を備え、
前記情報処理装置は、
前記移動体の周囲における物体の検出結果に係る検出情報を取得して当該検出情報を前記情報管理装置に送信する第1の処理部を備え、
前記情報管理装置は、
前記検出情報及び前記移動体の位置情報を含む第1の情報に基づいて特定される前記空間の少なくとも一部における物体の有無に係る第1の状態と、前記空間における物体の位置に係る情報を含む第2の情報に基づいて特定される前記空間の前記の少なくとも一部における物体の有無に係る第2の状態と、が整合するか否かを判別し、
前記第1の状態と前記第2の状態とが整合しないと判別された場合に、前記第2の状態が前記第1の状態と整合するように前記第2の情報を更新する、
第2の処理部を備える、情報管理システム。
【請求項12】
コンピュータが実行する情報管理方法であって、
空間を移動する移動体から、前記移動体の周囲における物体の検出結果に係る検出情報を取得し、
前記検出情報及び前記移動体の位置情報を含む第1の情報に基づいて特定される前記空間の少なくとも一部における物体の有無に係る第1の状態と、前記空間における物体の位置に係る情報を含む第2の情報に基づいて特定される前記空間の前記少なくとも一部における物体の有無に係る第2の状態と、が整合するか否かを判別し、
前記第1の状態と前記第2の状態とが整合しないと判別された場合に、前記第2の状態が前記第1の状態と整合するように前記第2の情報を更新する、
情報管理方法。
【請求項13】
コンピュータに、
空間を移動する移動体から、前記移動体の周囲における物体の検出結果に係る検出情報を取得する処理、
前記検出情報及び前記移動体の位置情報を含む第1の情報に基づいて特定される前記空間の少なくとも一部における物体の有無に係る第1の状態と、前記空間における物体の位置に係る情報を含む第2の情報に基づいて特定される前記空間の前記少なくとも一部における物体の有無に係る第2の状態と、が整合するか否かを判別する処理、
前記第1の状態と前記第2の状態とが整合しないと判別された場合に、前記第2の状態が前記第1の状態と整合するように前記第2の情報を更新する処理、
を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報管理装置、情報処理装置、情報管理システム、情報管理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、倉庫等の空間における荷物等の物体の位置を管理する情報管理システムが知られている。例えば特許文献1には、管理対象の物体(荷物)に付されたバーコードを読み取ることで物体を識別し、情報管理システムによる管理下で、コンベアやフォークリフトによって各物体を倉庫の決められた位置に保管して管理する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平4-12903号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の従来技術では、情報管理システムの管理下にないフォークリフトや人の手によって管理対象の物体が移動されると、管理上の物体の位置と実際の物体の位置との間に不整合が生じ、物体の位置を適切に管理することができなくなるという課題がある。
【0005】
本発明は、より適切に物体の位置を管理することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明に係る情報管理装置は、
空間を移動する移動体から、前記移動体の周囲における物体の検出結果に係る検出情報を取得し、
前記検出情報及び前記移動体の位置情報を含む第1の情報に基づいて特定される前記空間の少なくとも一部における物体の有無に係る第1の状態と、前記空間における物体の位置に係る情報を含む第2の情報に基づいて特定される前記空間の前記少なくとも一部における物体の有無に係る第2の状態と、が整合するか否かを判別し、
前記第1の状態と前記第2の状態とが整合しないと判別された場合に、前記第2の状態が前記第1の状態と整合するように前記第2の情報を更新する、
処理部を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、より適切に物体の位置を管理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】荷物管理システムの構成を示す図である。
図2】車両の機能構成を示すブロック図である。
図3】情報管理装置の機能構成を示すブロック図である。
図4】倉庫の構成を示す模式図である。
図5】ステータスデータの内容例を示す図である。
図6】倉庫管理データの内容例を示す図である。
図7】倉庫管理データに基づいて特定される荷物の配置を示す図である。
図8】第1の状態及び第2の状態を示す図である。
図9図5のステータス情報I4に対応する第1の状態及び第2の状態を示す図である。
図10】車両制御処理の制御手順を示すフローチャートである。
図11】ステータス情報送信処理の制御手順を示すフローチャートである。
図12】倉庫管理データ更新処理の制御手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0010】
(荷物管理システムの構成)
図1は、荷物管理システム1の構成を示す図である。
本実施形態の荷物管理システム1(情報管理システム)は、荷物70(物体)を保管するための倉庫500に設けられている。荷物管理システム1は、倉庫500内の空間500aを移動する車両10(移動体)と、情報管理装置20と、空間500aに設けられた複数のLEDマーカー30(光源)などを備える。車両10は、情報管理装置20との間で無線による通信経路を介したデータの送受信が可能となっている。荷物管理システム1は、倉庫500に入庫して保管される複数の荷物70の保管位置等を管理する。以下では、倉庫500の空間500aにおける車両10や荷物70の位置をXYZ直交座標系により表す。X方向及びY方向は、倉庫500の床面に平行であり、Z方向は鉛直方向上向きであるものとする。情報管理装置20は、倉庫500の外部や遠隔地に設けられていてもよい。
