(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024089694
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】電子装置及び投影装置
(51)【国際特許分類】
G03B 21/16 20060101AFI20240627BHJP
G03B 21/00 20060101ALI20240627BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20240627BHJP
H04N 5/74 20060101ALI20240627BHJP
H04N 9/31 20060101ALI20240627BHJP
【FI】
G03B21/16
G03B21/00 F
H05K7/20 H
H05K7/20 G
H04N5/74 Z
H04N9/31 440
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022205032
(22)【出願日】2022-12-22
(71)【出願人】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002022
【氏名又は名称】弁理士法人コスモ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小山 満生
(72)【発明者】
【氏名】井上 貴彦
【テーマコード(参考)】
2K203
5C058
5C060
5E322
【Fターム(参考)】
2K203FA04
2K203FA07
2K203FA25
2K203FA32
2K203FA54
2K203FB04
2K203KA76
2K203LA06
2K203LA12
2K203LA24
2K203LA26
2K203LA27
2K203LA29
2K203LA33
2K203LA36
2K203LA54
2K203MA12
2K203MA32
5C058EA02
5C058EA52
5C060JA29
5E322BB03
5E322EA11
5E322FA04
(57)【要約】
【課題】冷却性能を良好とした小型な電子装置及び投影装置を提供する。
【解決手段】電子装置としての投影装置10,10Aは、筐体としてのケース20と、ケース20の内部を第1領域110と第2領域120とに仕切るとともに、第1領域110と第2領域120とを連通する連通孔103を有する仕切り板である下ケース板100と、第1領域110に設けられているファンである冷却ファン85と、連通孔103に対応して設けられ、冷却ファン85からの排気を第2領域120に排出するダクト85cと、第2領域120側のケース20の下ケースカバー23に設けられている排気口221a及び吸気口222aと、を有する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体の内部を第1領域と第2領域とに仕切るとともに、前記第1領域と前記第2領域とを連通する連通孔を有する仕切り板と、
前記第1領域に設けられているファンと、
前記連通孔に対応して設けられ、前記ファンからの排気を前記第2領域に排出するダクトと、
前記第2領域側の前記筐体に設けられている排気口及び吸気口と、
を有する電子装置。
【請求項2】
前記排気口は、前記ダクトの排出口よりも下流側に配置される、請求項1に記載の電子装置。
【請求項3】
前記吸気口は、前記ダクトの排出口よりも上流側に配置される、請求項1に記載の電子装置。
【請求項4】
前記仕切り板は、金属製からなる、請求項1に記載の電子装置。
【請求項5】
前記筐体内の前記第1領域側に設けられる機器は、前記仕切り板と伝熱シートを介して接続される機器を含む、請求項4に記載の電子装置。
【請求項6】
前記第2領域側の前記筐体は、外部温度差によって一方が吸気され、他方が排気される一対の吸排気口を有する、請求項1に記載の電子装置。
【請求項7】
前記ダクトの排出口に対応する、前記筐体内の前記第2領域側の位置には、前記ダクトからの排気により回転するサブファンが設けられる、請求項6に記載の電子装置。
【請求項8】
前記サブファンの外周における前記ダクトの排出口側には整流壁が設けられる、請求項7に記載の電子装置。
【請求項9】
