(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024089696
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】繊維製品用洗浄剤及び洗浄方法
(51)【国際特許分類】
C11D 1/72 20060101AFI20240627BHJP
C11D 1/722 20060101ALI20240627BHJP
C11D 1/29 20060101ALI20240627BHJP
C11D 3/33 20060101ALI20240627BHJP
C11D 1/14 20060101ALI20240627BHJP
C11D 1/83 20060101ALI20240627BHJP
【FI】
C11D1/72
C11D1/722
C11D1/29
C11D3/33
C11D1/14
C11D1/83
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022205036
(22)【出願日】2022-12-22
(71)【出願人】
【識別番号】000226161
【氏名又は名称】日華化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【弁理士】
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】吾田 圭司
【テーマコード(参考)】
4H003
【Fターム(参考)】
4H003AB22
4H003AB27
4H003AB31
4H003AC08
4H003AC23
4H003BA12
4H003DA01
4H003DB01
4H003DC02
4H003EA12
4H003EA15
4H003EA16
4H003EB08
4H003EB13
4H003EB16
4H003EB30
4H003ED02
4H003FA04
4H003FA06
(57)【要約】 (修正有)
【課題】洗浄性、再汚染防止性、排水処理性に優れる繊維製品用洗浄剤及び洗浄方法を提供すること。
【解決手段】下記一般式(1)で表される化合物(A)と、下記一般式(2)で表される化合物(B)と、アニオン活性剤(C)と、キレート剤(D)とを含み、(B)/[(A)+(B)]の質量比が、0.15~0.85であり、(C)/[(A)+(B)+(C)]の質量比が、0.45~0.85である、繊維製品用洗浄剤。
R1-O-(A1O)x-H・・・(1)
R2-O-(A2O)z-H・・・(2)
式中、A1OおよびA2Oは、繰り返し単位であって、炭素数2~4のアルキレンオキシ基である。R1は、ジスチレン化フェニル基等、R2は、炭素数12~13の直鎖状または分岐状のアルキル基、炭素数12~13の直鎖状または分岐状のアルケニル基からなる群から選ばれる何れか等である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1)で表される化合物(A)と、一般式(2)で表される化合物(B)と、アニオン活性剤(C)と、キレート剤(D)とを含み、
(B)/[(A)+(B)]の質量比が、0.15~0.85であり、
(C)/[(A)+(B)+(C)]の質量比が、0.45~0.85である、
繊維製品用洗浄剤。
R
1-O-(A
1O)
x-H (1)
(式中、R
1は炭素数8~18の直鎖状または分岐状のアルキル基、炭素数8~18の直鎖状または分岐状のアルケニル基、下記一般式(1-1)で示される基からなる群から選ばれる何れかである。A
1Oは、繰り返し単位であって、炭素数2~4のアルキレンオキシ基である。複数のA
1Oは互いに同一または異なり、A
1Oの40モル%以上がエチレンオキシ基である。xはA
1Oの繰り返し数であり、8~20の整数である。)
【化1】
(式中、yは[ ]内の基による置換数であり、1~3の整数である。)
R
2-O-(A
2O)
z-H (2)
(式中、R
2は炭素数8~18の直鎖状または分岐状のアルキル基、炭素数8~18の直鎖状または分岐状のアルケニル基の何れかである。A
2Oは、繰り返し単位であって、炭素数2~4のアルキレンオキシ基である。複数のA
2Oは互いに同一または異なる。zはA
2Oの繰り返し数であり、2~7の整数である。エチレンオキシ基であるA
2Oの繰り返し数は2~5の整数である。)
【請求項2】
化合物(A)は、
R1がジスチレン化フェニル基であり、
A1Oの60モル%以上がエチレンオキシ基であり、
xが10~16の整数であり、
化合物(B)は、
R2が炭素数12~13の直鎖状または分岐状のアルキル基、炭素数12~13の直鎖状または分岐状のアルケニル基からなる群から選ばれる何れかであり、
zが2~7の整数であり、
エチレンオキシ基であるA2Oの繰り返し数は2~5の整数であり、
(A2O)zはエチレンオキシ(EO)基及びプロピレンオキシ(PO)基からなり、PO基/(EO基+PO基)のモル比が0.6以下であり、
アニオン活性剤(C)は、α-オレフィンスルホン酸及び/又はその塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル及び/又はその塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル及び/又はその塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸及び/又はその塩、アルキルメチルアラニン及び/又はその塩からなる群から選ばれる何れかであり、
キレート剤(D)は、アミノカルボン酸塩
である、請求項1に記載の繊維製品用洗浄剤。
【請求項3】
前記繊維製品が清掃用繊維製品である、請求項1または2に記載の繊維製品用洗浄剤。
【請求項4】
請求項1~3の何れか1項に記載の繊維製品用洗浄剤を希釈して調製した洗浄液で洗浄する洗浄方法であって、
該洗浄液中の、化合物(A)と化合物(B)との合計濃度が、180ppm以上20000ppm以下であり、キレート剤(D)の濃度が40ppm以上10000ppm以下であり、
該洗浄液のpHが10.5以上である、
洗浄方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維製品用洗浄剤及び洗浄方法に関する。特に玄関マットやフロアマット、フロアクリーニング用モップ等の清掃用繊維製品用洗浄剤及びそれを用いた洗浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に繊維製品の商業洗濯では、多種多様な汚れが繊維製品に附着しているため、それに対応する十分な洗浄力が求められる。一方で環境問題の視点から、使用された洗濯排水を放流する際に適切な処理が施されている必要があり、排水処理への適応性が求められる。
中でも玄関マットやフロアマット、フロアクリーニング用のモップ等の清掃用繊維製品は、一定期間使用後に専用業者が回収、洗濯し、再提供される。
【0003】
使用後のこれらの製品には、油、泥等の汚れが大量に共存しているため、洗濯の際には一般的なリネン品やワイシャツ類等の商業洗濯水準以上の洗浄性が求められる。また、優れた排水処理適性も同時に求められる。
【0004】
例えば、特許文献1には、実質的にリン酸塩及びアルミノシリケートを含まず、界面活性剤中に非石鹸系アニオン界面活性剤を20質量%以上含む界面活性剤:4~35質量%、水溶性かつ結晶性の無機塩類:20~60質量%、高分子及び低分子の有機2価金属イオン捕捉剤:10~40質量%を含有することを特徴とする洗浄剤組成物が開示されている。
【0005】
特許文献2には、界面活性剤を含有する洗浄媒体を用いて清掃用繊維製品を洗浄する洗浄工程を少なくとも1回含む清掃用繊維製品の洗浄方法であって、全ての洗浄工程の少なくとも何れかにおいて炭素数14~22の脂肪酸のナトリウム塩又はカリウム塩が用いられ、且つ全ての洗浄工程においてノニオン界面活性剤が用いられ、更に全ての洗浄工程で用いられる洗浄媒体中の炭素数14~22の脂肪酸のナトリウム塩又はカリウム塩の総量(X)とノニオン界面活性剤の総量(Y)との重量比が(X)/(Y)=1/8~1/2.2である、清掃用繊維製品の洗浄方法が開示されている。
【0006】
特許文献3には、特定の非イオン界面活性剤1~20重量%、重量平均分子量1000~10000のポリアクリル酸又はその塩0.01~2重量% 、水溶性キレート剤(リンを含むものを除く)1~50重量%、及びアルカリ剤10~50重量%を含有するリネンサプライ用粉末洗剤組成物が開示されている。