LEDマーカー30は、倉庫500の天井等に取り付けられている。各LEDマーカー30の空間500aにおける位置(XYZ座標)は、予め特定されている。複数のLEDマーカー30の各々は、赤、緑及び青の光を発する3つのLED(Light Emitting Diode)を有し、固有の発光パターンで発光する。すなわち、各LEDマーカー30は、LEDマーカー30ごとに予め定められたパターンで、発光色を時系列に沿って変化させる。
【0011】
車両10は、本実施形態ではフォークリフトである。車両10は、荷物70が載置されるフォーク10a(載置部)と、フォーク10aを昇降させるマスト10bと、2つのカメラ14(撮像部)などを有する。車両10は、搭乗者(操作者)の操作に応じて、フォーク10aにより荷物70を持ち上げたり(取り上げたり)、フォーク10aに載置された荷物70を移動させたり、フォーク10aから荷物70を降ろして保管場所に置いたりすることができる。荷物70は、パレット71(台座)の上に載置された状態で、パレット71ごとフォーク10aにより持ち上げられる。パレット71は、平面視で略正方形の偏平な直方体形状の部材であり、一対の側面間を貫通する2つの挿通穴71aが設けられている。この2つの挿通穴71aにそれぞれフォーク10aを挿通した状態でフォーク10aを上昇させることで、パレット71及び荷物70を持ち上げることができる。
【0012】
図2は、車両10の機能構成を示すブロック図である。
車両10は、端末装置100(情報処理装置)と、載置荷物検出部11と、物体検出部12(検出部)と、入力装置13と、カメラ14などを備える。端末装置100は、CPU101(Central Processing Unit)(1以上の処理部、1以上の第1の処理部)と、RAM102(Random Access Memory)と、記憶部103と、操作表示部104と、通信部105などを有する。車両10の各部は、PoEハブ等を含む通信経路16を介して接続されている。
【0013】
端末装置100は、例えばノートPC、タブレット端末又はスマートフォンなどであるが、これらに限られない。また、端末装置100は、必ずしも車両10と別個に設けられたものでなくてもよく、予め車両10の一部として組み込まれたものであってもよい。
【0014】
端末装置100のCPU101は、記憶部103に記憶されているプログラム1031を読み出して実行し、各種演算処理を行うことで、端末装置100及び車両10の動作を制御するプロセッサである。なお、端末装置100は、複数のプロセッサ(複数のCPU等)を有していてもよく、本実施形態のCPU101が実行する複数の処理を、当該複数のプロセッサが実行してもよい。この場合には、複数のプロセッサが1以上の処理部に相当する。また、この場合において、複数のプロセッサが共通の処理に関与してもよいし、あるいは、複数のプロセッサが独立に異なる処理を並列に実行してもよい。
RAM102は、CPU101に作業用のメモリ空間を提供し一時データを記憶する。
【0015】
記憶部103は、コンピュータとしてのCPU101により読み取り可能な非一時的な記録媒体であり、プログラム1031及び各種データを記憶する。記憶部103は、例えばHDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)等の不揮発性メモリを含む。記憶部103に記憶されるデータとしては、カメラ14による撮像画像に係る撮像画像データ1032、車両10の状態を表すステータスデータ1033、及びLEDマーカー位置データ1034などがある。このうちLEDマーカー位置データ1034には、各LEDマーカー30の発光パターンと、空間500aにおけるLEDマーカー30の位置とが対応付けられて記憶されている。
【0016】
操作表示部104は、CPU101からの表示制御信号に従って表示を行う表示装置と、ユーザによる入力操作を受け付けて当該入力操作に応じた操作情報をCPU101に出力する入力装置(例えば、タッチパネル等)とを有する。
【0017】
通信部105は、ネットワークカード又は通信モジュール等により構成され、情報管理装置20との間で所定の通信規格に従ってデータの送受信を行う。例えば通信部105は、Wi-Fi(登録商標)などの無線通信によりデータの送受信を行う。
【0018】
載置荷物検出部11は、フォーク10aに荷物70が載置されているか否かを検出し、検出結果を端末装置100のCPU101に出力する。載置荷物検出部11による荷物70の検出方法は、特には限られず、例えば荷物70の重量を検出する方法、フォーク10a上の荷物70との距離を検出する方法、荷物70を撮像する方法などであってもよい。
【0019】
物体検出部12は、車両10の周囲(本実施形態では、前方、後方、左方、右方)における物体(車両10から所定の基準距離範囲内に位置する荷物70や障害物等)を検出し、検出結果を端末装置100のCPU101に出力する。物体検出部12による物体の検出方法は、特には限られず、例えば2Dカメラや深度カメラにより物体を撮影する方法、又は距離センサにより車両10から物体までの距離を検出する方法などであってもよい。
【0020】
入力装置13は、荷物70に付された荷物IDを読み取って端末装置100に入力する。入力装置13は、荷物70に付されたシンボル(バーコードや二次元コード等)を読み取ってデコードすることで荷物IDを取得するバーコードリーダであってもよい。
【0021】
カメラ14は、所定のフレームレートで倉庫500内の空間500aを撮像し、その撮像画像データ1032を端末装置100に出力する。図1に示すように、車両10には車両10の前方上方及び後方上方をそれぞれ撮像する2つのカメラ14が設けられている。
【0022】
図3は、情報管理装置20の機能構成を示すブロック図である。
情報管理装置20は、CPU21(1以上の処理部、1以上の第2の処理部)と、RAM22と、記憶部23と、通信部24などを備える。情報管理装置20の各部は、バス25を介して接続されている。情報管理装置20は、ユーザによる入力操作を受け付ける操作部や、各種表示を行う表示部をさらに備えていてもよい。
【0023】
