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  • 特開-工作機械用の回転テーブル装置 図1
  • 特開-工作機械用の回転テーブル装置 図2
  • 特開-工作機械用の回転テーブル装置 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024089701
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】工作機械用の回転テーブル装置
(51)【国際特許分類】
   B23Q 1/52 20060101AFI20240627BHJP
   B23Q 1/28 20060101ALI20240627BHJP
   B23Q 11/00 20060101ALI20240627BHJP
【FI】
B23Q1/52
B23Q1/28 C
B23Q11/00 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022205044
(22)【出願日】2022-12-22
(71)【出願人】
【識別番号】000215109
【氏名又は名称】津田駒工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】柴原 壮登
【テーマコード(参考)】
3C048
【Fターム(参考)】
3C048BC02
3C048CC04
3C048CC17
3C048DD12
(57)【要約】
【課題】エアシール機構を備えた工作機械用の回転テーブル装置において、工作機械が停止してエアシール機構によるフレーム内へのエアの供給が停止されてもフレーム内に異物が侵入しないようにしながら、そのフレーム内において構成上の不具合を発生させないようにすること。
【解決手段】回転軸の軸線方向に対向する回転体の面とフレームの面との隙間に開口すると共に回転軸と同軸にフレームに形成された円環状の収容溝と、収容溝内において軸線方向に摺動可能に収容されるシール用ピストンと、シール用ピストンを回転体側へ付勢する弾性部材と、収容溝の開口の一部を全周に亘って覆うように収容溝の周縁から収容溝の中心側へ回転軸の半径方向に突出するかたちでフレームに設けられた突出部分と、軸線方向に関し突出部分とシール用ピストンとで画定される圧力室と、シール用ピストンを収容溝の底面側へ変位させる作動流体を供給する供給装置とを備える。

【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークが取り付けられるテーブルを含む回転体が一端側に固定された回転軸と、収容孔内で軸受を介して前記回転軸を回転可能に支持するフレームとを備え、前記回転軸が駆動装置により回転駆動される工作機械用の回転テーブル装置であって、前記回転軸の軸線方向に対向する前記回転体の面と前記フレームの面との隙間からエアを噴出させるために、前記フレームに形成されたエア供給口からエアを供給するエアシール機構を備えた工作機械用の回転テーブル装置において、
前記隙間に開口すると共に前記回転軸と同軸に前記フレームに形成された円環状の収容溝と、前記収容溝内において前記軸線方向に摺動可能に収容されるシール用ピストンと、前記シール用ピストンを前記回転体側へ付勢する弾性部材と、前記収容溝の開口の一部を全周に亘って覆うように前記収容溝の周縁から前記収容溝の中心側へ前記回転軸の半径方向に突出するかたちで前記フレームに設けられた突出部分と、前記軸線方向に関し前記突出部分と前記シール用ピストンとで画定される圧力室と、前記弾性部材の付勢に抗して前記シール用ピストンを前記収容溝の底面側へ変位させる程度の圧力の作動流体を供給する供給装置とを備える
ことを特徴とする工作機械用の回転テーブル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークが取り付けられるテーブルを含む回転体が一端側に固定された回転軸と、収容孔内で軸受を介して回転軸を回転可能に支持するフレームとを備え、回転軸が駆動装置により回転駆動される工作機械用の回転テーブル装置であって、回転軸の軸線方向に対向する回転体の面とフレームの面との隙間からエアを噴出させるために、フレームに形成されたエア供給口からエアを供給するエアシール機構を備えた工作機械用の回転テーブル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
工作機械用の回転テーブル装置は、例えば特許文献1に開示されている装置のように、ワークが取り付けられるテーブルが一端側に固定された回転軸と、収容孔内で軸受を介して回転軸を回転可能に支持するフレームとを備え、その回転軸が駆動モータを駆動源とする駆動装置によって回転駆動されるように構成されている。また、その特許文献1に開示された回転テーブル装置は、そのフレーム内の空間にクーラント液等が侵入しないようにするために、その空間にエアを供給するためのエアパージ機構(エアシール機構)を備えている。なお、回転テーブル装置におけるエアシール機構について、そのフレーム内の空間に供給されるエアの圧力は、一般的には、フレーム内に設けられているシール部材のはみ出し等の不具合が発生しないようにするために、比較的低い圧力(0.01~0.03MPa程度)とされている。
【0003】
そして、その回転テーブル装置においては、フレームに形成されたエアの供給流路(供給口)からフレーム内にエアが供給されるのに伴い、回転軸の軸線方向において対向するテーブルの下面とフレームの上面との隙間からエアが噴出し、フレーム内にクーラント液等の異物が侵入するのを防ぐようになっている。
【0004】