しかしながら、いずれも、洗浄性、再汚染防止性、排水処理性を満足させるものではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002-194397
【特許文献2】特開2007-209946
【特許文献3】特開2009-073950
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、洗浄性、再汚染防止性、排水処理性に優れる繊維製品用洗浄剤及び洗浄方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願発明者は、前記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、洗浄性、再汚染防止性、排水処理性に優れる繊維製品用洗浄剤及び洗浄方法を見出した。
【0010】
すなわち本発明の繊維製品用洗浄剤は以下の点を特徴とする。
1.一般式(1)で表される化合物(A)と、一般式(2)で表される化合物(B)と、アニオン活性剤(C)と、キレート剤(D)とを含み、
(B)/[(A)+(B)]の質量比が、0.15~0.85であり、
(C)/[(A)+(B)+(C)]の質量比が、0.45~0.85である、
繊維製品用洗浄剤。
R
1-O-(A
1O)
x-H (1)
(式中、R
1は炭素数8~18の直鎖状または分岐状のアルキル基、炭素数8~18の直鎖状または分岐状のアルケニル基、下記一般式(1-1)で示される基からなる群から選ばれる何れかである。A
1Oは、繰り返し単位であって、炭素数2~4のアルキレンオキシ基である。複数のA
1Oは互いに同一または異なり、A
1Oの40モル%以上がエチレンオキシ基である。xはA
1Oの繰り返し数であり、8~20の整数である。)
【化1】
(式中、yは[ ]内の基による置換数であり、1~3の整数である。)
R
2-O-(A
2O)
z-H (2)
(式中、R
2は炭素数8~18の直鎖状または分岐状のアルキル基、炭素数8~18の直鎖状または分岐状のアルケニル基の何れかである。A
2Oは、繰り返し単位であって、炭素数2~4のアルキレンオキシ基である。複数のA
2Oは互いに同一または異なる。zはA
2Oの繰り返し数であり、2~7の整数である。エチレンオキシ基であるA
2Oの繰り返し数は2~5の整数である。)
2.化合物(A)は、
R
1がジスチレン化フェニル基であり、
A
1Oの60モル%以上がエチレンオキシ基であり、
xが10~16の整数であり、
化合物(B)は、
R
2が炭素数12~13の直鎖状または分岐状のアルキル基、炭素数12~13の直鎖状または分岐状のアルケニル基からなる群から選ばれる何れかであり、
zが2~7の整数であり、
エチレンオキシ基であるA
2Oの繰り返し数は2~5の整数であり、
(A
2O)
zはエチレンオキシ(EO)基及びプロピレンオキシ(PO)基からなり、PO基/(EO基+PO基)のモル比が0.6以下であり、
アニオン活性剤(C)は、α-オレフィンスルホン酸及び/又はその塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル及び/又はその塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル及び/又はその塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸及び/又はその塩、アルキルメチルアラニン及び/又はその塩からなる群から選ばれる何れかであり、
キレート剤(D)は、アミノカルボン酸塩
である、上記1に記載の繊維製品用洗浄剤。
3.前記繊維製品が清掃用繊維製品である、上記1または2に記載の繊維製品用洗浄剤。
4.上記1~3の何れかに記載の繊維製品用洗浄剤を希釈して調製した洗浄液で洗浄する洗浄方法であって、
該洗浄液中の、化合物(A)と化合物(B)との合計濃度が、180ppm以上20000ppm以下であり、キレート剤(D)の濃度が40ppm以上10000ppm以下であり、
該洗浄液のpHが10.5以上である、
洗浄方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、洗浄性、再汚染防止性、排水処理性に優れる繊維製品用洗浄剤及び洗浄方法を提供することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を詳細に説明する。以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0013】
(実施形態)
1.繊維製品用洗浄剤について
本実施形態の繊維製品用洗浄剤は、一般式(1)で表される化合物(A)と、一般式(2)で表される化合物(B)と、アニオン活性剤(C)と、キレート剤(D)とを含有する。
繊維製品用洗浄剤中の、(B)/[(A)+(B)]の質量比は、0.15~0.85が好ましく、0.20~0.80がより好ましく、0.30~0.75がさらに好ましく、0.40~0.70が特に好ましい。
上記質量比が、上記範囲よりも小さいと、洗浄性が悪くなり易く、上記範囲よりも大きいと、洗浄性や再汚染防止性が低下し易い。
繊維製品用洗浄剤中の、(C)/[(A)+(B)+(C)]の質量比は、0.45~0.85が好ましく、0.50~0.82がより好ましく、0.60~0.80がさらに好ましい。
上記質量比が、上記範囲よりも小さいと、排水凝集性が悪くなり易く、上記範囲よりも大きいと、洗浄性が低下し易い。
【0014】
R1-O-(A1O)x-H (1)
(式中、R1は炭素数8~18の直鎖状または分岐状のアルキル基、炭素数8~18の直鎖状または分岐状のアルケニル基、下記一般式(1-1)で示される基からなる群から選ばれる何れかである。A1Oは、繰り返し単位であって、炭素数2~4のアルキレンオキシ基である。複数のA1Oは互いに同一または異なり、A1Oの40モル%以上がエチレンオキシ基である。xはA1Oの繰り返し数であり、8~20の整数である。)
【0015】
【化2】
(式中、yは[ ]内の基による置換数であり、1~3の整数である。)
R
2-O-(A
2O)
z-H (2)
(式中、R
2は炭素数8~18の直鎖状または分岐状のアルキル基、炭素数8~18の直鎖状または分岐状のアルケニル基の何れかである。A
2Oは、繰り返し単位であって、炭素数2~4のアルキレンオキシ基である。複数のA
2Oは互いに同一または異なる。zはA
2Oの繰り返し数であり、2~7の整数である。エチレンオキシ基であるA
2Oの繰り返し数は2~5の整数である。)
【0016】
本発明の繊維製品用洗浄剤は、特に、清掃用の繊維製品の洗浄用途に好適である。
本発明の洗浄方法は上記記載の繊維製品用洗浄剤を希釈して、一般式(1)で表される化合物(A)と、一般式(2)で表される化合物(B)の合計濃度を180ppm以上20000ppm以下、キレート剤(D)の濃度を40ppm以上10000ppm以下、pH10.5以上に調製された洗浄液で洗浄することが好ましい。
【0017】
2.一般式(1)で表される化合物(A)について
化合物(A)は、上記の一般式(1)で表される化合物である。
【0018】
2-1.R
1
について
上記の一般式(1)において、洗浄性及び再汚染防止性の観点から、R1は、炭素数8~18の直鎖状または分岐状のアルキル基、炭素数8~18の直鎖状または分岐状のアルケニル基、下記一般式(1-1)で示される基からなる群から選ばれる何れかであることが好ましく、炭素数12~15の直鎖状または分岐状のアルキル基、炭素数12~15の直鎖状または分岐状のアルケニル基、ジスチレン化フェニル基からなる群から選ばれる何れかであることがより好ましい。
【0019】
R1の、炭素数8~18の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基の具体例としては、n-オクチル基、2-エチルヘキシル基、n-デシル基、イソデシル基、n-ドデシル基、イソドデシル基、n-テトラデシル基、n-ヘキサデシル基等が挙げられる。
【0020】
R1の、炭素数8~18の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルケニル基の具体例としては、n-オクテニル基、n-デセニル基、n-ドデセニル基、イソドデセニル基、n-テトラデセニル基、n-ヘキサデセニル基、イソヘキサデセニル基、n-オクタデセニル基等が挙げられる。