CPU21は、記憶部23に記憶されているプログラム231を読み出して実行し、各種演算処理を行うことで、情報管理装置20の動作を制御するプロセッサである。なお、情報管理装置20は、複数のプロセッサ(例えば、複数のCPU)を有していてもよく、本実施形態のCPU21が実行する複数の処理を、当該複数のプロセッサが実行してもよい。この場合には、複数のプロセッサが処理部(1以上の処理部)に相当する。また、この場合において、複数のプロセッサが共通の処理に関与してもよいし、あるいは、複数のプロセッサが独立に異なる処理を並列に実行してもよい。
RAM22は、CPU21に作業用のメモリ空間を提供し、一時データを記憶する。
【0024】
記憶部23は、コンピュータとしてのCPU21により読み取り可能な非一時的な記録媒体であり、プログラム231及び倉庫管理データ232等のデータを記憶する。記憶部23は、例えばHDD、SSD等の不揮発性メモリを含む。
【0025】
通信部24は、ネットワークカード又は通信モジュール等により構成され、車両10の端末装置100との間で所定の通信規格に従ってデータの送受信を行う。
【0026】
倉庫500には、倉庫500内の空間500aを撮影する監視カメラ40が設けられている。監視カメラ40は、撮影した監視画像(動画、又は所定の頻度で撮影された静止画像)を情報管理装置20に送信する。
【0027】
(荷物管理システムの動作)
次に、荷物管理システム1の各装置の動作について説明する。
【0028】
車両10の端末装置100のCPU101は、カメラ14による撮像画像(動画像)に係る撮像画像データ1032に基づいて車両10の位置及び向きを導出する。詳しくは、CPU101は、撮像画像に映っている2以上のLEDマーカー30の発光パターンから各LEDマーカー30を特定(固体識別)し、特定した各LEDマーカー30の空間500aにおける位置を、LEDマーカー位置データ1034を参照して特定する。そして、CPU101は、画像内における各LEDマーカー30の位置と、空間500aにおける各LEDマーカー30の既知の位置との対応関係に基づいて、三角測量の原理により、空間500aにおけるカメラ14の位置(X座標及びY座標)及びカメラ14の向きを導出する。車両10におけるカメラ14の取り付け位置及び向きは既知であるので、カメラ14の位置及び向きから車両10の位置及び向きを導出することができる。車両10の位置及び向きが導出されてから一定期間内であれば、単一のLEDマーカー30のみが映っている撮像画像に基づいて車両10の位置及び向きをある程度の精度で導出することができる。向きが異なる2つのカメラ14を車両10に設けることで、車両10が倉庫500の壁面付近に位置している場合においても、一方のカメラ14による撮像画像にLEDマーカー30が映るようにすることができる。なお、地磁気センサ等により方位を検出可能な方位検出部が車両10に設けられている場合には、方位検出部による車両10の向きの検出結果を用いてもよい。
【0029】
CPU101は、車両10の座標を導出すると、当該座標が、倉庫500において予め定められた複数の保管エリア501のうちいずれに属するかを特定する。
図4は、倉庫500の構成を示す模式図である。
倉庫500は、5行7列のマトリクス状に設定された複数の保管エリア501を有する。ただし、これは説明の便宜上のものであり、倉庫500にはより多数の保管エリア501が設けられていてもよい。各保管エリア501の位置は、X方向についての位置を表す符号「A」~「G」と、Y方向についての位置を表す符号「1」~「5」とを組み合わせた符号により表すものとする。図4では、「E4」の保管エリア501に位置して+Y方向を向いている車両10が、隣接する「E5」の保管エリア501に荷物70を置く(降ろす)作業を行っている。このように、本実施形態では、ある保管エリア501にいる車両10は、その向きに応じた隣接する保管エリア501に荷物70を置いたり、隣接する保管エリア501に置かれていた荷物70を取り上げたりすることができるものとする。
【0030】
CPU101は、車両10の動作中に、所定の頻度で車両10のステータス情報I(第1の情報)を生成してステータスデータ1033に登録するする。
図5は、ステータスデータ1033の内容例を示す図である。
ステータスデータ1033における1つのデータ行が、車両10の或る時点における状態を表す1つのステータス情報Iに相当する。ステータス情報Iは、「データ番号」、「日時」、「車両情報」及び「検出情報Ib」の各データを含む。「データ番号」は、複数のステータス情報Iに対して時系列順に割り当てられた番号又は符号である。「日時」は、ステータス情報Iが生成された日時(位置情報の取得日時)を表す。
【0031】
車両情報は、「車両ID」、「車両座標」、「位置情報Ia」、「向き情報」、「載置情報」及び「載置荷物ID」のデータを含む。
「車両ID」は、車両10に割り当てられた固有の符号である。
「車両座標」は、上述の方法でCPU101が導出した車両10(フォーク10aを除いた車両10の本体部分)のX座標及びY座標である。
「位置情報Ia」は、「車両座標」が属する保管エリア501の位置を表す。
「向き情報」は、上述の方法でCPU101が導出した車両10の向き(フォーク10aが設けられている前方の向き)を表す。本実施形態の向き情報は、「0(図4の+Y方向)」、「1(+X方向)」、「2(-Y方向)」、「3(-X方向)」のいずれかである。ただし、向き情報はこれに限られず、例えば、8方向や16方向といったより細かい区分で向きを表してもよいし、0°~360°等の数値により向きを表してもよい。
「載置情報」は、載置荷物検出部11による検出結果に基づいて生成され、フォーク10aに荷物70が載置されているか否かを表す。「載置情報」は、フォーク10aに荷物70が載置されている場合には「1」、載置されていない場合には「0」とされる。
「載置荷物ID」は、フォーク10aに載置されている荷物70に割り当てられている固有の符号(荷物ID(識別情報))である。荷物IDから、各荷物70を識別することができる。荷物IDは、例えば、入力装置13により荷物70のバーコード等が読み取られることで入力されてもよいし、車両10の操作者により操作表示部104を介して入力されてもよい。
【0032】