なお、そのような回転テーブル装置においては、そのエアシール機構における前記のようにフレーム内にエアを供給する供給装置の制御は、一般的には、その回転テーブル装置が備えられた工作機械の制御装置によって行われるようになっている。そのため、工作機械の運転が停止されると、そのエアシール機構によるフレーム内へのエアの供給も停止されるようになっている。
【0005】
また、そのような回転テーブル装置においては、そのフレーム内の温度は、工作機械の運転中には駆動装置の発熱等によって高い状態となっており、工作機械の停止に伴い、その停止中に次第に下降する。そして、そのように温度が下降するのに伴ってフレーム内の空間にある空気の温度も低下するが、通常、空気は、温度が高い状態から低い状態へ変化するのに伴い、その体積が収縮する。そのため、工作機械が停止し、前記のようにエアシール機構によるフレーム内へのエアの供給が停止された状態で温度が低下すると、そのフレーム内の空気の収縮により、外部の空気がフレーム内に引き込まれる、といった状態が発生する。その結果として、工作機械が停止して加工が行われていないにもかかわらず、外部にあるクーラント液等の異物が前記隙間からフレーム内に侵入してしまう場合がある。
【0006】
なお、工作機械用ではないが、同様のエアシール機構を備えた(半導体製造装置用の)回転テーブル装置が特許文献2に開示されている。そして、その特許文献2の回転テーブル装置は、そのエアシール機構によるフレーム内へのエアの供給が停止された際にフレーム内の空間に異物が侵入しないようにするために、その供給が停止されたことに伴って前記隙間を閉塞するためのシール用ピストンを備える構成となっている。
【0007】
より詳しくは、その特許文献2の回転テーブル装置では、フレーム内に形成された収容孔内において、回転体と対向する位置に、シールケースが嵌装されている。なお、そのシールケースは、回転体側に開口すると共に回転軸と同軸に形成された円形の凹部を有している。また、そのシールケースの凹部内には、円環状のシール用ピストンが前記軸線方向に摺動可能に収容されている。さらに、そのシール用ピストンと凹部との間には、シール用ピストンを回転体側へ付勢するスプリング部材(弾性部材)が複数介装されている。それにより、その回転テーブル装置においては、その弾性部材の付勢力によってシール用ピストンが回転体側へ移動して回転体に当接し、収容孔におけるシール用ピストンよりも内側の空間が、外部に連通する外側の空間に対し閉塞されるようになっている。
【0008】
その上で、その特許文献2の回転テーブル装置は、シール用ピストンを弾性部材の付勢に抗して凹部の底面側(回転体から離間する側)へ移動させるための圧力室を備えている。但し、その回転テーブル装置では、その圧力室は、前記軸線方向に対向する回転体の下面とシール用ピストンの上側面とによって画定されるように形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2017-205860号公報
【特許文献2】WO2006/004052号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、エアシール機構を備えた回転テーブル装置においては、その回転テーブル装置の運転中に回転体とフレームとの隙間からエアを噴出させる必要がある。そして、特許文献2に開示された回転テーブル装置においても、同様にその回転テーブル装置の運転中に回転体とフレームとの隙間からエアを噴出させる必要があることから、前記のように設けられたシール用ピストンを、運転中において回転体から離間させる必要がある。そして、そのシール用ピストンの回転体からの離間は、圧力室に対し作動流体としての圧縮空気(シールガス)が供給されることで行われる。
【0011】
しかし、前記のように圧力室が回転体の下面とシール用ピストンの上側面とで画定されていると、シール用ピストンが回転体から離間するのに伴い、その圧力室内の空間が収容孔におけるシール用ピストンよりも内側の空間(フレーム内の空間)に連通した状態となってしまう。その結果として、圧力室に対し供給された圧縮空気が、フレーム内の空間に対しても供給される状態となる。
【0012】
そのため、そのようなシール用ピストンを用いる特許文献2の構成を、特許文献1に開示されているようなエアシール機構を備えた工作機械用の回転テーブル装置に対し、工作機械の停止中におけるフレーム内への異物の侵入防止のために適用した場合、そのフレーム内において構成上の不具合が発生する、といった問題が生じる。
【0013】
より詳しくは、工作機械用の回転テーブル装置においては、そのエアシール機構によりフレーム内の空間に供給されるエアの圧力は、前述のようにそのフレーム内に設けられているシール部材に不具合が発生しない程度の比較的に低い圧力とされている。一方で、シール用ピストンを回転体から離間させるための作動流体の圧力は、前述のような複数の弾性部材の付勢力に抗してシール用ピストンを移動させる必要があるため、比較的に高い圧力とされる。そして、その作動流体の圧力は、前述のエアシール機構によりフレーム内の空間に供給されるエアの圧力と比べてはるかに高い圧力である。
【0014】
そのため、前記のようにシール用ピストンの回転体からの離間に伴って圧力室に対し供給された作動流体としての圧縮空気がフレーム内の空間に供給される状態となると、フレーム内の空間の空気の圧力が高まり、そのフレーム内に設けられているシール部材にはみ出し等の構成上の不具合が発生する、といった問題が生じる。
【0015】