【0021】
R1の、一般式(1-1)で示される基の具体例としては、モノスチレン化フェニル基、ジスチレン化フェニル基、トリスチレン化フェニル基が挙げられる。
【0022】
R1は、これらのうち、洗浄性および再汚染防止性の観点から、炭素数12~15の直鎖状または分岐状のアルキル基、炭素数12~15の直鎖状または分岐状のアルケニル基、ジスチレン化フェニル基であることが好ましく、ジスチレン化フェニル基であることがより好ましい。
【0023】
2-2.(A
1
O)
x
について
繰り返し単位であるA1Oは、炭素数2~4のアルキレンオキシ基であることが好ましい。
A1Oの40モル%以上がエチレンオキシ基であることが好ましく、60モル%以上がエチレンオキシ基であることがより好ましく、80モル%以上がエチレンオキシ基であることが更に好ましい。
また、複数のA1Oは互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
【0024】
A1Oの繰り返し数であるxは、8~20の整数であることが好ましく、10~16の整数であることがより好ましい。
【0025】
複数のA1Oが異なるアルキレンオキシ基である場合、例えばエチレンオキシ基(以下、EO基という)とプロピレンオキシ基(以下、PO基という)が1分子中に混在する場合には、EO基とPO基の配列順に特に限定はなく、EO基および/またはPO基が、ブロック状に配列していてもよく、ランダム状に配列していてもよい。
【0026】
これらのうち、洗浄性の観点からは、xは10~18の整数であり、且つA1Oの40モル%以上がEO基であることが好ましい。
【0027】
(A)一般式(1)で表される化合物は、洗浄性及び再汚染防止性の観点から、一般式(1)中、R1は炭素数12~15の直鎖状または分岐状のアルキル基、炭素数12~15の直鎖状または分岐状のアルケニル基、ジスチレン化フェニル基であり、A1Oの40モル%以上がエチレンオキシ基であり、xは10~16の整数であることが好ましい。
R1は炭素数12~15の直鎖状または分岐状のアルキル基、炭素数12~15の直鎖状または分岐状のアルケニル基、ジスチレン化フェニル基であり、A1Oの60モル%以上がエチレンオキシ基であり、xは10~16の整数であることがより好ましく、R1はジスチレン化フェニル基であり、A1Oの60モル%以上がエチレンオキシ基であり、xは10~16の整数であることがさらに好ましく、R1はジスチレン化フェニル基であり、A1Oの80モル%以上がエチレンオキシ基であり、xは10~16の整数であることが特に好ましい。
【0028】
3.一般式(2)で表される化合物(B)について
次に(B)一般式(2)で表される化合物について説明する。
R2-O-(A2O)z-H (2)
一般式(2)中、R2は炭素数8~18の直鎖状または分岐状のアルキル基、炭素数8~18の直鎖状または分岐状のアルケニル基の何れかである。
【0029】
炭素数8~18の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基の具体例としては、n-オクチル基、2-エチルヘキシル基、n-デシル基、イソデシル基、n-ドデシル基、イソドデシル基、n-テトラデシル基、n-ヘキサデシル基等が挙げられる。
【0030】
炭素数8~18の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルケニル基の具体例としては、n-オクテニル基、n-デセニル基、n-ドデセニル基、イソドデセニル基、n-テトラデセニル基、n-ヘキサデセニル基、イソヘキサデセニル基、n-オクタデセニル基等が挙げられる。
【0031】
これらのうち、洗浄性の観点から、R2は、炭素数12~13の直鎖状または分岐状のアルキル基、炭素数12~13の直鎖状または分岐状のアルケニル基の何れかであることが好ましい。
【0032】
一般式(2)中、A2Oは炭素数2~4のアルキレンオキシ基であり、zはA2Oの繰り返し単位の繰り返し数で2~7の整数であり、A2Oがエチレンオキシ基の場合の繰り返し単位数は2~5である。
複数のA2Oは互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい。
A2Oが異なる場合、例えば1分子中にEOとPOが混在する場合、EOとPOの分布(配列順)に特に限定はなく、これらはブロック状に配列していてもよく、ランダム状に配列していてもよい。
これらのうち、洗浄性の観点から、zは2~7であり、且つPO/(EO+PO)のモル比が0.6以下であることが好ましい。
【0033】
(B)一般式(2)で表される化合物は、洗浄性及び再汚染防止性の観点から、一般式(2)中、R2は炭素数12~13の直鎖状または分岐状のアルキル基、炭素数12~13の直鎖状または分岐状のアルケニル基であって、zは2~7の整数であり、A2Oがエチレンオキシ基の場合の繰り返し単位数は2~5であることが好ましく、R2は炭素数12~13の直鎖状または分岐状のアルキル基、炭素数12~13の直鎖状または分岐状のアルケニル基のいずれかであって、zは2~7の整数であり、A2Oがエチレンオキシ基の場合の繰り返し単位数は2~5であり、且つPO/(EO+PO)のモル比が0.6以下であることがより好ましい。
【0034】
4.アニオン活性剤(C)について
次に(C)成分について説明する。
本発明の繊維製品用洗浄剤で使用する(C)成分はアニオン界面活性剤である。
(C)成分は、アニオン界面活性剤であれば特に限定されるものではないが、例えば、スルホン酸型アニオン界面活性剤、硫酸エステル型アニオン界面活性剤、リン酸エステル型アニオン界面活性剤、カルボン酸型アニオン界面活性剤、脂肪酸石鹸などが挙げられる。
【0035】
スルホン酸型アニオン界面活性剤の具体例としては、α-オレフィンスルホン酸及び/又はその塩、α-スルホ脂肪酸アルキルエステル及び/又はその塩、スルホコハク酸モノアルキルエステル及び/又はその塩、スルホコハク酸ジアルキルエステル及び/又はその塩、アルキルベンゼンスルホン酸及び/又はその塩、アルキルスルホン酸及び/又はその塩、アルキルナフタレンスルホン酸及び/又はその塩、ナフタレンスルホン酸及び/又はその塩、ジフェニールエーテルスルホン酸及び/又はその塩、アルキルナフタレンスルホン酸の縮合物及び/又はその塩、ナフタレンスルホン酸の縮合物及び/又はその塩等が挙げられる。
【0036】
硫酸エステル型アニオン界面活性剤の具体例としては、アルキル硫酸エステル及び/又はその塩、ポリオキシアルキレンアルキル硫酸エステル及び/又はその塩、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル硫酸及び/又はその塩、トリスチレン化フェノール硫酸エステル及び/又はその塩、ポリオキシアルキレンジスチレン化フェノール硫酸エステル及び/又はその塩、アルキルポリグリコシド硫酸及び/又はその塩等が挙げられる。
リン酸エステル型アニオン界面活性剤の具体例としては、アルキルリン酸エステル及び/又はその塩、アルキルフェニルリン酸エステル及び/又はその塩、ポリオキシアルキレンアルキルリン酸エステル及び/又はその塩、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルリン酸エステル及び/又はその塩等が挙げられる。
【0037】
カルボン酸型アニオン界面活性剤の具体例としては、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸及び/又はその塩、ポリオキシアルキレンアルキルアミドエーテルカルボン酸及び/又はその塩等が挙げられる。
【0038】
これらの中でも、洗浄性の観点からは、α-オレフィンスルホン酸及び/又はその塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル及び/又はその塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル及び/又はその塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸及び/又はその塩、アルキルメチルアラニン及び/又はその塩が好ましい。
また、繊維製品用洗浄剤が粉末の場合には、α-オレフィンスルホン酸及び/又はその塩が好ましい。