検出情報Ibは、物体検出部12による、車両10の周囲における物体(荷物70や障害物等)の検出状況を表す。検出情報Ibは、「前方」、「後方」、「左方」及び「右方」の各々について、何らかの物体が検出されている場合には「1」、検出されていない場合には「0」とされる。なお、車両10の物体検出部12が斜め前方及び斜め後方の位置の物体も検出できる場合には、検出情報Ibは、「斜め左前方」、「斜め右前方」、「斜め左後方」、「斜め右後方」のデータを含んでいてもよい。物体検出部12が深度カメラを有する場合等において、撮影された深度画像における物体の形状から、物体が荷物70であると判別された場合に限って検出情報Ibを「1」とすることとしてもよい。また、物体検出部12が距離センサを有する場合等において、車両10から所定距離範囲内に任意の物体がある(通路ではない)と判別された場合に検出情報Ibを「1」とすることとしてもよい。また、物体検出部12が撮影画像から物体を検出する方式である場合には、物体がないことを認識しやすくするために、床面に所定の標識や模様等を描いておいてもよい。
【0033】
CPU101は、予め定められた頻度で繰り返しステータス情報Iを生成してステータスデータ1033に登録する。図5では、1分に1回の頻度でステータス情報Iが生成されているが、これは説明の便宜上のものであり、より高頻度で(例えば、数秒~数十秒に1回程度の頻度で)ステータス情報Iが生成されてもよい。以下では、図5に示す6つのステータス情報Iを、「日時」が古い順に「ステータス情報I1~I6」と記す。
また、CPU101は、ステータス情報Iを生成するごとにステータス情報Iを情報管理装置20に送信する。
【0034】
情報管理装置20のCPU21は、車両10からステータス情報Iを受信すると、ステータス情報Iに基づいて倉庫500内の荷物70の管理状態に係る倉庫管理データ232を更新する。
図6は、倉庫管理データ232の内容例を示す図である。
倉庫管理データ232は、空間500aにおける荷物70の位置に係る情報を含む「第2の情報」に相当する。倉庫管理データ232の1つのデータ行は、1つの保管エリア501における荷物の保管状態に対応する。
「保管エリア」は、そのデータ行に対応する保管エリア501の位置を表す。
「荷物有無」は、保管エリア501における荷物70の有無を表し、荷物70が保管されている場合には「1」、保管されていない場合には「0」とされる。
「荷物ID」は、保管されている荷物70の荷物IDである。
【0035】
CPU21は、同一の車両10から受信した連続する2つのステータス情報Iにおいて「位置情報Ia」及び「向き情報」が変化しておらず、かつ「載置情報」が「1」から「0」、又は「0」から「1」変化している場合に、車両10による荷物70の積み降ろしが行われたと判別して、判別結果を倉庫管理データ232に反映させる。
例えば、図5のステータス情報I1、I2では、車両10の位置情報Iaがいずれも「E4」であり、向き情報がいずれも「0」であり、載置情報が「1」から「0」に変化している。よって、CPU21は、「E4」の保管エリア501において+Y方向に向いている車両10が、+Y方向に隣接する「E5」の保管エリア501に荷物70を置いた、と特定する(図4の状況に対応する)。よって、ステータス情報I1、I2を受信したCPU21は、倉庫管理データ232の「E5」のデータ行において「荷物有無」を「0」から「1」に変更し、「荷物ID」を、ステータス情報I1の「L001」に変更する。
また、図5のステータス情報I5、I6では、車両10の位置情報Iaがいずれも「A2」であり、向き情報がいずれも「2」であり、載置情報が「0」から「1」に変化している。よって、CPU21は、「A2」の保管エリア501において-Y方向に向いている車両10が、-Y方向に隣接する「A1」の保管エリア501から荷物70を取り上げた、と特定する。よって、ステータス情報I5、I6を受信したCPU21は、倉庫管理データ232の「A1」のデータ行において「荷物有無」を「1」から「0」に変更し、「荷物ID」を削除する。
【0036】
上記のように車両10による荷物70の積み降ろしを反映させていくことで、倉庫管理データ232は、最後にステータス情報Iを受信した時点における倉庫500内の荷物の保管状態を反映した内容となる。また、異なる複数の車両10からそれぞれ受信したステータス情報Iに基づいて倉庫管理データ232を更新してもよい。
ただし、ステータス情報Iの送信機能を有しない車両や人の手により荷物70の積み降ろしや移動が行われると、その内容が倉庫管理データ232には反映されず、倉庫500における荷物70の保管状態と、倉庫管理データ232の内容との間に不整合が生じる。
そこで、本実施形態では、CPU21は、ステータス情報Iを受信するごとに、ステータス情報I及び倉庫管理データ232に基づいて上記の不整合の有無を判別し、不整合が生じている場合には、不整合が解消するように倉庫管理データ232を更新する。
【0037】
以下、具体例を用いて説明する。
或る時点において、倉庫管理データ232に基づいて特定される荷物70の配置が、図7に示す状態であったものとする。また、この状態において、車両10から図5のステータス情報I3が送信されたものとする。ステータス情報I3を受信すると、CPU21は、ステータス情報I3に基づいて、車両10の周囲の荷物70の有無に係る第1の状態51を特定する。また、CPU21は、倉庫管理データ232に基づいて、第1の状態51に対応する範囲における荷物70の有無に係る第2の状態52を特定する。
【0038】
図8は、第1の状態51及び第2の状態52を示す図である。
第1の状態51及び第2の状態52は、車両10がいる位置及びその前後左右の位置(すなわち、「C2」、「D1」、「D2」、「D3」、「E2」の位置。「空間500aの少なくとも一部」に相当し、以下では「判別対象領域」とも記す)のそれぞれにおける荷物70(図8では、荷物70a、70b)の有無を表す。すなわち、第1の状態51は、判別対象領域の各位置(ここでは、各保管エリア501)における荷物70の有無を表す。言い換えると、第1の状態51は、判別対象領域における荷物70の有無を表し、かつ、判別対象領域に荷物70がある場合には、さらに当該荷物70の位置(配置)を表す。なお、車両10の物体検出部12が斜め前方及び斜め後方の位置の物体も検出できる場合には、第1の状態51及び第2の状態52は、車両10の位置を中心とする3行3列の範囲の荷物70の有無を表すものであってもよい。