以上のような問題を鑑み、本発明は、前記のようなエアシール機構を備えた工作機械用の回転テーブル装置において、工作機械が停止してエアシール機構によるフレーム内へのエアの供給が停止されてもフレーム内に異物が侵入しないようにしながら、そのフレーム内において前記のような構成上の不具合を発生させないようにすることのできる構成を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、ワークが取り付けられるテーブルを含む回転体が一端側に固定された回転軸と、収容孔内で軸受を介して回転軸を回転可能に支持するフレームとを備え、回転軸が駆動装置により回転駆動される工作機械用の回転テーブル装置であって、特に、回転軸の軸線方向に対向する回転体の面とフレームの面との隙間からエアを噴出させるために、フレームに形成されたエア供給口からエアを供給するエアシール機構を備えた工作機械用の回転テーブル装置を前提とする。
【0017】
その上で、本発明は、回転テーブル装置は、前記隙間に開口すると共に回転軸と同軸にフレームに形成された円環状の収容溝と、収容溝内において前記軸線方向に摺動可能に収容されるシール用ピストンと、シール用ピストンを回転体側へ付勢する弾性部材と、収容溝の開口の一部を全周に亘って覆うように収容孔の周縁から収容溝の中心側へ回転軸の半径方向に突出するかたちでフレームに設けられた突出部分と、前記軸線方向に関し突出部分とシール用ピストンとで画定される圧力室と、弾性部材の付勢に抗してシール用ピストンを収容溝の底面側へ変位させる程度の圧力の作動流体を供給する供給装置とを備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、前述のような前提とする工作機械用の回転テーブル装置において、その回転テーブル装置は、フレーム(収容孔)内に形成された収容溝内において主軸の軸線方向に摺動可能に収容されるシール用ピストンと、そのシール用ピストンを回転体側へ付勢する弾性部材とを備えている。また、その収容溝は、回転体の面とフレームの面との間の隙間に開口すべく、前記軸線方向に開口するように形成されている。それにより、そのシール用ピストンが弾性体の付勢力によって回転体側へ変位して回転体に当接することで、前記隙間が閉塞される。
【0019】
また、その回転テーブル装置においては、収容溝の開口の一部を全周に亘って覆うように収容溝の周縁から収容溝の中心側へ回転軸の半径方向に突出するかたちでフレームに設けられる突出部分が備えられている。そして、エアシールのためにシール用ピストンを回転体から離間させる方向へ変位させるための圧力室が、その突出部分と(収容溝内を摺動する)シール用ピストンとで画定されるようになっている。より詳しくは、その圧力室は、前記軸線方向に関しては、突出部分における収容溝内を向く内側面(突部内側面)及びその突部内側面と対向するシール用ピストンの面(突部対向面)で画定されている。また、その圧力室は、前記半径方向に関しては、収容溝の内周面(溝内周面)及びその溝内周面と対向するシール用ピストンの面(溝対向面)で画定されている。但し、その突部内側面及び溝内周面は、固定的に存在する面である。
【0020】
そして、工作機械の運転中においては、エアシールのために前記隙間を開放すべく圧力室に作動流体を供給し、シール用ピストンを弾性体の付勢に抗して回転体から離間する方向へ変位させることが行われる。その場合において、そのようにシール用ピストンが変位されると、シール用ピストンにおける溝対向面は、自身が対向する溝内周面との間隔(対向方向の距離)は変化しない位置で、収容溝が開口する方向である前記軸線方向にスライドする。したがって、そのように溝対向面がスライドしても、前記半径方向における圧力室の領域が変化することは無い。一方で、シール用ピストンにおける突部対向面は、自身が対向する突部内側面に対し(対向方向において)離間する方向に変位する。しかし、その変位はあくまでも収容溝内で行われる。
【0021】
なお、突出部分は、収容溝の開口の一部を覆うように設けられている。言い換えれば、収容溝の開口は、突出部分に覆われていない部分においては前記軸線方向に開放されており、突出部分に対する開放部分が存在した状態となっている。そして、圧力室は、前記半径方向に関しては、収容溝内における突出部分側の空間がシール用ピストンの溝対向面で閉塞されるかたちとなっている。したがって、シール用ピストンは、その溝対向面を含む部分が前記開放部分に位置するように構成されたものとなる。それにより、その溝対向面は、前記軸線方向に関し、突出部分によって制限されることなくその大きさを設定することができるようになっている。
【0022】
そこで、その溝対向面の大きさを、前記変位によりシール用ピストンが回転体から最も離間したときの前記軸線方向における圧力室の大きさ(突部内側面と突部対向面との間隔)よりも大きくすることで、シール用ピストンが変位しても、半径方向における前記閉塞が維持されることとなる。しかも、本発明の構成によれば、シール用ピストンをそのように構成することが可能となっている。したがって、本発明の回転テーブル装置によれば、工作機械の停止中にシール用ピストンが前記隙間を閉塞するようにしつつも、工作機械の運転中において、前記隙間を開放すべくシール用ピストンを変位させても、その変位のために供給される作動流体がフレーム内の空間に供給されないようにすることができるようになるので、フレーム内において前記のような構成上の不具合を発生させないようにすることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明が適用された回転テーブル装置を示す正面断面図である。
図2図1の要部拡大図である。