前記第1領域側の前記筐体には、光源装置と、表示素子と、投影光学系と、が設けられる、請求項1乃至請求項8の何れかに記載の電子装置を含む投影装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子装置及び投影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、DMD(デジタル・マイクロミラー・デバイス)と呼ばれるマイクロミラー表示素子や液晶板を用いて形成した画像をスクリーンに投影する電子装置としての投影装置が提案されている。例えば、特許文献1の投影装置は、本体部筐体と冷却部筐体とを積層して備え、本体部筐体には光源や光学モジュールが設けられる。冷却部筐体には、冷却装置が設けられる。冷却装置は、2つの通風流路を有し、一方の通風流路は通風口を介して本体部筐体内の空気が循環し、他方の通風流路は冷却部筐体の吸気口から流入する外気の冷却空気が循環し、冷却部筐体の排気口から排気される。このようにして、冷却部筐体の冷却装置により、本体部筐体の機器が冷却される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
冷却部筐体に設けられる冷却装置は、具体的には、2つの通風流路がそれぞれ複数のフィンを備える2つのダクトにより形成され、この2つのダクトの間に熱交換機が配置される。このように、大型の冷却装置が冷却部筐体に設けられると、装置の大型化を招くことがある。小型化のため、複数のフィンからなるダクトのフィンの数を減らすことも考えられるが、そうすると冷却性能が低下してしまう。
【0005】
本発明は、冷却性能を良好とした小型な電子装置及び投影装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の電子装置は、筐体と、前記筐体の内部を第1領域と第2領域とに仕切るとともに、前記第1領域と前記第2領域とを連通する連通孔を有する仕切り板と、前記第1領域に設けられているファンと、前記連通孔に対応して設けられ、前記ファンからの排気を前記第2領域に排出するダクトと、前記第2領域側の前記筐体に設けられている排気口及び吸気口と、を有する。
【0007】
本発明の投影装置は、前記第1領域側の前記筐体には、光源装置と、表示素子と、投影光学系と、が設けられる、上述の電子装置を含む。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、冷却性能を良好とした小型な電子装置及び投影装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る投影装置を左前上方から見た斜視図である。
【
図2】本発明の第1実施形態に係る投影装置を右後下方から見た斜視図である。
【
図3】本発明の第1実施形態に係る投影装置の分解斜視図である。
【
図4】本発明の第1実施形態に係る投影装置の内部構造を示す平面模式図である。
【
図5】本発明の第1実施形態に係る
図4のV-V断面図である。
【
図6】本発明の第1実施形態に係る投影装置の冷却ファンの内部構造を省略した一部断面斜視図である。
【
図7】本発明の第1実施形態に係る投影装置のケースに係る下ケースカバーを左後上方から見た斜視図である。
【
図8】本発明の第1実施形態に係る投影装置のケースに係る下ケースを左後上方から見た斜視図である。
【
図9】本発明の第2実施形態に係る投影装置の
図4のV-V断面に相当する前側部分を示す断面図である。
【
図10】本発明の第2実施形態に係る投影装置のケースに係る下ケースカバーを左後上方から見た斜視図である。
【
図11】本発明の第2実施形態に係る投影装置のサブファン部分周辺の断面図である。囲み
図Pは、サブファンを下面から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第1実施形態)
以下、本発明を実施するための第1実施形態について述べる。
図1~
図3に示すように、電子装置としての投影装置10は、投影口11が設けられるケース20を有する。ケース20は、投影装置10の筐体とされ、上ケース21と、下ケース22と、下ケースカバー23とを有し、略扁平な矩形の箱状に形成される。なお、以下の説明においては、投影装置10における左右とは投影口11からの投影方向に対しての左右方向を示し、前後とは投影装置10の投影光の進行方向に対しての前後方向を示す。
【0011】
上ケース21は、上ケース本体210と、前後左右の各パネル(前パネル211、後パネル212、左パネル213、右パネル214)を有し、下方を開口する略扁平箱状に設けられている。上ケース本体210は、略矩形板状の天板210aを有する。天板210aには、天板210aの4つの角部から下方に立設するように、外表面が角R状とされる4つの角部柱210bが設けられている。前後左右の各パネルは、それぞれ、2つの角部柱210bの間に設けられている。前後左右の各パネルには、それぞれ、格子状の吸排気口が設けられている。上ケース21(上ケース本体210、前パネル211、後パネル212、左パネル213、右パネル214)は、樹脂材料を用いた射出成形により製造される。
【0012】