【0039】
ステータス情報I3は、「位置情報Ia」が「D2」、「向き情報」が「3」であるため、「D2」の保管エリア501に位置する車両10が-X方向を向いて移動している状態を示している。また、「検出情報」は、「前方」及び「後方」が「0」、「左方」及び「右方」が「1」である。よって、図8の左側に示すように、第1の状態51においては、車両10の左方の「D1」に荷物70aがあり、右方の「D3」に荷物70bがあり、前方の「C2」、後方の「E2」、及び車両10がいる「D2」には荷物70がない。
一方、図8の右側に示す第2の状態52は、倉庫管理データ232に基づいて特定される倉庫500全体の荷物70の配置のうち、上記の判別対象領域に相当する部分(図7における破線の部分)における荷物70(図8では、荷物70a、70b)の有無を表す。すなわち、第2の状態52も、判別対象領域の各位置における荷物70の有無を表す。言い換えると、第2の状態52も、判別対象領域における荷物70の有無を表し、かつ、判別対象領域に荷物70がある場合には、さらに当該荷物70の位置(配置)を表す。図8の右側に示すように、第2の状態52においては、「D1」に荷物70aがあり、「C2」、「D2」、「D3」、「E2」には荷物70がない。
よって、「D3」の位置において、第1の状態51では荷物70bがあり、第2の状態52では荷物70bがないため、第1の状態51と第2の状態52との間で不整合が生じている。すなわち、「D3」が不整合位置Pとなっている。
【0040】
不整合位置Pがあると判別されると、CPU21は、倉庫500のうち不整合位置P(「D3」)に係る詳細情報(第3の情報)を取得するよう、車両10の端末装置100に要求する。詳細情報は、ステータス情報Iの検出情報Ibに含まれない情報、例えば不整合位置Pに保管されている荷物70bの荷物IDを含む。
端末装置100のCPU101は、当該要求を受信すると、所定の方法で荷物70bの詳細情報を取得する。例えばCPU101は、詳細情報を取得するための動作を車両10に行わせるように、車両10の操作者に対して操作を促すための報知画面の表示(報知)を、報知部としての操作表示部104に行わせる。報知画面は、例えば「位置D3の荷物70bの荷物IDを登録してください」との内容を含んでいてもよい。車両10の操作者が、当該報知画面に応じて、入力装置13により荷物70bのシンボルを読み取らせることで、CPU101は、不整合位置Pにある荷物70bの荷物IDを取得する。あるいは、操作者のいない自動運転の車両10である場合等において、CPU101は、撮像部としての物体検出部12又はカメラ14により、不整合位置Pにある荷物70bを撮像させ、撮像画像から荷物IDを抽出して取得してもよい。
【0041】
端末装置100から詳細情報を取得(受信)すると、情報管理装置20のCPU21は、詳細情報に基づいて、第2の状態52が第1の状態51と整合するように倉庫管理データ232を更新する。すなわち、倉庫管理データ232のうち不整合位置P(「D3」)のデータ行の「荷物有無」を「1」に変更し、「荷物ID」を、取得した詳細情報の内容に変更する。
【0042】
第1の状態51において或る位置に荷物70がなく、第2の状態52において当該或る位置に荷物70がある場合にも、第1の状態51と第2の状態52とが整合しないと判別される。
図9は、図5のステータス情報I4に対応する第1の状態51及び第2の状態52を示す図である。
ステータス情報I4は、「位置情報Ia」が「C2」、「向き情報」が「3」であるため、「C2」の保管エリア501に位置する車両10が-X方向を向いて移動している状態を示している。また、「検出情報」は、「前方」、「後方」及び「左方」が「0」、「右方」が「1」である。よって、図9の左側に示すように、第1の状態51においては、車両10の右方の「C3」に荷物70dがあり、前方の「B2」、後方の「D2」、左方の「C1」、及び車両10がいる「C2」には荷物70がない。
一方、図9の右側に示す、倉庫管理データ232から特定される第2の状態52(図7の一部)においては、「C1」に荷物70cがあり、「C3」に荷物70dがあり、「B2」、「C2」、「D2」には荷物70がない。
よって、「C1」の位置において、第1の状態51では荷物70cがなく、第2の状態52では荷物70cがあるため、第1の状態51と第2の状態52との間で不整合が生じている。すなわち、「C1」が不整合位置Pとなっている。
これは、本来「C1」にあるべき荷物70cが情報管理装置20による管理外で移動された状態である。この場合には、CPU21は、所定の対処処理を行う。例えば、CPU21は、監視カメラ40による撮像された監視画像のうち、第1の状態51において最後に「C1」に荷物70cが確認されていた日時以降の監視画像を検索して表示させる。荷物管理システム1の管理者は、当該監視画像に基づいて、「C1」の位置から荷物70cが移動した日時や、荷物70cを移動させた車両10又は人を特定することができる。
【0043】
次に、上述した荷物管理システム1の動作を実現するために、車両10の端末装置100のCPU101が実行する車両制御処理について説明する。
図10は、車両制御処理の制御手順を示すフローチャートである。
車両制御処理は、例えば車両10の動作が開始された場合に開始される。
【0044】
車両制御処理が開始されると、CPU101は、ステータス情報Iの送信タイミングであるか否かを判別し(ステップS101)、送信タイミングであると判別された場合には(ステップS101で“YES”)、ステータス情報送信処理を実行する(ステップS102)。
【0045】
図11は、ステータス情報送信処理の制御手順を示すフローチャートである。