図3】本発明が適用された回転テーブル装置の別の実施形態を示す正面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下では、図面に基づき、本発明が適用された工作機械用の回転テーブル装置の一実施形態(実施例)について説明する。なお、以下で説明する例は、回転軸の軸線を鉛直方向に向けて設置される所謂横置きの回転テーブル装置1に本発明を適用した例である。
【0025】
図1及び図2に示すように、回転テーブル装置1は、収容孔17を有するフレーム10と、収容孔17内で軸受31を介してフレーム10に回転可能に支持される回転軸30と、回転軸30の一端側に取り付けられる回転テーブル20とを備えている。また、その回転テーブル装置1は、回転軸30を回転駆動するための駆動装置5と、割り出された角度位置で回転軸30を保持するためのクランプ装置40とを備えている。
【0026】
それらのうち、フレーム10は、主体的な部分である本体部11と、その本体部11に取り付けられるフロントカバ12及びリアカバ15とで構成されている。また、その本体部11は、その一端側の端面から他端側の端面に向けて貫通するように形成された貫通孔を有している。
【0027】
フロントカバ12は、その本体部11における前記一端側の端面に対し取り付けられている。そのフロントカバ12は、中心に貫通孔を有する円盤状(ドーナツ盤状)の部材である。そして、フロントカバ12は、平面視においてその貫通孔の中心を本体部11における貫通孔の中心に一致させる配置で、本体部11に対し取り付けられている。
【0028】
リアカバ15は、(貫通孔を有さない)円盤状の蓋部材として構成されている。そして、そのリアカバ15は、本体部11における前記他端側において、本体部11の貫通孔を閉塞するように本体部11に対し取り付けられている。
【0029】
そして、そのように構成されたフレーム10においては、本体部11、フロントカバ12の各貫通孔がその貫通方向に連続する状態となっており、それらの貫通孔により、フレーム10は、その内部に前記した収容孔17が形成された構成となっている。そして、その収容孔17は、その前記他端側の端部をリアカバ15によって閉塞された状態となっている。
【0030】
回転軸30は、回転テーブル装置1において、ワークが載置される円盤状の回転テーブル20が取り付けられる部分である。その回転軸30は、フレーム10の収容孔17内に配置され、本体部11との間に介装された軸受31により、フレーム10に対し回転可能に支持されている。また、回転軸30は、そのように収容孔17内に配置された状態において、その軸線方向に関し、その一端側の部分が、フレーム10のフロントカバ12から僅かにフレーム10の外側に突出するように設けられている。
【0031】
その上で、回転テーブル20は、その回転軸30における前記一端側の部分の端面に対し、その板厚方向を前記軸線方向に一致させる向きで取り付けられている。そして、そのように回転軸30に回転テーブル20が取り付けられることで、回転テーブル装置1においては、前記軸線方向に対向する回転テーブル20におけるフレーム10側の端面20aとフレーム10(フロントカバ12)における回転テーブル20側の端面12aとの間に、間隔の狭い隙間64が存在する状態となっている。
【0032】
また、フレーム10の本体部11において、その貫通孔は、その貫通方向における略中央から前記他端側の端面までの範囲において、その貫通孔の内径が拡大されるように形成されている。その上で、その貫通孔における内径が拡大された部分には、回転軸30を回転駆動するための駆動装置5が配置されている。なお、本実施例では、その駆動装置5は、ギア等の駆動機構を介さずに回転軸30を回転駆動する直接駆動型モータ(DDモータ50)を主体として構成されたものとなっている。また、そのDDモータ50は、所謂インナーロータ型のDDモータ50であって、モータロータ51が回転軸30に固定されると共に、モータステータ52がモータロータ51を囲繞するかたちでフレーム10に固定されるかたちで設けられている。
【0033】
クランプ装置40は、回転軸30に対し取り付けられたクランプディスク41に対しクランプピストン43を押圧させることで回転軸30を保持する所謂ディスクタイプのクランプ装置となっている。そのクランプ装置40について、フレーム10の本体部11には、フロントカバ12側の端面に開口する収容溝42が、回転軸30周りにおいて回転軸30と同心を成すように形成されている。そして、リング状のクランプピストン43が、その収容溝42に収容されている。また、そのクランプピストン43は、そのように収容溝42に収容された状態で、前記軸線方向に変位可能となっている。
【0034】
なお、フレーム10において、回転軸30の半径方向におけるその本体部11の収容溝42よりも内側には、本体部11とフロントカバ12との間に隙間が存在している。その上で、クランプディスク41は、前記軸線方向におけるその隙間の位置において、回転軸30に対し相対回転不能に取り付けられている。また、クランプディスク41は、前記半径方向に関し、その外周縁が収容溝42内に位置するような大きさとなっている。
【0035】
さらに、前記半径方向におけるクランプディスク41よりも外側の位置には、クランプピストン43とフロントカバ12との間に圧縮バネ45が介装されている。それにより、クランプピストン43は、収容溝42の底面の側(クランプディスク41から離間する方向)へ常時付勢された状態となっている。その上で、クランプピストン43と収容溝42の底面との間の空間に作動流体が供給されることで、その作動流体の圧力により、クランプピストン43がフロントカバ12側へ変位し、そのクランプピストン43とフロントカバ12とでクランプディスク41が挟持された状態となる。そして、その結果として、回転軸30が回転不能な状態となる。