また、上ケース21の前パネル211には、投影口11が露出する円形の開口孔211aが設けられている。上ケース本体210の天板210aには、投影口11と対応する位置に、ズーム調整用のズームリング及びフォーカス調整用のフォーカスリングが露出する矩形の調整用孔210a1が設けられる。また、天板210aの後方には、投影装置10の操作パネル210a2が設けられる。
【0013】
図3に示すように、下ケース22は、上ケース21の下方の開口に合致して取り付けられる板状の下ケース板100(仕切り板)を有する。下ケース板100は、上ケース本体210と略同形の略矩形状とされている。下ケース板100には、複数のねじ孔101や、ねじ孔102aを有する取付支柱102が設けられる。上ケース21には、複数のねじ孔101,102aに対応する雌ねじ部(不図示)が設けられる。上ケース21と下ケース22は、複数のねじ孔101,102aを介して、ねじ部材が上ケース21の雌ねじ部に螺合することで互いに固定されている。下ケース22は、金属材料により一体的に形成されている。例えば、下ケース22は、マグネシウム合金によるダイキャストにより製造される。
【0014】
図4に示すように、上ケース21及び下ケース22により画成される内部領域である第1領域110側には、複数の機器150が設けられている。複数の機器150は、表示素子50、光源装置60、光学ケース65、レンズ鏡筒70、冷却装置80、基板90を含む。光学ケース65は、第1領域110の左側の前側部分に設けられ、各種の光学素子が設けられている。光源装置60は、励起光照射装置61、蛍光ホイール装置62、赤色光源装置63を有する。励起光照射装置61は、第1領域110の略中央に設けられている。励起光照射装置61は、複数の青色レーザダイオードを備え、光学ケース65と接続されている。励起光照射装置61は、光学ケース65の内部に青色波長帯域光を出射する。励起光照射装置61から出射された青色波長帯域光は、光学ケース65内の光学素子により蛍光ホイール装置62に導光される。
【0015】
蛍光ホイール装置62は、第1領域110の左右方向略中央における前側に設けられている。蛍光ホイール装置62は、図示しないが、励起光が照射されることにより緑色波長帯域光を出射する蛍光体からなる蛍光発光領域と、励起光を透過する透過領域とを備える蛍光ホイールを有する。蛍光ホイール装置62は、励起光照射装置61からの青色波長帯域光が励起光として蛍光ホイールの蛍光発光領域に照射されることにより、光学ケース65の内部に緑色波長帯域光を出射する。また、蛍光ホイール装置62は、透過領域に照射される励起光照射装置61からの青色波長帯域光を透過する。蛍光ホイールの透過領域を透過した青色波長帯域光は、光学ケース65の光学素子により、青色波長帯域の光源光として導光される。
【0016】
赤色光源装置63は、励起光照射装置61と蛍光ホイール装置62の間に設けられている。赤色光源装置63は、赤色発光ダイオードを備え、光学ケース65と接続している。赤色光源装置63は、光学ケース65内に赤色波長帯域光を出射する。表示素子50は、光学ケース65の左後側に設けられ、光学ケース65と接続されている。表示素子50は、DMD(デジタル・マイクロミラー・デバイス)と呼ばれるマイクロミラー表示素子とされている。光源装置60から出射された青色波長帯域光、緑色波長帯域光、赤色波長帯域光は、光学ケース65の光学素子により表示素子50に導光され、表示素子50の画像形成面に照射される。投影光学系とされるレンズ鏡筒70は、表示素子50と対向する位置における光学ケース65に接続して設けられている。表示素子50により形成された画像は、光学ケース65の光学素子によりレンズ鏡筒70に導光され、投影画像が投影口11から出射し、投影される。
【0017】
基板90は、光源側制御回路基板91と、電源回路基板92と、冷却装置側制御回路基板93とを有する。光源側制御回路基板91は、光学ケース65の上に配置され(
図3も参照)、光学ケース65に対してねじ部材により固定されている。電源回路基板92は、第1領域110の後側において下ケース22の下ケース板100に固定されている(
図5も参照)。冷却装置側制御回路基板93は、後述の冷却ファン85の下側に設けられて、下ケース板100に固定されている(
図5も参照)。
【0018】
第1領域110の右側には、冷却装置80が設けられている。冷却装置80は、第1ヒートシンク81と、第2ヒートシンク82と、第3ヒートシンク83とを有する。第1ヒートシンク81は、第1領域110の前パネル211の近傍における右側に設けられ、ヒートパイプ81aを介して励起光照射装置61と接続している。よって、励起光照射装置61により生じる熱は、第1ヒートシンク81により放熱される。第2ヒートシンク82は、右パネル214の近傍における前後方向略中央部に設けられ、ヒートパイプ82aを介して赤色光源装置63と接続している。第3ヒートシンク83は、右パネル214の近傍における後側に設けられ、ヒートパイプ83aを介して表示素子50と接続している。第2ヒートシンク82は赤色光源装置63により生じる熱を放熱し、第3ヒートシンク83は表示素子50により生じる熱を放熱する。