ステータス情報送信処理が呼び出されると、CPU101は、カメラ14の撮像画像を取得する(ステップS201)。CPU101は、撮像画像におけるLEDマーカー30の発光パターンに基づいて、映っているLEDマーカー30を特定し、上述の方法で車両座標及び向きを導出して位置情報Ia及び向き情報を取得する(ステップS202)。また、CPU101は、載置荷物検出部11が荷物70を検出している場合には(ステップS203で“YES”)載置情報を「1」とし(ステップS204)、検出していない場合には(ステップS203で“NO”)載置情報を「0」とする(ステップS205)。また、CPU101は、物体検出部12による前後左右方向の荷物70等の物体の検出結果に係る検出情報Ibを取得する(ステップS206)。
【0046】
CPU101は、取得した位置情報Ia、向き情報及び載置情報等を含む車両情報と、検出情報Ibとを含むステータス情報Iを生成し(ステップS207)、情報管理装置20に送信する(ステップS208)。その後、CPU101は、ステータス情報送信処理を終了させ、処理を車両制御処理のステップS103に移行させる。
【0047】
図10に戻り、CPU101は、情報管理装置20から不整合位置Pに係る詳細情報の取得要求を受信したか否かを判別する(ステップS103)。詳細情報の取得要求を受信したと判別された場合には(ステップS103で“YES”)、CPU101は、詳細情報の取得を促す報知画面を操作表示部104に表示させる(ステップS104)。CPU101は、入力装置13や操作表示部104を介して詳細情報の入力があったか否かを判別し(ステップS105)、入力があったと判別された場合には(ステップS105で“YES”)、詳細情報を情報管理装置20に送信する(ステップS106)。詳細情報の入力がなかったと判別された場合には(ステップS105で“NO”)、CPU101は、不整合位置Pに係る代替情報を情報管理装置20に送信する(ステップS107)。例えば、CPU101は、不整合位置Pに荷物70以外の障害物があった場合に、当該障害物の物体検出部12による撮像画像を代替情報として送信する。また、操作者から詳細情報の入力ができない(入力をしない)旨の情報入力や、物体検出部12による誤検知であった旨の情報入力等がなされた場合には、CPU101は、当該情報を代替情報として情報管理装置20に送信する。
【0048】
ステップS106又はS107が終了した場合、若しくはステップS103において詳細情報の取得要求を受信していないと判別された場合には(ステップS103で“NO”)、CPU101は、車両10の動作を終了させる操作がなされたか否かを判別し(ステップS108)、当該操作がなされていないと判別された場合には(ステップS108で“NO”)、処理をステップS101に戻す。当該操作がなされたと判別された場合には(ステップS108で“YES”)、CPU101は、車両制御処理を終了させる。
【0049】
次に、上述した荷物管理システム1の動作を実現するために情報管理装置20のCPU21が実行する倉庫管理データ更新処理について説明する。
図12は、倉庫管理データ更新処理の制御手順を示すフローチャートである。
倉庫管理データ更新処理は、例えば車両10の動作が開始された場合に開始される。
【0050】
倉庫管理データ更新処理が開始されると、CPU21は、ステータス情報Iを受信したか否かを判別し(ステップS301)、受信したと判別された場合には(ステップS301で“YES”)、積み降ろし反映処理を実行する(ステップS302)。ここでは、CPU21は、上述したように、直近の2つのステータス情報Iの位置情報Ia及び向き情報が共通し、かつ載置情報が「0」から「1」に変化している場合に、保管エリア501の荷物70が車両10により取り上げられたと判別し、当該判別結果が反映されるように倉庫管理データ232を更新する。また、CPU21は、載置情報が「1」から「0」に変化している場合に、車両10により運搬されていた荷物70が保管エリア501に置かれたと判別し、当該判別結果が反映されるように倉庫管理データ232を更新する。
【0051】
CPU21は、ステップS301で取得したステータス情報Iに基づいて判別対象領域における荷物70の有無に係る第1の状態51を特定する(ステップS303)。また、CPU21は、倉庫管理データ232に基づいて、第1の状態51に対応する判別対象領域における荷物70の有無に係る第2の状態52を特定する(ステップS304)。
【0052】
CPU21は、判別対象領域における或る位置において、第1の状態51では荷物70があり、かつ、第2の状態52では荷物70がない、との条件を満たすか否かを判別する(ステップS305)。当該条件を満たすと判別された場合には(ステップS305で“YES”)、CPU21は、第1の状態51と第2の状態52とが整合しないと判別し、不整合位置Pに係る詳細情報の取得要求を車両10に送信する(ステップS306)。その後、詳細情報を受信した場合には(ステップS307で“YES”)、CPU21は、倉庫管理データ232における不整合位置Pのデータ行において、「荷物有無」を「1」に変更し、詳細情報に含まれる荷物IDを追加する(ステップS308)。これにより、第1の状態51と第2の状態52とが整合するように倉庫管理データ232が更新される。また、詳細情報を受信しなかった場合には(ステップS307で“NO”)、CPU21は、所定の対処処理を実行する(ステップS311)。例えば、CPU21は、詳細情報の代わりに受信した代替情報に含まれる障害物の情報を倉庫管理データ232に登録する。
【0053】
一方、ステップS305で“NO”に分岐した場合には、CPU21は、或る位置において、第1の状態51では荷物70がなく、かつ、第2の状態52では荷物70がある、との条件を満たすか否かを判別する(ステップS309)。当該条件を満たすと判別された場合には(ステップS309で“YES”)、CPU21は、第1の状態51と第2の状態52とが整合しないと判別し、倉庫管理データ232における不整合位置Pのデータ行において、「荷物有無」を「0」に変更し、荷物IDを削除する(ステップS310)。これにより、第1の状態51と第2の状態52とが整合するように倉庫管理データ232が更新される。また、CPU21は、上述の所定の対処処理(例えば、監視カメラ40により撮影された監視画像を検索して表示させる処理)を実行する(ステップS311)。