【0036】
また、以上で説明した回転テーブル装置1は、フレーム10の内部への異物の侵入を防止するためのエアシール機構60を備えている。そして、そのエアシール機構60は、フレーム10の内部の空間に対しそのシール用のエアを供給するためにフレーム10の本体部11に形成された供給流路65を備えている。
【0037】
その供給流路65は、本体部11の外側面に開口すると共に前記半径方向に延びる外側部分65aと、フレーム10内において本体部11の一端側の端面に開口すると共に前記軸線方向に延びる内側部分65bとから成っている。なお、前記のように回転軸30は、本体部11との間に介装された軸受31により支持されている。言い換えれば、軸受31は、本体部11における貫通孔内において、本体部11と回転軸30との間に嵌装されている。その上で、供給流路65の内側部分65bは、その軸受31よりも前記一端側に存在する本体部11の端面に対し、前記半径方向における収容溝42よりも内側で開口するように形成されている。
【0038】
それにより、供給流路65は、フレーム10の内部における軸受31よりも回転テーブル20側の空間(前記した隙間64に連通する空間)63に連通するかたちとなっている。そして、そのフレーム10の内部での本体部11に対する内側部分65bの開口65dがエア供給口となる。
【0039】
また、その供給流路65において、外側部分65aは、前記のように本体部11の外側面に対する開口と内側部分65bとを連通させるように形成されている。その上で、供給流路65は、その本体部11の外側面に対する開口において、外部に設けられた後述のエア(圧縮空気)の供給装置と接続されている。
【0040】
そして、その供給流路65に対しエアが供給されることで、供給流路65を介し、エア供給口65dからフレーム10の内部の空間63に対しエアが供給される。さらに、そのように空間63に対しエアが供給されることで、その空間63が前記した隙間64に連通していることから、その回転テーブル20の端面20aとフロントカバ12の端面12aとの隙間64からエアが噴出する状態となる。それにより、フレーム10内部への異物の侵入が防止されるエアシールが実現された状態となる。
【0041】
なお、そのエアシールのために供給されるエアの圧力は、フレーム内に設けられているシール部材のはみ出し等の不具合が発生しないようにするために、比較的低い圧力とされている。具体的には、そのエアの圧力は、0.01~0.03MPa程度に調整されている。因みに、前記した空間63内には、クランプディスク41が存在している。そこで、その回転テーブル装置1は、クランプディスク41がクランプピストン43とフロントカバ12とで挟持された状態となっても隙間64側へエアが供給されるような構成(例えば、クランプディスク41にその板厚方向に貫通する複数の通気孔を形成する等)とされている。
【0042】
以上で説明した工作機械用の回転テーブル装置1において、本発明によれば、その回転テーブル装置1は、隙間64に開口すると共に回転軸30と同軸にフレーム10に形成された円環状の収容溝、その収容溝内に摺動可能に収容されるシール用ピストン、及びそのシール用ピストンを回転テーブル20側へ付勢する弾性部材を備えるように構成される。さらに、回転テーブル装置1は、その収容溝の開口の一部を全周に亘って覆うように収容溝の周縁から収容溝の中心側へ前記半径方向に突出するかたちでフレーム10に設けられた突出部分を備え、その突出部分とシール用ピストンとで、エアシールのためにシール用ピストンを回転テーブル20から離間させる側へ変位させるための圧力室が画定されるように構成される。そのような本発明による回転テーブル装置1の一実施形態(実施例)について、以下で詳しく説明する。
【0043】
回転テーブル装置1において、フレーム10におけるフロントカバ12には、その円テーブル20側の端面12aに開口すると共に、回転軸30周りにおいて回転軸30と同心を成す環状の溝(収容溝)71が形成されている。但し、その収容溝71は、回転テーブル装置1の平面視において、回転テーブル20の存在範囲内に位置するように形成されている。それにより、その収容溝71は、隙間64に対し前記軸線方向に開口する溝となっている。
【0044】
なお、フロントカバ12は、前記のように円盤状(ドーナツ盤状)を成す部材であるが、前記半径方向における収容溝71に対する外側の部分(外側部分)の厚さ寸法が収容溝71に対する内側の部分(内側部分)の厚さ寸法よりも小さくなるような形に形成されている。また、そのフロントカバ12において、前記内側部分の厚さ寸法は、フロントカバ12が本体部11に取り付けられた状態で、前記内側部分と回転テーブル20との間の隙間64(前記軸線方向に対向する前記内側部分の端面12aと回転テーブル20の端面20aとの間の隙間64)がエアシールのためのエアをフレーム10の外側へ噴出させることが可能となる程度の狭い隙間となる寸法とされている。
【0045】
その上で、シール用ピストン72は、その収容溝71に収容されるかたちで設けられている。なお、そのシール用ピストン72は、そのように収容溝71に収容されるべく平面視において環状を成すように形成されており、その内径が収容溝71の内側の内周面の直径と略同じであると共に、外径が収容溝71の外側の内周面の直径と略同じであるようなものとなっている。したがって、シール用ピストン72は、その内周面及び外周面において収容溝71の対応する内周面に対し当接(摺接)した状態で、収容溝71に収容されている。
【0046】