【0019】
冷却装置80は、第1ヒートシンク81の後側であって、第2ヒートシンク82の左側に、冷却ファン85(ファン)が設けられている。冷却ファン85は、ブロアファンとされ、冷却ファン85の本体部における上側吸気口85a1及び下側吸気口85a2(
図5参照)から吸気して、冷却ファン85の前側に設けられるファン排気口85bから、第1ヒートシンク81に向けて排気される。冷却ファン85は、制御部により、センサにより計測される第1領域110内の温度に応じて制御される。
【0020】
第1ヒートシンク81は、
図7に示す伝熱シート161を介して下ケース22の下ケース板100に接続している。従って、第1ヒートシンク81の放熱により第1ヒートシンク81に生じる熱は、下ケース板100に伝熱される。同様に、第2ヒートシンク82は、伝熱シート162、第3ヒートシンク83は伝熱シート163を介して下ケース板100と接続している。また、励起光照射装置61は、伝熱シート164を介して下ケース板100と接続している。電源回路基板92は、伝熱シート165,166を介して下ケース板100と接続している。このように、複数の機器150は、伝熱シート161~166により下ケース板100に接続されるものを含む。伝熱シート161~166を介して接続される機器150で生じる熱は、下ケース板100に伝熱される。
【0021】
図3に示すように、下ケース22の下側には、下ケースカバー23が設けられている。下ケースカバー23は、樹脂材料を用いた射出成形により製造される。下ケースカバー23は、ケース20の下面23a1(
図2参照)を備える下面板23aを備える。下面板23aは、下ケース板100と略同形の略矩形状とされている。下面板23aの前後左右の縁部からは、壁状に側壁(前側壁221、後側壁222、左側壁223、右側壁224)が設けられている。各側壁が交わる角部は、外表面が角R状の角220bとされている。
【0022】
前側壁221の右側には、複数のスリット状の貫通孔からなる排気口221aが設けられている。後側壁222の右側には、排気口221aと同様に、複数のスリット状の貫通孔からなる吸気口222aが設けられている。左側壁223の前後には、排気口221a、吸気口222aと同様に、複数のスリット状の貫通孔からなる2つの吸排気口223a,223bが設けられている。排気口221a、吸気口222a、吸排気口223a,223bは、第2領域120側のケース20内に設けられている。
【0023】
下ケースカバー23は、下面板23aの上面23a2から上方に向けて立設する複数の中空のボス23cにねじ孔が設けられている。下ケース22の下ケース板100には、ボス23cのねじ孔に対応して雌ねじが設けられている。下ケースカバー23は、ボス23cのねじ孔を介してねじ部材が下ケース板100の雌ねじに螺合することで下ケース22に固定される。
【0024】
下ケースカバー23が下ケース22に取り付けられた状態では、
図1、
図2に示すように、下ケースカバー23の各側壁(前側壁221、後側壁222、左側壁223、右側壁224)は、それぞれ、上ケース21の前後左右の各パネル(前パネル211、後パネル212、左パネル213、右パネル214)に突き当てられて、上ケース21の前後左右の各パネルから下ケースカバー23の各側壁に亘って連続した外表面とされている。同様に、下ケースカバー23の角220bと上ケース21の角部柱210bは突き当てられて、下ケースカバー23の角220bの外表面は、上ケース21の角部柱210bの外表面と連続している。従って、下ケース22(下ケース板100)は外部に露出せず、投影装置10の外側から視認されない。
【0025】
図5に示すように、下ケースカバー23が下ケース22に取り付けられた状態では、下ケースカバー23の下面板23aの上面23a2と下ケース22の下ケース板100の下面100aとの間には、ボス23cの高さ分の空間が設けられ、第2領域120とされている。そして、ケース20は、下ケース22の下ケース板100である仕切り板により、第1領域110と第2領域120とに仕切られている。本実施形態においては、第2領域120は、第1領域110よりも上下方向の高さを十分に低く設定されている。
【0026】
第1領域110に設けられるファンとしての冷却ファン85は、ファン排気口85bから排気がされる。
図5及び