【0054】
ステップS309で“NO”に分岐した場合には、CPU21は、第1の状態51と第2の状態52とが整合すると判別する(ステップS312)。ステップS308、S311、S312のいずれかが終了すると、CPU21は、車両10の動作が終了したか否かを判別する(ステップS313)。CPU21は、車両10の動作が終了していないと判別された場合には(ステップS313で“NO”)、処理をステップS301に戻し、車両10の動作が終了したと判別された場合には(ステップS313で“YES”)、倉庫管理データ更新処理を終了させる。
【0055】
(効果)
以上のように、本実施形態に係る情報管理装置20は、CPU21を備え、CPU21は、空間500aを移動する車両10から、車両10の周囲における荷物70等の物体の検出結果に係る検出情報Ibを取得し(上記実施形態では、検出情報Ib及び車両10の位置情報Iaを含むステータス情報Iを取得し)、検出情報Ib及び位置情報Iaを含むステータス情報Iに基づいて特定される判別対象領域(空間500aの少なくとも一部)における荷物70の有無に係る第1の状態51と、空間500aにおける荷物70の位置に係る情報を含む倉庫管理データ232に基づいて特定される判別対象領域における荷物70の有無に係る第2の状態52と、が整合するか否かを判別し、第1の状態51と第2の状態52とが整合しないと判別された場合に、第2の状態52が第1の状態51と整合するように倉庫管理データ232を更新する。これにより、荷物管理システム1において検知されない方法による荷物70の移動を検知し、倉庫管理データ232に反映させることができる。よって、より適切に荷物70の位置を管理することができる。また、空間500aを移動する車両10から検出情報Ibを取得する方法を用いることで、監視カメラ等を用いて固定位置から監視する方法と比較して障害物による死角が生じにくいので、より確実に荷物70の位置を管理することができる。
【0056】
また、CPU21は、ステータス情報Iに基づいて空間500aにおける或る位置に物体があると特定され、倉庫管理データ232に基づいて空間500aにおける上記或る位置に物体がないと特定された場合に、第1の状態51と第2の状態52とが整合しないと判別する。これにより、荷物管理システム1において検知されない方法で置かれた荷物70を検知し、倉庫管理データ232に反映させることができる。
【0057】
また、CPU21は、ステータス情報Iに基づいて空間500aにおける或る位置に物体がないと特定され、倉庫管理データ232に基づいて空間500aにおける上記或る位置に物体があると特定された場合に、第1の状態51と第2の状態52とが整合しないと判別する。これにより、荷物管理システム1において検知されない方法で、管理されている位置から移動した荷物70を検知し、倉庫管理データ232に反映させることができる。
【0058】
また、CPU21は、第1の状態51と第2の状態52とが整合しないと判別された場合に、空間500aのうち第1の状態51と第2の状態52との間で不整合が生じている不整合位置Pに係る詳細情報であって、検出情報Ibに含まれない情報を含む詳細情報を車両10に取得させ、詳細情報を車両10から取得し、取得した詳細情報に基づいて、第2の状態52が第1の状態51と整合するように倉庫管理データ232を更新する。これにより、荷物管理システム1において検知されない方法で置かれた荷物70の詳細を倉庫管理データ232に反映させることができる。
【0059】
また、詳細情報は、不整合位置Pにある物体の荷物IDを含む。これにより、荷物管理システム1において検知されない方法で置かれた荷物70の荷物IDを倉庫管理データ232に登録することができる。
【0060】
また、本実施形態に係る端末装置100は、空間500aを移動する車両10に設けられ、CPU101を備える。CPU101は、検出情報Ibを取得し、取得した検出情報Ibを、上記の第1の状態51と第2の状態52とが整合するか否かを判別する情報管理装置20に送信する。これにより、情報管理装置20による、より適切な荷物70の位置の管理を実現することができる。
【0061】
また、CPU101は、情報管理装置20からの指示に応じて、不整合位置Pに係る詳細情報を取得し、取得した詳細情報を情報管理装置に送信する。これにより、不整合位置Pの実際の状況を情報管理装置20に通知することができる。
【0062】
また、CPU101は、詳細情報を取得するための動作を車両10に行わせるように、車両10の操作者に対して操作を促すための報知画面を操作表示部104に行わせる。このように操作者の操作を介すことで、不整合位置Pの状況に応じた適切かつ柔軟な方法で詳細情報を取得することができる。
【0063】
また、CPU101は、車両10が有する撮像部(カメラ14及び/又は物体検出部12)が不整合位置Pを撮像した画像から、不整合位置Pにある荷物70の荷物IDを含む詳細情報を取得する。これにより、操作者の操作を介さずに不整合位置Pの詳細情報を取得することができる。
【0064】
また、空間500aには、固有の発光パターンで発光する複数の光源としての複数のLEDマーカー30が設けられており、CPU101は、車両10が有するカメラ14が撮像した画像において、上記発光パターンに基づいてLEDマーカー30を特定し、画像におけるLEDマーカー30の位置と、空間500aにおけるLEDマーカー30の既知の位置と、に基づいて、空間500aにおける車両10の位置を導出して位置情報Iaを取得し、取得した位置情報Iaを検出情報Ibとともに情報管理装置20に送信する。これにより、電波の送受信を伴わずに車両10の位置を導出することができる。また、撮影画像のピクセル単位の分解能で高精度に車両10の位置を特定することができる。また、情報管理装置20は、第1の状態51の特定に用いるステータス情報Iの全体を車両10から取得することができる。
【0065】
また、本実施形態に係る荷物管理システム1は、上記の情報管理装置20と、車両10に設けられた上記の端末装置100と、を備えることで、より適切に荷物70の位置を管理することができる。
【0066】