【0039】
繊維製品用洗浄剤が液体の場合には、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル及び/又はその塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸及び/又はその塩、アルキルメチルアラニン及び/又はその塩が好ましい。
塩の具体例としては、例えばナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、亜鉛塩等の金属塩;アンモニウム塩;アルカノールアミン塩;脂肪族アミン塩等が挙げられ、ナトリウム塩、カリウム塩、アルカノールアミン塩、アンモニウム塩が好ましい。
【0040】
5.キレート剤(D)について
次に(D)成分について説明する。
本発明の繊維製品用洗浄剤で使用する(D)成分はキレート剤である。
キレート剤としては、例えば、リン酸塩、アミノカルボン酸塩、ヒドロキシカルボン酸塩、ポリカルボン酸系ポリマーなどが挙げられる。
【0041】
リン酸塩の具体例としては、トリポリリン酸塩、ピロリン酸塩、ピロリン酸塩、リン酸水素二塩等が挙げられる。
【0042】
アミノカルボン酸塩の具体例としては、ニトリロ三酢酸ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム、ジエチレントリアミン五酢酸ナトリウム、トリエチレンテトラミン六酢酸ナトリウム、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸ナトリウム、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸ナトリウム、グルタミン酸二酢酸四ナトリウム、メチルグリシン二酢酸ナトリウム等が挙げられる。
【0043】
ヒドロキシカルボン酸塩の具体例としては、酒石酸塩、クエン酸塩、グルコン酸塩等が挙げられる。
【0044】
ポリカルボン酸系ポリマーの具体例としては、ポリアクリル酸、アクリル酸-アリルアルコール共重合体、アクリル酸-マレイン酸共重合体、ヒドロキシアクリル酸重合体等が挙げられる。
【0045】
これらの中でも、洗浄性の観点からは、ポリカルボン酸系ポリマー、トリポリリン酸塩、アミノカルボン酸塩が好ましく、トリポリリン酸塩、アミノカルボン酸塩がより好ましい。
【0046】
また、環境的側面の観点からは、アミノカルボン酸塩が好ましい。
【0047】
繊維製品用洗浄剤としては、洗浄性、再汚染防止性、排水凝集性の観点から、(A)成分は、一般式(1)中、R1は炭素数12~15の直鎖状または分岐状のアルキル基、炭素数12~15の直鎖状または分岐状のアルケニル基、ジスチレン化フェニル基のいずれかであり、A1Oの60モル%以上がエチレンオキシ基であり、xは10~16の整数である化合物であり、(B)成分は、一般式(2)中、R2は炭素数12~13の直鎖状または分岐状のアルキル基、炭素数12~13の直鎖状または分岐状のアルケニル基のいずれかであって、zは2~7の整数であり、A2Oがエチレンオキシ基の場合の繰り返し数は2~5である化合物である。
(C)成分は、α-オレフィンスルホン酸及び/又はその塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル及び/又はその塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル及び/又はその塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸及び/又はその塩、アルキルメチルアラニン及び/又はその塩のいずれかであり、(D)成分は、ポリカルボン酸系ポリマー、トリポリリン酸塩、アミノカルボン酸塩のいずれかである組み合わせが好ましく、
(A)成分は、一般式(1)中、R1は炭素数12~15の直鎖状または分岐状のアルキル基、炭素数12~15の直鎖状または分岐状のアルケニル基、ジスチレン化フェニル基であり、A1Oの60モル%以上がエチレンオキシ基であり、xは10~16の整数である化合物である。
(B)成分は、一般式(2)中、R2は炭素数12~13の直鎖状または分岐状のアルキル基、炭素数12~13の直鎖状または分岐状のアルケニル基であって、zは2~7の整数であり、A2Oがエチレンオキシ基の場合の繰り返し単位数は2~5である化合物である。
(C)成分は、α-オレフィンスルホン酸及び/又はその塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル及び/又はその塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル及び/又はその塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸及び/又はその塩、アルキルメチルアラニン及び/又はその塩であり、(D)成分は、トリポリリン酸塩、アミノカルボン酸塩である組み合わせがより好ましく、
(A)成分は、一般式(1)中、R1は炭素数12~15の直鎖状または分岐状のアルキル基、炭素数12~15の直鎖状または分岐状のアルケニル基、ジスチレン化フェニル基のいずれかであり、A1Oの60モル%以上がエチレンオキシ基であり、xは10~16の整数である化合物であり、(B)成分は、一般式(2)中、R2は炭素数12~13の直鎖状または分岐状のアルキル基、炭素数12~13の直鎖状または分岐状のアルケニル基のいずれかであって、zは2~7の整数であり、A2Oがエチレンオキシ基の場合の繰り返し数は2~5であり、且つPO/(EO+PO)のモル比が0.6以下である化合物である。
(C)成分は、α-オレフィンスルホン酸及び/又はその塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル及び/又はその塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル及び/又はその塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸及び/又はその塩、アルキルメチルアラニン及び/又はその塩のいずれかであり、(D)成分は、トリポリリン酸塩、アミノカルボン酸塩のいずれかである組み合わせがさらに好ましく、
(A)成分は、一般式(1)中、R1はジスチレン化フェニル基であり、A1Oの60モル%以上がエチレンオキシ基であり、xは10~16の整数であることがさらに好ましく、
(B)成分は、一般式(2)中、R2は炭素数12~13の直鎖状または分岐状のアルキル基、炭素数12~13の直鎖状または分岐状のアルケニル基のいずれかであって、zは2~7の整数であり、A2Oがエチレンオキシ基の場合の繰り返し単位数は2~5であり、且つPO/(EO+PO)のモル比が0.6以下である化合物であり、(C)成分は、α-オレフィンスルホン酸及び/又はその塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル及び/又はその塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル及び/又はその塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸及び/又はその塩、アルキルメチルアラニン及び/又はその塩のいずれかであり、(D)成分は、トリポリリン酸塩、アミノカルボン酸塩である組み合わせがさらにより好ましく、
(A)成分は、一般式(1)中、R1はジスチレン化フェニル基であり、A1Oの60モル%以上がエチレンオキシ基であり、xは10~16の整数であることがさらに好ましく、
(B)成分は、一般式(2)中、R2は炭素数12~13の直鎖状または分岐状のアルキル基、炭素数12~13の直鎖状または分岐状のアルケニル基のいずれかであって、zは2~7の整数であり、A2Oがエチレンオキシ基の場合の繰り返し数は2~5であり、且つPO/(EO+PO)のモル比が0.6以下である化合物である。
(C)成分は、α-オレフィンスルホン酸及び/又はその塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル及び/又はその塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル及び/又はその塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸及び/又はその塩、アルキルメチルアラニン及び/又はその塩のいずれかであり、(D)成分は、アミノカルボン酸塩である組み合わせが特に好ましい。