図6に示すように、冷却ファン85には、ダクト85cが設けられている。ダクト85cは、冷却ファン85の内部からファン排気口85bに向けて排気風が流通される流通路に設けられている。ダクト85cは、向かい合わせで設けられる後ダクト板85c1と、前ダクト板85c2とを備える。後ダクト板85c1と前ダクト板85c2は、冷却ファン85の内部から前下方に向かって傾斜して設けられている。後ダクト板85c1と前ダクト板85c2の幅(左右方向の長さ、すなわちダクト排気口85c3の幅)は、ファン排気口85bの幅と略同一とされている。
【0027】
また、前ダクト板85c2の上端85c21は、後ダクト板85c1が後方で連設する冷却ファン85の内部上面85d及びファン排気口85bに連設する内部上面85b1よりも上方に位置している。なお、内部上面85dは、ファン排気口85bの内部上面85b1よりも上方に位置している。冷却ファン85の上側は、ファン排気口85bで上下方向に拡開している。よって、冷却ファン85は、冷却ファン85の内部からファン排気口85bに向けて拡開している。冷却ファン85の内部からの送風(排気風)は、前ダクト板85c2の上端85c21が内部上面85dよりも上方に位置している(換言すれば、上端85c21が冷却ファン85の内部の送風流路内に位置している)ことにより、ファン排気口85bから排出されると共に、ダクト85c内(後ダクト板85c1と前ダクト板85c2で画成される空間)に流通して、ダクト排気口85c3(ダクト85cの排出口)からも排気される。なお、後ダクト板85c1と前ダクト板85c2は、左右両端で接続され、ダクト85cは筒状とされている。
【0028】
図5及び
図7に示すように、下ケース22の下ケース板100には、右前側に連通孔103が設けられている。連通孔103は、左右方向に長い略長矩形の貫通孔とされている。冷却ファン85のダクト85cは、連通孔103に挿通されている。換言すれば、ダクト85cは、連通孔103に対応して設けられている。このようにして、ダクト85cは、冷却ファン85からの排気を第2領域120に排出する。
【0029】
また、
図5に示すように、下ケースカバー23の前側壁221の排気口221aは、ダクト85cのダクト排気口85c3に対応して設けられている。
【0030】
図8は、下ケースカバー23を左後上方から見た図であり、ダクト85cのダクト排気口85c3の位置を二点鎖線で示している。ダクト85cに冷却ファン85の排気を流通させて、ダクト排気口85c3から第2領域120に排出すると、矢印で示す排気風BW1のように、ダクト排気口85c3からの排気は排気口221aを介して外部に排気される。そして、排気風BW1は、ニュートンの粘性法則により、矢印で示す吸気風BW2のように、ダクト排気口85c3よりも後方側の空気を後方から前方に誘導する誘導風を作り出す。第2領域120内の空気が後方から前方に移動するため、吸気口222aから外部の空気が流入する。
【0031】
冷却ファン85からの排気により、第2領域120では、吸気口222aから外部空気が流入し、排気口221aに向けて空気が移動して排気口221aから排気されるので、下ケース板100の下面を空気が流通する。よって、下ケース板100は、冷却される。そして、下ケース板100は、複数の機器150と伝熱シート161~166を介して接続されるので、複数の機器150も冷却されることとなる。
【0032】
排気風BW1、吸気風BW2は後側を上流側とし、前側を下流側として流通する。そして、排気口221aは、ダクト排気口85c3よりも下流側に設けられる。また、吸気口は、ダクト排気口85c3よりも上流側に設けられる。
【0033】
また、ダクト排気口85c3に対応する角220b近傍の第2領域120には、整流板23dが設けられている。整流板23dは、右側壁224から排気口221aに向けて設けられている。従って、排気風BW1は、角220b近傍であっても、スムーズに排気口221aに流通される。
【0034】
また、左側壁223における前後の2つの吸排気口223a,223bは、第2領域120の温度が外部の温度(気温)よりも高くなると、2つの吸排気口223a,223bのうち、一方が吸気口となり他方が排気口となって、第2領域120の内部空気と外部空気が循環する。例えば、
図8の矢印である吸気風CW1、排気風CW2で示すように、前側の吸排気口223aから流入(吸気風CW1)する場合には、後側の吸排気口223bから排気(排気風CW2)される。このように、一対の吸排気口223a,223bは、外部温度差によって一方の吸排気口223a,223bから外部空気が吸気され、他方の吸排気口223a,223bから内部空気が排気される。
【0035】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態を
図9~