また、本実施形態に係る情報管理方法において、CPU21は、車両10から検出情報Ibを取得し、ステータス情報Iに基づいて特定される第1の状態51と、倉庫管理データ232に基づいて特定される第2の状態52と、が整合するか否かを判別し、整合しないと判別された場合に、第2の状態52が第1の状態51と整合するように倉庫管理データ232を更新する。これによれば、より適切に荷物70の位置を管理することができる。
【0067】
また、本実施形態に係るプログラム231は、CPU21に、車両10から検出情報Ibを取得する処理、ステータス情報Iに基づいて特定される第1の状態51と、倉庫管理データ232に基づいて特定される第2の状態52と、が整合するか否かを判別する処理、第1の状態51と第2の状態52とが整合しないと判別された場合に、第2の状態52が第1の状態51と整合するように倉庫管理データ232を更新する処理、を実行させる。これによれば、より適切に荷物70の位置を管理することができる。
【0068】
(その他)>
なお、本発明は、上記実施の形態に限られるものではなく、様々な変更が可能である。
例えば、上記実施形態では、判別対象領域の各位置(各保管エリア501)における荷物70の有無により第1の状態51と第2の状態52とが整合するか否かを判別したが、これに限られない。例えば、保管エリア501において複数の荷物70を高さ方向に積み上げて保管可能な構成において、第1の状態51と第2の状態52との間で同一の保管エリア501における荷物70の高さ(又は積み上げ段数)が一致しない場合に不整合が生じていると判別してもよい。すなわち、判別対象領域の各位置(各保管エリア501)において、高さ方向の複数の区間の各々における荷物70の有無も含めて第1の状態51と第2の状態52とが整合するか否かを判別してもよい。不整合が生じていると判別された場合には、不整合位置Pに積み上げられている複数の荷物70の荷物IDを含む詳細情報を車両10に取得させて、詳細情報の荷物IDを、倉庫管理データ232における不整合位置Pに登録されている1又は2以上の荷物70の荷物IDと照合し、未登録の荷物70を倉庫管理データ232の保管エリア501に追加すればよい。
【0069】
また、上記実施形態では、移動体として車両10(フォークリフト)を例示したが、これに限られない。移動体は、物体を載置した状態で移動可能であればどのようなものであってもよく、例えば、フォークリフト以外の車両(例えば、台車)であってもよいし、ロボットなどであってもよい。
【0070】
また、物体は、倉庫500に保管される荷物70に限られず、空間内において位置が管理される任意の物体であってもよい。また、空間は、倉庫500内のものに限られない。
【0071】
また、LEDマーカー30を用いた光通信として、赤、緑及び青の3色の光の組み合わせを用いる例を挙げて説明したが、これに限られない。例えば、用いる色を変更してもよいし、用いる色の数を2色以下又は4色以上としてもよい。また、高速で変調させた光により情報を送信するLi-Fi(Light Fidelity)を用いてもよい。また、用いる光は可視光に限られず、赤外線又は紫外線を用いてもよい。
【0072】
また、端末装置100のCPU101が車両10の位置情報Iaを取得する方法は、LEDマーカー30を撮像した画像を解析する方法に限られない。例えば、ビーコン発信機からの受信電波強度に基づいてビーコン発信機からの距離を推定する方法、GPS(Global Positioning System)等の測位衛星からの送信電波に基づいて位置を導出する方法、又は自律航法等により位置を特定してもよい。
【0073】
また、車両10にLEDマーカー30を設けるとともに、倉庫500の天井等に1又は2以上のカメラを設け、当該カメラによる車両10のLEDマーカー30の撮像画像に基づいて車両10の位置を特定してもよい。この場合には、情報管理装置20のCPU21は、2以上のカメラによる撮像画像においてLEDマーカー30の発光パターンからLEDマーカー30(及び車両10)を固体識別し、各撮像画像におけるLEDマーカー30の位置に基づいて三角測量の原理により車両10の位置情報Iaを取得する。そして、当該位置情報Iaと、車両10から受信した検出情報Ibと、を含むステータス情報Iに基づいて第1の状態51を特定する。
【0074】
また、上記実施形態では、車両10が位置する保管エリア501を位置情報Iaとして用いたが、これに限られず、例えば空間500aにおける車両10の座標そのものを位置情報Iaとしてもよい。
【0075】
また、以上の説明では、本発明に係るプログラムのコンピュータ読み取り可能な媒体として記憶部103及び記憶部23のHDD、SSDを使用した例を開示したが、この例に限定されない。その他のコンピュータ読み取り可能な媒体として、フラッシュメモリ、CD-ROM等の情報記録媒体を適用することが可能である。また、本発明に係るプログラムのデータを通信回線を介して提供する媒体として、キャリアウエーブ(搬送波)も本発明に適用される。
【0076】
また、上記実施形態における荷物管理システム1の各構成要素の細部構成及び細部動作に関しては、本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能であることは勿論である。
本発明の実施の形態を説明したが、本発明の範囲は、上述の実施の形態に限定するものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲とその均等の範囲を含む。
【符号の説明】
【0077】
1 荷物管理システム(情報管理システム)
10 車両(移動体)
11 載置荷物検出部
12 物体検出部
14 カメラ(撮像部)
20 情報管理装置
21 CPU(第2の処理部)
232 倉庫管理データ(第2の情報)
30 LEDマーカー(光源)
51 第1の状態
52 第2の状態
70 荷物(物体)
100 端末装置(情報処理装置)
101 CPU(第1の処理部)
500 倉庫
500a 空間
I、I1~I6 ステータス情報(第1の情報)
Ia 位置情報
Ib 検出情報
P 不整合位置
図1
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