さらに、そのシール用ピストン72は、前記のように平面視において環状を成す円筒状の部材であるが、その半径方向における略中間部よりも内側の部分と外側の部分とがその軸線方向において寸法が異なるように形成されている。具体的には、そのシール用ピストン72は、内側の主体的な部分である主体部72aと、その主体部72aのその軸線方向における一端側で主体部72aから外側に向けて突出するように形成されたフランジ状のフランジ部72bとから成っている。
【0047】
さらに、そのシール用ピストン72において、主体部72aのその軸線方向(収容溝71に収容された状態での前記軸線方向)における寸法は、前記軸線方向におけるフロントカバ12の前記内側部分の端面12aと収容溝71の底面との間隔と略同じとなっている。したがって、シール用ピストン72は、収容溝71に収容された状態で、前記軸線方向における隙間64の大きさ分だけ前記軸線方向に変位(摺動)可能となっている。また、フランジ部72bの前記軸線方向の寸法は、前記軸線方向におけるフロントカバ12の前記外側部分の端面12bと収容溝71の底面との間隔から隙間64の大きさを差し引いた寸法よりも小さくなっている。そして、シール用ピストン72は、その前記一端側(フランジ部72b側)が前記軸線方向における収容溝71の底面側となる向きで設けられている。
【0048】
そして、シール用ピストン72と収容溝71の底面との間には、弾性部材である圧縮バネ73が、収容溝71の周方向に間隔を空けて複数介装されている。それにより、シール用ピストン72は、前記軸線方向の回転テーブル20側へ向けて常時付勢された状態となっている。
【0049】
さらに、フレーム10におけるフロントカバ12には、シール用ピストン72を圧縮バネ73の付勢力に抗して変位させる作動流体が供給される圧力室をシール用ピストン72との組み合わせで形成するための突出部材14が取り付けられている。より詳しくは、その突出部材14は、中心に貫通孔を有する円盤状(ドーナツ盤状)の部材である。また、その突出部材14は、内径がシール用ピストン72における主体部72aの外径と略同じであると共に、外径がフロントカバ12の外径と略同じであるように構成されている。さらに、その突出部材14の厚さ寸法は、突出部材14がフロントカバ12の前記外側部分に対し取り付けられた状態で、その円テーブル20側の端面14aの前記軸線方向における位置がフロントカバ12における前記内側部分の円テーブル20側の端面12aの位置と略同じになるような寸法となっている。
【0050】
その上で、突出部材14は、平面視においてその貫通孔の中心をフロントカバ12における貫通孔の中心に一致させる配置で、フロントカバ12における前記外側部分の回転テーブル20側の端面12bに対し取り付けられている。そして、そのように突出部材14がフロントカバ12に対し取り付けられた状態においては、その突出部材14は、その内周側の部分が、前記半径方向に関し、収容溝71の前記外側の内周面(収容溝71の外周縁)から収容溝71の中心側へ向けて突出した状態となる。そして、その突出部材14における前記半径方向に突出する内周側の部分が、収容溝71の開口の一部を全周に亘って覆うように収容溝71の周縁から収容溝71の中心側へ前記半径方向に突出するかたちでフレーム10に設けられた突出部分14bとなる。
【0051】
そして、そのように突出部材14がフロントカバ12に対し取り付けられた状態においては、その突出部材14における貫通孔の内周面14dが、前記のように収容溝71に収容されたシール用ピストン72における主体部72aの外周面(溝対向面)72dに当接した状態となる。すなわち、その状態においては、突出部材14における貫通孔の内周面14dとシール用ピストン72における溝対向面72dとが摺動可能に当接した状態となっている。
【0052】
なお、シール用ピストン72は、そのフランジ部72bにおける外周面において、収容溝71における外径側の内周面に摺動可能に当接した状態となっている。さらに、その状態においては、突出部材14の突出部分14bにおける収容溝71側の端面とフランジ部72bにおける回転テーブル20側の端面とが前記軸線方向に対向した状態となっている。それにより、回転テーブル装置1においては、その突出部材14における突出部分14bとシール用ピストン72bと収容溝71とで画定される閉塞された空間75が形成されている。
【0053】
その上で、突出部材14には、その空間75に作動流体を供給するための供給流路76が形成されている。その供給流路76は、空間75に開口すると共に前記軸線方向に延びる供給部分と、その供給部分に連通すると共に半径方向に延びて突出部材14の外側面に開口する導入部分とから成っている。そして、その供給流路76は、その導入部分の開口において、作動流体の供給装置77に対し接続されている。
【0054】
そして、供給流路76を介し、供給装置77によって空間75に対し作動流体が供給されることで、その作動流体の圧力により、シール用ピストン72が回転テーブル20から離間する側(収容溝71の底面側)へ変位する。したがって、その空間75が、シール用ピストン72を圧縮バネ73の付勢力に抗して変位させる作動流体が供給される圧力室となる。
【0055】
また、本実施例では、その圧力室75に供給される作動流体が圧縮空気であり、供給装置77は、その圧縮空気を供給するものとなっている。なお、図示は省略するが、その供給装置77は、前述のエアシール機構60にエア(圧縮空気)を供給する供給装置としても兼用されている。
【0056】