【0048】
(A)成分と(B)成分の合計量に対する(B)成分の質量割合〈(B)/[(A)+(B)]〉は、0.15~0.85(質量比)が好ましい。
これらのうち、洗浄性の観点からは、0.20~0.80がより好ましく、0.30~0.75がさらに好ましく、0.40~0.70が特に好ましい。
【0049】
(A)成分と(B)成分と(C)成分の合計量に対する(C)成分の質量割合〈(C)/[(A)+(B)+(C)]〉は、0.45~0.85(質量比)が好ましい。
これらのうち、洗浄性と排水処理適正の観点からは、0.50~0.82がより好ましく、0.60~0.80がさらに好ましい。
【0050】
(A)成分の含有量は、繊維製品用洗浄剤の総質量に対して、洗浄性、組成物の安定性の観点から、1~10質量%が好ましく、3~8質量%がより好ましい。
(B)成分の含有量は、繊維製品用洗浄剤の総質量に対して、洗浄性、組成物の安定性の観点から、1~15質量%が好ましく、4~10質量%がより好ましい。
(C)成分の含有量は、繊維製品用洗浄剤の総質量に対して、洗浄性、組成物の安定性、排水処理適性の観点から、2~60質量%が好ましく、5~40質量%がより好ましい。
(D)成分の含有量は、繊維製品用洗浄剤の総質量に対して、洗浄性、組成物の形状の観点から、1~50質量%が好ましく、3~30質量%がより好ましい。
【0051】
<任意成分>
本発明の繊維製品用洗浄剤には、本発明の性能に影響を及ばさない範囲で、洗浄剤の技術分野で配合することが知られている他の成分を配合することができる。
そのような成分としては、無機ビルダー、酵素、有機溶剤、蛍光染料、再汚染防止剤、柔軟剤、消泡剤、酸化防止剤、青味付け剤、香料、抗菌防腐剤、前記以外の界面活性剤を例示することができるが、これらに限定されるものではない。
無機ビルダーの具体例としては、ケイ酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、セスキ炭酸ナトリウム、硫酸ナトリウム等が挙げられる。
酵素の具体例としては、アミラーゼ、プロテアーゼ、リパーゼ、セルラーゼ等が挙げられる。
【0052】
有機溶剤の具体例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、ベンジルアルコール、3-メチル-3-メトキシブタノール等が挙げられる。
再汚染防止剤の具体例としては、カルボキシメチルセルロースナトリウム等が挙げられる。
柔軟剤の具体例としては、シリコーン系化合物等が挙げられる。
消泡剤の具体例としては、シリカ、シリコーン系化合物等が挙げられる。
しかし、これらに限定されるものではない。
【0053】
<製造方法>
本発明の繊維製品用洗浄剤は、(A)成分、(B)成分、(C)成分、(D)成分と、必要に応じて水や任意成分の1つ以上を混合することで得られる。
水の具体例としては、特に制限されないが、例えば水道水、脱イオン水(イオン交換水)、純水、超純水、蒸留水などが挙げられる。
【0054】
<形態>
本発明の繊維製品用洗浄剤の形態としては特に限定されず、粉末状、粒状、顆粒状の固体であってもよいし、液体であってもよい。
【0055】
<使用方法>
本発明の繊維製品用洗浄剤は、繊維製品用の洗浄剤である。
本発明の繊維製品用洗浄剤は、水等で希釈せずにそのまま繊維製品の洗浄に使用してもよいし、水で1~2000倍に希釈して使用してもよい。水としては特に制限されないが、例えば水道水、脱イオン水(イオン交換水)、純水、超純水、蒸留水などが挙げられる。
なお、本明細書において、繊維製品用洗浄剤を水で希釈した希釈液を「洗浄液」ともいう。
【0056】
本発明の繊維製品用洗浄剤から調製された洗浄液中で、(A)成分と(B)成分の合計濃度は、180ppm以上20000ppm以下が好ましく、洗浄力及びコストの観点からは、200~10000ppmがより好ましく、300~5000ppmがさらに好ましく、400~1000ppmが特に好ましい。
本発明の繊維製品用洗浄剤から調製された洗浄液中で(D)成分の濃度は、40ppm以上10000ppm以下であり、洗浄力及びコストの観点から、50~5000ppmが好ましく、200~3000ppmがより好ましく、400~1000ppmがさらに好ましい。
【0057】
本発明の繊維製品用洗浄剤から調製された洗浄液のpHは、10.5以上が好ましく、洗浄力の観点からは、10.5~14.0がより好ましく、10.5~12.5がさらに好ましい。
本発明の繊維製品用洗浄剤や洗浄液に含有されるpH調整剤に特に制限はない、。具体的なpH調整剤としては、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、オルソ珪酸ナトリウム、メタ珪酸ナトリウムなどが挙げられる。
【0058】
<繊維製品の洗浄方法>
繊維製品の洗浄方法は、洗浄剤または洗浄液を繊維製品に接触させる方法であれば、特に限定されないが、前記洗浄剤または洗浄液に、被洗物を浸漬させた後、攪拌、回転、落下、振動等の物理的な外力を加えて洗浄する方法が挙げられる。
浸漬によって、被洗物に付着した汚れ成分を洗浄液中に分離、溶出させることができ、物理的な外力を加えることによって、被洗物のより細部にまで洗浄液を浸透させ、繊維と汚れ成分との分離を促進させて洗浄効率の向上を図ることができる。
【0059】
繊維製品としては、例えば、ワイシャツ、背広等の衣類;マット、モップ等の清掃用繊維製品などが挙げられ、繊維製品用洗浄剤が排水処理適性を備えている観点から、マットやモップ等の清掃用繊維製品が好ましい。
【0060】
洗浄対象となる汚れとしては特に限定されないが、例えば油溶性汚れ、水溶性汚れ、固体汚れ、これらの複合的な汚れなどが挙げられる。油溶性汚れとしては、例えば動植物油脂、鉱油等による汚れなどが挙げられる。
水溶性汚れとしては、例えば食塩、砂糖、汗等の水溶性の無機塩や水溶性の有機化合物による汚れなどが挙げられる。固体汚れとしては、例えば泥、鉄分、カーボン等による汚れなどが挙げられる。
【0061】
<排水処理方法>
洗濯工場から排出される排水については、水質汚濁防止法や下水道法により排水基準値が定められており、排水に対する何らかの処理が必要である。
排水処理方法については、特に限定されないが、洗濯排水中に油や泥等汚れが多量に含まれる場合には、懸濁物質と水の固液分離を容易にするために凝集沈殿法による処理が好ましい。
凝集沈殿法は、汚れの多くはコロイド溶液の性質を有するものが多く、負の電荷を有し互いに反発し合って安定した状況で存在しているが、無機凝集剤や高分子凝集剤などを添加し、これらを凝集させフロックをつくり沈殿させ水と分離する方法である。
【実施例0062】
実施例で使用した各成分は以下の通りである。
<(A)成分>
・(A1) ジスチレン化フェノールEO4モルPO6モル付加物(合成品)
一般式(1)において、R1が一般式(1-1)で表されるy=2の基であり、A1Oがエチレンオキシ基とプロピレンオキシ基の混合物であり、エチレンオキシ基の数が4、プロピレンオキシ基の数が6で、x=10である、化合物。
・(A2) ジスチレン化フェノールEO7モルPO3モル付加物(合成品)
一般式(1)において、R1が一般式(1-1)で表されるy=2の基であり、A1Oがエチレンオキシ基とプロピレンオキシ基の混合物であり、エチレンオキシ基の数が7、プロピレンオキシ基の数が3で、x=10である、化合物。
・(A3) ジスチレン化フェノールEO10モル付加物(合成品)
一般式(1)において、R1が一般式(1-1)で表されるy=2の基であり、A1Oがエチレンオキシ基であり、x=10である、化合物。
・(A4) ジスチレン化フェノールEO12モル付加物(合成品)
一般式(1)において、R1が一般式(1-1)で表されるy=2の基であり、A1Oがエチレンオキシ基であり、x=12である、化合物。
・(A5) ジスチレン化フェノールEO8モルPO10モル付加物(合成品)
一般式(1)において、R1が一般式(1-1)で表されるy=2の基であり、A1Oがエチレンオキシ基とプロピレンオキシ基の混合物であり、エチレンオキシ基の数が8、プロピレンオキシ基の数が10で、x=18である、化合物。