図11に基づいて説明する。第2実施形態に係る投影装置10Aは、第1実施形態の投影装置10に加えて、ケース20内の第2領域120側にサブファン170を設けたものである。よって、以下の説明においては、第1実施形態に係る投影装置10と同じ個所、部材については同じ符号を付して、その説明は省略又は簡略化する。
【0036】
図9に示すように、サブファン170は、ダクト排気口85c3に対応する位置に設けられている。
図10に示すように、サブファン170は、軸部170bを中心として、軸部170bから延びる複数の羽170aを備えるプロペラとされている。軸部170bは、下ケースカバー23の下面板23aの上面23a2に設けられる下軸受171と、下軸受171と対向する下ケース板100の下面100aに設けられる上軸受172により回転自在に設けられている。
【0037】
図9に示すように、サブファン170の羽170aは、ダクト排気口85c3からの排気風により回転するように傾斜して設けられている。これにより、サブファン170は、ダクト排気口85c3からの排気風により回転する。
【0038】
図10に示すように、サブファン170の軸部170bは、下端が略半球状とされ、上端は略円柱状とされている。軸部170bの外側には、円筒状の環状規制部170cが設けられている。環状規制部170cの下端面には、複数の突起170c1が設けられている(サブファン170を下方から見た斜視図である
図11の囲み
図Pも参照)。下軸受171、上軸受172は、共に円環状とされている。下軸受171、上軸受172の円環状の部分は、軸部170bと環状規制部170cの間に配置されている。
【0039】
略半球状の軸部170bの下端と、複数の突起170c1により、サブファン170の回転時における、サブファン170と下ケースカバー23の下面板23aの上面23a2との間の摩擦が低減されている。また、軸部170bの上端面と、上軸受172における軸部170bの上端面と対向する面との間には若干の隙間S1が設けられる。同様に、環状規制部170cの上端と、下ケース板100の下面100aとの間には隙間S2が設けられる。従って、サブファン170とした下ケース板100との間の摩擦も低減されている。
【0040】
図11に示すように、サブファン170の外周における、ダクト排気口85c3側には、略円弧状の整流壁175が設けられている。ダクト排気口85c3からの排気風BW1によりサブファン170が回転すると、サブファン170からの風は、整流壁175により、サブファン170の略右後方向への流れが遮られる。よって、サブファン170からの風は、サブファン170の左方向及び左後方向の風SW1,SW2として第2領域120内に発生する。すると、風SW1,SW2は、吸排気口223a,223bから排気されるので、第2領域120内の空気が循環され、下ケース板100の冷却が促進される。また、整流壁175により、サブファン170の略右後方向への流れが遮られているので、吸気口222aから排気口221aに向けて引っ張られる空気の流れ(誘導風、吸気風BW2の流れ)とサブファン170の回転により生じる風とが干渉し合うことが低減されている。更に、サブファン170の回転により生じる風SW1,SW2により、吸排気口223a,223bを通じて外部温度差による第2領域120内の空気の出入りが促進される。
【0041】
以上の本発明の実施形態によれば、電子装置である投影装置10,10Aは、筐体としてのケース20と、ケース20の内部を第1領域110と第2領域120とに仕切るとともに、第1領域110と第2領域120とを連通する連通孔103を有する仕切り板である下ケース板100と、第1領域110に設けられているファンである冷却ファン85と、連通孔103に対応して設けられ、冷却ファン85からの排気を第2領域120に排出するダクト85cと、第2領域120側のケース20の下ケースカバー23に設けられている排気口221a及び吸気口222aと、を有する。
【0042】
これにより、冷却ファン85は、第1領域110に設けられる機器150を冷却しつつ、第2領域120の排気口221aから排気することで第2領域120内外の空気を循環させて、下ケース板100を冷却することができる。従って、冷却効率を向上しつつ、第2領域120を第1領域110よりも高さを十分に低く形成することができ、第2領域120の空気の循環のために別途の冷却機構を設ける必要がなくなるので、装置を小型とすることができる。
【0043】
また、排気口221aは、ダクト85cの排出口(ダクト排気口85c3)よりも下流側に配置される。これにより、冷却ファン85の排気風を効率よく第2領域120の排気口221aから排出することができる。
【0044】
また、吸気口222aは、ダクト排気口85c3よりも上流側に配置される。これにより、ダクト排気口85c3の前側の空気を排気口221aから排出しつつ、排気口221aから排出される排気風BW1により、ダクト排気口85c3よりも後側の空気を引っ張るようにして吸気風BW2を吸気口222aから流入させることを効率よく行うことができる。