但し、前述のようにエアシールのために供給されるエアの圧力は、比較的に低い圧力であって、0.01~0.03MPa程度である。一方で、圧力室75に供給される圧縮空気の圧力は、シール用ピストン72が圧縮バネ73の付勢力に抗して変位するような圧力である必要があり、そのエアシール機構60に供給されるエアの圧力よりも高い圧力であって、例えば0.4MPa程度である。そこで、供給装置77と供給経路65(エアシール機構60)とを接続する供給管路中には、圧縮空気の圧力を調整するための圧力調整器が設けられている。その上で、供給装置77が圧力室75に供給される圧力の圧縮空気を供給すると共に、エアシール機構60側においては、その圧力調整器により、供給流路65に供給されるエアの圧力が前記のような低い圧力に調整されるようになっている。
【0057】
そして、以上で説明した回転テーブル装置1においては、その回転テーブル装置1が備えられた工作機械の運転中には、供給装置77による圧縮空気(エア)の供給が行われているため、それが供給流路65に対し供給されることで、そのエアがエア供給口65dからフレーム10の内部の空間63に供給される状態となっている。加えて、その供給装置77からの圧縮空気が供給流路76を介して圧力室75にも供給されているため、シール用ピストン72が回転テーブル20から離間する側へ変位した状態となっている。それにより、回転テーブル装置1は、隙間64が開放された状態となり、前記のようにフレーム10の内部の空間63にエアが供給されていることで、その空間63に連通する隙間64から、外部へ向けてエアが噴出することとなる。すなわち、その回転テーブル装置1は、エアシールが機能した状態となっている。
【0058】
一方で、工作機械が停止すると、供給装置77による圧縮空気(エア)の供給が停止されるため、供給流路65に対しエアが供給されない状態となり、回転テーブル装置1においては、エアシールが機能しない状態となる。但し、供給装置77からの圧縮空気の供給が停止されると、供給流路76(圧力室75)に対しても圧縮空気が供給されなくなるため、シール用ピストン72がバネ部材73の付勢力によって回転テーブル20側へ変位して回転テーブル20におけるフレーム10側の端面20aに当接した状態となる。その結果として、フレーム10における端面12aと回転テーブル20の端面20aとの隙間64が閉塞された状態となるため、前記のようにエアシールが機能していない状態となっても、フレーム10内部への異物の侵入が防止される。
【0059】
その上で、その回転テーブル装置1においては、シール用ピストン72が収容される収容溝71内に形成される圧力室75は、その収容溝71の開口側の面が突出部分14bによって画定されており、さらに、その突出部分14b(突出部材14)は、その内周面14dにおいてシール用ピストン72の溝対向面72dが摺動可能に当接した状態となるように設けられている。それにより、圧力室75は、シール用ピストン72が変位する範囲に亘ってその閉塞された状態が維持されるようになっている。したがって、前記のように工作機械の運転中において隙間64が開放されるように圧力室75に圧縮空気を供給しても、その圧縮空気が隙間64に連通するフレーム10の内部の空間63に対して供給されることが無いため、フレーム内の空間の空気の圧力が高まってフレーム10内に設けられているシール部材のはみ出し等の不具合が発生するのを防止することができる。
【0060】
以上では、本発明の工作機械用の回転テーブル装置の一実施例について説明したが、本発明による工作機械用の回転テーブル装置は、前記実施例に限定されるものではなく、以下のような変形した例でも実施が可能である。
【0061】
(圧力室 突出部分)
(1)圧力室について、前記実施例の回転テーブル装置1では、シール用ピストン72を回転テーブル20から離間する側へ変位させるための圧力室75が、前記半径方向に関し、シール用ピストン72の主体部72aに対する外側に位置するように設けられている。しかし、本発明において、圧力室は、前記半径方向に関し、シール用ピストンの主体部に対する内側に位置するように設けられていても良い。そして、その場合には、突出部分は、収容溝の内周縁から収容溝の中心側へ向けて前記半径方向に突出するように設けられるかたちとなる。
【0062】
具体的には、例えば図3に示すような例が考えられる。その例では、回転テーブル装置100において、フロントカバ112が、その収容溝171よりも内側の部分(端面112a)と回転テーブル120(端面120a)との間隔が前記実施例のそれよりも大きくなるように構成されている。また、その収容溝171に収容されるシール用ピストン172は、その主体部172aに対し前記実施例のような外側に向けて突出するフランジ部172bに加え、内側に向けて突出する内側鍔部172cを有するように構成されている。
【0063】
その上で、内径がフロントカバ112の内径と同じ突出部材114が、フロントカバ112の端面112aに取り付けられている。但し、その突出部材114の厚さ寸法は、端面112aに対し取り付けられた状態で、突出部材114と回転テーブル120との間の隙間164が前記実施例の隙間64と同程度の大きさになるような寸法となっている。また、その突出部材114の外径は、シール用ピストン172における主体部172aの内径と略同じとなっている。
【0064】
それにより、その突出部材114がフロントカバ112の端面112aに取り付けられた状態では、突出部材114の外周側の部分が収容溝171の内周縁から前記半径方向に突出した状態となり、且つ、突出部材114の外周面114dがシール用ピストンにおける主体部172aの内周面172dに摺動可能に当接した状態となっている。そして、その突出部材114における収容溝171の内周縁から前記半径方向に突出した部分が突出部分114bとなる。
【0065】