・(A6) ジスチレン化フェノールEO13モルPO5モル付加物(合成品)
一般式(1)において、R1が一般式(1-1)で表されるy=2の基であり、A1Oがエチレンオキシ基とプロピレンオキシ基の混合物であり、エチレンオキシ基の数が13、プロピレンオキシ基の数が5で、x=18である、化合物。
・(A7) ジスチレン化フェノールEO18モル付加物(合成品)
一般式(1)において、R1が一般式(1-1)で表されるy=2の基であり、A1Oがエチレンオキシ基であり、x=18である、化合物。
・(A8) ドデシルアルコールEO4モルPO6モル付加加物(合成品)
一般式(1)において、R1が炭素数12の直鎖状のアルキル基であり、A1Oがエチレンオキシ基とプロピレンオキシ基の混合物であり、エチレンオキシ基の数が4、プロピレンオキシ基の数が6で、x=10である、化合物。
・(A9) ドデシルアルコールEO7モルPO3モル付加加物(合成品)
一般式(1)において、R1が炭素数12の直鎖状のアルキル基であり、A1Oがエチレンオキシ基とプロピレンオキシ基の混合物であり、エチレンオキシ基の数が7、プロピレンオキシ基の数が3で、x=10である、化合物。
・(A10) ドデシルアルコールEO10モル付加加物(合成品)
一般式(1)において、R1が炭素数12の直鎖状のアルキル基であり、A1Oがエチレンオキシ基であり、x=10である、化合物。
・(A11) ドデシルアルコールEO12モル付加加物(合成品)
一般式(1)において、R1が炭素数12の直鎖状のアルキル基であり、A1Oがエチレンオキシ基であり、x=12である、化合物。
・(A12) ドデシルアルコールEO14モルPO2.5モル付加加物(合成品)
一般式(1)において、R1が炭素数12の直鎖状のアルキル基であり、A1Oがエチレンオキシ基とプロピレンオキシ基の混合物であり、エチレンオキシ基の数が14、プロピレンオキシ基の数が2.5で、x=16.5である、化合物。
・(A13) ドデシルアルコールEO10モルPO8モル付加加物(合成品)
一般式(1)において、R1が炭素数12の直鎖状のアルキル基であり、A1Oがエチレンオキシ基とプロピレンオキシ基の混合物であり、エチレンオキシ基の数が10、プロピレンオキシ基の数が8で、x=18である、化合物。
・(A14) ドデシルアルコールEO13モルPO5モル付加加物(合成品)
一般式(1)において、R1が炭素数12の直鎖状のアルキル基であり、A1Oがエチレンオキシ基とプロピレンオキシ基の混合物であり、エチレンオキシ基の数が13、プロピレンオキシ基の数が5で、x=18である、化合物。
・(A15) ドデシルアルコールEO18モル付加加物(合成品)
一般式(1)において、R1が炭素数12の直鎖状のアルキル基であり、A1Oがエチレンオキシ基であり、x=18である、化合物。
・(A16) トリデシルアルコールEO7モルPO7モル付加加物(合成品)
一般式(1)において、R1が炭素数13の直鎖状のアルキル基であり、A1Oがエチレンオキシ基とプロピレンオキシ基の混合物であり、エチレンオキシ基の数が7、プロピレンオキシ基の数が7で、x=14である、化合物。
・(A17) テトラデシルアルコールEO8モルPO3モル付加加物(合成品)
一般式(1)において、R1が炭素数14の直鎖状のアルキル基であり、A1Oがエチレンオキシ基とプロピレンオキシ基の混合物であり、エチレンオキシ基の数が8、プロピレンオキシ基の数が3で、x=11である、化合物。
・(a1) ドデシルアルコールPO12モル付加物(合成品)
一般式(1)において、R1が炭素数12の直鎖状のアルキル基であり、A1Oがプロピレンオキシ基であり、x=12である、化合物。
・(a2) ドデシルアルコールEO3モルPO7モル付加物(合成品)
一般式(1)において、R1が炭素数12の直鎖状のアルキル基であり、A1Oがエチレンオキシ基とプロピレンオキシ基の混合物であり、エチレンオキシ基の数が3、プロピレンオキシ基の数が7で、x=10である、化合物。
・(a3) ヘキシルアルコールEO12モル付加物(合成品)
一般式(1)において、R1が炭素数6の直鎖状のアルキル基であり、A1Oがエチレンオキシ基であり、x=12である、化合物。
・(a4) ドコシルアルコールEO12モル付加物(合成品)
一般式(1)において、R1が炭素数22の直鎖状のアルキル基であり、A1Oがエチレンオキシ基であり、x=12である、化合物。
・(a5) ドデシルアルコールPO22モル付加物(合成品)
一般式(1)において、R1が炭素数12の直鎖状のアルキル基であり、A1Oがプロピレンオキシ基であり、x=22である、化合物。
【0063】
<(B)成分>
・(B1) オクチルアルコールEO2モルPO3モル付加物(合成品)
一般式(2)において、R2が炭素数8の直鎖状のアルキル基であり、A2Oがエチレンオキシ基とプロピレンオキシ基の混合物であり、エチレンオキシ基の数が2、プロピレンオキシ基の数が3で、z=5である、化合物。
・(B2) ドデシルアルコールEO1モルPO2モル付加物(合成品)
一般式(2)において、R2が炭素数12の直鎖状のアルキル基であり、A2Oがエチレンオキシ基とプロピレンオキシ基の混合物であり、エチレンオキシ基の数が1、プロピレンオキシ基の数が2で、z=3である、化合物。
・(B3) ドデシルアルコールEO2モルPO1モル付加物(合成品)
一般式(2)において、R2が炭素数12の直鎖状のアルキル基であり、A2Oがエチレンオキシ基とプロピレンオキシ基の混合物であり、エチレンオキシ基の数が2、プロピレンオキシ基の数が1で、z=3である、化合物。
・(B4) ドデシルアルコールEO3モル付加物(製品名:ソフタノール30 日本触媒社製)
一般式(2)において、R2が炭素数12の直鎖状のアルキル基であり、A2Oがエチレンオキシ基であり、z=3である、化合物。
・(B5) ドデシルアルコールEO2モルPO3モル付加物(合成品)
一般式(2)において、R2が炭素数12の直鎖状のアルキル基であり、A2Oがエチレンオキシ基とプロピレンオキシ基の混合物であり、エチレンオキシ基の数が2、プロピレンオキシ基の数が3で、z=5である、化合物。
・(B6) ドデシルアルコールEO5モル付加物(製品名:ソフタノール50 日本触媒社製)
一般式(2)において、R2が炭素数12の直鎖状のアルキル基であり、A2Oがエチレンオキシ基であり、z=5である、化合物。
・(B7) ドデシルアルコールEO4モルPO3モル付加物(合成品)
一般式(2)において、R2が炭素数12の直鎖状のアルキル基であり、A2Oがエチレンオキシ基とプロピレンオキシ基の混合物であり、エチレンオキシ基の数が4、プロピレンオキシ基の数が3で、z=7である、化合物。
・(B8) ドデシルアルコールEO5モルPO2モル付加物(合成品)
一般式(2)において、R2が炭素数12の直鎖状のアルキル基であり、A2Oがエチレンオキシ基とプロピレンオキシ基の混合物であり、エチレンオキシ基の数が5、プロピレンオキシ基の数が2で、z=7である、化合物。
・(B9) ヘキサデシルアルコールEO2モルPO3モル付加物(合成品)
一般式(2)において、R2が炭素数16の直鎖状のアルキル基であり、A2Oがエチレンオキシ基とプロピレンオキシ基の混合物であり、エチレンオキシ基の数が2、プロピレンオキシ基の数が3で、z=5である、化合物。
・(b1) ヘキシルアルコールEO2モルPO3モル付加物(合成品)
一般式(2)において、R2が炭素数6の直鎖状のアルキル基であり、A2Oがエチレンオキシ基とプロピレンオキシ基の混合物であり、エチレンオキシ基の数が2、プロピレンオキシ基の数が3で、z=5である、化合物。
・(b2) ドコシルアルコールEO2モルPO3モル付加物(合成品)
一般式(2)において、R2が炭素数22の直鎖状のアルキル基であり、A2Oがエチレンオキシ基とプロピレンオキシ基の混合物であり、エチレンオキシ基の数が2、プロピレンオキシ基の数が3で、z=5である、化合物。
・(b3) ドデシルアルコールEO6モルPO1モル付加物(合成品)
一般式(2)において、R2が炭素数12の直鎖状のアルキル基であり、A2Oがエチレンオキシ基とプロピレンオキシ基の混合物であり、エチレンオキシ基の数が6、プロピレンオキシ基の数が1で、z=7である、化合物。
・(b4) ドデシルアルコールPO1モル付加物(合成品)
一般式(2)において、R2が炭素数12の直鎖状のアルキル基であり、A2Oがプロピレンオキシ基であり、z=1である、化合物。
【0064】