【0045】
また、下ケース板100は、金属製からなる。これにより、樹脂材料を用いて製造された下ケースカバー23よりも熱伝導率の高い金属製の部材を用いることで、効率よく下ケース板100を冷却することができる。
【0046】
また、第1領域110側に設けられる複数の機器150は、下ケース板100と伝熱シート161~166を介して接続される機器150を含む。これにより、第1領域110内の機器から生じる熱を効率よく下ケース板100に伝熱させることができる。
【0047】
また、ケース20内の第2領域120側には、外部温度差によって一方が吸気され、他方が排気される一対の吸排気口223a,223bを有する。これにより、外部温度差によっても自然吸排気が行われるので、より一層、第2領域120内外の空気が循環され、冷却性能を高めることができる。
【0048】
また、ダクト排気口85c3に対応する、ケース20内の第2領域120側の位置には、ダクト排気口85c3からの排気により回転するサブファン170が設けられる。これにより、第2領域120内外の空気の循環がより一層促進される。
【0049】
また、サブファン170の外周におけるダクト排気口85c3側には整流壁175が設けられる。これにより、サブファン170による吸気口222aから排気口221aへの空気の流れへの干渉を低減しつつ、外部温度差による自然吸排気をより一層促進させることができる。
【0050】
そして、投影装置10,10Aは、光源装置60と、投影光学系と、が設けられる。これにより、冷却効率を向上しつつ小型とした投影装置10,10Aを提供することができる。
【0051】
なお、排気口221a、吸気口222aの数は限定されない。しかしながら、本実施形態のように、排気風BW1が流れる方向の位置に設けられる前側壁221に排気口221aを設けることで、例えばダクト85cに近い側方の右側壁224に排気口を設ける場合に比べて、排気風BW1、吸気風BW2で示す風の流れが分散されず、よって強い誘導風である吸気風BW2を作り出すことができる。
【0052】
また、本実施形態においては、ダクト85cは、前側壁221に向かう一方向に伸びて設けられるが、冷却ファン85の出力が十分に設定される場合には、ダクト85cの流路を分割して、他方向に伸びるように設けても良い。例えば、前側壁221だけでなく、左側壁223又は右側壁224に向かう方向にもダクト85cが伸びる構造とすることで、より効率よく誘導風を発生させることができ、より高い冷却効果が期待できる。なお、右側壁224に向かう方向にダクト85cを伸ばす場合には、右側壁224側にも排気口を設ける必要がある。左側壁223に向かう方向にダクト85cを伸ばす場合には、吸排気口223a,223bを排気口とすることができる。
【0053】
なお、以上説明した実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0054】
10 投影装置 10A 投影装置
11 投影口 20 ケース
21 上ケース 22 下ケース
23 下ケースカバー 23a 下面板
23a1 下面 23a2 上面
23c ボス 23d 整流板
50 表示素子 60 光源装置
61 励起光照射装置 62 蛍光ホイール装置
63 赤色光源装置 65 光学ケース
70 レンズ鏡筒 80 冷却装置
81 第1ヒートシンク 81a ヒートパイプ
82 第2ヒートシンク 82a ヒートパイプ
83 第3ヒートシンク 83a ヒートパイプ
85 冷却ファン 85a1 上側吸気口
85a2 下側吸気口 85b ファン排気口
85b1 内部上面 85c ダクト
85c1 後ダクト板 85c2 前ダクト板
85c21 上端 85c3 ダクト排気口
85d 内部上面 90 基板
91 光源側制御回路基板 92 電源回路基板
93 冷却装置側制御回路基板 100 下ケース板
100a 下面 101 ねじ孔
102 取付支柱 102a ねじ孔
103 連通孔 110 第1領域
120 第2領域 150 機器
161~166 伝熱シート
170 サブファン 170a 羽
170b 軸部 170c 環状規制部
170c1 突起 171 下軸受
172 上軸受 175 整流壁
210 上ケース本体 210a 天板
210a1 調整用孔 210a2 操作パネル
210b 角部柱 211 前パネル
211a 開口孔 212 後パネル
213 左パネル 214 右パネル
220b 角 221 前側壁
221a 排気口 222 後側壁
222a 吸気口 223 左側壁
223a 吸排気口 223b 吸排気口
224 右側壁
BW1 排気風 BW2 吸気風
CW1 吸気風 CW2 排気風
SW1,SW2 風