そして、その構成によれば、前記半径方向におけるシール用ピストン172の主体部172aに対する内側に、突出部分114bとシール用ピストン172と収容溝171とで画定される閉塞された空間175が形成されることとなる。その上で、その空間175に圧縮空気を供給するための供給流路176、179をフレーム110(突出部材114及びフロントカバ114)に形成することで、その空間175が、シール用ピストン172を回転テーブル120から離間する側へ変位させる圧縮空気が供給される圧力室となる。
【0066】
(2)エアシールのためのエアを噴出させるべく外部に連通する回転体の面とフレームの面との隙間を閉塞する構成について、前記実施例では、回転テーブルにおけるフレーム側の端面にシール用ピストンの主体部を当接させることで前記隙間が閉塞される構成となっている。しかし、前記隙間を閉塞するための構成は、そのような構成には限られず、例えば図3に示すような構成であっても良い。
【0067】
具体的には、図3に示す例は、回転テーブル装置が、回転テーブル120におけるフレーム110側の端面120aに対しフレーム110側に突出するかたちで円筒形状のカバ121が取り付けられるように構成された例である。なお、そのカバ121の内径は、シール用ピストン172における主体部172aの外径よりも若干大きく、また、前記軸線方向におけるカバ121の寸法は、フロントカバ112との隙間が前記実施例の隙間64と同程度の大きさになるような寸法となっている。それにより、その回転テーブル装置においては、そのカバ121とフロントカバ112との隙間が、エアシールのためのエアを噴出させる隙間(外部に連通する隙間)となる。
【0068】
その上で、その回転テーブル装置は、シール用ピストン172が回転テーブル120側へ変位するのに伴い、そのシール用ピストン172のフランジ部172bがカバ121におけるフレーム110側の端面121aに当接して前記隙間が閉塞されるように構成されたものとなっている。
【0069】
(3)シール用ピストンを回転体側へ付勢する弾性部材について、前記実施例では、その弾性部材として圧縮バネ73が用いられている。しかし、本発明において、弾性部材は、圧縮バネに限らず、例えば、皿バネや波ワッシャであっても良い。なお、皿バネや波ワッシャの場合には、円周方向に亘る単一の部材としてその弾性部材が設けられるようにしても良い。さらに、弾性部材は、金属製の材料で形成されたものに限らず、例えば、ゴムブッシュやゴムワッシャのようなゴム製の材料で形成されたものであっても良い。
【0070】
(4)前記実施例では、回転テーブル装置1は、シール用ピストンを回転体から離間する側へ変位させる圧力室へ作動流体を供給する供給装置77が、エアシール機構60に対してもエアシール用のエアを供給するように構成されている。しかし、本発明において、回転テーブル装置は、供給装置が前記圧力室のみに圧縮空気を供給するように構成されても良い。そして、その場合には、回転テーブル装置において、エアシール機構は、供給装置とは別に設けられたエアシール用のエアを供給するための装置からエアを供給されるように構成されたものとされる。
【0071】
また、前記実施例では、供給装置が前記圧力室に供給する作動流体を圧縮空気としているが、エアシール機構に対するエアの供給が前述のような供給装置とは別の装置により行われる回転テーブル装置の場合には、その作動流体は、作動油であっても良い。すなわち、供給装置が作動油を供給するように構成されていても良い。
【0072】
(5)本発明が前提とする工作機械用の回転テーブル装置について、前記実施例では、その回転テーブル装置1は、その回転軸30の軸線を鉛直方向に向けて設置される所謂横置きの回転テーブル装置となっている。しかし、本発明が適用される回転テーブル装置は、そのような横置きの回転テーブル装置に限らず、回転軸の軸線を水平方向に向けて設置される、所謂縦置きの回転テーブル装置であっても良い。
【0073】
また、前記実施例では、回転テーブル装置1における駆動装置5は、ギヤ等の駆動伝達機構を介さずに回転軸30を回転駆動する直接駆動型モータ(DDモータ)50を主体として構成されたものとなっている。しかし、本発明が前提とする回転テーブル装置において、その駆動装置は、駆動モータが駆動伝達機構を介して回転軸を回転駆動するように構成されたものであっても良い。
【0074】
なお、本発明は、以上で説明したいずれの実施形態にも限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて適宜に変更可能である。
【符号の説明】
【0075】
1 回転テーブル装置
5 駆動装置
10 フレーム
11 本体部
12 フロントカバ
12a 端面
12b 端面
14 突出部材
14a 端面
14b 突出部分
14d 内周面
15 リアカバ
17 収容孔
20 回転テーブル
20a 端面
30 回転軸
31 軸受
40 クランプ装置
41 クランプディスク
42 収容溝
43 クランプピストン
45 圧縮バネ
50 DDモータ
51 モータロータ
52 モータステータ
60 エアシール機構
63 空間
64 隙間
65 供給流路
65a 外側部分
65b 内側部分
65d エア供給口
71 収容溝
72 シール用ピストン
72a 主体部
72b フランジ部
72d 溝対向面
73 圧縮バネ
75 圧力室
76 供給流路
77 供給装置
100 回転テーブル装置
110 フレーム
112 フロントカバ
112a 端面
114 突出部材
114b 突出部分
114d 内周面
120 回転テーブル
120a 端面
121 カバ
121a 端面
164 隙間
171 収容溝
172 シール用ピストン
172a 主体部
172b フランジ部
172c 内側鍔部
172d 内周面
175 圧力室
176 供給流路
179 供給流路
図1
図2
図3