<(C)成分>
・(C1) α―オレフィンスルホン酸ナトリウム(製品名:リポランPB-800 ライオン社製)
・(C2) 直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム(製品名:テイカパワーL-121 テイカ社製を水酸化ナトリウムにて中和したもの)
・(C3) ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸ナトリウム(製品名:プライサーフA212C 第一工業製薬社製を水酸化ナトリウムにて中和したもの)
・(C4) ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸塩(製品名:ビューライトECA 三洋化成工業社製)
・(C5) ジアルキルスルホコハク酸塩(製品名:アデカコールEC-8600 ADEKA社製)
・(C6) アルキル硫酸塩(製品名:シントレッキスEH-R 日油社製)
・(C7) アルキルメチルアラニン塩(製品名:アラノンACE 川研ファインケミカル社製)
【0065】
<(D)成分>
・(D1) ニトリロ三酢酸ナトリウム(製品名:トリロンA92R BASF社製)
・(D2) メチルグリシンニ酢酸ナトリウム(製品名:トリロンM BASF社製)
・(D3) トリポリリン酸ナトリウム(製品名:トリポリリン酸ソーダ 下関三井化学社製)
・(D4) ポリアクリル酸ナトリウム(製品名:セロポールPC-300 三洋化成工業社製)
・(D5) クエン酸ナトリウム(製品名:精製クエン酸ナトリウム 扶桑化学工業社製)
【0066】
<アルカリ剤>
・炭酸ナトリウム(製品名:ソーダ灰 トクヤマ社製)
・メタ珪酸ナトリウム(製品名:無水メタ珪酸ソーダ 日本化学工業社製)
【0067】
<合成例>
[(A)成分の合成例]
・(A1の合成)
ジスチレン化フェノール(製品名:SP-24 三光社製)と水酸化カリウムをオートクレーブ内に仕込み、容器内を窒素置換した。次に温度120℃に昇温して30分間、減圧脱水処理を行った。その後、温度120℃以上にてプロピレンオキシドの供給を開始した。この時、反応温度165~175℃、圧力0.5MPa・G以下にて反応させた。ジスチレン化フェノールエチレンオキシド1モル当量に対しプロピレンオキシド6モル当量供給後、内圧が一定となるまで熟成した。引き続きエチレンオキシドの供給を開始した。この時、反応温度155~165℃、圧力0.5MPa・G以下にて反応させた。ジスチレン化フェノール1モル当量に対しエチレンオキシド4モル当量供給後、内圧が一定となるまで熟成し、A1を得た。
【0068】
・(A2の合成)
ジスチレン化フェノール1モル当量に対するプロピレンオキシドの供給量を3モル、エチレンオキシドの供給量を7モルとした以外は、A1と同様の方法にて合成しA2を得た。
【0069】
・(A3の合成)
ジスチレン化フェノールと水酸化カリウムをオートクレーブ内に仕込み、容器内を窒素置換した。次に温度120℃に昇温して30分間、減圧脱水処理を行った。その後、温度120℃以上にてエチレンオキシドの供給を開始した。この時、反応温度155~165℃、圧力0.5MPa・G以下にて反応させた。ジスチレン化フェノール1モル当量に対しエチレンオキシド10モル当量供給後、内圧が一定となるまで熟成し、A3を得た。
【0070】
・(A4の合成)
ジスチレン化フェノール1モル当量に対するエチレンオキシドの供給量を12モルとした以外は、A3と同様の方法にて合成しA4を得た。
【0071】
・(A5の合成)
ジスチレン化フェノール1モル当量に対するプロピレンオキシドの供給量を10モル、エチレンオキシドの供給量を8モルとした以外は、A1と同様の方法にて合成しA5を得た。
【0072】
・(A6の合成)
ジスチレン化フェノール1モル当量に対するプロピレンオキシドの供給量を5モル、エチレンオキシドの供給量を13モルとした以外は、A1と同様の方法にて合成しA6を得た。
【0073】
・(A7の合成)
ジスチレン化フェノール1モル当量に対するエチレンオキシドの供給量を18モルとした以外は、A3と同様の方法にて合成しA7を得た。
【0074】
・(A8の合成)
ジスチレン化フェノールの代わりにドデシルアルコール(シェルジャパン社製 商品名:ネオドール23)を用いた以外は、A1と同様の方法にて合成しA8を得た。
【0075】
・(A9の合成)
ジスチレン化フェノールの代わりにドデシルアルコールを用いた以外は、A2と同様の方法にて合成しA9を得た。
【0076】
・(A10の合成)
ジスチレン化フェノールの代わりにドデシルアルコールを用いた以外は、A3と同様の方法にて合成しA10を得た。
【0077】
・(A11の合成)
ジスチレン化フェノールの代わりにドデシルアルコールを用いた以外は、A4と同様の方法にて合成しA11を得た。
【0078】
・(A12の合成)
ドデシルアルコールと水酸化カリウムをオートクレーブ内に仕込み、容器内を窒素置換した。次に温度120℃に昇温して30分間、減圧脱水処理を行った。その後、温度120℃以上にてエチレンオキシドの供給を開始した。この時、反応温度145~155℃、圧力0.5MPa・G以下にて反応させた。
ドデシルアルコール1モル当量に対しエチレンオキシド3モル当量供給後、内圧が一定となるまで熟成した。熟成後120℃まで冷却し、引き続きエチレンオキシドとプロピレンオキシドの混合物の供給を開始した。この時、反応温度120~130℃、圧力0.5MPa・G以下にて反応させた。ドデシルアルコール1モル当量に対し、エチレンオキシド3モル当量、プロピレンオキシド2.5モル当量の混合物を供給後、内圧が一定となるまで熟成した。引き続きエチレンオキシドの供給を開始した。
この時、反応温度145~155℃、圧力0.5MPa・G以下にて反応させた。ドデシルアルコール1モル当量に対しエチレンオキシド8モル当量供給後、内圧が一定となるまで熟成し、A12を得た。
【0079】
・(A13の合成)
ドデシルアルコール1モル当量に対するプロピレンオキシドの供給量を8モル、エチレンオキシドの供給量を10モルとした以外は、A8と同様の方法にて合成しA13を得た。
【0080】
・(A14の合成)
ジスチレン化フェノールの代わりにドデシルアルコールを用いた以外は、A6と同様の方法にて合成しA14を得た。
【0081】
・(A15の合成)
ジスチレン化フェノールの代わりにドデシルアルコールを用いた以外は、A7と同様の方法にて合成しA15を得た。
【0082】
・(A16の合成)
トリデシルアルコール(製品名:トリデカノール KHネオケム社製)と水酸化カリウムをオートクレーブ内に仕込み、容器内を窒素置換した。次に温度120℃に昇温して30分間、減圧脱水処理を行った。その後、温度120℃以上にてエチレンオキシドの供給を開始した。この時、反応温度140~150℃、圧力0.5MPa・G以下にて反応させた。
トリデシルアルコール1モル当量に対しエチレンオキシド7モル当量供給後、内圧が一定となるまで熟成した。引き続きプロピレンオキシドの供給を開始した。この時、反応温度160~170℃、圧力0.5MPa・G以下にて反応させた。テトラデシルアルコール1モル当量に対しプロピレンオキシド7モル当量供給後、内圧が一定となるまで熟成しA16を得た。
【0083】
・(A17の合成)
テトラデシルアルコール(製品名:ネオドール45 シェルジャパン社製)と水酸化カリウムをオートクレーブ内に仕込み、容器内を窒素置換した。次に温度120℃に昇温して30分間、減圧脱水処理を行った。その後、温度120℃以上にてプロピレンオキシドの供給を開始した。
この時、反応温度165~175℃、圧力0.5MPa・G以下にて反応させた。テトラデシルアルコール1モル当量に対しプロピレンオキシド3モル当量供給後、内圧が一定となるまで熟成した。引き続きエチレンオキシドの供給を開始した。この時、反応温度160~170℃、圧力0.5MPa・G以下にて反応させた。テトラデシルアルコール1モル当量に対しエチレンオキシド8モル当量供給後、内圧が一定となるまで熟成しA17を得た。
【0084】
・(a1の合成)
ドデシルアルコール1モル当量に対するプロピレンオキシドの供給量を12モル、エチレンオキシドを供給しなかった以外は、A8と同様の方法にて合成し、a1を得た。
【0085】
・(a2の合成)
ドデシルアルコール1モル当量に対するプロピレンオキシドの供給量を7モル、エチレンオキシドの供給量を3モルとした以外は、A8と同様の方法にて合成し、a2を得た。
【0086】
・(a3の合成)
ドデシルアルコールの代わりにヘキシルアルコール(製品名:2-ヘキサノール 東京化成工業社製)を用いた以外は、A11と同様の方法にて合成しa3を得た。
【0087】
・(a4の合成)
ドデシルアルコールの代わりにドコシルアルコール(製品名:ベヘニルアルコール 高級アルコール工業社製)を用いた以外は、A11と同様の方法にて合成しa4を得た。
【0088】
・(a5の合成)
ドデシルアルコール1モル当量に対するエチレンオキシド供給量を22モルとした以外は、A15と同様の方法にて合成しa5を得た。
【0089】
[(B)成分の合成例]
・(B1の合成)
トリデシルアルコールの代わりにオクチルアルコール(製品名:コノール10WS 新日本理化社製)を用い、オクチルアルコール1モル当量に対するエチレンオキシドの供給量を2モル、プロピレンオキシドの供給量を3モルとした以外は、A16と同様の方法にて合成しB1を得た。
【0090】
・(B2の合成)
トリデシルアルコールの代わりにドデシルアルコールを用い、ドデシルアルコール1モル当量に対するエチレンオキシドの供給量を1モル、プロピレンオキシドの供給量を2モルとした以外は、A16と同様の方法にて合成しB2を得た。
【0091】
・(B3の合成)
ドデシルアルコール1モル当量に対するエチレンオキシドの供給量を2モル、プロピレンオキシドの供給量を1モルとした以外は、B2と同様の方法にて合成しB3を得た。
【0092】
・(B5の合成)
ドデシルアルコール1モル当量に対するエチレンオキシドの供給量を2モル、プロピレンオキシドの供給量を3モルとした以外は、B2と同様の方法にて合成しB5を得た。
【0093】
・(B7の合成)
ドデシルアルコールと水酸化カリウムをオートクレーブ内に仕込み、容器内を窒素置換した。次に温度120℃に昇温して30分間、減圧脱水処理を行った。その後、ドデシルアルコール1モル当量に対し、エチレンオキシド1モルとプロピレンオキシド2モルの混合物の供給を開始した。
この時、反応温度120~130℃、圧力0.5MPa・G以下にて反応させた。内圧が一定となるまで熟成後、引き続きドデシルアルコール1モル当量に対し、エチレンオキシド3モルとプロピレンオキシド1モルの混合物の供給を開始した。この時、反応温度120~130℃、圧力0.5MPa・G以下にて反応させた。内圧が一定となるまで熟成しB7を得た。
【0094】
・(B8の合成)
ドデシルアルコール1モル当量に対するプロピレンオキシドの供給量を2モル、エチレンオキシドの供給量を5モルとした以外は、A8と同様の方法にて合成し、B8を得た。
【0095】
・(B9の合成)
オクチルアルコールの代わりにヘキサデシルアルコール(製品名:セタノール 高級アルコール工業社製)を用いた以外は、B1と同様の方法にて合成しB9を得た。
【0096】
・(b1の合成)
オクチルアルコールの代わりにヘキシルアルコールを用いた以外は、B1と同様の方法にて合成しb1を得た。
【0097】
・(b2の合成)
オクチルアルコールの代わりにドコシルアルコールを用いた以外は、B1と同様の方法にて合成しb2を得た。
【0098】
・(b3の合成)
ドデシルアルコール1モル当量に対するプロピレンオキシドの供給量を1モル、エチレンオキシドの供給量を6モルとした以外は、B8と同様の方法にて合成しb3を得た。
【0099】
・(b4の合成)
ドデシルアルコール1モル当量に対するプロピレンオキシドの供給量を1モル、エチレンオキシドを供給しなかった以外は、B8と同様の方法にて合成し、b4を得た。
【0100】
[実施例1]
[繊維製品用洗浄剤の調整]
下記の原料を混合して、粉状の繊維製品用洗浄剤を調製した。硫酸ナトリウムの添加量は、合計10000質量部になるように調整した。
・A1:200質量部
・B1:300質量部
・C1:1500質量部
・D1:600質量部
・炭酸ナトリウム:2000質量部
・硫酸ナトリウム:残部
そして、得られた繊維製品用洗浄剤を用いて、洗浄性・再汚染防止性評価用洗浄液、及び排水処理性評価用洗浄液を調製し、各種評価を実施した。
評価結果を表中に示す。
【0101】
[実施例2~44、比較例1~22]
実施例1と同様に操作して、繊維製品用洗浄剤、洗浄性・再汚染防止性評価用洗浄液、及び排水処理性評価用洗浄液を調製し、同様に評価した。
評価結果を表中に示す。
【0102】
<評価方法>
[洗浄性及び再汚染防止性]
(油性汚染布の作成)
生地を汚染液に浸漬させた後、マングルを通して汚れを均一に塗布した。塗布した基布を風乾し油性汚染布とした。マングル圧は、風乾後の油性汚染布の550nmの表面反射率が30%になるよう調整した。
生地:40番綿ブロード白布
汚染成分:カーボン/牛脂硬化油/流動パラフィン/工業用アスファルト=1/20/60/20(質量比)の混合成分
汚染液:汚染成分を、容量比で100倍量の「フジブライトG―1(ソルベックス社製)」に溶解分散させたもの。
【0103】
(洗浄性・再汚染防止性評価用洗浄液の作成)
上記調整した繊維製品用洗浄剤をカルシウム硬度60の水(イオン交換水に塩化カルシウムを用いてカルシウム硬度60に調整)で100倍に希釈して洗浄性・再汚染防止性評価用洗浄液を調製した。
【0104】
(洗浄)
下記の油性汚染布、ポリエステルジャージ白布を各4枚と直径4mmの鉄球20個を、洗浄性・再汚染防止性評価用洗浄液50mlに入れ、60℃で10分間洗浄した。
そして、洗浄後に、油性汚染布及びポリエステルジャージ白布をすすぎ乾燥した。
洗浄装置:ラウンダオメータ(大栄科学精器製作所社製)
被洗物:油性汚染布(4×5cm)、ポリエステルジャージ白布(4×5cm)
【0105】
(反射率測定)
前記油性汚染布、及びポリエステルジャージ白布表面の反射率(550nm)を色彩計CM-53D(村上色彩技術研究所社製)により測定した。
【0106】
(洗浄率算出)
次いで、以下の式を用いて洗浄率を算出した。
洗浄率(%)=100×[(油性汚染布洗浄後の反射率-油性汚染布洗浄前の反射率)/(ポリエステルジャージ白布洗浄前の反射率-油性汚染布洗浄前の反射率)]
洗浄性については、油性汚染布4枚の洗浄率の平均値をとり、2以上を合格とした。
8:平均洗浄率が、52%以上
7:平均洗浄率が、50%以上52%未満
6:平均洗浄率が、48%以上50%未満
5:平均洗浄率が、46%以上48%未満
4:平均洗浄率が、44%以上46%未満
3:平均洗浄率が、42%以上44%未満
2:平均洗浄率が、40%以上42%未満
1:平均洗浄率が、40%未満
【0107】
(再汚染率算出)
次いで、以下の式を用いて再汚染率を算出した。
再汚染率(%)=100×[(ポリエステルジャージ白布洗浄前の反射率-ポリエステルジャージ白布洗浄後の反射率)/(ポリエステルジャージ白布洗浄前の反射率)]
再汚染防止性については、ポリエステルジャージ白布4枚の再汚染率の平均値をとり、2以上を合格とした。
7:平均再汚染率が、0.5%未満
6:平均再汚染率が、0.5%以上1.0%未満
5:平均再汚染率が、1.0%以上1.5%未満
4:平均再汚染率が、1.5%以上2.0%未満
3:平均再汚染率が、2.0%以上2.5%未満
2:平均再汚染率が、2.5%以上3.0%未満
1:平均再汚染率が、3.0%以上
【0108】
[排水処理性]
(排水処理性評価用洗浄液の作成)
上記、粉状の繊維製品用洗浄剤をイオン交換水を用いて、100倍に希釈した。
[凝集処理]
この希釈液1000mlに、撹拌しながら硫酸バンドを3000ppmになるよう添加し、さらに硫酸、又は水酸化ナトリウムを用いて、排水の凝集処理のために、pHを5.0~6.0に調整して、排水処理性評価用洗浄液を調製した。
さらに凝集剤としてポリアクリルアミド(重量平均分子量約1100万)を1000ppm添加し撹拌を止め1晩静置後、No.3Cのろ紙を用いてろ過し、ろ液を採取した。
【0109】
(COD測定)
前記ろ液の化学的酸素要求量(以下、CODと略す。)の分析を、JIS K0102(2019年)に準拠して実施した。
【0110】
(COD除去率算出)
次式にてCOD除去率を算出した。
COD除去率(%)=[1-(凝集処理後のCOD/凝集処理前のCOD)]×100
排水処理性については、COD除去率が2以上を合格とした。
4:COD除去率が、70%以上
3:COD除去率が、55%以上70%未満
2:COD除去率が、40%以上55%未満
1:COD除去率が、40%未満